説明

フルオロ化されたエチレングリコール基を有する感光性ポリマーおよびこれを含む化学増幅型レジスト組成物

【課題】透過度および乾式エッチングに対する耐性など、レジスト組成物の特性を向上させる感光性ポリマーを提供し、さらに微細なパターン形成を可能にする。
【解決手段】次の構造式:


(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはフルオロ化されたエチレングリコール基を有するC〜C10の炭化水素基であり、Rは水素原子、またはC〜C20の炭化水素基であり、R及びRは、各々、水素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、C〜C10のアルキル基、またはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基、アルコキシ基またはエステル基である。)を有する感光性ポリマーによって上記課題は解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性ポリマー及び化学増幅型レジスト組成物に係り、特にArF(193nm)及びF(157nm)エクサイマーレーザー用として使用でき、フルオロを含有する感光性ポリマー及びこれを含む化学増幅型レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程が複雑になり、半導体素子の集積度が高まるにつれて微細なパターン形成が要求される。半導体素子の容量が1Gb級以上の素子においては、デザインルールが0.1μm以下のパターンサイズが要求されるが、既存のKrFエクサイマーレーザー(248nm)を用いたレジスト材料を使用するのには限界がある。このため、KrFエクサイマーレーザーに比べてさらに短波長のエネルギー源であるArFエクサイマーレーザー(193nm)またはF(157nm)エクサイマーレーザーを用いたリソグラフィー技術が開発された。その中でもF(157nm)エクサイマーレーザーを用いるリソグラフィー工程では新たな構造のレジスト材料が要求される。
【0003】
(157nm)エクサイマーレーザーを使用するリソグラフィー技術で用いられる材料は次のような基本的な特性を満たさなければならない。第1に、レジスト膜は該当光源で高い透過度を有しなければならない。第2に、乾式エッチング工程時に使われるプラズマに対する耐エッチング性に優れなければならない。第3に、パターン崩れのような現象を防止するために下部膜質に対する接着特性に優れなければならない。第4に、通常の現像液で現像可能でなければならない。
【0004】
前記のような材料的特性を満たすには様々な制約が多い。その中でも特に、高分子材料の低い透過度と乾式エッチングに対する低い耐性とが、最も大きい問題点と指摘されてきた。
【0005】
現在まで、次世代Fエクサイマーレーザー用レジスト材料として幾つかの材料が知られてきたが、主にフルオロ化されたポリマー及びシロキサンポリマーが多く研究されてきた。特に、フルオロ化されたポリマーは157nmでの透過度特性に優れて次世代レジスト材料として多く研究されている。しかし、この材料はモノマー合成が難しく、合成された高分子の特性においても疎水性が過度に強くてレジスト材料としての適した構造を探し出しにくかった。
【0006】
従来の技術による初期の157nm用レジスト材料の1つとして、次に表示する構造を有するポリノルボルネン共重合体が発表された。
【0007】
【化1】

【0008】
前記構造は、高分子の接着特性及び乾式エッチングに対する耐性側面では有利な構造である。しかし、高分子合成において分子量の調節が難しく、金属触媒により引き起こされる不純物の除去が難しいという短所を有している。
【0009】
他の従来の技術によるレジスト材料として次のような構造を有するα−トリフルオロメチルアクリルモノマーとスチレン誘導体との共重合体が非特許文献1に開示されている。
【0010】
【化2】

【0011】
前記非特許文献1によれば、前記構造を有するフルオロ化された芳香族化合物が157nmで薄膜レジストとしての機能を有する。しかし、前記構造の場合も依然として様々な問題点を有している。特に、レジスト膜の透過度及び乾式エッチングに対する耐性は相変わらず改善する必要がある。
【非特許文献1】Proc.SPIE,Vol.4345,273−284(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前記従来の157nm用レジスト材料の限界を克服しようとするものであって、レジスト組成物の原料として使われ、透過度及び乾式エッチングに対する耐性を向上させうる構造を有する感光性ポリマーを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、向上された透過度を有し、乾式エッチングに対する耐性、接着特性及び湿潤性に優れ、一般の現像液を用いて現像できるレジスト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特定の構造を有する反復ユニットからなる感光性ポリマーである。また本発明は、前記感光性ポリマーを含むレジスト組成物である。本発明で規定する反復ユニットからなる感光性ポリマーを含むレジスト組成物は、F(157nm)エクサイマーレーザーを用いるフォトリソグラフィー工程など、今後の次世代半導体素子の製造において非常に有用である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る感光性ポリマーは、フルオロ化されたエチレングリコール基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーよりなる反復単位を含んでいる。このような構造を有する本発明に係る感光性ポリマーは、レジスト膜の透過度を向上させるべく高い含量のフッ素原子を含有している。それにも拘らず、酸素原子をも有するため、フッ素原子によって引き起こされる疎水性による問題を改善し、親水性を向上されうる。したがって、このような感光性ポリマーから得られる本発明に係るレジスト組成物は透過度及び接着特性に優れ、かつ、乾式エッチングに対する耐性を有する。その上、一般の現像液を用いて現像できる。
【0016】
本発明に係るレジスト組成物を、例えばF(157nm)エクサイマーレーザーを用いるフォトリソグラフィー工程に適用すれば、優れたリソグラフィーパフォーマンスが発現し、さらに微細化されたパターンを形成できる。本発明のかような特徴は、次世代半導体素子の製造において非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の感光性ポリマーおよびレジスト組成物について、詳細に説明する。本発明に係る感光性ポリマーは、好ましくは3,000〜50,000の重量平均分子量を有する。
【0018】
本発明の感光性ポリマーは、次の構造の反復ユニット(繰り返し単位)を含む。
【0019】
【化3】

【0020】
式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはフルオロ化されたエチレングリコール基を有するC〜C10の炭化水素基である。望ましくは、Rはフルオロ化されたジエチレングリコールモノメチルエーテル基またはフルオロ化されたトリエチレングリコールモノメチルエーテル基である。フルオロ化の度合いについては特に限定されない。後述する合成例に記載されているように、モノマー合成が容易になるように、エチレングリコールの末端側の炭素原子には、水素原子が結合していてもよい。なお、本願で「エチレングリコール基」とは、エチレングリコール部位の末端の炭素−ヒドロキシ基(C−OH)における、ヒドロキシ基を除去した結合基を意味する。例えば、フルオロ化されたジエチレングリコールモノメチルエーテル基の一実施形態としては、「−CHCFOCFCFOCF」が挙げられる。
【0021】
望ましくは、本発明に係る感光性ポリマーは次の構造よりなる。
【0022】
【化4】

【0023】
式中、R及びRは前記定義した通りであり、Rは水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、フルオロ化されたアルキル基、アルコキシ基、アルデヒド基、エステル基、ニトリル基またはスルホン酸基であり、m/(m+n)=0.1〜0.6,n/(m+n)=0.4〜0.9である。望ましくは、RはC〜C20の酸により分解可能なエステル基、またはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基である。
【0024】
望ましくは、本発明に係る感光性ポリマーは次の構造よりなる。
【0025】
【化5】

【0026】
式中、R及びRは前記定義した通りであり、Rは水素原子、ヒドロキシ基、C〜C10の炭化水素基、またはC〜C10のフルオロ化された炭化水素基であり、m/(m+o)=0.1〜0.6,o/(m+o)=0.4〜0.9である。炭素水素基は、必要に応じて各種官能基で置換されていてもよい。望ましくは、RはC〜C10の酸により分解可能な保護基、例えばt−ブトキシカルボニルオキシ基である。さらに望ましくは、Rは2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル基、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリフルオロイソプロピル基、または2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル基である。
【0027】
さらに望ましくは、本発明に係る感光性ポリマーは次の構造よりなる。
【0028】
【化6】

【0029】
式中、R及びRは前記定義した通りであり、Rは水素原子、または置換または非置換のC〜C20の炭化水素基であり、R及びRは各々水素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、置換または非置換のC〜C10のアルキル基、またはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基、アルコキシ基またはエステル基である。即ち、これらから選択されるRおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい。また、m/(m+n+p+q)=0.01〜0.4,n/(m+n+p+q)=0.1〜0.5,p/(m+n+p+q)=0.0〜0.4,q/(m+n+p+q)=0.0〜0.4である。但し、p/(m+n+p+q)及びq/(m+n+p+q)がどちらも0.0ではない。即ち、少なくともpまたはqのいずれか一方が0.0ではない。特に望ましくは、RはC〜C10の酸により分解可能な保護基、例えばt−ブチル基である。R及びRのうち少なくとも何れか1つはC〜C10の酸により分解可能なエステル基、またはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基で有り得る。さらに望ましくは、Rは酸により分解可能な基であり、R及びRのうち少なくとも何れか1つは2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル基、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリフルオロイソプロピル基、または2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル基である。
【0030】
本発明に係る感光性ポリマーは前記提示された構造と共に、アクリレート誘導体、メタクリレート誘導体、ノルボルネン誘導体、無水マレイン酸モノマー、アルキルビニルエーテル、ビニルアセテート、アクロレイン、メタクロレイン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルよりなる群から選択される少なくとも何れか1つの反復ユニットをさらに含む構造を有しても良い。これらの反復ユニットは、前記提示された反復ユニットと共に感光性ポリマーを形成し、前記提示された反復ユニットに連結される。連結の状態は特に限定されず、ランダム、ブロック、グラフト等種々の構造を取り得る。また、「アクリレート誘導体、メタクリレート誘導体、ノルボルネン誘導体、無水マレイン酸モノマー、アルキルビニルエーテル、ビニルアセテート、アクロレイン、メタクロレイン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルよりなる群から選択される少なくとも何れか1つの反復ユニットをさらに含む」とは、これらをモノマーとして用いた場合に誘導される反復ユニットを含むことを意味する。
【0031】
前記他の目的を達成するために、本発明に係るレジスト組成物は、前記定義された本発明に係る感光性ポリマーと、PAG(photoacid generator:光酸発生剤)と、有機塩基よりなる。なお、レジスト組成物を構成する感光性ポリマーは、前記説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
【0032】
前記PAGは、好ましくは、前記感光性ポリマーの質量を基準に1.0〜15質量%含まれる。また、前記PAGは、好ましくは、トリアリルスルホニウム塩、ジアリルヨードニウム塩またはこれらの混合物よりなる。例えば、前記PAGはトリフェニルスルホニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムトリフレートまたはこれらの混合物よりなりうる。
【0033】
前記有機塩基は、前記感光性ポリマーの質量を基準に0.01〜2.0質量%含まれる。また、前記有機塩基は有機3級アミンよりなる。例えば、前記有機塩基はトリエチルアミン、トリイソブチルアミン、トリイソオクチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはこれらの混合物よりなりうる。
【0034】
本発明に係る感光性ポリマーは、レジスト膜の透過度を向上させるように高い含量のフッ素原子を含有している。その上、フッ素原子によって引き起こされる疎水性に伴う問題を改善できる構造を有している。このため、本発明に係るレジスト組成物は優れた透過度、接着特性及び優秀な乾式エッチングに対する耐性を有し、一般的な現像液を使用して現像しうる。
【実施例】
【0035】
合成例1
モノマーの合成
【0036】
【化7】

【0037】
500mL 3口フラスコにおいて、フルオロ化されたジエチレングリコールモノメチルエーテル31g(0.11mol)及びトリエチルアミン(TEA)13gをテトラヒドロフラン(THF)150mLで溶解し、溶液に、メタクリロイルクロライド10g(0.1mol)をアイスバスで徐々に滴下した後、常温で12時間反応させた。
【0038】
反応後、得られた反応結果物を過量の水に滴下し、HClを用いて中和させた。その後、ジエチルエーテルを抽出し、MgSOを用いて有機層を乾燥させた後、真空蒸留を用いて所望の生成物を分離した(収率:70%)。
【0039】
合成例2
モノマーの合成
【0040】
【化8】

【0041】
500mL 3口フラスコにおいて、フルオロ化されたジエチレングリコールモノメチルエーテル31g(0.11mol)及びTEA 13gをTHF 150mLで溶解し、溶液に、アクリロイルクロライド9g(0.1mol)をアイスバスで徐々に落とした後、常温で12時間反応させた。
【0042】
その後、合成例1のような方法で所望の生成物を得た(収率:65%)。
【0043】
合成例3
モノマーの合成
【0044】
【化9】

【0045】
式中、Rは水素原子またはメチル基である。
【0046】
合成例1のような方法でフルオロ化されたトリエチレングリコールモノメチルエーテルをTEAの存在下でアクリロイルクロライド(R=水素原子の場合)及びメタクリロイルクロライド(R=メチル基である場合)と各々反応させて所望の生成物を得た(収率:各々65%)。
【0047】
実施例1
共重合体の合成
【0048】
【化10】

【0049】
合成例1で合成したモノマー7g(20mmol)と、t−ブチルメタクリレート2.8g(20mmol)をAIBN(azobisisobutyronitrile)0.33g(5mol%)と共にTHF 20gに溶かした。次いで、窒素ガスを用いて完全にパージさせて、約65℃の温度で8時間重合させた。
【0050】
重合後、反応物を過量のn−ヘキサンで徐々に沈殿させた後、生成された沈殿物をろ過した。その後、沈殿物をろ過して50℃に保たれる真空オーブン内で24時間乾燥した(収率:75%)。
【0051】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は18,800であり、多分散度(Mw/Mn)は2.0であった。
【0052】
実施例2
共重合体の合成
【0053】
【化11】

【0054】
合成例2で合成したモノマー20mmolと、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン20mmolをAIBN 5mol%と共にTHF(モノマー総質量の3倍)に溶かした後、実施例1と同じ方法で所望の生成物を得た(収率:60%)。
【0055】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は11,300であり、多分散度(Mw/Mn)は1.9であった。
【0056】
実施例3
ターポリマーの合成
【0057】
【化12】

【0058】
丸いフラスコ内に合成例2で合成したモノマー10mmolと、t−ブチルα−トリフルオロメチルアクリレート10mmolと、5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−2−ノルボルネン10mmolをAIBN 5mol%と共にTHF(モノマー総質量の2倍)に溶かした。その後、窒素ガスを用いて完全にパージさせた後、約65℃の温度で24時間重合した。
【0059】
重合後、反応物を過量のn−ヘキサンで徐々に沈殿させた。その後、生成された沈殿物をろ過し、得られた沈殿物を再度適量のTHFに溶かしてn−ヘキサンで再沈殿させた。その後、沈殿物をろ過して50℃に保たれる真空オーブン内で24時間乾燥した(収率:60%)。
【0060】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は8,900であり、多分散度(Mw/Mn)は2.0であった。
【0061】
実施例4
ターポリマーの合成
【0062】
【化13】

【0063】
合成例2で合成したモノマー5mmolとt−ブチルアクリレートモノマー10mmolと、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)スチレン10mmolとをAIBN 5mol%と共にTHF(モノマー総質量の3倍)に溶かした後、実施例3と同じ方法で所望の生成物を回収した(収率:65%)。
【0064】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は12,800であり、多分散度(Mw/Mn)は2.1であった。
【0065】
実施例5
ターポリマーの合成
【0066】
【化14】

【0067】
合成例3で合成したモノマー10mmolと、t−ブチルアクリレートモノマー10mmolと、4−ヒドロキシスチレン10mmolとをAIBN 5mol%と共にTHF(モノマー総質量の3倍)に溶かした後、実施例3と同じ方法で所望の生成物を回収した(収率:70%)。
【0068】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は11,500であり、多分散度(Mw/Mn)は1.9であった。
【0069】
実施例6
ターポリマーの合成
【0070】
【化15】

【0071】
合成例2で合成したモノマー10mmolと、α−トリフルオロメチルアクリル酸10mmolと、5−t−ブチル−2−ノルボルネンカルボキシレート20mmolをAIBN 5mol%と共にTHF(モノマー総質量の2倍)に溶かした後、実施例3と同じ方法で所望の生成物を回収した(収率:60%)。
【0072】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は8,800であり、多分散度(Mw/Mn)は2.2であった。
【0073】
実施例7
テトラポリマーの合成
【0074】
【化16】

【0075】
合成例3で合成したモノマー10mmolと、4−ヒドロキシスチレンモノマー10mmolと、5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−2−ノルボルネン10mmolと、t−ブチルα−トリフルオロメチルアクリレート30mmolとをAIBN5mol%と共にTHF(モノマー総質量の2倍)に溶かした後、実施例3と同じ方法で所望の生成物を回収した(収率:50%)。
【0076】
この際、得られた生成物の重量平均分子量(Mw)は9,500であり、多分散度(Mw/Mn)は2.1であった。
【0077】
実施例8
レジスト組成物の製造及びパターン形成工程
実試例1〜実施例7で合成したそれぞれのポリマー1gずつを各々PAGとしてのトリフェニルスルホニウムトリフレート0.02gと共にプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)8gに溶かした後、ここに有機塩基としてのトリイソブチルアミン2mgを入れて完全に溶かしてレジスト組成物を製造した。
【0078】
得られたレジスト組成物を各々HMDS(hexamethyldisilazane)処理を行ったベアSiウェーハ上に約0.33μmの厚さにコーティングした後、約120〜140℃の温度範囲で約60〜90秒間プレベイキングを実施した。その後、ArFステッパー(0.6NA,σ=0.75)を用いて露光した。
【0079】
次いで、約110〜140℃の温度範囲で約60〜90秒間PEB(post−exposure bake)を実施した後、2.38質量%TMAH(tetramethylammonium hydroxide)溶液で約60秒間現像した。その結果、露光ドーズ量を約5−20mJ/cmとした時、それぞれのレジスト組成物のいずれもについて、きれいな180nmラインアンドスペースパターンが得られることが確認できた。
【0080】
本発明に係るレジスト組成物の製造に際して、好ましくは、前記PAGは前記感光性ポリマーの質量を基準に1.0〜15質量%含まれ、トリアリルスルホニウム塩、ジアリルヨードニウム塩またはこれらの混合物よりなりうる。また、好ましくは、前記有機塩基は前記感光性ポリマーの質量を基準に0.01〜2.0質量%含まれ、有機3次アミン、例えばトリエチルアミン、トリイソブチルアミン、トリイソオクチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはこれらの混合物よりなりうる。
【0081】
前記パターン形成段階において、ウェーハ上にレジスト組成物をコーティングする時、その厚さは用途に応じて変化され、約0.1〜0.5μmの厚さにコーティングされる。また、プリベイキング段階では保護基の種類によってベイキング温度が変わり、普通110〜140℃の温度範囲内で約60〜90秒間行なわれうる。露光段階では使われる深紫外線の光源によってドーズ量が変わり、ArFまたはFエクサイマーレーザーの場合に通常5〜50mJ/cmのエネルギーを使用できる。PEB段階では、保護基の種類によってベイキング温度が変わり、普通110〜140℃の温度範囲内で約60〜90秒間行なわれうる。通常、現像段階は2.38質量%TMAH(0.26N)溶液で約20〜60秒間行なわれる。
【0082】
以上、本発明を望ましい実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で当分野で通常の知識を有するものによって多様な変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式:
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはフルオロ化されたエチレングリコール基を有するC〜C10の炭化水素基であり、Rは水素原子、またはC〜C20の炭化水素基であり、R及びRは、各々、水素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、C〜C10のアルキル基、またはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基、アルコキシ基またはエステル基であり、m/(m+n+p+q)=0.01〜0.4,n/(m+n+p+q)=0.1〜0.5、p/(m+n+p+q)=0.0〜0.4,q/(m+n+p+q)=0.0〜0.4であり、少なくともp/(m+n+p+q)及びq/(m+n+p+q)の一方が0.0ではない。)
を有する感光性ポリマー。
【請求項2】
はフルオロ化されたジエチレングリコールモノメチルエーテル基またはフルオロ化されたトリエチレングリコールモノメチルエーテル基であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ポリマー。
【請求項3】
はC〜C10の酸により分解可能な保護基であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ポリマー。
【請求項4】
はt−ブチル基であることを特徴とする請求項3に記載の感光性ポリマー。
【請求項5】
及びRのうち少なくとも何れか1つはC〜C10の酸により分解可能なエステル基であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ポリマー。
【請求項6】
及びRのうち少なくとも何れか1つはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ポリマー。
【請求項7】
は酸により分解可能な基であり、R及びRのうち少なくとも何れか1つは2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル基、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリフルオロイソプロピル基、または2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル基であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ポリマー。
【請求項8】
3,000〜50,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性ポリマー。
【請求項9】
(a)次の構造式:
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはフルオロ化されたエチレングリコール基を有するC〜C10の炭化水素基であり、Rは水素原子、またはC〜C20の炭化水素基であり、R及びRは、各々、水素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、C〜C10のアルキル基、またはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基、アルコキシ基またはエステル基であり、m/(m+n+p+q)=0.01〜0.4,n/(m+n+p+q)=0.1〜0.5,p/(m+n+p+q)=0.0〜0.4,q/(m+n+p+q)=0.0〜0.4であり、少なくともp/(m+n+p+q)及びq/(m+n+p+q)の一方が0.0ではない。)
を有する感光性ポリマーと、
(b) PAGと、
(c) 有機塩基よりなることを特徴とするレジスト組成物。
【請求項10】
はフルオロ化されたジエチレングリコールモノメチルエーテル基またはフルオロ化されたトリエチレングリコールモノメチルエーテル基であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項11】
はC〜C10の酸により分解可能な保護基であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項12】
はt−ブチル基であることを特徴とする請求項11に記載のレジスト組成物。
【請求項13】
及びRのうち少なくとも何れか1つはC〜C10の酸により分解可能なエステル基であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項14】
及びRのうち少なくとも何れか1つはC〜C10のフルオロ化されたアルキル基であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項15】
は酸により分解可能な基であり、R及びRのうち少なくとも何れか1つは2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル基、2−ヒドロキシ−1,1,1−トリフルオロイソプロピル基、または2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル基であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項16】
前記感光性ポリマーは3,000〜50,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項9に記載のレジスト組成物。

【公開番号】特開2008−179824(P2008−179824A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50069(P2008−50069)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【分割の表示】特願2002−324050(P2002−324050)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】