フレキシブルディスプレイ
【課題】プラスチックフィルムを素子基板に使用するフレキシブルディスプレイにおいて、透明導電層からなる外部接続電極に外部回路配線を信頼性よく接続できるフレキシブルディスプレイを提供する。
【解決手段】表示領域Aと外部接続領域Bが画定されたプラスチックフィルムと、プラスチックフィルム10の上に形成された接着層30と、接着層30の上方に形成された樹脂層26と、樹脂層26上の表示領域Aに形成され、表示信号が供給される透明電極24と、樹脂層26上の外部接続領域Bに形成され、透明電極24が延在して配置された外部接続電極25とを備えたプラスチック素子基板5を使用して構成され、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40が形成されている。好適には、樹脂層26にシリカ粒子が含有されている。
【解決手段】表示領域Aと外部接続領域Bが画定されたプラスチックフィルムと、プラスチックフィルム10の上に形成された接着層30と、接着層30の上方に形成された樹脂層26と、樹脂層26上の表示領域Aに形成され、表示信号が供給される透明電極24と、樹脂層26上の外部接続領域Bに形成され、透明電極24が延在して配置された外部接続電極25とを備えたプラスチック素子基板5を使用して構成され、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40が形成されている。好適には、樹脂層26にシリカ粒子が含有されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルディスプレイに係り、さらに詳しくは、プラスチックフィルムを素子基板に用いる液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフレキシブルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置は、情報機器などへ急速にその用途を拡大している。近年、プラスチックフィルムを素子基板として使用するフレキシブルディスプレイが注目されている。そのようなフレキシブルディスプレイは、丸めて収納できて持ち運びに便利な超薄型・軽量のモバイル用ばかりではなく、大型ディスプレイ用としても利用できる。これらのフレキシブルディスプレイでは、単純マトリクス方式やアクティブマトリクス方式に対応する各種のドットマトリクス素子を備えたプラスチック素子基板が使用される。
【0003】
液晶ディスプレイとして組み立てる際には、2枚のプラスチック素子基板を対向させて接着し、それらのプラスチック素子基板の間に液晶が封入される。そして、プラスチック素子基板の端部に露出する外部接続電極の上に、ドライバICなどが実装された外部回路配線(TABテープ配線)がACF(異方性導電フィルム)などを介して熱圧着によって接続される。
【0004】
そのような外部接続に関連する技術としては、特許文献1には、半導体チップが実装される配線基板の保護膜の剥離や配線の断線を防止するために、ランドを配線より太く形成し、ランドの一部が露出するように開口部が設けられた保護膜を形成し、ランドの保護膜が配置される領域に穴を形成することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、フレキシブルフラットケーブルにおいて、はんだ付けされる端子部に繋がる複数の配線部の上に端子部が露出するように絶縁樹脂膜が形成され、該配線部に応力を緩和するためのスリットを設けることが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、TFTを用いた液晶表示装置において、シール剤形成領域の外側に露出するゲートバスライン(Alゲートライン)にスリットを形成することにより、ゲートバスラインの結露による侵食を防止することが記載されている。
【0007】
また、特許文献4には、ガラスを素子基板として使用する液晶表示装置のシール剤の外側のITOパターンにニッケル/金からなるめっき層を無電解めっきで形成する際に、シール剤として熱硬化型のエポキシ接着剤を使用することにより、めっき層の電気ショートを防止することが記載されている。
【0008】
なお、特許文献4に類似した技術としては、特許文献5には、液晶表示装置の反射層を形成する際に、パターン状のITO層の上に無電解めっきによりニッケル層を形成することにより、断線のない金属反射層を得ることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−258147号公報
【特許文献2】特開平11−39953号公報
【特許文献3】特開平8−82805号公報
【特許文献4】特開平8−160445号公報
【特許文献5】特開2000−250028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したようなフレキシブルディスプレイでは、表示領域の透明電極(ITOなど)が延在して端部に外部接続電極が配置される場合、基板の剛性が弱いことから、外部接続電極にACFを介して外部回路配線を熱圧着で接続するときに、外部接続電極にクラックが発生しやすい問題がある。
【0010】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、プラスチックフィルムを素子基板に使用するフレキシブルディスプレイにおいて、透明導電層からなる外部接続電極に外部回路配線を信頼性よく接続できるフレキシブルディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイに係り、表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上方に形成された樹脂層と、前記樹脂層上の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、前記樹脂層上の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極とを備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、前記外部接続電極の上に配線補強用の無電解めっき層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のフレキシブルディスプレイは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイに適用することができる。液晶ディスプレイに適用する場合は、本発明のプラスチック素子基板が第1プラスチック素子基板となり、その上に対向基板となる第2プラスチック素子基板が対向して配置され、それらの間に液晶が封入される。
【0013】
また、有機ELディスプレイに適用する場合は、プラスチック素子基板の透明電極(陽極)の上に有機EL層と金属電極(陰極)が形成される。
【0014】
本発明では、プラスチック素子基板の表示領域に配置された透明電極(画素電極)が外部接続領域まで延在しており、外部接続領域に透明電極と同一材料からなる外部接続電極が配置されている。そして、外部接続電極上に配線補強層として機能する無電解めっき層(ニッケル層など)が形成されている。
【0015】
フレキシブルディスプレイでは、ガラスなどの硬度の高い基板を使用するディスプレイと違って、外部接続電極にACFなどを介して外部回路配線を熱圧着して接続する際に、外部接続電極にクラックが発生して断線することがある。
【0016】
本発明では、外部接続電極の上に無電解めっき層が形成されているので、外部接続電極にクラックが発生する場合があっても、無電解めっき層が導通経路として機能するので外部接続電極の断線が回避される。これにより、フレキシブルディスプレイの外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0017】
しかも、外部接続電極が無電解めっきに対して不活性な特性を有する樹脂層(好適には、シリカ粒子(コロイダルシリカ)含有樹脂)の上に形成されるようにしたので、無電解めっき層が外部接続電極の上に信頼性よく選択的に形成される。このように、配線補強用の無電解めっき層で被覆された外部接続電極が電気ショートすることなく、高歩留りで形成される。
【0018】
また、上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイに係り、表示領域と外部接続領域が画定されたプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上方の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、前記接着層の上方の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極とを備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、前記外部接続電極の上に外部回路配線の配線層が接続されており、外部回路配線の配線層の幅は、前記外部接続電極の幅より細く設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明では、フレキシブルディスプレイの外部接続電極の上に無電解めっき層が形成する代わりに、外部接続電極に接続される外部回路配線の配線層の形状を工夫することにより、外部接続電極の断線が回避される。
【0020】
本発明では、外部接続電極に接続される外部回路配線の配線層の幅が外部接続電極の幅より細く設定されている。これにより、外部回路配線の配線層の先端直下の外部接続電極の部分にかかる応力が弱くなり、これによって外部接続電極へのクラックの発生が防止されて断線が回避される。たとえ外部回路配線の配線層の下の外部接続電極にクラックが発生するとしても、外部接続電極の外部回路配線の配線層からはみ出した部分にはクラックが進みにくくなり断線が回避される。
【0021】
他の態様としては、外部回路配線の配線層の先端部の外部接続電極に接する幅が、配線層の主要部の幅より細く設定されるようにしてよい。この態様の配線層の好適な形状としては、外部回路配線の配線層の先端側面から内部に食い込む切り込み部が設けられる。あるいは、外部回路配線の配線層の先端側面が外側に湾曲して突出している形状(半円状など)を採用してもよい。
【0022】
外部回路配線の配線層の先端部をこのような形状にすることにより、外部回路配線の配線層の先端直下の外部接続電極の部分にかかる応力が分散されてクラックの発生が防止されて断線が回避される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明では、プラスチック素子基板を使用するフレキシブルディスプレイにおいて、その外部接続電極に外部回路配線が信頼性よく接続される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図、図4は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図である。
【0026】
第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法は、図1(a)に示すように、まず、仮基板としてガラス基板20を用意し、そのガラス基板20の上にポリイミド樹脂などからなる剥離層22を形成する。
【0027】
その後に、図1(b)に示すように、剥離層22上に透明電極24を形成する。本実施形態では、単純マトリクス駆動用のストライプ状の透明電極24が使用され、透明電極24には表示信号が供給される。透明電極24としては、ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)が使用され、その膜厚は100nm程度である。
【0028】
本実施形態では、透明電極24は最終的にプラスチックフィルム上に転写・形成されるが、透明電極24となるITO層を成膜する際には耐熱性のガラス基板20上に形成される。このため、ITO層を成膜する際に成膜温度が200℃程度のスパッタ法などを採用することができる。これにより、透明電極24(ITO層)は低抵抗(比抵抗値:3×10-4Ω・cm以下)な電気特性をもって形成される。
【0029】
後述するように、透明電極24は、表示領域から外部接続領域に延在して形成され、透明電極24に繋がる外部接続電極が外部接続領域に配置される。
【0030】
続いて、図1(c)に示すように、透明電極24及び剥離層22上にシリカ粒子含有樹脂層26を形成する。シリカ粒子含有樹脂層26としては、コロイダルシリカ26x(無機成分)がアクリル樹脂などの樹脂層26a(有機成分)の中に分散されて形成される無機有機混合層が使用される。そのようなシリカ粒子含有樹脂層26は、無電解めっきに不活性でめっきが施されない特性を有する。
【0031】
シリカ粒子含有樹脂層26は、透明電極24の段差を埋め込んでその上面が平坦化された状態で形成される。本実施形態では、無電解めっきに不活性な樹脂の好適な例としてシリカ粒子含有樹脂層26を挙げるが、シリカ粒子を含まないアクリル樹脂などの各種の樹脂層を使用してもよい。
【0032】
次いで、図2(a)に示すように、シリカ粒子含有樹脂層26の上にカラーフィルタ28を形成する。詳しく説明すると、まず、透明電極24のパターン間上のシリカ粒子含有樹脂層26上に遮光層28dをパターニングする。続いて、赤色画素部の透明電極24に対応する部分に赤色カラーフィルタ層28aをパターニングする。続いて、緑色画素部の透明電極24に対応する部分に緑色カラーフィルタ層28bをパターニングする。さらに、青色画素部の透明電極24に対応する部分に青色カラーフィルタ層28cをパターニングする。
【0033】
このようにして、赤色カラーフィルタ28a、緑色カラーフィルタ28b、青色カラーフィルタ28c及び遮光層28dにより構成されるカラーフィルタ28が形成される。各色のカラーフィルタ28a〜28dは、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによりパターニングされて形成される。
【0034】
次いで、図2(b)に示すように、プラスチックフィルム10を用意し、図2(a)の構造体の上に接着層30を介してプラスチックフィルム10を配置する。プラスチックフィルム10としては、膜厚が100〜200μmのポリエーテルスルホンフィルムやポリカーボネートフィルムなどが好適に使用される。
その後に、熱処理することにより、接着層30を硬化させて、図2(a)の構造体の上に接着層30によってプラスチックフィルム10を接着する。
【0035】
続いて、同じく図2(b)に示すように、プラスチックフィルム10の一端にロール29を固定し、このロール29を回転させながらプラスチックフィルム10を引き剥がす。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図2(b)のI部)に沿って剥離される。
【0036】
これにより、図2(c)に示すように、プラスチックフィルム10上に、下から順に、接着層30、カラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、透明電極24及び剥離層22が転写・形成される。
【0037】
その後に、図3(a)に示すように、剥離層22を酸素プラズマなどで下地に対して選択的に除去することにより、透明電極24及びシリカ粒子含有樹脂層26の上面を露出させる。
【0038】
図3(b)には、図3(a)の構造体を横方向からみた断面図が示されている。図3(b)に示すように、プラスチックフィルム10上には表示領域Aと外部接続領域Bが画定されており、カラーフィルタ28は表示領域Aのみに形成されている。透明電極24は表示領域Aから外部接続領域Bまで延在しており、外部接続領域Bのシリカ粒子含有樹脂層26の上に透明電極24に繋がる外部接続電極25が配置される。
【0039】
さらに、図3(c)に示すように、透明電極24の外部接続電極25の上に無電解めっきにより配線補強用の無電解めっき層40を選択的に形成する。本実施形態では、無電解めっき層40の好適な例としてニッケル(Ni)めっき層を例示する。
【0040】
詳しく説明すると、メルクリーナーITO170(メルテックス社製:15g/l(液成分:洗浄剤100%、温度:常温)に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを5分間浸漬して脱脂する。
【0041】
次いで、コンディショナ−480A(メルテックス社製:20g/l(硫酸水素カリウム20〜30%+ペルオキソニ硫酸カリウム1〜10%、温度:常温)と、コンディショナ−480B(メルテックス社製:200ml/l(一水素二フッ化アンモニウム1.3%+有機酸40〜50%+水50〜60%、温度:常温)との混合液に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを5分間浸漬する。これにより、触媒処理の前処理が完了する。
【0042】
次いで、アクチベータ7331(メルテックス社製:300ml/l、温度:常温)と0.1mol/LKOH水溶液との混合液に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを5分間浸漬する。これにより、外部接続電極25の上にパラジウムなどの触媒金属が選択的に付着し、無電解めっきに対して強い触媒作用を示すようになる。シリカ粒子含有樹脂層26の上には触媒金属はほとんど付着せず、無電解めっきに対して不活性な状態となる。
【0043】
続いて、Ni−867M1(メルテックス社製:60ml/l)と、Ni−867M2(メルテックス社製:120ml/l(硝酸塩0.1%+次亜リン酸10〜20%+安定剤60〜70%))とが混合された無電解めっき液(温度:65〜70℃)に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを3分間浸漬する。
【0044】
これにより、図3(c)に示すように、透明電極24の外部接続電極25の上にニッケルめっき層が選択的に形成されて配線補強用の無電解めっき層40が得られる。無電解めっき層40の膜厚は、100〜200nm(好適には150nm程度)に設定される。
【0045】
このように、本実施形態では、透明電極24の外部接続電極25の下地層として無電解めっきに対して不活性なシリカ粒子含有樹脂層26を使用する。これにより、図3(c)の下図に示すように、並んで配置された複数の外部接続電極25に無電解めっき層40(ニッケルめっき層)が電気ショートすることなく信頼性よく選択的に形成される。しかも、耐熱性が低く位置合わせが困難なプラスチックフィルム10上で煩雑なパターニング工程(フォトリソグラフィ/エッチング)を行う必要もなく、工程を簡略化することができる。
【0046】
後述するように、無電解めっき層40は、透明電極24の外部接続電極25に外部回路配線がACFを介して熱圧着で接続される際に、外部接続電極25にクラックが発生する場合があっても外部接続電極25が断線しないように導通を確保するための配線補強層として機能する。
【0047】
無電解めっき層40としてニッケル層を例示したが、無電解めっきが可能な銅、すず又は金などを使用してもよい。
【0048】
次いで、図3(d)に示すように、表示領域Aの透明電極24の上に液晶材料を配向させるための配向膜32を形成し、その表面をラビング処理する。
【0049】
これにより、フレキシブル液晶ディスプレイを構成するための第1プラスチック素子基板5が得られる。
【0050】
図4には、第1プラスチック素子基板5を利用して構成されたフレキシブル液晶ディスプレイ1が示されている。図4に示すように、本実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイ1では、第1プラスチック素子基板5の上に第2プラスチック素子基板5aが対向して配置され、それらの間に液晶36が封入されて基本構成される。
【0051】
第1プラスチック素子基板5は、プラスチックフィルム10の上に、接着層30、カラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、ストライプ状の透明電極24及び配向膜32が順に形成されて構成される。透明電極24はシリカ粒子含有樹脂層26に埋設されており、透明電極24とシリカ粒子含有樹脂層26の各上面は同一面となって平坦化されている。(図3(a)参照)。
【0052】
第2プラスチック素子基板5aは、プラスチックフィルム10の上(図4では下)に接着層30a、保護層27、ストライプ状の透明電極24a及び配向膜32aが形成されて構成される。第2プラスチック素子基板5aは、第1プラスチック素子基板5と同様な転写技術によって製造される。
【0053】
そして、第1プラススチック素子基板5と第2プラスチック素子基板5aとがそれらのストライプ状の透明電極24,24aが直交するように対向して配置されている。第1プラスチック素子基板5の表示領域Aの外周部にシール剤34が設けられており、シール剤34によって第1、第2プラススチック素子基板5,5aが接着されている。第1、第2プラスチック素子基板5,5aはスペーサ(不図示)によって所定の間隔が確保されている。
【0054】
また、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bは第2プラスチック素子基板5aの一端から外側に突き出た状態となっており、透明電極24が延在して配置された外部接続電極25が外部接続領域Bに形成されている。
【0055】
さらに、図5に示すように、第2プラスチック素子基板5aの一端部には、透明電極24aに繋がる接続部24xが設けられており、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bには、第1プラスチック素子基板5の外部接続電極25の他に、第2プラスチック素子基板5aの透明電極24aの接続部24xに接続される対向基板側外部接続電極25aが別に設けられている。
【0056】
そして、第2プラスチック素子基板5aの透明電極24aの接続部24xと、第1プラスチック素子基板5の対向基板側外部接続電極25aとの間には上下導通材34a(シール剤34に導電性粒子35が混入されたもの)が設けられており、それらが導電性粒子35によって電気的に接続される。
【0057】
このように、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bには、第1プラスチック素子基板5の透明電極24の外部接続電極25と、第2プラスチック素子基板5aの透明電極24aに接続される対向基板側外部接続電極25aとが一箇所にまとまって並んで配置されている。以下、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bに配置される外部接続電極25は、対向基板側外部接続電極25aを含むものとする。
【0058】
また、図6を加えて参照すると、外部接続電極25の上には配線補強用の無電解めっき層40が形成されている。そして、透明電極24,24aの外部接続電極25に外部回路配線50がACF(異方性導電フィルム)60を介して熱圧着されて接続されている。外部回路配線50は、ポリイミドテープ52の上(図4では下)に銅からなる配線層54(膜厚:2〜3μm)が形成されたTAB配線テープからなる。外部回路配線50にはドライバICなどの周辺デバイス(不図示)が実装されている。
【0059】
ACF60は、バインダ62(樹脂)の中に5〜10μmの導電性粒子64が相互に分離した状態で分散されており、上下方向のみ導通可能にする機能を有する。このようにして、フレキシブル液晶ディスプレイ1の外部接続電極25がACF60の導電性粒子64を介して外部回路配線50の配線層54に電気的に接続されている。なお、ACF60の代わりに、ACP(異方性導電ペースト)を使用することができ、同様に上下方向のみ導通可能にする機能を有する。
【0060】
フレキシブル液晶ディスプレイ1の外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50を熱圧着する際には、高温(130〜200℃)、高圧(数MPa)のプロセスが採用される。このため、図7に示すように、基板としてのプラスチックフィルム10の硬度が弱いため、特に外部回路配線50の先端直下の外部接続電極25の部分(図7のC部)に応力が集中しやすく、その部分の外部接続電極25にクラックが発生しやすい。また、ACF60は導電性粒子64を含んでいるため、導電性粒子64の下の外部接続電極25の部分にもクラックが発生することがある。
【0061】
これは、外部接続電極25の上に接続される外部回路配線50の配線層54の膜厚(2〜3μm)が外部接続電極25の膜厚(100nm)よりかなり厚いことにも起因する。
【0062】
本実施形態では、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40(図4及び図6)が形成されているので、外部接続電極25にクラックが発生するとしても、無電解めっき層40によって導通が確保されて外部接続電極25の断線が回避される。
【0063】
本願発明者はこの効果を確認するために実験を行った。前述した製造方法に基づいて、プラスチックフィルム上に接着層を介してシリカ粒子含有樹脂層とITOパターン(外部接続電極)を転写・形成することにより、シリカ粒子含有樹脂層の上面側にITOパターンの上面が露出する実験サンプルを作成した。シリカ粒子含有樹脂層としては、コロイダルシリカ(無機成分)が40%、アクリル樹脂(有機成分)が60%のものを使用した。また、ITOパターン上に無電解めっき層を形成しない実験サンプル1と、ITOパターン上に無電解めっき層(ニッケル層)を形成した実験サンプル2とを用意した。
【0064】
そして、ACF(ソニーケミカル社製:D11132S)を介してITOパターン(外部接続電極)に上記した構造の外部回路配線を熱圧着して接続した。熱圧着の圧力を2MPa、圧着時間20秒とし、接続温度を130〜150℃の範囲で変動させてITOパターンの断線率を調査した。
【0065】
【表1】
表1に示すように、ITOパターン上に無電解めっき層を形成しない実験サンプル1では、外部回路配線を熱圧着すると接続温度が高くなるにつれてITOパターンの断線率が高くなる傾向があり、ITOパターンの30〜50%にクラックによる断線が発生した。これに対して、ITO層パターン上に無電解めっき層を形成した実験サンプル2(本実施形態)では、外部回路配線を熱圧着しても接続温度によらず断線は発生せず、断線率は0%であった。
【0066】
なお、ITOパターンに無電解めっき層を形成した実験サンプル2では、熱圧着後に、ITOパターンにクラックが発生していたが、無電解めっき層にはクラックは発生しておらず、無電解めっき層が配線補強層として機能することが確認された。
【0067】
このように、プラスチックフィルム10の上に形成された透明導電層からなる外部接続電極25の上に無電解めっき層40を形成することにより、外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50を歩留りよく接続することができ、外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
図8及び図9は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの製造方法を示す断面図、図10は同じくフレキシブル有機ELディスプレイを示す断面図である。第2実施形態においては、第1実施形態と同一工程及び同一要素については同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
図8(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な方法により、図3(a)と同様に、プラスチックフィルム10の上に接着層30を介してカラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、透明電極24が転写・形成された構造体を得る。
【0070】
次いで、図8(b)に示すように、透明電極24及びシリカ粒子含有樹脂層26上にスピンコートや印刷などによって膜厚が20〜50nmの塗布膜を形成し、100〜200℃の温度でベークすることによりホール輸送層72を得る。ホール輸送層72の材料としては、例えばチオフェン系導電性高分子(PEDOT/PSS)が使用される。
【0071】
続いて、ホール輸送層72上に発光層74を形成する。発光層74の材料としては、ポリパラフェ二レンビニレン(PPV)、ポリフルオレン(PFO)などの共役系高分子、シリコン主鎖を有するポリシラン、又は非共役のポリビニルカルバゾール(PVK)などの高分子EL発光層が使用される。また、発光層74の材料として燐光発光性高分子又はそれを含むものを使用してもよく、その場合超高効率の発光が得られるので好ましい。
【0072】
そして、そのような材料を含む塗布液をホール輸送層72上に塗布して膜厚が100nm程度の塗布膜を形成した後に、100〜200℃の温度でベークすることにより発光層74を得る。このようにして、ホール輸送層72と発光層74とにより構成される有機EL層70が得られる。
【0073】
次いで、図8(c)に示すように、有機EL層70の上に金属電極76を形成する。金属電極76は透明電極24と直交するストライプ状に形成される。金属電極76としては、バリウム/アルミニウム(Ba/Al)積層膜やカルシウム/アルミニウム(Ca/Al)積層膜などの不透明金属が使用される。これにより、有機EL層70が透明電極24と金属電極76とによって挟まれた構造の有機EL素子6が形成される。その後に、有機EL素子6を封止する封止層78を形成する。封止層78の材料としては、SiOX、SiNX又はSiONなどが使用される。あるいは、防湿層を備えた樹脂フィルムを貼着して封止層78としてもよい。
【0074】
図9(a)には図8(c)の構造体を横方向からみた断面図が示されている。図9(a)に示すように、プラスチックフィルム10上には、第1実施形態と同様に表示領域Aと外部接続領域Bが画定されており、外部接続領域Bには透明電極24が延在する外部接続電極25が配置されている。
【0075】
さらに、図9(b)に示すように、第1実施形態と同様に、外部接続領域Bの外部接続電極25の上に、無電解めっきによってニッケル層などを形成して配線補強用の無電解めっき層40を得る。このとき、第1実施形態と同様に、外部接続電極25の下地が無電解めっきに不活性なシリカ粒子含有樹脂層26となっているので、外部接続電極25上に無電解めっき層40が歩留りよく選択的に形成される。
【0076】
以上により、本実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ2が製造される。
【0077】
図10に示すように、本実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ2では、プラスチックフィルム10の上に接着層30を介してカラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、透明電極24、ホール輸送層72及び発光層74からなる有機EL層70、金属電極76及び封止層78が順に形成されている。透明電極24(陰極)、有機EL層70及び金属電極76(陽極)によって有機EL素子6が構成される。なお、発光層74と金属電極76との間に電子輸送層を形成してもよい。
【0078】
フレキシブル有機ELディスプレイ2の外部接続領域Bには透明電極24に繋がって延在する外部接続電極25が配置されている。図11を加えて参照すると、外部接続電極25上には配線補強層として機能する無電解めっき層40が形成されている。
【0079】
そして、第1実施形態と同様に、フレキシブル有機ELディスプレイ2の外部接続電極25に外部回路配線50の配線層54がACF60を介して熱圧着されて電気的に接続されている。
【0080】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40が形成されているので、外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50の配線層54を接続する際に、外部接続電極25にクラックが発生する場合があっても無電解めっき層40によって導通が確保される。これにより、外部接続電極25に外部回路配線50を歩留りよく接続でき、外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0081】
なお、金属電極76の外部接続電極は、別の外部接続領域に確保され、外部回路配線が接続される。本実施形態では、金属電極76はクラックの発生しにくい不透明金属からなるので、金属電極76の外部接続電極に無電解めっき層を形成する必要はない。
【0082】
本実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ2では、有機EL素子6の透明電極24(陽極)に正の電圧、金属電極76(陰極)に負の電圧を印加することにより、透明電極24(陽極)からホール輸送層72を介して注入されるホールと、金属電極76(陰極)から注入される電子とが発光層74の内部で再結合することにより白色光が放出される。そして、この白色光がカラーフィルタ28などを透過して外部に放出されて画像が得られる(図10の矢印の方向)。
【0083】
なお、白色の発光層74の代わりに、3原色(赤、緑、青)の発光層を各色の画素に塗り分けて形成することによってカラーフィルタ28を省略してもよい。
【0084】
図12には、第2実施形態の変形例のフレキシブル有機ELディスプレイ2aが示されている。図12に示すように、第2実施形態の変形例では、透明電極24の間の領域のシリカ粒子含有樹脂層26の上にバリア絶縁層パターン12が形成されている。バリア絶縁層パターン12としては、水蒸気の侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)及びシリコン窒化層(SiNX)のいずれか、又はそれらの積層膜が使用される。さらに、バリア絶縁層パターン12の上に突起状樹脂部13がパターン化されて形成されている。バリア絶縁層パターン12と突起状樹脂部13とにより、透明電極24の上に開口部15が設けられている。
【0085】
そして、透明電極24上にホール輸送層及び発光層からなる有機EL層70が形成されている。有機EL層70はインクジェット法や印刷などにより開口部15の底部(透明電極24上)に自己整合的に形成され、有機EL層70の周辺部に突起状樹脂部13が配置されている。
【0086】
また、有機EL層70及び突起状樹脂部13の上に金属電極76が形成されている。これにより、有機EL層70が透明電極24と金属電極76とによって挟まれた構造の有機EL素子6が構成される。さらに、金属電極76の上に接着層17を介して保護フィルムなどからなる封止層78が接着されている。突起状樹脂部13の段差によって生じる金属電極76の凹部は、接着層17で埋め込まれて平坦化される。
【0087】
変形例では、有機EL層70の下方(外気やプラスチックフィルム10)から侵入する水蒸気は、透明電極24及びバリア絶縁層パターン12でブロックされるので、有機EL層70の水蒸気による劣化が防止される。しかも、外部から衝撃を受ける場合であっても、突起状樹脂部13によって有機EL層70が保護される。
【0088】
図13に示すように、変形例のフレキシブル有機ELディスプレイ2aの外部接続領域Bでは、表示領域Aと違って突起状樹脂部13が省略されており、外部接続電極25の間のシリカ粒子含有樹脂層26の上にバリア絶縁層パターン12のみが形成されている。そして、外部接続電極25の上に無電解めっきによって配線補強用の無電解めっき層40が形成されている。この変形例の場合は、電解めっき層40を外部接続電極25上に選択的に形成する際に、その表面には外部接続電極25とバリア絶縁層パターン12とが共存した状態でめっきが施される。
【0089】
バリア絶縁層12においてもシリカ粒子含有樹脂層26と同様に無電解めっきに対して不活性であり、外部接続電極25にニッケル層などの無電解めっき層40を歩留りよく選択的に形成することができる。従って、変形例を採用する場合は、透明電極24の下地としては、シリカ粒子含有樹脂層26以外の絶縁層を使用しても差し支えない。
【0090】
なお、外部接続領域Bにおいても、表示領域Aと同様に外部接続電極25の間のバリア絶縁層12の上に突起状樹脂部13を設けてもよい。この場合は、電解めっき層40を外部接続電極25上に選択的に形成する際に、その表面には外部接続電極25と突起状樹脂部13とが共存した状態でめっきが施される。突起状樹脂部13も無電解めっきに対して不活性な特性を有する。
【0091】
バリア絶縁層パターン12及び突起状樹脂部13を形成する方法は、前述した製造方法においてガラス基板20上に剥離層22が形成された後に(透明電極24が形成される前に)、透明電極24の間の領域に対応する部分にアルミニウムなどの金属マスク層がパターン化されて形成され、その上に樹脂層とバリア絶縁層とが順に形成される。外部接続領域Bに突起状樹脂部13を形成しない場合(図13)は、表示領域Aのみに樹脂層が選択的に形成され、外部接続領域Bに樹脂層が形成されないようにする。
【0092】
さらに、同様にプラスチックフィルム10上に転写・形成され、剥離層22が除去された後に、表示領域Aでは金属パターン層をマスクにして樹脂層及びバリア絶縁層がエッチングされて透明電極24の間の領域にバリア絶縁層パターン12及び突起状樹脂部13が残される。このとき同時に、外部接続領域Bでは金属パターン層をマスクにしてバリア絶縁層がエッチングされて外部接続電極25の間の領域にバリア絶縁層パターン12が残される。その後に、金属マスク層が除去される。
【0093】
変形例においても、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40が形成されているので、外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50を接続する際に外部接続電極25の断線が防止され、外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0094】
(第3の実施の形態)
図14は本発明の第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図、図15は図14のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続電極と外部回路配線の接続の様子を示す部分平面図である。
【0095】
図14に示すように、第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイ1aでは、透明電極24,24aの外部接続電極25の上に無電解めっき層40は形成されておらず、外部回路配線50がACF60を介して外部接続電極25(ITO)に直接接続されている。図14においては、その他の要素は第1実施形態の図4と同一であるので同一符合を付してその説明を省略する。
【0096】
第3実施形態では、外部接続電極25に外部回路配線50を接続する際に外部接続電極25の断線を防止するために、外部回路配線50の配線層54の形状が工夫されている。図15(a)〜(c)では、外部回路配線50のうち配線層54のみが描かれている。
【0097】
図15(a)に示すように、外部回路配線50の配線層54の第1の形状は、その幅が外部接続電極25の幅よりも細く設定される。具体的には、外部接続電極25が外部回路配線50の配線層54から片側で5μm以上((図15(a)の寸法d)はみ出しており、外部接続電極25の幅が外部回路配線50の配線層54の幅より10μm以上(例えば10〜30μm)太く設定される。
【0098】
前述したように、外部接続部25にACF60を介して外部回路配線50を熱圧着して接続する際に、外部回路配線50の先端直下や導電性粒子64の下の外部接続電極25の部分に応力が集中してクラックが発生しやすい。
【0099】
図15(a)の構造では、外部回路配線50の配線層54の幅が外部接続電極25の幅より細く設定されるので、特に外部回路配線50の先端直下の外部接続電極25の部分にかかる応力が弱くなってクラックの発生が防止されて断線が回避される。たとえ外部接続電極25にクラックが発生するとしても、外部接続電極25のはみ出し部にクラックが進行しにくくなり、断線が回避される。
【0100】
図15(b)に示すように、外部回路配線50の配線層54の第2の形状は、配線層54の先端側面から内側に食い込む切り込み部54xが設けられている。切り込み部54xの個数は任意に設定することができ、配線層54の先端部が複数に分割される。配線層54の第2の形状では、その先端部が切り込み部54xによって複数に分割されることにより、配線層54の最先端部での外部接続電極25と接する実質的な幅が細くなる。これにより、外部回路配線50の配線層54の先端直下の外部接続電極25の部分にかかる応力が分散されてクラックの発生が防止される。
【0101】
また、図15(c)に示すように、外部回路配線50の配線層54の第3の形状は、その先端部が半円状に湾曲して外側に突出している。配線層54の第3の形状においても、その先端部が半円状に湾曲して外側に突出しているので、配線層54の最先端部での外部接続電極25と接する幅が細くなり、先端直下の外部接続電極25の部分にかかる応力が分散されてクラックの発生が防止される。
【0102】
外部回路配線50の配線層54の第2、第3の形状の共通の技術思想は、配線層54の最先端部の外部接続電極25と接する幅が配線層54の主要部の幅より細くなるように設定することにより、配線層54の最先端部での外部接続電極25との実質的な接触面積を少なくすることにある。従って、図15(b)及び(c)の配線層54の形状以外に、配線層54の先端側面を各種の曲面に設定することにより同様な効果が得られる。
【0103】
なお、外部回路配線50の配線層54の第2及び第3の形状(図15(b)及び(c))では、外部回路配線50の配線層54の幅を外部接続電極25の幅と同等に設定しても、外部接続電極25へのクラック発生が防止される。
【0104】
本願発明者の実験によれば、外部回路配線50の配線層54を上記したような形状に設定することにより、外部回路配線50の先端部又はACF60の導電性粒子64の下の外部接続電極25の部分にクラックが発生する場合はあるが、クラックが内部からエッジまで進行することはなく、断線を引き起こすことはなかった。
【0105】
このように、本実施形態では、外部回路配線50の配線層52の形状を工夫することにより、外部回路配線50を外部接続電極25にACF60を介して歩留りよく接続でき、フレキシブルディスプレイの外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0106】
なお、第1実施形態のように外部接続電極25の上に無電解めっき層40を形成し、さらに、第3実施形態のように外部回路配線50の配線層54の形状を工夫してもよい。
【0107】
また、前述した第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイにおいても、3実施形態のように外部回路配線50の配線層54の形状を工夫して外部接続電極25へのクラックの発生を防止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(d)は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイにおける第2プラスチック素子基板の透明電極の接続部が上下導通材によって第1プラスチック素子基板の対向基板用外部接続電極に接続された様子を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続領域の様子を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続領域の様子を示す平面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図9】図9(a)及び(b)は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図10】図10は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイを示す断面図である。
【図11】図11は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの外部接続領域の様子を示す断面図である。
【図12】図12は本発明の第2実施形態の変形例のフレキシブル有機ELディスプレイを示す断面図である。
【図13】図13は本発明の第2実施形態の変形例のフレキシブル有機ELディスプレイの外部接続領域の様子を示す断面図である。
【図14】図14は本発明の第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図である。
【図15】図15(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続電極と外部回路配線との接続の様子を示す平面図である。
【符号の説明】
【0109】
1,1a…フレキシブル液晶ディスプレイ、2,2a…フレキシブル有機ELディスプレイ、5…第1プラスチック素子基板、5a…第2プラスチック素子基板、6…有機EL素子、10,10a…プラスチックフィルム、12…バリア絶縁層パターン、13…突起状樹脂部、15…開口部、20…ガラス基板、22…剥離層、24,24a…透明電極、24x…接続部、25,25a…外部接続電極、26…シリカ粒子含有樹脂層、26a…樹脂層、26x…コロイダルシリカ、27…保護層、28…カラーフィルタ、28a…赤色カラーフィルタ、28b…緑色カラーフィルタ、28c…青色カラーフィルタ、28d…遮光層、29…ロール、30,30a…接着層、32,32a…配向膜、34…シール剤、34a…上下導通材、36…液晶、40…無電解めっき層、50…外部回路配線、52…ポリイミドテープ、54…配線層、60…ACF、62…バインダ、64…導電性粒子、70…有機EL素子、72…ホール輸送層、74…発光層、76…金属電極、78…封止層、A…表示領域、B…外部接続領域。
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルディスプレイに係り、さらに詳しくは、プラスチックフィルムを素子基板に用いる液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフレキシブルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置は、情報機器などへ急速にその用途を拡大している。近年、プラスチックフィルムを素子基板として使用するフレキシブルディスプレイが注目されている。そのようなフレキシブルディスプレイは、丸めて収納できて持ち運びに便利な超薄型・軽量のモバイル用ばかりではなく、大型ディスプレイ用としても利用できる。これらのフレキシブルディスプレイでは、単純マトリクス方式やアクティブマトリクス方式に対応する各種のドットマトリクス素子を備えたプラスチック素子基板が使用される。
【0003】
液晶ディスプレイとして組み立てる際には、2枚のプラスチック素子基板を対向させて接着し、それらのプラスチック素子基板の間に液晶が封入される。そして、プラスチック素子基板の端部に露出する外部接続電極の上に、ドライバICなどが実装された外部回路配線(TABテープ配線)がACF(異方性導電フィルム)などを介して熱圧着によって接続される。
【0004】
そのような外部接続に関連する技術としては、特許文献1には、半導体チップが実装される配線基板の保護膜の剥離や配線の断線を防止するために、ランドを配線より太く形成し、ランドの一部が露出するように開口部が設けられた保護膜を形成し、ランドの保護膜が配置される領域に穴を形成することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、フレキシブルフラットケーブルにおいて、はんだ付けされる端子部に繋がる複数の配線部の上に端子部が露出するように絶縁樹脂膜が形成され、該配線部に応力を緩和するためのスリットを設けることが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、TFTを用いた液晶表示装置において、シール剤形成領域の外側に露出するゲートバスライン(Alゲートライン)にスリットを形成することにより、ゲートバスラインの結露による侵食を防止することが記載されている。
【0007】
また、特許文献4には、ガラスを素子基板として使用する液晶表示装置のシール剤の外側のITOパターンにニッケル/金からなるめっき層を無電解めっきで形成する際に、シール剤として熱硬化型のエポキシ接着剤を使用することにより、めっき層の電気ショートを防止することが記載されている。
【0008】
なお、特許文献4に類似した技術としては、特許文献5には、液晶表示装置の反射層を形成する際に、パターン状のITO層の上に無電解めっきによりニッケル層を形成することにより、断線のない金属反射層を得ることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−258147号公報
【特許文献2】特開平11−39953号公報
【特許文献3】特開平8−82805号公報
【特許文献4】特開平8−160445号公報
【特許文献5】特開2000−250028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したようなフレキシブルディスプレイでは、表示領域の透明電極(ITOなど)が延在して端部に外部接続電極が配置される場合、基板の剛性が弱いことから、外部接続電極にACFを介して外部回路配線を熱圧着で接続するときに、外部接続電極にクラックが発生しやすい問題がある。
【0010】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、プラスチックフィルムを素子基板に使用するフレキシブルディスプレイにおいて、透明導電層からなる外部接続電極に外部回路配線を信頼性よく接続できるフレキシブルディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイに係り、表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上方に形成された樹脂層と、前記樹脂層上の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、前記樹脂層上の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極とを備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、前記外部接続電極の上に配線補強用の無電解めっき層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のフレキシブルディスプレイは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイに適用することができる。液晶ディスプレイに適用する場合は、本発明のプラスチック素子基板が第1プラスチック素子基板となり、その上に対向基板となる第2プラスチック素子基板が対向して配置され、それらの間に液晶が封入される。
【0013】
また、有機ELディスプレイに適用する場合は、プラスチック素子基板の透明電極(陽極)の上に有機EL層と金属電極(陰極)が形成される。
【0014】
本発明では、プラスチック素子基板の表示領域に配置された透明電極(画素電極)が外部接続領域まで延在しており、外部接続領域に透明電極と同一材料からなる外部接続電極が配置されている。そして、外部接続電極上に配線補強層として機能する無電解めっき層(ニッケル層など)が形成されている。
【0015】
フレキシブルディスプレイでは、ガラスなどの硬度の高い基板を使用するディスプレイと違って、外部接続電極にACFなどを介して外部回路配線を熱圧着して接続する際に、外部接続電極にクラックが発生して断線することがある。
【0016】
本発明では、外部接続電極の上に無電解めっき層が形成されているので、外部接続電極にクラックが発生する場合があっても、無電解めっき層が導通経路として機能するので外部接続電極の断線が回避される。これにより、フレキシブルディスプレイの外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0017】
しかも、外部接続電極が無電解めっきに対して不活性な特性を有する樹脂層(好適には、シリカ粒子(コロイダルシリカ)含有樹脂)の上に形成されるようにしたので、無電解めっき層が外部接続電極の上に信頼性よく選択的に形成される。このように、配線補強用の無電解めっき層で被覆された外部接続電極が電気ショートすることなく、高歩留りで形成される。
【0018】
また、上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイに係り、表示領域と外部接続領域が画定されたプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上方の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、前記接着層の上方の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極とを備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、前記外部接続電極の上に外部回路配線の配線層が接続されており、外部回路配線の配線層の幅は、前記外部接続電極の幅より細く設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明では、フレキシブルディスプレイの外部接続電極の上に無電解めっき層が形成する代わりに、外部接続電極に接続される外部回路配線の配線層の形状を工夫することにより、外部接続電極の断線が回避される。
【0020】
本発明では、外部接続電極に接続される外部回路配線の配線層の幅が外部接続電極の幅より細く設定されている。これにより、外部回路配線の配線層の先端直下の外部接続電極の部分にかかる応力が弱くなり、これによって外部接続電極へのクラックの発生が防止されて断線が回避される。たとえ外部回路配線の配線層の下の外部接続電極にクラックが発生するとしても、外部接続電極の外部回路配線の配線層からはみ出した部分にはクラックが進みにくくなり断線が回避される。
【0021】
他の態様としては、外部回路配線の配線層の先端部の外部接続電極に接する幅が、配線層の主要部の幅より細く設定されるようにしてよい。この態様の配線層の好適な形状としては、外部回路配線の配線層の先端側面から内部に食い込む切り込み部が設けられる。あるいは、外部回路配線の配線層の先端側面が外側に湾曲して突出している形状(半円状など)を採用してもよい。
【0022】
外部回路配線の配線層の先端部をこのような形状にすることにより、外部回路配線の配線層の先端直下の外部接続電極の部分にかかる応力が分散されてクラックの発生が防止されて断線が回避される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明では、プラスチック素子基板を使用するフレキシブルディスプレイにおいて、その外部接続電極に外部回路配線が信頼性よく接続される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図、図4は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図である。
【0026】
第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法は、図1(a)に示すように、まず、仮基板としてガラス基板20を用意し、そのガラス基板20の上にポリイミド樹脂などからなる剥離層22を形成する。
【0027】
その後に、図1(b)に示すように、剥離層22上に透明電極24を形成する。本実施形態では、単純マトリクス駆動用のストライプ状の透明電極24が使用され、透明電極24には表示信号が供給される。透明電極24としては、ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)が使用され、その膜厚は100nm程度である。
【0028】
本実施形態では、透明電極24は最終的にプラスチックフィルム上に転写・形成されるが、透明電極24となるITO層を成膜する際には耐熱性のガラス基板20上に形成される。このため、ITO層を成膜する際に成膜温度が200℃程度のスパッタ法などを採用することができる。これにより、透明電極24(ITO層)は低抵抗(比抵抗値:3×10-4Ω・cm以下)な電気特性をもって形成される。
【0029】
後述するように、透明電極24は、表示領域から外部接続領域に延在して形成され、透明電極24に繋がる外部接続電極が外部接続領域に配置される。
【0030】
続いて、図1(c)に示すように、透明電極24及び剥離層22上にシリカ粒子含有樹脂層26を形成する。シリカ粒子含有樹脂層26としては、コロイダルシリカ26x(無機成分)がアクリル樹脂などの樹脂層26a(有機成分)の中に分散されて形成される無機有機混合層が使用される。そのようなシリカ粒子含有樹脂層26は、無電解めっきに不活性でめっきが施されない特性を有する。
【0031】
シリカ粒子含有樹脂層26は、透明電極24の段差を埋め込んでその上面が平坦化された状態で形成される。本実施形態では、無電解めっきに不活性な樹脂の好適な例としてシリカ粒子含有樹脂層26を挙げるが、シリカ粒子を含まないアクリル樹脂などの各種の樹脂層を使用してもよい。
【0032】
次いで、図2(a)に示すように、シリカ粒子含有樹脂層26の上にカラーフィルタ28を形成する。詳しく説明すると、まず、透明電極24のパターン間上のシリカ粒子含有樹脂層26上に遮光層28dをパターニングする。続いて、赤色画素部の透明電極24に対応する部分に赤色カラーフィルタ層28aをパターニングする。続いて、緑色画素部の透明電極24に対応する部分に緑色カラーフィルタ層28bをパターニングする。さらに、青色画素部の透明電極24に対応する部分に青色カラーフィルタ層28cをパターニングする。
【0033】
このようにして、赤色カラーフィルタ28a、緑色カラーフィルタ28b、青色カラーフィルタ28c及び遮光層28dにより構成されるカラーフィルタ28が形成される。各色のカラーフィルタ28a〜28dは、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによりパターニングされて形成される。
【0034】
次いで、図2(b)に示すように、プラスチックフィルム10を用意し、図2(a)の構造体の上に接着層30を介してプラスチックフィルム10を配置する。プラスチックフィルム10としては、膜厚が100〜200μmのポリエーテルスルホンフィルムやポリカーボネートフィルムなどが好適に使用される。
その後に、熱処理することにより、接着層30を硬化させて、図2(a)の構造体の上に接着層30によってプラスチックフィルム10を接着する。
【0035】
続いて、同じく図2(b)に示すように、プラスチックフィルム10の一端にロール29を固定し、このロール29を回転させながらプラスチックフィルム10を引き剥がす。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図2(b)のI部)に沿って剥離される。
【0036】
これにより、図2(c)に示すように、プラスチックフィルム10上に、下から順に、接着層30、カラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、透明電極24及び剥離層22が転写・形成される。
【0037】
その後に、図3(a)に示すように、剥離層22を酸素プラズマなどで下地に対して選択的に除去することにより、透明電極24及びシリカ粒子含有樹脂層26の上面を露出させる。
【0038】
図3(b)には、図3(a)の構造体を横方向からみた断面図が示されている。図3(b)に示すように、プラスチックフィルム10上には表示領域Aと外部接続領域Bが画定されており、カラーフィルタ28は表示領域Aのみに形成されている。透明電極24は表示領域Aから外部接続領域Bまで延在しており、外部接続領域Bのシリカ粒子含有樹脂層26の上に透明電極24に繋がる外部接続電極25が配置される。
【0039】
さらに、図3(c)に示すように、透明電極24の外部接続電極25の上に無電解めっきにより配線補強用の無電解めっき層40を選択的に形成する。本実施形態では、無電解めっき層40の好適な例としてニッケル(Ni)めっき層を例示する。
【0040】
詳しく説明すると、メルクリーナーITO170(メルテックス社製:15g/l(液成分:洗浄剤100%、温度:常温)に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを5分間浸漬して脱脂する。
【0041】
次いで、コンディショナ−480A(メルテックス社製:20g/l(硫酸水素カリウム20〜30%+ペルオキソニ硫酸カリウム1〜10%、温度:常温)と、コンディショナ−480B(メルテックス社製:200ml/l(一水素二フッ化アンモニウム1.3%+有機酸40〜50%+水50〜60%、温度:常温)との混合液に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを5分間浸漬する。これにより、触媒処理の前処理が完了する。
【0042】
次いで、アクチベータ7331(メルテックス社製:300ml/l、温度:常温)と0.1mol/LKOH水溶液との混合液に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを5分間浸漬する。これにより、外部接続電極25の上にパラジウムなどの触媒金属が選択的に付着し、無電解めっきに対して強い触媒作用を示すようになる。シリカ粒子含有樹脂層26の上には触媒金属はほとんど付着せず、無電解めっきに対して不活性な状態となる。
【0043】
続いて、Ni−867M1(メルテックス社製:60ml/l)と、Ni−867M2(メルテックス社製:120ml/l(硝酸塩0.1%+次亜リン酸10〜20%+安定剤60〜70%))とが混合された無電解めっき液(温度:65〜70℃)に、図3(b)の構造体の外部接続領域Bを3分間浸漬する。
【0044】
これにより、図3(c)に示すように、透明電極24の外部接続電極25の上にニッケルめっき層が選択的に形成されて配線補強用の無電解めっき層40が得られる。無電解めっき層40の膜厚は、100〜200nm(好適には150nm程度)に設定される。
【0045】
このように、本実施形態では、透明電極24の外部接続電極25の下地層として無電解めっきに対して不活性なシリカ粒子含有樹脂層26を使用する。これにより、図3(c)の下図に示すように、並んで配置された複数の外部接続電極25に無電解めっき層40(ニッケルめっき層)が電気ショートすることなく信頼性よく選択的に形成される。しかも、耐熱性が低く位置合わせが困難なプラスチックフィルム10上で煩雑なパターニング工程(フォトリソグラフィ/エッチング)を行う必要もなく、工程を簡略化することができる。
【0046】
後述するように、無電解めっき層40は、透明電極24の外部接続電極25に外部回路配線がACFを介して熱圧着で接続される際に、外部接続電極25にクラックが発生する場合があっても外部接続電極25が断線しないように導通を確保するための配線補強層として機能する。
【0047】
無電解めっき層40としてニッケル層を例示したが、無電解めっきが可能な銅、すず又は金などを使用してもよい。
【0048】
次いで、図3(d)に示すように、表示領域Aの透明電極24の上に液晶材料を配向させるための配向膜32を形成し、その表面をラビング処理する。
【0049】
これにより、フレキシブル液晶ディスプレイを構成するための第1プラスチック素子基板5が得られる。
【0050】
図4には、第1プラスチック素子基板5を利用して構成されたフレキシブル液晶ディスプレイ1が示されている。図4に示すように、本実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイ1では、第1プラスチック素子基板5の上に第2プラスチック素子基板5aが対向して配置され、それらの間に液晶36が封入されて基本構成される。
【0051】
第1プラスチック素子基板5は、プラスチックフィルム10の上に、接着層30、カラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、ストライプ状の透明電極24及び配向膜32が順に形成されて構成される。透明電極24はシリカ粒子含有樹脂層26に埋設されており、透明電極24とシリカ粒子含有樹脂層26の各上面は同一面となって平坦化されている。(図3(a)参照)。
【0052】
第2プラスチック素子基板5aは、プラスチックフィルム10の上(図4では下)に接着層30a、保護層27、ストライプ状の透明電極24a及び配向膜32aが形成されて構成される。第2プラスチック素子基板5aは、第1プラスチック素子基板5と同様な転写技術によって製造される。
【0053】
そして、第1プラススチック素子基板5と第2プラスチック素子基板5aとがそれらのストライプ状の透明電極24,24aが直交するように対向して配置されている。第1プラスチック素子基板5の表示領域Aの外周部にシール剤34が設けられており、シール剤34によって第1、第2プラススチック素子基板5,5aが接着されている。第1、第2プラスチック素子基板5,5aはスペーサ(不図示)によって所定の間隔が確保されている。
【0054】
また、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bは第2プラスチック素子基板5aの一端から外側に突き出た状態となっており、透明電極24が延在して配置された外部接続電極25が外部接続領域Bに形成されている。
【0055】
さらに、図5に示すように、第2プラスチック素子基板5aの一端部には、透明電極24aに繋がる接続部24xが設けられており、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bには、第1プラスチック素子基板5の外部接続電極25の他に、第2プラスチック素子基板5aの透明電極24aの接続部24xに接続される対向基板側外部接続電極25aが別に設けられている。
【0056】
そして、第2プラスチック素子基板5aの透明電極24aの接続部24xと、第1プラスチック素子基板5の対向基板側外部接続電極25aとの間には上下導通材34a(シール剤34に導電性粒子35が混入されたもの)が設けられており、それらが導電性粒子35によって電気的に接続される。
【0057】
このように、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bには、第1プラスチック素子基板5の透明電極24の外部接続電極25と、第2プラスチック素子基板5aの透明電極24aに接続される対向基板側外部接続電極25aとが一箇所にまとまって並んで配置されている。以下、第1プラスチック素子基板5の外部接続領域Bに配置される外部接続電極25は、対向基板側外部接続電極25aを含むものとする。
【0058】
また、図6を加えて参照すると、外部接続電極25の上には配線補強用の無電解めっき層40が形成されている。そして、透明電極24,24aの外部接続電極25に外部回路配線50がACF(異方性導電フィルム)60を介して熱圧着されて接続されている。外部回路配線50は、ポリイミドテープ52の上(図4では下)に銅からなる配線層54(膜厚:2〜3μm)が形成されたTAB配線テープからなる。外部回路配線50にはドライバICなどの周辺デバイス(不図示)が実装されている。
【0059】
ACF60は、バインダ62(樹脂)の中に5〜10μmの導電性粒子64が相互に分離した状態で分散されており、上下方向のみ導通可能にする機能を有する。このようにして、フレキシブル液晶ディスプレイ1の外部接続電極25がACF60の導電性粒子64を介して外部回路配線50の配線層54に電気的に接続されている。なお、ACF60の代わりに、ACP(異方性導電ペースト)を使用することができ、同様に上下方向のみ導通可能にする機能を有する。
【0060】
フレキシブル液晶ディスプレイ1の外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50を熱圧着する際には、高温(130〜200℃)、高圧(数MPa)のプロセスが採用される。このため、図7に示すように、基板としてのプラスチックフィルム10の硬度が弱いため、特に外部回路配線50の先端直下の外部接続電極25の部分(図7のC部)に応力が集中しやすく、その部分の外部接続電極25にクラックが発生しやすい。また、ACF60は導電性粒子64を含んでいるため、導電性粒子64の下の外部接続電極25の部分にもクラックが発生することがある。
【0061】
これは、外部接続電極25の上に接続される外部回路配線50の配線層54の膜厚(2〜3μm)が外部接続電極25の膜厚(100nm)よりかなり厚いことにも起因する。
【0062】
本実施形態では、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40(図4及び図6)が形成されているので、外部接続電極25にクラックが発生するとしても、無電解めっき層40によって導通が確保されて外部接続電極25の断線が回避される。
【0063】
本願発明者はこの効果を確認するために実験を行った。前述した製造方法に基づいて、プラスチックフィルム上に接着層を介してシリカ粒子含有樹脂層とITOパターン(外部接続電極)を転写・形成することにより、シリカ粒子含有樹脂層の上面側にITOパターンの上面が露出する実験サンプルを作成した。シリカ粒子含有樹脂層としては、コロイダルシリカ(無機成分)が40%、アクリル樹脂(有機成分)が60%のものを使用した。また、ITOパターン上に無電解めっき層を形成しない実験サンプル1と、ITOパターン上に無電解めっき層(ニッケル層)を形成した実験サンプル2とを用意した。
【0064】
そして、ACF(ソニーケミカル社製:D11132S)を介してITOパターン(外部接続電極)に上記した構造の外部回路配線を熱圧着して接続した。熱圧着の圧力を2MPa、圧着時間20秒とし、接続温度を130〜150℃の範囲で変動させてITOパターンの断線率を調査した。
【0065】
【表1】
表1に示すように、ITOパターン上に無電解めっき層を形成しない実験サンプル1では、外部回路配線を熱圧着すると接続温度が高くなるにつれてITOパターンの断線率が高くなる傾向があり、ITOパターンの30〜50%にクラックによる断線が発生した。これに対して、ITO層パターン上に無電解めっき層を形成した実験サンプル2(本実施形態)では、外部回路配線を熱圧着しても接続温度によらず断線は発生せず、断線率は0%であった。
【0066】
なお、ITOパターンに無電解めっき層を形成した実験サンプル2では、熱圧着後に、ITOパターンにクラックが発生していたが、無電解めっき層にはクラックは発生しておらず、無電解めっき層が配線補強層として機能することが確認された。
【0067】
このように、プラスチックフィルム10の上に形成された透明導電層からなる外部接続電極25の上に無電解めっき層40を形成することにより、外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50を歩留りよく接続することができ、外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
図8及び図9は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの製造方法を示す断面図、図10は同じくフレキシブル有機ELディスプレイを示す断面図である。第2実施形態においては、第1実施形態と同一工程及び同一要素については同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
図8(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な方法により、図3(a)と同様に、プラスチックフィルム10の上に接着層30を介してカラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、透明電極24が転写・形成された構造体を得る。
【0070】
次いで、図8(b)に示すように、透明電極24及びシリカ粒子含有樹脂層26上にスピンコートや印刷などによって膜厚が20〜50nmの塗布膜を形成し、100〜200℃の温度でベークすることによりホール輸送層72を得る。ホール輸送層72の材料としては、例えばチオフェン系導電性高分子(PEDOT/PSS)が使用される。
【0071】
続いて、ホール輸送層72上に発光層74を形成する。発光層74の材料としては、ポリパラフェ二レンビニレン(PPV)、ポリフルオレン(PFO)などの共役系高分子、シリコン主鎖を有するポリシラン、又は非共役のポリビニルカルバゾール(PVK)などの高分子EL発光層が使用される。また、発光層74の材料として燐光発光性高分子又はそれを含むものを使用してもよく、その場合超高効率の発光が得られるので好ましい。
【0072】
そして、そのような材料を含む塗布液をホール輸送層72上に塗布して膜厚が100nm程度の塗布膜を形成した後に、100〜200℃の温度でベークすることにより発光層74を得る。このようにして、ホール輸送層72と発光層74とにより構成される有機EL層70が得られる。
【0073】
次いで、図8(c)に示すように、有機EL層70の上に金属電極76を形成する。金属電極76は透明電極24と直交するストライプ状に形成される。金属電極76としては、バリウム/アルミニウム(Ba/Al)積層膜やカルシウム/アルミニウム(Ca/Al)積層膜などの不透明金属が使用される。これにより、有機EL層70が透明電極24と金属電極76とによって挟まれた構造の有機EL素子6が形成される。その後に、有機EL素子6を封止する封止層78を形成する。封止層78の材料としては、SiOX、SiNX又はSiONなどが使用される。あるいは、防湿層を備えた樹脂フィルムを貼着して封止層78としてもよい。
【0074】
図9(a)には図8(c)の構造体を横方向からみた断面図が示されている。図9(a)に示すように、プラスチックフィルム10上には、第1実施形態と同様に表示領域Aと外部接続領域Bが画定されており、外部接続領域Bには透明電極24が延在する外部接続電極25が配置されている。
【0075】
さらに、図9(b)に示すように、第1実施形態と同様に、外部接続領域Bの外部接続電極25の上に、無電解めっきによってニッケル層などを形成して配線補強用の無電解めっき層40を得る。このとき、第1実施形態と同様に、外部接続電極25の下地が無電解めっきに不活性なシリカ粒子含有樹脂層26となっているので、外部接続電極25上に無電解めっき層40が歩留りよく選択的に形成される。
【0076】
以上により、本実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ2が製造される。
【0077】
図10に示すように、本実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ2では、プラスチックフィルム10の上に接着層30を介してカラーフィルタ28、シリカ粒子含有樹脂層26、透明電極24、ホール輸送層72及び発光層74からなる有機EL層70、金属電極76及び封止層78が順に形成されている。透明電極24(陰極)、有機EL層70及び金属電極76(陽極)によって有機EL素子6が構成される。なお、発光層74と金属電極76との間に電子輸送層を形成してもよい。
【0078】
フレキシブル有機ELディスプレイ2の外部接続領域Bには透明電極24に繋がって延在する外部接続電極25が配置されている。図11を加えて参照すると、外部接続電極25上には配線補強層として機能する無電解めっき層40が形成されている。
【0079】
そして、第1実施形態と同様に、フレキシブル有機ELディスプレイ2の外部接続電極25に外部回路配線50の配線層54がACF60を介して熱圧着されて電気的に接続されている。
【0080】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40が形成されているので、外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50の配線層54を接続する際に、外部接続電極25にクラックが発生する場合があっても無電解めっき層40によって導通が確保される。これにより、外部接続電極25に外部回路配線50を歩留りよく接続でき、外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0081】
なお、金属電極76の外部接続電極は、別の外部接続領域に確保され、外部回路配線が接続される。本実施形態では、金属電極76はクラックの発生しにくい不透明金属からなるので、金属電極76の外部接続電極に無電解めっき層を形成する必要はない。
【0082】
本実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ2では、有機EL素子6の透明電極24(陽極)に正の電圧、金属電極76(陰極)に負の電圧を印加することにより、透明電極24(陽極)からホール輸送層72を介して注入されるホールと、金属電極76(陰極)から注入される電子とが発光層74の内部で再結合することにより白色光が放出される。そして、この白色光がカラーフィルタ28などを透過して外部に放出されて画像が得られる(図10の矢印の方向)。
【0083】
なお、白色の発光層74の代わりに、3原色(赤、緑、青)の発光層を各色の画素に塗り分けて形成することによってカラーフィルタ28を省略してもよい。
【0084】
図12には、第2実施形態の変形例のフレキシブル有機ELディスプレイ2aが示されている。図12に示すように、第2実施形態の変形例では、透明電極24の間の領域のシリカ粒子含有樹脂層26の上にバリア絶縁層パターン12が形成されている。バリア絶縁層パターン12としては、水蒸気の侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)及びシリコン窒化層(SiNX)のいずれか、又はそれらの積層膜が使用される。さらに、バリア絶縁層パターン12の上に突起状樹脂部13がパターン化されて形成されている。バリア絶縁層パターン12と突起状樹脂部13とにより、透明電極24の上に開口部15が設けられている。
【0085】
そして、透明電極24上にホール輸送層及び発光層からなる有機EL層70が形成されている。有機EL層70はインクジェット法や印刷などにより開口部15の底部(透明電極24上)に自己整合的に形成され、有機EL層70の周辺部に突起状樹脂部13が配置されている。
【0086】
また、有機EL層70及び突起状樹脂部13の上に金属電極76が形成されている。これにより、有機EL層70が透明電極24と金属電極76とによって挟まれた構造の有機EL素子6が構成される。さらに、金属電極76の上に接着層17を介して保護フィルムなどからなる封止層78が接着されている。突起状樹脂部13の段差によって生じる金属電極76の凹部は、接着層17で埋め込まれて平坦化される。
【0087】
変形例では、有機EL層70の下方(外気やプラスチックフィルム10)から侵入する水蒸気は、透明電極24及びバリア絶縁層パターン12でブロックされるので、有機EL層70の水蒸気による劣化が防止される。しかも、外部から衝撃を受ける場合であっても、突起状樹脂部13によって有機EL層70が保護される。
【0088】
図13に示すように、変形例のフレキシブル有機ELディスプレイ2aの外部接続領域Bでは、表示領域Aと違って突起状樹脂部13が省略されており、外部接続電極25の間のシリカ粒子含有樹脂層26の上にバリア絶縁層パターン12のみが形成されている。そして、外部接続電極25の上に無電解めっきによって配線補強用の無電解めっき層40が形成されている。この変形例の場合は、電解めっき層40を外部接続電極25上に選択的に形成する際に、その表面には外部接続電極25とバリア絶縁層パターン12とが共存した状態でめっきが施される。
【0089】
バリア絶縁層12においてもシリカ粒子含有樹脂層26と同様に無電解めっきに対して不活性であり、外部接続電極25にニッケル層などの無電解めっき層40を歩留りよく選択的に形成することができる。従って、変形例を採用する場合は、透明電極24の下地としては、シリカ粒子含有樹脂層26以外の絶縁層を使用しても差し支えない。
【0090】
なお、外部接続領域Bにおいても、表示領域Aと同様に外部接続電極25の間のバリア絶縁層12の上に突起状樹脂部13を設けてもよい。この場合は、電解めっき層40を外部接続電極25上に選択的に形成する際に、その表面には外部接続電極25と突起状樹脂部13とが共存した状態でめっきが施される。突起状樹脂部13も無電解めっきに対して不活性な特性を有する。
【0091】
バリア絶縁層パターン12及び突起状樹脂部13を形成する方法は、前述した製造方法においてガラス基板20上に剥離層22が形成された後に(透明電極24が形成される前に)、透明電極24の間の領域に対応する部分にアルミニウムなどの金属マスク層がパターン化されて形成され、その上に樹脂層とバリア絶縁層とが順に形成される。外部接続領域Bに突起状樹脂部13を形成しない場合(図13)は、表示領域Aのみに樹脂層が選択的に形成され、外部接続領域Bに樹脂層が形成されないようにする。
【0092】
さらに、同様にプラスチックフィルム10上に転写・形成され、剥離層22が除去された後に、表示領域Aでは金属パターン層をマスクにして樹脂層及びバリア絶縁層がエッチングされて透明電極24の間の領域にバリア絶縁層パターン12及び突起状樹脂部13が残される。このとき同時に、外部接続領域Bでは金属パターン層をマスクにしてバリア絶縁層がエッチングされて外部接続電極25の間の領域にバリア絶縁層パターン12が残される。その後に、金属マスク層が除去される。
【0093】
変形例においても、外部接続電極25の上に配線補強用の無電解めっき層40が形成されているので、外部接続電極25にACF60を介して外部回路配線50を接続する際に外部接続電極25の断線が防止され、外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0094】
(第3の実施の形態)
図14は本発明の第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図、図15は図14のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続電極と外部回路配線の接続の様子を示す部分平面図である。
【0095】
図14に示すように、第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイ1aでは、透明電極24,24aの外部接続電極25の上に無電解めっき層40は形成されておらず、外部回路配線50がACF60を介して外部接続電極25(ITO)に直接接続されている。図14においては、その他の要素は第1実施形態の図4と同一であるので同一符合を付してその説明を省略する。
【0096】
第3実施形態では、外部接続電極25に外部回路配線50を接続する際に外部接続電極25の断線を防止するために、外部回路配線50の配線層54の形状が工夫されている。図15(a)〜(c)では、外部回路配線50のうち配線層54のみが描かれている。
【0097】
図15(a)に示すように、外部回路配線50の配線層54の第1の形状は、その幅が外部接続電極25の幅よりも細く設定される。具体的には、外部接続電極25が外部回路配線50の配線層54から片側で5μm以上((図15(a)の寸法d)はみ出しており、外部接続電極25の幅が外部回路配線50の配線層54の幅より10μm以上(例えば10〜30μm)太く設定される。
【0098】
前述したように、外部接続部25にACF60を介して外部回路配線50を熱圧着して接続する際に、外部回路配線50の先端直下や導電性粒子64の下の外部接続電極25の部分に応力が集中してクラックが発生しやすい。
【0099】
図15(a)の構造では、外部回路配線50の配線層54の幅が外部接続電極25の幅より細く設定されるので、特に外部回路配線50の先端直下の外部接続電極25の部分にかかる応力が弱くなってクラックの発生が防止されて断線が回避される。たとえ外部接続電極25にクラックが発生するとしても、外部接続電極25のはみ出し部にクラックが進行しにくくなり、断線が回避される。
【0100】
図15(b)に示すように、外部回路配線50の配線層54の第2の形状は、配線層54の先端側面から内側に食い込む切り込み部54xが設けられている。切り込み部54xの個数は任意に設定することができ、配線層54の先端部が複数に分割される。配線層54の第2の形状では、その先端部が切り込み部54xによって複数に分割されることにより、配線層54の最先端部での外部接続電極25と接する実質的な幅が細くなる。これにより、外部回路配線50の配線層54の先端直下の外部接続電極25の部分にかかる応力が分散されてクラックの発生が防止される。
【0101】
また、図15(c)に示すように、外部回路配線50の配線層54の第3の形状は、その先端部が半円状に湾曲して外側に突出している。配線層54の第3の形状においても、その先端部が半円状に湾曲して外側に突出しているので、配線層54の最先端部での外部接続電極25と接する幅が細くなり、先端直下の外部接続電極25の部分にかかる応力が分散されてクラックの発生が防止される。
【0102】
外部回路配線50の配線層54の第2、第3の形状の共通の技術思想は、配線層54の最先端部の外部接続電極25と接する幅が配線層54の主要部の幅より細くなるように設定することにより、配線層54の最先端部での外部接続電極25との実質的な接触面積を少なくすることにある。従って、図15(b)及び(c)の配線層54の形状以外に、配線層54の先端側面を各種の曲面に設定することにより同様な効果が得られる。
【0103】
なお、外部回路配線50の配線層54の第2及び第3の形状(図15(b)及び(c))では、外部回路配線50の配線層54の幅を外部接続電極25の幅と同等に設定しても、外部接続電極25へのクラック発生が防止される。
【0104】
本願発明者の実験によれば、外部回路配線50の配線層54を上記したような形状に設定することにより、外部回路配線50の先端部又はACF60の導電性粒子64の下の外部接続電極25の部分にクラックが発生する場合はあるが、クラックが内部からエッジまで進行することはなく、断線を引き起こすことはなかった。
【0105】
このように、本実施形態では、外部回路配線50の配線層52の形状を工夫することにより、外部回路配線50を外部接続電極25にACF60を介して歩留りよく接続でき、フレキシブルディスプレイの外部接続の信頼性を向上させることができる。
【0106】
なお、第1実施形態のように外部接続電極25の上に無電解めっき層40を形成し、さらに、第3実施形態のように外部回路配線50の配線層54の形状を工夫してもよい。
【0107】
また、前述した第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイにおいても、3実施形態のように外部回路配線50の配線層54の形状を工夫して外部接続電極25へのクラックの発生を防止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(d)は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイにおける第2プラスチック素子基板の透明電極の接続部が上下導通材によって第1プラスチック素子基板の対向基板用外部接続電極に接続された様子を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続領域の様子を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続領域の様子を示す平面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図9】図9(a)及び(b)は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図10】図10は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイを示す断面図である。
【図11】図11は本発明の第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイの外部接続領域の様子を示す断面図である。
【図12】図12は本発明の第2実施形態の変形例のフレキシブル有機ELディスプレイを示す断面図である。
【図13】図13は本発明の第2実施形態の変形例のフレキシブル有機ELディスプレイの外部接続領域の様子を示す断面図である。
【図14】図14は本発明の第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイを示す断面図である。
【図15】図15(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイの外部接続電極と外部回路配線との接続の様子を示す平面図である。
【符号の説明】
【0109】
1,1a…フレキシブル液晶ディスプレイ、2,2a…フレキシブル有機ELディスプレイ、5…第1プラスチック素子基板、5a…第2プラスチック素子基板、6…有機EL素子、10,10a…プラスチックフィルム、12…バリア絶縁層パターン、13…突起状樹脂部、15…開口部、20…ガラス基板、22…剥離層、24,24a…透明電極、24x…接続部、25,25a…外部接続電極、26…シリカ粒子含有樹脂層、26a…樹脂層、26x…コロイダルシリカ、27…保護層、28…カラーフィルタ、28a…赤色カラーフィルタ、28b…緑色カラーフィルタ、28c…青色カラーフィルタ、28d…遮光層、29…ロール、30,30a…接着層、32,32a…配向膜、34…シール剤、34a…上下導通材、36…液晶、40…無電解めっき層、50…外部回路配線、52…ポリイミドテープ、54…配線層、60…ACF、62…バインダ、64…導電性粒子、70…有機EL素子、72…ホール輸送層、74…発光層、76…金属電極、78…封止層、A…表示領域、B…外部接続領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方に形成された樹脂層と、
前記樹脂層上の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、
前記樹脂層上の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極と
を備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、
前記外部接続電極の上に配線補強用の無電解めっき層が形成されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項2】
前記フレキシブルディスプレイは液晶ディスプレイであって、
前記プラスチック素子基板が第1プラスチック素子基板となり、
前記第1プラスチック素子基板の上に第2プラスチック素子基板が対向して配置され、前記第1プラスチック素子基板と前記第2プラスチック素子基板との間に液晶が封入されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項3】
前記フレキシブルディスプレイは有機ELディスプレイであり、前記透明電極の上に、発光層を含む有機EL層と、金属電極とがさらに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項4】
前記樹脂層にはシリカが含有されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項5】
前記無電解めっき層はニッケル層からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ
【請求項6】
前記外部接続電極には、ACF又はACPを介して外部回路配線の配線層が接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項7】
前記透明電極及び前記外部接続電極は、前記樹脂層に埋設されており、前記透明電極及び前記外部接続電極と前記樹脂層との上面は同一面となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項8】
前記透明電極の間の前記樹脂層の上にバリア絶縁層パターン及び突起状樹脂部が順に形成され、かつ前記外部接続電極の間の前記樹脂層の上にバリア絶縁層パターンが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項9】
表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、
前記接着層の上方の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極と
を備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、
前記外部接続電極の上に外部回路配線の配線層が接続されており、
外部回路配線の配線層の幅は、前記外部接続電極の幅より細く設定されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項10】
表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、
前記接着層の上方の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極と
を備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、
前記外部接続電極の上に外部回路配線の配線層が接続されており、
前記外部回路配線の前記配線層の先端部の前記外部接続電極に接する幅が、前記配線層の主要部の幅より細く設定されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項11】
前記外部回路配線の前記配線層の前記先端側面から内部に食い込む切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項12】
前記外部回路配線の前記配線層の前記先端側面が外側に湾曲して突出していることを特徴とする請求項10に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項13】
前記外部回路配線は、ACF又はACPを介して前記外部接続電極に接続されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項のフレキシブルディスプレイ。
【請求項14】
前記接着層と前記透明電極及び前記外部接続電極との間に形成された保護層をさらに有し、前記透明電極及び前記外部接続電極は前記保護層に埋設されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項のフレキシブルディスプレイ。
【請求項15】
前記フレキシブルディスプレイは液晶ディスプレイであって、
前記プラスチック素子基板が第1プラスチック素子基板となり、
前記第1プラスチック素子基板の上に第2プラスチック素子基板が対向して配置され、前記第1プラスチック素子基板と前記第2プラスチック素子基板との間に液晶が封入されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項16】
前記フレキシブルディスプレイは有機ELディスプレイであり、前記透明電極の上に、発光層を含む有機EL層と、金属電極とがさらに形成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項1】
表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方に形成された樹脂層と、
前記樹脂層上の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、
前記樹脂層上の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極と
を備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、
前記外部接続電極の上に配線補強用の無電解めっき層が形成されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項2】
前記フレキシブルディスプレイは液晶ディスプレイであって、
前記プラスチック素子基板が第1プラスチック素子基板となり、
前記第1プラスチック素子基板の上に第2プラスチック素子基板が対向して配置され、前記第1プラスチック素子基板と前記第2プラスチック素子基板との間に液晶が封入されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項3】
前記フレキシブルディスプレイは有機ELディスプレイであり、前記透明電極の上に、発光層を含む有機EL層と、金属電極とがさらに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項4】
前記樹脂層にはシリカが含有されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項5】
前記無電解めっき層はニッケル層からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ
【請求項6】
前記外部接続電極には、ACF又はACPを介して外部回路配線の配線層が接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項7】
前記透明電極及び前記外部接続電極は、前記樹脂層に埋設されており、前記透明電極及び前記外部接続電極と前記樹脂層との上面は同一面となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項8】
前記透明電極の間の前記樹脂層の上にバリア絶縁層パターン及び突起状樹脂部が順に形成され、かつ前記外部接続電極の間の前記樹脂層の上にバリア絶縁層パターンが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項9】
表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、
前記接着層の上方の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極と
を備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、
前記外部接続電極の上に外部回路配線の配線層が接続されており、
外部回路配線の配線層の幅は、前記外部接続電極の幅より細く設定されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項10】
表示領域と外部接続領域とが画定されたプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方の前記表示領域に形成され、表示信号が供給される透明電極と、
前記接着層の上方の前記外部接続領域に形成され、前記透明電極が延在して配置された外部接続電極と
を備えたプラスチック素子基板を使用して構成されるフレキシブルディスプレイであって、
前記外部接続電極の上に外部回路配線の配線層が接続されており、
前記外部回路配線の前記配線層の先端部の前記外部接続電極に接する幅が、前記配線層の主要部の幅より細く設定されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項11】
前記外部回路配線の前記配線層の前記先端側面から内部に食い込む切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項12】
前記外部回路配線の前記配線層の前記先端側面が外側に湾曲して突出していることを特徴とする請求項10に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項13】
前記外部回路配線は、ACF又はACPを介して前記外部接続電極に接続されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項のフレキシブルディスプレイ。
【請求項14】
前記接着層と前記透明電極及び前記外部接続電極との間に形成された保護層をさらに有し、前記透明電極及び前記外部接続電極は前記保護層に埋設されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項のフレキシブルディスプレイ。
【請求項15】
前記フレキシブルディスプレイは液晶ディスプレイであって、
前記プラスチック素子基板が第1プラスチック素子基板となり、
前記第1プラスチック素子基板の上に第2プラスチック素子基板が対向して配置され、前記第1プラスチック素子基板と前記第2プラスチック素子基板との間に液晶が封入されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項16】
前記フレキシブルディスプレイは有機ELディスプレイであり、前記透明電極の上に、発光層を含む有機EL層と、金属電極とがさらに形成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−242249(P2008−242249A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85075(P2007−85075)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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