説明

ブレーキ制御装置

【課題】コストを抑え、電源電圧が低下したときのアクチュエータの制御をシンプルにできるブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ制御装置において、電源部は、複数のアクチュエータに電圧を供給する。第1アクチュエータは、電源部から第1最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動して第1機能を発揮する。第2アクチュエータは、電源部から第2最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動して第2機能を発揮する。供給される電圧が低下したときに第1アクチュエータおよび第2アクチュエータが所定の順序に応じて作動を停止するように、第1最低作動電圧と第2最低作動電圧とが所定の電位差をもって設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両における制動装置として、車両の走行状況に応じて最適な制動力を車両に与えるよう各車輪の制動力を制御する電子制御のブレーキ制御装置が多く採用されている。このようなブレーキ制御装置では、圧力センサによって各車輪のホイールシリンダ圧を監視し、ホイールシリンダ圧が運転者のペダル操作量に基づいて演算される目標液圧になるように電磁弁を制御している。
【0003】
このブレーキ制御装置では、液圧を高めるためのポンプや、液圧を制御するための電磁弁が用いられているが、これらのポンプや電磁弁のアクチュエータは、バッテリを電源として駆動される。このため、ブレーキ制御装置では、バッテリに何らかの異常が生じ電圧が低下した場合のブレーキ制御について検討が必要である。
【0004】
特許文献1には、制動力の電気的な分配制御を伴うブレーキ装置のための回路において、電源電圧が所定の制限量を下回るまで、制動力の電気的な分配制御の機能は持続される一方で、ABS(Antilock Brake System)およびTCS(Traction Control System)機能は抑止されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平10−503446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術的思想においては、電源電圧の低下時にABSおよびTCS機能が抑止される制御が実行されており、ABSおよびTCS機能を使い切る前に停止している。また電源電圧の低下時に、ブレーキ制御装置の各アクチュエータに対してそれぞれ作動を停止する順序を設けて作動を停止する制御を実行すると、その制御が複雑となり、コストがかかる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コストを抑え、電源電圧が低下したときのアクチュエータの制御をシンプルにできるブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、複数のアクチュエータに電圧を供給する電源部と、電源部から第1最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動して第1機能を発揮する第1アクチュエータと、電源部から第2最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動して第2機能を発揮する第2アクチュエータと、を備える。供給される電圧が低下したときに第1アクチュエータおよび第2アクチュエータが所定の順序に応じて作動を停止するように、第1最低作動電圧と第2最低作動電圧とが所定の電位差をもって設定される。
【0009】
この態様によると、アクチュエータの作動を電源電圧の低下の成り行きで停止することができ、アクチュエータの作動を全て制御により停止する場合と比べて、制御にかかるコストを抑えることができる。
【0010】
第1アクチュエータの個体差による第1最低作動電圧のばらつくことでとりうる第1最低作動電圧範囲と、第2アクチュエータの個体差による第2最低作動電圧のばらつくことでとりうる第2最低作動電圧範囲と、が重ならないように、第1最低作動電圧と第2最低作動電圧とが所定の電位差をもって設定されてもよい。これにより、最低作動電圧にばらつきがある場合にも、電源電圧の低下の成り行きに応じてアクチュエータの作動を所定の順序で停止することができる。
【0011】
第1最低作動電圧範囲の最大値が、第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成されてもよい。これにより、第1アクチュエータの作動の停止を、第2アクチュエータの作動の停止より遅らせることができる。
【0012】
第1アクチュエータは、運転者の制動操作の有無を検出するセンサであり、第2アクチュエータは、ポンプを駆動するモータおよび通電制御により制御される電磁制御弁であってもよい。これにより、電源電圧の低下時に、運転者の制動操作の有無を検出するセンサの機能を、モータおよび電磁制御弁の作動停止より遅くまで残すことができ、そのセンサの出力に応じたモータおよび電磁制御弁の制御をより長く維持することができる。
【0013】
第1アクチュエータは、常閉型の第1電磁制御弁であり、閉弁状態においてホイールシリンダからの作動液の排出を遮断し、第2アクチュエータは、常開型の第2電磁制御弁であり、閉弁状態においてマスタシリンダとホイールシリンダとの連通を遮断してもよい。これにより、第1電磁制御弁の作動停止を第2電磁制御弁の作動停止より遅らせることができ、第1電磁制御弁が第2電磁制御弁より先に作動停止して、ホイールシリンダに液圧が残ることを防ぐことができる。
【0014】
第1アクチュエータは、前輪に付与する制動力を制御し、第2アクチュエータは、後輪に付与する制動力を制御してもよい。これにより、前輪用の第1アクチュエータの作動停止を後輪用の第2アクチュエータの作動停止より遅らせることができる。
【0015】
複数の第1アクチュエータのそれぞれおよび複数の第2アクチュエータのそれぞれは、個別に制御可能な2つのブレーキ系統のいずれかに属し、第1ブレーキ系統に属する第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲の最大値が、第2ブレーキ系統に属する第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成され、第1ブレーキ系統に属する第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲の最大値が、第2ブレーキ系統に属する第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成されてもよい。これにより、電源電圧の低下時に、一方のブレーキ系統のアクチュエータを先に作動停止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ブレーキ制御装置において、コストを抑え、電源電圧が低下したときのアクチュエータの制御をシンプルにできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るブレーキ制御装置の概略構成図である。
【図2】従来技術における液圧調整弁の作動停止制御を説明する図である。
【図3】実施形態に係る液圧調整弁の作動停止を説明する図である。
【図4】実施形態に係る各アクチュエータの最低作動電圧範囲の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、実施形態に係るブレーキ制御装置100の概略構成図である。本図では右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の液圧回路を構成する車両に実施形態のブレーキ制御装置100を適用した例について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
図1に示すように、ブレーキ制御装置100は、ブレーキペダル1、ストロークセンサ2、マスタシリンダ3、ストローク制御弁30、ストロークシミュレータ4、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5、ホイールシリンダ6FL、6FR、6RL、6RR(以下、特に区別しない場合は、「ホイールシリンダ6」という)を備える。また、ブレーキ制御装置100は、ブレーキ制御装置100の各部の動作を制御する制御部としてのブレーキECU200を備えている。ブレーキ制御装置100は、液圧回路を介したホイールシリンダ6へのブレーキフルードの供給によりホイールシリンダ6に液圧(「ホイールシリンダ圧」という)を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与する。各ホイールシリンダ6は、ブレーキディスク(不図示)とブレーキキャリパ(不図示)にそれぞれ内蔵されていてよく、ホイールシリンダとブレーキディスクとブレーキキャリパとを含んでディスクブレーキユニットという。
【0020】
ドライバによってブレーキペダル1が踏み込まれると、ブレーキペダル1の操作量としてのペダルストロークがストロークセンサ2に入力され、ペダルストロークに応じた検出信号がストロークセンサ2から出力される。この検出信号はブレーキECU200に入力され、ブレーキECU200でブレーキペダル1のペダルストロークが検出される。なお、ここではブレーキ操作部材の操作量を検出するための操作量センサとしてストロークセンサ2を例に挙げているが、ブレーキペダル1に加えられる踏力を検知する踏力センサ等であってもよい。
【0021】
ブレーキペダル1には、ペダルストロークをマスタシリンダ3に伝達するプッシュロッド等が接続されており、このプッシュロッド等が押されることでマスタシリンダ3に備えられているプライマリ室3aおよびセカンダリ室3bにマスタシリンダ圧が発生させられるようになっている。
【0022】
マスタシリンダ3には、プライマリ室3aとセカンダリ室3bを構成するプライマリピストン3cおよびセカンダリピストン3dが備えられている。プライマリピストン3cおよびセカンダリピストン3dは、スプリング3eの弾性力を受けることで、ブレーキペダル1が踏み込まれていないときには各ピストン3c、3dが押圧されてブレーキペダル1を初期位置側に戻るように構成されている。
【0023】
マスタシリンダ3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bには、それぞれブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に向けて延びる管路B、管路Aが連結されている。
【0024】
また、マスタシリンダ3には、リザーバタンク3fが備えられている。リザーバタンク3fは、ブレーキペダル1が初期位置のときに、プライマリ室3aおよびセカンダリ室3bのそれぞれと図示しない通路を介して接続されるもので、マスタシリンダ3内にブレーキフルードを供給したり、マスタシリンダ3内の余剰ブレーキフルードを貯留する。リザーバタンク3fには、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に向けて延びる管路C、管路Dが連結されている。
【0025】
ストロークシミュレータ4は、管路Aにつながる管路Eに接続されており、セカンダリ室3b内のブレーキフルードを収容する役割を果たす。管路Eには、管路Eの連通・遮断状態を制御できる常閉型の二位置弁により構成されたストローク制御弁30が備えられ、ストローク制御弁30により、ストロークシミュレータ4へのブレーキフルードの流動が制御できるように構成されている。
【0026】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5には、マスタシリンダ3のセカンダリ室3bと前輪FRに対応するホイールシリンダ6FRを接続するように、管路Aに連結された管路Fが備えられている。管路Fには、遮断弁36が備えられている。遮断弁36は、非通電時には開状態(連通状態)、通電時には閉状態(遮断状態)となる二位置弁であり、遮断弁36によって管路Fの連通・遮断状態が制御され、これにより管路A、Fを介したホイールシリンダ6FRへのブレーキフルードの供給が制御される。
【0027】
また、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5には、マスタシリンダ3のプライマリ室3aと前輪FLに対応するホイールシリンダ6FLを接続するように、管路Bに連結された管路Gが備えられている。管路Gには、遮断弁37が備えられている。遮断弁37は、非通電時には開状態、通電時には閉状態となる二位置弁であり、遮断弁37によって管路Gの連通・遮断状態が制御され、これにより管路B、Gを介したホイールシリンダ6FLへのブレーキフルードの供給が制御される。
【0028】
また、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5には、リザーバタンク3fから延設された管路Cに接続された管路Hと、管路Dに接続された管路Iが設けられている。管路Hは、管路H1、H2という2本の管路に分岐して、それぞれホイールシリンダ6FR、6RLに接続されている。また、管路Iは、管路I3、I4という2本の管路に分岐して、それぞれホイールシリンダ6FL、6RRに接続されている。ホイールシリンダ6RLおよびホイールシリンダ6RRは、それぞれ後輪RL、後輪RRに対応している。
【0029】
各管路H1、H2、I3、I4には、それぞれ1つずつポンプ7、8、9、10が備えられている。各ポンプ7〜10は、例えば静寂性に優れたトロコイドポンプにより構成されている。ポンプ7〜10のうち、2つのポンプ7およびポンプ8は、第1モータ11によって駆動され、2つのポンプ9およびポンプ10は、第2モータ12によって駆動される。第1モータ11および第2モータ12は、ブレーキペダル1に対する操作に応じて駆動する。第1モータ11および第2モータ12(以下、これらをとくに区別しない場合、単にモータという)は、各ポンプ7〜10を介して、駆動に応じて各ホイールシリンダ6にブレーキフルードを供給する。実施形態では、4つのポンプ7〜10が液圧源として機能する。各ポンプ7〜10は、液圧回路中に設けられ、接続された第1モータ11または第2モータ12の回転数に応じてホイールシリンダにブレーキフルードを供給する。すなわち、2つのポンプが1つのモータの駆動により作動され、2つのポンプのそれぞれには1つのホイールシリンダが接続されている。第1モータ11および第2モータ12に電力を供給するバッテリは共通であってよい。ポンプ7〜10は、モータ11、12の駆動によりホイールシリンダ6にブレーキフルードを供給し、ホイールシリンダ圧を加圧する。
【0030】
また、ポンプ7〜10のそれぞれに、並列的に管路J1、J2、J3、J4が備えられている。ポンプ7に対して並列的に接続された管路J1には、直列的に接続された連通弁38と液圧調整弁32が備えられている。連通弁38および液圧調整弁32は、連通弁38がポンプ7の吸入ポート側(管路J1におけるブレーキフルード流動方向の下流側)に、液圧調整弁32がポンプ7の吐出ポート側(管路J1におけるブレーキフルード流動方向の上流側)にそれぞれ位置するように配置されている。つまり、連通弁38によってリザーバタンク3fと液圧調整弁32との間の連通・遮断を制御できる構成とされている。連通弁38は、非通電時には閉状態、通電時には開状態となる二位置弁であり、液圧調整弁32は、非通電時には開状態、通電時には閉状態で、通電制御により弁の開度が調整される常開型のリニア弁である。
【0031】
ここで、液圧調整弁32には以下に示す力が作用する。液圧調整弁32のリニアソレノイドへの通電電流に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、液圧調整弁32の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とし、ソレノイドの摺動に対する摩擦力F4とすると、F1=F2+F3+F4という関係が成立して、液圧調整弁32の開度は、{(F2+F3+F4)−F1}の値に依存する。つまり、電磁駆動力F1が大きくなるにつれて、弁の開度が小さくなる。
【0032】
次に、液圧調整弁32には以下に示す閉弁電流特性がある。閉弁電流とは、弁を開いた状態から閉じるときの弁への通電電流値をいう。閉弁電流特性とは、閉弁電流とホイールシリンダ圧の関係を示す特性をいい、閉弁電流特性は、閉弁電流がホイールシリンダ圧に対してリニアに比例する一次関数である。液圧調整弁32の作動液は、ホイールシリンダ6FRから下流側の連通弁38方向へ排出される。常開型のリニア弁において、液圧調整弁32の通電電流が増加されるにつれて弁の開度が小さくなり、液圧調整弁32の流量は減少する。そして、通電電流が閉弁電流に達したときに液圧調整弁32は閉弁し、液圧調整弁32の流量はゼロとなる。
【0033】
ポンプ8に対して並列的に接続された管路J2には、液圧調整弁33が備えられている。液圧調整弁33は、液圧調整弁32と同様にリニア弁である。常開型のリニア弁である液圧調整弁33〜35も液圧調整弁32と同様に機能する。なお、以下において液圧調整弁32〜35をとくに区別しない場合、単に「液圧調整弁」という場合があり、連通弁38および連通弁39をとくに区別しない場合、単に「連通弁」という場合がある。
【0034】
ポンプ9に対して並列的に接続された管路J3には、直列的に接続された連通弁39と液圧調整弁35が備えられている。連通弁39および液圧調整弁35は、連通弁39がポンプ9の吸入ポート側(管路J3におけるブレーキフルード流動方向の下流側)に、液圧調整弁35がポンプ9の吐出ポート側(管路J3におけるブレーキフルード流動方向の上流側)にそれぞれ位置するように配置されている。つまり、連通弁39によってリザーバタンク3fと液圧調整弁35との間の連通・遮断を制御できる構成とされている。連通弁39は、非通電時には閉状態、通電時には開状態となる二位置弁であり、液圧調整弁35は、非通電時には開状態、通電時には閉状態で、通電制御により弁の開度が調整されるリニア弁である。液圧調整弁35は、通電制御により開度が調整されて、ホイールシリンダ6FLのブレーキフルード量を調整する。液圧調整弁および連通弁は、通電制御によりホイールシリンダ6内のブレーキフルードの排出を制御する。
【0035】
ポンプ10に対して並列的に接続された管路J4には、液圧調整弁34が備えられている。液圧調整弁34は、液圧調整弁35と同様にリニア弁である。
【0036】
そして、管路J1〜J4における各ポンプ7〜10と各ホイールシリンダ6FR、6FL、6RR、6RLとの間には、液圧センサ13、14、15、16が配置されており、各ホイールシリンダ6FR、6FL、6RR、6RLにおける液圧を検出できるように構成されている。また、管路F、Gにおける遮断弁36、37よりも上流側(マスタシリンダ3側)にも液圧センサ17、18が配置されており、マスタシリンダ3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bに発生しているマスタシリンダ圧を検出できるように構成されている。
【0037】
さらに、ホイールシリンダ6FRを加圧するためのポンプ7の吐出ポートおよびホイールシリンダ6FLを加圧するためのポンプ9の吐出ポートには、それぞれ、逆止弁20、21が備えられている。逆止弁20、21は、それぞれホイールシリンダ6FR、6FL側からポンプ7、9側へのブレーキフルードの流動を禁止するために備えられている。このような構造により、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5が構成されている。
【0038】
上述の構成を備えたブレーキ制御装置100では、管路C、管路H、管路H1、管路H2を通じてリザーバタンク3fとホイールシリンダ6FR、6RLをつなぐ回路と、ポンプ7、8に並列的に接続された管路J1、J2の回路とを含む液圧回路と、管路A、管路Fを通じてセカンダリ室3bとホイールシリンダ6FRをつなぐ液圧回路とが、第1配管系統を構成している。
【0039】
また、管路D、管路I、管路I3、管路I4を通じてリザーバタンク3fとホイールシリンダ6FL、6RRをつなぐ回路と、ポンプ9、10に並列的に接続された管路J3、J4の回路とを含む液圧回路と、管路B、管路Gを通じてプライマリ室3aとホイールシリンダ6FLをつなぐ液圧回路とが、第2配管系統を構成している。
【0040】
そして、ストロークセンサ2や各液圧センサ13〜18の検出信号がブレーキECU200に入力され、これら各検出信号から求められるペダルストロークやホイールシリンダの液圧およびマスタシリンダ圧に基づいて、ストローク制御弁30、遮断弁36、37、連通弁38、39、および液圧調整弁32〜35や、第1モータ11、第2モータ12を駆動するための制御信号がブレーキECU200から出力されるようになっている。
【0041】
通常時には、ブレーキペダル1が踏み込まれ、ストロークセンサ2および液圧センサ17,18の検出信号がブレーキECU200に入力されると、ブレーキECU200は各電磁制御弁30、32〜39や、第1モータ11、第2モータ12を制御して、次のような状態にする。すなわち、遮断弁36および遮断弁37への通電は共にONされ、連通弁38および連通弁39への通電も共にONされる。これにより、遮断弁36および遮断弁37は遮断状態、連通弁38および連通弁39は連通状態とされる。
【0042】
また、液圧調整弁32〜35は、通電電流値に応じて弁の開度が調整される。ストローク制御弁30は、通電がONされる。このため、管路A、Eを通じて、ストロークシミュレータ4がセカンダリ室3bと連通状態となり、ブレーキペダル1が踏み込まれたときに、各ピストン3c、3dが移動しても、セカンダリ室3b内のブレーキフルードがストロークシミュレータ4に移動することになる。したがって、マスタシリンダ圧が高圧になることでブレーキペダル1に対して硬い板を踏み込むような感覚が発生することなく、ブレーキペダル1を踏み込めるようになっている。
【0043】
さらに、第1モータ11および第2モータ12への通電が共にONされ、ポンプ7〜10から電磁制御弁を介さないでホイールシリンダ6へのブレーキフルードの吐出が行われる。すなわち、ポンプ7〜10によるポンプ動作が行われると、各ホイールシリンダ6に対してブレーキフルードが供給される。
【0044】
ブレーキECU200により第1モータ11および第2モータ12のモータ回転数が制御されることで、ホイールシリンダ6へのブレーキフルードの供給量が制御される。このとき、遮断弁36および遮断弁37が遮断状態とされているため、ポンプ7〜10の下流側の液圧、つまり各ホイールシリンダ6へのブレーキフルードの供給量が増加する。そして、連通弁38および連通弁39が連通状態とされ、かつ、液圧調整弁32〜35の開度がそれぞれ制御されているため、開度に応じてブレーキフルードが排出され、各ホイールシリンダ6の液圧が調整される。
【0045】
ブレーキECU200は、各液圧センサ13〜16の検出信号に基づいて各ホイールシリンダ6に供給されている液圧をモニタリングし、液圧調整弁32〜35への通電電流値を制御することで、各ホイールシリンダ6の液圧が所望の値となるようにする。これにより、ブレーキペダル1のペダルストロークに応じた制動力が発生させられることになる。以上のようにして、実施形態のブレーキ制御装置100のブレーキ制御が行われる。
【0046】
ところで、ブレーキ制御装置100では、ポンプ、電磁制御弁、モータおよびストップランプスイッチを含むアクチュエータは、バッテリを電源として駆動される。このため、ブレーキ制御装置100では、バッテリに何らかの異常が生じ、アクチュエータの作動に必要な電圧を供給できなくなると、アクチュエータを作動することができなくなる。このとき、可能な限りブレーキ制御を実行できるように、重要なアクチュエータの機能を残すことが好ましい。
【0047】
そこで、電源電圧の低下時に、各アクチュエータに優先順位を設定し、電源電圧に応じて定められた順序で各アクチュエータの作動を停止していく方法がある。しかしながら、全てのアクチュエータに対して作動を停止する制御をすると、制御が複雑になり、コストがかかる。また、制御によって各アクチュエータの作動を停止すると、まだ作動可能な状態のアクチュエータの作動を停止することになる。この点について具体的に図2を用いて説明する。
【0048】
図2は、従来技術における液圧調整弁の作動停止制御を説明する図である。本図の縦軸は電圧を示し、横軸は液圧調整弁の出入口間の差圧を示す。また本図の実線は液圧調整弁の最低作動電圧44を示し、1点鎖線は液圧調整弁の最低作動電圧範囲の最大値42を示し、2点鎖線は液圧調整弁の最低作動電圧範囲の最小値46を示す。
【0049】
最低作動電圧とは、アクチュエータが作動可能な電圧の最小値をいい、アクチュエータに供給する電圧が最低作動電圧より小さくなるとアクチュエータが作動しなくなる電圧をいう。つまり、アクチュエータは、電源部から最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動してそのアクチュエータの機能を発揮する。最低作動電圧範囲とは、個体差によって生じる最低作動電圧の幅をいう。アクチュエータは予め定められた最低作動電圧を有するよう製造されるが、個体差により最低作動電圧にばらつきが発生する。そのばらつくことでとりうる電圧の範囲を最低作動電圧範囲といい、最低作動電圧範囲は、製造時に予め定めた最低作動電圧にもとづいて経験的または実験的に定められる。
【0050】
常開型の液圧調整弁の最低作動電圧44は、液圧調整弁の出入口間の差圧に応じた差圧作用力に応じて変化する。図2に示すように、液圧調整弁の出入口間の差圧が大きくなれば、差圧作用力が液圧調整弁が開弁する方向に作用するため、最低作動電圧44が大きくなる。
【0051】
ここで、電源電圧の低下にともなって液圧調整弁の作動を停止する制御が実行される場合、停止電圧を定める必要がある。従来技術において停止電圧は、最低作動電圧範囲を考慮して最低作動電圧範囲の最大値42に定められる。液圧調整弁に供給する電圧が、最低作動電圧範囲の最大値42より大きい領域48にあれば、液圧調整弁が作動可能となる。
【0052】
この従来技術では、液圧調整弁は液圧調整弁の最低作動電圧44まで作動可能であるが、最低作動電圧範囲の最大値42で停止されるため、電源電圧の低下に対するロバスト性が低くなる。つまり、最低作動電圧範囲の最大値42と最低作動電圧44との差の分だけ、液圧調整弁の性能を最大限に使えていない。これに対し、制御による停止をしなければ、液圧調整弁の性能を最大限に引き出すことができる。
【0053】
図3は、実施形態に係る液圧調整弁の作動停止を説明する図である。本図の縦軸は電圧を示し、横軸は液圧調整弁の出入口間の差圧を示す。実施形態に係るブレーキ制御装置100は、電源電圧の低下時において、基本的にアクチュエータに対して制御による停止を実行せずに、電源電圧の低下の成り行きにまかせる。
【0054】
したがって、液圧調整弁に供給する電圧が、最低作動電圧44より大きい領域50にあれば、液圧調整弁が作動可能となる。したがって、図2に示す従来技術と比較すると、最低作動電圧範囲の最大値42と最低作動電圧44との差の分だけ、液圧調整弁が作動可能な電圧の領域が増し、ロバスト性が高くなっている。
【0055】
実施形態において、供給される電圧が低下したときに第1アクチュエータおよび第2アクチュエータが所定の順序に応じて作動を停止するように、第1アクチュエータの第1最低作動電圧と第2アクチュエータの第2最低作動電圧とが所定の電位差をもって設定される。また電源電圧の低下時に、所定の順序で各アクチュエータが作動を停止するように、ブレーキ制御装置100は、第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲と、第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲とが重ならないように構成する。つまり、第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲と、第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲とが重ならないよう、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの最低作動電圧を所定の電位差をもって設定する。これにより、電源電圧の低下時に作動停止制御を実行せずとも、所定の順序で各アクチュエータの作動を停止することができる。ここで、所定の電位差は、第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲と、第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲とによって定められる値であり、第1アクチュエータの個体差による第1最低作動電圧のばらつきおよび第2アクチュエータの個体差による第2最低作動電圧のばらつきによって定められる。
【0056】
図4は、実施形態に係る各アクチュエータの最低作動電圧範囲の関係を説明する図である。本図では、遮断弁36および遮断弁37の最低作動電圧範囲52、連通弁38および連通弁39の最低作動電圧範囲54、液圧調整弁の最低作動電圧範囲56、モータの最低作動電圧範囲58、およびストップランプスイッチの最低作動電圧範囲60を示す。つまり、アクチュエータは、電源電圧の低下時に、遮断弁36および遮断弁37、連通弁38および連通弁39、液圧調整弁、モータ、およびストップランプスイッチの順序で作動を停止する。
【0057】
実施形態に係るブレーキ制御装置100は、各アクチュエータの最低作動電圧範囲52〜60が互いに重ならないように構成される。たとえば最低作動電圧範囲52と最低作動電圧範囲54を比べると、第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲の最大値が、第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成されている。これにより、電源電圧の低下時に、各アクチュエータを所定の順序で作動を停止させることができる。
【0058】
ここで、各アクチュエータの最低作動電圧が最低作動電圧範囲の最小値であるとして、ステージa〜ステージeのブレーキ制御について説明する。まず、ステージaでは、正常な状態でブレーキ制御が実行される。
【0059】
次に、ステージbでは、常開型の遮断弁36および遮断弁37の作動が停止し、マスタシリンダ3とホイールシリンダ6FR、6FLが連通する。したがって、運転者の踏み込み量に応じてマスタシリンダ3からホイールシリンダ6FR、6FLに液圧が供給されるようになる。また、液圧調整弁および連通弁は制御可能であるため、ブレーキ制御装置100は、ストップランプスイッチにより運転者の操作を検出し、検出した操作に応じてモータを駆動し、液圧調整弁および連通弁によりホイールシリンダ圧を調整する。すなわち、ブレーキ制御装置100は、マスタシリンダ3からの加圧と、モータの駆動による加圧とによって、ブレーキ制御を実行する。
【0060】
次に、ステージcでは、常閉型の連通弁38および連通弁39の作動が停止し、前輪用の液圧調整弁32および液圧調整弁35とリザーバタンク3fとの連通が遮断される。このステージでも、ブレーキ制御装置100は、マスタシリンダ3からの加圧と、ストップランプスイッチの検出結果に応じたモータの駆動による加圧とによって、ブレーキ制御を実行する。この制御では、後輪用の液圧調整弁33および液圧調整弁34で、後輪用のホイールシリンダ圧の調整は可能であるが、前輪用のホイールシリンダ圧の調整は液圧調整弁32および液圧調整弁35によってすることができない。前輪用のホイールシリンダ圧は、モータ回転数によって調整されてよい。
【0061】
次に、ステージdでは、常開型の液圧調整弁32〜液圧調整弁35の作動が停止し、ステージcで可能であった後輪用のホイールシリンダ圧の調整ができなくなる。このステージでは、前輪用のホイールシリンダ圧は、マスタシリンダ3からの加圧と、ストップランプスイッチの検出結果に応じたモータの駆動による加圧とによって制御される。一方、後輪用のホイールシリンダ圧は、ストロークセンサ2または液圧センサ17、18の出力をもとに目標液圧が算出され、その目標液圧に応じたモータ回転数が算出されて、モータの駆動による加圧によって制御される。
【0062】
次に、ステージeでは、モータの作動が停止する。このステージでは、前輪用のホイールシリンダ圧が、マスタシリンダ3からの加圧によって制御される。以上のように、各アクチュエータの作動を所定の順序で停止することで、電源電圧の低下時においても、ブレーキ制御装置100はブレーキ制御をより長く維持することができる。
【0063】
ステージa〜dとステージeとの関係によると、第1アクチュエータは運転者の制動操作の有無を検出するセンサであって、たとえばストップランプスイッチであり、第2アクチュエータはポンプを駆動するモータおよび通電制御により制御される電磁制御弁である。このように構成することで、電源電圧の低下時に、ストップランプスイッチの作動を最後まで維持して、運転者の操作を検出することができ、運転者の操作に応じてモータを駆動するブレーキ制御をより長く維持できる。
【0064】
ステージaとステージbとの関係によると、第1アクチュエータは、常閉型の第1電磁制御弁であり、閉弁状態においてホイールシリンダからの作動液の排出を遮断する。第2アクチュエータは、常開型の第2電磁制御弁であり、閉弁状態においてマスタシリンダ3とホイールシリンダの連通を遮断する。すなわち、第1アクチュエータは連通弁38および連通弁39であり、第2アクチュエータは遮断弁36および遮断弁37である。これにより、遮断弁36および遮断弁37より先に連通弁38および連通弁39の作動を停止した場合と比べて、不要な制動力の発生を抑えることができる。つまり、遮断弁36および遮断弁37を開弁する前に連通弁38および連通弁39を閉じると、ホイールシリンダ6FR、6FLに液圧が残り、不要な制動力が生じてしまうことがあるが、そのような不要な制動力の発生を抑えることができる。
【0065】
図1に示すように、ブレーキ制御装置100は、個別に制御可能な2つのブレーキ系統を備える。たとえば、ブレーキ制御装置100は、右側前輪に設けられたホイールシリンダ6FRおよび左側後輪に設けられたホイールシリンダ6RLに作動液を供給する第1ブレーキ系統と、左側前輪に設けられたホイールシリンダ6FLおよび右側後輪に設けられたホイールシリンダ6RRに作動液を供給する第2ブレーキ系統と、を備える。ストップランプスイッチ以外の各アクチュエータのそれぞれは、第1ブレーキ系統および第2ブレーキ系統いずれかに属する。
【0066】
そこで、実施形態に係るブレーキ制御装置100は、図4に示す作動停止の順序に加えて、第1ブレーキ系統に属する第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲の最大値が、第2ブレーキ系統に属する第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成され、第1ブレーキ系統に属する第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲の最大値が、第2ブレーキ系統に属する第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成される。これにより、第1ブレーキ系統に属するアクチュエータの最低作動電圧が、第2ブレーキ系統に属するアクチュエータの最低作動電圧より小さくなり、第1ブレーキ系統に属するアクチュエータの作動停止を遅らせることができる。電源電圧の低下時に、一方のブレーキ系統のアクチュエータを先に停止することで、消費電力を低減して、他方のブレーキ系統のアクチュエータの作動停止を遅らせることができる。
【0067】
次に、実施形態に係るブレーキ制御装置100の変形例を説明する。ブレーキ制御装置100は、電源電圧の低下時に、第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲と、第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲とが離れるように構成される。この第1アクチュエータは、前輪に付与する制動力を制御し、第2アクチュエータは後輪に付与する制動力を制御する。そして、前輪用の第1アクチュエータの第1最低作動電圧範囲の最大値が、後輪用の第2アクチュエータの第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成される。具体的には、液圧調整弁32および液圧調整弁35の最低作動電圧範囲の最大値が、液圧調整弁33および液圧調整弁34の最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成される。この構成により、電源電圧の低下時に、前輪のブレーキ制御の作動停止を遅らせることができる。ブレーキ制御において、前輪には車両の慣性力が加わるため後輪より大きな制動力を必要とするため、前輪のブレーキ制御を生かすことが好ましい。
【0068】
以上のように、最低作動電圧を設定した場合においても、温度変化等の外乱の影響により、電源電圧の低下時に所定の順序通りにアクチュエータが作動停止しない可能性がある。たとえば、液圧調整弁32〜液圧調整弁35の最低作動電圧は温度変化に対して大きく変化するため、ブレーキECU200は、図4に示す所定の順序で作動を停止するように、液圧調整弁32〜液圧調整弁35の作動の停止をする制御をしてもよい。これにより、各アクチュエータの作動をより確実に所定の順序で停止することができる。また、ブレーキECU200が電源電圧の低下時に全てのアクチュエータを制御により作動停止する場合と比べて、制御をシンプルにすることができ、コストを抑えることができる。
【0069】
また、ブレーキECU200は、電源電圧の低下時に各アクチュエータが設定された所定の順序で作動を停止するかどうか監視し、アクチュエータが設定された所定の順序で作動を停止していないと判定した場合には、設定された順序と異なっているアクチュエータの作動を停止する制御を実行してよい。
【0070】
具体的には、連通弁38および連通弁39は作動を停止しているが、遮断弁36および遮断弁37は作動を停止していない場合、図4に示す作動停止順序とは異なるため、ブレーキECU200は遮断弁36および遮断弁37の作動を停止し、ステージcの状態にする。なお、連通弁38および連通弁39は作動を停止しているが、遮断弁36および遮断弁37は作動を停止していない状態では、前輪の作動液が排出されなくなるため、ブレーキECU200は、前輪用の液圧センサ13および液圧センサ16の出力と、後輪用の液圧センサ14および液圧センサ15の出力を比較することで、作動停止順序の異常を判定することができる。
【0071】
また、ブレーキECU200は、第1アクチュエータの作動が停止しているかどうか判定できない場合は、第1アクチュエータより先に作動を停止すべき第2アクチュエータの作動を停止する制御を実行する。これにより、ブレーキ制御装置100は、電源電圧の低下時に各アクチュエータの作動が所定の順序で停止しなかった場合に、所定の順序で停止することを担保することができ、より安全なブレーキ制御ができる。
【0072】
なお、本発明は図1に示すブレーキ制御装置に適用できるだけでなく、他のブレーキ制御装置にも適用可能である。
【0073】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0074】
A,B,C,D,E,F,G,H,H1,H2,I,I3,I4,J1,J2,J3,J4,K,L,M,N 管路、 1 ブレーキペダル、 2 ストロークセンサ、 3 マスタシリンダ、 3a プライマリ室、 3b セカンダリ室、 3c プライマリピストン、 3d セカンダリピストン、 3e スプリング、 3f リザーバタンク、 4 ストロークシミュレータ、 5 ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、 6FL,6FR,6RL,6RR ホイールシリンダ、 7,8,9,10 ポンプ、 11 第1モータ、 12 第2モータ、 13,14,15,16,17,18 液圧センサ、 20,21 逆止弁、 30 ストローク制御弁、 32,33,34,35 液圧調整弁、 36,37 遮断弁、 38,39 連通弁、 100 ブレーキ制御装置、 200 ブレーキECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクチュエータに電圧を供給する電源部と、
前記電源部から第1最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動して第1機能を発揮する第1アクチュエータと、
前記電源部から第2最低作動電圧以上の電圧を供給されると、作動して第2機能を発揮する第2アクチュエータと、を備え、
供給される電圧が低下したときに前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータが所定の順序に応じて作動を停止するように、前記第1最低作動電圧と前記第2最低作動電圧とが所定の電位差をもって設定されることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記第1アクチュエータの個体差による第1最低作動電圧のばらつくことでとりうる第1最低作動電圧範囲と、前記第2アクチュエータの個体差による第2最低作動電圧のばらつくことでとりうる第2最低作動電圧範囲と、が重ならないように、前記第1最低作動電圧と前記第2最低作動電圧とが所定の電位差をもって設定されることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記第1最低作動電圧範囲の最大値が、前記第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成されることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記第1アクチュエータは、運転者の制動操作の有無を検出するセンサであり、
前記第2アクチュエータは、ポンプを駆動するモータおよび通電制御により制御される電磁制御弁であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記第1アクチュエータは、常閉型の第1電磁制御弁であり、閉弁状態においてホイールシリンダからの作動液の排出を遮断し、
前記第2アクチュエータは、常開型の第2電磁制御弁であり、閉弁状態においてマスタシリンダとホイールシリンダとの連通を遮断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記第1アクチュエータは、前輪に付与する制動力を制御し、
前記第2アクチュエータは、後輪に付与する制動力を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
複数の前記第1アクチュエータのそれぞれおよび複数の前記第2アクチュエータのそれぞれは、個別に制御可能な2つのブレーキ系統のいずれかに属し、
第1ブレーキ系統に属する前記第1アクチュエータの前記第1最低作動電圧範囲の最大値が、第2ブレーキ系統に属する前記第1アクチュエータの前記第1最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成され、
第1ブレーキ系統に属する前記第2アクチュエータの前記第2最低作動電圧範囲の最大値が、第2ブレーキ系統に属する前記第2アクチュエータの前記第2最低作動電圧範囲の最小値より小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162123(P2011−162123A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29111(P2010−29111)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】