説明

プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置

【課題】プラグインハイブリッド車において、外部電源による2次電池の充電を車載機器の駆動より優先し、走行に支障がないように制御しながら次回走行開始までに、車内を快適環境にしたり排ガス浄化用触媒を排ガス浄化可能温度まで上昇させるようにした、プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を提供することが課題である。
【解決手段】電源装置16の外部電源への接続を検出する外部電源接続検出装置18と、次回走行予定距離を設定する次回走行予定距離設定装置24と、2次電池の充電量の検出装置14と、車載機器の駆動を制御する制御部20とを備え、制御部20は、次回走行予定距離設定装置24に設定された次回走行予定距離から2次電池12への必要充電量を算出し、該算出結果と前記2次電池充電量検出装置14の検出結果と比較して2次電池充電量が前記必要充電量に至っていない状態で車載機器の駆動禁止を、必要充電量を超えた状態で車載機器の駆動許可を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源と接続することで2次電池の充電と車載機器の駆動が可能なプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置に係り、特に、外部電源による2次電池の充電を前記車載機器の駆動より優先し、走行に支障がないように制御しながら走行開始までに、空調装置や排ガス浄化用触媒プリ加熱装置などの車載機器を動作させて車内を快適環境にしたり、排ガス浄化用触媒を排ガス浄化可能温度まで上昇させることができるようにした、プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費の向上と大気汚染防止への効果が期待できるため、エンジンで発電した電気を2次電池に蓄え、トルクが必要な場合はエンジンで、高速道路などにおける定速走行時などのトルクがあまり必要ない状態ではモータで、それぞれ駆動する、所謂ハイブリッド車がもてはやされている。また最近では、特許文献1に記載されているように、外部電源から2次電池に充電して近距離ではモータのみを用いて電気自動車として走行し、長距離走行時に2次電池残量が少なくなるとエンジンで走行するようにしたプラグインハイブリッド車も提案されている。
【0003】
一方、自動車に備えられた空調装置や排ガス浄化のための触媒を活性化するプリ加熱装置は、自動車に備えた2次電池(バッテリ)で駆動することも可能であるが、使用する電力が大きくてバッテリに蓄えられた電気を使い切ってしまう恐れがあるため、通常はエンジンを起動した後で稼動させるようにすることが一般的である。しかしこのように、エンジン起動時に始めて空調装置を駆動させたり、排ガス浄化触媒プリ加熱装置に通電したりした場合、すぐに走り出すと冬季においては寒く、夏季においては暑く、さらに排ガス浄化のための触媒が活性するまでに時間がかかるため、その間の排ガスが汚いまま放出され、これらを防ごうと暖機運転すると余分な燃料を必要とする。
【0004】
そのため例えば特許文献2には、充電ユニットを介して外部電源を接続することでバッテリに対する充電を行うことができ、かつ、搭乗者が車から降車する際、コントロールパネルから次回の乗車に先立ち、暖房運転を自動的に開始するプリエアコンモードを設定することで、設定時刻となってプリエアコンタイマからプリエアコンモードの開始指令信号がエアコンコントローラに供給されると、エアコンコントローラは充電ユニットからの充電信号を確認した後、外部電源から供給される電力に基づいて次回の乗車に先立ってエアコン装置を駆動するようにした、電気自動車用エアコン装置が示されている。
【0005】
また特許文献3には、車両側の電源系に接続されるコネクタを車両に設け、一方、駐車場にはコネクタを通して電力を供給する外部電源設備を設けて、AC/DCインバータによりバッテリの電圧と同一電圧を車両側電源系に出力してコネクタ経由で車両に外部から電力を供給し、その電力で空調装置、音響装置、照明器具等の車載機器を駆動して、駐車中に車のエンジンを止めておけるようにした、外部電源による車載機器駆動システムが示されている。
【0006】
さらに特許文献4には、外部電源に接続可能な入力手段と、負荷機器に接続される出力手段と、外部電源により充電可能なバックアップバッテリとを備え、入力手段と出力手段とを結んで外部電源から負荷機器へ電力供給する主閉回路と、バックアップバッテリから負荷機器へ電力供給するバックアップ電力供給回路と、電力供給不能状態を報知する供給不能表示回路と、バックアップ電力供給回路と供給不能表示回路とを切り替えるリレースイッチと、このリレースイッチを駆動させるリレー駆動回路とを備えて、外部電源に接続して負荷機器に電力供給できると共に単独でも電力供給可能であり、車載バッテリに接続した場合に、電力供給するためにエンジンのアイドリング運転を必要とせず、エンジンを停止しても一定時間は負荷機器へ電力供給し続けることができる、可搬型電源装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−100645号公報
【特許文献2】特開平8−20239号公報
【特許文献3】特開平11−278178号公報
【特許文献4】特開2008−74258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に示された電気自動車用エアコン装置では、次回の乗車に先立って暖房運転を自動的に開始し、乗車前に車内を快適温度にすることができるが、バッテリ(2次電池)が次回走行予定距離を走行できるだけ充電されているかどうかを判断していないため、バッテリ(2次電池)の充電量によっては車内快適化はなされているが、走行に必要な充電がなされていない、という事態が生じる可能性がある。
【0009】
また特許文献3、特許文献4の外部電源による車載機器駆動システムや可搬型電源装置は、外部電源または可搬型電源装置により車両に外部から電力を供給し、その電力で空調装置、音響装置、照明器具等の車載機器を駆動しているだけであり、走行前に車内を快適な温度にしたり排ガス浄化のための触媒を温めて、快適な走行を実現することについては触れられていない。
【0010】
そのため本発明においては、外部電源と接続することで2次電池の充電と車載機器の駆動が可能なプラグインハイブリッド車において、外部電源による2次電池の充電を前記車載機器の駆動より優先し、走行に支障がないように制御しながら次回走行開始までに、空調装置や排ガス浄化用触媒プリ加熱装置などの車載機器を動作させて車内を快適環境にしたり、排ガス浄化用触媒を排ガス浄化可能温度まで上昇させることができるようにした、プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置は、
空調装置を含む車内環境快適化機器、及び排ガス浄化用触媒プリ加熱装置を含む走行関連補助機器を含む車載機器と、エンジンと、モータと、該モータ及び前記車載機器に電力供給可能な2次電池と、外部電源からの電力を前記2次電池の充電及び前記車載機器駆動用として供給する電源装置と、を有したプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置であって、
前記車載機器駆動制御装置は、前記電源装置の外部電源への接続を検出する外部電源接続検出装置と、次回走行予定距離を設定する次回走行予定距離設定装置と、前記2次電池の充電量の検出装置と、前記車載機器の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記2次電池充電量検出装置の検出した充電量から走行可能距離を算出し、該算出した走行可能距離と前記次回走行予定距離設定装置に設定された次回走行予定距離とを比較して、前記走行可能距離が前記次回走行予定距離に至っていない状態で前記車載機器の駆動禁止を、至った状態で前記車載機器の駆動許可を行うよう構成されていることを特徴とする。
【0012】
このように2次電池充電量検出装置の検出した充電量から走行可能距離を算出し、この走行可能距離と次回走行予定距離とを比較して、走行可能距離が次回走行予定距離に至っていない状態、すなわち、2次電池充電量が必要充電量に至っていない状態で車載機器の駆動禁止を、必要充電量を超えた状態(走行可能距離が次回走行予定距離に至った状態)で車載機器の駆動許可を行うことで、車載機器の動作よりも2次電池の充電が優先されるから、車内環境が快適化されたり排ガス浄化用触媒が排ガス浄化可能温度まで上昇しているのに、次回走行距離を走行できるだけの充電がなされていない、といった事態を生じることがないプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を提供することができる。
【0013】
そして、前記制御部は、前記次回走行予定距離設定装置への次回走行予定距離設定が無い状態で、前記2次電池が満充電状態となるまで前記車載機器の駆動禁止を継続するよう構成されていることで、どの程度の距離走行するかわからない状態では、このように2次電池が満充電となるまで充電を継続させることで、次回走行で支障が起きることを防ぐことができる。
【0014】
また、前記車載機器駆動制御装置は外気温度検出装置と、次回運転開始時刻を設定する次回運転開始時刻設定装置とをさらに備え、前記制御部は前記車載機器の駆動許可状態で、前記外気温度検出装置からの検出温度に基づき、前記車内環境快適化機器により車内が快適環境となるまでに要する時間と、前記走行関連補助機器が正常動作状態となるまでに要する時間とを算出し、次回運転開始時刻設定装置に設定された次回運転開始時刻と前記算出した時間とから、次回運転開始時刻に車内環境が快適化され、走行関連補助機器が正常動作しているように前記車載機器の駆動開始時刻を設定するよう構成されていることで、走行開始時には車内環境が快適な状態となっていると共に、排ガス浄化用触媒は活性化されて汚れた排ガスを排出することがなく、また、暖機運転により余分な燃料を消費することも防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上記載のごとく、本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置は、2次電池充電量と必要充電量とを比較し、その比較結果に対応させて充電の継続と車内環境快適化機器や走行関連補助機器などの車載機器の駆動とを選択するから、常に2次電池充電が優先され、2次電池による走行に支障をきたすことが少なくなる。また、2次電池に必要量の充電がなされた時は、車載機器を次回走行前に駆動し、車内環境を快適化したり排ガス浄化用触媒を活性化させることができるから、汚れた排ガスを排出したり暖機運転で余分な燃料を消費することも防げる、プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置の概略ブロック図である。
【図2】本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を用いた充電と車載機器の駆動のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0018】
本発明においては、空調装置を含む車内環境快適化機器、及び排ガス浄化用触媒プリ加熱装置を含む走行関連補助機器、を含む車載機器と、エンジンと、モータと、該モータ及び前記車載機器に電力供給可能な2次電池と、外部電源からの電力を前記2次電池の充電及び前記車載機器駆動用として供給する電源装置とを有したプラグインハイブリッド車において、電源装置の外部電源への接続を検出する外部電源接続検出装置と、次回走行予定距離を設定する次回走行予定距離設定装置と、前記2次電池の充電量の検出装置と、前記車載機器の駆動を制御する制御部とを備えて、前記2次電池充電量検出装置の検出した充電量から走行可能距離を算出し、該算出した走行可能距離と前記次回走行予定距離設定装置に設定された次回走行予定距離とを比較して、前記走行可能距離が前記次回走行予定距離に至っていない状態で前記車載機器の駆動禁止を、至った状態で前記車載機器の駆動許可をおこない、車載機器の動作よりも2次電池の充電を優先し、車内環境が快適化されたり排ガス浄化用触媒が排ガス浄化可能温度まで上昇しているのに、次回走行距離を走行できるだけの充電がなされていない、といった事態を生じないようにしたものである。
【実施例】
【0019】
図1は、このような考え方に従って構成した本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置の概略ブロック図である。図中10は家庭やその他の充電可能ステーションの電源に接続するための外部電源用プラグ、12は充電可能な2次電池(バッテリ)、14は2次電池(バッテリ)12の充電制御装置13は2次電池12の充電率(SOC:State of Charge)を検出するため、一般的に行われている開放電圧と充放電時に流れる電流との検知装置を備え、開放電圧と電流積算値とから充電状態を算出するSOC検出部、16は電源装置で、この電源装置16は、AC/DCインバータなどを有して2次電池(バッテリ)12の電圧と同一電圧を出力するように構成されている。
【0020】
18は電源装置16の外部電源用プラグ10が外部電源に接続されているか否かを検出する外部電源接続検出装置、20は制御部で、この制御部20は、次回運転開始時刻設定装置22に設定された次回運転開始時刻、次回走行予定距離設定装置24に設定された次回走行予定距離、充電制御装置14が検出した2次電池(バッテリ)12の充電量、外気温度検出装置26の検出した外気温度などを用い、2次電池(バッテリ)12の充電量が次回走行予定距離を走行するに充分な充電量でない場合、空調装置282、シートヒート装置284などの車内環境快適化機器28、触媒プリ加熱装置302、車窓凍結解除装置304などの走行関連補助機器30などの駆動禁止を行い、充分な充電量が得られている場合は、次回運転開始時刻に車内環境快適化機器により車内の温度などが快適な温度、すなわち快適環境となっているようにしたり、排ガス浄化用触媒が活性化されているよう、次回運転開始時刻前にみられ車載機器を駆動する制御などを行う。なお、次回運転開始時刻設定装置22は、例えばエアコンなどのタイマー装置のように、対象機器が動作開始する時刻を設定する機能も有している。
【0021】
このように構成した本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置において、車の走行が終了し、搭乗者が外部電源用プラグ10を例えば家庭の電源に接続し、翌日の運転開始時刻(次回運転開始時刻)を次回運転開始時刻設定装置22に設定すると共に、次回走行予定距離設定装置24に走行予定距離を設定し、翌日の車載機器作動設定をする。すると制御部20は、外部電源接続検出装置18が電源装置16の状態から外部電源に接続されていることを確認すると、充電制御装置14に設けられた充電量検出機能でSOC検出部13からの情報に基づき2次電池12の充電量を検出する。
【0022】
そして制御部20は、この充電量検出機能で検出された2次電池12の充電量を走行可能距離に換算し、その走行可能距離と次回走行予定距離設定装置24に設定された次回走行予定距離とを比較して、走行可能距離が次回走行予定距離に至っていない場合は空調装置282、シートヒート装置284などの車内環境快適化機器28、及び触媒プリ加熱装置302、車窓凍結解除装置304などの走行関連補助機器30の駆動を禁止し、充電制御装置14により電源装置16で供給される外部電源により2次電池(バッテリ)12を充電させる。
【0023】
そしてこの充電により、2次電池(バッテリ)12の充電量が増加して走行可能距離が次回走行予定距離設定装置24に設定された次回走行予定距離を越えると、制御部20は外気温度検出装置26の検出した外気温度から、車内環境快適化機器28により車内が快適環境となるまでに要する時間と、走行関連補助機器30が正常動作状態となるまでに要する時間とを算出し、次回運転開始時刻設定装置22に設定された次回運転開始時刻と算出した時間とから、車内環境快適化機器28と走行関連補助機器30とを駆動開始する時刻、すなわち、次回運転開始時刻に車内が快適環境となると共に走行関連補助機器30が正常動作状態となる時刻を決定する。
【0024】
そしてその時刻になったら制御部20は、電源装置16から制御部20を介して電力を車内環境快適化機器28を構成する空調装置282、シートヒート装置284、走行関連補助機器30を構成する触媒プリ加熱装置302、車窓凍結解除装置304などに送ってこれらを駆動する。そのため本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置は、常に2次電池充電を優先しながら、2次電池に必要量の充電がなされた時は、車内環境快適化機器28や走行関連補助機器30などの車載機器を次回走行前に駆動し、次回運転開始時刻に車内環境を快適化したり排ガス浄化用触媒を活性化させることができるから、汚れた排ガスを排出したり暖機運転で余分な燃料を消費することも防げる、プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を提供することができる。
【0025】
図2は、本発明になるプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置を用いた充電と車載機器の駆動のフロー図であり、以下、図1のブロック図とこの図2のフロー図を用い、本発明を詳細に説明する。
【0026】
ステップS10で車載機器駆動制御がスタートすると、制御部20はまずステップS12で外部電源接続検出装置18からの信号を受け、外部電源が接続されているか、すなわち外部電源用プラグ10が外部電源に接続されて電源装置16が2次電池(バッテリ)12、車載機器28、30に対応した電圧を出力しているか否かを判断し、接続されていない場合はステップS44に進んで処理を終了し、接続されている場合はステップS14に進んで充電制御装置14により2次電池(バッテリ)12の残量を検出する。
【0027】
そしてステップS16で2次電池(バッテリ)12が満充電か否かを判断し、満充電の場合はステップS28に進み、満充電でない場合はステップS18でステップS14で検出したバッテリ残量を用い、走行可能距離を算出する。そして制御部20は、次のステップS20で(次回)走行予定距離が設定されているか否かを判断し、設定されている場合はステップS22に、されていない場合はステップS24に進む。
【0028】
ステップS22に進んだ場合に制御部20は、ステップS18で算出した走行可能距離と、ステップS20で設定が確認された(次回)走行予定距離とを比較し、{(次回走行)予定距離<(走行)可能距離}かどうかを判断し、Yesの場合はステップS28に、Noの場合はステップS24に進む。ステップS24に進んだ場合に制御部20は、まず2次電池(バッテリ)12の充電を開始するよう充電制御装置14に指示して充電を開始(又は継続)させ、ステップS26で車内環境快適化機器28、走行関連補助機器30などの車載機器の駆動を禁止し、ステップS14に戻って以上の処理を繰り返す。ステップS28に進んだ場合に制御部20は、まず2次電池(バッテリ)12の充電を停止し、ステップS30で車内環境快適化機器28、走行関連補助機器30などの車載機器の駆動を許可し、ステップS32に進む。
【0029】
そして制御部20は、このステップS32で車載機器28、30の作動が設定されているか否かを判断し、設定されていない場合はステップS44に進んで処理を終了し、設定されている場合はステップS34に進む。このステップS34では、次回運転開始時刻設定装置(タイマー含む)22により(次回)運転開始時刻が設定されているか否かを判断し、設定されていない場合はステップS44に進んで処理を終了し、設定されている場合はステップS36に進んで外気温度検出装置26により外気温度を検出する。
【0030】
そして制御部20は、ステップS38で外気温度検出装置26からの検出温度に基づいて、空調装置282、シートヒート装置284などの車内環境快適化機器28により車内温度やシート温度が快適温度となるまでの時間、及び触媒プリ加熱装置302、車窓凍結解除装置304などの走行関連補助機器30により排ガス触媒が活性化されたり車窓凍結が解除されるまでの時間を算出し、次回運転開始時刻設定装置22に設定された次回運転開始時刻からこの算出した時間を引いて、車内環境快適化機器28、走行関連補助機器30をそれぞれ駆動開始する時刻を決定する。
【0031】
そしてステップS40で、ここで決定した時刻になったか否かを判断し、その時刻になったら、すなわち次回運転開始時刻設定装置22に設定された時刻より前にステップS42で、これら車内環境快適化機器28、走行関連補助機器30の駆動を開始し、次回運転開始時刻には、車内環境の快適化と走行関連補助機器30による排ガス触媒の活性化と車窓凍結の解除が行われている状態にし、ステップS44で終了する。
【0032】
このようにすることで、2次電池充電量が必要充電量に至っていない場合は車載機器の駆動が禁止されるから、車内環境が快適化されたり排ガス浄化用触媒が排ガス浄化可能温度まで上昇しているのに、次回走行距離を走行できるだけの充電がなされていない、といった事態を生じることがなく、また、車載機器の駆動許可がされた場合は、車内環境快適化機器28、走行関連補助機器30が次回運転開始時刻前に駆動を開始するから、次回運転開始時刻には、車内環境が快適化されると共に、排ガス浄化用触媒を活性化した状態となり、汚れた排ガスを排出したり暖機運転で余分な燃料を消費することも防ぐことができる。
【0033】
なお、以上の説明では、車内環境快適化機器28として空調装置282、シートヒート装置284を挙げたが、この他に例えばステアリングを人肌程度の温度にする装置などが女性ドライバーなどから提案されており、また、走行関連補助機器30としては触媒プリ加熱装置302、車窓凍結解除装置304以外にも走行安全を確保するための装置など、事前の加熱を要するものなどに利用できることは自明である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、2次電池12の充電を優先し、かつ、車載機器駆動を許可した場合は運転開始時刻に、温度などの車内環境快適化、排ガス浄化用触媒の活性化など、走行関連補助機器が動作するようにでき、快適な運転環境を作ることのできるプラグインハイブリッド車を提供することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 外部電源用プラグ
12 2次電池(バッテリ)
13 SOC検出部
14 充電制御装置
16 電源装置
18 外部電源接続検出装置
20 制御部
22 次回運転開始時刻設定装置(タイマー含む)
24 次回走行予定距離設定装置
26 外気温度検出装置
28 車内環境快適化機器
282 空調装置
284 シートヒート装置
30 走行関連補助機器
302 触媒プリ加熱装置
304 車窓凍結解除装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置を含む車内環境快適化機器、及び排ガス浄化用触媒プリ加熱装置を含む走行関連補助機器を含む車載機器と、エンジンと、モータと、該モータ及び前記車載機器に電力供給可能な2次電池と、外部電源からの電力を前記2次電池の充電及び前記車載機器駆動用として供給する電源装置と、を有したプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置であって、
前記車載機器駆動制御装置は、前記電源装置の外部電源への接続を検出する外部電源接続検出装置と、次回走行予定距離を設定する次回走行予定距離設定装置と、前記2次電池の充電量の検出装置と、前記車載機器の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記2次電池充電量検出装置の検出した充電量から走行可能距離を算出し、該算出した走行可能距離と前記次回走行予定距離設定装置に設定された次回走行予定距離とを比較して、前記走行可能距離が前記次回走行予定距離に至っていない状態で前記車載機器の駆動禁止を、至った状態で前記車載機器の駆動許可を行うよう構成されていることを特徴とする、プラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記次回走行予定距離設定装置への次回走行予定距離設定が無い状態で、前記2次電池が満充電状態となるまで前記車載機器の駆動禁止を継続するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載したプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置。
【請求項3】
前記車載機器駆動制御装置は外気温度検出装置と、次回運転開始時刻を設定する次回運転開始時刻設定装置とをさらに備え、前記制御部は前記車載機器の駆動許可状態で、前記外気温度検出装置からの検出温度に基づき、前記車内環境快適化機器により車内が快適環境となるまでに要する時間と、前記走行関連補助機器が正常動作状態となるまでに要する時間とを算出し、次回運転開始時刻設定装置に設定された次回運転開始時刻と前記算出した時間とから、次回運転開始時刻に車内環境が快適化され、走行関連補助機器が正常動作しているように前記車載機器の駆動開始時刻を設定するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載したプラグインハイブリッド車における車載機器駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−220407(P2010−220407A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64777(P2009−64777)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】