説明

プラグイン車両の充電制御装置及び車両用ナビゲーション装置

【課題】電力単価が最も安い太陽光発電を最大限利用してバッテリを充電しながら、無駄な充電を実行してしまうことがないプラグイン車両の充電制御装置及び車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】カーナビ5は、使用者が入力した翌日の到着予定時間及び目的地に基づいて次の走行時に必要となる予想消費電力量を求め、翌日の天気情報及び日出・日没時間に基づいて次の出発予定時刻まで太陽光発電により最大限充電する充電スケジュールを作成し、当該充電スケジュールに従ってバッテリ4に対する充電を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電による電力源と他の電力源からの充電が可能なプラグイン車両の充電制御装置及び車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラグイン車両に搭載されているバッテリへの充電を、複数種類の電力源のうち電力単価の安い順に最大限利用して充電すると共に電力単価が最も安い太陽光発電による充電時間を天気予報に基づいて調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−148121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1のものによれば、電力単価が最も安い太陽光発電を最大限利用してバッテリに充電することができるので、充電コストの低減を図ることができる。
しかしながら、特許文献1のものは、次の出発予定時刻まで太陽光発電と天気予報とから最適な充電計画を実現することができるものの、次の走行に必要な充電量が少ない場合であっても、太陽光発電による充電時間以外の時間帯は商用電力源による充電が実施されてしまって安価な充電を実現できないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電力単価が最も安い太陽光発電を最大限利用してバッテリを充電しながら、無駄な充電を実行してしまうことがないプラグイン車両の充電制御装置及び車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によれば、次の出発予定時刻まで太陽光発電によりバッテリを最大限充電することができるので、充電コストの低減を図ることができる。この場合、天気が悪い場合であっても、天気予報に基づいて充電スケジュールを作成するので、太陽光発電による充電電力量が次の走行に必要となる予想消費電力量よりも少ない場合であっても、他の電力源から充電することにより次の走行時に充電電力量の不足を生じることを回避できる。
請求項2の発明によれば、太陽光発電による充電電力量が不足した場合は、商用電力源によりバッテリを確実に充電することができる。この場合、電力単価が他の時間帯よりも安い時間帯である例えば深夜電力時間帯による商用電力源を最大限利用して充電することができるので、商用電力源による充電コストの低減を図ることができる。
【0006】
請求項3の発明によれば、通勤で走行する経路は一定であることから、過去の消費電力量に基づいて次の通勤時に必要となる予想消費電力量を精度よく求めることができる。
請求項4の発明によれば、太陽光発電の充電中に天気が悪くなって充電不足を生じるような場合であっても適切に対処して充電不足を未然に防止することができる。
請求項5の発明によれば、プローブ車両がルートを走行した際の消費電力量を用いて次の走行に必要な予想消費電力量を求めるので、予想消費電力量の精度を高めることができる。
請求項6の発明によれば、自車が過去にルートを走行した際の消費電力量を用いて次の走行に必要な予想消費電力量を求めるので、予想消費電力量の精度を一層高めることができる。
請求項7の発明によれば、天気情報、或いは現在位置情報等を取得する機能を備えたカーナビゲーション装置を利用して実施することができるので、容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成を概略的に示す機能ブロック図
【図2】カーナビゲーション装置による充電手順を示すフローチャート
【図3】カーナビゲーション装置による翌日の必要電力量の算出を示すフローチャート
【図4】カーナビゲーション装置による充電スケジュールの作成を示すフローチャート
【図5】充電スケジュールの一例を示す図
【図6】本発明の第2実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図5を参照して説明する。
図1は、充電制御装置の構成を概略的に示している。プラグイン車両1には充電制御装置2が搭載されている。充電制御装置2(予想消費電力量演算手段、太陽光発電量演算手段、不足電力量演算手段、充電スケジュール作成手段、充電制御手段、通勤指示手段、記憶手段に相当)は、プラグイン車両1に搭載された電力源セレクタ3、この電力源セレクタ3により充電されるバッテリ4(鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウム電池等)、電力源セレクタ3を制御するカーナビゲーション装置(以下「カーナビ」という)5から構成されている。プラグイン車両とは、車両外部から供給される電力によってバッテリ4の充電が可能な車両のことで、駆動力源としてモータのみを用いるプラグイン電気自動車と、駆動力源としてエンジンとモータとを用いるプラグインハイブリッド車があり、本実施形態ではプラグインハイブリッド車を想定する。尚、図1では、カーナビ5の基本構成は省略し、本発明に関連した構成のみを機能ブロック図で示している。このカーナビ5は、図示しない基本構成に加えて、充電制御装置2、経路計算・予測機能6(走行経路予測手段に相当)、天気予報提供機能7(天気情報取得手段に相当)、日出・日没時間データ8(日照情報取得手段に相当)を備えている。
【0009】
電力源セレクタ3には複数の充電用端子9が接続されており、それらの各充電用端子9に対応する電力源A〜Cからの電力ラインが接続可能となっている。この場合、充電用端子9に対応して接続可能な電力ラインの端子が択一的となるように構成されており、対応する電力ライン以外の他の電力ラインが接続不能となっている。電力源A〜Cとしては、電力会社から供給される商用電力源、太陽光発電によって供給される電力源、風力発電によって供給される電力源、ガスや燃料電池を用いた自家発電装置によって供給される電力源等が想定されるが、本実施形態では、商用電力源と太陽光発電による電力源の2電力源を用いた場合を説明する。太陽光発電としては、一般に住宅の屋根、或いはガレージの屋根に設置され、発電中は住宅の電力源として給電するものであるが、太陽光発電による電力源が充電用端子9に接続された状態では、車両への充電を優先し、車両への充電が終了した時点で住宅への給電に切り替えるものとする。
【0010】
電力源セレクタ3には変圧器を主体とする電力変換器が備えられており、選択された充電用端子9から供給される電力をバッテリ4に充電可能な電力に変換する。また、電力源セレクタ3には電力変換器からバッテリ4への出力端子までの通電路の電圧と検出する電圧センサ及び電流を検出する電流センサが設けられており、充電制御装置2は、電圧センサ及び電流センサによる検出値に基づいてバッテリ4に充電される電力量及び放電(図示しない駆動用モータへの給電)される電力量を演算することにより現在の充電電力量を演算可能となっている。この場合、バッテリ4への充電電力量はプラグインハイブリッド車が充電後の最初の走行時にバッテリ4のみで走行した場合に消費される電力量である。
【0011】
さて、カーナビ5に充電制御装置2を設けた理由は、バッテリ4への充電制御を実行するための充電スケジュールを作成するための情報をカーナビ5が有する機能から取得可能なことによるもので、本実施形態では、充電制御装置2の機能をカーナビ5内の図示しないプロセッサにより実現しており、次の各機能はカーナビ5が有する機能を利用している。
経路計算・予測機能6は、目的地が設定された場合は、現在位置から目的地までのルートを設定すると共に、目的地まで往復して走行するのに要するバッテリ4の消費電力量を後述するように算出する。
【0012】
天気予報提供機能7は、外部の情報センタが広域放送(ラジオ放送或いはデジタルラジオでのデータサービス)する天気予報を取得するもので、翌日(次回の走行予定日)までの天気を判定する。
日出・日没時間データ8は、緯度及び経度に対応した日出・日没時間を記憶しており、カーナビ5が取得したGPSデータが示す緯度及び経度に対応する日出・日没時間を提供する。尚、日出・日没データは、緯度及び経度に対応した標準的なデータであることから、カーナビ5が現在地の日出方向及び日没方向に位置する障害物、特に山間部にあっては周囲に位置する山の影響、都心部にあっては周囲に位置する高層ビルによる太陽光の遮光時間帯を考慮するのが望ましい。また、同一地域であっても太陽電池の設置場所によって太陽光の照射時間帯が変わるので、その照射時間帯をユーザが入力するようにしてもよい。
【0013】
さて、ユーザが次の走行のためにバッテリ4に充電する場合は、プラグイン車両1の充電用端子9に太陽光発電及び商用電力源からの電力ラインを接続した状態でカーナビ5に対して次の走行に関する情報を入力する。カーナビ5は、入力された出発時刻及び目的地に基づいて後述するように充電スケジュールを作成してバッテリ4に充電する。
図2は、カーナビ5による充電手順を示すフローチャートである。カーナビ5は、まず、充電制御装置2によりバッテリ残量をチェックする(A1)。
次に翌日(次回)の走行時の必要電力量を算出する(A2)。
【0014】
図3は、カーナビ5による翌日の必要電力量の算出を示すフローチャートである。ユーザが翌日(次回)の走行時の目的地及び到着予定時間をカーナビ5にセットすると(B1:YES)、カーナビ5は、目的地までのルートを計算し、距離と過去の燃費(電力消費)データから目的地までの往復の走行に必要な電力量(Y)を計算する。この場合、ルート通りに走行した場合の予想消費電力量としては、過去に走行したことのあるルートの場合は、その時の消費電力量に安全係数を掛けて求める。ルートが過去に走行したことがある場合は過去のデータを利用することができるものの、一部区間のみを走行したことがある場合、或いはルートが過去に走行していない場合は、走行したことのある一部区間に関してはその時のデータを使用し、走行したことのない区間、或いは走行したことのないルートに関しては、地図データから道路の傾斜(上り、下りの斜度)、信号の有無を取得して計算する(B2)。つまり、ルート中に上りが存在する場合は、その斜度及び距離に応じて平坦地を走行する際の消費電力量よりも斜度及び距離に応じて予想消費電力量を増加し、下りが存在する場合は回生電力分だけ予想消費電力量を減少する。また、ルート中に信号が多く存在する場合は、それだけ停止回数の増加により消費電力量が増大することから、信号数に応じて予想消費電力量を増大する。また、ルート中の速度制限、車線数、直線距離、或いは走行予定日の渋滞予想が得られる場合は渋滞距離等を勘案して予想消費電力量を演算する。さらに、ルート中にトンネルがある場合、或いは走行が日没後となる場合は、ライトを点灯する必要があることから、それだけ予想消費電力量を増大する。
【0015】
そして、到着予定時刻と、ルート計算の結果から必要走行時間を算出し、出発時間を逆算により決定する。例えば、到着予定時刻が午前9時、必要走行時間が1時間、目的地までの往復に必要な電力量を50Kwとする。尚、目的地で充電可能な場合はカーナビ5に対して往路のみを設定するもので、そのときの必要充電量は半分となる。
【0016】
また、プラグイン車両1を通勤に使用するユーザの場合は、目的地が同一、つまりルートが同一であり、必要な予想消費電力量を推測することが可能である。このようにユーザに簡単に通勤用に必要十分な充電を予約させるため、図示しない「通勤充電」ボタンをカーナビ5の画面上に設置し、翌日の用途が通勤であることをワンタッチで設定できるようにした。従って、カーナビ5は、「通勤充電」ボタンがオンされた場合は(B3:YES)、曜日及び予測天気と過去の電力消費統計データから必要な電力量を算出する(B4)。この場合、通勤距離が短く必要な充電電力量が太陽光発電のみで十分であると判断した場合は、日出から出勤時刻までの太陽光発電のみで充電するように制御することも可能であり、このような場合がコスト的に最も安価となる。この点は、上述したように目的地が入力され、目的地が近距離、或いは出発時刻が遅く太陽光発電による充電として十分な時間を得られる場合も同様である。このように太陽光発電のみによる充電で走行に必要な電力量が得られる場合であっても、日照時間中は太陽光発電による充電を最大限実行するのが望ましい。
ユーザがルートを設定せず(B1:NO)、さらに「通勤充電」ボタンをオンしない場合は(B3:NO)、カレンダーから通勤で使用されるかを予測し、平日なら通勤とみなし、休日ならば通勤ではないためfull充電とする(B5)制御も可能である。
【0017】
次にカーナビ5は、充電スケジュールを作成する(A3)。
図4は、カーナビ5による充電スケジュールの作成を示すフローチャートである。カーナビ5は、ユーザが出発時間を設定した場合は(C1)、翌朝の天気情報を情報センタから取得して天気予報は晴れかを判定する(C6)。天気予報が晴れの場合は(C6:YES)、内部に持つテーブルデータから晴れの場合は太陽光発電では10Kw/h(本実施形態での平均値)の発電が可能であるとする。この発電量は、晴れであっても月日及び時間帯(日出及び日没に近い時間帯は小さく、昼に最大となる)によっても異なることから、テーブルデータとしては月日及び時間帯に対応した電力量が細かく設定されている。
【0018】
カレンダー機能から翌日の日付を取得し、内部の日出、日没テーブルデータから、翌朝の日出時間を取得する。この日出、日没テーブルデータは、日本における位置(緯度、経度)と月毎の日出、日没時間との対応を記憶したものである。例えば日出時間が6時とすると、出発前に太陽光発電装置で発電されるのは、日出の6時から出発の8時までの2時間であることから、その間に充電できるのは、10kw/h×2h=20kwとなる。このため、日出前(夜間)において50kw−20kw=30kwの充電が必要となる。
【0019】
商用電力源からの充電能力を20kwとすると、日出前に30kw/20kw=1.5hの商用電力源による充電が必要となる。この場合、電力単価が他の時間帯よりも安い時間帯である深夜電力時間帯における商用電力源での充電コストが安いことから、カーナビ5は、深夜電力時間帯が1.5h以上かを判定し、以上の場合は、深夜電力で充電するようにスケジュールを作成する(C7)。尚、商用電力源での充電時間が深夜電力時間帯を上回る場合は、上回った時間帯に関しては通常の商用電力源での充電時間とする。
【0020】
これに対して、天気予報が晴れ以外の場合は(C6:NO)、太陽光発電による充電が見込めないので、商用電力の深夜電力を使用して充電するスケジュールを作成する(C8)。この場合も、商用電力源での充電時間が深夜電力時間帯を上回る場合は、上回った時間帯に関しては通常の商用電力源での充電時間とする。
【0021】
一方、「通勤充電」ボタンがオンしたとき、或いは翌日が平日の場合は(C4:YES)、毎日の出勤時間を算出し(C3)、翌日の天気予報に基づいて充電スケジュールを作成する(C6)。また、翌日が休日の場合は(C4:NO)、休日の運転履歴から運転開始時間を推測し(C5)、翌日の天気予報に基づいて充電スケジュールを作成する(C6)。
【0022】
尚、翌日の天気予報が曇或いは雨の場合は、太陽光発電でよる充電は期待できないことから、このような場合は、太陽光発電による充電は零であると見なし、深夜電力時間帯による充電を最大限含むように充電スケジュールを作成する。また、雨天によりワイパを動作させたり、ライトの点灯が予測される場合、或いはエアコンの駆動が予測される場合は、その分だけ予想消費電力量を増大させて充電スケジュールを作成する必要がある。
以上のようにして、充電スケジュールに基づいて太陽光発電に充電を最も使用し、不足電力量を深夜電力により充電し、さらに不足電力量を通常の商用電力により充電することができる。
【0023】
図5は、以上のようにして作成した充電スケジュールの一例を示している。
1:00から2:30までは商用電力源の深夜電力で充電し、6:00〜8:00までは太陽光発電で供給される電力で充電し、8:00〜9:00に往路を走行することを示している。
そして、カーナビ5は、以上のようにして作成した充電スケジュールに基づいて電力源セレクタ3を切り替えることによりバッテリ4に対する電力源を商用電力源から太陽光発電へと切り替えて充電する。
【0024】
尚、充電スケジュール上では太陽光発電しているはずの時間帯に充電電力量が極端に少ない場合は、自動的に商用電力源に切り替える。これにより、天気予報が外れた場合であっても、充電量が不足して走行に支障をきたすことを防止することができる。
また、次の走行予定日が例えば翌々日の場合は、翌日に太陽光発電のみで充電し、日没後、現在の充電電力量に基づいて翌日の充電スケジュールを作成するようにしても良い。
【0025】
このような実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
カーナビ1は、使用者が入力した翌日(次回)の走行時の到着予定時間及び目的地に基づいて次の走行時に必要となる予測消費電力量を求め、翌日の天気情報及び日出・日没時間に基づいて翌日の出発予定時間まで太陽光発電でもって最大限充電する充電スケジュールを作成し、当該充電スケジュールに従ってバッテリ4に対する充電を制御するので、充電コストの低減を図ることができる。また、太陽光発電による充電電力量が翌日の走行に必要となる予想消費電力量よりも少ない場合は商用電力源から充電するので、翌日の走行時に電力不足を生じることを回避できる。
【0026】
商用電力源で充電する場合は、深夜電力により充電するようにしたので、商用電力源により充電した場合であっても、充電コストの低減を図ることができる。
現在位置に応じた日出・日没時間を考慮した充電スケジュールを作成するようにしたので、緯度、軽度に関わらず太陽光発電による充電を最大限利用することができる。
天気情報、或いは現在位置情報を取得する機能を備えたカーナビ5により実施するようにしたので、容易に実施することができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して説明する。第1実施形態では、次に車両使用日の予想消費電力量を求める方法として、地図データから道路の傾斜、信号の有無に基づいて計算しているが、地図データから計算したデータでは精度が不十分であることが考えられる。つまり、走行したことがない区間、或いはルートについて情報源としてカーナビ5の内部の地図データを使用しているが、地図データは消費電力量計算のために設計されておらず、必ずしも適切な予想消費電力量が計算されるとは限らない。
【0028】
そこで、本実施形態では、予想消費電力量の精度を高めるために、外部の情報を使用するようにした。即ち、近年、車両の走行状態を収集する通信装置を備えた所謂プローブ車両が提供されており、そのプローブ車両と情報センタとを常時接続することにより、情報センタにおいて、多数のプローブ車両の走行情報をリアルタイムで収集して分析し、渋滞情報、降雨情報等を車両に配信することが行われている。
【0029】
このようなプローブ車両が収集する情報の一つとして、プローブ車両の走行時の消費電力量を走行ルート及び使用条件と共にアップロードすることにより情報センタのプローブ車両情報データベースに蓄える。このように蓄えられた消費電力量情報から、消費電力量の予想に使用できる情報を入手して計算に使用する。つまり、自車の使用条件(車種・乗員数と荷物重量・運転特性)を情報センタへアップロードすると、使用条件がほぼ一致するプローブ車両が存在する場合は、その消費電力量がダウンロードされるので、カーナビ5は、ダウンロードされた消費電力量を予想消費電力量として使用し、自車が走行したルートと同様に扱う。この場合、情報センタから取得した消費電力量を自車が走行した場合の情報として登録してもよい。
【0030】
情報センタは、アップロードされた使用条件がほぼ一致するプローブ車両が存在しない場合は、類似の使用条件のプローブ車両が存在するかを判定し、類似する使用条件でのプローブ車両が存在する場合は、そのプローブ車両の消費電力量情報をダウンロードする。カーナビ5は、ダウンロードされた消費電力量情報に自車との違いに相当する補正係数を掛けた上で、予想消費電力量を計算する。つまり、自車とプローブ車両の使用条件がほぼ一致する場合は、プローブ車両により登録されている消費電力量をそのまま予想消費電力量として使用することができるが、使用条件が異なる場合はプローブ車両の消費電力量をそのまま予想消費電力量として使用できないことから、プローブ車両の消費電力量を補正するのである。
また、プローブ車両としてガソリン車、ディーゼル車などの電気自動車、ハイブリッドカーではない車両の情報しか得られなかった場合でも、そのガソリン車、ディーゼル車の消費電力量から、自車が走行したと仮定した場合の予想消費電力量を予測することは可能である。
【0031】
以上のような要素を考慮した計算式の一例を以下に示す。
予想消費電力量=プローブ車両消費電力量×車両特性A×積載係数B×運転特性C
車両特性A:同一車種の場合=1、自車の重量<プローブ車両重量の場合は0<A<1、自車の重量>プローブ車両重量の場合はA>1とする。
積載係数B:自車の乗員数と荷物重量<プローブ車両の乗員数と荷物重量の場合は0<B<1、自車の乗員数と荷物重量>プローブ車両の乗員数と荷物の場合はB>1とする。
運転特性C:プローブ車両の加減速の頻度が自車よりも高い場合は0<C<1、低い場合はC>1とする。また、プローブ車両のハンドル操作が自車よりも多い場合は0<C<1、少ない場合はC>1とする。尚、運転特性は、例えば車載センサにより収集した、同一走行道路での加減速パターン、或いはハンドル角パターンなどの類似性から判断する。
【0032】
このような補正はプローブ車両の情報をダウンロードすることによりカーナビ5でも可能であるが、カーナビ5から情報センタに自車の重量、乗員数と荷物重量等をアップロードすることにより情報センタで補正係数を求め、その補正係数、或いは計算結果をダウンロードするようにしてもよい。
【0033】
次に検索したルート通りに走行した場合の予想消費電力量の算出方法を図6のフローチャートを参照して説明する。検索したルートが過去に走行したことのあるルートの場合、その時の消費電力量に安全係数を掛けて使用する。この場合のルートとは出発地から目的地までの全てのルートという意味ではなく、目的地までのルートを構成する一部のルートという意味である。過去に走行したことのないルートの場合、プローブ車両情報データベースの中に予想消費電力量の算出に使用できるデータがあるかを判定する。つまり、使用条件が同一、或いは類似するプローブ車両が同一ルートを走行した場合の消費電力量が登録されているかを判定し、登録されている場合は、上述したように消費電力量に使用条件に対応した補正係数を掛けて使用する。
【0034】
検索したルートと同一ルートに対応した予想消費電力量が登録されていない場合は、第1実施形態と同様に、地図データから道路の傾斜、信号の有無を取得して予想消費電力量を計算する。そして、カーナビ5は、以上のようにして求めた予想消費電力量に基づいて次の充電スケジュールを作成する。
【0035】
このような実施形態によれば、カーナビ5は、検索したルートと同一ルートを走行したプローブ車両から収集した消費電力量から予想消費電力量を求め、その予想消費電力量に基づいて次の充電スケジュールを作成するので、予想消費電力量の精度を高めることができる。これにより、次にプラグイン車両を走行させる際の消費電力量が不足することを確実に防止しながら、太陽光以外の商用電力で無駄に充電してしまうことを確実に防止することができる。
また、検索ルートが過去に走行したことのあるルートの場合は、その時の消費電力量を最優先で用いて必要な予想消費電力量を算出するようにしたので、予想消費電力量の精度を一層高めることができる。
尚、情報センタに使用条件が類似するプローブ車両が複数登録されていた場合は、それらの情報を平均したものをプローブ車両情報として使用するようにしてもよい。
【0036】
(他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
上記各実施形態ではプラグイン車両としてプラグインハイブリッド車を想定したが、プラグイン電気自動車に適用するようにしても良い。この場合、バッテリが完全に放電したときは、車両を走行させることができなくなることから、充電時の安全係数を大きく設定する必要がある。
カーナビの充電制御装置に代えて、充電用ETCとして車両に搭載し、カーナビから必要な情報を取得するように構成しても良い。
カーナビにより天気情報を監視し、天気情報が変更となった場合は、充電スケジュールを見直すようにしても良いし、ユーザが充電スケジュールを手動で変更可能としても良い。また、渋滞情報を取得した場合は、出発予定時間を早くなるように変更し、それに合わせて充電スケジュールを変更するようにしても良い。
商用電力として100Vライン、200Vラインを切り替えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0037】
図面中、1はプラグイン車両、2は充電制御装置(予想消費電力量演算手段、太陽光発電量演算手段、不足電力量演算手段、充電スケジュール作成手段、充電制御手段、通勤指示手段、記憶手段)、3は電力源セレクタ、4はバッテリ、5はカーナビゲーション装置、6は経路計算・予測機能(走行経路予測手段)、7は天気予報提供機能(天気情報取得手段)、8は日出・日没時間データ(日照情報取得手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグイン車両に搭載されたバッテリに対して太陽光発電を含む複数の電力源による充電を制御するプラグイン車両のバッテリ充電制御装置であって、
使用者が入力した情報に基づいて次の走行経路を予測する走行経路予測手段と、
前記走行経路予測手段が決定した走行経路を走行するのに必要となる予想消費電力量を求める予想消費電力量演算手段と、
次の走行までの天気情報を取得する天気情報取得手段と、
次の走行までの日照情報を取得する日照情報取得手段と、
前記天気情報取得手段が取得した天気情報及び前記日照情報取得手段が取得した日照情報に基づいて次の出発予定時間までの太陽光発電電力量を演算する太陽光発電量演算手段と、
前記太陽光発電量演算手段が求めた次の出発予定時間までの太陽光発電電力量が、前記予想消費電力量演算手段が求めた予想消費電力量よりも少ない場合は、不足電力量を演算する不足電力量演算手段と、
前記バッテリに対して前記不測電力量演算手段が求めた不足電力量を他の電力源により充電する時間、及び太陽光発電により充電する時間を示す充電スケジュールを作成する充電スケジュール作成手段と、
前記充電スケジュール作成手段が作成した充電スケジュールに従って前記バッテリに対する充電を制御する充電制御手段と、
を備えたことを特徴とするプラグイン車両の充電制御装置。
【請求項2】
他の電力源として商用電力源が設定され、
前記充電スケジュール作成手段は、商用電力源による充電を実行する時間として電力単価が他の時間帯よりも安い時間帯を最大限含むように設定することを特徴とする請求項1記載のプラグイン車両の充電制御装置。
【請求項3】
次の走行が通勤であることを指示するための通勤指示手段と、
過去の消費電力量を記憶した記憶手段と、を備え、
前記走行電力演算手段は、前記通勤指示手段により次の走行が通勤であることが指示された場合は、前記記憶手段が記憶している過去の消費電力量に基づいて必要な予想消費電力量を求めることを特徴とする請求項1または2記載のプラグイン車両の充電制御装置。
【請求項4】
前記充電制御手段は、太陽光発電による充電中に充電電力量が不足していると判断したときは、他の電力源に切り替えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプラグイン車両の充電制御装置。
【請求項5】
情報センタに登録されているプローブ車両の消費電力量を取得する消費電力量取得手段を備え、
前記予想消費電力量演算手段は、前記情報センタに自車と類似するプローブ車両が検索ルートと同一ルートを走行していた場合は、前記消費電力量取得手段が取得したプローブ車両の消費電力量から次の走行に必要な予想消費電力量を求めることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプラグイン車両の充電制御装置。
【請求項6】
前記予想消費電力量演算手段は、前記検索ルートが自車が過去に走行したことのあるルートの場合は、その時の消費電力量を用いることを特徴とする請求項5記載のプラグイン車両の充電制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れかに記載されたプラグイン車両の充電制御装置を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−188729(P2011−188729A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170418(P2010−170418)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】