説明

プラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト

【課題】黒色層と導電層が一体化したプラズマディスプレイパネルのバス電極を形成することができ、黒色顔料使用量の減少で製造費用節減と共に低温焼成が可能であり、高解像度電極パターン形成が可能であり、抵抗の増加なしにプラズマディスプレイパネルの黒色度を改善させることができるプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペーストを提供する。
【解決手段】本発明によるプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペーストは、a)電極用金属粉末40〜80重量部と、b)V25−P25系、又はV25−P25系とBi23−ZnO−B23系混合の黒色ガラスフリット1〜10重量部と、c)Cu−Co−Mn系黒色顔料1〜7重量部と、d)感光性有機成分7〜40重量部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイパネル(以下、‘PDP’という)において黒色層と導電層が一体化したバス電極形成用感光性ペーストに関するものであって、黒色顔料の使用量を減少させて製造費用節減と共に低温焼成が可能であり、高解像度電極パターン形成が可能であり、抵抗の増加なしに黒色度を改善させることができる。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ装置において、大型化、高密度化、高精密化、及び高信頼性の要求が高まることによって、色々なパターン加工技術の開発が行われており、またこのような多様なパターン加工技術に適した各種の微細電極形成用ペーストに関する研究と生産費を減らせる方法に関する研究が活発に行われている。
【0003】
PDPは、液晶パネルと比較するとき応答速度が速く、大型化が容易であって、現在多様な分野に利用されており、図1に示したように、透明基板110の下面にスキャン電極120及び維持電極130が形成された上部基板100と、アドレス電極210及び隔壁220が形成された下部基板200とを含む構造を有している。従来このようなPDPを形成する方法では、上部基板をなすガラスなどの透明基板上にITO等からなる透明電極(層)を形成させ、その上に2回の印刷工程を通して、コントラスト向上及びバス電極をなす金属ラインの反射光を除去するためにガラスフリット及び黒色顔料を含むペーストで形成させた黒色層、及びその上に別途に電気伝導性に優れた金属粉末及びガラスフリットを含むペーストで形成させた導電層を形成することによって2層構造のバス電極を形成させてPDP上部基板を製造した。
【0004】
しかし、このようなバス電極の形成方法は、黒色層と導電層の2層構造の形成のためにそれぞれのペーストを使用するため工程費用が高く、黒色層と導電層の結合による問題のため製品物性に悪影響を及ぼして不良率が高く、570℃以上の高温で焼成が行われるため工程費消耗が大きいという問題点があり、これを解決するために多様な研究を行っているのが実情であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、製造費用節減と共に低温焼成が可能であり、高解像度電極パターン形成が可能であり、抵抗の増加なしに黒色度を改善させることができる、黒色層と導電層が一体化したPDPバス電極形成用感光性ペーストを提供することを目的とする。
また、本発明は、前記電極形成用感光性ペーストを使用したPDPの製造方法及びこれを含むPDPを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明は、a)電極用金属粉末40〜80重量部と、b)V25−P25系、又はV25−P25系とBi23−ZnO−B23系混合の黒色ガラスフリット1〜10重量部と、c)Cu−Co−Mn系黒色顔料1〜7重量部;及び、d)感光性有機成分7〜40重量部とを含む、PDP電極形成用感光性ペーストを提供する。
【0007】
本発明はまた、a)前記電極形成用感光性ペーストを透明基板上に塗布する工程と、b)前記電極形成用感光性ペーストが塗布された透明基板を露光し、現像して電極パターンを形成する工程と、c)前記電極パターンが形成された透明基板を焼成して電極を形成する工程とを含むPDPの製造方法を提供する。
また本発明は、前記方法で製造されたPDPを提供する。
好ましくは、前記PDP電極は黒色層と導電層が一体化したバス電極である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるPDP電極形成用感光性ペーストは、黒色顔料の使用量を減少させて低温焼成が可能であり、高解像度電極パターン形成が可能であり、抵抗の増加なしにPDPでの黒色度を改善させることができる。
また、本発明によって、黒色層と導電層が一体化したバス電極を製造することによって、従来2段階のバス電極形成工程を1段階に減らしてPDP製造工程を単純化し、黒色顔料の使用量を減少させて製造費用を顕著に節減でき、PDP電極製造による不良を著しく減少させることができる。だけでなく、前記ペーストは自体感光性であるため、電極形成時のドライフィルムレジスト又はフォトレジストが必要なくて、電極製造時の費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一般的なプラズマディスプレイパネルの構造を概略的に示した図面である。
【図2】本発明のプラズマディスプレイパネルの一実施例に係る上部基板構造一部の断面を示した図面である。
【図3】本発明のプラズマディスプレイパネルの他の実施例に係る上部基板構造一部の断面を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明はPDP電極形成時にV25−P25系黒色ガラスフリットを使用して黒色顔料の含量を減少させ、低温焼成が可能であり、抵抗の増加なしに黒色度を改善させることができる、黒色層と導電層が一体化したバス電極形成用感光性ペーストを提供することを特徴とする。
【0011】
つまり、本発明の一実現例による電極形成用感光性ペーストは、a)電極用金属粉末と、b)V25−P25系、又はV25−P25系とBi23−ZnO−B23系混合の黒色ガラスフリットと、c)黒色顔料と、d)感光性有機成分とを含み、好ましくは、a)電極用金属粉末40〜80重量部と、b)V25−P25系、又はV25−P25系とBi23−ZnO−B23系混合の黒色ガラスフリット1〜10重量部と、c)Cu−Co−Mn系黒色顔料1〜7重量部と、d)感光性有機成分7〜40重量部とを含む。
【0012】
以下、各構成成分についてより詳しく説明する。
【0013】
a)電極用金属粉末
本発明に適用される前記PDP電極形成用感光性ペーストにおいて前記a)金属粉末は、従来PDPバス電極の製造に使用される金属成分を用いることができるのはもちろんであり、具体的な例としては金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。これら金属粉末は単独で使用されたり2種以上混合して使用することができる。好ましくは、銀粉末、又は銀とアルミニウムの混合粉末を使用することができる。
【0014】
前記金属粉末は0.1〜3μmの粒径を有することがペーストの分散性及び作業性面で好ましい。金属粉末の粒径が0.1μm未満であれば露光特性が低下し、粉末自体の凝集力が強いためペースト製造時に分散が難しくて好ましくなく、3μmを超えれば感光パターンの直進性が低下し低温焼成温度領域で適切な緻密度を実現するのが難しいこともある。より好ましくは、前記粒径範囲内で多様な粒径を有する金属粉末を混合して使用するのが、タップ密度を増加させることによって低温焼成を容易なようにするため良い。
また、前記金属粉末はD10=0.1〜0.7μm、D50=0.5〜2.0μm、D90=1.4〜5μmの粒度分布を有するのが良く、好ましくは、D10=0.2、D50=0.95、D90=1.4μmである。
【0015】
前記金属粉末は4〜5g/cm3のタップ密度(tap density)を有するのが好ましく、より好ましくは、4.2g/cm3であるのが良い。前記範囲内である場合、PDP電極の焼結性及び電気抵抗をさらによくする長所がある。
また、前記金属粉末は0.5〜1.5m2/gの表面積を有するのが好ましく、より好ましくは、0.9m2/gの表面積を有するのが良い。前記範囲内である場合、焼結性に影響を与えるタップ密度を向上させる長所がある。
【0016】
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストにおいて金属粉末は全体ペーストに対して40〜80重量部で含むのが良く、前記範囲内である場合、電極の電気抵抗、基板との密着性、焼結性及び電極パターン現像性において全て良い。
【0017】
b)黒色ガラスフリット
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストに使用されるb)黒色ガラスフリットは基材との密着性及び焼成強度を強化させる作用を果たし、黒色度を増加させる作用を果たすことによって前述のように黒色層と導電層(金属層)が一体化したPDP電極を形成することができるようにする。
【0018】
前記黒色ガラスフリットは、1)V25−P25系、又は2)V25−P25系とBi23−ZnO−B23系混合の黒色ガラスフリットを使用することができる。
好ましくは、前記1)V25−P25系黒色ガラスフリットとしてはV25−P25−ZnO−BaOガラスフリットを使用することができ、さらに好ましくは、V2535〜50モル%、P2525〜35モル%、ZnO5〜15モル%、及びBaO5〜15モル%を含むのが良く、ここにLi2O、又はR23(ここで、Rは金属性元素である)0〜15モル%を選択的にさらに含むことができる。より好ましくは、V25が黒色ガラスフリットの40モル%含まれるのが黒色度面で有利であり、また、V25とP25の合計がガラスフリットの少なくとも70モル%を含むのが良い。
【0019】
また、前記2)Bi23−ZnO−B23系黒色ガラスフリットとしてはBi23−ZnO−B23−SiOガラスフリットを用いることができ、好ましくは、Bi231〜15モル%、ZnO1〜15モル%、Bi2340〜80モル%、SiO1〜10モル%を含むのが良く、ここにR230〜15モル%(ここで、RはAlなどの金属性元素である。)を選択的にさらに含むことができる。
【0020】
25−P25系とBi23−ZnO−B23系の混合使用時、V25−P25系は重量比で少なくとも33%以上であるのが良い。
【0021】
また、前記黒色ガラスフリットはガラス転移温度(Tg)が340〜370℃であるのが好ましい。前記範囲内のガラス転移温度を有する時、450〜500℃での低温焼成が可能である。
【0022】
また、前記黒色ガラスフリットの平均粒度は0.05〜3μmであるものを使用するのが良い。この場合、ペーストの分散性と精密な構造のPDP電極形成にさらに良いという長所がある。
【0023】
好ましくは、前記黒色ガラスフリットは黒色度(色L*)が標準白色プレートを使用して補正した色彩計(ミノルタ(Minolta)CR300)を使用して測定する時に数値が30以下であるのが良く、さらに好ましくは数値が20以下であるのが良い。前記L*は純粋黒色を0とし、純粋白色を100とした場合を示すものであって、0に近いほど純粋な黒色を示す。この場合、一体化したPDP電極の黒色度を40以下になるようにし、ペーストの電気的特性を同時に満足させることができる。
【0024】
本発明によって前記PDP電極形成用感光性ペーストに使用されるb)黒色ガラスフリットは1〜10重量部で含まれるのが良い。前記範囲内である場合、基材との密着性及び良好な電気抵抗を得ることができる。
【0025】
c)黒色顔料
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストに使用されるc)黒色顔料はコントラストを向上させる作用を果たす。
【0026】
前記黒色顔料としてはCu−Co−Mn系黒色顔料を用いることができ、選択的に従来PDP電極の黒色層の形成に使用された黒色顔料、例えばCu−Cr系又はコバルト系黒色顔料を追加的にさらに含むことができる。
【0027】
また、前記黒色顔料の平均粒度は0.05〜0.1μmであるものを使用するのが良い。この場合、ペーストの分散性と精密な構造のPDP電極形成にさらに良いという長所がある。
【0028】
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストに使用されるc)黒色顔料は1〜7重量部で含まれるのが良い。前記範囲内である場合、黒色度及び電気抵抗を良好に示すことができる。
【0029】
好ましくは、本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストにおいて、前記b)黒色ガラスフリットとc)黒色顔料は1.5:1〜1:2の重量比で含まれるのが良い。前記範囲内である場合、40以下の黒色度及び15uΩcm以下の比抵抗を有する電極を製造することができ、これによって、一体化したPDP電極の黒色度、基材との密着性及び電気抵抗を同時に良好なようにし、ペーストの単価を低廉にする効果がある。
【0030】
d)感光性有機成分
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストに使用されるd)感光性有機成分はフォトリソグラフィ工程を適用できる感光性樹脂組成物を用いることができ、好ましくは、i)有機バインダー;ii)架橋性モノマー;及びiii)光開始剤を含むことができる。
【0031】
i)有機バインダー
前記i)有機バインダーは焼成前ペースト成分の結合及び現像性を付与する作用を果たし、好ましくは、アクリレート系樹脂が良く、前記アクリレート系樹脂は不飽和カルボン酸単量体、芳香族単量体、及びアクリル単量体を重合して製造することができる。
【0032】
前記不飽和カルボン酸単量体は高分子内の水素結合を通して高分子の弾性を増加させる作用を果たし、具体的にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、又はこれらの酸無水物形態などを使用することができる。
【0033】
前記不飽和カルボン酸単量体はアクリレート系樹脂製造時使用される総単量体に20〜70重量%で含まれるのが好ましく、含量が前記範囲内である場合には高分子の弾性特性、重合時ゲル化の防止、及び重合度調節を全て満足させることができるため良い。
【0034】
前記芳香族単量体は基材との密着性と安定的なパターンを形成させる作用を果たし、具体的に、スチレン、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−ニトロフェニルアクリレート、4−ニトロフェニルアクリレート、2−ニトロフェニルメタクリレート、4−ニトロフェニルメタクリレート、2−ニトロベンジルメタクリレート、4−ニトロベンジルメタクリレート、2−クロロフェニルアクリレート、4−クロロフェニルアクリレート、2−クロロフェニルメタクリレート、又は4−クロロフェニルメタクリレートなどを使用することができる。
【0035】
前記芳香族単量体はアクリレート系樹脂製造時使用される総単量体に10〜40重量%で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは、15〜25重量%で含まれるのが良い。含量が前記範囲内である場合、基材との密着性、パターンの接着力、形成されたパターンの直進性、安定的なパターン実現、焼成工程時容易な除去を全て満足させることができるため良い。
【0036】
前記不飽和カルボン酸単量体と芳香族単量体以外に、アクリレート系樹脂製造時使用されるアクリル単量体は高分子のガラス転移温度と極性を調節する作用を果たす。
【0037】
前記アクリル単量体は2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、又はn−ブチルアクリレートなどを用いることができ、その含量は高分子のガラス転移温度、耐熱性、基材との親密性などを考慮して、アクリレート系樹脂製造時使用される総単量体に20〜60重量%で含まれるのが良い。
【0038】
このような単量体を重合して製造されるアクリレート系樹脂は、不飽和カルボン酸単量体、芳香族単量体、及びアクリル単量体のゲル化を防止し適切な揮発性を制御することができるように溶媒下で重合して製造することができる。
【0039】
前記溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチルエーテルプロピオネート、テルピネオール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアミノフォルムアルデヒド、メチルエチルケトン、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ガンマブチロラクトン、又はエチルラクテートなどを単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0040】
このような単量体を溶媒の存在下で重合して得られた前記アクリレート系樹脂は重量平均分子量が10,000〜100,000であるのが好ましく、さらに好ましくは、20,000〜50,000であるのが良い。前記範囲内である場合には現像性が良くなるという長所がある。
【0041】
本発明で前記有機バインダーは感光性有機成分の5〜30重量部で含まれるのが好ましく、前記範囲内である場合には微細電極パターンの形成に適し、作業性が良くなり、焼成時パターンのもつれなどが発生しない。
【0042】
ii)架橋性モノマー
また、前記ii)架橋性モノマーはペーストに光硬化性を付与し現像性を促進する作用を果たし、具体的な例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレートなどを単独又は混合して使用したり、又はフタル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸などの多塩基酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのポリエステルを使用することができる。
【0043】
前記架橋性モノマーは感光性有機成分に1〜10重量部で含まれるのが良く、前記範囲内である場合には微細電極パターンの形成に適合する。
【0044】
iii)光開始剤
また、前記iii)光開始剤は光反応を開示させる成分であって、具体的な例として、2,4−ビストリクロロメチル−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−p−メトキシスチリル−4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−4−メチルナフチル−6−トリアジンなどのトリアジン系化合物;ベンゾフェノン、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾイン系化合物;2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物;キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソブチルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン系化合物;又は2,2−ビス−2−クロロフェニル−4,5,4,5−テトラフェニル−2−1,2−ビスイミダゾール、2,2−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾールなどのイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0045】
前記iii)光開始剤は感光性有機成分の1〜10重量部で含まれるのが好ましい。その含量が1重量部未満である場合には硬化度が低下し、低い感度によって正常的なパターン形状の実現が難しくなり、パターンの直進性にも良くないという問題点があり、10重量部を超える場合には保存安定性に問題が発生することがあり、高い硬化度によって解像度が低くなることがあり、形成されたパターン外の部分に残膜が発生しやすいという問題点がある。
【0046】
また、前記感光性有機成分は基板との接着力を増大させ、現像マージン(margin)を増大させるために重量平均分子量が300〜1000である架橋性オリゴマーをさらに含むことができる。好ましくは、前記架橋性オリゴマーはグリセリンプロポキシレイテッドトリアクリレート(GPTA)であるのが良く、使用量は感光性有機成分の0.1〜10重量部を使用するのが良い。
また、感光性有機成分はその他通常使用される添加剤をさらに含むことができる。
【0047】
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストにd)感光性有機成分は7〜40重量部で含まれるのが良い。前記範囲内である場合にはペーストの安定性、現像性及び作業性を同時に満足させることができる。
【0048】
e)添加剤
また、本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストはペースト成分の焼結を助けるために焼結助剤を選択的にさらに含むことができる。前記焼結助剤としては従来電極形成用ペーストに使用される焼結助剤を用いることができるのはもちろんで、具体的な一例としてはシルバーアセテート(silveracetate)とニトロセルロースなどを用いることができ、特にシルバー成分を含む焼結助剤を使用するのが良い。前記焼結助剤は本発明のペーストに0.1〜5重量部で含まれるのが良い。前記範囲内である場合、付着力改善、焼結性改善及び良好な電気抵抗を示すようになる。また、有機焼結助剤としてニトロセルロースを使用する場合、ニトロセルロースの急激な発熱によって有機物の完全燃焼を助け、金属粉末の焼結を助ける。
【0049】
また、このような成分を含む電極形成用ペーストは必要によって通常の添加剤である着色剤、染料、分散剤、擦痕防止剤、可塑剤、接着促進剤、速度増進剤、又は界面活性剤などを通常添加剤として使用される含量である0.01〜10重量部の範囲で追加的に含むことによって個別工程の特性による性能向上を図ることができるのはもちろんである。
【0050】
本発明に適用できる前記PDP電極形成用感光性ペーストは、前記記載した必須成分と任意の成分を所定の比率によって配合し、これをブレンダー、3軸ロール、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビードミルなどの混練機で均一に分散して得ることができる。
【0051】
本発明はまた、前記PDP電極形成用感光性ペーストを利用してPDP電極を製造する方法、及び前記方法を含むPDP製造方法を提供する。
【0052】
図2は透明電極のないPDPにおける上部基板構造一部の断面を示した図面である。
図2を参照して説明すれば、本発明によるPDP電極及びPDP製造方法は、a)前記PDP電極形成用感光性ペーストを透明基板上に塗布する工程と、b)前記PDP電極形成用感光性ペーストが塗布された透明基板を露光し現像して電極パターンを形成する工程と、c)前記電極パターンが形成された透明基板を焼成する工程とを含むことを特徴とする。これによって、PDP電極の黒色層と導電層が一体化したPDP電極として1回の印刷又はコーティング工程でPDPバス電極を製造することができる。
【0053】
前記透明基板はPDP上板であって、公知のPDP電極製造に適用されるガラスを含む多様な透明材がこれに該当できる。
【0054】
前記ペーストの塗布は通常のペースト印刷方法又はコーティング方法を用いることができる。好ましくは、スクリーン印刷及びテーブルコーティング法が好ましい。
【0055】
また、基板上にペーストが塗布された後乾燥、露光、現像及び焼成の一連の電極形成はPDP電極形成時使用される公知の工程を適用することができる。本発明による感光性ペーストは黒色顔料の含量が低いため、450〜500℃の低温での焼成が可能であり、焼成膜の厚さ3〜10μm、線幅30〜100μmの高解像度パターンの形成が可能である。
【0056】
図3は透明電極を含むPDPにおける上部基板構造一部の断面を示した図面である。
図3を参照して説明すれば、本発明によるPDP電極及びPDP製造方法は、a)透明基板にスキャン電極又は維持電極形成のための透明電極を形成する工程と、b)前記透明電極が形成された透明基板に前記記載のPDP電極形成用感光性ペーストを塗布する工程と、c)前記PDP電極形成用感光性ペーストが塗布された透明基板を露光し現像して電極パターンを形成する工程と、d)前記電極パターンが形成された透明基板を焼成して電極を形成する工程とを含む。
【0057】
これによって、前述のような効果を得ることができ、この場合も前記透明基板は公知のPDP電極製造に適用されるガラスを含む多様な透明材がこれに該当でき、前記透明電極はITOを含む多様な透明電極用材質がこれに適用されるのはもちろんである。
前記印刷及び印刷後の乾燥、露光、現像及び焼成工程は先に説明したものと同一である。
【0058】
このような本発明のPDP製造方法によれば、従来黒色層と導電層を形成させるために別途の2つのペーストを印刷して2回の工程を経てPDP電極を形成することに照らして、フォトリソグラフィ設備を使用して別途の設備増加なしに黒色層と導電層の一体化したPDPバス電極を形成することができ、工程を単純化し、黒色顔料の使用量を減少させてPDP製造費用を顕著に節減することができ、PDP電極製造による不良を著しく減少させることができる。
【0059】
また、本発明の製造方法によって、バス電極を構成する黒色層の機能は反射防止及び蛍光体から発散された光の透過を防止することであり、白色層の機能は電気信号の伝達にあるので、これを同時に満足する条件である黒色度が最大に40であり、比抵抗が最大に15uΩcmである伝導性黒色系物質層の1層構造としてバス電極を得ることができる。好ましくは、黒色度が40以下であり、比抵抗が10μΩcm以下である伝導性黒色系物質層でバス電極を構成するのがコントラスト及び電気伝導度側面で良い。
【0060】
本発明はまた、このような製造方法によって製造されたプラズマディスプレイパネルを提供する。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0062】
実施例1−1:PDP電極形成用感光性ペーストの製造
プロピレングリコールモノメチルエーテルを溶媒として、メタクリル酸(MA):ベンジルアクリレート(BA):2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−HEMA):メチル(メタ)アクリレート(MMA)=30:20:10:40の重量比率で重合して製造されたアクリレート系樹脂(重量平均分子量:25,000)17重量部、架橋性モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート7重量部、光開始剤としてベンゾフェノン5重量部、球形の銀(Ag)粉末61重量部(平均粒径:1μm、タップ密度:4.2g/cm3、表面積:0.9m2/g)、Cu−Co−Mn系黒色顔料5.2重量部、V25−P25系黒色ガラスフリット(V25−P25−ZnO−BaO系としてV2545モル%、P2530モル%、ZnO12.5モル%、及びBaO12.5モル%)3重量部、及び添加剤として界面活性剤0.5重量部を混合し、これを混練機で分散させてPDP電極形成用感光性ペーストを製造した。
【0063】
実施例1−2乃至1−6:PDP電極形成用感光性ペーストの製造
下記表1に提示された含量で使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してPDP電極形成用感光性ペーストを製造した。
【0064】
【表1】

【0065】
試験例1:物性評価
前記実施例1−1乃至1−6で製造したPDP電極形成用感光性ペーストに対して下記のような方法で電気抵抗、焼結性、黒色度を測定した。その結果を下記表2に示した。
1)試片の製造
前記実施例1−1乃至1−6で製造した電極形成用ペーストをガラス基板上に10μmの厚さでスクリーンプリンティング法を利用して全面印刷した後、ボックス型乾燥炉で140℃で10分間乾燥させて、溶媒成分を完全に揮発させた。乾燥された試験片に対して200mJ/cm2及び400mJ/cm2の露光量でそれぞれUV照射した後、0.2重量%のNa2CO3水溶液で現像し、純水(DI water)で洗浄した後、前記過程でパターンが形成された基板を10℃/分で500℃まで昇温させ、10分間維持させて焼成して試験片を製造した。
2)比抵抗
前記製造された試験片に対してパターンの膜の厚さと抵抗値から比抵抗を計算した。
3)焼結性
焼成後試片の表面及び断面をSEM測定によって組織観察し、下記のような評価基準によって評価した。
<評価基準>
不良:気泡が発生し表面と断面状態が緻密でない場合
不十分:気泡は発生しなかったが、表面と断面状態が緻密でない場合
良好:気泡が発生せず、表面と断面状態が緻密な場合
4)黒色度(色L*)
標準白色プレートを使用して補正した色彩計(ミノルタ(Minolta)CR300)を利用して試験片に対する黒色度を測定した。
5)焼成線収縮率(%)
露光及び現像工程後パターン幅を測定し、焼成した以後パターン幅を測定して、パターン幅の減少比率を定量化した。
【0066】
【表2】

【0067】
前記表2に示したように、本発明による実施例1−1乃至1−6のPDP電極形成用感光性ペーストは焼結性が良好であり、比抵抗が15μΩcm以下であり、黒色度が40以下であって、PDPバス電極の黒色層と導電層の役割を同時に遂行できるのを確認することができた。また、0.5μm乃至1μm範囲内の平均粒径を有する銀粉末を用いた実施例1−1、1−3及び1−6は実施例1−2、1−4、及び1−5より低い焼成線収縮率を示した。
【0068】
実施例2−1乃至2−3、及び比較例1乃至3:PDP電極形成用感光性ペーストの製造
下記表3に提示された含量で使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してPDP電極形成用感光性ペーストを製造した。
【0069】
【表3】

【0070】
試験例2:物性評価
前記実施例2−1乃至2−3、及び比較例1乃至3で製造したPDP電極形成用感光性ペーストに対して前記試験例1と同じ方法で電気抵抗、焼結性、黒色度を測定した。その結果を下記表4に示した。
【0071】
【表4】

【0072】
前記表4に示されているように、本発明による実施例2−1乃至2−3のPDP電極形成用感光性ペーストは全て優れた焼結性、比抵抗、黒色度及び焼成線収縮率を示した。
しかし、黒色顔料の含量の高い比較例1乃至3は実施例2−1乃至2−3に比べて高い比抵抗と焼成線収縮率を示し、焼結性面では顕著に劣化した特性を示した。
【0073】
実施例3−1乃至3−5、及び比較例4:PDP電極形成用感光性ペーストの製造
下記表5に提示された含量で使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施してPDP電極形成用感光性ペーストを製造した。下記Bi23−ZnO−B23系は日本山村硝子株式会社のガラスフリットを使用した。
【0074】
【表5】

【0075】
試験例3:物性評価
前記実施例3−1乃至3−5、及び比較例4で製造したPDP電極形成用感光性ペーストに対して前記試験例1と同じ方法で電気抵抗、焼結性、黒色度を測定した。その結果を下記表6に示した。
【0076】
【表6】

【0077】
前記表6に示されているように、本発明による実施例3−1乃至3−5のPDP電極形成用感光性ペーストは全て優れた焼結性、比抵抗、黒色度及び焼成線収縮率を示した。これに反し、黒色ガラスフリットとしてBi23−ZnO−B23系の黒色ガラスフリット単独で使用した比較例4の場合は比抵抗、焼結性、焼成線収縮率は実施例3−1乃至3−5と同等水準であったが、黒色度で劣る特性を示した。
【符号の説明】
【0078】
10 蛍光層
20 誘電体層
30 保護層
40 ブラック帯状
100 上部基板
110 透明基板
120 スキャン電極
121 透明電極(スキャン電極側)
124 一体型バス電極(スキャン電極側)
130 維持電極
131 透明電極(維持電極側)
134 一体型バス電極(維持電極側)
200 下部基板
210 アドレス電極
220 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)電極用金属粉末40〜80重量部と、b)V25−P25系、又はV25−P25系とBi23−ZnO−B23系混合の黒色ガラスフリット1〜10重量部と、c)Cu−Co−Mn系黒色顔料1〜7重量部と、d)感光性有機成分7〜40重量部とを含む、プラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項2】
前記V25−P25系黒色ガラスフリットが、V2535〜50モル%、P2525〜35モル%、ZnO5〜15モル%、及びBaO5〜15モル%を含むV25−P25−ZnO−BaO系黒色ガラスフリットであることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項3】
前記黒色ガラスフリットが340〜370℃のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項4】
前記金属粉末が0.1〜3μmの粒径を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項5】
前記金属粉末が4〜5g/cm3のタップ密度を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項6】
前記金属粉末が0.5〜1.5m2/gの表面積を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項7】
前記黒色顔料が0.05〜0.1μmの平均粒度を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項8】
前記黒色ガラスフリットと黒色顔料が1.5:1〜1:2の重量比で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項9】
前記感光性有機成分が、i)有機バインダー5〜30重量部と、ii)光重合性単量体1〜10重量部と、iii)光開始剤1〜10重量部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項10】
前記有機バインダーが、不飽和カルボン酸20〜70重量%と、芳香族単量体10〜40重量%と、アクリル単量体20〜60重量%とを重合して製造されることを特徴とする、請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項11】
前記感光性ペーストが、焼結助剤、着色剤、染料、分散剤、擦痕防止剤、可塑剤、接着促進剤、速度増進剤、界面活性剤及びこれらの混合物からなる群より1種以上選択される添加剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項12】
前記電極が、黒色層と導電層が一体化したバス電極であることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル電極形成用感光性ペースト。
【請求項13】
請求項1による電極形成用感光性ペーストを透明基板上に塗布する工程と、前記電極形成用感光性ペーストが塗布された透明基板を露光し、現像して電極パターンを形成する工程と、前記電極パターンが形成された透明基板を焼成して電極を形成する工程とを含むプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項14】
前記電極形成用感光性ペーストの塗布に先立ち、透明基板上に透明電極を形成する段階を追加的に含むことを特徴とする、請求項13に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項15】
前記電極が、黒色層と導電層が一体化したバス電極であることを特徴とする、請求項13に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれか一つの請求項による製造方法で製造されたプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−40360(P2011−40360A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211568(P2009−211568)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】