説明

プラズマ処理装置

【課題】複数の処理ヘッドを含むプラズマ処理装置における各処理ヘッドへの供給電力の検査を簡易に行なえるようにする。
【解決手段】プラズマ処理装置の電源10から各電極ユニット23への電力供給ライン14にプローブ取付端子30を設ける。プローブ取付端子30に、検電手段50用の高電圧プローブ40の接続端子41を抜き差し可能に接続する。プローブ取付端子30の弾性保持部31によって、接続端子41を弾性的に押さえて保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被処理物をプラズマ処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理ガスを電界印加によりプラズマ化して被処理物に接触させ、被処理物の表面をプラズマ処理する装置は公知である。
特許文献1のプラズマ処理装置には、処理ヘッドが複数設けられている。各処理ヘッドには、一対の電極からなる電極ユニットが収容されている。電極ユニットの一方の電極が、電力供給ラインを介して電源に接続されている。他方の電極が電気的に接地されている。電源からの電力供給によってこれら電極間に電界が印加され、処理ガスがプラズマ化される。これにより、処理ヘッドごとに被処理物の表面をプラズマ処理できる。
電極への供給電圧は1万ボルト以上である。
【0003】
プラズマ処理装置では、複数の電力供給ラインにそれぞれ高電圧プローブを設け、各高電圧プローブにオシロスコープを接続することにより、電力供給ラインごとの供給電力を検査することがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−116900号公報
【特許文献2】特開2000−058296号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高電圧プローブは、供給電力等の検査時以外には使用する機会がほとんどない。このような高電圧プローブを複数の電力供給ラインの各々に常備しておくのは不経済であり装置コストの上昇にも繋がる。そこで、検査の際は、1つの高電圧プローブを複数の電力供給ラインに順次接続し、複数の処理ヘッドを1つずつ順次検査することにすれば、高電圧プローブを複数設置する必要がなく、装置コストを削減できる。しかし、その場合、次の処理ヘッドの検査に移る度に、高電圧プローブを1つ前の電力供給ラインから取り外し、次の電力供給ラインに取り付ける作業を要する。高圧プローブと電力供給ラインのプローブ取付端子との接続には、従来、ネジが用いられているため、高電圧プローブを付け替えるにはネジを回す必要がある。したがって、時間がかかるだけでなく、1万ボルト以上の高電圧が印加され得る部分に触れないと作業ができない場合があり、電源をオフにして行なうにしても、作業者の負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、処理ガスをプラズマ化して被処理物に接触させてプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
前記プラズマ化のための電極をそれぞれ含む複数の電極ユニットと、
前記各電極ユニットを電源に接続する複数の電力供給ラインと、
前記各電力供給ラインに設けられ、オシロスコープ等の検電手段用の高電圧プローブの接続端子が抜き差し方向に抜き差し可能に接続されるプローブ取付端子と、
を備え、前記プローブ取付端子が、前記接続端子を前記抜き差し方向と交差する方向に弾性的に押さえて保持する弾性保持部を含むことを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、1つの高電圧プローブを使い回すことで、各電極ユニットに供給される電力等の電気特性を検査することができる。したがって、電極ユニットごとに高電圧プローブを設備する必要がなく、装置コストを削減できる。高電圧プローブは、プローブ取付端子に差し込むだけで簡単にワンタッチで接続できる。弾性保持部が高電圧プローブの接続端子を弾性的に押さえて保持することで、高電圧プローブとプローブ取付端子を確実に接続して電気的に確実に導通させることができる。検査終了後は、高電圧プローブをプローブ取付端子から引き抜くだけで、接続を簡単に解除できる。さらに、高電圧プローブを別のプローブ取付端子に差し込むだけで、高電圧プローブの付け替え作業を簡単に行なうことができる。高電圧プローブのプローブ取付端子との着脱又は別のプローブ取付端子への付け替えのためにネジを回す等の煩雑な作業をしなくても済み、高電圧が印加され得る部分に触れなくても済む。よって、作業者の負担を軽減できる。
【0008】
前記弾性保持部が、互いの間に前記接続端子を受け容れる受容凹部を形成するよう環状に並べられた複数の板バネ状の保持片を含み、これら保持片が前記受容凹部を拡縮させるよう弾性変形可能であることが好ましい。接続端子を受容凹部に差し入れると、接続端子の周囲の各保持片が外側へ押されて受容凹部が広がるように、接続端子の太さに応じて受容凹部の自然状態での断面積を設定する。これにより、複数の保持片が接続端子を互いに異なる方向から弾性的に押さえ付ける。よって、接続端子をしっかりと保持でき、かつ高電圧プローブとプローブ取付端子を電気的に確実に導通させることができる。
【0009】
前記接続端子が、球形状をなしており、前記保持片には、前記接続端子の外面の一部が嵌まる円形の保持穴が形成されていることが好ましい。これにより、保持片の保持穴の周縁部分が接続端子の外面に弾性を持って押し当てられる。よって、接続端子を一層しっかりと保持でき、かつ高電圧プローブとプローブ取付端子を電気的に確実に導通させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1つの高電圧プローブを使い回すことで、各電極ユニットに供給される電力等の電気特性を検査することができる。したがって、電極ユニットごとに高電圧プローブを設備する必要がなく、装置コストを削減できる。高電圧プローブは、プローブ取付端子に差し込むだけで簡単にワンタッチで接続でき、そのプローブ取付端子から引き抜いて別のプローブ取付端子に差し込むだけで簡単に付け替えることができる。高電圧プローブのプローブ取付端子との着脱又は別のプローブ取付端子への付け替えのためにネジを回す等の煩雑な作業をしなくても済み、高電圧が印加され得る部分に触れなくても済む。よって、作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の基本構成を示す模式図である。
【図2】上記プラズマ処理装置のプローブ取付端子の具体的態様を示す斜視図である。
【図3】上記プローブ取付端子に高電圧プローブを接続した状態を示す正面断面図である。
【図4】上記プローブ取付端子を収容したハウジングの平面図である。
【図5】上記プローブ取付端子及び高電圧プローブの接続構造の変形例を示す正面断面図である。
【図6】上記プローブ取付端子及び高電圧プローブの接続構造の他の変形例を示す正面断面図である。
【図7】上記プローブ取付端子及び高電圧プローブの接続構造の他の変形例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、被処理物9をプラズマ処理する装置1を示したものである。被処理物9は、特に限定がなく、ガラス基板でもよく、連続フィルムでもよく、半導体ウェハでもよい。プラズマ処理装置1は、電源10と、複数(図では3つ)の処理ヘッド20を備えている。
【0013】
電源10は、直流整流部11と、インバータ12(パルスユニット)と、高圧トランス13を含む。直流整流部11は、商用交流電圧を直流に整流する。インバータ12は、整流後の直流をスイッチングしてパルス状の交流電圧に変換する。高圧トランス13は、インバータ12の出力電圧を昇圧する。昇圧後の電圧は、1万ボルト以上であり、例えば15000〜17000Vである。高圧トランス13から複数(図では3つ)の電力供給ライン14が、それぞれ対応する処理ヘッド20へ延び出ている。
【0014】
各処理ヘッド20には、電界印加電極21と接地電極22の組みからなる電極ユニット23が収容されている。各処理ヘッド20ひいては各電極ユニット23の電界印加電極21に、対応する電力供給ライン14が接続されている。接地電極22は、電気的に接地されている。少なくとも一方の電極21,22の対向面には固体誘電体層(図示省略)が設けられている。電源10から電力が電力供給ライン14を介して電界印加電極21に供給され、電極21,22間に電界が印加される。これにより、電極21,22間の空間が、大気圧近傍の放電空間24になる。
ここで、大気圧近傍とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
【0015】
図示は省略するが、電極21,22間の空間24に処理ガス供給系が接続されている。処理ガス供給系は、処理目的に応じた処理ガスを電極間空間24に供給する。例えば、被処理物9の親水化処理を行なう場合、処理ガスはO、N等を含む。被処理物9の撥水化処理やエッチング処理を行なう場合、処理ガスはCF等のフッ素系成分を含む。この処理ガスが電極21,22間でプラズマ化されて被処理物9に接触する。これにより、処理ヘッド20ごとに被処理物9をプラズマ表面処理できる。
【0016】
各電力供給ライン14にプローブ取付端子30が設けられている。各電力供給ライン14から端子接続ライン15が分岐され、この端子接続ライン15にプローブ取付端子30が接続されている。複数(図では3つ)のプローブ取付端子30は、互いに同一構造になっている。電力供給ライン14、端子接続ライン15、プローブ取付端子30は、1万ボルト以上(例えば15000〜17000V)の高圧系である。プローブ取付端子30に、高電圧プローブ40の接続端子41が図1において矢印aにて示す抜き差し方向に抜き差し可能に接続される。高電圧プローブ40にケーブル51を介してオシロスコープ50(検電手段)が接続される。高電圧プローブ40は、プローブ取付端子30の電圧を1000分の1程度に降下させてオシロスコープ50に入力する。オシロスコープ50により、対応する処理ヘッド20への供給電力(供給電圧、供給電流を含む)の大きさや波形等の電気特性を検査することができる。
【0017】
プローブ取付端子30は、弾性保持部31を含む。弾性保持部31は、接続端子41を弾性的に押さえ付ける。接続端子41の押さえ方向は、抜き差し方向aと交差し、好ましくは直交している。
【0018】
図2は、プローブ取付端子30の具体的構造を示したものである。プローブ取付端子30は、ホルダ32と、端子本体33を備えている。ホルダ32は、樹脂にて構成され、上面が開放された箱状になっている。端子本体33は、金属の板にて構成され、ホルダ32の内部に水平に収容されている。端子本体33に端子接続ライン15の端部が接続されている。
【0019】
端子本体33の上面に弾性保持部31が設けられている。弾性保持部31は、4つ(複数)の保持部材34を有している。各保持部材34は、L字状に折曲された金属の板にて構成されている。保持部材34の水平な基部片35が端子本体33にネジ止め等の固定手段にて固定されている。保持部材34の垂直な保持片36が、端子本体33から上に突出されている。保持部材34は、基部片35と保持片36の角度を少し変えると元の角度に戻ろうとする弾性復元力を生じる。したがって、保持片36は、該保持片36の面と直交する方向に付勢力を発揮する板バネになっている。各保持片36の中央部には円形の保持穴37が形成されている。
【0020】
4つの保持部材34の保持片36どうしが前後左右に向き合い平面視で正方形の環状になるよう配置されている。4つの保持部材34の基部片35は互いに外側に向けられている。
【0021】
4つの保持片36どうしの間に受容凹部38が画成されている。受容凹部38は、平面視で四角形の空間になっている。4つの保持片36の各々が当該保持片36の面と直交する方向に弾性変形することで、受容凹部38が拡縮可能になっている。
【0022】
受容凹部38に高電圧プローブ40の先端の接続端子41が垂直(図1の矢印aに対応する方向)に引き抜き可能に受け入れられる。接続端子41は、球状になっている。詳しくは、接続端子41は、長径を高電圧プローブ40の軸方向(図2において上下)に向けた楕円球状になっている。接続端子41の短径は、前後又は左右に対向する2つの保持片36どうしの自然状態における距離より少し大きい。図3に示すように、接続端子41を受容凹部38内に嵌め込んだ状態では、接続端子41の軸方向の中央部(外面の一部)が各保持片36の保持穴37に少し入り込んでいる。保持片36の保持穴37の周縁部分が接続端子41の外周面に弾性を持って押し当てられている。接続端子41の先端部(下端部)が端子本体33の上面に接触している。
【0023】
図4に示すように、複数(図では3つ)のプローブ取付端子30は、ハウジング60の内部に横に並んで収容されている。ハウジング60の上板61には、プローブ取付端子30の数に対応する複数(図では3つ)のプローブ挿通穴62が形成されている。各プローブ挿通穴62は、対応するプローブ取付端子30の弾性保持部31の真上に配置されている。図3に示すように、接続端子41を受容凹部38内に嵌め込んだ状態では、高電圧プローブ40の本体部42の先端部(下端部)が、プローブ挿通穴62の周縁にて支持されている。
【0024】
上記構成のプラズマ処理装置1においては、何れのプローブ取付端子30にも高電圧プローブ40が取り付けられていない状態で、被処理物9の表面処理を行なうことができる。高電圧プローブ40は、プラズマ処理装置1全体で1つだけ設備すればよい。何れか1つのプローブ取付端子30に上記1つの高電圧プローブ40を接続した状態で、被処理物9の表面処理を行なってもよい。
【0025】
プラズマ表面処理に先立ち、或いはメンテナンス等に際して、電源10から各処理ヘッド20の電界印加電極21に供給される電力(電圧、電流を含む)の大きさや波形等の電気特性を検査するときは、電源10を停止したうえで、複数の処理ヘッド20のうち1つを選択し、その処理ヘッド20に対応するプローブ取付端子30に上記1つの高電圧プローブ40を接続する。すなわち、高電圧プローブ40の接続端子41を、上記対応するプローブ取付端子30の真上のプローブ挿通穴62からハウジング60の内部に差し入れる。更に、その接続端子41を、上記対応するプローブ取付端子30の受容凹部38内に差し込む。すると、接続端子41が各保持片36を外側へ押して受容凹部38を広げながら受容凹部38内に入る。やがて、高電圧プローブ40の軸方向の中央部が各保持片36の保持穴37に少し入り込む。このとき、各保持片36が受容凹部38を縮める方向へ僅かに戻る。そして、各保持片36の保持穴37の周縁部分が接続端子41の外周面に弾性的に押し当てられる。したがって、4つの保持片36が、接続端子41を四方から弾性的に押さえ付ける。これにより、接続端子41を弾性保持部31によってしっかりと保持できる。さらに、高電圧プローブ本体部41の下端部をプローブ挿通穴62の周縁にて支持できる。このようにして、高電圧プローブ40を、上記対応するプローブ取付端子30に簡単かつ確実に接続できる。
【0026】
その後、電源10を駆動し、電源10からの高電圧電力を電力供給ライン14を介して各処理ヘッド20に供給する。このとき、電源10からの例えば15000〜17000V程度の高電圧が、各電力供給ライン14から端子接続ライン15を介して各プローブ取付端子30の端子本体33にも印加される。更に、上記対応するプローブ取付端子30においては、上記高電圧が弾性保持部31を介して接続端子41に印加される。4つの保持片36からなる弾性保持部31が接続端子41に弾性的に押し当てられているため、弾性保持部31と接続端子41を電気的に確実に導通でき、電圧を弾性保持部31を介して接続端子41に確実に伝えることができる。この電圧が、高電圧プローブ40によって1000分の1程度まで下げられ、オシロスコープ50へ送給される。これにより、オシロスコープ50によって、上記選択した処理ヘッド20に供給される電力等の電気特性を検査することができる。
【0027】
上記1つの処理ヘッド20についての検査を終了した後、電源10を停止したうえで、高電圧プローブ40を引き上げる。すると、接続端子41が、保持片36を弾性変形させながら保持穴37から外れ、更に弾性保持部31から上へ外れる。これにより、接続端子41を上記対応するプローブ取付端子30から簡単に取り外すことができる。更に、接続端子41をプローブ挿通穴62から引き抜き、ハウジング60の外部に取り出す。
【0028】
次に、上記検査済みの処理ヘッド20を除く処理ヘッド20を新たに選択し、上述した手順と同様にして、当該新たに選択した処理ヘッド20に対応するプローブ取付端子30に高電圧プローブ40を接続する。そして、オシロスコープ50によって、当該新たに選択した処理ヘッド20への供給電力等の電気特性を検査する。検査終了後、高電圧プローブ40を引き抜く。このようにして、1つの高電圧プローブ40を複数のプローブ取付端子30に順次接続することで、全ての処理ヘッド20について電気特性を検査することができる。したがって、高電圧プローブ40は1つだけ用意すればよく、プローブ取付端子30ごとに高電圧プローブ40を設備する必要がなく、装置コストを削減できる。
【0029】
高電圧プローブ40は、プローブ取付端子30に差し込むだけで簡単にワンタッチで接続でき、そのプローブ取付端子30から引き抜いて別のプローブ取付端子30の弾性保持部31に差し込むだけで簡単に付け替えることができる。高電圧プローブ40のプローブ取付端子30との着脱又は別のプローブ取付端子30への付け替えのために、ネジを回す等の煩雑な作業は不要である。更に、端子本体33や接続端子41等の高電圧が印加され得る部分に触れる必要もない。よって、作業者の負担を軽減できる。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
図5は、高電圧プローブ40の接続端子41とプローブ取付端子30との接続構造の変形例を示したものである。プローブ取付端子本体33の上面における4つの保持片37にて囲まれた部分の中央部には、陥入凹部39が形成されている。陥入凹部39は、部分球面状になっている。この陥入凹部39にプローブ接続端子41の先端部が嵌り込んで面接触している。これによって、プローブ取付端子本体33とプローブ接続端子41との接触面積を大きくでき、高電圧プローブ40とプローブ取付端子30とを一層確実に導通させることができる。
【0031】
図6は、高電圧プローブ40の接続端子41とプローブ取付端子30との接続構造の他の変形例を示したものである。弾性保持部31の保持片36の上下方向の中央部分が、外側に円弧状に湾曲している。かつ保持片36には保持穴37が設けられていない。保持片36の円弧状の内側面が、プローブ接続端子41の外周面に弾性的に接触している。これによって、プローブ取付端子本体33とプローブ接続端子41との接触面積を大きくでき、高電圧プローブ40とプローブ取付端子30とを一層確実に導通させることができる。
【0032】
さらに、プローブ取付端子本体33の上面における4つの保持片37にて囲まれた部分の中央部には、陥入孔33hが形成されている。プローブ接続端子41の先端部が陥入孔33hに入り込むとともに陥入孔33hの上側の周縁に接している。
【0033】
図7は、高電圧プローブ40の接続端子41とプローブ取付端子30との接続構造の他の変形例を示したものである。この変形例では、プローブ接続端子41の先端面(下端面)が平らになっている。この平らなプローブ接続端子41の先端面が、プローブ取付端子本体33の上面に面接触している。これによって、プローブ取付端子本体33とプローブ接続端子41との接触面積を大きくでき、高電圧プローブ40とプローブ取付端子30とを一層確実に導通させることができる。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変をなすことができる。
例えば、処理ヘッド20、電力供給ライン14、プローブ取付端子30の数は、3つに限られず、2つでもよく、4つ以上でもよい。
弾性保持部31の板バネ状の保持片36の数は、4つに限られず、2つ又は3つでもよく、5つ以上でもよく、1つだけでもよい。
図1に示す電極ユニット23は、平行平板電極21,22にて構成されていたが、これに限られず、一対のロール電極にて構成されていてもよく、ロール電極及び平板電極にて構成されていてもよく、ロール電極及び円筒凹面を有する電極にて構成されていてもよい。
図1に示すプラズマ処理装置1は、被処理物9が各処理ヘッド20の電極間空間24の外部に配置され、電極間空間24でプラズマ化された処理ガスが電極間空間24から噴出されて被処理物9に吹き付けられる所謂リモート式のプラズマ処理装置であったが、本発明は、被処理物9が各処理ヘッド20の電極間空間24の内部に配置され、プラズマが被処理物9に直接的に照射される所謂ダイレクト式のプラズマ処理装置にも適用できる。
複数の実施形態の一部の構成要素を互いに組み合わせてもよい。たとえば、図6に示す変形態様において、プローブ取付端子本体33に孔33hに代えて図5に示す変形態様の陥入凹部39を形成してもよい。図6に示す変形態様において、プローブ取付端子本体33に孔33hを形成するのに代えて、図7に示すように、プローブ接続端子41の先端面を平取りしてプローブ取付端子本体33の上面に面接触させてもよい。
検電手段は、電気特性を検出できるものであればよく、オシロスコープ50に限られず、電圧計測器でもよく、電流計測器でもよい。
本発明は、大気圧近傍下でのプラズマ処理に限られず、減圧下でのプラズマ処理にも適用できる。
本発明は、洗浄、表面改質(親水化、撥水化等)、成膜、エッチング、アッシング等の種々の表面処理に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば液晶表示装置の偏光フィルムの製造や半導体装置の製造に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 プラズマ処理装置
9 被処理物
10 電源
11 直流整流部
12 インバータ
13 高圧トランス
14 電力供給ライン
15 端子接続ライン
20 処理ヘッド
21 電界印加電極
22 接地電極
23 電極ユニット
24 電極間空間
30 プローブ取付端子
31 弾性保持部
32 ホルダ
33 端子本体
33a 陥入孔
34 保持部材
35 基部片
36 保持片
37 保持穴
38 受容凹部
39 陥入凹部
40 高電圧プローブ
41 接続端子
42 プローブ本体部
50 オシロスコープ(検電手段)
51 ケーブル
60 ハウジング
61 上板
62 プローブ挿通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスをプラズマ化して被処理物に接触させてプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
前記プラズマ化のための電極をそれぞれ含む複数の電極ユニットと、
前記各電極ユニットを電源に接続する複数の電力供給ラインと、
前記各電力供給ラインに設けられ、検電手段用の高電圧プローブの接続端子が抜き差し方向に抜き差し可能に接続されるプローブ取付端子と、
を備え、前記プローブ取付端子が、前記接続端子を前記抜き差し方向と交差する方向に弾性的に押さえて保持する弾性保持部を含むことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記弾性保持部が、互いの間に前記接続端子を受け容れる受容凹部を形成するよう環状に並べられた複数の板バネ状の保持片を含み、これら保持片が前記受容凹部を拡縮させるよう弾性変形可能であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記接続端子が、球形状をなしており、
前記保持片には、前記接続端子の外面の一部が嵌まる円形の保持穴が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−60454(P2011−60454A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206042(P2009−206042)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】