説明

プラズマ閉じ込めのためのウエハ領域圧力制御

【課題】改善されたウエハ領域圧力制御を提供するプラズマ処理室を実現する。
【解決手段】プラズマ処理室は、プラズマを発生し維持するために接続される装置を持つ真空チャンバである。この装置の一部は、エッチング用ガス源および排気口である。閉じ込めリングはウエハ上の領域を定義する。ウエハ領域圧力はこの閉じ込めリングにわたる圧力降下に依存する。閉じ込めリングは、100%より大きいウエハ領域圧力制御範囲を提供するウエハ領域圧力制御装置の一部である。そのようなウエハ領域圧力制御装置は、所望のウエハ領域圧力制御を提供するのに用いられるホルダ上の3つの調節可能閉じ込めリングおよび閉じ込めブロックでありえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ベースのデバイスの製造のための処理装置に関する。より具体的には本発明は、プラズマ処理室においてプラズマの圧力を閉じ込め、制御する改良された技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ベースのデバイス(例えば、集積回路またはフラットパネルディスプレイ)の製造においては、材料の層群が交互に基板表面(例えば半導体ウエハまたはガラス基板)に堆積され、エッチングされる。この技術分野で知られるように、堆積された層のエッチングは、プラズマエンハンスト・エッチングを含むさまざまな技術によって達成されえる。プラズマエンハンスト・エッチングにおいては、基板上に堆積された層のエッチングはプラズマ処理室内で行われる。エッチング中、適切なエッチング用ガス源からプラズマが形成され、マスクによって保護されていない基板上の堆積層の領域をエッチングをし、それにより所望のパターンが後に残る。
【0003】
プラズマエッチングシステムの異なるタイプの中で、プラズマを基板の直上の空間に閉じ込める方法を利用するものは、効率的な製造および/またはますます小さくなる微小寸法を基板上に形成するのに非常に適していることがわかってきた。そのようなシステムの例は、共通に譲渡された米国特許第5,534,751号に挙げられており、それはここで参照によって援用される。プラズマ閉じ込めはプラズマ処理システムの性能を大きく改善するが、現在の実現例はさらに改善されえる。特に閉じ込められたプラズマの圧力の制御、および基板搬送のためのプラズマ処理空間へのアクセス容易性についてはまだ改善がなされえる。
【0004】
議論を進めるために図1(A)は、現在実現されている閉じ込めリング102を含む例示的なプラズマ処理室100を示す。プラズマ処理室100の中には、基板106が下部電極104上に位置する。下部電極104は、基板106を保持するための適切な基板チャッキング機構(例えば静電的、機械的なクランプなど)を備える。リアクタ上部110は、下部電極104に直接に対向して配置された上部電極112を備える。上部電極112、下部電極104、および閉じ込めリング102は、閉じ込めプラズマ空間116を定義する。ガスがエッチング用ガス源114によって閉じ込めプラズマ空間116に供給され、閉じ込めリング102および排気口120を通して真空ポンプによって閉じ込めプラズマ空間116から排気される。閉じ込めプラズマ空間内に実現された流れるガスおよび適切な圧力ガスを用いて、RF電力をRF電源108によって下部電極に印加し、上部電極112をグラウンドに落とすことによってプラズマがこの空間に形成される。あるいはこの技術分野でよく知られるように、RF電力を下部電極104および上部電極112の両方に印加し、または下部電極104をグラウンドに落とし、RF電力を上部電極112に印加することによって、プラズマは形成されえる。
【0005】
閉じ込めリング102は、プラズマを空間106に閉じ込め、かつプラズマの圧力を制御するようにはたらく。プラズマを空間116に閉じ込めることは、RF電力のレベルおよび周波数とともに、閉じ込めリング102間の間隔と、閉じ込めリングの外、およびプラズマ内の空間における圧力と、ガスの種類および流量とを含む多くのファクタの関数である。効率的にプラズマを閉じ込めるために、閉じ込めリング102の外の圧力は、できるだけ低く、好ましくは30ミリトール未満であるべきである。もし閉じ込めリング102の間の間隔が非常に小さいなら、プラズマの閉じ込めはより簡単に実現できる。典型的には0.15インチ以下の間隔が閉じ込めには必要とされる。しかし閉じ込めリングの間隔はプラズマの圧力をも決定し、間隔は最適な処理性能に必要な圧力を実現しながらもプラズマを維持できるように調節されえることが望ましい。
【0006】
「プラズマ処理室内の閉じ込めリングを位置づけるカム・ベースの構成」と題され、Eric H. Lenzによる2000年2月1日に発行された共通に譲渡された、参照によって援用される米国特許第6,019,060号は、閉じ込めリングにわたる圧力降下が1/(X2+Y2+Z2)という式にほぼ比例することを教示した。ここでX、YおよびZは図1(B)に示す閉じ込めリング間の距離である。Lenzは単一の可動リングおよび静止リング(図1(B)においてX=一定、Y+Z=一定)を提供する。単一の可動閉じ込めリングを動かすことで、距離YおよびZを調節することによって、Lenzに教示されるように、プラズマ圧力制御範囲が得られる。さまざまな固定ギャップXの単一リングを動かすことによって上述のように得られる式によって予測される相対的圧力を図2は示す。この式は、図2に示されるように67〜100%の制御範囲が得られ、一方で、実験によれば達成可能な範囲はほぼこれらの値の半分であることを予測する。同一の処理システム内において最適な処理結果をさまざまな種類のフィルムおよびデバイスについて達成するためには、多くの場合、より広いプラズマ圧力リングが必要とされる。
【0007】
さらにLenzによって教示される方法においては、閉じ込めリング102は上部および下部電極機構の間に制限されており、よって基板のロードおよびアンロードのための電極間スペースへのアクセスが制限されえる。図1(C)に示されるように、その最も上の位置まで上げられた閉じ込めリング102をもってしても、電極間スペースへのアクセスはギャップWに制限され、これは総電極間スペースから閉じ込めリングの厚さの合計を減じたものである。
【0008】
プラズマ閉じ込めを維持しながらも、圧力制御の範囲が大きくすることが望ましい。またプラズマ処理システムから基板を置いたり、取り除いたりすることを大きく促進する閉じ込めリングを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
上述の、および他の目的を達成するための、本発明の目的に基づいたプラズマ処理デバイスが提供される。
【0010】
真空チャンバに流体的に接続された排気口および真空ポンプ、および真空チャンバに流体的に接続されたガス源が提供される。真空チャンバ内に、500%よりも大きいウエハ領域圧力制御範囲を提供するウエハ領域圧力制御デバイスが配置される。
【0011】
さらに本発明はウエハ領域圧力を制御する方法を提供する。一般に基板は真空チャンバ内に置かれる。ガス源が真空チャンバに提供される。ガスはまた真空チャンバから排気もされる。少なくとも一つのリングが移動することによって、500%より大きいウエハ領域圧力制御範囲が提供される。
【0012】
本発明のこれらや他の特徴は以下の本発明の詳細な説明において以下の図面とともに詳細に説明される。
【0013】
本発明は添付の図面の図において限定ではなく、例示によって示されており、同様の参照番号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術によるプラズマ処理室の概略図である。
【図2】従来技術によって達成される相対圧力を示すグラフである。
【図3】本発明のある実施形態によるプラズマ処理室の概略図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態の動作のフローチャートである。
【図5】閉じ込めリングが最も上の位置にあるときの図3に示されるプラズマ処理室の断面の概略図である。
【図6】閉じ込めリングが下げられたときの図5に示されるプラズマ処理室の断面の概略図である。
【図7】閉じ込めリングがさらに下げられ、最も低いギャップがその最小値まで低減されたときの図6に示されるプラズマ処理室の概略図である。
【図8】閉じ込めリングがさらに下げられ、中間ギャップがその最小値まで低減されたときの図7に示されるプラズマ処理室の概略図である。
【図9】閉じ込めリングがさらに下げられ、最も高いギャップがその最小値まで低減されたときの図8に示されるプラズマ処理室の概略図である。
【図10】ギャップサイズの和についての圧力のグラフである。
【図11】最小ギャップサイズのさまざまな値が与えられたときのギャップサイズの和についての圧力のグラフである。
【図12】本発明の他の実施形態によるプラズマ処理室の概略図である。
【図13】本発明の他の実施形態の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面に示されるようないくつかの好ましい実施形態を参照しながら、本発明はここで詳細に説明される。本発明の完全なる理解のために以下の記載では多くの詳細が述べられる。しかし当業者には明らかなように、本発明はいくつかの、または全てのこれらの特定の詳細事項なしでも実施可能である。あるいは、よく知られたプロセスステップおよび/または構造が詳細には説明されていないかもしれないが、それは本発明の趣旨を不必要にぼかさないためである。
【0016】
議論を進めるために、図3はプラズマ処理室200の断面図である。処理室は上部212および下部214、および上部212から下部214に延びる室壁216を有する。室壁の一方の側から片側保持された下部電極ハウジング218には、固定されたチャック204があり、これは基板206がエッチング中に配置されるワークピースホルダである。チャック204は、例えば静電、機械的クランピング、真空などの適切なチャッキング技術によって実現されえる。RF電源252はチャック204に電気的に接続されえる。リアクタ上部212は上部電極224を支持し、RF電源に電気的に接続されえる。第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232、第3調節可能閉じ込めリング、および閉じ込めブロック236を備える閉じ込め機構は、処理室200内に配置される。ホルダ240は、第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232、第3調節可能閉じ込めリング234、および閉じ込めブロック236を支持するために用いられえる。ホルダ240に接続されたコントローラ242は、ホルダ240の動きを制御し、よって第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232、第3調節可能閉じ込めリング234、および閉じ込めブロック236の動きを制御する。好ましい実施形態においては、ホルダ240は、それぞれの段差において閉じ込めリングまたはブロックが留まるように段差が設けられている。この段差は、本発明の好ましい実施形態においては0.09から0.15インチ(2.28から3.81mm)の間である、閉じ込めリングおよびブロックの最大ギャップ間隔を与える。第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232および第3調節可能閉じ込めリング234はそれぞれ、スペーサ238で固定されており、これはそれぞれの閉じ込めリングおよびブロックの間の最小ギャップを固定する。この実施形態においてスペーサは、0.005から0.060インチ(0.13から1.52mm)の間の最小ギャップを与えるサイズである。エッチング用ガス源250はガスを処理室へ送る。圧力センサ262は基板206上の空間の圧力、つまり「ウエハ領域圧力」、略称「WAP」を測定する。処理室200は排気口260を有する。
【0017】
この実施形態の動作中には、コントローラ242はホルダ240を、図3に示され、詳細が図5に示されるその最も高い位置まで上げる。そのような位置では、閉じ込めリング230の下面およびチャック204の面の間のギャップが、最低でも基板206がチャック204上にロボットで配置できるのにじゅうぶんなサイズになるような高さまで、第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232および第3調節可能閉じ込めリング234、および閉じ込めブロック236が持ち上げられる。好ましい実施形態においては、このギャップは0.5インチ(12mm)のオーダーである。
【0018】
図4は本発明の好ましい実施形態の動作のフローチャートである。動作中、ホルダは第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232および第3調節可能閉じ込めリング234、および閉じ込めブロック236を図5に示される位置に持ち上げる(ステップ302)。基板206をチャック204上に置くためにはロボット機構が用いられえる(ステップ304)。コントローラ242はホルダ240をウエハ領域圧力制御開始点に降ろす(ステップ306)。ウエハ領域圧力制御開始点は、処理中にじゅうぶんな閉じ込めを維持しながら最小の圧力降下を可能にする、第1調節可能閉じ込めリング230、第2調節可能閉じ込めリング232および第3調節可能閉じ込めリング234、および閉じ込めブロック236の位置でありえる。この実施形態においては、ウエハ領域圧力制御開始点は、第1調節可能閉じ込めリング230が図6に示すように下部電極ハウジング218上に留まることを始めるときでありえる。そしてエッチング用ガスフローが開始され(ステップ308)、圧力センサ252によって測定されるウエハ領域内の圧力が所望のセットポイント値と比較される(ステップ310)。もしウエハ領域圧力が増加されなければならないなら(ステップ312)、コントローラ242はさらにホルダ240を降ろす(ステップ316)。図7は、第2閉じ込めリング232が第1閉じ込めリング230のスペーサ238上に留まる点までホルダ240が下げられた処理室200を示す。図8は、第3閉じ込めリング234が第2閉じ込めリング232のスペーサ238上に留まる点までホルダ240がさらに下げられた処理室200を示す。図9は、第3閉じ込めリング236が第3閉じ込めリング234のスペーサ238上に留まる点までホルダ240がさらに下げられた処理室200を示す。これが最も低いウエハ領域制御位置で、ホルダ240はこれ以上は下げられることはない。
【0019】
もしウエハ領域圧力が減少されなければならないなら、コントローラ242はホルダ240を上げる(ステップ314)。いったんホルダ240が図6に示す最も高いウエハ領域圧力制御位置に到達すると、ウエハ領域圧力制御段階中にホルダ240はこれ以上、上げられることはない。いったんウエハ領域圧力が所望のセットポイント値に等しくなると、プラズマが発生される(ステップ318)。ウエハ領域圧力は再びセットポイントと比較され(ステップ320)、ホルダ240を上げるか、または下げるかすることで閉じ込めリングの位置が調節され(ステップ322、324、326)、プラズマ処理が終了したとみなされるまで所望の圧力を達成し、かつ維持する(ステップ330)。終了とみなされるとホルダ240はその最も高い位置まで上げられ(ステップ332)、ロボット機構を用いて基板が取り出され(ステップ334)、処理が繰り返されえる。
【0020】
好ましい実施形態においては、ホルダ240が図6に示されるその最も高い制御位置から、図9に示される最も低い制御位置まで下げられるとき、閉じ込めリングにわたる圧力降下の変化は300〜800%変わりえる。ウエハ領域圧力を増やすためにホルダが下方に動かされ、ウエハ領域圧力を減らすためにホルダが上方に動かされるように、圧力降下の変化が与えられる。図9に示されるように、閉じ込めブロック236の上部が上部電極224の最下部よりも上に位置し、それにより閉じ込めブロック236の上部をすり抜けてウエハ領域から漏れ出ることを防止するように、閉じ込めブロック236は、じゅうぶんな厚さを持つ。
【0021】
この実施形態で用いることができる寸法の例として、閉じ込めブロック236と、閉じ込めブロック236によって囲まれた上部電極224との間のギャップは、0.0125から0.0500インチ(0.32から1.27mm)の間でありえる。より好ましくは、ギャップは約0.025インチ(0.63mm)である。第1、第2、および第3調節可能閉じ込めリング230、232、234の厚さは、0.045から0.180インチ(1.14から4.57mm)の間である。より好ましくはこの厚さは約0.09インチ(2.29mm)である。上部電極224および下部電極204の間の距離は、0.4から3.0インチ(10mmから76.2mm)の範囲でありえる。より好ましくはこの距離は約0.6インチ(15mm)である。
【0022】
図10は、第1調節可能閉じ込めリング230および第2調節可能閉じ込めリング232間、第2調節可能閉じ込めリング232および第3調節可能閉じ込めリング234間、および第3調節可能閉じ込めリング234および閉じ込めブロック236間のギャップ距離の和についてのウエハ領域圧力のグラフである。この例では、300立方センチメートル毎分(標準状態換算)(sccm)のアルゴンが処理室200に供給されるときに圧力が測定されている。四角形のデータ点902はウエハ領域圧力を示し、これは閉じ込めリング内の圧力である。菱形のデータ点904は処理室200の圧力を示す。部分(I)は閉じ込めリングが図6に示される位置から図7に示される位置に動くことに対応する。部分(II)は閉じ込めリングが図7に示される位置から図8に示される位置に動くことに対応する。部分(III)は閉じ込めリングが図8に示される位置から図9に示される位置に動くことに対応する。
【0023】
図11は、図10の部分(II)および(III)に対応する、単位がインチのギャップ距離の和についてのウエハ領域圧力のグラフであるが、スペーサ236によって設定される最小ギャップ距離の異なる値についてのグラフである。曲線(a)において、スペーサ236によって設定される最小ギャップ距離は、第1(230)および第2(232)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.007インチであり、第2(232)および第3(234)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.007インチである。曲線(b)において、スペーサ236によって設定される最小ギャップ距離は、第1(230)および第2(232)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.030インチであり、第2(232)および第3(234)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.007インチである。曲線(c)において、スペーサ236によって設定される最小ギャップ距離は、第1(230)および第2(232)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.038インチであり、第2(232)および第3(234)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.030インチである。曲線(d)において、スペーサ236によって設定される最小ギャップ距離は、第1(230)および第2(232)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.038インチであり、第2(232)および第3(234)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.038インチである。曲線(e)において、スペーサ236によって設定される最小ギャップ距離は、第1(230)および第2(232)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.062インチであり、第2(232)および第3(234)調節可能閉じ込めリング間のギャップが0.062インチである。図11のグラフから、圧力制御範囲および圧力制御の傾きは、異なるスペーサ236を用いて最小ギャップ距離を変化させることによって変化させられることがわかる。
【0024】
ホルダは、閉じ込めリングおよび閉じ込めブロックの上方向および下方向への動きを、一つ以上のコントローラが提供できるようにするいかなる装置でもよく、ここで持ち上げられた位置において閉じ込めリングおよび閉じ込めブロック間の最大ギャップをホルダは維持し、下げられた位置においてホルダは閉じ込めリングおよび閉じ込めブロックが最小ギャップを形成することを可能にする。好ましくは、ホルダはギャップが最小になるまであるギャップを一度に減少させることができる。いったんギャップが最小になると、他のギャップが減少する。図5のホルダ240はハンガー型であり、これはホルダ240がコントローラ242の下であるからである。別の実施形態においては、ホルダ240はコントローラ242の上になるように構成されえて、このときはホルダ240はプラットホーム型である。
【0025】
3つの閉じ込めリングおよび閉じ込めブロックは好ましい実施形態において示されたが、他の多くの閉じ込めリングおよびブロックが用いられえる。このましい実施形態においては、閉じ込めリングおよび閉じ込めブロックの数および間隔は、最も高い位置において、最も低い閉じ込めリングの少なくとも一部が上部電極の最も低い部分よりも上にあり、ウエハ領域圧力制御初期位置においては、最も低い閉じ込めリングは下部電極と同一表面を成す表面上に留まり、閉じ込めリングおよび閉じ込めブロックの一部は上部電極よりも下にある。この実施形態は、堆積されたポリマーフィルムの蓄積を起こしえるよどみ点を防ぐのに役立つ。
【0026】
他の実施形態においてホルダは、それぞれが異なる閉じ込めリングを懸架する複数のハンガーを構成してもよい。図12は第1調節可能閉じ込めリング1204、第2調節可能閉じ込めリング1208、第3調節可能閉じ込めリング1212、および閉じ込めブロック1216の部分を示す。第1ハンガー1220はコントローラ1224から懸架される。閉じ込めブロック1216は第1ハンガー1220から懸架される。第2ハンガー1228、第3ハンガー1232、および第4ハンガー1236は閉じ込めブロック1216から懸架される。第2ハンガー1228は、第3調節可能閉じ込めリング1212を支持する。第3ハンガー1232は、第2調節可能閉じ込めリング1208を支持する。第4ハンガー1236は、第1調節可能閉じ込めリング1204を支持する。第2、第3、および第4ハンガーは前の実施形態で説明されたように、第1、第2、および第3調節可能閉じ込めリングが、それらが最も低い点に到達したときに動きが止まるようにする。
【0027】
さらに別の実施形態において、閉じ込めリングの断面構造は複雑でありえる。図13は第1調節可能閉じ込めリング1330、第2調節可能閉じ込めリング1332、第3調節可能閉じ込めリング1334、および閉じ込めブロック1336の部分を示す。ホルダ1340は、第1調節可能閉じ込めリング1330、第2調節可能閉じ込めリング1332、第3調節可能閉じ込めリング1334、および閉じ込めブロック1336を支持するために用いられえる。コントローラ1342はホルダ1340に接続されホルダ1340の動きを制御し、よって第1調節可能閉じ込めリング1330、第2調節可能閉じ込めリング1332、第3調節可能閉じ込めリング1334、および閉じ込めブロック1336の動きを調節する。ホルダ1340は、それぞれの段差で閉じ込めリングまたはブロックが留まるように段差がつけられている。この段差は閉じ込めリングおよびブロック間の最大ギャップ間隔を定義する。第1調節可能閉じ込めリング1330、第2調節可能閉じ込めリング1332、第3調節可能閉じ込めリングはスペーサ1338に固定されていて、これらは隣接する閉じ込めリング間の最小ギャップ間隔を定義する。閉じ込めリング1330、1332、1334、および閉じ込めブロック1336の噛み合い表面は平面ではなく、最大ギャップ間隔においてもギャップが「光学的に密」であるような「断面構造」を採用することで直線状の視線ができないようにしている。これは帯電粒子がギャップを通って閉じ込めリングの外の空間へとプラズマから流れ出ることを最小化することによって、プラズマの閉じ込めを改善するはたらきをする。図13は、この「断面構造」のある実施形態を示し、この断面構造は、それぞれの噛み合い表面において最大ギャップ間隔の半分より大きい垂直オフセット1344を備える。それぞれの噛み合い表面上のこのオフセットは、半径方向にずらされており、これによりそれぞれの噛み合い表面が隣接するものの近傍に位置するようになっている。
【0028】
本発明はいくつかの実施形態によって説明されてきたが、改変物、組み合わせ、および代替の等価物が存在し、これらも本発明の範囲にある。また本発明の方法および装置を実現する多くの代替方法が存在することに注意されたい。したがって以下の添付の特許請求の範囲はすべてのそのような改変物、組み合わせ、および代替の等価物が本発明の真の精神および範囲に含まれるように解釈されるべきだと意図されている。
【符号の説明】
【0029】
100…プラズマ処理室
102…リング
104…下部電極
106…基板
106…空間
108…RF電源
110…リアクタ上部
112…上部電極
114…エッチング用ガス源
116…プラズマ空間
116…空間
120…排気口
1204…リング
1208…リング
1212…リング
1216…ブロック
1220…第1ハンガー
1224…コントローラ
1228…第2ハンガー
1232…第3ハンガー
1236…第4ハンガー
1330…リング
1332…リング
1334…リング
1336…ブロック
1338…スペーサ
1340…ホルダ
1342…コントローラ
1344…垂直オフセット
200…プラズマ処理室
200…処理室
204…チャック
204…下部電極
206…基板
212…リアクタ上部
212…上部
214…下部
216…室壁
218…下部電極ハウジング
224…上部電極
230…リング
232…リング
234…リング
236…スペーサ
236…ブロック
236…リング
238…スペーサ
240…ホルダ
242…コントローラ
250…エッチング用ガス源
252…RF電源
252…圧力センサ
260…排気口
262…圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を制御する装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバと流体的に結合されている排気口と、
前記真空チャンバと流体的に結合されているガス源と、
ウエハ領域圧力制御装置とを備え、前記ウエハ領域圧力制御装置は、
前記真空チャンバ内の第1調節可能閉じ込めリングと、
前記真空チャンバ内の第2調節可能閉じ込めリングと、
前記真空チャンバ内の調節可能閉じ込めブロックと、
前記第1調節可能閉じ込めリング、前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記調節可能閉じ込めブロックを上げ下げするコントローラと、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記ウエハ領域圧力制御装置は、前記コントローラと、前記第1調節可能閉じ込めリング、前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記調節可能閉じ込めブロックとの間に接続された少なくとも一つのホルダをさらに備える装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記少なくとも一つのホルダは、前記第1調節可能閉じ込めリング、前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記調節可能閉じ込めブロックを動かす装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、上部電極をさらに備え、前記少なくとも一つのホルダは、前記第1調節可能閉じ込めリング、前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記調節可能閉じ込めブロックの少なくとも一部を前記上部電極の下部表面の上の位置に動かすことができる装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記少なくとも一つのホルダは、前記第1調節可能閉じ込めリングが前記基板のそれと同じまたは下の平面上の表面に留まるように動かすことができる装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記第1調節可能閉じ込めリングおよび前記第2調節可能閉じ込めリング間のスペーサをさらに備える装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記少なくとも一つのホルダは、前記第2調節可能閉じ込めリングを前記第1閉じ込めリングから離れた位置から、前記第2調節可能閉じ込めリングが前記第1調節可能閉じ込めリング上に前記スペーサを挟んで留まる位置へと動かすことができる装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記ウエハ領域圧力制御装置は、前記第2調節可能閉じ込めリングおよび前記調節可能閉じ込めブロック間に位置し、前記ホルダに接続された第3調節可能閉じ込めリングをさらに備える装置。
【請求項9】
圧力を制御する装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバと流体的に結合されている排気口と、
前記真空チャンバと流体的に結合されているガス源と、
ウエハ領域圧力制御装置とを備え、前記ウエハ領域圧力制御装置は、
少なくとも一つのリングと、
前記少なくとも一つのリングに隣接する複数のギャップと、
前記少なくとも一つのリングを動かして前記複数のギャップの領域を減少させるコントローラと、
を備える装置。
【請求項10】
ウエハ領域圧力を制御する方法であって、
基板を真空チャンバに置くことと、
前記真空チャンバにガス源を供給することと、
前記真空チャンバからガスを排気させることと、
少なくとも一つのリングを動かして、100%より大きいウエハ領域圧力制御範囲を提供することとを備える方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記少なくとも一つのリングを動かすことは、
第1調節可能閉じ込めリング、第2調節可能閉じ込めリング、および調節可能閉じ込めブロックを、前記第1調節可能閉じ込めリングが前記真空チャンバの底に留まるウエハ領域圧力制御開始点に下げることであって、
前記第2調節可能閉じ込めリングは、前記第1調節可能閉じ込めリングおよび前記第2調節可能閉じ込めリング間の最大距離だけ前記第1調節可能閉じ込めリングから離れており、
前記閉じ込めブロックは、前記第2調節可能閉じ込めリングおよび前記調節可能閉じ込めブロック間の最大距離だけ前記第2調節可能閉じ込めリングから離れている、
第1調節可能閉じ込めリング、第2調節可能閉じ込めリング、および調節可能閉じ込めブロックを下げることと、
前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記調節可能閉じ込めブロックを、前記第2調節可能閉じ込めリングが前記第1調節可能閉じ込めリング上に留まり、前記第1調節可能閉じ込めリングからスペーサによって距離をおかれるまで下げることであって、
前記閉じ込めブロックは前記第2調節可能閉じ込めリングから前記第2調節可能閉じ込めリングおよび前記調節可能閉じ込めブロック間の前記最大距離だけ離れている、
前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記調節可能閉じ込めブロックを下げることと、
を備える方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記少なくとも一つのリングを動かすことは、前記閉じ込めブロックが前記第2調節可能閉じ込めリング上に留まるように前記閉じ込めブロックを下げることをさらに備える方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記第1調節可能閉じ込めリング、前記第2調節可能閉じ込めリング、および前記閉じ込めブロックを下げることは、
前記第2調節可能閉じ込めリングおよび前記閉じ込めブロック間の第3調節可能閉じ込めリングをさらに下げ、
前記第3調節可能閉じ込めリングは、前記第3調節可能閉じ込めリングを前記第2調節可能閉じ込めリングから離す最大距離だけ、前記第2調節可能閉じ込めリングから離れており、
前記閉じ込めブロックは、前記第3調節可能閉じ込めリングを前記閉じ込めブロックから離す最大距離だけ、前記第3調節可能閉じ込めリングから離れており、
前記第2調節可能閉じ込めリングおよび前記閉じ込めブロックを下げることは、前記第3調節可能閉じ込めリングをさらに下げ、
前記第3調節可能閉じ込めリングは、前記第3調節可能閉じ込めリングを前記閉じ込めブロックから離す最大距離だけ、前記閉じ込めブロックから離れており、
前記第3調節可能閉じ込めリングは、前記第3調節可能閉じ込めリングを前記第2調節可能閉じ込めリングから離す最大距離だけ、前記第2調節可能閉じ込めリングから離れている方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記第3調節可能閉じ込めリングが前記第2調節可能閉じ込めリング上に留まり、前記第2調節可能閉じ込めリングとスペーサによって分離されるまで、前記第3調節可能閉じ込めリングおよび前記閉じ込めブロックを下げることさらに備え、
前記閉じ込めブロックは、前記第3調節可能閉じ込めリングを前記閉じ込めブロックから離す前記最大距離だけ、前記第3調節可能閉じ込めリングから離れている方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記少なくとも一つのリングを動かすことは、前記閉じ込めブロックを、前記閉じ込めブロックが前記第3調節可能閉じ込めリング上に留まるまで下げることをさらに備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−178614(P2012−178614A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135639(P2012−135639)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2002−533335(P2002−533335)の分割
【原出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】