プリント基板の製造方法
【課題】接着剤なしで、薄く、軽く、軟らかく、丈夫なフレキシブルなプリント基板を量産すること。
【解決手段】転写基板(21)の一方の面にメッキ用電極層(20)を形成し、メッキ用電極層(20)の面上に蒸着重合法により感光性有機高分子材料を絶縁層(1)として形成し、前記絶縁層(1)を加工してメッキ用電極層(20)上に所定の回路パタ−ン(2)の反転パターンを形成し、前記回路パターン(2)の反転パターンとメッキ用電極層(20)を使用したメッキによって所定の回路パターン(2)を形成し、前記回路パタンーン(2)上に蒸着重合法により絶縁基体(3)を形成した後、強アルカリ液(24)に浸漬してメッキ用電極層(20)を溶かして転写基板(21)から剥離し、さらにカバーシートとして有機高分子材料の絶縁層(4)を蒸着重合するプリント基板の製造方法。
【解決手段】転写基板(21)の一方の面にメッキ用電極層(20)を形成し、メッキ用電極層(20)の面上に蒸着重合法により感光性有機高分子材料を絶縁層(1)として形成し、前記絶縁層(1)を加工してメッキ用電極層(20)上に所定の回路パタ−ン(2)の反転パターンを形成し、前記回路パターン(2)の反転パターンとメッキ用電極層(20)を使用したメッキによって所定の回路パターン(2)を形成し、前記回路パタンーン(2)上に蒸着重合法により絶縁基体(3)を形成した後、強アルカリ液(24)に浸漬してメッキ用電極層(20)を溶かして転写基板(21)から剥離し、さらにカバーシートとして有機高分子材料の絶縁層(4)を蒸着重合するプリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報機器、電子機器、携帯機器、自動車部品、航空宇宙機器、などのフラットケ−ブルや平面アンテナ、或いは半導体デバイス、半導体ソケットなどに用いて好適なフレキシブルなプリント基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフレキシブルプリント基板Pは、例えば、図7に断面図を示す構造となっている。さらに図8に、フレキシブルプリント基板Pの拡大断面図を示す。以下、従来のフレキシブルプリント基板Pの製法につき、図9及び図10を参照して説明する。絶縁基体(ポリイミドのシ−ト等)11(図 9A)の表面に接着剤12(図9B)により薄い銅板13を接着し(図9C)、さらにその表面に、図示せずとも感光乳剤を塗布し、露光・現像、エッチングを施し、回路パタ−ン14を形成した(図10A)。この回路パタ−ン14の表面に接着剤15を塗布し(図10B)、絶縁層としてカバ−シ−ト(ポリイミドのシ−ト等)16を接着している(図10C)。図10Cにおいて、カバ−シ−ト16には接着剤の収縮によって凹部16aが生じている。プリント基板を柔軟なものにして、電子機器の屈曲部や筐体内の立体配線として使われる。
【0003】
また、従来のプリント基板の中間層の形成にポリイミド樹脂の蒸着重合技術を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、まず樹脂成形体や樹脂フィルムなどの絶縁基体上に、蒸着重合によってポリイミドの薄膜を形成する。その後、前記中間膜上に金属膜を形成する。ポリイミド樹脂の中間層が樹脂基体及び金属膜の双方と高い密着性を持つことを利用して、樹脂基体に対する金属膜の密着性を得ることを目的としたものである。
しかしながら、絶縁基体として樹脂成形体や樹脂フィルムを用いるので、薄くて軽いプリント基板は得られない。
【0004】
また、従来のプリント基板の中間層の形成にポリイミド樹脂の蒸着重合技術を用いるものがある(例えば、特許文献2参照)。これは、まず熱伝導性の高い炭素質の絶縁基体上に、蒸着重合によってポリイミドの薄膜を形成する。その後、前記中間膜上に金属膜を形成する。ポリイミド樹脂の中間層が炭素質基体及び金属膜の双方と高い密着性を持つことを利用して、炭素質基体に対する金属膜の密着性とを高めて、放熱性の向上を得ることを目的としたものである。
しかしながら、絶縁基体として炭素繊維強化炭素複合材料を用いるので、薄くて軽いプリント基板は得られない。
【0005】
また、従来のプリント基板の絶縁層の形成にポリイミド樹脂の蒸着重合技術を用いるものがある(例えば、特許文献3参照)。まず、成形品である立体回路基板の上に銅薄膜膜を形成し、レ−ザ加工で回路パタ−ンを形成し、ついで絶縁層を蒸着重合もしくはプラズマ重合により形成する。前記工程を繰り返して多層基板を得るというものである。
しかしながら、絶縁基体として成形品を用いるので、薄くて軽いプリント基板は得られない。
【特許文献1】特開2003−34883号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2002−151811号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】特開2002−164657号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器の薄型化、軽量化の要求が増大している。すなわち、携帯電話に代表されるモバイル機器(PDA、情報端末等)やノ−トパソコンの薄型化、軽量化の加速により、軽くて薄い筐体の限られた空間に折り曲げ実装されるため、フレキシブルプリント基板は薄く、軽く、軟らかく、丈夫であることを求められる。
【0007】
しかし、絶縁基体としてシ−ト材11を使用すると、シ−ト材11自体が一定以上の厚みがないと取り扱いにくい。同様に、導電層材としてシ−ト材13を使用すると、シ−ト材13自体に一定以上の厚みがないと取り扱いにくい。従って、量産性は良くなかった。さらに、図9及び図10に示す製造工程によって、絶縁基体としてのシ−ト材11と導電層材としてのシ−ト材13を接着剤12及び15によって張り合わせていたため、図7に示す完成したフレキシブルプリント基板Pは、厚いものとなっていた。そのため、充分な柔軟性を得るのが難しかった。
【0008】
また、絶縁基体は樹脂シ−トを使用していたが、樹脂によっては吸湿性がある。そのため導電層が酸化剥離しやすくなった(銅箔の表面に酸化銅が出来はがれやすくなる)。
【0009】
さらに、上記部材を張り合わせるために、接着剤を使うことにより、接着剤自体の劣化による不具合から逃れられなかった。すなわち、高温においては、接着力が低下する。折り曲げているときにははがれやすい。接着力が強すぎると導電層に亀裂を生じやすくなる。
【0010】
上記欠点を除去し量産性を向上させるのが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題は「(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁層を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(G)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(H)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。」によって解決される。
【0012】
また、以上の課題は「(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとする工程;
(G)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(H)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(I)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。」によって解決される。
【発明の効果】
【0013】
従来のプリント基板に比べて大幅に薄く丈夫なプリント基板となる。
また、接着剤を使用しないので製造が簡単ではがれにくいプリント基板となる。
また、絶縁基体とカバ−シ−トが同じ有機高分子材料を用いて、同じ製造工程で製造可能である。さらに、量産性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図5は、本発明の第1の実施の形態のプリント基板P’の拡大断面図である。図5において、有機高分子材料の絶縁層からなる所定の回路パタ−ンの反転パタ−ンである絶縁層(1)と導電性の材料で成る所定の回路パタ−ン(2)の上に有機高分子材料の絶縁層が絶縁基体(3)として形成され、さらに有機高分子材料の絶縁層がカバ−シ−ト(4)として形成されている。
【0016】
ここで、図1を参照して、本発明に適用される蒸着重合装置60について説明する。
【0017】
基板32及び真空槽壁30をモノマ−の蒸発温度程度(200℃)に加熱しておき、この中に2種類のモノマ−を図1に示すように導入する。モノマ−の飽和蒸気圧が等しくなる温度に加熱、導入して複雑形状の表面にポリイミド膜を形成する方法が開発されている(全方向同時蒸着重合)。
【0018】
図1においてモノマ−としてPMDA(無水ピロメリト酸)34及びODA(オキシジアニリン)36が槽30内に導入される。
【0019】
1種類のモノマ−だけを導入した場合には、真空槽壁30及び基板32上にモノマ−は付着できず、再蒸発して排気されるが、2種類のモノマ−を同時に導入すると、両者が基板上で反応して蒸気圧の低い二重体や三重体となり基板32上に付着し、更に反応して高重合体へと成長する。未反応モノマ−分子が真空槽壁面全体から再蒸発するため均一な膜圧分布の薄膜が得られる。このようにして、複雑形状の基板、部品などに均一な膜厚のポリイミド膜を被覆することが出来る。
【0020】
蒸着重合法は、モノマ−の輸送を通常の真空昇華精製するプロセスと同じ手法で行うことから、生成する膜の純度が高く、しかも溶媒の添加・除去・回収などの工程がなく(無公害)、不純物の混入が極めて少ない膜が得られる。また、基板表面の凸凹形状に忠実に膜が成長するため、細孔の内面でも均質に成膜できる。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態のプリント基板P’の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成前の製造工程を示している。
【0022】
図2Aは、転写基板としてSUS板21を用意した。
【0023】
図2Bは、SUS板21の一方の面にメッキ用電極層としてアルミ薄膜20を形成した。
【0024】
図2Cは、アルミ薄膜20を形成したSUS板21に感光性の有機高分子材料を蒸着重合した。図示したように感光性の有機高分子材料の絶縁層1が形成される。
【0025】
図3に本発明の実施の形態のプリント基板の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成後の製造工程を示している。
【0026】
本実施形態では、図3に示す製造工程で作成した感光性の有機高分子材料の絶縁層1に露光・現像、エッチングを施し、回路パタ−ンの反転パターンを形成している。図3Aにその断面図を示す。エッチングされたところは、メッキ用電極層のアルミ薄膜20が剥き出しになっている。
【0027】
回路パターンの反転パターンの形成方法は、この方法に限らず他の方法でも良い。
例えば、有機高分子材料の絶縁層1を回転刃またはレ−ザ−加工器で削り回路パターンの反転パタ−ンを形成する方法等が使用できる。
【0028】
図3Bは前記の回路パタ−ンの反転パタ−ンに銅メッキによって導電層(回路パターン)2を形成する。メッキ用電極層としてアルミ薄膜20を使用し、電解メッキ法により回路パターン2を形成することができる。尚、図11に一例としての回路パターン2の平面図を示す。
【0029】
図3Cは回路パターン2上に絶縁基体3としてのポリイミドの絶縁層3を形成するために蒸着重合を行ったものである。
【0030】
図4に本発明の実施の形態の強アルカリ浸漬工程を示す。
【0031】
図4Aのように、製造用余白部分17を切除する。メッキ用電極層としてのアルミ薄膜20が強アルカリ液(例えば、水酸化ナトリウム)にさらされるようにするためである。
【0032】
図4Bのように、強アルカリ液24に浸漬する。尚、図4B、4Cでは省略したが、強アルカリ液24は溶剤槽23に入っている。(図6参照)
【0033】
図4Cのように、メッキ用電極層としてのアルミ薄膜20が溶けて無くなり、SUS板21から所定の回路パタ−ン2が転写された絶縁基体3が剥離する。
【0034】
図4Dのように、所定の回路パタ−ン2が転写された絶縁基体3に蒸着重合により絶縁層としてのカバーシート4を形成することにより完成したプリント基板P’を得る。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態の製法によるプリント板P’の拡大断面図である。従来は、例えば図8の拡大断面図に示すように、回路パターン14を挟み、ポリイミド層(絶縁材シ−ト)11及び16を接着剤12及び15で貼り付けていた。
【0036】
本発明の実施の形態の製法により得られたプリント基板P’は非常に薄くフレキシブルなものとなる。撓みやすく、曲げる部分のある回路構成も銅箔の如く容易に行われ、種々の加工が容易となる。
【0037】
本発明の実施の形態の製法によれば、更に図4Dにおいてポリイミドカバ−シ−ト4の上に導電性の材料(例えばアルミ二ウム)がスパッタされて、図示しないがアルミ薄膜が形成される。これにより、外部から内部への、及び内部から外部への電磁波シ−ルドを行うことができる。
【0038】
以上、発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、以上の実施の形態では、回路パタ−ンを形成する導電性の材料として銅を用いたが、これに限ることなく他の導電性材料、例えば、銀(Ag)や金(Au)であってもよい。
【0040】
また、回路パターンを所定の厚さにする場合にメッキする材料は、所定の回路パターンを形成した導電性材料と同じでも良いし、異なっても良い。
【0041】
また、回路パタ−ンとしての銅表面に酸化防止のためにニッケル(Ni)、銀(Ag)または金(Au)をメッキするようにしても良い。これは、絶縁基体を形成する前の面でも、メッキ用電極層を除去した後の面でも同様である。実施の形態において、絶縁基体を形成する前の面は、図3Bに示すように、有機高分子材料の絶縁層1の間に回路パターン2が形成され銅の表面が表れている。また、メッキ用電極層を除去した後の面でも、図4Cに示すように、有機高分子材料の絶縁層1の間に回路パターン2が形成され銅の表面が表れている。これらの面に酸化防止処置を施すと良い。本発明の回路パタ−ンにはこのような場合も含むものとする。
【0042】
また、感光性有機高分子材料として、感光性ポリイミドを用いたが感光性エポキシ樹脂でも良い。
【0043】
また、蒸着重合させて得られる有機高分子材料としてポリイミドを用いたが、他の蒸着重合させて得られる有機高分子材料、例えばポリ尿素やポリアミドであってもよい。モノマ−の種類を変えて、種々の有機高分子材料の蒸着重合物が得られ、その特性に応じて用いることができる
【0044】
また、メッキ用電極材料として、アルミニウムを用いたが、亜鉛、スズ、鉛でも良い。
電極としての導電性を有し溶剤(実施の形態では、強アルカリ液であったが、強酸液でも良い)に浸漬することによってプリント基板と転写基板を簡単に剥離できるものであれば良い。強アルカリ液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化バリウム水溶液で良い。また、強酸液としては、硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸水溶液で良い。種々の導電材料と溶剤の組み合わせを、その特性に応じて用いることができる
【0045】
また、転写基板材料としてステンレスを用いたが、チタン、ニッケル、白金でも良い。溶剤に対する耐蝕性があれば良いので、種々溶剤との組み合わせをその特性に応じて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に適用される蒸着重合装置の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成前の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成後の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の強アルカリ液浸漬工程をA〜Dの順で示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態のプリント基板の製造工程の一部を示し、強アルカリ液に中間物を浸漬した状況を示す断面図である。
【図7】比較のための従来の製法のフレキシブルプリント基板の一例の断面図である 。
【図8】比較のための従来の製法のフレキシブルプリント基板の一例の拡大断面図である。
【図9】従来のプリント基板の回路パタ−ン形成前の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図10】従来のプリント基板の回路パタ−ン形成後の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図11】回路パタ−ンの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・絶縁層、2・・・回路パタ−ン、3・・・絶縁層(絶縁基体)、4・・・絶縁層(カバ−シ−ト)、11・・・絶縁基体、12・・・接着剤、13・・・銅板、14・・・回路パタ−ン、15・・・接着剤、16・・・絶縁層(カバ−シ−ト)、16a・・・凹部、17・・・製造用余白部分
20・・・メッキ用電極層、21・・・転写基板、23・・・溶剤槽、24・・・強アルカリ液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)
30・・・真空槽壁、32・・・基板(ガラスエポキシ板)、34・・・PMDA(無水ピロメリト酸)、36・・・ODA(オキシジアニリン)
60・・・蒸着重合装置
【技術分野】
【0001】
本発明は情報機器、電子機器、携帯機器、自動車部品、航空宇宙機器、などのフラットケ−ブルや平面アンテナ、或いは半導体デバイス、半導体ソケットなどに用いて好適なフレキシブルなプリント基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフレキシブルプリント基板Pは、例えば、図7に断面図を示す構造となっている。さらに図8に、フレキシブルプリント基板Pの拡大断面図を示す。以下、従来のフレキシブルプリント基板Pの製法につき、図9及び図10を参照して説明する。絶縁基体(ポリイミドのシ−ト等)11(図 9A)の表面に接着剤12(図9B)により薄い銅板13を接着し(図9C)、さらにその表面に、図示せずとも感光乳剤を塗布し、露光・現像、エッチングを施し、回路パタ−ン14を形成した(図10A)。この回路パタ−ン14の表面に接着剤15を塗布し(図10B)、絶縁層としてカバ−シ−ト(ポリイミドのシ−ト等)16を接着している(図10C)。図10Cにおいて、カバ−シ−ト16には接着剤の収縮によって凹部16aが生じている。プリント基板を柔軟なものにして、電子機器の屈曲部や筐体内の立体配線として使われる。
【0003】
また、従来のプリント基板の中間層の形成にポリイミド樹脂の蒸着重合技術を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、まず樹脂成形体や樹脂フィルムなどの絶縁基体上に、蒸着重合によってポリイミドの薄膜を形成する。その後、前記中間膜上に金属膜を形成する。ポリイミド樹脂の中間層が樹脂基体及び金属膜の双方と高い密着性を持つことを利用して、樹脂基体に対する金属膜の密着性を得ることを目的としたものである。
しかしながら、絶縁基体として樹脂成形体や樹脂フィルムを用いるので、薄くて軽いプリント基板は得られない。
【0004】
また、従来のプリント基板の中間層の形成にポリイミド樹脂の蒸着重合技術を用いるものがある(例えば、特許文献2参照)。これは、まず熱伝導性の高い炭素質の絶縁基体上に、蒸着重合によってポリイミドの薄膜を形成する。その後、前記中間膜上に金属膜を形成する。ポリイミド樹脂の中間層が炭素質基体及び金属膜の双方と高い密着性を持つことを利用して、炭素質基体に対する金属膜の密着性とを高めて、放熱性の向上を得ることを目的としたものである。
しかしながら、絶縁基体として炭素繊維強化炭素複合材料を用いるので、薄くて軽いプリント基板は得られない。
【0005】
また、従来のプリント基板の絶縁層の形成にポリイミド樹脂の蒸着重合技術を用いるものがある(例えば、特許文献3参照)。まず、成形品である立体回路基板の上に銅薄膜膜を形成し、レ−ザ加工で回路パタ−ンを形成し、ついで絶縁層を蒸着重合もしくはプラズマ重合により形成する。前記工程を繰り返して多層基板を得るというものである。
しかしながら、絶縁基体として成形品を用いるので、薄くて軽いプリント基板は得られない。
【特許文献1】特開2003−34883号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2002−151811号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】特開2002−164657号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器の薄型化、軽量化の要求が増大している。すなわち、携帯電話に代表されるモバイル機器(PDA、情報端末等)やノ−トパソコンの薄型化、軽量化の加速により、軽くて薄い筐体の限られた空間に折り曲げ実装されるため、フレキシブルプリント基板は薄く、軽く、軟らかく、丈夫であることを求められる。
【0007】
しかし、絶縁基体としてシ−ト材11を使用すると、シ−ト材11自体が一定以上の厚みがないと取り扱いにくい。同様に、導電層材としてシ−ト材13を使用すると、シ−ト材13自体に一定以上の厚みがないと取り扱いにくい。従って、量産性は良くなかった。さらに、図9及び図10に示す製造工程によって、絶縁基体としてのシ−ト材11と導電層材としてのシ−ト材13を接着剤12及び15によって張り合わせていたため、図7に示す完成したフレキシブルプリント基板Pは、厚いものとなっていた。そのため、充分な柔軟性を得るのが難しかった。
【0008】
また、絶縁基体は樹脂シ−トを使用していたが、樹脂によっては吸湿性がある。そのため導電層が酸化剥離しやすくなった(銅箔の表面に酸化銅が出来はがれやすくなる)。
【0009】
さらに、上記部材を張り合わせるために、接着剤を使うことにより、接着剤自体の劣化による不具合から逃れられなかった。すなわち、高温においては、接着力が低下する。折り曲げているときにははがれやすい。接着力が強すぎると導電層に亀裂を生じやすくなる。
【0010】
上記欠点を除去し量産性を向上させるのが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題は「(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁層を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(G)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(H)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。」によって解決される。
【0012】
また、以上の課題は「(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとする工程;
(G)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(H)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(I)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。」によって解決される。
【発明の効果】
【0013】
従来のプリント基板に比べて大幅に薄く丈夫なプリント基板となる。
また、接着剤を使用しないので製造が簡単ではがれにくいプリント基板となる。
また、絶縁基体とカバ−シ−トが同じ有機高分子材料を用いて、同じ製造工程で製造可能である。さらに、量産性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図5は、本発明の第1の実施の形態のプリント基板P’の拡大断面図である。図5において、有機高分子材料の絶縁層からなる所定の回路パタ−ンの反転パタ−ンである絶縁層(1)と導電性の材料で成る所定の回路パタ−ン(2)の上に有機高分子材料の絶縁層が絶縁基体(3)として形成され、さらに有機高分子材料の絶縁層がカバ−シ−ト(4)として形成されている。
【0016】
ここで、図1を参照して、本発明に適用される蒸着重合装置60について説明する。
【0017】
基板32及び真空槽壁30をモノマ−の蒸発温度程度(200℃)に加熱しておき、この中に2種類のモノマ−を図1に示すように導入する。モノマ−の飽和蒸気圧が等しくなる温度に加熱、導入して複雑形状の表面にポリイミド膜を形成する方法が開発されている(全方向同時蒸着重合)。
【0018】
図1においてモノマ−としてPMDA(無水ピロメリト酸)34及びODA(オキシジアニリン)36が槽30内に導入される。
【0019】
1種類のモノマ−だけを導入した場合には、真空槽壁30及び基板32上にモノマ−は付着できず、再蒸発して排気されるが、2種類のモノマ−を同時に導入すると、両者が基板上で反応して蒸気圧の低い二重体や三重体となり基板32上に付着し、更に反応して高重合体へと成長する。未反応モノマ−分子が真空槽壁面全体から再蒸発するため均一な膜圧分布の薄膜が得られる。このようにして、複雑形状の基板、部品などに均一な膜厚のポリイミド膜を被覆することが出来る。
【0020】
蒸着重合法は、モノマ−の輸送を通常の真空昇華精製するプロセスと同じ手法で行うことから、生成する膜の純度が高く、しかも溶媒の添加・除去・回収などの工程がなく(無公害)、不純物の混入が極めて少ない膜が得られる。また、基板表面の凸凹形状に忠実に膜が成長するため、細孔の内面でも均質に成膜できる。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態のプリント基板P’の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成前の製造工程を示している。
【0022】
図2Aは、転写基板としてSUS板21を用意した。
【0023】
図2Bは、SUS板21の一方の面にメッキ用電極層としてアルミ薄膜20を形成した。
【0024】
図2Cは、アルミ薄膜20を形成したSUS板21に感光性の有機高分子材料を蒸着重合した。図示したように感光性の有機高分子材料の絶縁層1が形成される。
【0025】
図3に本発明の実施の形態のプリント基板の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成後の製造工程を示している。
【0026】
本実施形態では、図3に示す製造工程で作成した感光性の有機高分子材料の絶縁層1に露光・現像、エッチングを施し、回路パタ−ンの反転パターンを形成している。図3Aにその断面図を示す。エッチングされたところは、メッキ用電極層のアルミ薄膜20が剥き出しになっている。
【0027】
回路パターンの反転パターンの形成方法は、この方法に限らず他の方法でも良い。
例えば、有機高分子材料の絶縁層1を回転刃またはレ−ザ−加工器で削り回路パターンの反転パタ−ンを形成する方法等が使用できる。
【0028】
図3Bは前記の回路パタ−ンの反転パタ−ンに銅メッキによって導電層(回路パターン)2を形成する。メッキ用電極層としてアルミ薄膜20を使用し、電解メッキ法により回路パターン2を形成することができる。尚、図11に一例としての回路パターン2の平面図を示す。
【0029】
図3Cは回路パターン2上に絶縁基体3としてのポリイミドの絶縁層3を形成するために蒸着重合を行ったものである。
【0030】
図4に本発明の実施の形態の強アルカリ浸漬工程を示す。
【0031】
図4Aのように、製造用余白部分17を切除する。メッキ用電極層としてのアルミ薄膜20が強アルカリ液(例えば、水酸化ナトリウム)にさらされるようにするためである。
【0032】
図4Bのように、強アルカリ液24に浸漬する。尚、図4B、4Cでは省略したが、強アルカリ液24は溶剤槽23に入っている。(図6参照)
【0033】
図4Cのように、メッキ用電極層としてのアルミ薄膜20が溶けて無くなり、SUS板21から所定の回路パタ−ン2が転写された絶縁基体3が剥離する。
【0034】
図4Dのように、所定の回路パタ−ン2が転写された絶縁基体3に蒸着重合により絶縁層としてのカバーシート4を形成することにより完成したプリント基板P’を得る。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態の製法によるプリント板P’の拡大断面図である。従来は、例えば図8の拡大断面図に示すように、回路パターン14を挟み、ポリイミド層(絶縁材シ−ト)11及び16を接着剤12及び15で貼り付けていた。
【0036】
本発明の実施の形態の製法により得られたプリント基板P’は非常に薄くフレキシブルなものとなる。撓みやすく、曲げる部分のある回路構成も銅箔の如く容易に行われ、種々の加工が容易となる。
【0037】
本発明の実施の形態の製法によれば、更に図4Dにおいてポリイミドカバ−シ−ト4の上に導電性の材料(例えばアルミ二ウム)がスパッタされて、図示しないがアルミ薄膜が形成される。これにより、外部から内部への、及び内部から外部への電磁波シ−ルドを行うことができる。
【0038】
以上、発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、以上の実施の形態では、回路パタ−ンを形成する導電性の材料として銅を用いたが、これに限ることなく他の導電性材料、例えば、銀(Ag)や金(Au)であってもよい。
【0040】
また、回路パターンを所定の厚さにする場合にメッキする材料は、所定の回路パターンを形成した導電性材料と同じでも良いし、異なっても良い。
【0041】
また、回路パタ−ンとしての銅表面に酸化防止のためにニッケル(Ni)、銀(Ag)または金(Au)をメッキするようにしても良い。これは、絶縁基体を形成する前の面でも、メッキ用電極層を除去した後の面でも同様である。実施の形態において、絶縁基体を形成する前の面は、図3Bに示すように、有機高分子材料の絶縁層1の間に回路パターン2が形成され銅の表面が表れている。また、メッキ用電極層を除去した後の面でも、図4Cに示すように、有機高分子材料の絶縁層1の間に回路パターン2が形成され銅の表面が表れている。これらの面に酸化防止処置を施すと良い。本発明の回路パタ−ンにはこのような場合も含むものとする。
【0042】
また、感光性有機高分子材料として、感光性ポリイミドを用いたが感光性エポキシ樹脂でも良い。
【0043】
また、蒸着重合させて得られる有機高分子材料としてポリイミドを用いたが、他の蒸着重合させて得られる有機高分子材料、例えばポリ尿素やポリアミドであってもよい。モノマ−の種類を変えて、種々の有機高分子材料の蒸着重合物が得られ、その特性に応じて用いることができる
【0044】
また、メッキ用電極材料として、アルミニウムを用いたが、亜鉛、スズ、鉛でも良い。
電極としての導電性を有し溶剤(実施の形態では、強アルカリ液であったが、強酸液でも良い)に浸漬することによってプリント基板と転写基板を簡単に剥離できるものであれば良い。強アルカリ液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化バリウム水溶液で良い。また、強酸液としては、硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸水溶液で良い。種々の導電材料と溶剤の組み合わせを、その特性に応じて用いることができる
【0045】
また、転写基板材料としてステンレスを用いたが、チタン、ニッケル、白金でも良い。溶剤に対する耐蝕性があれば良いので、種々溶剤との組み合わせをその特性に応じて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に適用される蒸着重合装置の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成前の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の回路パタ−ンの反転パタ−ン形成後の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の強アルカリ液浸漬工程をA〜Dの順で示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の製造方法によるプリント基板の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態のプリント基板の製造工程の一部を示し、強アルカリ液に中間物を浸漬した状況を示す断面図である。
【図7】比較のための従来の製法のフレキシブルプリント基板の一例の断面図である 。
【図8】比較のための従来の製法のフレキシブルプリント基板の一例の拡大断面図である。
【図9】従来のプリント基板の回路パタ−ン形成前の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図10】従来のプリント基板の回路パタ−ン形成後の製造工程をA〜Cの順で示す断面図である。
【図11】回路パタ−ンの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・絶縁層、2・・・回路パタ−ン、3・・・絶縁層(絶縁基体)、4・・・絶縁層(カバ−シ−ト)、11・・・絶縁基体、12・・・接着剤、13・・・銅板、14・・・回路パタ−ン、15・・・接着剤、16・・・絶縁層(カバ−シ−ト)、16a・・・凹部、17・・・製造用余白部分
20・・・メッキ用電極層、21・・・転写基板、23・・・溶剤槽、24・・・強アルカリ液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)
30・・・真空槽壁、32・・・基板(ガラスエポキシ板)、34・・・PMDA(無水ピロメリト酸)、36・・・ODA(オキシジアニリン)
60・・・蒸着重合装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁層を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(G)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(H)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項2】
(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁層を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとする工程;
(G)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(H)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(I)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとするとき、前記回路パターンと同じ導電性の材料でメッキすることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとするとき、前記回路パターンと異なる導電性の材料でメッキすることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電性の材料は、銅、金及び銀のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記導電性の材料が銅の場合、その酸化防止のために、金、銀、ニッケルのいずれかをメッキしたことを特徴とする請求項5に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記所定の回路パタ−ンの表面に酸化防止のためにニッケル、金、銀のいずれかひとつをメッキしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項8】
前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去した後に現れる前記所定の回路パタ−ンの表面に酸化防止のためにニッケル、金、銀のいずれかひとつをメッキしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁層上に金属薄膜を形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記有機高分子材料はポリイミド、ポリアミド及びポリ尿素のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項11】
前記感光性の有機高分子材料が感光性ポリイミド、感光性エポキシ樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項12】
前記メッキ用電極層がアルミニウム、亜鉛、スズ、鉛のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項13】
前記転写基板材料がステンレス、チタン、ニッケル、白金のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項14】
前記強アルカリ液が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化バリウム水溶液のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項15】
前記強酸液が、硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸水溶液のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項1】
(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁層を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(G)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(H)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項2】
(A)転写基板の一方の面にメッキ用電極層を形成する工程;
(B)前記メッキ用電極層の面上に蒸着重合法により感光性の有機高分子材料を絶縁層として蒸着する工程;
(C)前記絶縁層に所定の回路パタ−ンに対応するマスクを宛がう工程;
(D)前記マスクを介して前記絶縁層を露光し、現像により所定の回路パタ−ンの反転パターンを形成する工程;
(E)前記回路パタ−ンの反転パターンに導電性の材料をメッキすることにより回路パターンを形成する工程;
(F)前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとする工程;
(G)前記回路パタ−ン上に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁基体として蒸着させる工程;
(H)前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去することにより前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体を得る工程;及び
(I)前記回路パタ−ンが転写された絶縁基体に蒸着重合法により有機高分子材料を絶縁層として蒸着させる工程;
から成ることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとするとき、前記回路パターンと同じ導電性の材料でメッキすることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性の材料で成る回路パタ−ン上に導電性の材料をメッキして前記所定の回路パターンを所定の厚さとするとき、前記回路パターンと異なる導電性の材料でメッキすることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電性の材料は、銅、金及び銀のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記導電性の材料が銅の場合、その酸化防止のために、金、銀、ニッケルのいずれかをメッキしたことを特徴とする請求項5に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記所定の回路パタ−ンの表面に酸化防止のためにニッケル、金、銀のいずれかひとつをメッキしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項8】
前記メッキ用電極層を強アルカリ液又は強酸液で除去した後に現れる前記所定の回路パタ−ンの表面に酸化防止のためにニッケル、金、銀のいずれかひとつをメッキしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁層上に金属薄膜を形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記有機高分子材料はポリイミド、ポリアミド及びポリ尿素のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項11】
前記感光性の有機高分子材料が感光性ポリイミド、感光性エポキシ樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項12】
前記メッキ用電極層がアルミニウム、亜鉛、スズ、鉛のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項13】
前記転写基板材料がステンレス、チタン、ニッケル、白金のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項14】
前記強アルカリ液が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化バリウム水溶液のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【請求項15】
前記強酸液が、硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸水溶液のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−180193(P2007−180193A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375689(P2005−375689)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(504352113)株式会社創研 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(504352113)株式会社創研 (8)
【Fターム(参考)】
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