説明

プリント基板への電子部品取付構造

【課題】 取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択する場合でも、プリント基板および放熱部品を共通化でき、プリント基板から電子部品がはずれにくいプリント基板への電子部品取付構造を提供することである。
【解決手段】 複数の電子部品の各リード端子の取付位置基準に対する位置の差が最小になる取付位置基準を電子部品に規定する。また、取付位置基準を基準にした場合に生じる複数の電子部品の各リード端子の位置の差を基にして、最小幅の長孔形状のリード端子挿入孔をプリント基板に規定する。そして、取付位置基準を基準にして、電子部品をプリント基板に取り付ける。電子部品を放熱部品に取り付ける場合は、取付位置基準が、放熱部品取付孔の中心を通ってブリッジダイオードを2等分し、かつ、リード端子と平行な軸である。そして、放熱部品の電子部品取付孔を取付位置基準上に配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板への電子部品取付構造に関し、さらに詳しくは、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択された電子部品を使用する場合でも、プリント基板および放熱部品を共通化できる、かつ、プリント基板から電子部品がはずれにくいプリント基板への電子部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通設計のために同じプリント基板が数種の製品で共通して用いられている。しかし、製品仕様が異なり、製品機種別に性能が異なる電子部品を使い分けることがあり、電子部品の性能が異なれば、電子部品の寸法やリード端子の位置が異なる場合がある。従って、電子部品の使い分けに合わせてプリント基板のリード端子挿入孔や配線などを結局変更せざるを得ない場合があり、プリント基板を共通化できないことがある。
【0003】
例えば、従来のチューナーは種々の機種が存在し、機種によって同調回路に長さが異なるコイルが使用される。そこで図8に示す通り、下記特許文献1にコイル801のリード端子802aおよび802bが挿入されるリード端子挿入孔803aおよび803bを長孔形状に形成することにより、長さが異なるコイルを使用する場合においても同一のプリント基板を使用できるようにする取付構造が提案されている。しかし、この取付構造はリード端子挿入孔をただ単純に長孔形状にするだけであるので、リード端子挿入孔が大きすぎて半田付けなどの工程のときに、プリント基板から電子部品が外れてしまうという問題がある。
【0004】
さらに、電源整流回路やスイッチング電源やその他の電子機器に用いられる半導体素子(ダイオード、トランジスタ、SCRなど)は、放熱するために放熱板に取り付けられる場合があり、放熱板および半導体素子のプリント基板への取り付け位置を同時に考慮しなければならなくなる。
【0005】
例えば、図7のようなリード端子の位置が異なる複数のブリッジダイオードから選択された1つのブリッジダイオードを放熱板に取り付けてプリント基板へ実装する場合は、放熱板およびプリント基板を共通化することができないという問題がある。具体的には、ブリッジダイオードを放熱板に取り付けるためには電子部品取付孔を規定しなければならないが(例えば、図4の403)、放熱板を共通化する場合、複数のブリッジダイオードに対応する複数の電子部品取付孔を余分に放熱板に規定するか、もしくは電子部品取付孔を共通化し、複数のリード端子挿入孔を余分にプリント基板に規定しなければならない。しかし、放熱板に複数のブリッジダイオードに対応する複数の電子部品取付孔を余分に規定する場合は、各ブリッジダイオードによって放熱部品取付孔の位置の差が僅かであるとき、放熱板に規定する電子部品取付孔の位置が重なってしまい、電子部品取付孔を規定できないことがある。逆に、各ブリッジダイオードによって放熱部品取付孔の位置の差が大きいときは、電子部品取付孔を規定する位置が放熱板の放熱フィンと重なってしまい、電子部品取付孔を規定できないという問題がある。また、電子部品取付孔を共通化し、リード端子挿入孔を余分にプリント基板に規定する場合は、余分に規定する電子部品取付孔だけプリント基板の面積が増加し、プリント基板に導体を配線する自由度が制限されるとう問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平10−321966
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択された電子部品を使用する場合でも、プリント基板および放熱部品を共通化できる、かつ、プリント基板から電子部品がはずれにくいプリント基板への電子部品取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施形態による電子部品取付構造は、取付位置基準と複数のリード端子とを有し、該取付位置基準に対する該リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択された電子部品と、該選択された電子部品のリード端子が挿入されるリード端子挿入孔が規定されたプリント基板とを備え、該取付位置基準が、該複数の電子部品の各リード端子の該取付位置基準に対する位置の差が最小になり、かつ、該リード端子に平行な軸であり、該リード端子挿入孔が、該取付位置基準を基準にして、該複数の電子部品のリード端子が挿入可能な幅の長孔形状を有し、該選択された電子部品のリード端子が該リード端子挿入孔に挿入されて、該電子部品が該プリント基板に取り付けられる。
【0009】
複数の電子部品の各リード端子の取付位置基準に対する位置の差が最小になる取付位置基準を電子部品に規定する。そして、この取付位置基準を基準にした場合に生じる複数の電子部品の各リード端子の位置の差を基にして、最小幅の長孔形状のリード端子挿入孔をプリント基板に規定する。その結果、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択してプリント基板へ実装する場合であっても、いずれの電子部品も同一のプリント基板の共通のリード端子挿入孔にリード端子を挿入できる。すなわち、プリント基板を共通化することができる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成された(つまり、あそびが大きすぎない)長孔であるので、半田付けなどの工程のときに、プリント基板から電子部品が外れてしまうことが解消され、確実に電子部品をプリント基板に半田付けできる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成されるので、プリント基板の面積を縮小でき、配線パターンの自由度が向上し、実装工程を簡略化できる。
【0010】
さらに好ましい実施形態においては、突片部を有し、上記電子部品を取り付けるための電子部品取付孔が規定された放熱部品をさらに備え、該電子部品が、該放熱部品に取り付けるための放熱部品取付孔をさらに有し、上記プリント基板が、該突片部が挿入される突片部挿入孔をさらに有し、上記取付位置基準が、該放熱部品取付孔の中心軸であり、該電子部品が、該放熱部品に取り付けられて、該取付位置基準を基準にして、該放熱部品とともに該プリント基板に取り付けられる。
【0011】
電子部品は、放熱部品取付孔の中心を通り、かつ、リード端子と平行な軸を取付位置基準として規定する。そして、この取付位置基準を基準にした場合に生じる複数の電子部品の各リード端子の位置の差を基にして、最小の寸法で長孔形状のリード端子挿入孔がプリント基板に規定される。従って、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択してプリント基板へ実装するときに、電子部品が放熱部品に取り付けられる場合であっても、取付位置基準を基準にして、プリント基板に規定された長孔形状であるリード端子挿入孔に電子部品のリード端子を挿入することで、放熱板とプリント基板とを共通化することができる。すなわち、リード端子挿入孔および電子部品取付孔の両方を複数の電子部品に対して共通化することができる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成された(つまり、あそびが大きすぎない)長孔であるので、半田付けなどの工程のときに、プリント基板から電子部品が外れてしまうことが解消され、確実に電子部品をプリント基板に半田付けできる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成されるので、プリント基板の面積を縮小でき、配線パターンの自由度が向上し、実装工程を簡略化できる。
【0012】
さらに好ましい実施形態においては、上記取付位置基準が、上記電子部品を2等分する軸であり、上記電子部品取付孔の中心が、上記突片部に並行で、かつ、上記放熱部品を2等分する軸上に位置する。
【0013】
電子部品の放熱部品取付孔の中心が電子部品を2等分するような軸上に位置し、また放熱部品の電子部品取付孔の中心が上記突片部に並行であり、放熱部品を2等分する軸上に位置することによって、電子部品と放熱部品とを結合させたとき、電子部品と放熱部品との夫々が電子部品の取付位置基準を挟んで対称になる。その結果、電子部品が発熱した場合に、放熱部品によって均一に放熱できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品から選択してプリント基板へ実装する場合でも、同じプリント基板に選択したいずれの電子部品も取り付けることができるので、プリント基板を共通化でき、実装工程を簡略化することができる。さらには、放熱板を電子部品に取り付ける場合であっても、放熱板およびプリント基板を共通化できる。さらには、リード端子挿入孔をできる限り均一にかつ最小にできるので、配線パターンの自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を電源整流回路などに使用されるブリッジダイオードのプリント基板への取付構造を例として図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を援用する。
【0016】
図1aおよび図1bは、本発明の実施形態に用いられる2種の自立型ブリッジダイオード101(101aおよび101b)を示す。ここで自立型ブリッジダイオード101とは、プリント基板200(図2参照)に取り付けた場合に自立できるよう両端のリード端子102が相反する向きに湾曲した湾曲部104を有しているブリッジダイオードのことである。これらのブリッジダイオード101aおよび101bは製品仕様の違いなどの理由から使い分けられる。図1中のA−A’は本発明の好ましい実施形態による取付位置基準A−A’である。取付位置基準A−A’はブリッジダイオード101をプリント基板200に取り付ける際の基準である。ブリッジダイオード101の種類によらず、ブリッジダイオード101をプリント基板200に取り付けた際に、この取付位置基準A−A’は、プリント基板200に対して同じ位置(基準点K、図2参照)に配される。さらに、取付位置基準A−A’は、複数のブリッジダイオード101について、この取付位置基準A−A’同士を合致させた時に、取付位置基準A−A’に対するリード端子102の位置の差Hが最小になるように規定される。なお、この取付位置基準A−A’に対するリード端子102の位置の差Hは、後述するリード端子挿入孔201の位置および寸法を決定するために用いられる。取付位置基準A−A’は、具体的には、ブリッジダイオード101を2等分し、かつ、リード端子102に平行な軸である。ここで、2種のブリッジダイオード101aおよび101bにおけるリード端子102の位置の差Hは、ブリッジダイオード101aおよび101bにおいてそれぞれ対応するリード端子102の中心軸B−B’から取付位置基準A−A’までの距離Lの差である。
【0017】
具体的な寸法を用いて説明すると、ブリッジダイオード101aでは、取付位置基準A−A’からリード端子102aの中心軸B−B’までの距離Laが12.5mmであり、取付位置基準A−A’からリード端子102bの中心軸B−B’までの距離Lbが2.5mm、取付位置基準A−A’からリード端子102cの中心軸B−B’までの距離Lcが5mm、取付位置基準A−A’からリード端子102dの中心軸B−B’までの距離Ldが12.5mmである。ブリッジダイオード101bでは、取付位置基準A−A’からリード端子102eの中心軸B−B’までの距離Leが11.25mm、取付位置基準A−A’からリード端子102fの中心軸B−B’までの距離Lfが3.75mm、取付位置基準A−A’からリード端子102gの中心軸B−B’までの距離Lgが3.75mm、取付位置基準A−A’からリード端子102hの中心軸B−B’までの距離Lhが11.25mmである。従って、ブリッジダイオード101aとブリッジダイオード101bとにおける各リード端子102の位置の差Hはいずれも1.25mmである。
【0018】
図2は、本発明の好ましい実施形態によるプリント基板200の要部の表面を示す表面図である。プリント基板200は紙フェノール、ガラスエポキシ、ポリエステルなどの材料から形成される絶縁板上に電子部品などを実装しやすいよう表面にプリント204が施され、裏面は銅箔などからなる導体が配線されたものである(裏面は図示せず)。プリント基板200にはブリッジダイオード101のリード端子102を挿入するためのリード端子挿入孔201a〜201dが形成されている。リード端子挿入孔201は、取付位置基準A−A’を基準にしてブリッジダイオード101aおよび101bのリード端子102が挿入可能な寸法を有する。すなわち、リード端子挿入孔201は、ブリッジダイオード101aおよび101bの取付位置基準A−A’を合致させた際に、各リード端子102の位置の差Hに基づいた幅(つまり、各リード端子102の位置の差Hとリード端子102自体の幅とを合計した幅と同一または実質的に同一な幅)を有する。ここで、実質的に同一とは、リード端子102が無理なくリード端子挿入孔201に挿入できる程度のあそび(余裕)を含むことをいう。なお、取付位置基準A−A’は各リード端子102の位置の差Hが最小になる位置に規定されているので、取付位置基準A−A’に基づいてリード端子挿入孔201をブリッジダイオード101の種類によらず取り付け可能、かつ、最小幅にすることができる。
【0019】
具体的には、リード端子挿入孔201a〜201dは、ブリッジダイオード101aとブリッジダイオード101bとにおける各リード端子102に位置の差H(本例では、1.25mm)に加えてリード端子の1本分の幅の寸法(本例では、1mm)とあそび(本例では、片側0.125mm)とを加算して、全てのリード端子挿入孔201a〜201dが長径2.5mmであり、短径1.3mmである。従って、ブリッジダイオード501aおよび501bのいずれを選択した場合でも、共通のリード端子挿入孔にリード端子502が挿入される。つまり、リード端子102aおよびリード端子102eはリード端子挿入孔201aへ、リード端子102bおよびリード端子102fはリード端子挿入孔201bへ、リード端子102cおよびリード端子102gはリード端子挿入孔201cへ、リード端子102dおよびリード端子102hはリード端子挿入孔201dへ挿入することができる。
【0020】
図2中に示す基準点Kはブリッジダイオード101をプリント基板200に実装するときに、ブリッジダイオード101に規定された取付位置基準A−A’が通る点である。この基準点Kと取付位置基準A−A’を基準として、ブリッジダイオード101aの各リード端子102a〜102dおよびブリッジダイオード101bの各リード端子102e〜102hを挿入できる位置に各リード端子挿入孔201a〜201dがプリント基板に規定されている。
【0021】
図3は、図2のプリント基板に自立型ブリッジダイオード101が取り付けられた状態でのC−C’における断面図である。図3aは図1aのブリッジダイオード101aを用いた場合であり、図3bは図1bのブリッジダイオード101bを用いた場合である。図3aおよび図3bにおいて、プリント基板は図2に示したプリント基板200を共通に使用している。ブリッジダイオード101の取付位置基準A−A’を基準(同時に、プリント基板200の基準点Kも基準になる)にすることによって、共通のリード端子挿入孔201a〜201dにブリッジダイオード101のリード端子102を挿入できる。
【0022】
以上、本発明に係るプリント基板への電子部品取付構造の実施形態の例について説明したように、複数の電子部品の各リード端子の取付位置基準に対する位置の差が最小になる取付位置基準を電子部品に規定する。そして、この取付位置基準を基準にした場合に生じる複数の電子部品の各リード端子の位置の差を基にして、最小の幅の長孔形状のリード端子挿入孔をプリント基板に規定する。その結果、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択してプリント基板へ実装する場合であっても、いずれの電子部品も同一のプリント基板の共通のリード端子挿入孔にリード端子を挿入できる。すなわち、プリント基板を共通化することができる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成された(つまり、あそびが大きすぎない)長孔であるので、半田付けなどの工程のときに、プリント基板から電子部品が外れてしまうことが解消され、確実に電子部品をプリント基板に半田付けできる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成されるので、プリント基板の面積を縮小でき、配線パターンの自由度が向上し、実装工程を簡略化できる。
【0023】
次に、本発明のさらに好ましい実施形態である、ブリッジダイオードを放熱板に取り付ける場合のプリント基板への電子部品取付構造について図4〜7を参照して説明する。
【0024】
まずブリッジダイオードおよび放熱板の構造に関して図4および図5を参照して説明する。
【0025】
図4aおよび図4bは、本実施形態に用いられる2種のブリッジダイオード401である。これらのブリッジダイオード401aおよび401bは製品仕様の違いなどの理由から使い分けられる。図1のブリッジダイオード101と異なり、ブリッジダイオード401aおよび401bを放熱板500(図5参照)にネジによって取り付けるための放熱部品取付孔403が規定されている。さらに、放熱部品取付孔403は、取付位置基準A−A’上に規定される。すなわち、取付位置基準A−A’は、放熱部品取付孔403aおよび403bの中心を通り、ブリッジダイオード401aまたは401bを2等分し、リード端子402と平行な軸上に位置している。
【0026】
図5は、本実施形態で用いられる放熱板500を示す図である。放熱板500は図5で示すブリッジダイオード401aまたは401bをネジなどで結合するための電子部品取付孔503と、プリント基板に取り付けるための突片部502a〜502bと、放熱フィン501とを有している。
【0027】
放熱板500の電子部品取付孔503の中心は、ブリッジダイオード401の取付位置基準A−A’上に位置している。ブリッジダイオード401をプリント基板600(図6参照)に取り付けると、取付位置基準A−A’はブリッジダイオード401の種類によらず、必ず同じ位置(基準点K、図6参照)に配される。従って、取付位置基準A−A’上に規定された放熱部品取付孔403は、ブリッジダイオード401の種類によらず必ず同じ位置(基準点K上)に配されることになる。その結果、取付位置基準A−A’(基準点K)上に位置する電子部品取付孔503と、放熱部品取付孔403とを、ブリッジダイオード401の種類によらず必ず合致させることができ、ネジによって結合することができる。言い換えると、放熱板500の電子部品取付孔503と、ブリッジダイオード401の放熱部品取付孔403とを共に取付位置基準A−A’上に配することによって、ダイオードの種類によらず、放熱板500の唯一の電子部品取付孔503と放熱部品取付孔403とを基準点K上で必ず合致させて、放熱板500にブリッジダイオードを取り付けることができる。つまり、放熱板500は取り付けるブリッジダイオード401に関わらず共通にして用いることができる。また、電子部品取付孔503は放熱フィン501を避けた位置であれば所望の位置に規定することができるが、本実施例では、電子部品取付孔503の中心が取付位置基準A−A’上に規定されている。
【0028】
図6は、本実施形態で用いられるプリント基板600の要部の表面を示す表面図である。プリント基板600にはブリッジダイオード501のリード端子502を挿入するためのリード端子挿入孔601a〜601dと、放熱板400の突片部402を挿入するための突片部挿入孔602が形成されている。
【0029】
図6中に示す基準点Kはブリッジダイオード501をプリント基板600に実装するときに、ブリッジダイオード501の取付位置基準A−A’が通る点である。この基準点Kとブリッジダイオード501に規定された取付位置基準A−A’を基準にして、ブリッジダイオード501aの各リード端子502a〜502dおよびブリッジダイオード501bの各リード端子502e〜502hを挿入できる位置に各リード端子挿入孔601a〜601dがプリント基板に規定されている。また、放熱板400とブリッジダイオード501とをネジなどで結合させた場合のブリッジダイオード501の取付位置基準A−A’と基準点Kとを基準にして、放熱板400の突片部402を挿入できる位置に突片部挿入孔602a〜602dがプリント基板に規定されている。
【0030】
図7は、放熱板500とブリッジダイオード401とがネジなどで結合された状態で、プリント基板600に取り付けた図6のプリント基板600のG−G’における断面図である。図7aは図4aのブリッジダイオード401aを用いた場合であり、図7bは図4bのブリッジダイオード401bを用いた場合である。図7aおよび図7bにおいて、プリント基板600は図6に示したプリント基板を、放熱板500は図4に示した放熱板を共通に使用している。放熱板500にブリッジダイオード401aまたは401bをネジなどで結合し、ブリッジダイオード401の取付位置基準A−A’を基準(同時に、プリント基板600の基準点Kも基準となる)にすることによって、共通のリード端子挿入孔601a〜601dにブリッジダイオード401のリード端子402を挿入でき、さらには共通の突片部挿入孔602に突片部502を挿入できる。なぜならば、電子部品取付孔503および放熱部品取付孔403を取付位置基準A−A’上に配したからである。
【0031】
ブリッジダイオード401の放熱部品取付孔403の中心がブリッジダイオード401を2等分する取付位置基準A−A’上に位置し、さらに、放熱板500の電子部品取付孔503の中心が突片部502に並行で、かつ、放熱板500を2等分する軸F−F’上に位置することによって、ブリッジダイオード401と放熱板500とを結合させたとき、ブリッジダイオード401と放熱板500との夫々がブリッジダイオード401の取付位置基準403を挟んで対称になる。その結果、ブリッジダイオード401が発熱した場合に、放熱板500によって均一に放熱できる。
【0032】
以上、本発明に係るプリント基板への電子部品の取付構造の別の好ましい実施形態の例について説明したように、電子部品は、放熱部品取付孔の中心を通ってブリッジダイオードを2等分し、かつ、リード端子と平行な軸を取付位置基準として規定する。そして、この取付位置基準を基準にした場合に生じる複数の電子部品の各リード端子の位置の差を基にして、最小の寸法で長孔形状のリード端子挿入孔がプリント基板に規定される。従って、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択してプリント基板へ実装するときに、電子部品が放熱部品に取り付けられる場合であっても、取付位置基準を基準にして、プリント基板に規定された長孔形状であるリード端子挿入孔に電子部品のリード端子を挿入することで、放熱板とプリント基板とを共通化することができる。すなわち、リード端子挿入孔および電子部品取付孔の両方を複数の電子部品に対して共通化することができる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成された(つまり、あそびが大きすぎない)長孔であるので、半田付けなどの工程のときに、プリント基板から電子部品が外れてしまうことが解消され、確実に電子部品をプリント基板に半田付けできる。さらには、リード端子挿入孔が最小の寸法で形成されるので、プリント基板の面積を縮小でき、配線パターンの自由度が向上し、実装工程を簡略化できる。さらには、電子部品の放熱部品取付孔の中心が電子部品を2等分するような軸上に位置し、また放熱部品の電子部品取付孔の中心が、突片部に並行であり、放熱部品を2等分する軸上に位置することによって、電子部品と放熱部品とを結合させたとき、電子部品と放熱部品との夫々が電子部品の取付位置基準を挟んで対称になる。その結果、電子部品が発熱した場合に、放熱部品によって均一に放熱できる。
【0033】
なお、本実施の形態では、リード端子挿入孔を、電子部品を2等分し、かつ、リード端子102と平行な軸を取付位置基準として、または、放熱部品取付孔の中心を通ってブリッジダイオードを2等分しかつリード端子と平行な軸を取付位置基準として生じるリード端子の位置の差に対応する寸法の長孔にしたが、この限りではなく、リード端子挿入孔が最小になるように、リード端子の位置の差が最小になるような位置に基準を適宜ブリッジダイオードに規定しても良い。
【0034】
また、本実施の形態では、プリント基板に長孔形状のリード端子挿入孔を形成しているが、このリード端子挿入孔は先述の条件以外に形状の制限は無く、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択する場合、電子部品よってリード端子の位置の差があっても共通にリード端子を挿入できる孔であれば良い。
【0035】
さらに、本実施の形態では、放熱板に放熱フィンを有するものを用いているが、放熱フィンを有さないコの字型などの放熱板でも良く、電子部品を取り付けて放熱でき、プリント基板に取り付けることができるものであれば良い。
【0036】
さらに、本実施の形態では、1個の放熱板に1個の電子部品を取り付けた状態でのプリント基板への電子部品取付構造を説明したが、放熱板1つに対して複数個の電子部品を取り付けてもよい。その場合、取り付ける電子部品の数だけ、放熱板には電子部品取付孔が、プリント基板にはその相当数のリード端子挿入孔が必要である。
【0037】
さらに、本実施の形態では、2種の電子部品を使い分ける場合について説明したが、2種以上の電子部品を使い分ける場合であってもよい。
【0038】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のプリント基板への電子部品取付構造は、あらゆる用途の電子回路に用いられ得るが、取付位置基準に対して各リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択して用いる電子回路に好適に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の好ましい実施形態で用いる電子部品を示す平面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態であるプリント基板の要部の表面を示す表面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態である電子部品取付構造を示す断面図である。
【図4】本発明の別の好ましい実施形態で用いる電子部品を示す平面図である。
【図5】本発明の別の好ましい実施形態で用いる放熱板を示す平面図である。
【図6】本発明の別の好ましい実施形態であるプリント基板の要部の表面を示す表面図である。
【図7】本発明の別の好ましい実施形態である電子部品取付構造を示す断面図である。
【図8】従来の電子部品取付構造を示す断面図(a)およびプリント基板の要部の裏面を示す図(b)である。
【符号の説明】
【0041】
101、401 ブリッジダイオード
102、402、802 リード端子
104 湾曲部
200、600、800 プリント基板
201、601、803 リード端子挿入孔
204、604 プリント
403 放熱部品取付孔
500 放熱板
501 放熱フィン
502 突片部
503 電子部品取付孔
602 突片部挿入孔
801 コイル
804 導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付位置基準と複数のリード端子とを有し、該取付位置基準に対する該リード端子の位置がそれぞれ異なる複数の電子部品の中から選択された電子部品と、
該選択された電子部品のリード端子が挿入されるリード端子挿入孔が規定されたプリント基板とを備え、
該取付位置基準が、該複数の電子部品の各リード端子の該取付位置基準に対する位置の差が最小になり、かつ、該リード端子に平行な軸であり、
該リード端子挿入孔が、該取付位置基準を基準にして、該複数の電子部品のリード端子が挿入可能な幅の長孔形状を有し、
該選択された電子部品のリード端子が該リード端子挿入孔に挿入されて、該電子部品が該プリント基板に取り付けられる、電子部品取付構造。
【請求項2】
突片部を有し、前記電子部品を取り付けるための電子部品取付孔が規定された放熱部品をさらに備え、
該電子部品が、該放熱部品に取り付けるための放熱部品取付孔をさらに有し、
前記プリント基板が、該突片部が挿入される突片部挿入孔をさらに有し、
前記取付位置基準が、該放熱部品取付孔の中心軸であり、
該電子部品が、該放熱部品に取り付けられて、該取付位置基準を基準にして、該放熱部品とともに該プリント基板に取り付けられる、請求項1に記載の電子部品取付構造。
【請求項3】
前記取付位置基準が、前記電子部品を2等分する軸であり、
前記電子部品取付孔の中心が、前記突片部に並行で、かつ、前記放熱部品を2等分する軸上に位置する、請求項2に記載の電子部品取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−253333(P2006−253333A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66358(P2005−66358)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】