説明

プリント機能付き刺繍ミシン

【課題】 布保持枠に保持した加工布を保持し直すことなく縫製とプリントを行えるようにすること、布保持枠のプリント可能範囲を最大限に活用できるようにすること。
【解決手段】 枠駆動装置は、布保持枠3をベッド部の長さ方向(左右方向)と平行なX方向へ移動させるX方向駆動機構と、布保持枠3をX方向と直交するY方向へ移動させるY方向駆動機構とを有し、プリンタのプリントヘッド1 は、複数のインクジェットノズルを列状に配列した4色分のノズル列の方向を夫々X方向に向けて配設されている。プリンタはY方向駆動機構により布保持枠3をY方向へ移動させながら加工布Wにプリントする場合に、Y方向駆動モータの回転速度が変化する加減速領域を、布保持枠3の内部の刺繍可能領域のうちのY方向の両端部に夫々設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン本体と布保持枠と枠駆動装置とインクジェット式のプリント装置とを備えたプリント機能付き刺繍ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刺繍ミシンは、縫針を下端に装着した針棒を上下動させる針棒上下駆動機構をアーム部に設けるとともに、各種の糸輪捕捉器をベッド部に設けたミシン本体と、縫製に供する加工布を伸張して保持する布保持枠と、布保持枠を連結させて水平面において相互に直交する2方向へ独立に移動させる枠駆動装置等を備えている。特に、家庭用の刺繍ミシンにおいては、ミシン本体のベッド部に枠駆動装置が組込まれているものも実用化されている。
【0003】
ところで、最近、刺繍ミシンにインクジェット式のプリンタを装備し、枠駆動装置に連結された布保持枠で保持した加工布の上面に、プリンタのプリントヘッドを近接して配置し、枠駆動装置により布保持枠を水平方向へ移動させながら、プリンタにより種々の模様や図形等を加工布にプリント可能に構成してある。
【0004】
例えば、特開平9−256260号公報に記載の刺繍ミシンにおいては、2台の刺繍ミシンを備えた多頭ミシンであり、各刺繍ミシンの色換機構に複数の針棒と1つのプリントヘッドを設け、針棒を選択することで、刺繍データに基づいて矩形状の刺繍枠をX−Y方向に移動させることで刺繍模様を縫製できるとともに、プリントヘッドを選択することで、プリントデータに基づいて刺繍枠をX−Y方向に移動させながら、シアン、マゼンタ、イエローからなるカラープリントを行えるようにしてある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−256260号公報 (第3〜4頁、図2,図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、特開平9−256260号公報に記載の刺繍ミシンにおいて、矩形状の刺繍枠をX方向に駆動するX方向駆動機構及びY方向に駆動するY方向駆動機構が設けられ、X方向駆動機構のX方向駆動モータやY方向駆動機構のY方向駆動モータは、一般的に、駆動制御が簡単なステッピングモータが採用される。
【0007】
ステッピングモータを脱調させないように往復回転駆動させる場合、駆動方向を切換えるために回転速度が変化する加減速状態が有り、その加減速状態に対応する加減速領域においてはプリントが乱れることとなる。
【0008】
前述した刺繍ミシンにおいては、長方形状の刺繍枠の長い方向を、X方向とY方向の何れに設定しているのかが記載されていない。しかし、多頭ミシンであるため、1台の刺繍ヘッドで刺繍可能な刺繍領域にはX方向及びY方向において夫々制限がある。そこで、プリントさせない加減速領域を刺繍枠の長さ方向(所謂、Y方向)と、これと直交する短い方向(所謂、X方向との何れに設けるような場合でも、刺繍可能な寸法が短くなり、結果的に、プリント領域が小さくなるという問題がある。
【0009】
特に、ベッド部と脚柱部とアーム部とを有する家庭用の刺繍ミシンの場合には、ベッド部上の縫針と、脚柱部との間の距離、つまりベッド部の長さ方向と平行な方向(所謂、X方向)における布保持枠の移動距離が制約されるため、ベッド部上に載置された布保持枠の内部に設定された刺繍可能領域のうち、ベッド部の長さ方向と平行な方向にステッピングモータの加減速領域を設ける場合、その加減速領域においてはプリントが乱れるため、結果としてプリントさせないようにする必要があり、プリント可能領域が大幅に小さくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係るプリント機能付き刺繍ミシンは、ベッド部と脚柱部とアーム部とを有し縫製手段により加工布に縫製可能なミシン本体と、縫製に供する加工布を保持する布保持枠と、この布保持枠を水平面において相互に直交する2方向へ独立に移動させる枠駆動装置と、この枠駆動装置により移動される布保持枠に保持された加工布にプリントするプリントヘッドを有するインクジェット式のプリンタとを備えたプリント機能付き刺繍ミシンにおいて、枠駆動装置は、布保持枠をベッド部の長さ方向と平行な第1方向へ移動させる第1駆動機構と、布保持枠を第1方向と直交する第2方向へ移動させる第2駆動機構とを有し、プリンタのプリントヘッドは、複数のインクジェットノズルを列状に配列したノズル列の方向を第1方向に向けて配設され、プリンタは第2駆動機構により布保持枠を第2方向へ移動させながら加工布にプリントするものである。
【0011】
枠駆動装置は第1駆動機構と第2駆動機構とを備えているので、布保持枠は、第1駆動機構によりベッド部の長さ方向と平行な第1方向へ独立に移動されるとともに、第2駆動機構により第1方向と直交する第2方向へ独立に移動される。この場合、布保持枠の第2方向においては何ら障害となるものが存在しないため、第2方向の移動可能距離は制約されることがない。しかし、布保持枠の第1方向においては脚柱部が障害物として存在するため、第1方向の移動可能距離は脚柱部までの寸法に応じて制約される。
【0012】
そこで、刺繍可能領域を大きくするために、布保持枠は第1方向に短く且つ第2方向に長い矩形状になる。プリンタのプリントヘッドには、複数のインクジェットノズルを列状に配列したノズル列の方向が第1方向に向けて配設されているため、プリンタは、第2駆動機構により、布保持枠を第2方向へ移動させながら加工布にプリントする。即ち、第2方向における第2プリント可能距離の方が第1方向における第1プリント可能距離よりも長くなっており、プリンタはその第2プリント可能距離を、第2方向に布送りしながら一気に往復プリントする。
【0013】
請求項2に係るプリント機能付き刺繍ミシンは、請求項1の発明において、前記第2駆動機構に有する駆動モータはステッピングモータからなり、駆動モータの回転速度が変化する加減速領域を、布保持枠の内部の刺繍可能領域のうちの第2方向の両端部に夫々設け、これら加減速領域においてプリントさせないようにしたものである。
【0014】
この場合、プリントヘッドは、ステッピングモータからなる駆動モータにより第2駆動機構を介して第2方向に移動しながらプリントするに際して、第2プリント可能距離をプリントする毎に、第1方向へ布送りするために、減速させて停止させる一方、布送りさせた後に所定速度まで加速させる加減速領域が必要となり、その加減速領域においてプリントできない。そこで、その加減速領域が布保持枠の内部の刺繍可能領域のうちの、ミシンの脚柱部等により制限を受けない第2方向の両端部に夫々設けられているため、第2プリント可能距離を加減速領域に応じて長くすることで、第1方向への第1プリント可能距離と第2方向への第2プリント可能距離とが共に短くなることはない。
【0015】
請求項3に係るプリント機能付き刺繍ミシンは、請求項1又は2の発明において、前記プリンタは、複数色のインクを噴射可能な複数のノズル列を前記第2方向に並設させて前記プリントヘッドに設けたものである。この場合、プリントヘッドに設けられた複数色分のノズル列により、カラープリントされる。
【0016】
請求項4に係るプリント機能付き刺繍ミシンは、請求項1〜3の何れかの発明において、前記プリンタは、プリントヘッドにパージを行うパージ機構と、プリントヘッドのヘッド面をキャップを用いて覆うキャップ機構とを有するものである。この場合、プリントヘッドが所定のパージ位置に移動してから、パージ機構によりパージが実行され、インクジェットノズル内の気泡やゴミが除去されるとともに、プリント処理しない場合には、キャップ機構によりヘッド面がキャップで覆われ、インクの乾燥が防止される。
【0017】
請求項5に係るプリント機能付き刺繍ミシンは、請求項1〜4の何れかの発明において、前記ミシン本体とプリンタとが一体的に設けられたものである。この場合、布保持枠をミシン本体に着脱したり、プリンタに着脱する作業を省略して、布保持枠を枠駆動装置に連結した状態で、布保持枠に保持した加工布に刺繍縫いでき、しかもプリンタでプリントができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ベッド部と脚柱部とアーム部とを有し縫製手段により加工布に縫製可能なミシン本体と、縫製に供する加工布を保持する布保持枠と、この布保持枠を水平面において相互に直交する2方向へ独立に移動させる枠駆動装置と、この枠駆動装置により移動される布保持枠に保持された加工布にプリントするプリントヘッドを有するインクジェット式のプリンタとを備えたので、布保持枠に加工布を保持させた状態で、その加工布にミシン本体により刺繍縫いが可能であり、しかもプリンタによりプリントが可能になる。この場合、刺繍縫いするときとプリントするときに、加工布を布保持枠から取り外さないため、刺繍縫目に対するプリント位置精度を高めることができる。
【0019】
更に、枠駆動装置は、布保持枠をベッド部の長さ方向と平行な第1方向へ移動させる第1駆動機構と、布保持枠を第1方向と直交する第2方向へ移動させる第2駆動機構とを有し、プリンタのプリントヘッドは、複数のインクジェットノズルを列状に配列したノズル列の方向を第1方向に向けて配設され、プリンタは第2駆動機構により布保持枠を第2方向へ移動させながら加工布にプリントする場合に、布保持枠の第1方向においては脚柱部が障害物として存在することから、第2方向における第2プリント可能距離の方が第1方向における第1プリント可能距離よりも長くなっており、プリンタはその第2プリント可能距離を、第2方向に布送りしながら一気に往復プリントするため、第1方向にプリントする場合と比べて、プリントヘッドを第2方向への移動を一旦停止させてから第1方向に布送りさせる布送り回数が少なくなり、プリント処理時間を短縮することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、前記第2駆動機構に有する駆動モータはステッピングモータからなり、駆動モータの回転速度が変化する加減速領域を、布保持枠の内部の刺繍可能領域のうちの第2方向の両端部に夫々設け、これら加減速領域においてプリントさせないようにしたので、第2方向における第2プリント可能距離を加減速領域に応じて長くすることで、第1方向への第1プリント可能距離と第2方向への第2プリント可能距離とが共に短くなることがなく、布保持枠に対するプリント可能領域を最大限に設定することができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
【0021】
請求項3の発明によれば、前記プリンタは、複数色のインクを噴射可能な複数のノズル列を前記第2方向に並設させて前記プリントヘッドに設けたので、プリントヘッドに設けられた複数色分のノズル列により、複数色によるカラープリントが可能になる。その他請求項1又は2と同様の効果を奏する。
【0022】
請求項4の発明によれば、前記プリンタは、プリントヘッドにパージを行うパージ機構と、プリントヘッドのヘッド面をキャップを用いて覆うキャップ機構とを有するので、パージ機構によるパージにより、インクジェットノズル内の気泡やゴミを除去できるとともに、プリント処理しない場合に、キャップ機構によりヘッド面がキャップで覆われ、インクの乾燥を防止することができる。その他請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏する。
【0023】
請求項5の発明によれば、前記ミシン本体とプリンタとが一体的に設けられたので、布保持枠をミシン本体に着脱したり、プリンタに着脱する作業を省略して、布保持枠を枠駆動装置に連結した状態で、布保持枠に保持した加工布に刺繍縫いが可能であり、しかもプリンタでプリントが可能になる。その他請求項1〜4の何れかと同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態におけるプリント機能付き刺繍ミシンは、ミシン本体に枠駆動装置とプリンタを一体的に設け、枠駆動装置に連結させた布保持枠に加工布を保持した状態で、布保持枠をX方向(第1方向)とY方向(第2方向)に移動させながら、刺繍縫いとプリントが可能であり、布保持枠の刺繍可能領域のうちのY方向の両端部に、Y方向駆動機構のY駆動モータを加速及び減速させるための加減速領域を設けてある。
【実施例】
【0025】
図1〜図3に示すように、プリント機能付き刺繍ミシン1は、加工布Wに縫製が可能なミシン本体2と、縫製に供する加工布Wを保持する矩形枠状の布保持枠3と、布保持枠3を着脱可能に連結する枠駆動装置4と、枠駆動装置4で移動される布保持枠3の加工布Wにプリント可能なインクジェット式のプリンタ5を備え、ミシン本体2に枠駆動装置4とプリンタ5とが一体的に設けられている。
【0026】
ミシン本体2について説明すると、図1〜図3に示すように、ベッド部10と、ベッド部10の右端部から上方に立設する脚柱部11と、脚柱部11の上端部からベッド部10と対向するように左方へ延びるアーム部12等から構成されている。
【0027】
脚柱部11及びアーム部12にはミシンモータ(図示略)の駆動力を主軸に伝達する駆動力伝達機構が設けられ、アーム部12の頭部の内部に、針棒13を上下動させる針棒上下動機構、上糸を引き上げる天秤(図示略)を駆動する天秤駆動機構、布押え(図示略)を操作レバー14の操作で昇降させる押え駆動機構等が設けられているが、公知の技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0028】
ベッド部10には、図示を省略するが、縫針15の上下動と調時して縫目を形成する糸輪捕捉器と、ミシンモータからの回転駆動力を糸輪捕捉器に伝達する下軸、縫製終了時に上糸と下糸を切断する糸切り機構などが設けられている。ベッド部10に形成された被装着部に、後述する枠駆動装置4の装着部25aが連結されている。この場合、その被装着部には、枠駆動装置4の装着部25aに設けた雄型コネクタ27に接続可能なメス型コネクタ16が設けられている。
【0029】
次に、刺繍縫いに供する加工布を保持する布保持枠3について説明する。
【0030】
図3,図4に示すように、布保持枠3は平面視にて丸みを有する矩形枠状(略楕円系)であり、略同形状の左側外枠部20aと右側外枠部20bとからなる外枠20と、外枠20に内嵌される内枠21とを有する。左側外枠部20aには止めネジ20cを有する止めネジ部と、ネジ受け部20dと、後述する枠駆動装置4に解除可能に連結される連結部20eとが設けられ、右側外枠部20bには止めネジ20fを有する止めネジ部と、ネジ受け部2gとが設けられている。
【0031】
ここで、図4に示すように、連結部20eは所定長さを有し、その連結部20eには、2つの第1及び第2位置決め凹部20h,20iが夫々形成されている。第1位置決め凹部20hを後述する枠駆動装置4の連結レバー41の位置決め凸部41aに係合させることにより、ミシン本体2の縫針15の位置を基準とした縫製基準位置HPc(図3参照)に対する布保持枠3の刺繍領域基準位置Sc(図4参照)を一致させるようになっており、第2位置決め凹部20iを連結レバー41の位置決め凸部41aに係合せせることにより、プリンタ5のプリントヘッドのプリント基準位置PPc(図7参照)に対する布保持枠3のプリント領域基準位置Pc(図4参照)を一致させるようになっている。
【0032】
布保持枠3で加工布Wを保持する場合には、先ず、左右の外枠部20a,20bの止めネジ20c,20fを緩めておき、外枠20の全体に加工布Wを載置してセットし、加工布Wを挟み込むように内枠21を外枠20に上側から押し込むように内嵌させ、加工布Wが伸張した状態で、1対の止めネジ20c,20fを締め付ける。
【0033】
次に、布保持枠3をX方向(左右方向;第1方向に相当する)とY方向(前後方向;第2方向に相当する)に夫々独立に移動させる枠駆動装置4について説明する。
【0034】
図5に示すように、枠駆動装置4は、ミシン本体2のベッド部10に着脱自在に装着される装着部25aが形成された平面視略矩形の本体ケース25と、本体ケース25上に左右方向へ移動可能に設けられ、前後方向に長い可動ケース26に覆われたY方向駆動機構30と、Y方向駆動機構30を備えた本体ケース25を左右方向へ駆動するX方向駆動機構45とを備えている。
【0035】
先ず、Y方向駆動機構30について説明すると、可動ケース26の内部に、前後方向に長いガイド軸31とガイド部材32が架設され、これらガイド軸31及びガイド部材32にキャリッジ33が前後方向に移動可能に支持されている。可動ケース26の前後両端部にピニオンギヤ34,35が回転可能に枢支され、これら両ピニオンギヤ34,35に亙って無端状のタイミングベルト36が掛け渡されている。
【0036】
前側のピニオンギヤ35には同軸状に大径のギヤ37が固着され、Y方向駆動モータ38の駆動軸に固着した駆動ギヤ39がギヤ37に噛合されている。キャリッジ33はタイミングベルト36の一カ所で連結され、Y方向駆動モータ38の駆動により、これらピニオンギヤ34,35とタイミングベルト36を介してキャリッジ33が前後方向に移動される。
【0037】
キャリッジ33には前後方向に所定長さを有する連結部材40が固着され、連結部材40の1個所に連結レバー41が設けられ、その連結レバー41の先端部に、布保持枠3の第1及び第2位置決め凹部20h,20iに択一的に係合する位置決め凸部41aが形成されている。それ故、布保持枠3がその連結部20eを介してキャリッジ33の連結部材40に取付けられている場合、布保持枠3が前後方向、つまりY方向に移動される。
【0038】
次に、X方向駆動機構45について説明すると、本体ケース25の内部に、左右方向に長いガイド軸46が配設され、ガイド軸46に可動体47の後端部が左右方向に移動自在に支持され、その可動体47の前端部が可動ケース26の下側に連結されている。左右両端部にピニオンギヤ48,49が回転可能に枢支され、これら両ピニオンギヤ48,49に亙って無端状のタイミングベルト50が掛け渡されている。
【0039】
右側のピニオンギヤ49には同軸状に大径のギヤ51が固着され、X方向駆動モータ52の駆動軸に固着した駆動ギヤ53がギヤ51に噛合されている。可動体47はタイミングベルト50の一カ所に連結され、X方向駆動モータ52の駆動により、これらピニオンギヤ48,49とタイミングベルト50及び可動ケース26(Y方向駆動機構30)を介して、キャリッジ33が左右方向に移動される。布保持枠3がその連結部20eを介してキャリッジ33の連結部材40に取付けられている場合、布保持枠3が左右方向、つまりX方向に移動される。
【0040】
ここで、枠駆動装置4の装着部25aに雄型のコネクタ27が設けられている。そこで、枠駆動装置4の装着部25aをミシン本体2の被装着部に装着した場合、装着部25aの雄型のコネクタ27と被装着部の雌型コネクタ16とが自動的に接続され、ミシン本体2の制御ユニット90から駆動モータ38,52を駆動するための駆動データが枠駆動装置4に送信されるとともに、枠駆動装置4の位置検出センサ95,96からの検出信号が制御ユニット90に送信される。
【0041】
ところで、前述したY方向駆動モータ38とX方向駆動モータ52は、夫々ステッピングモータで構成されている。そのため、脱調させないで、これら駆動モータ38,52が停止状態から所定回転速度に達するまでには加速時間が必要であり、しかも所定回転速度から停止するまでには減速時間が必要である。即ち、これらの駆動モータ38,52には回転開始時と回転停止時には、速度が安定しない加減速状態が存在し、プリント可能領域のうちの加減速状態に対応する加減速領域においては、プリントさせることができず、実際のプリント可能領域は、加減速領域を除いた狭い範囲の領域となる。
【0042】
布保持枠3のX方向においては、脚柱部11が障害物として存在することから、布保持枠3のX方向における移動可能距離は制限されるが、Y方向においては何ら障害となるものが存在しないため、移動可能な距離は制限されない。そこで、図4に示すように、プリント方向をY方向向きに設定し、刺繍可能領域のうちのY方向の両端部に加減速領域を夫々設けることで、プリント可能領域のX寸法を減少させないようにしてある。
【0043】
即ち、プリント可能領域のY寸法は、加減速領域の2倍の距離に対応して減少するが、その減少寸法分だけ、Y方向駆動機構30のY方向移動可能距離と布保持枠3のY方向寸法を大きくしてあるため、実際のプリント可能領域のX方向寸法とY方向寸法の何れもが短縮されることがなく、布保持枠3の大きさに対するプリント可能領域が最大限に確保されている。尚、図4において、符号Scは刺繍可能領域の中心であって刺繍領域基準位置を示し、符号Pcはプリント可能領域の中心であってプリント領域基準位置を示す。
【0044】
次に、布保持枠3に保持されている加工布Wに、4色のインクを用いてカラープリントするプリンタ5について説明する。
【0045】
図6,図8〜図10に示すように、プリンタ5は、ミシン本体2のアーム部12の後側に固着されたプリンタケース60の内部に設けられており、下向きに配設されたプリントヘッド61と、そのプリントヘッド61を、布保持枠3の加工布Wに上側から接近したプリント位置(図9参照)と、このプリント位置から上方へ退避させた退避位置(図8参照)とに亙って切り換えるヘッド位置切換え機構62と、パージユニット63と、そのパージユニット63を前後に移動させる移動機構64と、排出された不要なインクを吸収するインク吸収部材65等を有し、プリントヘッド61に設けた複数のインクジェットノズル61bから4色のインクを噴射して、布保持枠3に保持した加工布Wにカラープリント可能になっている。
【0046】
先ず、下向きに配設されたプリントヘッド61について説明する。但し、このプリントヘッド61は、一般的に使用されているインクジェット式のカラープリントヘッドであるため、簡単に説明するものとする。プリントヘッド61は、図6に示すように、プリンタケース60内の略前半部分に上下動可能に設けられている。
【0047】
プリントヘッド61のヘッド面61aには、図7に示すように、マゼンダ(M) 、イエロー(Y) 、シアン(C) 、ブラック(B) の4色分のインクを噴射可能な4つのノズル列61c〜61fが、Y方向に並設されている。ここでは、詳しく図示しないが、各ノズル列61c〜61fには、所定個数(例えば、75個)のインクジェットノズル61bが千鳥状にX方向に向けて配列されている。各インクジェットノズル61bに圧電セラミックアクチュエータが設けられ、制御ユニット100からプリント駆動信号を受けた圧電セラミックアクチュエータが撓むことにより、そのインクジェットノズル61bから微量のインクが下向きに噴射され、プリントされる。
【0048】
ここで、図7に示す符号PPcは、プリントヘッド61のプリント基準位置を示す。プリントヘッド61の上側に、マゼンダ(M) 、イエロー(Y) 、シアン(C) 、ブラック(B) のインクを貯留した4つのインクカートリッジ(図示略)を収容するカートリッジケース66が設けられ、消耗したインクのインクカートリッジだけを個別に交換可能になっている。尚、プリントヘッド61として、圧電セラミックアクチュエータタイプ以外の各種のプリントヘッド61を採用するようにしてもよい。
【0049】
図5に示すように、縫針15により刺繍縫いするときの縫製基準位置HPcと、プリントヘッド61によりプリントするときのプリント基準位置PPcとは、距離Lだけ異なっているが、前述した第1位置決め凹部20hと第2位置決め凹部20iとの離隔距離をLに設定することで、第1位置決め凹部20hにより縫製基準位置HPcを刺繍領域基準位置Scに対応させることができ、第2位置決め凹部20iによりプリント基準位置PPcをプリント領域基準位置Pcに対応させることができる。
【0050】
ヘッド位置切換え機構62は、プリンタケース60内のプリントヘッド61の直ぐ前側に設けられている。このヘッド位置切換え機構62は、プリントヘッド61をプリント位置と退避位置とに亙って昇降自在に案内する前後1対の縦向きのガイドロッド70(図6,図7参照)と、プリントヘッド61を下側のプリント位置と上側の退避位置とに高さ位置を切換えるヘッド昇降機構71を有する。
【0051】
ヘッド昇降機構71は、枢支ピン72によりプリンタケース60に水平軸心回りに回転可能に枢着されたクランク部材73であって、一端部にセクターギヤ73aを形成するとともに、他端部に連結レバー部が形成されクランク部材73と、連結レバー部の端部とプリントヘッド61に夫々回転可能に連結されたリンク部材74を有する。ヘッド昇降モータ75の駆動軸に固着した駆動ギヤ76とセクターギヤ73aとが噛合されている。
【0052】
ヘッド昇降モータ75を駆動させて、駆動ギヤ76がセクターギヤ73aの一端側に噛合する場合、図8に示すように、プリントヘッド61が上側の退避位置に移動する一方、駆動ギヤ76がセクターギヤ73aの他端側に噛合する場合、図9に示すように、プリントヘッド61が下側のプリント位置に移動する。但し、プリントヘッド61が退避位置に上昇した場合、後述するパージユニット63が前側のパージ位置に前進し、プリントヘッド61が下側からパージされる。
【0053】
パージユニット63はボックス状であり、上端部分にヘッドキャップ80とワイパー81(図6参照)とが夫々設けられるとともに、その内部に、パージユニット昇降モータ82と、吸引ポンプ83と、インク受け部材84(図6参照)等が設けられている。ヘッドキャップ80は、プリントヘッド61のヘッド面61aに下側から密着可能なゴム製のキャップに構成され、プリントヘッド61が退避位置に上昇し、パージユニット63が前方のパージ位置に移動した状態で、ヘッドキャップ80をパージユニット昇降モータ67で上昇させることにより、ヘッドキャップ80の外周部が多数のインクジェットノズル61bを有するプリントヘッド61のヘッド面61aに下側から密着して蓋をする。
【0054】
このように、ヘッドキャップ80でヘッド面61aを密閉することにより、プリントを行っていないときには、これら多数のインクジェットノズル61bの乾燥を防止できるととにも、パージが実行される。ここで、ヘッドキャップ80を上昇させるのではなく、ヘッド昇降モータ75を駆動させてプリントヘッド61をヘッドキャップ80の位置まで下降させることにより、プリントヘッド61のヘッド面61aにヘッドキャップ80を密着させるようにしてもよい。
【0055】
パージについて簡単に説明すると、プリントヘッド61が退避位置に上昇し、パージユニット63が前方のパージ位置に前進した状態で、パージユニット昇降モータ82が駆動され、前述したように、ヘッドキャップ80が上昇してプリントヘッド61のヘッド面61aが密閉された状態で、吸引ポンプ83の駆動によりヘッドキャップ80の内部が負圧になり、プリントヘッド61のインクジェットノズル61bから少量のインクと共に気泡やゴミが吸引され取り除かれる。ワイパー81は、ゴム製のブレードからなり、プリントヘッド61のヘッド面61aより若干高く設けられている。
【0056】
移動機構64について説明すると、プリンタケース60内の上端部に前後向きの上下2本のガイドレール87が平行に装着され、これらガイドレール87にパージユニット63が前後移動可能に支持されている。ガイドレール87の右側にパージユニット移動モータ88が配設され、パージユニット移動モータ88の出力軸に固着されたピニオン92が、パージユニット63の上面に形成されたラック63aに噛合している。パージユニット移動モータ88が駆動されることにより、パージユニット63は、後方の退避位置(図6参照)と、前方のパージ位置(図10参照)とに移動される。
【0057】
パージユニット63がパージ位置に移動してプリントヘッド61がパージされた後、パージユニット移動モータ88によりパージユニット63が後方の退避位置に移動する際に、ワイパー81の上端部によりプリントヘッド61のヘッド面61aが払拭され、ヘッド面61aに残ったインクが綺麗にクリーニングされる。
【0058】
ところで、プリントヘッド61によるプリント途中であっても、所定時間以上インク噴射しない場合には、プリント可能領域以外の所定のフラッシング位置でフラッシング(インクの空噴射)を行い、インクジェットノズル61bの正常化が図られる。そこで、プリントヘッド61がフラッシング位置に移動した場合、インク受け部材84がヘッド面61aの下側に配置される。このとき、インクジェットノズル61bによりフラッシングされたインクがインク受け部材84に一旦受けられてから、後述するインク吸収部材65に排出される。
【0059】
インク吸収部材65は、フェルト等からなり、プリンタケース60内の右側の下端部において、前後方向の全長に亙って配設され、前述したパージやフラッシングされた不要なインクを吸収して貯留するようになっている。ここで、ヘッドキャップ80を有するパージユニット63と、吸引ポンプ83と、パージユニット昇降モータ82等からパージ機構が構成され、ヘッドキャップ80を有するパージユニット63と、パージユニット昇降モータ82等からキャップ機構が構成されている。
【0060】
次に、プリント機能付き刺繍ミシン1の制御系について、図11に基づいて説明する。先ず、ミシン本体2について説明すると、ミシン本体2には、CPUやROM及びRAM等を有する制御ユニット90と、各刺繍模様選択スイッチ等の各種操作スイッチ91と、主軸の回転位相を検出する主軸位相検出センサ92と、ミシンモータ93を駆動する駆動回路94等が設けられている。
【0061】
枠駆動装置4には、キャリッジ33のY方向位置を検出するY方向位置検出センサ95と、可動ケース26のX方向位置を検出するX方向位置検出センサ96と、Y方向駆動モータ38を駆動する駆動回路97と、X方向駆動モータ52を駆動する駆動回路98等が設けられている。更に、プリンタ5には、CPUやROM及びRAM等を有する制御ユニット100と、プリントヘッド61を駆動する駆動回路101と、ヘッド昇降モータ75を駆動する駆動回路102と、パージユニット昇降モータ82を駆動する駆動回路103と、パージユニット移動モータ88を駆動する駆動回路104等が設けられている。
【0062】
枠駆動装置4をミシン本体2に装着した場合、枠駆動装置4の装着部25aに設けた雄型のコネクタ27と、ミシン本体2の被装着部に設けた雌型コネクタ16とが自動的に接続され、枠駆動装置4は制御ユニット90から送信される各種の移動制御信号に基づいてキャリッジ33を移動制御する。プリンタ5をミシン本体2に装着した場合、ミシン本体2に設けられた雌型コネクタ28と、プリンタ5に設けられた雄型コネクタ67とが接続され、プリンタ5は制御ユニット90から送信される各種のプリント制御信号に基づいてプリント制御する。
【0063】
次に、このように構成されたプリント機能付き刺繍ミシン1の作用及び効果について、説明する。
【0064】
布保持枠3の第1位置決め凹部20hを枠駆動装置4の位置決め凸部41aに係合させて連結し、枠駆動装置4を駆動させながらミシン本体2により刺繍縫いする場合、前述したように縫製基準位置HPcが刺繍領域基準位置Scに対応しているため、ミシンモータ93の駆動による縫針15の上下動に調時して枠駆動装置4が駆動され、布保持枠3に保持された加工布Wに刺繍模様が形成される。この場合、図4に示すように、左下がりの斜線で示す刺繍可能領域に刺繍縫目が形成される。
【0065】
ところで、布保持枠3の第2位置決め凹部20iを枠駆動装置4の位置決め凸部41aに係合させて連結し、プリンタ5により布保持枠3に保持された加工布にプリントする場合、前述したように、プリント基準位置PPcがプリント領域基準位置Pcに対応している。この場合、図4に示すように、プリント可能領域を左下がり且つ右下がりの斜線で示す。
【0066】
そこで、図4に示すように、プリントヘッド61によりY方向に向けて、第1プリント走査Pr1によりプリント可能領域のY寸法に亙ってプリントし、第1布送り移動Gr1によりX方向に微小距離だけ布送りする。以降同様にして、第2プリント走査Pr2、第3プリント走査Pr3、第4プリント走査Pr4、・・を実行する途中で、第2布送り移動Gr2、第3布送り移動Gr3、第4布送り移動Gr4、・・を夫々実行する。
【0067】
この場合、各第1プリント走査Pr1、第1プリント走査Pr3、第5プリントPr5、第7プリントPr7においては、プリント開始時に加速されるとともに、プリント終了時には減速されて停止する。しかし、X方向においては、プリントすることなく、第1布送り移動Gr1、第2布送り移動Gr2、第3布送り移動Gr3、・・を実行するだけなので、各布送り移動に加減速領域を含めることができる。
【0068】
このように、ベッド部10と脚柱部11とアーム部12とを有し、縫針15と糸輪捕捉器等からなる縫製手段により、加工布に縫製可能なミシン本体2と、縫製に供する加工布Wを保持する布保持枠3と、この布保持枠3を水平面において相互に直交する2方向へ独立に移動させる枠駆動装置4と、この枠駆動装置4により移動される布保持枠3に保持された加工布Wにプリントするプリントヘッド61を有するインクジェット式のプリンタ5とを備えたので、布保持枠3に加工布Wを保持させた状態で、その加工布Wにミシン本体2により刺繍縫いが可能であり、しかもプリンタ5によりプリントが可能になる。この場合、刺繍縫いするときとプリントするときに、加工布Wを布保持枠3から取り外さないため、刺繍縫目に対するプリント位置精度を高めることができる。
【0069】
更に、枠駆動装置4は、布保持枠3をベッド部10の長さ方向(左右方向)と平行なX方向へ移動させるX方向駆動機構45と、布保持枠3をX方向と直交するY方向へ移動させるY方向駆動機構30とを有し、プリンタ5のプリントヘッド61は、複数のインクジェットノズル61bを列状に配列した4色分のノズル列61c〜61fの方向を夫々X方向に向けて配設され、プリンタ5はY方向駆動機構30により布保持枠3をY方向へ移動させながら加工布Wにプリントする場合に、布保持枠3のX方向においては脚柱部11が障害物として存在することから、Y方向におけるプリント可能領域のY寸法の方がX方向におけるプリント可能領域のX寸法よりも長くなっており、プリンタ5はそのプリント可能領域のY寸法を、Y方向に布送りしながら一気に往復プリントするため、X方向にプリントする場合と比べて、プリントヘッド61をY方向への移動を一旦停止させてからX方向に布送りさせる布送り回数が少なくなり、プリント処理時間を短縮することができる。
【0070】
また、Y方向駆動機構30に有するY方向駆動モータ38はステッピングモータからなり、Y方向駆動モータ38の回転速度が変化する加減速領域を、布保持枠3の内部の刺繍可能領域のうちのY方向の両端部に夫々設け、これら加減速領域においてプリントさせないようにしたので、Y方向におけるプリント可能領域のY寸法を加減速領域に応じて長くすることで、X方向へのプリント可能領域のX寸法とY方向へのプリント可能領域のY寸法とが共に短くなることがなく、布保持枠3に対するプリント可能領域を最大限に設定することができる。
【0071】
また、プリンタ5は、複数色のインクを噴射可能な複数のノズル列61c〜61fを前記Y方向に並設させてプリントヘッド61に設けたので、プリントヘッド61に設けられた複数色分のノズル列61c〜61fにより、複数色によるカラープリントが可能になる。
【0072】
また、プリンタ5は、プリントヘッド61にパージを行うパージ機構と、プリントヘッド61のヘッド面61aをヘッドキャップ80を用いて覆うキャップ機構とを有するので、パージ機構によるパージにより、インクジェットノズル61b内の気泡やゴミを除去できるとともに、プリント処理しない場合に、ヘッドキャップ80によりヘッド面61aが覆われ、インクの乾燥を防止することができる。
【0073】
また、ミシン本体2とプリンタ5とが一体的に設けられたので、布保持枠3をミシン本体2に着脱したり、プリンタ5に着脱する作業を省略して、布保持枠3を枠駆動装置4に連結した状態で、布保持枠3に保持した加工布に刺繍縫いが可能であり、しかもプリンタ5でプリントが可能になる。
【0074】
次に、前記実施例の変更形態について説明する。
【0075】
1〕ミシン本体2に対してプリンタ5を着脱可能に構成し、必要に応じて装着するようにしてもよい。
【0076】
2〕プリンタ5に、制御ユニット以外に、プリントデータを記憶するプリントデータ記憶メモリや刺繍データを記憶する刺繍データ記憶メモリを設け、プリンタ5を枠駆動装置4に装着可能に構成し、予め作成した刺繍データをプリンタ5から枠駆動装置4に送信しながら、布保持枠3に保持した加工布Wにプリントするようにしてもよい。
【0077】
3〕プリンタ5は黒、シアン等、1色でプリントする単色用であってもよい。
【0078】
4〕プリンタ5に有するパージユニット63をX方向に移動可能に構成し、プリントヘッド61を対し位置に上昇させた後、パージユニット63を左側のパージ位置に移動させ、プリントヘッド61の下降移動により、ヘッドキャップ80をヘッド面61aに密着させるようにしてもよい。
【0079】
5〕本発明は、以上説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を付加し、ミシン本体2と布保持枠3とプリンタ5とを備えた種々のプリント機能付き刺繍ミシンに本発明を適用することが可能である。
【0080】
6〕本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者でれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例に係るプリント機能付き刺繍ミシンの正面図である。
【図2】本発明の実施例に係るプリント機能付き刺繍ミシンの側面図である。
【図3】本発明の実施例に係るプリント機能付き刺繍ミシンの平面図である。
【図4】布保持枠の平面図である。
【図5】布保持枠を装着したときのX方向駆動機構とY方向駆動機構の平面図である。
【図6】パージユニットが退避位置のときのプリンタの要部横断平面図である。
【図7】ヘッド面の底面図である。
【図8】プリントヘッドが退避位置のときのプリンタの要部縦断正面図である。
【図9】プリントヘッドがプリント位置のときの図8相当図である。
【図10】パージユニットがパージ位置のときのプリンタの要部横断平面図である。
【図11】プリント機能付き刺繍ミシンの制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
1 プリント機能付き刺繍ミシン
2 ミシン本体
3 布保持枠
4 輪駆動装置
5 プリンタ
10 ベッド部
11 脚柱部
12 アーム部
15 縫針
30 Y方向駆動機構
38 Y矛駆動モータ
45 X方向駆動機構
61 プリントヘッド
61a ヘッド面
61b インクジェットノズル
61c マゼンダ用ノズル列
61d イエロー用ノズル列
61e シアン用ノズル列
61f ブラック用ノズル列
63 パージユニット
80 ヘッドキャップ
82 パージユニット昇降モータ
83 吸引ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド部と脚柱部とアーム部とを有し縫製手段により加工布に縫製可能なミシン本体と、縫製に供する加工布を保持する布保持枠と、この布保持枠を水平面において相互に直交する2方向へ独立に移動させる枠駆動装置と、この枠駆動装置により移動される布保持枠に保持された加工布にプリントするプリントヘッドを有するインクジェット式のプリンタとを備えたプリント機能付き刺繍ミシンにおいて、
前記枠駆動装置は、前記布保持枠を前記ベッド部の長さ方向と平行な第1方向へ移動させる第1駆動機構と、前記布保持枠を第1方向と直交する第2方向へ移動させる第2駆動機構とを有し、
前記プリンタのプリントヘッドは、複数のインクジェットノズルを列状に配列したノズル列の方向を前記第1方向に向けて配設され、
前記プリンタは前記第2駆動機構により布保持枠を第2方向へ移動させながら加工布にプリントすることを特徴とするプリント機能付き刺繍ミシン。
【請求項2】
前記第2駆動機構に有する駆動モータはステッピングモータからなり、前記駆動モータの回転速度が変化する加減速領域を、前記布保持枠の内部の刺繍可能領域のうちの前記第2方向の両端部に夫々設け、これら加減速領域においてプリントさせないようにしたことを特徴とする請求項2に記載のプリント機能付き刺繍ミシン。
【請求項3】
前記プリンタは、複数色のインクを噴射可能な複数のノズル列を前記第2方向に並設させて前記プリントヘッドに設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント機能付き刺繍ミシン。
【請求項4】
前記プリンタは、プリントヘッドにパージを行うパージ機構と、プリントヘッドのヘッド面をキャップを用いて覆うキャップ機構とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプリント機能付き刺繍ミシン。
【請求項5】
前記ミシン本体とプリンタとが一体的に設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプリント機能付き刺繍ミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−236398(P2007−236398A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−98112(P2004−98112)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】