説明

プリント配線板の接続構造、配線板接続体及び電子機器

【課題】プリント配線板同士、又はプリント配線板と電子部品等とを異方導電性接着剤を介して接続する場合に、接続電極部の腐食を防止できる。
【解決手段】プリント配線板1と被接続部材101とを異方導電性接着剤10を介して接続したプリント配線板の接続構造であって、上記プリント配線板は、絶縁性基材2の両面にそれぞれ形成された第1の配線層4及び第2の配線層5と、上記第1の配線層4に積層されたカバー層6を切除して形成された接続領域8において露出して設けられるとともに上記第1の配線層の他の配線4bから独立して形成された接続電極部4aと、上記接続電極部と上記第2の配線層に設けられた接続配線5aとを導通させるブラインドビアホール20とを備え、上記接続領域における上記接続電極部の全域を覆うように積層された上記異方導電性接着剤10を介して、上記被接続部材101が接続されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プリント配線板同士、あるいはプリント配線板と電子部品とを接続するためのプリント配線板の接続構造、配線板接続体及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、プリント配線板に電子部品等を搭載する場合のみならず、異なるプリント配線板上に設けられた接続電極部を電気的に接続することにより、複数のプリント配線板を接続した構造が採用されることも多い。たとえば、電子機器の可動部への配線等の用途にフレキシブルプリント配線板が多用されるが、電子機器の小型化及び高機能化にともなって、上記フレキシブルプリント配線板同士の配線板接続体や、上記フレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板との配線板接続体等の多様な配線板接続体が用いられる。
【0003】
上記プリント配線板同士、あるいはプリント配線板と電子部品を接続するのに導電性接着剤を用いることができる。導電性接着剤は、絶縁性のある樹脂接着剤に微細な導電性粒子を分散させて構成されている。接続するプリント配線板の対向する接続電極部を含む領域に上記導電性接着剤を介在させて、圧力と温度とを加えて挟圧することにより、これらプリント配線板が接着されると同時に、上記導電性粒子が電極間に掛け渡されてこれら接続電極部が導通させられる。一方、隣接する接続電極部間は電気的に絶縁される。上記導電性接着剤としてフィルム形態の異方導電性接着剤フィルム(Anisotropic Conductive Film、以下ACFという。)が採用されることが多い。
【0004】
上記ACFは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と、導電性粒子と、硬化剤とを含んで構成されている。上記硬化剤は、マイクロカプセルに封入された状態で上記熱硬化性樹脂中に配合されている。上記導電性接着剤に圧力及び温度を作用させることにより、上記マイクロカプセルが破壊されて上記硬化剤が熱硬化性樹脂中に拡散され、上記導電性粒子を介して上記接続電部極間を導通させた状態で上記熱硬化性樹脂が硬化させられ、配線板接続体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3912244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記プリント配線板の接続電極部に他のプリント配線板あるいは電子部品の接続電極部を接続するには、上記接続電極部を露出させなければならない。
【0007】
プリント配線板の配線層を保護するために、接着剤を介して積層されたカバーフィルムを備えるカバー層が設けられている。上記カバー層の所定の領域を切除することにより、複数の接続電極部を露出させた接続領域が設けられる。そして、他のプリント配線板や電子部品等の被接続部材の接続電極部との間で異方導電性接着剤を加熱加圧することにより、これら接続電極部が導通させられるとともに、これら部材を一体的に接合することができる。
【0008】
異方導電性接着剤は、熱硬化性樹脂を含んで構成されており、しかも、接続工程において加熱加圧することにより、接続電極部の表面に密着させられて、上記接続電極部の腐食を防止することができる。
【0009】
ところが、接続領域の縁部には、上記カバー層を除去したことによる段差があるため、上記カバー層の縁部近傍に積層された異方導電性接着剤を加熱加圧することは困難である。このため、上記接続領域よりひとまわり小さい範囲に異方導電性接着剤が設けられて、上記接続電極部が他のプリント配線板等の接続電極部と接続される。したがって、切除した上記カバー層の縁部と、上記異方導電性接着剤との間の領域では、接続電極部あるいはこれに接続された配線が露出させられた状態となる。このため、この領域の接続電極部に腐食が生じやすかった。
【0010】
本願発明は、上記問題を解決するために案出されたものであって、プリント配線板同士、又はプリント配線板と電子部品等とを異方導電性接着剤を介して接続する場合に、露出させられた接続電極部やその近傍の配線の腐食を防止できるプリント配線板の接続構造、配線板接続体及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1に記載した発明は、プリント配線板と被接続部材とを異方導電性接着剤を介して接続したプリント配線板の接続構造であって、上記プリント配線板は、絶縁性基材の両面にそれぞれ形成された第1の配線層及び第2の配線層と、上記第1の配線層に積層されたカバー層を切除して形成された接続領域において露出して設けられるとともに、上記第1の配線層の他の配線から独立して形成された接続電極部と、上記接続電極部と上記第2の配線層に設けられた接続配線とを導通させるブラインドビアホールとを備え、上記接続領域における上記接続電極部の全域を覆うように積層された上記異方導電性接着剤を介して上記被接続部材が接続されて構成される。
【0012】
本願発明では、第1の配線層に形成された上記接続電極部が、第1の配線層の他の配線から独立して形成されている。すなわち、上記接続電極部は、第1の配線層に設けた他の配線と直接に導通されていない。このため、上記接続電極部を上記接続領域の縁部、すなわち、カバー層の縁部から離間させて設けることができる。
【0013】
上記接続電極部を、上記接続領域の縁部から離間させて設けることにより、上記異方導電性接着剤を、上記接続電極部の全域を覆うように配置した場合でも、上記異方導電性接着剤と上記接続領域の縁部との間を離間させることができる。したがって、上記異方導電性接着剤の全域を加熱加圧することが可能になる。これにより、上記接続電極部の全域が上記異方導電性接着剤で封止されて、接続電極部の腐食が防止される。
【0014】
一方、上記接続電極部は、ブラインドビアホールを介して第2の配線層に設けた接続配線に導通させられている。したがって、第2の配線層に設けた配線を、上記接続電極部に接続することができる。
【0015】
上記接続電極部を設ける部位は、積層された異方導電性接着剤を加熱加圧できる範囲であれば特に限定されることはない。たとえば、上記カバー層を切除して形成される接続領域の縁部から1mm離れていれば、積層された異方導電性接着剤を加熱加圧することができる。
【0016】
本願発明においては、上記接続電極部に対して、被接続部材に設けた接続電極部が、異方導電性接着剤を介して接続される。上記異方導電性接着剤は、絶縁性のある樹脂接着剤に微細な導電性粒子を分散させて構成されている。両面プリント配線板の接続電極部と、被接続部材の接続電極部間に上記異方導電性接着剤を介在させて圧力と温度とを加えて加熱加圧することにより、本願発明に係る両面プリント配線板と被接続部材とが接着されると同時に、上記導電性粒子が電極間に掛け渡されてこれら接続電極部が導通させられる。一方、隣接する接続電極部間は電気的に絶縁される。上記導電性接着剤としてフィルム形態の異方導電性接着剤フィルムやペースト状の異方導電性接着剤を採用することができる。
【0017】
上記異方導電性接着剤を用いて接続することにより、コネクタ等を用いて接続する場合に比べて、配線板接続体の厚みを小さくすることが可能となる。
【0018】
上記ブラインドビアホールを設ける部位も特に限定されることはない。異方導電性接着剤を積層して加熱加圧できる範囲であれば、被接続部材の接続電極部が接続される範囲外に設けることもできる。
【0019】
上記ブラインドビアホールは、第2の配線層側から設けるのが好ましい。すなわち、上記ブラインドビアホールを、第2の配線層側から第1の配線層の底部に至る孔部を設け、この孔部内面及び第2の配線層の表面に銅メッキ等を施してブラインドビアホールを設けるのが好ましい。これにより、上記接続電極部にはメッキ層が形成されず、接続電極部の放熱性が高まることもない。したがって、接続の際に異方導電性接着剤に作用する温度が低下することがなく、加熱加圧時間を短縮することが可能となり、接続作業性が向上する。
【0020】
本願発明が適用される両面プリント配線板の種類は特に限定されることはない。リジッドプリント配線板や請求項5に記載したフレキシブルプリント配線板に本願発明を適用できる。
【0021】
請求項2に記載した発明のように、上記第1の配線層に設けた配線を、第2のビアホールを介して上記接続配線に接続することにより、上記第1の配線層に設けた配線を上記接続電極部に接続することができる。これにより、上記第1の配線層及び第2の配線層に設けた所要の配線を上記接続電極部に接続できることになる。したがって、接続電極部の腐食を防止することができるとともに、回路設計の自由度が低下することもない。
【0022】
異方導電性接着剤を用いて接続できれば、被接続部材の種類も特に限定されることはない。たとえば、種々の電子部品や、請求項3に記載した発明のように他のプリント配線板を採用することができる。他のプリント配線板の種類も特に限定されることはなく、片面プリント配線板や両面プリント配線板を採用できる。また、フレキシブルプリント配線板やリジッドプリント配線板を採用できる。
【0023】
請求項4に記載した発明のように、被接続部材として、請求項1に記載した両面プリント配線板を採用することができる。すなわち、独立した接続電極部が設けられた両面プリント配線板同士を接続することができる。この構成を採用することにより、接続される両面プリント配線板の双方の接続電極部を、異方導電性接着剤を用いて封止し、これら接続電極部の腐食を防止することができる。
【0024】
本願発明に係るプリント配線板の接続構造は、種々の配線板接続体に適用することができる。たとえば、プリント配線板と電子部品等を接続して構成される配線板接続体や、プリント配線板同士を接続して構成される配線板接続体に適用できる。
【0025】
本願発明に係る配線板接続体が利用される電子機器も特に限定されることはなく、種々の構成、目的の電子機器に適用できる。
【発明の効果】
【0026】
両面プリント配線板と被接続部材とを異方導電性接着剤で接続する場合、接続電極部の腐食を異方導電性接着剤を用いて防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明に係るプリント配線板の接続構造の第1の実施形態を示す図であり、接続前の状態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すプリント配線板の接続領域を示す平面図である。
【図3】図1におけるIII−III線に沿う要部断面図である。
【図4】図3に示す部材の接続後の状態を示す要部断面図である。
【図5】図4におけるV−V線に沿う断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る両面プリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るプリント配線板の接続構造は、第1の両面プリント配線板1に対して、被接続部材として上記第1のプリント配線と同じ構造を備える第2のプリント配線板101を接続したものである。また、上記第1のプリント配線板1と上記第2のプリント配線板101の双方にフレキシブル両面プリント配線板を採用している。
【0029】
図1及び図3に示すように、本実施形態に係る両面プリント配線板1は、シート状の絶縁性基材2と、この絶縁性基材2の一方の側に形成された第1の配線層4と、上記絶縁性基材2の他方の側に形成された第2の配線層5と、上記第1の配線層4を覆うように、接着層6bを介して接着された第1のカバーフィルム6aを備える第1のカバー層6と、第2の配線層5を覆うように、接着層7bを介して接着された第2のカバーフィルム7aを備える第2のカバー層7とを備えて構成されている。なお、上記配線層4,5には、図示しない所要の配線回路が形成されている。
【0030】
図1に示すように、上記両面プリント配線板1の縁部において、上記第1のカバー層6を矩形状に切り欠くことにより、上記配線層4が露出させられて接続領域8が設けられるとともに、接続電極部4aが形成されている。
【0031】
本実施形態に係る上記接続電極部4aは、第1の配線層4に形成されているが、第1の配線層の他の配線4bとは導通しない独立した接続電極部として形成されている。
【0032】
一方、上記接続電極部4aは、ブラインドビアホール20を介して第2の配線層5に設けた接続配線5aと導通させられている。
【0033】
図3に示すように、上記ブラインドビアホール20は、第2の配線層5から、上記第1の配線層4の底面4cにいたる孔部22とこの孔部22の表面に形成された導通メッキ層21aとを備えて構成されている。上記孔部22は、上記絶縁性基材2に形成されて上記接続電極部4aの底面4cを露出させた第1の孔部22aと、上記接続配線5aから上記孔部22aに連通状に形成された第2の孔部22bとを備える。
【0034】
上記第2の配線層5の表面に銅メッキ21を施すことにより、上記銅メッキ21が、第1の配線層4の底面4cを含む上記孔部22の内面を被覆して上記導通メッキ層21aが形成されている。上記導通メッキ層21aによって、上記第1の配線層4に形成された接続電極部4aと上記第2の配線層5に形成された接続配線5aとが導通させられている。
【0035】
上記第2のプリント配線板101は、第1のプリント配線板1と同じ構造を備えているため、説明は省略する。
【0036】
上記第1のプリント配線板1及び上記第2のプリント配線板101の上記絶縁性基材2,102として、種々の絶縁性樹脂フィルムを採用することができる。たとえば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等から形成された樹脂フィルムを採用することができる。なお、本実施形態では、被接続部材として上記第2のプリント配線板101を採用したが、他の構成のプリント配線板や電子部品を採用することができる。
【0037】
上記カバーフィルム6a,7aを構成する材料も特に限定されることはなく、上記絶縁性基材2と同様の材料を採用することができる。
【0038】
上記配線層4,5は、上記絶縁性基材2の表面に所定パターンの接続配線を設けて構成される。また、これらプリント配線板の図示しない領域に、図示しない電子部品等を搭載することもできる
【0039】
上記第1の接続電極部4aと上記第2の接続電極部104aとは、同じピッチで直線状に形成されており、対向する接続電極部が上記異方導電性接着剤10を介して導通させられる。
【0040】
上記異方導電性接着剤10は、フィルム状の異方導電性接着剤を、上記接続領域8内において、上記接続電極部4a,104aの全域を覆う矩形状に切り出して形成されている。すなわち、上記接続電極部4aの全域を覆うことができるとともに、上記接続領域8より小さい大きさに切り出されている。上記異方導電性接着剤10は、たとえば、熱硬化性エポキシ樹脂を主剤とする接着成分中に、硬化剤を封止したマイクロカプセルと、導電性粒子とを分散配合して構成することができる。上記異方導電性接着剤10は、所定温度で加熱及び加圧することにより、上記マイクロカプセルが破壊されて、上記熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させるように構成されている。なお、上記接続電極部4a,104aの全域を覆う範囲に、ペースト状の異方導電性接着剤を所定の厚みで塗着して、上記フィルム状の異方導電性接着剤10に代えることもできる。
【0041】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、上記異方導電性接着剤10は、上記第1の接続領域8及び上記第2の接続領域108の領域内において、上記接続電極部4a,104aの全範囲を覆う大きさに切り出されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、上記異方導電性接着剤10を介して上記第1の接続電極部4aと上記第2の接続電極部104aを対向させるように、上記第1のプリント配線板1と上記第2のプリント配線板101を位置決めして重ね合わせ、加熱しながら両側から挟圧する。これにより、異方導電性接着剤が流動させられて、上記第1の接続電極部4aと上記第2の接続電極部104aの間に充填され、上記第1の両面プリント配線板1と上記第2の両面プリント配線板101とが接着される。また、同時に、図示しない導電性粒子が対向する上記第1の接続電極部4aと上記第2の接続電極部104a間に噛み込まれ、各接続電極部が厚み方向に導通させられる。これにより、図4及び図5に示すように、第1の両面プリント配線板1と上記第2の両面プリント配線板101とが一体的に接合された配線板接続体100が形成される。
【0043】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、第1の配線層4に形成された上記接続電極部4aが、第1の配線層4の他の配線4bから独立して形成されている。すなわち、上記接続電極部4aは、第1の配線層4に設けた他の配線4bと直接導通されていない。このため、上記接続電極部4aを上記カバー層を切除して形成された接続領域の縁部から離間させて設けることができる。なお、上記第1の配線層4に、上記接続電極部4aのみ形成された構成を採用することもできる。
【0044】
上記接続電極部4aを、上記接続領域8の縁部から離間させて設けることにより、異方導電性接着剤10を接続領域8の縁部から離間させ、かつ、上記接続電極部4aの全域を覆うように積層することができる。また、上記異方導電性接着剤10の全域を加熱加圧することが可能になる。これにより、上記接続電極部4aの全域が上記異方導電性接着剤で封止されて、接続電極部4aの腐食が防止される。なお、上記第2のプリント配線板101の接続電極部104aも、異方導電性接着剤によってその全域が覆われて、腐食が防止される。
【0045】
一方、上記接続電極部4aは、ブラインドビアホール20を介して第2の配線層5に設けた接続配線5aに導通させられている。したがって、第2の配線層5に設けた配線回路を、上記接続電極部4aに接続することができる。
【0046】
上記接続電極部を設ける部位は、積層された異方導電性接着剤10を加熱加圧できる範囲であれば特に限定されることはない。たとえば、上記カバー層6を切除して形成される接続領域8の縁部から1mm以上離れていれば、積層された異方導電性接着剤を加熱加圧することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記ブラインドビアホール20は、第2の配線層5側から形成されている。すなわち、第2の配線層5側から第1の配線層4の底部に至る孔部22を設け、この孔部22の接続電極部4aの底面4cを含む内面及び第2の配線層5の表面に銅メッキ21を施すことにより上記ブラインドビアホール20が設けられている。これにより、上記接続電極部4aに銅メッキが施されず、接続電極部4aの放熱性が高まることはない。したがって、接続の際に異方導電性接着剤10に作用する温度が低下することがなく、加熱加圧時間を短縮することが可能となり、接続作業性が向上する。
【0048】
図6に、本願発明の第2の実施形態を示す。
【0049】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に、両面プリント配線板201に積層形成された第1のカバー層206の縁部を矩形状に切除することにより、接続領域208が設けられている。上記接続領域208には、第1の実施形態と同様に、第1の配線層204に設けた他の配線204bから独立した接続電極部204aが設けられている。なお、第2の実施形態に係る両面プリント配線板201を構成する各部材、及び被接続部材に対する接続手法は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0050】
上記両面プリント配線板201においては、第1のカバー層206内の第1の配線層204に形成された配線204bと、上記接続電極部204aとは、同じ第1の配線層204に設けられているが連続して設けられていないため直接導通はしていない。
【0051】
一方、上記第2の配線層205の第2のカバー層207内に、上記配線204bに対応する部位から上記接続電極部204aに対応する部位にかけて、接続配線205aが形成されている。本実施形態では、上記接続配線205aは、上記第2の配線層205の他の配線と導通していない。
【0052】
そして、上記接続電極部204aと上記接続配線205aとが、上記第1の実施形態と同様に、第1のブラインドビアホール220によって接続されている。また、上記第1の配線層204に設けられた配線204bの端部と上記接続配線205aとが、第2のブラインドビアホール320によって接続されている。なお、上記ブラインドビアホール220,320は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0053】
上記第2の実施形態に係る両面プリント配線板201においては、上記第1の配線層204に設けられてはいるが互いに導通させられていない接続電極部204aと他の配線204bとが、第2の配線層205に設けられた接続配線205aを介して導通させられている。
【0054】
上記構成によって、接続電極部204aを、上記第1の配線層204の他の配線204bと独立した形態で設けることができるとともに、上記接続領域208において配線等を通過させることなく、上記他の配線204bと上記接続電極部204aとを導通させることが可能となる。
【0055】
上記接続電極部204aは、第1の実施形態と同様に、異方導電性接着剤210によって全域が封止された状態で、図示しない被接続部材に接続することができる。したがって、第1の実施形態と同様に接続電極部204aの腐食を防止することができる。
【0056】
上記第1の実施形態に係る接続構造と上記第2の実施形態に係る接続構造の双方を採用することにより、両面プリント配線板の一方の配線層に設けた接続電極部204aに対して、双方の配線層204,205に設けた配線を導通させることができる。このため、回路設計の自由度を低下させることなく、接続電極部204aの腐食を防止することが可能となる。
【0057】
上述した実施形態では、同じ構成の両面プリント配線板の接続構造に本願発明を適用したが、被接続部材として他の形態のプリント配線板や電子部品を採用することができる。また、両面プリント配線板の接続電極部の腐食を防止すれば足りる用途においては、被接続部材として採用されるプリント配線板に、実施形態に係る両面プリント配線板を採用する必要はなく、片面プリント配線板を採用することもできる。
【0058】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
異方導電性接着剤を用いて接続した接続領域において、接続電極部の腐食を防止して、信頼性の高いプリント配線板の接続構造を提供できる。
【符号の説明】
【0060】
1 プリント配線板(第1のプリント配線板)
4a 第1の接続電極部
8 第1の接続領域
10 異方導電性接着剤
101 被接続部材(第2のプリント配線板)
108 2の接続領域
104a 第2の接続電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板と被接続部材とを異方導電性接着剤を介して接続したプリント配線板の接続構造であって、
上記プリント配線板は、
絶縁性基材の両面にそれぞれ形成された第1の配線層及び第2の配線層と、
上記第1の配線層に積層されたカバー層を切除して形成された接続領域において露出して設けられるとともに上記第1の配線層の他の配線から独立して形成された接続電極部と、
上記接続電極部と上記第2の配線層に設けられた接続配線とを導通させるブラインドビアホールとを備え、
上記接続領域における上記接続電極部の全域を覆うように積層された上記異方導電性接着剤を介して、上記被接続部材が接続されている、プリント配線板の接続構造。
【請求項2】
上記第1の配線層に設けられた配線を、第2のビアホールを介して上記接続配線に接続することにより、上記第1の配線層に設けた配線を上記接続電極部に接続した、請求項1に記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項3】
上記被接続部材が他のプリント配線板である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項4】
被接続部材が請求項1に記載した両面プリント配線板である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項5】
上記両面プリント配線板がフレキシブルプリント配線板である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続構造を備える、配線板接続体。
【請求項7】
請求項6に記載の配線板接続体を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−258742(P2011−258742A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131817(P2010−131817)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】