説明

プリント配線板及びプリント配線板の製造方法

【課題】電極を被覆する被覆体の膜厚を均一化することのできるプリント配線板を提供する。
【解決手段】他の導電体と接触する接触部71を有するプリント配線板1は、ベースフィルム10と、ベースフィルム10上に形成された第1の電極21と、第1の電極21の一部を露出させる開口40aを有し、ベースフィルム10に形成された絶縁層40と、開口40aに充填され第1の電極21を被覆する導電性の第1の被覆体51と、を備えており、接触部71は、第1の電極21と第1の被覆体51から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の導電体と接触する接触部を有するプリント配線板、及びそのプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
円弧形状部を有する第1電極配線部、及び当該円弧形状部内に導かれた第2電極配線部が形成されたベース基板と、第1電極配線部上に載置されるメタルドームと、を備えたプリント配線板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−290000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のプリント配線板では、防錆や保護の目的から、電極配線部を導電性の被膜で被覆している。しかしながら、この被膜は、単に電極配線部上に導電性ペーストを印刷して構成されるものであるため、当該電極配線部の外周部分で膜厚が薄くなる等して、全体として膜厚が不均一となってしまうという問題がある。こうした薄膜部分が被膜に存在すると、ピンホールが発生し易くなったり、経時的な水分の浸入により被膜−電極間の接触抵抗が上昇し易くなるので、高い信頼性を確保することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電極を被覆する被覆体の膜厚を均一化することのできるプリント配線板及びプリント配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るプリント配線板は、他の導電体と接触する接触部を有するプリント配線板であって、基板と、前記基板上に形成された電極と、前記電極の少なくとも一部を露出させる開口を有し、前記基板上に形成された絶縁層と、前記開口に充填され前記電極を被覆する導電性の被覆体と、を備えており、前記接触部は、前記電極と前記被覆体とから構成されていることを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記基板の上面から前記絶縁層の上面までの高さは、前記基板の上面から前記電極の上面までの高さよりも相対的に高くてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記基板の上面から前記接触部の上面までの高さは、前記基板の上面から前記絶縁層の上面までの高さよりも相対的に高くてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、平面視において、前記開口の内周は、前記電極の外周の内側に位置し、又は、前記電極の外周と実質的に一致してもよい。
【0010】
[5]上記発明において、可動接点を有する導電性のドーム状部材を、前記他の導電体として備えており、前記接触部は、前記可動接点と接触することにより前記ドーム状部材と導通し、前記プリント配線板は、前記ドーム状部材の外周部と接触する他の接触部をさらに有してもよい。
【0011】
[6]本発明に係るプリント配線板の製造方法は、他の導電体と接触する接触部を有するプリント配線板の製造方法であって、基板に電極を形成するステップと、前記電極の少なくとも一部を露出させる開口を有する絶縁層を、前記基板上に形成するステップと、前記開口に導電性ペーストを充填して硬化させることで、前記電極を被覆する被覆体を形成するステップと、を備えており、前記接触部は、前記電極と前記被覆体とから構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電極を露出させる開口を有する絶縁層を基板上に形成し、当該開口に被覆体を充填して電極を被覆するので、被覆体の膜厚を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板を示す平面図である。
【図3】図3は、図1のIII部の拡大図である。
【図4】図4は、図3の平面図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態におけるプリント配線板を示す平面図である。
【図7】図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】図8は、図6のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【図9】図9は、図8の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
<<第1実施形態>>
図1及び図2は本実施形態におけるプリント配線板を示す図であり、図3及び図4は接触部の拡大図である。なお、図1は、図2のI-I線に沿った断面図に相当する。
【0016】
本実施形態におけるプリント配線板1は、電気的スイッチとして機能するメタルドーム60が実装されたフレキシブルプリント配線板(FPC)からなるスイッチモジュールである。このプリント配線板1は、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤ等の電子機器のスイッチ部分に用いられる。このプリント配線板1は、図1及び図2に示すように、ベースフィルム10、配線パターン20、カバーレイ30、絶縁層40、被覆体51,52、及びメタルドーム60を備えている。なお、図2において、メタルドーム60は一点鎖線で示されている。
【0017】
ベースフィルム10は、例えばポリイミド(PI)から構成されたフレキシブルな絶縁性基板である。なお、このベースフィルム10を、例えば、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等で構成してもよい。また、フレキシブルなベースフィルム10に代えて、例えば、ガラスエポキシ樹脂やセラミックスやガラス等のリジッドな絶縁性基板を用いてもよい。本実施形態におけるベースフィルム10が、本発明における基板の一例に相当する。
【0018】
このベースフィルム10上には、例えば銅や銀等から構成される配線パターン20が形成されている。この配線パターン20は、メタルドーム70と共に電気的スイッチを構成することとなる第1及び第2の電極21,22を有している。図2に示すように、第2の電極22は、略環状形状を有しているのに対し、第1の電極21は、第2の電極22の略中央に位置している。第1の電極21から延在する配線パターン20aは、第2の電極22の切欠部22aを介して第2の電極22の外部に電気的に導出している。なお、特に図示しないが、ベースフィルム10を貫通するスルーホールを介して、ベースフィルム10の裏面で第1の電極21を第2の電極22の外部に電気的に導出させてもよい。
【0019】
カバーレイ30は、図3に示すように、配線パターン20を保護するための樹脂層31と、この樹脂層31をベースフィルム10に接着する接着層32と、を有しており、配線パターン20が形成されたベースフィルム10上に積層されている。
【0020】
このカバーレイ30の樹脂層31は、例えばポリイミドから構成されている。また、このカバーレイ30の接着層32は、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂からなる接着剤で構成されている。なお、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ポリイミド、ポリウレタン等を用いた感光性カバーレイ材料からなるドライフィルムで樹脂層31を構成してもよい。また、ポリイミドやエポキシをベースとしたカバーインクや液状の感光性カバーレイ材料を、ベースフィルム10上にスクリーン印刷することで、カバーレイ30を形成してもよい。
【0021】
さらに、本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1及び第2の電極21,22の周囲に、カバーレイ30の開口30aと各電極21,22の外周部分との間を埋めるように、絶縁層40がそれぞれ形成されている。なお、本例では、第1及び第2の電極21,22の周囲に絶縁層40をそれぞれ個別に形成しているが、特にこれに限定されず、これらの絶縁層40を一体的に形成してもよい。
【0022】
この絶縁層40は、例えばソルダレジストで構成されており、ソルダレジストインクをスクリーン印刷することで形成される。なお、この絶縁層40を、電気絶縁性を有するものであれば特に限定されない。例えば、ソルダレジストに代えて、エッチングレジストインクやカバーレイインクをスクリーン印刷することで、絶縁層40を構成してもよい。
【0023】
以下に、第1の電極21の周囲に形成された絶縁層40を例にとって、絶縁層40の詳細について説明する。なお、詳述しないが、第2の電極22の周囲に形成された絶縁層40も、第1の電極21の周囲に形成された絶縁層40と同様の構成である。
【0024】
図3及び図4に示すように、この絶縁層40は、第1の電極21を当該絶縁層40から露出させる開口40aを有している。図3に示すように、ベースフィルム10の上面から絶縁層40の上面までの高さhは、ベースフィルム10の上面からの第1の電極21の上面までの高さhよりも高くなっている(h>h)。
【0025】
また、図4に示すように、開口40aは、第1の電極21の外径Dよりも小さな内径Dを有しており(D<D)、平面視において、開口40aの内周が第1の電極21の外周の内側に位置している。すなわち、開口40aの内周部分が、第1の電極21の外周部分に乗り上げており、第1の電極21は、その外周部分を除くほぼ全体が、開口40aを介して絶縁層40から露出している。
【0026】
なお、開口40aの内径Dを第1の電極21の外径Dと実質的に同一として(D=D)、平面視において、開口40aの内周と第1の電極21の外周とを実質的に一致させてもよい。或いは、開口40aの内径Dを第1の電極21の外径Dよりも大きくして(D>D)、平面視において、開口40aの内周を第1の電極21の外周の外側に位置させてもよい。これらの場合には、外周部分を含めた第1の電極21の全体が開口40aを介して絶縁層40から完全に露出する。
【0027】
さらに、絶縁層40の開口40a内には、導電性を有する第1の被覆体51が充填されており、この第1の被覆体51は第1の電極21を被覆している。この第1の被覆体51は、開口40a内にカーボンペーストをスクリーン印刷することで形成されている。なお、カーボンペーストに代えて、銀ペースト、銅ペースト、或いは金ペーストを用いてもよい。
【0028】
図3に示すように、ベースフィルム10の上面から第1の被覆体51の上面までの高さhは、ベースフィルム10の上面から絶縁層40の上面までの高さhよりも高くなっており(h>h)、絶縁層40の開口40a内に十分な量の第1の被覆体51が充填されている。
【0029】
本実施形態では、この第1の被覆体51をスクリーン印刷によって形成する際に、絶縁層40の開口40aの内壁面が、カーボンペーストの流延を抑制する堰として機能するので、第1の電極21上に均一な膜厚の第1の被覆体51を形成することができる。このため、第1の被覆体51におけるピンホールの発生や経時的な水分の侵入による第1の被覆体51−第1の電極21間の接触抵抗の上昇を抑制することができ、高い信頼性を確保することができる。
【0030】
また、この際、平面視において、開口40aの内周が、第1の電極21の外周の内側に位置し、又は、第1の電極21の外周と実質的に一致することで、開口40a内の深さが一定になるので、第1の被覆体50の更なる均一化を図ることができる。
【0031】
また、本実施形態では、上記のようにスクリーン印刷時に絶縁層40の開口40aの内壁面が堰として機能することから、粘性の低い導電性ペースト(例えば粘度220[dPa・s]程度のカーボンペースト)を使用することが可能となる。これにより、材料費や工数を低減することができ、結果的にプリント配線板1のコストダウンを図ることもできる。
【0032】
同様に、図1に示すように、第2の電極22の周囲に形成された絶縁層40の開口40aにも、導電性を有する第2の被覆体52が充填されており、この第2の被覆体52は第2の電極22を被覆している。
【0033】
本実施形態では、第1の電極21と第1の被覆体51とが、メタルドーム60の頭頂部61と物理的に接触する接触部71を構成する。一方、第2の電極22と第2の被覆体52とが、メタルドーム60の外周部62と物理的に接触する他の接触部72を構成する。
【0034】
メタルドーム60は、導電性を持つドーム状の部材から構成されており、例えば、ステンレスや銅系金属の薄板をドーム状にプレス成形することで形成される。なお、導電性を向上させるためにメタルドーム60の表面全体に銀メッキ層を付加してもよい。
【0035】
また、このメタルドーム60はバネ性を有しており、頭頂部61を押圧されるとドーム形状が徐々に反転変形する一方で、頭頂部61への押圧が解除されると当初のドーム形状に復元するようになっている。
【0036】
このメタルドーム60は、頭頂部61が第1の電極21に対向すると共に外周部62が第2の電極22に接触するように、ベースフィルム10上に実装され、メタルドーム60の頭頂部61が電気的スイッチの可動接点を構成する。
【0037】
なお、メタルドーム60の頭頂部61に、内側に向かって突出するようなディンプル加工を施してもよい。また、メタルドーム60の外周部62は、第2の電極22の少なくとも一部と接触していれば、メタルドーム60の形状は特に限定されず、例えばメタルドーム60をブリッジ状に形成してもよい。
【0038】
このメタルドーム60は、例えば、粘着層を有する押さえシート(不図示)の下面に貼り付けられ、さらにこの押さえシートがベースフィルム10に貼り付けられることで、メタルドーム60がベースフィルム10上に実装されている。
【0039】
以上に説明したプリント配線板1が電子機器内に組み込まれると、例えば、図1において一点鎖線で示すキーマット80がプリント配線板1の上方に配置される。
【0040】
このキーマット80は、メタルドーム60に対向する位置に押しボタン部81を有しており、電子機器の操作者が押しボタン部81を押圧すると、メタルドーム60が窪むように徐々に反転変形し、メタルドーム60の頭頂部61と第1の電極21とが接触する。これにより、メタルドーム60を介して第1の電極21と第2の電極22とが電気的に導通してスイッチがオン状態となる。
【0041】
一方、メタルドーム60への押圧が解除されると、メタルドーム60は当初のドーム形状に復元し、これにより、メタルドーム60の頭頂部61が第1の電極21から離反し、スイッチがオフ状態となる。
【0042】
以下に、本実施形態におけるプリント配線板1の製造方法について、図5を参照しながら説明する。図5は本実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【0043】
先ず、図5のステップS10において、ベースフィルム10上に配線パターン20をサブトラクティブ法によって形成する。具体的には、銅張積層板の銅箔上に、配線パターン20に対応した形状のマスクを用いてレジストパターンを形成し、その後、塩化鉄エッチング液、塩化銅エッチング液又はアルカリエッチャント等を用いて銅箔に対してエッチング処理を行う。これにより、ベースフィルム10上に、第1の電極21及び第2の電極22を含む配線パターン20が形成される。
【0044】
なお、配線パターン20の形成方法は、特に上記のものに限定されない。例えば、アディティブ法のようにメッキ処理によって配線パターン20を形成したり、銀ペーストや銅ペースト等の導電性ペーストをベースフィルム10上にスクリーン印刷することで、配線パターン20を形成してもよい。
【0045】
次いで、図5のステップS20において、カバーレイ30をベースフィルム10上に貼り付ける。この際、カバーレイ30に形成された各開口30aから、ベースフィルム10上に形成された第1及び第2の電極21,22を露出させる。なお、それぞれの開口30aは、例えば、金型を用いてカバーレイ30の所定位置を打ち抜くことで予め形成されている。
【0046】
次いで、図5のステップS30において、第1及び第2の電極21,22の周囲に液状のソルダレジストインクをスクリーン印刷し加熱硬化させることで、それぞれの絶縁層40を形成する。この際、ソルダレジストインクは、第1及び第2の電極21のほぼ全体を絶縁層40から露出させる開口40aが形成されるように印刷される。
【0047】
次いで、図5のステップS40において、カーボンペーストをそれぞれの開口40a内にスクリーン印刷によって充填し加熱硬化させることで、電極21,22をそれぞれ被覆する被覆体51,52を形成する。
【0048】
この際、本実施形態では、上述のステップS30で形成された絶縁層40の開口40aの内壁面が堰として機能するので、カーボンペーストの流延を抑制することができる。このため、電極21,22上に均一な膜厚の被覆体51,52を形成することができるので、第1の被覆体51におけるピンホールの発生や経時的な水分の侵入による被覆体−電極間の接触抵抗の上昇を抑制することができ、高い信頼性を確保することができる。
【0049】
また、絶縁層40の開口40aの内壁面が堰として機能するので、粘性の低い導電性ペースト(例えば粘度220[dPa・s]程度のカーボンペースト)を使用することができ、材料費や工数を低減することができ、結果的にプリント配線板1のコストダウンを図ることもできる。
【0050】
<<第2実施形態>>
本発明に係るプリント配線板は、上述したようなスイッチモジュールのみならず、他の導電体と物理的に接触する接触部を有するプリント配線板であれば特に限定されない。例えば、他のプリント配線板やケーブル等に設けられたコネクタと接続される端子を有するプリント配線板に、本発明を適用することもできる。
【0051】
以下に、本発明の第2実施形態として、コネクタと接続される端子を有するプリント配線板に本発明を適用した例について説明する。なお、本実施形態におけるプリント配線板の製造方法は、第1実施形態で説明した方法と同様であるのでその説明を省略する。
【0052】
図6及び図7は本実施形態におけるプリント配線板を示す図、図8及び図9は図6及び図7に示す端子の拡大図である。
【0053】
本実施形態におけるプリント配線板100は、特に図示しないコネクタと接続される多数(本例では5つ)の端子160を有するフレキシブルプリント配線板であり、ベースフィルム110、配線パターン120、カバーレイ130、絶縁層140、及び被覆体150を備えている。
【0054】
ベースフィルム110は、上述の第1実施形態におけるベースフィルム10と同様に、例えばポリイミドから構成されたフレキシブルな絶縁性基板であるが、特にこれに限定されない。
【0055】
本実施形態では、このベースフィルム110上に、例えば銅や銀等から構成される多数の配線パターン120が狭ピッチで実質的に平行に形成されている。また、カバーレイ130は、配線パターン120の端部をそれぞれ露出させるようにベースフィルム110上に積層されており、当該露出した配線パターン120の端部が、コネクタと電気的に接続される電極121を構成する。
【0056】
カバーレイ130は、上述の第1実施形態におけるカバーレイ30と同様に、特に図示しないが、例えばポリイミドから構成される樹脂層と、当該樹脂層をベースフィルム110に接着する接着層と、を有しているが、特にこれに限定されない。
【0057】
さらに、本実施形態では、カバーレイ130から露出した電極121の外周を取り囲むように、絶縁層140がベースフィルム110上に形成されている。この絶縁層140は、上述の第1実施形態における絶縁層40と同様に、例えばソルダレジスト等で構成されている。
【0058】
なお、本実施形態では、それぞれの電極121に対応するように絶縁層140を個別的に形成しているが、本発明においては特にこれに限定されず、各電極121にそれぞれ対応した多数の開口140aを有する一つの絶縁層をベースフィルム110上に形成してもよい。
【0059】
図8に示すように、この絶縁層140は、電極121を当該絶縁層140から露出させる開口140aを有している。図8に示すように、ベースフィルム110の上面から絶縁層140の上面までの高さhは、ベースフィルム110の上面から電極121の上面までの高さhよりも高くなっている(h>h)。また、開口140aは、図9に示すように、電極121の幅wよりも小さな幅wを有しており(w<w)、平面視において、開口140aの内周が電極121の外周の内側に位置している。
【0060】
なお、開口140aの幅wを電極121の幅wと実質的に同一として(w=w)、平面視において、開口140aの内周と電極121の外周とを実質的に一致させてもよい。或いは、開口140aの幅wを電極121の幅wよりも大きくして(w>w)、平面視において、開口140aの内周を電極121の外周の外側に位置させてもよい。
【0061】
さらに、絶縁層140の開口140a内には、導電性を有する被覆体150がそれぞれ充填されており、この被覆体150は電極121を被覆している。この被覆体150は、上述の第1実施形態における第1及び第2の被覆体51,52と同様に、開口140a内にカーボンペースト等をスクリーン印刷することで形成されている。
【0062】
図8に示すように、ベースフィルム110の上面から被覆体150の上面までの高さhは、ベースフィルム110の上面から絶縁層140の上面までの高さhよりも高くなっており(h>h)、絶縁層140の開口140a内に十分な量の被覆体150が充填されている。
【0063】
本実施形態では、この被覆体150をスクリーン印刷によって形成する際に、絶縁層140の開口140aの内壁面が、カーボンペーストの流延を抑制する堰として機能するので、電極121上に均一な膜厚の被覆体150を形成することができる。このため、被覆体150におけるピンホールの発生や経時的な水分の侵入による被覆体150−電極121間の接触抵抗の上昇を抑制することができ、高い信頼性を確保することができる。
【0064】
この際、平面視において、開口140aの内周が、開口140aの内周が電極121の外周の内側に位置し、又は、電極121の外周と実質的に一致することで、開口140a内の深さが一定になるので、被覆体150の更なる均一化を図ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のようにスクリーン印刷時に絶縁層140の開口140aの内壁面が堰として機能することから、粘性の低い導電性ペースト(例えば粘度220[dPa・s]程度のカーボンペースト)を使用することが可能となる。これにより、材料費や工数を低減することができ、結果的にプリント配線板100のコストダウンを図ることができる。
【0066】
本実施形態では、電極121と被覆体150とが、コネクタと物理的に接触する端子160を構成する。なお、本実施形態における端子160が、本発明における接触部の一例に相当する。
【0067】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0068】
1,100…プリント配線板
10,110…ベースフィルム
20,120…配線パターン
20a…導出部分
21,22,121…電極
30,130…カバーレイ
30a…開口
31…樹脂層
32…接着層
40,140…絶縁層
40a,140a…開口
51,52,150…被覆体
60…メタルドーム
71,72…接触部
160…端子
80…キーマット
81…押しボタン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の導電体と接触する接触部を有するプリント配線板であって、
基板と、
前記基板上に形成された電極と、
前記電極の少なくとも一部を露出させる開口を有し、前記基板上に形成された絶縁層と、
前記開口に充填され前記電極を被覆する導電性の被覆体と、を備えており、
前記接触部は、前記電極と前記被覆体とから構成されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記基板の上面から前記絶縁層の上面までの高さは、前記基板の上面から前記電極の上面までの高さよりも相対的に高いことを特徴とするプリント配線板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリント配線板であって、
前記基板の上面から前記接触部の上面までの高さは、前記基板の上面から前記絶縁層の上面までの高さよりも相対的に高いことを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板であって、
平面視において、前記開口の内周は、前記電極の外周の内側に位置し、又は、前記電極の外周と実質的に一致していることを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のプリント配線板であって、
可動接点を有する導電性のドーム状部材を、前記他の導電体として備えており、
前記接触部は、前記可動接点と接触することにより前記ドーム状部材と導通し、
前記プリント配線板は、前記ドーム状部材の外周部と接触する他の接触部をさらに有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項6】
他の導電体と接触する接触部を有するプリント配線板の製造方法であって、
基板に電極を形成するステップと、
前記電極の少なくとも一部を露出させる開口を有する絶縁層を、前記基板上に形成するステップと、
前記開口に導電性ペーストを充填して硬化させることで、前記電極を被覆する被覆体を形成するステップと、を備えており、
前記接触部は、前記電極と前記被覆体とから構成されることを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−104548(P2012−104548A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249762(P2010−249762)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】