説明

プレガバリンの製造方法

本発明は、ラセミ体のプレガバリン(1)またはその単一の鏡像異性体である(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸(2)の新規な製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラセミ体のプレガバリン(1)、またはその単一の鏡像異性体である(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチル-ヘキサン酸(2)の新規な製造方法に関する。
【化1】

【背景技術】
【0002】
プレガバリン、すなわち(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸 (2)は、脳のニューロンの活動の制御に関与する内因性抑制性神経伝達物質であるガンマ-アミノ酪酸(GABA)に関連する。プレガバリンは、抗痙攣活性を示し、他の病態の中でも、痛み、精神運動の興奮に関連する身体病態、炎症、胃腸障害、アルコール中毒、不眠症、線維筋痛、および、躁病および双極性障害を含むさまざまな精神障害の処置に有用であるとも考えられている。
【0003】
ラセミ体のプレガバリンは、Synthesis, 1989, 953で最初に報告された。報告された合成法は、ニトロメタンのエチル2-アルケノエートへの付加と、これによって形成されたニトロエステルの炭素上のパラジウムを用いる還元とを含んでいた。塩化水素を用いるその後の加水分解によってプレガバリンが塩酸塩として得られた。ラセミ体のプレガバリンの遊離の塩基は、イオン交換クロマトグラフィーによって調製された。
【0004】
米国特許第5,637,767号で報告された別の方法は、イソバレルアルデヒドとジエチルマロネートとの縮合を記述している。こうして形成された2-カルボキシ-2-アルケン酸が、次いで、シアン化物源、具体的にはシアン化カリウムと反応し、その結果生じた生成物がKOHを用いて加水分解されてシアノ酸のカリウム塩を与える。このシアノ酸のカリウム塩は、海綿状ニッケルを用いて系内で水素化され、酢酸で中性化されてラセミ体のプレガバリンを与える。
【0005】
ラセミ体のプレガバリンの塩酸塩の別の調製方法が、米国特許出願公開第2005/0043565号に報告された。この方法は、イソバレルアルデヒドとトリエチルホスホノアセテートとの間のWittig反応のHorner変形法によってエチル2-アルケノエートを得る工程を含む。ニトロメタンの添加、次いで、ラネーニッケルを用いる水素化によってラクタムが得られ、このラクタムが塩酸を用いて加水分解されてアミノ酸の塩酸塩が形成される。米国特許出願公開第2005/0043565号に報告されたこの経路は、遊離の塩基の変わりに塩酸塩を与える。ここで、両性イオン種の形成に起因して、水性媒体からアミノ酸を単離することには実施上の問題があることは周知である。ラセミ体のプレガバリンのHCl塩の形成は、水性の後処理を必然的に伴い、これが、一般に、低い収率および長い後処理工程をもたらす。
【0006】
本発明者らは、ラセミ体のプレガバリン(1)およびその単一の(S)-鏡像異性体(2)を、最も簡便で短い経路によって調製することに興味を持った。その経路では、有害で環境的に不適切な試薬(例えば、毒性の高いKCNまたは潜在的に有毒な海綿状ニッケル)の使用も回避されるべきであり、後処理手順が公知の方法より簡単でより効率的であるべきである。
【0007】
プレガバリン(2)の調製は、上述したラセミ体のプレガバリン(1)の製造方法のいずれかに従い、かつ、ラセミ中間体または最終生成物の古典的な分割の追加の工程を含めることによって達成することができる。しかし、プレガバリン(1)自体の分割は、ラセミ物質の50%の損失をもたらし、所望されない(R)-異性体の回収方法については全く報告されていない。
【0008】
上述した制限は、プレガバリンの不斉合成によって克服され得る。しかし、以下に説明するように、プレガバリン(2)の不斉合成のための従来技術で報告された方法は、商業的な製造のためにはあまり効率的でも簡便でもない。
【0009】
欧州特許第1250311号に開示された方法は、イソブチルアルデヒドとアクリロニトリルとを反応させて3-ヒドロキシ-4-メチル-2-メチレンペンタンニトリルを得る工程を利用しており、これは、エチル3-シアノ-5-メチル-3-ヘキセノエートに、多くの工程で変換される。この化合物の不斉還元を、水素ガスの存在下、独自に開発された配位子触媒:[(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD)]+BF4-を用いて行い、次いで、塩凝離することによってプレガバリン(2)が得られる。しかし、この合成は、技術的に非常に複雑であるようであり、加えて、ヒスホスフィン配位子が、上述の独自に開発された配位子触媒を含めて、しばしば調製が困難であり、このことがこの方法のコストを高くしている。
【0010】
欧州特許第641330号に開示された方法は、高価なキラル助剤、および高価であり潜在的に毒性がある有機金属化学を利用しており、この場合には、ある程度の収率および純度が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,637,767号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0043565号
【特許文献3】欧州特許第1250311号
【特許文献4】欧州特許第641330号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Synthesis, 1989, 953
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、鏡像異性体的に純粋なプレガバリン(2)の効率的、簡便、かつ無害な製造方法であって、場合によりラセミ体プレガバリン(1)の効率的な代替的製造方法として用いることができる方法が求められている。
【0014】
したがって、本発明の目的は、プレガバリン(2)の、効率的、簡便、かつ無害な製造方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、ラセミ体プレガバリン(1)の効果的な代替的製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[定義]
本発明の目的のために、「アルキル」基は、直鎖または分岐鎖であってよく、環状基であっても環状基を含んでいてもよい、一価の飽和炭化水素として定義される。アルキル基は、場合により置換されていてもよく、場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格内に含んでいてもよい。好ましくは、アルキル基は直鎖状または分岐状である。好ましくは、アルキル基は置換されていない。好ましくは、アルキル基は、その炭素骨格内にいかなるヘテロ原子も含まない。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、およびシクロヘプチル基である。好ましくは、アルキル基は、C1〜12アルキル基であり、好ましくはC1〜6アルキル基である。好ましくは、環状アルキル基は、C3〜12環状アルキル基、好ましくはC5〜7環状アルキル基である。
【0016】
「アルケニル」基は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含み、直鎖または分岐鎖であってよく、環状基であっても環状基を含んでいてもよい、一価の炭化水素として定義される。アルケニル基は、場合により置換されていてもよく、場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格内に含んでいてもよい。好ましくは、アルケニル基は直鎖状または分岐状である。好ましくは、アルケニル基は置換されていない。好ましくは、アルケニル基は、その炭素骨格内にいかなるヘテロ原子も含まない。アルケニル基の例は、ビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニル基である。好ましくは、アルケニル基は、C2-12アルケニル基、好ましくはC2-6アルケニル基である。好ましくは、環状アルケニル基は、C3-12環状アルケニル基、好ましくはC5-7環状アルケニル基である。
【0017】
「アルキニル」基は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含み、直鎖または分岐鎖であってよく、環状基であっても環状基を含んでいてもよい、一価の炭化水素として定義される。アルキニル基は、場合により置換されていてもよく、場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格内に含んでいてもよい。好ましくは、アルキニル基は直鎖状または分岐状である。好ましくは、アルキニル基は置換されていない。好ましくは、アルキニル基は、その炭素骨格内にいかなるヘテロ原子も含まない。アルキニル基の例は、エチニル、プロパルギル、1-ブチニル、および2-ブチニル基である。好ましくは、アルキニル基は、C2-12アルキニル基、好ましくはC2-6アルキニル基である。
【0018】
「アリール」基は、一価の芳香族炭化水素として定義される。アリール基は、場合により置換されていてもよく、場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格内に含んでいてもよい。好ましくは、アリール基は置換されていない。好ましくは、アリール基は、その炭素骨格内にいかなるヘテロ原子も含まない。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニル基である。好ましくは、アリール基は、C4-14アリール基、好ましくはC6-10アリール基である。
【0019】
本発明の目的のために、基の組合せが1つの部分、例えば、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリールとして言及される場合、言及された最後の基が、それによってその部分が残りの分子部分に結合する原子を含む。アリールアルキル基の典型的な例は、ベンジルである。
【0020】
「アルコキシ」基は、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-アリール、-O-アリールアルキル、-O-アリールアルケニル、-O-アリールアルキニル、-O-アルキルアリール、-O-アルケニルアリール、または-O-アルキニルアリール基として定義される。好ましくは、「アルコキシ」基は、-O-アルキルまたは-O-アリール基である。より好ましくは、「アルコキシ」基は、-O-アルキル基である。
【0021】
「アシル」基は、-CO-アルキル、-CO-アルケニル、-CO-アルキニル、-CO-アリール、-CO-アリールアルキル、-CO-アリールアルケニル、-CO-アリールアルキニル、-CO-アルキルアリール、-CO-アルケニルアリール、または-CO-アルキニルアリール基として定義される。好ましくは、「アシル」基は、-CO-アルキルまたは-CO-アリール基である。より好ましくは、「アシル」基は、-CO-アルキルである。
【0022】
「シリル」基は、-SiRy3基〔式中、各Rは、それぞれ場合により置換されていてもよく、かつ、それぞれ場合によりその炭素骨格内に1個以上のヘテロ原子N、O、またはSを含んでいてよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリール基から独立に選択される〕として定義される。好ましくは、「シリル」基は、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチル-t-ヘキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリフェニルシリル(TPS)、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、またはt-ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)基である。
【0023】
「ハロ」基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。
「ヒドロキシ」基は、-OH基である。「ニトロ」基は、-NO2基である。「アミノ」基は、-NH2基である。「カルボキシ」基は、-CO2H基である。
【0024】
本発明の目的のために、場合により置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリール基は、-F、-Cl、-Br、-I、-CF3、-CCl3、-CBr3、-CI3、-OH、-SH、-NH2、-CN、-NO2、-COOH、-Rα-ORβ、-Rα-SRβ、-Rα-SORβ、-Rα-SO2-Rβ、-Rα-SO2ORβ、-RαOSO2Rβ、-Rα-SO2N(Rβ)2、-Rα-NRβ-SO2Rβ、-RαOSO2ORβ、-RαOSO2N(Rβ)2、-Rα-NRβ-SO2ORβ、-Rα-NRβ-SO2N(Rβ)2、-Rα-N(Rβ)2、-Rα-N(Rβ)3-Rα-P(Rβ)2、-Rα-Si(Rβ)3、-Rα-CORβ、-Rα-COORβ、-RαOCORβ、-Rα-CON(Rβ)2、-Rα-NRβ-CORβ、-RαOCOORβ、-RαOCON(Rβ)2、-Rα-NRβ-COORβ、-Rα-NRβ-CON(Rβ)2、-Rα-CS-Rβ、-Rα-CSORβ、-RαOCS-ORβ、-RαOCSN(Rβ)2、-Rα-NRβ-CSORβ、-Rα-NRβ-CSN(Rβ)2、-Rβ、架橋性置換基(例えば、-O-、-S-、-NRβ-、もしくは-Rα-など)、またはπ結合性置換基(例えば、=O、=S、もしくは=NRβなど)のうちの1つ以上で置換されていてもよい。この場合において、-Rα-は、独立に、化学結合、またはC1〜C10アルキレン、C1〜C10アルケニレン、もしくはC1〜C10アルキニレン基である。-Rβ-は、独立に、水素、非置換C1〜C6アルキルまたは非置換C6〜C10アリールである。場合により存在する置換基は、その場合により存在する置換基で置換された母体の基内の炭素原子の総数の算出の際に考慮に入れる。好ましくは、場合により存在する置換基は、架橋性置換基で置換されていない。好ましくは場合により存在する置換基は、π結合性置換基で置換されていない。好ましくは、置換基は、1個、2個、または3個の置換基、より好ましくは1個または2個の置換基、さらにより好ましくは1個の置換基を含む。
【0025】
本発明の目的のために、プレガバリンは、それが2つの鏡像異性体を60:40〜40:60の割合、好ましくは50:50の割合で含む場合、「ラセミ体」である。同様に、本明細書で用いる反応中間体、例えば、中間体(III)、(IV)、(V)、および(VI)などは、それらが2つの鏡像異性体を60:40〜40:60の割合、好ましくは50:50の割合で含む場合、「ラセミ体」である。
【0026】
プレガバリンは、それが一方の立体異性体のみを60%以上含む場合に、「鏡像異性的に富化され」ている。同様に、本明細書で用いる反応中間体、例えば、中間体(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(Va)、および(VIa)などは、それらが一方の立体異性体のみを60%以上含む場合に、「鏡像異性的に富化され」ている。
【0027】
プレガバリンは、それが一方の立体異性体のみを95%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上、好ましくは99.5%以上、好ましくは99.9%以上含む場合に、「鏡像異性的に純粋」である。同様に、本明細書で用いる反応中間体、例えば、中間体(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(Va)、および(VIa)などは、それらが一方の立体異性体のみを95%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上、好ましくは99.5%以上、好ましくは99.9%以上含む場合に、「鏡像異性的に純粋」である。
【0028】
本発明の目的のために、プレガバリンは、それが3%未満、好ましくは2%未満、駒シクは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.1%未満のラクタム不純物を含む場合、ラクタム不純物を「実質的に含まない」。
【0029】
「ラクタム不純物」は、ラセミ体のプレガバリン(1)またはプレガバリン(2)の分子内縮合反応によって得られる、ラセミ体のラクタム(3)またはその鏡像異性体である。
【化2】

【0030】
[発明の概要]
本発明の第一の態様は、以下から選択される工程を1つ以上含む方法を提供する:
(a) 4-メチル-2-ペンタノン (I)を化合物X-Gと反応させて、ケト中間体(II)を得る工程:
【化3】

;および/または
(b) ケト中間体(II)のヒドロキシ中間体(III)への還元:
【化4】

;および/または
(c) 中間体(III)のヒドロキシル基をY基によって置換して中間体(IV)を得る工程、または中間体(III)のヒドロキシル基を活性化して中間体(V)を得る工程、
【化5】

;および/または
(d) 中間体(IV)または(V)を、塩基の存在下、ニトロメタンと反応させて、ニトロ-誘導体(VI)を得る工程
【化6】

(式中、
Xは、適切な脱離基、例えば、ハロ、アルコキシ、-O-アシル、チオ、またはスルホネート基であり、
Gは、カルボン酸基またはカルボン酸基に容易に変換される官能基であり、
Yは、適切な脱離基、例えば、ハロ基であり、かつ、
Zは、ヒドロキシル基の脱離基としての能力を高めることができる任意の基、例えば、アシルまたはスルホニル基である)。
【0031】
本方法は、工程(a)〜(d)のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含んでいてよい。好ましい実施態様では、本方法は、工程(b):ケト中間体(II)をヒドロキシ中間体(III)に還元する工程を含む。より好ましくは、本方法は、ケト中間体(II)をヒドロキシ中間体(III)に不斉還元する工程を含む。
【0032】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、本方法は、ラセミ体のプレガバリン(1)または鏡像異性的に富化されたかあるいは純粋な(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸(2)の製造方法である。
【化7】

【0033】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸(2)またはその反応中間体のいずれかを、鏡像異性的に富化されたかあるいは純粋な形態で製造する。
【0034】
G基は、好ましくは、カルボン酸エステル(例えば、アルコキシカルボニル)基、またはカルボン酸基に容易に変換することができる別の基、例えば、ニトリル、フェニル、オキサジン、場合により保護されいてもよいアルデヒドもしくはケトン、アルケン、オキサゾール、オキサゾリン、オルトエステル、ボランもしくはジボラン、ニトロ、ヒドロキシ、またはアルコキシ基である。このような基の他の例は、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wutsの参考図書「Protective Groups in Organic Synthesis」(Wiley-Interscience, 第3版, 1999)(これを本明細書に参照により組み込む)に概説されている。
【0035】
G基は、好ましくは、式:-CO2R1(式中、Rは、場合により置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、またはシリル基から選択される)で表されるカルボン酸エステル基である。Rは、より好ましくは、アルキルまたはアリールアルキル基であり、最も好ましくは、メチル、エチル、またはベンジル基である。
【0036】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、Gはキラルである。Gが式:-CO2R1で表されるカルボン酸エステル基である場合、R1がキラルであることができ、例えば、R1は、1-(S)-メチル-n-プロピルであってよい。キラル基Gを用いることによって、ケト中間体(II)からヒドロキシ中間体(III)への不斉還元において、鏡像体よりむしろジアステレオ異性体の生成がもたらされる。
【0037】
本発明の第一の態様の別の実施態様では、Xは、ハロ基、または場合により置換されていてもよいアルコキシもしくは-O-アシル基から選択される。好ましくは、Gが式:-CO2R1で表されるカルボン酸エステル基である場合、Xは-OR1であり、すなわち、化合物X-Gは、
【化8】

である。
【0038】
好ましくは、Yは、-Cl、-Br、または-Iから選択される。最も好ましくは、Yは-Brである。
【0039】
本発明の第一の態様のさらに別の実施態様では、Zは、-SO2R2、-SO2OR2、 -NO2、-COR2、-P(=O)(OR2)2、または-B(OR2)2基(式中、各Rは、水素、ハロゲン、または、場合により置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、もしくはアリールアルキニルから独立に選択され、任意の2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって環を形成していてもよい)から選択される。好ましくは、Zは、-SO2R2、-SO2OR2基(式中、各Rは、好ましくは、ハロゲン、または、場合により-F、-Cl、-Br、または-NO2で置換されていてもよい、アルキル、アリール、もしくはアリールアルキル基から独立に選択される)から選択される。さらにより好ましくは、-OZは、トシレート、ブロシレート、ノシレート、メシレート、トレシレート、ノナフレート、またはトリフレート基から選択される。最も好ましくは、-OZはトシレート基である。
【0040】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、4-メチル-2-ペンタノン (I)を、化合物X-Gと、塩基(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、またはリチウムヘキサメチルジシリルアジドなど)の存在下で反応させる。好ましくは、水素化ナトリウムを用いる。
【0041】
本発明の第一の態様の好ましい方法は、ケト化合物(II)を、ホウ化水素、シアノホウ化水素、ジボラン、または他のヒドリド還元剤から選択される還元剤を用いてヒドロキシ化合物(III)に還元する場合である。特に好ましい還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムである。
【0042】
本発明の第一の態様の別の好ましい方法は、ケト化合物(II)のヒドロキシ化合物(III)への不斉還元を含む。この不斉還元により、ヒドロキシ中間体(IIIa)またはヒドロキシ中間体(IIIb)が主成分として生成し得る。好ましくは、不斉還元により、ヒドロキシ中間体(IIIa)が主成分として生成する。
【化9】

【0043】
別の好ましい方法は、不斉還元が、酵素を用いて達成される場合である。好ましい酵素はパン酵母、特に、Mauriタイプのパン酵母である。
別の好ましい方法は、不斉還元が、触媒的水素化を用いて達成される場合である。触媒的水素化は、金属触媒(例えば、ルテニウム錯体など)を用いて好ましくは実施される。特に好ましい触媒は、[(S)Ru(BINAP)Cl2]2.NEt3である。
【0044】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、中間体(III)、(IV)、(V)、または(VI)のいずれかのエピマー性混合物の分離(分割)を含む。好ましくは、本方法は、ヒドロキシ中間体(IIIa)のヒドロキシ中間体(IIIb)からの分離を含む。この段階におけるエピマーの分離は、以下に説明するように、それによって、相補的な経路によって両方のエピマーから単一の鏡像体のプレガバリンを生成させることができるため、特に有利である。すなわち、この段階で分離すると、エピマーの一方の廃棄が必要となることを回避することができる。
【0045】
分離は、典型的には、鏡像体の分割を含む。鏡像体の分割は、当業者に知られた任意の技術を用いて、例えば、キラルクロマトグラフィーによって、あるいはジアステレオマー塩の形成によるものなどの古典的な分割技術を用いて達成することができる。
【0046】
あるいは、Gがキラルである場合、エピマーがジアステレオ異性体であり、その結果、それらの物理化学的な差異によって容易に分離を達成することができる。再び、当業者に知られた任意のジアステレオマー分離技術〔例えば、従来の(すなわちキラルではない)クロマトグラフィーまたは再結晶など〕を用いることができる。
【0047】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、中間体(IV)は、中間体(III)から、活性化されたヒドロキシル基をY-でS2置換することによって生成させる。好ましくは、活性化されたヒドロキシル基は、系内で発生させる。
【0048】
好ましくは、Yがハロ基である場合、中間体(IV)を、中間体(III)から、Y2およびRX3Pを用いるか、あるいはHY、PY3、PY5、N-ハロコハク酸イミド、またはSOY2を用いて生成させる(式中、各Rは、それぞれ場合により置換されていてもよく、それぞれ場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格に含んでいてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリール基から独立に選択される)。好ましくは、RX3Pは、トリフェニルホスフィンである。あるいは、Yがハロ基である場合、中間体(IV)を、中間体(III)から、アジドジカルボキシレート(例えば、ジエチルアジドジカルボキシレートなど)、アルキルハライド(例えば、ヨウ化メチルなど)、およびRX3P(例えば、トリフェニルホスフィンなど)を用いて生成させることができる(式中、Rは、上で定義したとおりである)。
【0049】
本発明の第一の態様の特に好ましい実施態様では、中間体(IVa)を、中間体(IIIa)から生成させる。
【化10】

【0050】
本発明の第一の態様の代替的もしくは相補的な別の実施態様では、中間体(V)を、中間体(III)から生成させる。好ましくは、中間体(Va)を、中間体(IIIb)から生成させる。
【化11】

【0051】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、工程(d)で用いる塩基は、有機塩基、例えば、アルカリ金属アルコキシド(好ましくは、三級アルコキシド、例えば、ナトリウムt-ブトキシドまたはカリウムt-ブトキシドなど)、または三級アミン〔例えば、DBU(1,8-ジアザビシクロ [5.4.0]ウンデカ-7-エン)、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DBN(1,5-ジアザビシクロ [4.3.0]ノナ-5-エン)、またはDMAP(4-(ジメチルアミノ)ピリジン)など〕など、または無機塩基、例えば、アルカリ金属カーボネート(例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなど)、またはアルカリ金属ヒドロキシド(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)である。好ましくは、工程(d)で用いる塩基はDBUである。
【0052】
本発明の第一の態様の好ましい実施態様では、工程(d)で生成したニトロ誘導体(VI)は、ニトロ誘導体(VIa)である。このニトロ誘導体(VIa)は、中間体(IVa)から生成させることができる。
【化12】

【0053】
あるいは、ニトロ誘導体(VIa)は、中間体(Va)から生成させることができる。
【化13】

【0054】
本発明の第一の態様の1つの実施態様では、本方法はさらに、
(e) G基をカルボン酸基またはその塩に変換する工程、および/または
(f) -NO2基を-NH2基またはその塩に変換する工程
を含む。
【0055】
G基が、上述した式:-CO2R1表されるカルボン酸エステル基である場合、当業者に知られた多数の技術のうちの任意のものによって-CO2H基に変換することができる。この変換は、例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wutsによる参考図書「Protective Groups in Organic Synthesis」に例示されている(これを、参照により本明細書に組み込む)。このようなエステルを脱保護または加水分解する代表的な方法はまた、以下の発明の詳細な説明にリストする。しかし、好ましくは、本発明の第一の態様に従って、最も好ましくはLiOHを用いて、エステルを加水分解する。
【0056】
本発明の第一の態様の好ましい実施態様では、工程(f)は、工程(e)の後で行う。
【0057】
-NO2基の-NH2基への還元は、脂肪族ニトロ基のアミノ基への還元についての当業者に知られた多くの技術のいずれかによって行うことができる。これらの技術のいくつかを、以下の発明の詳細な説明で議論する。しかし、好ましくは、本発明の第一の態様に従う-NO2基の-NH2基への還元は、触媒的水素化を用い、好ましくはPd/C上で行う。
【0058】
ラセミ体のプレガバリン(1)を本発明の第一の態様に従って製造する場合、その後、分割して(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸 (2)を得ることができる。あるいは、得られる中間体のいずれか(例えば、工程(e)から得られる中間体または工程(f)から得られる中間体)を分割することができる。
【0059】
本発明の第二の態様では、
【化14】

(式中、G、Y、およびZは、第一の態様で定義したとおりである)
から選択される化合物もしくはその塩、互変異性体、またはその立体異性体を提供する。
【0060】
本発明の第三の態様は、本発明の第一の態様の方法によって調製した(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸を提供する。
【0061】
本発明の第四の態様は、鏡像異性体的に純粋な(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸を提供する。
【0062】
本発明の第五の態様は、本発明の第一の態様の方法によって調製した鏡像異性体的に純粋な(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸を提供する。
【0063】
本発明の第六の態様は、本発明の第三、第四、または第五の態様の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸を含む医薬組成物を提供する。
【0064】
本発明の第七の態様は、薬剤において使用するため、例えば、てんかん、痛み、神経障害性疼痛、脳虚血、うつ病、精神病、線維筋痛、または不安を治療または予防するするための、本発明の第三、第四、または第五の態様の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチル-ヘキサン酸を提供する。
【0065】
本発明の第八の態様は、てんかん、痛み、神経障害性疼痛、脳虚血、うつ病、精神病、線維筋痛、または不安を治療または予防するための薬剤を製造するための、本発明の第三、第四、または第五の態様の(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸の使用を提供する。
【0066】
本発明の第八の態様は、てんかん、痛み、神経障害性疼痛、脳虚血、うつ病、精神病、線維筋痛、または不安を治療または予防する方法であって、治療的または予防的有効量の本発明の第三、第四、または第五の態様の(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸を、治療または予防の必要がある患者に投与することを含む方法を提供する。好ましくは、患者は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の第一の態様の1つの実施態様は、ラセミ体のプレガバリン(1)または(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸(2)の製造方法であって、ケト中間体(II)をヒドロキシ中間体(III)または(IIIa)に還元する工程を含む方法を提供する(ここで、G基は、カルボン酸基またはカルボン酸基に容易に変換される官能基である)。
【0068】
ケト中間体(II)は、好ましくは、スキーム1に概説するように、4-メチル-2-ペンタノンの陰イオンと化合物X-Gとの反応によって調製する(式中、Gは上で定義したとおりであり、Xは、適切な脱離基、例えば、ハロ基、アルコキシ基、またはアルキルもしくはアリールスルホネート基である)。好ましくは、脱離基Xはアルコキシ基である。
【化15】

【0069】
あるいは、脱離基Xは、ハロまたはスルホネート基である。Xがハロ基である場合、クロロ、ブロモ、またはヨード基であってよく、好ましくはブロモ基である。Sがスルホネート基である場合、メシレート、トリフレート、トシレート、またはベシレート基であってよい。
【0070】
4-メチル-2-ペンタノンの陰イオンは、任意の塩基を用いて生成させることができるが、好ましくは水素化ナトリウムを用いて調製する。
【0071】
本発明の特に好ましい実施態様は、G基がエトキシカルボニル(エチルエステル)基であり、X基がエトキシ基であって、化合物X-Gが市販の試薬である炭酸ジエチルとなる場合である。
【0072】
ラセミ体のプレガバリン(1)の製造のための本発明の第一の態様の好ましい実施態様を、スキーム2に示す。すなわち、4-メチル-2-ペンタノンを水素化ナトリウムおよび炭酸ジエチルと反応させ、得られるエチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエートを水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元してラセミ体のエチル5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエートを得る。次いで、このヒドロキシ中間体を、ブロモヘキサノエートに変換し、その後これをニトロメタンと反応させて、ラセミ体のエチル5-メチル-3-ニトロメチルヘキサノエートを得る。その後の、このエステルのカルボン酸への鹸化、および炭素上のパラジウム触媒を用いる水素化によるニトロ基の還元によって、ラセミ体のプレガバリン(1)が得られる。上述の方法は、非常に効率的であり、ラセミ体のプレガバリン(1)が高収率かつ高純度で得られる。本方法のさらなる利点は、毒性のある試薬、例えばシアン化物などを使用しないことである。
【0073】
好ましくは、ラセミ体のプレガバリン(1)は、60%以上、好ましくは65%以上、好ましくは70%以上の収率で得られる。好ましくは、ラセミ体のプレガバリン(1)は、実質的にラクタム不純物(3)を含まずに得られる。
【0074】
【化16】

【0075】
必要であれば、ラセミ体のプレガバリン(1)のプレガバリン(2)への変換は、十分に確立され且つ報告された分割経路にしたがって行うことができる。例えば、参照によりその全体を本明細書に組み込む米国特許第5637767号は、ラセミ体のプレガバリン(1)のプレガバリン(2)への、(S)-または(R)-マンデル酸を用いる選択的結晶化による分割を報告している。
【0076】
あるいは、プレガバリン(2)は、初期の中間体の1つの分割によって、例えば、ラセミ体のエチル5-メチル-3-ヒドロキシヘキサノエートの分割によって調製することができる。(S)エチル5-メチル-3-ヒドロキシヘキサノエートは、下記スキーム4に関連して記載するとおりに、プレガバリン(2)に変換することができる。相補的な経路では、(R)エチル5-メチル-3-ヒドロキシヘキサノエートは、ヒドロキシル基の活性化によって(例えば、トリフレート基に変換することによってヒドロキシル基を活性化し、次いで、得られたトリフレートをニトロメタンと反応させて不斉中心の配座が反転した所望の(S)エチル5-メチル-3-ヒドロキシヘキサノエートを得ることによって)プレガバリン(2)に変換することができる。これを、下記スキーム3に示す。
【0077】
【化17】

【0078】
次いで、(S)エチル5-メチル-3-ヒドロキシヘキサノエートを、下記スキーム4に関連して記載するとおりに、プレガバリン(2)に変換することができる。
【0079】
しかし、さらなる別法として、本発明の方法は、ケト中間体(例えば、エチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエートなど)の不斉還元によって、分割を必要とすることなくプレガバリン(2)を直接調製するために変形することができる。
【0080】
本発明の第一の態様の特に好ましい実施態様を、スキーム4に概説する。すなわち、4-メチル-2-ペンタノンを水素化ナトリウムおよび炭酸ジエチルと反応させ、得られたエチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエートを、パン酵母、または触媒[(S)Ru(BINAP)Cl2]2.NEt3を用いる触媒的水素化のいずれかによって還元して、(S)エチル5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエートを得る。次いで、この鏡像異性体的に純粋なヒドロキシ中間体を、ブロモヘキサノエートに変換し、その後、これをニトロメタンと反応させて、(S)エチル5-メチル-3-ニトロメチル-ヘキサノエートを得る。その後の、このエステルのカルボン酸への鹸化、および炭素上のパラジウム触媒を用いる水素化によるニトロ基の還元によって、プレガバリン(2)が得られる。上述の方法は、非常に効率的であり、鏡像異性体的に純粋なプレガバリン(2)が高い収率、かつ、化学的および光学的に高い純度で得られる。
【0081】
好ましくは、プレガバリン(2)は、60%以上、好ましくは65%以上、好ましくは70%以上の収率で得られる。好ましくは、プレガバリン(2)は、実質的にラクタム不純物(3)を含まずに得られ、鏡像異性体的に純粋である。
【0082】
【化18】

【0083】
スキーム2〜4で示した試薬および溶媒は、本発明の単なる例示であり、これらの反応スキームは、これらの試薬または溶媒に限定されない。以下に概説するように、任意の適切な代替物を用いることができる。
【0084】
4-メチル-2-ペンタノンの陰イオンの生成は、好ましくは、水素化ナトリウムを用いて達成するが、他の適切な塩基(例えば、水素化カリウム、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、またはリチウムヘキサメチルジシリルアジドなど)を用いることができる。
【0085】
ヒドロキシ中間体のブロモ中間体への変換は、好ましくは、トリフェニルホスフィン/臭素を用いて行うが、他の適切な試薬、例えば、HBr、PBr3、PBr5、N-ブロモコハク酸イミド、またはSOBr2を用いることもできる。
【0086】
3-ニトロメチル-5-メチルヘキサン酸のニトロ基のような脂肪族ニトロ基は、(水素ガスと、Pt、Pt/C、PtO2、Pd、Pd/C、Rh、Ru、Ni、またはラネーNiなどの触媒とを用いる)触媒的水素化;Zn、Sn、またはFeと酸;AlH3-AlCl3;ヒドラジンと触媒;[Fe3(CO)12]-メタノール;TiCl3;熱液体パラフィン;ギ酸もしくはギ酸アンモニウムと触媒(例えば、Pd/Cなど);LiAlH4;およびスルフィド(例えば、NaHS、(NH4)2S、ポリスルフィドなど)を含む多くの還元剤によって、アミン基に還元することができる。
【0087】
3-ニトロメチル-5-メチルヘキサン酸エステルのエステル基のようなエステル基は、多くの条件下で脱保護または加水分解して、遊離のカルボン酸を得ることができる。これらの好ましいエステル類の多くは、酸性条件下(例えば、CH3CO2H、CF3CO2H、HCO2H、HCl、HBr、HF、CH3SO3H、および/またはCF3SO3Hを用いる条件下);または塩基性条件下(例えば、LiOH、NaOH、KOH、Ba(OH)2、K2CO3、またはNa2Sを用いる条件下)で脱保護することができる。エステル〔例えば、ベンジル、カルボベンゾキシ(Cbz)、トリチル(トリフェニルメチル)、ベンシロキシメチル、フェナシル、ジフェニルメチル、および4-ピコリルエステルなど〕は、(水素ガスと、Pt、Pt/C、PtO2、Pd、Pd/C、Rh、Ru、Ni、またはラネーNiなどの触媒とを用いる)触媒的水素化によって;〔水素供与体(例えば、シクロヘキセン、1,4-シクロヘキサジエン、ギ酸、ギ酸アンモニウム、またはシス-デカリンなど)と、触媒(例えば、Pd/CまたはPdなど)とを用いる〕触媒移動水素化によって;電解還元によって;放射線照射によって:ルイス酸(例えば、AlCl3、BF3、BF3-Et2O、BBr3、またはMe2BBrなど)を用いて;または液体アンモニア中のナトリウムを用いて、脱保護することができる。ベンジルエステルは、水性CuSO4に続いてEDTA;DMF中のNaHTe;または、ラネーNiおよびEt3Nを用いて脱保護することもできる。カルボベンゾキシエステルは、Me3SiI;または、LiAlH4 もしくはNaBH4およびMe3SiClを用いて脱保護することもできる。トリチルエステルは、MeOHもしくはH2Oとジオキサンを用いて脱保護することもできる。フェナシルエステルは、Znおよび酸(例えば酢酸など);DMF中のPhSNa;またはDMF中のPhSeHを用いて脱保護することもできる。
【0088】
本発明の第六の態様は、本発明の第三、第四、または第五の態様の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸を含む医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明の第六の態様の医薬組成物は、溶液または懸濁液の形態であってよく、しかし好ましくは固体の経口の投薬形態である。本発明の好ましい投薬形態には、所望によりコーティングされていてもよい錠剤、カプセルなどである。錠剤は、直接圧縮、湿式粒状化、および乾式粒状化を含む従来技術によって調製することができる。カプセルは、本発明に従って、一般にゼラチン物質から形成され、従来技術によって調製された賦形剤の顆粒を含んでいてよい。
【0090】
本発明の医薬組成物は、典型的には、充填剤、結合剤、崩壊剤、および滑沢剤を含む群から選択される、従来技術の製薬学的に許容可能な賦形剤を1つ以上含み、場合によりさらに、着色剤、吸収剤、界面活性剤、皮膜形成剤、および可塑剤から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む。
【0091】
上述したとおり、本発明の安定な医薬組成物は、典型的には、1種以上の充填剤(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、糖類、でんぷん、加工でんぷん、マンニトール、ソルビトール、および他のポリオール類、デキストリン、デキストラン、もしくはマルトデキストリンなど);1種以上の結合剤(例えば、ラクトース、でんぷん、加工でんぷん、トウモロコシでんぷん、デキストリン、デキストラン、マルトデキストリン、微結晶セルロース、糖類、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、アカシアガム、トラガカント、ポリビニルピロリドン、またはクロスポビドンなど);1種以上の崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルでんぷん、でんぷん、微結晶セルロース、またはポリアクリリンカリウムなど);1種以上のさまざまな流動促進剤または滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、カルナウバワックス、または二酸化ケイ素など)を含む。
【0092】
必要であれば、本発明の医薬組成物は、界面活性剤および他の従来技術の賦形剤を含んでいてもよい。用いることができる典型的な界面活性剤は、イオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)または非イオン性界面活性剤〔例えば、さまざまなポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのコポリマー)など〕、天然のあるいは合成のレシチン類、ソルビタンと脂肪酸とのエステル(例えば、Spano(登録商標)など)、ポリオキシエチレンソルビタンと脂肪酸とのエステル(例えば、Tween(登録商標)など)、ポリオキシエチル化された水素化ひまし油(例えば、Cremophor(登録商標)など)、ポリオキシエチレンステアレート(例えば、Brij(登録商標)など)、ジメチルポリシロキサン、または前述した界面活性剤の任意の組合せである。
【0093】
固体の医薬製剤がコーティングされた錠剤の形態である場合、コーティングは、少なくとも1種の被膜形成剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはメタクリレートポリマーなど)から調製することができ、場合により、少なくとも1種の可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、ジブチルセバケート、トリエチルシトレートなど)、および被膜形成のための従来技術の他の製薬学的な補助物質(例えば、顔料、充填剤、その他)を含有していてよい。
【実施例】
【0094】
スキーム2、3、および4は、本発明の非限定的な例を説明する。これらの例の実験的詳細を以下に記述する。
【0095】
エチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエート
NaH (2eq)を、20〜25℃にてTHF (5vol)に入れ、炭酸ジメチル (1.35eq)を添加した。4-メチル-2-ペンタノン(1eq)の炭酸ジエチル(2.98vol)溶液を徐々に添加し、混合物を加熱還流させた。4時間後に、反応混合物を氷水(10vol)に添加し、0〜10℃にて氷酢酸(1.6vol)で中和し、20分間撹拌した。この混合物を、酢酸エチルで抽出し、合わせた酢酸エチル抽出液を、10%重炭酸ナトリウム水溶液(10vol)、および水で洗浄した。酢酸エチル相を、50℃にて減圧下で除去した。生成物は、茶色オイルとして得られた。モル収率=95%。
【0096】
(±) エチル5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート
水素化ホウ素ナトリウム(0.8eq)を、0℃にてゆっくりとエタノール(5vol)に添加し、次いで、エチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエート(1eq)を添加した。この混合物を25〜30℃に加温し、3時間撹拌した。反応が完結した後、エタノールを減圧下、50℃にて除去し、HCl水溶液(1:1混合物)を添加してpHを約3に調整した。この水性混合物を、酢酸エチルで抽出し、この有機抽出液を水で洗浄した。酢酸エチルを除去して、生成物を無色オイルとして得た。モル収率=84%。
【0097】
(±) エチル5-メチル-3-ブロモ-ヘキサノエート
トリフェニルホスフィン(1.1eq)を、DCM (5vol)に添加し、0℃に冷却した。臭素(1.1eq)を、上述した溶液に0℃にて添加し、この温度で10〜15分撹拌した。(±)エチル5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート(1eq)を、上述した白色スラリーに添加し、30分間撹拌した。反応が完結した後、水を添加し、DCM相を分離した。水性相をDCMで再び抽出した。合わせたDCM相を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーすることによって、生成物が黄色液体として得られた。モル収率=70%。
【0098】
(±) エチル5-メチル-3-ニトロメチル-ヘキサノエート
0〜5℃の(±)エチル5-メチル-3-ブロモ-ヘキサノエート(1eq)のニトロメタン(4vol)溶液に、DBU (1.05eq)を、滴下によって30分間かけて添加した。添加が終了した後、反応混合物を25〜30℃に戻し、この温度にて2時間撹拌した。反応が完結した後、この反応混合物を、濃HCl(0.4vol)と水(15vol)との混合物に注ぎ、15分間撹拌した。この反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、合わせた酢酸エチル抽出液を水で洗浄した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで無水にし、減圧下で濃縮して生成物を黄色オイルとして得た。モル収率=96%。
【0099】
(±) 3-ニトロメチル-5-メチル-ヘキサン酸
(±)エチル5-メチル-3-ニトロメチル-ヘキサノエート(1eq)を、THF-水(10vol、2:1)に溶解させ、水酸化リチウム(2.5eq)を添加し、この反応混合物を3〜4時間撹拌した。この反応混合物を濃縮して、35℃、減圧下でTHFを除去した。この水性混合物に水(5vol)を添加し、酢酸エチルで抽出し、濃HCl(1vol)で酸性にし、DCMで抽出した。このDCM相を水(10vol)で洗浄し、35〜40℃にて減圧下で濃縮して生成物をオイルとして得た。モル収率=85%。
【0100】
(±) プレガバリン (1)
(±)3-ニトロメチル-5-メチル-3-ヘキサン酸(1eq)のメタノール(15vol)溶液に、60%(w/w)の含水5%パラジウム炭素の存在下で水素をバブルさせた。反応の完結(5〜8時間)後、反応混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、(±)プレガバリンをオイル/粘着性の固体として得た。この粗生成物を、熱2-プロパノール/水(1:1)(10vol)から結晶化させて、生成物を白色固体として得た。モル収率=37%。
【0101】
(S) エチル5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート
(酵素還元)
マウリ酵母の乾燥粉末(200倍、w/w)を、水(800vol)とアリルアルコール(5.9vol)との混合液に25〜30℃にて添加した。これを、24時間撹拌した後、反応混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過した。これを、24時間撹拌した後、エチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエートを添加した。撹拌をさらに24時間続けた後、反応混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過し、濾液を酢酸エチルで抽出し(4 x 80vol)、減圧下で溶媒を除去して無色オイルを得た。モル収率=50%;鏡像異性体過剰量は、99%より高い。
【0102】
(化学還元)
[(S)Ru(BINAP)Cl2]2.NEt3 (0.00046eq)を、メタノール(8vol)に入れ、濃HCl (0.005vol)を、窒素下で添加した。エチル5-メチル-3-オキソ-ヘキサノエートを、上記スラリーに添加し、40℃および50 psiで水素化を行った。反応が完結した後に、反応混合物をろ過し、濃縮して、生成物を無色オイルとして得た。モル収率66%;鏡像異性体過剰量は、99%より高い。
【0103】
(R) エチル5-メチル-3-ブロモ-ヘキサノエート
トリフェニルホスフィン(1.1eq)を、DCM(5vol)に添加し、0℃に冷却した。臭素(1.1eq)を上記溶液に0℃にて添加し、この温度で10〜15分撹拌した。(S)エチル 5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート(1eq)を、上記白色スラリーに添加し、30分間撹拌した。反応が完結した後に、水を添加し、DCM相を分離した。水性相をDCMで再び抽出し、合わせたDCM相から、減圧下でDCM相を除去して、粗生成物を得た。この粗生成物の、ヘキサン/酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーにより、生成物が黄色液体として得られた。モル収率=73%;鏡像異性体過剰量は、99%より高い。
【0104】
(S) エチル5-メチル-3-ニトロメチル-ヘキサノエート
0〜5℃の(R)エチル5-メチル-3-ブロモ-ヘキサノエート(1eq)のニトロメタン(4vol)溶液に、DBU (1.05eq)を滴下により30分かけて添加した。添加が終了した後、反応混合物を25〜30℃に戻し、この温度にて2時間撹拌した。反応が完結した後、反応混合物を濃HCl(0.4vol)と水(15vol)との混合物に注ぎ、15分撹拌した。この反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を水で洗浄した。この有機相を、硫酸ナトリウムで無水にし、減圧下で濃縮して生成物を黄色オイルとして得た。モル収率=96%;鏡像異性体過剰量は、99%より高い。
【0105】
(S) 3-ニトロメチル-5-メチル-ヘキサン酸
(S)エチル5-メチル-3-ニトロメチル-ヘキサノエート(1eq)を、THF-水(10vol, 2:1)に溶解させ、水酸化リチウム(2.5eq)を添加し、反応混合物を3〜4時間撹拌した。この反応は、TLCで追跡した。反応の最後に、反応混合物を、減圧下、35℃にて濃縮してTHFを除去した。水(5vol)をこの水性混合物に添加し、酢酸エチルで抽出し、濃HCl (1vol)で酸性にし、DCMで抽出した。合わせたDCM相を水(10vol)で洗浄した。減圧下、35〜40℃にて濃縮して、生成物をオイルとして得た。モル収率=85%;鏡像異性体過剰量は、99%より高い。
【0106】
プレガバリン (2)
(S) 3-ニトロメチル-5-メチルヘキサン酸(1eq)のメタノール(15vol)溶液に、60%(w/w)の含水5%パラジウム炭素の存在下で水素をバブルさせた。反応の完結(5〜8時間)後、反応混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、プレガバリンをオイル/粘着性の固体として得た。この粗生成物を、熱2-プロパノール/水(1:1)(10vol)から結晶化させて、生成物を白色固体として得た。モル収率=37%;鏡像異性体過剰量は、99.6%より高い。
1H NMRスペクトル(D2O + DClを1滴添加) ppm: 2.87 (d, J = 6.3 Hz, 2H); 2.34 (m, 2H); 2.08 (m, 1H); 1.48 (m, 1H); 1.08 (t, J = 7.2 Hz, 2H); 0.73 (d, J = 6.6 Hz, 3H); 0.71 (d, J = 6.6 Hz, 3H).
マススペクトル(エレクトロスプレーイオン化): (M+H)+ 160.2; (M-H2O+H)+ 142.2.
【0107】
(R) エチル5-メチル-3-トリフルオロメタンスルホニル-ヘキサノエートの理論的調製
ピリジン(5eq)を、N2下、-78℃にて、(R)エチル5-メチル-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート(1eq)のDCM (10vol)溶液に添加する。次いで、Tf2O (2eq)を滴下により添加し、混合物を-78℃にてさらに20分間撹拌した後、0℃に戻し、さらに2〜3時間撹拌する。この反応は、TLCで追跡する。反応が完結した後、混合物をDCMで希釈し、0.1M HCl、次いで水で洗浄する。有機部分をMgSO4で無水にし、濾過紙、さらに減圧下で溶媒を除去して、粗生成物を得る。この粗生成物の、ヘキサン/酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによって、生成物が得られる。
【0108】
(S) エチル5-メチル-3-ニトロメチル-ヘキサノエートの理論的調製
DBU (1.05eq)を、0〜5℃の、(R)エチル5-メチル-3-トリフルオロメタンスルホニル-ヘキサノエート(1eq)のニトロメタン(4 vol)溶液に、30分かけて滴下により添加する。添加の終了後に、反応混合物を25〜30℃に戻し、この混合物をこの温度で2時間撹拌する。反応が完結した後、反応混合物を濃HCl(0.4vol)および水(15vol)の混合物に注ぎ、15分間撹拌した。この反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を、水で洗浄する。有機部分を硫酸マグネシウムで無水にし、減圧下で濃縮して生成物を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から選択される1つ以上の工程を含む方法:
(a) 4-メチル-2-ペンタノン (I)を化合物X-Gと反応させて、ケト中間体(II)を得る工程:
【化1】

;および/または
(b) ケト中間体(II)をヒドロキシ中間体(III)に還元する工程:
【化2】

;および/または
(c) 中間体(III)のヒドロキシル基をY基によって置換して中間体(IV)を得る工程、または中間体(III)のヒドロキシル基を活性化して中間体(V)を得る工程、
【化3】

;および/または
(d) 中間体(IV)または(V)を、塩基の存在下、ニトロメタンと反応させて、ニトロ-誘導体(VI)を得る工程
【化4】

(式中、
Xは、適切な脱離基、例えば、ハロ、アルコキシ、-O-アシル、チオ、またはスルホネート基であり、
Gは、カルボン酸基またはカルボン酸基に容易に変換される官能基であり、
Yは、適切な脱離基、例えば、ハロ基であり、かつ、
Zは、ヒドロキシル基の脱離基としての能力を高めることができる任意の基、例えば、アシルまたはスルホニル基である)。
【請求項2】
ケト中間体(II)をヒドロキシ中間体(III)に還元する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ケト中間体(II)をヒドロキシ中間体(III)に不斉還元する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ラセミ体のプレガバリン(1)または(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸(2)を調製するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【化5】

【請求項5】
Gがキラルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
G基が、カルボン酸エステル、ニトリル、フェニル、オキサジン、場合により保護されていてもよいアルデヒドもしくはケトン、アルケン、オキサゾール、オキサゾリン、オルトエステル、ボランもしくはジボラン、ニトロ、ヒドロキシ、またはアルコキシ基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
G基が、式:-CO2R1(式中、Rは、場合により置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、またはシリル基から選択される)で表されるカルボン酸エステルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が、場合により置換されていてもよいアルキルまたはアリールアルキル基である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が、メチル、エチル、またはベンジル基である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
がエチル基である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
がキラルである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
Xが、ハロ基、または場合により置換されていてもよいアルコキシもしくは-O-アシル基から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
Xが-OR1である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Yが、-Cl、-Br、または-Iから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
Zが、-SO2R2、-SO2OR2、-NO2、-COR2、-P(=O)(OR2)2、または-B(OR2)2基(式中、Rは、水素、ハロゲン、または場合により置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、もしくはアリールアルキニル基から独立に選択され、任意の2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって環を形成していてもよい)から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
Zが、-SO2R2または-SO2OR2基から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が、ハロゲン、または、-F、-Cl、-Brあるいは-NO2から選択される1つ以上の基で場合により置換されていてもよい、アルキル、アリール、もしくはアリールアルキル基から独立に選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
-OZが、トシレート、ブロシレート、ノシレート、メシレート、トレシレート、ノナフレート、またはトリフレート基から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
4-メチル-2-ペンタノン(I)を、塩基の存在下で化合物X-Gと反応させる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
塩基が水素化ナトリウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ケト化合物(II)を、ホウ化水素、シアノホウ化水素、ジボラン、または他のヒドリド還元剤から選択される還元剤を用いてヒドロキシ化合物(III)に還元する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ケト中間体(II)からヒドロキシ中間体(III)への不斉還元を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記不斉還元が、ヒドロキシ中間体(IIIa)への還元である、請求項23に記載の方法。
【化6】

【請求項25】
前記不斉還元が、ヒドロキシ中間体(IIIb)への還元である、請求項23に記載の方法。
【化7】

【請求項26】
前記不斉還元が、酵素を用いて達成される、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記酵素がパン酵母である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記パン酵母がMauriタイプである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記不斉還元が、触媒的水素化を用いて達成される、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記触媒がルテニウム錯体である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記触媒が[(S)Ru(BINAP)Cl2]2・NEt3である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ヒドロキシ中間体(IIIa)をヒドロキシ中間体(IIIb)から分離する工程をさらに含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記分離が鏡像異性体の分離である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
Gがキラルであり、前記分離がジアステレオ異性体の分離である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
中間体(IV)が、Yによって活性化されたヒドロキシル基のS2置換によって中間体(III)から生成される、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒドロキシル基を系内で活性化させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Yがハロゲンであり、中間体(IV)を、Y2およびRX3Pを用いて、あるいはHY、PY3、PY5、N-ハロコハク酸イミド、またはSOY2(式中、各Rは、それぞれ場合により置換されていてもよく、それぞれ場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格内に含んでいてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリール基から独立に選択される)を用いて中間体(III)から生成させる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
Yがハロゲンであり、中間体(IV)を、アジドジカルボキシレート、アルキルハライド、およびRX3P(式中、各Rは、それぞれ場合により置換されていてもよく、それぞれ場合により1個以上のヘテロ原子N、O、またはSをその炭素骨格内に含んでいてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリール基から独立に選択される)を用いて中間体(III)から生成させる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
中間体(IVa)を中間体(IIIa)から生成させる、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
【化8】

【請求項40】
中間体(V)を中間体(III)から生成させる、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
中間体(Va)を中間体(IIIb)から生成させる、請求項40に記載の方法。
【化9】

【請求項42】
工程(d)で用いる前記塩基が、有機塩基、例えば、アルカリ金属アルコキシド、または三級アミン、例えば、DBU、トリエチルアミン、N,N-ジイドプロピルエチルアミン、DBN、もしくはDMAP、または無機塩基、例えば、アルカリ金属カーボネートもしくはアルカリ金属ヒドロキシドである、請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
工程(d)で用いる前記塩基がDBUである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ニトロ-中間体(VIa)を、中間体(IVa)から生成させる、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
【化10】

【請求項45】
ニトロ誘導体(VIa)を中間体(Va)から生成させる、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
【化11】

【請求項46】
下記工程:
(e) G基をカルボン酸基またはその塩に変換する工程;および/または
(f) -NO2基を-NH2基またはその塩に還元する工程
をさらに含む、請求項1〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
G基が、式:-CO2R1(式中、Rは、場合により置換されていてよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、またはシリル基である)によって表されるカルボン酸エステル基であり、かつ、前記カルボン酸基またはその塩を、加水分解によって生成させる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
LiOHを、前記エステルを加水分解するために用いる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
工程(f)を工程(e)の後で行う、請求項46〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
-NO2基を-NH2基に還元する工程を、触媒的水素化を用いて行う、請求項46〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記触媒がPd/Cである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法によって調製したラセミ体のプレガバリン(1)を分割する工程を含む、(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸(2)の製造方法。
【請求項53】
下記:
【化12】

(式中、G、Y、およびZは、請求項1〜52のいずれか一項で定義したとおりである)
から選択される化合物もしくはその塩、互変異性体、またはその立体異性体。
【請求項54】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法によって製造された、(S)-(+)-3-(アミノメチル)-5-メチルへキサン酸。
【請求項55】
鏡像異性的に純粋な(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸。
【請求項56】
請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法によって調製された、鏡像異性的に純粋な(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸。
【請求項57】
請求項54〜56のいずれか一項に記載の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸を含む医薬組成物。
【請求項58】
医薬に使用するための、請求項54〜56のいずれか一項に記載の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸。
【請求項59】
てんかん、痛み、神経障害性疼痛、脳虚血、うつ病、精神病、線維筋痛、または不安を治療または予防するための、請求項58に記載の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸。
【請求項60】
てんかん、痛み、神経障害性疼痛、脳虚血、うつ病、精神病、線維筋痛、または不安を治療または予防するための薬剤を製造するための、請求項54〜56のいずれか一項に記載の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸の使用。
【請求項61】
てんかん、痛み、神経障害性疼痛、脳虚血、うつ病、精神病、線維筋痛、または不安を治療または予防する方法であって、治療的または予防的有効量の請求項54〜56のいずれか一項に記載の(S)-(+)-3-アミノメチル-5-メチルへキサン酸を、治療または予防の必要がある患者に投与することを含む方法。
【請求項62】
前記患者が哺乳動物である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記哺乳動物がヒトである、請求項62に記載の方法。

【公表番号】特表2011−507941(P2011−507941A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540175(P2010−540175)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/051221
【国際公開番号】WO2009/081208
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【出願人】(510164441)マイラン・デベロップメント・センター・プライベート・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】