説明

プレーナ型電磁アクチュエータ

【課題】プレーナ型電磁アクチュエータの製造コストを上昇させることなく、可動板の大型化を可能にする電磁アクチュエータ構造を提供する。
【解決手段】可動板10を、駆動コイル4を形成したフレキシブルシート11、剛体の回動板12及びミラー板13で構成し、回動板12中心部の第1の溝部12aにトーションバー3の中央部3bを貼り付け、トーションバー3の軸部3cを回動板12の第2の溝部12b内で浮遊状態とする。回動板12の上面にミラー板13を組付け、駆動コイル4を形成したフレキシブルシート11を回動板12の下面に貼り付けて可動板10を組み立てる。これにより、可動板10の中心部にトーションバー3が連結し、可動板10の下側にトーションバー3を潜り込ませるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造技術を利用して製造するプレーナ型電磁アクチュエータに関し、特に、可動板の大型化と製造コストの低減を可能とするプレーナ型電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造技術を利用して製造するプレーナ型電磁アクチュエータとして、例えば特許文献1に記載されているものがある。このものは、半導体基板をエッチングして、枠状の固定部と、可動板と、固定部に可動板を揺動可能に軸支するトーションバーとを一体形成する。更に、可動板にスパッタリング等により駆動コイルを形成し、トーションバーの軸方向と平行な可動板両端縁部の駆動コイル部分に静磁界を作用させる静磁界発生手段(例えば、永久磁石や電磁石等)を設ける。そして、駆動回路から駆動コイルに電流を供給し、駆動コイルに発生する磁界と静磁界発生手段による静磁界との相互作用により、トーションバーの軸方向と平行な可動板両対辺部に電磁力(ローレンツ力)を作用させて、可動板をトーションバーの軸回りに駆動する構成である。可動板に反射ミラーを設ければ、可動板の回動動作で光ビームを走査することができ、光走査用電磁アクチュエータとして光スイッチや光スキャナ等の光走査デバイス等に適用することができる。
【特許文献1】特許第2722314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば光スキャナ等に利用する場合に反射ミラーの大型化の要求が多く、可動板面積の大きいアクチュエータが要求される。しかしながら、従来のプレーナ型電磁アクチュエータでは、半導体ウエハをエッチングして枠状固定部、可動板及びトーションバーを一体形成するので、半導体ウエハ上にレイアウトしたときのチップ面積は、可動板サイズの増大に伴って大きくなり、1枚の半導体ウエハからのチップの取り数が減少し、チップ単価が上昇する。前記半導体ウエハには、可動板の回動運動によって捩れが発生するトーションバー部分の耐久性確保のために、高価な単結晶シリコンの半導体ウエハを使用するので、チップ単価の上昇は、電磁アクチュエータの製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、製造コストの上昇を招くことなく、可動板の大型化を可能にする構造のプレーナ型電磁アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、枠状の固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動板を、通電により駆動コイルに発生する磁界と静磁界発生手段による静磁界との相互作用で発生する電磁力を用いて駆動するプレーナ型電磁アクチュエータにおいて、前記可動板の中心部に前記トーションバーの中央部を連結し、当該トーションバーの両端部を前記固定部の互いに対向する枠部に組付けて、当該トーションバーを介して前記可動板を前記固定部に軸支する構成としたことを特徴とする。
【0006】
かかる構成では、可動板の回動動作に伴って捩られるトーションバーの軸部が、可動板の中心部と枠状の固定部との間を連結する構造となり、トーションバー軸方向と直交する可動板の両対辺部分がトーションバーの軸部上方にオーバーラップする。これにより、可動板の端にトーションバーが連結する従来構造と比べて、トーションバーの長さを変えることなく、電磁アクチュエータの可動板面積を大型化することが可能であり、また、可動板面積の同じ電磁アクチュエータを小型化することが可能となる。
【0007】
請求項2では、前記トーションバーは、前記可動板と連結する中央部及び前記固定部に組付ける両端部を、前記可動板の回動動作に伴って捩れる軸部より幅広に形成するようにした。
【0008】
請求項3では、前記可動板と前記トーションバーとを別体で形成し、前記トーションバーと前記可動板を組付ける構成とした。
かかる構成では、トーションバー部分のみを高価な単結晶シリコンの半導体ウエハで形成し、可動板部分を安価な部材で形成することができるようになる。
請求項3の構成において、請求項4のように、前記可動板の中心部に位置出し用の穴部を形成する一方、前記トーションバーの中央部に位置出し用の凸状部を形成し、前記穴部に前記凸状部の上部を嵌合して、前記可動板と前記トーションバーとを組付ける構成とするとよい。また、請求項5のように、前記可動板の一方の面に、当該可動板に前記トーションバーを組付けたときに可動板中心部とトーションバー中央部とだけが互いに連結するような溝部を形成する構成としてもよい。
【0009】
請求項6のように、前記トーションバーと前記可動板とを一体形成してもよい。
請求項7のように、前記可動板が、前記駆動コイルと前記静磁界発生手段のどちらか一方を一体形成した剛体からなる構成としてもよい。
請求項8のように、前記可動板が、前記駆動コイルを一体形成した柔軟なフレキシブルシートと、該フレキシブルシートを貼り付ける剛体の回動板とを有し、前記回動板と前記トーションバーとを連結する構成とするとよい。
かかる構成では、駆動コイルの引出し配線部分をフレキシブルシートに形成することで、可動板の回動動作による捩れ応力が引出し配線部分に直接作用しないようになる。
【0010】
請求項9のように、前記可動板が、更に、ミラーを形成したミラー板を有し、該ミラー板を前記回動板に取付ける構成としてもよい。
請求項10のように、前記可動板に、ミラーを一体形成するようにしてもよい。
【0011】
請求項11では、前記可動板が、前記固定部に第1のトーションバーを介して揺動可能に軸支される枠状の第1の可動板と、該第1の可動板に前記第1のトーションバーと軸方向が直角な第2のトーションバーを介して揺動可能に軸支される第2の可動板とからなり、前記第2の可動板の中心部に前記第2のトーションバーの中央部を連結し、前記第1のトーションバーの両端部を前記固定部の互いに対向する枠部に組付ける構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプレーナ型電磁アクチュエータによれば、可動板面積の拡大要求を満足させ、しかも、高価な単結晶シリコンはトーションバー部分だけでよく、半導体ウエハからの取り数を増大できるので、電磁アクチュエータの製造コストを低減できる。また、従来と同じ可動板面積の電磁アクチュエータを小型化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、本発明に係るプレーナ型電磁アクチュエータの第1実施形態を示し、光走査用電磁アクチュエータに適用した場合の例を示す。図1は平面図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は分解図である。
図1〜図3において、本実施形態のプレーナ型電磁アクチュエータ1は、枠状の固定部2にトーションバー3を介して揺動可能に軸支される可動板10と、通電により磁界を発生する駆動コイル4(図3参照)と、可動板10の下方に配置されて駆動コイル4に静磁界を作用する静磁界発生手段5とを備え、駆動コイル4に発生する磁界と静磁界発生手段5の静磁界との相互作用によりトーションバー3の軸方向と平行な可動板10の両端縁部に電磁力(ローレンツ力)を作用させて可動板10を回動させる構成である。
【0014】
本実施形態のプレーナ型電磁アクチュエータ1は、トーションバー3と可動板10を別体で形成し、図2に示すように、可動板10の中心部にトーションバー3の中央部を連結して組付け、このトーションバー3の両端部を固定部2に組付けることにより、トーションバー3を介して可動板10を固定部2に軸支する構造である。
【0015】
図3を参照して更に具体的に説明する。
前記固定部2は、四角の枠状に形成され、互いに対向する一対の枠辺部に、トーションバー3の端部3a,3aを貼り付ける等して組付ける切欠部2a,2aを形成してある。
前記トーションバー3は、耐久性を確保するために機械的強度の高い単結晶シリコンウエハから形成し、固定部2に組付ける各端部3a,3a及び後述の回動板12との位置出しのための中央部3bを、可動板10の回動動作に伴って捩られる軸部3c,3cより幅広に形成する。また、各端部3a,3aは、組立工程におけるハンドリング性を向上させるために他の部位より厚くしてある。尚、トーションバー3は、必ずしも端部3a,3aを厚く形成する必要はなく、一様な厚さに形成してもよい。
【0016】
前記可動板10は、駆動コイル4を一体形成した柔軟なフレキシブルシート11と、該フレキシブルシート11を貼り付ける剛体の回動板12と、該回動板12に貼り付けるミラー板13とで構成されている。
前記フレキシブルシート11は、ポリイミド等の絶縁体シートに導体箔で駆動コイル4と当該駆動コイル4の引出し配線部4Aを一体形成したもので、例えばFPC(Flexible printed circuits)を用いる。
前記回動板12は、例えば単結晶シリコンより安価な通常のシリコンウエハで形成し、一方の面(図3の上面側)に、トーションバー3を組付けたときに回動板中心部とトーションバー中央部とだけが互いに連結するような溝部が形成されている。前記溝部は、トーションバー3の中央部3bを貼り付ける第1の溝部12aと、トーションバー3の軸部3c,3cを回動板12から浮遊状態にするための第2の溝部12bとからなる。前記第1の溝部12aの深さを、トーションバー中央部3bの厚さより深く形成し、該第1の溝部12aの両側に当該第1の溝部12aと直交するように形成された第2の溝部12bは、第1の溝部12aより更に深く形成する。
【0017】
前記ミラー板13は、例えばシリコン板やガラス基板上に金、銀又はアルミニウム等を蒸着して光ビーム反射走査用の反射ミラー14を形成したものである。尚、反射ミラー14に代えて発光素子を設けるようにしてもよい。
前記静磁界発生手段5は、永久磁石6と、この永久磁石6の両側に設けられるヨーク7,7とで構成される。
【0018】
この電磁アクチュエータ1を組み立てる場合は、例えば、回動板12の第1の溝部12aに、トーションバー3の中央部3bを貼り付けて回動板12とトーションバー3を連結する。次いで、ミラー板13を回動板12の上面に貼り付け、フレキシブルシート11を回動板12の下面側に貼り付ける。そして、トーションバー3の両端部3a,3aを、固定部2の切欠部2a,2aに貼り付ける。その後、静磁界発生手段5を固定部2に組付けて可動板10の下方に配置する。
【0019】
これにより、図2に示すように、可動板10の中心部のみにトーションバー3が連結し、トーションバー3の軸部3c,3cが可動板10内で浮遊した状態、言い換えれば、可動板10の下側にトーションバー3が潜り込んだ状態で、トーションバー3を介して可動板10を固定部2に揺動可能に軸支する構造のプレーナ型電磁アクチュエータ1が完成する。
【0020】
かかる構造の電磁アクチュエータ1によれば、可動板10の回動動作に伴って捩られるトーションバー3の軸部3c,3cの上方に重複するように可動板10が配置されるので、トーションバー3の長さを従来と同じとしつつ、可動板10の面積を大きくすることが可能である。また、従来と同じ可動板面積の電磁アクチュエータを小型化することができる。しかも、高価な単結晶シリコンウエハを用いるのはトーションバー部分だけとなるので、単結晶シリコンウエハからの取り数を大幅に増やせ、部品点数は増加するもののその他の各部品は安価な材料で形成できるので、電磁アクチュエータの製造コストを大幅に低減できる。また、各部品の製造を平行して行えるので、リードタイムの短縮が可能となる。また、フレキシブルシート11で駆動コイル4の引出し配線部4Aを形成したので、可動板10の揺動動作に伴う捩れに対する駆動コイル引出し配線部の耐久性を向上できる。
【0021】
更に、可動板10の厚さを自由に調整できるので、電磁アクチュエータを共振駆動して使用する場合に、その共振周波数を可動板10の厚さを調整することで柔軟に対応できる。また、ミラー板13の厚さも自由に調整できるので、光走査用アクチュエータとして用いる場合に、ミラー板13の厚さを調整することで光走査に影響を及ぼす反射ミラー14の反りにも対処できる。
【0022】
上記実施形態では、可動板10を、フレキシブルシート11、剛体の回動板12及びミラー板13で構成するものとしたが、回動板12を省略し、ミラー板13の下面側に第1の溝部12a及び第2の溝部12bを形成し、ミラー板13にフレキシブルシート11を貼り付ける構成としてもよい。かかる構成では、回動板12を省略することができ、部品点数を削減できる。尚、光走査用でない通常の電磁アクチュエータとして使用する場合は、反射ミラー14が不要で、ミラー板13は回動板12に相当することになる。
また、ミラー板13(反射ミラー14がない場合は回動板となる)をシリコンで形成し、前記ミラー板13に駆動コイル4をパターニングして形成する構成としてもよい。かかる構成によれば、フレキシブルシート11を省略でき、部品点数を削減でき、また、組立て作業が簡素化できる。
【0023】
図4及び図5に、本発明のプレーナ型電磁アクチュエータの第2実施形態を示す。尚、第1実施形態と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
図4は、トーションバーと可動板の組立て前の断面図を示し、図5は、組立て後の状態を示す断面図である。
図4において、本実施形態のトーションバー21は、可動板22と連結する中央部に位置出し用の凸状部21bを形成してある。尚、固定部2に組付ける各端部21a,21aは、軸部21c,21cと同じ厚さの平坦状に形成してあるが、組立工程におけるハンドリング性を向上させるために第1実施形態と同様に厚く形成してもよい。
一方、本実施形態の可動板22は、例えばシリコンからなり、その中心部に位置出し用の穴部22aを形成してある。また、その上面には、駆動コイル4をパターニングして形成する。尚、光走査用電磁アクチュエータとして使用する場合は、駆動コイル4上に絶縁層を介して反射ミラー14や発光素子を設ければよい。また、可動板22に駆動コイル4を形成する場合、駆動コイル4の引出しは、ワイヤボンディングで行ってもよく、或いは、トーションバー21に導電材を設けると共に、可動板22の中心部付近にスルーホールを形成し、前記スルーホースを介して前記導電材に駆動コイルを接続して引出すようにすればよい。尚、可動板22の下面側に駆動コイル4を形成するようにしてもよい。
【0024】
本実施形態では、トーションバー21と可動板22を組付けるには、トーションバー21の凸状部21bと可動板22の穴部22aを位置合わせし、凸状部21bの上部を可動板22の穴部22aに嵌合し貼り付ける。これにより、図5に示すように、可動板22の中心部だけにトーションバー21が連結し、トーションバー21の軸部21c,21cの上方に可動板22が浮き上がった状態となる。この状態で、トーションバー21の端部21a,21aを、枠状の固定部2に組付ける。
【0025】
かかる第2実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様に、トーションバー長さを従来と同じとしつつ、可動板面積を大きくすることが可能であり、従来と同様の可動板面積であれば、電磁アクチュエータの小型化が可能となる。また、高価な単結晶シリコンウエハを用いるのがトーションバー部分だけであり、製造コストを大幅に低減できる。また、各部品の製造を平行して行えるので、リードタイムの短縮が可能となる。更に、凸状部21bと穴部22aを位置合わせするだけで、可動板22とトーションバー21の組付けができるので、組立て作業が容易になる利点がある。
【0026】
次に、本発明のプレーナ型電磁アクチュエータの第3実施形態について説明する。
本実施形態は、トーションバーと可動板を一体形成したものである。
図6に、本実施形態の電磁アクチュエータの製造工程の概略を示す。
図6において、トーションバー形成用の半導体ウエハとして例えば絶縁層101aを有するSOI構造の単結晶シリコンウエハ101を準備する(同図(a))。次に、シリコンウエハ101をエッチング加工により例えば第2実施形態と同形状のトーションバー部分102を形成する(同図(b))。次に、トーションバー部分102を形成したウエハ101上に犠牲層103を形成する。犠牲層103の表面は、トーションバー部分102中央部の凸状部102aと面一にする(同図(c))。次に、犠牲層103上にシリコン層を成長形成して可動板部分104を形成する。これにより、トーションバー部分102の凸状部102aと一体の可動板部分104が形成される(同図(d))。その後、可動板部分104を加工して可動板32が形成される。次に、犠牲層103を溶かして除去し、ウエハ101底部のシリコン部分と絶縁層101aを除去する。これにより、固定部2に組付ける端部31a,31a、凸状部31b及び軸部31c,31を有するトーションバー31が形成される(同図(e))。ここで、ウエハ101底部のシリコン部分と絶縁層101aの除去時に、固定部2に組付ける端部31a,31aに相当する部分を、図中点線で示すように残すことで、チップのハンドリング性を向上することもできる。尚、図6(e)の工程の以前に、可動板32の上に駆動コイル4や反射ミラー14等を形成するが、ここでは図示を省略してある。また、本実施形態では、SOI構造のウエハを使用する例を示したが、通常のシリコンウエハを使用してもよいことは言うまでもない。
【0027】
上記の各実施形態では、可動板に駆動コイルを設ける構成としたが、フレキシブルシート11を用いない構成においては、可動板側に薄膜磁石を形成し、固定部側に電磁コイルを配置する構成としてもよい。
【0028】
上述した1軸タイプの各実施形態の構成は、互いに直交する2つの軸を有する2軸タイプのプレーナ型電磁アクチュエータにも適用できる。
図7及び図8に、2軸タイプのプレーナ型電磁アクチュエータに適用した本発明の第4実施形態を示す。図7は平面図であり、図8は図7のB−B矢視断面図である。
図において、本実施形態のプレーナ型電磁アクチュエータ40は、可動板が、図示しない枠状の固定部2に第1のトーションバーである外側トーションバー42A,42Aを介して揺動可能に軸支される枠状の第1の可動板である外側可動板41Aと、外側可動板41Aに外側トーションバー42A,42Aと軸方向が直角な第2のトーションバーである内側トーションバー42Bを介して揺動可能に軸支される第2の可動板である内側可動板41Bとからなる。外側トーションバー42A,42A、枠状の外側可動板41A及び内側トーションバー42Bは、半導体ウエハをエッチングして一体形成し、内側可動板41Bは別に形成する。また、外側トーションバー42A,42Aの各端部42a,42aを、その軸部より幅広に形成し、内側トーションバー42Bの中央部に凸状部42bを形成する。そして、内側可動板41Bの中心部に内側トーションバー42Bの凸状部42bを連結する構成である。
【0029】
かかる2軸タイプの電磁アクチュエータの構成によれば、内側可動板41Bを大きくすることができる。
尚、第4実施形態では、内側可動板41Bと内側トーションバー42Bの連結構造として第2実施形態の構造を適用したものを示したが、上述した第1及び第3実施形態の連結構造としてもよいことは言うまでもない。
【0030】
2軸タイプの電磁アクチュエータにおいて、図9及び図10に示す本発明の第5実施形態のように、内側可動板41B′を枠状の外側可動板41Aの上方まで拡大して構成してもよい。ただし、かかる構成では、内側可動板41B′の駆動時に、内側可動板41B′が外側可動板41A及び外側トーションバー42A,42Aと干渉することを防止するために、内側トーションバー42B′の中央部の凸状部42b′の高さを図10に示すように高く形成する必要がある。尚、第5実施形態において、第4実施形態と同一要素には同一符号付してある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態を示す平面図
【図2】図1のA−A矢視断面図
【図3】同上第1実施形態の電磁アクチュエータの分解図
【図4】本発明の第2実施形態におけるトーションバーと可動板の組立て前の断面図
【図5】同上第2実施形態のトーションバーと可動板の組立て後の断面図
【図6】本発明の第3実施形態の製造工程を説明する図
【図7】本発明の第4実施形態の要部を示す平面図
【図8】図7のB−B矢視断面図
【図9】本発明の第5実施形態の要部を示す平面図
【図10】図9のC−C矢視断面図
【符号の説明】
【0032】
1、40 電磁アクチュエータ
2 固定部
2a 切欠部
3、21、31、102 トーションバー
3a、21a、31a,42a 端部
3b 中央部
3c、21c、31c 軸部
4 駆動コイル
4a 引出し配線部
5 静磁界発生手段
6 永久磁石
7 ヨーク
10、22、32,104 可動板
11 フレキシブルシート
12 回動板
12a 第1の溝部
12b 第2の溝部
13 ミラー板
14 反射ミラー
21b、31b,42b、42b′、102a 凸状部(トーションバーの)
22a 穴部
41A 外側可動板
41B、41B′ 内側可動板
42A 外側トーションバー
42B、42B′ 内側トーションバー
101 SOI構造の単結晶シリコン
101a 絶縁層
103 犠牲層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状の固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動板を、通電により駆動コイルに発生する磁界と静磁界発生手段による静磁界との相互作用で発生する電磁力を用いて駆動するプレーナ型電磁アクチュエータにおいて、
前記可動板の中心部に前記トーションバーの中央部を連結し、当該トーションバーの両端部を前記固定部の互いに対向する枠部に組付けて、当該トーションバーを介して前記可動板を前記固定部に軸支する構成としたことを特徴とするプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記トーションバーは、前記可動板と連結する中央部及び前記固定部に組付ける両端部を、前記可動板の回動動作に伴って捩られる軸部より幅広に形成した請求項1に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記可動板と前記トーションバーとを別体で形成し、前記トーションバーと前記可動板を組付ける構成である請求項1又は2に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記可動板の中心部に位置出し用の穴部を形成する一方、前記トーションバーの中央部に位置出し用の凸状部を形成し、前記穴部に前記凸状部の上部を嵌合して、前記可動板と前記トーションバーとを組付ける構成である請求項3に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記可動板の一方の面に、当該可動板に前記トーションバーを組付けたときに可動板中心部とトーションバー中央部とだけが互いに連結するような溝部を形成する構成とした請求項3に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記トーションバーと前記可動板とを一体形成する請求項1又は2に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記可動板が、前記駆動コイルと前記静磁界発生手段のどちらか一方を一体形成した剛体からなる請求項1〜6のいずれか1つに記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記可動板が、前記駆動コイルを一体形成した柔軟なフレキシブルシートと、該フレキシブルシートを貼り付ける剛体の回動板とを有し、前記回動板と前記トーションバーとを連結する構成とした請求項1〜6のいずれか1つに記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項9】
前記可動板が、更に、ミラーを形成したミラー板を有し、該ミラー板を前記回動板に取付ける構成である請求項8に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項10】
前記可動板に、ミラーを一体形成した請求項7又は8に記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。
【請求項11】
前記可動板が、前記固定部に第1のトーションバーを介して揺動可能に軸支される枠状の第1の可動板と、該第1の可動板に前記第1のトーションバーと軸方向が直角な第2のトーションバーを介して揺動可能に軸支される第2の可動板とからなり、前記第2の可動板の中心部に前記第2のトーションバーの中央部を連結し、前記第1のトーションバーの両端部を前記固定部の互いに対向する枠部に組付ける構成とした請求項1〜10のいずれか1つに記載のプレーナ型電磁アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−310043(P2008−310043A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157844(P2007−157844)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】