説明

プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のアライメント方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】アライメントマークの画像認識を高い確率で成功させて、露光処理の中断を少なくする。
【解決手段】各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスク2のアライメントマーク2aの位置及び基板1のアライメントマーク1aの位置に基づき、マスクホルダ20とチャック10とを相対的に移動して、マスク2と基板1との位置ずれを補正する。その後、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出して、マスク2と基板1との位置合わせを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のアライメント方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に、CCDカメラ等の画像取得装置により、マスクのアライメントマーク及び基板のアライメントマークの画像を取得し、画像認識により両者の位置を検出して、マスクと基板との位置合わせを行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のアライメント方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
例えば、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造において、基板上に形成されたブラックマトリクスの上に着色パターンを露光する際の様に、基板に形成された下地パターンの上に新たなパターンを露光する場合、新たに露光するパターンが下地パターンからずれない様に、マスクと基板との位置合わせを精度良く行う必要がある。従来、主に大型の基板の露光に用いられるプロキシミティ方式では、マスク及び基板の下地パターンに複数のアライメントマークをそれぞれ設け、CCDカメラ等の画像取得装置によりマスクのアライメントマーク及び基板のアライメントマークの画像を取得し、画像認識により両者の位置を検出して、マスクと基板との位置合わせを行っていた。なお、この様なプロキシミティ露光装置として、特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロキシミティ露光装置において、マスクと基板との位置合わせは、マスクと基板とのギャップ合わせ後、アライメントマークが設けられたマスクの下面と、下地パターンのアライメントマークが形成された基板の表面とが、プロキシミティギャップの分だけ数百μm程離れた状態で行われる。アライメントマークの画像を取得するCCDカメラ等の画像取得装置の焦点深度は数μm程度であり、マスクのアライメントマークの画像と、基板のアライメントマークの画像を、同時に取得することはできない。そこで、従来は、ボールねじ及びモータ等の移動機構により画像取得装置を上下に移動し、画像取得装置の焦点をマスクの下面及び基板の表面に順番に合わせて、各アライメントマークの画像を取得していた。
【0006】
取得したアライメントマークの画像からアライメントマークの位置を検出する際の画像認識では、取得したアライメントマークの画像と、予め登録したアライメントマークの画像とを比較し、予め定めた判定条件で画像認識を行う。その際、マスクのアライメントマークと基板のアライメントマークとが上から見て一部重なっていると、CCDカメラ等の画像取得装置により取得した一方のアライメントマークの画像に、焦点の合っていない他方のアライメントマークの画像がぼやけて重なり、画像認識ができない場合がある。その場合、従来は、作業者がモニターでアライメントマーク同士の重なり具合を確認し、両者の重なりを解消する様にマスク又は基板の位置を補正する復旧作業を行っていた。そのため、復旧作業中は露光処理が中断されて、スループットが低下するという問題があった。また、画像認識の成否は、画像を取得する際の照明や判定条件に大きく左右されるが、画像認識ができなかった画像信号のデータは、復旧作業後に消去されてしまい、原因の究明ができなかった。
【0007】
本発明の課題は、アライメントマークの画像認識を高い確率で成功させて、露光処理の中断を少なくすることである。また、本発明の課題は、アライメントマークの画像認識ができなかった原因を究明して、画像認識の成功率を向上させることである。さらに、本発明の課題は、表示用パネル基板を高いスループットで製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプロキシミティ露光装置は、マスクを保持するマスクホルダと、基板を支持するチャックと、マスクホルダとチャックとを相対的に移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、マスク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得して、画像信号を出力する複数の画像取得装置と、各画像取得装置が出力した画像信号を処理して画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出する画像処理装置と、ステージによりマスクホルダとチャックとを相対的に移動する制御手段とを備え、画像処理装置が、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、制御手段が、画像処理装置が第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、ステージによりマスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置ずれを補正し、その後、画像処理装置が、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、制御手段が、画像処理装置が第1の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、ステージによりマスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置合わせを行うものである。
【0009】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のアライメント方法は、マスクを保持するマスクホルダと、基板を支持するチャックと、マスクホルダとチャックとを相対的に移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置のアライメント方法であって、マスク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得して、画像信号を出力する複数の画像取得装置と、各画像取得装置が出力した画像信号を処理して画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出する画像処理装置とを設け、複数の画像取得装置により、マスクに設けられた複数のアライメントマーク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得し、画像処理装置により、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、画像処理装置が第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、マスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置ずれを補正し、その後、複数の画像取得装置により、マスクに設けられた複数のアライメントマーク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得し、画像処理装置により、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、画像処理装置が第1の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、マスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置合わせを行うものである。
【0010】
複数の画像取得装置により、マスクに設けられた複数のアライメントマーク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得し、画像処理装置により、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出するので、アライメントマーク同士が重なりあって第1の判定条件では画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識が行われて、アライメントマークの位置が検出される。そして、画像処理装置が第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、マスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置ずれを補正するので、アライメントマーク同士の重なりが解消される。その後、複数の画像取得装置により、マスクに設けられた複数のアライメントマーク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得し、画像処理装置により、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出するので、第1の判定条件での画像認識が高い確率で成功し、露光処理の中断が少なくなる。そして、画像処理装置が第1の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、マスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置合わせを行うので、マスクと基板との位置合わせが、従来と同じ高い精度で行われる。
【0011】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、画像処理装置により画像認識ができなかった画像信号を保存するメモリを備え、制御手段が、メモリに保存された画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定するものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置のアライメント方法は、画像処理装置により画像認識ができなかった画像信号を保存し、保存した画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定するものである。アライメントマークの画像認識ができなかった原因を究明して、画像認識の成功率をさらに向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、メモリが、画像処理装置により画像認識ができた画像信号を所定回数毎に保存し、制御手段が、メモリに保存された画像認識ができた画像信号を参照して、メモリに保存された画像認識ができなかった画像信号を解析するものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置のアライメント方法は、画像処理装置により画像認識ができた画像信号を所定回数毎に保存し、保存した画像認識ができた画像信号を参照して、画像認識ができなかった画像信号を解析するものである。画像認識ができた正常な画像信号を参照することにより、画像認識ができなかった画像信号の解析を容易に行うことができる。
【0013】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置のアライメント方法を用いてマスクと基板との位置合わせを行って、基板の露光を行うものである。アライメントマークの画像認識が高い確率で成功し、露光処理の中断が少なくなるので、表示用パネル基板が高いスループットで製造される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のアライメント方法によれば、アライメントマークの画像認識を高い確率で成功させて、露光処理の中断を少なくすることができる。そして、マスクと基板との位置合わせを、従来と同じ高い精度で行うことができる。
【0015】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のアライメント方法によれば、画像処理装置により画像認識ができなかった画像信号を保存し、保存した画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定することにより、アライメントマークの画像認識ができなかった原因を究明して、画像認識の成功率をさらに向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のアライメント方法によれば、画像処理装置により画像認識ができた画像信号を所定回数毎に保存し、保存した画像認識ができた画像信号を参照して、画像認識ができなかった画像信号を解析することにより、画像認識ができなかった画像信号の解析を容易に行うことができる。
【0017】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、アライメントマークの画像認識を高い確率で成功させて、露光処理の中断を少なくすることができるので、表示用パネル基板を高いスループットで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の上面図である。
【図3】チャックを露光位置へ移動した状態を示す側面図である。
【図4】マスクのアライメントマークを示す図である。
【図5】基板のアライメントマークを示す図である。
【図6】図6(a)はカメラユニット移動機構及び焦点調節機構の上面図、図6(b)は同側面図である。
【図7】画像処理装置のブロック図である。
【図8】本発明の一実施の形態によるアライメント方法を示すフローチャートである。
【図9】1回目の位置検出における、マスクのアライメントマーク及び基板のアライメントマークの画像認識処理のフローチャートである。
【図10】2回目以降の位置検出における、マスクのアライメントマークの画像認識処理のフローチャートである。
【図11】2回目以降の位置検出における、基板のアライメントマークの画像認識処理のフローチャートである。
【図12】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図13】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の上面図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、画像処理装置50、カメラユニット51、カメラユニット移動機構、焦点調節機構、ステージ駆動回路60、主制御装置70、メモリ71、及び表示装置72を含んで構成されている。なお、図1では、カメラユニット移動機構、及び焦点調節機構が省略されている。また、図2では、画像処理装置50、カメラユニット移動機構、焦点調節機構、ステージ駆動回路60、主制御装置70、メモリ71、及び表示装置72が省略されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0020】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0021】
図1及び図2において、チャック10は、基板1のロード及びアンロードを行うロード/アンロード位置にある。ロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送ロボットにより、基板1がチャック10へ搬入され、また基板1がチャック10から搬出される。チャック10への基板1のロード及びチャック10からの基板1のアンロードは、チャック10に設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板1をチャック10にロードする際、基板搬送ロボットから基板1を受け取り、基板1をチャック10からアンロードする際、基板搬送ロボットへ基板1を受け渡す。チャック10は、基板1の裏面を真空吸着して支持する。基板1の表面には下地パターンが形成され、下地パターンの上にはフォトレジストが塗布されている。
【0022】
図3は、チャックを露光位置へ移動した状態を示す側面図である。なお、図3では、画像処理装置50、カメラユニット移動機構、焦点調節機構、ステージ駆動回路60、主制御装置70、メモリ71、及び表示装置72が省略されている。露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。図2において、マスクホルダ20には、露光光が通過する開口20aが設けられており、マスクホルダ20は、開口20aの周囲に設けられた図示しない吸着溝により、マスク2の周辺部を真空吸着して保持する。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0023】
図1及び図3において、チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図1及び図3の図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図1及び図3の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10の裏面を複数個所で支持する。Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられており、各駆動機構は、図1のステージ駆動回路60により駆動される。
【0024】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向(図3の図面上下方向)へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、マスク2と基板1との位置合わせが行われる。図1において、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向へ回転を行う。
【0025】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。また、本実施の形態では、Xステージ5及びYステージ7によりチャック10をXY方向へ移動することにより、マスク2と基板1との位置合わせを行っているが、マスクホルダ20をXY方向へ移動するステージを設けて、マスクホルダ20をXY方向へ移動することにより、マスク2と基板1との位置合わせを行ってもよい。
【0026】
図4は、マスクのアライメントマークを示す図である。マスク2の基板1と向かい合う面(下面)には、アライメントマーク2aが4箇所に設けられている。図5は、基板のアライメントマークを示す図である。図5は、基板1の一面を破線で区分けした4つの露光領域に分けて露光する例を示している。基板1の表面の各露光領域には、下地パターンが形成されている。下地パターンには、マスク2のアライメントマーク2aの位置に対応する位置に、アライメントマーク1aがそれぞれ設けられている。マスク2のアライメントマーク2aと基板1のアライメントマーク1aとは、両者の中心が一致したときに互いに重なり合わない形状となっている。アライメントマーク1a,2aの位置は、基板1の露光領域の大きさによって異なる。
【0027】
図2において、マスク2の上空には、4つのカメラユニット51が設置されている。各カメラユニット51は、アライメントマーク1a,2aの位置に応じて、図示しないカメラユニット移動機構により、アライメントマーク1a,2aの真上の所定の位置へそれぞれ移動される。基板1のアライメントマーク1aの位置は、下地パターンを形成したときの露光条件によりばらつきが発生するので、各カメラユニット51の位置は、マスク2のアライメントマーク2aの位置を基準に決定される。
【0028】
図6(a)はカメラユニット移動機構及び焦点調節機構の上面図、図6(b)は同側面図である。カメラユニット移動機構は、Yガイド54、Yステージ55、Xガイド56、Xステージ57、リブ58,59、モータ81,86、軸継手82,87、軸受83,88、ボールねじ84a,89a、ナット84b,89b、及びZベース90を含んで構成されている。また、焦点調節機構は、Zガイド91、Zステージ92、リブ93、取り付けベース94、モータ台95、モータ96、軸継手97、軸受98、ボールねじ99a、及びナット99bを含んで構成されている。
【0029】
露光位置の上空には、カメラユニット移動機構が設置されるトップフレーム53が設けられており、トップフレーム53には、開口53aが形成されている。トップフレーム53の上面には、Yガイド54が設けられており、Yガイド54には、Yステージ55が搭載されている。また、トップフレーム53の上面には、モータ81が設置されており、モータ81は、図1の主制御装置70により駆動される。モータ81の回転軸は、軸継手82によりボールねじ84aに接続されており、ボールねじ84aは、軸受83により回転可能に支持されている。Yステージ55の下面には、ボールねじ84aにより移動されるナット84bが取り付けられており、Yステージ55は、モータ81の回転により、Yガイド54に沿ってY方向へ移動される。
【0030】
Yステージ55の上面には、Xガイド56が設けられており、Xガイド56には、Xステージ57が搭載されている。また、Yステージ55の上面には、モータ86が設置されており、モータ86は、図1の主制御装置70により駆動される。モータ86の回転軸は、軸継手87によりボールねじ89aに接続されており、ボールねじ89aは、軸受88により回転可能に支持されている。Xステージ57の下面には、ボールねじ89aにより移動されるナット89bが取り付けられており、Xステージ57は、モータ86の回転により、Xガイド56に沿ってX方向へ移動される。Xステージ57の側面には、リブ58,59により、Zベース90が取り付けられており、Zベース90は、トップフレーム53の開口53a内に挿入されている。
【0031】
Zベース90には、Zガイド91が設けられており、Zガイド91には、Zステージ92が搭載されている。また、Zベース90に取り付けたモータ台95には、モータ96が設置されており、モータ96は、図1の主制御装置70により駆動される。モータ96の回転軸は、軸継手97によりボールねじ99aに接続されており、ボールねじ99aは軸受98により回転可能に支持されている。Zステージ92には、ボールねじ99aにより移動されるナット99bが取り付けられており、Zステージ92は、モータ96の回転により、Zガイド91に沿ってZ方向へ移動される。また、Zステージ92には、リブ93により、取り付けベース94が取り付けられており、取り付けベース94には、カメラユニット51が取り付けられている。カメラユニット51は、CCDカメラ51aと、レンズ51bとを含んで構成されている。
【0032】
Xステージ57のX方向への移動及びYステージ55のY方向への移動により、カメラユニット51はXY方向へ移動される。図1の主制御装置70は、マスク2のアライメントマーク2aの位置に応じ、モータ81,86を制御して、各カメラユニット51を所定の位置へそれぞれ移動する。また、Zステージ92のZ方向への移動により、カメラユニット51はZ方向へ移動される。主制御装置70は、モータ96を制御して、各カメラユニット51の焦点がマスク2の下面及び基板1の表面に合う様に、各カメラユニット51をZ方向へそれぞれ移動する。
【0033】
各カメラユニット51のCCDカメラ51aは、マスク2のアライメントマーク2aの画像及び基板1のアライメントマーク1aの画像をそれぞれ取得し、画像信号を、図1の画像処理装置50及び表示装置72へ出力する。図1において、表示装置72は、各カメラユニット51のCCDカメラ51aが取得したアライメントマーク1a,2aの画像を表示する。
【0034】
図7は、画像処理装置のブロック図である。画像処理装置50は、制御部50a、演算処理部50b、画像メモリ50c、及び演算メモリ50dを含んで構成されている。演算メモリ50dには、画像認識の際の基準となるアライメントマーク1a,2aの画像が予め登録されている。画像メモリ50cは、各カメラユニット51のCCDカメラ51aが出力した画像信号を記憶する。演算処理部50bは、画像メモリ50cに記憶された画像信号を処理し、各カメラユニット51のCCDカメラ51aにより取得されたアライメントマーク1a,2aの画像と、演算メモリ50dに登録されたアライメントマーク1a,2aの画像とを比較して画像認識を行い、認識したアライメントマーク1a,2aの位置を検出する。制御部50aは、演算処理部50bが画像認識を行う際の判定条件を設定する。この判定条件には、画像認識の対象となる画像と予め登録された画像とが一致する度合いを判定する許容しきい値と、画像認識の対象となる画像のコントラストを判定するコントラストしきい値とがあり、両者を用いて画像認識の成否が判定される。
【0035】
図7において、主制御装置70は、画像処理装置50及びメモリ71を制御する画像処理制御部70aと、ステージ駆動回路60を制御するステージ制御部70bとを含んで構成されている。
【0036】
以下、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のアライメント方法について説明する。図8は、本発明の一実施の形態によるアライメント方法を示すフローチャートである。マスク2と基板1とのギャップ合わせを行った後、主制御装置70は、カメラユニット移動機構のモータ81,86を制御して、各カメラユニット51を、マスク2のアライメントマーク2aの真上の所定の位置へそれぞれ移動する。そして、主制御装置70は、焦点調節機構のモータ96を制御して、マスク2の下面に各カメラユニット51の焦点を合わせる(ステップ301)。各カメラユニット51は、マスク2のアライメントマーク2aの画像をそれぞれ取得し、画像処理装置50は、後述する様に、マスク2のアライメントマーク2aの画像認識、及びマスク2のアライメントマーク2aの位置検出を行う(ステップ302)。続いて、主制御装置70は、焦点調節機構のモータ96を制御して、基板1の表面に各カメラユニット51の焦点を合わせる(ステップ303)。各カメラユニット51は、基板1のアライメントマーク1aの画像をそれぞれ取得し、画像処理装置50は、後述する様に、基板1のアライメントマーク1aの画像認識、及び基板1のアライメントマーク1aの位置検出を行う(ステップ304)。
【0037】
図9は、1回目の位置検出における、マスクのアライメントマーク及び基板のアライメントマークの画像認識処理のフローチャートである。図8のステップ302及びステップ304において、1回目の位置検出を行うとき、画像処理装置50の制御部50aは、演算処理部50bが画像認識を行う際の第1の判定条件として、精密認識用の許容しきい値とコントラストしきい値を設定する(ステップ401)。演算処理部50bは、画像メモリ50cに記憶された各カメラユニット51が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い(ステップ402)、認識できたか否かを判断する(ステップ403)。認識できた場合、演算処理部50bは、認識したアライメントマーク1a,2aの位置を検出する(ステップ404)。
【0038】
主制御装置70の画像処理制御部70aは、画像処理装置50の制御部50aからアライメントマーク1a,2aの位置の検出結果を入力し、各アライメントマーク1a,2aについて、第1の判定条件で画像認識ができた回数が、前回画像認識ができた画像信号を保存してから所定回数目(例えば1000回目)か否かを判断する(ステップ405)。そして、画像処理制御部70aは、所定回数目である場合は、画像処理装置50の画像メモリ50cに記憶された画像認識ができた画像信号をメモリ71に保存した後(ステップ406)、所定回数目でない場合は直接、図8の処理へ戻って次のステップ303又はステップ305へ進む。
【0039】
ステップ403において、アライメントマーク1a,2aが認識できない場合、画像処理装置50の制御部50aは、演算処理部50bが画像認識を行う際の第2の判定条件として、粗調認識用の許容しきい値とコントラストしきい値を設定する(ステップ407)。これらのしきい値は、ステップ401で設定した精密認識用の許容しきい値又はコントラストしきい値よりもそれぞれ小さく、第2の判定条件は、第1の判定条件よりも判定基準が低くなる。演算処理部50bは、画像メモリ50cに記憶された各カメラユニット51が出力した画像信号について、第2の判定条件で画像認識を行い(ステップ408)、認識できたか否かを判断する(ステップ409)。認識できた場合、演算処理部50bは、認識したアライメントマーク1a,2aの位置を検出する(ステップ410)。
【0040】
主制御装置70の画像処理制御部70aは、画像処理装置50の制御部50aからアライメントマーク1a,2aの位置の検出結果を入力し、各アライメントマーク1a,2aについて、第2の判定条件で画像認識ができた回数が、前回画像認識ができた画像信号を保存してから所定回数目(例えば1000回目)か否かを判断する(ステップ411)。そして、画像処理制御部70aは、所定回数目である場合は、画像処理装置50の画像メモリ50cに記憶された画像認識ができた画像信号をメモリ71に保存した後(ステップ412)、所定回数目でない場合は直接、図8の処理へ戻って次のステップ303又はステップ305へ進む。
【0041】
ステップ409において、アライメントマーク1a,2aの画像認識ができない場合、画像処理装置50の制御部50aは、その旨を主制御装置70の画像処理制御部70aへ通知し、画像処理制御部70aは、メモリ71に既に保存されている画像認識ができなかった画像信号の件数が所定数(例えば2000件)以内か否かを判断する(ステップ413)。そして、画像処理制御部70aは、所定数を超えていれば古いデータを所定数(例えば1000件)だけ削除した後(ステップ414)、所定数以内であればそのまま、画像処理装置50の画像メモリ50cに記憶された画像認識ができなかった画像信号をメモリ71に保存し(ステップ415)、アライメント動作を中止する。
【0042】
図8において、画像処理制御部70aは、画像処理装置50が検出したマスク2の複数のアライメントマーク2aの位置及び基板1の複数のアライメントマーク1aの位置から、マスク2と基板1との位置ずれ量を検出し(ステップ305)、両者の位置ずれ量が所定値以下であるか否かを判断する(ステップ306)。所定値以下である場合、主制御装置70は、画像処理装置50の演算処理部50bが第1の判定条件で各アライメントマーク1a,2aの画像認識を行ったか否かを判断し(ステップ307)、第1の判定条件であれば、マスク2と基板1との位置合わせを終了する。
【0043】
ステップ306において、マスク2と基板1との位置ずれ量が所定値以下でない場合、画像処理制御部70aは、アライメントマーク1a,2aの位置検出が1回目で、かつ画像処理装置50の演算処理部50bが第2の判定条件で各アライメントマーク1a,2aの画像認識を行ったか否かを判断する(ステップ308)。アライメントマーク1a,2aの位置検出が1回目でない場合(即ち、2回目以降の場合)、または画像処理装置50の演算処理部50bが第2の判定条件で各アライメントマーク1a,2aの画像認識を行わなかった場合(即ち、第1の判定条件で行った場合)、画像処理制御部70aは、アライメントマーク1a,2aの位置検出の回数が所定回数以内か否かを判断し(ステップ309)、所定回数を超えていれば、エラーとしてアライメント動作を中止する。
【0044】
ステップ307において、画像処理装置50の演算処理部50bが第1の判定条件で各アライメントマーク1a,2aの画像認識を行わなかった場合(即ち、第2の判定条件で行った場合)、及び、ステップ308において、アライメントマーク1a,2aの位置検出が1回目で、かつ画像処理装置50の演算処理部50bが第2の判定条件で各アライメントマーク1a,2aの画像認識を行った場合、主制御装置70のステージ制御部70bは、検出したマスク2と基板1との位置ずれ量に基づき、Xステージ5及びYステージ7の移動量を算出する(ステップ310)。そして、ステージ制御部70bは、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5及びYステージ7を移動し、マスク2と基板1との位置ずれを補正して(ステップ311)、ステップ301へ戻る。
【0045】
ステップ309において、アライメントマーク1a,2aの位置検出の回数が所定回数以内である場合、主制御装置70のステージ制御部70bは、検出したマスク2と基板1との位置ずれ量に基づき、Xステージ5及びYステージ7の移動量を算出する(ステップ312)。そして、ステージ制御部70bは、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5及びYステージ7を移動し、マスク2と基板1との位置合わせを行い(ステップ313)、ステップ303へ戻る。
【0046】
図10は、2回目以降の位置検出における、マスクのアライメントマークの画像認識処理のフローチャートである。図8のステップ302において、2回目以降のマスク2のアライメントマーク2aの位置検出を行うとき、画像処理装置50の制御部50aは、演算処理部50bが画像認識を行う際の第1の判定条件として、精密認識用の許容しきい値とコントラストしきい値を設定する(ステップ501)。演算処理部50bは、画像メモリ50cに記憶された各カメラユニット51が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い(ステップ502)、認識できたか否かを判断する(ステップ503)。認識できた場合、演算処理部50bは、認識したアライメントマーク2aの位置を検出する(ステップ504)。認識できない場合は、エラーとしてアライメント動作を中止する。ステップ505〜506は、図9のステップ405〜406と同様である。
【0047】
図11は、2回目以降の位置検出における、基板のアライメントマークの画像認識処理のフローチャートである。図8のステップ304において、2回目以降の基板1のアライメントマーク1aの位置検出を行うとき、画像処理装置50の制御部50aは、演算処理部50bが画像認識を行う際の第1の判定条件として、精密認識用の許容しきい値とコントラストしきい値を設定する(ステップ601)。演算処理部50bは、画像メモリ50cに記憶された各カメラユニット51が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い(ステップ602)、認識できたか否かを判断する(ステップ603)。認識できた場合、演算処理部50bは、認識したアライメントマーク1aの位置を検出する(ステップ604)。認識できない場合、主制御装置70のステージ制御部70bは、基板1のアライメントマーク1aがカメラユニット51の視野内に入っていないものと判断し、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5及びYステージ7を移動し、基板1のアライメントマーク1aがカメラユニット51の視野内に入る様にアライメントマーク1aの探索を行う(ステップ607)。基板1のアライメントマーク1aの探索が終了して、アライメントマーク1aがカメラユニット51の視野内に入ると、ステップ602へ戻る。ステップ605〜606は、図9のステップ405〜406と同様である。
【0048】
複数のカメラユニット51により、マスク2に設けられた複数のアライメントマーク2a及び基板1に設けられた複数のアライメントマーク1aの画像を取得し、画像処理装置50により、各カメラユニット51が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマーク1a,2aの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマーク1a,2aの位置を検出するので、アライメントマーク同士が重なりあって第1の判定条件では画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識が行われて、アライメントマーク1a,2aの位置が検出される。そして、画像処理装置50が第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスク2のアライメントマーク2aの位置及び基板1のアライメントマーク1aの位置に基づき、マスクホルダ20とチャック10とを相対的に移動して、マスク2と基板1との位置ずれを補正するので、アライメントマーク同士の重なりが解消される。その後、複数のカメラユニット51により、マスク2に設けられた複数のアライメントマーク2a及び基板1に設けられた複数のアライメントマーク1aの画像を取得し、画像処理装置50により、各カメラユニット51が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマーク1a,2aの位置を検出するので、第1の判定条件での画像認識が高い確率で成功し、露光処理の中断が少なくなる。そして、画像処理装置50が第1の判定条件で画像認識を行って検出したマスク2のアライメントマーク2aの位置及び基板1のアライメントマーク1aの位置に基づき、マスクホルダ20とチャック10とを相対的に移動して、マスク2と基板1との位置合わせを行うので、マスク2と基板1との位置合わせが、従来と同じ高い精度で行われる。
【0049】
図7において、主制御装置70の画像処理制御部70aは、メモリ71に保存された画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定する。アライメントマークの画像認識ができなかった原因を究明して、画像認識の成功率をさらに向上させることができる。その際、画像処理制御部70aは、メモリ71に保存された画像認識ができた画像信号を参照して、メモリ71に保存された画像認識ができなかった画像信号を解析する。画像認識ができた正常な画像信号を参照することにより、画像認識ができなかった画像信号の解析を容易に行うことができる。
【0050】
以上説明した実施の形態によれば、アライメントマーク1a,2aの画像認識を高い確率で成功させて、露光処理の中断を少なくすることができる。そして、マスク2と基板1との位置合わせを、従来と同じ高い精度で行うことができる。
【0051】
さらに、画像処理装置50により画像認識ができなかった画像信号を保存し、保存した画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定することにより、アライメントマーク1a,2aの画像認識ができなかった原因を究明して、画像認識の成功率をさらに向上させることができる。
【0052】
さらに、画像処理装置50により画像認識ができた画像信号を所定回数毎に保存し、保存した画像認識ができた画像信号を参照して、画像認識ができなかった画像信号を解析することにより、画像認識ができなかった画像信号の解析を容易に行うことができる。
【0053】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置のアライメント方法を用いてマスクと基板との位置合わせを行って、基板の露光を行うことにより、アライメントマークの画像認識を高い確率で成功させて、露光処理の中断を少なくすることができるので、表示用パネル基板を高いスループットで製造することができる。
【0054】
例えば、図12は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0055】
また、図13は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0056】
図12に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図13に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又は本発明のプロキシミティ露光装置のアライメント方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 基板
1a,2a アライメントマーク
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
20 マスクホルダ
50 画像処理装置
50a 制御部
50b 演算処理部
50c 画像メモリ
50d 演算メモリ
51 カメラユニット
51a CCDカメラ
51b レンズ
53 トップフレーム
54 Yガイド
55 Yステージ
56 Xガイド
57 Xステージ
58,59 リブ
60 ステージ駆動回路
70 主制御装置
70a 画像処理制御部
70b ステージ制御部
71 メモリ
72 表示装置
81,86,96 モータ
82,87,97 軸継手
83,88,98 軸受
84a,89a,99a ボールねじ
84b,89b,99b ナット
90 Zベース
91 Zガイド
92 Zステージ
93 リブ
94 取り付けベース
95 モータ台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを保持するマスクホルダと、基板を支持するチャックと、前記マスクホルダと前記チャックとを相対的に移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、
マスク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得して、画像信号を出力する複数の画像取得装置と、
各画像取得装置が出力した画像信号を処理して画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出する画像処理装置と、
前記ステージにより前記マスクホルダと前記チャックとを相対的に移動する制御手段とを備え、
前記画像処理装置は、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、
前記制御手段は、前記画像処理装置が第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、前記ステージにより前記マスクホルダと前記チャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置ずれを補正し、
その後、前記画像処理装置は、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、
前記制御手段は、前記画像処理装置が第1の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、前記ステージにより前記マスクホルダと前記チャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置合わせを行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記画像処理装置により画像認識ができなかった画像信号を保存するメモリを備え、
前記制御手段は、前記メモリに保存された画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定することを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記メモリは、前記画像処理装置により画像認識ができた画像信号を所定回数毎に保存し、
前記制御手段は、前記メモリに保存された画像認識ができた画像信号を参照して、前記メモリに保存された画像認識ができなかった画像信号を解析することを特徴とする請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
マスクを保持するマスクホルダと、基板を支持するチャックと、マスクホルダとチャックとを相対的に移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置のアライメント方法であって、
マスク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得して、画像信号を出力する複数の画像取得装置と、各画像取得装置が出力した画像信号を処理して画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出する画像処理装置とを設け、
複数の画像取得装置により、マスクに設けられた複数のアライメントマーク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得し、
画像処理装置により、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、第1の判定条件で画像認識ができないとき、第1の判定条件よりもゆるい第2の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、
画像処理装置が第2の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、マスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置ずれを補正し、
その後、複数の画像取得装置により、マスクに設けられた複数のアライメントマーク及び基板に設けられた複数のアライメントマークの画像を取得し、
画像処理装置により、各画像取得装置が出力した画像信号について、第1の判定条件で画像認識を行い、認識したアライメントマークの位置を検出し、
画像処理装置が第1の判定条件で画像認識を行って検出したマスクのアライメントマークの位置及び基板のアライメントマークの位置に基づき、マスクホルダとチャックとを相対的に移動して、マスクと基板との位置合わせを行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置のアライメント方法。
【請求項5】
画像処理装置により画像認識ができなかった画像信号を保存し、保存した画像認識ができなかった画像信号を解析して、画像認識の第1の判定条件を決定することを特徴とする請求項4に記載のプロキシミティ露光装置のアライメント方法。
【請求項6】
画像処理装置により画像認識ができた画像信号を所定回数毎に保存し、保存した画像認識ができた画像信号を参照して、画像認識ができなかった画像信号を解析することを特徴とする請求項5に記載のプロキシミティ露光装置のアライメント方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置のアライメント方法を用いてマスクと基板との位置合わせを行って、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−123101(P2011−123101A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278464(P2009−278464)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】