説明

プロスタグランジンE2拮抗薬としてのアゼチジン誘導体およびその使用

本発明は、可変基および置換基が本明細書で規定するとおりである一般式(I)の一群のEP2拮抗薬アゼチジン、特にEP2拮抗薬化合物;医薬、特に子宮内膜症および/または子宮筋腫(平滑筋腫)の治療へのその使用;その合成において有用な中間体;ならびにそれを含有する組成物に関する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の部類のアゼチジン化合物、薬学的に許容できるその塩、これらの溶媒和物およびプロドラッグ、医薬へのその使用、これらを含有する組成物、これらの調製方法、ならびにそのような方法で使用する中間体に関する。化合物は、プロスタグランジンE(PGE)受容体2(EP2受容体としても知られている)の拮抗薬であることが好ましい。化合物は、DP1(プロスタグランジンD1受容体)および/またはEP4(プロスタグランジンE(PGE)受容体4)に優先した選択性を有するEP2拮抗薬であることがより好ましい。化合物は、DP1およびEP4に優先した選択性を有するEP2拮抗薬であることが最も好ましい。特に、本発明は、子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、慢性骨盤痛症候群などの、EP2の仲介による状態の治療に有用であるはずの一群のアゼチジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
子宮内膜症は、生殖年齢の10〜20%の女性が罹患する一般的な婦人科疾患であり、それ自体は、子宮腔以外の位置にある、機能し得る異所性の子宮内膜腺および間質が存在して顕在化する((Prentice 2001)で総説されている)。子宮内膜症の患者らは、多くの異なる症状および重症度で診察を受けにくる可能性がある。最も一般的にはこれが月経困難症であるが、慢性骨盤痛、性交疼痛症、排便困難症、月経過多、下腹部痛または下部背部痛、不妊、鼓腸、ならびに排尿時疼痛も、子宮内膜症の一群の症状の一部である。
【0003】
1860年にVon Rokitanskyによって最初に記載されて以来(Von Rokitansky 1860)、子宮内膜症の正確な病因は不明であるが(Witz 1999、Witz 2002)、最も広く受け入れられている説は、生着説またはSampson説である(Sampson 1927)。Sampson説では、子宮内膜症の発症は、月経中に子宮内膜組織が腹腔に逆行性に播種および生着した結果であると仮定される。子宮内膜の断片は、付着した後、局所性および全身性のホルモンの制御のもとで、血管からの供給を補充し、増殖および脱落のサイクルを経る。卵管の開いている女性では、逆行性の月経は一般的な現象と思われる(LiuおよびHitchcock 1986)。この疾患はそれ自体、直腸膣子宮内膜症または腺筋症、卵巣嚢胞性子宮内膜腫、ならびに最も一般には腹膜子宮内膜症として顕在化することが多い。骨盤内での付着および病巣成長の主要な部位は、卵巣、広間膜および円索、卵管、子宮頸部、膣、腹膜、ならびにダグラス窩である。その最も重篤な場合では、子宮内膜症は、複数臓器の癒着および線維症を含めて、腹腔に深刻な構造的変形を引き起こし得る。
【0004】
症候性の子宮内膜症は、内科的および外科的に管理することができるが、その意図は、異所的な病変組織を除去することである。外科的処置は、患者の生殖能を保存することを目指して保存的となる場合もあり、または重篤な疾患では比較的根治的となり、尿路、腸、および直腸膣中隔の切開、または腹式子宮全摘出および両側の卵管卵巣摘出を伴う場合もある。医療薬理学的な治療、たとえば、アンドロゲン療法、すなわちダナゾールおよびゲストリノン、一群のGnRH作動薬、すなわちブセレリン、ゴセレリン、ロイプロリド、ナファレリン、およびトリプトレリン、GnRH拮抗薬、すなわちセトロレリクスおよびアバレリクス、ならびに酢酸メドロキシプロゲステロンを含めたプロゲストゲンは、エストロゲン産生を抑制することによって病巣を萎縮させる。こうした手法は、望ましくない副作用がないわけではなく、ダナゾールおよびゲストリノンは、体重増加、男性型多毛症、にきび、気分変化、および心臓血管系へのメタボリックな影響を含む。GnRH作動薬および拮抗薬の群は、エストロゲンの全面的な抑制を引き起こして、血管運動に影響を及ぼし(のぼせ)、骨密度を低下させるが、このためその使用は、6カ月のみの治療に制限される。
【0005】
子宮平滑筋腫(Walker 2002、Flakeら 2003)または子宮筋腫は、女性に認められる最も一般的な良性腫瘍であり、閉経に達する時期までには女性のほとんどに存在する。子宮筋腫は、米国では最もよくある子宮摘出の適応症であるが、子宮内膜症のように、疾患の根底にある病態生理についてはごくわずかしかわかっていない。子宮内膜症の病変のように、増大した子宮筋腫の存在は、異常な子宮出血、月経困難症、骨盤痛、および不妊と関連付けられる。外科的な管理以外に、GnRH類似体やダナゾールなどの、子宮内膜症に通常使用される医学的処置は、可逆的な低エストロゲン状態を誘発することによって、子宮筋腫の成長を抑制することがわかっている(ChrispおよびGoa 1990、ChrispおよびGoa 1991、De Leoら 2002、Ishiharaら 2003)。
【0006】
しかし、子宮筋腫および子宮内膜症両方の今後の疾患管理は、現在利用可能な薬剤よりも有効であり、十分に許容され、かつ安全な薬剤の開発にかかっている。卵巣の機能を完全に抑制し、骨密度を低下させる現存する薬剤には、長期にわたる有害な影響(主に性機能の変化、骨密度の低下、ならび心血管および血栓性の合併症のリスクの増大)があり、疾患を、詳細には異所性疾患のレベルで修正する、ホルモンに関連しない機序または手法の開発が喚起されている。これらのうちの1つに、シクロオキシゲナーゼ2(COX−2)依存的なPGEシグナル伝達経路を修正する薬剤を含む手法が挙げられる(BoiceおよびRohrer 2005)。PGEは、Gタンパク質共役型受容体EP1、EP2、EP3、およびEP4を介してその影響を伝える。EP受容体の示差的な発現ならびにその細胞内の共役経路の両方によって、種々の細胞型におけるPGEの多様な生物学的機能が仲介される(Narumiyaら 1999、Tilleyら 2001)。EP2およびEP4受容体は、アデニル酸シクラーゼを活性化するGタンパク質に特異的に結合し、cAMPの産生をもたらす。子宮内膜では、増殖期にある腺性上皮でCOX−2発現が増大し、それに伴ってEP2およびEP4受容体発現が増大する((SalesおよびJabbour 2003、Jabbourら 2006)で総説されている)。子宮内膜腺癌、腺筋症、子宮内膜症などの子宮内膜の病理学的状態では、この経路が上向き調節されるとみられる(Jabbourら 2001、Otaら 2001、Chishimaら 2002、Jabbour 2003、Matsuzakiら 2004b、Buchweitzら 2006)。COX−2は、排卵、着床、脱落膜化、および分娩(SalesおよびJabbour 2003)において重要な役割を果たす。EP2受容体が相同性組換えによって除去されているマウスは、胎仔着床および妊孕性が欠如しており(Hizakiら 1999、Kennedyら 1999、Tilleyら 1999)、COX−2によって導かれたPGEが、子宮内膜への影響を一部にはEP2受容体を通して仲介するという考えを裏付けている。COX−2の発現は、正常な正所性の子宮内膜とは対照的に、疾患の異所性の部位で大きく上向き調節されることがわかっており(Otaら 2001、Chishimaら 2002、Matsuzakiら 2004b、Buchweitzら 2006)、PGE2は、培養物中で子宮内膜上皮細胞の増殖を誘発する(JabbourおよびBoddy 2003)。子宮内膜症の前臨床疾患モデルでは、COX−2選択的な薬剤での処置によって、疾患の負担が軽減している(Doganら 2004、Matsuzakiら 2004a、Ozawaら 2006、Laschkeら 2007)。子宮内膜症の患者をロフェコキシブで6カ月間治療すると、偽薬と比較して疼痛症状が改善され、成果が得られたことを示唆する臨床研究(Cobellisら 2004)も1件発表されている。
【0007】
子宮内膜症の患者におけるCOX−2の異常な発現は、いくつかの因果関係を有すると思われる(SalesおよびJabbour 2003)。第一に、PGEは、異所性の子宮内膜間質細胞でアロマターゼの発現および活性を増強するとみられる(Nobleら 1997、ZeitounおよびBulun 1999)。病変によってアロマターゼが異所性に発生すると、局所性のエストロゲン産生が増大して、卵巣による制御および正常な性周期とは無関係に病巣を成長させることになると推測することもできる。アロマターゼ発現に対するPGEのin vitroでの影響は、選択的EP2受容体作動薬であるブタプロストによって模倣することができるので(ZeitounおよびBulun 1999)、本発明の化合物が、子宮内膜症、腺筋腫、子宮筋腫、ならびに子宮癌および乳癌などの、異所性のアロマターゼ発現を余儀なくされた増殖障害の治療において有用となるはずであるという考えが裏打ちされる。
【0008】
選択的EP2拮抗薬が細胞増殖を阻害し得る機序は、他にも考えられる。腸ポリープ形成の予防においてセレコキシブなどのCOX−2阻害剤の効果が認められていること(Arberら 2006)、および家族性大腸ポリポーシスコンプレックスのマウスモデル(Δ716APCマウス)において、COX−2の欠損によって腺腫形成からの保護がなされること(Oshimaら 1996、Oshimaら 2001)から、PGE経路は、癌増殖の促進においても鍵となる役割を担うことが示唆される。Δ716APCマウスモデルにおけるポリープ形成および腺腫形成を、EP2受容体の追加の生殖細胞系列欠損によってこれらを交雑させて阻害することもできることは、PGEが、細胞分化および増殖への影響を、EP2受容体を通して仲介するという見解と一致している(Sonoshitaら 2001、Senoら 2002)。さらに、EP2受容体の下流のシグナル伝達経路について明らかになりつつある知見も、EP2が、β−カテニンの調節(Castelloneら 2005、Castelloneら 2006)やMAPキナーゼ経路(JabbourおよびBoddy 2003)などの、細胞周期制御の初期のG1事象において鍵となる役割を果たしていることと一致している。
【0009】
脈管形成、すなわち既存の脈管構造系からの毛細管の出芽は、胎仔の発育、創傷修復、および腫瘍増殖の際に起こる。Δ716APCマウスにおいて腺腫の出現に付随するCOX−2発現および血管密度の増大は、子宮内膜症、ならびに卵巣癌、皮膚癌、前立腺癌、胃癌、結腸直腸癌、および乳癌を含めるがこの限りでない悪性状態の臨床検体および前臨床モデルにおいても一貫して認められる(Subbaramaiahら 2002、Hullら 2003、Kamiyamaら 2006)。この過程にCOX−2経路が関与していることは、いくつかの知見(Liuら 2001、Leahyら 2002、Changら 2004、Ozawaら 2006)によって裏付けられている。子宮内膜症の女性の腹水は、脈管形成活性が子宮内膜症でない女性より高いようであり(GazvaniおよびTempleton 2002、Bourlevら 2006)、PGEは、VEGFやアンジオポイエチンなどの血管形成因子の転写を促進することがわかっている((GatelyおよびLi 2004)で総説されている)。内皮細胞の増殖および遊走の刺激(Kamiyamaら 2006)ならびに低酸素に対する応答(Critchleyら 2006)におけるEP2受容体の明確な寄与を示す最近のデータは、本発明の化合物が、子宮内膜症、腺筋症、平滑筋腫、月経過多、黄斑変性症、関節リウマチ、および癌を含めるがこの限りでない血管原性障害の治療において有用となるはずであるという考えと一致し、またこの考えを裏打ちするものである。
【0010】
子宮神経切除および前仙骨神経叢切除の外科的技術は両方とも、原発性および続発性の月経困難症の疼痛症状を管理するのに使用される(Proctorら 2005)。COX−1およびCOX−2がアラキドン酸に作用してPGHからPGEが生成されるにつれて、増大したPGEが、腹膜および異所性の病巣を神経支配する感覚性の求心性線維に直接の疼痛増感効果をもたらすことになる(Tulandiら 2001、Al−Fozanら 2004、Berkleyら 2004、QuinnおよびArmstrong 2004、Tokushigeら 2006a、Tokushigeら 2006b)。COX−2発現の増大が非月経性の慢性骨盤痛と相関する(Buchweitzら 2006)ことは、この考えと一致している。マウスモデルでの研究によるいく通りかの証拠からは、疼痛および侵害受容に対するPGEの作用様式の1つがEP2受容体によって仲介されることが示唆される(Ahmadiら 2002、Reinoldら 2005、Hoslら 2006)。本発明の化合物は、それ自体として、月経困難症、排便困難症、性交疼痛症、過敏性大腸症候群、子宮内膜症、腺筋症、平滑筋腫、CPP、間質性膀胱炎、炎症性および神経因性の疼痛状態を含めるがこの限りでない、疼痛障害の治療に有用となるはずである。
【0011】
子宮内膜症が発症する際は、活性化した炎症細胞が腹腔に補充されるとみられる。子宮内膜症の女性の腹腔マクロファージは、子宮内膜症でない女性のものより多くPGEを放出する(Karckら 1996、Wuら 2005)。PGEレベルの増大が腹腔マクロファージに及ぼす影響の1つは、MMP−9発現が阻害され、それによってマクロファージ食作用の機能が弱まって(Wuら 2005)、腹膜における子宮内膜組織の蓄積が延長されることである。それ自体としてマクロファージ機能を回復させることから、こうした知見は、子宮内膜症および癌の治療における本発明の化合物の使用をさらに支持する。
【0012】
既知のEP2拮抗薬としてAH6809が挙げられるが(Pelletierら 2001)、その効力も選択性も医学療法に適するまでに至っていない。
【0013】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の化合物は、潜在的に有用な医薬品特性を有することがわかった。その潜在的な使用としては、その限りでないが、子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)および月経過多、腺筋症、原発性および続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、慢性骨盤痛症候群、思春期早発症、子宮頸部熟化、乳癌、結腸癌、家族性大腸ポリポーシス、結腸直腸腺腫、子宮体癌、前立腺癌、肺癌、睾丸癌、胃癌、黄斑変性症、炎症性および神経因性の疼痛状態、癌性疼痛の治療において有用となるはずのEP2拮抗薬特性が挙げられる。
【0015】
特に重要なのは、以下の疾患または障害、すなわち、子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、慢性骨盤痛症候群である。
【0016】
特に、本発明の化合物および誘導体は、プロスタグランジンE(PGE)受容体2(EP2)拮抗薬としての活性を示し、EP2受容体拮抗作用が必要となる治療に有用となり得る。
【0017】
より詳細には、本発明の化合物および誘導体は、子宮内膜症および/または子宮筋腫(平滑筋腫)の治療に有用となり得る。
【0018】
「治療すること」、「治療する」、または「治療」という用語は、本明細書では、予防とコントロールの両方、すなわち指摘した状態の予防的処置および姑息的処置を包含するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、式(I)の化合物
【0020】
【化1】

[式中、
は、フェニル基(F、Cl、Br、CN、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ、およびC1〜4アルコキシ、ペルフルオロ−C1〜6アルキル、およびペルフルオロ−C1〜6アルコキシからそれぞれ独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい)またはテトラヒドロピラニル基であり、
Xは、直接結合またはNHを表し、
Zは、
【0021】
【化2】

から選択され、
およびRは、HまたはCアルキル(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい)であり、
Arは、1、2または3個の芳香環からなる芳香族基であり、芳香環は、フェニル、ならびにN、OおよびSからそれぞれ独立に選択される1、2または3個のヘテロ原子を含んでいる5員または6員芳香族複素環からそれぞれ独立に選択され、
芳香環は、2個以上存在する場合、縮合していても、または1つまたは複数の共有結合によって連結されていてもよく、芳香環は、F、Cl、CN、OH、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルキル、ペルフルオロ−C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシ、SO、NR、NHSO、SONR、CONR1011、およびNHCOR12からそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、
、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、それぞれ独立にHまたはC1〜6アルキル(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい)である]
ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を含める)、およびプロドラッグを提供する。
【0022】
は、フェニル基(F、Cl、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ、およびC1〜4アルコキシからそれぞれ独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい)またはテトラヒドロピラニル基であることが好ましい。より好ましくは、Rは、フェニル基(F、Cl、メトキシ、またはエトキシで置換されていてもよい)またはテトラヒドロピラニル基である。さらにより好ましくは、Rは、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、フェニル、3−クロロフェニル、2−エトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−メトキシフェニル、または4−エトキシフェニルである。さらにより好ましくは、Rは、4−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルである。最も好ましくは、Rは4−フルオロフェニルである。
【0023】
一代替実施形態では、Rは、以下の実施例に関連する意味から選択される。
【0024】
Xは、直接結合を表すことが好ましい。
【0025】
Zは、
【0026】
【化3】

であることが好ましい。
【0027】
Zは、COHであることがより好ましい。
【0028】
Arは、F、Cl、CN、OH、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルキル、ペルフルオロ−C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシ、SO、NR、NHSO、SONR、CONR1011、およびNHCOR12からそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいビフェニル基、ピリジニルフェニル基、またはナフチル基であることが好ましい。
【0029】
より好ましくは、Arは、F、Cl、CN、C1〜6アルキル、およびC1〜6アルコキシからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいビフェニル基、ピリジニルフェニル基、またはナフチル基である。
【0030】
さらにより好ましくは、Arは、F、Cl、CN、メトキシ、またはエトキシで置換されているビフェニル基、ピリジニルフェニル基、またはナフチル基である。
【0031】
さらにより好ましくは、Arは、
【0032】
【化4】

から選択される。
【0033】
さらにより好ましくは、Arは、
【0034】
【化5】

から選択される。
【0035】
さらにより好ましくは、Arは、
【0036】
【化6】

から選択される。
【0037】
最も好ましくは、Arは、
【0038】
【化7】

によって表される。
【0039】
代替実施形態では、Arは、以下の実施例に関連する意味から選択される。
【0040】
好ましい群の化合物、塩、溶媒和物、およびプロドラッグは、R、ZおよびArが以下の実施例の化合物に関連する意味を有するものである。
【0041】
より好ましい群の化合物、塩、溶媒和物、およびプロドラッグは、以下の実施例の化合物(特に実施例2、5、6、10、14および16、特に実施例2および14)、その塩、溶媒和物、およびプロドラッグである。
【0042】
本発明による式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体には、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、錯体、多形体、プロドラッグ、立体異性体、幾何異性体、互変異性体形態、および同位体変形形態が含まれる。式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、エステル、およびアミドを含むことが好ましい。より好ましくは、式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、塩、溶媒和物、およびプロドラッグである。より好ましくは、式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、塩および溶媒和物である。
【0043】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基の塩が含まれる。
【0044】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から生成するものである。例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロナート、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシノホ酸(xinofoate)塩が挙げられる。
【0045】
適切な塩基の塩は、非毒性の塩を形成する塩基から生成するものである。例として、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛の塩が挙げられる。
【0046】
酸および塩基の半塩、たとえば半硫酸塩および半カルシウム塩を生成してもよい。
【0047】
適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthの「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、2002)を参照されたい。
【0048】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、以下の3方法の1つまたは複数によって調製することができる。
(i)式(I)の化合物を所望の酸または塩基と反応させることによる方法、
(ii)式(I)の化合物の適切な前駆体から酸もしくは塩基に不安定な保護基を除去する、または所望の酸もしくは塩基を使用して、適切な環式前駆体、たとえばラクトンもしくはラクタムを開環することによる方法、または
(iii)式(I)の化合物の塩を、適切な酸もしくは塩基と反応させて、または適切なイオン交換カラムによって、別の塩に変換することによる方法。
【0049】
3つの反応はすべて、通常は溶液中で実施する。得られる塩は、析出し、濾過によって収集することもでき、または溶媒を蒸発させて回収してもよい。得られる塩のイオン化の程度は、完全にイオン化した程度からほとんどイオン化していない程度まで様々となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0050】
実施例および調製例で言及するものを含めて、以下の経路は、式(I)の化合物の合成方法を例示するものである。当業者ならば、本発明の化合物およびその中間体は、本明細書に詳細に記載する方法以外の方法によって、たとえば記載する方法の適合形態または当業界で知られている方法によって生成できるはずであることは理解されよう。合成、官能基の転換、保護基の使用などの適切な手引の例は、以下のとおりである。
RC Larockによる「Comprehensive Organic Transformations」、VCH Publishers Inc.(1989);J.Marchによる「Advanced Organic Chemistry」、Wiley Interscience(1985);S Warrenによる「Designing Organic Synthesis」、Wiley Interscience(1978);S Warrenによる「Organic Synthesis−The Disconnection Approach」、Wiley Interscience(1982);RK MackieおよびDM Smithによる「Guidebook to Organic Synthesis」、Longman(1982);TW GreeneおよびPGM Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons,Inc.(1999);およびPJ,Kocienskiによる「Protecting Groups」、Georg Thieme Verlag(1994);ならびに、前記標準著作物の任意の最新版。
【0051】
以下の一般合成法では、別段の指定がない限り、置換基R、X、ZおよびArは、上で式(I)の化合物に関して規定したとおりである。
【0052】
以下の経路は、式(I)の化合物の合成方法を例示するものである。当業者ならば、他の方法も等しく実行可能であることがわかるであろう。
【0053】
スキーム1では、(II)のLGが適切な脱離基である、中間体(II)および(III)からのエーテル生成による式(I)の化合物の調製を例示する。必要ならば、(炭酸カリウムなどの)適切な塩基および/または(ヨウ化ナトリウムなどの)添加剤、ならびに適切な溶媒を加えることができる。
【0054】
適切な脱離基としては、Cl、Br、I、メシラート、トシラートなどが挙げられる。
【0055】
【化8】

【0056】
使用することのできる典型的な条件は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはアセトニトリル中にて、式(II)のアゼチジンおよび式(III)のヒドロキシアリール化合物を、炭酸カリウム、炭酸セシウム、または1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)と共に、60℃から溶媒の還流温度までの温度で撹拌するものである。適切な代替形態は、(ヨウ化ナトリウムやヨウ化テトラブチルアンモニウムなどの)添加剤ならびに塩基を使用することである。上述の溶媒の代わりに、任意の適切な高沸点溶媒を使用することもできる。少なくとも1当量の中間体ヒドロキシアリール化合物(III)と少なくとも1当量の塩基を使用すべきである。所望ならば、一方または両方を過剰に使用することもできる。中間体(II)においてZがC(O)O(C1〜6アルキル)を表し、式(I)の化合物においてZがCOHであることが望ましいとき、加水分解は、エーテル生成を実施した後、反応混合物に適切な塩基または水を加えることによりその場で行うことができる。この加水分解に適する塩基として、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0057】
スキーム2では、式(IV)の保護された中間体(PGは適切なN保護基である)からの式(II)のアゼチジン中間体の調製に使用する経路を例示する。適切などんな窒素保護基を使用してもよい(「Protecting Groups in Organic Synthesis」、第3版、T.W.GreeneおよびP.G.Wuts、Wiley−Interscience、1999に記載のとおり)。使用に適する一般的な窒素保護基(PG)としては、t−ブトキシカルボニル(t−Boc)(酸、たとえばトリフルオロ酢酸、またはジクロロメタンや1,4−ジオキサンなどの有機溶媒中塩化水素での処理によって容易に除去される)、およびベンジル(適切な触媒存在下での水素化、またはクロロギ酸1−クロロエチルでの処理によって容易に除去される)が挙げられる。
【0058】
【化9】

【0059】
式(IV)の化合物は、たとえば文献の先例および/または本明細書に記載の調製例に即して、当業者によく知られている方法によって、またはその常法どおりの適合形態によって生成することができる。
【0060】
式(V)の化合物は、N保護基(PG)を除去して生成することができる。たとえば、PGがベンジル基である場合、適切な触媒存在下での水素化によって、またはクロロギ酸1−クロロエチルでの処理によって容易に除去することができる。Xが直接の結合を表すとき、適切な(活性化型の)酸(たとえば、酸塩化物RCOClまたは酸無水物(RCO)O)との標準のアシル化化学反応を使用する式(V)の中間体化合物のアシル化によってC(O)R基を導入して、式(II)の化合物を得ることができる。アシル化は、ジクロロメタン、1,2ジクロロエタン、またはテトラヒドロフランなどの溶媒中で、トリエチルアミンなどの適切な塩基と共に酸塩化物を使用して実施することが好ましい。酸塩化物RCOClは、市販されており、または文献の先例に即して当業者によく知られることとなろう。
【0061】
Xが−NH−を表すとき、式(V)の中間体と適切なイソシアナートRNCOとの反応によってC(O)NHR基を導入して、式(II)の化合物を得ることができる。尿素形成は、イソシアナートを、ジクロロメタン、1,2ジクロロエタン、またはテトラヒドロフランなどの溶媒中で、トリエチルアミンなどの適切な塩基と共に使用して実施することが好ましい。イソシアナートRNCOは、市販されており、または文献の先例に即して当業者によく知られることとなろう。
【0062】
Xが−O−を表すとき、標準のカルバマート化学反応を使用して、C(O)OR基を導入することができる。カルバマート形成は、適切なクロロカルボナートRO(CO)Clと式(V)の中間体を、ジクロロメタンまたは1,2ジクロロエタンなどの溶媒中で、炭酸水素ナトリウムなどの適切な塩基と共に使用して実施することが好ましい。クロロカルボナートRO(CO)Clは、市販されており、または文献の先例に即して当業者によく知られることとなろう。
【0063】
試薬および式(III)の中間体は、市販されており、または文献の先例および/または本明細書に記載の調製例に即して当業者によく知られることとなろう。
【0064】
スキーム3では、アゼチジン窒素が保護されており、最終ステップで、または中間体アルコール(VI)を利用してC(O)XRを導入する、式(I)の化合物の調製の2種の代替経路を例示する。
【0065】
【化10】

【0066】
スキーム3では、スキーム1で以前に記載したように、式(IV)の中間体と(III)をエーテル化反応で反応させて、保護された中間体(VIII)を得、標準の脱保護戦略を使用して窒素保護基をそこから除去して、式(IX)の中間体を得る。適切などんな窒素保護基を使用してもよい(「Protecting Groups in Organic Synthesis」、第3版、T.W.GreeneおよびP.G.Wuts、Wiley−Interscience、1999に記載のとおり)。使用に適する一般的な窒素保護基(PG)として、t−ブトキシカルボニル(t−Boc)(酸、たとえば、トリフルオロ酢酸、またはジクロロメタンや1,4−ジオキサンなどの有機溶媒中塩化水素での処理によって容易に除去される)、およびベンジル(適切な触媒存在下での水素化またはクロロギ酸1−クロロエチルでの処理によって容易に除去される)が挙げられる。
【0067】
C(O)XR基は、スキーム2に従って、脱保護された中間体(IX)をアシル化して導入することができる。これは、好ましくは、ジクロロメタン、1,1ジクロロエタン、またはテトラヒドロフランなどの溶媒中でトリエチルアミンなどの適切な塩基を用い、酸塩化物によって行うことができる。
【0068】
別法として、式(I)の化合物は、式(VI)のアルコールから調製することもでき、この場合、たとえば、LG2が適切な脱離基である式(X)の芳香族前駆体から適切な脱離基を外して、Ar基を導入することができる。適切な脱離基としては、F、Cl、BrおよびIが挙げられる。この置換反応は、アルコール(VI)と適切な塩基、好ましくは水素化ナトリウムを適切な溶媒中、好ましくはジメチルスルホキシド中で撹拌し、次いで中間体(X)を加え、室温で撹拌するものである。式(X)の中間体は、市販されており、または文献の先例に即して当業者によく知られることとなろう。
【0069】
式(VII)の中間体は、スキーム2に記載の式(V)の中間体から生成することができ、このアゼチジンは、上述のような適切な窒素保護基(PG)で保護することができる。好ましい保護基は、t−Bocまたはベンジルである。
【0070】
式(VI)の化合物は、式(XI)の中間体から、脱保護した後にアシル化して生成物を得る、式(II)の中間体について記載した調製と同じようにして調製することができる。
【0071】
スキーム4では、式(IV)のアゼチジン中間体から、酢酸エステル(XII)を経てアルコール中間体(XI)を調製する経路を例示する。
【0072】
【化11】

【0073】
式(VII)の中間体は、脱離基(LG)を外すために、式(VII)の化合物を適切な金属酢酸塩と共に撹拌することにより、式(XII)の酢酸エステルに変換することができる。好ましい方法は、ジメチルスルホキシド中で、添加剤としてのヨウ化ナトリウムと共に酢酸セシウムを加熱しながら使用することである。中間体(XII)は、極性有機溶媒中、好ましくは炭酸カリウムエタノール溶液中で適切な塩基を使用する酢酸エステルの加水分解によって、アルコール(XI)に変換することができる。
【0074】
別法として、特定のAr基を有する式(I)の化合物を、他の式(I)の化合物に変換することもできる。たとえば、
i)Arがブロモやクロロなどの適切な脱離基LG3を含んでいる式(Ia)の化合物は、スキーム5に示すように、たとえば、標準の鈴木カップリング条件下での適切な「Ar−ボロン酸」との鈴木カップリングによって、式(Ib)の化合物に変換することができる。
【0075】
【化12】

【0076】
ii)特定の式(I)の化合物は、官能基の変換、たとえば「Z」部分の変換によって特定の他の式(I)の化合物に変換することができる(スキーム6)。
【0077】
たとえば、ZがCOHである式(I)の化合物は、アミド(XIII)を経て、アシルスルホンアミド(ZはCONHSOである)に変換することができる。アミド(XIII)を得るには、この酸を適切に活性化し、次いでアンモニアを加える。ジクロロメタンなどの適切な溶媒中にて、クロロギ酸エチルで活性化することが好ましい。次いでアミドを適切な塩基と共に低温で撹拌し、次いで適切なスルホニル化合物RSOLG(LG4はClなどの適切な脱離基である)で処理して、アシルスルホンアミドを得る。好ましい条件は、塩基としてはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、好ましい溶媒としてはテトラヒドロフラン中である。
【0078】
【化13】

【0079】
別法として、同じ酸から、塩化アンモニウムと共に適切なカップリング試薬および塩基を使用して、ZがCNである式(I)の化合物を調製することもできる。好ましい条件は、カップリング試薬としての1−プロピルホスホン酸環式無水物であり、テトラヒドロフラン中にて還流温度でトリエチルアミンを用いる。
【0080】
別の実施形態によれば、本発明は、一般式(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VIII)、(IX)、(XI)、(XII)および(XIII)の新規な中間体化合物を提供する。
【0081】
本発明の化合物は、完全な非晶質から完全な結晶の範囲の一連の固体状態で存在し得る。「非晶質」という用語は、材料が分子レベルで長距離秩序を欠き、温度に応じて、固体または液体の物理的性質を示し得る状態を指す。通常、そのような材料は、特有のX線回折パターンを与えず、固体の性質を示しながらも、より正式には液体であると記述される。加熱すると、固体から液体の性質への変化が起こるが、これは通常、二次の状態変化(「ガラス転移」)を特徴とする。「結晶」という用語は、材料が分子レベルで規則的な整った内部構造を有し、明確なピークを伴う特有のX線回折パターンを与える固相を指す。そのような材料も、十分に加熱したとき、液体の性質を示すようになるが、固体から液体への変化は、通常は一次の相転移(「融点」)を特徴とする。
【0082】
本発明の化合物はまた、溶媒和していない形態および溶媒和した形態で存在し得る。「溶媒和物」という用語は、本明細書では、本発明の化合物と、薬学的に許容できる1つまたは複数の溶媒分子、たとえばエタノールとを含む分子錯体について述べるのに使用する。「水和物」という用語は、前記溶媒が水であるときに用いる。
【0083】
現在受け入れられている有機水和物の分類系統は、隔離部位水和物、チャネル水和物、または金属イオン配位水和物を規定するものである。K.R.Morrisによる「Polymorphism in Pharmaceutical Solids」(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。隔離部位水和物は、水分子が、介在する有機分子によって互いとの直接の接触から隔離されている水和物である。チャネル水和物では、水分子は格子チャネル中に存在し、そこで他の水分子と隣り合っている。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンに結合している。
【0084】
溶媒または水が堅く結合しているとき、錯体は、湿度に関係なく明確な化学量論性を有するようになる。しかし、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物でのように、溶媒または水が弱く結合しているとき、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に左右されるようになる。そのような場合では、非化学量論性が標準となる。
【0085】
本発明の範囲内には、薬物および他の少なくとも1種の構成要素が化学量論量または非化学量論量で存在する、(塩および溶媒和物以外の)多構成要素の錯体も含まれる。この種類の錯体としては、クラスレート(薬物−ホスト包接錯体)および共結晶が挙げられる。後者は通常、非共有結合性の相互作用によって結合し合った中性の分子成分からなる結晶錯体であると定義されるが、中性分子と塩の錯体になる場合もあるはずである。共結晶は、溶融結晶化によって、溶媒から再結晶化して、または構成要素を一緒に物理的に粉砕して調製することができる。O.AlmarssonおよびM.J.ZaworotkoによるChem Commun,17,1889−1896(2004)を参照されたい。多構成要素錯体の全般的な総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci,64(8),1269−1288(1975 8月)を参照されたい。
【0086】
本発明の化合物は、適切な条件下に置いたとき、中間状態(中間相または液晶)になって存在する場合もある。中間状態とは、真の結晶状態と真の液体状態(融解物または溶液)の中間である。温度変化の結果として生じる中間状態は、「温度転移型」であると記述され、水や別の溶媒などの第2の成分を加えた結果として生じる中間状態は、「濃度転移型」であると記述される。濃度転移型の中間相を形成する可能性を有する化合物は、「両親媒性」であると記述され、(−COONa、−COO、−SONaなどの)イオン性または(−N(CHなどの)非イオン性の極性頭部基を有する分子からなる。これ以上の情報については、N.H.HartshorneおよびA.Stuartによる「Crystals and the Polarizing Microscope」、第4版(Edward Arnold、1970)を参照されたい。
【0087】
以下では、式(I)の化合物への言及はすべて、その塩、溶媒和物、多構成要素錯体、および液晶、ならびにその塩の溶媒和物、多構成要素錯体、および液晶への言及を包含する。
【0088】
上で指摘したように、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内である。したがって、それ自体は薬理活性をほとんどまたは全くもたなくてもよい式(I)の化合物の特定の誘導体は、身体中または身体上に投与されたとき、たとえば加水分解によって切断されて、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換され得る。そのような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用についてのこれ以上の情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)、および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)で見ることができる。
【0089】
本発明によるプロドラッグは、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、たとえばH.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているような、当業者に「プロ部分」として知られている特定の部分と交換することにより製造できる。
【0090】
本発明によるプロドラッグの一部の例として、
(i)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含んでいる場合、そのエーテル、たとえば、式(I)の化合物のアルコール官能基の水素が(C〜C)アルカノイルオキシメチルと交換されている化合物、および
(ii)式(I)の化合物が第一級または第二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(R≠H))を含んでいる場合、そのアミド、たとえば、場合により、式(I)の化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が(C〜C10)アルカノイルと交換されている化合物が挙げられる。
【0091】
前記の例に従うこれ以外の交換基の例、および他のプロドラッグタイプの例は、上述の参考文献で見ることができる。
【0092】
さらに、特定の式(I)の化合物は、それ自体が他の式(I)の化合物のプロドラッグとして働き得る。
【0093】
本発明の範囲内には、式(I)の化合物の代謝産物、すなわち、薬物が投与されてからin vivoで生成した化合物も含まれる。したがって、in vivoで生成したときの式(I)の化合物の代謝産物も、本発明の範囲内にあるものと考える。
【0094】
1つまたは複数の不斉炭素原子を含んでいる式(I)の化合物は、2種以上の立体異性体として存在し得る。式(I)の化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含んでいる場合、幾何的なシス/トランス(またはZ/E)異性体が考えられる。構造異性体が低いエネルギー障壁で相互変換可能である場合、互変異性体の異性(「互変異性」)が存在し得る。互変異性は、たとえばイミノ、ケト、もしくはオキシム基を含んでいる式(I)の化合物ではプロトン互変異性、または芳香族部分を含んでいる化合物ではいわゆる原子価互変異性の形をとり得る。これは、単一化合物が1種類に留まらない異性を示し得るということである。
【0095】
本発明の範囲内には、1種類に留まらない異性を示す化合物を含めた、式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性体形態、ならびにこれらの1種または複数の混合物が含まれる。対イオンが光学活性のあるもの、たとえばd−乳酸もしくはl−リシン、またはラセミ化合物、たとえばdl−酒石酸もしくはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基の塩も含まれる。
【0096】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来の技術、たとえばクロマトグラフィーおよび分別結晶によって分離することができる。
【0097】
個々の鏡像異性体を調製/単離するための従来の技術としては、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、またはたとえばキラルな高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。
【0098】
別法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は、適切な光学活性のある化合物、たとえばアルコール、または式(I)の化合物が酸もしくは塩基の部分を含んでいる場合、1−フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオ異性体混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって分離し、ジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者によく知られている手段によって、対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
【0099】
本発明のキラルな化合物(そのキラルな前駆体)は、0〜50体積%、通常は2%〜20%のイソプロパノール、および0〜5体積%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いる不斉樹脂でのクロマトグラフィー、通常はHPLCを使用して、鏡像異性体を豊富に含む形で得ることができる。溶出液を濃縮すると、濃縮された混合物が得られる。
【0100】
任意のラセミ体が結晶するとき、2種の異なるタイプの結晶が考えられる。第1のタイプは、上で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)であり、両方の鏡像異性体を含有する1種の均質な形態の結晶が等モル量で生成される。第2のタイプは、ラセミ混合物または集成体であり、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2種の形態の結晶が等モル量で生成される。
【0101】
ラセミ混合物中に存在する結晶形は、両方が同一の物理的性質を有するが、真のラセミ体と比べると異なる物理的性質を有する場合もある。ラセミ混合物は、当業者に知られている従来の技術によって分離することができる。たとえば、E.L.ElielおよびS.H.Wilenによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、1994)を参照されたい。
【0102】
本発明は、1個または複数の原子が、原子番号は同じであるが原子質量または質量数が自然界で優位を占める原子質量または質量数と異なっている原子と交換されている、薬学的に許容できるすべての同位体標識された式(I)の化合物を包含する。
【0103】
本発明の化合物中に含めるのに適する同位体の例には、HやHなどの水素、11C、13C、14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iや125Iなどのヨウ素、13Nや15Nなどの窒素、15O、17O、18Oなどの酸素、32Pなどのリン、および35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。
【0104】
特定の同位体標識された式(I)の化合物、たとえば、放射性同位体が組み込まれているものは、薬物および/または基質の組織分布調査において有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわちH、およびカーボン14、すなわち14Cは、組み込みやすく、検出手段が手近にあることを考えると、この目的に特に有用である。
【0105】
ジュウテリウム、すなわちHなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高いために生じる治療上の特定の利点、たとえば、in vivo半減期の延長または投与必要量の減少がもたらされる場合もあり、したがってある状況では好まれることもある。
【0106】
11C、18F、15O、13Nなどの陽電子放射同位体での置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影(PET)調査において有用となり得る。同位体標識された式(I)の化合物は一般に、当業者に知られている従来の技術によって、または添付の実施例および調製例に記載の方法と類似の方法によって、以前から用いられている標識されていない試薬の代わりに同位体標識された適切な試薬を使用して調製することができる。
【0107】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体によって置換されているもの、たとえばDO、d−アセトン、d−DMSOでよい溶媒和物が含まれる。
【0108】
式(I)の化合物は、提案される適応症の治療に最も適する剤形および投与経路を選択するために、その(pH全域での)溶解性および溶液安定性、透過性などの生物薬剤学的な性質を評価すべきである。
【0109】
医薬としての使用を目的とする本発明の化合物は、結晶性または非晶質の製品として投与することができる。そうした本発明の化合物は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾燥などの方法によって、たとえば固体充填物、粉末、またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波乾燥または高周波乾燥をこの目的のために使用してもよい。
【0110】
本発明の化合物は、単独で、または他の1種または複数の本発明の化合物と組み合わせて、または他の1種または複数の薬物と組み合わせて(またはこれらの任意の組合せとして)投与することができる。
【0111】
本発明の化合物は、PDE5阻害剤と組み合わせて投与することができる。したがって、本発明の別の態様では、子宮内膜症の治療において同時に、別々に、または逐次使用するための、EP2拮抗薬と1種または複数のPDEV阻害剤とを含有する、複合製剤としての医薬品が提供される。
【0112】
本発明の化合物と合わせるのに有用なPDEV阻害剤としては、その限りでないが、以下のものが挙げられる。
(i)好ましくは、1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンとしても知られている、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(たとえばViagra(登録商標)として販売されているシルデナフィル)(EP−A−0463756を参照されたい);5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(EP−A−0526004を参照されたい);3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166を参照されたい);3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333を参照されたい);3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンとしても知られている、(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333を参照されたい);1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジンとしても知られている、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例8を参照されたい);5−[2−i−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例15を参照されたい);5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例66を参照されたい);5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例124を参照されたい);5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例132を参照されたい);(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル、IC−351、Cialis(登録商標))、すなわち国際出願公開WO95/19978の実施例78および95の化合物、ならびに実施例1、3、7および8の化合物;1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−as−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジンとしても知られている、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル、LEVITRA(登録商標))、すなわち国際出願公開WO99/24433の実施例20、19、337および336の化合物;国際出願公開WO93/07124の実施例11の化合物(エーザイ);Rotella D P,J.Med.Chem.,2000,43,1257の化合物3および14;4−(4−クロロベンジル)アミノ−6,7,8−トリメトキシキナゾリン;N−[[3−(4,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−5−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−1−メチル−2−ピロリジンプロパンアミド[「DA−8159」(WO00/27848の実施例68)];7,8−ジヒドロ−8−オキソ−6−[2−プロポキシフェニル]−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリンおよび1−[3−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル]−4−プロポキシフェニル]カルボキサミド;4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド(TA−1790);3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド(DA8159)、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩。
(ii)4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸一ナトリウム塩;(+)−シス−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペンタ−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)オン;フラズロシリン;シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]−イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;インドール−6−カルボン酸3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピル;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシラート;4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン;I−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸一ナトリウム塩;Pharmaprojects No.4516(Glaxo Wellcome);Pharmaprojects No.5051(Bayer);Pharmaprojects No.5064(協和発酵;WO96/26940を参照されたい);Pharmaprojects No.5069(Schering Plough);GF−196960(Glaxo Wellcome);E−8010およびE−4010(エーザイ);Bay−38−3045および38−9456(Bayer);FR229934およびFR226807(フジサワ);ならびにSch−51866。
【0113】
PDEV阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、DA−8159、および5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンから選択されることが好ましい。PDE5阻害剤は、シルデナフィルおよび薬学的に許容できるその塩であることが最も好ましい。クエン酸シルデナフィルが好ましい塩である。
【0114】
本発明の化合物は、V1a拮抗薬と組み合わせて投与することもできる。したがって、本発明の別の態様では、子宮内膜症の治療において同時に、別々に、または逐次使用するための、EP2受容体拮抗薬と1種または複数のV1a拮抗薬とを含有する、複合製剤としての医薬品が提供される。
【0115】
適切なバソプレッシンV1a受容体拮抗薬は、たとえば、WO2004/37809の実施例26である(4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル)である。適切なバソプレッシンV1a受容体拮抗薬の別の例は、WO04/074291の実施例5である8−クロロ−5−メチル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアゾ−ベンゾ[e]アズレンまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物である。
【0116】
本発明と共に使用するバソプレッシンV1a受容体拮抗薬の別の例は、SR49049(Relcovaptan)、アトシバン(Tractocile(登録商標))、コニバプタン(YM−087)、VPA−985、CL−385004、Vasotocin、およびOPC21268である。また、WO01/58880に記載されているV1a受容体拮抗薬も、本発明の使用に適する。
【0117】
本発明の化合物は、エストロゲンレベルを低下させ、またはエストロゲン受容体に拮抗作用を示す薬剤と組み合わせて投与することもできる。したがって、本発明の別の態様では、プロゲステロン受容体拮抗薬と、エストロゲンレベルを低下させまたはエストロゲン受容体に拮抗作用を示す1種または複数の薬剤とを含有する、子宮内膜症の治療において同時に、別々に、または逐次使用するための、複合製剤としての医薬品が提供される。
【0118】
エストロゲンレベルを低下させる薬剤としては、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作動薬、GnRH拮抗薬、およびエストロゲン合成阻害剤が挙げられる。エストロゲン受容体に拮抗作用を示す薬剤、すなわちエストロゲン受容体拮抗薬としては、抗エストロゲン薬が挙げられる。
【0119】
本発明に適するGnRH作動薬としては、リュープロレリン(Prostap−Wyeth)、ブセレリン(Suprefact−Shire)、ゴセレリン(Zoladex−Astra Zeneca)、トリプトレリン(De−capeptyl−Ipsen)、ナファレリン(Synarel−Searle)、デスロレリン(Somagard−Shire)、およびヒストレリン/サプレリン(supprelin)(Ortho Pharmaceutical Corp/Shire)が挙げられる。
【0120】
本発明に適するGnRH拮抗薬としては、(アンタレリクスとしても知られている)テベレリクス、アバレリクス(Plenaxis−Praecis Pharmaceuticals Inc.)、セトロレリクス(Cetrotide−ASTA Medica)、およびガニレリクス(Orgalutran−Organon)が挙げられる。
【0121】
本発明に適する抗エストロゲン薬としては、タモキシフェン、Faslodex(Astra Zeneca)、イドキシフェン(Coombesら(1995)Cancer Res.55,1070−1074を参照されたい)、ラロキシフェン、またはEM−652(Labrie,Fら(2001)J steroid Biochem Mol Biol,79,213)が挙げられる。
【0122】
本発明に適するエストロゲン合成阻害剤としては、アロマターゼ阻害剤が挙げられる。アロマターゼ阻害剤の例には、フォルメスタン(4−OHアンドロステンジオン)、エキセメスタン、アナストロゾール(Arimidex)、およびレトロキソール(Letroxole)が含まれる。
【0123】
本発明の化合物は、α2δリガンドと組み合わせて投与することもできる。したがって、本発明の別の態様では、子宮内膜症の治療において同時に、別々に、または逐次使用するための、プロゲステロン受容体拮抗薬と1種または複数のα2δリガンドを含有する、複合製剤としての医薬品が提供される。
【0124】
本発明で使用するためのα2δリガンドの例は、以下の特許文献で全般にまたは詳細に開示されている化合物または薬学的に許容できるその塩、すなわちUS4024175、特にギャバペンチン、EP641330、特にプレガバリン、US5563175、WO−A−97/33858、WO−A−97/33859、WO−A−99/31057、WO−A−99/31074、WO−A−97/29101、WO−A−02/085839、特に[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、WO−A−99/31075、特に3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オンおよびC−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、WO−A−99/21824、特に(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、WO−A−01/90052、WO−A−01/28978、特に(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、EP0641330、WO−A−98/17627、WO−A−00/76958、特に(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、WO−A−03/082807、特に(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、および(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、WO−A−2004/039367、特に(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、および(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)プロリン、EP1178034、EP1201240、WO−A−99/31074、WO−A−03/000642、WO−A−02/22568、WO−A−02/30871、WO−A−02/30881 WO−A−02/100392、WO−A−02/100347、WO−A−02/42414、WO−A−02/32736、およびWO−A−02/28881であり、これらすべてを参照により本明細書に援用する。
【0125】
本発明の組合せで使用するための好ましいα2δリガンドとしては、ギャバペンチン、プレガバリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、および(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)プロリン、またはこれらの薬学的に許容できる塩が挙げられる。
【0126】
本発明の組合せで使用するための別の好ましいα2δリガンドは、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルオクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルノナン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチルヘプタン酸、および(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチルオクタン酸、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩である。
【0127】
本発明の組合せで使用するための特に好ましいα2δリガンドは、ギャバペンチン、プレガバリン、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルオクタン酸、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、および(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)プロリン、またはこれらの薬学的に許容できる塩から選択される。
【0128】
本発明の化合物は、オキシトシン受容体拮抗薬と組み合わせて投与することができる。したがって、本発明の別の態様では子宮内膜症の治療において同時に、別々に、または逐次使用するための、プロゲステロン受容体拮抗薬と1種または複数のオキシトシン拮抗薬とを含有する、複合製剤としての医薬品が提供される。
【0129】
本発明に適するオキシトシン受容体拮抗薬の例は、アトシバン(Ferring AB)、バルシバン(barusiban)(Ferring AB)、TT−235(Northwestern University)、およびAS−602305(Serono SA)である。
【0130】
上述の公開特許出願の内容、特に、治療活性のある請求項の化合物の一般式およびその中で例示される化合物は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0131】
本発明の化合物は、以下のいずれか1種または複数と組み合わせて投与することもできる。
(i)アロマターゼ阻害剤、
(ii)核内ホルモン受容体モジュレーター、
(iii)血管形成阻害剤、
(iv)VEGF阻害剤、
(v)キナーゼ阻害剤、
(vi)タンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、
(vii)プロスタノイド受容体拮抗薬、
(viii)プロスタグランジン合成酵素阻害剤、
(ix)バイオフラボノイド、
(x)アルキル化剤、
(xi)微小管モジュレーター、たとえば微小管安定剤、
(xii)トポイソメラーゼI阻害剤、
(xiii)プロテアーゼ阻害剤、
(xiv)ケモカイン受容体拮抗薬、または
(xv)神経内分泌受容体モジュレーター。
【0132】
したがって、本発明の別の態様では、子宮内膜症の治療において同時に、別々に、または逐次使用するための、プロゲステロン受容体拮抗薬と、以下のいずれか1種または複数の薬剤とを含有する、複合製剤としての医薬品が提供される。
(i)アロマターゼ阻害剤、
(ii)核内ホルモン受容体モジュレーター、
(iii)血管形成阻害剤、
(iv)VEGF阻害剤、
(v)キナーゼ阻害剤、
(vi)タンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、
(vii)プロスタノイド受容体拮抗薬、
(viii)プロスタグランジン合成酵素阻害剤、
(ix)バイオフラボノイド、
(x)アルキル化剤、
(xi)微小管モジュレーター、たとえば微小管安定剤、
(xii)トポイソメラーゼI阻害剤、
(xiii)プロテアーゼ阻害剤、
(xiv)ケモカイン受容体拮抗薬、または
(xv)神経内分泌受容体モジュレーター。
【0133】
一般に、本発明の化合物は、薬学的に許容できる1種または複数の賦形剤と合同で製剤として投与される。「賦形剤」という用語は、本明細書では、本発明の化合物以外の任意の成分について述べるのに使用する。賦形剤の選択は、大部分は、特定の投与方式、賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の種類などの要素に応じて決まることになる。
【0134】
本発明の化合物の送達に適する医薬組成物およびその調製方法は、当業者には直ちに明白となろう。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第19版(Mack Publishing Company、1995)で見ることができる。
【0135】
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよいし、かつ/または化合物が口から直接血流に入る頬側、舌側、または舌下投与を含むものでもよい。
【0136】
経口投与に適する製剤としては、固体、半固体、および液体の系、たとえば、錠剤;多粒子もしくはナノ粒子、液体、または粉末を含有する軟もしくは硬カプセル剤;ロゼンジ(液体充填型を含める);咀嚼剤;ゲル;急速分散型剤形;フィルム;膣坐剤;スプレー;および頬側/粘膜付着性パッチが挙げられる。
【0137】
液体製剤としては、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。そのような製剤は、(たとえばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製の)軟もしくは硬カプセル剤中に充填剤として使用することができ、通常は担体、たとえば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、たとえば小袋から出した固体を再形成して調製してもよい。
【0138】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986(2001)に記載のものなどの、急速溶解急速崩壊型剤形にして使用することもできる。
【0139】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的な例では剤形の5重量%〜60重量%を占めてよい。薬物に加え、錠剤は一般に崩壊剤も含有する。崩壊剤の例としては、ナトリウムデンプングリコラート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占めることになる。
【0140】
結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するのに使用される。適切な結合剤としては、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン、第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有してよい。
【0141】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの滑剤を場合により含んでもよい。存在するとき、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を占めてよく、滑剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めてよい。
【0142】
錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの潤滑剤を含有する。潤滑剤は一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0143】
考えられる他の成分として、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。
【0144】
好例となる錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の潤滑剤を含有する。
【0145】
錠剤ブレンドを直接またはローラーによって圧縮して、錠剤を形成することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの部分を、湿式、乾式、または溶融造粒、溶融凝固、または押出し成形の処理にかけた後、打錠することもできる。最終製剤は、1または複数の層を含み、コーティングされていても、またはコーティングされていなくてもよく、カプセル封入されていてもよい。
【0146】
錠剤の製剤は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」第1巻(Marcel Dekker、New York、1980)で論述されている。
【0147】
摂取可能な経口フィルムは通常、急速溶解性でも粘膜付着性でもよい、水溶性または水膨張性の可撓性薄膜剤形であり、通常は、式(I)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤、ならびに溶媒を含む。製剤の一部の構成成分が複数の機能を果たす場合もある。
【0148】
フィルム形成ポリマーは、天然の多糖類、タンパク質、または合成親水コロイドから選択されるものでよく、通常は、0.01〜99重量%の範囲、より典型的な例では30〜80重量%の範囲で存在する。
【0149】
考えられる他の成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤および香味剤、保存剤、唾液腺刺激剤、冷却剤、(油を含めた)共溶媒、エモリエント、増量剤、消泡剤、界面活性剤、および矯味剤が挙げられる。
【0150】
本発明によるフィルムは通常、可剥性の支持担体または紙上にコーティングされた薄い水溶性フィルムを蒸発乾燥して調製する。これは、乾燥オーブンまたは乾燥トンネル、通常は複合塗工乾燥機で、または凍結乾燥もしくは減圧によって行うことができる。
【0151】
経口投与用の固体製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0152】
本発明の目的に適する変更型放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液、浸透性粒子、被覆粒子などの適切な他の放出技術の詳細は、Vermaらによる“Pharmaceutical Technology On−line”,25(2),1−14(2001)で見られる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0153】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、脳内、筋肉内、滑液包内、および皮下が含まれる。非経口投与に適する装置として、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が挙げられる。
【0154】
非経口製剤は通常、塩、炭水化物などの賦形剤および(好ましくはpH3〜9にするための)緩衝剤を含有してよい水溶液であるが、一部の適用例では、無菌の非水性溶液として、または発熱物質を含まない無菌水などの適切な媒体と共に使用する乾燥形態としてより適切に製剤することもできる。
【0155】
たとえば凍結乾燥による無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して、容易に実現することができる。
【0156】
非経口溶液の調製で使用する式(I)の化合物の溶解性は、溶解性改善剤を混ぜるなどの適切な製剤技術を使用して増大させることもできる。
【0157】
非経口投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤として、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。したがって、本発明の化合物は、懸濁液として、または活性化合物の変更型放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、もしくは揺変性液体として製剤することもできる。そのような製剤の例としては、薬物でコートしたステント、ならびに薬物を内包したdl−乳酸−グリコール酸共重合体(PGLA)マイクロスフェアを含む半固体および懸濁液が挙げられる。
【0158】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、皮膚上(内)に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を組み込んでもよい。たとえば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci,88(10),955−958(1999 10月)を参照されたい。
【0159】
他の局所投与手段としては、電気穿孔、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、ならびに微細針または無針(たとえばPowderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が挙げられる。
【0160】
局所投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0161】
本発明の化合物は、通常、(単独、またはたとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用しもしくは使用せずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、または点鼻薬として、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもできる。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、たとえばキトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0162】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、エタノール、エタノール水溶液、または有効成分を分散させ、可溶化し、もしくはその放出を延長するのに適する別の薬品と、溶媒としての噴射剤と、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの随意選択の界面活性剤とを含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0163】
乾燥粉末または懸濁液製剤にして使用する前に、薬物製品を、吸入による送達に適するサイズ(通常は5ミクロン未満)に微粒子化する。これは、スパイラルジェット粉砕、流動層ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、または噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって実現することができる。
【0164】
吸入器または注入器中に使用するためのカプセル(たとえばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製のもの)、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤と、l−ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤とからなる粉末混合物を含有するように製剤することができる。ラクトースは無水でも一水和物の形でもよく、後者であることが好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。
【0165】
電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーでの使用に適する溶液製剤は、1作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有してよく、作動体積は、1μl〜100μlと様々でよい。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含んでよい。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる別の溶媒として、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0166】
適切な香味剤、たとえばメントールやl−メントール、または甘味剤、たとえばサッカリンやサッカリンナトリウムを、吸入投与/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤に加えてもよい。
【0167】
吸入投与/鼻腔内投与用の製剤は、たとえばPGLAを使用して、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0168】
本発明の化合物は、たとえば坐剤、膣坐剤、または浣腸の形で、直腸投与または経膣投与することができる。カカオ脂が旧来の坐剤基剤であるが、様々な代替品を適宜使用することができる。
【0169】
直腸/経膣投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0170】
本発明の化合物は、上述の投与方式のいずれかでの使用に向けてその溶解性、溶解速度、矯味、生体利用度、および/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体やポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性の高分子物質と組み合わせることもできる。
【0171】
たとえば、薬物−シクロデキストリン錯体は、大部分の剤形および投与経路に一般に有用であることがわかっている。包接錯体および非包接錯体の両方を使用することができる。薬物との直接の錯形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用してもよい。こうした目的のために最も一般的に使用されるのは、α、β、およびγ−シクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願第WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148で見ることができる。
【0172】
たとえば、特定の疾患または状態を治療する目的のために、活性化合物の組合せを投与することが望ましい場合もあるので、その少なくとも1種が本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、組成物の共投与に適するキットの形で好都合に組み合わせてもよいことは、本発明の範囲内である。
【0173】
したがって、本発明のキットは、その少なくとも1種が本発明による式(I)の化合物を含有する2種以上の別個の医薬組成物と、容器、分割されたボトル、または分割されたホイル製袋などの、前記組成物を別々に保持する手段とを含む。そのようなキットの例は、錠剤やカプセル剤などの包装に使用されるよく知られたブリスターパックである。
【0174】
本発明のキットは、たとえば経口と非経口の異なる剤形を投与する、別個の組成物を異なる投与間隔で投与する、または別個の組成物の用量を互いに対して漸増するのに特に適する。服薬遵守を援助するために、キットは通常、投与の説明書を含み、いわゆるメモリーエイドを添えて提供してもよい。
【0175】
ヒト患者への投与については、本発明の化合物の合計1日量は通常、当然のことながら投与方式に応じて、<1mg〜1000mgの範囲である。たとえば、経口投与では<1mg〜1000mgの合計1日量が必要となる場合もあるが、静脈内の用量では<1mg〜500mgしか必要とならない場合もある。合計1日量は、1回で、または数回に分けて投与することができ、医師の裁量で、本明細書で示す典型的な範囲の範囲外になる場合もある。
【0176】
こうした投与量は、体重が約60kg〜70kgである平均的なヒト対象に基づく。医師は、小児や高齢者などの、体重がこの範囲外にある対象のため用量を容易に決定することができよう。
【0177】
本明細書では、「治療すること」および「治療する」という用語は、症状を緩和し、原因を一時的もしくは永久的に解消し、または症状の出現を予防し、もしくは緩徐にすることを意味する。「治療」という用語は、子宮内膜症および/または子宮平滑筋腫に関連する症状および障害の緩和、その原因の(一時的または永久的な)除去、または予防を包含する。治療は、前処置、ならびに症状発生時の治療でよい。
【0178】
本発明の化合物は、有痛性の月経(月経困難症)、痛みを伴う性交(性交疼痛症)、月経によって惹起される痛みを伴う排便(排便困難症)または排尿(排尿障害)、慢性骨盤痛(6カ月より長く存在する一定もしくは周期性の有痛性症状)、過剰な月経性の血液損失(月経過多)、頻繁な月経(頻発月経)、または回数の少ないもしくは不規則な月経(少月経(oligoamenorrhoea)もしくは無月経)で、特定の病態なしで起こるもの(機能障害性の子宮出血および/もしくは原発性の月経困難症)、または子宮内膜症、腺筋症、多嚢胞性卵巣症候群、もしくは子宮筋腫(平滑筋腫)と合わせて起こるものといった婦人科症状の治療に有用となるはずである。
【0179】
治療という用語は、上述の状態に関連する疼痛症状の管理だけでなく、疾患の進行それ自体の緩和をも包含する、すなわち、患者にとって臨床的に意義のある恩恵が得られるものとする。疾患の進行の緩和によって、疼痛は軽減または除去され得る。疾患の進行の緩和によって、疼痛が軽減または除去され、症状発生までの間隔が延長され得ることがより好ましい。疾患の進行の緩和によって、疼痛が軽減または除去され、症状発生までの間隔が延長され、手術の必要が減少し得ることがさらにより好ましい。疾患の進行の緩和によって、疼痛が軽減または除去され、症状発生までの間隔が延長され、手術の必要が減少し、妊孕性が保存および/または改善され得ることが最も好ましい。
【0180】
本発明の式(I)の化合物は、様々な疾患状態の治療においてEP2拮抗薬として有用である。前記EP2拮抗薬は、Kiとして示すEP2受容体での機能的効力が、約1000nM未満であることが好ましく、より好ましくは500nM未満、さらにより好ましくは約100nM未満、さらにより好ましくは約50nM未満であり、EP2機能的効力の前記Kiの測定は、以下のプロトコル1を使用して実施することができる。このアッセイを使用すると、本発明による化合物は、Kiとして示すEP2受容体での機能的効力が1000nM未満となる。
【0181】
このアッセイを使用すると、本発明による化合物は、Kiとして示すEP2受容体での機能効力が1000nM未満となる。
【0182】
本明細書では、好ましい化合物は、EP2受容体での機能的効力が、本明細書で以前に規定したとおりであり、DP1に優先してEP2に選択的である。前記EP2拮抗薬は、DP1に優先してEP2に対して選択性を有することが好ましく、前記EP2受容体拮抗薬は、EP2受容体に対して、DP1受容体と比べて少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20倍、より好ましくは少なくとも約30倍、さらにより好ましくは少なくとも約100倍、さらにより好ましくは少なくとも約300倍、さらにまたより好ましくは少なくとも約500倍、特に少なくとも約1000倍選択的に機能し、前記の相対的な選択性評価は、本明細書に記載のアッセイを使用して実施することのできるDP1およびEP2機能的効力の測定に基づく。DP1活性は、以下のプロトコル2を使用して測定する。
【0183】
前記EP2拮抗薬は、EP4に優先してEP2に対して選択性を有することが好ましく、前記EP2受容体拮抗薬は、EP2受容体に対して、EP4受容体と比べて少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約30倍、より好ましくは少なくとも約100倍、さらにより好ましくは少なくとも約300倍、さらにまたより好ましくは少なくとも約500倍、特に少なくとも約1000倍選択的に機能し、前記の相対的な選択性評価は、本明細書に記載のアッセイを使用して実施することのできるEP4およびEP2機能効力の測定に基づく。EP4活性は、以下のプロトコル3を使用して測定する。
【0184】
EP2拮抗薬は、DP1およびEP4に優先してEP2に対して選択性を有することが最も好ましく、前記EP2受容体拮抗薬は、EP2受容体に対して、DP1およびEP4受容体と比べて少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約30倍、より好ましくは少なくとも約100倍、さらにより好ましくは少なくとも約300倍、さらにまたより好ましくは少なくとも約1000倍選択的に機能する。
【0185】
本発明の化合物は、以下で述べるスクリーンで試験することができる。
【0186】
1.0 CHO細胞中での組換え型ヒトプロスタグランジンE2受容体に対する化合物のin vitro拮抗薬効力(IC50)の測定
プロスタグランジンE2(EP−2)受容体は、Gs共役型であり、PGE2によるこの受容体への作動薬作用によって、セカンドメッセンジャーシグナル伝達分子であるアデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)を合成する細胞内アデニル酸シクラーゼ酵素が活性化される。組換え型ヒトEP−2受容体を発現するCHO細胞を、EC50値にほぼ等しいPGE2(5nM)で刺激すると、最大cAMPシグナルが得られる。刺激した組換え型EP−2細胞を潜在的な拮抗薬化合物で処理した後のcAMPレベルの低下を測定し、効力(IC50)を以下のように算出した。
【0187】
標準の分子生物学の方法を使用して、ヒトプロスタグランジンE2をコードしている全長cDNAがしっかりと形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系を樹立した。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に4mMで溶解させた。試験化合物の11段階の半対数単位連続漸増希釈物をDMSO中に調製し、次いでリン酸緩衝溶液(PBS)と0.05%プルロニックF−127界面活性剤とからなる緩衝液で40倍に希釈した。新たに培養した集密度80〜90%の細胞を回収し、90%の増殖培地/10%のDMSOに再懸濁した。平型フリーザーを使用して細胞を凍結させ、クライオバイアル中の凍結した等分試料として液体窒素中で実験日まで保存した。1バイアルの細胞を37℃の水浴で2分間かけて解凍し、次いで10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に移した。次いで細胞を1000gで5分間遠心分離し、ペレットを1000000細胞/mlでDMEMに再懸濁した。5000個の細胞(5ul)を384ウェルアッセイプレート中の5ulの化合物連続希釈物に加え、37℃で30分間プレインキュベートした。5ulの作動薬(PBS中15nMのPGE2で5nMのFACを得る)を加え、プレートを37℃で90分間さらにインキュベートした。次いで、英国GE HealthcareからDiscoverx cAMP IIキットとしてキットの形で購入したβ−ガラクトシダーゼ酵素断片相補性法を使用して、各ウェルの相対cAMP濃度を測定した。各アッセイウェルからの発光の読みを、最大の効果を示すことが実証されている30uMのS−5751(シオノギ、たとえば米国特許第6693203号を参照されたい)に相当する最大対照ウェルに対するパーセント効果に変換した。シグモイド曲線を、log10阻害剤濃度対パーセント効果のプロットに適合させた。IC50推定値を、シグモイド用量反応曲線の下上の漸近線の中間点の効果を与える試験化合物の濃度として決定した。各実験に基準物質としての文献化合物のIC50測定を含めて、アッセイの一貫性を追跡し、異なる実験で得られる値間の公正な比較を可能にした。PGE2のEC50をこのアッセイにおけるリガンド濃度と組み合わせて用い、Cheng−Prusoffの式を使用して拮抗薬用量反応のKi値を求める。したがって、この拮抗薬プレートと同じインキュベートを使用して、各実験について作動薬用量反応曲線を作成する。
【0188】
2.0 CHO細胞における組換え型ヒトプロスタグランジンD1受容体に対する化合物のin vitro拮抗薬効力(IC50)の測定
プロスタグランジンD1(DP−1)受容体はGs結合型であり、PGE2によるこの受容体への作動薬作用によって、セカンドメッセンジャーシグナル伝達分子であるアデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)を合成する細胞内アデニル酸シクラーゼ酵素が活性化される。組換え型ヒトDP−1受容体を発現するCHO細胞をEC70値にほぼ等しいBW245C(10nM)で刺激すると、最大cAMPシグナルが得られる。刺激した組換え型DP−1細胞を潜在的な拮抗薬化合物で処理した後のcAMPレベルの低下を測定し、効力(IC50)を以下のように算出した。
【0189】
標準の分子生物学の方法を使用して、ヒトプロスタグランジンD1をコードしている全長cDNAがしっかりと形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系を樹立した。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に4mMで溶解させた。試験化合物の11段階の半対数単位連続漸増希釈物をDMSO中に調製し、次いでリン酸緩衝溶液(PBS)と0.05%のプルロニックF−127界面活性剤とからなる緩衝液で40倍に希釈した。新たに培養した集密度80〜90%の細胞を回収し、90%の増殖培地/10%のDMSOに再懸濁した。平型フリーザーを使用して細胞を凍結させ、クライオバイアル中の凍結した等分試料として液体窒素中で実験日まで保存した。1バイアルの細胞を37℃の水浴で2分間かけて解凍し、次いで10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に移した。次いで細胞を5分間1000gで遠心分離し、ペレットをDMEMに1000000細胞/mlで再懸濁した。5000個の細胞(5ul)を384ウェルアッセイプレート中の5ulの化合物連続希釈物に加え、37℃で30分間プレインキュベートした。5ulの作動薬(30nMのPBS中BW245Cで10nMのFACを得る)を加え、プレートを37℃で90分間さらにインキュベートした。次いで、英国GE HealthcareからDiscoverx cAMP IIキットとしてキットの形で購入したβ−ガラクトシダーゼ酵素断片相補性法を使用して、各ウェルの相対cAMP濃度を測定した。各アッセイウェルからの発光の読みを、最大の効果を示すことが実証されている30uMのS−5751に相当する最大対照ウェルに対するパーセント効果に変換した。シグモイド曲線を、log10阻害剤濃度対パーセント効果のプロットに適合させた。IC50推定値を、シグモイドの用量反応曲線の上下の漸近線の中間点の効果を与える試験化合物の濃度として決定した。各実験に基準物質としての文献化合物のIC50測定を含めて、アッセイの一貫性を追跡し、異なる実験で得られる値間の公正な比較を可能にした。BW245CのEC70をこのアッセイにおけるリガンド濃度と組み合わせて用い、Cheng−Prusoffの式を使用して拮抗薬用量反応のKi値を求める。したがって、拮抗薬プレートと同じインキュベートを使用して、各実験について作動薬用量反応曲線を作成する。
【0190】
3.0 CHO細胞における組換え型ヒトプロスタグランジンE4受容体に対する化合物のin vitro拮抗薬効力(IC50)の測定
プロスタグランジンE4(EP−4)受容体は、Gs結合型であり、PGE2によるこの受容体への作動薬作用によって、セカンドメッセンジャーシグナル伝達分子であるアデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)を合成する細胞内アデニル酸シクラーゼ酵素が活性化される。組換え型ヒトEP−4受容体を発現するCHO細胞をEC50値にほぼ等しいPGE2(6nM)で刺激すると、最大cAMPシグナルが得られる。刺激した組換え型EP−2細胞を潜在的な拮抗薬化合物で処理した後のcAMPレベルの低下を測定し、効力(IC50)を以下のように算出した。
【0191】
標準の分子生物学の方法を使用して、ヒトプロスタグランジンE4をコードしている全長cDNAがしっかりと形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系を樹立した。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に4mMで溶解させた。試験化合物の11段階の半対数単位連続漸増希釈物をDMSO中に調製し、次いでリン酸緩衝溶液(PBS)と0.05%プルロニックF−127界面活性剤とからなる緩衝液で40倍に希釈した。新たに培養した集密度80〜90%の細胞を回収し、90%の増殖培地/10%のDMSOに再懸濁した。平型フリーザーを使用して細胞を凍結させ、クライオバイアル中の凍結した等分試料として液体窒素中で実験日まで保存した。1バイアルの細胞を37℃の水浴中で2分間かけて解凍し、次いで10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に移した。次いで細胞を5分間1000gで遠心分離し、ペレットをDMEMに1000000細胞/mlで再懸濁した。5000個の細胞(5ul)を384ウェルアッセイプレート中の5ulの化合物連続希釈物に加え、37℃で30分間プレインキュベートした。5ulの作動薬(6nMのPBS中PGE2で2nMのFACを得る)を加え、プレートを37℃で90分間さらにインキュベートした。次いで、英国GE HealthcareからDiscoverx cAMP IIキットとしてキットの形で購入したβ−ガラクトシダーゼ酵素断片相補性法を使用して、各ウェルの相対cAMP濃度を測定した。各アッセイウェルからの発光の読みを、最大の効果を示すことが実証されている30uMの4−{(S)−1−[5−クロロ−2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−ベンゾイルアミノ]−エチル}−安息香酸(WO2005105733)に相当する最大対照ウェルに対するパーセント効果に変換した。シグモイド曲線を、log10阻害剤濃度対パーセント効果のプロットに適合させた。IC50推定値を、シグモイド用量反応曲線の上下の漸近線の中間点の効果を与える試験化合物の濃度として決定した。各実験に基準物質としての文献化合物のIC50測定を含めて、アッセイの一貫性を追跡し、異なる実験で得られる値間の公正な比較を可能にした。PGE2のEC50をこのアッセイのリガンド濃度と組み合わせて用い、Cheng−Prusoffの式を使用して拮抗薬用量反応のKi値を求める。したがって、拮抗薬プレートと同じインキュベートを使用して、各実験について作動薬用量反応曲線を作成する。
【0192】
【表1】

【0193】
本発明は、式(I)の化合物のすべての多形体およびその晶癖を包含する。
【0194】
本発明の化合物は、従来技術の化合物よりも、強力であり、作用の持続時間が長く、広い範囲の活性を有し、安定であり、副作用が少ないもしくは選択的であり、または有用な他の性質をもつという利点を有するといえる。
【0195】
したがって、本発明は、以下のものを提供する。
(i)式(I)の化合物または薬学的に許容できるその誘導体、
(ii)式(I)の化合物または薬学的に許容できるその誘導体の調製方法、
(iii)式(I)の化合物または薬学的に許容できるその誘導体を、薬学的に許容できる希釈剤、担体、または佐剤と共に含む医薬組成物、
(iv)医薬として使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる誘導体もしくは組成物、
(v)EP2拮抗作用が利益となる障害を治療する医薬として使用するための式(I)の化合物、
(vi)子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および/もしくは続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、または慢性骨盤痛症候群を治療する医薬を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる誘導体もしくは組成物の使用、
(vii)子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および/もしくは続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、または慢性骨盤痛症候群の治療で使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる誘導体もしくは組成物、
(viii)疾患または障害が子宮内膜症および/または子宮筋腫(平滑筋腫)である、(vi)にあるような使用、
(ix)疾患または障害が子宮内膜症および/または子宮筋腫(平滑筋腫)である、(viii)にあるような化合物、
(x)子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、慢性骨盤痛症候群を治療するための哺乳動物の治療方法であって、前記哺乳動物を有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる誘導体もしくは組成物で治療することを含む方法、
(xi)疾患または障害が子宮内膜症および/または子宮筋腫(平滑筋腫)である、(x)にあるような方法、
(xii)本明細書で記載する新規な中間体、
(xiii)本明細書で記載する組合せ、
(xiv)実質的に本明細書で記載する化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、方法、治療方法、併用療法、中間体、または医薬組成物。
【0196】
本発明の他の態様は、特許請求の範囲から明らかとなろう。
【実施例】
【0197】
以下の調製例および実施例は本発明を例示するものであり、いかなる点でも本発明を限定しない。出発材料はすべて、市販品として入手でき、または文献に記載されている。温度はすべて℃とする。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(9385)を使用して実施した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merckシリカゲル60プレート(5729)で実施した。「R」は、TLCプレート上で化合物が移動した距離を溶媒の先頭が移動した距離で割ったものを表す。融点は、Gallenkamp MPD350装置を使用して決定し、補正していない。NMRは、Varian−Unity Inova 400MHz NMR分光計またはVarian Mercury 400MHz NMR分光計を使用して実施した。質量分析は、Finnigan Navigator単収束四極子型エレクトロスプレー質量分析計またはFinnigan aQa APCI質量分析計を使用して実施した。
【0198】
化合物をより前の調製例または実施例について記載した方法で調製したことを述べる場合、当業者ならば、反応時間、試薬の当量数、および反応温度がそれぞれの特定の反応向けに変更されている場合もあること、また異なる後処理もしくは精製条件を用いることがやはり必要または望ましい場合もあることがわかるであろう。
【0199】
本発明を以下の非限定的な実施例によって例示するが、実施例では、以下の略語および定義を使用する。
【0200】
【表2】

疑義を避けるために、本明細書で使用する命名された化合物は、ACD Labs Name Software v7.11(商標)を使用して命名した。
【0201】
化合物をHPLCによって精製する場合、以下で示す3通りの方法を使用する。
【0202】
【表3】

【0203】
【表4】

【0204】
(実施例1)
1−(4−クロロベンゾイル)−3−{[(4’−シアノビフェニル−4−イル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0205】
【化14】

1−(4−クロロベンゾイル)−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル(50mg、0.15mmol)(調製例8を参照のこと)をジメチルスルホキシド(3ml)に溶かした撹拌した溶液に、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボニトリル(30.9mg、0.15mmol)および炭酸カリウム(109mg、0.79mmol)を加えた。得られる混合物を130℃で0.25時間撹拌した。次いで水(1mL)を加え、得られる反応混合物を80℃で10分間加熱した。次いでこれを冷ました後、塩酸水溶液(2M、5mL)とジクロロメタン(5mL)とに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣の褐色の油状物をHPLC(方法a)によって精製した。
LCMS Rt 3.54分、ES m/z 446[M+H]
【0206】
実施例2〜13は、式(II)の適切なハロ化合物と式(III)の適切なアルコールから出発して、実施例1について上述した方法に従って調製した。
【0207】
【化15】

【0208】
【表5−1】

【0209】
【表5−2】

【0210】
(実施例14a)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0211】
【化16】

1−(4−フルオロベンゾイル)−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル(37.1g、0.12mol)(調製例5を参照のこと)をジメチルスルホキシド(200mL)に溶かした撹拌した溶液に、2−ヒドロキシ−6−メトキシナフタレン(32.3g、0.19mol)および炭酸カリウム(51.3g、0.37mol)を加えた。得られる混合物を120℃で50分間撹拌した。水(50mL)を加え、反応混合物を80℃で1時間加熱し、次いで冷ました後、塩酸水溶液(2M、1.2L)と酢酸エチル(1.5L)とに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣の褐色の固体をジエチルエーテル(1.5L)で摩砕し、得られるピンク色の固体を濾過によって収集した。次いで、ピンク色の固体を、97.5/2.5/0.25のジクロロメタン/メタノール/酢酸を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を淡いピンク色の固体として収率77%39.3gで得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:3.84(s,3H)、4.27(d,1H)、4.42(m,2H)、4.44(s,2H)、4.67(d,1H)、7.07(m,2H)、7.20(m,4H)、7.63(m,2H)、7.72(m,2H)、ES m/z 410[M+H]
【0212】
(実施例14b)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0213】
【化17】

1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチル(50.0g、114mmol)(調製例33を参照のこと)をアセトニトリル(500ml)に懸濁させ、ナトリウムトリメチルシラノラート(14.1g、126mmol)および水(2.05mL、114mmol)を加えた。懸濁液を周囲温度で4時間撹拌した。次いで10%(v/v)のリン酸水溶液(100mL、171mmol)を加え、反応混合物を周囲温度で1時間、次いで0℃でさらに2時間撹拌した。沈殿を収集し、水(2×250mL)で2回洗浄し、減圧下で乾燥させて、表題化合物を白色固体として収率85%、39.5gで得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:3.84(s,3H)、4.27(d,1H)、4.42(m,2H)、4.44(s,2H)、4.67(d,1H)、7.07(m,2H)、7.20(m,4H)、7.63(m,2H)、7.72(m,2H);ES m/z 410[M+H]
【0214】
実施例15〜38は、式(II)の適切なハロ化合物および式(III)の適切なアルコールから出発して、実施例14について上述した方法に従って調製した。
【0215】
【化18】

【0216】
【表6−1】

【0217】
【表6−2】

【0218】
【表6−3】

【0219】
(実施例39)
3−{[(2’−クロロビフェニル−4−イル)オキシ]メチル}−1−(4−フルオロベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0220】
【化19】

3−[(4−ブロモフェノキシ)メチル]−1−(4−フルオロベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸(30mg、0.07mmol)(調製例9を参照のこと)を1,4−ジオキサンおよび水(1:1、3mL)に溶かした撹拌した溶液に、2−クロロフェニルボロン酸(23mg、0.147mmol)、炭酸セシウム(50mg、0.147mmol)、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(8.5mg、0.007mmol)を加えた。混合物を0.5時間かけて100℃に加熱した。次いで反応混合物を冷ました後、ジエチルエーテル(15mL)と2M水酸化ナトリウム(10mL)とに分配した。水層を塩酸水溶液(2N、15mL)で酸性にし、ジエチルエーテル(15mL)で抽出した。ジエチルエーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られる残渣をジエチルエーテル/ペンタン(1:1)で摩砕して、表題化合物をオフホワイトの固体として収率71%で得た(22mg)。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:4.12(d,1H)、4.28(d,1H)、4.37(d,1H)、4.43(s,2H)、4.60(d,1H)、7.03(d,2H)、7.25〜7.41(m,7H)、7.54(d,1H)、7.76(m,2H);LRMS APCI m/z 440[MH]
【0221】
実施例40〜44は、適切なハロゲン化アリールと適切なボロン酸から出発して、実施例39について上述した方法に従って調製した。
【0222】
【表7】

【0223】
(実施例45)
1−ベンゾイル−3−{[(5−フェニルピラジン−2−イル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0224】
【化20】

水素化ナトリウム(11mg、0.28mmol)を室温で無水ジメチルスルホキシド(1mL)に加え、窒素雰囲気中にて30分間撹拌した。次いで、1−ベンゾイル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸(30mg、0.13mmol)(調製例15を参照のこと)のジメチルスルホキシド(1mL)溶液を滴下し、得られる混合物を室温で15分間撹拌した。次いで2−クロロ−5−フェニルピラジン(27mg、0.14mmol)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。次いで反応混合物を水(15mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×15mL)で洗浄した。水層を塩酸水溶液(2N、2mL)で酸性にし、ジエチルエーテル(3×15mL)で抽出した。これらのジエチルエーテル層を組み合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られる残渣を、酢酸エチル:メタノール:酢酸(95:5:1)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、熱ジエチルエーテルから結晶化した後、表題化合物を白色固体として収率60%で得た(30mg)。
H NMR(400MHz,DMSO−D6)δ:4.16(d,1H)、4.27(d,1H)、4.40(d,1H)、4.51(d,1H)、4.74(s,2H)、7.4〜7.56(m,6H)、7.68(d,2H)、8.01(d,2H)、8.38(s,1H)、8.80(s,1H)、13.3(br s,1H);LRMS APCI m/z 390[MH]
【0225】
実施例46〜49は、式(VI)の適切なアルコールと適切な塩化物から出発して、実施例45について上述した方法に従って調製した。
【0226】
【化21】

【0227】
【表8】

【0228】
(実施例50)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}−N−(メチルスルホニル)アゼチジン−3−カルボキサミド
【0229】
【化22】

1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボキサミド(55mg、0.13mmol)(調製例20を参照のこと)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に、窒素雰囲気中にて−60℃で、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mのテトラヒドロフラン溶液130μL、0.13mmol)を滴下した。得られる混合物を−40℃に温め、次いで塩化メタンスルホニル(10.4μL、0.13mmol)を加えた。得られる混合物を室温に温め、塩化アンモニウム飽和水溶液(1mL)で失活させた。混合物をジエチルエーテル(25mL)とアンモニア溶液(0.880)(25mL)とに分配した。水層を6M HClでpH1に酸性化し、酢酸エチル(25mL)で抽出した。有機抽出物を水(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をHPLC(方法a)によって精製した。
LCMS RT 3.55分、m/z 485[M−H]
【0230】
(実施例51)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0231】
【化23】

1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸(150mg、0.36mmol)(実施例14を参照のこと)をジクロロメタン(3mL)に懸濁させた撹拌した懸濁液に、クロロギ酸エチル(38μL、0.40mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌した。次いでアンモニア溶液(0.880)(29μL、0.44mmol)を加え、得られる混合物をさらに2時間撹拌した。次いでこれを水(20mL)で分配し、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘプタン:酢酸エチルの勾配(80:20→0:100)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を透明な油状物として収率63%で得た(102mg)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.27(t,3H)、3.91(s,3H)、4.28(q,2H)、4.44(m,6H)、7.12(m,6H)、7.64(m,2H)、7.72(m,2H);LRMS ES m/z 438[MH]
【0232】
(実施例52)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボニトリル
【0233】
【化24】

1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸(100mg、0.24mmol)(実施例14を参照のこと)の入ったテトラヒドロフラン(4mL)に、トリエチルアミン(238μL、1.71mmol)、塩化アンモニウム(39mg、0.73mmol)、次いで1−プロピルホスホン酸環状無水物(酢酸エチル中50重量%、466mg、0.73mmol)を加えた。得られる混合物を還流温度で18時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)とに分配した。次いで有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテル(15mL)で摩砕した。液体をデカントし、残りの固体を減圧下で乾燥させ、表題化合物をオフホワイトの固体として収率94%で得た(90mg)。
LRMS ES 391[MH];R 0.75;DCM/MeOH 95:5。
【0234】
注 実施例53は、以下で調製例9として述べる。
【0235】
(実施例54)
3−{[(4’−クロロビフェニル−4−イル)オキシ]メチル}−1−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)カルボニル]アゼチジン−3−カルボン酸
【0236】
【化25】

表題化合物は、3−(クロロメチル)−1−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)カルボニル]アゼチジン−3−カルボン酸エチル(22mg、0.07mmol)(調製例24を参照のこと)および4−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル(14mg、0.07mmol)を使用し、実施例1に記載の方法に従って調製して、HPLC精製後に表題化合物を得た。
LCMS Rt 2.51分、ES m/z 463[MH](方法a)
【0237】
実施例55〜59は、式(II)の適切なハロ化合物と式(III)の適切なアルコールから出発して、実施例54について上述した方法に従って調製した。
【0238】
【化26】

【0239】
【表9】

【0240】
(実施例60)
1−[(4−フルオロフェノキシ)カルボニル]−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0241】
【化27】

3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチルトシル酸塩(50mg、0.10mmol)(調製例28を参照のこと)をジクロロメタン(2mL)に溶かした撹拌した溶液に、炭酸水素ナトリウム(43.1mg、0.513mmol)およびクロロ炭酸4−フルオロフェニル(19.7mg、0.113mmol)を加えた。得られる混合物を17時間撹拌した。次いでこれをジクロロメタン(2mL)で希釈し、水(2mL)で洗浄した。相分離カートリッジを使用して層を分離し、有機層を減圧下で濃縮して、無色の油状物を得た。得られる油状物をエタノール(2mL)に溶解させ、1M NaOH(0.10mmol)を加えた。反応液を70℃で1時間加熱し、次いで終夜室温に保った。溶液を2M HClで酸性化し、酢酸エチル(5mL)で抽出し、有機層を減圧下で濃縮し、残渣をDMSO(1mL)に溶解させ、HPLCによって精製した。
LCMS Rt 2.97分、ES m/z 426[MH](方法a)
【0242】
実施例61および62は、式(IX)の適切なアゼチジンと適切なクロロカルボナートから出発して、実施例60について上述した方法に従って調製した。
【0243】
【化28】

【0244】
【表10】

【0245】
(実施例63)
1−{[(3−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0246】
【化29】

3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチルトシル酸塩(50mg、0.10mmol)(調製例28を参照のこと)の入ったジクロロメタン(1mL)に、トリエチルアミン(44.3μL、0.318mmol)、次いで1−フルオロ−3−イソシアナトベンゼン(14.1mg、0.10mmol)を加えた。得られる混合物を窒素中で17時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(2mL)で希釈し、水(2mL)で洗浄した。相分離カートリッジを使用して層を分離し、有機層を減圧下で濃縮した。得られる残渣をエタノール(2mL)に溶解させ、5M NaOH(0.5mL)を加えた。反応混合物を70℃で1時間加熱し、次いで室温で17時間撹拌した。次いで反応混合物を2M HClで酸性化し、酢酸エチル(2mL)で抽出した。有機層を減圧下で濃縮し、得られる残渣をDMSO(1mL)に溶解させ、次いでHPLCによって精製した。LCMS Rt 2.29分、ES m/z 425[MH](方法a)
【0247】
実施例64〜66は、式(IX)の適切なアゼチジンと適切なイソシアナートから出発して、実施例63について上述した方法に従って調製した。
【0248】
【化30】

【0249】
【表11】

【0250】
(実施例67)
1−{[(2,3−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}−3−[(4−プロポキシフェノキシ)メチル]アゼチジン−3−カルボン酸
【0251】
【化31】

3−(クロロメチル)−1−{[(2,3−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}アゼチジン−3−カルボン酸エチル(80mg、0.219mmol)(調製例29を参照のこと)をDMF(2ml)に溶かした撹拌した溶液に、ヨウ化ナトリウム(33mg、0.219mmol)、4−プロポキシフェノール(67mg、0.438mmol)、およびCsCO(360mg、1.09mmol)を加えた。得られる混合物を90℃で18時間撹拌した。水(5ml)およびメタノール(5ml)を加え、得られる反応混合物を室温で30分間撹拌した。次いで2M HCl(1.5mL)を加え、得られる油性懸濁液を水(20ml)とジクロロメタン(20ml)とに分配した。ジクロロメタン層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、暗赤色の油状物を得た。油状物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液としてのジクロロメタン:メタノール:酢酸 100:0:0から90:10:1に漸増)によって精製して、表題化合物を赤色の油状物として得た。油状物をHPLC(方法C)によって精製して、表題化合物をオフホワイトの固体として収率4%で得た(4mg)。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.03(t,3H)、1.72〜1.81(m,2H)、3.87(t,2H)、4.16(d,2H)、4.32(s,2H)、4.38(d,2H)、6.83〜6.92(m,4H)、7.24〜7.34(m,2H)、7.65(m,1H);LRMS ESCI m/z 453[M−H]
【0252】
(実施例68)
3−[(2,3−ジメチルフェノキシ)メチル]−1−({[4−(メチルチオ)フェニル]アミノ}カルボニル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0253】
【化32】

3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩の溶液(0.25Mの1,2−ジクロロエタン溶液を600μL、150μmol)(調製例4を参照のこと)に、トリエチルアミン(0.25Mの1,2−ジクロロエタン溶液1300μL)および1−イソシアナト−4−(メチルチオ)ベンゼン(0.25Mの1,2−ジクロロエタン溶液650μL)を加えた。バイアルにふたをし、室温で16時間渦撹拌した。水(2mL)を加え、次いでバイアルを渦撹拌し、遠心分離した。水層(1.8mL)を除去し、追加の飽和NaHCO水溶液(2mL)を有機層に加えた。次いでこれを渦撹拌し、再度遠心分離した。有機層(1.8mL)を収集バイアルに移した。1,2−ジクロロエタン(2mL)を水層に加え、次いでこれを渦撹拌し、再度遠心分離した。有機層を合わせて有機層(2mL)を収集バイアルに移した。減圧下で溶媒を除去した。
【0254】
得られる残渣に無水DMF(600μL)を加えた後、炭酸セシウム(150mg)、ヨウ化ナトリウム溶液(0.25Mの無水DMF溶液を600μL、150μmol)、および2,3−ジメチルフェノール(0.5Mの無水DMF溶液を600μL、300μmol)を加え、バイアルにふたをし、温度80℃で20時間振盪した。減圧下で溶媒を除去した。バイアルにテトラヒドロフラン(1000μL)を加えた後、メタノール(1500μL)および水酸化リチウム溶液(0.5M水溶液を400μL)を加えた。バイアルにふたをし、室温で12時間振盪した。次いで2M HCl(300μL)を加え、バイアルを渦撹拌した。次いで反応液を減圧下で濃縮し、得られる残渣をメタノール(800μL)および水(400μL)に溶解させて精製した。LRMS ES m/z 401[MH]
【0255】
実施例69〜72は、式(V)の適切なアゼチジンと適切なイソシアナート、次いで式(III)の適切なフェノールから出発して、実施例68について上述した方法に従って調製した。
【0256】
【化33】

【0257】
【表12】

【0258】
(調製例1)
N−ベンジル−3−クロロ−2,2−ビス(クロロメチル)プロパンアミド
【0259】
【化34】

3−クロロ−2,2−ジクロロメチルプロピオン酸(48.4g、236.0mmol)のトルエン(240mL)溶液に、塩化チオニル(20.5mL、283.0mmol)を加えた。混合物を還流温度で17時間撹拌し、その後これを減圧下で濃縮し、ジクロロメタンと共沸させて、酸塩化物をクリーム色の固体として得た。
【0260】
酸塩化物(52.5g、234.0mmol)のトルエン(340mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(49.0mL、352.0mmol)およびベンジルアミン(28.1mL、258.0mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、その後これを減圧下で部分的に濃縮し、次いで、濾過によって収集した固体をトルエン(100mL)、続いて水(500mL)で洗浄して、表題化合物を白色固体として収率83.1%、57.4gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:3.92(s,6H)、4.52(d,2H)、6.20(s,1H)、7.33(m,5H)、LRMS APCI m/z 294[MH]
【0261】
(調製例2)
1−ベンジル−3,3−ビス(クロロメチル)アゼチジン−2−オン
【0262】
【化35】

N−ベンジル−3−クロロ−2,2−ビス(クロロメチル)プロパンアミド(57.4g、195.0mmol)(調製例1を参照のこと)および臭化テトラブチルアンモニウム(12.6g、39.0mmol)の入ったジクロロメタン(230mL)に、水酸化ナトリウム水溶液(10M、58.5mL、585.0mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで水(500mL)とジクロロメタン(200mL)とに分配した。水層をジクロロメタン(50mL)で抽出し直し、有機抽出物を合わせて水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮した。次いで残渣を、ジクロロメタンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を褐色の油状物として収率100%、50.5gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:3.24(s,2H)、3.84(s,4H)、4.42(s,2H)、7.35(m,5H);LRMS APCI m/z 258[MH]
【0263】
(調製例3)
1−ベンジル−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩
【0264】
【化36】

1−ベンジル−3,3−ビス(クロロメチル)アゼチジン−2−オン(50.4g、195.0mmol)(調製例2を参照のこと)のエタノール(210mL)溶液に、0℃でナトリウムエトキシド(エタノール中21重量%、66.3mL、205.0mmol)のエタノール(70mL)溶液を加えた。混合物を還流温度で20時間撹拌し、次いで水(200mL)とジクロロメタン(300mL)とに分配した。水層をジクロロメタン(100mL)で抽出し直し、次いで、合わせた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、橙色の油状物を得た。油状物のジクロロメタン(100mL)溶液を塩化水素のジエチルエーテル溶液(1M、250mL)で処理し、得られるゴム質の沈殿を酢酸エチルで摩砕して、表題化合物を白色固体として収率73.2%、43.5gで得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:1.32(t,3H)、4.11(s,2H)、4.31(m,4H)、4.47(m,4H)、7.51(m,5H);LRMS APCI m/z 268[MH]
【0265】
(調製例4)
3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩
【0266】
【化37】

1−ベンジル−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(57.0g、187.4mmol)(調製例3を参照のこと)の入ったエタノール(200mL)に水酸化パラジウム(炭素上20%、5.7g)を加え、3時間かけて水素化した(30psi、60℃)。反応混合物をArbocel(商標)で濾過し、次いで濾液を減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテル(100mL)で摩砕すると、表題化合物が白色固体として収率96.0%、38.5gで得られた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.30(t,3H)、4.05(d,2H)、4.19(s,2H)、4.25(d,2H)、4.30(q,2H);LRMS APCI m/z 178[MH]
【0267】
(調製例5)
3−(クロロメチル)−1−(4−フルオロベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0268】
【化38】

3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(37.7g、176.1mmol)(調製例4を参照のこと)の入ったテトラヒドロフラン(300mL)に、0℃で塩化4−フルオロベンゾイル(27.9g、176.0mmol)およびトリエチルアミン(53.9mL、380.0mmol)を加えた。反応混合物を2時間撹拌し、その後ジエチルエーテル(200mL)を加えた。次いで混合物を減圧下で濃縮して、表題化合物を赤色の油状物として収率99.8%、52.7gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.31(t,3H)、3.92(m,2H)、4.19(m,2H)、4.28(q,2H)、4.37(m,1H)、4.64(m,1H)、7.10(m,2H)、7.67(m,2H)
【0269】
(調製例6)
1−ベンゾイル−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0270】
【化39】

表題化合物は、3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(2.00g、7.73mmol)(調製例4を参照のこと)および塩化ベンゾイル(1.20g、8.51mmol)を使用し、調製例5の方法に従って調製して、表題化合物を透明な油状物として収率64%、1.43gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.35(t,3H)、3.92(m,1H)、4.00(m,1H)、4.18(m,2H)、4.50(q,2H)、4.60(d,1H)、4.64(d,1H)、7.40〜7.54(m,3H)、7.65(d,2H);LRMS APCI m/z 282[MH]
【0271】
(調製例7)
3−(クロロメチル)−1−(4−エトキシベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0272】
【化40】

表題化合物は、3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(300mg、1.16mmol)(調製例4を参照のこと)および塩化4−エトキシベンゾイル(214mg、1.16mmol)を使用し、調製例5の方法に従って調製して、表題化合物を褐色の油状物として収率100%、378mgで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.32(t,3H)、1.43(t,3H)、3.84〜4.24(m,6H)、4.27(q,2H)、4.40(br s,1H)、4.64(br s,1H)、6.92(d,2H)、7.62(d,2H);LRMS APCI m/z 326[MH]
【0273】
(調製例8)
1−(4−クロロベンゾイル)−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0274】
【化41】

表題化合物は、3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(600mg、2.32mmol)(調製例4を参照のこと)および塩化4−クロロベンゾイル(447mg、2.55mmol)を使用し、調製例5の方法に従って調製して、表題化合物を透明な油状物として収率76%、558mgで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.36(t,3H)、3.85〜4.05(m,2H)、4.18(m,2H)、4.50(q,2H)、4.60(d,1H)、4.83(d,1H)、7.41(d,2H)、7.60(d,2H);LRMS APCI m/z 316[MH]
【0275】
(調製例9)(実施例53)
3−[(4−ブロモフェノキシ)メチル]−1−(4−フルオロベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0276】
【化42】

表題化合物は、3−(クロロメチル)−1−(4−フルオロベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル(670mg、2.23mmol)(調製例5を参照のこと)および4−ブロモフェノール(967mg、5.59mmol)を使用し、実施例1について述べた方法に従って調製して、表題化合物をピンク色の固体として収率55%、503mgで得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:4.04(bm,1H)、4.21(bm,1H)、4.25〜4.36(bm,3H)、4.53(bm,1H)、6.88(d,2H)、7.24(bm,2H)、7.41(d,2H)、7.70(bm,2H);LRMS APCI m/z 410[MH]
【0277】
(調製例10)
1−ベンゾイル−3−{[(5−クロロピラジン−2−イル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸
【0278】
【化43】

無水ジメチルスルホキシド(4mL)に室温で水素化ナトリウム(95mg、2.38mmol)を加え、窒素雰囲気中で30分間撹拌した。次いで、1−ベンゾイル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸(255mg、1.08mmol)(調製例15を参照のこと)の入ったジメチルスルホキシド(1mL)を滴下し、得られる混合物を室温で15分間撹拌した。次いで2,5−ジクロロピラジン(194mg、1.3mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を水(15mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×15mL)で洗浄した。水層を塩酸水溶液(2M、2mL)で酸性にし、ジクロロメタン(2×15mL)で抽出した。ジクロロメタン層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られる残渣を、酢酸エチル:メタノール:酢酸(95:5:1)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を無色のゴム状物として収率80%、305mgで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:4.32(m,2H)、4.54(d,1H)、4.75(m,3H)、7.4〜7.56(m,3H)、7.65(d,2H)、8.04(s,1H)、8.14(s,1H);LRMS APCI m/z 348[MH]
【0279】
(調製例11)
3−[(アセチルオキシ)メチル]−1−ベンジルアゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0280】
【化44】

炭酸セシウム(307.8g、0.945mol)の水(1L)溶液に、氷浴で冷却し、撹拌しながら、酢酸(163mL、2.84mol)と水(200mL)の混合物を加えた。得られる混合物を室温で30分間撹拌し、次いでこれを減圧下で濃縮し、1,4−ジオキサン(3×300mL)と共沸させた。残渣を高真空中で乾燥させて、酢酸セシウム(263.5g、1.888mol)を白色粉末として得た。この生成物、1−ベンジル−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(63.0g、0.236mol)(調製例3を参照のこと)、およびヨウ化ナトリウム(70.8g、0.472mol)をジメチルスルホキシド(1L)に混ぜた混合物を、95〜100℃で8時間撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却した。水(1L)を加え、生成物をヘキサン/EtOAc混合物(1:1、5×500mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発にかけた。残渣を、ヘキサン/EtOAc 100:0→50:50を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を淡黄色の油状物として収率73%、50.0gで得た。
(R 0.16、EtOAc/ヘキサン 1:3)
【0281】
(調製例12)
1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0282】
【化45】

3−[(アセチルオキシ)メチル]−1−ベンジルアゼチジン−3−カルボン酸エチル(50.0g、172mmol)(調製例11を参照のこと)および炭酸カリウム(23.8g、172mmol)の入ったエタノール(1L)を、室温で6時間撹拌した。次いで反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(800mL)とクロロホルム(800mL)とに分配した。有機層を分離し、水層をクロロホルム(2×300mL)で抽出し直した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/EtOAc 90:10→50:50を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を淡黄色の油状物として収率50%、21.4gで得た。
(R 0.1、EtOAc/ヘキサン 1:1)
【0283】
(調製例13)
3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル
【0284】
【化46】

1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル(21.4g、85.8mmol)(調製例12を参照のこと)および二炭酸ジ−t−ブチル(19.7g、90.0mmol)の入ったテトラヒドロフラン(200mL)に、パラジウム(炭素上5%、9.2g)を加えた。反応混合物を16時間かけて水素化した(15psi)。触媒をCelite(登録商標)で濾過して除去し、エタノール(5×100mL)で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発にかけた。残渣を、ヘキサン/EtOAc 100:0→75:25を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を淡黄色の油状物として収率67%、15.0gで得た。
(R 0.33;EtOAc/ヘキサン 1:1);H NMR(400MHz,DMSO−D6)δ:1.20(t,3H)、1.37(s,9H)、3.70(d,2H)、3.77(d,2H)、3.94(d,2H)、4.14(q,2H)、5.20(t,1H)
【0285】
(調製例14)
1−ベンゾイル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0286】
【化47】

3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル(1.60g、6.17mmol)(調製例13を参照のこと)を、1,4−ジオキサン中4M塩化水素(10mL)に溶解させ、室温で18時間撹拌した。次いで反応混合物を減圧下で濃縮し、1,4−ジオキサン(15mL)と共沸させ、得られる残渣をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、トリエチルアミン(1.89mL、13.6mmol)を加えた。この混合物に、塩化ベンゾイル(0.72mL、6.17mmol)をゆっくりと加えた。次いで反応混合物を室温で2時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。得られる残渣をジエチルエーテル(200mL)と水(100mL)とに分配した。有機層を1M塩酸水溶液(50mL)、次いで2M炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発にかけて、表題化合物を無色の油状物として収率86%、1.4gで得た。
LRMS APCI m/z 264[MH]
【0287】
(調製例15)
1−ベンゾイル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0288】
【化48】

1−ベンゾイル−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチルエステル(1.4g、5.3mmol)(調製例14を参照のこと)の入ったメタノール(15mL)に、水酸化ナトリウム水溶液(2M、5mL)を加えた。混合物を3時間加熱還流し、冷却し、減圧下で濃縮した。得られる残渣を水(10mL)に溶解させ、ジエチルエーテル(10mL)で洗浄した。水層を2M塩酸水溶液(6mL)で酸性にし、酢酸エチル(5×10mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテル(5mL)で摩砕し、濾過して、表題化合物を白色固体として収率34%、500mgで得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:3.35(s,1H)、3.72(s,2H)、3.98(d,1H)、4.11(d,1H)、4.18(d,1H)、4.40(d,1H)、5.20(br s,1H)、7.40〜7.55(m,3H)、7.60(d,2H);LRMS APCI m/z 236[MH]
【0289】
(調製例16)
1−(4−クロロベンゾイル)−3−(ヒドロキシメチル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0290】
【化49】

1−(4−クロロベンゾイル)−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル(550mg、1.74mmol)(調製例8を参照のこと)および炭酸セシウム(2.83g、8.70mmol)の入ったジメチルホルムアミド(5mL)に、4−プロポキシ−フェノール(660mg、4.35mmol)を加えた。得られる混合物を80℃で6時間撹拌した。次いで水(5mL)を加え、反応混合物を60℃で30分間加熱し、次いで冷ました後、水(30mL)と酢酸エチル(30mL)とに分配した。水層を2M塩酸で酸性にし、次いでジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られる残渣を、ジクロロメタン:メタノール:酢酸(90:10:1)のジクロロメタン溶液(0%〜100%)の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(40g)によって精製して、表題化合物を褐色の固体として収率47%、220mgで得た。
H NMR(400MHz,DMSO−D6)δ:3.70(s,2H)、4.00(d,1H)、4.11(d,1H)、4.10(d,1H)、4.40(d,1H)、5.20(br s,1H)、7.51(d,2H)、7.65(d,2H)、12.8(br s,1H);LRMS APCI m/z 270[MH]
【0291】
(調製例17)
4−(5−クロロピリジン−2−イル)フェノール
【0292】
【化50】

2,5−ジクロロピリジン(12.0g、81.1mmol)、4−ヒドロキシベンゼンボロン酸(11.2g、81.1mmol)、および炭酸カリウム(11.2g、81.1mmol)をジオキサン(100mL)および水(100mL)に懸濁させた撹拌した懸濁液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(4.7g、4.05mmol)を加えた。得られる混合物を還流温度で2時間加熱した。混合物をジエチルエーテル(250mL)と水(250mL)とに分配した。有機相をブライン(150mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる残渣を、ジクロロメタン:メタノール(96:4)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物をオフホワイトの固体として収率81.1%、15.5gで得た。
LRMS ES m/z 204[M−H]
【0293】
(調製例18)
2−(4−クロロフェニル)−5−メトキシピリミジン
【0294】
【化51】

2−クロロ−5−メトキシピリミジン(6.70g、46.35mmol)を1,4−ジオキサン(66mL)および水(33mL)に溶かした撹拌した溶液に、4−クロロベンゼンボロン酸(7.25g、46.35mmol)を加えた。炭酸カリウム(6.41g、46.35mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.68g、46.35mmol)を加え、得られる混合物を100℃で50分間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(350mL)と水酸化ナトリウム水溶液(1M、200mL)とに分配した。水層をジエチルエーテル(2×100mL)で抽出し直した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカの充填物で濾過し、減圧下で濃縮して、ジエチルエーテル(100mL)で摩砕した後に表題化合物を白色固体として収率39.6%、4.05gで得た。
LRMS ES m/z 221[MH]
【0295】
(調製例19)
2−(4−クロロフェニル)ピリミジン−5オール
【0296】
【化52】

2−(4−クロロフェニル)−5−メトキシピリミジン(100mg、0.453mmol)(調製例18を参照のこと)を氷酢酸中30重量%の臭化水素(3mL)に溶解させ、3時間還流させた。混合物をジエチルエーテル(100mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)とに分配した。有機層を抽出し、水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をペンタン(60mL)で摩砕して、表題化合物をオフホワイトの固体として収率88.0%、82mgで得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ:7.42(d,2H)、8.29(d,2H)、8.45(s,2H)。
【0297】
(調製例20)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボキサミド
【0298】
【化53】

1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸(150mg、0.36mmol)(実施例14を参照のこと)の入ったジクロロメタン(3mL)にクロロギ酸エチル(38μL、0.40mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌した。次いでアンモニア溶液(0.880)(29μL、0.44mmol)を加え、混合物を2時間撹拌した。次いでこれを水(20mL)で分配し、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘプタン:酢酸エチル(80:20→0:100)の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として収率42%、63mgで得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:3.81(s,3H)、4.13(d,1H)、4.20〜4.30(m,2H)、4.41(s,2H)、4.56(d,1H)、7.05〜7.18(m,2H)、7.25〜7.37(m,5H)、7.60(s,1H)、7.64〜7.75(m,4H);LRMS ES m/z 409[MH]
【0299】
(調製例21)
3−(クロロメチル)−1−(3−メトキシベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0300】
【化54】

表題化合物は、3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(調製例4を参照のこと)および塩化3−メトキシベンゾイルを使用し、調製例5について述べた方法に従って調製して、表題化合物を得た。
LRMS ES m/z 313[MH]
【0301】
(調製例22)
1−(3−クロロベンゾイル)−3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0302】
【化55】

表題化合物は、調製例5について述べた方法に従って調製して、所望の化合物を得た。
LRMS ES m/z 316[MH]
【0303】
(調製例23)
3−(クロロメチル)−1−(2−エトキシベンゾイル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0304】
【化56】

表題化合物は、3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(調製例4を参照のこと)および塩化3−クロロベンゾイルを使用し、調製例5について述べた方法に従って調製して、表題化合物を得た。
LRMS ES m/z 326[MH]
【0305】
(調製例24)
3−(クロロメチル)−1−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)カルボニル]アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0306】
【化57】

3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(100mg、0.467mmol)(調製例4を参照のこと)の入ったジクロロメタン(5mL)に、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(89.5mg、0.467mmol)、4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボン酸(76.7mg、0.467mmol)、次いでトリエチルアミン(195μL、1.4mmol)を加えた。反応液を室温で1時間撹拌し、次いで水(5mL)を加えた。得られる混合物を5分間激しく撹拌した。次いで層を分離した。有機層を再度水(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られるゴム状物を、メタノールを溶離液としながらIsolute Flash SCX−2カートリッジに通して精製して、表題化合物を白色固体として収率59%、89mgで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.32(t,3H)、1.62〜1.95(m,6H)、2.13〜2.30(m,2H)、3.85(s,2H)、3.96(m,2H)、4.12(bd,2H)、4.18(d,1H)、4.28(q,2H)、4.54(bd,1H);LRMS APCI m/z 324/326[MH]
【0307】
(調製例25)
3−(クロロメチル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルボニル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0308】
【化58】

表題化合物は、3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(100mg、0.47mmol)(調製例4を参照のこと)およびテトラヒドロピラン−4−イルカルボン酸(50mg、0.38mmol)を使用し、調製例24について述べた方法に従って調製して、表題化合物を白色固体として収率51%、57mgで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.27(t,3H)、1.55(bd,2H)、2.86(qd,2H)、2.39(m,1H)、3.39(td,2H)、3.83(bd,1H)、3.88〜4.02(m,4H)、4.09(bd,1H)、4.14(bd,1H)、4.26(q,2H)、4.52(bd,1H);LRMS APCI m/z 290/292[MH]
【0309】
(調製例26)
3−(クロロメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル
【0310】
【化59】

3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(4.0g、18.68mmol)(調製例4を参照のこと)を酢酸エチル(60mL)に懸濁させ、トリエチルアミン(5.21mL、37.4mmol)を加えた後、二炭酸ジ−t−ブチル(4.49g、20.6mmol)を加えた。次いで反応混合物を窒素中で18時間撹拌した。酢酸エチル(60ml)を加え、次いで混合物を水(100ml)、次いでブライン(100ml)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色の油状物として収率97%、5.01gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.28(t,3H)、1.42(s,9H)、3.81(d,2H)、3.89(s,2H)、4.18(d,2H)、4.24(q,2H);LRMS ES m/z 278[MH]
【0311】
(調製例27)
3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル
【0312】
【化60】

3−(クロロメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル(200mg、0.720mmol)(調製例26を参照のこと)をDMSO(5mL)に溶解させた。炭酸カリウム(200mg、1.44mmol)、ヨウ化ナトリウム(162mg、1.08mmol)、および6−メトキシ−2−ナフトール(151mg、0.86mmol)を加え、混合物を80℃で22時間加熱した。反応混合物を水(10mL)と酢酸エチル(10mL)とに分配した。有機層を収集し、水層を酢酸エチル(10mL×2)でさらに抽出した。有機抽出物を合わせて1M NaOH(10mL×2)および水(10mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題化合物を暗褐色の油状物として収率75%、226mgで得た。
LRMS ES m/z 316[MH−Boc]
【0313】
(調製例28)
3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチルトシル酸塩
【0314】
【化61】

3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル(1.11g、2.67mmol)(調製例27を参照のこと)の入った酢酸イソプロピル(15mL)に、メタンスルホン酸(308mg、3.21mmol)を加えた。反応混合物を40℃で18時間加熱し、次いで減圧下で濃縮して、表題化合物を赤色の油状物として定量的収率で得た。LRMS ES m/z 316[MH]
【0315】
(調製例29)
3−(クロロメチル)−1−{[(2,3−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0316】
【化62】

3−(クロロメチル)アゼチジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩(200mg、0.774mmol)(調製例4を参照のこと)およびトリエチルアミン(226μL、1.62mmol)の入ったジクロロメタン(3mL)に、0℃で1,2−ジクロロ−3−イソシアナトベンゼン(102μL、0.774mmol)の入ったジクロロメタン(2mL)を滴下した。得られる混合物を室温で18時間撹拌し、次いでジクロロメタン(20mL)および水(20mL)で希釈した。わずかな懸濁液を濾過し、層を分離した。水層をジクロロメタン(20mL)でさらに抽出し、有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液としての酢酸エチル:ヘプタン 10:90から70:30に漸増)によって精製して、表題化合物を透明な油状物として収率74%、210mgで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.34(t,3H)、4.00(s,2H)、4.05(d,2H)、4.31(q,2H)、4.41(d,2H)、6.70(bs,1H)、7.14〜7.22(m,2H)、8.20(m,1H);LRMS ES m/z 365、367[MH]
【0317】
(調製例30)
3−(ヨードメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル
【0318】
【化63】

3−(クロロメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル(45.6g、164mmol)(調製例26を参照のこと)およびヨウ化ナトリウム(73.8g、492mmol)をアセトニトリル(230mL)に混ぜた混合物を80℃で18時間撹拌した。これを冷まし、次いで水(180mL)と酢酸エチル(450mL)とに分配した。水層を分離し、有機層をチオ硫酸ナトリウム(23g、146mmol)水(180mL)溶液で洗浄した後、水(180mL)で洗浄した。有機相の体積を大気圧下で減らして、表題化合物を淡黄色のアセトニトリル溶液として、定量的収率、すなわち90mLのアセトニトリル中に50.4gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.31(t,3H)、1.45(s,9H)、3.84(d,2H)、3.93(s,2H)、4.21(d,2H)、4.26(q,2H)
【0319】
(調製例31)
3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル
【0320】
【化64】

3−(ヨードメチル)アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル(50.4g、137mmol)をアセトニトリル(90mL)(調製例30を参照のこと)に溶かした溶液に、ジメチルスルホキシド(250mL)、炭酸カリウム(37.73g、274mmol)、および6−メトキシ−2−ナフトール(24.96g、143mmol)を加えた。次いで反応混合物を80℃で4時間加熱し、その後これを冷ました後、水(500mL)と酢酸エチル(500mL)とに分配した。水層を分離し、有機層を水(2×500mL)で2回洗浄した。アセトニトリルを大気圧下で除去し、新鮮な酢酸エチル(500mL)と交換して、表題化合物を酢酸エチル溶液として想定された定量的収率、57.0gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.29(t,3H)、1.48(s,9H)、3.91(s,3H)、4.03(d,2H)、4.24〜4.30(m,4H)、4.40(s,2H)、7.13(m,4H)、7.65(m,2H)
【0321】
(調製例32)
3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチルトシル酸塩
【0322】
【化65】

3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−1,3−ジカルボン酸1−t−ブチル3−エチル(57.0g、137mmol)を酢酸エチル(500mL)(調製例31を参照のこと)に溶かした溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(32.0g、160mmol)を加えた。反応液を加熱し、60℃で5.5時間撹拌し、その後これを0℃に冷却し、1時間粒状化した。沈殿を収集し、酢酸エチル(2×500mL)で2回洗浄した。次いでこれを減圧下で乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体として収率73%、49.0gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.22(t,3H)、2.28(s,3H)、3.84(s,3H)、4.12(d,2H)、4.22(q,2H)、4.32(d,2H)、4.46(s,2H)、7.11(d,2H)、7.14〜7.20(m,2H)、7.29〜7.35(m,2H)、7.48(d,2H)、7.76(t,3H)
【0323】
(調製例33)
1−(4−フルオロベンゾイル)−3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチル
【0324】
【化66】

3−{[(6−メトキシ−2−ナフチル)オキシ]メチル}アゼチジン−3−カルボン酸エチルトシル酸塩(200.0g、410mmol)(調製例32を参照のこと)を酢酸エチル(2800mL)に懸濁させ、次いでトリエチルアミン(114.3mL、820mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、塩化4−フルオロベンゾイルを加えた。反応混合物を1時間撹拌し、その後1Mクエン酸(1000ml)を加え、層を分離した。有機層を5%w/w炭酸カリウム水溶液(1000mL)で、さらに水(2×1000mL)で2回洗浄した。酢酸エチルを大気圧下で除去し、イソプロパノールと交換した。沈殿を収集し、冷イソプロパノール(2×500mL)で2回洗浄した。次いで固体を減圧下で乾燥させて、表題化合物を白色固体として収率90%、161.2gで得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:1.31(t,3H)、3.91(s,3H)、4.27〜4.47(m,7H)、4.74(m,1H)、7.10〜7.17(m,6H)、7.63〜7.74(m,4H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)の化合物
【化1】

[式中、
は、フェニル基(F、Cl、Br、CN、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルコキシ、ペルフルオロ−C1〜6アルキル、およびペルフルオロ−C1〜6アルコキシからそれぞれ独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい)またはテトラヒドロピラニル基であり、
Xは、直接結合またはNHを表し、
Zは、
【化2】

から選択され、
およびR、RおよびRは、HまたはCアルキル(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい)であり、
Arは、1、2または3個の芳香環からなる芳香族基であり、芳香環は、フェニル、ならびにN、OおよびSからそれぞれ独立に選択される1、2または3個のヘテロ原子を含んでいる5または6員芳香族複素環からそれぞれ独立に選択され、
芳香環は、2個以上存在する場合、縮合していても、または1つまたは複数の共有結合によって連結されていてもよく、芳香環は、F、Cl、CN、OH、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルキル、ペルフルオロ−C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシ、SO、NR、NHSO、SONR、CONR1011、NHCOR12からそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、
、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、HまたはC1〜6アルキル(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい)である]
または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
がフェニル基(F、Cl、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ、およびC1〜4アルコキシからそれぞれ独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい)またはテトラヒドロピラニル基である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
Xが直接結合である、請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項4】
Zが
【化3】

である、請求項1から3に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項5】
Arが、F、Cl、CN、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルキル、ペルフルオロ−C1〜6アルキルチオ、ペルフルオロ−C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシ、SO、NR、NHSO、SONR、CONR1011、NHCOR12からそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいビフェニル基、ピリジニルフェニル基、またはナフチル基である、請求項1から4に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項6】
、Z、XおよびArが、本明細書の実施例の化合物に関連する意味を有する、請求項1から5に記載の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項7】
本明細書の実施例の化合物から選択される、請求項6に記載の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項8】
実施例2または14から選択される化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を含める)もしくはプロドラッグと、薬学的に許容できる希釈剤、担体、または佐剤とを含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬として使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を含める)もしくはプロドラッグ。
【請求項11】
EP2拮抗作用が利益となるはずの障害を治療する医薬として使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を含める)もしくはプロドラッグ。
【請求項12】
子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および/もしくは続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、または慢性骨盤痛症候群を治療する医薬を製造するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を含める)もしくはプロドラッグ。
【請求項13】
子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫)、月経過多、腺筋症、原発性および/もしくは続発性の月経困難症(性交疼痛症、排便困難症、および慢性骨盤痛の症状を含める)、または慢性骨盤痛症候群の治療において使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を含める)、もしくはプロドラッグ。
【請求項14】
本明細書で記載する式(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VIII)、(IX)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物。
【請求項15】
実質的に本明細書で記載する、化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、方法、治療方法、併用療法、中間体、または医薬組成物。

【公表番号】特表2010−526801(P2010−526801A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507013(P2010−507013)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001070
【国際公開番号】WO2008/139287
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】