説明

プロセスカートリッジの再生方法および製造方法

【課題】画像品質の低下を抑制することができるプロセスカートリッジの再生方法を提供する。
【解決手段】新品状態において重合トナーTPが収容されるトナー収容部58と、表面にトナーを担持する現像ローラ55と、現像ローラ55からトナーが供給される感光体ドラム51と、感光体ドラム51に接触した状態で感光体ドラム51の表面を清掃する清掃ブラシ54とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジ5の再生方法である。プロセスカートリッジ5の再生方法は、トナー収容部58に粉砕トナーを収容する工程と、清掃ブラシ54を取り外す工程とを有する。清掃ブラシ54を取り外した後は感光体ドラム51の表面を清掃する部材を取り付けない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの再生方法および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体ドラムなどを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジを再び使用可能とするための再生方法が知られている。このような再生方法は、プロセスカートリッジにトナーを再充填(収容)する工程を有しているが、このとき、再生前に使用されていたトナーとは異なる種類のトナーが収容されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−263029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロセスカートリッジには、感光体ドラムに接触した状態で感光体ドラムの表面を清掃する、清掃ブラシや清掃ローラ、清掃ブレードなどの清掃部材が設けられている。このような清掃部材は、トナーの種類に応じて選択されているので、プロセスカートリッジを再生するときに異なる種類のトナーが収容されると、清掃部材が正常に機能しなくなり、画像品質を低下させるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、画像品質の低下を抑制することができるプロセスカートリッジの再生方法、および、当該再生方法の工程を含むプロセスカートリッジの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための本発明は、新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの再生方法であって、前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、前記第1の清掃部材を取り外す工程とを有し、前記第1の清掃部材を取り外した後は前記感光体ドラムの表面を清掃する部材を取り付けないことを特徴とする。
【0007】
また、前記した目的を達成するための本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの製造方法であって、新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備えた使用済みのプロセスカートリッジを準備する工程と、前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、前記第1の清掃部材を取り外す工程とを有し、前記第1の清掃部材を取り外した後は前記感光体ドラムの表面を清掃する部材を取り付けないことを特徴とする。
【0008】
このようなプロセスカートリッジの再生方法および製造方法によれば、第1の清掃部材を取り外し、その後は感光体ドラムの表面を清掃する部材を取り付けないので、第1の清掃部材が正常に機能しなくなることに起因する画像品質の低下を抑制することができる。なお、本発明によって再生または製造されたプロセスカートリッジでは、感光体ドラムの表面に付着した転写残トナーや紙粉などは、粉砕トナーを担持した現像ローラによって掻き取られて回収される。
【0009】
また、重合トナーが収容(使用)されていたプロセスカートリッジでは、重合トナーに含まれる成分が感光体ドラムの表面に薄く付着していることがあり、この付着物(以下、フィルミングという。)が画像品質を低下させることがあった。そのため、従来の再生方法では、感光体ドラムの表面を研磨したり、感光体ドラムを交換したりして、フィルミングを除去していたのでコスト高となっていた。しかし、本発明によって再生または製造されたプロセスカートリッジは、トナー収容部に収容された角張った粒子形状の粉砕トナーを表面に担持した現像ローラが回転駆動することで、感光体ドラム上のフィルミングを削り取ることができる。したがって、前記したプロセスカートリッジの再生方法および製造方法によれば、感光体ドラムの研磨や交換などが不要となるので、低コストでプロセスカートリッジを再生または製造することができる。
【0010】
前記した目的を達成するための本発明は、新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの再生方法であって、前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、前記第1の清掃部材を取り外す工程と、前記第1の清掃部材とは異なる種類であって前記感光体ドラムの表面を清掃する第2の清掃部材を取り付ける工程とを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記した目的を達成するための本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの製造方法であって、新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備えた使用済みのプロセスカートリッジを準備する工程と、前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、前記第1の清掃部材を取り外す工程と、前記第1の清掃部材とは異なる種類であって前記感光体ドラムの表面を清掃する第2の清掃部材を取り付ける工程とを有することを特徴とする。
【0012】
このようなプロセスカートリッジの再生方法および製造方法によれば、第1の清掃部材を取り外した後、粉砕トナーに適した第2の清掃部材を取り付けることができるので、第1の清掃部材が正常に機能しなくなることに起因する画像品質の低下を抑制することができ、さらに第2の清掃部材で感光体ドラムの表面を清掃できるので画像品質を向上させることが可能となる。
【0013】
また、前記したプロセスカートリッジの再生方法および製造方法によれば、トナー収容部に収容した粉砕トナーを担持した現像ローラが回転駆動することで、感光体ドラム上のフィルミングを削り取ることができるので、感光体ドラムの研磨や交換などが不要となり、低コストでプロセスカートリッジを再生または製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプロセスカートリッジの再生方法および製造方法によれば、第1の清掃部材を取り外すことで、第1の清掃部材が正常に機能しなくなることに起因する画像品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プロセスカートリッジが装着される画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】レーザプリンタ本体から取り外したプロセスカートリッジを示す図である。
【図3】清掃部材取り外し工程の説明図である。
【図4】残トナー排出工程の説明図である。
【図5】ブレード交換工程の説明図である。
【図6】粉砕トナー収容工程の説明図である。
【図7】フィルミング除去工程の説明図(a)と、フィルミングが削り取られる様子を示す模式図(b)である。
【図8】清掃ローラを取り付けたプロセスカートリッジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、プロセスカートリッジ5が装着(使用)される画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ5の再生方法について説明する。
【0017】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体2内に、用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上に転写されたトナー像を熱定着させる定着装置6とを主に備えている。
【0018】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0019】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32およびリフトレバー33と、ピックアップローラ34と、給紙ローラ35と、給紙パッド36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、リフトレバー33と用紙押圧板32によってピックアップローラ34に寄せられ、ピックアップローラ34によって送り出される。送り出された用紙Pは、給紙ローラ35と給紙パッド36によって1枚ずつ分離され、レジストローラ37を通り、感光体ドラム51と転写ローラ53との間に向けて搬送される。
【0020】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45とを主に備えている。レーザ光源から出射された印字データに基づくレーザ光(鎖線参照)は、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44、レンズ43、反射鏡45の順に反射または通過して、感光体ドラム51の表面で高速走査される。
【0021】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、図2に示すように、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から、本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、フレーム50内に、感光体ドラム51と、帯電器52と、転写ローラ53と、第1の清掃部材の一例としての清掃ブラシ54と、現像ローラ55と、供給ローラ56と、ゴムブレード57(層厚規制ブレード)と、トナー収容部58とを主に備えている。
【0022】
感光体ドラム51は、導電性を有する円筒状のドラム本体の表面(外周面)に感光層が形成されて構成されている。この感光体ドラム51の表面には、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、印字データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ55からトナーが供給されることで、静電潜像が可視像化されたトナー像が形成される。
【0023】
帯電器52は、感光体ドラム51の後斜め上方で感光体ドラム51と接触しないように所定間隔を隔てて対向して配置され、感光体ドラム51の軸方向に沿って張設された帯電ワイヤ52Aに電圧が印加されることで、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させるように構成されている。
【0024】
転写ローラ53は、感光体ドラム51の下方で感光体ドラム51に対向配置されている。この転写ローラ53は、転写時に転写バイアスが印加されることで、感光体ドラム51上に形成されるトナー像を用紙Pに転写するように構成されている。
【0025】
清掃ブラシ54は、感光体ドラム51の後方において、その先端が感光体ドラム51に接触した状態で配置されている。この清掃ブラシ54は、感光体ドラム51の表面に付着した紙粉などを引っ掛けて捕捉することで、感光体ドラム51の表面を清掃するように構成されている。
【0026】
現像ローラ55は、感光体ドラム51の前方で感光体ドラム51と接触するように配置されている。この現像ローラ55は、表面にトナーを担持し、このトナーを感光体ドラム51に供給するように構成されている。なお、本実施形態のプロセスカートリッジ5では、転写されずに感光体ドラム51の表面に残ったトナー(転写残トナー)は、現像ローラ55によって掻き取られ、供給ローラ56を介してトナー収容部58に回収される。
【0027】
供給ローラ56は、現像ローラ55の前方で現像ローラ55と接触するように配置され、現像ローラ55にトナーを供給するように構成されている。
【0028】
ゴムブレード57は、フレーム50に取り付けられた薄い金属板57Aと、金属板57Aの先端(下端)に固着され、金属板57Aによって現像ローラ55の表面に押圧されるゴム状部材57Bとから主に構成されている。このゴムブレード57は、ゴム状部材57Bが回転する現像ローラ55の表面と摺接することで、現像ローラ55の表面に担持されたトナーを摩擦帯電しつつ、一定の厚さに規制する。
【0029】
トナー収容部58は、トナーを収容する部位であり、供給ローラ56の前方においてフレーム50によって形成されている。このトナー収容部58には、新品状態(初めて市場に出荷されるとき)において重合トナーTPが収容されている。また、トナー収容部58には、回転することでトナー収容部58内のトナーを撹拌するとともに、トナーを供給ローラ56に搬送する公知のアジテータ58Aが設けられている。さらに、トナー収容部58の上壁部分(蓋部58B)は、図示しないネジなどによって固定されており、着脱可能となっている(図4参照)。
【0030】
このように構成されたプロセスカートリッジ5では、図1に示すように、トナー収容部58内のトナー(重合トナーTP)は、供給ローラ56を介して現像ローラ55の表面に供給され、現像ローラ55の回転により現像ローラ55とゴムブレード57との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ55の表面に担持される。
【0031】
そして、現像ローラ55の表面に担持されたトナーが、感光体ドラム51に形成された静電潜像に供給されることで、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム51と転写ローラ53との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム51上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0032】
定着装置6は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間で用紙Pを挟持する加圧ローラ62とを主に備えている。用紙Pに転写されたトナー像は、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を用紙Pが搬送されることで熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、定着装置6から排出経路23に搬送され、排出経路23から排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0033】
<プロセスカートリッジの再生方法>
次に、本実施形態に係るプロセスカートリッジ5の再生方法について説明する。
[カートリッジ準備工程]
まず、ユーザのもとから回収された使用済みのプロセスカートリッジ5を準備する。
【0034】
[清掃部材取り外し工程]
次に、図3に示すように、清掃ブラシ54を取り外す。清掃ブラシ54は、重合トナーTPに適した清掃部材であり、後述するようにトナー収容部58に粉砕トナーTGが収容されると、正常に機能しなくなるおそれがある。
【0035】
具体的に、重合トナーTPは、粒子形状がほぼ球形なので、転写されずに感光体ドラム51の表面に残っても清掃ブラシ54を通過することができる(なお、清掃ブラシ54を通過した重合トナーTPは、現像ローラ55で掻き取られて回収される。また、重合トナーTPは、粉砕トナーTGと比較して転写残が少ない。)。これにより、清掃ブラシ54は、紙粉などの付着物を捕集して感光体ドラム51の表面を清掃することができる。
【0036】
一方、粉砕トナーTGは、粒子形状が角張っているので、転写されずに感光体ドラム51の表面に残ると、清掃ブラシ54に引っ掛かってしまうことがある。これにより、清掃ブラシ54は、紙粉だけでなく、粉砕トナーTGも捕集することになるので、紙粉を清掃するという本来の機能が低下する。さらに、捕集されて溜まった粉砕トナーTGは、感光体ドラム51の表面に固着するなどして画像品質を低下させるおそれがある。
【0037】
そこで、清掃部材取り外し工程では、清掃ブラシ54を取り外すことにより、プロセスカートリッジ5から画像品質低下の原因となりうる部材を取り除いている。なお、本実施形態では、清掃ブラシ54を取り外した後は、感光体ドラム51の表面を清掃する部材を取り付けない。
【0038】
[帯電器清掃工程]
次に、帯電器52を清掃する。具体的には、公知の方法により、帯電ワイヤ52Aや帯電ワイヤ52Aを収容するケースの内面などに付着したトナーや紙粉、塵埃などを除去する。このとき、必要に応じて、帯電器52(帯電ワイヤ52A)を交換してもよい。
【0039】
[残トナー排出工程]
次に、図4に示すように、蓋部58Bを取り外し、公知の方法により、トナー収容部58内から残った重合トナーTP(残トナー)を排出する。このとき、必要に応じて、トナー収容部58内を洗浄するなどして重合トナーTPを完全に除去するようにしてもよい。
【0040】
[ブレード交換工程]
次に、図5に示すように、ゴムブレード57を取り外して、金属ブレード59を取り付ける(層厚規制ブレードを交換する)。ここで、金属ブレード59は、薄い金属板からなり、一端(下端)が略L形状に折り曲げられている。このような金属ブレード59は、折り曲げられた部分(屈曲部59B)が現像ローラ55の表面に摺接するようにフレーム50に取り付けられる。
【0041】
ここで、粉砕トナーTGは、その性質上、重合トナーTPと比較して帯電不良トナーが発生しやすいことが知られている。そして、このような帯電不良トナーが感光体ドラム51に供給されると画像品質低下の原因となりうる。そこで、層厚規制ブレードを、ゴムブレード57から金属ブレード59に交換することで、画像品質の低下を抑制することができる。
【0042】
具体的には、金属ブレード59は、ゴムブレード57と比較して表面硬度が高く、現像ローラ55と摺接する部分の面積を小さくできるので、摩擦帯電の時間を短くして帯電不良トナーの発生量を減らすことできる。また、金属ブレード59は、ゴムブレード57と比較して、現像ローラ55を強く押圧できるので、金属ブレード59と現像ローラ55との摺接部を通過する帯電不良トナーの量を減らすことができる。これらにより、画像品質の低下を抑制することができる。
【0043】
[粉砕トナー収容工程]
次に、図6に示すように、トナー収容部58に粉砕トナーTGを収容し、再び蓋部58Bを取り付けてトナー収容部58を密閉する。収容された粉砕トナーTGは、再生されたプロセスカートリッジ5がレーザプリンタ1に装着されて使用されるときに、トナー収容部58から供給ローラ56および現像ローラ55を介して感光体ドラム51に供給されてトナー像を形成し、用紙Pに転写されて画像を形成するのに使用される。
【0044】
[フィルミング除去工程]
トナー収容部58に粉砕トナーTGを収容した後、図7(a)に示すように、外部から駆動力を入力して、感光体ドラム51、現像ローラ55、供給ローラ56およびアジテータ58Aを所定時間回転させる。
【0045】
図7(b)に示すように、重合トナーTPが収容(使用)されていたプロセスカートリッジ5では、重合トナーTPに含まれる成分(外添剤など)が感光体ドラム51の表面に薄く付着したフィルミングFを形成していることがある。そこで、トナー収容部58に粉砕トナーTGを収容した後、プロセスカートリッジ5を駆動させることで、トナー収容部58から供給ローラ56を介して現像ローラ55上に粉砕トナーTGが供給され、角張った粒子形状を有する粉砕トナーTGを担持した現像ローラ55が回転駆動することで、感光体ドラム51上のフィルミングFを削り取ることができる。
【0046】
これにより、従来の再生方法のように、感光体ドラム51の表面を研磨する工程や、感光体ドラム51を交換する工程などが不要となるので、低コストでプロセスカートリッジ5を再生することができる。
【0047】
なお、本発明において、フィルミング除去工程は省略することができる。フィルミング除去工程を省略した場合であっても、再生されたプロセスカートリッジ5がレーザプリンタ1で使用される間に、いわゆるガラ回し動作や画像形成などが実行されて感光体ドラム51や現像ローラ55などが回転駆動することで、粉砕トナーTGを担持した現像ローラ55によりフィルミングFを削り取ることができるからである。
【0048】
以上説明した本実施形態のプロセスカートリッジ5の再生方法によれば、清掃ブラシ54を取り外し、その後は感光体ドラム51の表面を清掃する部材を取り付けないので、清掃ブラシ54が正常に機能しなくなることに起因する画像品質の低下を抑制することができる。また、本実施形態のプロセスカートリッジ5の再生方法によれば、トナー収容部58に収容した粉砕トナーTGを担持した現像ローラ55によって、フィルミングFを削り取ることができ、感光体ドラム51の研磨や交換などが不要となるので、低コストでプロセスカートリッジ5を再生することができる。
【0049】
なお、本実施形態の再生方法によって再生されたプロセスカートリッジ5がレーザプリンタ1で使用されるとき、感光体ドラム51に付着した紙粉などは、粉砕トナーTGを担持した現像ローラ55によって、感光体ドラム51上から掻き取られて回収される。そのため、清掃ブラシ54を取り外した後、感光体ドラム51の表面を清掃する部材を取り付けなくても、画像品質の低下などの問題は発生しない。
【0050】
以上説明したプロセスカートリッジ5の再生方法は、前記した工程を含むプロセスカートリッジ5の製造方法(リサイクルプロセスカートリッジの製造)に適用することもできる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0052】
前記実施形態では、清掃ブラシ54を取り外した後は感光体ドラム51の表面を清掃する部材を取り付けないこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、清掃ブラシ54を取り外した後、図8に示すように、清掃ブラシ54(第1の清掃部材)とは異なる種類であって感光体ドラム51の表面を清掃する第2の清掃部材の一例としての清掃ローラ71(清掃ユニット70)を取り付ける工程(清掃部材取り付け工程)を追加してもよい。
【0053】
ここで、清掃ユニット70は、感光体ドラム51の表面に付着した転写残トナーや紙粉などを吸着して回収する清掃ローラ71と、清掃ローラ71の表面に付いた転写残トナーや紙粉など掻き落とす回収ブレード72と、掻き落とされた転写残トナーや紙粉などを溜める貯溜部73とから構成されている。このような構成の清掃ユニット70では、転写残トナーや紙粉などは貯溜部73に回収されるので、清掃ブラシ54のように粉砕トナーTGが感光体ドラム51の表面上で溜まってしまうおそれがない。
【0054】
このように清掃ブラシ54を取り外した後、粉砕トナーTGに適した、転写残トナーの回収を行う清掃ローラ71(清掃ユニット70)を取り付けることで、清掃ブラシ54が正常に機能しなくなることに起因する画像品質の低下を抑制することができ、さらに清掃ローラ71で感光体ドラム51の表面を清掃できるので画像品質を向上させることが可能となる。
【0055】
なお、第2の清掃部材として清掃ローラ71を例示したが、これに限定されず、例えば、回転する感光体ドラム51に摺接することで感光体ドラム51の表面に付着した転写残トナーや紙粉などを掻き取るブレードを採用してもよい。
【0056】
前記実施形態では、第1の清掃部材として清掃ブラシ54(ブラシ状の清掃部材)を例示したが、これに限定されず、例えば、ローラ状の清掃部材やブレード状の清掃部材であってもよい。
【0057】
前記実施形態で示した各工程を実行する順番は一例であり、適宜順番を入れ替えて実行してもよい。なお、フィルミング除去工程は、現像ローラの表面に粉砕トナーが担持される必要があるので、粉砕トナー収容工程の後に実行する必要がある。また、前記実施形態で示した、例えば、帯電器清掃工程やブレード交換工程などは、本発明において必須の工程ではないので、適宜省略することができる。
【0058】
前記実施形態では、プロセスカートリッジ5が使用される画像形成装置としてレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、LEDによって露光を行うLEDプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、カラー画像を形成するプリンタや複写機、複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 レーザプリンタ
2 本体筐体
5 プロセスカートリッジ
51 感光体ドラム
54 清掃ブラシ
55 現像ローラ
58 トナー収容部
71 清掃ローラ
P 重合トナー
G 粉砕トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの再生方法であって、
前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、
前記第1の清掃部材を取り外す工程とを有し、
前記第1の清掃部材を取り外した後は前記感光体ドラムの表面を清掃する部材を取り付けないことを特徴とするプロセスカートリッジの再生方法。
【請求項2】
新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの再生方法であって、
前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、
前記第1の清掃部材を取り外す工程と、
前記第1の清掃部材とは異なる種類であって前記感光体ドラムの表面を清掃する第2の清掃部材を取り付ける工程とを有することを特徴とするプロセスカートリッジの再生方法。
【請求項3】
少なくとも前記トナー収容部に粉砕トナーを収容した後に前記感光体ドラムおよび前記現像ローラを所定時間回転させる工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスカートリッジの再生方法。
【請求項4】
画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの製造方法であって、
新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備えた使用済みのプロセスカートリッジを準備する工程と、
前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、
前記第1の清掃部材を取り外す工程とを有し、
前記第1の清掃部材を取り外した後は前記感光体ドラムの表面を清掃する部材を取り付けないことを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項5】
画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジの製造方法であって、
新品状態において重合トナーが収容されるトナー収容部と、表面にトナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラからトナーが供給される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに接触した状態で前記感光体ドラムの表面を清掃する第1の清掃部材とを備えた使用済みのプロセスカートリッジを準備する工程と、
前記トナー収容部に粉砕トナーを収容する工程と、
前記第1の清掃部材を取り外す工程と、
前記第1の清掃部材とは異なる種類であって前記感光体ドラムの表面を清掃する第2の清掃部材を取り付ける工程とを有することを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項6】
少なくとも前記トナー収容部に粉砕トナーを収容した後に前記感光体ドラムおよび前記現像ローラを所定時間回転させる工程を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のプロセスカートリッジの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−39279(P2011−39279A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186363(P2009−186363)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】