プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことなく、像担持体表面の傷を防止する。
【解決手段】像担持体と現像装置とを備え、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、内部に配置された磁石部材と、現像剤担持体の表面と像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、現像動作を行なう際の第1位置と像担持体表面と磁石部材表面との最近接距離が第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに磁石部材を支持可能な支持部材と、を有する。
【解決手段】像担持体と現像装置とを備え、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、内部に配置された磁石部材と、現像剤担持体の表面と像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、現像動作を行なう際の第1位置と像担持体表面と磁石部材表面との最近接距離が第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに磁石部材を支持可能な支持部材と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、及び画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用する画像形成装置には、静電潜像が形成される感光体、感光体の表面を帯電する帯電ローラ、及び静電潜像に現像剤を供給して現像剤像として現像するための現像装置が一体化されたプロセスカートリッジが設けられている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されている。さらに現像装置には、感光体の表面に現像剤を供給する中空円筒状の現像剤担持体が設けられており、現像剤担持体の内部に磁石部材を設けた構成が知られている。磁石部材を設けることにより、磁石部材の作用によって現像剤担持体の表面に現像剤を安定して供給することができる。そして、現像剤担持体の表面と像担持体の表面とが所定の距離を保つように構成され、その現像剤担持体に現像バイアスが印加されることで現像動作が行なわれる。図20に、従来のプロセスカートリッジ1000の概略断面を示す。図20において、2070は感光体(像担持体)、2100dは中空円筒状の現像剤担持体、2100cは現像剤担持体内部に設けられている磁石部材を示す。
【0003】
かかる構成では、プロセスカートリッジの搬送時の衝撃(例えば落下等)により、現像剤担持体2100dが撓み、現像剤担持体2100dと感光体2070とが接触し、感光体2070の表面に傷が形成されてしまうことがある。感光体2070の表面に傷が形成されると、シート材に形成された画像にスジが入るといった画像不良が生じてしまう。そこで特許文献1と2には、この問題の解決策として、感光体と現像剤担持体との間に保護シートや緩衝体を設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−019800号公報
【特許文献2】特開2007−025127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1と2に記載の構成では、現像剤担持体と感光体との接触そのものは防止できるが、その他の弊害を伴うことがあった。その弊害とは、衝撃時の磁石部材の弾性的な撓みに伴う現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形である。この弊害(課題)は、以下のような現象により生じていることが、発明者の鋭意検討によりわかった。
【0006】
すなわち、衝撃により磁石部材が撓むと、その撓みに現像剤担持体の内周が押されるようにして現像剤担持体が撓み、これが現像剤担持体と感光体との接触を引き起こし、感光体表面の傷を生じる。更に、撓んで感光体に当接した現像剤担持体はそれ以上逃げ場がなくなる為、撓んだ磁石部材により更に押された結果、現像剤担持体と磁石部材との間に大きな反力が生じ、これにより現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことがある。このような課題は、従来の特許文献1と2の構成では、防止することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことなく、像担持体表面の傷を防止することができるプロセスカートリッジまたは画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するための画像形成装置は以下である。すなわち、装置本体と、静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、を有し、前記像担持体と前記現像剤担持体と前記磁石部材と前記間隙形成部材と前記支持部材とは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジに備えられており、前記装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着される装着部を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことなく、像担持体表面の傷を防止することができるプロセスカートリッジまたは画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における画像形成装置の概略断面図。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの装着方法を説明する図。
【図3】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の装着を説明する図。
【図4】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの非駆動側の装着を説明する図。
【図5】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図6】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの非駆動側の概略構成図。
【図7】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図8】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図9】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図10】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図11】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図12】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図13】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図14】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図15】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図16】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図17】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの非駆動側の概略構成図。
【図18】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの長手方向の概略断面図。
【図19】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図20】従来のプロセスカートリッジの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
(画像形成装置の概略構成)
図1を参照して、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100を備える画像形成装置の概略構成について説明する。図1(a)は、本実施形態における画像形成装置の概略断面図であって、電子写真方式によってシート材上に画像を形成するレーザービームプリンタ200の概略構成を示すものである。
【0013】
レーザービームプリンタ200には、シート材上にトナー像(現像剤像)を形成するプロセスカートリッジ100が設けられており、プロセスカートリッジ100は、レーザービームプリンタ200の装置本体に対して着脱可能に設けられている。なお、図1には1つのプロセスカートリッジ100のみ示しているが、プロセスカートリッジ100の数はこれに限定されるものではない。つまり、トナー(現像剤)の種類(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)ごとにプロセスカートリッジを設ける構成であってもよい。なお、プロセスカートリッジ100の構成は後述する。
【0014】
画像形成を行う際は、まず光学装置1から画像情報に基づいたレーザー光Lが、プロセスカートリッジ100内の感光体207(像担持体)へ照射され、感光体207の表面に静電潜像(静電像)が形成される。さらに感光体207の表面に形成された静電潜像に対して、プロセスカートリッジ100内に設けられている現像装置210からトナーが供給され、感光体207の表面にはトナー像(現像剤像)が形成される。
【0015】
一方、感光体207の表面にトナー像を形成するタイミングと同期して、シート材が収容されている給送トレイ3aからシート材が順次給送される。ここでは、給送トレイ3a先端のリフトアッププレート3bが上昇することで、最上位に位置するシート材2が搬送ローラ3d、分離パッド3c、及びレジストローラ3e等からなる搬送手段3によって、トナー像が転写される転写位置まで搬送される。
【0016】
そして不図示の電圧印加手段から転写ローラ4にトナー像と逆極性の電圧が印加されることにより、感光体207の表面に形成されているトナー像が転写位置においてシート材上に転写される。トナー像が転写されたシート材は、その後、搬送ガイド3fによって定着器5に搬送され、定着器5においてトナー像がシート材上に加熱定着される。なお、定着器5には、駆動ローラ5aと、加熱ヒータを内蔵する定着ローラ5bとが設けられており、駆動ローラ5aと定着ローラ5bとで形成される定着ニップ部においてシート材上のトナー像が加熱、加圧される。定着器5でトナー像が定着されたシート材は、その後排出ローラ3gによって排出部6へ排出される。なお、本実施形態において「装置本体」とは、レーザービームプリンタ200からプロセスカートリッジ100を除いた状態のものを指す。
【0017】
(プロセスカートリッジの構成)
図1(b)を参照して本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の構成について説明する。図1(b)は、プロセスカートリッジ100内の現像装置210に設けられている回転可能な現像スリーブ210dの回転軸方向からプロセスカートリッジ100を見た場合の概略断面図である。なお、以下では現像スリーブ210dの回転軸方向をプロセスカートリッジ100の長手方向として説明する。
【0018】
図示するようにプロセスカートリッジ100には、回転可能なドラム状の感光体207が設けられており、感光体207の周囲には、感光体207の表面にトナー像を形成するための複数の部材が設けられている。このように感光体207の周囲に設けられ、感光体207の表面にトナー像を形成するための部材をここではまとめて「プロセス手段」と称して説明する。
【0019】
プロセス手段は、感光体207の表面を帯電する帯電部材208、感光体207の表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置210、感光体207の表面に残留したトナーを除去するクリーニング部材211を備えている。また、現像装置210は現像枠体210bを有しており、クリーニング部材211はクリーニング枠体213を有している。そしてこれらの枠体によって、プロセスカートリッジ100全体のハウジングが形成されており、感光体207、及びプロセス手段を一体的に装置本体に対して着脱することが可能になる。なお、感光体207は、その長手方向の一方の側(駆動側)から駆動力が入力されるように構成されている。
【0020】
現像装置210の構成についてさらに詳しく説明する。上述した現像枠体210bの内部には、現像容器210b1内に収容されているトナーを担持し、トナーを担持搬送して感光体207の表面に供給するための現像スリーブ210d(中空円筒状の現像剤担持体)が回転可能に設けられている。現像スリーブ210dの内部に長手方向の寸法がほぼ同一の棒状の磁石部材210cが配置されており、現像スリーブ210dは現像容器210b1に回転可能に支持されている。従って、現像容器210b1から供給されたトナーは、磁石部材210cの磁力により現像スリーブ210dの表面に付着し、現像ブレード210eにより層厚が一定に規制されることになる。そして現像スリーブ210dと感光体207との対向位置において、現像スリーブ210d上から感光体207の表面の静電潜像にトナーが供給され、静電潜像をトナー像として現像する。
【0021】
(プロセスカートリッジの駆動側、非駆動側の装着)
次にプロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200の装置本体に対して装着する際のプロセスについて説明する。図2(a)は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に対して装着する際の様子を示した図である。プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に挿入して装着する場合は、まず開閉部材7をヒンジ7aを中心にして上方へ開き、図示矢印Xの方向にプロセスカートリッジ100を挿入する。これにより、レーザービームプリンタ200に形成されたガイド溝等の装着機構によって、挿入方向がガイドされ、プロセスカートリッジ100の駆動側、非駆動側がそれぞれ装置本体の所定の位置に位置決めされる。
【0022】
なお、ここでいうプロセスカートリッジ100の「駆動側」とは、プロセスカートリッジ100の長手方向において、レーザービームプリンタ200に設けられた駆動手段からの駆動力(感光体207を駆動するための駆動力)が入力される側を指す。「非駆動側」はその反対の側になる。また、レーザービームプリンタ200の装置本体側においては、プロセスカートリッジの「駆動側」と対向する側を「(レーザービームプリンタの)駆動側」、その反対側を「(レーザービームプリンタの)非駆動側」とする。なお、図2(a)、図2(b)では、図中の奥側が「駆動側」であり、手前側が「非駆動側」となる。
【0023】
図2(b)に示すように、レーザービームプリンタ200の駆動側には、プロセスカートリッジ100の駆動側をガイドする駆動側本体ガイド部材8が設けられており、駆動側本体ガイド部材8は上ガイド溝8aと下ガイド溝8bとを有している。一方、図2(c)に示すように、レーザービームプリンタ200の非駆動側には、プロセスカートリッジ100の非駆動側をガイドする非駆動側本体ガイド部材9が設けられており、非駆動側本体ガイド部材9は上ガイド溝9aと下ガイド溝9bとを有している。駆動側本体ガイド部材8と非駆動側本体ガイド部材9とで、プロセスカートリッジが装着される装着部が形成される。
【0024】
図3を参照して、プロセスカートリッジ100の駆動側の装着プロセス(装着動作)について説明する。図3(a)〜図3(c)は、プロセスカートリッジ100の駆動側の構
成を示しており、駆動側の装着プロセスを説明するための図である。駆動側の装着は、プロセスカートリッジ100の感光体ユニットcの駆動側に設けられた駆動側位置決めボス201を駆動側本体ガイド部材8の上ガイド溝8aに挿入し、回転止めボス202を下ガイド溝8bに係合させることで行われる。さらにプロセスカートリッジ100を押し込むと、図3(c)に示すように、プロセスカートリッジ100の駆動側位置決めボス201が上ガイド溝8aの終端に形成された本体位置決め部8a1に落ち込む。同様に、回転止めボス202が下ガイド溝8bの終端に形成された回転位置規制部8b1に落ち込み、回転位置規制面8b2に当接する。こうしてプロセスカートリッジ100の駆動側が位置決めされる。
【0025】
図4を参照して、プロセスカートリッジ100の非駆動側の装着プロセス(装着動作)について説明する。図4(a)〜図4(c)は、プロセスカートリッジ100の非駆動側の構成を示しており、非駆動側の装着プロセスを説明するための図である。非駆動側の装着は、プロセスカートリッジ100の感光体ユニットcの非駆動側に設けられた非駆動側位置決めボス203を非駆動側本体ガイド部材9の上ガイド溝9aに挿入し、ユニットガイドボス204を下ガイド溝9bに係合させて挿入することで行われる。さらに、プロセスカートリッジ100を押し込むと、図4(c)に示すように、非駆動側位置決めボス203が上ガイド溝9aの終端に形成された回転位置規制部9a1に落ち込む。同様に、ユニットガイドボス204が下ガイド溝9bの終端に形成された受け凹部9b1に落ち込む。こうしてプロセスカートリッジ100の非駆動側が位置決めされる。
【0026】
以上の装着プロセスにより、プロセスカートリッジ100の駆動側は、一対の上ガイド溝8aと下ガイド溝8bに挿入規制され、非駆動側は上ガイド溝9aと下ガイド溝9bに挿入規制され、プロセスカートリッジ100が所定の位置に位置決めされる。なお、プロセスカートリッジ100を装着すると、その装着動作と連動し、感光体207に対してレーザービームプリンタ200側から駆動力が入力可能な状態となる。ここでは開閉部材7を閉じることでレーザービームプリンタ200のカップリング凹部10(図2(b))が内側に侵入し、感光体207の側端のドラムフランジ230に一体のカップリング凸部230a(図3(a))に係合するように構成されている。そしてこのカップリング凹部10とカップリング凸部230aとが係合することで、レーザービームプリンタ200側の駆動源からカップリング凹部10を通じて感光体207へ駆動力を伝達することが可能となる。
【0027】
(磁石部材を移動させるための構成)
本実施形態に係るプロセスカートリッジ100は、現像スリーブ210dの内側に設けられている磁石部材210cを移動可能な構成とすることで、プロセスカートリッジ100が受ける衝撃、振動により現像スリーブ210dが撓むことを防止している。つまり、プロセスカートリッジ100の搬送時には磁石部材210cの表面と感光体207の表面との最近接距離を大きく保てる第2位置に、画像形成装置の使用時(現像動作時)には前記最近接距離を狭める第1位置に磁石部材210cを移動させている。以下、現像スリーブ210d(現像剤担持体内)内において、磁石部材210cと現像スリーブ210dの軸心とを平行に保った状態で磁石部材210cを移動可能とする構成について説明する。
【0028】
まず、図5を参照して、プロセスカートリッジ100の駆動側において磁石部材210cを移動可能とするための構成について説明する。図5(a)に本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の駆動側の部分斜視図を示す。磁石部材210cの駆動側端部には、駆動側突起部210c1が設けられている。磁石部材210cの駆動側は駆動側軸受220(支持部材)に支持されており、駆動側軸受220は駆動側軸受位置決めリブ210b4によって位置決めされ、駆動側ホルダ210b2に支持されている。さらに駆動側ホルダ210b2は現像容器210b1に支持されている。つまり図5に示す部材は、全て
プロセスカートリッジ100側に設けられているものである。
【0029】
現像スリーブ210dの駆動側端部(スリーブ駆動側端部210d1)はDカット形状を有しており(図5(b))、スリーブギア210fがスペーサーコロ210gを挟んでスリーブ駆動側端部210d1に係合して固定されている。このスペーサーコロ210gは、感光体207の表面に当接することで、現像スリーブ210dの表面と感光体207の表面との間に所定の間隙を形成する間隙形成部材である。スリーブギア210fの内周は、駆動側軸受220と摺動するように構成されており、不図示の駆動手段により、スリーブギア210fを介して現像スリーブ210dが回転するように構成されている。
【0030】
駆動側軸受220は、駆動側ホルダ210b2に支持された状態で、感光体207の回転中心と現像スリーブ210dの回転中心を結んだ仮想線に略平行に設けられた長丸穴(長穴)の駆動側磁石部材移動規制穴220aを有している。磁石部材210cの駆動側突起部210c1は、この駆動側磁石部材移動規制穴220aに嵌合している。これにより、駆動側Dカットスライド部210c5が駆動側磁石部材移動規制穴220aのスライド面220a3に係合されることでその位相が固定され、磁石部材210cを移動可能に駆動側軸受220によって支持することができる。
【0031】
図5(c)はプロセスカートリッジ100の駆動側側面図である。磁石部材210cは、駆動側引張バネ221(付勢部材)の作用により感光体207とは反対側へ付勢され、駆動側磁石部材移動規制穴220aの第1突き当て面220a1に押し付けられて第2位置に位置決めされている(図5(c))。なお、駆動側引張バネ221は、駆動側ホルダ210b2に取り付けられている。
【0032】
次に図6を参照して、プロセスカートリッジ100の非駆動側において磁石部材210cを移動可能とするための構成について説明する。図6(a)に本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の非駆動側の部分斜視図を示す。非駆動側の構成も駆動側の構成とほぼ同じである。磁石部材210cの非駆動側には、駆動側と同形状の非駆動側突起部210c2が設けられている。現像スリーブ210dの非駆動側は、スペーサーコロ210gを挟んで非駆動側軸受222に支持されており、非駆動側軸受222は非駆動側軸受位置決めリブ210b5と非駆動側ホルダ210b3に支持されている。非駆動側ホルダ210b3は、現像容器210b1に支持されている。
【0033】
非駆動側軸受222は、非駆動側ホルダ210b3に支持された状態で感光体207の回転中心と現像スリーブ210dの回転中心を結んだ線に略平行に設けられた長丸穴の非駆動側磁石部材移動規制穴222aを有している。磁石部材210cは、非駆動側突起部210c2の非駆動側Dカットスライド部210c6を非駆動側磁石部材移動規制穴222aのスライド面222a3に係合させることで位相が固定され、移動可能に駆動側軸受222に支持されている。
【0034】
図6(b)はプロセスカートリッジ100の非駆動側側面図である。磁石部材210cは、非駆動側引張バネ223の作用により感光体207とは反対側へ付勢され、非駆動側磁石部材移動規制穴222aの第1突き当て面222a1に押し付けられて第2位置に位置決めされている。
【0035】
以上より、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着しない状態では、駆動側引張バネ221、及び非駆動引張バネ223の作用により、磁石部材210cを感光体207と反対側へ移動させて位置決めすることができる。この位置を第2の位置とする。図7(a)に示すように磁石部材210cが第2位置にある場合は、感光体207の表面と磁石部材210cの表面との最近接距離(Ldm)を大きく保つことが可
能になる。より具体的には、現像スリーブ210dの回転中心に対して、磁石部材210cを感光体207とは反対側の位置に位置決めすることができる。
【0036】
次に、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際に磁石部材210cを感光体207側へ移動させ、現像動作を行なう際の第1位置に位置決めする構成について説明する。
【0037】
図8(a)に、プロセスカートリッジ100の駆動側を長手方向に垂直な方向から見た場合の概略構成図を示す。図示するように、磁石部材210cの駆動側突起部210c1は、駆動側ホルダ210b2よりも長手外側に飛び出している(非駆動側突起部210c2も同様)。さらに、駆動側位置決めボス201、回転止めボス202は、駆動側突起部210c1よりも長手方向外側に配置されている(非駆動側も同様の構成)。従ってプロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際は、磁石部材210cの長手方向両端の突起が駆動側本体ガイド部材8、及び非駆動側本体ガイド部材9に接触することがない。
【0038】
図9に、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着した状態におけるプロセスカートリッジ100の駆動側側面図を示す。図9(a)に示すように、駆動側本体ガイド部材8には斜線部で示される駆動側磁石部材押し込みリブ8c(力付与部)が設けられている。この力付与部は、装置本体の一部を構成している。プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着すると、駆動側磁石部材押し込みリブ8cの押し込みリブ突き当て面8c1に磁石部材210cの駆動側突起部210c1(力受け部)が当接する。そして、プロセスカートリッジ100を挿入していくことで、押し込みリブ突き当て面8c1から受ける力により、駆動側突起部210c1が、駆動側引張バネ221の付勢力に抗して駆動側磁石部材移動規制穴220a内を感光体207側へ移動する。そして第1位置に位置決めされる。さらにこの移動によって、現像スリーブ210dを感光体207側へ押し付けることが可能になる。
【0039】
また、プロセスカートリッジ100の非駆動側もここで説明した駆動側と同様の構成であり、非駆動側本体ガイド部材9に形成された不図示の非駆動側磁石部材押し込みリブ(力付与部)によって非駆動側突起部210c2(力受け部)が移動させられる。これにより、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着すると、駆動側本体ガイド部材8、非駆動側本体ガイド部材9からの作用により磁石部材210cが感光体側へ移動させられる。そして磁石部材210cが図7(b)に示す第1位置に位置決めされる。
【0040】
なお上記では、図8(a)に示すように、駆動側位置決めボス201、回転止めボス202が、磁石部材210cの駆動側突起部210c1よりも長手方向外側に配置されている場合について説明しているが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。つまり、図8(b)に示すように、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置が略同一の場合であってもよい(非駆動側も同様)。この場合は図9(b)に示すように、上述したような駆動側磁石部材押し込みリブ8cを設けず、駆動側本体ガイド部材8に駆動側突起部210c1が通過する溝8dを形成し、溝8dの終端において駆動側突起部210c1が押し込まれるようにすればよい。かかる構成によれば、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置を略同一にできるので、プロセスカートリッジ100の長手方向寸法を小さくすることができる。
【0041】
以上より、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する前は、磁石部材210cを感光体207側から大きく離間させること
ができる。よって、プロセスカートリッジ100への衝撃、振動によって磁石部材210cが撓むことがあっても、撓んだ磁石部材210cに押された現像スリーブ210dが感光体207に接触する可能性を低減させることができる。また、もし磁石部材210cが撓んで現像スリーブ210d内面を押したとしても、現像スリーブ210dが感光体207を押圧しなければ、現像スリーブ210dから磁石部材210cへの大きな反力は生じない。よって、磁石部材210cや現像スリーブ210dの損傷や変形を抑えることができる。更に、プロセスカートリッジ100を装着する際は、その装着動作に伴って磁石部材210cを感光体207の方向へ移動させることができる。よって、使用者に煩雑な作業を要することなく、簡易な構成で磁石部材210cを移動することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
図10〜図14を参照して、本発明を適用可能な第2の実施形態に係るプロセスカートリッジ100について説明する。なお、画像形成装置の構成、プロセスカートリッジ100の基本的な構成は第1の実施形態と異なるものではないのでその説明を省略し、ここでは第1の実施形態と異なる構成のみ説明を行う。
【0043】
図10に本実施形態に係るプロセスカートリッジの長手方向から見た概略構成図を示す。図10(a)はプロセスカートリッジ100を装着前の状態を示しており、図10(b)はプロセスカートリッジ100を装着した際の状態を示している。
【0044】
図示するように、磁石部材210cは現像スリーブ210dと同軸上に配置されており、その軸方向に直交する断面形状がDカット形状(非円形の形状)となるように形成されている。プロセスカートリッジ100を装着する前は、Dカット形状の直線部分が感光体207に対向するように構成されている。つまり、感光体207の表面と磁石部材210cの表面との最近接距離が最も大きくなるように磁石部材210cの位相が決められている。
【0045】
まず、プロセスカートリッジ100の駆動側の構成について説明する。図11(a)に本実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図を示す。磁石部材210cの駆動側長手端部には駆動側突起部210c1が設けられており、駆動側突起部210c1の断面形状はDカット形状となっている。また、駆動側突起部210c1は駆動側軸受220(支持部材)によって支持されており、駆動側軸受220は駆動側ホルダ210b2に回転可能に支持されている。また、駆動側ホルダ210b2は現像容器210b1に支持されている。
【0046】
また、図11(b)に示すように、現像スリーブ210dの駆動側端部はDカット形状のスリーブ駆動側端部210d1を有しており、スリーブギア210fがスペーサーコロ210gを挟んでスリーブ駆動側端部210d1に係合して固定されている。現像スリーブ210dの内周は、スリーブギア210fと係合しており、スリーブギア210fは、駆動側軸受220と摺動可能に構成されている。つまり、不図示の駆動手段によって、スリーブギア210fを介して現像スリーブ210dが回転可能に構成されている。
【0047】
駆動側軸受220には、駆動側突起部210c1のDカット形状が嵌まるDカット凹部220bが形成されており、磁石部材210cは、駆動側突起部210c1とDカット凹部220bとが係合することで支持されている。このような構成により、駆動側軸受220(支持部材)は、磁石部材210cと一緒に回転するように磁石部材を支持している。また、図12(b)に示すように、駆動側軸受220には回転駆動ボス220cと回転規制突き当て部220dが設けられている。
【0048】
図12(a)は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100を駆動側の側面から見
た図である。駆動側軸受220の回転規制突き当て部220d(係止部)には駆動側引張バネ221が係止する。それにより駆動側軸受220は付勢力を受けて回転し、駆動側ホルダ210b2に設けられた回転規制リブ224の突き当て面224aに押し付けられて位置決めされている。この位置を第2の位相(第2位置)とする。これにより、磁石部材210cの駆動側突起部210c1は付勢され、磁石部材210cを図10(a)の状態にすることが可能になる。この状態では、磁石部材210cの表面と、感光体207の表面との最近接距離が最も大きくなっている。
【0049】
次にプロセスカートリッジ100の非駆動側の構成について説明する。図13(a)に、プロセスカートリッジ100の非駆動側の部分斜視図を示す。磁石部材210cの非駆動側端部には非駆動側突起部210c2が設けられており、その断面形状は現像スリーブ210dの回転中心を中心とした円形状になっている。現像スリーブ210dと磁石部材210cの非駆動側は、スペーサーコロ210gを挟んで非駆動側軸受222に摺動可能に支持されており、非駆動側軸受222は非駆動側ホルダ210b3に、非駆動側軸受位置決めリブ210b5によって位置決め固定されている。かかる構成によれば、プロセスカートリッジ100の駆動側において上記で説明したプロセスにより磁石部材210cを付勢し、回転させて位置決めすることで、非駆動側の非駆動側突起部210c2もそれに伴って回転することになる。
【0050】
図13(b)に、プロセスカートリッジ100の駆動側を長手方向に垂直な方向から見た図を示す。図示するように、磁石部材210cの駆動側突起部210c1は、駆動側ホルダ210b2よりも長手外側に配置されている。さらに駆動側位置決めボス201、回転止めボス202は、駆動側突起部210c1よりも長手方向で外側に配置されている。従って、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際は、駆動側軸受220を駆動側本体ガイド部材8に接触させることなくプロセスカートリッジ100を挿入することができる(非駆動側も同様)。
【0051】
図14(a)は、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着した状態における駆動側側面図を示すものである。プロセスカートリッジ100装着時は、斜線部で示された駆動側本体ガイド部材8に設けられた駆動側磁石部材押し込みリブ8c(力付与部)の押し込みリブ突き当て面8c1に駆動側軸受220の回転駆動ボス220c(力受け部)が当接する。なお、駆動側磁石部材押し込みリブ8c(力付与部)は、装置本体の一部を構成する。そして駆動側引張バネ221の付勢力に抗して、回転駆動ボス220cを押して回転させ、現像スリーブ210dの回転中心を中心として磁石部材210cを回転移動させ、磁石部材210cの位相を変化させる。その結果、磁石部材210cは、図10(b)に示す第1の位相(第1位置)に位置決めされる。この第1位置の状態において、現像動作が行なわれることになる。なお、押し込みリブ突き当て面8c1に回転駆動ボス220cを当接させて磁石部材210cを回転させる際の力を、現像スリーブ210dを感光体207の方向へ近づけるための力に利用することも可能である。
【0052】
なお上記では、図13(b)に示すように、駆動側位置決めボス201、回転止めボス202が、磁石部材210cの駆動側突起部210c1よりも長手方向外側に配置されている場合について説明しているが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。つまり、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置が略同一の場合であってもよい。この場合は図14(b)に示すように、上述したような駆動側磁石部材押し込みリブ8cを設けず、駆動側本体ガイド部材8に駆動側突起部210c1が通過する溝8dを形成し、溝8dの終端において駆動側突起部210c1が押し込まれるようにすればよい。かかる構成によれば、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置を略同一にできるので、プロセスカートリッジ100の長手方向寸
法を小さくすることができる。
【0053】
また、本実施形態では磁石部材210cの軸方向に直交する断面の形状をDカット形状としたが、磁石部材210cの断面の形状はこれに限られるものではない。つまり、磁石部材210cの表面と感光体207の表面との最短距離が、少なくとも2種類の距離をもつ形状(即ち非円形状)であればよい。また、本実施形態ではプロセスカートリッジ100の駆動側でのみ、磁石部材210cに回転力を与えているが、非駆動側においても磁石部材210cに回転力を与える構成であってもよい。
【0054】
以上より、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する前は、断面がDカット形状の磁石部材210cと感光体207との間隔を大きくすることができる。よって、プロセスカートリッジの衝撃、振動によって磁石部材210cが撓むことがあっても、撓んだ磁石部材に押された現像スリーブ210dが感光体207に接触する可能性を低減させることができる。また、もし磁石部材210cが撓んで現像スリーブ210d内面を押したとしても、現像スリーブ210dが感光体207を押圧しなければ、現像スリーブ210dから磁石部材210cへの大きな反力は生じない。よって、磁石部材210cや現像スリーブ210dの損傷や変形を抑えることができる。更に、プロセスカートリッジ100を装着する際は、その装着動作に伴って磁石部材210cを回転移動させることができる。よって、使用者に煩雑な作業を要することなく、簡易な構成で磁石部材210cを移動することができる。
【0055】
<第3の実施形態>
図15〜図19を参照して、本発明を適用可能な第3の実施形態に係るプロセスカートリッジ100について説明する。なお、画像形成装置の構成、プロセスカートリッジ100の基本的な構成は第1、第2の実施形態と異なるものではないのでその説明を省略し、ここでは第1、第2の実施形態と異なる構成のみ説明を行う。
【0056】
図15に、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の概略構成図を示す。図15(a)は、プロセスカートリッジ100を長手方向から見た場合の概略構成図であり、図15(b)は、プロセスカートリッジ100内に設けられている現像容器210b1の概略構成図である。本実施形態は、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着した状態でレーザービームプリンタ200に衝撃、振動等が生じても、現像スリーブ210dと感光体207が接触しない構成を有していることを特徴とする。
【0057】
プロセスカートリッジ100には、現像容器210b1内に収容されているトナーを封止するためのトナーシール部材225が設けられている(図15(a))。トナーシール部材225には、引き抜く際の持ち手として使用するプルタブ部225aが設けられており、プルタブ部根元225a1は折り曲げることが可能である(図15(b))。プロセスカートリッジ100を使用する際は、このトナーシール部材225を引き抜いて現像容器210b1の封止状態を解除して使用する。なお、ここではトナーシール部材225を引き抜く前の状態を、プロセスカートリッジ100の「未使用時」と定義する。
【0058】
次にプロセスカートリッジ100の駆動側の構成について説明する。図16(a)は、プロセスカートリッジ100の駆動側の概略構成図である。磁石部材210cの駆動側端部には回転中心部210c4を有する駆動側突起部210c1が設けられている。図16(b)に、この駆動側突起部210c1と、それが支持される駆動側軸受220の拡大図を示す。
【0059】
磁石部材210cの駆動側は駆動側軸受220に支持されており、駆動側軸受220は駆動側軸受位置決めリブ210b4によって位置決めされ、駆動側ホルダ210b2に支
持されている。さらに駆動側ホルダ210b2は、現像容器210b1に支持されている。また、図16(c)に示すように、現像スリーブ210dの駆動側端部は、Dカット形状を有したスリーブ駆動側端部210d1を有しており、スペーサーコロ210gを挟んでスリーブギア210fが係合して固定されている。また、スリーブギア210fの内周と駆動側軸受220とが摺動可能に構成されている。これにより不図示の駆動手段からスリーブギア210fを介して現像スリーブ210dに駆動力を伝達している。
【0060】
駆動側軸受220は駆動側軸受摺動部220eを有しており、磁石部材210cの回転中心部210c4と係合するU溝部220e1が設けられている(図16(b))。磁石部材210cの駆動側は、回転中心部210c4をU溝部220e1に係合させ、回転中心部210c4を中心としてA方向に回転可能に駆動側軸受220に支持されている。
【0061】
次にプロセスカートリッジ100の非駆動側の構成について説明する。図17(a)に、プロセスカートリッジ100の非駆動側の概略構成図を示す。磁石部材210cの非駆動側には、非駆動側突起部210c2が設けられている。現像スリーブ210dの非駆動側は、スペーサーコロ210gを挟んで非駆動側軸受222に支持されており、非駆動側軸受222は非駆動側軸受位置決めリブ210b5で位置決めされて非駆動側ホルダ210b3に支持されている。また、非駆動側ホルダ210b3は現像容器210b1に支持されている。
【0062】
また、非駆動側軸受222は、非駆動側ホルダ210b3に支持された状態で感光体207の回転中心と現像スリーブ210dの回転中心とを結んだ線に略平行に設けられた長丸穴の非駆動側磁石部材移動規制穴222aを有している。磁石部材210cは、非駆動側突起部210c2の非駆動側のDカットスライド部210c6を非駆動側磁石部材移動規制穴222aのスライド面222a3に係合させることでその位相が固定され、移動可能に駆動側軸受222に支持されている。
【0063】
図17(b)に、未使用時のプロセスカートリッジ100を長手方向から見た場合の概略構成図を示す。未使用時では、磁石部材210cの非駆動側突起部210c2に対して、非駆動側圧縮バネ226の付勢力が作用し、非駆動側突起部210c2がプルタブ部225aの規制面225a2(図15(b))に押し付けられて位置決めされている。よって、図18(a)に示すように、磁石部材210cを感光体207から離間させた状態に保つことができる。この位置を第2位置とする。なお図18(a)は、未使用時のプロセスカートリッジ100の長手方向の断面を示すものであり、図18(b)は、使用時におけるプロセスカートリッジ100の長手方向の断面を示すものである。
【0064】
図19(a)に、使用時におけるプロセスカートリッジ100の非駆動側の概略構成図を示す。なお「使用時」とは、トナーシール部材225を引き抜いた状態とする。使用時のプロセスカートリッジ100では、非駆動側圧縮バネ226から受ける付勢力によって、非駆動側突起部210c2が感光体207の方向に付勢される。その結果、非駆動側突起部210c2が非駆動側軸受222の駆動側磁石部材移動規制穴222aの第2突き当て面222a2に押し付けられて位置決めされる。この状態では、図18(b)に示すように、現像スリーブ210dに内包されている磁石部材210cは、画像形成可能な(現像動作を行える)所定の位置に移動している。この位置を第1位置とする。
【0065】
図19(b)は、プロセスカートリッジ100の非駆動側を長手方向から見た場合の概略構成図である。ここでは、非駆動側位置決めボス203、及びユニットガイドボス204は、磁石部材210c1の非駆動側突起部210c2とトナーシール部材225のプルタブ部225aに対して長手方向で外側に配置されている。従って、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際に、非駆動側突起部210c2と
プルタブ部225aとを非駆動側本体ガイド部材9に接触させることなく、プロセスカートリッジ100を挿入することができる。
【0066】
なお、本実施形態の構成を、第2の実施形態の構成に適用することも可能である。つまり、第2実施形態において、未使用時は駆動側軸受220の回転駆動リブ220c2をトナーシール部材225のプルタブ部225aで保持し、使用時はトナーシール部材225を取り除くことで2パターンの磁石部材210cの位置を取るようにすればよい。
【0067】
以上より、本実施形態によれば、レーザービームプリンタ200にプロセスカートリッジ100を装着した状態でも、第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。つまり、使用者に煩雑な作業を要することなく、簡易な構成で磁石部材210cを移動させることができる。
【符号の説明】
【0068】
8c…駆動側磁石部材押し込みリブ(力付与部),100…プロセスカートリッジ,200…レーザービームプリンタ(装置本体),207…感光体(像担持体),210c…磁石部材,210c1…駆動側突起部(力受け部)、210d…現像スリーブ(現像剤担持体),220…軸受(支持部材),220a…駆動側磁石部材移動規制穴(長穴),22
1…駆動側引張バネ(付勢部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、及び画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用する画像形成装置には、静電潜像が形成される感光体、感光体の表面を帯電する帯電ローラ、及び静電潜像に現像剤を供給して現像剤像として現像するための現像装置が一体化されたプロセスカートリッジが設けられている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されている。さらに現像装置には、感光体の表面に現像剤を供給する中空円筒状の現像剤担持体が設けられており、現像剤担持体の内部に磁石部材を設けた構成が知られている。磁石部材を設けることにより、磁石部材の作用によって現像剤担持体の表面に現像剤を安定して供給することができる。そして、現像剤担持体の表面と像担持体の表面とが所定の距離を保つように構成され、その現像剤担持体に現像バイアスが印加されることで現像動作が行なわれる。図20に、従来のプロセスカートリッジ1000の概略断面を示す。図20において、2070は感光体(像担持体)、2100dは中空円筒状の現像剤担持体、2100cは現像剤担持体内部に設けられている磁石部材を示す。
【0003】
かかる構成では、プロセスカートリッジの搬送時の衝撃(例えば落下等)により、現像剤担持体2100dが撓み、現像剤担持体2100dと感光体2070とが接触し、感光体2070の表面に傷が形成されてしまうことがある。感光体2070の表面に傷が形成されると、シート材に形成された画像にスジが入るといった画像不良が生じてしまう。そこで特許文献1と2には、この問題の解決策として、感光体と現像剤担持体との間に保護シートや緩衝体を設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−019800号公報
【特許文献2】特開2007−025127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1と2に記載の構成では、現像剤担持体と感光体との接触そのものは防止できるが、その他の弊害を伴うことがあった。その弊害とは、衝撃時の磁石部材の弾性的な撓みに伴う現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形である。この弊害(課題)は、以下のような現象により生じていることが、発明者の鋭意検討によりわかった。
【0006】
すなわち、衝撃により磁石部材が撓むと、その撓みに現像剤担持体の内周が押されるようにして現像剤担持体が撓み、これが現像剤担持体と感光体との接触を引き起こし、感光体表面の傷を生じる。更に、撓んで感光体に当接した現像剤担持体はそれ以上逃げ場がなくなる為、撓んだ磁石部材により更に押された結果、現像剤担持体と磁石部材との間に大きな反力が生じ、これにより現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことがある。このような課題は、従来の特許文献1と2の構成では、防止することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことなく、像担持体表面の傷を防止することができるプロセスカートリッジまたは画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するための画像形成装置は以下である。すなわち、装置本体と、静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、を有し、前記像担持体と前記現像剤担持体と前記磁石部材と前記間隙形成部材と前記支持部材とは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジに備えられており、前記装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着される装着部を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、現像剤担持体または磁石部材の損傷や変形を招くことなく、像担持体表面の傷を防止することができるプロセスカートリッジまたは画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における画像形成装置の概略断面図。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの装着方法を説明する図。
【図3】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の装着を説明する図。
【図4】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの非駆動側の装着を説明する図。
【図5】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図6】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの非駆動側の概略構成図。
【図7】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図8】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図9】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図10】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図11】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図12】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図13】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図14】第2実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図15】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図16】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図。
【図17】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの非駆動側の概略構成図。
【図18】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの長手方向の概略断面図。
【図19】第3実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図。
【図20】従来のプロセスカートリッジの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
(画像形成装置の概略構成)
図1を参照して、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100を備える画像形成装置の概略構成について説明する。図1(a)は、本実施形態における画像形成装置の概略断面図であって、電子写真方式によってシート材上に画像を形成するレーザービームプリンタ200の概略構成を示すものである。
【0013】
レーザービームプリンタ200には、シート材上にトナー像(現像剤像)を形成するプロセスカートリッジ100が設けられており、プロセスカートリッジ100は、レーザービームプリンタ200の装置本体に対して着脱可能に設けられている。なお、図1には1つのプロセスカートリッジ100のみ示しているが、プロセスカートリッジ100の数はこれに限定されるものではない。つまり、トナー(現像剤)の種類(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)ごとにプロセスカートリッジを設ける構成であってもよい。なお、プロセスカートリッジ100の構成は後述する。
【0014】
画像形成を行う際は、まず光学装置1から画像情報に基づいたレーザー光Lが、プロセスカートリッジ100内の感光体207(像担持体)へ照射され、感光体207の表面に静電潜像(静電像)が形成される。さらに感光体207の表面に形成された静電潜像に対して、プロセスカートリッジ100内に設けられている現像装置210からトナーが供給され、感光体207の表面にはトナー像(現像剤像)が形成される。
【0015】
一方、感光体207の表面にトナー像を形成するタイミングと同期して、シート材が収容されている給送トレイ3aからシート材が順次給送される。ここでは、給送トレイ3a先端のリフトアッププレート3bが上昇することで、最上位に位置するシート材2が搬送ローラ3d、分離パッド3c、及びレジストローラ3e等からなる搬送手段3によって、トナー像が転写される転写位置まで搬送される。
【0016】
そして不図示の電圧印加手段から転写ローラ4にトナー像と逆極性の電圧が印加されることにより、感光体207の表面に形成されているトナー像が転写位置においてシート材上に転写される。トナー像が転写されたシート材は、その後、搬送ガイド3fによって定着器5に搬送され、定着器5においてトナー像がシート材上に加熱定着される。なお、定着器5には、駆動ローラ5aと、加熱ヒータを内蔵する定着ローラ5bとが設けられており、駆動ローラ5aと定着ローラ5bとで形成される定着ニップ部においてシート材上のトナー像が加熱、加圧される。定着器5でトナー像が定着されたシート材は、その後排出ローラ3gによって排出部6へ排出される。なお、本実施形態において「装置本体」とは、レーザービームプリンタ200からプロセスカートリッジ100を除いた状態のものを指す。
【0017】
(プロセスカートリッジの構成)
図1(b)を参照して本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の構成について説明する。図1(b)は、プロセスカートリッジ100内の現像装置210に設けられている回転可能な現像スリーブ210dの回転軸方向からプロセスカートリッジ100を見た場合の概略断面図である。なお、以下では現像スリーブ210dの回転軸方向をプロセスカートリッジ100の長手方向として説明する。
【0018】
図示するようにプロセスカートリッジ100には、回転可能なドラム状の感光体207が設けられており、感光体207の周囲には、感光体207の表面にトナー像を形成するための複数の部材が設けられている。このように感光体207の周囲に設けられ、感光体207の表面にトナー像を形成するための部材をここではまとめて「プロセス手段」と称して説明する。
【0019】
プロセス手段は、感光体207の表面を帯電する帯電部材208、感光体207の表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置210、感光体207の表面に残留したトナーを除去するクリーニング部材211を備えている。また、現像装置210は現像枠体210bを有しており、クリーニング部材211はクリーニング枠体213を有している。そしてこれらの枠体によって、プロセスカートリッジ100全体のハウジングが形成されており、感光体207、及びプロセス手段を一体的に装置本体に対して着脱することが可能になる。なお、感光体207は、その長手方向の一方の側(駆動側)から駆動力が入力されるように構成されている。
【0020】
現像装置210の構成についてさらに詳しく説明する。上述した現像枠体210bの内部には、現像容器210b1内に収容されているトナーを担持し、トナーを担持搬送して感光体207の表面に供給するための現像スリーブ210d(中空円筒状の現像剤担持体)が回転可能に設けられている。現像スリーブ210dの内部に長手方向の寸法がほぼ同一の棒状の磁石部材210cが配置されており、現像スリーブ210dは現像容器210b1に回転可能に支持されている。従って、現像容器210b1から供給されたトナーは、磁石部材210cの磁力により現像スリーブ210dの表面に付着し、現像ブレード210eにより層厚が一定に規制されることになる。そして現像スリーブ210dと感光体207との対向位置において、現像スリーブ210d上から感光体207の表面の静電潜像にトナーが供給され、静電潜像をトナー像として現像する。
【0021】
(プロセスカートリッジの駆動側、非駆動側の装着)
次にプロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200の装置本体に対して装着する際のプロセスについて説明する。図2(a)は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に対して装着する際の様子を示した図である。プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に挿入して装着する場合は、まず開閉部材7をヒンジ7aを中心にして上方へ開き、図示矢印Xの方向にプロセスカートリッジ100を挿入する。これにより、レーザービームプリンタ200に形成されたガイド溝等の装着機構によって、挿入方向がガイドされ、プロセスカートリッジ100の駆動側、非駆動側がそれぞれ装置本体の所定の位置に位置決めされる。
【0022】
なお、ここでいうプロセスカートリッジ100の「駆動側」とは、プロセスカートリッジ100の長手方向において、レーザービームプリンタ200に設けられた駆動手段からの駆動力(感光体207を駆動するための駆動力)が入力される側を指す。「非駆動側」はその反対の側になる。また、レーザービームプリンタ200の装置本体側においては、プロセスカートリッジの「駆動側」と対向する側を「(レーザービームプリンタの)駆動側」、その反対側を「(レーザービームプリンタの)非駆動側」とする。なお、図2(a)、図2(b)では、図中の奥側が「駆動側」であり、手前側が「非駆動側」となる。
【0023】
図2(b)に示すように、レーザービームプリンタ200の駆動側には、プロセスカートリッジ100の駆動側をガイドする駆動側本体ガイド部材8が設けられており、駆動側本体ガイド部材8は上ガイド溝8aと下ガイド溝8bとを有している。一方、図2(c)に示すように、レーザービームプリンタ200の非駆動側には、プロセスカートリッジ100の非駆動側をガイドする非駆動側本体ガイド部材9が設けられており、非駆動側本体ガイド部材9は上ガイド溝9aと下ガイド溝9bとを有している。駆動側本体ガイド部材8と非駆動側本体ガイド部材9とで、プロセスカートリッジが装着される装着部が形成される。
【0024】
図3を参照して、プロセスカートリッジ100の駆動側の装着プロセス(装着動作)について説明する。図3(a)〜図3(c)は、プロセスカートリッジ100の駆動側の構
成を示しており、駆動側の装着プロセスを説明するための図である。駆動側の装着は、プロセスカートリッジ100の感光体ユニットcの駆動側に設けられた駆動側位置決めボス201を駆動側本体ガイド部材8の上ガイド溝8aに挿入し、回転止めボス202を下ガイド溝8bに係合させることで行われる。さらにプロセスカートリッジ100を押し込むと、図3(c)に示すように、プロセスカートリッジ100の駆動側位置決めボス201が上ガイド溝8aの終端に形成された本体位置決め部8a1に落ち込む。同様に、回転止めボス202が下ガイド溝8bの終端に形成された回転位置規制部8b1に落ち込み、回転位置規制面8b2に当接する。こうしてプロセスカートリッジ100の駆動側が位置決めされる。
【0025】
図4を参照して、プロセスカートリッジ100の非駆動側の装着プロセス(装着動作)について説明する。図4(a)〜図4(c)は、プロセスカートリッジ100の非駆動側の構成を示しており、非駆動側の装着プロセスを説明するための図である。非駆動側の装着は、プロセスカートリッジ100の感光体ユニットcの非駆動側に設けられた非駆動側位置決めボス203を非駆動側本体ガイド部材9の上ガイド溝9aに挿入し、ユニットガイドボス204を下ガイド溝9bに係合させて挿入することで行われる。さらに、プロセスカートリッジ100を押し込むと、図4(c)に示すように、非駆動側位置決めボス203が上ガイド溝9aの終端に形成された回転位置規制部9a1に落ち込む。同様に、ユニットガイドボス204が下ガイド溝9bの終端に形成された受け凹部9b1に落ち込む。こうしてプロセスカートリッジ100の非駆動側が位置決めされる。
【0026】
以上の装着プロセスにより、プロセスカートリッジ100の駆動側は、一対の上ガイド溝8aと下ガイド溝8bに挿入規制され、非駆動側は上ガイド溝9aと下ガイド溝9bに挿入規制され、プロセスカートリッジ100が所定の位置に位置決めされる。なお、プロセスカートリッジ100を装着すると、その装着動作と連動し、感光体207に対してレーザービームプリンタ200側から駆動力が入力可能な状態となる。ここでは開閉部材7を閉じることでレーザービームプリンタ200のカップリング凹部10(図2(b))が内側に侵入し、感光体207の側端のドラムフランジ230に一体のカップリング凸部230a(図3(a))に係合するように構成されている。そしてこのカップリング凹部10とカップリング凸部230aとが係合することで、レーザービームプリンタ200側の駆動源からカップリング凹部10を通じて感光体207へ駆動力を伝達することが可能となる。
【0027】
(磁石部材を移動させるための構成)
本実施形態に係るプロセスカートリッジ100は、現像スリーブ210dの内側に設けられている磁石部材210cを移動可能な構成とすることで、プロセスカートリッジ100が受ける衝撃、振動により現像スリーブ210dが撓むことを防止している。つまり、プロセスカートリッジ100の搬送時には磁石部材210cの表面と感光体207の表面との最近接距離を大きく保てる第2位置に、画像形成装置の使用時(現像動作時)には前記最近接距離を狭める第1位置に磁石部材210cを移動させている。以下、現像スリーブ210d(現像剤担持体内)内において、磁石部材210cと現像スリーブ210dの軸心とを平行に保った状態で磁石部材210cを移動可能とする構成について説明する。
【0028】
まず、図5を参照して、プロセスカートリッジ100の駆動側において磁石部材210cを移動可能とするための構成について説明する。図5(a)に本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の駆動側の部分斜視図を示す。磁石部材210cの駆動側端部には、駆動側突起部210c1が設けられている。磁石部材210cの駆動側は駆動側軸受220(支持部材)に支持されており、駆動側軸受220は駆動側軸受位置決めリブ210b4によって位置決めされ、駆動側ホルダ210b2に支持されている。さらに駆動側ホルダ210b2は現像容器210b1に支持されている。つまり図5に示す部材は、全て
プロセスカートリッジ100側に設けられているものである。
【0029】
現像スリーブ210dの駆動側端部(スリーブ駆動側端部210d1)はDカット形状を有しており(図5(b))、スリーブギア210fがスペーサーコロ210gを挟んでスリーブ駆動側端部210d1に係合して固定されている。このスペーサーコロ210gは、感光体207の表面に当接することで、現像スリーブ210dの表面と感光体207の表面との間に所定の間隙を形成する間隙形成部材である。スリーブギア210fの内周は、駆動側軸受220と摺動するように構成されており、不図示の駆動手段により、スリーブギア210fを介して現像スリーブ210dが回転するように構成されている。
【0030】
駆動側軸受220は、駆動側ホルダ210b2に支持された状態で、感光体207の回転中心と現像スリーブ210dの回転中心を結んだ仮想線に略平行に設けられた長丸穴(長穴)の駆動側磁石部材移動規制穴220aを有している。磁石部材210cの駆動側突起部210c1は、この駆動側磁石部材移動規制穴220aに嵌合している。これにより、駆動側Dカットスライド部210c5が駆動側磁石部材移動規制穴220aのスライド面220a3に係合されることでその位相が固定され、磁石部材210cを移動可能に駆動側軸受220によって支持することができる。
【0031】
図5(c)はプロセスカートリッジ100の駆動側側面図である。磁石部材210cは、駆動側引張バネ221(付勢部材)の作用により感光体207とは反対側へ付勢され、駆動側磁石部材移動規制穴220aの第1突き当て面220a1に押し付けられて第2位置に位置決めされている(図5(c))。なお、駆動側引張バネ221は、駆動側ホルダ210b2に取り付けられている。
【0032】
次に図6を参照して、プロセスカートリッジ100の非駆動側において磁石部材210cを移動可能とするための構成について説明する。図6(a)に本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の非駆動側の部分斜視図を示す。非駆動側の構成も駆動側の構成とほぼ同じである。磁石部材210cの非駆動側には、駆動側と同形状の非駆動側突起部210c2が設けられている。現像スリーブ210dの非駆動側は、スペーサーコロ210gを挟んで非駆動側軸受222に支持されており、非駆動側軸受222は非駆動側軸受位置決めリブ210b5と非駆動側ホルダ210b3に支持されている。非駆動側ホルダ210b3は、現像容器210b1に支持されている。
【0033】
非駆動側軸受222は、非駆動側ホルダ210b3に支持された状態で感光体207の回転中心と現像スリーブ210dの回転中心を結んだ線に略平行に設けられた長丸穴の非駆動側磁石部材移動規制穴222aを有している。磁石部材210cは、非駆動側突起部210c2の非駆動側Dカットスライド部210c6を非駆動側磁石部材移動規制穴222aのスライド面222a3に係合させることで位相が固定され、移動可能に駆動側軸受222に支持されている。
【0034】
図6(b)はプロセスカートリッジ100の非駆動側側面図である。磁石部材210cは、非駆動側引張バネ223の作用により感光体207とは反対側へ付勢され、非駆動側磁石部材移動規制穴222aの第1突き当て面222a1に押し付けられて第2位置に位置決めされている。
【0035】
以上より、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着しない状態では、駆動側引張バネ221、及び非駆動引張バネ223の作用により、磁石部材210cを感光体207と反対側へ移動させて位置決めすることができる。この位置を第2の位置とする。図7(a)に示すように磁石部材210cが第2位置にある場合は、感光体207の表面と磁石部材210cの表面との最近接距離(Ldm)を大きく保つことが可
能になる。より具体的には、現像スリーブ210dの回転中心に対して、磁石部材210cを感光体207とは反対側の位置に位置決めすることができる。
【0036】
次に、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際に磁石部材210cを感光体207側へ移動させ、現像動作を行なう際の第1位置に位置決めする構成について説明する。
【0037】
図8(a)に、プロセスカートリッジ100の駆動側を長手方向に垂直な方向から見た場合の概略構成図を示す。図示するように、磁石部材210cの駆動側突起部210c1は、駆動側ホルダ210b2よりも長手外側に飛び出している(非駆動側突起部210c2も同様)。さらに、駆動側位置決めボス201、回転止めボス202は、駆動側突起部210c1よりも長手方向外側に配置されている(非駆動側も同様の構成)。従ってプロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際は、磁石部材210cの長手方向両端の突起が駆動側本体ガイド部材8、及び非駆動側本体ガイド部材9に接触することがない。
【0038】
図9に、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着した状態におけるプロセスカートリッジ100の駆動側側面図を示す。図9(a)に示すように、駆動側本体ガイド部材8には斜線部で示される駆動側磁石部材押し込みリブ8c(力付与部)が設けられている。この力付与部は、装置本体の一部を構成している。プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着すると、駆動側磁石部材押し込みリブ8cの押し込みリブ突き当て面8c1に磁石部材210cの駆動側突起部210c1(力受け部)が当接する。そして、プロセスカートリッジ100を挿入していくことで、押し込みリブ突き当て面8c1から受ける力により、駆動側突起部210c1が、駆動側引張バネ221の付勢力に抗して駆動側磁石部材移動規制穴220a内を感光体207側へ移動する。そして第1位置に位置決めされる。さらにこの移動によって、現像スリーブ210dを感光体207側へ押し付けることが可能になる。
【0039】
また、プロセスカートリッジ100の非駆動側もここで説明した駆動側と同様の構成であり、非駆動側本体ガイド部材9に形成された不図示の非駆動側磁石部材押し込みリブ(力付与部)によって非駆動側突起部210c2(力受け部)が移動させられる。これにより、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着すると、駆動側本体ガイド部材8、非駆動側本体ガイド部材9からの作用により磁石部材210cが感光体側へ移動させられる。そして磁石部材210cが図7(b)に示す第1位置に位置決めされる。
【0040】
なお上記では、図8(a)に示すように、駆動側位置決めボス201、回転止めボス202が、磁石部材210cの駆動側突起部210c1よりも長手方向外側に配置されている場合について説明しているが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。つまり、図8(b)に示すように、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置が略同一の場合であってもよい(非駆動側も同様)。この場合は図9(b)に示すように、上述したような駆動側磁石部材押し込みリブ8cを設けず、駆動側本体ガイド部材8に駆動側突起部210c1が通過する溝8dを形成し、溝8dの終端において駆動側突起部210c1が押し込まれるようにすればよい。かかる構成によれば、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置を略同一にできるので、プロセスカートリッジ100の長手方向寸法を小さくすることができる。
【0041】
以上より、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する前は、磁石部材210cを感光体207側から大きく離間させること
ができる。よって、プロセスカートリッジ100への衝撃、振動によって磁石部材210cが撓むことがあっても、撓んだ磁石部材210cに押された現像スリーブ210dが感光体207に接触する可能性を低減させることができる。また、もし磁石部材210cが撓んで現像スリーブ210d内面を押したとしても、現像スリーブ210dが感光体207を押圧しなければ、現像スリーブ210dから磁石部材210cへの大きな反力は生じない。よって、磁石部材210cや現像スリーブ210dの損傷や変形を抑えることができる。更に、プロセスカートリッジ100を装着する際は、その装着動作に伴って磁石部材210cを感光体207の方向へ移動させることができる。よって、使用者に煩雑な作業を要することなく、簡易な構成で磁石部材210cを移動することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
図10〜図14を参照して、本発明を適用可能な第2の実施形態に係るプロセスカートリッジ100について説明する。なお、画像形成装置の構成、プロセスカートリッジ100の基本的な構成は第1の実施形態と異なるものではないのでその説明を省略し、ここでは第1の実施形態と異なる構成のみ説明を行う。
【0043】
図10に本実施形態に係るプロセスカートリッジの長手方向から見た概略構成図を示す。図10(a)はプロセスカートリッジ100を装着前の状態を示しており、図10(b)はプロセスカートリッジ100を装着した際の状態を示している。
【0044】
図示するように、磁石部材210cは現像スリーブ210dと同軸上に配置されており、その軸方向に直交する断面形状がDカット形状(非円形の形状)となるように形成されている。プロセスカートリッジ100を装着する前は、Dカット形状の直線部分が感光体207に対向するように構成されている。つまり、感光体207の表面と磁石部材210cの表面との最近接距離が最も大きくなるように磁石部材210cの位相が決められている。
【0045】
まず、プロセスカートリッジ100の駆動側の構成について説明する。図11(a)に本実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動側の概略構成図を示す。磁石部材210cの駆動側長手端部には駆動側突起部210c1が設けられており、駆動側突起部210c1の断面形状はDカット形状となっている。また、駆動側突起部210c1は駆動側軸受220(支持部材)によって支持されており、駆動側軸受220は駆動側ホルダ210b2に回転可能に支持されている。また、駆動側ホルダ210b2は現像容器210b1に支持されている。
【0046】
また、図11(b)に示すように、現像スリーブ210dの駆動側端部はDカット形状のスリーブ駆動側端部210d1を有しており、スリーブギア210fがスペーサーコロ210gを挟んでスリーブ駆動側端部210d1に係合して固定されている。現像スリーブ210dの内周は、スリーブギア210fと係合しており、スリーブギア210fは、駆動側軸受220と摺動可能に構成されている。つまり、不図示の駆動手段によって、スリーブギア210fを介して現像スリーブ210dが回転可能に構成されている。
【0047】
駆動側軸受220には、駆動側突起部210c1のDカット形状が嵌まるDカット凹部220bが形成されており、磁石部材210cは、駆動側突起部210c1とDカット凹部220bとが係合することで支持されている。このような構成により、駆動側軸受220(支持部材)は、磁石部材210cと一緒に回転するように磁石部材を支持している。また、図12(b)に示すように、駆動側軸受220には回転駆動ボス220cと回転規制突き当て部220dが設けられている。
【0048】
図12(a)は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100を駆動側の側面から見
た図である。駆動側軸受220の回転規制突き当て部220d(係止部)には駆動側引張バネ221が係止する。それにより駆動側軸受220は付勢力を受けて回転し、駆動側ホルダ210b2に設けられた回転規制リブ224の突き当て面224aに押し付けられて位置決めされている。この位置を第2の位相(第2位置)とする。これにより、磁石部材210cの駆動側突起部210c1は付勢され、磁石部材210cを図10(a)の状態にすることが可能になる。この状態では、磁石部材210cの表面と、感光体207の表面との最近接距離が最も大きくなっている。
【0049】
次にプロセスカートリッジ100の非駆動側の構成について説明する。図13(a)に、プロセスカートリッジ100の非駆動側の部分斜視図を示す。磁石部材210cの非駆動側端部には非駆動側突起部210c2が設けられており、その断面形状は現像スリーブ210dの回転中心を中心とした円形状になっている。現像スリーブ210dと磁石部材210cの非駆動側は、スペーサーコロ210gを挟んで非駆動側軸受222に摺動可能に支持されており、非駆動側軸受222は非駆動側ホルダ210b3に、非駆動側軸受位置決めリブ210b5によって位置決め固定されている。かかる構成によれば、プロセスカートリッジ100の駆動側において上記で説明したプロセスにより磁石部材210cを付勢し、回転させて位置決めすることで、非駆動側の非駆動側突起部210c2もそれに伴って回転することになる。
【0050】
図13(b)に、プロセスカートリッジ100の駆動側を長手方向に垂直な方向から見た図を示す。図示するように、磁石部材210cの駆動側突起部210c1は、駆動側ホルダ210b2よりも長手外側に配置されている。さらに駆動側位置決めボス201、回転止めボス202は、駆動側突起部210c1よりも長手方向で外側に配置されている。従って、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際は、駆動側軸受220を駆動側本体ガイド部材8に接触させることなくプロセスカートリッジ100を挿入することができる(非駆動側も同様)。
【0051】
図14(a)は、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着した状態における駆動側側面図を示すものである。プロセスカートリッジ100装着時は、斜線部で示された駆動側本体ガイド部材8に設けられた駆動側磁石部材押し込みリブ8c(力付与部)の押し込みリブ突き当て面8c1に駆動側軸受220の回転駆動ボス220c(力受け部)が当接する。なお、駆動側磁石部材押し込みリブ8c(力付与部)は、装置本体の一部を構成する。そして駆動側引張バネ221の付勢力に抗して、回転駆動ボス220cを押して回転させ、現像スリーブ210dの回転中心を中心として磁石部材210cを回転移動させ、磁石部材210cの位相を変化させる。その結果、磁石部材210cは、図10(b)に示す第1の位相(第1位置)に位置決めされる。この第1位置の状態において、現像動作が行なわれることになる。なお、押し込みリブ突き当て面8c1に回転駆動ボス220cを当接させて磁石部材210cを回転させる際の力を、現像スリーブ210dを感光体207の方向へ近づけるための力に利用することも可能である。
【0052】
なお上記では、図13(b)に示すように、駆動側位置決めボス201、回転止めボス202が、磁石部材210cの駆動側突起部210c1よりも長手方向外側に配置されている場合について説明しているが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。つまり、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置が略同一の場合であってもよい。この場合は図14(b)に示すように、上述したような駆動側磁石部材押し込みリブ8cを設けず、駆動側本体ガイド部材8に駆動側突起部210c1が通過する溝8dを形成し、溝8dの終端において駆動側突起部210c1が押し込まれるようにすればよい。かかる構成によれば、磁石部材210cの駆動側突起部210c1に対して駆動側位置決めボス201及び回転止めボス202の長手位置を略同一にできるので、プロセスカートリッジ100の長手方向寸
法を小さくすることができる。
【0053】
また、本実施形態では磁石部材210cの軸方向に直交する断面の形状をDカット形状としたが、磁石部材210cの断面の形状はこれに限られるものではない。つまり、磁石部材210cの表面と感光体207の表面との最短距離が、少なくとも2種類の距離をもつ形状(即ち非円形状)であればよい。また、本実施形態ではプロセスカートリッジ100の駆動側でのみ、磁石部材210cに回転力を与えているが、非駆動側においても磁石部材210cに回転力を与える構成であってもよい。
【0054】
以上より、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する前は、断面がDカット形状の磁石部材210cと感光体207との間隔を大きくすることができる。よって、プロセスカートリッジの衝撃、振動によって磁石部材210cが撓むことがあっても、撓んだ磁石部材に押された現像スリーブ210dが感光体207に接触する可能性を低減させることができる。また、もし磁石部材210cが撓んで現像スリーブ210d内面を押したとしても、現像スリーブ210dが感光体207を押圧しなければ、現像スリーブ210dから磁石部材210cへの大きな反力は生じない。よって、磁石部材210cや現像スリーブ210dの損傷や変形を抑えることができる。更に、プロセスカートリッジ100を装着する際は、その装着動作に伴って磁石部材210cを回転移動させることができる。よって、使用者に煩雑な作業を要することなく、簡易な構成で磁石部材210cを移動することができる。
【0055】
<第3の実施形態>
図15〜図19を参照して、本発明を適用可能な第3の実施形態に係るプロセスカートリッジ100について説明する。なお、画像形成装置の構成、プロセスカートリッジ100の基本的な構成は第1、第2の実施形態と異なるものではないのでその説明を省略し、ここでは第1、第2の実施形態と異なる構成のみ説明を行う。
【0056】
図15に、本実施形態に係るプロセスカートリッジ100の概略構成図を示す。図15(a)は、プロセスカートリッジ100を長手方向から見た場合の概略構成図であり、図15(b)は、プロセスカートリッジ100内に設けられている現像容器210b1の概略構成図である。本実施形態は、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着した状態でレーザービームプリンタ200に衝撃、振動等が生じても、現像スリーブ210dと感光体207が接触しない構成を有していることを特徴とする。
【0057】
プロセスカートリッジ100には、現像容器210b1内に収容されているトナーを封止するためのトナーシール部材225が設けられている(図15(a))。トナーシール部材225には、引き抜く際の持ち手として使用するプルタブ部225aが設けられており、プルタブ部根元225a1は折り曲げることが可能である(図15(b))。プロセスカートリッジ100を使用する際は、このトナーシール部材225を引き抜いて現像容器210b1の封止状態を解除して使用する。なお、ここではトナーシール部材225を引き抜く前の状態を、プロセスカートリッジ100の「未使用時」と定義する。
【0058】
次にプロセスカートリッジ100の駆動側の構成について説明する。図16(a)は、プロセスカートリッジ100の駆動側の概略構成図である。磁石部材210cの駆動側端部には回転中心部210c4を有する駆動側突起部210c1が設けられている。図16(b)に、この駆動側突起部210c1と、それが支持される駆動側軸受220の拡大図を示す。
【0059】
磁石部材210cの駆動側は駆動側軸受220に支持されており、駆動側軸受220は駆動側軸受位置決めリブ210b4によって位置決めされ、駆動側ホルダ210b2に支
持されている。さらに駆動側ホルダ210b2は、現像容器210b1に支持されている。また、図16(c)に示すように、現像スリーブ210dの駆動側端部は、Dカット形状を有したスリーブ駆動側端部210d1を有しており、スペーサーコロ210gを挟んでスリーブギア210fが係合して固定されている。また、スリーブギア210fの内周と駆動側軸受220とが摺動可能に構成されている。これにより不図示の駆動手段からスリーブギア210fを介して現像スリーブ210dに駆動力を伝達している。
【0060】
駆動側軸受220は駆動側軸受摺動部220eを有しており、磁石部材210cの回転中心部210c4と係合するU溝部220e1が設けられている(図16(b))。磁石部材210cの駆動側は、回転中心部210c4をU溝部220e1に係合させ、回転中心部210c4を中心としてA方向に回転可能に駆動側軸受220に支持されている。
【0061】
次にプロセスカートリッジ100の非駆動側の構成について説明する。図17(a)に、プロセスカートリッジ100の非駆動側の概略構成図を示す。磁石部材210cの非駆動側には、非駆動側突起部210c2が設けられている。現像スリーブ210dの非駆動側は、スペーサーコロ210gを挟んで非駆動側軸受222に支持されており、非駆動側軸受222は非駆動側軸受位置決めリブ210b5で位置決めされて非駆動側ホルダ210b3に支持されている。また、非駆動側ホルダ210b3は現像容器210b1に支持されている。
【0062】
また、非駆動側軸受222は、非駆動側ホルダ210b3に支持された状態で感光体207の回転中心と現像スリーブ210dの回転中心とを結んだ線に略平行に設けられた長丸穴の非駆動側磁石部材移動規制穴222aを有している。磁石部材210cは、非駆動側突起部210c2の非駆動側のDカットスライド部210c6を非駆動側磁石部材移動規制穴222aのスライド面222a3に係合させることでその位相が固定され、移動可能に駆動側軸受222に支持されている。
【0063】
図17(b)に、未使用時のプロセスカートリッジ100を長手方向から見た場合の概略構成図を示す。未使用時では、磁石部材210cの非駆動側突起部210c2に対して、非駆動側圧縮バネ226の付勢力が作用し、非駆動側突起部210c2がプルタブ部225aの規制面225a2(図15(b))に押し付けられて位置決めされている。よって、図18(a)に示すように、磁石部材210cを感光体207から離間させた状態に保つことができる。この位置を第2位置とする。なお図18(a)は、未使用時のプロセスカートリッジ100の長手方向の断面を示すものであり、図18(b)は、使用時におけるプロセスカートリッジ100の長手方向の断面を示すものである。
【0064】
図19(a)に、使用時におけるプロセスカートリッジ100の非駆動側の概略構成図を示す。なお「使用時」とは、トナーシール部材225を引き抜いた状態とする。使用時のプロセスカートリッジ100では、非駆動側圧縮バネ226から受ける付勢力によって、非駆動側突起部210c2が感光体207の方向に付勢される。その結果、非駆動側突起部210c2が非駆動側軸受222の駆動側磁石部材移動規制穴222aの第2突き当て面222a2に押し付けられて位置決めされる。この状態では、図18(b)に示すように、現像スリーブ210dに内包されている磁石部材210cは、画像形成可能な(現像動作を行える)所定の位置に移動している。この位置を第1位置とする。
【0065】
図19(b)は、プロセスカートリッジ100の非駆動側を長手方向から見た場合の概略構成図である。ここでは、非駆動側位置決めボス203、及びユニットガイドボス204は、磁石部材210c1の非駆動側突起部210c2とトナーシール部材225のプルタブ部225aに対して長手方向で外側に配置されている。従って、プロセスカートリッジ100をレーザービームプリンタ200に装着する際に、非駆動側突起部210c2と
プルタブ部225aとを非駆動側本体ガイド部材9に接触させることなく、プロセスカートリッジ100を挿入することができる。
【0066】
なお、本実施形態の構成を、第2の実施形態の構成に適用することも可能である。つまり、第2実施形態において、未使用時は駆動側軸受220の回転駆動リブ220c2をトナーシール部材225のプルタブ部225aで保持し、使用時はトナーシール部材225を取り除くことで2パターンの磁石部材210cの位置を取るようにすればよい。
【0067】
以上より、本実施形態によれば、レーザービームプリンタ200にプロセスカートリッジ100を装着した状態でも、第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。つまり、使用者に煩雑な作業を要することなく、簡易な構成で磁石部材210cを移動させることができる。
【符号の説明】
【0068】
8c…駆動側磁石部材押し込みリブ(力付与部),100…プロセスカートリッジ,200…レーザービームプリンタ(装置本体),207…感光体(像担持体),210c…磁石部材,210c1…駆動側突起部(力受け部)、210d…現像スリーブ(現像剤担持体),220…軸受(支持部材),220a…駆動側磁石部材移動規制穴(長穴),22
1…駆動側引張バネ(付勢部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
静電像が形成される像担持体と、
前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、
前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、
前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記プロセスカートリッジの前記装置本体への装着動作に伴って、前記磁石部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるための力を前記装置本体から受ける力受け部を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記支持部材は、前記磁石部材の端部を移動可能に支持する長穴を有し、
前記力受け部は、前記磁石部材の端部に設けられ、前記装着動作の際に前記装置本体の一部に当接することで前記力を受けて前記磁石部材を移動させることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記磁石部材は、断面形状が非円形であり、
前記支持部材は、前記磁石部材と一緒に回転するように前記磁石部材を支持し、
前記力受け部は、前記支持部材に設けられ、前記装着動作の際に前記装置本体の一部に当接することで前記力を受け、前記支持部材を回転させることで前記磁石部材を移動させることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
装置本体と、
静電像が形成される像担持体と、
前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、
前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、
前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、
を有し、
前記像担持体と前記現像剤担持体と前記磁石部材と前記間隙形成部材と前記支持部材とは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジに備えられており、
前記装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着される装着部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスカートリッジの装着動作に伴って、前記磁石部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるための力を前記プロセスカートリッジに付与する力付与部、
を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記磁石部材の端部を移動可能に支持する長穴を有し、
前記力付与部は、前記装着動作の際に前記磁石部材の端部に当接することで、前記磁石
部材を移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記磁石部材は、断面形状が非円形であり、
前記支持部材は、前記磁石部材と一緒に回転するように前記磁石部材を支持し、
前記力付与部は、前記装着動作の際に前記支持部材の一部に当接することで、前記支持部材を回転させることで前記磁石部材を移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
静電像が形成される像担持体と、
前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、
前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、
前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記プロセスカートリッジの前記装置本体への装着動作に伴って、前記磁石部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるための力を前記装置本体から受ける力受け部を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記支持部材は、前記磁石部材の端部を移動可能に支持する長穴を有し、
前記力受け部は、前記磁石部材の端部に設けられ、前記装着動作の際に前記装置本体の一部に当接することで前記力を受けて前記磁石部材を移動させることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記磁石部材は、断面形状が非円形であり、
前記支持部材は、前記磁石部材と一緒に回転するように前記磁石部材を支持し、
前記力受け部は、前記支持部材に設けられ、前記装着動作の際に前記装置本体の一部に当接することで前記力を受け、前記支持部材を回転させることで前記磁石部材を移動させることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
装置本体と、
静電像が形成される像担持体と、
前記静電像を現像するための現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の内部に配置された磁石部材と、
前記現像剤担持体の表面と前記像担持体の表面との間に間隙を形成する間隙形成部材と、
前記磁石部材を、現像動作を行なう際の第1位置と、前記像担持体の表面と前記磁石部材の表面との最近接距離が前記第1位置の時よりも大きくなる第2位置とに、前記現像剤担持体の内部おいて移動可能となるように支持する支持部材と、
を有し、
前記像担持体と前記現像剤担持体と前記磁石部材と前記間隙形成部材と前記支持部材とは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジに備えられており、
前記装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着される装着部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスカートリッジの装着動作に伴って、前記磁石部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるための力を前記プロセスカートリッジに付与する力付与部、
を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記磁石部材の端部を移動可能に支持する長穴を有し、
前記力付与部は、前記装着動作の際に前記磁石部材の端部に当接することで、前記磁石
部材を移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記磁石部材は、断面形状が非円形であり、
前記支持部材は、前記磁石部材と一緒に回転するように前記磁石部材を支持し、
前記力付与部は、前記装着動作の際に前記支持部材の一部に当接することで、前記支持部材を回転させることで前記磁石部材を移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−39488(P2011−39488A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96876(P2010−96876)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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