説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】未使用時のプロセスカートリッジのシール部材巻き取り時に発生する負荷トルク上昇のタイミングと、現像剤搬送部材駆動時に発生する負荷トルク上昇のタイミングをずらし、且つ、クリーニングブレードのめくれを防止する。
【解決手段】現像剤搬送部材74が回転してから、巻き取り部材82がシール部材80の巻き取りを開始する。駆動力を前記巻き取り部材82に伝達しない第一の位置と、前記駆動力を前記巻き取り部材82に伝達する第二の位置をとり、前記駆動力伝達部材は、前記現像剤搬送部材74が回転した後に前記第一の位置から前記第二の位置に移動するように構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
ここで、画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタなど)、電子写真ファクシミリ装置が含まれる。
【0002】
ここで記録媒体とは、画像を形成される物であって、例えば、記録シート、OHPシート等である。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての帯電手段、現像手段、クリーニング手段、の少なくとも1つと電子写真感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」という)とを一体的にカートリッジ化して画像形成装置に着脱可能とするものである。従って、少なくともプロセス手段としての現像手段と感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して画像形成装置に着脱可能とするものも含まれる。
【背景技術】
【0004】
画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジは、クリーニング装置(以下、「クリーニングユニット」と言う)と、現像装置(以下、「現像ユニット」という)とで形成されている。クリーニングユニットは、一般的に感光体ドラムやクリーニング手段などを有する。
【0005】
現像ユニットは、感光体ドラムに現像剤を供給する現像ローラ、現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給ローラが設けられた現像剤供給部と、現像剤を収容する現像剤収容部とを有する。
【0006】
現像剤供給部と現像剤収容部は、隔壁によって仕切られており、隔壁には、現像剤供給部と現像剤収容部とを繋ぐ開口が設けられている。現像剤収容部の現像剤は、現像剤収容部に設けられた現像剤搬送部材によって、現像剤収容部から現像剤供給部に送られる。
【0007】
なお、プロセスカートリッジ未使用状態において、現像剤収容部に設けられた開口部は、シール部材で密閉されており、シール部材の一端は把手部材と結合している。そして、画像形成装置本体へプロセスカートリッジを装着する際、ユーザーが把手部材を引っ張ることでシール部材が剥がされ、開口部が開封される。
【0008】
上記構成以外にも、画像形成装置本体へプロセスカートリッジを装着した後に、にシール部材を巻き取る構成が提案されている。この場合、プロセスカートリッジにシール部材を巻き取る巻取り部材を設け、巻取り部材は、画像形成装置本体に設けられた駆動源から駆動を受けてシール部材を自動的に巻き取ることで、開口部を開封する構成が取られている。
【0009】
しかしながら、画像形成装置本体に設けられた1つの駆動源により、前記シール部材の巻取り部材と現像剤搬送部材を駆動させる場合、プロセスカートリッジの負荷トルクの上昇を考慮する必要がある。
【0010】
具体的に負荷トルクの上昇とは、第一にシール部材を開口部から剥がすために巻取り部材を駆動する為の負荷トルクと、第二に現像剤搬送部材を駆動する際に発生する負荷トルクである。特に、未使用状態のプロセスカートリッジの場合、物流時の振動などによって現像剤収容部の現像剤が押し固められたように凝集している場合がある。このような状態で現像剤搬送部材を駆動させると、凝集した現像剤をほぐすのに通常より大きな現像剤搬送部材の負荷トルクが必要となる。
【0011】
ただ、上記の負荷トルクを考慮して、より大きなトルクを発生させることができる駆動源を画像形成装置に用いると、装置の大型化やコストの増大を招く原因となる。そこで、未使用状態のプロセスカートリッジのシール部材を自動的に巻き取る際、シール部材に巻取りを行ってから、現像剤搬送部材を駆動させる構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0012】
このような構成とすることで、シール部材を巻き取る際に発生する負荷トルク上昇のタイミングと、現像剤搬送部材を駆動する際に発生する負荷トルク上昇のタイミングをずらすことができる。そのため、画像形成装置の駆動源にかかる負荷を低減することができるので、画像形成装置に用いる駆動源の小型化、ひいては、装置の小型化、低コスト化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−077742(第21頁 第14図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来構成では、以下の問題があった。
【0015】
プロセスカートリッジのクリーニングユニットには、感光体ドラムの表面を清掃するためのクリーニング部材が設けられている。クリーニング部材は、一般的に、板金の一端に長手方向に渡ってゴムのブレードを成形したものであり、円筒状の感光体ドラムの表面にクリーニング部材のゴムの部分が当接している。また、クリーニング部材は、感光体ドラムの回転方向に対して、カウンター方向に当接するよう配置されている。
【0016】
なお、クリーニング部材は、感光体ドラムの回転方向に対して、カウンター方向に当接している。ここで、感光体ドラムとクリーニング部材との当接部に現像剤が介在しない状態で感光体ドラムが駆動され続けると、感光体ドラムとクリーニング部材との摺動摩擦が上昇し、クリーニング部材のゴム部がめくれる可能性がある。
【0017】
ところが、シール部材を巻き取る構成の場合、シール部材が巻き取られるまで現像ローラに現像剤が送られない。そのため、クリーニング部材と感光体ドラム間に現像剤が介在しない状態で、感光体ドラムを回転させるため、クリーニング部材のめくれが発生する恐れがあった。
【0018】
さらに、前述したシール部材の巻取りを行ってから、現像剤搬送部材が駆動する構成の場合、現像剤搬送部材によって現像剤が現像ローラへ搬送されるタイミングがさらに遅れるため、クリーニング部材のめくれに対して、より不利な方向になる。
【0019】
そのため、従来構成では、シール部材の巻き取り時におけるクリーニング部材のめくれを防止するため、クリーニング部材に摺動剤を塗布したり、感光体ドラムの表面に摺動摩擦を低減するための材料を処方したりしている。
【0020】
そこで、本発明の目的は、未使用時のプロセスカートリッジにおけるシール部材巻き取り時に発生する負荷トルク上昇のタイミングと、現像剤搬送部材駆動時に発生する負荷トルク上昇のタイミングをずらす。さらに、クリーニング部材のめくれを防止することができる現像装置、及びプロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本出願に係る代表的な手段は、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて電子写真感光体と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラと、前記電子写真感光体から現像剤を除去するクリーニングブレードと、前記現像剤が収容された、前記現像ローラに現像剤を供給するための開口を有する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に回転可能に支持された、前記現像剤を前記現像ローラに向かって搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材から駆動力が伝達される駆動力伝達部材と、前記開口を封止するシール部材と、前記開口を開封するために前記シール部材を巻き取る巻き取り部材と、前記駆動力伝達部材は、前記駆動力を前記巻き取り部材に伝達しない第一の位置と、前記駆動力を前記巻き取り部材に伝達する第二の位置をとり、前記駆動力伝達部材は、前記現像剤搬送部材が回転した後に前記第一の位置から前記第二の位置に移動するように構成である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、電子写真画像形成装置において、未使用時のプロセスカートリッジのシール部材巻き取り時に発生する負荷トルク上昇のタイミングと、現像剤搬送部材駆動時に発生する負荷トルク上昇のタイミングをずらす。さらに、クリーニング部材のめくれを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】シール部材の巻き取り動作を説明するための部分断面図
【図2】本実施例における画像形成装置の画像形成動作状態を示す断面図
【図3】本実施例における画像形成装置の外観斜視図
【図4】画像形成装置の開閉扉を開いた状態を示した外観斜視図
【図5】プロセスカートリッジの外観斜視図
【図6】画像形成が可能な状態のプロセスカートリッジの断面図
【図7】画像形成装置のプロセスカートリッジ装着部を示す斜視図
【図8】シール部材の巻き取り構成を説明するための部分断面図
【図9】実施例2におけるプロセスカートリッジの外観斜視図
【図10】実施例2における画像形成装置のプロセスカートリッジ装着部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例1)
[画像形成装置の全体説明]
まず画像形成装置の全体構成について、図2を参照して説明する。なお、図2は、本実施例における画像形成装置の画像形成動作状態を示す断面図である。
【0025】
図2に示す画像形成装置1は、水平方向に対して傾斜して併設された4個のプロセスカートリッジ11(11Y、11M、11C、11K)を備えている。各プロセスカートリッジ11は、独立に画像形成装置1の装置本体3に着脱可能である。
【0026】
ここで、装置本体3とは、画像形成装置1の構成からプロセスカートリッジを除いた構成である。
【0027】
カートリッジ11(以下、カートリッジという)は、画像形成装置1に対して、電子写真感光体である感光体ドラム12の軸方向に着脱される。なお、以後の説明において、感光体ドラム12の軸方向を長手方向、感光体ドラム12の軸方向と直交する方向を短手方向と定義する。また、画像形成装置1に関して、手前側とは、カートリッジ11の装着方向の上流側であり、奥側とは、カートリッジ11の装着方向の下流側である(カートリッジの装着方向については、後で説明する)。左右とは装置を正面から見て左又は右である。
【0028】
また、図2において、カートリッジ11Y、11M、11C、11Kは、それぞれフルカラー画像の色分解成分色に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤による画像を形成する。カートリッジ11は、感光体ドラム12を有している。感光体ドラム12の周囲には、帯電ローラ(帯電手段)13、現像ユニット(現像手段)14、クリーニングユニット(クリーニング手段)15等の電子写真プロセス手段が配置されている。装置本体3における感光体ドラム12の下側には、レーザスキャナユニット16が設けられている。また、感光体ドラム12の上側に中間転写ベルトユニット(ベルト状の転写手段、転写搬送手段)4が設けられている。中間転写ベルトユニット4は、ユニット内の右側に配設した2次転写内ローラ5と、装置内の左側に配設した従動ローラ6と、従動ローラ6寄りに配設したテンションローラ7と、この3本のローラ間に掛け回した中間転写ベルト4aと、を有する。中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)4aは、フレキシブルなエンドレスベルトである。上記3本のローラ5・6・7は回転軸線方向を前後方向にして並行に配設されている。テンションローラ7は上方へ移動付勢されていてベルト4aに張力を与えている。従動ローラ6と2次転写内ローラ5との間における下側のベルト4aの内側には、ベルト4aの移動方向に沿って左側から右側に順に所定の間隔をあけて第1から第4の4本の1次転写ローラ(1次転写手段)9が回転軸線方向を前後方向にして並行に配設されている。1次転写ローラ9が配設されている箇所において、ベルト4aと感光体ドラム12との接触部が1次転写部位T1である。従動ローラ6のベルト4aの屈曲部の外側には、ベルトクリーニングユニット10が配設されている。
【0029】
また、2次転写内ローラ5のベルト4aの屈曲部の外側には、2次転写外ローラ22が配設されている。ベルト4aと2次転写外ローラ22との接触部が2次転写部位T2である。
【0030】
装置本体3の下部には、記録媒体Pを収容した用紙カセット17が装着されている。そして、用紙カセット17から装置本体上方にかけて記録媒体搬送手段が設けられている。記録媒体搬送手段は、記録媒体Pの搬送方向上流側から用紙カセット17の上部に配置されたピックアップローラ18、分離パッド19、搬送路20、レジストローラ対21、搬送ガイド23で構成される。
【0031】
画像形成の動作は、以下の通りである。まず、画像形成タイミングにあわせて各感光体ドラム12を回転させ、帯電ローラ13によって表面を均一に帯電させた感光体ドラム12にレーザスキャナユニット16から選択的な露光をおこなう。これによって、感光体ドラム12に静電潜像を形成する。現像ユニット14は、前記静電潜像に現像剤を付着させて前記静電潜像を現像する。その後、1次転写ローラ9に前記現像剤像と逆極性のバイアスを印加する。これを各ステーションの感光体ドラム12毎に行い、順次ベルト4a上に現像剤像を重ね合わせて転写することで、フルカラーの未定着現像剤像を合成する。この未定着現像剤像は、ベルト4aの回転により搬送されて2次転写部位T2に至る。
【0032】
一方、用紙カセット17内の記録媒体Pは、ピックアップローラ18と分離パッド19によって1枚ずつ分離して搬送路20へ搬送される。記録媒体Pは、レジストローラ対21によって所定のタイミングで2次転写部位T2へ搬送される。そして、2次転写外ローラ22へ転写バイアスを印加することで、ベルト4a上の各色現像剤像を記録媒体Pに一括して2次転写する。これによって、記録媒体Pに未定着のカラー画像を形成する。その後、2次転写部位T2を出た記録媒体Pは、ベルト4aから分離されて搬送ガイド23に案内されて、定着ユニット24へ搬送される。そして、定着ユニット24のヒートローラ24aと加圧ローラ24bによって、加熱・加圧されて現像剤像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは第1排紙ローラ対25、搬送路26、第2排紙ローラ対27の経路を通って、排紙口28から、装置上面の排紙トレイ29に排紙される。一方、ベルト4aへ現像剤像を転写した後の感光体ドラム12は、クリーニングユニット15のクリーニング部材であるクリーニングブレード70で感光体ドラム12表面に残留した1次転写残現像剤を除去し、次の作像工程に備える。同様に、記録媒体Pを分離した後のベルト4aは、ベルトクリーニングユニット10でベルト4a上に残留した2次転写残現像剤を除去し、次の作像工程に備える。
【0033】
[プロセスカートリッジの装着方法]
次に、プロセスカートリッジの装着方法について説明する。
図3は、画像形成装置1の外観斜視図である。図4は、画像形成装置1の開閉扉2を開いた状態において、4つあるカートリッジ11の内の1つを挿入、又は、取り出す途中の状態を示した画像形成装置の外観斜視図である。
【0034】
本発明を実施した画像形成装置1において、図3に示すように、画像形成装置1の手前側に配設した開閉扉2の把手部2aを持った状態で、図4の矢印S方向に開き、開口部61aからカートリッジ11を交換する。
【0035】
このとき、画像形成装置1に対するカートリッジの挿入は、矢印T方向から行う。また、画像形成装置1に対するカートリッジの取り出しは、矢印U方向に行う。なお、以後の説明における「手前側」とは、矢印T方向の上流側であり、「奥側」とは、矢印T方向の下流側である。
【0036】
[プロセスカートリッジ]
次に、本実施形態のカートリッジ11について、図5〜7を用いて説明する。図5(a)は、奥側カバー部材を外した状態のカートリッジの装着方向から見て奥側の外観斜視図であり、図5(b)は、手前側カバー部材を外した状態のカートリッジの装着方向から見て手前側の外観斜視図である。図6は、カートリッジ11が装置本体3に装着され、画像形成が可能な状態のカートリッジ11の断面図である。図7は、画像形成装置1のカートリッジ装着部を示す斜視図である。
【0037】
なお、イエロー色の現像剤を収容したカートリッジ11Y、マゼンタ色の現像剤を収容したカートリッジ11M、シアン色の現像剤を収容したカートリッジ11C、ブラック色の現像剤を収容したカートリッジ11Kは、同一構成である。図5(a)に示すように、カートリッジ11は、感光体ドラム12の回転軸線O方向を長手方向とする。クリーニング枠体31のカートリッジ装着方向から見て奥側の端部には、ドラム駆動カップリング34と、現像駆動カップリング35と、規制部31aを有する。ドラム駆動カップリング34は、装置本体3側から感光体ドラム12を回転するための駆動力を受けるドラム駆動力受け部である。現像駆動カップリング35は、画像形成装置1から現像ユニット14の現像ローラ71を回転するための駆動力を受ける現像ローラ駆動力受け部である。
【0038】
図6に示すように、カートリッジ11は、感光体ドラム12と、帯電ローラ13、およびクリーニング部材70を備えたクリーニングユニット15と、現像ローラ71を有する現像ユニット14に分かれている。
【0039】
クリーニングユニット15のクリーニング枠体31には、感光体ドラム12が軸受部材32(32F、32R)を介して回転自在に取り付けられている。さらにクリーニング部材70によって感光体ドラム12表面から除去された残留現像剤は除去現像剤室31aに落下する。クリーニング部材70は、L字板金70aに長手に渡ってゴム部70bを一体的に成形したものである。クリーニング部材70は、図5に示すように、ゴム部70bが感光体ドラム12の長手方向に渡って、且つ、感光体ドラム12の回転方向(図中矢印A方向)に対してカウンター方向に当接するよう配置されている。
【0040】
そして、画像形成装置1には、図7に示すように、駆動源である駆動モータ(不図示)からの駆動力をクリーニングユニット15に伝達するためのドラムカップリング91が設けられている。ドラムカップリング91は、クリーニングユニット15のドラム駆動カップリング34と係合し、ドラム駆動カップリング34を介して伝達された駆動源の駆動力は、感光体ドラム12を画像形成動作に応じて回転駆動させる。帯電ローラ軸受36は、クリーニング枠体31に対して矢印B方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ13は、軸13aが帯電ローラ軸受36に回転可能に取り付けられており、帯電ローラ軸受36は、帯電ローラ加圧部材37により感光体ドラム12に向かって加圧されている。そして、帯電ローラ13は、感光体ドラム12の回転に従動して回転する。
【0041】
現像ユニット14は、図5に示すように、感光体ドラム12と接触し、且つ、矢印C方向に回転する現像ローラ71と現像枠体38とから構成される。現像ローラ71は、現像枠体38の両側にそれぞれ取り付けられた現像軸受部材33(33F、33R)を介して、回転自在に現像枠体38に支持されている。
【0042】
また、現像ローラ71の周りには、現像ローラ71に接触して矢印D方向に回転する現像剤供給ローラ72と現像ローラ71上の現像剤層を規制するための現像ブレード73が配置されている。さらに、現像枠体38は、現像ローラ71と現像剤供給ローラ72と現像ブレード73が配置された現像剤供給部38aと現像剤収容部38bとに隔壁38cによって仕切られている。現像剤供給部38aと現像剤収容部38bは、隔壁38cに設けられた開口部38dによって連通している。現像剤収容部38bには、収容された現像剤を撹拌すると共に現像剤供給ローラ72へ現像剤を搬送するための現像剤搬送部材74が設けられている。現像剤搬送部材74は、矢印E方向に回転し、現像剤収容部38b内の現像剤は、開口部38dから現像剤供給部38aへ搬送される。
【0043】
そして、現像ユニット14は、現像軸受部材33F、33Rに設けられた、穴33Fa、33Raに嵌合し、且つ、クリーニング枠体31に取り付けられた軸75(75F、75R)を中心にしてクリーニングユニット15に回動自在に結合されている。カートリッジ11の画像形成時においては、現像ユニット14は、加圧バネ76により付勢されているため、軸75(75F、75R)を中心に回転し、現像ローラ71が感光体ドラム12に当接している。
【0044】
なお、画像形成装置には、図7に示すように、駆動源である駆動モータ(不図示)からの駆動力を現像ユニット14の現像駆動カップリング35に伝達させるための現像カップリング92が設けられている。現像駆動カップリング35は、現像ローラ71の装着方向奥側端部と一体的に結合している。現像ローラ71の装着方向手前側端部には、図5(b)に示すように、現像ローラギア85が一体的に結合している。現像剤供給ローラ72のカートリッジ7装着方向手前側端部には、図5(b)に示すように、現像剤供給ローラギア87が一体的に結合している。現像ユニット14のカートリッジ7装着方向手前側端部には、現像アイドラギアが回転可能に支持されている。
【0045】
現像駆動カップリング35から現像カップリング92に駆動が伝達されると、現像ローラ71が回転する。すると、図5(b)に示すように、現像ローラ71の手前側端部に設けられた現像ローラギア85から現像アイドラギア86を介して、現像剤供給ローラギア87に伝達される。ここで、現像剤供給ローラギア87は、現像剤供給ローラ72と一体的に結合しており、現像剤供給ローラギア87が回転すると、現像剤供給ローラ72も回転する。なお、上述したギア類を保護するために現像ユニット14のカートリッジ7装着方向手前側には、ギア類を覆う手前側カバー部材90が取り付けられる。
【0046】
一方で、現像剤搬送部材74の駆動構成は、以下のようになっている。図5(a)に示すように、カートリッジ11の奥側には、攪拌アイドラギア77と攪拌ギア88が設けられている。現像駆動カップリング35には、ギア部35aが設けられており、ギア部35aは、攪拌アイドラギア77と係合している。攪拌ギア88は、現像剤搬送部材74と一体的に結合している。現像入力カップリング35の駆動は、攪拌アイドラギア77を介して、攪拌ギア88に伝達される。すわなち、現像入力カップリング35が回転すると、現像剤搬送部材74が回転する。また、現像ユニット14の装着方向奥側にも手前側と同様にギア類を保護するための奥側カバー部材93が取り付けられる。
【0047】
[現像剤収容部のシール構成]
次に、本実施形態の現像剤収容部38bのシール構成について、図8を用いて説明する。
【0048】
図8は、現像剤収容部38bのシール構成を説明するための斜視図である。
【0049】
未使用時のカートリッジにおいて、現像剤収容部38b内の現像剤がカートリッジ11の外部にもれないように、現像剤収容部38bの開口部38dは、シール部材80で封止されている。シール部材80は、シート材で形成されており、図8に示すように、開口部38d全周に渡って熱溶着や振動溶着などで現像剤収容部38bに接着されている。また、シール部材80は、折り返し部80aにおいて折り返されており、折り返し部の先端80bは、現像剤供給部38aの手前側に設けられたシール開口38eから現像枠体38の外部に延びている。シール開口38eには、シール部材80に付着した現像剤を拭き取るためのシール拭き取り部材81が配置されている。
【0050】
[シール部材の巻き取り構成]
次に、本実施形態のシール部材80の巻き取り構成について、図5(b)、図1(a)〜(b)を用いて説明する。
【0051】
図5(b)は、カートリッジ11の装着方向から見て手前側の外観斜視図である。図1(a)〜(b)は、シール部材80の巻き取り動作を説明するための部分断面図である。
【0052】
シール部材80の先端80bは、図5(b)に示すように、円筒状の巻き取り部材82に両面テープ等によって接着されている。巻き取り部材82は、現像剤収容部38のカートリッジ11の装着方向の手前側に設けられた巻き取り支持部38fによって回転可能に支持される。巻き取り部材82の一端には、巻き取りギア部82aが設けられている。さらに、現像剤収容部38には、巻き取りアイドラギア83が回転可能に支持されている。巻き取りアイドラギア83は、アイドラギア部83aとウォームギア部83bを有する。巻き取りギア部82aは、ウォームギア部83bと係合する。
【0053】
また、現像剤収容部38のカートリッジ11の装着方向の手前側には、現像剤搬送部材74と一体的に結合している駆動力伝達部材である第二攪拌ギア89が設けられている。第二攪拌ギア89は、図1(a)に示すように、現像剤収容部38に固定された取り付け部38gに回転可能に支持される。取り付け部38gには、第一のねじ部38hが形成されており、第二攪拌ギア89の内周には、第一のねじ部38hに対応した第二のねじ部89aが設けられている。現像剤収容部38と第二攪拌ギア89の間には、付勢部材84が配置されている。
【0054】
なお、第一のねじ部38hと第二のねじ部89aは、第二攪拌ギア89が回転すると、図1(b)に示すように、第二攪拌ギア89が現像枠体38の長手方向外側(図中矢印F方向)へ移動するように構成されている。また、前述したように、巻き取り部材82と第二攪拌ギア89は、現像ユニット14に設けられたカバー部材90によって覆われている。
【0055】
[シール部材の巻き取り動作]
次に、本実施形態のシール部材80の巻き取り動作について、図1を用いて説明する。
【0056】
図1(a)〜(c)は、シール部材80の巻き取り動作を説明するための部分断面図である。
【0057】
図1(a)に示すように、未使用状態のカートリッジ11において、現像剤収容部38の第一のねじ部38hと第二攪拌ギア89の第二のねじ部89aは、係合している。このとき、第二攪拌ギア89と巻き取りアイドラギア83のアイドラギア部83aは、係合していない。このときの第二攪拌ギア89の位置を第一の位置とする。
【0058】
この状態で、カートリッジ11を画像形成装置本体1に装着すると、画像形成装置1の駆動源である駆動モータ(不図示)から受けた駆動力が現像入力カップリング35を介して、現像剤搬送部材74を回転させる。このとき、現像剤収容部38b内の現像剤は、現像剤搬送部材74の回転によって攪拌される。
【0059】
そして、現像剤搬送部材74の回転は、現像剤搬送部材74と一体的に結合されている第二攪拌ギア89に伝達される。第二攪拌ギア89が所定回転数だけ回転すると、図1(b)に示すように、第二攪拌ギア89が現像枠体38の長手方向外側(図中矢印F方向)へ移動する。このときの第二攪拌ギア89の位置を第二の位置とする。そして、第一のねじ部38hと第二のねじ部89aの係合が解除すると、図1(c)に示すように、付勢部材84の付勢力によって、第二攪拌ギア89が矢印F方向に移動し、手前側カバー部材90の突き当て面90aに突き当たる。このとき、第二攪拌ギア89が駆動伝達部材である巻き取りアイドラギア83のアイドラギア部83aと係合する。これにより、第二攪拌ギア89の駆動が巻き取りアイドラギア83を介して巻き取り部材82に伝達し、シール部材80の巻き取りが開始される。
【0060】
シール部材80が巻き取られて、開口部38dが開封され始めると、現像剤搬送部材74により現像剤収容部38b内の現像剤が現像剤供給部38aに搬送される。現像剤供給部38aに搬送された現像剤は、現像剤供給ローラ72を介して、現像ローラ71へ搬送され、さらに、現像ローラ71から感光体ドラム12へと供給される。そして、感光体ドラム12に供給された現像剤は、シール部材80の巻き取り動作を行っている際の感光体ドラム12とクリーニング部材70の摺動摩擦を低減するための摺動剤としての役割を果たす。
【0061】
以上のことより、現像剤搬送部材の駆動を行ってから、シール部材の巻き取りを行うことで、カートリッジの負荷トルクの上昇を抑制することが可能となる。
【0062】
また、現像剤搬送部材の駆動の後にシール部材の巻き取りを行うことで、シール部材の巻き取りの後に現像剤搬送部材の駆動を行う構成よりも、現像ローラ、および感光体ドラムに対して早く現像剤を供給できる。感光体ドラム上の現像剤は、感光体ドラムとクリーニング部材の摺動抵抗を低減するための摺動剤としての役割を果たしている。すなわち、本実施例は、クリーニング部材のめくれに対して有利な構成であると言える。
【0063】
(実施例2)
以下に本発明の他の実施例について図を用いて説明する。
【0064】
[プロセスカートリッジと画像形成装置の駆動構成]
最初に、カートリッジ11と画像形成装置1の駆動構成について図9、10を用いて説明する。図9(a)は、カートリッジ11の装着方向から見て奥側の外観斜視図、図9(b)は、手前側カバー部材を外した状態のカートリッジ11の装着方向から見て手前側の外観斜視図である。図10は、画像形成装置1のカートリッジ11装着部を示す斜視図である。
【0065】
カートリッジ11の奥側には、図9(a)に示すように、現像ローラ71に駆動を伝達するための現像駆動カップリング35と、現像剤搬送部材74に駆動を伝達するための攪拌駆動カップリング195が設けられている。現像駆動カップリング35と現像ローラ71は、一体的に結合しており、攪拌駆動カップリング195は、現像剤搬送部材74と一体的に結合している。
【0066】
また、図9(b)に示すように、カートリッジ11の装着方向手前側には、現像ローラギア85と、シール部材80を巻き取るための巻き取り部材82と、巻き取りアイドラギア183が配置されている。現像ローラギア85は、現像駆動カップリング35と同様に、現像ローラ71と一体的に結合している。巻き取りアイドラギア183は、アイドラギア部183aとウォームギア部183bから形成されており、アイドラギア部183aは、現像ローラギア85と係合し、ウォームギア部183bは、巻き取り部材82のギア部82aと係合する。なお、上述したギア類を保護するために現像ユニット14の装着方向手前側には、ギア類を覆う手前側カバー部材90が取り付けられる。
【0067】
一方、画像形成装置1には、図10に示すように、現像カップリング92と攪拌カップリング196が設けられている。現像カップリング92は、駆動源である駆動モータ(不図示)から受けた駆動力を現像駆動カップリング35に伝達するためのものである。また、攪拌カップリング196は、攪拌駆動カップリング195に伝達するためのものである。現像カップリング92と攪拌カップリング196は、それぞれ独立して駆動することが可能となっている。
【0068】
[シール部材の巻き取り動作]
次に、シール部材80の巻き取り動作について説明する。
まず、カートリッジ11を画像形成装置本体1に装着すると、まず攪拌カップリング196が回転を開始する。すると、現像剤収容部38b内の現像剤は、現像剤搬送部材74の回転によってほぐされる。
【0069】
攪拌カップリング196が所定時間回転すると、次に、現像カップリング92の回転が開始する。現像カップリング92が回転することで、現像ローラ71が回転し、さらに、現像ローラギア85、巻き取りアイドラギア183を介して、巻き取り部材82に駆動が伝達し、シール部材80の巻き取りが開始される。
【0070】
上述した構成を取ることで、実施例1と同じ効果を得ることができる。即ち、カートリッジの負荷トルクの上昇を抑制できる。
【0071】
また、現像剤搬送部材の駆動の後にシール部材の巻き取りを行うことで、現像ローラ、および感光体ドラムに対してより早く現像剤を供給できる。そのため、シール部材の巻き取りの後に現像剤搬送部材の駆動を行う構成よりもクリーニング部材のめくれに対して有利な構成であると言える。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
14 現像ユニット
15 クリーニングユニット
31 クリーニング枠体
38 現像枠体
70 クリーニング部材
70a L字板金
70b ゴム部
71 現像ローラ
74 現像剤搬送部材
77 攪拌アイドラギア
82 巻き取り部材
83 巻き取りアイドラギア(実施例1)
84 付勢部材
85 現像ローラギア
86 現像アイドラギア
88 第一現像剤搬送ギア
89 第二現像剤搬送ギア
89a 第二のねじ部
183 巻き取りアイドラギア(実施例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラと、
前記電子写真感光体から現像剤を除去するクリーニングブレードと、
前記現像剤が収容された、前記現像ローラに現像剤を供給するための開口を有する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に回転可能に支持された、前記現像剤を前記現像ローラに向かって搬送する現像剤搬送部材と、
前記現像剤搬送部材から駆動力が伝達される駆動力伝達部材と、
前記開口を封止するシール部材と、
前記開口を開封するために前記シール部材を巻き取る巻き取り部材と、
前記駆動力伝達部材は、前記駆動力を前記巻き取り部材に伝達しない第一の位置と、前記駆動力を前記巻き取り部材に伝達する第二の位置をとり、前記駆動力伝達部材は、前記現像剤搬送部材が回転した後に前記第一の位置から前記第二の位置に移動するように構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記現像剤収容部は、第一のねじ部を有し、
前記駆動力伝達部材は、前記第一のねじ部と係合する第二のねじ部を有し、
前記駆動力伝達部材が前記第一の位置に位置する際は、前記第一のねじ部と前記第二のねじ部とが回転可能に係合しており、前記駆動力伝達部材が前記第二の位置に位置する際は、前記第一のねじ部と前記第二のねじ部との係合が解除されることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記プロセスカートリッジは、前記駆動力伝達部材を前記第一の位置から前記第二の位置に移動する方向に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記巻き取り部材はウォームギアであって、前記駆動力伝達部材から前記巻き取り部材への前記駆動力の伝達は、アイドラギアを介しておこなわれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成するための画像形成装置であって、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
前記記録媒体を搬送するための搬送手段と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−88655(P2012−88655A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237466(P2010−237466)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】