説明

プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

【課題】プロセスカートリッジ及び画像形成装置の操作性向上
【解決手段】ドラムユニット8と現像ユニット9を揺動可能に結合しているプロセスカートリッジにおいて、現像ユニット9の揺動中心62をシール部材43の短手幅L3の範囲に配置する。これにより、シール部材43を取り外す際の現像ユニット9の姿勢が安定し操作性が向上する。また、ドラムユニット8と現像ユニット9を揺動可能に結合しているプロセスカートリッジを装着した状態でシール部材43の取り外しが可能な画像形成装置において、現像ユニット8の揺動中心62をシール部材43の短手幅L3の範囲に配置する。これにより、シール部材43を取り外す際の現像ユニット9の姿勢が安定し操作性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等に使用されるプロセスカートリッジ及びこれを用いた電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、電子写真感光ドラム(以下、感光体ドラムと称す)及び前記感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化する。そして、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。
【0003】
このプロセスカートリッジ方式によれば、画像形成装置のメンテナンスをサービスマンによらずに使用者自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称す)において広く用いられている。
【0004】
従来のプロセスカートリッジは、感光体ドラムを保持するクリーニング枠体を有する感光体ドラムユニットと、感光体ドラム上の潜像を現像する手段としての現像ローラ、現像ブレード、現像剤としてのトナーを有する現像ユニットから構成されている。また、感光体ドラムユニットと現像ユニットは揺動中心で互いに揺動可能に支持されている。画像形成時、感光体ドラムと現像ローラは当接しているとともに、感光体ドラムに静電潜像を作る露光手段からの光が照射可能な状態になっている。また、現像ローラが感光体ドラムに対し確実に当接するよう、加圧バネよって現像ローラが感光体ドラムへ押圧されている。
【0005】
画像形成装置には、複数のプロセスカートリッジを配列した、インライン方式と呼ばれるものが知られている。このインライン方式の画像形成装置ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ごとに、感光体ドラムと現像ユニットを有するプロセスカートリッジを備え、各色の画像を重ね合わせ、フルカラー画像を形成するものである。このような画像形成装置の中には、プロセスカートリッジを支持するトレイを設け、画像形成装置本体からトレイを引き出すことでプロセスカートリッジの交換を行うものがある(特許文献1)。
【0006】
また、プロセスカートリッジは使用者が使用するまでの間、トナーを現像剤収容部としてのトナー収容部に保持しておくためのシール部材が設けられているが、画像形成装置で使用する際にはシール部材を取り外す必要がある。
【0007】
シール部材を取り外す動作としては、プロセスカートリッジを把持し、現像ユニットの側面のシール部材開口から引き出す(特許文献2)。
【0008】
また、画像形成装置の、組立工場からの出荷の際に、プロセスカートリッジをあらかじめ画像形成装置内に装着した状態で出荷する場合がある。これは使用者が画像形成装置を設置する時に、あらかじめプロセスカートリッジが装着されていることで、プロセスカートリッジの装着方法が認識し易く、ユーザービリティに優れている。このような場合、プロセスカートリッジを使用する前には、画像形成装置からプロセスカートリッジを取り外すことなくシール部材を引き出せるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−98772号公報
【特許文献2】特開2003−241495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のプロセスカートリッジにおいては、シール部材を取り外すとき、現像ユニットは感光体ドラムユニットに対し揺動可能に取り付けられており、その結果、シール部材を引き出す際に現像ユニットの姿勢が不安定にある場合があった。
【0011】
本発明は従来のプロセスカートリッジのシール部材を引き出す作業における操作性を向上させることを目的としている。即ち、プロセスカートリッジ単体の状態でのシール部材を引き出し作業時に、現像ユニットの姿勢が安定し、作業が安定して行える構成を提供することにある。
【0012】
また、画像形成装置内にプロセスカートリッジが装着された状態でシール部材を開封するような場合においても、シール部材を引き出す時に現像ユニットの姿勢が安定し、作業が安定して行える構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記目的を達成するための本発明に係るプロセスカートリッジの代表的な構成は、
電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジであって、電子写真感光体ドラムを有する第一の枠体と、前記電子写真感光体ドラムに形成された潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラを有する第二の枠体と、を有し、前記第一の枠体及び第二の枠体は揺動可能に結合されており、前記第二の枠体は、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像ローラを収容する現像室と、前記現像ローラの回転軸方向に延在し、前記現像剤収容部から現像剤を前記現像室へ供給する供給口と、前記供給口を開封可能に塞ぐシール部材と、前記現像ローラの回転軸方向の一端側の枠体側面に設けられており、前記供給口を開封する際に前記シール部材を引き出すための開口部を有している、プロセスカートリッジにおいて、前記第一の枠体と第二の枠体との揺動中心が、前記シール部材により封止されている前記供給口に対して垂直方向において前記シール部材の短手幅内にあることを特徴とする。
【0014】
(2)また、上記目的を達成するための本発明に係る電子写真画像形成装置の代表的な構成は、
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
1)前記電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着されたプロセスカートリッジであって、電子写真感光体ドラムを有する第一の枠体と、前記電子写真感光体ドラムに形成された潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラを有する第二の枠体と、を有し、前記第一の枠体及び第二の枠体は揺動可能に結合されており、前記第二の枠体は、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像ローラを収容する現像室と、前記現像ローラの回転軸方向に延在し、前記現像剤収容部から現像剤を前記現像室へ供給する供給口と、前記供給口を開封可能に塞ぐシール部材と、前記現像ローラの回転軸方向の一端側の枠体側面に設けられており、前記供給口を開封する際に前記シール部材を引き出すための開口部を有し、前記第一の枠体と第二の枠体との揺動中心が、前記シール部材により封止されている前記供給口に対して垂直方向において前記シール部材の短手幅内にあるプロセスカートリッジと、
2)前記記録媒体を搬送する手段と、
を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プロセスカートリッジのシール部材を引き出す作業における操作性を向上させることができる。即ち、プロセスカートリッジ単体の状態でのシール部材を引き出し作業時に、現像ユニットの姿勢が安定し、作業が安定して行える。
【0016】
本発明によれば、電子写真画像形成装置内にプロセスカートリッジが装着された状態でシール部材を開封するような場合においても、シール部材を引き出す時に現像ユニットの姿勢が安定し、作業が安定して行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1のカラー電子写真画像形成装置の概略の左断面模式図
【図2】図1の部分的な拡大図
【図3】ドアを開いた状態の画像形成装置の斜視図
【図4】ドアを開いた状態の画像形成装置の概略の左断面模式図
【図5】トレイを引き出した状態の画像形成装置の斜視図
【図6】トレイを引き出した状態の画像形成装置の概略の左断面模式図
【図7】引き出したトレイからカートリッジを取り出した状態を示した図
【図8】梱包材より取り出して、シール部材を除去する前(現像剤収容部開封前)の新品のカートリッジを駆動側から見た斜視図
【図9】そのカートリッジを非駆動側から見た斜視図
【図10】そのカートリッジの横断左側面模式図
【図11】図8のカートリッジの分解斜視図
【図12】図9のカートリッジの分解斜視図
【図13】現像容器の斜視図
【図14】現像剤供給口をシール部材で封止した状態の現像容器の斜視図
【図15】プルタブの斜視図
【図16】プルタブが上向きにされている状態を示した図
【図17】プルタブがヒンジ部を境にして折り曲げられて現像ユニットの上面に倒されている状態を示した図
【図18】現像ユニットの回動止めが解除されて、現像ローラがドラムに当接した状態を示した図
【図19】シール部材の開封(引き抜き除去)要領の説明図
【図20】現像ユニットの現像剤供給口が開封された状態を示した図
【図21】現像剤収容部開封済みのカートリッジを駆動側から見た斜視図
【図22】画像形成実行時におけるカートリッジの横断左側面模式図
【図23】非画像形成実行時におけるカートリッジの横断左側面模式図
【図24】実施例2の説明図
【図25】実施例3の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施例1]
《画像形成装置の全体的な概略構成》
図1は本実施例のカラー電子写真画像形成装置の概略の左断面模式図、図2は図1の部分的な拡大図である。
【0019】
この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置1はプロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジを画像形成装置本体1Aに取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
【0020】
ここで、以下の説明において、画像形成装置1に関して、前側(正面側)とは装置開閉ドア3を配設した側である。後側(背面側)とはそれとは反対側である。前後方向とは、画像形成装置1の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置1を前側から見て左または右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。
【0021】
また、画像形成装置本体(以下、装置本体と記す)とは、プロセスカートリッジを除いた装置構成部分である。また、プロセスカートリッジに関して、電子写真感光体ドラムの長手方向(軸線方向)において、装置本体から駆動が伝達される側を駆動側と称し、その反対側を非駆動側と称する。
【0022】
1Bはプロセスカートリッジ収容部であって、装置本体1Aの内部に設けられている。収容部1Bには、装置本体1Aの後側から前側にかけて、第1から第4の4つのプロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)を水平方向に並べて配設してある。このように複数のプロセスカートリッジ(以下、カートリッジと称す)Pを水平方向に配置することで、画像形成装置の高さを抑えることができる。
【0023】
各カートリッジPは、互いに同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下トナーと称す)の色や、トナーの充填量が各々異なるものである。収容部1Bに位置しているカートリッジPには装置本体1A側から回転駆動力が伝達される。また、カートリッジPには装置本体1Aからバイアス(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
【0024】
図2に示すように、本実施例の各カートリッジPは、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラムと称す)4と、この感光体ドラム4に作用するプロセス手段としての帯電手段5及びクリーニング手段7を備えた感光体ドラムユニット8を有する。また、各カートリッジPは、感光体ドラム上の静電潜像を現像する、現像手段を有する現像ユニット9を有する。感光体ドラムユニット8と現像ユニット9は互いに揺動可能に結合されている。帯電手段としては帯電ローラ5を用いている。クリーニング手段としてはクリーニングブレード7を用いている。現像手段としては現像ローラ6を用いている。カートリッジのより具体的な構成については後述する。
【0025】
第1のカートリッジPYは、現像容器内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、感光体ドラム4の面にY色のトナー像を形成する。第2のカートリッジPMは、現像容器内にマゼンタ(M)のトナーを収容してあり、ドラム4の面にM色のトナー像を形成する。第3のカートリッジPCは、現像容器内にシアン(C)のトナーを収容してあり、ドラム4の面にC色のトナー像を形成する。第4のカートリッジPKは、現像容器内にブラック(K)のトナーを収容しており、ドラム4の面にK色のトナー像を形成する。
【0026】
カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが配設されている。このユニットLBは、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。そして、レーザ光Lは、カートリッジPの露光窓部10を通過して感光体ドラム4の面を走査露光する。
【0027】
カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11を配設してある。このユニット11は、可撓性を有するエンドレスの転写ベルト12と、このベルト12を張設して回動させる駆動ローラ13・ターンローラ14・テンションローラ15を有する。各カートリッジの感光体ドラム4は、その下面が転写ベルト12の上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト12の内側には、感光体ドラム4に対向させて一次転写ローラ16を配設している。駆動ローラ13にはベルト12を介して二次転写ローラ17を当接させて配設してある。ベルト12と二次転写ローラ17の接触部が二次転写部である。
【0028】
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を配設してある。このユニット18は、記録媒体Sを積載して収容したトレイ19、給出ローラ20、等を有する。
【0029】
装置本体1A内の後側の上方には、定着ユニット22と、排出ユニット23を配設してある。装置本体1Aの上面は排出トレイ24としている。
【0030】
収容部1Bに収容されている各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、装置本体1A側の加圧機構(不図示)により上から加圧されて装置本体1A側の位置決め部(不図示)に固定されている。また、各カートリッジPの駆動入力部に対して装置本体1A側の駆動出力部が結合している。また、各カートリッジ側の入力電気接点に対して装置本体1A側の給電系統(不図示)が導通している。
【0031】
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体ドラム4が矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト12も矢印の時計方向(感光体ドラム回転に順方向)に感光体ドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。レーザスキャナユニットLBも駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジにおいて帯電ローラ5が感光体ドラム4の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。
【0032】
レーザスキャナユニットLBは各感光体ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Lで走査露光する。これにより、各ドラム4の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される現像ローラ6により現像される。
【0033】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYの感光体ドラム4にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上に一次転写される。
【0034】
同様に第2のカートリッジPMの感光体ドラム4にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するM色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているY色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0035】
同様に第3のカートリッジPCの感光体ドラム4にはフルカラー画像のシアン成分に対応するC色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているY色+M色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0036】
同様に第4のカートリッジPKの感光体ドラム4にはフルカラー画像のブラック成分に対応するK色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているY色+M色+C色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0037】
このようにして、転写ベルト12上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0038】
各カートリッジにおいて、一次転写後に感光体ドラム4の表面に残留した転写残トナーはクリーニングブレード7により除去される。
【0039】
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ17とベルト12との当接部である二次転写ニップ部に導入される。これにより、記録媒体Sが該ニップ部を搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
【0040】
記録媒体Sは転写ベルト12の面から分離されて定着ユニット22へ導入される。そして、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の記録媒体Sへの定着がなされる。そして、記録媒体Sは、定着ユニット22を出て、フルカラー画像形成物として排出ユニット23によりトレイ24上に排出される。
【0041】
《プロセスカートリッジ交換方式》
本実施例の装置本体において、カートリッジPの交換は、ユーザービリティ向上のために、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)を引き出し式のカートリッジトレイ29(カートリッジPを複数支持する移動部材)に乗せて支持させる。そして、カートリッジPをカートリッジトレイ29ごと装置本体の前側に引き出し交換する方式である。
【0042】
即ち、カートリッジトレイ29が装置本体1Aの最も外側に引き出された際には(図5・図6)、全てのカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が装置本体1Aの内側から外側に出る。従って、使用者が、カートリッジトレイ29に対してカートリッジを交換する際に、交換作業が行い易い。
【0043】
以下、このカートリッジ交換方式について説明する。装置本体1Aの前面側には、装置本体1A内へカートリッジを挿入させる、及び、装置本体1Aからカートリッジを取り出すために、カートリッジを通過させる開口26を設けてある。そして、この開口26を閉じる閉鎖位置と、開口26を開放する開放位置と、の間を移動可能な開閉部材としてのドア3を設けてある。
【0044】
本実施例においては、このドア3は、ドア下側の軸(ヒンジ軸)27を中心に装置本体1Aに対して開閉回動可能である。そして、図1に示すように、ドア3を装置本体1Aに閉じた状態にする。このドア3の閉じ動作により開口26が閉鎖される。
【0045】
また、ドア3は、図3・図4に示すように、装置本体1Aから開いた状態にすることができる。これにより、開口26が大きく開放される。3aはドア3に設けた取手部である。
【0046】
図1、図3、および図4に示すように、装置本体1Aの骨格となるメインフレーム1Cの左側フレームの内側と右側フレームの内側には対向させて、一対のトレイ保持部材28L・28Rが配設されている。この保持部材28L・28R間にカートリッジトレイ29を前後方向に略水平にスライド移動可能に保持させている。即ち、カートリッジトレイ29は装置本体1Aの内側と外側との間を移動可能である。カートリッジトレイ29はカートリッジP(PY・PM・PC・PK)を並べて支持している。
【0047】
ドア3はドアリンク30を介して保持部材28L・28Rと連結している。そして、ドア3の開き動作に連動して、保持部材28L・28Rがリンク30により引かれて装置本体1A内をガイド部材(不図示)に沿って上方へ所定量移動した後、前方向に所定量移動する。即ち、図1において、保持部材28L・28Rが右斜め上の位置に移動する。これにより、図3・図4に示すように、保持部材28L・28Rはその前側が開口26から装置本体1Aの外方に所定量突出した位置に引き出される。
【0048】
この保持部材28L・28Rの移動に連動して、各カートリッジPの駆動入力部に対する装置本体側の駆動出力部(不図示)の結合が解除された状態になる(駆動解除)。また、各カートリッジPを位置決め及び固定している加圧機構(不図示)によるカートリッジPの加圧が解除される(加圧解除)。また、トレイ29の位置決め固定が解除される。そして、各カートリッジPを支持しているカートリッジトレイ29が保持部材28L・28Rとともに右斜め上の位置に移動する(図1→図4)。
【0049】
これにより、各カートリッジPが位置決め部より浮き上がる。従って、各カートリッジPのドラム4の下面が転写ベルト12の面から離間して非接触状態になる。そして、カートリッジトレイ29は装置本体1Aより引き出し可能となる。(この状態を装着位置と称す)。
【0050】
そこで、使用者が、開口26から露呈している取手部29aをつかんでカートリッジトレイ29を保持部材28L・28Rに対して前方向に水平にスライド移動させる。そして、図5・図6に示すように、カートリッジトレイ29を開口26から装置本体1Aの外側の所定の引き出し位置まで引き出す。(この状態を引き出し位置と称す)。
【0051】
これにより、カートリッジトレイ29に保持されている第1〜第4の4つカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の全体が開口26を通過して装置本体1Aの外側に露出する。そして、全カートリッジPの上面が開放される。カートリッジトレイ29は、引き出し位置まで引き出されると、ストッパー(不図示)によりそれ以上の引き出し移動が阻止される。また、カートリッジトレイ29は、所定の引き出し位置まで水平に引き出されている状態が保持部材28L・28Rにより安定に保たれる。
【0052】
上記において、カートリッジトレイ29が、カートリッジPを支持しながら移動する移動部材であり、各カートリッジPを並べて支持した状態で、カートリッジを前後方向に移動可能である。そして、カートリッジトレイ29は、装置本体1Aの内側と外側との間を移動可能である。また、カートリッジトレイ29は、開口26を通過してカートリッジPを装置本体1Aの外側において着脱可能な引き出し位置と、カートリッジを装置本体1Aの内側に装着するための装着位置と、感光体ドラム4に静電潜像を形成できる潜像形成位置とを取り得る。
【0053】
図5および図6に示すように、カートリッジトレイ29は、個々のカートリッジPが装置本体に装着され、位置決めがされるまでの間、カートリッジPをラフに支持している。そこで、使用者は、図7に示すように、交換すべき使用済みのカートリッジPを、カートリッジトレイ29から上方に持ち上げて抜き出す。そして、新しいカートリッジPをカートリッジトレイ29に対して上から嵌め込む。即ち、各カートリッジPはカートリッジトレイ29に対して垂直方向より挿抜(着脱)が可能である。
【0054】
新しいカートリッジPについては、使用を開始する前に、現像ユニット9のトナー収容部からトナーを現像室へ供給する供給口を封止しているシール部材を除去する(シール部材の開封、トナー収容部開封)。これについては後述する。
【0055】
使用者は、カートリッジトレイ29に対するプロセスカーリッジPの新旧交換をしたら、こんどは上記とは逆の手順で、引き出されているカートリッジトレイ29を保持部材28L・28Rに対して後方向に水平にスライド移動させる。そして、ストッパー(不図示)によりそれ以上の押し入れが阻止されるまで、装置本体1Aに十分に押し込む。カートリッジトレイ29は、図3・図4の装着位置の状態に戻る。
【0056】
ドア3を閉じるために回動させる。このドア3の閉じ動作に連動して、保持部材28L・28Rがリンク30で押されて装置本体1A内をガイド部材(不図示)に沿って所定量後方へ移動した後、所定量下方へ奥方向移動する。即ち、図4において、保持部材28L・28Rは左斜め下の位置に移動する。保持部材28L・28Rのこの戻し移動に連動して、プロセスカートリッジ加圧機構が各カートリッジPを加圧する。各カートリッジPは、この加圧機構の加圧力によって、装置本体1Aに設けられた位置決め部に位置決され、画像形成が可能な画像形成位置へ固定される。
【0057】
また、各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の駆動入力部に対する装置本体側の駆動出力部の結合がなされる。また、カートリッジトレイ29の位置決め及び固定がなされる。また、各カートリッジの感光体ドラム4の下面が転写ベルト12の面に接触状態になる。これで、各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)が装置本体1A内における潜像形成位置に装着された図1・図2に示す状態に復帰する。そして、画像形成装置1は、画像形成動作が可能な状態になる。
【0058】
《プロセスカートリッジの全体的な構成》
本実施例において、第1から第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、同様の電子写真プロセス機構を有し、収容されているトナーの色やトナーの充填量が各々異なるものである。
【0059】
図8は、梱包材より取り出して、現像ユニット9のトナー収容部からトナーを現像室へ供給する供給口を開封可能に塞ぐシール部材を除去する前(トナー収容部開封前)の新品のカートリッジPを駆動側から見た斜視図である。図9はそのカートリッジPを非駆動側から見た斜視図である。図10はそのカートリッジPの断面図である。図11は図8のカートリッジPの分解斜視図、図12は図9のカートリッジPの分解斜視図である。
【0060】
図8および図9に示すように、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、感光体ドラム4の回転軸線aの方向を長手方向とする横長のアセンブリであり、装置本体正面から見て右側が駆動側、左側が非駆動側である。カートリッジPは、感光体ドラムユニット8と、現像ユニット9と、駆動側カバー部材31と、非駆動側カバー部材32を有する。
【0061】
図10に示すように、感光体ドラムユニット8は、第1の枠体としてのクリーニング容器33に、感光体ドラム4と、帯電ローラ5と、クリーニングブレード7を有している。
【0062】
感光体ドラム4は、非駆動側は図11に示す非駆動側カバー部材32の感光体ドラム支持部51L、また、駆動側は図12に示す駆動側カバー部材31の感光体ドラム支持部51Rによって回転自在に支持されている。感光体ドラム4の駆動側の端部4Rには、感光体ドラム駆動入力部としてのドラム駆動カップリング(駆動伝達部)36が感光体ドラム4と同心に取り付けてある。このドラム駆動カップリング36に対して装置本体側のドラム駆動出力部としてのカップリングが係合して装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力の伝達がなされ、感光体ドラム4が図1・図2・図22において反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
【0063】
帯電ローラ5はドラム1に接触し従動回転する接触帯電方式の帯電部材である。そして、感光体ドラム4に対し所定の交差角をもって配列し、かつ感光体ドラム4に接触させて、駆動側と非駆動側の軸端部を容器33の側板33R・33L間に設けられた軸受部(不図示)を介して回転自在に支持させて配設してある。
【0064】
ブレード7は弾性ゴムブレードであり、先端部を感光体ドラム4の回転方向に対してカウンター方向にして感光体ドラムに当接させて配設してある。ブレード7は感光体ドラム4に残留したトナーを除去する役目をする。このブレード7により感光体ドラム4の周面から除去された転写残トナーは、クリーニング容器33内に収容される。
【0065】
図11および図12に示すように、クリーニング容器33の駆動側と非駆動側の側板33R・33Lの外面にはそれぞれカバー部材31,32との係合用凸部37R・37Lを設けてある。
【0066】
図10に示すように、現像ユニット9は第2の枠体としての現像容器34と、現像手段としての現像ローラ6と、現像ブレード38を有する。現像容器34は、トナー収容部39と、現像室40を有する。
【0067】
図10および図12に示すように、現像ローラ6は現像室40に配置され、駆動側と非駆動側の軸端部はそれぞれ現像容器34の駆動側と非駆動側の両側面34R・34Lに取り付けられた軸受部材41R・41Lによって回転自在に支持されている。
【0068】
現像ブレード38は先端部を現像ローラ6の回転方向(図2・図22において時計方向)に対してカウンター方向にして現像ローラ6に当接させて配設してある。現像ブレード38は、現像ローラ6の周面にトナーを薄層に規制する役目をする。
【0069】
トナー収容部39と現像室40の間にはトナー収容部39から現像室40へのトナー量を規制して供給するトナー供給口42が形成してある。この供給口42は、図13のように、現像ローラ6の回転軸方向(現像ローラ長手方向)に渡って延在している。供給口42の大きさは、現像ローラ長手方向については、現像ローラ6に現像ブレード38によりトナーの薄層が形成される現像領域L1より狭い範囲で設けられている。
【0070】
また、現像ローラ長手方向と直交する方向(短手方向)には、図10に示すように、現像枠体8の幅L2より短く設定されている。新品のカートリッジPにおいては、この供給口42に、図10・図14のように、フィルム状のシール部材43が熱溶着などの方法により貼り付けられており、このシール部材43によりトナー収容部39と現像室40とが分離されている。そして、トナー収容部39にはトナーTが充填されている。
【0071】
即ち、新品のカートリッジPが使用者によって使用されるまでの間にトナーがトナー収容部39より現像室40へ出てこないようにするため、トナー供給口42はシール部材43で開封可能に塞がれている。本実施例において、シール部材43は厚さ70〜200μmの可撓性を有するフィルムであり、供給口42の外縁に熱溶着にて固定されている。
【0072】
シール材43は、図14のように、供給口42の非駆動側から駆動側までを封止した後、駆動側の端部で折り返され、現像容器34の非駆動側のシール材引き出し口34aを通して現像容器34の外側に引き出される。43aはシール材43を駆動側から非駆動側へ折り返した部分、43bは引き出し口34aから現像容器34の外側へ引き出した部分である。上記した現像容器34の非駆動側のシール材引き出し口34aが現像ローラ6の回転軸方向の一端側の枠体側面に設けられており、供給口42を開封する際にシール材43を引き出すための開口である。
【0073】
図11に示すように、現像容器34の駆動側の側板34Rの外面のほぼ中央部には、駆動入力ギア44が配置されている。この駆動入力ギア44は、現像容器34の側板34Rに取り付けたサイドカバー47の円筒部分47aにより回転軸中心が保持されている。そして、この駆動入力ギア44には該ギアの回転を現像ローラ6に伝達して現像ローラ6を駆動するためのギア45を噛合させて配設してある。サイドカバー47は駆動入力ギア44とギア45に対するカバーである。
【0074】
また、駆動入力ギア44の端面には現像駆動入力部としての現像駆動カップリング(駆動伝達部)46が形成されている。このカップリング46に対して装置本体側の現像駆動出力部としてのカップリングが係合して駆動伝達がなされ、現像ローラ6が図2・図22において時計方向に回転駆動される。また、軸受部材41Rの外面には上方に突出させて、装置本体側からの力を受ける離間リブ48が設けられている。
【0075】
図12に示すように、現像容器34の非駆動側の側板34Lの外面のほぼ中央部には筒状のボス49を設けてある。このボス49は駆動入力ギア44の回転軸線b上にある。この回転軸線bは感光体ドラム4の回転軸線aと並行である。また、側板34Lの外面上部には容器短手方向に間隔を空けて一対の係合用凸部50を具備させてある。
【0076】
駆動側カバー部材31には、感光体ドラムユニット8の駆動側のドラム軸係合用円環状リブ35Rと係合用凸部37Rがそれぞれ対応して嵌合するドラム軸係合用凹溝65Rと係合用凹部52Rを設けてある。また、駆動側カバー部材31には、現像ユニット9のサイドカバー47の円筒部分47aが対応して嵌合する円筒受け穴54を設けてある。また、駆動側カバー部材31の外面には、装置本体内でのカートリッジPの装着姿勢を決めるためのボス55を設けてある。また、駆動側カバー部材31の下縁部には下方に突出させて、カートリッジPを装置本体側の位置決め部(不図示)に位置決めするための駆動側の被位置決め部56Rを設けてある。
【0077】
図11に示すように、非駆動側カバー部材32には、感光体ドラムユニット8の非駆動側の環状リブ35Lと係合用凸部37Lがそれぞれ対応して嵌合するドラム軸係合用凹溝65Lと係合用凹部52L、及びシール部材引き出し開口部57を設けてある。また、非駆動側カバー部材31の内面には、現像ユニット9の非駆動側の筒状のボス49に対応して筒穴に嵌入する軸58と、現像ユニット9の非駆動側の一対の係合用凸部50の間隔部に対応する係合用凹部59を設けてある。
【0078】
また、非駆動側カバー部材32の外面には、装置本体内でのカートリッジの装着姿勢が大きく倒れないようにするための溝部60を設けてある。また、非駆動側カバー部材32の下縁部には下方に突出させて、カートリッジを装置本体側の位置決め部(不図示)に位置決めするための非駆動側の被位置決め部56Lを設けてある。
【0079】
ドラムユニット8と現像ユニット9の駆動側と非駆動側とに、それぞれ、駆動側と非駆動側のカバー部材31と32を対応させる。駆動側においては、感光体ドラムユニット8側の環状リブ35Rと係合用凸部37R、及び現像ユニット9側のサイドカバー47の円筒部分47aと、カバー部材31側の凹溝65Rと係合用凹部52R、及び円筒受け穴54とをそれぞれ嵌合させる。そして、感光体ドラムユニット8に対してカバー部材31をネジ止めなどの方法で固定する。
【0080】
また、非駆動側においては、ドラムユニット8側のドラム軸係合用円環状リブ35Lと係合用凸部37L、及び現像ユニット9側の筒状のボス49と、カバー部材32側のドラム軸係合用凹溝65Lと係合用凹部52L、及び軸58とをそれぞれ嵌合させる。また、現像ユニット9のシール材引き出し口34aから出ているシール材引き出し部分43bをカバー部材32の開口部57を通して外側に出す。そして、感光体ドラムユニット8に対してカバー部材32をネジ止めなどの方法で固定する。
【0081】
また、カバー部材32の開口部57から出ているシール材引き出し部分43bには、使用者がシール材を容易に掴めるようにプルタブ61を熱溶着等により接合して取り付ける。図15はプルタブ61の拡大斜視図である。このプルタブ61は、ポリプロピレン(材料記号PP)など柔軟性に富む樹脂材料による成形品であり、シール材引き出し部分43bを接合して取り付けるシール材接合部61aと、この接合部61aにヒンジ部61bを介して連設した摘み部61cを有する。摘み部61cはヒンジ部61bを境にして接合部61aに対して折り曲げて方向を変えたり、スナップフィット形状などを設けてカートリッジへの固定が可能となっている。
【0082】
図8に示すように、現像ユニット9は、駆動側と非駆動側のカバー部材31・32間においてドラム軸線aと並行な軸線bを中心にして揺動自在の吊り構造で支持されている。即ち現像ユニット9は、ドラムユニット8と回転可能に結合されている。現像ユニット9の駆動側はサイドカバー47の円筒部分47aがカバー部材31の円筒受け穴54に回転可能に支持されて揺動中心となっている。非駆動側は円筒状のボス49がカバー部材32の軸58に回転可能に支持されて揺動中心となっている。
【0083】
この現像ユニット9の駆動側と非駆動側の揺動中心の軸線は現像駆動カップリング46の回転中心軸線bと実質的に一致している。図10において、62は現像ユニット9の上記揺動中心をシンボリックに表わしたものである。
【0084】
このような構成にすることにより、装置本体からの駆動伝達を行ないながら、現像ユニット9がドラムユニット8に対し揺動することが可能となっている。また、ドラムユニット8と現像ユニット9との間の隙間部が露光窓部10となっている。
【0085】
そして、現像ユニット9の上記揺動中心62は、シール部材43により封止されている供給口42に対して垂直方向においてシール部材の短手幅内、即ちシール部材の短手幅L3の範囲内にあるように構成している。
【0086】
そして、現像ユニット9は、揺動中心62を中心に回動モーメントにより現像ローラ6がドラム4に接触する方向D(図10・図18・図20・図22)に回動するように、付勢部材である加圧バネ(不図示)によって常に付勢させている。
【0087】
カートリッジPが単体で出荷される状態においては、現像ユニット9を加圧バネの付勢力に抗して方向Dとは逆方向E(図10)に揺動中心62を中心に回動させて、現像ローラ6をドラム4から所定の隙間間隔d1をもって離間させた状態に保持させている。これはカートリッジPの、物流時の振動や衝撃により現像ローラ6が感光体ドラム4へ接触しないようにするためである。
【0088】
本実施例においては、プルタブ61を用いてカートリッジP出荷時の現像ローラ6と感光体ドラム4の上記の離間状態を保持させている。即ち、本実施例においては、プルタブ61の摘み部61cの側部に現像ユニットロック用凸部(離間保持部)61dを設けてある。現像ユニット9を揺動中心62を中心に加圧バネの付勢力に抗して方向Dとは逆方向Eに回動させて、非駆動側の一対の係合用凸部50の間隔部を、図16のように、非駆動側カバー部材32の係合用凹部59に対応させる。
【0089】
そして、接合部61aに対してシール材引き出し部分43bを接合したプルタブ61を、図16のように、上向きにし、さらに摘み部61cをヒンジ部61bを境にして接合部61aに対して現像ユニット9側にほぼ直角に折り曲げる。このとき、摘み部61cに設けたロック用凸部61dを、上記のように対応させた一対の係合用凸部50の間隔部と係合用凹部59の両者間に渡って図17のように嵌入させる。これにより、現像ユニット9が非駆動側カバー部材32に対して回動止めされて、現像ローラ6が感光体ドラム4から所定の隙間間隔d1をもって離間している図10の状態に保持される。
【0090】
《シール部材43の開封作業》
次に、新品のカートリッジPを使用する際に行うシール部材43の開封作業(トナー収容部開封)、即ち、現像ユニット9のトナー収容部39からトナーTを現像室40へ供給する供給口42を封止しているシール部材43を除去する作業について説明する。
【0091】
使用者は新品のカートリッジPを梱包材より取り出す。新品のカートリッジPは、前述した図10のように、現像ユニット9の現像剤収容部39からトナーTを現像室40へ供給する供給口43がシール部材43で封止されている。また、プルタブ61の現像ユニットロック用凸部61dにより現像ユニット9がドラムユニット8に対して回動止めされていて、現像ローラ6が感光体ドラム4から所定の隙間間隔d1をもって離間している状態に保持されている。
【0092】
そこで、使用者は、図17のように、シール材接合部61aに対してヒンジ部61bを境にして折り曲げられて現像ユニット9の上面に倒されているプルタブ61の摘み部61cに指を掛けて、この摘み部61cを図16のようにたて起こした状態にする。そうすると、図16のように、摘み部61cに設けた現像ユニットロック用凸部61dが現像ユニット9の非駆動側の一対の係合用凸部50の間隔部と非駆動側カバー部材32の係合用凹部59から抜け出る。
【0093】
これにより、現像ユニット9の回動止めが解除されて、現像ユニット9が加圧バネの付勢力により揺動中心62を中心に図10・図18において反時計方向Dに回動し、図18のように、現像ローラ6が感光体ドラム4に確実に当接した状態になる。
【0094】
次に使用者は、現像ユニット9のトナー収容部39から現像室40へトナーTを供給するため、シール部材43を取り外す開封作業をする。シール部材43を取り外すにはプルタブ61の摘み部61cに指を掛ける、あるいは握るなどにより、図19において、シール部材43を矢印nの方向(シール部材長手方向)に引っ張る。このシール部材43の引っ張りにより、供給口43に溶着しているシール部材部分が駆動側から非駆動側に順次に剥がされていき、供給口43が駆動側から非駆動側に順次に開封されていく。
【0095】
最終的にシール部材43をカートリッジPから全て引き抜いて除去する。これにより、供給口43が全長にわたって開封され、図20のように、トナー収容部39から現像室40へトナーTが供給された状態になる。図21はシール部材43を全て引き抜いて除去した、トナー収容部開封済みのカートリッジを駆動側から見た斜視図である。
【0096】
シール部材43の開封に際して、使用者がカートリッジのドラムユニット8を保持(把持)した状態でシール部材43を引くと、現像ユニット9が揺動可能に支持されているため、揺動中心62を回転中心として現像ユニット9の姿勢が変動できる状態にある。図18・図19において、矢印Jはその現像ユニット9の姿勢変動方向を示している。
【0097】
しかし、現像ユニット9の揺動中心62は、シール部材43により封止されている供給口42に対して垂直方向においてシール部材43のシール部材43の短手幅L3の範囲内にあるように構成している(図18参照)。この構成により、シール部材43を引く方向と揺動中心62との距離によるモーメントが小さく抑えられ、現像ユニット9の姿勢の変化は最小限に抑えられる。これにより、使用者は安定した状態でシール部材43を引くことができる。
【0098】
このように、上記構成にあっては、現像ユニット9のシール部材幅L3の範囲にドラムユニット(第一の枠体)8と現像ユニット(第二の枠体)9の揺動中心62がある。これにより、シール部材引き出し時に、揺動中心62とシール部材引き出し部との距離によるモーメントの発生が抑えられ、その結果、現像ユニット9の姿勢が安定し、シール部材43が安定して引き出せるようになる。
【0099】
上記のようにしてシール部材43を開封したカートリッジを、引き出し位置にあるカートリッジトレイ29に装着し、カートリッジトレイ29を装着位置まで移動させる。そして前述のように、ドア3を閉めることで、感光体ドラム4の位置が決まり、またボス55によりカートリッジPの姿勢が決定される。
【0100】
画像形成時には、感光体ドラム4と現像ローラ6は当接状態を保持して図22においてそれぞれ反時計方向と時計方向に所定の速度で回転駆動されて画像形成が実行される。
【0101】
非画像形成時(画像形成が行われていない状態時)には、現像ユニット9の離間リブ48が装置本体側の押圧部材63(図23)の動作により現像ユニット9を揺動中心62を中心に加圧バネの付勢力に抗して時計方向Eにより回動する方向に押圧される。これにより、現像ローラ6が感光体ドラム4に対して所定の隙間間隔d2をもって離間した状態に保持される。この隙間間隔d2は前記した新品のカートリッジPの出荷時の隙間間隔d1よりは小さい隙間間隔に設定してある。画像形成時には、押圧部材64が離間リブ48から逃げる方向へ移動して、現像ローラ6が感光体ドラム4に当接した状態に復帰する。
【0102】
[実施例2]
次に、画像形成装置に新品のカートリッジPが装着されている状態で、シール部材43を開封する場合について、図24を用いて述べる。このとき使用者は以下のような手順でシール部材43を開封し、画像形成装置が使用できるようにする。
【0103】
まず、画像形成装置のドア3を開け、カートリッジトレイ29をカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が着脱可能な引き出し位置まで引き出す。
【0104】
このとき、カートリッジはカートリッジトレイ29上に支持され、シール部材43はカートリッジ側面から引き出された後、方向を90°変え、カートリッジトレイ29の上方へと延ばされる。シール部材43はカートリッジの非駆動側の側面とカートリッジトレイ29との間の空間に配置され、プルタブ61へ接続される。プルタブ61は前述した実施例1のものと同様である。プルタブ61もシール部材43と同様、カートリッジ側面とカートリッジトレイ29との間の空間に配置され、カートリッジ上面に達したところで摘み部61cをヒンジ部61bcにより方向を90°曲げ、カートリッジ上面に沿うように固定されている。
【0105】
使用者はプルタブ61をカートリッジから取り外し、カートリッジをカートリッジトレイ29に置いたまま、シール部材43を上方(矢印H方向)へと引く。
【0106】
このとき、シール部材43はカートリッジ側面に摺りながら引き出される。現像ユニット9がドラムユニット8に対して揺動可能に支持されているため、現像ユニット9の姿勢が変動できる状態にある。
【0107】
しかし、実施例1の場合と同様に、現像ユニット9の揺動中心62は、シール部材43により封止されている供給口42に対して垂直方向においてシール部材43のシール部材43の短手幅L3の範囲内にあるように構成している(図18参照)。この構成により、シール部材43を引く方向と揺動中心62との距離によるモーメントが小さく抑えられ、現像ユニット9の姿勢の変化は最小限に抑えられる。これにより、使用者は安定した状態でシール部材43を引くことができる。
【0108】
[実施例3]
本実施例も実施例2と同様に、画像形成装置に新品のカートリッジが装着されている状態で、シール部材43を開封する場合である。
【0109】
図25は、装置本体1Aから外側に引き出した状態のカートリッジトレイ29を非駆動側の側面から見た状態を示している。この状態において、カートリッジトレイ29を非駆動側の側面には、カートリッジトレイ29に支持されている第2〜第4のカートリッジPM・PC・PKのシール部材引き出し開口部57が露出するように切り欠き形状64や開口が設けられている。第1のカートリッジPYに対応するカートリッジトレイ29の側面部分には、その部分の外側に保持部材28L・28Rが存在しているので、シール部材引き出し開口部57を露出させる欠き形状や開口は設けていない。
【0110】
第2〜第4のカートリッジPM・PC・PKのシール部材43はカートリッジの非駆動側の側面から長手方向に向かってカートリッジトレイ29の切り欠き形状64を越えたところまで這い回される。そして、方向を90°上方に変え、カートリッジトレイ29の側面に沿ってカートリッジトレイ29の上面に引き出される。この場合、画像形成装置の出荷時にカートリッジPM・PC・PKをカートリッジトレイ29に装着した後、上記の状態になるようにシール部材43の這い回しが行われる。
【0111】
第1のカートリッジPYについては、実施例2の場合と同様に、シール部材43はカートリッジ側面から引き出された後、方向を90°変え、カートリッジトレイ29上方へと延ばされる。シール部材43はカートリッジの非駆動側の側面とカートリッジトレイ29との間の空間に配置され、プルタブ61へ接続される。プルタブ61もシール部材43と同様、カートリッジ側面とカートリッジトレイ29との間の空間に配置され、カートリッジ上面に達したところで摘み部61cをヒンジ部61bcにより方向を90°曲げ、カートリッジ上面に沿うように固定されている。
【0112】
本実施例において、使用者は以下のような手順でシール部材43の開封作業を行い、画像形成装置が使用できるようにする。
【0113】
まず、画像形成装置のドア3を開け、カートリッジトレイ29をカートリッジが着脱可能な引き出し位置まで引き出す。使用者はカートリッジをカートリッジトレイ29に支持させたまま、第2〜第4のカートリッジPM・PC・PKについては、シール部材43を長手方向(図中矢印Q方向)へと引く。また、第1のカートリッジについては、実施例2と同様に、プルタブ61をカートリッジから取り外し、カートリッジをカートリッジトレイ29に保持させたまま、シール部材43を上方へと引く。
【0114】
このとき、現像ユニット5が感光体ドラムユニット6に対し揺動可能に支持されているため、現像ユニット5の姿勢が変動できる状態にある。
【0115】
しかし、実施例1や2の場合と同様に、現像ユニット9の揺動中心62は、シール部材43により封止されている供給口42に対して垂直方向においてシール部材43のシール部材43の短手幅L3の範囲内にあるように構成している(図18参照)。この構成により、シール部材43を引く方向と揺動中心62との距離によるモーメントが小さく抑えられ、現像ユニット9の姿勢の変化は最小限に抑えられる。これにより、使用者は安定した状態でシール部材43を引くことができる。
【0116】
実施例1〜3においては、画像形成装置には4個のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が装着される場合を示したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。例えばイエロー、マゼンタ、シアンの3色によりフルカラー画像を形成する画像形成装置や、ブラックのみのカートリッジを有するモノクロ画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0117】
1・・画像形成装置、1A・・画像形成装置本体、3・・装置開閉ドア、29・・カートリッジトレイ、PY・PM・PC・PK・・第1〜第4のプロセスカートリッジ、8・・ドラムユニット、9・・現像ユニット、4・・電子写真感光体ドラム、5・・帯電ローラ、6・・現像ローラ、7・・クリーニングブレード、31・・駆動側カバー部材、32・・非駆動側カバー部材、33・・クリーニング容器(第一の枠体)、34・・現像容器(第二の枠体)、38・・現像ブレード、39・・現像剤収容部、40・・現像室、42・・現像剤供給口、43・・シール部材、61・・プルタブ、62・・現像ユニットの揺動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジであって、電子写真感光体ドラムを有する第一の枠体と、前記電子写真感光体ドラムに形成された潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラを有する第二の枠体と、を有し、前記第一の枠体及び第二の枠体は揺動可能に結合されており、前記第二の枠体は、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像ローラを収容する現像室と、前記現像ローラの回転軸方向に延在し、前記現像剤収容部から現像剤を前記現像室へ供給する供給口と、前記供給口を開封可能に塞ぐシール部材と、前記現像ローラの回転軸方向の一端側の枠体側面に設けられており、前記供給口を開封する際に前記シール部材を引き出すための開口部を有している、プロセスカートリッジにおいて、
前記第一の枠体と第二の枠体との揺動中心が、前記シール部材により封止されている前記供給口に対して垂直方向において前記シール部材の短手幅内にあることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
1)前記電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着されたプロセスカートリッジであって、電子写真感光体ドラムを有する第一の枠体と、前記電子写真感光体ドラムに形成された潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラを有する第二の枠体と、を有し、前記第一の枠体及び第二の枠体は揺動可能に結合されており、前記第二の枠体は、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像ローラを収容する現像室と、前記現像ローラの回転軸方向に延在し、前記現像剤収容部から現像剤を前記現像室へ供給する供給口と、前記供給口を開封可能に塞ぐシール部材と、前記現像ローラの回転軸方向の一端側の枠体側面に設けられており、前記供給口を開封する際に前記シール部材を引き出すための開口部を有し、前記第一の枠体と第二の枠体との揺動中心が、前記シール部材により封止されている前記供給口に対して垂直方向において前記シール部材の短手幅内にある、プロセスカートリッジと、
2)前記記録媒体を搬送する手段と、
を有する、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
1)電子写真感光体ドラムを有する第一の枠体と、前記電子写真感光体ドラムに形成された潜像を現像剤を用いて現像するための現像ローラを有する第二の枠体と、を有し、前記第一及び第二の枠体は揺動可能に結合されており、前記第二の枠体は、現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像ローラを収容する現像室と、前記現像ローラの回転軸方向に延在し、前記現像剤収容部から現像剤を前記現像室へ供給する供給口と、前記供給口を開封可能に塞ぐシール部材と、前記現像ローラの回転軸方向の一端側の枠体側面に設けられており、前記供給口を開封する際に前記シール部材を引き出すための開口部を有し、前記第一の枠体と第二の枠体との揺動中心が、前記シール部材により封止されている前記供給口の面に対して垂直方向において前記シール部材の短手幅内にある、プロセスカートリッジと、
2)前記プロセスカートリッジを取り外し可能に支持する移動部材であって、前記プロセスカートリッジを支持した状態で、前記電子写真画像形成装置の装置本体の内側と外側との間を移動可能な移動部材と、
3)前記記録媒体を搬送する手段と、
を有する、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項4】
前記移動部材は、前記プロセスカートリッジを複数支持することを特徴とする請求項3に記載の電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−133394(P2012−133394A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52536(P2012−52536)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2007−102602(P2007−102602)の分割
【原出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】