説明

プロセスユニット、感光体カートリッジおよび現像カートリッジ

【課題】現像ローラを回転駆動させるための外部動力の入力により現像カートリッジに作用する回転モーメントの影響によって発生する印字濃度の不均一を低減させる。
【解決手段】感光体カートリッジ35に設けられ、現像カートリッジ36における、現像カップリング56から入力される外部動力により現像カートリッジ36に作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられた回転軸52を支持する案内溝63と、感光体カートリッジ35に設けられ、中心軸方向において、現像カートリッジ36における回転軸52間を除く位置に配置されるリブ67を支持するコロ57と、を備え、現像カップリング56は、中心軸方向の一端に設けられ、コロ57は、現像カートリッジ36が感光体カートリッジ35に装着された状態で、現像カートリッジ36の現像カップリング56側に偏倚して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロセスユニット、感光体カートリッジおよび現像カートリッジに関し、感光体ドラムに形成される静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラを備えた現像カートリッジを感光体カートリッジに装着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、静電潜像が形成される感光体ドラムを一端側に備え、レーザプリンタに装着される感光体カートリッジは、一般的に、感光体ドラムの外周面に現像剤を担持した現像ローラの外周面を押圧させて、現像ローラを備えた現像カートリッジを装着するように構成されている。
【0003】
この種の感光体カートリッジとして、特開2007−127995号公報(特許文献1)が提供されている。特許文献1の感光体カートリッジは、現像カートリッジの一端部に設けられた現像ローラを駆動させる外部動力の入力により、現像カートリッジに発生する回転モーメントの中心軸方向における現像カートリッジの両端部を、一対の案内溝で支持すると共に、回転モーメント中心軸方向の中央部に設けられた1つのコロで現像カートリッジを支持している。
【特許文献1】特開2007−127995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の感光体カートリッジでは、駆動した際に、現像カートリッジの回転モーメント中心軸方向の一端部のみから外部動力を入力しているため、外部動力側の現像カートリッジが現像カップリングの回転方向に捩れ、感光体カートリッジ側に沈み込むように歪んでしまう。そのため、現像ローラの外周面と感光体ドラムの外周面とのニップ部分が、現像ローラの回転軸あるいは感光体ドラムの回転軸と平行にならず、印字濃度が不均一になってしまう問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、現像ローラを回転駆動させるための外部動力の入力により現像カートリッジに作用する回転モーメントの影響によって発生する印字濃度の不均一を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載のプロセスカートリッジは、静電潜像が形成される感光体ドラムを備える感光体カートリッジと、
前記感光体カートリッジに装着された際、前記静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラと、前記現像ローラを回転駆動させるための駆動入力部とを備えた現像カートリッジと、
前記感光体カートリッジに設けられ、前記現像カートリッジにおける、前記駆動入力部から入力される外部動力により前記現像カートリッジに作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられた両端被支持部をそれぞれ支持する両端支持部と、
前記感光体カートリッジに設けられ、前記中心軸方向において、前記現像カートリッジにおける前記両端被支持部間を除く位置に配置される中間被支持部を支持する中間支持部と、を備え
前記駆動入力部は、前記中心軸方向の一端に設けられ、前記中間支持部は、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに装着された状態で、前記中心軸方向における前記現像カートリッジの前記駆動入力部側に偏倚して配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のプロセスカートリッジは、請求項1において、前記中間支持部あるいは前記中間被支持部のどちらか一方は、前記感光体カートリッジに対する前記現像カートリッジの装着方向に回転可能に軸支されているローラで構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載のプロセスカートリッジは、請求項1または請求項2において、前記現像カートリッジは、前記両端被支持部に前記中心軸方向に延びる1対の軸部を備え、前記両端支持部は、前記軸部をそれぞれ支持することを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載のプロセスカートリッジは、請求項3において、前記軸部は、前記現像ローラの回転軸の軸受けであることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載のプロセスカートリッジは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記駆動入力部の回転方向は、前記中間被支持部を前記中間支持部に押さえつける方向であることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載のプロセスカートリッジは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項において、前記現像剤は、粉砕によって得られた粉砕トナーであることを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の感光体カートリッジは、静電潜像が形成される感光体ドラムを備え、前記静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラと、前記現像ローラを回転駆動させるための駆動入力部とを備えた現像カートリッジを装着可能な感光体カートリッジにおいて、
前記現像カートリッジにおける、前記駆動入力部から入力される外部動力により前記現像カートリッジに作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられた両端被支持部をそれぞれ支持する両端支持部と、
前記中心軸方向において、前記現像カートリッジにおける、前記両端被支持部間を除く位置に配置される中間被支持部を支持する中間支持部と、を更に備え、
前記中間支持部は、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに装着された状態で、前記中心軸方向における前記現像カートリッジの前記駆動入力部側に偏倚して配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載のプロセスカートリッジは、請求項7において、前記中間支持部は、前記感光体カートリッジに対する前記現像カートリッジの装着方向に回転可能に軸支されているローラで構成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項9に記載のプロセスカートリッジは、請求項7または請求項8において、前記現像カートリッジは、前記両端被支持部に、前記中心軸方向に延びる1対の軸部を備え、前記両端支持部は、前記軸部をそれぞれ支持することを特徴としている。
【0015】
請求項10に記載のプロセスカートリッジは、請求項9において、前記軸部は、前記現像ローラの回転軸の軸受けであることを特徴としている。
【0016】
請求項11に記載のプロセスカートリッジは、請求項7乃至請求項10のいずれか1項において、前記駆動入力部の回転方向は、前記中間被支持部を前記中間支持部に押さえつける方向であることを特徴としている。
【0017】
請求項12に記載の現像カートリッジは、静電潜像が形成される感光体ドラムを備える感光体カートリッジに装着可能であり、前記静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラと、前記現像ローラを回転駆動させるための駆動入力部とを備える現像カートリッジにおいて、
前記駆動入力部から入力される外部動力により前記現像カートリッジに作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられ、前記感光体カートリッジに備えられている両端支持部にそれぞれ支持される両端被支持部と、
前記中心軸方向において、前記両端被支持部間を除く位置に配置され、前記感光体カートリッジに備えられている中間支持部に支持される中間被支持部と、を備え、
前記中間被支持部は、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに装着された状態で、前記中心軸方向における前記現像カートリッジの前記駆動入力部側に偏倚して配置されていることを特徴している。
【0018】
請求項13に記載のプロセスカートリッジは、請求項12において、前記中間被支持部は、前記感光体カートリッジに対する前記現像カートリッジの装着方向に回転可能に軸支されているローラで構成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項14に記載のプロセスカートリッジは、請求項12または請求項13において、前記両端被支持部には、前記回転軸方向に延び、前記感光体カートリッジの前記両端支持部に支持される1対の軸部を備えることを特徴としている。
【0020】
請求項15に記載のプロセスカートリッジは、請求項14において、前記軸部は、前記現像ローラの回転軸の軸受けであることを特徴としている。
【0021】
請求項16に記載のプロセスカートリッジは、請求項12乃至請求項15のいずれか1項において、前記駆動入力部の回転方向は、前記中間被支持部を前記中間支持部に押さえつける方向であることを特徴としている。
【0022】
請求項17に記載のプロセスカートリッジは、請求項12乃至請求項16のいずれか1項において、前記現像剤は、粉砕によって得られた粉砕トナーであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したことから明らかなように、請求項1に記載のプロセスカートリッジによると、感光体カートリッジの両端支持部および中間支持部によって現像カートリッジを安定して支持することができる。
【0024】
さらに、駆動入力部側に偏倚して配置された中間支持部で現像カートリッジを支持しているため、現像カートリッジに作用する回転モーメントの影響による現像カートリッジの歪みを防ぐことができる。よって、感光体ドラムと現像ローラとの接触部分を感光体ドラムおよび現像ローラの回転軸と常に平行に保つことができ、印字濃度の不均一を低減することができる。
【0025】
請求項2に記載のプロセスカートリッジによると、現像カートリッジを感光体カートリッジに装着した状態で、現像カートリッジと感光体カートリッジとの摩擦を少なくすることができる。そのため、現像ローラを感光体ドラムに押圧させるために現像カートリッジを感光体カートリッジに向けて押圧する際に、現像カートリッジに負荷された押圧力を感光体カートリッジに効率よく伝達させることができる。
【0026】
請求項3および請求項4のプロセスカートリッジによると、現像カートリッジの軸部を利用して現像カートリッジを支持することができるため、感光体カートリッジの構成を簡素化することができる。
【0027】
請求項5に記載のプロセスカートリッジによると、中間被支持部側の現像カートリッジを感光体カートリッジに押し付ける方向に回転モーメントが作用するため、現像カートリッジを安定して感光体カートリッジに支持することができる。
【0028】
請求項6に記載のプロセスカートリッジによると、現像ローラの感光体ドラムに対する押圧力の変動による印字濃度への影響が大きい粉砕トナーを使用した場合でも、印字濃度の不均一を低減することができる。
【0029】
請求項7に記載の感光体カートリッジによると、感光体カートリッジの両端支持部および中間支持部によって現像カートリッジを安定して支持することができる。
【0030】
さらに、駆動入力部側に偏倚して配置された中間支持部で現像カートリッジを支持しているため、現像カートリッジに作用する回転モーメントの影響による現像カートリッジの歪みを防ぐことができる。よって、感光体ドラムと現像ローラとの接触部分を感光体ドラムおよび現像ローラの回転軸と常に平行に保つことができ、印字濃度の不均一を低減することができる。
【0031】
請求項8に記載の感光体カートリッジによると、現像カートリッジを感光体カートリッジに装着した状態で、現像カートリッジと感光体カートリッジとの摩擦を少なくすることができる。そのため、現像ローラを感光体ドラムに押圧させるために現像カートリッジを感光体カートリッジに向けて押圧する際に、現像カートリッジに負荷された押圧力を感光体カートリッジに効率よく伝達させることができる。
【0032】
請求項9および請求項10の感光体カートリッジによると、現像カートリッジの軸部を利用して現像カートリッジを支持することができるため、感光体カートリッジの構成を簡素化することができる。
【0033】
請求項11に記載の感光体カートリッジによると、現像カートリッジの作用する回転モーメントを現像カートリッジにおける軸方向両端部を除く中間支持部で受け止めることができる。
【0034】
請求項12に記載の現像カートリッジによると、感光体カートリッジの両端支持部および中間支持部によって現像カートリッジを安定して支持することができる。
【0035】
さらに、駆動入力部側に偏倚して配置された中間支持部で現像カートリッジを支持しているため、現像カートリッジに作用する回転モーメントの影響による現像カートリッジの歪みを防ぐことができる。よって、感光体ドラムと現像ローラとの接触部分を感光体ドラムおよび現像ローラの回転軸と常に平行に保つことができ、印字濃度の不均一を低減することができる。
【0036】
請求項13に記載の現像カートリッジによると、現像カートリッジを感光体カートリッジに装着した状態で、現像カートリッジと感光体カートリッジとの摩擦を少なくすることができる。そのため、現像ローラを感光体ドラムに押圧させるために現像カートリッジを感光体カートリッジに向けて押圧する際に、現像カートリッジに負荷された押圧力を感光体カートリッジに効率よく伝達させることができる。
【0037】
請求項14および請求項15の現像カートリッジによると、現像カートリッジの軸部を利用して現像カートリッジを支持することができるため、感光体カートリッジの構成を簡素化することができる。
【0038】
請求項16に記載の現像カートリッジによると、現像カートリッジの作用する回転モーメントを現像カートリッジにおける軸方向両端部を除く中間支持部で受け止めることができる。
【0039】
請求項17に記載の現像カートリッジによると、現像ローラの感光体ドラムに対する押圧力の変動による印字濃度への影響が大きい粉砕トナーを使用した場合でも、印字濃度の不均一を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
【0041】
まず、本発明が適用されたレーザプリンタ1の全体構成について説明する。
【0042】
図1は、レーザプリンタ1の概略側断面図である。
【0043】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、トップカバー18、フロントカバー16、リアカバー5などから構成されるケーシング2を備える。本実施形態では、リアカバー5側をレーザプリンタ1の「後側」、フロントカバー16側をレーザプリンタ1の「前側」、トップカバー18側を「上側」、後述する給紙カセット6側を「下側」とする。
【0044】
ケーシング2内には、給紙部3、走査ユニット26、プロセスユニット4、定着ユニット20、排紙部10などが所定の位置に配設されている。
【0045】
給紙部3は、給紙カセット6、給紙カセット6の前側上方に配設されている給紙ローラ7、8、給紙ローラ8に対向して配設される給紙パット9、1対のレジストローラ12などを備える。給紙カセット6は、ケーシング2の下部に、ケーシング2の前側から挿抜可能に装着され、給紙カセット6内には、用紙押圧板13及び用紙押圧板13を上方向に付勢するばね14が配設されている。
【0046】
用紙押圧板13上に積層された最上位にある用紙Pが、用紙押圧板13により給紙ローラ7に押圧接触され、給紙ローラ7によって給紙ローラ8と給紙パット9との間に搬送された後、1対のレジストローラ12を通り、プロセスユニット4内の感光体ドラム37と転写ローラ39との間に搬送される。
【0047】
また、走査ユニット26は、ケーシング2内の上部に配設され、図示しないレーザ発光部、高速回転駆動されるポリゴンミラー29、走査レンズ30、31、折り返しミラー32、33などを備える。そして、走査ユニット26では、レーザ発光部から放射されたレーザ光線(図中二点鎖線)がポリゴンミラー29、第1走査レンズ30、折り返しミラー32、第2走査レンズ31、折り返しミラー33に順次反射もしくは透過され、プロセスユニット4内の感光体ドラム37の外周面に照射される。
【0048】
プロセスユニット4は、ケーシング2内の中央部に装着され、感光体カートリッジ35と現像カートリッジ36とを備える。また、プロセスユニット4は、フロントカバー16を開放することにより、ケーシング2の前側から挿抜可能である。
【0049】
そして、現像カートリッジ36は、回転軸52を有する現像ローラ40、層厚規制ブレード41、供給ローラ42及びホッパー43などを備える。なお、現像ローラ40は、図1において時計回りに回転駆動される。
【0050】
感光体カートリッジ35は、現像ローラ40の後側にて回転可能に軸支されている感光体ドラム37、感光体ドラム37の上方に配設されている帯電器38、感光体ドラム37の下方に配置されている転写ローラ39などを備える。
【0051】
感光体カートリッジ35では、感光体ドラム37の外周面が、帯電器38によって一様に帯電されると共に走査ユニット26から照射されるレーザ光線によって露光されて静電潜像が形成される。そして、現像ローラ40の外周面に担持された現像剤が静電潜像に供給されて、静電潜像が現像剤像として現像されたのち、現像剤像が感光体ドラム37の外周面と転写ローラ39の外周面との間に搬送された用紙Pに転写される。なお、現像カートリッジ36に収容されている現像剤は、粉砕トナーである。
【0052】
また、定着ユニット20は、プロセスユニット4の後側に配設され、プロセスユニット4の後側にて回転可能に軸支されている加熱ローラ21、加熱ローラ21の下方に配設される加圧ローラ22などを備える。
【0053】
定着ユニット20では、プロセスユニット4にて用紙P上に転写された現像剤像を加熱ローラ21と加圧ローラ22とによって熱定着させたのち、用紙Pの搬送経路として排紙部10に形成された排紙パス45へ用紙Pを搬送する。
【0054】
また、排紙部10は、ケーシング2内の後側に配設され、1対の排紙ローラ47、48、排紙トレイ46などを備える。排紙部10では、定着ユニット20を通過し、排紙パス45へと搬送された用紙Pをケーシング2内の上方に搬送し、1対の排紙ローラ47、48によって、排紙トレイ46上に排出する。
【0055】
以下、レーザプリンタ1における本発明に係る部分について詳細に説明する。
【0056】
図2(a)は、プロセスユニット4を前側から向かって左側から見た場合の側面図であり、図2(b)は、プロセスユニット4を前側から向かって右側から見た場合の側面図であり、図3は、現像カートリッジ36を下側からみた斜視図であり、図4は感光体カートリッジ35を上側から見た斜視図である。
【0057】
図2に示すように、プロセスユニット4は、後述する感光体カートリッジ35のケーシング50に現像カートリッジ36を装着して構成されている。
【0058】
現像カートリッジ36は、左右両側壁53、54を有するケーシング51を備え、ケーシング51の後側端部内に現像ローラ40(図1参照)が設けられている。現像ローラ40の回転軸52の両端部が、ケーシング51の左右両端の側壁53、54から突出している。現像ローラ40の回転軸52は、その両端部に軸受けとしての軸受け体55が回転軸52に対して回転可能に装着されている。
【0059】
また、現像カートリッジ36には、ケーシング51の左側壁53における軸受け体55の前側近傍に、現像カップリング56が設けられている。現像カップリング56は、ケーシング2に設けられたモータ(図示せず)からの駆動力をプロセスユニット4側に伝達するケーシング側カップリング(図示せず)と接合して、現像ローラ40の回転軸52に伝達し、現像ローラ40を回転駆動させる。即ち、現像カートリッジ36は、ケーシング51の左側のみから現像ローラ40を回転駆動させるための外部動力が入力されるように構成されている。
【0060】
ケーシング側カップリングはフロントカバー16と連動しており、フロントカバー16が開放されると現像カップリング56との係合を解除して、現像カップリング56から離れる方向(図1において前側から見て左方向)に移動し、フロントカバー16が閉鎖されると現像カップリング56に近づく方向(図1において前側から右方向)に移動し、現像カップリング56と係合する。
【0061】
現像カップリング56は、図2(a)における時計回りに回転駆動され、現像カップリング56に入力される外部動力は、現像カップリング56に連結されたギア(図示せず)と現像ローラ40の回転軸52に連結されたギア(図示せず)とを介して現像ローラ40の回転軸52に伝達される。
【0062】
また、現像カートリッジ36のケーシング51の底面には、図3に示すように、現像カートリッジ36を感光体カートリッジ35に装着した状態で、後述する感光体カートリッジ35のコロ57が当接する中間被支持部としてのリブ67が設けられている。リブ67はケーシング底面から立設した3本の突出部69〜71を有し、中央に配置されている突出部70がコロ57と当接する。なお、感光体カートリッジ35側のコロ57に対する当接部は、リブ67ではなく平面でもよい。
【0063】
さらに、現像カートリッジ36は、ケーシング51の後側端部に開口部68(図1参照)が形成されており、この開口部68から現像ローラ40の外周面が露出し、現像カートリッジ36を感光体カートリッジ35に装着した状態で、後述する感光体カートリッジ35の感光体ドラム37と接触する。
【0064】
図4に示すように、感光体カートリッジ35は、左右両側壁59、60を有するケーシング50を備え、ケーシング50の後側端部に感光体ドラム37が配設されている。そして、感光体ドラム37の回転軸58の両端部が、ケーシング50の左右両端の側壁59、60から突出している(図4では左側の回転軸のみ図示)。なお、感光体ドラム37は、その上部がケーシング50の後側端部に配設された上部カバー61で覆われているものの、ケーシング50の前側に向かって外周面が露出されている。
【0065】
感光体カートリッジ35は、ケーシング50の前側に現像カートリッジ36を収容する収容部62が形成されている。そして、収容部62には、その前方部における左右両端部間の中央部から左側に偏倚した底面に、現像カートリッジ36に設けられたリブ67を支持する中間支持部としての1つのコロ57が、前後方向に回転可能に軸支されている。この収容部62における左右両端部間の中央部から左側は、図4に示す前側から向かって左側であり、現像カートリッジ36を装着した状態では、現像カップリング56が位置する側である。
【0066】
感光体カートリッジ35は、ケーシング50の左右両側壁59、60にそれぞれ、現像カートリッジ36の軸受け体55を摺動可能に支持しながら感光体ドラム37の回転軸58近傍に案内する両端支持部としての案内溝63が形成されている。
【0067】
また、感光体カートリッジ35は、現像ローラ40の外周面が感光体ドラム37の外周面に均一に当接するように、ケーシング50の前側端部における左右両端部にそれぞれ、現像カートリッジ36を感光体カートリッジ35の後側端部方向へ押圧する1対の押圧機構64を備える。押圧機構64は、感光体ドラム37の軸方向に沿った回転軸を有し、感光体ドラム37側(後ろ側)に回転するレバー部66と、一端をレバー部66に連結され、他端をケーシング50に連結されたコイルバネ(図示せず)とを備えている。現像カートリッジ36を装着した状態で、レバー部66を感光体ドラム37側(現像カートリッジ36側)に回転させて現像カートリッジ36のケーシング51に当接させる。そして、コイルバネの復元力により、現像カートリッジ36のケーシング51を後側に押すことで、感光体ドラム37に対して現像ローラ40を押圧している。
【0068】
以上のように構成されたレーザプリンタ1において、プロセスユニット4をケーシング2内に装着し、レーザプリンタ1を駆動する一連の動作について説明する。
【0069】
まず、両端の軸受け体55が案内溝63に案内されるようにして、現像カートリッジ36を感光体カートリッジ35の収容部62に装着する。この状態で、現像カートリッジ36に形成されているリブ67の突出部70は、感光体カートリッジ35のコロ57に当接する。次いで、感光体カートリッジ35のケーシング50に設けられている押圧機構64のレバー部66を感光体ドラム37側に回転させ、現像カートリッジ36を前側へ付勢し、感光体ドラム37に対して現像ローラ40を押圧しする。この状態で現像カートリッジ36は、左右両端の軸受け体55と案内溝63およびリブ67とコロ57によって、収納部62内において、安定的に支持される。
【0070】
そして、フロントカバー16を開放し、ケーシング2内に現像カートリッジ36を装着した感光体カートリッジ35(プロセスユニット4)を装着する。このとき、フロントカバー16の閉鎖と連動して、現像カップリング56から離れる方向に移動していたケーシング側カップリングが、現像カップリング56に近づく方向に移動し、現像カップリング56と係合する。この状態では、感光体ドラム37の外周面と現像ローラ40の外周面とのニップ部分は感光体ドラム37および現像ローラ40の回転軸52、58に平行である。
【0071】
そして、印刷時などに駆動が開始されると、現像カップリング56はケーシング側カップリングから伝達された駆動力を現像ローラ40の回転軸52に伝達し、現像ローラ40が回転駆動される。現像ローラ40が回転駆動されると、これに起因して、現像カートリッジ36には、感光体カートリッジ35の案内溝63に支持されている現像ローラ40の回転軸52を中心軸として、現像カートリッジ36の後側端部が上方、現像カートリッジ36の前側端部が下方に向く回転モーメントが作用する。
【0072】
さらに、現像カートリッジ36の一端部のみから外部動力を入力しているため、前述した回転モーメントによって、現像カップリング56側の現像カートリッジ36が現像カップリング56の回転方向(図2(a)において時計回り)に捩れ、現像カートリッジ36の現像カップリング56側(特に現像カートリッジ36の前方側)には、下方に沈み込む力が働く。そのため、従来のように、現像カートリッジ36を支持するコロ57が感光体カートリッジ35の中央部に配置されていると、現像カートリッジ36には下方に沈み込む力により、現像カートリッジ36の現像カップリング56側が歪む。そのため、現像ローラ40の外周面と感光体ドラム37の外周面とのニップ部分が、現像ローラ40および感光体ドラム37の回転軸52、58と平行にならない。
【0073】
本発明によると、現像カップリング56側に偏倚して配置されたコロ57で現像カートリッジ36を支持しているため、現像カートリッジ36に作用する回転モーメントの影響による現像カートリッジ36の歪みを防ぐことができる。よって、印刷時などの駆動時にも、駆動前の現像ローラ40の外周面と感光体ドラム37の外周面とのニップ部分が平行な状態を保持できるため、印字濃度の不均一を低減することができる。
【0074】
また、現像カートリッジ36のリブ67を装着方向に回転可能なコロ57で支持しているため、現像カートリッジ36を感光体カートリッジ35に装着した状態で、現像カートリッジ36と感光体カートリッジ35との摩擦を少なくすることができる。そのため、現像カートリッジ36を感光体カートリッジ35に装着した際に、押圧機構64により現像カートリッジ36に負荷された押圧力を感光体カートリッジ35に効率よく伝達させることができる。
【0075】
また、本実施形態のプロセスユニット4では、感光体カートリッジ35の案内溝63が現像ローラ40の回転軸52を支持することで、現像カートリッジ36の後側端部を支持するための部材など感光体カートリッジ35に新たに設ける必要がなく、感光体カートリッジ35の構成を簡素化することができる。
【0076】
また、現像ローラ40の感光体ドラム37に対する押圧力の変動による印字濃度への影響が大きい粉砕トナーを使用した場合でも、印字濃度の不均一を低減することができる。
[第2実施形態]
図5に本発明の第2実施形態を示す。
【0077】
図5は、現像カートリッジ36の斜視図である。
【0078】
本実施形態では、感光体カートリッジ35の収容部62と対向する現像カートリッジ36の左右両端部間の中央部から左側に偏倚した底面に、コロ65を設けていると共に、感光体カートリッジ35の収容部62にコロ65に当接するリブ(図示せず)を設けている点を第一実施形態とは相違させ、他の構成および効果は第1実施形態と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。コロ65およびリブは第1実施形態と同様の構成である。なお、第1実施形態同様、現像カートリッジ36のコロ65の当接部は、リブではなく平面でもよい。
【0079】
前述した第1、第2実施形態では、感光体カートリッジ35あるいは現像カートリッジ36どちらか一方にコロを設けると共に、他方にコロに当接するリブを設けるように構成されていたが、例えば、どちらか一方に円弧状突起が設けられ、円弧状突起を他方側の平面に当接させる構成でもよい。
【0080】
また、前記実施形態では、本発明を感光体カートリッジを着脱可能なレーザプリンタに適用したが、現像カートリッジのみを着脱可能なレーザプリンタに適用しても勿論よい。
【0081】
また、前記実施形態では、本発明をレーザプリンタに適用したが、静電潜像が形成される像担持体を備え、静電潜像に現像剤を供給する現像剤担持体を備えた現像カートリッジを着脱する形態の画像形成装置であれば何に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザプリンタの概略側断面図である。
【図2】(a)は、プロセスユニットを前側から向かって左側から見た場合の側面図、(b)は、プロセスユニットを前側から向かって右側から見た場合の側面図である。
【図3】現像カートリッジを下側からみた斜視図である。
【図4】感光体カートリッジを上側からみた斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示し、現像カートリッジを下側からみた斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
1 レーザプリンタ
2 ケーシング
4 プロセスユニット
35 感光体カートリッジ
36 現像カートリッジ
37 感光体ドラム
40 現像ローラ
50 感光体カートリッジのケーシング
51 現像カートリッジのケーシング
52 現像ローラの回転軸(両端被支持部)
53、54 側壁
55 軸受け体
56 現像カップリング
57、65 コロ(ローラ)
58 感光体ドラムの回転軸
62 収容部
63 案内溝(両端支持部)
64 押圧機構
67 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体ドラムを備える感光体カートリッジと、
前記感光体カートリッジに装着された際、前記静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラと、前記現像ローラを回転駆動させるための駆動入力部とを備えた現像カートリッジと、
前記感光体カートリッジに設けられ、前記現像カートリッジにおける、前記駆動入力部から入力される外部動力により前記現像カートリッジに作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられた両端被支持部をそれぞれ支持する両端支持部と、
前記感光体カートリッジに設けられ、前記中心軸方向において、前記現像カートリッジにおける前記両端被支持部間を除く位置に配置される中間被支持部を支持する中間支持部と、を備え
前記駆動入力部は、前記中心軸方向の一端に設けられ、前記中間支持部は、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに装着された状態で、前記中心軸方向における前記現像カートリッジの前記駆動入力部側に偏倚して配置されていることを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記中間支持部あるいは前記中間被支持部のどちらか一方は、前記感光体カートリッジに対する前記現像カートリッジの装着方向に回転可能に軸支されているローラで構成されている請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記現像カートリッジは、前記両端被支持部に前記中心軸方向に延びる1対の軸部を備え、前記両端支持部は、前記軸部をそれぞれ支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記軸部は、前記現像ローラの回転軸の軸受けであることを特徴とする請求項3に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記駆動入力部の回転方向は、前記中間被支持部を前記中間支持部に押さえつける方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記現像剤は、粉砕によって得られた粉砕トナーであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
静電潜像が形成される感光体ドラムを備え、前記静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラと、前記現像ローラを回転駆動させるための駆動入力部とを備えた現像カートリッジを装着可能な感光体カートリッジにおいて、
前記現像カートリッジにおける、前記駆動入力部から入力される外部動力により前記現像カートリッジに作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられた両端被支持部をそれぞれ支持する両端支持部と、
前記中心軸方向において、前記現像カートリッジにおける、前記両端被支持部間を除く位置に配置される中間被支持部を支持する中間支持部と、を更に備え、
前記中間支持部は、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに装着された状態で、前記中心軸方向における前記現像カートリッジの前記駆動入力部側に偏倚して配置されていることを特徴とする感光体カートリッジ。
【請求項8】
前記中間支持部は、前記感光体カートリッジに対する前記現像カートリッジの装着方向に回転可能に軸支されているローラで構成されている請求項7に記載の感光体カートリッジ。
【請求項9】
前記現像カートリッジは、前記両端被支持部に、前記中心軸方向に延びる1対の軸部を備え、前記両端支持部は、前記軸部をそれぞれ支持することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の感光体カートリッジ。
【請求項10】
前記軸部は、前記現像ローラの回転軸の軸受けであることを特徴とする請求項9に記載の感光体カートリッジ。
【請求項11】
前記駆動入力部の回転方向は、前記中間被支持部を前記中間支持部に押さえつける方向であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の感光体カートリッジ。
【請求項12】
静電潜像が形成される感光体ドラムを備える感光体カートリッジに装着可能であり、前記静電潜像に現像剤を供給するために回転駆動される現像ローラと、前記現像ローラを回転駆動させるための駆動入力部とを備える現像カートリッジにおいて、
前記駆動入力部から入力される外部動力により前記現像カートリッジに作用する回転モーメントの中心軸方向の両端部に設けられ、前記感光体カートリッジに備えられている両端支持部にそれぞれ支持される両端被支持部と、
前記中心軸方向において、前記両端被支持部間を除く位置に配置され、前記感光体カートリッジに備えられている中間支持部に支持される中間被支持部と、を備え、
前記中間被支持部は、前記現像カートリッジが前記感光体カートリッジに装着された状態で、前記中心軸方向における前記現像カートリッジの前記駆動入力部側に偏倚して配置されていることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項13】
前記中間被支持部は、前記感光体カートリッジに対する前記現像カートリッジの装着方向に回転可能に軸支されているローラで構成されている請求項12に記載の現像カートリッジ。
【請求項14】
前記両端被支持部には、前記回転軸方向に延び、前記感光体カートリッジの前記両端支持部に支持される1対の軸部を備えることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の現像カートリッジ。
【請求項15】
前記軸部は、前記現像ローラの回転軸の軸受けであることを特徴とする請求項14に記載の現像カートリッジ。
【請求項16】
前記駆動入力部の回転方向は、前記中間被支持部を前記中間支持部に押さえつける方向であることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載の現像カートリッジ。
【請求項17】
前記現像剤は、粉砕によって得られた粉砕トナーであることを特徴とする請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の現像カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−107699(P2010−107699A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279318(P2008−279318)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】