プロセス管理システム
【課題】装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供すること。
【解決手段】真空プロセス装置1の各部の状態を示す状態情報を取得する第1の取得手段(制御監視部20)と、真空プロセス装置の制御に関する制御情報を取得する第2の取得手段(制御監視部20)と、第1および第2の取得手段によって取得された状態情報と制御情報を対応付けする対応付手段(タイマ34)と、対応付手段によって対応付けがされた状態情報および制御情報を格納する格納手段(ログ格納装置2)と、制御情報を参照して、状態情報に対して解析処理を施す解析手段(解析装置4)と、解析手段の解析の結果として得られた情報を呈示する呈示手段(解析装置4)と、を有する。
【解決手段】真空プロセス装置1の各部の状態を示す状態情報を取得する第1の取得手段(制御監視部20)と、真空プロセス装置の制御に関する制御情報を取得する第2の取得手段(制御監視部20)と、第1および第2の取得手段によって取得された状態情報と制御情報を対応付けする対応付手段(タイマ34)と、対応付手段によって対応付けがされた状態情報および制御情報を格納する格納手段(ログ格納装置2)と、制御情報を参照して、状態情報に対して解析処理を施す解析手段(解析装置4)と、解析手段の解析の結果として得られた情報を呈示する呈示手段(解析装置4)と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、特許文献1に開示されるようなプロセス装置(例えば、CVD装置)を用いて加工対象を加工する際に、高いプロセス精度が求められるようになってきている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−17437号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すようなプロセス装置では、従来、装置の各部の状態を示すアナログ波形をサンプリングして記憶装置に記憶しておき、加工対象に何らかの不具合が見つかった場合には記憶装置に記憶された情報に基づいて原因の解析を行っていた。
【0005】
しかしながら、これらの作業は、手作業で行われていたことから、解析に時間を要するという問題点がある。また、前述したように、近年では、プロセス精度が高まっていることに関連して、プロセス上のわずかな差が、加工対象の性能を大きく左右するため、そのようなわずかな差をアナログ波形から手作業で検出するためには、多大な時間を要するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明のプロセス管理システムは、装置の各部の状態を示す状態情報を取得する第1の取得手段と、装置の制御に関する制御情報を取得する第2の取得手段と、第1および第2の取得手段によって取得された状態情報と制御情報を対応付けする対応付手段と、対応付手段によって対応付けがされた状態情報および制御情報を格納する格納手段と、制御情報を参照して、状態情報に対して解析処理を施す解析手段と、解析手段の解析の結果として得られた情報を呈示する呈示手段と、を有する。このため、装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供することができる。
【0008】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、対応付手段は、状態情報と制御情報に対してそれぞれタイムスタンプを付与することにより対応付けを行うようにしている。これにより、タイムスタンプによってこれらの情報を確実かつ簡易に対応付けすることができる。また、タイムスタンプを用いることにより、加工年月日を容易に特定することができる。
【0009】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、第1の取得手段は、所定の周期で状態情報を取得し、対応付手段は、状態情報に対して所定の周期に対応する時間単位のタイムスタンプを付与するとともに、制御情報に対しても所定の周期に対応する時間単位であって、しかも同期したタイムスタンプを付与するようにしている。これにより、状態情報と制御情報が同期してかつ同じ時間単位のタイムスタンプを有するので、双方の対応付けを簡易に行うことができる。
【0010】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、第1の取得手段は、装置がプロセス処理を実行中である場合には第1の周期で状態情報を取得し、プロセス処理を実行中でない場合には第1の周期よりも周期が長い第2の周期で状態情報を取得する。これにより、プロセス処理が実行されていない場合には長い第2の周期によって状態情報を取得することにより、格納手段の記憶容量を削減することができる。
【0011】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、解析手段は、所定の制御情報を始点または終点として、所定の状態情報を抽出する処理を実行し、呈示手段は、解析手段によって抽出された所定の状態情報を呈示するようにしている。これにより、制御情報を参照して状態情報を特定することができるので、特定のプロセスに属する状態情報を簡易かつ迅速に抽出することができる。
【0012】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、解析手段は、所定の制御情報を始点または終点として、所定の状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の状態情報が所定の条件に該当する時間を算出する処理を実行し、呈示手段は、解析手段によって算出された時間を呈示するようにしている。これにより、条件に該当する時間の長短を調べることによりプロセスの状態が所望の条件を満たしているか否かを容易に判定することができる。
【0013】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、解析手段は、所定の制御情報を始点または終点として、所定の状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の状態情報の最大値、最小値、平均値、中央値の少なくとも1つ以上を算出する処理を実行し、呈示手段は、解析手段によって算出されたこれらの値を呈示する、ようにしている。これにより、最大値、最小値、平均値、中央値からプロセスの状態の妥当性を判断することができる。
【0014】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、格納手段は、装置がプロセス処理の対象とする加工対象を識別するための加工対象識別情報を制御情報および状態情報と併せて格納し、解析手段は、加工対象識別情報も参照して、解析処理を実行するようにしている。これにより、加工対象が複数存在する場合であっても、加工対象を限定して解析処理を迅速に実行することができる。
【0015】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、加工対象識別情報は、ロットを特定するための情報と、ロット内における処理順序を特定するための情報とを少なくとも含んでおり、解析手段は、ロットを特定するための情報およびロット内における処理順序を特定するための情報を参照して、解析処理を実行するようにしている。このため、ロット単位およびロット内の処理順序を参照して、解析処理を実行することができる。これにより、ロット毎のばらつき、および、ロット内の処理順序によるばらつきを知ることができる。
【0016】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、格納手段は、装置が複数存在する場合には、装置を特定するための装置特定情報を制御情報および状態情報と併せて格納し、解析手段は、装置識別情報も参照して、解析処理を実行するようにしている。このため、複数のプロセス装置が存在する場合であっても、プロセス装置を限定して解析処理を迅速に実行することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、(A)実施の形態の構成例、(B)実施の形態の動作の概要、(C)実施の形態の動作の詳細、(D)変形実施の態様の順に説明する。
【0019】
(A)実施の形態の構成例
【0020】
図1は、本発明のプロセス管理システムの実施の形態の構成例を示す図である。この図に示すように、プロセス管理システムは、真空プロセス装置1、ログ格納装置2、ネットワーク3、および、解析装置4を主要な構成要素としている。
【0021】
ここで、真空プロセス装置1は、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、エッチング装置、インプラー装置、フォトリソグラフィー装置等によって構成されている。この例では、後述するように、PVD装置を例に挙げている。
【0022】
ログ格納装置2は、真空プロセス装置1において生成されたログデータをネットワーク3を介して取得して格納するとともに、解析装置4から要求がなされた場合には、格納しているログデータをネットワーク3を介して送信する。
【0023】
ネットワーク3は、例えば、LAN(Local Area Network)等によって構成され、真空プロセス装置1、ログ格納装置2、解析装置4を相互に電気的に接続し、これらの間で、例えば、パケットによる情報通信を可能とする。
【0024】
解析装置4は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、ログ格納装置2に格納されているログデータをネットワーク3を介して取得し、種々の解析処理を実行する。
【0025】
図2は、図1に示す真空プロセス装置1の詳細な構成例を示す図である。この図の例では、真空プロセス装置1は、チャンバ10、ウエハステージ11、ウエハ12、ターゲット13、イオンリフレクタ14、マグネット15、制御監視部20、DC(Direct Current)電源部21、ガス供給部22、ガス流量制御部23、圧力検出部24、ヒータ制御部25、RF(Radio Frequency)電源部26、温度検出部27、静電チャック部28、ドライポンプ29、ターボポンプ30、ドライポンプ31、IR(Ion Reflector)電源部32、通信部33、および、タイマ34を主要な構成要素としている。
【0026】
ここで、チャンバ10は、例えば、石英、ステンレス、アルミ、銅、アルミナ、チタン等の部材によって構成された中空状の容器で、大気を遮断し、それぞれのプロセスに応じた高真空/内部雰囲気を保持する。
【0027】
ウエハステージ11は、ウエハ12を載置するためのステージである。ウエハステージ11の上部(図の上方向)にはウエハ12を静電気力によって吸着するための静電チャック機構(不図示)が配設されている。また、その内部には、ヒータおよび温度検出用のセンサ(共に不図示)が配設されている。
【0028】
加工対象としてのウエハ12は、例えば、シリコン基板等であり、本装置では、シリコン基板上に、銅による配線をPVDによって形成する。
【0029】
ターゲット13は、例えば、銅板によって構成されている。ターゲット13に対してアルゴンのプラズマが衝突することにより構成粒子が反跳し、ウエハ12上に堆積される。
【0030】
イオンリフレクタ14は、ターゲット13およびウエハステージ11を囲繞するように構成される円筒形状の部材であり、イオンに対して電気的な斥力を与えることによってこれを反射(加速)する機能を有する。
【0031】
マグネット15は、ターゲット13の上部に配置され、プラズマ中のアルゴンイオンにローレンツ力を印加することによりこれを加速し、ターゲット13から銅分子が放出される効率を高める機能を有する。
【0032】
第1の取得手段、第2の取得手段、および、対応付手段の一部としての制御監視部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータによって構成され、ROMに格納されているプログラムに基づいて装置の各部を制御するとともに、ログデータを生成して、通信部33およびネットワーク3を介して、ログ格納装置2に送信する。
【0033】
DC電源部21は、ターゲット13がマイナス、グランドがプラスになるようにこれらの間に直流電圧を印加し、ターゲット13とウエハ12の間の空間に満たされているアルゴンガスをプラズマ化する。
【0034】
ガス供給部22は、チャンバ10内部にガス流量制御部23を経由してアルゴンガスを供給する。
【0035】
ガス流量制御部23は、例えば、マスフローコントローラ等によって構成され、制御監視部20の制御に応じてガス供給部22から供給されるガスの流量を制御するとともに、その時点におけるガス流量を制御監視部20に通知する。
【0036】
圧力検出部24は、例えば、イオンゲージ、ピラニーゲージ等によって構成され、チャンバ10内部の圧力を計測し、計測結果を制御監視部20に通知する。
【0037】
ヒータ制御部25は、制御監視部20の制御に応じて、ウエハステージ11に内蔵されているヒータを制御し、ウエハ12の温度が所望の温度になるようにする。
【0038】
RF電源部26は、グランドとウエハステージの間に高周波電力を印加し、ウエハ12に対してRFバイアスを印加することにより、ウエハ12をマイナスに帯電させ、プラスの電荷を有する銅イオンとの間に電気的な引力を生じせしめる。これにより、銅イオンが高速にウエハ12に衝突するため、銅イオンがウエハ12に形成された凹部の深部にまで到達する。
【0039】
温度検出部27は、ウエハステージ11の温度を検出し、検出結果を制御監視部20に通知する。
【0040】
静電チャック部28は、制御監視部20の制御に応じて、ウエハステージ11に設けられたチャック機構を制御して、ウエハ12を吸着して固定させる。
【0041】
ドライポンプ29は、制御監視部20の制御に応じて、チャンバ10内部に存在する空気を外部に排出し、チャンバ10の内部を真空状態にする。
【0042】
ターボポンプ30は、ドライポンプ29よりも高い真空度を達成するためのポンプであり、チャンバ10内部のガスを外部に排出する。
【0043】
ドライポンプ31は、ターボポンプ30の排気側に接続され、ターボポンプ30から排出されるガスを外部に排出することにより、ターボポンプ30の効率を高める。
【0044】
IR電源部32は、制御監視部20の制御に応じて、イオンリフレクタ14がプラス、グランドがマイナスになるように直流電圧を印加し、イオンリフレクタ14によって銅イオンを反射(加速)させる。
【0045】
通信部33は、ネットワーク3を介してログ格納装置2と制御監視部20との間で通信を行う場合に、例えば、通信プロトコルに関する制御を行う。
【0046】
対応付手段の一部としてのタイマ34は、例えば、日時情報(年、月、時刻、)等の情報を生成し、制御監視部20に供給する。制御監視部20は、タイマ34が生成した日時情報をタイムスタンプとして利用する。
【0047】
図3は、図1に示すログ格納装置2の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、ログ格納装置2は、CPU2a、ROM2b、RAM2c、HDD(Hard Disk Drive)2d、I/F(Interface)2f、および、バス2gを主要な構成要素としている。
【0048】
ここで、CPU2aは、HDD2dに格納されているプログラム2d1およびROM2bに格納されているプログラム(不図示)に基づいて装置の各部を制御するとともに、各種演算処理を実行する。また、CPU2aは、HDD2dに格納されているプログラム2d1に基づいて、真空プロセス装置1からログデータを取得して格納するとともに、解析装置4からの要求に応じてログデータを読み出して供給する。
【0049】
ROM2bは、CPU2aが実行する基本的なプログラムおよびデータを格納している半導体記憶装置である。RAM2cは、CPU2aが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納する半導体記憶装置である。
【0050】
格納手段としてのHDD2dは、磁気記憶媒体であるハードディスクに情報を記憶したり、記憶されている情報を読み出したりする記憶装置である。なお、この例では、HDD2dには、プログラム2d1およびログデータ2d2が格納されている。ここで、プログラム2d1は、ログ格納装置2を制御するためのオペレーティングシステム等のプログラムおよびログデータを取得して格納するためのアプリケーションプログラム等を有している。ログデータ2d2は、プログラム2d1が実行されることによって起動されたアプリケーションプログラムによって真空プロセス装置1から取得されたログデータが格納されている。
【0051】
I/F(Interface)2fは、ネットワーク3を介して真空プロセス装置1との間で情報を授受する際に、プロトコルに関する処理を実行する。バス2gは、CPU2a、ROM2b、RAM2c、HDD2d、および、I/F2fを相互に電気的に接続して、これらの間で情報の授受を可能にする信号線群である。
【0052】
図4は、図1に示す解析装置4の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、解析装置4は、CPU4a、ROM4b、RAM4c、HDD4d、画像処理部4e、I/F4f、バス4g、表示装置4h、および、入力装置4iによって主に構成されている。
【0053】
ここで、解析手段としてのCPU4aは、HDD4dに格納されているプログラム4d1およびROM4bに格納されているプログラムに基づいて、装置の各部を制御するとともに、各種の演算処理を実行する。また、CPU4aは、プログラム4d1に基づいて、ログ格納装置2に格納されているログデータを取得し、解析処理を実行する。
【0054】
ROM4bは、CPU4aが実行する基本的なプログラムおよびデータを格納する半導体記憶装置である。RAM4cは、CPU4aが処理対象とするプログラムおよびデータを一時的に格納する半導体記憶装置である。
【0055】
HDD4dは、磁気記憶媒体であるハードディスクに情報を書き込んだり、書き込まれている情報を読み出したりする記憶装置である。この例では、プログラム4d1が格納されている。プログラム4d1は、例えば、解析装置4を制御するためのオペレーティングシステム等のプログラムおよびログデータを取得して解析するためのアプリケーションプログラム等を有している。
【0056】
画像処理部4eは、CPU4aから供給された描画命令に従って描画処理を実行し、得られた画像を映像信号に変換して表示装置4hに供給する。I/F4fは、入力装置4iおよびネットワーク3との間で情報を授受する際に、データの表現形式等を変換する。バス4gは、CPU4a、ROM4b、RAM4c、HDD4d、画像処理部4e、および、I/F4fを相互に電気的に接続し、これらの間で情報の授受を可能にする信号線群である。
【0057】
呈示手段としての表示装置4hは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)またはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成され、画像処理部4eから供給された映像信号に対応する映像を表示部(不図示)に表示する。
【0058】
入力装置4iは、例えば、キーボードまたはマウス等によって構成され、真空プロセス管理システムの管理者の操作に応じた情報を生成し、I/F4fを介してCPU4aに供給する。
【0059】
(B)実施の形態の動作の概要
【0060】
本実施の形態の真空プロセス管理システムでは、真空プロセス装置1において、ウエハ12に対するプロセス処理が開始されると、制御監視部20は、予め設定されている制御プログラムに基づいて装置の各部(DC電源部21、ガス流量制御部23等)を制御し、プロセス処理を実行する。その際、制御監視部20は、制御に関する制御情報としてのデータ(イベントデータ)を生成し、処理対象となっているウエハ12を特定するためのID(以下、「ウエハID)と称する)を付加するとともに、タイマ34から供給されるタイムスタンプを貼付する。また、制御監視部20は、装置の各部の状態を示す状態情報としてのデータ(トレースデータ)を所定の周期(例えば、10分の1秒間隔)で取得し、タイマ34から供給されるタイムスタンプを貼付する。そして、得られたこれらの情報をログデータとして、ログ格納装置2に送信する。
【0061】
ログ格納装置2は、真空プロセス装置1から供給されたログデータを、ログデータ2d2としてHDD2dに格納する。
【0062】
そして、例えば、製造したウエハ12に不具合が生じた場合には、真空プロセス管理システムの管理者(以下、単に「管理者」と称する)は、解析装置4の入力装置4iを操作し、ログ格納装置2に格納されているログデータ2d2を取得し、解析処理を施し、様々な観点から分析することにより、不具合の原因を特定する。
【0063】
すなわち、管理者は、まず、解析装置4の入力装置4iを操作し、ログデータ2d2を、RAM4c上にダウンロードする。そして、ダウンロードされたログデータ2d2に含まれている、トレースデータと、イベントデータとを、タイムスタンプを参照して対応付けする処理を実行させる。ここで、イベントデータは、例えば、ガス供給部22からのガスの供給開始を示すデータと、加工対象であるウエハ12のウエハIDと、ガスの供給が開始された日時を示すタイムスタンプとを含んでいる。また、トレースデータは、それぞれの時点におけるガスの流量を示すデータと、その時点のタイムスタンプとを含むデータである。解析装置4は、同じ日時のタイムスタンプが貼付されているイベントデータと、トレースデータとを対応付けすることにより、2つのデータを時間軸上において関連付けする。
【0064】
つぎに、管理者は、解析装置4の入力装置4iを操作して、解析対象と、解析範囲と、解析内容とを指定し、解析処理を実行させる。具体的には、解析対象としては、解析の対象となるウエハのウエハID(例えば、1ヶ月前に製造されたウエハのウエハID)およびトレースデータの種類(例えば、圧力を示すトレースデータ)を指定する。また、解析範囲としては、イベントデータに含まれている所定のイベント(例えば、ガスの供給開始)から、他の所定のイベント(例えば、プロセス終了)までの範囲を始点および終点として指定する。また、解析内容としては、対象となるトレースデータに対する解析処理の内容(例えば、グラフを表示する、あるいは、トレースデータの最大値、最小値、平均値、中央値を求める等)を指定する。
【0065】
その結果、解析装置4は、指定された解析対象から、解析範囲によって指定された範囲の情報を抽出し、解析内容によって指定された内容の解析処理を実行する。具体的には、前述した例では、1ヶ月前に製造されたウエハのトレースデータから、ガスの供給開始からプロセス終了までの範囲の圧力を示すトレースデータが抽出され、抽出された範囲の圧力を示すトレースデータがグラフとして表示装置4hに表示されるとともに、最大値、最小値、平均値、および、中央値が算出されて同様に表示装置4hに表示される。
【0066】
管理者は、このようにして表示された情報を参照することで、不具合の原因を特定することができる。また、特定された不具合に基づいて、制御監視部20に格納されている制御プログラムを変更することにより、不具合が再度発生しないようにすることができる。
【0067】
(C)実施の形態の動作の詳細
【0068】
つぎに、本発明の実施の形態の詳細な動作について説明する。以下では、(C−1)真空プロセス装置1におけるイベントデータの生成処理、(C−2)真空プロセス装置1におけるトレースデータの生成処理、(C−3)解析装置4における解析処理の順で説明を行う。
【0069】
(C−1)真空プロセス装置1におけるイベントデータの生成処理
【0070】
図5は、図2に示す真空プロセス装置1においてイベントデータを生成する処理の詳細を説明するフローチャートの一例である。なお、図5に示すフローチャートを説明する前に、図6を参照して、真空プロセス装置1において発生するイベントについて説明する。
【0071】
真空プロセス装置1では、アルゴンガスによって生成されるプラズマによってターゲット13としての銅をスパッタリングし、ウエハ12上に堆積させる。真空プロセス装置1では、複数枚のウエハ12を保持するウエハカセット(不図示)が真空プロセス装置1にセットされ、プロセスの開始が指示されると、ウエハカセットからウエハ12が1枚ずつ抜き出されて、チャンバ10内のウエハステージ11上に載置される。つぎに、チャンバ10内部が所定の真空度になるまでドライポンプ29が駆動される。そして、所定の真空度に到達すると、ターボポンプ30とドライポンプ31がつづいて駆動される。この結果、チャンバ10内部が所定の真空度に到達すると、図6に示すプロセスが開始される(ST1:プロセス開始のイベントが発生する)。
【0072】
つぎに、制御監視部20は、IR電源部32を制御し、IR電源の供給を開始するとともに、静電チャック部28を制御して静電チャック機構を機能させる(ST2)。この結果、イオンリフレクタ14がプラスに、グランドがマイナスとなるように直流電圧が印加される。また、静電チャック部28が機能することにより、ウエハ12はウエハステージ11に吸着されて固定された状態となる。
【0073】
つぎに、制御監視部20は、ガス流量制御部23を制御することにより、ガスフローを開始する(ST3)。この結果、ガス供給部22から供給されたアルゴンガスは、ガス流量制御部23によって流量を調整された後、チャンバ10内部に導入される。
【0074】
つづいて、制御監視部20は、DC電源部21を制御し、ターゲット13がマイナスに、グランドがプラスになるように直流電圧(スパッタリングパワー)を印加する(ST4:スパッタリングパワーオン)。この結果、ターゲット13とウエハステージ11の間でグロー放電が開始され、その結果として、アルゴンガスがプラズマ状態となる。プラズマ状態となったアルゴンガスの原子核(アルゴンイオン)は、プラスの電荷を帯びているので、マイナスの電圧が印加されているターゲットとの間で引力が働くため、これに吸い寄せられて加速され、ターゲット13に衝突する。この結果、ターゲット13を構成する銅から銅の分子が反跳される。反跳された銅の分子は、ウエハ12の表面に堆積する。
【0075】
つづいて、制御監視部20は、ガス流量制御部23を制御し、アルゴンガスの流量を減少させる(ST5)。つぎに、制御監視部20は、RF電源部26を制御し、ウエハステージ11とグランドの間に高周波電力(RFパワー)を印加する(ST6:RFパワーオン)。プラズマ内においては、電子は、イオンよりも移動度が大きいため、銅の分子から電子が分離され、イオン化される(銅イオンとなる)。そして、分離された電子は、ウエハ12上に集まるため、ウエハ12はマイナスに帯電する。これにより、プラスの電荷を有する銅イオンと、マイナスに帯電したウエハ12との間には電気的な引力が作用し、銅イオンは加速されて、ウエハ12に衝突する。このため、ウエハ12に形成された凹部の深部にまで銅イオンが到達する。また、高速に衝突することにより、凹部の開口部にバリ状の銅が形成されることが防止できる。さらに、銅イオンには、図2の横方向へ向かう速度よりも、下方向(ウエハ12の方向)に向かう速度の方が大きくなるので、高アスペクト比を有する凹部の内部に対しても均一な銅膜を形成することができる。
【0076】
なお、イオン化された銅は、プラスの電荷を有するため、プラスの電圧が印加されたイオンリフレクタ14との間に斥力が働くため、銅イオンはイオンリフレクタ14によって反射(加速)され、プラズマの内部に引き戻される。これにより、銅膜の形成の効率を高めることができる。
【0077】
そして、スパッタリングが開始されてから所定の時間が経過し、ウエハ12上に堆積した銅の膜厚が所定の厚さに到達すると、制御監視部20は、DC電源部21を制御して、スパッタリングパワーをオフの状態にするとともに、RF電源部26を制御してRFパワーをオフの状態にする(ST7)。これによりスパッタリングが終了する。
【0078】
つづいて、制御監視部20は、静電チャック部28を制御して静電チャックをオフの状態にする(ST8)。つぎに、制御監視部20は、ガス流量制御部23を制御して、ガス供給部22からのアルゴンガスの供給を停止する(ST9)。そして、制御監視部20は、プロセスを終了する(ST10)。
【0079】
以上により、1枚のウエハ12に対するプロセス処理が完了する。その後は、チャンバ10内からプロセス処理が完了したウエハ12が取り出され、つぎのウエハ12がウエハカセットから抜き出され、チャンバ10内のウエハステージ11上に載置され、前述の場合と同様の処理が繰り返される。そして、ウエハカセットに配置されている全てのウエハ12に対する処理が完了すると、1ロット分の処理が完了する。
【0080】
つぎに、図5を参照して、真空プロセス装置1において、以上のプロセスが実行される際に、イベントデータを取得する処理について説明する。図5に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0081】
ステップS10:制御監視部20は、イベントが発生したか否かを判定し、イベントが発生した場合にはステップS11に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。すなわち、制御監視部20は、図示せぬ制御プログラムに応じて制御を行う上で、図6に示すいずれかのイベントが発生した場合にはステップS11に進み、それ以外の場合にはステップS10の処理を繰り返す。
【0082】
ステップS11:制御監視部20は、イベントデータを生成する。図7は、イベントデータの一例を示している。この例では、各行が1レコード分のイベントデータを示している。1レコード分のイベントデータは、タイムスタンプ(詳細は後述する)、実モジュールID、処理ID、ウエハID、および、メッセージを有している。ここで、タイムスタンプは後述するステップS12の処理において貼付される情報である。真空プロセス装置識別情報としての実モジュールIDは、チャンバ10を特定するためのIDである。図1の実施の形態では、真空プロセス装置1は、チャンバ10を1つしか有していないが、真空プロセス装置1が複数のチャンバを有している場合や、システムが複数の真空プロセス装置を有している場合には、複数のチャンバのそれぞれに対して付与されるIDである。この例では、真空プロセス装置1は1台であるので、モジュールIDは全て「F1」となっている。
【0083】
処理IDは、処理の種類を特定するためのIDである。この例では、「SP−S」、「IR−ON」、「SC−ON」、「GF−S」、および、「DC−ON」が列挙されている。ここで、SP−Sは、図6のST1の「スパッタリングプロセス開始」を示している。IR−ONは、図6のST2の「IR電源供給開始」を示している。SC−ONは、図6のST2の「静電チャックオン」を示している。GF−Sは、図6のST3の「ガスフロー開始」を示している。また、DC−ONは、図6のST4の「スパッタリングパワーオン」を示している。
【0084】
加工対象識別情報としてのウエハIDは、ウエハ12を特定するためのIDである。ここで、ハイフンの左側の数字は、ウエハカセット(ロット)を特定するための値である。また、ハイフンの右側の数字は、ウエハカセット内の処理順序(ウエハカセットのスロット)を示す値である。この例では、イベントデータは全て同一のウエハ12に関するものであるので、ウエハIDとして「1−2」が格納されている。
【0085】
メッセージは、解析処理において利用される付随的な情報であり、この例では、STEP1,STEP2等の情報が付与されている。
【0086】
なお、ステップS11の処理では、図7に示す1レコード分の情報のうち、イベントに応じた「処理ID」が生成されるとともに、チャンバおよびウエハに対応する「実モジュールID」および「ウエハID」が付加され、さらに、処理IDに対応した「メッセージ」が付加されてイベントデータが生成される。
【0087】
ステップS12:制御監視部20は、タイマ34からイベントが発生した時点における日時情報を取得し、ステップS11において生成したイベントデータに対して貼付する。このとき、タイマ34が発生する日時情報の最小単位は、10分の1秒である。このため、100分の1秒以下の時間については、自動的に切り捨てまたは四捨五入がされる。具体的には、タイマ34が発生する日時情報が「2007/01/15 13:11:16.51」であった場合には、「13:11:16.51」の末尾の「1」が、例えば、四捨五入されて「13:11:16.5」がタイムスタンプとなる。これにより、後述するように、トレースデータとの時間の単位が一致することになる。
【0088】
以上の処理により、図7に示すように、年、月、日、および、時刻から構成されるタイムスタンプがイベントデータに対して付加されることになる。具体的には、図7の1行目のイベントデータでは、「2007/01/15 13:11:16.5」がタイムスタンプとして付加されている。
【0089】
ステップS13:制御監視部20は、通信部33およびネットワーク3を介して、ステップS12において生成したイベントデータを、ログ格納装置2に対して送信する。ログ格納装置2では、ネットワーク3を介して送信されてきたイベントデータを、I/F2fによって受信し、HDD2dにログデータ2d2として格納する。これにより、HDD2dには、図7に示すような形態により、イベントデータが格納される。なお、ステップS13におけるイベントデータの送信単位としては、例えば、1レコード分のデータが完成した時点で送信してもよいし、所定数のレコード分のデータが集まった場合に送信してもよいし、あるいは、図6に示すプロセス終了からつぎのプロセス開始までの間(空き時間)において、まとめて送信するようにしてもよい。
【0090】
ステップS14:制御監視部20は、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、管理者から終了の指示がなされた場合には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返す。
【0091】
以上の処理により、イベントログが生成されて、ログ格納装置2のHDD2dに格納されることになる。
【0092】
(C−2)真空プロセス装置1におけるトレースデータの生成処理
【0093】
つぎに、図8を参照して、真空プロセス装置1におけるトレースデータの生成処理について説明する。図8のフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0094】
ステップS20:制御監視部20は、タイマ34によって生成される日時情報を参照し、所定の時間が経過したか否かを判定する。例えば、制御監視部20は、タイマ34によって生成される日時情報を参照して、前回の処理が終了してから10分の1秒が経過したか否かを判定し、経過したと判定した場合にはステップS21に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。より具体的には、前回の処理においてタイマ34が発生する日時情報が「2007/01/15 13:11:16.4」であった場合に、日時情報が「2007/01/15 13:11:16.5」に変化した場合には、所定の時間が経過したと判定して、ステップS21に進む。なお、この処理は、タイマ34からの周期的な(10分の1秒単位の)割り込み処理によって実行するようにしてもよい。
【0095】
ステップS21:制御監視部20は、真空プロセス装置1の各部の状態を示す情報としてのトレースデータを取得する。図9は、トレースデータの一例を示している。この例では、各行が1レコード分のトレースデータを示している。1レコード分のトレースデータは「真空度」、「IR電圧」、「ガス流量」、「DC電圧」、「RF電力」、および、「ウエハ温度」その他によって構成されている。
【0096】
ここで、「真空度」は、図2に示す圧力検出部24によって測定された情報である。「IR電圧」は、IR電源部32によってイオンリフレクタ14とグランドとの間に印加されている直流電圧の電圧値を示す情報である。「ガス流量」は、ガス流量制御部23によってガス供給部22からチャンバ10内部に供給されるガスの単位時間あたりの流量を示す情報である。「DC電圧」は、DC電源部21によってターゲット13とグランドとの間に印加されている直流電圧の電圧値を示す情報である。「RF電力」は、RF電源部26によってウエハステージ11とグランドとの間に印加されている交流電力の電力値を示す情報である。また、「ウエハ温度」は、温度検出部27によって検出されたウエハ12の温度を示す情報である。なお、図9は一例であって、これ以外の情報であってもよい。
【0097】
なお、これらの情報は、略同時にサンプリングされて取得されるので、後述するタイムスタンプが示す日時のその瞬間における、真空プロセス装置1の各部の状態を示す情報となる。
【0098】
ステップS22:制御監視部20は、タイマ34からその時点における日時情報を取得し、ステップS21において取得したトレースデータに対して貼付する。このとき、タイマ34が発生する日時情報の最小単位は、10分の1秒であるので、例えば、タイムスタンプとしては「2007/01/15 13:11:16.5」が貼付されることになる。これにより、前述したイベントデータとの時間の単位および周期が一致することになる。
【0099】
以上の処理により、図9に示すように、年、月、日、および、時刻から構成されるタイムスタンプがトレースデータに対して付加されることになる。具体的には、図9の1行目のイベントデータでは、「2007/01/15 13:11:16.5」がタイムスタンプとして付加され、これは、図7の1行目のタイムスタンプと一致している。
【0100】
ステップS23:制御監視部20は、通信部33およびネットワーク3を介して、ステップS22においてタイムスタンプが貼付されたトレースデータを、ログ格納装置2に対して送信する。ログ格納装置2では、ネットワーク3を介して送信されてきたトレースデータを、I/F2fによって受信し、HDD2dにログデータ2d2として格納する。これにより、HDD2dには、図9に示すような形態により、トレースデータが格納される。なお、ステップS23におけるトレースデータの送信単位としては、例えば、1レコード分のデータが完成した時点で送信してもよいし、所定数のレコード分のデータが集まった場合に送信してもよいし、あるいは、図6に示すプロセス終了からつぎのプロセス開始までの間(空き時間)において、まとめて送信するようにしてもよい。
【0101】
ステップS24:制御監視部20は、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合にはステップS20に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、管理者から終了の指示がなされた場合には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS20に戻って同様の処理を繰り返す。
【0102】
以上の処理により、トレースデータが生成されて、ログ格納装置2のHDD2dに格納されることになる。
【0103】
なお、以上のようにして生成されたイベントデータとトレースデータは、例えば、2ヶ月程度ログ格納装置2に保持し、2ヶ月が経過したこれらのデータについては順次HDD2dから削除するようにしてもよい。その際、タイムスタンプを参照することにより、削除対象となるデータを容易に判別することができる。また、保持する期間は、ウエハ12に対する不具合が判明する期間に応じて設定すればよい。例えば、1ヶ月程度で不具合が判明する場合には例えば2ヶ月程度保持し、3ヶ月程度で不具合が判明する場合には4ヶ月程度保持する。これ以外の期間であってもよいことは言うまでもない。
【0104】
(C−3)解析装置4における解析処理
【0105】
つぎに、図10を参照して、図4に示す解析装置4において実行される解析処理について説明する。このフローチャートの処理は、管理者が、解析装置4の入力装置4iを操作してプログラム4d1に含まれている解析用のアプリケーションプログラムを起動した際に実行される。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0106】
ステップS40:解析装置4のCPU4aは、ログ格納装置2からイベントデータを取得する。すなわち、CPU4aは、I/F4fおよびネットワーク3を介してログ格納装置2に対してイベントデータを送信するように要求を行う。ログ格納装置2のCPU2aは、I/F2fを介してこの要求を受信し、HDD2dに格納されているログデータ2d2からイベントデータを取得して、I/F2fにより送信する。この結果、解析装置4のCPU4aは、I/F4aを介してイベントデータを受信する。
【0107】
ステップS41:CPU4aは、ステップS40において受信したイベントデータを、RAM4cの所定の領域に格納する。
【0108】
ステップS42:CPU4aは、ログ格納装置2からトレースデータを取得する。すなわち、CPU4aは、I/F4fおよびネットワーク3を介してログ格納装置2に対してトレースデータを送信するように要求を行う。ログ格納装置2のCPU2aは、I/F2fを介してこの要求を受信し、HDD2dに格納されているログデータ2d2からトレースデータを取得して、I/F2fにより送信する。この結果、解析装置4のCPU4aは、I/F4aを介してトレースデータを受信する。
【0109】
ステップS43:CPU4aは、ステップS42において受信したトレースデータを、RAM4cの所定の領域に格納する。
【0110】
ステップS44:CPU4aは、RAM4cに格納されているイベントデータと、トレースデータを、それぞれに1レコード単位で貼付されているタイムスタンプを参照して、対応付けする処理を実行する。すなわち、同一の日時情報を有するタイムスタンプが貼付されているイベントデータと、トレースデータとを対応付けする処理を実行する。なお、トレースデータは、10分の1秒単位で周期的にサンプリングされるが、イベントデータはイベントが発生した時点において生成されるので、非周期的なデータである。したがって、これらを対応付けした場合には、図11に示すような状態となる。この図の例は、図7に示す処理IDと、図9に示すトレースデータとを対応付けして示している。行と行の間の点は、その間のトレースデータを省略していることを示している。
【0111】
このようにして、トレースデータと、イベントデータとを、タイムスタンプを参照して対応付けすることにより、トレースデータが標識化される。標識化されたトレースデータを用いることにより、後述するように、データの解析処理を容易かつ迅速に行うことができる。
【0112】
ステップS45:CPU4aは、解析対象の入力を受け付ける。すなわち、CPU4aは、管理者によって入力装置4iが操作されることによって生成された情報を受け付ける。なお、解析対象としては、例えば、解析しようとするチャンバを特定するための情報である実モジュールIDや、解析しようとするウエハを特定するためのウエハIDが入力される。さらに、解析しようとするトレースデータの種類が入力される。
【0113】
なお、実モジュールIDおよびウエハIDとして複数のIDを入力するようにしたり、所定の範囲のIDを入力するようにしたりしてもよい。具体的には、実モジュールIDを例に挙げると、例えば、F1,F2,F5のようにして複数のモジュールを指定したり、F1〜F4のようにモジュールの範囲を指定したりするようにしてもよい。また、ウエハIDを例に挙げると、例えば、1−1〜1−25のようにスロットの範囲を指定したり、1−1〜10−1のようにロットの範囲を指定したり、あるいは1−1〜10−25のようにロットとスロットの双方の範囲を指定したりしてもよい。これ以外にも、例えば、ワイルドカードを使用して、特定の範囲を指定するようにしてもよい。具体的には、1−?のようにすることにより、ロット「1」に属する任意のスロットを指定するようにしてもよい。
【0114】
また、トレースデータとしては、例えば、真空度、IR電圧、DC電圧のように個々の項目を指定したり、複数の項目を一括して指定したりするようにしてもよい。
【0115】
ステップS46:CPU4aは、解析範囲の入力を受け付ける。すなわち、CPU4aは、管理者によって入力装置4iが操作されることによって生成された情報を受け付ける。なお、解析範囲としては、例えば、プロセスが開始(図6のST1)されてから終了(図6のST10)するまでの期間のデータのようにイベントデータに基づいて始点および終点を直接指定したり、ガスフローが開始してから1秒が経過した後から、ガス流量が変更(図6のST5)になるまで(あるいはガス流量が変更になってから2秒が経過するまで)の期間のデータのようにイベントデータを間接的に利用して始点および終点を指定したりすることができる。あるいは、スパッタリングパワーがオン(図6のST4)の状態になってから、DC電圧が所定の電圧になるまでの期間のデータのように、イベントデータとトレースデータとの双方を用いて始点と終点を指定する方法もある。
【0116】
ステップS47:CPU4aは、解析内容の入力を受け付ける。すなわち、CPU4aは、管理者によって入力装置4iが操作されることによって生成された情報を受け付ける。なお、解析内容としては、例えば、ステップS45で入力された解析対象およびステップS46で入力された解析範囲に対して、トレースデータのサンプリングを行うことであったり、トレースデータの最大値、最小値、平均値、中央値を求めたりすることであったり、あるいは、トレースデータの比較(例えば、相関関数の計算)を行うことであったりする。
【0117】
また、以上の内容以外にも、例えば、トレースデータが、所定の値以上(または所定の値以下)になる時間や、所定の範囲内に入っている時間や、所定の時間が経過した時点におけるトレースデータの値を求めることを入力するようにしてもよい。
【0118】
また、以上の情報に加えて、得られた解析結果をどのように出力するかに関する情報を併せて入力するようにしてもよい。例えば、得られた結果を、所定の形式のファイルとして出力したり、グラフとして出力(画面表示または印刷)したりする際に、その形式を指定するようにすることができる。
【0119】
ステップS48:CPU4aは、ステップS45〜S47において入力された情報に基づいて、ステップS44で対応付けがされたイベントデータおよびトレースデータに対して解析処理を施す。
【0120】
具体的には、例えば、実モジュールIDが「F1」であるチャンバにおいてプロセス処理が実行されたウエハIDが「1−2」であるウエハ12のガスフロー開始(図6のST3)から、プロセス終了(図6のST10)までの期間における、真空度に関するトレースデータをグラフ表示することが指定された場合を想定する。この場合、CPU4aは、まず、イベントデータから実モジュールIDが「F1」であり、ウエハIDが「1−2」であるレコードを検索する。その結果、図7に示すデータが該当することから、図7に示すデータが取得される。
【0121】
つぎに、CPU4aは、ガスフロー開始に対応する処理IDである「GF−S」と、プロセス終了に該当する処理IDである「SP−E」とを取得されたデータから検索する。図7では、4行目のレコード(GF−S)と、図中の末尾に表示されているレコード(SP−E)が該当するので、これらが取得される。つづいて、CPU4aは、処理ID「GF−S」と、処理ID「SP−E」のそれぞれのイベントデータに貼付されているタイムスタンプを取得する。この例では、「2007/01/15 13:11:19.7」と、「2007/01/15 13:11:26.3」が取得される。
【0122】
つづいて、CPU4aは、取得した2つのタイムスタンプが示す期間に含まれている真空度のトレースデータを取得する。すなわち、CPU4aは、図9に示すトレースデータから上述した2つのタイムスタンプを始点および終点とした場合に、これらの範囲に含まれている真空度に関するトレースデータを取得する。以上の処理により、指定されたチャンバの指定されたウエハの指定された範囲に属する真空度に関するトレースデータが取得される。
【0123】
なお、いまの例では、1枚のウエハ12に関するトレースデータを取得するようにしたが、対象が複数存在する場合には、上述のような処理をウエハ毎に繰り返し実行するようにすればよい。また、複数のトレースデータが対象となっている場合は、タイムスタンプによって指定される期間に属する該当するトレースデータ群を取得するようにすればよい。
【0124】
また、トレースデータの所定のポイントから、一定の時間が経過した場合を基準として範囲が設定された場合には、該当するトレースデータのタイムスタンプに対して、前述した一定の時間を加算して得られた時刻を基準として前述の場合と同様の処理を実行すればよい。具体的には、「GF−S」から1秒経過後が範囲の始点として設定された場合には、「2007/01/15 13:11:20.7」を始点とすればよい。
【0125】
また、イベントデータと、トレースデータの双方を使用して範囲を決定する場合には、前述の処理によって特定されたトレースデータが、所定の条件を満たした場合を始点または終点として、範囲を決定するようにすればよい。
【0126】
また、取得したトレースデータの最大値、最小値、平均値、中央値を求める場合には、取得したトレースデータの中で最大となる値、最小となる値、平均値となる値、中央値となる値を求めるようにすればよい。さらに、トレースデータの比較(例えば、相関関数の計算)を行う場合には、トレースデータ同士で相関関数を演算するようにすればよい。
【0127】
ステップS49:CPU4aは、ステップS48における解析処理によって得られた情報を、画像処理部4eに供給し、描画処理を実行させる。その結果、描画処理によって得られた画像は、映像信号に変換され、表示装置4hに供給されて、図示せぬ表示部に表示される。
【0128】
図12および図13は、以上の処理によって、表示装置4hの表示部に表示される情報の一例を示している。図12(A)は、前述した、実モジュールIDが「F1」であるチャンバにおいてプロセス処理が実行されたウエハIDが「1−2」であるウエハ12のガスフロー開始(図6のST3)から、プロセス終了(図6のST10)までの期間における、真空度に関するグラフである。このグラフの横軸は時間を示し、縦軸は真空度を示す。また、横軸のST3〜ST10は、図6に示すST3〜ST10に対応している。このようなグラフを参照することにより、所定のウエハ12の指定された期間における真空度を知ることができる。
【0129】
図12(B)は、例えば、実モジュールIDが「F1」であるチャンバにおいてプロセス処理が実行されたウエハIDが「1−2」であるウエハ12のプロセス開始(図6のST1)から、プロセス終了(図6のST10)までの期間における、直流電圧に関するグラフである。このグラフの横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。また、横軸のST1〜ST10は、図6に示すST1〜ST10に対応している。このようなグラフを参照することにより、所定のウエハ12の指定された期間においてターゲット13に印加された直流電圧を知ることができる。
【0130】
図13(A)は、図12(B)と同様の態様により、ウエハIDが「1−1」と「90−1」であるウエハ12に関する直流電圧の時間的な変化を重ねて描画したグラフである。この例では、実線がウエハIDが「1−1」のウエハ12のグラフを示し、破線がウエハIDが「90−1」のウエハ12のグラフを示している。この図に示すように、複数のトレースデータを重ねて表示させることにより、ロット毎の変化を知ることができる。これにより、例えば、装置の経年変化等の有無を知ることができる。なお、この例では、ロットの相違による特性の相違を表示しているが、例えば、同一ロット内の異なるスロットの相違を表示するようにしてもよい。例えば、ウエハIDが「1−1」と「1−25」のトレースデータを重ねて表示するようにしてもよい。そのような表示によれば、ロット内の処理順序による特性の相違を知ることができる。
【0131】
図13(B)は、スパッタリングパワーをオン(図6のST4)の状態にしてから、ターゲット13に印加される直流電圧が、例えば、所定の範囲内で安定するまで(例えば、500Vプラスマイナス5Vとなるまで)の時間を示すヒストグラムである。このグラフの横軸は安定するまでの時間を示し、縦軸は該当するプロセス(トレースデータ)の個数を示す。この例では、1.7秒で安定する事例が最も多く、そのつぎに1.6秒、1.5秒、1.8秒の順番となっている。このようなヒストグラムを参照することにより、安定化までの時間の分布状況を知ることができるので、例えば、どの程度の回数のプロセスが規格外に該当するのかを知ることができる。なお、この例では、全てのトレースデータを1つのグラフに表示するようにしたが、例えば、ロット単位で同様のグラフ(ヒストグラム)を複数生成し、これら複数のヒストグラムを比較することにより、ヒストグラムの時間的な変化を知ることができるようにしてもよい。
【0132】
ステップS50:CPU4aは、処理を終了するか否かを判定し、処理を終了しない場合にはステップS45に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、管理者から処理を終了する旨の操作が入力装置4iに対して行われた場合には処理を終了する。
【0133】
以上に説明したように、本発明の実施の形態によれば、イベントデータとトレースデータのそれぞれに対してタイムスタンプを貼付して対応付けし、イベントデータをトリガとして、所望のトレースデータを取得できるようにしたので、所望のタイミングのデータを迅速に検索することができる。
【0134】
また、本発明の実施の形態によれば、イベントデータを基準として、所定の範囲のトレースデータを指定し、この範囲に含まれるトレースデータを表示したり、解析処理を施したりするようにしたので、特定の範囲のトレースデータを迅速かつ簡易に取得し、解析することができる。
【0135】
また、本発明の実施の形態によれば、イベントデータに対してウエハIDを付加して格納するようにしたので、所望のウエハに関するトレースデータを簡易かつ迅速に検索することができる。また、ウエハIDとして、ロットと、ロット内の処理順序(スロット)を示す符号を使用するようにしたので、所定のロットの所定の処理順序のウエハに関するトレースデータを簡易かつ迅速に検索することができる。また、同様にチャンバに対する実モジュールIDを付加するようにしたので、複数チャンバが存在する場合であっても、所望のチャンバのトレースデータを簡易かつ迅速に検索し、解析することができる。
【0136】
また、本発明の実施の形態によれば、取得したトレースデータを用いて、グラフを表示したり、最大値、最小値、平均値、中央値等を求める処理を実行して得られた結果を表示したりするようにしたので、表示されたこれらの情報に基づいて、不具合の発生原因を迅速に知ることができる。
【0137】
(D)変形実施の態様
【0138】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0139】
例えば、以上の実施の形態では、真空プロセス装置1としては、PVDによる銅のスパッタリングを行う装置を例に挙げて説明したが、これ以外のプロセス装置であってもよい。具体的には、前述したように、CVD装置、エッチング装置、インプラー装置、フォトリソグラフィー装置を真空プロセス装置1として用いることができる。また、以上では、真空下におけるプロセス装置を例に挙げて説明したが、必ずしも真空下に限定されるものではない。
【0140】
また、以上の実施の形態では、真空プロセス装置1が1台の場合を例に挙げて説明したが、真空プロセス装置は複数存在してもよい。その場合には、実モジュールIDによって、複数の真空プロセス装置を区別するようにすればよい。
【0141】
また、以上の実施の形態では、ログ格納装置2を真空プロセス装置1とは独立した構成としたが、これらを一体としてもよい。すなわち、ログ格納装置2を真空プロセス装置1の一部として構成してもよい。
【0142】
また、以上の実施の形態では、解析装置4は、真空プロセス装置1およびログ格納装置2とは独立した構成としたが、解析装置4を真空プロセス装置1またはログ格納装置2の一部として構成してもよい。
【0143】
また、以上の実施の形態では、ネットワーク3を介して、真空プロセス装置1、ログ格納装置2、および、解析装置4を相互に接続するようにしたが、これらをネットワーク3を介さずに直接接続するようにしてもよい。具体的には、USB(Universal Serial Bus)その他のインタフェースによって直接接続することができる。
【0144】
また、以上の実施の形態では、図8に示すように、トレースデータは、常に一定の周期で取得するようにしたが、例えば、プロセス処理中とそれ以外の場合において、取得する周期を変更するようにしてもよい。具体的には、プロセス処理中は、短い周期(例えば、10分の1秒)でトレースデータを取得し、それ以外の場合には長い周期(例えば、1秒)でトレースデータを取得するようにしてもよい。これにより、トレースデータの量を減らすことができるので、HDD2dの必要な容量を削減できる。
【0145】
また、以上の実施の形態では、イベントデータとトレースデータとを別々に格納するようにしたが、例えば、図11に示すように予め対応付けしてから格納するようにしてもよい。そのような方法によれば、解析装置4側で対応付け処理を実行する必要がなくなるので、解析処理の待ち時間を短くすることができる。
【0146】
また、以上の実施の形態では、解析装置4は、全てのイベントデータとトレースデータをログ格納装置2から取得し(S40〜S43)、取得した後に範囲および対象を絞り込む(S45,S46)ようにしたが、対象および範囲の指定を受けた後に、必要なデータのみをログ格納装置2から取得するようにしてもよい。そのような方法によれば、RAM4cの容量に比して、イベントデータおよびトレースデータのデータ量が大きい場合であっても解析処理を実行することができる。
【0147】
また、以上の実施の形態では、イベントデータのメッセージを利用する場合については言及していないが、メッセージを利用して範囲を指定するようにしてもよい。具体的には、例えば、図7に示す「STEP1」および「STEP2」等のメッセージを利用して、範囲を指定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、例えば、PVD装置、または、CVD装置等の真空プロセス装置を管理する管理システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施の形態に係るプロセス管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す真空プロセス装置の構成例を示す図である。
【図3】図1に示すログ格納装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す解析装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】図2に示す真空プロセス装置においてイベントデータを生成する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す真空プロセス装置において実行されるイベントの一例を示す図である。
【図7】図5に示すフローチャートによって生成されるイベントデータの一例を示す図である。
【図8】図2に示す真空プロセス装置においてトレースデータを取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図5に示すフローチャートによって生成されるトレースデータの一例を示す図である。
【図10】図4に示す解析装置において実行される解析処理の一例を説明するフローチャートである。
【図11】図10に示すフローチャートによって対応付けがされたイベントデータとトレースデータの一例である。
【図12】図10に示すフローチャートによって表示装置に表示される情報の一例である。
【図13】図10に示すフローチャートによって表示装置に表示される情報の他の一例である。
【符号の説明】
【0150】
1 真空プロセス装置、2 ログ格納装置、2d HDD(格納手段)、3 ネットワーク、4 解析装置、4a CPU(解析手段)、4h 表示装置(呈示手段)、12 ウエハ(加工対象)、20 制御監視部(第1の取得手段、第2の取得手段、対応付手段の一部)、34 タイマ(対応付手段の一部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、特許文献1に開示されるようなプロセス装置(例えば、CVD装置)を用いて加工対象を加工する際に、高いプロセス精度が求められるようになってきている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−17437号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すようなプロセス装置では、従来、装置の各部の状態を示すアナログ波形をサンプリングして記憶装置に記憶しておき、加工対象に何らかの不具合が見つかった場合には記憶装置に記憶された情報に基づいて原因の解析を行っていた。
【0005】
しかしながら、これらの作業は、手作業で行われていたことから、解析に時間を要するという問題点がある。また、前述したように、近年では、プロセス精度が高まっていることに関連して、プロセス上のわずかな差が、加工対象の性能を大きく左右するため、そのようなわずかな差をアナログ波形から手作業で検出するためには、多大な時間を要するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明のプロセス管理システムは、装置の各部の状態を示す状態情報を取得する第1の取得手段と、装置の制御に関する制御情報を取得する第2の取得手段と、第1および第2の取得手段によって取得された状態情報と制御情報を対応付けする対応付手段と、対応付手段によって対応付けがされた状態情報および制御情報を格納する格納手段と、制御情報を参照して、状態情報に対して解析処理を施す解析手段と、解析手段の解析の結果として得られた情報を呈示する呈示手段と、を有する。このため、装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供することができる。
【0008】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、対応付手段は、状態情報と制御情報に対してそれぞれタイムスタンプを付与することにより対応付けを行うようにしている。これにより、タイムスタンプによってこれらの情報を確実かつ簡易に対応付けすることができる。また、タイムスタンプを用いることにより、加工年月日を容易に特定することができる。
【0009】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、第1の取得手段は、所定の周期で状態情報を取得し、対応付手段は、状態情報に対して所定の周期に対応する時間単位のタイムスタンプを付与するとともに、制御情報に対しても所定の周期に対応する時間単位であって、しかも同期したタイムスタンプを付与するようにしている。これにより、状態情報と制御情報が同期してかつ同じ時間単位のタイムスタンプを有するので、双方の対応付けを簡易に行うことができる。
【0010】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、第1の取得手段は、装置がプロセス処理を実行中である場合には第1の周期で状態情報を取得し、プロセス処理を実行中でない場合には第1の周期よりも周期が長い第2の周期で状態情報を取得する。これにより、プロセス処理が実行されていない場合には長い第2の周期によって状態情報を取得することにより、格納手段の記憶容量を削減することができる。
【0011】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、解析手段は、所定の制御情報を始点または終点として、所定の状態情報を抽出する処理を実行し、呈示手段は、解析手段によって抽出された所定の状態情報を呈示するようにしている。これにより、制御情報を参照して状態情報を特定することができるので、特定のプロセスに属する状態情報を簡易かつ迅速に抽出することができる。
【0012】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、解析手段は、所定の制御情報を始点または終点として、所定の状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の状態情報が所定の条件に該当する時間を算出する処理を実行し、呈示手段は、解析手段によって算出された時間を呈示するようにしている。これにより、条件に該当する時間の長短を調べることによりプロセスの状態が所望の条件を満たしているか否かを容易に判定することができる。
【0013】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、解析手段は、所定の制御情報を始点または終点として、所定の状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の状態情報の最大値、最小値、平均値、中央値の少なくとも1つ以上を算出する処理を実行し、呈示手段は、解析手段によって算出されたこれらの値を呈示する、ようにしている。これにより、最大値、最小値、平均値、中央値からプロセスの状態の妥当性を判断することができる。
【0014】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、格納手段は、装置がプロセス処理の対象とする加工対象を識別するための加工対象識別情報を制御情報および状態情報と併せて格納し、解析手段は、加工対象識別情報も参照して、解析処理を実行するようにしている。これにより、加工対象が複数存在する場合であっても、加工対象を限定して解析処理を迅速に実行することができる。
【0015】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、加工対象識別情報は、ロットを特定するための情報と、ロット内における処理順序を特定するための情報とを少なくとも含んでおり、解析手段は、ロットを特定するための情報およびロット内における処理順序を特定するための情報を参照して、解析処理を実行するようにしている。このため、ロット単位およびロット内の処理順序を参照して、解析処理を実行することができる。これにより、ロット毎のばらつき、および、ロット内の処理順序によるばらつきを知ることができる。
【0016】
また、他の発明のプロセス管理システムは、上述の発明に加えて、格納手段は、装置が複数存在する場合には、装置を特定するための装置特定情報を制御情報および状態情報と併せて格納し、解析手段は、装置識別情報も参照して、解析処理を実行するようにしている。このため、複数のプロセス装置が存在する場合であっても、プロセス装置を限定して解析処理を迅速に実行することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置によって得られる情報を迅速に解析することが可能なプロセス管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、(A)実施の形態の構成例、(B)実施の形態の動作の概要、(C)実施の形態の動作の詳細、(D)変形実施の態様の順に説明する。
【0019】
(A)実施の形態の構成例
【0020】
図1は、本発明のプロセス管理システムの実施の形態の構成例を示す図である。この図に示すように、プロセス管理システムは、真空プロセス装置1、ログ格納装置2、ネットワーク3、および、解析装置4を主要な構成要素としている。
【0021】
ここで、真空プロセス装置1は、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、エッチング装置、インプラー装置、フォトリソグラフィー装置等によって構成されている。この例では、後述するように、PVD装置を例に挙げている。
【0022】
ログ格納装置2は、真空プロセス装置1において生成されたログデータをネットワーク3を介して取得して格納するとともに、解析装置4から要求がなされた場合には、格納しているログデータをネットワーク3を介して送信する。
【0023】
ネットワーク3は、例えば、LAN(Local Area Network)等によって構成され、真空プロセス装置1、ログ格納装置2、解析装置4を相互に電気的に接続し、これらの間で、例えば、パケットによる情報通信を可能とする。
【0024】
解析装置4は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、ログ格納装置2に格納されているログデータをネットワーク3を介して取得し、種々の解析処理を実行する。
【0025】
図2は、図1に示す真空プロセス装置1の詳細な構成例を示す図である。この図の例では、真空プロセス装置1は、チャンバ10、ウエハステージ11、ウエハ12、ターゲット13、イオンリフレクタ14、マグネット15、制御監視部20、DC(Direct Current)電源部21、ガス供給部22、ガス流量制御部23、圧力検出部24、ヒータ制御部25、RF(Radio Frequency)電源部26、温度検出部27、静電チャック部28、ドライポンプ29、ターボポンプ30、ドライポンプ31、IR(Ion Reflector)電源部32、通信部33、および、タイマ34を主要な構成要素としている。
【0026】
ここで、チャンバ10は、例えば、石英、ステンレス、アルミ、銅、アルミナ、チタン等の部材によって構成された中空状の容器で、大気を遮断し、それぞれのプロセスに応じた高真空/内部雰囲気を保持する。
【0027】
ウエハステージ11は、ウエハ12を載置するためのステージである。ウエハステージ11の上部(図の上方向)にはウエハ12を静電気力によって吸着するための静電チャック機構(不図示)が配設されている。また、その内部には、ヒータおよび温度検出用のセンサ(共に不図示)が配設されている。
【0028】
加工対象としてのウエハ12は、例えば、シリコン基板等であり、本装置では、シリコン基板上に、銅による配線をPVDによって形成する。
【0029】
ターゲット13は、例えば、銅板によって構成されている。ターゲット13に対してアルゴンのプラズマが衝突することにより構成粒子が反跳し、ウエハ12上に堆積される。
【0030】
イオンリフレクタ14は、ターゲット13およびウエハステージ11を囲繞するように構成される円筒形状の部材であり、イオンに対して電気的な斥力を与えることによってこれを反射(加速)する機能を有する。
【0031】
マグネット15は、ターゲット13の上部に配置され、プラズマ中のアルゴンイオンにローレンツ力を印加することによりこれを加速し、ターゲット13から銅分子が放出される効率を高める機能を有する。
【0032】
第1の取得手段、第2の取得手段、および、対応付手段の一部としての制御監視部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータによって構成され、ROMに格納されているプログラムに基づいて装置の各部を制御するとともに、ログデータを生成して、通信部33およびネットワーク3を介して、ログ格納装置2に送信する。
【0033】
DC電源部21は、ターゲット13がマイナス、グランドがプラスになるようにこれらの間に直流電圧を印加し、ターゲット13とウエハ12の間の空間に満たされているアルゴンガスをプラズマ化する。
【0034】
ガス供給部22は、チャンバ10内部にガス流量制御部23を経由してアルゴンガスを供給する。
【0035】
ガス流量制御部23は、例えば、マスフローコントローラ等によって構成され、制御監視部20の制御に応じてガス供給部22から供給されるガスの流量を制御するとともに、その時点におけるガス流量を制御監視部20に通知する。
【0036】
圧力検出部24は、例えば、イオンゲージ、ピラニーゲージ等によって構成され、チャンバ10内部の圧力を計測し、計測結果を制御監視部20に通知する。
【0037】
ヒータ制御部25は、制御監視部20の制御に応じて、ウエハステージ11に内蔵されているヒータを制御し、ウエハ12の温度が所望の温度になるようにする。
【0038】
RF電源部26は、グランドとウエハステージの間に高周波電力を印加し、ウエハ12に対してRFバイアスを印加することにより、ウエハ12をマイナスに帯電させ、プラスの電荷を有する銅イオンとの間に電気的な引力を生じせしめる。これにより、銅イオンが高速にウエハ12に衝突するため、銅イオンがウエハ12に形成された凹部の深部にまで到達する。
【0039】
温度検出部27は、ウエハステージ11の温度を検出し、検出結果を制御監視部20に通知する。
【0040】
静電チャック部28は、制御監視部20の制御に応じて、ウエハステージ11に設けられたチャック機構を制御して、ウエハ12を吸着して固定させる。
【0041】
ドライポンプ29は、制御監視部20の制御に応じて、チャンバ10内部に存在する空気を外部に排出し、チャンバ10の内部を真空状態にする。
【0042】
ターボポンプ30は、ドライポンプ29よりも高い真空度を達成するためのポンプであり、チャンバ10内部のガスを外部に排出する。
【0043】
ドライポンプ31は、ターボポンプ30の排気側に接続され、ターボポンプ30から排出されるガスを外部に排出することにより、ターボポンプ30の効率を高める。
【0044】
IR電源部32は、制御監視部20の制御に応じて、イオンリフレクタ14がプラス、グランドがマイナスになるように直流電圧を印加し、イオンリフレクタ14によって銅イオンを反射(加速)させる。
【0045】
通信部33は、ネットワーク3を介してログ格納装置2と制御監視部20との間で通信を行う場合に、例えば、通信プロトコルに関する制御を行う。
【0046】
対応付手段の一部としてのタイマ34は、例えば、日時情報(年、月、時刻、)等の情報を生成し、制御監視部20に供給する。制御監視部20は、タイマ34が生成した日時情報をタイムスタンプとして利用する。
【0047】
図3は、図1に示すログ格納装置2の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、ログ格納装置2は、CPU2a、ROM2b、RAM2c、HDD(Hard Disk Drive)2d、I/F(Interface)2f、および、バス2gを主要な構成要素としている。
【0048】
ここで、CPU2aは、HDD2dに格納されているプログラム2d1およびROM2bに格納されているプログラム(不図示)に基づいて装置の各部を制御するとともに、各種演算処理を実行する。また、CPU2aは、HDD2dに格納されているプログラム2d1に基づいて、真空プロセス装置1からログデータを取得して格納するとともに、解析装置4からの要求に応じてログデータを読み出して供給する。
【0049】
ROM2bは、CPU2aが実行する基本的なプログラムおよびデータを格納している半導体記憶装置である。RAM2cは、CPU2aが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納する半導体記憶装置である。
【0050】
格納手段としてのHDD2dは、磁気記憶媒体であるハードディスクに情報を記憶したり、記憶されている情報を読み出したりする記憶装置である。なお、この例では、HDD2dには、プログラム2d1およびログデータ2d2が格納されている。ここで、プログラム2d1は、ログ格納装置2を制御するためのオペレーティングシステム等のプログラムおよびログデータを取得して格納するためのアプリケーションプログラム等を有している。ログデータ2d2は、プログラム2d1が実行されることによって起動されたアプリケーションプログラムによって真空プロセス装置1から取得されたログデータが格納されている。
【0051】
I/F(Interface)2fは、ネットワーク3を介して真空プロセス装置1との間で情報を授受する際に、プロトコルに関する処理を実行する。バス2gは、CPU2a、ROM2b、RAM2c、HDD2d、および、I/F2fを相互に電気的に接続して、これらの間で情報の授受を可能にする信号線群である。
【0052】
図4は、図1に示す解析装置4の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、解析装置4は、CPU4a、ROM4b、RAM4c、HDD4d、画像処理部4e、I/F4f、バス4g、表示装置4h、および、入力装置4iによって主に構成されている。
【0053】
ここで、解析手段としてのCPU4aは、HDD4dに格納されているプログラム4d1およびROM4bに格納されているプログラムに基づいて、装置の各部を制御するとともに、各種の演算処理を実行する。また、CPU4aは、プログラム4d1に基づいて、ログ格納装置2に格納されているログデータを取得し、解析処理を実行する。
【0054】
ROM4bは、CPU4aが実行する基本的なプログラムおよびデータを格納する半導体記憶装置である。RAM4cは、CPU4aが処理対象とするプログラムおよびデータを一時的に格納する半導体記憶装置である。
【0055】
HDD4dは、磁気記憶媒体であるハードディスクに情報を書き込んだり、書き込まれている情報を読み出したりする記憶装置である。この例では、プログラム4d1が格納されている。プログラム4d1は、例えば、解析装置4を制御するためのオペレーティングシステム等のプログラムおよびログデータを取得して解析するためのアプリケーションプログラム等を有している。
【0056】
画像処理部4eは、CPU4aから供給された描画命令に従って描画処理を実行し、得られた画像を映像信号に変換して表示装置4hに供給する。I/F4fは、入力装置4iおよびネットワーク3との間で情報を授受する際に、データの表現形式等を変換する。バス4gは、CPU4a、ROM4b、RAM4c、HDD4d、画像処理部4e、および、I/F4fを相互に電気的に接続し、これらの間で情報の授受を可能にする信号線群である。
【0057】
呈示手段としての表示装置4hは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)またはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成され、画像処理部4eから供給された映像信号に対応する映像を表示部(不図示)に表示する。
【0058】
入力装置4iは、例えば、キーボードまたはマウス等によって構成され、真空プロセス管理システムの管理者の操作に応じた情報を生成し、I/F4fを介してCPU4aに供給する。
【0059】
(B)実施の形態の動作の概要
【0060】
本実施の形態の真空プロセス管理システムでは、真空プロセス装置1において、ウエハ12に対するプロセス処理が開始されると、制御監視部20は、予め設定されている制御プログラムに基づいて装置の各部(DC電源部21、ガス流量制御部23等)を制御し、プロセス処理を実行する。その際、制御監視部20は、制御に関する制御情報としてのデータ(イベントデータ)を生成し、処理対象となっているウエハ12を特定するためのID(以下、「ウエハID)と称する)を付加するとともに、タイマ34から供給されるタイムスタンプを貼付する。また、制御監視部20は、装置の各部の状態を示す状態情報としてのデータ(トレースデータ)を所定の周期(例えば、10分の1秒間隔)で取得し、タイマ34から供給されるタイムスタンプを貼付する。そして、得られたこれらの情報をログデータとして、ログ格納装置2に送信する。
【0061】
ログ格納装置2は、真空プロセス装置1から供給されたログデータを、ログデータ2d2としてHDD2dに格納する。
【0062】
そして、例えば、製造したウエハ12に不具合が生じた場合には、真空プロセス管理システムの管理者(以下、単に「管理者」と称する)は、解析装置4の入力装置4iを操作し、ログ格納装置2に格納されているログデータ2d2を取得し、解析処理を施し、様々な観点から分析することにより、不具合の原因を特定する。
【0063】
すなわち、管理者は、まず、解析装置4の入力装置4iを操作し、ログデータ2d2を、RAM4c上にダウンロードする。そして、ダウンロードされたログデータ2d2に含まれている、トレースデータと、イベントデータとを、タイムスタンプを参照して対応付けする処理を実行させる。ここで、イベントデータは、例えば、ガス供給部22からのガスの供給開始を示すデータと、加工対象であるウエハ12のウエハIDと、ガスの供給が開始された日時を示すタイムスタンプとを含んでいる。また、トレースデータは、それぞれの時点におけるガスの流量を示すデータと、その時点のタイムスタンプとを含むデータである。解析装置4は、同じ日時のタイムスタンプが貼付されているイベントデータと、トレースデータとを対応付けすることにより、2つのデータを時間軸上において関連付けする。
【0064】
つぎに、管理者は、解析装置4の入力装置4iを操作して、解析対象と、解析範囲と、解析内容とを指定し、解析処理を実行させる。具体的には、解析対象としては、解析の対象となるウエハのウエハID(例えば、1ヶ月前に製造されたウエハのウエハID)およびトレースデータの種類(例えば、圧力を示すトレースデータ)を指定する。また、解析範囲としては、イベントデータに含まれている所定のイベント(例えば、ガスの供給開始)から、他の所定のイベント(例えば、プロセス終了)までの範囲を始点および終点として指定する。また、解析内容としては、対象となるトレースデータに対する解析処理の内容(例えば、グラフを表示する、あるいは、トレースデータの最大値、最小値、平均値、中央値を求める等)を指定する。
【0065】
その結果、解析装置4は、指定された解析対象から、解析範囲によって指定された範囲の情報を抽出し、解析内容によって指定された内容の解析処理を実行する。具体的には、前述した例では、1ヶ月前に製造されたウエハのトレースデータから、ガスの供給開始からプロセス終了までの範囲の圧力を示すトレースデータが抽出され、抽出された範囲の圧力を示すトレースデータがグラフとして表示装置4hに表示されるとともに、最大値、最小値、平均値、および、中央値が算出されて同様に表示装置4hに表示される。
【0066】
管理者は、このようにして表示された情報を参照することで、不具合の原因を特定することができる。また、特定された不具合に基づいて、制御監視部20に格納されている制御プログラムを変更することにより、不具合が再度発生しないようにすることができる。
【0067】
(C)実施の形態の動作の詳細
【0068】
つぎに、本発明の実施の形態の詳細な動作について説明する。以下では、(C−1)真空プロセス装置1におけるイベントデータの生成処理、(C−2)真空プロセス装置1におけるトレースデータの生成処理、(C−3)解析装置4における解析処理の順で説明を行う。
【0069】
(C−1)真空プロセス装置1におけるイベントデータの生成処理
【0070】
図5は、図2に示す真空プロセス装置1においてイベントデータを生成する処理の詳細を説明するフローチャートの一例である。なお、図5に示すフローチャートを説明する前に、図6を参照して、真空プロセス装置1において発生するイベントについて説明する。
【0071】
真空プロセス装置1では、アルゴンガスによって生成されるプラズマによってターゲット13としての銅をスパッタリングし、ウエハ12上に堆積させる。真空プロセス装置1では、複数枚のウエハ12を保持するウエハカセット(不図示)が真空プロセス装置1にセットされ、プロセスの開始が指示されると、ウエハカセットからウエハ12が1枚ずつ抜き出されて、チャンバ10内のウエハステージ11上に載置される。つぎに、チャンバ10内部が所定の真空度になるまでドライポンプ29が駆動される。そして、所定の真空度に到達すると、ターボポンプ30とドライポンプ31がつづいて駆動される。この結果、チャンバ10内部が所定の真空度に到達すると、図6に示すプロセスが開始される(ST1:プロセス開始のイベントが発生する)。
【0072】
つぎに、制御監視部20は、IR電源部32を制御し、IR電源の供給を開始するとともに、静電チャック部28を制御して静電チャック機構を機能させる(ST2)。この結果、イオンリフレクタ14がプラスに、グランドがマイナスとなるように直流電圧が印加される。また、静電チャック部28が機能することにより、ウエハ12はウエハステージ11に吸着されて固定された状態となる。
【0073】
つぎに、制御監視部20は、ガス流量制御部23を制御することにより、ガスフローを開始する(ST3)。この結果、ガス供給部22から供給されたアルゴンガスは、ガス流量制御部23によって流量を調整された後、チャンバ10内部に導入される。
【0074】
つづいて、制御監視部20は、DC電源部21を制御し、ターゲット13がマイナスに、グランドがプラスになるように直流電圧(スパッタリングパワー)を印加する(ST4:スパッタリングパワーオン)。この結果、ターゲット13とウエハステージ11の間でグロー放電が開始され、その結果として、アルゴンガスがプラズマ状態となる。プラズマ状態となったアルゴンガスの原子核(アルゴンイオン)は、プラスの電荷を帯びているので、マイナスの電圧が印加されているターゲットとの間で引力が働くため、これに吸い寄せられて加速され、ターゲット13に衝突する。この結果、ターゲット13を構成する銅から銅の分子が反跳される。反跳された銅の分子は、ウエハ12の表面に堆積する。
【0075】
つづいて、制御監視部20は、ガス流量制御部23を制御し、アルゴンガスの流量を減少させる(ST5)。つぎに、制御監視部20は、RF電源部26を制御し、ウエハステージ11とグランドの間に高周波電力(RFパワー)を印加する(ST6:RFパワーオン)。プラズマ内においては、電子は、イオンよりも移動度が大きいため、銅の分子から電子が分離され、イオン化される(銅イオンとなる)。そして、分離された電子は、ウエハ12上に集まるため、ウエハ12はマイナスに帯電する。これにより、プラスの電荷を有する銅イオンと、マイナスに帯電したウエハ12との間には電気的な引力が作用し、銅イオンは加速されて、ウエハ12に衝突する。このため、ウエハ12に形成された凹部の深部にまで銅イオンが到達する。また、高速に衝突することにより、凹部の開口部にバリ状の銅が形成されることが防止できる。さらに、銅イオンには、図2の横方向へ向かう速度よりも、下方向(ウエハ12の方向)に向かう速度の方が大きくなるので、高アスペクト比を有する凹部の内部に対しても均一な銅膜を形成することができる。
【0076】
なお、イオン化された銅は、プラスの電荷を有するため、プラスの電圧が印加されたイオンリフレクタ14との間に斥力が働くため、銅イオンはイオンリフレクタ14によって反射(加速)され、プラズマの内部に引き戻される。これにより、銅膜の形成の効率を高めることができる。
【0077】
そして、スパッタリングが開始されてから所定の時間が経過し、ウエハ12上に堆積した銅の膜厚が所定の厚さに到達すると、制御監視部20は、DC電源部21を制御して、スパッタリングパワーをオフの状態にするとともに、RF電源部26を制御してRFパワーをオフの状態にする(ST7)。これによりスパッタリングが終了する。
【0078】
つづいて、制御監視部20は、静電チャック部28を制御して静電チャックをオフの状態にする(ST8)。つぎに、制御監視部20は、ガス流量制御部23を制御して、ガス供給部22からのアルゴンガスの供給を停止する(ST9)。そして、制御監視部20は、プロセスを終了する(ST10)。
【0079】
以上により、1枚のウエハ12に対するプロセス処理が完了する。その後は、チャンバ10内からプロセス処理が完了したウエハ12が取り出され、つぎのウエハ12がウエハカセットから抜き出され、チャンバ10内のウエハステージ11上に載置され、前述の場合と同様の処理が繰り返される。そして、ウエハカセットに配置されている全てのウエハ12に対する処理が完了すると、1ロット分の処理が完了する。
【0080】
つぎに、図5を参照して、真空プロセス装置1において、以上のプロセスが実行される際に、イベントデータを取得する処理について説明する。図5に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0081】
ステップS10:制御監視部20は、イベントが発生したか否かを判定し、イベントが発生した場合にはステップS11に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。すなわち、制御監視部20は、図示せぬ制御プログラムに応じて制御を行う上で、図6に示すいずれかのイベントが発生した場合にはステップS11に進み、それ以外の場合にはステップS10の処理を繰り返す。
【0082】
ステップS11:制御監視部20は、イベントデータを生成する。図7は、イベントデータの一例を示している。この例では、各行が1レコード分のイベントデータを示している。1レコード分のイベントデータは、タイムスタンプ(詳細は後述する)、実モジュールID、処理ID、ウエハID、および、メッセージを有している。ここで、タイムスタンプは後述するステップS12の処理において貼付される情報である。真空プロセス装置識別情報としての実モジュールIDは、チャンバ10を特定するためのIDである。図1の実施の形態では、真空プロセス装置1は、チャンバ10を1つしか有していないが、真空プロセス装置1が複数のチャンバを有している場合や、システムが複数の真空プロセス装置を有している場合には、複数のチャンバのそれぞれに対して付与されるIDである。この例では、真空プロセス装置1は1台であるので、モジュールIDは全て「F1」となっている。
【0083】
処理IDは、処理の種類を特定するためのIDである。この例では、「SP−S」、「IR−ON」、「SC−ON」、「GF−S」、および、「DC−ON」が列挙されている。ここで、SP−Sは、図6のST1の「スパッタリングプロセス開始」を示している。IR−ONは、図6のST2の「IR電源供給開始」を示している。SC−ONは、図6のST2の「静電チャックオン」を示している。GF−Sは、図6のST3の「ガスフロー開始」を示している。また、DC−ONは、図6のST4の「スパッタリングパワーオン」を示している。
【0084】
加工対象識別情報としてのウエハIDは、ウエハ12を特定するためのIDである。ここで、ハイフンの左側の数字は、ウエハカセット(ロット)を特定するための値である。また、ハイフンの右側の数字は、ウエハカセット内の処理順序(ウエハカセットのスロット)を示す値である。この例では、イベントデータは全て同一のウエハ12に関するものであるので、ウエハIDとして「1−2」が格納されている。
【0085】
メッセージは、解析処理において利用される付随的な情報であり、この例では、STEP1,STEP2等の情報が付与されている。
【0086】
なお、ステップS11の処理では、図7に示す1レコード分の情報のうち、イベントに応じた「処理ID」が生成されるとともに、チャンバおよびウエハに対応する「実モジュールID」および「ウエハID」が付加され、さらに、処理IDに対応した「メッセージ」が付加されてイベントデータが生成される。
【0087】
ステップS12:制御監視部20は、タイマ34からイベントが発生した時点における日時情報を取得し、ステップS11において生成したイベントデータに対して貼付する。このとき、タイマ34が発生する日時情報の最小単位は、10分の1秒である。このため、100分の1秒以下の時間については、自動的に切り捨てまたは四捨五入がされる。具体的には、タイマ34が発生する日時情報が「2007/01/15 13:11:16.51」であった場合には、「13:11:16.51」の末尾の「1」が、例えば、四捨五入されて「13:11:16.5」がタイムスタンプとなる。これにより、後述するように、トレースデータとの時間の単位が一致することになる。
【0088】
以上の処理により、図7に示すように、年、月、日、および、時刻から構成されるタイムスタンプがイベントデータに対して付加されることになる。具体的には、図7の1行目のイベントデータでは、「2007/01/15 13:11:16.5」がタイムスタンプとして付加されている。
【0089】
ステップS13:制御監視部20は、通信部33およびネットワーク3を介して、ステップS12において生成したイベントデータを、ログ格納装置2に対して送信する。ログ格納装置2では、ネットワーク3を介して送信されてきたイベントデータを、I/F2fによって受信し、HDD2dにログデータ2d2として格納する。これにより、HDD2dには、図7に示すような形態により、イベントデータが格納される。なお、ステップS13におけるイベントデータの送信単位としては、例えば、1レコード分のデータが完成した時点で送信してもよいし、所定数のレコード分のデータが集まった場合に送信してもよいし、あるいは、図6に示すプロセス終了からつぎのプロセス開始までの間(空き時間)において、まとめて送信するようにしてもよい。
【0090】
ステップS14:制御監視部20は、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、管理者から終了の指示がなされた場合には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返す。
【0091】
以上の処理により、イベントログが生成されて、ログ格納装置2のHDD2dに格納されることになる。
【0092】
(C−2)真空プロセス装置1におけるトレースデータの生成処理
【0093】
つぎに、図8を参照して、真空プロセス装置1におけるトレースデータの生成処理について説明する。図8のフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0094】
ステップS20:制御監視部20は、タイマ34によって生成される日時情報を参照し、所定の時間が経過したか否かを判定する。例えば、制御監視部20は、タイマ34によって生成される日時情報を参照して、前回の処理が終了してから10分の1秒が経過したか否かを判定し、経過したと判定した場合にはステップS21に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。より具体的には、前回の処理においてタイマ34が発生する日時情報が「2007/01/15 13:11:16.4」であった場合に、日時情報が「2007/01/15 13:11:16.5」に変化した場合には、所定の時間が経過したと判定して、ステップS21に進む。なお、この処理は、タイマ34からの周期的な(10分の1秒単位の)割り込み処理によって実行するようにしてもよい。
【0095】
ステップS21:制御監視部20は、真空プロセス装置1の各部の状態を示す情報としてのトレースデータを取得する。図9は、トレースデータの一例を示している。この例では、各行が1レコード分のトレースデータを示している。1レコード分のトレースデータは「真空度」、「IR電圧」、「ガス流量」、「DC電圧」、「RF電力」、および、「ウエハ温度」その他によって構成されている。
【0096】
ここで、「真空度」は、図2に示す圧力検出部24によって測定された情報である。「IR電圧」は、IR電源部32によってイオンリフレクタ14とグランドとの間に印加されている直流電圧の電圧値を示す情報である。「ガス流量」は、ガス流量制御部23によってガス供給部22からチャンバ10内部に供給されるガスの単位時間あたりの流量を示す情報である。「DC電圧」は、DC電源部21によってターゲット13とグランドとの間に印加されている直流電圧の電圧値を示す情報である。「RF電力」は、RF電源部26によってウエハステージ11とグランドとの間に印加されている交流電力の電力値を示す情報である。また、「ウエハ温度」は、温度検出部27によって検出されたウエハ12の温度を示す情報である。なお、図9は一例であって、これ以外の情報であってもよい。
【0097】
なお、これらの情報は、略同時にサンプリングされて取得されるので、後述するタイムスタンプが示す日時のその瞬間における、真空プロセス装置1の各部の状態を示す情報となる。
【0098】
ステップS22:制御監視部20は、タイマ34からその時点における日時情報を取得し、ステップS21において取得したトレースデータに対して貼付する。このとき、タイマ34が発生する日時情報の最小単位は、10分の1秒であるので、例えば、タイムスタンプとしては「2007/01/15 13:11:16.5」が貼付されることになる。これにより、前述したイベントデータとの時間の単位および周期が一致することになる。
【0099】
以上の処理により、図9に示すように、年、月、日、および、時刻から構成されるタイムスタンプがトレースデータに対して付加されることになる。具体的には、図9の1行目のイベントデータでは、「2007/01/15 13:11:16.5」がタイムスタンプとして付加され、これは、図7の1行目のタイムスタンプと一致している。
【0100】
ステップS23:制御監視部20は、通信部33およびネットワーク3を介して、ステップS22においてタイムスタンプが貼付されたトレースデータを、ログ格納装置2に対して送信する。ログ格納装置2では、ネットワーク3を介して送信されてきたトレースデータを、I/F2fによって受信し、HDD2dにログデータ2d2として格納する。これにより、HDD2dには、図9に示すような形態により、トレースデータが格納される。なお、ステップS23におけるトレースデータの送信単位としては、例えば、1レコード分のデータが完成した時点で送信してもよいし、所定数のレコード分のデータが集まった場合に送信してもよいし、あるいは、図6に示すプロセス終了からつぎのプロセス開始までの間(空き時間)において、まとめて送信するようにしてもよい。
【0101】
ステップS24:制御監視部20は、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合にはステップS20に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、管理者から終了の指示がなされた場合には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS20に戻って同様の処理を繰り返す。
【0102】
以上の処理により、トレースデータが生成されて、ログ格納装置2のHDD2dに格納されることになる。
【0103】
なお、以上のようにして生成されたイベントデータとトレースデータは、例えば、2ヶ月程度ログ格納装置2に保持し、2ヶ月が経過したこれらのデータについては順次HDD2dから削除するようにしてもよい。その際、タイムスタンプを参照することにより、削除対象となるデータを容易に判別することができる。また、保持する期間は、ウエハ12に対する不具合が判明する期間に応じて設定すればよい。例えば、1ヶ月程度で不具合が判明する場合には例えば2ヶ月程度保持し、3ヶ月程度で不具合が判明する場合には4ヶ月程度保持する。これ以外の期間であってもよいことは言うまでもない。
【0104】
(C−3)解析装置4における解析処理
【0105】
つぎに、図10を参照して、図4に示す解析装置4において実行される解析処理について説明する。このフローチャートの処理は、管理者が、解析装置4の入力装置4iを操作してプログラム4d1に含まれている解析用のアプリケーションプログラムを起動した際に実行される。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0106】
ステップS40:解析装置4のCPU4aは、ログ格納装置2からイベントデータを取得する。すなわち、CPU4aは、I/F4fおよびネットワーク3を介してログ格納装置2に対してイベントデータを送信するように要求を行う。ログ格納装置2のCPU2aは、I/F2fを介してこの要求を受信し、HDD2dに格納されているログデータ2d2からイベントデータを取得して、I/F2fにより送信する。この結果、解析装置4のCPU4aは、I/F4aを介してイベントデータを受信する。
【0107】
ステップS41:CPU4aは、ステップS40において受信したイベントデータを、RAM4cの所定の領域に格納する。
【0108】
ステップS42:CPU4aは、ログ格納装置2からトレースデータを取得する。すなわち、CPU4aは、I/F4fおよびネットワーク3を介してログ格納装置2に対してトレースデータを送信するように要求を行う。ログ格納装置2のCPU2aは、I/F2fを介してこの要求を受信し、HDD2dに格納されているログデータ2d2からトレースデータを取得して、I/F2fにより送信する。この結果、解析装置4のCPU4aは、I/F4aを介してトレースデータを受信する。
【0109】
ステップS43:CPU4aは、ステップS42において受信したトレースデータを、RAM4cの所定の領域に格納する。
【0110】
ステップS44:CPU4aは、RAM4cに格納されているイベントデータと、トレースデータを、それぞれに1レコード単位で貼付されているタイムスタンプを参照して、対応付けする処理を実行する。すなわち、同一の日時情報を有するタイムスタンプが貼付されているイベントデータと、トレースデータとを対応付けする処理を実行する。なお、トレースデータは、10分の1秒単位で周期的にサンプリングされるが、イベントデータはイベントが発生した時点において生成されるので、非周期的なデータである。したがって、これらを対応付けした場合には、図11に示すような状態となる。この図の例は、図7に示す処理IDと、図9に示すトレースデータとを対応付けして示している。行と行の間の点は、その間のトレースデータを省略していることを示している。
【0111】
このようにして、トレースデータと、イベントデータとを、タイムスタンプを参照して対応付けすることにより、トレースデータが標識化される。標識化されたトレースデータを用いることにより、後述するように、データの解析処理を容易かつ迅速に行うことができる。
【0112】
ステップS45:CPU4aは、解析対象の入力を受け付ける。すなわち、CPU4aは、管理者によって入力装置4iが操作されることによって生成された情報を受け付ける。なお、解析対象としては、例えば、解析しようとするチャンバを特定するための情報である実モジュールIDや、解析しようとするウエハを特定するためのウエハIDが入力される。さらに、解析しようとするトレースデータの種類が入力される。
【0113】
なお、実モジュールIDおよびウエハIDとして複数のIDを入力するようにしたり、所定の範囲のIDを入力するようにしたりしてもよい。具体的には、実モジュールIDを例に挙げると、例えば、F1,F2,F5のようにして複数のモジュールを指定したり、F1〜F4のようにモジュールの範囲を指定したりするようにしてもよい。また、ウエハIDを例に挙げると、例えば、1−1〜1−25のようにスロットの範囲を指定したり、1−1〜10−1のようにロットの範囲を指定したり、あるいは1−1〜10−25のようにロットとスロットの双方の範囲を指定したりしてもよい。これ以外にも、例えば、ワイルドカードを使用して、特定の範囲を指定するようにしてもよい。具体的には、1−?のようにすることにより、ロット「1」に属する任意のスロットを指定するようにしてもよい。
【0114】
また、トレースデータとしては、例えば、真空度、IR電圧、DC電圧のように個々の項目を指定したり、複数の項目を一括して指定したりするようにしてもよい。
【0115】
ステップS46:CPU4aは、解析範囲の入力を受け付ける。すなわち、CPU4aは、管理者によって入力装置4iが操作されることによって生成された情報を受け付ける。なお、解析範囲としては、例えば、プロセスが開始(図6のST1)されてから終了(図6のST10)するまでの期間のデータのようにイベントデータに基づいて始点および終点を直接指定したり、ガスフローが開始してから1秒が経過した後から、ガス流量が変更(図6のST5)になるまで(あるいはガス流量が変更になってから2秒が経過するまで)の期間のデータのようにイベントデータを間接的に利用して始点および終点を指定したりすることができる。あるいは、スパッタリングパワーがオン(図6のST4)の状態になってから、DC電圧が所定の電圧になるまでの期間のデータのように、イベントデータとトレースデータとの双方を用いて始点と終点を指定する方法もある。
【0116】
ステップS47:CPU4aは、解析内容の入力を受け付ける。すなわち、CPU4aは、管理者によって入力装置4iが操作されることによって生成された情報を受け付ける。なお、解析内容としては、例えば、ステップS45で入力された解析対象およびステップS46で入力された解析範囲に対して、トレースデータのサンプリングを行うことであったり、トレースデータの最大値、最小値、平均値、中央値を求めたりすることであったり、あるいは、トレースデータの比較(例えば、相関関数の計算)を行うことであったりする。
【0117】
また、以上の内容以外にも、例えば、トレースデータが、所定の値以上(または所定の値以下)になる時間や、所定の範囲内に入っている時間や、所定の時間が経過した時点におけるトレースデータの値を求めることを入力するようにしてもよい。
【0118】
また、以上の情報に加えて、得られた解析結果をどのように出力するかに関する情報を併せて入力するようにしてもよい。例えば、得られた結果を、所定の形式のファイルとして出力したり、グラフとして出力(画面表示または印刷)したりする際に、その形式を指定するようにすることができる。
【0119】
ステップS48:CPU4aは、ステップS45〜S47において入力された情報に基づいて、ステップS44で対応付けがされたイベントデータおよびトレースデータに対して解析処理を施す。
【0120】
具体的には、例えば、実モジュールIDが「F1」であるチャンバにおいてプロセス処理が実行されたウエハIDが「1−2」であるウエハ12のガスフロー開始(図6のST3)から、プロセス終了(図6のST10)までの期間における、真空度に関するトレースデータをグラフ表示することが指定された場合を想定する。この場合、CPU4aは、まず、イベントデータから実モジュールIDが「F1」であり、ウエハIDが「1−2」であるレコードを検索する。その結果、図7に示すデータが該当することから、図7に示すデータが取得される。
【0121】
つぎに、CPU4aは、ガスフロー開始に対応する処理IDである「GF−S」と、プロセス終了に該当する処理IDである「SP−E」とを取得されたデータから検索する。図7では、4行目のレコード(GF−S)と、図中の末尾に表示されているレコード(SP−E)が該当するので、これらが取得される。つづいて、CPU4aは、処理ID「GF−S」と、処理ID「SP−E」のそれぞれのイベントデータに貼付されているタイムスタンプを取得する。この例では、「2007/01/15 13:11:19.7」と、「2007/01/15 13:11:26.3」が取得される。
【0122】
つづいて、CPU4aは、取得した2つのタイムスタンプが示す期間に含まれている真空度のトレースデータを取得する。すなわち、CPU4aは、図9に示すトレースデータから上述した2つのタイムスタンプを始点および終点とした場合に、これらの範囲に含まれている真空度に関するトレースデータを取得する。以上の処理により、指定されたチャンバの指定されたウエハの指定された範囲に属する真空度に関するトレースデータが取得される。
【0123】
なお、いまの例では、1枚のウエハ12に関するトレースデータを取得するようにしたが、対象が複数存在する場合には、上述のような処理をウエハ毎に繰り返し実行するようにすればよい。また、複数のトレースデータが対象となっている場合は、タイムスタンプによって指定される期間に属する該当するトレースデータ群を取得するようにすればよい。
【0124】
また、トレースデータの所定のポイントから、一定の時間が経過した場合を基準として範囲が設定された場合には、該当するトレースデータのタイムスタンプに対して、前述した一定の時間を加算して得られた時刻を基準として前述の場合と同様の処理を実行すればよい。具体的には、「GF−S」から1秒経過後が範囲の始点として設定された場合には、「2007/01/15 13:11:20.7」を始点とすればよい。
【0125】
また、イベントデータと、トレースデータの双方を使用して範囲を決定する場合には、前述の処理によって特定されたトレースデータが、所定の条件を満たした場合を始点または終点として、範囲を決定するようにすればよい。
【0126】
また、取得したトレースデータの最大値、最小値、平均値、中央値を求める場合には、取得したトレースデータの中で最大となる値、最小となる値、平均値となる値、中央値となる値を求めるようにすればよい。さらに、トレースデータの比較(例えば、相関関数の計算)を行う場合には、トレースデータ同士で相関関数を演算するようにすればよい。
【0127】
ステップS49:CPU4aは、ステップS48における解析処理によって得られた情報を、画像処理部4eに供給し、描画処理を実行させる。その結果、描画処理によって得られた画像は、映像信号に変換され、表示装置4hに供給されて、図示せぬ表示部に表示される。
【0128】
図12および図13は、以上の処理によって、表示装置4hの表示部に表示される情報の一例を示している。図12(A)は、前述した、実モジュールIDが「F1」であるチャンバにおいてプロセス処理が実行されたウエハIDが「1−2」であるウエハ12のガスフロー開始(図6のST3)から、プロセス終了(図6のST10)までの期間における、真空度に関するグラフである。このグラフの横軸は時間を示し、縦軸は真空度を示す。また、横軸のST3〜ST10は、図6に示すST3〜ST10に対応している。このようなグラフを参照することにより、所定のウエハ12の指定された期間における真空度を知ることができる。
【0129】
図12(B)は、例えば、実モジュールIDが「F1」であるチャンバにおいてプロセス処理が実行されたウエハIDが「1−2」であるウエハ12のプロセス開始(図6のST1)から、プロセス終了(図6のST10)までの期間における、直流電圧に関するグラフである。このグラフの横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。また、横軸のST1〜ST10は、図6に示すST1〜ST10に対応している。このようなグラフを参照することにより、所定のウエハ12の指定された期間においてターゲット13に印加された直流電圧を知ることができる。
【0130】
図13(A)は、図12(B)と同様の態様により、ウエハIDが「1−1」と「90−1」であるウエハ12に関する直流電圧の時間的な変化を重ねて描画したグラフである。この例では、実線がウエハIDが「1−1」のウエハ12のグラフを示し、破線がウエハIDが「90−1」のウエハ12のグラフを示している。この図に示すように、複数のトレースデータを重ねて表示させることにより、ロット毎の変化を知ることができる。これにより、例えば、装置の経年変化等の有無を知ることができる。なお、この例では、ロットの相違による特性の相違を表示しているが、例えば、同一ロット内の異なるスロットの相違を表示するようにしてもよい。例えば、ウエハIDが「1−1」と「1−25」のトレースデータを重ねて表示するようにしてもよい。そのような表示によれば、ロット内の処理順序による特性の相違を知ることができる。
【0131】
図13(B)は、スパッタリングパワーをオン(図6のST4)の状態にしてから、ターゲット13に印加される直流電圧が、例えば、所定の範囲内で安定するまで(例えば、500Vプラスマイナス5Vとなるまで)の時間を示すヒストグラムである。このグラフの横軸は安定するまでの時間を示し、縦軸は該当するプロセス(トレースデータ)の個数を示す。この例では、1.7秒で安定する事例が最も多く、そのつぎに1.6秒、1.5秒、1.8秒の順番となっている。このようなヒストグラムを参照することにより、安定化までの時間の分布状況を知ることができるので、例えば、どの程度の回数のプロセスが規格外に該当するのかを知ることができる。なお、この例では、全てのトレースデータを1つのグラフに表示するようにしたが、例えば、ロット単位で同様のグラフ(ヒストグラム)を複数生成し、これら複数のヒストグラムを比較することにより、ヒストグラムの時間的な変化を知ることができるようにしてもよい。
【0132】
ステップS50:CPU4aは、処理を終了するか否かを判定し、処理を終了しない場合にはステップS45に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、管理者から処理を終了する旨の操作が入力装置4iに対して行われた場合には処理を終了する。
【0133】
以上に説明したように、本発明の実施の形態によれば、イベントデータとトレースデータのそれぞれに対してタイムスタンプを貼付して対応付けし、イベントデータをトリガとして、所望のトレースデータを取得できるようにしたので、所望のタイミングのデータを迅速に検索することができる。
【0134】
また、本発明の実施の形態によれば、イベントデータを基準として、所定の範囲のトレースデータを指定し、この範囲に含まれるトレースデータを表示したり、解析処理を施したりするようにしたので、特定の範囲のトレースデータを迅速かつ簡易に取得し、解析することができる。
【0135】
また、本発明の実施の形態によれば、イベントデータに対してウエハIDを付加して格納するようにしたので、所望のウエハに関するトレースデータを簡易かつ迅速に検索することができる。また、ウエハIDとして、ロットと、ロット内の処理順序(スロット)を示す符号を使用するようにしたので、所定のロットの所定の処理順序のウエハに関するトレースデータを簡易かつ迅速に検索することができる。また、同様にチャンバに対する実モジュールIDを付加するようにしたので、複数チャンバが存在する場合であっても、所望のチャンバのトレースデータを簡易かつ迅速に検索し、解析することができる。
【0136】
また、本発明の実施の形態によれば、取得したトレースデータを用いて、グラフを表示したり、最大値、最小値、平均値、中央値等を求める処理を実行して得られた結果を表示したりするようにしたので、表示されたこれらの情報に基づいて、不具合の発生原因を迅速に知ることができる。
【0137】
(D)変形実施の態様
【0138】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0139】
例えば、以上の実施の形態では、真空プロセス装置1としては、PVDによる銅のスパッタリングを行う装置を例に挙げて説明したが、これ以外のプロセス装置であってもよい。具体的には、前述したように、CVD装置、エッチング装置、インプラー装置、フォトリソグラフィー装置を真空プロセス装置1として用いることができる。また、以上では、真空下におけるプロセス装置を例に挙げて説明したが、必ずしも真空下に限定されるものではない。
【0140】
また、以上の実施の形態では、真空プロセス装置1が1台の場合を例に挙げて説明したが、真空プロセス装置は複数存在してもよい。その場合には、実モジュールIDによって、複数の真空プロセス装置を区別するようにすればよい。
【0141】
また、以上の実施の形態では、ログ格納装置2を真空プロセス装置1とは独立した構成としたが、これらを一体としてもよい。すなわち、ログ格納装置2を真空プロセス装置1の一部として構成してもよい。
【0142】
また、以上の実施の形態では、解析装置4は、真空プロセス装置1およびログ格納装置2とは独立した構成としたが、解析装置4を真空プロセス装置1またはログ格納装置2の一部として構成してもよい。
【0143】
また、以上の実施の形態では、ネットワーク3を介して、真空プロセス装置1、ログ格納装置2、および、解析装置4を相互に接続するようにしたが、これらをネットワーク3を介さずに直接接続するようにしてもよい。具体的には、USB(Universal Serial Bus)その他のインタフェースによって直接接続することができる。
【0144】
また、以上の実施の形態では、図8に示すように、トレースデータは、常に一定の周期で取得するようにしたが、例えば、プロセス処理中とそれ以外の場合において、取得する周期を変更するようにしてもよい。具体的には、プロセス処理中は、短い周期(例えば、10分の1秒)でトレースデータを取得し、それ以外の場合には長い周期(例えば、1秒)でトレースデータを取得するようにしてもよい。これにより、トレースデータの量を減らすことができるので、HDD2dの必要な容量を削減できる。
【0145】
また、以上の実施の形態では、イベントデータとトレースデータとを別々に格納するようにしたが、例えば、図11に示すように予め対応付けしてから格納するようにしてもよい。そのような方法によれば、解析装置4側で対応付け処理を実行する必要がなくなるので、解析処理の待ち時間を短くすることができる。
【0146】
また、以上の実施の形態では、解析装置4は、全てのイベントデータとトレースデータをログ格納装置2から取得し(S40〜S43)、取得した後に範囲および対象を絞り込む(S45,S46)ようにしたが、対象および範囲の指定を受けた後に、必要なデータのみをログ格納装置2から取得するようにしてもよい。そのような方法によれば、RAM4cの容量に比して、イベントデータおよびトレースデータのデータ量が大きい場合であっても解析処理を実行することができる。
【0147】
また、以上の実施の形態では、イベントデータのメッセージを利用する場合については言及していないが、メッセージを利用して範囲を指定するようにしてもよい。具体的には、例えば、図7に示す「STEP1」および「STEP2」等のメッセージを利用して、範囲を指定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、例えば、PVD装置、または、CVD装置等の真空プロセス装置を管理する管理システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施の形態に係るプロセス管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す真空プロセス装置の構成例を示す図である。
【図3】図1に示すログ格納装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す解析装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】図2に示す真空プロセス装置においてイベントデータを生成する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す真空プロセス装置において実行されるイベントの一例を示す図である。
【図7】図5に示すフローチャートによって生成されるイベントデータの一例を示す図である。
【図8】図2に示す真空プロセス装置においてトレースデータを取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図5に示すフローチャートによって生成されるトレースデータの一例を示す図である。
【図10】図4に示す解析装置において実行される解析処理の一例を説明するフローチャートである。
【図11】図10に示すフローチャートによって対応付けがされたイベントデータとトレースデータの一例である。
【図12】図10に示すフローチャートによって表示装置に表示される情報の一例である。
【図13】図10に示すフローチャートによって表示装置に表示される情報の他の一例である。
【符号の説明】
【0150】
1 真空プロセス装置、2 ログ格納装置、2d HDD(格納手段)、3 ネットワーク、4 解析装置、4a CPU(解析手段)、4h 表示装置(呈示手段)、12 ウエハ(加工対象)、20 制御監視部(第1の取得手段、第2の取得手段、対応付手段の一部)、34 タイマ(対応付手段の一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の各部の状態を示す状態情報を取得する第1の取得手段と、
上記装置の制御に関する制御情報を取得する第2の取得手段と、
上記第1および第2の取得手段によって取得された上記状態情報と上記制御情報を対応付けする対応付手段と、
上記対応付手段によって対応付けがされた上記状態情報および上記制御情報を格納する格納手段と、
上記制御情報を参照して、上記状態情報に対して解析処理を施す解析手段と、
上記解析手段の解析の結果として得られた情報を呈示する呈示手段と、
を有することを特徴とするプロセス管理システム。
【請求項2】
前記対応付手段は、前記状態情報と前記制御情報に対してそれぞれタイムスタンプを付与することにより対応付けを行うことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項3】
前記第1の取得手段は、所定の周期で前記状態情報を取得し、
前記対応付手段は、前記状態情報に対して上記所定の周期に対応する時間単位のタイムスタンプを付与するとともに、前記制御情報に対しても上記所定の周期に対応する時間単位であって、しかも同期したタイムスタンプを付与する、
ことを特徴とする請求項2記載のプロセス管理システム。
【請求項4】
前記第1の取得手段は、前記装置がプロセス処理を実行中である場合には第1の周期で前記状態情報を取得し、プロセス処理を実行中でない場合には第1の周期よりも周期が長い第2の周期で前記状態情報を取得することを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項5】
前記解析手段は、所定の前記制御情報を始点または終点として、所定の前記状態情報を抽出する処理を実行し、
前記呈示手段は、前記解析手段によって抽出された所定の前記状態情報を呈示する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項6】
前記解析手段は、所定の前記制御情報を始点または終点として、所定の前記状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の前記状態情報が所定の条件に該当する時間を算出する処理を実行し、
前記呈示手段は、前記解析手段によって算出された前記時間を呈示する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項7】
前記解析手段は、所定の前記制御情報を始点または終点として、所定の前記状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の前記状態情報の最大値、最小値、平均値、中央値の少なくとも1つ以上を算出する処理を実行し、
前記呈示手段は、前記解析手段によって算出されたこれらの値を呈示する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項8】
前記格納手段は、前記装置がプロセス処理の対象とする加工対象を識別するための加工対象識別情報を前記制御情報および前記状態情報と併せて格納し、
前記解析手段は、上記加工対象識別情報も参照して、解析処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項9】
前記加工対象識別情報は、ロットを特定するための情報と、ロット内における処理順序を特定するための情報とを少なくとも含んでおり、
前記解析手段は、上記ロットを特定するための情報および上記ロット内における処理順序を特定するための情報を参照して、解析処理を実行する、
ことを特徴とする請求項8記載のプロセス管理システム。
【請求項10】
前記格納手段は、前記装置が複数存在する場合には、装置を特定するための装置特定情報を前記制御情報および前記状態情報と併せて格納し、
前記解析手段は、上記装置識別情報も参照して、解析処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項1】
装置の各部の状態を示す状態情報を取得する第1の取得手段と、
上記装置の制御に関する制御情報を取得する第2の取得手段と、
上記第1および第2の取得手段によって取得された上記状態情報と上記制御情報を対応付けする対応付手段と、
上記対応付手段によって対応付けがされた上記状態情報および上記制御情報を格納する格納手段と、
上記制御情報を参照して、上記状態情報に対して解析処理を施す解析手段と、
上記解析手段の解析の結果として得られた情報を呈示する呈示手段と、
を有することを特徴とするプロセス管理システム。
【請求項2】
前記対応付手段は、前記状態情報と前記制御情報に対してそれぞれタイムスタンプを付与することにより対応付けを行うことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項3】
前記第1の取得手段は、所定の周期で前記状態情報を取得し、
前記対応付手段は、前記状態情報に対して上記所定の周期に対応する時間単位のタイムスタンプを付与するとともに、前記制御情報に対しても上記所定の周期に対応する時間単位であって、しかも同期したタイムスタンプを付与する、
ことを特徴とする請求項2記載のプロセス管理システム。
【請求項4】
前記第1の取得手段は、前記装置がプロセス処理を実行中である場合には第1の周期で前記状態情報を取得し、プロセス処理を実行中でない場合には第1の周期よりも周期が長い第2の周期で前記状態情報を取得することを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項5】
前記解析手段は、所定の前記制御情報を始点または終点として、所定の前記状態情報を抽出する処理を実行し、
前記呈示手段は、前記解析手段によって抽出された所定の前記状態情報を呈示する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項6】
前記解析手段は、所定の前記制御情報を始点または終点として、所定の前記状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の前記状態情報が所定の条件に該当する時間を算出する処理を実行し、
前記呈示手段は、前記解析手段によって算出された前記時間を呈示する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項7】
前記解析手段は、所定の前記制御情報を始点または終点として、所定の前記状態情報を抽出する処理を実行するとともに、抽出した所定の前記状態情報の最大値、最小値、平均値、中央値の少なくとも1つ以上を算出する処理を実行し、
前記呈示手段は、前記解析手段によって算出されたこれらの値を呈示する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項8】
前記格納手段は、前記装置がプロセス処理の対象とする加工対象を識別するための加工対象識別情報を前記制御情報および前記状態情報と併せて格納し、
前記解析手段は、上記加工対象識別情報も参照して、解析処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【請求項9】
前記加工対象識別情報は、ロットを特定するための情報と、ロット内における処理順序を特定するための情報とを少なくとも含んでおり、
前記解析手段は、上記ロットを特定するための情報および上記ロット内における処理順序を特定するための情報を参照して、解析処理を実行する、
ことを特徴とする請求項8記載のプロセス管理システム。
【請求項10】
前記格納手段は、前記装置が複数存在する場合には、装置を特定するための装置特定情報を前記制御情報および前記状態情報と併せて格納し、
前記解析手段は、上記装置識別情報も参照して、解析処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載のプロセス管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−257314(P2008−257314A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95995(P2007−95995)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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