説明

プロピレンブロック共重合体の製造法

【解決手段】メタロセン触媒を使用し、2段階以上の重合によりPPブロックとEPRブロックを形成し、下記(1)〜(7)の特性値を有するプロピレンブロック共重合体の製造法。
(1)PPブロックとEPRブロックとの界面厚さ:20〜1000nm
(2)10,000≦MW PP≦1,000,000
(3)PPブロックのメソペンタッド連鎖〔mmmm〕:95%以上
(4)EPRブロックの重量平均面積相当円粒子径:0.2〜3μm
(5)50,000≦MW R ≦1,000,000
(6)EPRブロックのプロピレン含有量:20〜80モル%
(7)EPRブロックの分子量による組成変動:平均組成から±5%以内
【効果】耐衝撃性と剛性の良好なポリプロピレン系ブロック共重合体を製造できる。特に低温での衝撃強度が大きく改良され、同レベルの曲げ弾性率を有する。PPブロックの融点が低く、加工性が良好。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体とからなるブロック共重合体に関し、特に耐衝撃性の良好なプロピレンブロック共重合体の製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二種類以上の重合体が相互に結合しているブロック共重合体は、これを構成する単独の重合体の特徴を保ちつつ、それらの単なる混合物よりもはるかに優れた特性を示すことが多いので、重合体の高性能化、高機能化を目的として、数々の試みがなされている。一方、結晶性樹脂であるポリプロピレンの剛性を保持して、耐衝撃性を改良するため、これにエチレン−プロピレン共重合体を配合し、樹脂組成物(いわゆるポリマーブレンド)とする技術が種々開発されている(例えば、非特許文献1参照)。このポリマーブレンド技術においては、配合する樹脂の性質、配合量は勿論、その混合、混練方法によっても、その組成物及びこれから得られる成形品の性質が変化し、ポリプロピレンの高剛性という性質と、組成物の耐衝撃性とを高いレベルでバランスさせるのは著しく困難であった。また、前記のブロック共重合体の技術を、これに単純に適用しても目的とする性質のものは得られず、高剛性、耐衝撃性をバランス良く発揮するブロック共重合体は見出されていなかった。
【非特許文献1】「ポリマーアロイ」p62,共立出版発行,1988年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、耐衝撃性と剛性の良好なポリプロピレン系ブロック共重合体の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、ポリプロピレン系ブロック共重合体、及びこれを構成する各ブロックの結晶構造、分子構造等の関係を詳細に検討した結果、これらの各々の特性値をある範囲内に制御することにより、上記の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
即ち、本発明の要旨は、メタロセン触媒を使用してプロピレンの重合を行い、ポリプロピレンからなる重合体のブロック(以下「PPブロック」と記す)を形成する第一段階重合と、引き続き、プロピレンとエチレンの共重合を行い、エチレン−プロピレン共重合体からなる重合体のブロック(以下「EPRブロック」と記す)を形成する第二段階重合によって得られるプロピレンブロック共重合体であって、下記(1)〜(7)の特性値を有することを特徴とするプロピレンブロック共重合体の製造法に存する。
(1)ブロック共重合体の分散構造におけるPPブロックとEPRブロックとの界面厚さ:20nm以上、1000nm以下
(2)PPブロックのポリプロピレンの重量平均分子量(以下「MW PP」と記す):10,000≦MW PP≦1,000,000
(3)PPブロックのポリプロピレンのメソペンタッド連鎖の割合:95%以上
(4)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の分散相の重量平均面積相当円粒子径:0.2μm以上、3μm以下
(5)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の重量平均分子量(以下「MW R 」と記す):50,000≦MW R ≦1,000,000
(6)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体中のプロピレン含有量:20モル%以上、80モル%以下
(7)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の分子量による組成変動:平均組成から±5%以内
【0006】
また、本発明の他の要旨は、PPブロックが下記(8)〜(12)の特性値を有することを特徴とする前記のブロック共重合体の製造法に存する。
(8)重量平均分子量(MW PP):50,000≦MW PP≦800,000
(9)重量平均分子量と数平均分子量との比:6以下
(10)メソペンタッド連鎖の割合:97%以上
(11)1,3−付加結合の割合:0.05モル%以上、3モル%以下
(12)融点(以下「Tm PP」と記す):140℃≦Tm PP≦170℃
【0007】
また、本発明の他の要旨は、第一段階重合を液相無溶媒重合で行い、第二段階重合を気相重合で行うことを特徴とする前記のブロック共重合体の製造法に存する。
【0008】
また、本発明の他の要旨は、プロピレン単量体を、下記の成分(A)及び成分(B)からなる触媒を用いて重合することを特徴とする前記のプロピレンブロック共重合体の製造法に存する。
成分(A):下記一般式〔1〕で表わされる架橋メタロセン系遷移金属化合物
【0009】
【化3】

(式中、A及びA’は共役五員環配位子(AとA’は同一であっても、異なっていてもよい)を、QはAとA’の2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基、及びケイ素含有炭化水素基からなる群から選ばれる同一もしくは異なる原子又は基を、それぞれ示す。)
【0010】
成分(B):以下の群から選ばれる少なくとも一種の化合物
(イ)アルミニウムオキシ化合物
(ロ)ルイス酸
(ハ)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物
【0011】
また、本発明の他の要旨は、プロピレン単量体を、下記の成分(A)及び成分(C)からなる触媒を用いて重合することを特徴とする前記のプロピレンブロック共重合体の製造法に存する。
【0012】
成分(A):下記一般式〔1〕で表わされる架橋メタロセン系遷移金属化合物
【0013】
【化4】

(式中、A及びA’は共役五員環配位子(AとA’は同一であっても、異なっていてもよい)を、QはAとA’の2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基、及びケイ素含有炭化水素基からなる群から選ばれる同一もしくは異なる原子又は基を、それぞれ示す。)
【0014】
成分(C):ケイ酸塩以外のイオン交換性層状化合物又は無機ケイ酸塩
また、本発明の他の要旨は、触媒成分として更に有機アルミニウム化合物を含有する触媒を用いることを特徴とする前記のプロピレンブロック共重合体の製造法に存する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐衝撃性と剛性の良好なポリプロピレン系ブロック共重合体を製造することができる。特に低温での衝撃強度が大きく改良され、同レベルの曲げ弾性率を有している。また、本発明のブロック共重合体においては、PPブロックの融点が低く、加工性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明するに、本発明のポリプロピレンブロック共重合体は、そのPPブロックとEPRブロックとの界面部分の分散状態に特徴がある。即ち、ブロック共重合体の結晶・分散構造において、PPブロックとEPRブロックとの界面で、EPRブロック相にPPブロック由来のラメラ状の針状結晶が突き刺さったような侵入構造が形成される。本発明においてはこの針状の侵入構造の長さ(以下、「界面厚さ」と記す)を、20nm以上、1000nm以下に制御する。この界面厚さは、次のようにして測定される。
【0017】
ブロック共重合体からなる成形体から切り出した切片を示差走査熱量計(パーキンエルマー製DSC7)を用いて、210℃で5分間溶融後、10℃/分で冷却して試料を作成し、これを四酸化ルテニウムで染色し、透過型電子顕微鏡により観察像を得る。非染色構造として識別できる界面から侵入したポリプロピレンのラメラ結晶の侵入長さを分散層の全周囲にわたって計測し、最大長さの10%を測定下限として平均長さを求め、これを界面厚さとする。成形体において、表面近傍における分散体の強度の配向など局所的な分散形態の変化が生じている場合は、界面厚さの評価は成形体中央部のもっとも平均的な部分で評価するのがよい。
【0018】
本発明においては界面厚さは20nm以上、1000nm以下である。20nm未満では界面強度が低下し低温耐衝撃強度が低下する。1000nmを越えると剛性の低下が大きい。また、本発明において、PPブロックのポリプロピレンの重量平均分子量(MW PP)は、1万以上、100万以下、好ましくは5万以上、80万以下、より好ましくは10万以上、40万以下である。重量平均分子量が低いと、機械的強度が低下する。一方、高すぎると成形の際に溶融粘度が高くなり加工性が悪化する。重量平均分子量MW PPは、ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリプロピレン換算分子量として測定する。このMW PPは分子量の指標として用いられるメルトフローレート(以下「MFR」と記す)及びオルトジクロルベンゼン中での極限粘度[η]とは次の関係がある。
【0019】
【数1】

【0020】
また分子量分布の指標である重量平均分子量と数平均分子量の比Qについては特に限定はされないが、Qが6を越えると、本発明の特徴的な分散形態が実現しない恐れがある。より好ましいQの値は、1.5〜5である。本発明のポリプロピレン樹脂のアイソタクティック立体規則性はNMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド連鎖の割合が95%以上、好ましくは97%以上である。アイソタクティック立体規則性が低下すると結晶化度の低下を生じ、剛性が低下する。なお、製造法によっては、平均値であるメソペンタッド連鎖の割合は高い値であっても、少量のアタクティックポリマー成分が存在する場合がある。沸騰ヘプタン可溶分で定義されるアタクティックポリマー成分は5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下とするのがよい。また、同じくNMRスペクトルにより測定される1,3−付加結合の含有量は0.05モル%以上、3モル%以下が好適であり、より好ましくは0.2モル%以上、2.5モル%以下である。この1,3−付加結合が3モル%を越えると融点および結晶化度の低下が大きい。0.05モル%未満では密度見合いの剛性の向上が小さい。
【0021】
本発明においてPPブロックの融点とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した場合の融解ピーク温度のことを言う。本発明においては、PPブロックの融点が140℃以上、170℃以下であるものが摩擦融着、二次射出融着など融解過程を利用する二次加工工程において、低融点、低結晶化潜熱によって融着強度を保持する上で好ましい。また融点が低すぎると、ポリプロピレン固有の特徴である耐熱性が低下し用途が制限される。一方、融点が高すぎると加工時に溶融し難くなり、加工性が悪化する。
【0022】
本発明のブロック共重合体中のEPRブロックの分散状態における、分散形態の指標である、重量平均面積相当円粒子径は、0.2μm以上、3μm以下とする。このEPRブロックの重量平均面積相当円粒子径は走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などによる観察によって決定される。観察画像におけるEPRブロック由来の粒子の面積を求め、面積相当円の直径に換算して分散粒子径とする。100個以上の分散体が検出できるように観察視野を定めて、100個以上の分散体の分散粒子径から、EPRブロックの重量平均面積相当円粒子径を算出する。粒子径の評価においては市販の画像解析装置を用いることができる。
【0023】
この粒子径が、0.2μm未満では耐衝撃性の向上効果が小さく、逆に3μmを越えて大きくなると剛性が悪化する。本発明において、EPRブロックの、ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(MW R )は5万以上、100万以下である。MW R が100万を越えると加熱成形する際の流動性が低下し、成形品の外観が悪化する。一方、MW R が5万未満では十分な耐衝撃性の向上効果が得られない。より好ましいMW R は10万ないし80万である。本発明においては、更にGPCにより決定される分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のEPRブロックが好適である。上記低分子量成分が10%を越えて存在すると、PPブロックの弾性率低下を誘起してブロック共重合体の剛性が低下する。
【0024】
本発明のブロック共重合体において、EPRブロック中のプロピレン含有量は、20モル%以上、80モル%以下、好ましくは30モル%以上、75モル%以下である。プロピレン含有量が20モル%より少ないと、PPブロックのポリプロピレンとの相溶性が低下して、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の界面の親和性が極度に低下して、界面剥離に伴う機械的特性の低下が起きる。プロピレン含有量が80モル%を越えると、ポリプロピレンとの親和性が増加して、ゴムの分散が微細化しすぎて、主要な強靱化発現機構であるエチレン−プロピレン共重合体分散相への応力集中が効果的でなくなり、かつエチレン−プロピレン共重合体成分のガラス転移温度が上昇してしまい低温衝撃強度低下、脆化温度上昇が起こりやすくなり、やはり好ましくない。
【0025】
このEPRブロック中のプロピレン含有量は、核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)により測定することができる。また、エチレン−プロピレン共重合体のエチレンとプロピレンの組成比は、その分子量によって変化することがある。この組成比が分子量によって分布を持つと、本発明の特徴である、PPブロックとEPRブロックとの間の界面厚さが薄くなったり、或は全く形成されなかったりすることがある。本発明においては、このEPRブロック中のエチレン−プロピレン共重合体の分子量による組成変動を、その平均組成から±5%以内、好ましくは±3%以内に制御する。この組成の分子量による変動状況は、分子量によって分別した重合体について、赤外線吸収スペクトル分析や核磁気共鳴スペクトル分析等によって、それぞれの組成を測定することによって求めることができる。実験的にはGPCのフローセルに赤外検出器を接続し、エチレン単位、プロピレン単位の赤外特性吸収の比を測定するのが簡便である。
【0026】
また、本発明においては、EPRブロックは動的力学挙動の温度分散で評価される力学損失角正接(tanδ)が、−65℃以上、−30℃以下に吸収極大を示し、かつ該吸収曲線の半価幅が20℃以下であるのが好ましい。分散温度が高いと、低温、例えば−30℃における耐衝撃強度の改良効果が小さい。一方、この力学損失角正接を、例えば−70℃以下にするためにはエチレン含有量を80%以上にする必要があるが、この場合エチレン連鎖による結晶性が発現するためゴムとしての性質が損なわれ、耐衝撃強度改良効果が低下する。分散における転移温度の幅は、共重合体の組成の分子間および分子内の分布により変化する。転移温度半価幅が20℃を越えるような組成分布の広い物では本発明特有の分散状態における界面厚さの増大がみられず、低温衝撃強度の向上も小さい。
【0027】
本発明のブロック共重合体を製造するために用いる重合触媒としては、前記の諸特性を満足するブロック共重合体を製造できる限り、特に限定されないが、好ましい触媒としては、次の成分(A)及び成分(B)もしくは成分(C)を含有するα−オレフィン重合用触媒が挙げられる。
【0028】
成分(A):下記一般式〔1〕で表される架橋メタロセン系遷移金属化合物
【0029】
【化5】

(式中、A及びA’は共役五員環配位子(A及びA’は同一であっても、異なっていてもよい)を、QはAとA’の2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基及びケイ素含有炭化水素基からなる群から選ばれる同一もしくは異なる原子又は基を、それぞれ示す。)
【0030】
成分(B):アルミニウムオキシ化合物、ルイス酸、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物。
【0031】
成分(A)の架橋メタロセン系遷移金属化合物においてA及びA’は共役五員環配位子であり、これらは同一化合物内において同一でも異なっていてもよいことは前記した通りである。この共役五員環配位子の具体例としては、共役炭素五員環配位子、即ちシクロペンタジエニル基を挙げることができる。シクロペンタジエニル基は水素原子を4個(架橋部を除く全ての結合部位)有するもの〔C54 −〕であってもよく、また、その誘導体、すなわちその水素原子のいくつかが置換基で置換されているものであってもよい。この置換基の例としては、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときにそのうちの2個がそれぞれ末端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニル基の一部と共に環を形成していてもよい。後者の例としては、2個の置換基がそれぞれのω−端で結合して該シクロペンタジエニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合六員環を形成しているもの、すなわちインデニル基、テトラヒドロインデニル基又はフルオレニル基やシクロペンタジエニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合七員環を形成しているもの、すなわち、アズレニル基、ヒドロアズレニル基、テトラヒドロアズレニル基等があげられる。
【0032】
これをまとめると、A及びA’で示される共役五員環配位子としては、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、ヒドロアズレニル基、アズレニル基等が挙げられる。これらの内、好ましいものは置換あるいは無置換のヒドロアズレニル基である。シクロペンタジエニル基等の上記の置換基としては、前記の炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基に加え、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、例えばトリアルキルシリル基のような炭素原子数1〜24のケイ素含有炭化水素基、ジアルキルホスフィン基のような炭素原子数1〜18のリン含有炭化水素基、ジアルキルアミノ基のような炭素原子数1〜18の窒素含有炭化水素基、又はジアルキルボロン基のような炭素原子数1〜18のホウ素含有炭化水素基、あるいはハロゲン、酸素、硫黄を含有する炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基が挙げられる。これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよく、また連結して環状置換基を形成していても良い。
【0033】
二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基Qの具体例としては、(イ)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素原子数1〜20のアルキレン基類、(ロ)シリレン基、ジメチルシリレン基、フェニルメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等のシリレン基類、(ハ)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基、具体的には、(CH32 Ge、(C6 52 Ge、(CH3 )P、(C65 )P、(C49 )N、(C65 )N、(CH3 )B、(C49 )B、(C65 )B、(C65 )Al、(CH3 O)Alで示される基等である。これらの内で、アルキレン基類、シリレン基類、及びゲルミレン基類が好ましい。
【0034】
Mは、周期表第4〜6族から選ばれる金属原子であり、好ましくは周期表第4族の金属原子、具体的にはチタン、ジルコニウム及びハフニウム等である。特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。X及びYは、各々水素、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の窒素含有炭化水素基、ジフェニルホスフィン基等の炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基、又はトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等の炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基である。XとYとは同一でも異なっていてもよい。これらのうちハロゲン原子、炭素原子数1〜8の炭化水素基、及び炭素原子数1〜12の窒素含有炭化水素基が好ましい。
【0035】
前記オレフィン重合用触媒において、一般式〔1〕で表される成分(A)として好ましいものは以下の構成単位からなるものである。
【0036】
A、A’=シクロペンタジエニル基、n−ブチル−シクロペンタジエニル基、インデニル基、2−メチル−インデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、2−メチル−テトラヒドロインデニル基、2−メチルベンゾインデニル基、2,4−ジメチルヒドロアズレニル基、2−メチル−4−フェニルヒドロアズレニル基、2−メチル−4−ナフチルヒドロアズレニル基、2−エチル−4−ナフチルヒドロアズレニル基、2−エチル−4−フェニルヒドロアズレニル基、2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヒドロアズレニル基、
Q=エチレン基、ジメチルシリレン基、イソプロピリデン基、
M=周期表第4族遷移金属原子、
X、Y=塩素原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ジエチルアミノ基が挙げられる。特に好ましいのは、A、A’=2,4−ジメチルヒドロアズレニル基、2−メチル−4−フェニルヒドロアズレニル基、2−メチル−4−ナフチルヒドロアズレニル基、2−エチル−4−ナフチルヒドロアズレニル基、2−エチル−4−フェニルヒドロアズレニル基、2−イソプロピル−4−ナフチルヒドロアズレニル基、2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヒドロアズレニル基である。
【0037】
この遷移金属化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。Q=アルキレン基のものとしては、(1)メチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(2)エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(3)エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムハイドライドモノクロリド、(4)エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)メチルジルコニウムモノクロリド、(5)エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムモノメトキシモノクロリド、(6)エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジエトキシド、(7)エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジメチル、(8)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(9)エチレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(10)エチレンビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0038】
(11)エチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(12)エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(13)エチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(14)エチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(15)エチレン−1,2−ビス(4−インデニル)ジルコニウムジクロリド、(16)エチレン−1,2−ビス〔4−(2,7−ジメチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(17)エチレンビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(18)エチレンビス〔1,1’−(4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、(19)エチレンビス〔1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、(20)エチレンビス〔1,1’−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド
【0039】
(21)エチレンビス(9−ビシクロ〔8.3.0〕トリデカ−2−メチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(22)エチレン(1−インデニル)〔1−(4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、(23)イソプロピリデンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(24)イソプロピリデン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(25)イソプロピリデン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0040】
又、Q=シリレン基のものとしては、例えば(1)ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(4)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(5)ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(6)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(7)ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(8)ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,4−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−4−シラインデニル)ジルコニウムジクロリド、(10)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
【0041】
(11)ジメチルシリレンビス〔4−(2−tert−ブチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(12)ジメチルシリレンビス〔4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(13)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(14)フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(15)フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(16)フェニルメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(17)ジフェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(18)テトラメチルジシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(19)ジメチルシリレンビス〔1,1’−(2−イソプロピル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(20)ジメチルシリレンビス〔1,1’−(2−エチル−4−ナフチル−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、
【0042】
(21)ジメチルシリレンビス〔1,1’−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレンビス(9−ビシクロ〔8.3.0〕トリデカ−2−メチルペンタエニル)ジルコニウムジクロリド、(23)(メチル)(フェニル)シリレンビス〔1,1’−(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0043】
Q=ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基のものとしては、例えば、(1)ジメチルゲルマニウムビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(2)メチルアルミニウムビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(3)フェニルアルミニウムビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(4)フェニルホスフィノビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(5)エチルボラノビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(6)フェニルアミノビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0044】
また、上述の化合物の塩素原子を、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドリド基、メチル基、フェニル基等に置き換えたものも使用可能である。さらに、成分(A)として例示した上記のジルコニウム化合物の中心金属をチタン、ハフニウム、ニオブ、モリブデン又はタングステン等に換えた化合物も用いることができる。これらの内で好ましいものは、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物及びチタン化合物である。さらに好ましいのは、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物である。これら成分(A)は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合の第一段階終了時や第二段階の重合開始前に、新たに同一の又は異なる成分(A)を追加してもよい。
【0045】
成分(B)としては、アルミニウムオキシ化合物、ルイス酸、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、からなる群より選ばれる一種以上の物質を用いる。なお、ルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として作用することもある。このようなルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとして扱えばよい。上記のアルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式〔2〕、〔3〕又は〔4〕で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【化6】

【0047】
上記の各一般式中、R1は、水素原子または炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜10、特に好ましくは炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。またpは、0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。一般式〔2〕及び〔3〕で表される化合物は、アルミノキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が例示されている。これらの中では、メチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
【0048】
上記のアルミノキサンは、複数種併用することも可能である。一般式〔4〕で表される化合物は、一種類又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式〔5〕で表されるアルキルボロン酸との反応により得ることが出来る。一般式〔5〕中、R3は、炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
【0049】
【化7】

【0050】
具体的には以下の様な反応生成物が例示できる。
(a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物。
(b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物。
(c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物。
(d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応物。
(e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物。
【0051】
また、ルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物、固体酸などが例示され、その具体的例としては次の化合物が挙げられる。
(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物。
(b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の金属ハロゲン化合物。
(c)アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸。
また、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式〔6〕で表される化合物が挙げられる。
【0052】
【化8】

【0053】
一般式〔6〕中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、ジフェニルカルボニウムカチオン、シクロヘプタトリエニウムカチオン、インデニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、ジプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリメチルホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン、トリフェニルオキソニウムカチオン、トリエチルオキソニウムカチオン、ピリリウムカチオン、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0054】
上記の一般式〔6〕中、Zはアニオン成分であり、成分(A)が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具体的には次のアニオンが挙げられる。
【0055】
(a)テトラフェニルホウ素アニオン、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素アニオン、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ホウ素アニオン、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ホウ素アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン等、(b)テトラフェニルアルミニウムアニオン、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウムアニオン、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}アルミニウムアニオン、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)アルミニウムアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムアニオン等
【0056】
(c)テトラフェニルガリウムアニオン、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウムアニオン、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ガリウムアニオン、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)ガリウムアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン等(d)テトラフェニルリンアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リンアニオン等(e)テトラフェニルヒ素アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素アニオンなど(f)テトラフェニルアンチモンアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモンアニオン等(g)デカボレートアニオン、ウンデカボレートアニオン、カルバドデカボレートアニオン、デカクロロデカボレートアニオン等
【0057】
本発明において成分(C)としては、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物又は無機ケイ酸塩が用いられる。ここでケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2 型、CdI2 型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。このような結晶構造を有するイオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩があげられる。
【0058】
また、無機ケイ酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
【0059】
これらのうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。これらは、特に処理を行うことなくそのまま使用してもよいし、ボールミル、篩粉等の処理を行った後に使用してもよい。また、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0060】
上記のケイ酸塩以外のイオン交換性層状化合物および無機ケイ酸塩は、塩類処理および/または酸処理により、固体の酸強度を変えることが出来る。また、塩類処理においては、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成することにより、表面積や層間距離を変えることも出来る。すなわち、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることが出来る。上記の処理を行っていない化合物においては、含有される交換可能な金属陽イオンを次に示す塩類および/または酸より解離した陽イオンとイオン交換して用いることが好ましい。
【0061】
上記のイオン交換に使用する塩類は、周期表第1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましくは、該陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子または原子団より誘導される陰イオンとから成る化合物である。更に好ましくは、周期表第2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C24、ClO4、OOCCH3、CH3COCHCOCH3、OCl2、O(NO32、O(ClO42、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH及びOOCCH2CH3からなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。また、これらの塩類は2種以上を併用してもよい。
【0062】
上記のイオン交換に使用する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸の一種又は二種以上を用いるのがよい。塩類処理と酸処理とを組み合わせて行う場合は、その順序は適宜定めればよく、また同時に行ってもよい。なお、酸処理は、イオン交換や表面の不純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、Mg、Li等の陽イオンの一部を溶出させる効果がある。塩類処理および酸処理の条件は特に制限されないが、通常塩類および酸濃度は0.1〜30重量%、処理温度は室温から使用する溶媒の沸点までの範囲の温度、処理時間は5分から24時間の条件を選択し、被処理化合物の少なくとも一部を溶出するような条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は一般的には水溶液で使用される。
【0063】
上記の塩類処理や酸処理を行う場合、処理の前後又は処理中に粉砕や造粒などを行ってもよい。また、アルカリ処理や有機物処理等の他の化学処理を併用してもよい。この様にして得られる成分(C)としては、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細径容積が0.1cc/g以上、特に0.3〜5cc/gのものが好ましい。粘土、粘土鉱物は、通常、吸着水および層間水を含む。ここで、吸着水とは、イオン交換性層状化合物または無機ケイ酸塩の表面あるいは結晶破面に吸着された水であり、層間水とは、結晶の層間に存在する水である。
【0064】
本発明においては、上記の様な吸着水および層間水を除去してから使用することが好ましい。水の除去方法は、特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱処理の場合の温度としては、吸着水および層間水が残存しないような温度範囲、通常100℃以上、好ましくは150℃以上とするのがよいが、粘土や粘土鉱物の構造破壊を生じる様な高温での処理は好ましくない。処理時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、脱水した後の成分(C)の重量減少は、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間吸引した場合の値として3重量%以下であることが好ましい。本発明においては、重量減少が3重量%以下に調整された成分(C)を使用する場合、必須成分(A)及び後述の任意成分である有機アルミニウム化合物と接触する際にも、同様の重量減少が示される様な状態で取り扱うことが好ましい。本発明においては、成分(A)と成分(B)、又は成分(A)と成分(C)に加えて、有機アルミニウム化合物を併用してもよい。この有機アルミニウム化合物としては、一般式〔7〕で表されるものが好ましい。
【0065】
【化9】

【0066】
一般式〔7〕において、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基、Jは、水素、ハロゲン、アルコキシ基またはシロキサン基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。一般式〔7〕で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ基含有アルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、成分(B)としてアルミノキサンを用いていない場合は、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類なども使用できる。
【0067】
本発明のプロピレン系ブロック共重合体を製造するための触媒は、前記の必須成分(A)と成分(B)又は成分(A)と成分(C)及び必要に応じ上記の有機アルミニウム化合物とを接触させることにより調製できる。接触は同時に行っても、逐次的に行ってもよく、またその添加順序についても特に限定されない。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく予備重合時または重合時に行ってもよい。上記の各成分の接触の際に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、または接触の後にこれらを添加してもよい。
【0068】
また、上記の各成分の接触は、窒素などの不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触は、−20℃、好ましくは室温から溶媒を用いる場合はその沸点の間の温度で行うのがよい。成分(A)及び成分成分(B)もしくは成分(C)の使用量は特に限定されない。例えば、溶媒重合の場合、成分(A)の使用量は、遷移金属原子として、通常10-7〜102 mmol/L、好ましくは10-4〜1mmol/Lの範囲とされる。成分(B)としてアルミニウムオキシ化合物を用いる場合、Al/遷移金属のモル比は、通常10〜105 、好ましくは100〜2×104 、更に好ましくは100〜104 の範囲とされる。また成分(B)としてイオン性化合物またはルイス酸を使用した場合、遷移金属に対するこれらのモル比は、通常0.1〜1,000、好ましくは0.5〜100、更に好ましくは1〜50の範囲とされる。
【0069】
成分(C)として、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物又は無機ケイ酸塩を使用した場合、成分(C)1g当たり、成分(A)は、通常10-4〜10mmol、好ましくは10-3〜5mmolであり、更に有機アルミニウム化合物を用いる場合は、通常0.01〜104 mmol、好ましくは0.1〜100mmolである。この時の成分(A)中の遷移金属とアルミニウムの原子比は、通常1:0.01〜106 、好ましくは1:0.1〜105 である。この様にして調製された触媒は、調製後に洗浄せずに使用してもよく、また、洗浄した後に使用してもよい。また、必要に応じて有機アルミニウム化合物を追加して使用してもよい。すなわち、成分(A)及び成分(B)に有機アルミニウム化合物を併用して触媒調製を行った場合は、この触媒調製とは別に、有機アルミニウム化合物を反応系に追加してもよい。この際、使用される有機アルミニウム化合物の量は、成分(A)中の遷移金属に対する有機アルミニウム化合物中のアルミニウムの原子比で1:0.01〜104 となる様に選ばれる。
【0070】
また上記各成分に加えて微粒子担体を共存させてもよい。微粒子担体は、無機または有機化合物から成り、通常5μmから5mm、好ましくは10μmから2mmの粒径を有する微粒子状の担体である。ここで用いることができる無機担体としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、ZnO等の酸化物、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−Cr23、SiO2−Al23−MgO等の複合酸化物などが挙げられる。
【0071】
また有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数2〜14のα−オレフィンの(共)重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の(共)重合体などから成る多孔質の微粒子担体が挙げられる。これらの担体の比表面積は、通常20〜1000m2/g、好ましくは50〜700m2/gであり、細孔容積は、通常0.1cm3/g以上、好ましくは0.3cm3/g、更に好ましくは0.8cm3/g以上である。
【0072】
本発明で用いることができる重合用触媒は、上述した必須成分及び任意成分に加えて、例えば、H2 O、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシ基含有化合物を含んでいてもよい。本発明のプロピレンブロック共重合体の製造は一般的には二段階以上の段階的反応により行う。
【0073】
重合反応はプロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒を使用する溶媒重合の他、実質的に溶媒を使用しない液相無溶媒重合、気相重合、溶融重合等のいずれの方法で行ってもよい。また、重合を連続的に行っても回分式に行ってもよい。好ましい重合方法としては、溶媒重合又は液相無溶媒重合が挙げられる。
【0074】
溶媒重合における溶媒としては、上述したものの他、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン等の不活性な飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独あるいは混合物が使用できる。重合温度は、通常−78〜250℃、好ましくは−20〜150℃、特に好ましくは0〜100℃である。反応系の単量体の分圧は、特に制限されないが、好ましくは常圧から200MPa、更に好ましくは常圧から5MPaの範囲である。また、例えば、温度や圧力の調整または水素の導入などの手段により分子量調節を行なってもよい。
【0075】
本発明のプロピレンブロック共重合体の製造は一般的には二段階以上の段階的反応により行う。重合反応はプロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒を使用する溶媒重合の他、実質的に溶媒を使用しない液相無溶媒重合、気相重合、溶融重合等のいずれの方法で行ってもよい。また、重合を連続的に行っても回分式に行ってもよい好ましい重合方法としては、溶媒重合又は液相無溶媒重合が挙げられる。溶媒重合における溶媒としては、上述したものの他、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン等の不活性な飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独あるいは混合物が使用できる。重合温度は、通常−78〜250℃、好ましくは−20〜150℃、特に好ましくは0〜100℃である。反応系の単量体の分圧は、特に制限されないが、好ましくは常圧から200MPa、更に好ましくは常圧から5MPaの範囲である。また、例えば、温度や圧力の調整または水素の導入などの手段により分子量調節を行ってもよい。
【0076】
本発明のブロック共重合体の製造に際しては、ブロック共重合体を構成する一方のブロックであるプロピレンが重合してなる重合体ブロック(PPブロック)は、通常ブロック共重合体調製時の1段目の重合により製造される。このPPブロックの製造に際しては、単量体としてプロピレン単独を用いる他、10モル%以下の量でプロピレン以外の炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンを共重合してもよい。使用することができるα−オレフィンの例としては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
【0077】
通常、第一段階で得る重合体の量が、全重合体生成量の50〜95重量%となるように重合温度および重合時間が選ばれる。次に第二段階のEPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の製造においては、第一段階で生成した重合体の存在下にプロピレンとエチレンの共重合を行う。プロピレンとエチレンの重合比(モル比)は、前述の通り、生成共重合体のプロピレン含有量が20〜80モル%となるように設定する。通常、第二段階で得る重合体の量が、全重合体生成量の5〜50重量%となるように重合温度および重合時間が選ばれる。重合温度は通常0〜100℃、好ましくは20〜90℃である。分子量調節剤としては水素が好ましい。これら第一段階および第二段階の重合の後、引き続き第三段階以降の重合として、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合、エチレンの単独重合もしくはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合を行ってもよい。
【0078】
なお、本発明において「ブロック共重合体」とは、かならずしも理想的な姿のもの、すなわち第一段階重合で生成したブロック(PPブロック)と第二段階重合で生成したブロック(EPRブロック)とが一つの分子鎖上に存在するもののみを意味するものではなく、慣用されているところに従って、各工程で生成したポリマーの物理的混合物およびこれと上記の理想的なブロック共重合体との間の各種の形態のポリマーをも包含する。
【0079】
また、本発明のブロック共重合体には、必要に応じて、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレスなどの金属繊維、金属ウィスカーなどの補強材をブロック共重合体100重量部あたり10〜60重量部配合することができる。また抗酸化剤、光劣化防止剤、帯電防止剤、核剤などの添加剤を用いることができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0081】
(1)特性値の測定方法
<測定試料の調製>
対象となる重合体に耐熱安定剤を配合した後、押出機でペレット化し、これを射出成形機により成型して測定試料(試験片)を作成した。
【0082】
<分子量>
平均分子量(重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ、装置ウォーターズGPC150C)を用い、溶離液オルトジクロルベンゼン、温度140℃、標準ポリスチレンによる分子量較正曲線よりポリプロピレンに関する下記の粘度式を用いて計算した。
【0083】
【数2】

【0084】
エチレン−プロピレン共重合体についても同様に換算した。また、分子量分布(Q値)は、ここで得られたMwとMnの比(Q=Mw/Mn)より算出した。
【0085】
<メソペンタッド連鎖の割合>
ポリプロピレンのメソペンタッド連鎖〔mmmm〕及び1,3−付加結合の含有量は、核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子社製 JNM GSX270)を用い、2mlのオルトジクロロベンゼンにポリマーを溶解後0.5mlの重水素化ベンゼンをロッキング溶媒として加えて核磁気共鳴スペクトルを温度130℃にて測定することにより行った。S/N比を向上させるため10000回の積算測定を行った。解析はJ.C.Randallによって提案されている方法を用いて(Jounal of Polymer Science 12、703、(1974))、メソペンタッド連鎖〔mmmm〕を見積もった。また、1,3−付加結合の定量は、A.ZambelliのMacromolecules 21(3),617(1988)に記載された方法に従って、ピークを帰属し、−CH2 −、−CH−の炭素原子の総和からモル%を算出することにより行った。
【0086】
<融点>
示差走査熱量計(パーキンエルマ製DSC7)を用い、昇温速度10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後の2回目の昇温時の融解ピーク温度として求めた。
【0087】
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM−D−1238に従って、230℃、荷重2.16kgの条件で測定し、10分間当りのポリマー押し出し量(g/10分)で示した。
【0088】
<曲げ弾性率(FM)>
射出成形により作成した試料片をASTM−D−790に従って23℃で測定した。
【0089】
<力学損失角正接(tanδ)>
力学損失角正接(tanδ)の温度分散は、レオメトリックス社製メカニカルスペクトロメータを用い2℃/分、歪み1ラジアン、周波数1Hzで測定した。
【0090】
<アイゾット衝撃強度>
ASTM−D−256に従ってノッチ付射出成形試験片について、23℃、及び−30℃で測定した。
【0091】
<エチレンプロピレンゴム(EPR)の組成>
エチレンプロピレン共重合体のプロピレン含有量は、上記のメンペンタッド連鎖測定と同様にして核磁気共鳴スペクトル(日本電子社製、JNM GS×270,o−ジクロルベンゼン/ベンゼン−d6)により測定し、H.N.Chengらによって提案されている方法(Macromolecules 1984年、Vol.17,p1950)を用いて解析を行った。
【0092】
エチレンプロピレン共重合体の分子量による組成変動は、Waters社製GPCを用い、カラムにはショーデックス806MSを、フローセルにBARNES社製Zero−Dead、vol.clを用い、検出器にニコレ社製IRを使用した。クロロフォルムを溶媒として濃度4mg/mlに調製されたEPR溶液200mlを常温にて流速1mlで流し測定を行った。分解能は4cm-1とした。解析はオムロック社製の解析ソフトを用いて行い、2950cm-1の強度と2180cm-1の強度をそれぞれ測定した。各溶出時間におけるこの強度の比(I2950/I2180)がエチレン分率に比例していることを用いて分子量と共重合体組成の関係を評価した。各分子量でのこの強度比が、平均強度比の±5%以内にある場合、この分子量における組成変動は平均組成からの変動が±5%以内とした。
【0093】
(2)実施例・比較例
【0094】
<実施例1>
(1)触媒成分の調製
<成分(A)〔ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウムジクロリド〕の合成>
以下の反応は全て不活性ガス雰囲気下で行い、また、反応溶媒は予め乾燥したものを使用した。
(a)ラセミ・メソ混合物の合成
特開昭62−207232号公報に記載の方法に従って合成した2−メチルアズレン3.22gをヘキサン30mlに溶かし、フェニルリチウムのシクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液21ml(1.0当量)を0℃で少しずつ加えた。この溶液を室温で1.5時間攪拌した後、−78℃に冷却しテトラヒドロフラン30mlを加えた。この溶液に1−メチルイミダゾール45μmolとジメチルジクロロシラン1.37mlを加え、室温まで戻して1時間攪拌した。その後、塩化アンモニウム水溶液を加え、分液した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去し、ビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレニル)}ジメチルシランの粗生成物5.84gを得た。
【0095】
上記で得たビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレニル)}ジメチルシランの粗生成物をジエチルエーテル30mlに溶かし、−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液14.2ml(1.6mol/L)を滴下し、徐々に室温まで戻して12時間攪拌した。減圧下に溶媒留去した後、トルエン・ジエチルエーテル(40:1)80mlを加え、−60℃で四塩化ハフニウム3.3gを加え、徐々に室温まで戻し4時間攪拌した。得られた溶液を減圧下に濃縮し、得られた固体をトルエンで洗浄後、ジクロロメタンで抽出し、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウムジクロリドのラセミ・メソ混合物1.74gを得た。
【0096】
(b)ラセミ体の精製
上記の反応により得られたラセミ・メソ混合物1.74gをジクロロメタン30mlに溶解し、100W高圧水銀ランプを有するパイレックス(登録商標)ガラス製容器に導入した。この溶液を攪拌しながら常圧下40分間光照射してラセミ体の比率を高めた後、ジクロロメタンを減圧下に留去した。得られた黄色固体にトルエン10mlを加えて攪拌した後にろ過した。ろ別した固形分をトルエン8mlとヘキサン4mlで洗浄し、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウムジクロリドのラセミ体917mgを得た。
【0097】
<成分(C)の製造>
500ml丸底フラスコに脱塩水135mlと硫酸マグネシウム16gを採取し、攪拌下に溶解させた。この溶液にモンモリロナイト(クニピアF、クニミネ工業製)22.2gを添加し、昇温して80℃で1時間処理した。次いで脱塩水300mlを加えた後過して固形分を回収した。これに、脱塩水46mlと硫酸23.4gおよび硫酸マグネシウム29.2gを加えた後、昇温して還流下に2時間処理した。処理後脱塩水200mlを加えてろ過した。更に脱塩水400mlを加えてろ過し、この操作を2回繰り返した。次いで100℃で乾燥して化学処理済のモンモリロナイトを得た。100ml丸底フラスコに上記の化学処理済のモンモリロナイト1.05gを採取し、減圧下200℃で2時間乾燥させた。これに、精製窒素下でトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mmol/ml)を3.5ml添加して室温で1時間反応させた後、トルエン30mlで2回洗浄した後トルエンスラリーとして成分(C)を得た。
【0098】
(2)プロピレン予備重合
上記スラリー全量にトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mmol/ml)を0.6mlと上記(1)で合成したジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウムジクロリドラセミ体のトルエン溶液(1.5μmol/ml)を19.1ml加えて室温で10分間接触させた。2Lの誘導攪拌式オートクレーブに、精製窒素下、トルエン40mlと上記接触物全量を導入した。攪拌下にプロピレンを導入し、室温において全重合圧力0.6MPaで3分間予備重合を行った。次いで未反応のプロピレンをパージし、精製窒素で加圧置換した後予備重合触媒を取り出した。このものは成分(C)1gあたり2.98gの重合体を含有していた。
【0099】
(3)ブロック共重合
精製窒素で置換された、いかり型攪拌翼を内蔵する2Lの誘導攪拌式オートクレーブにトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mmol/ml)を0.6ml添加し、水素ガスを12.9kPa装入した後、液化プロピレン700gを装入した。その後、上記(2)で得られた予備重合触媒を固体触媒成分として37.5mg圧入し、昇温後75℃で30分間重合を行った。次いで過剰のプロピレンと水素を系外へ排出して第1段階の重合反応を終わらせた。
【0100】
第一段階で得られた重合体(PPブロック)の量を秤量したところ340gであった。このポリプロピレンを精製窒素流通下に90g抜き出した後、攪拌混合下に60℃まで昇温し、昇温後にプロピレンガスおよびエチレンガス(モル比1:1)を全重合圧力が1.96MPaとなるよう装入し、第二段階の重合を開始した。全重合圧力が1.96MPaで一定となるように仕込ガスと同じ組成のプロピレン−エチレン混合ガスを供給しながら、60℃で100分間重合反応を行った。その後、プロピレンおよびエチレンを系外へ排出して白色粉末状のプロピレン系ブロック共重合体316gを得た。得られたブロック共重合体中の第二段階で生成した重合体(EPRブロック)の量は、21重量%であり、このEPRブロック中のエチレン含量は40モル%、MFRは10であった。また、第一段階で得られたポリプロピレンのMFRは36、重量平均分子量は21×104 、融点は153℃、メソペンタッド連鎖〔mmmm〕の割合は99.5%、1.3−付加結合は0.5モル%であった。
【0101】
さらに、上記のようにして得られた重合体粉末100重量部に対して、添加剤としてリン系熱安定剤(チバガイギー社製、商品名イルガフォス168)とフェノール系酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名イルガノックス1010)およびステアリン酸カルシウムをそれぞれ0.05重量部を添加した。これを内径30mmの単軸押出機を用いて210℃で混練を行った。次いで射出成形片を作製して各種物性の測定を行った。その結果、曲げ弾性率FMは931MPaであり、アイゾッド衝撃強度は23℃においては破壊されず、−30℃において0.72J/cm2 であった。
【0102】
<実施例2>
(1)触媒成分の調製
<成分(A)(ジメチルシリレンビス〔1,1’−{2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル}〕ジルコニウムジクロリド〕の合成>以下の反応は全て不活性ガス雰囲気下で行い、また、反応溶媒は予め乾燥したものを使用した。
【0103】
(a)ラセミ・メソ混合物の合成
前記実施例1の(1)(a)の前段と同様にしてビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレニル)}ジメチルシランの粗生成物5.84gを調製した。上記で得たビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレニル)}ジメチルシランの粗生成物をジエチルエーテル30mlに溶かし、−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液14.2ml(1.6mol/L)を滴下し、徐々に室温まで戻して12時間攪拌した。減圧下に溶媒留去した後、トルエン・ジエチルエーテル(40:1)80mlを加え、−60℃で四塩化ジルコニウム2.4gを加え、徐々に室温まで戻し4時間攪拌した。得られた溶液を減圧下に濃縮し、得られた固体をトルエンで洗浄後、ジクロロメタンで抽出し、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリドのラセミ・メソ混合物1.25gを得た。
【0104】
(b)ラセミ体の精製
上記の反応により得られたラセミ・メソ混合物1.25gをジクロロメタン30mlに溶解し、100W高圧水銀ランプを有するパイレックス(登録商標)ガラス製容器に導入した。この溶液を攪拌しながら常圧下40分間光照射してラセミ体の比率を高めた後、ジクロロメタンを減圧下に留去した。得られた黄色固体にトルエン10mlを加えて攪拌した後にろ過した。ろ別した固形分をトルエン8mlとヘキサン4mlで洗浄し、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリドのラセミ体830mgを得た。
【0105】
<成分(C)の製造>
実施例1と同様に行った。
(2)プロピレン予備重合
実施例1においてジメチルシリレンビス〔1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)〕ハフニウムジクロリドラセミ体に代えて、上記で調製したジメチルシリレンビス〔1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリドラセミ体を使用したこと以外は実施例1と同様の手法で予備重合触媒を作製した。このものは、成分(C)あたり3.50gの重合体を含有していた。
【0106】
(3)ブロック共重合
上記で得た予備重合触媒を用い、第1段の重合時の水素の装入量を5kPaとしたこと以外は、実施例1(3)と同様の方法で第1段階の重合を行った。第一段階で得られた重合体(PPブロック)の量を秤量したところ320gであった。このポリプロピレンを精製窒素流通下に60g抜き出した後、攪拌混合下に60℃まで昇温し、昇温後にプロピレンガスおよびエチレンガス(モル比1:1)を全重合圧力が1.96MPaとなるよう装入し、第二段階の重合を開始した。全重合圧力が1.96MPaで一定となるように仕込ガスと同じ組成のプロピレン−エチレン混合ガスを供給しながら、60℃で50分間重合反応を行った。その後、プロピレンおよびエチレンを系外へ排出して白色粉末状のプロピレン系ブロック共重合体310gを得た。得られたブロック共重合体中の第二段階で生成した重合体EPRブロックの含量は、16重量%であり、このEPRブロック中のエチレン含量は40モル%、MFRは15であった。また、第一段階で得られたポリプロピレンのMFRは38、重量平均分子量は18×104 、融点は149℃、メソペンタッド連鎖〔mmmm〕の割合は99.3%、1.3−付加結合は0.3モル%であった。このブロック共重合体についても、実施例1と同様の評価を実施した。結果は表にまとめて示す。
【0107】
<比較例1>
市販のプロピレン系ブロック共重合体(日本ポリケム社製BC03G)を上記実施例と同一の方法で成形し評価した。なお、このブロック共重合体のキシレン不溶部をPPブロックに相当するものとして、またキシレン可溶部をEPRブロックに相当するものとして評価した。評価結果を表に併せて示す。
【0108】
(3)結果の評価
実施例に示される本発明のブロック共重合体は、比較例のものと比べて、各ブロックの分子量、組成、組成比が同等であるにもかかわらず、低温での衝撃強度が大きく改良されている。また、いずれも同レベルの曲げ弾性率を有しているが、本発明のブロック共重合体においては、PPブロックの融点が低く、加工性が良好であることが判る。
【0109】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタロセン触媒を使用してプロピレンの重合を行い、ポリプロピレンからなる重合体のブロック(以下「PPブロック」と記す)を形成する第一段階重合と、引き続き、プロピレンとエチレンの共重合を行い、エチレン−プロピレン共重合体からなる重合体のブロック(以下「EPRブロック」と記す)を形成する第二段階重合によって得られるプロピレンブロック共重合体であって、下記(1)〜(7)の特性値を有することを特徴とするプロピレンブロック共重合体の製造法。
(1)ブロック共重合体の分散構造におけるPPブロックとEPRブロックとの界面厚さ:20nm以上、1000nm以下
(2)PPブロックのポリプロピレンの重量平均分子量(以下「MW PP」と記す):10,000≦MW PP≦1,000,000
(3)PPブロックのポリプロピレンのメソペンタッド連鎖の割合:95%以上
(4)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の分散相の重量平均面積相当円粒子径:0.2μm以上、3μm以下
(5)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の重量平均分子量(以下「MW R 」と記す):50,000≦MW R ≦1,000,000
(6)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体中のプロピレン含有量:20モル%以上、80モル%以下
(7)EPRブロックのエチレン−プロピレン共重合体の分子量による組成変動:平均組成から±5%以内
【請求項2】
PPブロックが下記(8)〜(12)の特性値を有することを特徴とする請求項1に記載のプロピレンブロック共重合体の製造法。
(8)重量平均分子量(MW PP):50,000≦MW PP≦800,000
(9)重量平均分子量と数平均分子量との比:6以下
(10)メソペンタッド連鎖の割合:97%以上
(11)1,3−付加結合の割合:0.05モル%以上、3モル%以下
(12)融点(以下「Tm PP」と記す):140℃≦Tm PP≦170℃
【請求項3】
第一段階重合を液相無溶媒重合で行い、第二段階重合を気相重合で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレンブロック共重合体の製造法。
【請求項4】
プロピレン単量体を、下記の成分(A)及び成分(B)からなる触媒を用いて重合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレンブロック共重合体の製造法。
成分(A):下記一般式〔1〕で表わされる架橋メタロセン系遷移金属化合物
【化1】

(式中、A及びA’は共役五員環配位子(AとA’は同一であっても、異なっていてもよい)を、QはAとA’の2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基、及びケイ素含有炭化水素基からなる群から選ばれる同一もしくは異なる原子又は基を、それぞれ示す。)
成分(B):以下の群から選ばれる少なくとも一種の化合物
(イ)アルミニウムオキシ化合物
(ロ)ルイス酸
(ハ)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物
【請求項5】
プロピレン単量体を、下記の成分(A)及び成分(C)からなる触媒を用いて重合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレンブロック共重合体の製造法。
成分(A):下記一般式〔1〕で表わされる架橋メタロセン系遷移金属化合物
【化2】

(式中、A及びA’は共役五員環配位子(AとA’は同一であっても、異なっていてもよい)を、QはAとA’の2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基、及びケイ素含有炭化水素基からなる群から選ばれる同一もしくは異なる原子又は基を、それぞれ示す。)
成分(C):ケイ酸塩以外のイオン交換性層状化合物又は無機ケイ酸塩
【請求項6】
触媒成分として更に有機アルミニウム化合物を含有する触媒を用いることを特徴とする請求項4又は5に記載のプロピレンブロック共重合体の製造法。

【公開番号】特開2007−131863(P2007−131863A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8648(P2007−8648)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【分割の表示】特願平10−155820の分割
【原出願日】平成10年6月4日(1998.6.4)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】