説明

ヘアコンディショニング組成物

【課題】洗い流し時のなめらかさ、毛髪へのツヤ感、ハリ・コシ感の付与に優れ、しなやかで良好な櫛通りになるヘアコンディショニングの提供。
【解決手段】 次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)シクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体
(B)揮発性油剤
(C)カチオン性基を有する化合物
を配合するヘアコンディショニング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油溶性のシクロアルキル基を有するアクリル系共重合体を配合するヘアコンディショニング組成物に関するものであり、更に詳しくは、洗い流し時のなめらかさ、毛髪へのツヤ感やハリ・コシ感の付与に優れ、ごわつきのないしなやかで良好な櫛通りのヘアコンディショニング組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、パーマやカラーリング、シャンプーやドライヤーの使用、或いは大気汚染や夏の強い日差し等により様々なダメージを受けている。ヘアリンスやヘアトリートメント、ヘアパック等のヘアコンディショニング組成物は、こういった様々な要因のダメージから毛髪を保護したり、ダメージを修復し、毛髪にツヤやハリ・コシを与え、しなやかさやなめらかさを付与するものである。これらの効果発現のために、ヘアコンディショニング組成物には、従来より、高分子化合物や油分、蛋白やアミノ酸類、植物エキス等の美容成分等を配合したり、これらを組み合わせて配合すること等が提案されている。例えば、水溶性高分子とシリル化ペプチドとを組み合わせて配合したものや、植物エキスと両性高分子を組み合わせたもの等がある(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2000−119143号公報
【特許文献2】特開2004−210674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来用いられている高分子化合物や美容成分の多くは水親和性であるため、日常生活で発される汗や、洗髪時のリンスオフで、その大部分が流されてしまい、それら成分の効果を充分に発揮することができなかった。また、水溶性高分子を配合すると、仕上がりに高分子特有のごわつきを感じてしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、シクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体を用いることで、リンスオフ(洗い流し)タイプの製品においては、流水によりコンディショニング成分が全てリンスオフされることなく、洗い流し時のなめらかさが良好であって、乾燥後の毛髪にツヤ感、ハリ・コシ感を付与し、しなやかで良好な櫛通りのヘアコンディショニング組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)シクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体
(B)揮発性油剤
(C)カチオン性基を有する化合物
を配合することを特徴とするヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、毛髪にツヤ感やハリ・コシ感を付与する効果に優れ、ごわつきのないしなやかで良好な櫛通りである。特にリンスオフタイプのヘアコンディショニング組成物においては、洗い流し時のなめらかさに優れ、また、流水によりコンディショニング成分が全てリンスオフされることなく、リンスオフ後の毛髪に有効に作用するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳述する。
本発明の成分(A)であるシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体を構成するモノマーのうち、成分(a1)のシクロアルキル基含有アクリレート及び/又はメタクリレートは親油性の重合性モノマーで、耐水性のある透明で固い皮膜形成能を有する骨格を成すものである。具体例としては、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロデシルアクリレート、トリシクロデシルメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。とりわけシクロヘキシルメタクリレートはラジカル重合性が良好で収率が高く、硬い皮膜を形成するための好適なガラス転移点を有し、特に好ましい。
【0008】
本発明の成分(A)を構成するモノマーのうち、成分(a2)の炭素数8〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基を含有するアクリレート及び/又はメタクリレートは親油性の重合性モノマーで、皮膜に柔軟性や付着性を付与し、軽質イソパラフィンへの溶解性を高める。具体例としては、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられるが、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートが好ましく、中でも2−エチルヘキシルメタクリレートが特に好ましい。
【0009】
本発明の成分(A)を構成するモノマーのうち、成分(a3)の片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキサンマクロモノマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸に二価の炭化水素基を介してオルガノポリシロキサンを連結したエステル化合物が挙げられる。成分(a3)の片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキサンマクロモノマーは皮膜に耐水性を付与し、軽質イソパラフィンへの溶解性を高める。具体的には一般式(1)に示されるジメチルポリシロキサンマクロモノマーが挙げられ、ジメチルポリシロキサン基の繰り返し単位を示す重合度nは0〜200が好ましく、さらに好ましくは5〜150である。これらのうち、一種又は二種以上用いることができる。この範囲であれば充分な耐水性が得られ、さらに透明で均一な皮膜を得られ好ましい。
【0010】
【化2】


(ここでnは0〜200の整数、Rは水素又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【0011】
本発明の成分(A)の共重合体は、成分(A)を構成するモノマーである上記成分(a1)と、成分(a2)及び/又は成分(a3)とを重合させて得ることができる。即ち、成分(a1)と成分(a2)、若しくは、成分(a1)と成分(a3)、若しくは、成分(a1)と成分(a2)と成分(a3)を重合させて得ることができる。
【0012】
本発明の成分(A)の共重合体を得るには、成分(a1)のシクロアルキル基含有アクリレート及び/又はメタクリレートを、50〜90質量%(以下、単に「%」とする)用いて重合させることが好ましく、さらに好ましくは50〜80%である。この範囲であれば、軽質イソパラフィンへの溶解性が良好で充分な硬さの皮膜が形成される。
【0013】
同様に、本発明の成分(A)の共重合体を得るには、上記成分(a2)は、10〜50%用いて重合させることが好ましく、さらに好ましくは15〜45%である。この範囲であれば、軽質イソパラフィンへの溶解性が良好で、充分な硬さの均一でしなやかな皮膜を得ることができ、べとつきもなく好ましい。
【0014】
そしてまた、上記成分(a3)は、10〜50%用いて重合させることが好ましく、さらに好ましくは15〜45%である。この範囲であれば、軽質イソパラフィンへの溶解性が良好で、べとつきがなく、均一で硬い皮膜が形成され、良好なヘアコンディショニング効果が得られ好ましい。
また、更に、上記成分(a2)と成分(a3)を併用した場合は、その合計が、10〜50%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜45%である。この範囲であれば、軽質イソパラフィンへの溶解性が良好で、べとつきのない均一で硬い皮膜が形成され、ごわつくことなくしなやかで櫛通りの良い良好なヘアコンディショニング効果が得られ好ましい。
【0015】
また、本発明の成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分(a1)〜(a3)以外の重合性モノマーを構成モノマーとして添加して重合することができる。その添加量としては概ね20%以下の範囲で0.01〜10%程度が好ましい。成分(a1)〜(a3)以外の重合性モノマーとしては特に限定はされないが、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、前記以外のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アクリロニトリル、フッ化オレフィン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリルアミド、メチルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−ジメチルプロパンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0016】
本発明の成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体の重量平均分子量は限定的ではないが、1.0×10〜2.0×10の範囲であるものが好ましい。重量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、直鎖ポリスチレン標準品で作成した校正曲線及び屈折率検出器を使用する液体ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。この範囲であれば、軽質イソパラフィンへの溶解性中での溶解粘度が適度で、製品系に配合した際、均一で良好な塗膜が形成され、ツヤ感、ハリ・コシ感の付与に優れ、しなやかで櫛通りの良好なものとなり好ましい。
【0017】
本発明の成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体は、上記成分(a1)〜(a3)の構成モノマーを用い、公知の重合方法で重合することができる。特に限定はされないが、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物、α、α´―アゾビスイソブチロニトリル、2、2´―アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2、2´―アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤等の、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行えばよく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、沈殿重合法などを用いることができる。これらのうち、特に溶液重合法は、得られるアクリル系共重合体の分子量を最適範囲に調整することが容易であるため好ましい。
【0018】
本発明の成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体の重合時に用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、などの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、イソプロパノール、エタノール、メタノールなどのアルコール類が挙げられ、これらの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、軽質イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカンなどのパラフィン系溶剤中で重合することもできる。
【0019】
本発明の成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体の重合反応温度は通常のラジカル重合開始剤の使用可能な温度範囲であれば特に制限はされないが、通常40〜120℃の範囲で実施される。反応温度は使用するラジカル重合開始剤、モノマーの種類、反応温度により異なるが、通常2〜24時間実施される。この範囲であれば残存モノマー量が低く、高い収率で得られるのでより好ましい。
このようにして得られた成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体は25℃において、軽質イソパラフィンに少なくとも30%溶解するものである。溶解性が30%以上であると、べとつきがなく、ツヤ感、ハリ・コシ感の付与に優れ、しなやかで櫛通りの良好なものとなり、好ましい。
【0020】
本発明の成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体は、反応させたときのパラフィン系溶剤中に溶解させたまま、または必要に応じて他の炭化水素やエステル、トリグリセライドなどの油剤で希釈を行ったり、他の油剤へ溶媒置換を行うこともできる。また、溶液の溶媒を除去して成分(A)を固体として取り出すことができ、さらに得られたアクリル系共重合体ポリマーを、軽質イソパラフィン等の揮発性油剤中に溶解することによりアクリル系共重合体溶液として使用することもできる。上記のアクリル系共重合体及びその溶液は二種以上混合して使用しても構わない。
【0021】
本発明のヘアコンディショニング組成物への成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体の配合量は、特に限定はないが、0.01〜5%が好ましく、更に好ましくは0.1〜1%である。この範囲であれば、他の樹脂や高分子のようなごわつきを感じることなくしなやかな仕上がりで櫛通りも良く、毛髪にツヤ感やハリ・コシ感を与える効果に優れるものが得られる。
【0022】
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる成分(B)の揮発性油剤は、成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体を系に配合し易くし、べたつきをおさえ、しなやかな仕上がりにするためのものである。
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる成分(B)の揮発性油剤としては、軽質イソパラフィン、環状シリコーン、揮発性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。特に軽質イソパラフィンからなる炭化水素の混合物が好ましく、具体的には側鎖を有する炭素数9〜12の飽和炭化水素で、JIS−K2254の蒸留試験で95容量%留出温度が200℃以下のものが挙げられる。市販品としてはIPソルベント1620(出光興産社製)などが挙げられる。
【0023】
本発明のヘアコンディショニング組成物への成分(B)の揮発性油剤の配合量は、特に限定はないが、0.01〜15%が好ましく、更に好ましくは0.1〜3%である。
この範囲であれば、成分(A)が溶解し易く、成分(A)の効果が充分発揮され好ましい。
【0024】
本発明のヘアコンディショニング組成物に用いられる成分(C)のカチオン性基を有する化合物は、毛髪への親和性及び吸着性が良好であり、毛髪に良好な感触を付与するコンディショニング成分であり、かつ、洗い流し時や仕上がり時のなめらかさを付与するもので、カチオン性基を有するものであれば特に限定されるものではなく、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子、両性高分子等が挙げられる。
【0025】
本発明において、カチオン界面活性剤は通常毛髪化粧料に使用されるカチオン性の界面活性剤であれば特に限定されることはないが、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジオレイルジメチルアンモニウム、メチル硫酸セチルベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩、ステアロイルリジンブチルエステル・塩酸塩、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、ラウロイル−オルニチンプロピルエステル・酢酸塩等のモノ−N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、デシルグアニジン酢酸塩、2−グアニジノエチルラウリルアミド塩酸塩、2−グアニジノブチルステアロアミド・DL−ピロリドンカルボン酸塩等のグアニジン誘導体等を例示することができるが、本発明においては特に塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩が好ましい。本発明に用いるカチオン界面活性剤は、例えば、市販品として「GENAMINE STAC」(クラリアント・ジャパン社製)、「GENAMINE KDM−P」(クラリアント・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明において、カチオン性高分子は通常毛髪化粧料に使用されるカチオン性の高分子であれば特に限定されることはないが、ポリマー鎖に結合したアミノ基またはアンモニウム基を含むか、またはジメチルジアリルアンモニウムハライドを構成単位として含む水溶性のものが好ましい。
具体的な例では、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンジペリニウム、カチオン化コラーゲン、カチオン化ケラチン、カチオン化ヒアルロン酸、カチオン化デンプン、カチオン化デキストリン等が挙げられる。これらの中でも、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体が特に好ましい。本発明に用いるカチオン性高分子は、例えば、市販品として「ポリマーJR400」(ユニオンカーバイト社製)、「リポフローMN」(ライオン社製)等が挙げられる。
【0027】
本発明において、両性高分子は通常毛髪化粧料に使用される両性の高分子であれば特に限定されることはない。具体的には、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)共重合体、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体が特に好ましい。本発明に用いる両性高分子は例えば市販品として「MARQUAT PLUS3330」(NALCO COMPANY社製)等が挙げられる。
【0028】
本発明のヘアコンディショニング組成物への成分(C)のカチオン性基を有する化合物の配合量は、組成物全量中0.01〜5%が好ましく、更に好ましくは0.1〜2%である。この範囲であれば、毛髪への親和性及び吸着性が良好で、ハリ・コシ感の付与に優れ、しなやかで良好な櫛通りのものが得られる。また、リンスオフタイプのヘアコンディショニング組成物においては、洗い流し時のなめらかさに優れたものが得られる。
【0029】
本発明のヘアコンディショニング組成物には、上記必須成分(A)〜(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、すなわち水(精製水、温泉水、深層水等)、成分(B)以外の油剤、成分(C)以外の界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、上記成分(C)以外の水溶性高分子、皮膜形成剤、成分(A)以外の樹脂、包接化合物、保湿剤、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、植物抽出物、ビタミン類、アミノ酸類、ペプタイド類、その他ヘアケア用の美容成分等を配合できる。
【0030】
油剤としては、前述の成分(B)の揮発性油剤以外の高級アルコール、炭化水素油、エステル油、脂肪酸類、油脂、シリコーンなどの油性成分を使用できる。例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等の高級アルコール類、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素類、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油類、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ等のロウ類、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、硬化油、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等の動物油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル等のラノリン誘導体、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、グリセリン変性ポリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコンゴム、シリコーンレジン等が挙げられる。
【0031】
界面活性剤としては、前述の成分(C)のカチオン性界面活性剤以外のものであり、ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ポリオキシプロレンヤシ油脂肪酸モノイソパノールアミド、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム等の高級脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸カリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩;ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム等のヒドロキシエーテルカルボン酸塩;スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸等が挙げられる。
【0032】
金属セッケンとしては、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられる。
【0033】
ゲル化剤としては、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0034】
粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば、無機粉体としては、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、合成雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、モンモリロナイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、ラウロイルリジン等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体で、これらの粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、又はフッ素化合物で表面処理を行った粉体でも良い。
【0035】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール等がある。
【0036】
水溶性高分子としては、前述の成分(C)のカチオン性ポリマー及び両性ポリマー以外のコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムチン、デルマタン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸から選ばれるムコ多糖類及びその塩、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0037】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0038】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等、清涼剤としては、l−メントール、カンフル等が挙げられる。
【0039】
ビタミン類としては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、リノレン酸及びその誘導体等のビタミンF類;フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、メナジオール等のビタミンK類;エリオシトリン、ヘスペリジン等のビタミンP類;その他、ビオチン、カルチニン、フェルラ酸等が挙げられる。
【0040】
アミノ酸類としては、例えばグリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、シスチン、システイン、アセチルシステイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、オルチニン、シトルリン、テアニン、クレアチン、クレアチニン等が挙げられる。アミノ酸誘導体としては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(2−オクチルドデシル)、N−アシルグルタミン酸リジン縮合物等が挙げられる。
ペプタイド類としては、動物、魚、貝、植物由来のいずれでもよく具体的には、コラーゲン及びその誘導体又はそれらの加水分解物、エラスチン及びその誘導体又はそれらの加水分解物、ケラチン及びその誘導体又はそれらの分解物、コムギタンパク及びその誘導体又はそれらの加水分解物、ダイズタンパク及びその誘導体又はそれらの加水分解物等が挙げられる。
糖類としては、ソルビトール、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、イノシトール、グルコース、マンニトール、ペンタエリスリトール、果糖、蔗糖およびそのエステル、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ、黒砂糖抽出物等が挙げられる。
その他、セラミド及びその誘導体、18−メチルエイコサン酸等の毛髪脂質成分、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質及びこれらの類似物あるいはこれらのものを含有する組成物、すなわち大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物、更には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体または、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体等のリン脂質及びその誘導体等、毛髪の保湿や補修等ヘアケアに有用な美容成分等が挙げられる。
これらは、一種又は二種以上を適宜選択又は組み合わせて配合することができる。
【0041】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、剤型としては、水性、可溶化型、O/W乳化型、W/O乳化型、油性等いずれでもよく、また液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、固形状等、性状もいずれでも構わない。また、噴射剤を配合してエアゾールフォーム又はポンプフォーム容器を使用してフォーム状タイプとしての実施も可能であり、ヘアリンス、ヘアパック、ヘアクリーム、ヘアエッセンス、ヘアオイル、ヘアフォーム等、ヘアトリートメント剤として各種ヘアコンディショニング組成物として用いることができる。
【0042】
また、本発明のヘアコンディショニング組成物は、使用方法に関してもインバス、オウトバス、或いは、リンスオフ、リーブオンどちらでも構わないが、特にインバス使用のリンスオフタイプの製品においては、洗い流し時の髪のなめらかさが顕著に感じられ好ましい。
【実施例】
【0043】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0044】
製造例1:シクロアルキル基含有アクリル系共重合体1の合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコにシクロヘキシルメタクリレート22.5g、下記一般式(2)のジメチルポリシロキサンマクロモノマー7.5g及びトルエン70gを加え、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、100℃まで加温し、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNとする)を0.15g加えて8時間還流し重合させた。得られた反応物をエバポレーションにてトルエンを留去後、真空乾燥してシクロアルキル基含有アクリル系共重合体固形分26.6gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は6.7×10であった。
また、これを30質量部に軽質イソパラフィン(IPソルベント1620(出光興産社製))70質量部を加えて混合したものは、25℃において良好に溶解し透明になるものであった。
【0045】
【化3】

【0046】
製造例2:シクロアルキル基含有アクリル系共重合体2の合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコにシクロヘキシルメタクリレート22.5g、2−エチルヘキシルメタクリレート7.5g及びトルエン70gを加え、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、100℃まで加温し、AIBNを0.15g加えて3時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールを注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してシクロアルキル基含有アクリル系共重合体固形分27.4gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は3.8×10であった。
また、製造例1同様、これを30質量部に軽質イソパラフィン(IPソルベント1620(出光興産社製))70質量部を加えて混合したものは、25℃において良好に溶解し透明になるものであった
【0047】
製造例3:シクロアルキル基含有アクリル系共重合体3の合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコにシクロヘキシルメタクリレート15g、2−エチルヘキシルメタクリレート15g及びトルエン70gを加え、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、100℃まで加温し、AIBNを0.15g加えて3時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールを注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してシクロアルキル基含有アクリル系共重合体固形分25.5gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は3.7×10であった。
また、製造例1同様、これを30質量部に軽質イソパラフィン(IPソルベント1620(出光興産社製))70質量部を加えて混合したものは、25℃において良好に溶解し透明になるものであった。
【0048】
製造例4:シクロアルキル基含有アクリル系共重合体4の合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコにシクロヘキシルメタクリレート21g、2−エチルヘキシルメタクリレート4.5g、上記一般式(2)のジメチルポリシロキサンマクロモノマー4.5g及びトルエン70gを加え、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、AIBNを0.15g加えて5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールを注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してシクロアルキル基含有アクリル系共重合体固形分20.5gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は6.2×10であった。
また、製造例1同様、これを30質量部に軽質イソパラフィン(IPソルベント1620(出光興産社製))70質量部を加えて混合したものは、25℃において良好に溶解し透明になるものであった。
【0049】
実施例1:本発明品1〜11及び比較品1〜3:ヘアコンディショニング組成物(リンスオフタイプ)
表1に示すヘアコンディショニング組成物を下記製造方法により調製し、「洗い流し時のなめらかさ」、仕上がりの「ツヤ感」、「ハリ・コシ感」、「櫛通りの良さ」について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0050】
【表1】

【0051】
(製造方法)
A:1〜11を加熱(70℃)混合して均一溶解する。
B:12〜14を加熱(70℃)混合して均一に溶解する。
C:BにCを添加して乳化する。
D:Cを冷却後、15〜20を添加する。
【0052】
〔評価方法1〕
化粧品評価専門パネル20名に、本発明品及び比較品のヘアコンディショニング組成物を洗髪時に使用し「洗髪時のなめらかさ」を評価してもらい、髪を乾燥後、仕上がりの「ツヤ感」、「ハリ・コシ感」、「櫛通りの良さ」について、各自がそれぞれ以下の評価基準に従って5段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0053】
本発明品1〜11のヘアコンディショニング組成物は、いずれも「洗い流し時のなめらかさ」、「ツヤ感」、「ハリ・コシ感」、「櫛通りの良さ」の全てにおいて優れたヘアコンディショニング組成物であった。
一方、ヘアコンディショニング組成物に成分(A)の共重合体を配合しない比較品1は仕上がりの「ツヤ感」に劣り、「ハリ・コシ感」に欠けるものであった。そして、成分(A)の共重合体の代わりに他の共重合体を配合した比較品2、3(実質共重合体量が共に0.5%)は、それぞれ「ツヤ感」、「櫛通りの良さ」に欠け、満足いくものではなかった。
【0054】
実施例2:ヘアミルク(リーブオンタイプ)
下記組成及び製造方法にてリーブオンタイプのヘアミルクを調製した。
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレンセチルエーテル 3
2.セトステアリルアルコール 4
3.ベヘニルアルコール 2
4.ワセリン 1
5.パルミチン酸2−ヘキシル 4
6.流動パラフィン 5
7.高重合ジメチルポリシロキサン 3
8.スクワラン 2
9.シクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体 *7 0.5
10.軽質イソパラフィン *1 3
11.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 0.1
12.塩化ステアリルアンモニウム液(80%) 0.5
13.パラオキシ安息香酸エステル 0.3
14.1,2−ペンタンジオール 0.5
15.精製水 残量
16.2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
/メタクリル酸共重合体 0.5
17.フェノキシエタノール 0.5
18.香料 1
19.精製水 5
*7:製造例4のシクロアルキル基含有アクリル系共重合体
【0055】
(製造方法)
A:1〜11を加熱(70℃)し均一に混合溶解する。
B:12〜15を加熱(70℃)し均一に混合溶解する。
C:AにBを加えて乳化し、冷却する。
D:Cに16〜19を加え、ヘアミルクを得た。
【0056】
以上のようにして得られた実施例2のヘアミルクは、仕上がりのツヤ感、ハリ・コシ感、の付与に優れ、ごわつきのないしなやかで櫛通りの良い良好なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)シクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体
(B)揮発性油剤
(C)カチオン性基を有する化合物
を配合することを特徴とするヘアコンディショニング組成物。
【請求項2】
成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体が、次の成分(a1)、(a2);
(a1)シクロアルキル基を含有するアクリレート及び/又はメタクリレート
(a2)炭素数8〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基を含有するアクリレート及び/又はメタクリレート
から構成されるアクリル系共重合体であって、成分(a1)を50〜90質量%、成分(a2)を10〜50質量%重合させて得られるアクリル系共重合体であることを特徴とする請求項1記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項3】
成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体が、次の成分(a1)、(a3)
(a1)シクロアルキル基を有するアクリレート及び/又はメタクリレート
(a3)片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキサンマクロモノマー
から構成されるアクリル系共重合体であって、成分(a1)を50〜90質量%、成分(a3)を10〜50質量%重合させて得られるアクリル系共重合体であることを特徴とする請求項1記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項4】
成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体が、次の成分(a1)、(a2)、(a3)
(a1)シクロアルキル基を含有するアクリレート及び/又はメタクリレート
(a2)炭素数8〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を含有するアクリレート及び/又はメタクリレート
(a3)片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキサンマクロモノマー
から構成されるアクリル系共重合体であって、成分(a1)を50〜90質量%、成分(a2)、成分(a3)を重合させて得られるアクリル系共重合体であることを特徴とする請求項1記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
成分(A)の成分(a3)が、一般式(1)で示されるジメチルポリシロキサンマクロモノマー
【化1】

(ここでnは0〜200の整数、Rは水素又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
であるアクリル系共重合体を配合することを特徴とする請求項3又は4記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項6】
成分(A)の成分(a1)がシクロヘキシルメタクリレートであるアクリル系共重合体であることを特徴とする請求項2乃至5の何れかの項記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項7】
成分(A)のシクロアルキル基を含有するアクリル系共重合体の液体ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算による重量平均分子量が1.0×10〜2.0×10であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかの項記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項8】
成分(B)の揮発性油剤が、軽質イソパラフィンであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかの項記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項9】
成分(C)が、カチオン界面活性剤、カチオン性高分子及び両性高分子の一種またはニ種以上から選ばれるものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかの項記載のヘアコンディショニング組成物。

【公開番号】特開2009−242258(P2009−242258A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88387(P2008−88387)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】