説明

ベルト制御装置および画像形成装置ならびにベルト斜行制御方法

【課題】ベルト搬送装置を用いた画像形成装置において、ベルトの斜行を抑制し、色ずれの少ないカラー画像を提供できる画像形成装置を得る。
【解決手段】トナー像または用紙を搬送する搬送ベルト10の支持面が循環される方向と直交する方向に距離を置いた2点で搬送ベルトの端部が検出された時刻に基づいて、搬送ベルトが2点間を移動する時間差を求め、求められた時間差に基づいて、少なくとも一つの回転軸により搬送ベルトの幅方向の一端が、搬送ベルト体の支持面が循環される方向と直交する方向または支持面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう、搬送ベルト体の支持面が循環される方向と直交する方向に所定量移動するように、搬送ベルトの幅方向の一端を、ステアリングローラ21により変位させることで、色ずれのないフルカラー画像を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環される無端状ベルト上もしくはベルトにより搬送される画像保持体上に可視画像を形成する画像形成装置および画像形成装置に組み込まれる無端状ベルトの斜行を補正するベルト制御装置ならびにベルト斜行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々に使用されている画像形成装置のうち、画像形成プロセスとしていわゆる電子写真方式を用いたものがある。電子写真方式の画像形成装置では、一般に、感光体への帯電、露光による静電潜像の形成、トナーの付着により可視像を形成する現像プロセス、可視像を紙などの媒体に転写し、熱・圧力などにより定着させるプロセスが行われる。
【0003】
前記一連の電子写真プロセスの中で、ベルト要素が用いられることがある。
【0004】
例えば、感光体としてベルト上の感光体を用いた装置や、可視像形成をベルト上で行う装置、ベルト上に静電吸着された用紙上に可視像を形成する装置などが上げられる。
【0005】
ところで、無端状ベルトを回転させると、斜行や蛇行と言われている横ずれが発生することが知られている。ベルトの横ずれが発生すると、電子写真装置で言えば、画像の位置ずれやベルトの脱落などが生じる問題がある。したがって、古くから横ずれ防止のために多くの技術が提案されてきた。
【0006】
ベルトの横ずれ防止という点でもっとも使われているのは、ベルトを支持しているローラを、長手方向の概ね中央の直径を周辺部の直径よりも増加したクラウンローラにする方法である。しかし、電子写真装置のような画像形成装置では、ベルト上に画像を形成するため、ベルト面が平面にならないクラウンローラは使えず、また効果も少ない。
【0007】
他の方法として、ベルトのエッジに規制部材を付き当てる方法や、ベルトにリブを設けてリブにローラを付き当てて規制する方法などがあるが、これらはエッジが繰り返し付き当たることにより破損し、あるいはリブを精度良く取り付けることが出来ずに、ベルトが蛇行してしまうなどの問題点がある。
【0008】
また、ベルトの斜行に対して能動的に制御しようという提案もいくつかなされている。
【0009】
特許文献1には、駆動ローラとステアリングローラを兼ねた装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−2999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の装置では、駆動ローラ自体を動かすことになり装置が複雑となってしまう問題点がある。また、実際の補正位置を決める方法は、あらかじめ設定されたパラメータによるため、必ずしも広範な領域での制御を可能とするものではない。
【0011】
この発明の目的は、循環される無端状ベルト上もしくはベルトにより搬送される画像保持体に可視画像を形成する画像形成装置において、無端状ベルトの斜行を補正すること、および無端状ベルトを用いて出力される画像の品質を高めることのできる画像形成装置、ならびに無端状ベルトの斜行を補正するベルト斜行補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、ベルト面が所定方向に循環される無端状ベルトを有し、前記ベルト面上に可視像または可視像を担持した画像担持媒体を保持する画像形成装置のベルト循環装置であって、前記ベルト面と接触可能に設けられるローラ体または前記無端状ベルトを循環する循環機構の駆動軸あるいは少なくとも1つの補助軸を介して前記無端状ベルトが循環される方向と異なる方向に所定の圧力を与えることにより、循環される前記無端状ベルトに、前記無端状ベルトが循環される方向と直交する幅方向の変位を与え、前記幅方向の変位が与えられて循環される前記無端状ベルトの前記幅方向の端部を所定の閾値を規定する2点で検出し、前記所定の閾値を規定する2点のそれぞれにおいて前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が2点間を移動される時間差を求め、前記求められた時間差に基づいて、前記ローラ体または前記循環機構の駆動軸あるいは少なくとも1つの補助軸により前記ベルト面に与える圧力を決定することを特徴とするベルト循環装置である。
【0013】
またこの発明は、上記問題点に基づきなされたもので、ベルト面が所定方向に循環される無端状ベルトを有し、ベルト面上に可視像または可視像を担持した画像担持媒体を保持する画像形成装置のベルト循環装置であって、前記ベルト面と接触可能に設けられるローラ体を介して前記無端状ベルトの幅方向の一端を、前記ベルト面が循環される方向と直交する幅方向に移動させて、または前記ベルト面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう移動させて、循環される前記無端状ベルトに、前記幅方向の変位を与え、前記幅方向の変位が与えられて循環される前記無端状ベルトの前記ベルト面の幅方向の端部を所定の閾値を規定する2点で検出し、前記所定の閾値を規定する2点のそれぞれにおいて前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が2点間を移動される時間差を求め、求められた時間差に基づいて、前記ローラ体により、前記無端状ベルトの前記幅方向の一端を、前記ベルト面が循環される方向と直交する方向または前記ベルト面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう、前記幅方向に所定量移動することを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
さらにこの発明は、上記問題点に基づきなされたもので、トナー像またはトナー像を保持する被転写媒体を支持する支持面を有し、少なくとも3本の回転軸により前記支持面が一定方向に循環されるベルト体と、前記支持面が循環される方向と直交する幅方向における前記ベルト体の端部の位置を、前記幅方向に距離を置いた2点で検出する端部検出器と、前記端部検出器により前記2点で前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が前記2点間を移動される時間差を求め、求められた時間差に基づいて、前記ベルト体の幅方向の一端が、前記幅方向に移動するか、前記支持面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう前記幅方向に移動するように、少なくとも1本の前記回転軸を傾斜させて前記支持面に所定の圧力を与える支持体傾斜装置と、この支持体傾斜装置を所定量傾斜させる制御装置と、を有することを特徴とする画像形成送置のベルト制御装置である。
【0015】
またさらにこの発明は、上記問題点に基づきなされたもので、トナー像またはトナー像を保持する被転写媒体を支持する支持面を有し、少なくとも3本の回転軸により支持面が一定方向に循環されるベルト体と、前記支持面が循環される方向と直交する幅方向における前記ベルト体の端部の位置を、前記幅方向に距離を置いた2点で検出する端部検出器と、前記端部検出器により前記2点で前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が前記2点間を移動される時間差を求め、求められた時間差に基づいて、前記ベルト体の幅方向の一端が、前記幅方向に移動するか、前記支持面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう前記幅方向に移動するように、少なくとも1本の前記回転軸を前記支持面に対して所定量傾ける支持体傾斜装置と、この支持体傾斜装置を所定量傾斜させる制御装置と、を有することを特徴とする画像形成送置のベルト制御装置である。
【0016】
さらにまたこの発明は、上記問題点に基づきなされたもので、無端状ベルトが循環される方向に平行なベルト端部の変位を、所定の閾値が与えられた2点で検出し、前記2点のそれぞれにおいて前記ベルト端部が検出された時刻に基づいて、前記ベルト端部が前記2点間を移動される時間差を求め、画像形成時、前記求められた時間差に基づいて、前記無端状ベルトに、前記無端状ベルトが循環される方向と直交する幅方向の変位が元に戻る時間、もしくは前記無端状ベルトが循環される方向に対する傾きが元に戻る時間よりも前記無端状ベルトまたは前記無端状ベルトが保持した画像保持媒体に対する画像形成が終了するまでの時間が短くなるよう、前記幅方向の変位、もしくは前記所定の傾きを与えることを特徴とする画像形成装置のベルト斜行制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ベルト体の斜行を容易に補正することができ、ベルト体の加工や組立て精度あるいは輸送もしくは設置条件などにより発生するベルトの斜行の方向や量のばらつきを低減できる。これにより、色ずれのない高精度なフルカラー画像を得ることができる。また、ベルトに対するダメージの軽減が図れることにより、長寿命な画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
ベルトを使用した画像形成装置は様々な形態があるが、図1にその一つの例として、4連タンデム方式のフルカラー電子写真装置の概略構成を示す。
【0020】
図1に示す電子写真装置は、説明を省略する本体内に、以下に説明する画像形成部1を有している。
【0021】
画像形成部1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナーを用いて単色の現像画像をそれぞれ形成する第1〜第4の画像形成ステーション6〜9を有する。なお、各画像形成ステーション6〜9の以下に説明する露光装置には、露光制御装置5から、所定のタイミングで画像信号が供給される。また、露光制御装置5には、画像センサ3により読み取られたトナー像の位置のずれや、各色のトナー像の間隔が画像処理部4を介して入力される。この画像処理部4によるトナー像の位置と、各画像形成ステーション6〜9による画像形成、露光制御装置5による露光タイミングの設定、以下に説明する搬送ベルトの回転および停止、および用紙13の給送などは、主制御装置2により制御される。
【0022】
各画像形成ステーション6〜9は、搬送ベルト10に沿って、並列に配置されている。また、各画像形成ステーション6〜9は、それぞれ同じ構成であるから、第1の画像形成ステーション6を参照して画像形成動作を説明し、他の色の画像形成ステーション7〜9については、同じ部分に同じ符号を付してその説明を省略する。なお、各画像形成ステーション6〜9においては、例えばステーション6においてイエロー(Y)画像が、ステーション7においてマゼンタ(M)画像が、ステーション8においてシアン(C)画像が、ステーション9においてブラック(BK)画像が、それぞれ形成されるものとするが、それぞれの画像形成ステーションが形成する画像の色は、任意の順に配列されてもよい。
【0023】
第1の画像形成ステーション(以下、便宜的にイエロー(Y)画像形成ステーションと呼称する)6は、画像保持体であり副走査方向である矢印方向に回転される感光体ドラム6aを有する。
【0024】
感光体ドラム6aの周囲には、画像形成手段である帯電装置6b、露光装置6c、現像装置6d、転写チャージャ6e、およびクリーニング装置6hが、順次配置されている。なお、図から容易に理解されるが、転写チャージャ6eは、搬送ベルト10を介在させた状態で、感光体ドラム6aに対向して位置されている。露光装置6cは、イエロー(Y)の画像信号に対応するイエロー(Y)画像光を、感光体ドラム6aが回転される方向と直交する主走査方向に走査する。イエロー(Y)画像光は、画像信号に応じて光強度が選択的に変化されていることから、感光体ドラム6a上に走査された画像光の光強度に従い、感光体ドラム6a上にイエロー(Y)の画像情報に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置6dからイエロー(Y)のトナーが選択的に供給されることにより可視化され、トナー像(Y)が感光体ドラム6a上に形成される。
【0025】
感光体ドラム6aに形成されたトナー像(Y)は、所定のタイミングで搬送ベルト10上に供給される被転写媒体である用紙13に、転写チャージャ6eから提供されるトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧により、静電的に転写される。なお、用紙13にトナー像(Y)が転写された後の感光体ドラム6a表面は、クリーニング装置6hによりクリーニングされ、転写されずに感光体ドラム6a表面に残ったトナーが除去される。
【0026】
以下、第2〜第4の画像形成ステーション7〜9により形成されたトナー像(C)、トナー像(M)およびトナー像(BK)が、搬送ベルト10により搬送されている用紙13に、順に転写される。従って、搬送ベルト10により搬送される用紙13上には、第4の画像形成ステーション9においてトナー像(BK)が転写された時点でY,M,CおよびBKの各トナー像が積層状態で転写され、減法混色に基づくフルカラーのトナー像が形成される。
【0027】
なお、各トナー像の出力および用紙13への転写に先立って、例えば調整モードが実行され、画像センサ3により、各画像形成ステーション6〜9の露光装置6c,7c,8cおよび9cのそれぞれから画像信号を出力する際の主走査方向の位置すなわち露光タイミングと、各色のトナー像の間隔すなわち副走査方向の露光タイミングが検出される。すなわち、搬送ベルト10上に直接形成した任意の色のトナー像(可視画像)を画像センサ3により読取り、読み取った信号すなわち画像センサ3による検知信号を、画像処理部4において所定のスレショルドレベルで処理して露光制御装置5へ出力することで、露光制御装置5において、各色の感光体ドラム6a,7a,8aおよび9aに対する各露光装置6c,7c,8cおよび9cからの露光タイミングを調整することができる。これにより、用紙13に転写される各色のトナー像の主走査方向および副走査方向のずれである色ずれの発生が防止される。
【0028】
搬送ベルト10は、図示しないモータまたは駆動力伝達系により所定速度で回転される駆動ローラ10a、従動ローラ10b及びテンションローラ10cにより所定の張力が与えられ、そのベルト面により保持した用紙13を副走査方向である矢印方向に搬送する。なお、搬送ローラ10による用紙13の搬送速度、すなわち搬送ベルト10のベルト面が移動される速度は、各画像形成ステーション6〜9の感光体ドラム6a,7a,8aおよび9aの周速と実質的に等しい速度になるよう、設定されている。また、搬送ベルト10は、2以上の従動ローラもしくはテンションローラを伴い、駆動ローラ10aと併せて4本以上のローラにより保持(循環)されてもよいことはいうまでもない。
【0029】
用紙13に転写されたフルカラーのトナー像は、搬送ベルト10のベルト面の矢印方向の移動により定着装置12に案内され、定着装置12から提供される熱と圧力により用紙13上に固定(定着)される。なお、用紙13を定着装置12に搬送した後の搬送ベルト10の表面は、ベルトクリーナ11によりクリーニングされる。また、定着装置12によりフルカラーのトナー像が定着された用紙13は、図示しない排紙トレイに排紙される。
【0030】
なお、搬送ベルト10の所定の位置、例えば駆動ローラ10aの上流側となる所定の位置には、図2を用いて以下に説明する通り、搬送ベルト10のベルト面(用紙搬送面)に対して所定の圧力を与える斜行低減機構のステアリングローラ(斜行補正ローラ)が所定の圧力で接触されている。
【0031】
図1に示した画像形成装置1においては、搬送ベルト10が保持する用紙13にトナー像が転写される際に、搬送ベルト10に横ずれが生じると、任意のあるいはいずれか1つのもしくはいずれか2つのトナー像が他のトナー像に重ならなくなり、色ずれが発生することになる。すなわち、第1〜第4の画像形成ステーション6〜9により形成された4色のトナー像が転写チャージャ6e,7e,8eおよび9eにより用紙13に転写される際に、搬送ベルト10に横ずれが生じている場合には、それに伴って用紙13も副走査方向にずれることから、4色のトナー像が重ならなくなる。
【0032】
斜行低減機構は、図2に示すように、上述した搬送ベルトの横ずれ(斜行)を低減するものである。
【0033】
図2に示すように、斜行低減機構20は、搬送ベルト10の駆動ローラ10aの上流側に設けられ、搬送ベルト10の幅方向(主走査方向)の一方の端部(縁部)の近傍に所定の圧力を提供するステアリングローラ21、ステアリングローラ21のいずれか一方の端部を、搬送ベルト10を押し付ける方向あるいは離れる方向に独立は変位させる第1および第2のステッピングモータ22a,22b、および搬送ベルト10の一端(エッジの一方)を検出可能に配置されたセンサ23を含む。
【0034】
ステアリングローラ21は、搬送ベルト10の幅方向の両端に設けられた第1のステッピングモータ22a(センサ23側)および第2のステッピングモータ22b(センサ23が存在しない側)により支持された詳述しないローラ支持部が、ステッピングモータ22a,22bの動作により搬送ベルト10を押し付ける方向あるいは離れる方向に独立に移動されることで、駆動ローラ10aにより循環される搬送ベルト10に、ベルト面が移動される方向と直交する方向の力を提供する。これにより、搬送ベルト10のベルト面は、ステアリングローラ21により圧力が提供された側とは反対側へ移動される。なお、搬送ベルト10の移動量および移動方向は、搬送ベルト10の一端の位置をモニタするセンサ23からの出力に基づいて、主制御装置2により設定される。
【0035】
センサ23は、図3に示すように、搬送ベルト10の幅方向の一方のエッジ(端部)を検知する光学式センサであり、「A」または「B」で規定される検出位置を、搬送ベルト10のエッジが通過したことを検出する。なお、センサ23の上述の検出位置「A」または「B」を搬送ベルト10のエッジが通過した場合、図示しないタイマまたは主制御装置2に入力される基本クロックに基づいて、その期間(時刻)が求められる(センサ23の「A」または「B」を搬送ベルト10のエッジが通過した時刻を把握する)。
【0036】
なお、センサ23は、図3において、搬送ベルト10のベルトエッジが「A点よりも左」すなわち「A」点でも「B」点でも検出されない、「A点とB点との間」すなわち「A」点で検知され「B」点では検出されない、「B点より右」すなわち「A」点でも「B」点でも検出されている、という搬送ベルト10のエッジがどこにいるかという情報と「B点を通過」または「A点を通過」したときの時刻が取得できればよい。したがって、センサ23は、ある幅をもった閾値内を搬送ベルト10のエッジが通過したことを検知可能であれば、光学式センサに限らず、例えば搬送ベルト10の幅(主走査方向)が一定であることを利用して、両側に光電センサや接触式のセンサを配置し、それぞれのセンサをベルトエッジが通過した時刻を取得することもできる。その他にも、ベルト10の表面に、閾値幅を示すパッチを描き、そのパッチを検知することや、ベルト10に予め孔を開け、その穴を利用するなど、様々な検出方法が適用できる。
【0037】
以下、センサ23からの情報をもとにして、ステアリングローラ21を操作する方法を説明する。
【0038】
図4は、図3に示したセンサ23における閾値「A」点、「B」点、および搬送ベルト10のエッジ位置を「C」を縦軸とし、経過時間を横軸として、搬送ベルト10のエッジ位置「C」の軌跡を時間の経過とともに示している。なお、図4においては、搬送ベルト10のエッジ「C」の動きを分かりやすくするために、連続的な軌跡としているが、前述したように、実際の制御時には連続したデータは必ずしも必要としない。
【0039】
まず、搬送ベルト10のエッジ「C」は、図4における
ア)「A」点でも「B」点でも検出されない、
イ)「A」点で検知され、「B」点では検出されない、
ウ)「A」点でも「B」点でも検出されている
のどこかに必ず存在しているはずである。すなわち、搬送ベルト10のエッジ位置「C」の初期位置として考えられるのは、上述のア)、イ)、ウ)のうちの1つの領域である。従って、センサ23の故障などを除き、センサ23の出力から、上述のア)、イ)、ウ)が検出される。なお、ア)の領域は、図3に示した状態において、搬送ベルト10のエッジが「A」点よりも左側、イ)は「A」点と「B」点との間、ウ)は「B」点よりも右側に位置している場合に対応する。
【0040】
従って、搬送ベルト10のエッジ初期位置が、例えばア)の領域すなわち「A」点でも「B」点でもエッジが検知されない場合は、閾値内すなわち「A」点と「B」点との間に搬送ベルト10のエッジを収めるためには、図2に示した第2のステッピングモータ22b(センサ23が設けられる端部とは反対の側)を動作させて、搬送ベルト10の端部が「A」点に近づくようにステアリングローラ21を傾ける(センサ23が存在しない側について、ステアリングローラ21をベルト10に押し付ける)ことになる。なお、この場合、ステアリングローラ21の傾け量(押し付け量)、すなわち第2のステッピングモータ22bの駆動量としては、十分に大きな値を用いる(入れておく)。なぜなら、もし、搬送ベルト10の寄り方向(この系の初期性質)が、ベルト10のエッジが「A」点よりも離れていく方向、すなわち「A」点および「B」点のいずれからも遠ざかる方向に移動するものであった場合に、これに抗して、搬送ベルト10を「B」点側に戻す必要があるからである。
【0041】
このようなステッピングモータ22b(センサ23の無い側)によるステアリングローラ21の制御により、ベルトエッジは、閾値A(「A」点)を通過し、閾値B(B点)に程なく到達する。
【0042】
搬送ベルト10のエッジが「B」点を通過する時刻をb1とし、エッジが「B」点を通過した時点で、傾けていたステアリングローラ21の傾きを元に戻し、ベルト10の初期状態に戻す。このとき、搬送ベルト10のエッジ位置「C」は、閾値Aに向かうか、逆に離れる(閾値Bからさらに閾値Aと逆向きに移動する)か、上述の系の初期性質に従ったいずれかの方向に移動する。
【0043】
ここであらかじめ決めてあった時間Ti[s]後までに、ベルトエッジが閾値Bを再び通過すれば、この系の斜行初期性質はベルトがBからAに向かう方向であるとの結論であり、通過しなければAからBに向かう方向であると決定できる。前者であれば、そのまま時間経過すればAに戻るため、再び寄り調整モータ2(22b)を動作させ、ステアリングローラを適切量傾動させることにより、ベルトエッジをBに向けることが出来る。その結果、図5のようなベルトエッジの軌跡を取らせることができる。後者の場合であれば、ベルトの斜行初期性質として、A→Bであるから、ベルトエッジをAに戻すためには寄り調整モータ1(22a)を動作させ、先ほどとは別の方向にステアリングローラを傾動させることにより、Aまでベルトエッジを移動することが出来る。
【0044】
ここで、あらかじめ決めてあった時間Ti[s]後までに、ベルトエッジ(「C」点)が閾値Bを再び通過すれば、この系の斜行初期性質は、ベルトエッジが閾値Bから閾値Aに向かう方向(便宜的に、極性[−]とする)であるとの結論であり、通過しなければベルトエッジが閾値Aから閾値Bに向かう方向(便宜的に、極性[+]とする)であると決定できる。
【0045】
前者(極性[−])であれば、そのまま、所定の時間を経過後に、閾値Aに戻るため、再び第2のステッピングモータ22bを動作させてステアリングローラ21によりベルト10を、センサ23が設けられていない側に傾けることにより、ベルトエッジを、閾値Bに向けて移動することができる。その結果、図4に示したようなベルトエッジ「C」点の軌跡を取らせることができる。
【0046】
後者(極性[+])の場合であれば、ベルトの斜行初期性質は、「A」点から「B」点に向かう方向であるから、ベルトエッジを「A」点(閾値A)に戻すためには、今度は、第1のステッピングモータ22aを動作させて、先ほど(極性[−]の場合)とは逆の方向にステアリングローラ21を傾けることにより、「A」点(閾値A)までベルトエッジを移動することが出来る。
【0047】
以上のようなステアリングローラの動作を行うことにより、まず対象とする系のベルトがもっている斜行初期性質を得ることが可能となる。このことにより、画像形成装置1を出荷したあとに、系の位置関係が変化してもその変化量を取得できる。
【0048】
しかしながら、搬送ベルト10の斜行による軸方向の移動をある閾値幅の中に収めることはできるが、その斜行により発生する画像の位置ずれが目標値に到達するかどうかは、不確定である。このため、画像の位置ずれの発生量(大きさ)の推定を、図4において、ベルトのエッジ位置が閾値幅すなわち閾値Aと閾値Bを通過するのに要する時間を用いて行う。
【0049】
図4は、一度「系(上述の極性「−」/「+」)」を決めてしまえば、搬送ベルト10のエッジ軌跡は直線的な移動であり、閾値幅すなわち閾値Aと閾値Bを通過する時間さえわかれば、発生する画像の位置ずれ量を推定することが容易であることを示している。
【0050】
例えば、センサ23の閾値幅をα[mm],閾値幅通過時間をTs、目標とする横ずれ量をγ[mm/s]とすると、γ≧α/Tsであることが求められるので、T0[s]≧α/γという目標時間を設定できる。
【0051】
したがって、本制御系においては、最終的な目標値である単位時間あたりに許容されるベルトの斜行(下限値)を、ベルトのエッジ「C」が閾値幅すなわち閾値Aと閾値Bとの間を通過する時間T0とし、図4のT1,T2の長さとT0とを比較した際に、T1,T2がT0よりも大きくなれば、その区間では目標値に達したと考えることができる。すなわち、ステアリングローラ21の一端を、ステッピングモータ22aまたは22bにより搬送ベルト10に押し当てて搬送ベルト10に横ずれを生じさせ、その横ずれが元に戻る時間よりも画像形成時に画像を保持したベルト面の任意の一点(主走査方向の1ライン)が移動(循環)されて画像形成が終了する(トナー像が用紙に転写される)までの時間を短くすることにより、色ずれのないフルカラー画像を得ることができる。
【0052】
図5に、ある系において、搬送ベルトのエッジが閾値幅すなわち図4における閾値Aと閾値Bとの間を横断する際に要する時間とステアリングローラの制御量との関係を示す。
【0053】
図5から、閾値幅をベルトのエッジが横断するために必要な時間すなわち閾値幅横断時間は、ある点を境に方向が逆転すること、およびその近くでは変化量が大きくなることがわかる。従って、図5において、閾値幅横断時間を目標値に近づけていくために、ある決められたステップごとに収束値に向かって近づけていけば良い。
【0054】
詳細には、図5において、閾値幅横断時間が、目標値T0より大きい領域(縦軸のT0より上方)の領域に、ステアリングローラ21の制御量が入っていれば良い。しかし、図5で、ベルトの横ずれ量が0となることを意味している境界線(一点鎖線)X0を挟み、ベルトの横ずれ方向が逆転することに注意が必要である。すなわち、図4に示した通り、ある閾値幅内から搬送ベルトのエッジが外れないようにするには、図5における境界線(一点鎖線)X0をまたいで、ステアリングローラ21の制御量を交互に設定する必要がある。
【0055】
より詳細には、図5において閾値幅横断時間が、目標値T0より大きい領域に位置するX5,X6あるいはX7が目標値を満たしており、境界線(一点鎖線)X0を挟んで対峙しているX5およびX6に対してX7が、X5←→X7、X6←→X7のように、交互にステアリングローラ21の制御量として、最終的に設定されていれば良い。従って、X5およびX6とX7との間のステアリングローラ21の制御量の差は、図5の目標値T0により決定される2δ(境界線X0からの一方の方向の距離δの2倍)より小さいことが必須である。
【0056】
なお、制御量が(閾値幅横断時間の)目標値T0より大きい領域にあるかどうかを決定するためには、その制御量における閾値横断時間(閾値幅すなわち閾値Aと閾値Bとの間を通過する時間)を測定することが必須であり、δの値が小さいことや、ベルトの横ずれ量が0になる領域は、その「系」に依存することから、探索することが必要となる。
【0057】
具体的には、ステアリングローラ21の制御量を大きいほうから徐々に小さくし、制御量が目標値T0より大きい領域に入る値を探索することになる。
【0058】
例えば、図5の右方からX1、X2・・・のように探索していくとすると、ある1ステップ分の制御量がδ以下であれば、境界線X0より右側の領域において目標値T0を得ることのできるδを求めることが出来、さらにその値よりもδだけステップを進めると、境界線X0より左側の領域において目標値T0を得ることのできる値を得ることが出来る。
【0059】
従って、この得られた2点を交互に繰り返すことにより(境界線X0を挟むそれぞれの領域においてδおよび目標値T0を得ることにより)、目標仕様を達成することができる(ステアリングローラ21の傾き量を設定することができる)。
【0060】
なお、δが小さい値であって、境界線X0から離れた値を初期値として(ステアリングローラ21の傾き量の)探索を始めると、目標値T0を得るまでの時間が多くかかってしまうことがある。このため、境界線X0から離れた場所では大きなステップで、境界線X0に近くなったら小さなステップで(ステアリングローラ21の傾き量を)探索していくことが望ましい。
【0061】
図6は、図5および図4により説明したステアリングローラ21の傾き量を設定する方法をより具体的に説明するフローチャートである。
【0062】
まず、前述したように、搬送ベルト10の初期状態(系の斜行初期性質)として、どの方向に横ずれしていくか、を判定する。既に説明した通り、ベルトの横ずれの方向によりステアリングローラ21を傾ける方向が異なるため、判定されたベルトの横ずれの方向に従って第1のステッピングモータ22aおよび第2のステッピングローラ22bのどちらを駆動するかが、決まる。
【0063】
以下、まずあらかじめ設定されていたα0の制御量を、駆動させるべきモータ(ここでは、モータ1(第1のステッピングモータ22a)とする)に指令する(S1)。
【0064】
α0は十分大きい値であり、T1秒後にはベルトエッジがSL(図4に示した「A」点と「B」点との間、または「A」点側から「B」点を通りすぎた所定の位置のいずれかに相当する)に到達する(S2)。
【0065】
その後、モータ1を初期位置に戻すと、T2秒後にはベルトエッジがSH(図4に示した「A」点、または「A」点側から「B」点を通りすぎたあとに「B」点に戻るいずれかに相当する)に到達する(S3)。
【0066】
次に、再度、モータ1にα0−1という値を導入すると、T3秒後にベルトエッジが、上述のSLに到達する(S4)。
【0067】
再度モータ1を初期位置に戻すと、T4秒後に、再びベルトエッジが上述のSHに到達する(S5)。
【0068】
この後、α0−1−(T1/T3)を入力するとT5秒後にベルトエッジがSLに到達する。ここで、T1>T3であるから必ずT1/T3<1となる(S6)。
【0069】
以降入力される制御量は、α0−1−(T1/T3)−(T5/T3)となり、その結果(制御量が入力されることで)、T6秒後に再びベルトエッジが上述のSHに到達する(S7)。
【0070】
すなわち、図6に示したように、ベルトエッジが設定閾値間を横断するのに必要とした時間の比を、徐々に制御量に「級数」として加えていくことにより、図5に示したT0よりも大きな領域に入る制御量を探索することができる。
【0071】
なお、図5において説明したように、T0よりも大きな領域に近づけば近づくほど、ステアリングローラ21を傾けるためにいずれかのステッピングモータに与える制御量が小さくても、上述した閾値横断時間は長くなる。従って、必然的に前記級数部分のT(A−2)/T(A)の値は、急速に小さくなっていく。
【0072】
このことにより、制御量がT0よりも大きな領域に達し(通り越し)、かつ搬送ベルト10の横ずれの方向が、意図せず反転することを防止している。また、制御量として、T0よりも大きな領域に入る制御量Kが算出できた場合には、KとK−δを、交互にステアリングローラの対応する側に傾きを与えるステッピングモータに与えることにより、安定して、横ずれ量を目標値以下に押さえることができる。なお、このδは、あらかじめ設定された値であり、画像形成装置1内の図示しない記憶装置内や、主制御装置2のファームに保存されている。
【0073】
また、図6においては、α0を初期値として、その次に、α0−1という量を制御値として入れているが「1」である必要性は無く、その系に応じて適宜係数を変えてよい。その際には、その後の級数部分にも係数がかかることはいうまでもない(自明である)。
【0074】
また、図6においては、搬送ベルトの初期性質が一方向である場合を例に説明したが、初期性質が反対であった場合には、ステアリングローラの傾きの向きを変えれば、同様であることもいうまでもない(自明である)。
【0075】
なお、図2および図3を用いて説明した実施の形態は、搬送ベルトのベルト面(画像が形成される側の面)に、外側(ベルト面側)から接するステアリングローラを用いて説明したが、搬送ベルトの内側にステアリングローラも設け、ベルトの内側からベルトに傾きを与えることによっても同様の作用および効果が得られることはいうまでもない。
【0076】
図7は、図1に示した画像形成装置の別の実施の形態を示す。なお、図1に示した画像形成装置と同一の要素あるいは実質的に同一の要素には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0077】
図7に示す画像形成部109は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナーを用いて単色の現像画像をそれぞれ形成する第1〜第4の画像形成ステーション6〜9を有する。また、露光制御装置5には、画像センサ3により読み取られたトナー像の位置のずれや、各色のトナー像の間隔が画像処理部4を介して入力される。
【0078】
なお、第1〜第4の画像形成ステーション6〜9に沿って設けられているベルト体は、各画像形成ステーション6〜9において形成されたトナー像を、転写チャージャ6e,7e,8eおよび9eにより順に重ね合わせた状態で保持し、定着装置12の近傍において外部から供給される用紙13に一括して転写するための中間転写ベルト30である。この中間転写ベルト30は、図1に示した駆動ローラ10a、従動ローラ10bおよびテンションローラ10cと同様に機能する駆動ローラ30a、従動ローラ30bおよびテンションローラ30cにより、ベルト面が一定の速度で移動されることはいうまでもない。
【0079】
中間転写ベルト30が保持する4色(フルカラー)のトナー像は、定着装置12の上流側に位置された転写ローラ31から、中間転写ベルト30との間に用紙13を介在させた状態で中間転写ベルト30に供給される転写電圧により、用紙13に転写される。
【0080】
なお、斜行低減機構20は、図2〜図4を用いて説明した例と実質的に同一の構成を用いることが可能であるが、テンションローラ30cに、ステアリングローラ21の機能を持たせることもできる。
【0081】
以上説明したように本発明によれば、トナー像が転写された被転写媒体である用紙あるいはトナー像を保持したベルト体の斜行を高精度に制御でき、色ずれの少ないフルカラー画像を提供可能な画像形成装置を提供することが出来る。
【0082】
すなわち、本発明を適用することで、ベルト体の斜行を容易に補正することができ、ベルト体の加工や組立て精度あるいは輸送もしくは設置条件などにより発生するベルトの斜行の方向や量のばらつきを低減できる。これにより、色ずれのない高精度なフルカラー画像を、長期に亘って得ることができる。また、ベルトに対するダメージの軽減が図れることにより、長寿命な画像形成装置を得ることができる。
【0083】
なお、本発明は、上述のいずれかの実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記のいずれかの実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明の実施の形態が適用されるベルト搬送装置を用いたカラー電子写真装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した画像形成装置に組み込まれるベルト斜行低減機構の一例を示す概略図。
【図3】図2に示したベルト斜行低減機構に用いられるセンサの配列とベルト端の関係の一例を示す概略図。
【図4】図3に示したセンサの出力とベルトの斜行の時間的関係を説明する概略図。
【図5】図4に示したセンサ出力に対するベルトに付与する傾け量(ステアリングローラ制御量)との関係を説明するグラフ。
【図6】図5に示したベルト傾け量(ステアリングローラ制御量)を設定する方法を説明するフローチャート。
【図7】図1に示した画像形成装置の別の実施の形態を説明する概略図。
【符号の説明】
【0085】
1…画像形成装置、2…主制御装置、3…画像センサ、4…画像処理部、5…露光制御装置、6〜9…画像形成ステーション、10…搬送ベルト、10a…駆動ローラ、10b…従動ローラ、10c…テンションローラ、11…ベルトクリーナ、12…定着装置、20…斜行低減機構、21…ステアリングローラ、22a,22b…ステッピングモータ、23…(寄り)センサ、30…中間転写ベルト、31…転写ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト面が所定方向に循環される無端状ベルトを有し、前記ベルト面上に可視像または可視像を担持した画像担持媒体を保持する画像形成装置のベルト循環装置であって、
前記ベルト面と接触可能に設けられるローラ体または前記無端状ベルトを循環する循環機構の駆動軸あるいは少なくとも1つの補助軸を介して前記無端状ベルトが循環される方向と異なる方向に所定の圧力を与えることにより、循環される前記無端状ベルトに、前記無端状ベルトが循環される方向と直交する幅方向の変位を与え、
前記幅方向の変位が与えられて循環される前記無端状ベルトの前記幅方向の端部を所定の閾値を規定する2点で検出し、
前記所定の閾値を規定する2点のそれぞれにおいて前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が2点間を移動される時間差を求め、
前記求められた時間差に基づいて、前記ローラ体または前記循環機構の駆動軸あるいは少なくとも1つの補助軸により前記ベルト面に与える圧力を決定する
ことを特徴とするベルト循環装置。
【請求項2】
ベルト面が所定方向に循環される無端状ベルトを有し、ベルト面上に可視像または可視像を担持した画像担持媒体を保持する画像形成装置のベルト循環装置であって、
前記ベルト面と接触可能に設けられるローラ体を介して前記無端状ベルトの幅方向の一端を、前記ベルト面が循環される方向と直交する幅方向に移動させて、または前記ベルト面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう移動させて、循環される前記無端状ベルトに、前記幅方向の変位を与え、
前記幅方向の変位が与えられて循環される前記無端状ベルトの前記ベルト面の幅方向の端部を所定の閾値を規定する2点で検出し、
前記所定の閾値を規定する2点のそれぞれにおいて前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が2点間を移動される時間差を求め、
求められた時間差に基づいて、前記ローラ体により、前記無端状ベルトの前記幅方向の一端を、前記ベルト面が循環される方向と直交する方向または前記ベルト面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう、前記幅方向に所定量移動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
トナー像またはトナー像を保持する被転写媒体を支持する支持面を有し、少なくとも3本の回転軸により前記支持面が一定方向に循環されるベルト体と、
前記支持面が循環される方向と直交する幅方向における前記ベルト体の端部の位置を、前記幅方向に距離を置いた2点で検出する端部検出器と、
前記端部検出器により前記2点で前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が前記2点間を移動される時間差を求め、求められた時間差に基づいて、前記ベルト体の幅方向の一端が、前記幅方向に移動するか、前記支持面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう前記幅方向に移動するように、少なくとも1本の前記回転軸を傾斜させて前記支持面に所定の圧力を与える支持体傾斜装置と、
この支持体傾斜装置を所定量傾斜させる制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成送置のベルト制御装置。
【請求項4】
トナー像またはトナー像を保持する被転写媒体を支持する支持面を有し、少なくとも3本の回転軸により支持面が一定方向に循環されるベルト体と、
前記支持面が循環される方向と直交する幅方向における前記ベルト体の端部の位置を、前記幅方向に距離を置いた2点で検出する端部検出器と、
前記端部検出器により前記2点で前記幅方向の端部が検出された時刻に基づいて、前記幅方向の端部が前記2点間を移動される時間差を求め、求められた時間差に基づいて、前記ベルト体の幅方向の一端が、前記幅方向に移動するか、前記支持面が循環される方向に対して所定の傾きを持つよう前記幅方向に移動するように、少なくとも1本の前記回転軸を前記支持面に対して所定量傾ける支持体傾斜装置と、
この支持体傾斜装置を所定量傾斜させる制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成送置のベルト制御装置。
【請求項5】
前記無端状ベルトの前記ベルト面により、トナー像またはトナー像を保持可能な画像保持体を保持し、フルカラー画像を形成することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成送置。
【請求項6】
前記ベルト体の前記支持面により、トナー像またはトナー像を保持可能な画像保持体を保持し、フルカラー画像を形成することを特徴とする請求項3または4記載の画像形成装置のベルト制御装置。
【請求項7】
無端状ベルトが循環される方向に平行なベルト端部の変位を、所定の閾値が与えられた2点で検出し、
前記2点のそれぞれにおいて前記ベルト端部が検出された時刻に基づいて、前記ベルト端部が前記2点間を移動される時間差を求め、
画像形成時、前記求められた時間差に基づいて、前記無端状ベルトに、前記無端状ベルトが循環される方向と直交する幅方向の変位が元に戻る時間、もしくは前記無端状ベルトが循環される方向に対する傾きが元に戻る時間よりも前記無端状ベルトまたは前記無端状ベルトが保持した画像保持媒体に対する画像形成が終了するまでの時間が短くなるよう、前記幅方向の変位、もしくは前記所定の傾きを与えることを特徴とする画像形成装置のベルト斜行制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−38994(P2010−38994A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198740(P2008−198740)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】