説明

ページング方法および装置

【課題】 双方向ページングシステムを提供する。
【解決手段】 双方向ページングシステムは、ページャユニット(22)と中央制御局(20)との間の伝送のために4つのローカル周波数を利用する。第1の周波数(f1)はローカルクロックを搬送し、第2のローカル周波数(f2)は中央制御局からページングユニットに通信パケットを搬送し、第3のローカル周波数(f3)は、ページャユニットから中央制御局に通信パケットを搬送し、第4のローカル周波数(f4)は、ページングユニット(22)から中央制御局(20)にステータスまたはリクエスト信号を搬送する。第4のローカル周波数(f4)での伝送は、中央制御局(20)にアクセスしているページャユニットの間の時分割されたスロット割り当てに従っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ページングに関する。具体的には、双方向ページング方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年間のあいだに、ページャは、遠隔に位置する人々に連絡を取らせるための重要な通信機器であると判明した。初期のページャは主として、音声および/または振動出力のみを供給していたが、もっと最近のページャは、例えばメッセージを含む英数字ディスプレイのような出力能力を強化している。
【0003】
ページングシステムは、従来は片方向システムであった。すなわち、ユーザは中央端末からページングメッセージを受け取るが、ページャを用いてそのメッセージに応答するすべがなかった。ページャに対して双方向通信能力を提供しようとする従来技術による試みの中には、ページャを電話(例えば、移動無線電話)に接続しようとする努力が含まれていた。例えば、Bhagatらに付与された米国特許第RE33,417号(無線ページャの全体と、無線電話とを自動ダイアラを通してリンクすることによって結合する)およびMetrokaらに付与された米国特許第5,117,449号(ページングとセルラ無線電話機能とを単一のユニット内に結合したとされる)を参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ページャの中には、ページング信号に対してアクノリッジまたは応答を与える能力をもっているものもある。このような「アックバック」システムにおいては、ユーザは、ページングされた時に応答入力装置(例えば、トグルスイッチ、プッシュボタンスイッチあるいはキーボード)を操作する。典型的には、このようなアックバックシステムは、多数の周波数あるいは多数の周波数サブバンドを伴う複雑なアクノリッジ伝送スキームを伴う。ページャが、異なる複数の中央局によって管理される異なる複数の地理的領域つまり「セル」の間を移動している間のページャのハンドオフは、おびただしい数の周波数が伴う時には、技術的に厄介なものになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
双方向ページングシステムは、ページャユニットと中央制御局との間での伝送のために、4つのローカル周波数を用いる。第1のローカル周波数は、ローカルクロックを搬送し、第2のローカル周波数は、中央制御局からページングユニットに通信パケットを搬送し、第3のローカル周波数は、ページャユニットから中央制御局に通信パケットを搬送し、第4のローカル周波数は、ページングユニットから中央制御局にステータスまたはリクエスト信号を搬送する。4つのローカル周波数に基づく伝送は、中央制御局にアクセスしているページャユニットの間の時分割されたスロット割り当てに従う。
【0006】
複数の中央制御局が、対応する複数のセルを管理している双方向ページングシステムについては、どの1個のセル内でも、合計8つの周波数が利用される。利用される周波数のうち4つは、(セル毎に異なることのある)ローカル周波数であり、利用される周波数の残りの4つは、あるセルから別のセルに移動しているページャユニットの切り替えまたはハンドオフのために用いられる、よりパワーの低い共通周波数すなわち切り替え周波数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の第1の実施形態による中央制御局20を示し、図2は、中央制御局20と共に用いるのに適したページャユニット22を示す。
【0008】
図1に示されているように、中央制御局20は、中央コンピュータ30と、送信機32と、受信機34と、コンピュータ化された電話アンサリングシステム36とを備えている。送信機32は、送信アンテナ42を介して、2つのローカル周波数、すなわち、周波数f1と周波数f2とを送信する。受信機34は、2つのローカル周波数、すなわち、周波数f3と周波数f4を受信するために、受信機アンテナ44に接続されている。コンピュータ化された電話アンサリングシステム36は、電話48のバンクに接続されている。
【0009】
中央制御局20の中央コンピュータ30は、CPU50と、I/Oインタフェース52と、メモリ54とを含む典型的な構成要素を備えた従来のコンピュータを含んでいる。図1には概略的にしか図示されていないが、メモリ54は(例えば)ハードディスクドライブ、RAM、およびROMを含む図示されていないいくつかのメモリ素子を備えていることは理解されたい。図1は、メモリ54が(中でも)ページャレジストレーションファイル55とページャディレクトリファイル56とを格納していることを示している。ページャファイル55および56は、典型的には、中央コンピュータ30のハードディスクドライブ上に格納されており、スタートアップされると、メモリ54のRAM部にロード可能となる。
【0010】
中央制御局20の中央コンピュータ30は、(出力通信情報を符号化するために、I/Oインタフェース52と送信機32の間に接続されている)エンコーダ58と共に、(1つ以上のページャユニット22からの入力通信情報を復号化するために、受信機34とI/Oインタフェース52との間に接続されている)デコーダ57をさらに備えている。
【0011】
中央制御局20は、また、ローカルクロック信号f1clk(これが今度は、周波数f1を変調するために用いられる)を生成するクロックユニット59を備えている。
【0012】
さらに図示されているように、中央制御局20のCPU50は、周波数f2で伝送するための通信パケットを作成する。図12に概略的に図示されているように、通信パケットは、所定のフォーマットによるものであり、中央制御局の識別のためのフィールドと、アドレシングされた(少なくとも1つの)ページャユニット22の識別のためのフィールドと、演算コード用のフィールドと、(オプションとして)英数字情報用のフィールドと、例えばチェックサム、誤り訂正およびポストアンブルのような、その他の従来のパケットタイプ情報のためのフィールドと、を有している。プリアンブルおよびポストアンブルは、パケットの始端と終端とを判定することを目的として、データから認識、区別されうる特に選択されたパターンである。英数字情報は、慣用の2進8ビットフォーマットであり得る。図12のフォーマットは単に一例を示すものにすぎない。なぜなら、フィールドの順番のような情報は、その他の実施形態においては変えることができるからである。
【0013】
中央制御局20は、複数のページャユニット221、222、・・・22Nと通信する。ただ1つのこのようなページャユニット(包括的にページングユニット22と呼ぶことにする)が、本明細書においては具体的に図示され説明されるが、それ以外のページャユニットの構成および動作も、説明されるこの1個のページャユニットと同様でよいことは理解されたい。
【0014】
図2に示されているように、ページャユニット22は、ページャ受信機62に接続されているページャ受信機アンテナ60を備えている。ページャ受信機62はどうかというと、ページャコンピュータ70内のS/D変換器64を通して接続されている。受信局62は、2つのローカル周波数f1およびf2を受信する。これらの周波数は、入力通信情報(詳細については後述する)をページャコンピュータ70に搬送するために変調されている。通信出力側においては、ページャコンピュータ70は、D/S変換器74を介して出力通信情報をページャ送信機72に出力する。送信機72は、ページャアンテナ76を介して、2つのローカル周波数f3およびf4で出力通信情報をブロードキャストする。
【0015】
図2に示されているように、ページャコンピュータ70は、算術プロセッサ82、(ROMおよびRAMの両方を備えている)メモリシステム84、およびI/Oインタフェース86のそれぞれに接続されている、ページャマイクロプロセッサ80を備えている。I/Oインタフェース86は、クロックユニット87に接続されている。I/Oインタフェース86は、また、8ビットデコーダ88から入力される復号化された通信情報を受け取り、かつ、8ビットエンコーダ90に符号化されていない出力通信情報を出力することができるように接続されている。デコーダ88は、S/D変換器64から入力される符号化された通信情報を受け取ることができるように接続されている。エンコーダ90は、符号化された出力通信情報をD/S変換器74に出力することができるように接続されている。
【0016】
クロックユニット87は、その入力に対応する周波数を有するローカルクロック信号f1clkを生成するように、適切な入力によって設定可能である。その他の実施形態においては、クロックユニット87の機能は、プログラミングされた実行を用いて、少なくとも部分的にはマイクロプロセッサ80により実行可能であることは理解されたい。
【0017】
I/Oインタフェース86は、多数の入力/出力装置との入力および出力を容易にするため、さらにはライン92上でオン/オフ信号をページャ送信機72に供給することができるように接続されている。I/Oインタフェース86に接続されている入力/出力装置は、キーボード93と、ビーパ94と、バイブレータ95と、LCD(英数字)ディスプレイ96とを含んでいる。
【0018】
製造時において、ページャユニット22は、メモリ84(ROM)に格納されている識別シリアルナンバ(例えば、7桁の英数字による予め割り当てられたIDナンバ)を用いて予めプログラミングされる。ページャユニット22は(例えば、購入時に)ページャユニット22のメモリ84内の所定のアドレスおよび(中央制御局20のメモリ54内に格納されている)ページャディレクトリファイル56の両方の中にタイムスロット割り当て(後述する)を挿入することによってアクティベートされる。

第1の実施形態の動作
中央制御局20とページャユニット22との間の通信は、4つのローカル周波数、特に上記した周波数f1、f2、f3およびf4において起こる。第1の周波数(f1)は、中央制御局20からページングユニット22へローカルクロック合わせ信号を搬送する。第2の周波数(f2)は、中央制御局20からページングユニット22へページャコマンドと英数字データとを搬送する。第3の周波数(f3)は、ページングユニット22から中央制御局20へページャステータスデータと英数字データとを搬送する。第4の周波数(f4)は、ページングユニット22から中央制御局20へページャリクエスト信号を搬送する。本実施形態において、周波数f1〜f4は好適にはf1≠f2≠f3≠f4となるように選択される。
【0019】
以下により詳細に述べ且つ図13に説明するように、通常の非セル切り替え動作においては、周波数f4におけるページャリクエスト信号がページングユニット22に指定された所定のタイムスロット内に送信される。周波数f4における所定のタイムスロットはクロック合わせ信号(周波数f1によって搬送される)に関連しており、且つ第4の周波数が他の複数のページングユニットによって利用可能となるように指定される。例えば図13に示すように、周波数f4における1番目のタイムスロットはページャP1に指定され、2番目のタイムスロットはページャP2に指定され、同様にn番目のタイムスロットはページャPnに指定される。本実施形態において、タイムスロットの数(従ってページャの数)は、10,000以上もの大きな数であり得る。
【0020】
図3は、1以上のページングユニットとの通信を処理する際に中央制御局20のCPU50によって実行される工程を示す。図3に示す工程は、中央制御局20のメモリ54のROM部に記憶されたインストラクションを示す。
【0021】
中央制御局20がスタートアップする(ステップ100)と、初期化プロセス(ステップ102)が実行される。初期化プロセスに含まれるのは、送信機32の活性化(送信機32が2つの周波数f1およびf2において送信できるように)と受信機34の活性化(受信機34が2つの周波数f3およびf4を受信できるように)とである。さらに、周波数f1は、ローカルクロック59によって生成されるローカルクロック合わせ信号を搬送するように変調される。次いで、ステップ104において、ページャレジストレーションファイル55とページャディレクトリファイル56とがハードディスクからメモリ54のRAM部にロードされる(ステップ104)。
【0022】
初期化およびファイル55および56のロードの後、CPU50はインストラクションループ106を繰り返し実行する。ループ106は、電話メッセージが(バンク48内の電話の1つからアンサリングシステム36を介して)受信されているか否かを判定する(ステップ108)ためのチェックと、ページャメッセージが(ページングユニット22の1つから送信機32を介して)受信されているか否かを判定する(ステップ110)ためのチェックとを含む。
【0023】
本明細書で用いられるように、メッセージは、電話からのものであるかページャからのものであるかにかかわらず、中央局20からページャ22へのまたはその逆の送信用の複数のパケットを必要とし得る。以下の議論において、メッセージの送信および受信は1以上のパケットの送受信を含む。概して、メッセージのパケット化は、ユーザには見えない。すなわち、ユーザはメッセージを送信するために必要とされ得るパケットの数を考慮することなくメッセージを入力する。メッセージは典型的には、ユーザが入力したメッセージの終了文字またはメッセージの区切り文字で終了する。送信装置(中央局20またはページャ22のいずれか)は、図12のフォーマットと類似のフォーマットを有する1以上のパケットにメッセージを割り当てる。メッセージの最終のパケットはメッセージ終了文字を含む。また、パケットは送信機から送信される連続的に関連するパケットの数を指示するような様式でフォーマットされてもよい(例えば、関連するパケットのシリアルナンバーを指示する別のパケットフィールドがあってもよい)。
【0024】
I/Oインタフェース52は受信したメッセージのタイプに応じてCPU50に異なるタイプの割り込みを生成するという事実のために、中央コンピュータ30は、電話メッセージの受信(ステップ108)とページャメッセージの受信(ステップ110)とを区別することができる。ステップ108において電話メッセージが受信されていると判定された場合、図3のステップ112、114および116が実行される。
【0025】
受信された電話メッセージを処理する際に、ステップ112において、中央コンピュータ30は予め順序を決定された入力済みデータから送信用通信情報を抽出する。バンク48内の電話の1つのタッチパッドを介して電話より入力されたデータは、慣例により、電話の識別子(例えば、電話番号)と、呼ばれたページャユニットの識別子(例えば、7文字の英数字による予め指定されたID番号と、送信用のいずれかの文字データおよび終了文字とを含む。この送信用通信情報は、標準DTMFフォーマットで中央コンピュータ30により受信される。
【0026】
ステップ114において、中央コンピュータ30は、呼ばれたページャのID番号(ステップ112で得られる)を用いて、ページャレジストレーションファイル55とディレクトリファイル56とをチェックすることにより、呼ばれたページャユニットが中央制御局20に登録されているか否かを判定する。呼ばれたページャが登録されている場合、中央コンピュータ30はステップ114で、呼ばれたページャユニットに指定されたスロットをもページャディレクトリファイル56から得る。
【0027】
ステップ116において、中央制御局30は呼ばれたページャユニットに通信情報を送信する。この点に関して、中央制御局20は、呼ばれたページャユニットのID番号、およびページャユニット22の送信用電話から受信された文字データなどを含む通信メッセージを作成し且つ(周波数f2により)送信する。ステップ116が実行された後、処理はループ106に戻る。
【0028】
ステップ110において、ページャメッセージが受信されていると判定された場合、(ループ106に戻る前に)図3の偶数ステップ132〜140が実行される。図4を参照して以下に述べるように、送信側ページャユニット22がメッセージを送信することを所望するときに、送信側ページャユニット22は、指定されたタイムスロット中に、周波数f4によりリクエスト信号を送信する。中央制御局20は常に周波数f4をモニタしているため、周波数f4により搬送されるリクエスト信号は、いずれのページャユニット22からのものであっても留意される。ローカルクロック59に関して、CPU50はステップ132で、周波数f4用のいずれのタイムスロットでリクエスト信号が検出されるかを判定する。ステップ132においてタイムスロットが検出されると、CPU50はステップ134で、ページャディレクトリファイル56を参照することによりリクエスト信号を生成した特定のページャユニット22のID番号を判定する。
【0029】
リクエスト側ページャユニット22のIDが知られると、中央制御局20はステップ136で、リクエスト側ページャユニット22がそのメッセージを送信することを許可する。特に、CPU50は周波数f2による送信用通信メッセージの作成を指示する。ステップ136で作成される特定の通信パケットは、リクエスト側ページャユニットの識別子(パケットの宛先)と、リクエスト側ページャユニット22がそのメッセージを送信することをコマンド/許可するオペレーションコード(「オペ」コード)とを含む。
【0030】
ステップ138において、中央制御局20は、送信側(例えば、リクエスト側)ページャユニット22から周波数f3により送信された通信メッセージを受信する。送信側ページャユニット22により作成され且つ送信された通信メッセージは、図12に示すフォーマットに類似のフォーマットのパケットを含み、且つ、メッセージが最終的に送られるページャの識別子とパケット自体の識別子とを含む。ステップ138において、CPU50は、最終の宛先であるページャユニットがページャファイル55および56内に登録されているということを確認するためのチェックを行う。ステップ140において、CPU50は、メッセージ内のいずれの必要な再フォーマッティングおよび/または置換をも行い、メッセージが周波数f2で送信されるようにする。ステップ140で必要とされる周波数f2による送信は、最終宛先(例えばページャユニット22)の識別子と、送信が別のページャユニットから中継されたメッセージを含むということを示すオペレーションコードとを含む。
【0031】
ページャユニット22が送信モードに関連して実行する工程を、図4に示す。ページャユニット22が受信モードに関連して実行する工程を、図5に示す。本明細書において、用語「モード」は、特定のモーメントを排他的に示すものではない。なぜなら、ページャユニット22は常に周波数f1およびf2による送信を受信しているからである。
【0032】
送信モード(図4参照)において、スタートアップ(ステップ200)の後、送信側ページャユニット22のマイクロプロセッサ80はループ202を実行する。ループ202において、ユーザの英数文字(キーボード93を介して入力された)は、メッセージの終了を示す区切り文字が検出される(ステップ206)まで、繰り返しフェッチされる(ステップ204)。入力されステップ204でフェッチされた文字は、LCDディスプレイ96上に表示される。ステップ206で区切り文字が入力されることにより、マイクロプロセッサ80はループ202を抜ける。慣例的に、メッセージは宛先IDを含み、上記宛先IDは、ステップ204で入力されたメッセージが向けられる別のページャユニットのIDである傾向がある。
【0033】
メッセージのエントリの後、ステップ212において、キーボード93からの送信コマンドのエントリを待つ。送信コマンドがステップ212で入力された場合、マイクロプロセッサ80はリクエスト信号を生成し且つ周波数f4により送信する。上記のように、リクエスト信号は、リクエスト側ページャユニット22に指定されたタイムスロット内に周波数f4により送信される。ページャユニット22は常に周波数f1によるローカルクロック合わせ信号を受信しており、それによりマイクロプロセッサ80が、特定の送信側ページャユニット22に割り当てられた特定のタイムスロットに対応するタイムで周波数f4によりリクエスト信号を送信することが可能になるということに留意されたい。
【0034】
上記に関して、時分割技術に応じて、各ページャユニット221〜22N(例えば、図13のページャP1〜Pn)には周波数f4のN個のタイムスロットのうちから選択された1つが指定される。
【0035】
ステップ214におけるリクエスト信号の送信後、ページャユニット22は、中央制御局20からの送信コマンドの受信を待つ。中央制御局20からの送信コマンド/送信許可の作成および送信を図3を参照して説明する。中央制御局20からの送信コマンド/送信許可の受信(ステップ216)後、マイクロプロセッサ80は、図12のフォーマットに非常に類似するフォーマットを有する1以上のパケットを含む通信メッセージを作成する(ステップ218)。通信メッセージの宛先IDおよびパケットの英数字フィールドは、ループ202中に入力されたメッセージでフルになる。ステップ220において、送信側ページャユニット22は周波数f3により通信パケットをブロードキャストする。
【0036】
ステップ212で送信コマンドが入力されない場合、またはステップ220におけるメッセージの送信後、ステップ222において、マイクロプロセッサ80は、いくつかの可能な特別の機能のうちの少なくとも1つのエントリを待つ。例えば、ユーザはメッセージ(すでに送信されたか否かにかかわらず)の記憶[ステップ228]を必要とするファンクションキーを押圧してもよい。またユーザは、メッセージの編集(ステップ224参照)または消去(ステップ226参照)を容易にするファンクションキーを押圧してもよい。メッセージを終了して次のメッセージ用の作業を開始するためには、出口(exit)動作(ステップ230)専用のファンクションキーを押圧しなければならない。
【0037】
図5は、受信モードにおけるページャユニット22に対してマイクロプロセッサ80が実行する工程を示す。スタートアップ(ステップ302)後、ステップ304に示すように、ページャユニット22が、中央制御局20から周波数f2による送信を受信する。完全なパケットが受信される(ステップ306で判定)と、通信パケット内の宛先ID(図12のパケットフォーマット参照)が受信側ページャユニット22のIDであるか否かがチェックされる(ステップ308)。ステップ306と308のいずれかの判定がNOであれば、ページャユニット22は、ステップ304に戻ることにより、通信パケットの終了(ステップ306の判定がNOの場合)または別の通信パケットの受信(ステップ308の判定がNOの場合)のいずれかを待つ。
【0038】
受信した通信パケットがこの特定の受信側ページャユニット22に割り当てられている場合、ステップ310において、マイクロプロセッサ80は、通信パケットのオペレーションコードフィールド(図12参照)を参照することにより、メッセージがコマンドを含むことをオペレーションコードが示しているか否かを判定する。オペレーションコードがコマンドを示している場合、コマンド処理ルーチン(図5の破線312で囲まれる)を実行する。
【0039】
オペレーションコードがコマンドを示していない場合、ステップ314において、ページャユニット22のマイクロプロセッサ80は、通信パケットの英数字フィールド部(メッセージの少なくとも1部を形成する)をメモリ84内のRAM部に記憶する。中央処理局20から通信されたメッセージは、メッセージを終了させるために、いくつかの通信パケットを(メッセージ内容の連続性を供給する次の通信パケットと共に)必要とし得るため、マイクロプロセッサ80はステップ316において、メッセージ全体が受信されたことを確認するためのチェックを行う。メッセージ全体が受信されていなければ、処理は、更なる通信パケットを受信するために、ステップ304に戻る。
【0040】
通信メッセージ全体が受信されると、マイクロプロセッサ80は、ステップ318において、ページャユニット22がビープモードであるか振動モードであるかを判定する。この点に関して、ページャユニット22上の専用スイッチまたはキーボード93を用いたデータエントリにより、ページャユニット22を所望のモードに設定する、多くの方法がある。ページャユニット22がビープモードであれば、マイクロプロセッサ80は、ビーパ94を活性化させる更なる信号をI/Oインタフェース86に発生させる信号を出力する(ステップ320)。また、ページャユニット22が振動モードであれば、マイクロプロセッサ80は、バイブレータ95を活性化させる更なる信号をI/Oインタフェース86に発生させる信号を出力する(ステップ322)。
【0041】
ステップ324において、マイクロプロセッサ80は、受信したメッセージをユーザが見ることができるように、英数字メッセージデータをLCDディスプレイ96に送信することを、I/Oインタフェース86に指示する。
【0042】
受信した英数字データをユーザに(ビーパ94および/またはバイブレータ95のいずれかを介して)通知し且つ(LCD96上に)表示した後、マイクロプロセッサ80はステップ304に戻って、更なる通信パケットが受信されているか否かをチェックする。
【0043】
コマンド処理ルーチン(図5の破線312で囲まれる)はまず、どの特定のオペレーションがコマンドされているかを判定(ステップ330)する。この判定は、オペレーションコードの内容に基づいており、上記オペレーションコードの内容は、異なるタイプのコマンドに対しては異なる。オペレーションコードがエラーシャットダウンを示していれば、処理の実行はステップ340から始まるエラーシャットダウンサブルーチンに進む。オペレーションコードがタイムスロット変更を示していれば、処理の実行はステップ350から始まるタイムスロット変更サブルーチンに進む。オペレーションコードが送信機のシャットダウンを必要としていれば、処理の実行はステップ360から始まる送信機シャットダウンサブルーチンに進む。オペレーションコードが送信機のリイネーブルメントを必要としていれば、処理の実行は370から始まる送信機リイネーブルメントブルーチンに進む。オペレーションコードがクロックリセットを必要としていれば、処理の実行はステップ380から始まるクロックリセットサブルーチンに進む。
【0044】
エラーシャットダウンサブルーチンに関して、ステップ342において、マイクロプロセッサ80は、通信パケットからエラータイプの指示を入手する。エラータイプは、メモリ84内に記憶され(ステップ344)、その後LCDディスプレイ96上に表示される(ステップ346)。マイクロプロセッサ80は、ページャユニット22をシャットダウンさせるコマンドを出し(ステップ348)、ステップ349でシャットダウンが起こる。
【0045】
タイムスロット変更サブルーチンに関して、ステップ352で、マイクロプロセッサ80は、受信した通信パケットから、受信側ページャユニット22に指定される新しいタイムスロットを指示する情報を抽出する。新しいタイムスロットは、メモリ84に入力され(ステップ354)、その後周波数f4によるリクエスト信号の送信に関連して(更なる変更がなされるまで)利用される(例えば、図4のステップ214を参照のこと)。タイムスロット変更サブルーチンは、所望であれば、(例えば)未使用のタイムスロットを排除する(それにより走査速度を上げる)ことと、診断およびトラブルシューティングと、故障または誤動作した装置からのサービスへの割り込みとを含む他のオペレーションを含んでもよい。
【0046】
送信機シャットダウンサブルーチンに関して、ステップ362において、マイクロプロセッサ80は、オフコマンドを送信機72に出すようにI/Oインタフェース86に指示する。送信機リイネーブルメントサブルーチンに関して、ステップ372において、マイクロプロセッサ80は、オンコマンドを送信機72に出すようにI/Oインタフェース86に指示する。
【0047】
クロックリセットサブルーチンに関して、ステップ382において、マイクロプロセッサ80は、ページャユニット22をセットするようにクロック59に指示する。
【0048】
ステップ354、362、372または382の実行の後、処理の実行はステップ304に戻って処理が必要な可能性のある更なる通信パケットの処理を行う。このように、エラーシャットダウンが通知されるまで、コマンド処理ルーチン(図5の破線312で囲まれる)のエントリの後ステップ304までのループが実行される。
【0049】
図6は、特に、宛先であるページャユニットP2にメッセージを送信するための送信側ページャユニットP1によるリクエストに関して、周波数f1〜f4と、図3〜図5に示すステップの統合とを示すタイミング図である。図6において、用語「コンピュータ」は、中央制御局20を示す。送信側ページャユニットP1と宛先であるページャユニットP2とは、図4に示す送信モードおよび図5に示す受信モードの両方で動作することを理解されたい。図6は概して、ページャユニットP1からの(中央制御局20を介した)ページャユニットP2へのメッセージの送信と、ページャユニットP2からの(中央制御局20を介した)ページャユニットP1への確認メッセージの送信と、ページャユニットP1がページャユニットP2からの確認メッセージを受信したことを示すメッセージの、ページャユニットP1から中央制御局20への送信とを示す。

第2の実施形態の構造
図7は、本発明の第2の実施形態による中央制御局420を示す。図8は、中央制御局420と共に用いられるのに適したページャユニット422を示す。
【0050】
図9は、複数の中央制御局S1〜S8を含む広域ページングシステム(各々中央制御局20と同一)を示し、各中央制御局S1〜S8は、好適には各々のセル内において地理的に中央に位置する。各中央制御局S1〜S8は、それ自体のローカル周波数と、1セットの共通または切り替え周波数C1〜C4とをブロードキャストする。共通周波数C1〜C4は、その受信が中央制御局周辺の比較的狭い範囲または共通周波数受信領域(CFRR)[「切り替え領域」とも呼ぶ]においてのみ起こるように、比較的小電力でブロードキャストされる。ローカル周波数は、実質的にセル全体で受信できるように、はるかに大きな電力でブロードキャストされる。例えば、図9において、中央制御局S1は比較的小電力の共通周波数C1〜C4をCFRR1にブロードキャストし、比較的大電力のローカル周波数f1〜f4をCELL1にブロードキャストする。中央制御局S2は比較的小電力の共通周波数C1〜C4をCFRR2にブロードキャストし、比較的大電力のローカル周波数f5〜f8をCELL2にブロードキャストする。
【0051】
これも図9に示すように、CELL1とCELL2とは図9に示す重複領域で重複する。局S1は、1セットのローカル周波数f1〜f4を利用し、局S2は、別のセットのローカル周波数f5〜f8を利用する。局S1およびS2は、同一セットの共通または切り替え周波数C1〜C4を利用する。このように、各中央制御局は、2セットの周波数を利用し、各セットに4つの周波数があるため、局毎に計8の周波数が扱われる。
【0052】
このように、本発明の第2の実施形態は、複数の中央制御局420x,y=1,2,...Mを有するシステムに適している。各中央制御局420xは、関連する地理的範囲すなわちセルにおいて、1セットのローカル周波数fL1、fL2、fL3、およびfL4と共通または切り替え周波数C1、C2、C3、およびC4とを送受信する。ローカル周波数fL1、fL2、fL3、およびfL4の値はセル毎に変化する(例えば、異なる中央制御局420xに対しては異なる)が、共通または切り替え周波数C1、C2、C3、およびC4の値はシステム全体を通して(例えば、全中央制御局420xに対して)均一である。
【0053】
図9には示していないが、中央制御局のパターンは、ページングシステムの所定の地理的境界に応じて、全方位において同様に反復することを理解されたい。さらに、図9には特に示していないが、各中央制御局420は関連するCFRRを有することを理解されたい。
【0054】
共通または切り替え周波数C1〜C4は、各々対応するローカル周波数f1〜f4に対して類似の機能を有する。この点に関して、周波数C1は、中央制御局(単数または複数)により送信されるクロック周波数を搬送するが、共通周波数C1のクロックレートは、好適には中央制御局間で異なる。周波数C2は中央制御局(単数または複数)からページャユニット(単数または複数)に情報を送信するために用いられ、周波数C3はページャユニットから中央制御局に情報を送信するために用いられ、周波数C4はリクエスト信号を発生させるためにページャユニットにより用いられる。周波数C2は図12に示すフォーマットに類似のフォーマットを有するパケットを搬送する。周波数C2により搬送されるパケットは、周波数f2に類似の様式で、コマンドコードを有していてもよい。 C2コマンドコードには、SYSTEM COMMAND CODE、LOCAL FREQUENCY DOWNLOAD COMMAND CODE、SLOT RECOGNITION COMMAND CODE、およびSLOT ASSIGNMENT COMMAND CODEが含まれる。
【0055】
図7に示すように、中央制御局420は、図1の実施形態の中央制御局20に似ている(簡潔化のため、同様の構成要素には同一の参照符号を付す)。しかし、中央制御局420は、共通周波数C1およびC2を送信するための、共通周波数送信機432として知られる更なる送信機を、共通周波数送信アンテナ442と共に含むことにより増補される。大電力送信機32とは対照的に、送信機432は小電力送信機である。さらに、中央制御局420は、共通周波数C3およびC4を送信するための、共通周波数受信機434として知られる更なる受信機を、共通周波数受信アンテナ444と共に含むことにより増補される。
【0056】
図7の中央制御局420は、2つのクロック信号、換言すると第1のすなわちローカルクロック信号fLclkと第2のすなわち共通クロック信号C1clkとを生成するクロックユニット59’を含む。 ローカルクロック信号fLclkは、周波数f1を変調するために用いられ、共通クロック信号は、周波数C1を変調するために用いられる。
【0057】
中央制御局420xの中央コンピュータ30は、出力線486Aと入力線486Bとにより互いに直列に接続されている。特に、図7には明示していないが、図7のコンピュータ30は(図1のものと同様)、直列接続線486Aおよび486Bが接続されるI/Oインタフェースを含む。直列接続線486Aおよび486Bは、例えば、ページャレジストレーションファイル55およびページャディレクトリファイル56の内容を更新するために用いられる。
【0058】
図8に示すように、ページャユニット422は、図2の実施形態のページャユニット22に似ている(ここにおいても、簡潔化のため同様の構成要素には同一の参照符号を付す)。しかし、ページャユニット422は(中央制御局420と同様の様式で)、共通周波数C3およびC4を送信するための、共通周波数送信機572として知られる更なる送信機を、共通周波数送信アンテナ576と共に含むことにより増補される。さらに、中央制御局420は、共通周波数C1およびC2を受信するための、共通周波数受信機434として知られる更なる受信機を、共通周波数受信アンテナ444と共に含むことにより増補される。
【0059】
送信機72および受信機62の動作周波数は、コンピュータ70から「周波数制御」線を介して送信される値に応じて可変である。特に、周波数制御線は、コンピュータ70内のI/Oインタフェース86に接続されている。以下により詳細に述べるように、ページャユニット422が新しいCFRRに移動するとき、ページャユニット422を古いセルのローカル周波数から、ページャユニット422が移動する先の新しいCFRRに関連する新しいセルのローカル周波数に切り替えるために、周波数制御線に信号が付与される。
【0060】
ページャ422は、マイクロプロセッサ80が用いるローカルクロック信号fLclkと共通クロック信号fc1clkとを別々に生成することができるクロックユニット83’を含む。これらのクロック信号が各々クロックユニット83’へ適切に入力されることにより、これらのクロック信号が初期化され且つこれらのクロック信号の周波数が設定される。
【0061】
図8はまた、ページャユニット422が、英数字および図形ディスプレイと感圧ライティングパッドとの両方を有するデータI/Oユニット596を有することを示す。英数字および図形ディスプレイは、文字と図形とを表示することができるドットマトリクスデバイスである。ライティングパッドは16×48のドット領域を有する。

第2の実施形態の動作
図9に示すように、ページャユニットP1は、CELL1内で動作し且つ既に局S1から共通周波数C1〜C4とローカル周波数f1〜f2とを受信していると考えられる。ページャユニットP1は矢印付き破線ROUTEが示すルート上を移動する。ページャユニットP1は、ROUTEに沿って移動する際、セルが重複する領域を移動するときでさえも、ローカル周波数f1〜f2により動作し続ける。しかし、ページャユニットP1が新しい共通周波数受信領域(すなわち、CFRR2)に入ると、切り替えまたはハンドオフ動作が起こる。切り替え動作において、以下により詳細に述べるように、ページャユニットP1は、中央制御局S2から共通周波数C1〜C4を入手し、その結果、CELL1のローカル周波数f1〜f4を、CELL2のローカル周波数f5〜f8に切り替えることができる。切り替えまたはハンドオフ動作を実行するために、ページャユニットP1はチャネル切り替えルーチンを実行し、中央制御局S2は切り替えエネーブルルーチンを実行する。
【0062】
チャネル切り替えルーチンと切り替えエネーブルルーチンとに関して、ページャユニットP1がCFRR2に移動すると、ページャユニットP1は局S2からクロック信号を周波数C1により受信する。このとき、ページャユニットP1は自動的にそのクロックユニットを局S2からのクロック信号に整合させる。
【0063】
スタートアップ(ステップ500)に続いてページャP1により実行されるチャネル切り替えルーチンによると、ステップ506において、ページャユニットP1は局S2を中心とするシステムを特徴づける情報を入手する。このような特徴づけ情報を、システム識別子またはシステムID情報と呼ぶ。
【0064】
ステップ508において、ページャユニットP1のマイクロプロセッサ80は、周波数C2により得られる新しいシステムID情報があるか否かを判定するためのチェックを行う。すなわち、マイクロプロセッサ80は、システムID情報が周波数C2により受信されるか否か(CFRR内でのみ起こり得る)を判定するためのチェックを行い、もし周波数C2により受信されれば、システムID情報と直前に記憶されたシステムID情報とを比較する。以前に入手されたシステムIDと最も最近入手されたシステムIDとが同一であれば、ページャユニットP1は、ページャユニットP1がまだ同一の局(例えば、局S1)の管轄内にあることを認識する。以前に入手されたシステムIDと最も最近入手されたシステムIDとが同一でなければ、ページャユニットP1は、ページャユニットP1が新しい局(例えば、局S2)のCFRRに入り込んだことを認識し、ステップ510において、中央制御局(例えば、局S2)と通信したいというリクエストをCELL2に対して周波数C4により開始する。
【0065】
上記に関して、ページャユニットP1にはまだCELL2用のタイムスロットが指定されていないため、周波数C4によるリクエストはランダムに行われる。しかし、ページャユニットP1は、新しい中央制御局(例えば、局S2)に対するリクエストを行うタイムスロットを記録し続ける。
【0066】
その後、ページャユニットP1は局S2からの周波数C2による通信パケットをモニタし続け(ステップ512)、局S2が、ページャユニットP1がステップ510でリクエストを行ったタイムスロットを参照するメッセージを発行するのを待つ。特に、ページャユニットP1は、局S2からの周波数C2によるメッセージであって、SLOT RECOGNITION COMMAND CODEと、ページャユニットP1がランダムに生成した情報と同一のタイムスロットに記憶されている情報との両方を含むメッセージを待つ。 SLOT RECOGNITION COMMAND CODEを含むメッセージは、送信側としての局S2を含んでおり、且つページャユニットP1によりランダムに生成されたスロットを反映する。そのため、ページャユニットP1はメッセージをページャユニットP1に向けられたものと認識し、局S2によるこのようなメッセージの発行(図11のステップ612参照)が、ページャユニットP1が局S2と更なる通信を行うことを許可することであると考える。この点に関して、ステップ514において、ページャユニットP1のマイクロプロセッサ80は、受信されたメッセージのタイムスロットとステップ510でランダムなリクエストがなされたタイムスロットとが合致するか否かを判定する。
【0067】
ステップ514で最終的に合致すると判定された場合、ステップ516において、ページャユニットP1は通信パケットを周波数C3により局S2に送信する。上記通信パケットは、ページャユニットP1の識別子すなわちIDを含む。局S2は、ページャレジストレーションファイル55を用いて、ページャユニットP1のIDが有効なIDであることを確認し、その後、コマンドコードLOCAL FREQUENCY DOWNLOADを備えたメッセージをページャユニットP1に(周波数C2により)送信する。上記メッセージは、ページャユニットP1に、局S2により扱われるローカル周波数(例えば、周波数f5〜f8)の値を知らせる。その後、ステップ518にも示されているように、局S2は、コマンドコードSLOT ASSIGNMENT COMMAND CODEを備えたメッセージをページャユニットP1に(周波数C2により)送信する。上記メッセージは、ページャユニットP1に、周波数f8に対するスロット指定を知らせる。その後マイクロプロセッサ80は、タイムスロット変更ルーチンに関して上記したステップ(図5のステップ350、352、および354参照)に類似のステップによりスロットの割り当てを変更する。図10のステップ518は、ローカル周波数値の受信とスロット指定の受信とを示す。
【0068】
全ローカル周波数の獲得とスロット指定とが完了した(ステップ520)後、マイクロプロセッサ80は新しいローカル周波数(例えば、周波数f5〜f8)への切り替えを実行する(ステップ522)。この点に関して、マイクロプロセッサ80は、送信機72を、周波数f3およびf4から周波数f7およびf8に変更するように、I/Oインタフェース86に指示し、且つ受信機62を、周波数f1およびf2から周波数f5およびf6に変更するように、I/Oインタフェース86に指示する。I/Oインタフェース86は、I/Oインタフェースを送信機72と受信機62とにそれぞれ接続する周波数制御線に適切な値を付与することにより、周波数の変更を達成する。
【0069】
ステップ522における新しいローカル周波数への切り替えの後、マイクロプロセッサ80は、ステップ506に戻り、最終的に更なる切り替えが必要であるか否かを判定する。
【0070】
中央制御局(例えば、局S2)により実行される切り替えエネーブルルーチンに関与するステップを図11に示す。スタートアップ(ステップ600)の後、CPU50は、CPU50がページャディレクトリファイル56を整理することと、いずれかの新しいページャユニットがCPU50の管轄内のセルに入り込んでいるか否かをチェックすることとを可能にするループ602を実行する。
【0071】
特に、ステップ604において、CPUは、その中央制御局(例えば、S2)がいずれかの他の中央制御局(例えば、S3)により、これまでその中央制御局(例えば、S2)の制御下にあったページャユニットが他の中央制御局(例えば、S3)の制御下に入ったことを通知されているか否かを判定する。このような通知は、中央制御局420xを接続する直列リンク、特に入力直列リンク486Bで起こる。このような通知が起これば、別の中央制御局の制御下に入ったページャのIDは、局S2のページャディレクトリ56から削除される(ステップ606および608に示す)。
【0072】
ステップ610において、CPU50は、SYSTEM COMMAND CODEを備えたメッセージが周波数C2により送信されるようにする。上記のように、周波数C2により送信されるメッセージは、図12に示すようなフォーマットを有するパケット(単数または複数)を含む。SYSTEM COMMAND CODEを備えたメッセージは特に、英数字データフィールド内に、中央局ID番号を含む。
【0073】
ステップ612において、中央制御局420は、いずれかのページャユニット422により周波数C4によりリクエストが送信された(例えば、図10、特にステップ510を参照して説明したように)か否かを判定するためのチェックを行う。このようなリクエスト信号は、中央制御局により制御されるCFRR(例えば、局S2により制御されるCFRR2)に入り込んだばかりのページャユニット422から発行される傾向がある。このようなリクエスト信号が検出されなければ、ループ602が再び繰り返される。
【0074】
ステップ612においてリクエスト信号が検出された場合、中央制御局420は特に、周波数C4の、リクエストが起こったタイムスロットに留意する。(ステップ614)。このとき、中央制御局420は、このようなタイムスロットによってのみ、入り込んだページャユニット422を識別することができる。中央制御局420は、入り込んだページャユニット422がその識別子(ID)を送信することを望むが、検出されたタイムスロットを参照することによってしか入り込んだページャユニットの宛先を特定することができない。ステップ616において、中央制御局420は、SLOT RECOGNITION COMMAND CODEを有するメッセージを作成し且つ周波数C2により送信する。 SLOT RECOGNITION COMMAND CODEを有するメッセージは、送信側としての局S2を含み、且つページャユニットP1によりランダムに生成されたスロット(例えば、入り込んだページャユニット422がリクエストを発行したタイムスロット)を反映する。周波数C2によるこの送信は、ページャユニットP1がその識別子を送信することを許可することである。
【0075】
ステップ618は、入り込んだページャユニット422の識別子(ID)の、中央制御局420による獲得を示す。ステップ620において、中央制御局420は、ページャIDが有効なIDであるか否かを判定するためにページャレジストレーションファイル55をチェックする。もし有効なIDでなければ、エラーメッセージが生成且つ送信され(ステップ622)、続いてページャユニットP1をシャットダウンするコマンドが発生する(ステップ624参照)。
【0076】
ステップ620においてページャユニット422の識別子が有効であると判定された場合、CPU50はページャディレクトリファイル56をチェックする(ステップ630)ことにより、入り込んだページャユニット422にとって使用可能なタイムスロットを探索し、次いで使用可能なタイムスロットと入り込んだページャユニット422のIDとを関連づける。その後、ステップ632において、中央制御局420が、LOCAL FREQUENCY DOWNLOAD COMMAND CODEを備えた周波数C2によるメッセージを用いて、そのローカル周波数の値(例えば、f5、f6、f7、およびf8)を入り込んだページャユニット422に送信する。中央制御局はその後、SLOT ASSIGNMENT COMMAND CODEを備えた周波数C2によるメッセージを用いて、そのローカル周波数の新しいタイムスロットを、入り込んだページャユニット422に指定する(ステップ634)。入り込んだページャユニット422によるタイムスロット変更コマンドの処理は、図5に示す類似の例、特にステップ350、352および354を参照することにより理解される。
【0077】
ステップ634が終了したとき、入り込んだページャユニット422は、新しいセル(例えば、CELL2)の完全な制御下にあり、以前の制御局(例えば、CELL1および局S1)の管轄を離れている。従って、ステップ636において、CPU50は、入り込んだページャ422が新しいセルの管轄下にあることを(ページャIDを用いて)通知するコマンドを、直列接続線486Aを介して発行するように、I/Oインタフェースにリクエストする。これにより、以前の管轄局(例えば、S1)がそのページャディレクトリファイル56からこのページャユニットを削除できる。 このような削除は、上記のようにステップ604〜608を参照することにより理解される。
【0078】
図9は、ページャユニットP1と、局S1およびS2と、CELL1およびCELL2との地理的位置を説明することに加えて、共通周波数C1〜C4上で起こる通信の相対的タイミングを示す。図9は特に、中央制御局420(図11の切り替えエネーブルルーチン)とページャユニット422(図10のチャネル切り替えルーチン)とにより実行される上記ステップのうちの特定の複数のステップのタイミングに関する。
【0079】
中央制御局420xは、同一の共通周波数C1〜C4を用いているが、中央制御局420xから送信されるこれらの信号間には干渉も混乱も起こらない。共通周波数C1〜C4は、共通周波数C1〜C4の受信が中央制御局420x周囲の限られた領域(CFRR)でのみ起こるように、ローカル周波数f1〜f4に比べて小さい電力でブロードキャストされる。従って、システム内を移動するページャユニット422は、限られた且つ重複しないCFRR内でのみ共通周波数C1〜C4を受信する。
【0080】
セル直径、CFRR直径、ローカル周波数(例えば、f1〜f4)の電力レベル、および共通周波数C1〜C4の電力レベルなどのシステム動作特性は、特にシステムがカバーする領域の地形および地勢を含む多くの要素に適するように、フィールド毎に調整可能である。本発明を制限しない一実施形態において、各セルの半径は、約20マイルであり、各CFRRの半径は約10マイル以下である。同一の実施例において、ローカル周波数の送信用電力は、約3ワット〜1000ワットの範囲であり得、共通周波数C1〜C4の送信用電力は好適には2ワット以下である。
【0081】
このように、本発明は、ユーザ間の無線データ通信のための、電話システムから独立して動作する双方向ページングシステムを提供する。本発明は、いずれの与えられたセルに対しても僅か4つのローカル周波数f1〜f4と(複数のセルにより、より広い領域をカバーするために)僅か4つの共通または切り替え周波数C1〜C4を用いることにより、連邦通信委員会(FCC)により許可された使用可能な周波数の使用を最小限に抑える。用いられる周波数(例えば、チャネル)の数を最小限に抑えることにより、時分割共有技術および同期化技術が用いられる。ローカル周波数と共通周波数との間の送信用電力差もまた用いられる。これらの技術により、データ送信が異なるページャ間で分離され、従ってデータのマージが排除される。
【0082】
本発明の切り替え技術は、セル内で用いられる周波数の数を4(例えば、4つのローカル周波数)から8(4つのローカル周波数および4つの共通周波数)に増加することにより、動作可能な地理的範囲を拡大し且つページング時間を最小限に抑える。
【0083】
ページャIDの確認に関連して、単一のページャレジストレーションファイルが、複数の中央制御局のうちの僅か1つのメモリファイルに記憶されること、およびその場合、確認することとは上記1つの(離れた)メモリファイル内のページャIDを探索するためのサーチコマンドを(直列リンク486を介して)発行することであり、サーチの結果は問い合わせている中央制御局に報告されることを理解されたい。
【0084】
本明細書中のキーボードは、いくつかの実施形態においては、例えば英語、中国語、または日本語のタイピングを許可する多言語キーボードまたはライティングパッドであり得る。ライティングパッドは、英語のようなアルファベットが用いられない日本、タイ、中近東の国々、または中国において特に有用である。ライティングパッドはまた、図形をスケッチし且つ送信するためにも用いられ得る。さらにデータ伝送と関連してデータ圧縮/伸張技術を用いることができる。
【0085】
本発明を特定の好適な実施形態を参照しながら説明且つ記載してきたが、当業者であれば本発明の思想および範囲から逸脱することなく形態および詳細の様々な改変が可能であることを理解する。例えば、ページャユニットが中央制御局から遠く離れた場所にあるときの送信を容易にするために、セル内で反復器が用いられ得る。
【0086】
独占所有権が主張される本発明の実施形態は、以下のように規定される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
本発明の上記目的、特徴および効果、ならびにその他の目的、特徴および効果は、添付の図面に図示されている好ましい実施形態の、以下に述べるより詳細な説明から明らかになるであろう。図面において、同一の参照番号は、全図面を通して同一の部分を指す。なお、図面は、必ずしも現実の縮尺に即しているわけではなく、本発明の原理の説明に当って強調されているところがある。
【図1】本発明の一実施形態によるページングシステム内に含まれる中央制御局の模式図
【図2】図1の中央制御局と共に用いられるページングシステム内に含まれるページャユニットの模式図
【図3】図1の中央制御局によって実行される各ステップを示すフローチャート
【図4】送信モード時に図2のページャユニットによって実行される各ステップを示すフローチャート
【図5】受信モード時に図2のページャユニットによって実行される各ステップを示すフローチャート
【図6】図1の中央制御局と図2のページャユニットとの間の通信を反映するタイミング図
【図7】本発明の第2の実施形態によるページングシステム内に含まれる中央制御局の模式図
【図8】図7の中央制御局と共に用いられるページングシステム内に含まれるページャユニットの模式図
【図9】本発明の第2の実施形態によるページングシステムの切り替え動作を表現する、ハイブリッド模式図およびタイミング図
【図10】チャネル切り替え動作に伴って図8のページャユニットによって実行される各ステップを示すフローチャート
【図11】チャネル切り替え動作に伴って図7の中央制御局によって実行される各ステップを示すフローチャート
【図12】本発明の各実施形態において用いられる通信パケットのフォーマット模式図
【図13】本発明による時分割されたスロット割り当て技術を説明する模式図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信コントローラと複数のネットワークノードとの間でデータを通信する方法であって、繰り返し起こるタイムスロットが、該通信コントローラにデータを転送するためのリクエストを送信する該複数のネットワークノードに割り当てられ、該方法は、
タイムスロットが未使用であるかどうかを決定することと、
未使用であると決定されたタイムスロットを排除することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記未使用のタイムスロットは、所定の期間、リクエストを受信しないタイムスロットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未使用のタイムスロットは、所定の期間に割り当てられたタイムスロットを含み、該タイムスロットは、該所定の期間の後に満了する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記未使用のタイムスロットは、前記通信コントローラと通信を開始していないネットワークノードに割り当てられたタイムスロットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記未使用のタイムスロットは、前記通信コントローラによってアクセスが終了されたネットワークノードに割り当てられたタイムスロットzを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記未使用のタイムスロットは、前記複数のネットワークノードの所定のノードによってアクセスが終了された該所定のノードに割り当てられたタイムスロットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記通信コントローラにデータを送信するために、前記タイムスロットが前記複数のネットワークノードのうちの少なくとも1つに再び割り当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のネットワークノードが、連続して起こるタイムスロットに割り当てられるように、タイムスロットを再び割り当てることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のネットワークノードのうちの動作状態のネットワークノードが、連続して起こるタイムスロットに割り当てられるように、タイムスロットを再び割り当てることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動作状態のネットワークノードは、所定の期間内にリクエストを送信するネットワークノードを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動作状態のネットワークノードは、前記通信コントローラと通信を開始していないネットワークノードを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
システムにおいて、通信コントローラと複数のネットワークノードとの間でデータを通信する方法であって、繰り返し起こるタイムスロットが、該通信コントローラにデータを転送するためのリクエストを送信する該複数のネットワークノードに割り当てられ、該方法は、
所定の期間内に、該システムにデータを送信する該複数のネットワークノードが、順次に繰り返し起こるタイムスロットを割り当てられるように、タイムスロットを再び割り当てることを包含する方法。
【請求項13】
所定の期間内に前記複数のネットワークノードの少なくとも幾つかによって、前記システムに送信された前記データは、該システムにアクセスするためのリクエストを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記タイムスロットを再び割り当てるステップの前に、前記システムにアクセスするためのリクエストを送信する前記複数のネットワークノードのうちの幾つかに対してさらなるタイムスロットを割り当てることをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の期間の外で割り当てられたタイムスロットを前記シーケンスから排除することをさらに包含する、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−42379(P2006−42379A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237003(P2005−237003)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【分割の表示】特願2001−379131(P2001−379131)の分割
【原出願日】平成7年6月15日(1995.6.15)
【出願人】(501480118)ディジコム, リミテッド (2)
【Fターム(参考)】