説明

ホトレジスト組成物およびレジストパターンの形成方法

ラインエッジラフネスが小さく、レジストパターンプロファイル形状に優れる、イマージョンリソグラフィー工程を含むレジストパターン形成方法に用いられるホトレジスト組成物が提供される。このホトレジストは、樹脂成分(A)と、酸発生剤成分(B)と、有機溶剤(C)と、下記一般式(1)で表される含窒素有機化合物(D)とを含む。


[式中、X、Y、Zは、それぞれ独立して、末端に芳香族環が結合してもよいアルキル基(当該X、Y、およびZのうちの2つの末端が結合して環状構造を形成していてもよい。)であって、かつX、Y、Zのうちの1つ以上が極性基を含み、さらに化合物(D)の分子量が200以上である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、イマージョン(immersion)リソグラフィー(浸漬露光)工程を含むレジストパターン形成方法に用いられるホトレジスト組成物、および該ホトレジスト組成物を用いるレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスにおける微細構造の製造には、リソグラフィー法が多用されているが、デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるレジストパターンの微細化が要求されている。
現在では、リソグラフィー法により、例えば、最先端の領域では、線幅が90nm程度の微細なレジストパターンを形成することが可能となっているが、今後はさらに微細なパターン形成が要求される。
このような90nmより微細なパターン形成を達成させるためには、露光装置とそれに対応するレジストの開発が第1となる。露光装置においては、Fエキシマレーザー、EUV(極端紫外光)、電子線、X線等の光源波長の短波長化やレンズの開口数(NA)の大口径化等が一般的である。
しかしながら、光源波長の短波長化は高額な新たな露光装置が必要となるし、またその光源に好適な新たなレジストの開発が必要となる。また、レンズの高NA化では、解像度と焦点深度幅がトレードオフの関係にあるため、解像度を上げても焦点深度幅が低下するという問題がある。
そのような中、イマージョンリソグラフィーという方法が報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。この方法は、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスであったレンズとウェーハ上のレジスト層との間の部分を空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒、例えば、純水またはフッ素系不活性液体等の溶媒で満たすものである。このような溶媒で満たすことにより、同じ露光波長の光源を用いてもより短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様に、高解像性が達成されると同時に焦点深度幅の低下もないと言われている。
このようなイマージョンリソグラフィーを用いれば、現在ある装置に実装されているレンズを用いて、低コストで、より高解像性に優れ、かつ焦点深度にも優れるレジストパターンの形成を実現できるため、大変注目されている。
また、下記特許文献1や2のように、化学増幅型ポジレジストには、酸発生剤から発生した酸の拡散制御剤として、塩基性化合物を配合することが一般的に行なわれている。
【非特許文献1】ジャーナルオブバキュームサイエンステクノロジー(Journal of Vacuum Science & Technology B)(米国)、1999年、第17巻、6号、3306−3309頁.
【非特許文献2】ジャーナルオブバキュームサイエンステクノロジー(Journal of Vacuum Science & Technology B)(米国)、2001年、第19巻、6号、2353−2356頁.
【非特許文献3】プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)(米国)2002年、第4691巻、459−465頁.
【特許文献1】特開2002−179731号公報
【特許文献2】特開2002−333715号公報
上記のようにイマージョンリソグラフィーの長所は半導体素子の製造において多大な効果を与えることが予想される。しかしながら、上述のように露光時にレジスト層が溶媒に接触することになるため、レジスト層の変質がおこったり、レジスト層から溶媒へ悪影響を及ぼす成分が滲出することにより、従来のプロセスと同程度に良好なレジストパターンが形成されるか、まだまだ未知な点が多い。
【発明の開示】
出願人は、従来の塩基性化合物の内、低分子量のアルカノールアミンのような極性基を有する第三級低級アミンを配合したレジスト組成物をイマージョンリソグラフィーに適用してみたところ、レジストパターン形状やラインエッジラフネス(以下LERというときがある)が不十分であるとの問題点を認識し、この問題を解決するために本発明に到達した。
すなわち、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、イマージョンリソグラフィーの長所である解像度および焦点深度の向上を損なうことなく、イマージョンリソグラフィー工程において使用される溶媒の悪影響を受けにくく、ラインエッジラフネスが小さく、レジストパターンプロファイル形状に優れる、イマージョンリソグラフィー工程を含むレジストパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト組成物、及び該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターンの形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下のような手段により、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様(aspect)は、浸漬露光する工程を含むレジストパターン形成方法に用いられるホトレジスト組成物であって、
酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、(A)成分及び(B)成分を溶解する有機溶剤(C)と、下記一般式(1)で表される含窒素有機化合物(D)とを含むことを特徴とするホトレジスト組成物である。

[式中、X、Y、Zは、それぞれ独立して、末端にアリール基が結合してもよいアルキル基(当該X、Y、およびZのうちの2つの末端が結合して環状構造を形成していてもよい。)であって、かつX、Y、Zのうちの1つ以上が極性基を含み、さらに化合物(D)の分子量が200以上である。]
本発明の第2の態様(aspect)は、第1の態様(aspect)のホトレジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法であって、浸漬露光する工程を含むことを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
なお、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸、アクリル酸の一方または両方を示す。「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート、アクリレートの一方または両方を示す。「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を示す。また、「ラクトン単位」とは、単環式または多環式のラクトンから1個の水素原子を除いた基である。リソグラフィー工程は、通常、レジスト塗布、プレベーク、選択的露光、露光後加熱、及びアルカリ現像を順次施す工程を含む。
【発明の効果】
本発明によれば、イマージョンリソグラフィー工程においてレジストパターンがT−トップ形状となるなどレジストパターンの表面の荒れがなく、ラインエッジラフネスが小さく、レジストパターンプロファイル形状に優れる精度の高いレジストパターンを得ることができる。従って、本発明のホトレジスト組成物を用いると、イマージョンリソグラフィー工程を含むレジストパターンの形成を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[ホトレジスト組成物]
−(D)成分
本発明のホトレジスト組成物は、(D)成分を含むことを特徴とする。
含窒素有機化合物は従来、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために酸の拡散制御剤として、ホトレジスト組成物に配合されているものであるが、本発明においては、特定の含窒素有機化合物を選択してホトレジスト組成物に配合することにより、本発明の課題を解決することができ、イマージョンリソグラフィーに適した特性が得られる。
(D)成分は前記一般式(1)で表されるものである。このようなX、Y、及びZ中に少なくとも一つの極性基を有すること及び特定の分子量を有することにより、(D)成分はプレベーク後揮発しにくくなり、レジスト膜中に残存しやすく、また浸漬露光後においても、レジスト膜中に残存しやすくなり、イマージョンリソグラフィーに用いた場合、表面荒れ等がなく、ラインエッジラフネスが小さく、レジストパターンプロファイル形状に優れるという効果が得られる。
(D)成分の分子量は200以上、より好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上であると解像性に優れ好ましい。分子量の上限としては、上記の効果を有する限り限定されるものではないが、600以下が好ましい。
600超とすると、レジスト溶媒への溶解性が低下する恐れがある。
極性基とは、未置換のアルキル基やアリール基に比べ、上記のように(D)成分をプレベーク後揮発しにくくしレジスト膜(レジスト層)中に残存しやすくする特性を有するものであって、具体的にはエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、ラクトン環等が挙げられる。
中でも効果の点から好ましいのはエーテル基、エステル基である。
極性基はアルキル基X、Y、Zのどの位置に存在していてもよい。すなわち、末端に存在していてもよいし、また、そのアルキル基中に存在していてもよい。また、異なる極性基や同一の極性基が2つ以上異なる位置に存在していてもよい。なお、極性基が末端に存在する場合にはアルキル基はアルキレン基となり、該アルキレン基中に上記極性基が1つ以上存在してもよい。本発明においてアルキル基X、Y、Zは、この場合のアルキレン基も包含する。
中でも、極性基はアルキル基X、Y、Zにおいて、それぞれ1つ以上存在していることが好ましい。極性基の数の上限値は特に限定しないが、X、Y、Zにおける合計で10個以下である。
アルキル基X、Z、Yは、それぞれ直鎖、分岐鎖、環状のいずれの形態であってもよい。
また、アルキル基X、Y、Zのうちの2つの末端が結合して環状構造を形成していてもよい。この場合、これら2つは環状アルキレン基となるが、本発明において、アルキル基X、Y、Zは、この場合のアルキレン基も包含する。
アルキル基X、Y、Zは、その末端にアリール基が結合していてもよく、アリール基としては、置換、または無置換のフェニル基またはナフチル基等が挙げられるが、露光光に対する透明性を高くし、高解像性を達成するにはアリール基を持たない直鎖、分岐鎖、環状であることが好ましい。
また、極性基を除いたアルキル基X、Y、Zにおける炭素数は、それぞれ例えば1〜20、好ましくは3〜10である。
アルキル基X、Y、Zの炭素数は、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよいが、同じであることが効果の安定等の点から好ましい。
また、アルキル基X、Y、Zはそれぞれ同じ構造であってもよいし、異なった構造であってもよいが、効果の安定性等の点から2つ以上が同じ構造であると好ましく、最も好ましいのは3つが同じ構造であることである。
なお、この様な(D)成分としては、具体的には、次のような化合物が挙げられる。


(D)成分の好ましいものとしては例えば以下の化合物が挙げられる。


最も好ましい(D)成分は、下記一般式(2)で表されるものである。

(式中、R11、R12は、それぞれ独立して低級アルキレン基、R13は低級アルキル基を示す。)
11、R12、R13は直鎖、分岐鎖、環状であってもよいが、直鎖、分岐鎖状であることが好ましい。
11、R12、R13の炭素数は、分子量調整の観点から、それぞれ1〜5、好ましくは1〜3である。R11、R12、R13の炭素数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。R、R12の構造は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(2)で表される化合物としては、例えばトリス−(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス−2−(2−メトキシ(エトキシ))エチルアミン、等が挙げられる。中でもトリス−2−(2−メトキシ(エトキシ))エチルアミンが好ましい。 一般式(2)以外の化合物としては、トリス−(2−(2−メトキシエトキシ)メトキシエチル)アミンが挙げられる。
なお、(D)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜2.0質量%、好ましくは0.03〜1.0質量%の範囲で用いられる。0.01質量%以上とすることによりその配合の効果が得られ、2.0質量%以下とすることにより感度の劣化を防ぐことができる。
この様な特定の構造の(D)成分を用いることによってイマージョンリソグラフィーに適した特性が得られる理由は定かではないが以下の様に推測される。
すなわち、極性基を含み、分子量が大きいので、レジスト層を形成するために行われるプリベークにおいて加熱された際に、(D)成分がレジスト層内に均一に分散するものと推測される。また、イマージョンリソグラフィーに用いられる溶媒、特に純水への溶解性も比較的低くなる。
その結果、該溶媒と接触するレジスト層の表面近くに(D)成分が偏ることがなく存在し、また(D)成分が該溶媒へ滲出するなどの悪影響を抑制することができると推測される。また、(D)成分がレジスト層内に均一に拡散することによって、ポストエクスポージャーベーク(PEB)の際に前記(B)成分から発生する酸の拡散を効果的に抑制し、解像性の向上、レジストパターンプロファイル形状の向上等に寄与するものと推測される。
なお、本発明者は、イマージョンプロセスに適したレジスト組成物であるか否かを判別する指針して、以下の基準を見出した。
本発明のレジスト組成物においては、特定の(D)成分を用いているので、好ましくはこの基準をクリアー可能である。
すなわち、浸漬露光する工程を含むレジストパターン形成方法に用いられるレジスト組成物であって、波長193nmの光源を用いた通常露光のリソグラフィー工程により130nmのラインアンドスペースが1対1となるレジストパターンを形成したときの感度をX1とし、他方、同193nmの光源を用いた通常露光のリソグラフィー工程において、選択的露光と露光後加熱(PEB)の間に上記浸漬露光の溶媒をレジスト膜と接触させる工程を加えた模擬的浸漬リソグラフィー工程により同130nmのラインアンドスペースが1対1となるレジストパターンを形成したときの感度をX2としたとき、[(X2/X1)−1]×100の絶対値が8.0以下であることが好ましい。
絶対値8.0を超えると、浸漬露光プロセス用レジスト組成物として、不適であり、レジストパターンがT−トップ形状となったり、レジストパターンの倒れが生じたりするなどの不具合が生じる。
ここで、波長193nmの光源を用いた通常露光のリソグラフィー工程とは、波長193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、これまで慣用的に行なわれている、露光装置のレンズとウェーハ上のレジスト層間を空気や窒素等の不活性ガスの状態で露光する通常露光により、シリコンウェーハなどの基板上に、通常のリソグラフィー工程、すなわち、レジスト塗布、プレベーク、選択的露光、露光後加熱、及びアルカリ現像を順次施す工程を意味する。場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
そして、そのような通常露光のリソグラフィー工程により130nmのラインアンドスペースが1対1となるレジストパターン(以下「130nmL&S」と言う)を形成したときの感度X1とは、130nmL&Sが形成される露光量であり、当業者において頻繁に利用されるものであり、自明である。
念のため、この感度について、一応、説明すると、横軸に露光量をとり、縦軸にその露光量により形成されるレジストライン幅をとり、得られたプロットから最小二乗法によって対数近似曲線を得る。
その式は、Y=aLoge(X1)+bで与えられ、ここで、X1は露光量を、Yはレジストライン幅を、そしてaとbは定数を示す。さらに、この式を展開し、X1を表す式へ変えると、X1=Exp[(Y−b)/a]となる。この式にY=130(nm)を導入すれば、計算上の理想的感度X1が算出される。
また、その際の条件、すなわちレジスト塗布の回転数、プレベーク温度、露光条件、露光後加熱条件、アルカリ現像条件もこれまで慣用的に行なわれている条件でよく、130nmL&Sが形成できる範囲で自明である。具体的には、基板として直径8インチのシリコンウェーハを用い、回転数は1000〜4000rpm程度、より具体的には約2000rpm程度であり、プレベークは、温度[は]70〜140℃の範囲、より具体的には115℃、及び時間90秒であり、これによって、[レジスト]膜厚80〜250nm、より具体的には200nmで、直径6インチのレジスト塗布膜を基板と同心円状に[を]形成する。
露光条件は、波長193nmのArFエキシマレーザー露光装置ニコン社製又はキャノン社製(NA=0.60)等、具体的には露光装置NSR−S302(ニコン社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯)を用いて、マスクを介して露光すればよい。選択的露光におけるマスクとしては、通常のバイナリーマスクを用いる。このようなマスクとしては、位相シフトマスクを用いてもよい。
露光後加熱は、温度[は]90〜140℃の範囲、より具体的には115℃、及び時間90秒であり、アルカリ現像条件は、2.38重量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)現像液に浸漬して[より]、23℃にて、15〜90秒間、より具体的には60秒間現像し、その後、水リンスを行う。
また、模凝的浸漬リソグラフィー工程とは、上記説明した同193nmのArFエキシマレーザーを光源に用いた通常露光のリソグラフィー工程において、選択的露光と露光後加熱(PEB)の間に浸漬露光の溶媒をレジスト膜と接触させる工程を加えた工程を意味する。
具体的には、レジスト塗布、プレベーク、選択的露光、浸漬露光の溶媒をレジスト膜と接触させる工程、露光後加熱、及びアルカリ現像を順次施す工程である。場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよい。
[接触とは基板上に設けた選択的露光後のレジスト膜を浸漬露光の溶媒に浸漬させても、シャワーの様に吹きかけてもかまわない。このときの温度は23℃とし、基板の回転数を300〜3000rpm、好ましくは500〜2500rpmとするのが好ましい。]
上記接触の条件は次のようである。リンス用ノズルで純水を基板中心に滴下し、その間露光後レジスト膜付ウェーハを回転させる;その際の基板の回転数:500rpm;溶媒:純水;溶媒滴下量:1.0L/分;溶媒滴下時間:2分;溶媒とレジストとの接触温度:23℃。
そして、そのような模擬的浸漬リソグラフィー工程により、130nmL&Sのレジストパターンを形成したときの感度X2とは、上記X1と同様に130nmL&Sが形成される露光量であり、当業者においては通常利用されるものである。
また、その際の条件(レジスト塗布の回転数、プレベーク温度、露光条件、露光後加熱条件、アルカリ現像等の条件)も上記X1と同様である。すなわち、X2を求める条件は、浸漬露光の溶媒をレジスト膜と接触させる工程以外は、X1を求める条件と同様とする。
−(A)成分
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分である。
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用のベース樹脂として用いられている、一種又は2種以上のアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性となり得る樹脂を使用することができる。前者の場合はいわゆるネガ型、後者の場合はいわゆるポジ型のレジスト組成物である。本発明のレジスト組成物は、好ましくはポジ型である。
ネガ型の場合、レジスト組成物には、(B)酸発生剤成分と共に架橋剤が配合される。そして、レジストパターン形成時に、露光により(B)酸発生剤成分から酸が発生すると、かかる酸が作用し、アルカリ可溶性の(A)樹脂成分と架橋剤間で架橋が起こり、アルカリ不溶性へ変化する。前記架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するメラミン、尿素又はグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤が用いられる。
ポジ型の場合は、(A)樹脂成分はいわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不溶性のものであり、露光により(B)酸発生剤成分から酸が発生すると、かかる酸が前記酸解離性溶解抑制基を解離させることにより、(A)樹脂成分がアルカリ可溶性となる。
また、(A)成分は、ポジ型、ネガ型のいずれの場合にも、(a0)(a0−1)ジカルボン酸の無水物含有構成単位および(a0−2)フェノール性水酸基含有構成単位(以下、(a0)または(a0)単位という。)を有さないことが好ましい。
(a0−1)ジカルボン酸の酸無水物含有構成単位とは、−C(O)−O−C(O)−構造を有する構成単位をいう。そのようなものとしては、例えば、単環式または多環式の環状酸無水物を含有する構成単位が挙げられ、より具体的には、下記[化7]に示す単環又は多環式の無水マレイン酸から誘導される単位、および下記[化8]に示すイタコン酸から誘導される単位等が挙げられる。


また、(a0−2)フェノール性水酸基含有構成単位とは、ベンゼン環やナフタレン環のような芳香族炭化水素環に少なくとも一つの水酸基が結合した基を含む構成単位をいう。そのようなものとしては、例えば、ヒドロキシスチレン単位、(α−メチル)ヒドロキシスチレン単位等が挙げられる。(A)成分が(a0)、すなわち(a0−1)及び(a0−2)を含有しないことにより、浸漬露光(イマージョンリソグラフィー)プロセスにおいても、溶媒の影響を受けにくく、感度、レジストパターンプロファイル形状に優れるレジストパターンを形成するという効果が向上する。
また、(A)成分は、ポジ型、ネガ型のいずれの場合にも、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有することが好ましい。
ArFエキシマレーザーで露光する用途に適した特性とし、解像性等の特性を向上させる点においては、(A)成分は、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を80モル%以上、好ましくは90モル%以上(100モル%が最も好ましい)含むことが好ましい。
なお、(A)成分に含まれる(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位において、メタクリル酸エステルから誘導される構成単位と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位がともに存在することが、エッチング時の表面荒れや、ラインエッジラフネスが少なく、解像性に優れ、焦点深度幅が広いホトレジスト組成物を得る点で好ましい。
ここでのエッチング時の表面荒れは、上述の溶媒の影響によるレジストパターンの表面荒れ(レジストパターンプロファイル形状の劣化)や、従来の耐ドライエッチング性とは異なり、現像してレジストパターンを形成した後、エッチングしたレジストパターンにおいて、コンタクトホールパターンでは、ホールパターン周囲にひずみとなって表れ、ラインアンドスペースパターンではラインエッジラフネスとして表れるものである。
ラインエッジラフネスは、現像後にレジストパターンに発生するものである。ラインエッジラフネスは、例えばホールレジストパターンではホール周囲に歪みとなって表れるし、ラインアンドスペースパターンでは側面の不均一な凹凸となって表れる。
また、上述の様に、最近の最先端の分野では、90nm付近、65nm付近、45nm付近、あるいはこれら以下の解像度が要求されつつあり、イマージョンリソグラフィーでは、その様な解像度の向上が期待されている。
さらには、焦点深度幅特性を広くすることも望まれている。
(A)成分において、上述の様にメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位とアクリル酸エステルから誘導されるエステルから誘導される構成単位とが共に存在することにより、これらの特性を向上させることができる。
また、この2つの構成単位をともに含むことにより、ディフェクトの低減効果も得られる。ここで、ディフェクトとは、例えばKLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンの真上から観察した際に検知されるスカムやレジストパターンの不具合全般のことである。
この場合において、当該(A)成分中にメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位とアクリル酸エステルから誘導される構成単位が含まれていればその形態は特に限定されず、例えば当該(A)成分が、・共重合体(A1):メタアクリル酸エステルから誘導される構成単位と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位とを含む共重合体、を含むものであってもよいし、・混合樹脂(A2):少なくともメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含む重合体と、少なくともアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含む重合体との混合樹脂、を含むものであってもよい。なお、この混合樹脂(A2)を構成するこれらの重合体の一方あるいは両方が、前記共重合体(A1)に相当するものであってもよい。
また、(A)成分には、他の樹脂成分を配合することもできるが、前記共重合体(A1)と前記混合樹脂(A2)のいずれか一方、あるいは両方からなるものが好ましい。
また、共重合体(A1)と、混合樹脂(A2)においては、それぞれ種類の異なるものを2種以上組み合わせて用いることもできる。
そして、(A)成分中のメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位とアクリル酸エステルから誘導される構成単位は、メタアクリル酸エステルから誘導される構成単位とアクリル酸エステルから誘導される構成単位のモル数の合計に対して、メタアクリル酸エステルから誘導される構成単位を10〜85モル%、好ましくは20〜80モル%、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を15〜90モル%、好ましくは20〜80モル%となる様に用いると好ましい。
メタアクリル酸エステルから誘導される構成単位が多すぎると表面荒れの改善効果が小さくなり、アクリル酸エステルから誘導される構成単位が多すぎると解像性の低下を招くおそれがある。
また、ポジ型の場合、(A)成分は、(a1)酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することが好ましい。
以下、ポジ型の場合について説明する。
(A)成分は、解像性、耐ドライエッチング性、微細なパターンの形状を満足するために、(a1)単位以外の複数の異なる機能を有するモノマー単位、例えば、以下の構成単位の少なくとも1つとの組み合わせにより構成することが好ましい。
ラクトン単位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、(a2)または(a2)単位という。)、
アルコール性水酸基含有多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、(a3)または(a3)単位という。)、
前記(a1)単位の酸解離性溶解抑制基、前記(a2)単位のラクトン単位、および前記(a3)単位のアルコール性水酸基含有多環式基のいずれとも異なる多環式基を含む構成単位(以下、(a4)または(a4)単位という)。
(a2)、(a3)及び/または(a4)は、要求される特性等によって適宜組み合わせ可能である。
好ましくは、(A)成分が、(a1)及び(a2)を含有していることにより、イマージョンリソグラフィー工程において使用される溶媒に対する耐溶解性が大きくなり、解像性およびレジストパターン形状が良好となる。さらに、これら2種の構成単位が(A)成分の40モル%以上、より好ましくは60モル%以上を占めていることが好ましい。
なお、(a1)〜(a4)単位の内、それぞれについて、異なる単位を複数種を併用してもよい。
ついで、上記(a1)〜(a4)単位について詳細に説明する。
[(a1)単位]
(a1)単位は、酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(a1)における酸解離性溶解抑制基は、露光前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光後は前記(B)成分から発生した酸の作用により解離し、この(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば特に限定せずに用いることができる。一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と、環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、第3級アルコキシカルボニル基、又は鎖状アルコキシアルキル基などが広く知られている。
(a1)における酸解離性抑制基として、例えば、脂肪族多環式基を含有する酸解離性溶解抑制基を好適に用いることができる。
前記多環式基としては、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカンなどから1個の水素元素を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
(a1)として好適なモノマー単位を下記[化9]〜[化17]に示す。

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは低級アルキル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立して低級アルキル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは第3級アルキル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはメチル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは低級アルキル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは低級アルキル基である。)
上記R〜RおよびR〜Rはそれぞれ、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましい。
また、Rは、tert−ブチル基やtert−アミル基のような第3級アルキル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。
(a1)単位として、上記に挙げた中でも、特に一般式(I)、(II)、(III)で表される構成単位は、イマージョンリソグラフィー工程において使用される溶媒に対する耐溶解性に優れ、高解像性に優れるパターンが形成できるため、より好ましい。
[(a2)単位]
(a2)単位は、ラクトン単位を有するので、レジスト膜と基板の密着性を高めたり、現像液との親水性を高めるために有効であるし、イマージョンリソグラフィー工程において使用される溶媒に対する耐溶解性にも優れる。
本発明における(a2)単位は、ラクトン単位を有し、(A)成分の他の構成単位と共重合可能なものであればよい。
例えば、単環式のラクトン単位としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基などが挙げられる。また、多環式のラクトン単位としては、ラクトン含有ポリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基などが挙げられる。このときラクトン単位において、−O−C(O)−構造を含む環をひとつ目の環として数える。したがって、ここでは環構造が−O−C(O)−構造を含む環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
(a2)として好適なモノマー単位を下記一般式[化18]〜[化20]に示す。

(式中Rは水素原子又はメチル基である)

(式中Rは水素原子又はメチル基である)

(式中Rは水素原子又はメチル基である)
これらの中でも、[化20]に示したようなα炭素にエステル結合を有する(メタ)アクリル酸のγ−ブチロラクトンエステル、又は[化18]や[化19]のようなノルボルナンラクトンエステルが、特に工業上入手しやすく好ましい。
[(a3)単位]
(a3)単位は、アルコール性水酸基含有多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
前記アルコール性水酸基含有多環式基における水酸基は極性基であるため、これを用いることにより(A)成分全体の現像液との親水性が高まり、露光部におけるアルカリ溶解性が向上するし、イマージョンリソグラフィー工程において使用される溶媒に対する耐溶解性にも優れる。従って、(A)成分が(a3)を有すると、解像性が向上するため好ましい。
そして、(a3)における多環式基としては、前記(a1)の説明において例示したものと同様の脂肪族多環式基から適宜選択して用いることができる。
(a3)におけるアルコール性水酸基含有多環式基は特に限定されないが、例えば、水酸基含有アダマンチル基などが好ましく用いられる。
さらに、この水酸基含有アダマンチル基が、下記一般式(IV)で表されるものであると、耐ドライエッチング性を上昇させ、パターン断面形状の垂直性を高める効果を有するため、好ましい。

(式中、nは1〜3の整数である。)
(a3)単位は、上記したようなアルコール性水酸基含有多環式基を有し、かつ(A)成分の他の構成単位と共重合可能なものであればよい。
具体的には、下記一般式(V)で表される構成単位が好ましい。

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
[(a4)単位]
(a4)単位において、「前記酸解離性溶解抑制基、前記ラクトン単位、および前記アルコール性水酸基含有多環式基のいずれとも異なる」多環式基とは、(A)成分において、(a4)単位の多環式基が、(a1)単位の酸解離性溶解抑制基、(a2)単位のラクトン単位、及び(a3)単位のアルコール性水酸基含有多環式基のいずれとも重複しない多環式基、という意味であり、(a4)が、(A)成分を構成している(a1)単位の酸解離性溶解抑制基、(a2)単位のラクトン単位、及び(a3)単位のアルコール性水酸基含有多環式基をいずれも保持していないことを意味している。
(a4)単位における多環式基は、ひとつの(A)成分において、前記(a1)〜(a3)単位として用いられた構成単位と重複しない様に選択されていればよく、特に限定されるものではない。例えば、(a4)単位における多環式基として、前記(a1)単位として例示したものと類似の脂肪族多環式基を用いることができ、ArFポジレジスト材料として従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。
(a4)単位としては、上記のような多環式基を有し、かつ(A)成分の他の構成単位と共重合可能なものであればよい。
(a4)の好ましい例を下記[化23]〜[化25]に示す。

(式中Rは水素原子又はメチル基である)

(式中Rは水素原子又はメチル基である)

(式中Rは水素原子又はメチル基である)
本発明のレジスト組成物において、(A)成分の組成は、該(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、(a1)単位が20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であると、解像性に優れ、好ましい。
また、(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、(a2)単位が20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であると、解像度、密着性に優れ、好ましい。
また、(a3)単位を用いる場合、(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%であると、レジストパターン形状に優れ、好ましい。
(a4)単位を用いる場合、(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%であると、孤立パターンからセミデンスパターンの解像性に優れ、好ましい。
また、本発明においては、Fエキシマレーザー用レジストの樹脂成分も前記(a1)単位を含み、かつ(a0)単位を有さない限り、好適に用いることができる。そのようなF用レジスト用の樹脂成分とは、例えば(メタ)アクリル酸エステル単位の側鎖にフッ素原子やフルオロアルキル基を有する基を有する単位を含む共重合体である。
また、本発明における樹脂成分(A)の質量平均分子量(ポリスチレン換算、以下同様)は特に限定するものではないが、5000〜30000、さらに好ましくは8000〜20000とされる。この範囲よりも大きいとレジスト溶剤への溶解性が悪くなり、小さいと耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が悪くなるおそれがある。
本発明における樹脂成分(A)は、(a1)および必要に応じて(a2)、(a3)および/または(a4)の各構成単位にそれぞれ相当するモノマーを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって共重合させることにより、容易に製造することができる。
−酸発生剤成分(B)
本発明において、酸発生剤成分(B)としては、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
該酸発生剤のなかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩が好ましい。好ましい酸発生剤の例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(4−トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリ(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネートなどのオニウム塩などが挙げられる。
(B)成分として、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。0.5質量部未満ではパターン形成が十分に行われないし、30質量部を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
−有機溶剤(C)
本発明に係るホトレジスト組成物は、前記(A)成分と前記(B)成分と、後述する任意の(D)成分および/または(E)成分とを、有機溶剤(C)に溶解させて製造することができる。
有機溶剤(C)としては、前記(A)成分と前記(B)成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
有機溶剤(C)として、例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)、およびγ−ブチロラクトン等のヒドロキシ基やラクトンを有する極性溶剤との混合溶剤は、ホトレジスト組成物の保存安定性が向上するため、好ましい。PGMEAにELを混合する場合は、PGMEA:ELの質量比が6:4〜4:6であると好ましい。
PGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比が8:2〜2:8、好ましくは8:2〜5:5であると好ましい。
本発明に係るホトレジスト組成物において、有機溶剤(C)の含有量は、該レジスト組成物の固形分濃度が3〜30質量%となる範囲で、レジスト膜厚に応じて適宜設定される。
−その他の成分
本発明に係るホトレジスト組成物には、必要に応じて(D)成分以外の他の含窒素有機化合物を配合させることもできる。
さらに任意の(E)成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明に係るホトレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
本発明のホトレジスト組成物の製造は、例えば、後述する各成分を通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
[パターン形成方法]
次に、本発明にかかるレジストパターンの形成方法について説明する。
まずシリコンウェーハ等の基板上に、本発明にかかるホトレジスト組成物をスピンナーなどで塗布した後、プレベーク(PAB処理)を行う。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けた2層積層体とすることもできる。
また、レジスト組成物の塗布層上に有機系の反射防止膜を設けた2層積層体とすることもでき、さらにこれに下層の反射防止膜を設けた3層積層体とすることもできる。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するホトレジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
次いで、上記で得られたホトレジスト組成物の塗膜であるレジスト層に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に浸漬露光(Liquid Immersion Lithograpy)を行う。このとき、予めレジスト層と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒で満たすが、さらに、空気の屈折率よりも大きくかつ前記レジスト層の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒で満たした状態で露光を行うことが好ましい。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるホトレジスト組成物は、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
上記のように、本発明のレジストパターン形成方法においては、露光時に、レジスト層と露光装置の最下位置のレンズ間に、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒で満たすことが好ましい。
空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、またはフッ素系不活性液体等が挙げられる。該フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体が挙げられる。本発明のホトレジスト組成物は、特に水に対する悪影響を受けにくく、ラインエッジラフネスが小さく、レジストパターン形状に優れる。また、水はコスト、安全性、環境問題及び汎用性の観点からも好ましい。
また、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒の屈折率としては、この範囲内であれば特に制限されない。
次いで、露光工程を終えた後、PEB(露光後加熱)を行い、続いて、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液を用いて現像処理する。そして、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、基板を回転させながら基板表面に水を滴下または噴霧して、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流す。そして、乾燥を行うことにより、ホトレジスト組成物の塗膜がマスクパターンに応じた形状にパターニングされる。
このようにしてレジストパターンを形成することにより、微細な線幅のレジストパターン、特にピッチが小さいラインアンドスペース(L&S)パターンを良好な解像度により良好なレジストパターンプロファイル形状で製造することができる。
ここで、ラインアンドスペースパターンにおけるピッチとは、パターンの線幅方向における、レジストパターン幅とスペース幅の合計の距離をいう。
【実施例】
以下本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、模擬的浸漬リソグラフィー及び感度測定の条件は、特に断らない限り、次のようであった。
(1)レジスト塗布膜の形成条件:
基板:8インチシリコンウェーハ;
レジスト塗布方法:2000rpmで回転する基板上にスピンナーを用いて塗布;
レジスト塗布膜のサイズ:上記基板上に同心円状に直径6インチ、厚さ200nm;
プレベーク条件:115℃、90秒;
選択的露光条件:ArFエキシマレーザー(193nm)(露光装置NSR−S302B(ニコン社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯)を用いて露光
(2)レジスト塗布膜と溶媒との接触条件
基板の回転数:500rpm;
溶媒:水;
溶媒滴下量:1.0L/分;
溶媒滴下時間:2分;
溶媒とレジストとの接触温度:23℃。
(3)レジストのパターン形成条件
露光後加熱条件:115℃、90秒
アルカリ現像条件:23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒現像;
【実施例1】
−90nm、65nmのライン幅のラインアンドスペースパターンでのレジストパターンプロファイル形状の評価
下記の(A)成分、(B)成分、および(D)成分を(C)成分に均一に溶解し、ホトレジスト組成物1を調製した。
(A)成分としては、[化26]に示した3種の構成単位からなるメタクリル酸エステル・アクリル酸エステルの共重合体100質量部を用いた。(A)成分の調製に用いた各構成単位p、q、rの比は、p=50モル%、q=30モル%、r=20モル%とした。なお、該共重合体はジカルボン酸の無水物含有構成単位およびフェノール性水酸基含有構成単位を有さない。調製した(A)成分の質量平均分子量は10000であった。

(B)成分としては、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート3.5質量部と、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート1.0質量部を用いた。
(C)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶媒1900質量部(質量比6:4)との混合溶剤を用いた。
(D)成分としては、トリス−2−(2−メトキシ(エトキシ))エチルアミン0.65質量部を用いた。
次に、上記で得られたレジスト組成物1を用いて、レジストパターンの形成を行った。
まず、有機系反射防止膜組成物「AR−19」(商品名、Shipley社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、上記で得られたホトレジスト組成物1を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で115℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、反射防止膜上に膜厚140nmのレジスト層を形成した。
そして、浸漬露光は、ニコン社作成の実験装置を用いて、プリズムと水と193nmの2本の光束干渉による実験を行った。同様の方法は、前記非特許文献2にも開示されており、実験室レベルで簡易にL&Sパターンが得られる方法として公知である。
当該浸漬露光においては、レジスト層とプリズム下面との間に水溶媒層を形成した。
なお、露光量は、L&Sパターンが安定して得られる露光量を選択した。
次に115℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にてアルカリ現像液で60秒間現像した。アルカリ現像液としては2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた。
なお、この実験は水溶媒層のレジスト層に対する影響やレジストパターンの解像性、パターンプロファイル等を調べるものである。よって、空気を用いた比較例2と同等又はそれ以上の結果が得られていれば、そのレジスト層は溶媒層による影響を受けずに解像が可能であり、イマージョンリソグラフィーに用いれば、高解像性と広い焦点深度幅が実現され、さらに微細なパターンが得られる。
実験後、ライン幅、ピッチを測定した。また、レジストパターン形状はSEMにて観察した。
結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において(D)成分をトリエタノールアミン0.3質量部に変更した以外は同様に行なった。
結果を表1にあわせて示した。
[比較例2]
実施例1において、水を用いずに直接プリズムとレジスト層とを接触させた以外は、同様の操作を行った。
結果を表1にあわせて示した。
[比較例3,4、5及び6]
実施例1において、比較例3では、(D)成分をトリn−オクチルアミン(Mw353)0.7質量部へ変え、比較例4ではトリフェニルアミン(Mw245)0.49質量部へ変え、比較例6では、トリエチルアミン(Mw101)0.2質量部へ変え、さらに比較例5では、トリイソプロパノールアミン(Mw191)へ0.38質量部変更した以外は同様なレジスト組成物をそれぞれ調製し、浸漬露光ではなく、通常露光に変えた以外は同様にしてレジストパターンを形成したが、通常露光で比較例1のトリエタノールアミンを用いた場合よりも、レジストパターンが不良であり、また解像性に劣り不良なものであった。

なお、LERは、側長SEM商品名「S−9220」(日立製作所社製)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から標準偏差(σ)の3倍値(3σ)として求めた。なお、この3σが小さいほど、ラフネスが小さく均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。
表1の結果から明らかな様に、実施例においては、ライン幅90nm、ピッチ180nmをターゲットとした場合、ライン幅、ピッチの測定値は空気を用いた比較例2と同等の結果が得られた。
ライン幅65nm、ピッチ130nmをターゲットとした場合については、空気を媒体とした比較の実験は行わなかったが、ターゲットに近い値が得られ、溶媒の影響を受けずに解像可能であることが判明した。
また、LERに関しては、実施例は比較例2よりも極めて優れていることが判明した。
そして、特にトリエタノールアミンを用いた比較例1と比較して、レジストパターン形状はブリッジがなく非常に良好であった。また、LERに関しても、極めて優れていることが判明した。
比較例3〜6においては、極性基を持たない分子量200以上のアミンや極性基は有するが分子量200未満のアミンを通常露光でパターニングした。これらのアミンは通常露光でトリエタノールアミンよりパターン形状や解像性に劣っていることから、浸漬露光で比較するまでもないと判断した。
したがって、本発明のレジスト組成物をイマージョンリソグラフィーに適用すれば、他の含窒素有機化合物を用いた場合と比較して、非常に良好なレジストパターンプロファイル形状を得ることができ、かつ例えばライン幅50nm、ピッチ100nm程度まで、十分に解像可能であることが明らかとなった。
【実施例2〜5】
−X1、X2の測定値による評価
実施例1において、(A)成分のp、q、rのモル比を40/40/20(モル%)とし、(B)成分として、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート5質量部を用い、(D)成分として、前記[化5]に示した(N−1)(実施例2)、前記[化5]に示した(N−2)(実施例3)、前記[化5]に示した(N−3)(実施例4)、前記[化5]に示した(N−4)(実施例5)を用い、(C)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶媒(質量比6:4)を、全固形分濃度が6質量%となる様に用いた以外は、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調整した。
なお、(N−1)、(N−2)、(N−3)、(N−4)は、それぞれ(A)成分100質量部に対して0.58質量部、0.78質量部、0.55質量部、0.69質量部用い、比較例1のトリエタノールアミンとモル数が等しくなる様にした。
当該レジスト組成物について、それぞれ下記の様に模擬的浸漬リソグラフィー工程を行って、レジスト組成物がイマージョンリソグラフィーに適しているか否か評価した。
まず、有機系反射防止膜組成物「AR−19」(商品名、Shipley社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、上記レジスト組成物を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で115℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、反射防止膜上に膜厚200nmのレジスト層を形成した。
次に、マスクパターンを介して、露光装置NSR−S302B(ニコン社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を用いて選択的に照射した。そして、模擬的浸漬露光処理として、該露光後のレジスト層を設けたシリコンウェーハを2000rpmで5秒間、次いで500rpmで115秒間回転させながら、23℃にて純水を2分間滴下しつづけた(模擬的浸漬露光処理)。
ついで、振り切り乾燥を行った後、115℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にてアルカリ現像液で60秒間現像した。アルカリ現像液としては2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた。
このようにして得られた130nmのラインアンドスペースが1:1となるレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、またそのときの感度(Eop)X2を求めた。
一方、レジスト層の形成とアルカリ現像との間に上記模擬的浸漬露光処理を行なわず、従来行われている通常露光のリソグラフィー工程、すなわち上記模擬的浸漬露光処理を行なわない以外は、同様な方法にてレジストパターンの形成を行ってEopを求め、これをX1とした。なお、この場合は、比較のため、前記選択的照射の後、振り切り乾燥を行った後、115℃、90秒間の条件でPEB処理した。
次いで、[(X2/X1)−1]×100の式から、その絶対値を求めたところ、いずれも8.0以下であり、浸漬露光の影響を受けにくいものであることがわかった。
また、レジストパターンはT−トップ形状ではなく、また表面荒れも見られず、良好なものであった。

【産業上の利用可能性】
本発明はレジストパターンの形成に利用でき、産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬露光する工程を含むレジストパターン形成方法に用いられるホトレジスト組成物であって、
酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、有機溶剤(C)と、下記一般式(1)で表される含窒素有機化合物(D)とを含むことを特徴とするホトレジスト組成物。

[式中、X、Y、Zは、それぞれ独立して、末端にアリール基が結合してもよいアルキル基(当該X、Y、およびZのうちの2つの末端が結合して環状構造を形成していてもよい。)であって、かつX、Y、Zのうちの1つ以上が極性基を含み、さらに化合物(D)の分子量が200以上である。]
【請求項2】
前記(D)成分が下記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。

(式中、R11、R12は、それぞれ独立して低級アルキレン基、R13は低級アルキル基を示す。)
【請求項3】
前記浸漬露光する工程において、当該ホトレジスト組成物からなるレジスト層と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きくかつ前記レジスト層の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒で満たすレジストパターン形成方法に用いられるものであることを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。
【請求項4】
前記(A)成分が、(a0)(a0−1)ジカルボン酸の無水物含有構成単位および(a0−2)フェノール性水酸基含有構成単位を有さないことを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。
【請求項5】
前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。
【請求項6】
前記(A)成分が、(a1)酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト組成物。
【請求項7】
前記(A)成分が、(a2)ラクトン単位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト組成物。
【請求項8】
前記(A)成分が、(a1)酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位及び(a2)ラクトン単位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有し各構成単位(a1)及び(a2)のそれぞれの含有量が、(a1)20〜60モル%、及び(a2)20〜60モル%であることを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト組成物。
【請求項9】
前記(A)成分が、(a3)水酸基含有多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のホトレジスト組成物。
【請求項10】
前記(A)成分が、(a1)酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、(a2)ラクトン単位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、及び(a3)水酸基含有多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有し、各構成単位(a1)〜(a3)のそれぞれの含有量が、(a1)20〜60モル%、(a2)20〜60モル%、及び(a3)5〜50モル%であることを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト組成物。
【請求項11】
前記(A)成分が、メタクリル酸エステルから誘導される構成単位と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を、ともに有することを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト組成物。
【請求項12】
前記空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒が、水またはフッ素系不活性液体であることを特徴とする請求項3に記載のホトレジスト組成物。
【請求項13】
請求項1に記載のホトレジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法であって、浸漬露光する工程を含むことを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項14】
前記浸漬露光する工程において、ホトレジスト組成物からなるレジスト層を形成した後、当該レジスト層と露光装置の最下位置のレンズ間を空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒で満たすことを特徴とする請求項13に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項15】
前記空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒として、水またはフッ素系不活性液体を用いることを特徴とする請求項14に記載のレジストパターン形成方法。

【国際公開番号】WO2004/077158
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502898(P2005−502898)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002179
【国際出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】