説明

ホログラム記録再生装置およびそのプログラム

【課題】本発明は、簡易な構成で、再生ページデータの誤り率を低減するホログラム記録再生装置を提供する。
【解決手段】
ホログラム記録・再生演算部1は、再生ページデータ内の重心算出領域から、重心算出領域での重心座標を算出する重心座標算出手段212と、重心座標算出手段212によって算出された重心算出領域での重心座標と、ページデータの中心座標との重心中心間距離を算出する重心中心間距離算出手段213と、重心中心間距離算出手段213によって算出された重心中心間距離が予め設定された閾値を超える場合、チルト制御を行うと判定するチルト制御判定手段214と、チルト制御判定手段214によってチルト制御を行うと判定された場合、重心中心間距離が許容範囲に収まるようにチルト制御を行う制御信号を生成する制御信号生成手段215と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元のビットパターンであるページデータが再生された再生ページデータを用いて、ページデータを記録するホログラム記録媒体に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うホログラム記録再生装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のホログラフィックメモリ記録システムは、一般的に、デジタルデータ(ページデータ)を担持した物体光を参照光とともにホログラム記録媒体に同時に照射し、このホログラム記録媒体中に形成される干渉縞をホログラム記録媒体に書き込むことによって、デジタルデータを記録することができる。
【0003】
また、従来のホログラフィックメモリ記録システムは、デジタルデータが記録されたホログラム記録媒体に参照光を照射すると、ホログラム記録媒体中に書き込まれた干渉縞により光の回折が生じ、上記物体光が担持していたデジタルデータを再生することができる。
【0004】
ここで、図20を参照して、従来のホログラフィックメモリ記録システム900の一例について、簡単に説明する。図20に示すように、ホログラフィックメモリ記録システム900では、レーザ光源101から出力され、シャッタ102を通過したレーザ光(S偏光(縦偏光))が、ハーフミラー103によって2系に分割され、一方は参照光とされてミラー110および集光レンズ111を介して、ホログラム記録媒体109上に照射される。
【0005】
また、2系に分割されたうちの他方のレーザ光は、1/2波長板105によってP偏光(横偏光)に変換されてPBS(偏光ビームスプリッタ)106(P偏光を透過しS偏光を反射する)を透過し、反射型液晶素子などからなるSLM(空間光変調素子)107上に照射される。
【0006】
この照射された光は、SLM107の素子面に映出された白と黒のビットパターンによる2次元画像のデジタルデータを担持されるとともに、S偏光に変換されて(実際には、白表示とされた素子からの光がS偏光に変換される)反射され、物体光としてPBS106に戻る。このSLM107から戻った物体光は、PBS106により反射され、集光レンズ108を介してホログラム記録媒体109上に照射される。
【0007】
このように、ホログラム記録媒体109上に照射された参照光と物体光は、何れもS偏光とされているので、このホログラム記録媒体109上で干渉して干渉縞が形成され、この干渉縞がホログラム記録媒体109に書き込まれることになる。
【0008】
また、再生時、ホログラフィックメモリ記録システム900は、参照光のみをホログラム記録媒体109に照射することにより、書き込まれた干渉縞から生成される回折光(再生光)をレンズ112で平行光に戻す。そして、ホログラフィックメモリ記録システム900は、この平行光を、CCDやCMOSセンサなどの2次元撮像素子113で撮像することにより、デジタルデータを復元(再生)することになる。
【0009】
ここで、ホログラム記録媒体109としては、フォトポリマ記録媒体が有望である。このフォトポリマ記録媒体は、高い屈折率差、長期保存安定性など大きなメリットを持ち、製造も比較的容易である。その一方、フォトポリマ記録媒体は、干渉縞を記録する場合には重合反応を伴うため、体積収縮を起こすことがある。この体積収縮が起きた場合、ホログラフィックメモリ記録システム900は、フォトポリマ記録媒体から正確にデジタルデータを復元(再生)できないことがある。そこで、フォトポリマ記録媒体の収縮率を低減するため、収縮する材料と膨張をする材料との2つを混ぜ、見かけ上の収縮をほとんど無くした発明が知られている(特許文献1)。
【0010】
この特許文献1に記載の記録媒体を採用した場合でも、前記した収縮があると、干渉縞の状態が変わるため、条件を合わせないとデジタルデータを綺麗に再生することが困難である。特に、ホログラム記録では、記録するデジタルデータが2次元のデータ面であるため、タンジェンシャルチルトやラジアルチルトの補正が重要である。そこで、チルト検出用微小ホログラムを予め記録しておき、そのチルト検出用微小ホログラムより補正信号を取り出す発明が提案されている(特許文献2)。さらに、デジタルデータの光を集光し、その光点の位置より補正信号を取り出す発明も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−86914号公報(特許3504884号公報)
【特許文献2】特開2008−97752号公報
【特許文献3】特開2002−56552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献2,3に記載の発明では、補正信号を取り出すために余分な光学素子を付加する必要があり、構成が複雑化するという問題があった。また、特許文献2,3に記載の発明では、補正信号の精度が低いために、チルト補正を正確に行えず、再生ページデータの誤り率が高くなるという問題あった。
【0013】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、簡易な構成で、再生ページデータの誤り率を低減するホログラム記録再生装置およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明者らは、前記した課題を解決するために、レンズの特性やホログラム記録媒体の歪み方を考慮に入れて、種々の手法を実験検討した。その結果、本願発明者らは、再生ページデータの誤り率がチルトによって大きく変化する共に、再生ページデータの輝度重心もチルトに応じて変化することを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本願第1発明に係るホログラム記録再生装置は、2次元のビットパターンであるページデータが再生された再生ページデータを用いて、ページデータを記録するホログラム記録媒体に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うホログラム記録再生装置であって、再生ページデータ入力手段と、重心座標算出手段と、重心中心間距離算出手段と、チルト制御判定手段と、チルト制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、ホログラム記録再生装置は、再生ページデータ入力手段によって、重心座標の算出対象である重心算出領域を有する再生ページデータが入力される。また、ホログラム記録再生装置は、重心座標算出手段によって、前記再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータ内の重心算出領域から、再生ページデータの重心座標を算出する。また、ホログラム記録再生装置は、重心中心間距離算出手段によって、重心座標算出手段で算出された重心座標と、再生ページデータの中心座標との重心中心間距離を算出する。そして、ホログラム記録再生装置は、チルト制御判定手段によって、重心中心間距離算出手段で算出された重心中心間距離が予め設定された許容範囲を超える場合、チルト制御を行うと判定する。さらに、ホログラム記録再生装置は、チルト制御手段によって、チルト制御判定手段でチルト制御を行うと判定された場合、重心中心間距離が許容範囲に収まるようにチルト制御を行う。
【0017】
前記したように、ホログラム記録媒体が収縮している場合、再生ページデータの誤り率は、チルトにより変化する。また、再生ページデータの誤り率が最低になる位置が最適なチルト位置になるが、ホログラム記録媒体に記録されたページデータが未知のため、そのチルト位置を探すことは困難である。そこで、重心座標算出手段は、再生ページデータの重心座標を、再生ページデータの誤り率が最低になるチルト位置として算出する。そして、チルト制御判定手段は、再生ページデータの重心座標と中心座標との重心中心間距離に基づいて、チルト制御を行うか否かを判定する。このとき、ホログラム記録再生装置は、再生ページデータ自体から重心座標を算出するので、チルト制御を行うために余分な光学素子を必要としない。
【0018】
本願第2発明に係るホログラム記録再生装置は、再生ページデータ入力手段が、少なくとも4隅に同一の空間周波数成分を有するパターンが配置された再生ページデータが入力され、再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータから、重心算出領域として、パターンを検出するパターン検出手段と、パターン検出手段によって検出されたパターンを周波数変換して、パターンごとの空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、をさらに備え、重心座標算出手段が、パターンごとの空間周波数成分から基本周波数を抽出し、抽出した基本周波数の振幅強度分布により重心座標を算出することを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、重心座標算出手段は、パターンごとに重心座標を算出すればよいので、重心座標算出処理の計算量を低減できる。例えば、4個のパターンが付加されている場合、重心座標算出手段は、4個のパターンに重心座標算出処理を行うだけでよい。
【0020】
本願第3発明に係るホログラム記録再生装置は、正方形の連続する数が互いに素であるパターンをページデータごとに交互に付加するパターン付加手段、をさらに備え、再生ページデータ入力手段が、パターン付加手段によってパターンが付加されたページデータの再生画像である再生ページデータが、入力されることを特徴とする。
【0021】
ここで、ホログラム記録媒体にページデータを記録する場合、露光によるホログラム記録媒体の重合反応を利用する。また、ページデータおよびパターンというようにホログラム記録媒体に多重記録する場合、例えば、最初にホログラム記録媒体のうちの1%重合させ、次にホログラム記録媒体のうちの1%重合させるというように、ホログラム記録媒体の記憶容量を小分けにすることになる。このとき、パターン付加手段は、正方形が一定間隔で配列されたパターンのため、各パターンを1つの長方形とした場合に比べて、パターンの記録領域を少なくして、余分な露光を低減でき、パターンを記録するための記憶容量を最小限に抑える。
【0022】
また、ホログラム記録再生装置は、再生ページデータごとに、正方形が連続する数が互いに素であるパターンが交互するため、再生ページデータ間でパターンがオーバーラップ(重なり合い)した場合でも周波数変換により、再生ページデータ間での分離ができる。これによって、ホログラム記録再生装置は、再生ページデータ間でのクロストークを抑えて、パターンを容易に検出することができる。
【0023】
なお、パターン付加手段は、例えば、7個の正方形が連続するパターンと、9個の正方形が連続するパターンとを交互にページデータに付加する。すなわち、正方形が連続する数が互いに素であるパターンは、例えば、7個の正方形が連続するパターン、および、9個の正方形が連続するパターンである。
【0024】
本願第4発明に係るホログラム記録再生装置は、空間周波数成分算出手段が、周波数変換として、高速フーリエ変換を行うことを特徴とする。
かかる構成によれば、空間周波数成分算出手段は、周波数変換の高速化を図ることができる。
【0025】
本願第5発明に係るホログラム記録再生装置は、再生ページデータ入力手段は、重心算出領域として、ページデータの再生領域であるデータ領域を有する再生ページデータが入力され、重心座標算出手段が、再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータのデータ領域において、データ領域の輝度分布により重心座標を算出することを特徴とする。
かかる構成によれば、重心座標算出手段は、データ領域自体から重心座標を算出するので、チルト制御を行うために、余分な光学素子だけでなく、データ領域以外の一切の信号も必要としない。
【0026】
本願第6発明に係るホログラム記録再生装置は、チルト制御手段が、予め設定された角度多重軸を回転中心として再生ページデータを回転させるようにチルト補正を行った後、角度多重軸に直交する直交軸を回転中心として再生ページデータを回転させるようにチルト補正を行うことを特徴とする。
【0027】
ここで、ホログラム記録再生装置が角度多重方式を採用した場合を考える。この場合、角度多重軸を回転中心とした角度多重軸回転方向の角度を変えながら、重心算出領域の重心座標をプロットした重心軌跡は、直線状にならず、2次曲線状となる。その一方、直交軸(あおり軸)を回転中心とした直交軸回転方向(あおり軸回転方向)の角度を変えながら、重心算出領域の重心座標をプロットした重心軌跡は、直線状となる。このことは、角度多重軸の変化が、直交軸の変化より、再生ページデータの誤り率に与える影響が大きいことを示す。すなわち、ホログラム記録媒体の収縮は、角度多重軸の方に大きな影響をおよぼす。このため、チルト制御手段は、角度多重軸および直交軸でのチルト補正を同時に行うのではなく、角度多重軸でのチルト制御を優先する。
【0028】
なお、本願第1発明に係るホログラム記録再生装置は、一般的なコンピュータを、再生ページデータ入力手段、重心座標算出手段、重心中心間距離算出手段、チルト制御判定手段、および、チルト制御手段として機能させるホログラム記録再生プログラムによって実現することもできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本願第1発明によれば、再生ページデータ自体から重心座標を算出できるため、余分な光学素子を必要とせずに、再生ページデータの誤り率が許容範囲に収まるようにチルト制御を行うことができる。これによって、本願第1発明によれば、ホログラム記録再生装置を簡易な構成とし、再生ページデータの誤り率を低減することができる。
【0030】
本願第2発明によれば、パターンごとに重心座標を算出すればよいため、重心座標算出処理の計算量を低減でき、チルト補正を素早く行うことができる。
本願第3発明によれば、正方形が連続する数が互いに素であるパターンをページデータごとに交互に付加するため、パターンの記憶容量を最小限に抑えると共に、パターンを容易に検出することができる。これによって、本願第3発明によれば、再生ページデータの誤り率低減と、ホログラム記録媒体の効率的な利用とを両立することができる。
本願第4発明によれば、周波数変換を高速化するため、チルト補正をより素早く行うことができる。
【0031】
本願第5発明によれば、データ領域自体から重心座標を算出できるため、余分な光学素子だけでなく、データ領域以外の一切の信号もチルト制御に必要とせず、ホログラム記録再生装置をより簡易な構成とすることができる。
【0032】
本願第6発明によれば、再生ページデータの誤り率に与える影響が大きい角度多重化移転軸を優先的にチルト補正するため、チルト補正をより正確に行うことができ、再生ページデータの誤り率をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態において、ホログラフィックメモリ記録システムの構成を示す概略図である。
【図2】図1のホログラム記録・再生演算部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の制御手段の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態において、再生ページデータを説明する図である。
【図5】図1のホログラム記録媒体上の座標軸を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態において、再生ページデータの輝度分布を示す画像例である。
【図7】本発明の第1実施形態において、(a)は輝度分布が三日月状のときの重心座標と許容範囲との関係を示す図であり、(b)は輝度分布が均一なときの重心座標と許容範囲との関係を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態において、(a)は角度多重軸の回転を示す図であり、(b)は角度多重軸を回転させたときの重心軌跡を示す重心マップである。
【図9】角度多重軸の回転角度と、重心中心間距離(2乗距離)と、再生ページデータの誤り率との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第1実施形態において、(a)はあおり軸の回転を示す図であり、(b)はあおり軸を回転させたときの重心軌跡を示す重心マップである。
【図11】図3の制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係るホログラム記録・再生演算部の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2実施形態において、パターンを付加する位置を説明する図である。
【図14】本発明の第2実施形態において、(a)〜(d)はパターンの形状を説明する。
【図15】図12の制御手段の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2実施形態において、パターンの空間周波数成分の算出を説明する図である。
【図17】本発明の第2実施形態において、(a)は角度多重軸の回転を示す図であり、(b)は角度多重軸を回転させたときの重心軌跡を示す重心マップである。
【図18】本発明の第2実施形態において、(a),(b)は再生ページデータの輝度分布を示す画像である。
【図19】図12の制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図20】従来のホログラフィックメモリ記録システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する手段及び同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略した。
【0035】
[ホログラフィックメモリ記録システムの構成]
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るホログラム記録・再生演算部(ホログラム記録再生装置)を有するホログラフィックメモリ記録システムの構成について説明する。
なお、図1のホログラフィックメモリ記録システム100において、図20のホログラフィックメモリ記録システム900と同一の手段には同一の符号を付した。
【0036】
図1に示すように、ホログラフィックメモリ記録システム100は、角度多重方式でホログラム記録および再生を行うものであり、ホログラム記録・再生演算部(ホログラム記録再生装置)1と、レーザ光源101と、シャッタ102と、ハーフミラー103と、シャッタ104と、1/2波長板105と、PBS(偏光ビームスプリッタ)106と、SLM(空間光変調素子)107と、集光レンズ108と、ホログラム記録媒体109と、集光レンズ111と、レンズ112と、2次元撮像素子113と、2軸回転ミラー114と、リレーレンズ115と、2軸回転ステージ116とを備える。
【0037】
ホログラム記録・再生演算部(ホログラム記録再生装置)1は、ホログラム記録および再生に必要な各種演算を行うと共に、再生ページデータを用いて、ホログラム記録媒体109に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うものである。
【0038】
ここで、ホログラムを記録する場合、ホログラム記録・再生演算部1は、ホログラム記録媒体109に記録する映像、データなどの記録信号が入力される。そして、ホログラム記録・再生演算部1は、この記録信号を2次元のビットパターンであるページデータに変換して、SLM107に出力する。
【0039】
また、ホログラムを再生する場合、ホログラム記録・再生演算部1は、2次元撮像素子113から、再生ページデータ(輝度信号)が入力される。そして、ホログラム記録・再生演算部1は、チルト補正を行った後、この再生ページデータを映像、データなどの再生信号に変換して出力する。
なお、ホログラム記録・再生演算部1の詳細については、後記する。
【0040】
レーザ光源101は、物体光および参照光となるレーザ光を出射するものであり、例えば、青紫色レーザ光を出射する外部共振器型半導体レーザによって構成することができる。レーザ光源101から出射したレーザ光は、シャッタ102に入射する。なお、ここでは、レーザ光源101からS偏光のレーザ光(平行光)が出射することとする。
【0041】
シャッタ102は、ホログラム記録媒体109へのレーザ光の照射または遮断を制御するものである。このシャッタ102を通過したレーザ光は、ハーフミラー103に入射する。
【0042】
ハーフミラー103は、入射したレーザ光を、透過する光と反射する光との2つの光に分割するものである。ここでは、ハーフミラー103で反射したレーザ光を参照光、透過したレーザ光を物体光として用いた。また、ハーフミラー103で反射した参照光は、入射光の光路に対して直交する方向に光路を変えて2軸回転ミラー114に、透過した物体光はシャッタ104に入射する。
【0043】
シャッタ104は、ホログラム記録媒体109へのレーザ光の照射または遮断を制御するものである。このシャッタ104を通過したレーザ光は、1/2波長板105に入射する。
【0044】
1/2波長板105は、S偏光の物体光をP偏光の物体光に変換するものである。ここで1/2波長板105を通過した物体光はPBS106に入射する。
【0045】
PBS(偏光ビームスプリッタ)106は、P偏光の光を透過し、S偏光の光を反射するビームスプリッタである。ここでは、PBS106は、1/2波長板105を通過したP偏光の物体光を透過してSLM107に入射させるとともに、SLM107が反射したS偏光の物体光をさらに反射して、入射光の光路に対して直交する方向に光路を変えて集光レンズ108に入射させる。
【0046】
SLM(空間光変調素子)107は、PBS106から入射されたP偏光の物体光に、当該SLM107の素子面(図示せず)に映出された白と黒のビットパターンによる画像のページデータを素子内における振動面(図示せず)の回転により、反射光をS偏光に変換するものである。ここで、SLM107に物体光が入射すると、白表示とされた素子のみでS偏光に変換され(黒表示はP偏光のまま)反射され、PBS106でS偏光は反射、P偏光は透過され、最終的に素子面に映出された白と黒のビットパターンを有するS偏光の物体光となる。
【0047】
集光レンズ108は、物体光を集光して、ホログラム記録媒体109に照射するものである。この集光レンズ108は、例えば、凸レンズやフーリエ変換レンズなどから構成される。
【0048】
ホログラム記録媒体109は、例えば、フォトポリマ記録媒体である。すなわち、ホログラム記録媒体109は、集光レンズ108と後記する集光レンズ111とによって互いに同一方向の振動面を有する直線偏光である参照光と物体光とが照射され、SLM107上に表示されたページデータを反映した干渉縞が形成される。これによって、ホログラム記録媒体109は、ページデータを干渉縞の形態で記録する。
【0049】
集光レンズ111は、後記するリレーレンズ115を通過した参照光を集光して、ホログラム記録媒体109に照射するものである。この集光レンズ111は、例えば、凸レンズやフーリエ変換レンズなどから構成される。
【0050】
レンズ112は、ホログラム記録媒体109に書き込まれた干渉縞から生成される回折光(再生光)を平行光に戻すものである。
【0051】
2次元撮像素子113は、レンズ112からの平行光を撮像して、輝度信号(再生ページデータ)をホログラム記録・再生演算部1に出力するものである。この2次元撮像素子113は、例えば、CCDやCMOSセンサなどである。
【0052】
2軸回転ミラー114は、ホログラム記録・再生演算部1からの制御信号に基づいて、ミラーを2軸方向に回転させることで、ホログラム記録媒体109に入射するレーザ光(参照光)と、ホログラム記録媒体109との相対角度を制御するものである。この2軸回転ミラー114は、例えば、レーザ光をリレーレンズ115に向けて反射するミラーと、ミラーを2軸方向(角度多重軸回転方向Θx、あおり軸回転方向Θy)に駆動させるアクチュエータとから構成される。
【0053】
リレーレンズ115は、2軸回転ミラー114からのレーザ光を、集光レンズ111に照射するものである。このリレーレンズ115は、例えば、凸レンズを複数配列した凸レンズ群から構成される。
【0054】
2軸回転ステージ116は、ホログラム記録・再生演算部1からの制御信号に基づいて、ホログラム記録媒体109が搭載されたステージを2軸方向に回転させることで、ホログラム記録媒体109に入射するレーザ光(参照光)と、ホログラム記録媒体109との相対角度を制御するものである。この2軸回転ステージ116は、例えば、ホログラム記録媒体109を搭載するステージと、ステージを2軸方向(角度多重軸回転方向Θx、あおり軸回転方向Θy)に駆動するアクチュエータを有する。
【0055】
なお、ホログラフィックメモリ記録システム100は、2軸回転ミラー114および2軸回転ステージ116の両方を備えることとしたが、何れか一方だけを備えてもよい。つまり、ホログラフィックメモリ記録システム100は、レーザ光(参照光)の反射角度を制御してチルト補正を行う場合には2軸回転ミラー114だけを備えればよい。一方、ホログラフィックメモリ記録システム100は、ホログラム記録媒体109を回転させてチルト補正を行う場合には、2軸回転ステージ116だけを備えればよい。以下、ホログラム記録・再生演算部1は、制御信号を2軸回転ミラー114に出力し、レーザ光(参照光)の反射角度を制御して、チルト補正を行うこととする。
【0056】
(第1実施形態:データ領域から重心座標を算出)
[ホログラム記録・再生演算部の構成]
図2を参照して、図1のホログラム記録・再生演算部1の構成について説明する(適宜図1参照)。
図2に示すように、ホログラム記録・再生演算部1は、記録信号演算部10と、再生信号演算部20とを備える。
【0057】
記録信号演算部10は、ホログラム記録に必要な各種演算を行うものであり、誤り訂正符号付加手段11と、ホログラム記録用変調手段12と、2次元画像並び替え手段13とを備える。
【0058】
誤り訂正符号付加手段11は、記録信号が入力され、この記録信号に誤り訂正符号(ECC)を付加するものである。そして、誤り訂正符号付加手段11は、誤り訂正符号を付加した記録信号を、ホログラム記録用変調手段12に出力する。
【0059】
ホログラム記録用変調手段12は、誤り訂正符号付加手段11から、誤り訂正符号を付加した記録信号が入力され、この記録信号を変調するものである。このホログラム記録用変調手段12は、例えば、2−4変調などの変復調方式で変調して、2次元画像並び替え手段13に出力する。ここで、2−4変調とは、2ビットを4ビットに変換する変復調方式であって、2×2のビットのうちの1つが白で、残りが黒となる。
【0060】
2次元画像並び替え手段13は、ホログラム記録用変調手段12から、変調された記録信号が入力され、この記録信号を2次元画像に並び替えるものである。この2次元画像並び替え手段13は、例えば、入力されたブロック記録信号を順次並べていき、SLM107の画素数にあった2次元画像とする。このようにして、2次元画像並び替え手段13は、この記録信号が2次元のビットパターンで表現されたページデータをSLM107に出力する。
【0061】
再生信号演算部20は、ホログラム再生に必要な各種演算を行うものであり、制御手段21と、1次元データ並び替え手段22と、ホログラム記録用復調手段23と、誤り訂正手段24とを備える。
【0062】
制御手段21は、2次元撮像素子113から再生ページデータ(輝度信号)が入力され、この再生ページデータを用いて、ホログラム記録媒体109に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うものである。また、制御手段21は、チルト補正を行わない場合、入力された再生ページデータを1次元データ並び替え手段22に出力する。
なお、制御手段21の詳細については、後記する。
【0063】
1次元データ並び替え手段22は、制御手段21から再生ページデータが入力され、2次元画像並び替え手段13と同様の手法で、この再生ページデータを1次元データに並び替えるものである。そして、1次元データ並び替え手段22は、並び替えた1次元データをホログラム記録用復調手段23に出力する。
【0064】
ホログラム記録用復調手段23は、1次元データ並び替え手段22から1次元データが入力され、ホログラム記録用変調手段12と同様の変復調方式によって、この1次元データを再生信号に復調するものである。そして、ホログラム記録用復調手段23は、復調した再生信号を誤り訂正手段24に出力する。
【0065】
誤り訂正手段24は、ホログラム記録用復調手段23から、復調された再生信号が入力され、この再生信号の誤り訂正処理を行うものである。この誤り訂正手段24は、誤り訂正符号付加手段11が付加した誤り訂正符号を用いて、この再生信号に誤り訂正処理を行った後、再生信号を出力する。
【0066】
なお、記録信号演算部10および再生信号演算部20は、各種演算に必要なテーブルやパラメータを共有し、変復調方式や誤り訂正アルゴリズムを共通化することとする。
【0067】
[制御手段の構成]
図3を参照して、図2の制御手段21の構成について説明する(適宜図1,図2参照)。
図3に示すように、制御手段21は、再生ページデータ入力手段211と、重心座標算出手段212と、重心中心間距離算出手段213と、チルト制御判定手段214と、制御信号生成手段(チルト制御手段)215とを備える。
【0068】
再生ページデータ入力手段211は、再生ページデータが入力され、この再生ページデータを重心座標算出手段212に出力するものである。以下、図4を参照して、再生ページデータについて説明する。
【0069】
前記した2次元撮像素子113は、ページデータであるデータ領域Daの全体が含まれるように、このデータ領域Daよりもやや広い領域を撮像する。このため、この再生ページデータは、その全領域Alの一部がデータ領域Daとなる。また、再生ページデータは、水平軸をX軸とし、垂直軸をY軸とする。
【0070】
このデータ領域Daは、重心座標算出領域としても扱われる。重心座標算出領域とは、再生ページデータの全領域Alのうちの重心座標の算出対象となる領域のことである。
【0071】
重心座標は、再生ページデータの重心位置を示す座標である。この重心座標は、例えば、(x,y)と表される。ここで、xはX軸方向の重心座標を示し、yは、Y軸方向の重心座標を示す。
なお、再生ページデータにデータ領域Daが含まれる場合、重心座標(x,y)は、再生ページデータ内のデータ領域Daの重心座標としてもよい。
【0072】
中心座標は、再生ページデータの中心位置を示す座標である。この中心座標は、例えば、(x,y)と表される。ここで、xはX軸方向の中心座標を示し、yはY軸方向の中心座標を示す。
なお、再生ページデータにデータ領域Daが含まれ、初期アライメントとしてカメラ(2次元撮像素子113)の中心位置と再生ページデータの中心位置とを合わせた場合、中心座標(x,y)は、再生ページデータ内のデータ領域Daの中心座標としてもよい。
【0073】
重心中心間距離Dは、重心座標(x,y)と中心座標(x,y)との距離(2乗距離)である。
許容範囲Thは、重心中心間距離Dの許容範囲を示すものである。この許容範囲Thは、例えば、再生ページデータの誤り率が2×10−3に納まるように、中心座標(x,y)を中心とした、半径118画素の円となる。
【0074】
ここで、許容範囲Thは、再生ページデータの誤り率に応じて手動で設定することができる。例えば、LDPC(Low Density Parity Check Code)など誤り訂正能力が高い符号化方式を採用した場合、再生ページデータの誤り率が1×10−1程度でも許容される。この場合、許容範囲Thは、より広い範囲に設定できる。
【0075】
また、図4左下には、ホログラム記録媒体109の座標軸として、角度多重軸x、角度多重軸回転方向Θx、あおり軸y、および、あおり軸回転方向Θyを図示した。ここで、ホログラム記録媒体109の座標軸は、再生ページデータの座標軸と同一軸として扱う。つまり、角度多重軸xは再生ページデータのX軸と同一軸であり、あおり軸yは再生ページデータのY軸と同一軸である。
【0076】
なお、図4には、重心座標(x,y)、中心座標(x,y)、重心中心間距離Dおよび許容範囲Thは、説明のために図示したものであり、再生ページデータにこれらが含まれないことは言うまでもない。
【0077】
以下、図5を参照して、ホログラム記録媒体109の座標軸について説明する。
ここで、2軸回転ミラー114を回転させることで、ホログラム記録媒体109への入射角度が変化するが、これは相対角度のため、入射光を固定して、ホログラム記録媒体109を回転させたものとして、図5では軸表記した。
【0078】
図5に示すように、角度多重軸xは、ホログラム記録媒体109において、平坦面(記録面)の中心位置109cを基準とした水平軸である。また、角度多重軸回転方向Θxは、角度多重軸xを回転中心とした回転方向である。
【0079】
あおり軸yは、ホログラム記録媒体109において、平坦面の中心位置109cを基準とした垂直軸、つまり、角度多重軸xに直交する軸である。また、あおり軸回転方向Θyは、あおり軸yを回転中心とした回転方向である。
【0080】
つまり、再生ページデータのX軸を回転中心としてチルト補正を行うと、ホログラム記録媒体109の平坦面が角度多重軸回転方向Θxに回転することになる。また、再生ページデータのY軸を回転中心としてチルト補正を行うと、ホログラム記録媒体109の平坦面があおり軸回転方向Θyに回転することになる。
【0081】
なお、角度多重軸xは、ホログラム記録媒体109にページデータを記録するときに予め決定されているため、制御手段21には、角度多重軸xおよびあおり軸yの方向を手動で設定しておく。
【0082】
図3に戻り、制御手段21の構成について説明を続ける。
重心座標算出手段212は、再生ページデータ入力手段211から再生ページデータが入力され、この再生ページデータにおけるデータ領域の重心座標を算出するものである。
【0083】
前記したように、再生ページデータの誤り率が最低になる位置が最適なチルト位置となるが、ホログラム記録媒体に記録されたページデータが未知のため、そのチルト位置を探すことは困難である。そこで、重心座標算出手段212は、重心座標を、再生ページデータの誤り率が最低になるチルト位置として算出する。
【0084】
具体的には、重心座標算出手段212は、データ領域の各画素の輝度値、I(x(i),y(j))を合計して、輝度合計値を算出する。また、重心座標算出手段212は、データ領域の各画素の輝度値、I(x(i),y(j))に座標値(x(i),y(j))を乗算した輝度座標乗算値を求めて、各画素の輝度座標乗算値を合計した輝度座標乗算合計値を算出する。そして、重心座標算出手段212は、この輝度座標乗算合計値を輝度合計値で除算して重心座標を算出する。
【0085】
言い換えるなら、重心座標算出手段212は、下記の式(1)で表されるデータ領域の輝度分布により重心座標を算出する。つまり、式(1)の分母が輝度合計値となり、式(1)の分子が輝度座標乗算値の合計値となる。その後、重心座標算出手段212は、再生ページデータと、算出した重心座標とを重心中心間距離算出手段213に出力する。
【0086】
【数1】

【0087】
なお、各画素の座標は(x(i),y(j))と表される。ここで、iはX軸方向の各画素の座標を示し、jがY軸方向の各画素の座標を示す。また、I(x(i),y(j))は、座標(x(i),y(j))に位置する画素の輝度値である。
【0088】
例えば、データ領域が横1280画素×縦1024画素の場合、iが1〜1280の値となり、jが1〜1024の値となる。つまり、重心座標算出手段212は、データ領域内に存在する画素の数(1280×1024個)だけ、式(1)の計算を繰り返すことになる。
【0089】
重心中心間距離算出手段213は、重心座標算出手段212から、再生ページデータおよび重心座標が入力され、この重心座標と中心座標との重心中心間距離を算出するものである。この重心中心間距離算出手段213は、例えば、下記の式(2)に示すように、重心座標(x,y)と中心座標(x,y)との2乗距離を重心中心間距離として算出する。その後、重心中心間距離算出手段213は、再生ページデータと、算出した重心中心間距離Dとをチルト制御判定手段214に出力する。
【0090】
【数2】

【0091】
なお、重心中心間距離算出手段213は、中心座標(x,y)を公知の手法により求めることができる。例えば、重心中心間距離算出手段213は、データ領域の水平方向長さおよび垂直方向長さをそれぞれ半分にして、中心座標(x,y)を求めることができる。
【0092】
チルト制御判定手段214は、重心中心間距離算出手段213から再生ページデータおよび重心中心間距離Dが入力され、この重心中心間距離Dが予め設定された許容範囲を超えるか否かにより、チルト制御を行うか否かを判定するものである。このチルト制御判定手段214は、重心中心間距離Dが許容範囲を超える場合(図4の重心座標(x,y)が許容範囲Th外の場合)、チルト制御を行うと判定して、チルト制御指令信号を制御信号生成手段215に出力する。
【0093】
一方、チルト制御判定手段214は、重心中心間距離Dが許容範囲に収まる場合(図4の重心座標(x,y)が許容範囲Th内の場合)、チルト制御を行わないと判定して、再生ページデータを1次元データ並び替え手段22に出力する。
【0094】
ここで、図6,図7を参照して、重心座標と許容範囲との関係について説明する(適宜図3参照)。
下記の式(3)で定義されるブラッグ条件式を満たす部分のみ、ホログラム再生像を得ることができる。なお、式(3)では、dが干渉縞の間隔であり、θが入射角度であり、λが波長であり、nが任意の自然数である。
【0095】
【数3】

【0096】
このため、ホログラム記録媒体109が収縮または膨張すると、前記したブラッグ条件式を満たさず、ホログラム再生を行えないことがある。また、ホログラム記録媒体109の一部分だけがブラッグ条件式を満たす場合、残りの部分は、信号対ノイズ比(SNR)の低い状態でホログラム再生されることもある。
【0097】
例えば、ブラッグ条件式を満たさない場合、再生ページデータの輝度分布は、図6に示すように、三日月状の形状となる。この一例は、文献「K.Curtis,L.Dhar,A.Hill,W.Wilson and M.Ayres;"Holographic Data Storage",Johh Wiley&Sons,Ltd.,p.356,2010」に記載されている。この場合、図7(a)に示すように、この輝度分布により求まる重心座標(x,y)は、許容範囲Thの外側になることが多い。
【0098】
その一方、図7(b)に示すように、ブラッグ条件式を満たし、データ領域Daに均一に輝度分布が広がる場合、この輝度分布により求まる重心座標(x,y)は、許容範囲Thの内側になることが多い。このため、チルト制御判定手段214は、重心座標と許容範囲との関係に基づいて、チルト制御を行うか否かを判定する。
なお、図7では、データ領域Daの輝度分布をハッチングで図示した。
【0099】
図3に戻り、制御手段21の構成について説明を続ける。
制御信号生成手段(チルト制御手段)215は、チルト制御判定手段214からチルト制御指令信号が入力された場合、重心中心間距離Dが許容範囲Thに収まるようにチルト補正を行うものである。この制御信号生成手段215は、重心座標が、角度多重軸xまたはあおり軸yのどちら側にずれているか判定する。そして、制御信号生成手段215は、重心座標がずれている側の軸を回転中心とした角度多重軸回転方向Θxおよびあおり軸回転方向Θyにチルト補正を行う制御信号を生成する。その後、制御信号生成手段215は、この制御信号を2軸回転ミラー114に出力し、2軸回転ミラー114を角度多重軸回転方向Θxおよびあおり軸回転方向Θyに駆動する。
【0100】
ここで、重心座標が、角度多重軸xおよびあおり軸yの両軸にずれていることがある。この場合、制御信号生成手段215は、角度多重軸xを回転中心とした角度多重軸回転方向Θxにチルト補正を行う制御信号を生成する。その後、制御信号生成手段215は、あおり軸yを回転中心としたあおり軸回転方向Θyにチルト補正を行う制御信号を生成する。
なお、角度多重軸xまたはあおり軸yの一方だけがずれている場合、制御信号生成手段215は、その一方の軸だけを回転中心としてチルト補正を行う制御信号を生成する。
【0101】
ここで、図8〜図10を参照して、角度多重軸回転方向Θxを優先する理由について説明する(適宜図3参照)。
前記したように、ブラッグ条件式により、再生ページデータの輝度分布が三日月状の形状となる(図6参照)。このとき、図8(a)に示すように、あおり軸回転方向Θyを固定して、角度多重軸回転方向Θxに回転させながら重心座標をプロットした。つまり、再生ページデータがX軸を回転中心として回転することになる。この場合、図8(b)に示すように、重心軌道は、ホログラム記録媒体109の収縮により、円弧状の2次曲線を描いている。このとき、中心座標(x,y)から最も近い重心座標(最隣接点)において、再生ページデータの誤り率が最低となる。
【0102】
このとき、図9に示すように、角度多重軸xの角度と、重心中心間距離(2乗距離)Dと、再生ページデータの誤り率との関係を求めた。図9より、重心中心間距離Dが最小となる角度多重軸の回転角度で、再生ページデータの誤り率が最小になることがわかる。従って、制御信号生成手段215は、重心座標が中心座標(角度多重軸x)の上下に位置する場合、角度多重軸回転方向Θxに回転させて、許容範囲Thにより近付くような制御信号を生成するとよい。
なお、図9では、重心中心間距離Dを実線で図示し、再生ページデータの誤り率を破線で図示した。
【0103】
次に、図10(a)に示すように、角度多重軸回転方向Θxを固定して、あおり軸回転方向Θyに回転させながら重心座標をプロットした。この場合、図10(b)に示すように、重心軌道は、直線状となる。従って、制御信号生成手段215は、重心座標が中心座標(あおり軸y)の左右に位置する場合、あおり軸回転方向Θyに回転させて、許容範囲Thにより近付くような制御信号を生成するとよい。
【0104】
[制御手段の動作]
図11を参照して、図3の制御手段21の動作について説明する(適宜図3参照)。
制御手段21は、再生ページデータ入力手段211によって、再生ページデータが入力される(ステップS1)。
【0105】
制御手段21は、重心座標算出手段212によって、再生ページデータの重心座標を算出する。つまり、制御手段21は、重心座標算出手段212によって、前記した式(1)を用いて、データ領域から重心座標を算出する(ステップS2)。
【0106】
制御手段21は、重心中心間距離算出手段213によって、重心座標と中心座標との重心中心間距離を算出する。つまり、制御手段21は、重心中心間距離算出手段213によって、前記した式(2)に示すように、重心座標と中心座標との2乗距離を重心中心間距離として算出する(ステップS3)。
【0107】
制御手段21は、チルト制御判定手段214によって、重心中心間距離が許容範囲を超えるか否かにより、チルト制御を行うか否かを判定する(ステップS4)。
ここで、重心中心間距離が許容範囲に収まる場合(ステップS4でNo)、制御手段21は、チルト制御を行わないと判定して、処理を終了する。
一方、重心中心間距離が許容範囲を超える場合(ステップS4でYes)、制御手段21は、チルト制御を行うと判定して、ステップS5の処理に進む。
【0108】
制御手段21は、制御信号生成手段215によって、重心座標が角度多重軸xまたはあおり軸yのどちら側にずれているか判定する。そして、制御手段21は、制御信号生成手段215によって、角度多重軸xを優先的にチルト補正すると判定する(ステップS5)。
【0109】
あおり軸yと判定された場合(ステップS5でY軸)、制御手段21は、制御信号生成手段215によって、Y軸中心線を回転中心としたチルト補正(あおり軸回転方向Θyのチルト補正)を行う制御信号を生成する(ステップS6)。
【0110】
角度多重軸xと判定された場合(ステップS5でX軸)、制御手段21は、制御信号生成手段215によって、X軸中心線を回転中心としたチルト補正(多重軸回転方向Θxのチルト補正)を行う制御信号を生成する(ステップS7)。
【0111】
すなわち、ホログラム記録・再生演算部1は、制御手段21によって、重心中心間距離が許容範囲に収まるまで、ステップS1〜S8の処理を繰り返すことになる。そして、ホログラム記録・再生演算部1は、重心中心間距離が許容範囲に収まった場合、制御手段21によるチルト補正を終了し、再生ページデータを再生する。
【0112】
以上のように、本発明の第1実施形態に係るホログラム記録・再生演算部1は、余分な光学素子だけでなく、データ領域以外の一切の信号もチルト制御に必要としないため、極めて簡易な構成とすることができる。
【0113】
また、図8〜図10に示すように、角度多重軸回転方向Θxの変動が、あおり軸回転方向Θyの変動よりも、再生ページデータの誤り率に与える影響が大きいことがわかる。このため、ホログラム記録・再生演算部1は、角度多重軸回転方向Θxに優先的にチルト補正している。一方、従来技術では、SNRを向上させると再生ページデータの誤り率を低減させることにつながるため、SNRを向上させる制御手法が採用されることが多い。しかし、SNRを向上させる従来手法では、2軸のうち、どちら側を優先して補正すればよいか決定することができず、正確なチルト補正を行えない場合がある。このように、これによって、ホログラム記録・再生演算部1は、SNRを向上させる従来手法と比べて、チルト補正をより正確に行って、再生ページデータの誤り率を低減することができる。
【0114】
なお、第1実施形態では、ホログラム記録・再生演算部1は、制御信号を2軸回転ミラー114に出力して、2軸回転ミラー114を駆動制御することとして説明したが、これに限定されない。例えば、ホログラム記録・再生演算部1は、制御信号を2軸回転ステージ116に出力して、2軸回転ステージ116を駆動制御してもよい。この場合も、ホログラム記録・再生演算部1は、多重軸回転方向Θxおよびあおり軸回転方向Θyを逆方向にするだけで、第1実施形態と同様にチルト補正を行うことができる。
【0115】
なお、第1実施形態では、再生ページデータの一部分であるデータ領域を重心算出領域として説明したが、ホログラム記録・再生演算部1は、再生ページデータ全体を重心算出領域として扱ってもよい。つまり、ホログラム記録・再生演算部1は、再生ページデータ全体から重心座標を算出してもよい。
【0116】
(第2実施形態:パターンから重心座標を算出)
[ホログラム記録・再生演算部の構成]
図12を参照して、本発明の第2実施形態に係るホログラム記録・再生演算部1Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する(適宜図1参照)。
このホログラム記録・再生演算部1Bは、重心算出領域としてのパターンをページデータに付加すると共に、このパターンから重心座標を算出するものであり、記録信号演算部10Bと、再生信号演算部20Bとを備える。
【0117】
記録信号演算部10Bは、ホログラム記録に必要な各種演算を行うものであり、誤り訂正符号付加手段11と、ホログラム記録用変調手段12と、2次元画像並び替え手段13と、パターン付加手段14とを備える。
なお、パターン付加手段14以外の各手段は、図3と同様のため、説明を省略する。
【0118】
パターン付加手段14は、2次元画像並び替え手段13からページデータが入力され、このページデータの外周部の少なくとも4隅に、重心算出領域としてのパターンを付加するものである。そして、パターン付加手段14は、このパターンを付加したページデータをSLM107に出力する。
【0119】
ここで、パターン付加手段14は、ページデータの4隅だけでなく、ページデータの長辺中央部および短辺中央部にもパターンを付加してもよい。図13に示すように、パターン付加手段14は、例えば、ページデータの外周部に合計12個のパターンh1〜h6,v1〜v6を付加する。つまり、後記する制御手段21Bに入力される再生ページデータには、データ領域(ページデータ)の外周部に12個のパターンh1〜h6,v1〜v6が付加されることになる。
【0120】
また、パターン付加手段14は、例えば、ページデータごとに、正方形の連続する数が互いに素であるパターンh1〜h6,v1〜v6を交互に付加する。具体的には、パターン付加手段14は、奇数番目のページデータに対して、垂直方向に正方形が7個連続したパターンv1〜v6を付加し(図14(a))、水平方向に正方形が7個連続したパターンh1〜h6を付加する(図14(b))。また、パターン付加手段14は、偶数番目のページデータに対して、垂直方向に正方形が9個連続したパターンv1〜v6を付加し(図14(c))、水平方向に正方形が9個連続したパターンh1〜h6を付加する(図14(b))。すなわち、同一のページデータに付加されたパターンh1〜h6,v1〜v6は、空間周波数成分が同一、つまり、その模様が同一となる。
【0121】
ここで、パターン付加手段14は、様々な大きさのパターンを付加することができる。ホログラム記録・再生演算部1Bでは、2−4符号、3−16符号などの2次元コード変復調方式が用いられている。そこで、パターン付加手段14は、例えば、パターンの大きさを、これら2次元コード変復調方式における1個の輝点のサイズ、または、この輝点を整数倍したサイズとすることができる。
なお、このパターンh1〜h6,v1〜v6は、ページデータを同期させるシンク信号として利用することもできる。
【0122】
図12に戻り、ホログラム記録・再生演算部1Bの構成について説明を続ける。
再生信号演算部20Bは、ホログラム再生に必要な各種演算を行うものであり、制御手段21Bと、1次元データ並び替え手段22と、ホログラム記録用復調手段23と、誤り訂正手段24とを備える。
【0123】
制御手段21Bは、2次元撮像素子113から、パターンが付加されたページデータの再生画像である再生ページデータが入力され、この再生ページデータのパターンを用いて、ホログラム記録媒体109に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うものである。
【0124】
[制御手段の構成]
図15を参照して、図12の制御手段21Bの構成について説明する(適宜図12参照)。
図15に示すように、制御手段21Bは、重心中心間距離算出手段213と、チルト制御判定手段214と、制御信号生成手段(チルト制御手段)215と、再生ページデータ入力手段221と、パターン検出手段222と、空間周波数成分算出手段223と、重心座標算出手段224とを備える。
なお、再生ページデータ入力手段221〜重心座標算出手段224以外の各手段は、図3と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0125】
再生ページデータ入力手段221は、前記した再生ページデータが入力され、この再生ページデータをパターン検出手段222に出力するものである。この再生ページデータは、図13に示すように、12個のパターンh1〜h6,v1〜v6が配置されている。
【0126】
パターン検出手段222は、再生ページデータ入力手段221から再生ページデータが入力され、この再生ページデータに含まれるパターンh1〜h6,v1〜v6を検出するものである。このパターン検出手段222は、例えば、パターンを示すテンプレート画像を手動で登録しておく。そして、パターン検出手段222は、パターンマッチングによって、再生ページデータからテンプレート画像にマッチする領域(例えば、パターンh1〜h6,v1〜v6)を検出する。
【0127】
また、パターン検出手段222は、検出したパターンh1〜h6,v1〜v6、および、このパターンh1〜h6,v1〜v6を構成する各画素の座標を含むパターン検出情報を生成する。その後、パターン検出手段222は、再生ページデータと、パターン検出情報とを空間周波数成分算出手段223に出力する。
なお、パターン検出手段222は、パターンマッチングとして、例えば、「http://opencv.jp./sample/matching.html」に記載された手法を用いることができる。
【0128】
空間周波数成分算出手段223は、パターン検出手段222から、再生ページデータおよびパターン検出情報が入力され、このパターン検出情報に含まれるパターンを周波数変換して、パターンh1〜h6,v1〜v6それぞれの空間周波数成分を算出するものである。
【0129】
ここで、図16に示すように、図14のパターンh1に注目して説明する。この場合、空間周波数成分算出手段223は、空間周波数成分を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して求める。このとき、パターンh1において、周波数変換の対象となる代表座標は、中心座標(x(h1),y(h1))とする。また、空間周波数成分算出手段223は、パターンh1と同様、残りのパターンh2〜h6,v1〜v6の代表座標において、空間周波数成分を高速フーリエ変換によって求める。そして、空間周波数成分算出手段223は、パターンh1〜h6,v1〜v6の空間周波数成分と、再生ページデータとを重心座標算出手段224に出力する。
【0130】
なお、図16では、図面を見やすくするために、パターンh1で中央の正方形だけを白抜きで図示した。
また、パターンh1〜h6,v1〜v6の中心座標を(x(i),y(i);i=h1〜v6)とする。
【0131】
重心座標算出手段224は、空間周波数成分算出手段223から、パターンh1〜h6,v1〜v6の空間周波数成分および再生ページデータが入力され、パターンh1〜h6,v1〜v6の空間周波数成分から基本周波数を抽出し、抽出した基本周波数の振幅強度分布により重心座標を算出するものである。
【0132】
ここで、パターンh1〜h6,v1〜v6の中心座標(x(i),y(i);i=h1〜v6)における基本周波数の振幅強度をA(f(i))とする。この場合、重心座標算出手段224は、基本周波数の振幅強度A(f(i))をパターンh1〜h6,v1〜v6で合計して、基本周波数振幅強度合計値を算出する。また、重心座標算出手段224は、基本周波数の振幅強度A(f(i))に中心座標の座標値(x(i),y(i))を乗算した振幅強度座標乗算値を求めて、パターンh1〜h6,v1〜v6で合計した振幅強度座標乗算合計値を算出する。そして、重心座標算出手段224は、この振幅強度座標乗算合計値を基本周波数振幅強度合計値で除算して、パターンでの重心座標を算出する。
【0133】
言い換えるなら、重心座標算出手段224は、下記の式(4)で表される基本周波数の振幅強度分布により重心座標を算出する。従って、式(4)の分母が基本周波数振幅強度合計値となり、式(4)の分子が振幅強度座標乗算合計値となる。その後、重心座標算出手段224は、再生ページデータと、算出した重心座標とを重心中心間距離算出手段213に出力する。
【0134】
【数4】

【0135】
なお、重心座標算出手段224は、ページデータに付加されたパターンの数だけ(例えば、12個)、式(4)の計算を繰り返すことになる。
【0136】
ここで、図17,図18を参照して、パターンから算出した重心座標の一例について説明する(適宜図15参照)。
図17(a)に示すように、あおり軸回転方向Θyを固定して、角度多重軸回転方向Θxに回転させながら重心座標をプロットした。
【0137】
この場合、図17(b)に示すように、重心軌道は、図8(b)と同様、ホログラム記録媒体109の収縮により、円弧状の2次曲線を描いている。その一方、図17(b)の重心軌道は、図8(b)と比較して、円弧の半径が大きくなっている。言い換えるなら、図8(b)では、例えば、最隣接点(重心座標)と、その左隣の重心座標との距離が、3.3×10離れている。また、図17(b)では、最隣接点(重心座標)と、その左隣の重心座標との距離が、2.8×10離れている。このように、パターンから重心座標を算出した場合、重心座標同士の距離がより離れることから、中心座標に最も近くなる重心座標(最隣接点)を判定し易くなる。すなわち、チルト制御用の制御信号の精度が高くなることと等価であり、より正確なチルト制御を可能とする。
【0138】
このことは、再生ページデータの輝度分布にも表れる。パターンから重心座標を算出した場合、例えば、最隣接点での再生ページデータの輝度分布は、図18(a)に示すように、均一となる。一方、最隣接点より3個左側の重心座標では、その再生ページデータの輝度分布は、図18(b)に示すように、均一にならない。
【0139】
[制御手段の動作]
図19を参照して、図15の制御手段21Bの動作について説明する(適宜図15参照)。
制御手段21Bは、再生ページデータ入力手段221によって、再生ページデータが入力される(ステップS10)。
【0140】
制御手段21Bは、パターン検出手段222によって、再生ページデータからパターンを検出する。つまり、制御手段21Bは、パターン検出手段222によって、パターンマッチングによって、再生ページデータからパターンを検出する(ステップS11)。
【0141】
制御手段21Bは、空間周波数成分算出手段223によって、各パターンを周波数変換(例えば、高速フーリエ変換)して、各パターンの空間周波数成分を算出する(ステップS12)。
【0142】
制御手段21Bは、重心座標算出手段224によって、各パターンの空間周波数成分から基本周波数を抽出し、抽出した基本周波数の振幅強度により、重心座標を算出する。つまり、制御手段21Bは、重心座標算出手段224によって、前記した式(4)を用いて、基本周波数の強度分布により重心座標を算出する(ステップS13)。
なお、図19において、ステップS3以降の各処理は、図11と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0143】
以上のように、本発明の第2実施形態に係るホログラム記録・再生演算部1Bは、余分な光学素子をチルト制御のために必要としないため、簡易な構成とすることができる。また、ホログラム記録・再生演算部1Bは、高速フーリエ変換を用いると共に、この12個のパターンに対して重心座標算出処理を行うので、データ領域内の全画素に対して重心座標算出処理を行う場合より、チルト補正を素早く行うことができる。
【0144】
また、ホログラム記録・再生演算部1Bは、正方形が7個連続したパターンと、正方形が9個連続したパターンとをページデータごとに交互に付加するため、再生ページデータ間でのクロストークを抑えることができる。これによって、ホログラム記録・再生演算部1Bは、パターンの記憶容量を最小限に抑えると共に、パターンの検出を容易にでき、再生ページデータの誤り率低減と、ホログラム記録媒体の効率的な利用とを両立することができる。
【0145】
なお、第2実施形態では、空間周波数成分算出手段223は、周波数変換として高速フーリエ変換を用いたが、これに限定されない。例えば、空間周波数成分算出手段223は、周波数変換として、アダマール変換またはウェーブレット変換を利用することもできる。また、空間周波数成分算出手段223は、パターンの代表座標として中心座標を用いたが、これに限定されない。例えば、空間周波数成分算出手段223は、パターンの隅を代表座標としてもよい。
【0146】
なお、各実施形態において、ホログラム記録・再生演算部1,1Bは、画像取得するデータ領域が決まっているため、例えば、注目領域抽出処理(ROI:Region Of Interest)を行えば、データ領域だけを読み出すことができ、画像転送速度を高速化することができる。
【0147】
なお、本発明では、一般的なコンピュータを、前記したホログラム記録・再生演算部1,1Bの各手段として機能させるプログラムによって動作させることもできる。このプログラムは、通信回線を介して配布しても良く、CD−ROMやフラッシュメモリなどの記録媒体に書き込んで配布しても良い。なお、本発明のコンピュータには、一般的なコンピュータだけでなく、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラマブルな電気回路も含まれる。
【符号の説明】
【0148】
1,1B ホログラム記録・再生演算部(ホログラム記録再生装置)
10,10B 記録信号演算部
11 誤り訂正符号付加手段
12 ホログラム記録用変調手段
13 2次元画像並び替え手段
14 パターン付加手段
20,20B 再生信号演算部
21,21B 制御手段
22 1次元データ並び替え手段
23 ホログラム記録用復調手段
24 誤り訂正手段
100 ホログラフィックメモリ記録システム
101 レーザ光源
102 シャッタ
103 ハーフミラー
104 シャッタ
105 1/2波長板
106 PBS(偏光ビームスプリッタ)
107 SLM(空間光変調素子)
108 集光レンズ
109 ホログラム記録媒体
111 集光レンズ
112 レンズ
113 2次元撮像素子
114 2軸回転ミラー
115 リレーレンズ
116 2軸回転ステージ
211,221 再生ページデータ入力手段
212 重心座標算出手段
213 重心中心間距離算出手段
214 チルト制御判定手段
215 制御信号生成手段(チルト制御手段)
222 パターン検出手段
223 空間周波数成分算出手段
224 重心座標算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元のビットパターンであるページデータが再生された再生ページデータを用いて、前記ページデータを記録するホログラム記録媒体に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うホログラム記録再生装置であって、
重心座標の算出対象である重心算出領域を有する前記再生ページデータが入力される再生ページデータ入力手段と、
前記再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータ内の重心算出領域から、前記再生ページデータの重心座標を算出する重心座標算出手段と、
前記重心座標算出手段によって算出された重心座標と、前記再生ページデータの中心座標との重心中心間距離を算出する重心中心間距離算出手段と、
前記重心中心間距離算出手段によって算出された重心中心間距離が予め設定された許容範囲を超える場合、チルト制御を行うと判定するチルト制御判定手段と、
前記チルト制御判定手段によってチルト制御を行うと判定された場合、前記重心中心間距離が前記許容範囲内に収まるようにチルト制御を行うチルト制御手段と、
を備えることを特徴とするホログラム記録再生装置。
【請求項2】
前記再生ページデータ入力手段は、少なくとも4隅に同一の空間周波数成分を有するパターンが配置された再生ページデータが入力され、
当該再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータから、前記重心算出領域として、前記パターンを検出するパターン検出手段と、
前記パターン検出手段によって検出されたパターンを周波数変換して、前記パターンごとの空間周波数成分を算出する空間周波数成分算出手段と、をさらに備え、
前記重心座標算出手段は、前記パターンごとの空間周波数成分から基本周波数を抽出し、抽出した当該基本周波数の振幅強度分布により前記重心座標を算出することを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項3】
正方形の連続する数が互いに素である前記パターンを前記ページデータごとに交互に付加するパターン付加手段、をさらに備え、
前記再生ページデータ入力手段は、前記パターン付加手段によってパターンが付加されたページデータの再生画像である再生ページデータが、入力されることを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項4】
前記空間周波数成分算出手段は、前記周波数変換として、高速フーリエ変換を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項5】
前記再生ページデータ入力手段は、前記重心算出領域として、前記ページデータの再生領域であるデータ領域を有する再生ページデータが入力され、
前記重心座標算出手段は、当該再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータのデータ領域において、当該データ領域の輝度分布により前記重心座標を算出することを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項6】
前記チルト制御手段は、予め設定された角度多重軸を回転中心として前記再生ページデータを回転させるように前記チルト補正を行った後、前記角度多重軸に直交する直交軸を回転中心として前記再生ページデータを回転させるように前記チルト補正を行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項7】
2次元のビットパターンであるページデータが再生された再生ページデータを用いて、前記ページデータを記録するホログラム記録媒体に所定の角度で参照光が照射されるようにチルト制御を行うために、コンピュータを、
重心座標の算出対象である重心算出領域を有する前記再生ページデータが入力される再生ページデータ入力手段、
前記再生ページデータ入力手段に入力された再生ページデータ内の重心算出領域から、前記再生ページデータの重心座標を算出する重心座標算出手段、
前記重心座標算出手段によって算出された重心座標と、前記再生ページデータの中心座標との重心中心間距離を算出する重心中心間距離算出手段、
前記重心中心間距離算出手段によって算出された重心中心間距離が予め設定された許容範囲を超える場合、チルト制御を行うと判定するチルト制御判定手段、
前記チルト制御判定手段によってチルト制御を行うと判定された場合、前記重心中心間距離が前記許容範囲内に収まるようにチルト制御を行うチルト制御手段、
として機能させるためのホログラム記録再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図6】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−168995(P2012−168995A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26672(P2011−26672)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】