説明

ボタン操作機構及びこれを備える遊技機

【課題】ボタン押圧部の突出状態と遊技機の演出内容の不一致をなくし、ボタン押圧部の突出が遊技者にインパクトを与え、ボタン押圧部が過大な力で押圧操作された時に押圧部を移動させる本体駆動部の損傷を防止する。
【解決手段】押圧操作可能なボタン押圧部41を支持し、遊技機に突出入可能に支持された支持本体部43と、これを突出方向に附勢する圧縮コイルばね55と、第1モータ61の動力で支持本体部43を移動させ、ボタン押圧部41が過大な力で押圧操作されると支持本体部43からの動力伝達を遮断する動力遮断クラッチ70を有した本体駆動部60と、第1モータ61の動力を本体駆動部60に伝達・遮断する動力伝達クラッチ80と、このクラッチを接続・遮断するクラッチ駆動部90と、圧縮された圧縮コイルばね55の伸長後に、第1モータ61の動力によってボタン押圧部41を突出させ、第1モータ61の動力でボタン押圧部41を突入させる制御部100を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の前面側に押圧操作可能に設けられたボタン押圧部を備えるボタン操作機構及びこれを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるぱちんこ遊技機には、遊技盤の中央部に図柄変動表示装置が設けられ、遊技機の下部受皿にボタン押圧部が設けられたものがある(特許文献1参照)。この特許文献1に記載のぱちんこ遊技機は、図柄変動表示装置のリーチ状態時に操作可能に上方へ突出した状態のボタン押圧部が押されると、図柄変動表示装置に表示される図柄の変動パターンを変更して、遊技の多様性を高めることができる。
【0003】
このボタン押圧部は、遊技機に設けられたケースに対して上下方向に突出入自在に設けられ、スプリングの附勢力によりボタン押圧部がケースから上方へ突出し、ボタン押圧部がケースに設けられた係合手段及びフランジのいずれかに当接すると、ボタン押圧部はケースから突出した状態に維持される。
【0004】
ボタン押圧部の下端部には外側へ張り出すフランジが環状に設けられ、このフランジが設けられたボタン押圧部の側方に係合手段が配置されている。係合手段はボタン押圧部の側方からボタン押圧部に対して進退自在に設けられた係合片を有し、この係合片がボタン押圧部側に移動すると、スプリングによって上方へ附勢されたボタン押圧部のフランジが係合片に当接して、ボタン押圧部がケースから比較的短い長さで突出した状態でボタン押圧部の上方への移動が規制される。
【0005】
フランジに当接した係合片がボタン押圧部から後退すると、ボタン押圧部の上方への移動規制が解除されて、ボタン押圧部はスプリングの附勢によってさらに上方へ突出する。
【0006】
ケースの上端部にはケース内側へ張り出す張出部が環状に設けられ、この張出部は、スプリングの附勢により上方へ移動するボタン押圧部のフランジと当接すると、ボタン押圧部がケースから比較的長い長さで突出した状態でボタン押圧部の上方への移動を規制する。
【0007】
このような従来のパチンコ遊技機では、ボタン押圧部がスプリングによって附勢されて、ボタン押圧部が突出長さの短い状態から長い状態に瞬発的に突出するので、遊技者にインパクトを与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−296090号公報(段落番号0014、図4、図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この従来の遊技機では、ボタン押圧部が突出した状態から遊技機側へ突入した位置に戻すには、必ず、遊技者によるボタン押圧部の押し下げ動作が必要である。このため、遊技者がボタン押圧部の押し下げ動作を行わなかった場合には、ボタン押圧部が遊技機から大きく突出した状態のままで遊技が進行することになり、遊技機における演出内容とボタン押圧部の突出状態との演出上の不一致が生じる虞がある。
【0010】
そこで、ボタン押圧部が遊技機本体に対して押し下げられた突入位置と、遊技機本体から突出した突出位置との間において、ボタン押圧部の移動を自由に移動制御可能なギヤ機構を採用すると、ボタン押圧部を突出位置に移動させるには、ギヤ機構による移動となるので、ばねによる瞬発的な突出が不可能になり、遊技者に対して効果的にインパクトを与えることができない虞がある。
【0011】
また、ギヤ機構に連結されたモータが駆動してギヤ機構の作動時に、ボタン押圧部が大きな力で押圧操作されると、ギヤ機構に過負荷が作用して、ギヤ機構が損傷し、またモータが停止する虞が生じる。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、遊技者がボタン押圧部の押し下げ動作を忘れた場合でも、遊技機の演出内容とボタン押圧部の突出状態との演出上の不一致が生じる虞がなく、またボタン押圧部が大きな力で押圧操作された場合、過負荷によってギヤ機構が損傷する虞がなく、またボタン押圧部の突出動作をギヤ機構で行っても遊技者に対して効果的にインパクトを与えることができるボタン操作機構及びこれを備える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題を解決するため、本発明は、遊技機の前面側に押圧操作可能に設けられたボタン押圧部と、ボタン押圧部の押圧方向先端側に配置されて該ボタン押圧部を往復移動可能に支持するとともに、遊技機に対して突出入する方向に移動可能に支持された支持本体部と、支持本体部を遊技機から突出する方向に附勢する圧縮コイルばねと、第1モータを有し、該第1モータからの動力を支持本体部に伝達して、該支持本体部を移動させる本体駆動部と、本体駆動部の第1モータからの動力を支持本体部に伝達する動力伝達経路に設けられ、互いに接近及び離反可能な一対のクラッチ部材を有して動力伝達経路を接続又は遮断するクラッチ部(実施の形態における動力伝達クラッチ80)と、クラッチ部の一方のクラッチ部材に対して他方のクラッチ部材を接近及び離反させるクラッチ駆動部と、ボタン押圧部を遊技機から突出させる場合には、クラッチ駆動部及び本体駆動部の作動を制御して、圧縮された圧縮コイルばねの伸長によって支持本体部を突出方向へ移動させた後に、第1モータの動力によって支持本体部を突出方向へ移動させ、ボタン押圧部を遊技機側へ突入させる場合には、クラッチ駆動部及び本体駆動部の作動を制御して、第1モータの動力によって支持本体部を突入方向へ移動させる制御部を有することを特徴とする(請求項1)。
【0014】
ボタン押圧部は、遊技者が押圧操作可能なものであればよく、遊技機に上下方向に配設されたものや、横方向に配設されたものでもよい。往復移動可能とは、例えば、遊技者がボタン押圧部を押圧操作すると、ボタン押圧部が押圧方向先端側へ移動し、遊技者がボタン押圧部の押圧操作を解除すると、ボタン押圧部が元の位置に戻るように移動する場合をいう。具体的には、ボタン押圧部をキャップ状に形成して支持本体部に移動可能に挿着し、ボタン押圧部と支持本体部との間に圧縮コイルばねを設ける。このように構成すると、ボタン押圧部が押圧操作されると圧縮コイルばねの附勢に抗してボタン押圧部が押圧方向先端側へ移動し、押圧操作が解除されると、圧縮コイルばねの伸長によってボタン押圧部が元の位置に戻る。
【0015】
クラッチ部は、本体駆動部の動力伝達経路に設けられた一対のクラッチ部材を有して動力伝達経路を接続又は遮断する。具体的には、クラッチ部は、例えばドグクラッチであり、対向する一対のクラッチ部材は互いに噛み合う歯部を有し、一方のクラッチ部材は他方のクラッチ部材に対して離反可能に支持される。
【0016】
クラッチ駆動部は、他方のクラッチ部材に対して一方のクラッチ部材を接近及び離反させるものである。具体的には、クラッチ駆動部は、一方のクラッチ部材を移動させるための動力を供給する第2モータと、該第2モータの駆動軸に接続されて該駆動軸の回転運動を直線運動に変換する変換機構部と、該変換機構部と一方のクラッチ部材との間を連結する連結部材とを有してなる。
【0017】
制御部は、ボタン押圧部を遊技機から突出させる場合には、クラッチ駆動部及び本体駆動部の作動を制御して、圧縮された圧縮コイルばねの伸長によって支持本体部を突出方向へ移動させた後に、第1モータの動力によって支持本体部を突出方向へ移動させる。具体的には、制御部は、ボタン押圧部を遊技機から突出させる場合には、クラッチ駆動部によってクラッチ部を遮断状態にして、圧縮された圧縮コイルばねの伸長によって支持本体部を遊技機から突出させた後に、クラッチ駆動部によってクラッチ部を接続状態にして、本体駆動部の第1モータの動力を支持本体部に伝達して該支持本体部を突出方向へ移動させる(請求項2)。
【0018】
このように、圧縮された圧縮コイルばねの伸長によってボタン押圧部を突出方向に移動させるので、第1モータの駆動力のみに依存したボタン押圧部の突出速度よりも、より速い突出速度でボタン押圧部を突出させることができる。従って、ボタン押圧部の突出時において、遊技者に対し、より効果的なインパクトを与えることができる。また圧縮コイルばねの伸長を利用したボタン押圧部の突出後に、第1モータの動力によるボタン押圧部の突出動作を可能とすることで、遊技者に対してさらにインパクトを与えることができる。
【0019】
制御部は、ボタン押圧部を遊技機側へ突入させる場合には、クラッチ駆動部及び本体駆動部の作動を制御して、第1モータの動力によって支持本体部を突入方向へ移動させる。具体的には、制御部は、ボタン押圧部を遊技機側に突入させる場合には、クラッチ駆動部によってクラッチ部を接続状態にし、第1モータの動力を支持本体部に伝達して該支持本体部を突入方向へ移動させることを特徴とする(請求項3)。
【0020】
ボタン押圧部の遊技機側への突入動作は、第1モータの動力によって行われる。このため、遊技者がボタン押圧部の押し下げ動作を忘れた場合でも、自動的にボタン押圧部が第1モータによって突入するので、遊技機の演出内容とボタン押圧部の突出状態との演出上の不一致が生じる虞を確実に防止することができる。
【0021】
本体駆動部は、ボタン押圧部が押圧操作されて支持本体部を介して本体駆動部に作用する負荷の大きさが所定値を超えると、支持本体部から本体駆動部への動力伝達を遮断する動力遮断クラッチを有することを特徴とする(請求項4)。
【0022】
このため、本体駆動部に過負荷が作用して本体駆動部の構成部品が損傷する虞を未然に防止することができる。本体駆動部は、具体的には、支持本体部にこの移動方向に沿って延設されたラックギヤと、ラックギヤの延設方向と直交する方向に延びる軸部に回転自在に支持されてラックギヤに歯合する駆動ギヤと、駆動ギヤの一方側の側面に該駆動ギヤの軸部と同軸上に設けられ先端部に歯部を備えた一方のクラッチ部材及び一方のクラッチ部材の歯部に対して接近離反可能に支持されて先端部に一方のクラッチ部材の歯部と噛合可能な歯部を有した他方のクラッチ部材を備える動力遮断クラッチと、一端側が他方のクラッチ部材に接続され、他端側が第1モータの駆動軸に接続されて第1モータの動力を動力遮断クラッチを介して駆動ギヤに伝達可能な動力伝達軸とを有して構成される(請求項5)。
【0023】
所定値とは、例えば、クラッチ部が接続状態にあるときに、ボタン押圧部が大きな力で押圧操作された場合、ボタン押圧部に作用する力に応じたトルクが第1モータ側のクラッチ部材に作用し、このクラッチ部材の歯部の傾斜面にトルクに応じた力が作用し、この力のうち第1モータ側のクラッチ部材が他方のクラッチ部材から離反する方向の方向成分が第1モータ側のクラッチ部材を附勢する附勢手段の力と略同じ大きさの値をいう。
【0024】
このような請求項1から5のいずれかに記載のボタン操作機構を遊技機に備えることを特徴とする(請求項6)。遊技機は、ぱちんこ遊技機のような弾球遊技機の他に、スロットマシンも含まれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ボタン押圧部を遊技機から突出させる場合には、圧縮された圧縮コイルばねの伸長によってボタン押圧部を突出方向に移動させた後に、第1モータの動力によってボタン押圧部を突出方向に移動させることで、ボタン押圧部の突出速度が第1モータの駆動力のみに依存したボタン押圧部の突出速度よりもより速くすることができるとともに、遊技者に対してさらにインパクトを与えることができる。またボタン押圧部を遊技機側へ突入させる場合には、クラッチ駆動部及び本体駆動部の作動を制御して、第1モータの作用によって支持本体部を突入方向へ移動させることで、遊技者がボタン押圧部の押し下げ動作を忘れた場合でも、自動的にボタン押圧部が遊技機側に突入するので、ボタン押圧部が遊技機から突出した状態のままで遊技が進行する虞が無くなり、遊技機における演出内容とボタン押圧部の突出状態との演出上の不一致が生じる虞を未然になくすことができる。また、ボタン押圧部が大きな力で押圧操作されると、動力遮断クラッチによって支持本体部から本体駆動部への動力伝達が遮断されるので、本体駆動部が損傷し、また本体駆動部の第1モータが停止する虞を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係わるボタン操作機構を示し、同図(a)はボタン操作機構の一部省略の平面図であり、同図(b)はボタン操作機構の正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係わるボタン操作機構が設けられた遊技機を示し、同図(a)は遊技機の斜視図であり、同図(b)は遊技機の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係わるボタン操作機構が設けられた遊技機を示し、同図(a)は遊技機の斜視図であり、同図(b)は遊技機の側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係わるボタン操作機構の一部省略の斜視図を示す。
【図5】本発明の一実施の形態に係わるボタン操作機構の分解斜視図を示す。
【図6】本発明に係わるボタン操作機構の第1モータによってボタン押圧部が後退位置に移動した状態を示し、同図(a)はボタン操作機構の一部省略の平面図であり、同図(b)はボタン操作機構の正面図であり、同図(c)はボタン操作機構の断面図である。
【図7】本発明に係わるボタン操作機構の圧縮コイルばね及び第1モータの連続的な作用によってボタン押圧部が上方へ突出時の断面図を示す。
【図8】本発明に係わるボタン操作機構のボタン押圧部を第2突出位置に移動させた状態を示し、同図(a)はボタン操作機構の一部省略の平面図であり、同図(b)はボタン操作機構の正面図であり、同図(c)はボタン操作機構の断面図である。
【図9】本発明に係わるボタン操作機構に設けられた動力遮断クラッチの拡大正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0028】
図2(a)(斜視図)は遊技機1の下部に配置された受け皿ユニット3に設けられたボタン押圧部41を有したボタン操作機構の構成例を示す。なお、遊技機1は、ぱちんこ機を例にして説明するが、遊技機1はぱちんこ機等の弾球遊技機に限るものではなく、スロットマシンでもよい。
【0029】
初めに遊技機全体の説明をする。図2(a)及び図2(b)(側面図)に示すように、正面視矩形状の枠部材5の上側には、前面ガラス6が設けられ、前面ガラス6の後方側には図示しない図柄表示部、複数の入賞口等が設けられた遊技盤7が配設されている。前面ガラス6の下方の枠部材5には受け皿ユニット3が配設され、受け皿ユニット3の右側端部の下方の枠部材5には操作ハンドル8が配設されている。操作ハンドル8は枠部材5から遊技者側へ突出し、遊技球を発射させる際に遊技者によって操作される。
【0030】
受け皿ユニット3の遊技者側の端部には上下方向に突出入して遊技者による操作を受け付けるボタン押圧部41が配設されている。ボタン押圧部41の操作は例えば遊技中における特定のリーチ演出に際し、ボタン押圧部41の押圧操作を促すガイダンスが表示されている間有効となり、ボタン押圧部41は受け皿ユニット3から上方へ突出した位置(後述する第2突出位置Pu2)に移動した状態になる。
【0031】
このように構成された遊技機1に設けられたボタン押圧部41を突出入させるボタン操作機構20について説明する。ボタン操作機構20は、図1(a)(一部省略の平面図)、図1(b)(正面図)、図4(一部省略の斜視図)に示すように、正面視矩形状に形成された筐体部21と、筐体部21の上方に配置されて上下方向に往復動可能に設けられたボタン押圧部41を有するボタン操作部40と、ボタン操作部40を上方へ附勢して受け皿ユニット3(図2参照)から突出させる圧縮コイルばね55と、筐体部21内に配設されてボタン押圧部41を皿ユニット3(図2参照)に対して突出入させる本体駆動部60と、本体駆動部60の動作を制御する制御部100を有してなる。なお、図1(a)及び図4には、筐体部21を省略したボタン操作機構20が記載されている。
【0032】
筐体部21は、図1(b)及び図5(分解斜視図)に示すように、上下方向に延びる正面視矩形状の背面板部22と、背面板部22の上端に接続されて前側へ延びる平面視矩形状の天板部30を有してなる。背面板部22には、その幅方向一方側(右側)の上部に前方側へ延びるとともに天板部30に接続されたモータ支持板23が設けられている。このモータ支持板23の中央部には後述する本体駆動部60の第1モータ61の駆動軸61aを挿通する挿通孔23aが設けられ、挿通孔23aの周囲のモータ支持板23には第1モータ61を固定するための固定孔23bが複数設けられている。
【0033】
モータ支持板23よりも背面板部幅方向他方側(左側)の背面板部22には、前方且つ上下方向に延びるクラッチ支持板25が設けられている。クラッチ支持板25の上端は天板部30よりも下方に位置して、クラッチ支持板25の上端と天板部30との間に隙間26が形成されている。この隙間26内に後述するクラッチ駆動部90の変換機構部91や連結部材93が配置される。クラッチ支持板25の上部には後述する本体駆動部60の動力伝達軸63を挿通する挿通孔25aが設けられている。
【0034】
背面板部22の幅方向他方側(左側)端部の上部には前方側へ延びるギヤ支持板27が設けられている。このギヤ支持板27の先端部には本体駆動部60の一部である駆動ギヤ65を支持する軸部66を挿通する挿通孔27aが設けられている。モータ支持板23、クラッチ支持板25、ギヤ支持板27に設けられた各挿通孔23a、25a,27aは、略同軸上に設けられている。このため、これらの挿通孔23a、25a,27aに挿通される第1モータ61の駆動軸61a、動力伝達軸63、軸部66も略同軸上に配置される。
【0035】
背面板部22の幅方向他方側(左側)には、上端部で開口して背面板部22の下端近傍まで延びる案内溝22aが設けられている。この案内溝22aは、ボタン操作部40の後述する支持本体部43の移動を案内する。
【0036】
天板部30の幅方向中間部の前側には、後述するクラッチ駆動部90の第2モータ95の駆動軸95aを挿通する挿通孔30aが設けられ、挿通孔30aの周囲の天板部30には第2モータ95を固定するための固定孔30bが複数設けられている。また天板部30の幅方向他方側の後部には、前後方向に延びる矩形状の貫通孔30cが設けられている。この貫通孔30cの後部には貫通孔30cに連通して後方側へ延びる切り欠き溝30dが設けられ、この切り欠き溝30dの後端部は、背面板部22に設けられた案内溝22aの上端と連通している。
【0037】
この矩形状の貫通孔30cにボタン操作部40が挿通される。ボタン操作部40は、上方からボタン押圧部41,支持本体部43を有して構成される。ボタン押圧部41は、外形が円柱状に形成され、内側が中空であって下部が開口してキャップ状に形成される。ボタン押圧部41は、その押圧方向先端側(下方)に配置される支持本体部43の上部に往復動可能に挿着される。
【0038】
支持本体部43は、円柱状に形成されてボタン押圧部41を挿入する挿入軸部44と挿入軸部44の下端から下方へ延びる張出部46を有してなる。挿入軸部44は、ボタン押圧部41を往復動自在に挿入可能な外径を有する。挿入軸部44の上面に圧縮コイルばね48が載置され、ボタン押圧部41が挿入軸部44に挿入されると、圧縮コイルばね48はその上端部がボタン押圧部41の頂部内面に接触し、下端部が挿入軸部44の上面に接触した状態となる。この状態でボタン押圧部41が下方に押圧操作されると、ボタン押圧部41は圧縮コイルばね48の附勢に抗して下方へ移動し、ボタン押圧部41の押圧操作が解除されると、圧縮された圧縮コイルばね48が伸長してボタン押圧部41が元の位置に戻される。
【0039】
張出部46は直方体状に形成され、挿入軸部44の中心軸線に沿って延びる。張出部46は前方に向く前面部46aと前面部46aの幅方向両側から下方へ延びる一対の側面部46bと、前面部46aに対向して一対の側面部46bの後端部間に繋がる背面部46cを有している。張出部46は、前述した天板部30に設けられた矩形状の貫通孔30cよりも小さい大きさを有して貫通孔30cに挿通される。
【0040】
張出部46は平面視において挿入軸部44よりも内側に配設されている。このため、挿入軸部44の下端と張出部46の上端部との間には環状の段部44aが形成されている。この段部44aは、後述する圧縮コイルばね55の弁座として機能する。
【0041】
張出部46の前面部46aには、その上部から下端部に渡ってラックギヤ46dが設けられている。このラックギヤ46dは駆動本体部60の一部を構成し、駆動本体部60の後述する駆動ギヤ65と歯合する。
【0042】
張出部46の背面部46cの下側には上下方向に所定の間隔を有して突出した一対のピン46eが設けられている。これらのピン46eは、背面板部22に設けられた案内溝22aに挿入されて案内溝22aに沿って移動し、支持本体部43の上下移動を案内する。ピン46eの先端部には止め輪46fが装着されて、ピン46eが案内溝22aから抜脱されるのを規制している。
【0043】
支持本体部43は、その張出部46に圧縮コイルばね55を挿着した状態で天板部30に設けられた貫通孔30cの上方から張出部46が挿通されて、貫通孔30cの下方へ延出する張出部46に設けられたラックギヤ46dが駆動歯車65と歯合して上下方向に移動自在である。
【0044】
圧縮コイルばね55は、ばね座として機能する段部44aと天板部30との間に配置される。圧縮コイルばね55は、ボタン押圧部41の上面が受け皿ユニット3の上面と略同一平面上の位置(図3(a)、図3(b)に示す後退位置Pd参照)にあるときに圧縮された状態となり、後述する動力伝達クラッチ80が遮断状態になると、伸長して、支持本体部43を介してボタン押圧部41を上方へ移動させる。
【0045】
このように構成されたボタン操作部40を上下方向に移動させる本体駆動部60は、筐体部21の他方側(左側)から一方側(右側)に、ラックギヤ46d、駆動ギヤ65、動力伝達軸63、第1モータ61を有して構成される。駆動ギヤ65は、ギヤ支持板27の挿通孔27aに挿通された軸部66に回転自在に支持される。軸部66は、挿通孔27aに挿通された状態でギヤ支持板27からクラッチ支持板25側と反対側へ突出する軸部66に止め輪67が装着されてクラッチ支持板25に対して一方側(右側)への抜脱が規制され、クラッチ支持板25側へ突出する軸部66に駆動ギヤ65が挿入され、駆動ギヤ65のクラッチ支持板25側へ突出する軸部66に止め輪67が装着されて、軸部66はクラッチ支持板25に対して他方側(左側)への抜脱が規制される。
【0046】
駆動ギヤ65の一方側の側面には、ボタン押圧部41が大きな力で押圧操作された場合に、本体駆動部60が損傷する虞を防止するための動力遮断クラッチ70を構成する一方側のクラッチ部材71が一体的に設けられている。この動力遮断クラッチ70は、一方側のクラッチ部材71に対向配置された他方側のクラッチ部材72を有してなる。
【0047】
駆動ギヤ側のクラッチ部材71は円筒状に形成され、その先端面には、クラッチ部材71の回転中心から放射状に延びて側面視三角状の歯部71aが周方向に連続的に設けられている。このクラッチ部材71は、これと対向する他方側のクラッチ部材72と噛み合って第1モータ61の動力を駆動ギヤ65に伝達する。
【0048】
クラッチ支持板25側のクラッチ部材72は、有底円筒状に形成され、その底面にはクラッチ部材72の回転中心軸と同軸上に配置された貫通孔72cが設けられている。この貫通孔72cに動力伝達軸63が挿通されて、クラッチ部材72は動力伝達軸63に沿って移動自在であるとともに、動力伝達軸63とともに回転自在に支持される。クラッチ部材72の先端面には、駆動ギヤ側のクラッチ部材71と同様に、クラッチ部材72の回転中心から放射状に延びて側面視三角状の歯部72aが周方向に連続的に設けられている。クラッチ部材72に挿入されてクラッチ部材72の先端側から延出する動力伝達軸63には止め輪73が装着されて、クラッチ部材72の動力伝達軸63からの抜脱が規制されている。
【0049】
クラッチ部材72の歯部72aと噛み合う歯部71aは、図9に示すように、両クラッチ部材71,72の回転方向(矢印A方向)と反対方向に進むに従ってクラッチ部材72側に傾斜する傾斜面71bを有して、歯部71aは側面視において三角状に形成されている。
【0050】
一方、歯部71aに噛み合う歯部72aは、両クラッチ部材71,72の回転方向(矢印A方向)に進むに従ってクラッチ部材71側に傾斜する傾斜面72bを有して側面視において三角状に形成されている。このクラッチ部材72はこれと対向する一方側のクラッチ部材71と噛み合い、第1モータ61の動力が駆動ギヤ65に伝達される。
【0051】
クラッチ支持板25側のクラッチ部材72とクラッチ支持板25との間には、動力伝達軸63に挿入された圧縮コイルばね75及び平座金76が設けられている。圧縮コイルばね75は圧縮状態で動力伝達軸63に挿入されて、クラッチ支持板側のクラッチ部材72は圧縮コイルばね75によって動力伝達軸63のクラッチ部材71側に常に附勢されている。動力遮断クラッチ70の作動については後述する。
【0052】
動力伝達軸63は、図1(b)及び図5に示すように、クラッチ支持板25の挿通孔25aに挿入された状態で、クラッチ支持板25に対して筐体部幅方向に略均等に延びる。クラッチ支持板25の両側から延出する動力伝達軸63の各基端部には一対の止め輪74が装着されて、動力伝達軸63がクラッチ支持板25から抜脱されるのを規制している。
【0053】
クラッチ支持板25からモータ支持板23側へ延びる動力伝達軸63には、第1モータ61からの動力を動力伝達軸63に伝達又は遮断する動力伝達クラッチ80のクラッチ部材81が設けられている。このクラッチ部材81は有底筒状に形成され、その先端面にはクラッチ部材81の回転中心から放射状に延びて側面視三角状の歯部81aが周方向に連続的に設けられている。クラッチ部材81の底面側には外側へ張り出す円板状の鍔部81bが設けられている。この鍔部81bは、後述するクラッチ駆動部90から力を受けてクラッチ部材81を移動させるための当接面として作用する。
【0054】
クラッチ部材81の底面にはその回転中心軸と同軸上に配置された貫通孔が設けられ、この貫通孔に動力伝達軸63が挿通されて、クラッチ部材81は動力伝達軸63に沿って移動自在であるとともに、動力伝達軸63の回転に従って回転する。
【0055】
クラッチ部材81に挿入されてクラッチ部材81の先端側から延出する動力伝達軸63には止め輪74が装着されて、クラッチ部材81の動力伝達軸63からの抜脱が規制されている。クラッチ部材81とクラッチ支持板25との間には、圧縮コイルばね84及び平座金85が動力伝達軸63に挿入された状態で設けられ、圧縮コイルばね84は圧縮状態で動力伝達軸63に挿入されている。このため、クラッチ部材81は圧縮コイルばね84によって常に動力伝達軸63の第1モータ61側に附勢されている。
【0056】
動力伝達クラッチ80の第1モータ側のクラッチ部材82は、モータ支持板23に設けられた第1モータ61の駆動軸61aに取り付けられている。このクラッチ部材82は有底筒状に形成され、その先端面には、クラッチ部材82の回転中心から放射状に延びて側面視三角状の歯部82aが周方向に連続的に設けられている。クラッチ部材82に挿入されてクラッチ部材82の先端側から延出する第1モータ61の駆動軸61aに止め輪74が装着されて、クラッチ部材82は駆動軸61aからの抜脱が規制されている。
【0057】
第1モータ61は、その駆動軸61aがモータ支持板23の挿通孔23aに挿通された状態で複数のねじ62を介してモータ支持板23に固定される。第1モータ61は、ステッピングモータであり、ボタン押圧部41を圧縮コイルばね55と相まって受け皿ユニット3(図2(a)参照)に対して上方へ突出させる場合(図7(b)、図7(c)参照)や、ボタン押圧部41を受け皿ユニット3側に後退させる場合(図6(c)参照)に駆動する。
【0058】
ボタン押圧部41を受け皿ユニット3に対して後退位置Pd(ボタン押圧部41の上面が受け皿ユニット3の上面と略同一平面上に位置する状態にあるときのボタン押圧部41の位置、図6(c)参照)から突出した位置(図8(c)に示す第2突出位置Pu2参照)に移動させる場合には、図6(c)に示すように、ボタン押圧部41が後退位置Pdに位置した状態で接続状態にある動力伝達クラッチ80を、図7(a)に示すように、遮断状態にし、圧縮コイルばね55の伸長によって、ボタン押圧部41を後退位置Pdから所定の距離を有して突出した位置(図7(c)に示す第1突出位置Pu1参照)に移動させる。
【0059】
ここで、圧縮コイルばね55が全伸長に伸びるまでは、図7(b)に示すように、動力伝達クラッチ80を遮断状態にして、ボタン押圧部41を圧縮コイルばね55の伸長によって上方へ移動させて、ボタン押圧部41を第1突出位置Pu1に移動させる(図7(c)参照)。
【0060】
ボタン押圧部41が第1突出位置Pu1に移動すると、図7(c)に示すように、動力伝達クラッチ80を接続状態にするとともに、第1モータ61を駆動して第1モータ61の動力によってボタン押圧部41を第2突出位置Pu2に移動させる。ボタン押圧部41を第1突出位置Pu1から第2突出位置Pu2に移動させるには、ボタン押圧部41が第1突出位置Pu1に位置したときの第1モータ61の駆動軸61aの位置に対して、ボタン押圧部41が第2突出位置Pu2に移動したときの第1モータ61の駆動軸61aの回転量を設定し、その設定量に達したときに第1モータ61の回転を停止する。動力伝達クラッチ80及び第1モータ61の作動制御は、制御部100によって行われる。
【0061】
また、ボタン押圧部41を第2突出位置Pu2から後退位置Pdに移動させる場合には、図6(a)〜図6(c)、図8(a)〜図8(c)に示すように、動力伝達クラッチ80を接続状態にし、ボタン押圧部41が第2突出位置Pu2に移動したときの第1モータ61の駆動軸61aの位置に対して、ボタン押圧部41が後退位置Pdに移動したときの第1モータ61の駆動軸61aの回転量を設定し、その設定量に達したときに第1モータ61の回転を停止する。第1モータ61の作動制御は後述する制御部100によって行われる。
【0062】
このように本体駆動部60は、第1モータ61の動力を、動力伝達クラッチ80,動力伝達軸63、駆動ギヤ65、ラックギヤ46dを介して支持本体部43に伝達する。つまり、本体駆動部60は、動力伝達軸63、駆動ギヤ65、ラックギヤ46dからなる動力伝達経路64を介して、第1モータ61の動力を支持本体部43に伝達する。
【0063】
天板部30には、図1(a)、図1(b)、図5に示すように、動力伝達クラッチ80を接続状態又は遮断状態に切り替え可能なクラッチ駆動部90が設けられている。クラッチ駆動部90は、天板部30に設けられた挿通孔30aに駆動軸95aを挿通した状態で固定された第2モータ95と、挿通孔30aから延出する第2モータ95の駆動軸95aに取り付けられて駆動軸95aとともに回転する回転部材92と、動力伝達クラッチ80のクラッチ支持板25側のクラッチ部材81に一端側が回動自在に接続されて他端側が回転部材92に回動自在に接続された連結部材93を有して構成される。
【0064】
回転部材92は、駆動軸95aに直交する方向に延びて一端側が駆動軸95aに接続され、回転部材92の裏面側の長手方向中間部には下方へ向けて突設された係合突起部92a(図6(c)参照)が設けられている。
【0065】
連結部材93は、動力伝達軸63の上方に配置され、動力伝達軸63に対して直交する方向(前後方向)に延びる連結本体部93aと、連結本体部93aの長手方向両端部に繋がってクラッチ部材81側へ延びる一対の連結腕部93bを有してなる。連結腕部93bは先端側がクラッチ部材81側へ延びて下方へ屈曲し、連結腕部93bの先端部に挿着されて連結腕部93b内側へ突出されたピン83に球体86が挿着されている。
【0066】
この球体86は連結本体部93aがクラッチ支持板25側に移動時にクラッチ部材81の鍔部81bに当接してクラッチ部材81をクラッチ支持板25側に移動させる。球体86とクラッチ部材81との間には、平面視において隙間87(図1(a)参照)が形成されている。この隙間87については後述する。
【0067】
連結本体部93aの長手方向中間部には連結本体部93aに沿って延びる長孔93cが設けられている。この長孔93cに回転部材92の係合突起部92aが挿入される。このため、第2モータ95の駆動軸95aが回転すると、係合突起部92aは駆動軸95aを回転中心として回転しながら、長孔93cに沿って移動するとともに動力伝達軸63の軸方向に移動して、連結部材93を動力伝達軸63の軸方向に往復移動させる。つまり、係合突起部92aと長孔93cによって回転部材92の回転運動を、連結部材93を直線的に移動させる直線運動に変換する変換機構部91を構成している。
【0068】
このため、クラッチ部材81はこれに対向する他のクラッチ部材82に対して接近し又は離反して、第1モータ61の動力を動力伝達経路64に伝達又は遮断することができる。第2モータ95の作動制御は後述する制御部100によって行われる。
【0069】
なお、回転部材92の回転に伴って係合突起部92aも回転するが、係合突起部92aは駆動軸95aを回転中心として回転するので、係合突起部92aは連結本体部93aの長手方向に移動する。このため、連結部材93の連結腕部93bの先端部に設けられた球体86がクランク部材81の側面に接触して回転部材92の回転が停止する虞が生じる。そこで、球体86とクラッチ部材81との間に隙間87を設けることで、これらが接触する虞を回避している。
【0070】
本体駆動部60の第1モータ61及びクラッチ駆動部90の第2モータ95は前述した制御部100に電気的に接続されている。制御部100は、遊技中における特定のリーチ演出に際し、ボタン押圧部41の押圧操作を促すガイダンスが表示されている間、ボタン押圧部41を受け皿ユニット3から上方へ突出した第2突出位置Pu2に移動させた状態にする。
【0071】
制御部100は、ガイダンスが表示されると、後退位置Pdに移動した状態のボタン押圧部41を第2突出位置Pu2に移動させるため、図7(a)に示すように、クラッチ駆動部90の第2モータ95を駆動して動力伝達クラッチ80の一方のクラッチ部材81を他のクラッチ部材82から離反する方向へ移動させて、動力伝達クラッチ80を遮断状態にする。その結果、本体駆動部60の動力伝達経路64と第1モータ61との間が非接続状態になり、支持本体部43はフリーな状態になる。このため、図7(b)、図7(c)に示すように、圧縮された圧縮コイルばね55の伸長によって支持本体部43及びこれに装着されたボタン押圧部41が上方へ移動し、圧縮コイルばね55が全伸長状態になると、ボタン押圧部41は受け皿ユニット3の上面から突出した第1突出位置Pu1に移動する。
【0072】
ここで、制御部100は、圧縮コイルばね55が全伸長状態になると、動力伝達クラッチ80を接続状態にするとともに第1モータ61の作動を制御して、ボタン押圧部41を第1モータ61の動力によって上方へ移動させる。従って、ボタン押圧部41は第1突出位置Pu1よりも上方の第2突出位置Pu2(図8(c)参照)に移動する。
【0073】
このように、ボタン押圧部41は後退位置Pdから第1突出位置Pu1に移動する際に、圧縮された圧縮コイルばね55の反発力によって移動するので、ボタン押圧部41は瞬発的に突出し、第1モータ61の駆動力のみに依存したボタン押圧部41の突出速度よりも、より速い突出速度でボタン押圧部41を突出させることができる。従って、ボタン押圧部41の突出時において、遊技者に対し、より効果的なインパクトを与えることができる。また圧縮コイルばね55によってボタン押圧部41が突出した後に、第1モータ61の動力によってボタン押圧部41がさらに突出方向に移動するので、遊技者に対してさらにインパクトを与えることができる。
【0074】
さて、遊技中において特定のリーチ演出が終了すると、制御部100は、図8(c)に示すように、動力伝達クラッチ80を接続状態にしたままで、本体駆動部60の第1モータ61を逆回転させる。第1モータ61が逆回転すると、第1モータ61の動力は本体駆動部60の動力伝達経路64を介して支持本体部43に伝達されて、支持本体部43は下方へ移動する。その結果、ボタン押圧部41は、図6(c)に示すように、後退位置Pdに移動する。
【0075】
このように、制御部100は、遊技中の特定のリーチ演出が終了すると、自動的にボタン押圧部41を後退位置Pdに移動させるので、ボタン押圧部41が受け皿ユニット3から大きく突出した状態のままで遊技が進行することはない。このため、遊技機1における演出内容とボタン押圧部41の突出状態との演出上の不一致が生じる虞を未然に防止することができる。
【0076】
なお、ボタン押圧部41が第2突出位置Pu2に移動した状態では、図8(c)に示すように、動力伝達クラッチ80は接続状態にあるので、動力伝達経路64と第1モータ61は接続状態にある。この状態で、ボタン押圧部41が大きな力で押圧操作されると、この力は支持本体部43や駆動ギヤ65を介して動力伝達軸63や第1モータ61に作用する。
【0077】
この力は、動力伝達軸63に大きなねじり変形を与え、また第1モータ61の駆動軸61aを回動させて第1モータ61が脱調する虞を生じさせる。しかしながら、ボタン操作機構20には、動力伝達経路64の途中に動力遮断クラッチ70が設けられ、この動力遮断クラッチ70が遮断状態になることで、ボタン押圧部41の押圧操作による力が動力伝達軸63や第1モータ61に伝達される事態を防止している。
【0078】
ボタン押圧部41が大きな力で押圧操作されてクラッチ部材72に作用する負荷の大きさが所定値を超えると、駆動ギヤ側のクラッチ部材71が回転するに伴って、圧縮コイルばね75の附勢に抗してクラッチ部材72が駆動ギヤ側のクラッチ部材71から離反する。このため、動力遮断クラッチ70は、図1(b)に示すように、遮断状態になり、動力伝達軸63や第1モータ61に大きな負荷が作用する虞を未然に防止することができ、動力伝達軸63に大きなねじり変形が生じ、また第1モータ61が脱調する虞を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 遊技機
20 ボタン操作機構
41 ボタン押圧部
43 支持本体部
46d ラックギヤ
55 圧縮コイルばね
60 本体駆動部
61 第1モータ
61a 駆動軸
63 動力伝達軸
64 動力伝達経路
65 駆動ギヤ
66 軸部
70 動力遮断クラッチ
71、72 クラッチ部材
71a、72a 歯部
80 動力伝達クラッチ(クラッチ部)
81,82 クラッチ部材
90 クラッチ駆動部
100 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の前面側に押圧操作可能に設けられたボタン押圧部と、
前記ボタン押圧部の押圧方向先端側に配置されて該ボタン押圧部を往復移動可能に支持するとともに、前記遊技機に対して突出入する方向に移動可能に支持された支持本体部と、
前記支持本体部を前記遊技機から突出する方向に附勢する圧縮コイルばねと、
第1モータを有し、該第1モータからの動力を前記支持本体部に伝達して、該支持本体部を移動させる本体駆動部と、
前記本体駆動部の前記第1モータからの動力を前記支持本体部に伝達する動力伝達経路に設けられ、互いに接近及び離反可能な一対のクラッチ部材を有して前記動力伝達経路を接続又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部の一方のクラッチ部材に対して他方のクラッチ部材を接近及び離反させるクラッチ駆動部と、
前記ボタン押圧部を前記遊技機から突出させる場合には、前記クラッチ駆動部及び前記本体駆動部の作動を制御して、圧縮された前記圧縮コイルばねの伸長によって前記支持本体部を突出方向へ移動させた後に、前記第1モータの動力によって前記支持本体部を突出方向へ移動させ、前記ボタン押圧部を前記遊技機側へ突入させる場合には、前記クラッチ駆動部及び前記本体駆動部の作動を制御して、前記第1モータの動力によって前記支持本体部を突入方向へ移動させる制御部を有することを特徴とするボタン操作機構。
【請求項2】
前記制御部は、前記ボタン押圧部を前記遊技機から突出させる場合には、前記クラッチ駆動部によって前記クラッチ部を遮断状態にして、圧縮された前記圧縮コイルばねによって前記支持本体部を前記遊技機から突出させた後に、前記クラッチ駆動部によって前記クラッチ部を接続状態にして、前記本体駆動部の前記第1モータの動力を前記支持本体部に伝達して該支持本体部を突出方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載のボタン操作機構。
【請求項3】
前記制御部は、前記ボタン押圧部を前記遊技機側に突入させる場合には、前記クラッチ駆動部によって前記クラッチ部を接続状態にし、前記第1モータの動力を前記支持本体部に伝達して該支持本体部を突入方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載のボタン操作機構。
【請求項4】
前記本体駆動部は、前記ボタン押圧部が押圧操作されて前記支持本体部を介して前記本体駆動部に作用する負荷の大きさが所定値を超えると、前記支持本体部から前記本体駆動部への動力伝達を遮断する動力遮断クラッチを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のボタン操作機構。
【請求項5】
前記本体駆動部は、前記支持本体部にこの移動方向に沿って延設されたラックギヤと、前記ラックギヤの延設方向と直交する方向に延びる軸部に回転自在に支持されて前記ラックギヤに歯合する駆動ギヤと、前記駆動ギヤの一方側の側面に該駆動ギヤの軸部と同軸上に設けられ先端部に歯部を備えた一方のクラッチ部材及び前記一方のクラッチ部材の前記歯部に対して接近離反可能に支持されて先端部に前記一方のクラッチ部材の前記歯部と噛合可能な歯部を有した他方のクラッチ部材を備える前記動力遮断クラッチと、一端側が前記他方のクラッチ部材に接続され、他端側が前記第1モータの駆動軸に接続されて前記第1モータの動力を前記動力遮断クラッチを介して前記駆動ギヤに伝達可能な動力伝達軸とを有することを特徴とする請求項4に記載のボタン操作機構。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれかに記載のボタン操作機構を備えることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206183(P2011−206183A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75453(P2010−75453)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】