説明

ボンディングワイヤー検査方法

【課題】ボンディングワイヤー検査を光走査による高さ測定と、斜め上からの撮像装置によりワイヤー部を撮像抽出して、これらのデータからボンディングワイヤーの形状判定を高速で短時間に行なうボンディングワイヤー検査方法を提供する。
【解決手段】光走査による高さ測定手段によりボンディングワイヤーの頂点の高さをそれぞれ求める高さ測定工程6と、ボンディングワイヤーの斜め上から撮像装置によりボンディングワイヤー部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程8と、この撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を判定手段を用いて行なう判定工程10とでボンディングワイヤー検査方法を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体集積回路とリードフレーム間を結合するボンディングワイヤーの形状等を検査するボンディングワイヤー検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボンディングワイヤー検査方法は光学系の焦点をボンディングワイヤーに合わせることで各点の高さを求める方法であるので、各点ごとに焦点合わせをしなければならず、計測に手数と時間がかかり、計測時間が長くなるという欠点があった。
【特許文献1】特開平7−63530
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ボンディングワイヤー検査を光走査による高さ測定と、斜め上からの撮像装置によりワイヤー部を撮像抽出して、これらのデータからボンディングワイヤーの形状判定を高速で短時間に行なうボンディングワイヤー検査方法を提供することを目的としている。
【0004】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は高さ測定手段によりボンディングワイヤーの頂点の高さをそれぞれ求める高さ測定工程と、ボンディングワイヤーの斜め上から撮像装置によりボンディングワイヤー部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程と、この撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を判定手段を用いて行なう判定工程とでボンディングワイヤー検査方法を構成している。
【発明の効果】
【0006】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0007】
(1)高さ測定手段によりボンディングワイヤーの頂点の高さをそれぞれ求める高さ測定工程と、ボンディングワイヤーの斜め上から撮像装置によりボンディングワイヤー部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程と、この撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を判定手段を用いて行なう判定工程とからなるので、ボンディングワイヤーのそれぞれの形状判定を高速で、短時間に行なうことができる。
【0008】
(2)前記(1)によって、高さ測定手段のデータと撮像装置のデータを判定手段を用いて判定するので、高さと形状の判定で検査ができる。
したがって、確実な検査ができるとともに、容易に実施することができる。
【0009】
(3)請求項2、3も前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、任意の位置の高さ換算工程で、ボンディングワイヤーのそれぞれの任意の位置の高さを求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は本発明のボンディングワイヤー検査方法で、このボンディングワイヤー検査方法1は光走査による高さ測定手段2により半導体集積回路3とリードフレーム4間を結合するボンディングワイヤー5の頂点Pの高さをそれぞれ求める高さ測定工程6と、前記ボンディングワイヤー5の斜め上から撮像装置7により、図3に示すようにボンディングワイヤー5部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程8と、この撮像抽出工程8での図4に示すようにボンディングワイヤー5部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程6でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を行なうコンピュータやパソコン等の判定手段9を用いた判定工程10と、前記撮像抽出工程8でのボンディングワイヤー5部のそれぞれの形状データおよび、前記高さ測定工程6でのそれぞれの高さデータに基づき、前記判定手段10でボンディングワイヤー5のそれぞれの任意の位置での高さを換算して求める任意の位置の高さの換算工程11とで構成されている。
【0012】
前記高さ測定工程6は図5に示すように、測定ワーク12をドライバー13でXYZ方向へ移動させることができるXYZステージ14に搭載するステージ搭載工程15と、このステージ搭載工程15後にボンディングワイヤー5部の位置検出を行なう位置検出工程16と、前記ステージ搭載工程15後に真上からのCCDカメラやCMOSカメラ等の撮像カメラ17でボンディングワイヤー5の2次元形状を測定する2次元形状の測定工程18と、光走査による高さ測定手段2で測定できる位置へ、前記XYZステージ14を移動させて位置させる高さ測定位置への移動工程19と、この高さ測定位置への移動工程19後に光走査による高さ測定手段2の送光素子20からの光を受光素子21で受光して、ボンディングワイヤー5の頂点Pを測定する頂点の測定工程22、第1の基準面23の高さを同様にして測定する第1の基準面の測定工程24、第2の基準面25の高さを同様にして測定する第2の基準面の測定工程26とからなる各高さの測定工程27とで構成されている。
【0013】
前記撮像抽出工程8で使用する撮像装置7はCCDカメラやCMOSカメラ等が使用される。
【0014】
前記任意の位置の高さ換算工程11は、図6に示すように前記撮像抽出工程8での形状データの画面上で、画像処理による計算方法で検査したいボンディングワイヤー5の高さ位置のボンディングワイヤー5の頂点Pからの高低差aを測定する。
しかる後、撮像装置7の傾きθの補正を行なう。
b=a/COSθ
次に前記高さ測定工程6で得られたボンディングワイヤー5の高さから高低差bを引き、検査したい位置のボンディングワイヤー5の高さを決定する。
【0015】
上記のボンディングワイヤー検査方法1での半導体集積回路3とリードフレーム4間を結合するボンディングワイヤー5の検査は、高さ測定工程6の高さデータと撮像抽出工程8の形状データとで行なうので、確実に高速で、短時間に行なうことができるとともに、ボンディングワイヤー5の頂点Pの高さのデータと、ボンディングワイヤー5の形状のデータと、ボンディングワイヤー5の任意の位置での高さのデータが得られる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0016】
次に、図7ないし図9に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0017】
図7および図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、判定工程10Aをパターンマッチングによる形状判定工程28と、高さの許容範囲内にあるかの高さ判定工程29とで行なった点で、このような判定工程10Aを用いたボンディングワイヤー検査方法1Aを用いても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0018】
図9に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、任意の位置の高さの換算工程を使用しないボンディングワイヤー検査方法1Bを用いた点で、このようなボンディングワイヤー検査方法1Bでも、ボンディングワイヤー5の任意の位置の高さを検査しなくてもよい場合に使用することができる。
【0019】
なお、前記本発明を実施するための各形態では、光走査による高さ測定手段2を用いるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、光ラインビームによる光切断法や、他の公知の方法による高さ測定方法を用いた高さ測定手段2を用いても同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明はボンディングワイヤーを検査する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の工程図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の概略図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の撮像抽出工程の説明図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態の形状判定の説明図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の高さ測定工程の説明図。
【図6】本発明を実施するための最良の第1の形態の任意の位置の高さの換算工程の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の工程図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の判定工程の説明図。
【図9】本発明を実施するための第3の形態の工程図。
【符号の説明】
【0022】
1、1A、1B:ボンディングワイヤー検査方法、
2:光走査による高さ測定手段、 3:半導体集積回路、
4:リードフレーム、 5:ボンディングワイヤー、
P:頂点、 6:高さ測定工程、
7:撮像装置、 8:撮像抽出工程、
9:判定手段、 10、10A:判定工程、
11:任意の位置の高さ換算工程、
12:測定ワーク、 13:ドライバー、
14:XYZステージ、 15:ステージ搭載工程、
16:位置検出工程、 17:撮像カメラ、
18:2次元形状の測定工程、 19:高さ測定位置への移動工程、
20:送光素子、 21:受光素子、
22:頂点の測定工程、 23:第1の基準面、
24:第1の基準面の測定工程、 25:第2の基準面、
26:第2の基準面の測定工程、 27:各高さの測定工程、
28:形状判定工程、 29:高さ判定工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ測定手段によりボンディングワイヤーの頂点の高さをそれぞれ求める高さ測定工程と、ボンディングワイヤーの斜め上から撮像装置によりボンディングワイヤー部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程と、この撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を判定手段を用いて行なう判定工程とを含むことを特徴とするボンディングワイヤー検査方法。
【請求項2】
光走査による高さ測定手段によりボンディングワイヤーの頂点の高さをそれぞれ求める高さ測定工程と、ボンディングワイヤーの斜め上から撮像装置によりボンディングワイヤー部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程と、この撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を判定手段を用いて行なう判定工程とを含むことを特徴とするボンディングワイヤー検査方法。
【請求項3】
光走査による高さ測定手段によりボンディングワイヤーの頂点の高さをそれぞれ求める高さ測定工程と、ボンディングワイヤーの斜め上から撮像装置によりボンディングワイヤー部をそれぞれ撮像抽出する撮像抽出工程と、この撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データと予め登録してあるOK、NG形状とのパターンマッチングによる形状判定および、前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータと予め登録してある高さの許容範囲内にあるかの判定を判定手段を用いて行なう判定工程と、前記撮像抽出工程でのボンディングワイヤー部のそれぞれの形状データおよび前記高さ測定工程でのそれぞれの高さデータに基づき、前記形状判定手段でボンディングワイヤーのそれぞれの任意の位置での高さを換算し求める任意の位置の高さの換算工程とを含むことを特徴とするボンディングワイヤー検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−310364(P2006−310364A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127853(P2005−127853)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】