説明

ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから得られる硬化膜

【課題】高感度で且つ未露光部の膜減りが事実上なく、膜形成後に高温焼成又レジスト剥離液処理によっても高い透過率が維持され、膜厚減少もないポジ型感光性樹脂組成物、及び該樹脂組成物が得られる製造方法、並びに、各種ディスプレイの膜材料に好適な硬化膜を提供すること。
【解決手段】(A)成分:熱架橋反応並びに熱硬化反応のための官能基を有し且つ数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂、
(B)成分:1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物、
(C)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物、
(D)成分:光酸発生剤、
(E)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物。また、上記成分を混合し室温より高められた温度下に所要の期間保つことによる該ポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。並びに、斯様なポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物及びその製造方法、該樹脂組成物を用いたパターン形成方法、並びに該樹脂組成物から得られる硬化膜に関する。より詳しくは、本発明は、ディスプレイ材料の用途において好適なポジ型感光性樹脂組成物及びその製造方法、並びに該樹脂組成物を用いたパターン形成方法、該樹脂組成物から得られる硬化膜、並びに該硬化膜を用いた各種材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL(electroluminescent)素子等のディスプレイ素子においては、パターン形成された電極保護膜、平坦化膜、絶縁膜等が設けられている。これらの膜を形成する材料としては、感光性樹脂組成物の中でも、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なくしかも十分な平坦性を有するという特徴を持つところの感光性樹脂組成物が、従来より幅広く使用されている。
【0003】
そして、上述のこれらの膜には、耐熱性、耐溶剤性、長時間焼成耐性などのプロセス耐性に優れていること、下地との密着性が良好であること、使用目的に合わせた様々なプロセス条件でパターンを形成し得る広いプロセスマージンを有すること、加えて、高感度且つ高透明性であること並びに現像後の膜ムラが少ないこと等の諸特性が要求される。そこで、斯かる要求特性の点から、これまで従来、上記の感光性樹脂組成物としては、ナフトキノンジアジド化合物を含む樹脂が汎用されてきた。
【0004】
ところで、斯かる感光性樹脂材料の要求特性の中、重要な特性の一つとして、感度が挙げられる。感度の向上は、ディスプレイ素子等の工業的な生産において、その生産時間の大幅な短縮を可能にするので、液晶ディスプレイの需要量が著しく増大している現在の状況にあっては、感度は、この種の感光性樹脂材料に要求される最も重要な特性の一つとなっている。
【0005】
しかし、上述のナフトキノンジアジド化合物を含む従来の感光性樹脂材料は、感度の面において十分満足できるものではなかった。材料中のポリマーについてアルカリ現像液への溶解性を高めることにより、感度を向上させることも可能ではあるが、この方法には限界があり、また未露光部の溶解も起こって残膜率が低下し、それが大型ディスプレイ用の基板にとっては膜ムラの原因になるという欠点があった。
そこで、これまでにも、感光性樹脂材料の高感度化を目的として幾つかの特許出願がなされている。例えば、アルカリ可溶性樹脂と特定のポリヒドロキシ化合物及びその誘導体の少なくとも何れかとを含有する感放射線性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この提案材料は、感光剤の対称性の高さから、保存安定性などに問題があった。
【0006】
また、アルカリ可溶性フェノール樹脂と感放射線性化合物を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、及び、特定のアルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかし、これらは、バインダーポリマーにノボラック樹脂を使用していることから、透明性、並びに長時間焼成時における安定性に問題があった。
【0007】
以上のように、他の特性をも満足し、且つ所望水準の高感度を有する感光性樹脂組成物を開発することは、非常に困難なことであり、従来技術の単なる組み合わせでは、満足な
感光性樹脂組成物を得ることが困難であった。
【0008】
また一般に、ナフトキノンジアジド化合物を含む従来の感光性樹脂材料にあっては、露光現像の後ナフトキノンジアジド化合物による硬化膜の着色化及び透明性の低下を防止するべくフォトブリーチングが為されているが、このフォトブリーチング工程を経たとしても、得られた膜は、250℃程度の高温で焼成すると光透過率が低下して着色し、またこれより低い温度で、例えば230℃で長時間焼成しても光透過率の低下(着色)が見られ、更に、レジスト剥離液のアミン系溶液などの薬品処理によっても、光透過率が低下して透明性が悪化するという問題が発生し、ナフトキノンジアジド化合物を含む従来の感光性樹脂材料は、斯かる耐熱性及び耐薬品性の点で問題があった(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
一方、高感度、高解像度の感光性材料として従来、化学増幅型レジストが開発されている。半導体用レジストとして開発されてきた従来の化学増幅型レジストは、i線よりも短波長の光源(KrF、ArF)にも適応することができ、より微細なパターン形成が可能であるが、膜硬化に用いるような高温の下では、またレジスト剥離液の存在下では、保護基の結合部やエーテル結合の熱架橋部が容易に分解してしまい、耐熱性及び耐薬品性が著しく低く、永久膜として利用することは殆ど不可能であった(例えば、特許文献5参照)。また、熱硬化を可能とするために、エポキシ類やアミノプラスト類の架橋系を化学増幅型レジストに導入しようとしても、露光によりレジスト中の光酸発生剤(PAG)から発生した酸の影響により、露光部の架橋が進行し、未露光部との溶解コントラストが消失するなどの問題が新たに生じるため、斯かる架橋系の化学増幅型レジストへの導入は困難であった。
【特許文献1】特開平4−211255号公報
【特許文献2】特開平9−006000号公報
【特許文献3】特開平8−044053号公報
【特許文献4】特開平4−352101号公報
【特許文献5】米国特許第5075199号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その解決しようとする課題は、十分高感度であり、しかも現像の際に未露光部の膜減りが測定されない程に事実上無く、その上、膜形成後に高温下で焼成しても高い透過率を維持し、且つ、レジスト剥離液(アミン系溶液)処理に曝されても膜厚の減少及び透過率の低下がいたって小さいところのポジ型感光性樹脂組成物を提供すること、並びに、該ポジ型感光性樹脂組成物を使用したパターン形成方法、特に解像度に優れたパターン形成方法を提供することを課題とする。又本発明は、斯様な特性を有する上記ポジ型感光性樹脂組成物が得られる製造方法の提供を課題とする。
【0011】
さらに本発明は、斯様なポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜であって、高温焼成或いはレジスト剥離液(アミン系溶液)処理によっても、透過率の低下が格段に小さく、高い透明性が維持される、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化膜、並びに、斯様な硬化膜を用いて作られる各種の素子・材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、第1観点として、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物である。
(A)成分:(B)成分の化合物との間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、(C)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且つ、数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂
(B)成分:1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物
(C)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物
(D)成分:光酸発生剤
(E)溶剤
第2観点として前記熱架橋反応のための官能基は、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の群から選ばれる少なくとも一種であり、また前記膜硬化のための官能基は、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である、第1観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第3観点として前記(A)成分100質量部に基づいて、1乃至80質量部の前記(B)成分、1乃至80質量部の前記(C)成分、及び、0.5乃至80質量部の前記(D)成分を含有する、第1観点又は第2観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第4観点として(F)成分として、前記(A)成分以外の他のアルカリ可溶性樹脂を更に含有する、第1観点乃至第3観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第5観点として(G)成分として、アミン化合物を更に前記(A)成分100質量部に基づいて0.001乃至5質量部含有する、第1観点乃至第4観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第6観点として(H)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に0.2質量%以下含有する、第1観点乃至第5観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第7観点として第1観点乃至第6観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を半導体基板に塗布する工程、該塗布面にパターンマスクを介して紫外線を照射する工程、前記塗布面を現像しパターンを半導体基板上に形成する工程及び前記パターン形成面に対して膜硬化のためのポストベークを行う工程を含むパターン形成方法。
第8観点として前記紫外線がi線、g線及びh線のうち少なくとも1種の波長を有する光である、第7観点に記載のパターン形成方法。
第9観点として前記紫外線がArF、KrF又はF2レーザー光である、第7観点に記
載のパターン形成方法。
第10観点として下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤を混合し、該混合溶液を室温より高められた温度下に所要の期間保つことにより、下記の熱架橋反応がいくらか進行して、(A)成分乃至(D)成分に加えて、(A)成分と(B)成分の架橋体を含有するポジ型感光性樹脂組成物を製造することを特徴とする、ポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
(A)成分:(B)成分の化合物との間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、(C)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且つ、数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂
(B)成分:1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物
(C)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物
(D)成分:光酸発生剤
(E)溶剤
第11観点として前記混合溶液を30℃〜70℃の温度下に2時間乃至5日間保つことを特徴とする、第10観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
第12観点として前記(A)成分における熱架橋反応のための官能基は、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の群から選ばれる少なくとも一種であり、また前記膜硬化のための官能基は、フェノール性水酸基以外の水酸基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である、第10観点又は第11観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
第13観点として前記(A)成分100質量部に基づいて、1乃至80質量部の前記(B)成分、1乃至80質量部の前記(C)成分、及び、0.5乃至80質量部の前記(D)成分を含有する、第10観点乃至第12観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
第14観点として(F)成分として、前記(A)成分以外の他のアルカリ可溶性樹脂を更に含有する、第10観点乃至第13観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
第15観点として(G)成分として、アミン化合物を更に前記(A)成分100質量部に基づいて0.001乃至5質量部含有する、第10観点乃至第14観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
第16観点として(H)成分として、界面活性剤を更に第10観点乃至第15観点のうちいずれか一項に記載の製造方法で製造されたポジ型感光性樹脂組成物中に0.2質量%以下含有する、第10観点乃至第15観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
第17観点として第1観点乃至第6観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物又は第10観点乃至第16観点のうちいずれか一項に記載の方法により製造されたポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。
第18観点として第17観点に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
第19観点として第17観点に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜。
第20観点として第17観点に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
第21観点として第17観点に記載の硬化膜からなるマイクロレンズ。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ビニルエーテル基を有する化合物との間で熱架橋することができ且つブロックイソシアネート基を有する化合物との間で膜の熱硬化をなしうる組成のポジ型感光性樹脂組成物としたことにより、十分高感度でありしかも現像の際に未露光部の膜減りが測定されない程に事実上無く、その上、膜形成後に例えば250℃のような高温下で焼成しても(或いは例えば230℃で長時間焼成しても)高い透過率を維持し、且つ、レジスト剥離液(アミン系溶液)処理に曝されても膜厚の減少及び透過率の低下がいたって小さいという効果が得られる。
そして本発明により、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いてパターン形成を行うと、優れた解像度のパターン(微細なパターンサイズ)を得ることができる。
【0014】
また、本発明により、斯かるポジ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を得ることにより、高温(250℃)焼成或いはレジスト剥離液(アミン系溶液)処理によっても透過率の低下が格段に小さく高い透明性が維持される、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化膜となり、よって、従来これまで化学増幅型レジストが適用されていないところのTFT型液晶素子のアレイ平坦化膜などの液晶又は有機ELディスプレイにおける各種の膜材料の用途、並びにマイクロレンズなどの用途にも好適であるという効果が得られる。
【0015】
さらに、本発明の製造法によれば、ビニルエーテル基を有する化合物との間で熱架橋することができ且つブロックイソシアネート基を有する化合物との間で膜の熱硬化をなしうる組成を有し、且つアルカリ可溶性樹脂とビニルエーテル基を有する化合物との架橋体を幾らか含有するポジ型感光性樹脂組成物を得ることができ、該組成物はナフトキノンジアジド化合物等を用いた従来法と比しては勿論のこと、上記架橋体を含有しないポジ型感光性樹脂組成物と比しても感度向上を達成するとともに、しかも現像の際に未露光部の膜減りが測定されない程に事実上無く、その上、膜形成後に例えば250℃のような高温下で焼成しても(或いは例えば230℃で長時間焼成しても)高い透過率を維持し、且つ、レジスト剥離液(アミン系溶液)処理に曝されても膜厚の減少及び透過率の低下がいたって
小さい。
【0016】
かかる本発明の製法により、従来これまで化学増幅型レジストが適用されていないところのTFT型液晶素子のアレイ平坦化膜などの液晶又は有機ELディスプレイにおける各種の膜材料の用途、並びにマイクロレンズなどの用途にも好適である硬化膜を提供できるポジ型感光性樹脂組成物の製造が大変有利に可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[ポジ型感光性樹脂組成物]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂、(B)成分のビニルエーテル基を有する化合物、(C)成分のブロックイソシアネート基を有する化合物、(D)成分の光酸発生剤及び(E)溶剤を含有し、且つ、それぞれ所望により、(F)成分の他のアルカリ可溶性樹脂、(G)成分のアミン化合物または(H)成分の界面活性剤を含有する組成物である。
また、本発明の方法によって製造されるポジ型感光性樹脂組成物は、後述する(A)成分と(B)成分の架橋体の他に、上記(A)成分乃至(E)溶剤、並びに所望により(F)成分乃至(H)成分を含むものである。
なお、(A)成分及び(B)成分の配合割合は、配合段階における配合量を基準として定められるものであり、配合後、高められた温度下に保つことで熱架橋反応が幾らか進行し、(A)成分と(B)成分の架橋体が形成されている場合には、架橋体を形成する(A)成分と架橋に関与していない(A)成分の和が(A)成分の配合量となり、同様に、架橋体を形成する(B)成分と架橋に関与していない(B)成分の和が(B)成分の配合量となる。
以下、各成分の詳細を説明する。
【0018】
<A成分>
(A)成分は、樹脂の構造中に、(B)成分のビニルエーテル基を有する化合物との間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、(C)成分のブロックイソシアネート基を有する化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且つ、ポリスチレン換算数平均分子量(以下、数平均分子量と称す。)が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂である。
【0019】
熱架橋反応のための官能基は、高められた温度の下(B)成分の化合物中のビニルエーテル基と反応して、(B)成分の化合物との間で熱架橋をなし、レジスト膜を形成しうる基であり、その代表的な官能基は、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の群から選ばれる少なくとも一種である。
【0020】
また、膜硬化のための官能基は、上記の(A)成分及び(B)成分の熱架橋体において(露光部にあっては、熱架橋体が更に解離した脱架橋体において)、より高められた温度の下(C)成分の化合物との間でブロック部分が解離したイソシアネート基を介して架橋反応をなし、膜を硬化せしめうる基であり、その代表的な官能基は、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である。ここで、活性水素を有するアミノ基とは、反応により水素を放出しうる1級又は2級のアミノ基を意味する。従って、アミド基は、活性水素を持たないので、活性水素を有するアミノ基に該当しない。
【0021】
(A)成分の樹脂は、斯かる構造を有するアルカリ可溶性樹脂であればよく、樹脂を構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類などについて特に限定されない。
【0022】
然しながら、(A)成分の樹脂は、数平均分子量が2,000乃至30,000の範囲
内にあるものである。数平均分子量が30,000を超えて過大なものであると、現像残渣が発生し易くなり、感度が著しく低下する一方、数平均分子量が2,000未満で過小なものであると、現像の際、未露光部の膜減りが相当量発生し、硬化不足になる場合がある。
【0023】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂等が挙げられる。特に、アクリル系樹脂は、透明性が高いので、より好ましい。
【0024】
また、本発明においては、複数種のモノマーを重合して得られる共重合体(以下、特定共重合体と称す。)からなるアルカリ可溶性樹脂を(A)成分として用いることもできる。この場合、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、複数種の特定共重合体のブレンド物であってもよい。
【0025】
すなわち、上記の特定共重合体は、熱架橋反応のための官能基を有するモノマー、即ちカルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、膜硬化のための官能基を有するモノマー、即ちフェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーとを、必須の構成単位として形成された共重合体であって、その数平均分子量が2,000乃至30,000のものである。
【0026】
上記の「カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマー」には、カルボキシル基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、ならびに、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の両方を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーは、カルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
【0027】
また上記の「フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマー」には、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有するモノマー、活性水素を有するアミノ基を有するモノマー、ならびに、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の両方を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーは、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基又は活性水素を有するアミノ基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
【0028】
以下、上記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものでない。
【0029】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。
【0031】
フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−アクリロ
イルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン等が挙げられる。
【0032】
さらに、活性水素を有するアミノ基を有するモノマーとしては、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0033】
また、特定共重合体は、熱架橋反応のための官能基を有するモノマー及び膜硬化のための官能基を有するモノマー以外のモノマー(以下、その他モノマーと称す。)をも構成単位として形成された共重合体であってもよい。
【0034】
その他モノマーは、具体的には、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基のうちの少なくとも一方を有するモノマー、並びに、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうちの少なくとも一方を有するモノマーと共重合することが可能なものであればよく、(A)成分の特性を損ねない限り、特に限定されるものでない。
【0035】
その他モノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
【0036】
アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
【0037】
メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0038】
ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、及び、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0039】
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0040】
マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0041】
本発明に用いる特定共重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基およびフェノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、所望により上記モノマー以外のモノマーと、所望により重合開始剤等を溶剤中において、50〜110℃の温度下で重合反応させることにより、得られる。その際、用いられる溶剤は、特定共重合体を構成するモノマー及び特定共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する(E)溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
このようにして得られる特定共重合体は、通常、この特定共重合体が溶剤に溶解した溶液の状態である。
また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
本発明においては、特定共重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば後述する(E)溶剤のような溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
【0042】
<B成分>
(B)成分は、1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物である。これは、慣用のプリべーク温度で(A)成分のアルカリ可溶性樹脂と熱架橋することができるようなビニルエーテル基を1分子中二個以上有する化合物であればよく、その種類及び構造について特に限定されるものでない。
【0043】
この(B)成分の化合物は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂との熱架橋の後、光酸発生剤の存在下での露光により生じた酸により、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂から分離(脱架橋)し、その後アルカリ現像液を用いた現像により(A)成分のアルカリ可溶性樹脂ともに除去される。従って、この種の化合物としては、一般にビニルエーテル型化学増幅型レジストの成分に使用されるビニルエーテル系化合物などが適用されうる。斯かる化合物の使用の場合、該化合物の配合量を変えて熱架橋密度を調整することにより、形成される膜の形状を制御することができるという利点を有する。
【0044】
そして、(B)成分の化合物としては、上記ビニルエーテル系化合物の中でも、特に式(1)及び式(2)で表される化合物が、露光部において残膜や残渣なく現像される点で、好ましい。
【0045】
【化1】

【0046】
(式中、nは2乃至10の正数、kは1乃至10の正数であり、R1はn価の有機基を表
す。)
【0047】
【化2】

【0048】
(式中、mは2乃至10の整数を表す。)
【0049】
式(1)のnは、1分子中のビニルエーテル基の数を表すが、nとしては、2乃至4の整数がより好ましい。そして、式(2)のmも一分子中のビニルエーテル基の数を表すが、mとしては、2乃至4の整数がより好ましい。
【0050】
式(1)及び式(2)で表される化合物の具体例としては、ビス(4−(ビニロキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリス(4−ビニロキシ)ブチルトリメリレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチルイソフタレート、及びシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0051】
また、(B)成分の化合物は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1乃至80質量部、好ましくは5乃至40質量部の割合で使用される。(B)成分の化合物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、未露光部における膜減りが顕著となりパターン様のレリーフ形状が不良になる。一方、(B)成分の化合物の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、膜の感度が著しく低下し、現像後にパターン間の残渣が生じるようになる。
【0052】
<C成分>
(C)成分は、1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物である。これは、(B)成分の化合物との間で熱架橋された或いは更にそれとの間で脱架橋された(A)成分のアルカリ可溶性樹脂からなる膜に対して、例えば慣用のポストべーク温度で熱硬化することができるようなブロックイソシアネート基を1分子中二個以上有する化合物であればよく、その種類及び構造について特に限定されるものでない。
【0053】
この(C)成分の化合物は、イソシアネート基(−NCO)が適当な保護基によりブロックされたブロックイソシアネート基を1分子中二個以上有し、そして熱硬化の際の高温に曝されると、保護基(ブロック部分)が熱解離して外れ、生じたイソシアネート基を介して(A)成分のアルカリ可溶性樹脂中の熱硬化のための官能基(例えばフェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基)相互の間で架橋反応が進行するものであり、例えば、式(3)
【0054】
【化3】

【0055】
(式中、R2はブロック部の有機基を表す。)で表される基を1分子中二個以上(この基
は同一のものでも、また各々異なっているものでもよい)有する化合物が挙げられる。
【0056】
1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する(C)成分の化合物は、例えば1分子中二個以上のイソシアネート基を有する化合物に対して適当なブロック剤を作用せしめることにより、得ることができる。
【0057】
1分子中二個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等、またはそれらの二量体、三量体、或いは、これらとジオール類、トリオール類、ジアミン類、トリアミン類との反応物が挙げられる。
【0058】
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−、m−又はp−クレゾール等のフェノール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、などのピラゾール類、ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類が挙げられる。
【0059】
(C)成分の化合物は、ポストべーク温度のようなより高温では、ブロック部分の熱解離が生じイソシアネート基を介して架橋反応が進行するものであるが、プリべーク温度のようなより低温では、イソシアネート基による架橋が進行しないものとするために、ブロック部分の熱解離の温度がプリべーク温度よりも相当に高いもの、例えば120℃乃至230℃であるものが(C)成分の化合物として特に好ましい。
【0060】
斯かる(C)成分の化合物としては、例えば次の具体例が挙げられる。
【0061】
【化4】

【0062】
式中、イソシアネート化合物がイソホロンジイソシアネートから誘導されるものである(C)成分の化合物が、耐熱性、塗膜性の点からより好ましく、斯様な化合物としては、以下のものが挙げられる。
下記式中のRは有機基を表す。
【0063】
【化5】

【0064】
【化6】

【0065】
【化7】

【0066】
本発明において、(C)成分の化合物は一種単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
また、(C)成分の化合物は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1乃至80質量部、好ましくは5乃至40質量部の割合で使用される。(C)成分の化合
物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、熱硬化が不十分となって満足な硬化膜が得られず、一方、(C)成分の化合物の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、現像が不十分となり、現像残渣を生じるようになる。
【0068】
<D成分>
(D)成分は、光酸発生剤(PAG)である。これは、露光に使用される光(g、h、i線等の紫外線、ArF、KrF、F2レーザー光や電子線など)の照射によって直接も
しくは間接的に酸(スルホン酸類、カルボン酸類など)を発生する物質であり、斯様な性質を有するものであれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
【0069】
(D)成分の光酸発生剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ニトロベンジル化合物、ベンゾイントシレート化合物、鉄アレーン錯体、ハロゲン含有トリアジン化合物、アセトフェノン誘導体化合物、及び、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物などが挙げられる。従来知られ又は従来から使用されている光酸発生剤は、いずれも、特に限定されることなく、本発明において適用することができる。なお、本発明において、(D)成分の光酸発生剤は、一種単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
斯かる光酸発生剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。尤も、これらの化合物は、極めて多数の適用可能な光酸発生剤の中の少数例であり、当然それらに限定されるものでない。
【0071】
【化8】

【0072】
ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムクロライド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニ
ウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、
【0073】
【化9】

【0074】
【化10】

【0075】
【化11】

【0076】
【化12】

【0077】
【化13】

【0078】
【化14】

【0079】
【化15】

【0080】
本発明においては、上述の化合物群から選ばれる一種の光酸発生剤を単独で用いることができ、また、上述の化合物群から選ばれる二種以上の光酸発生剤を組み合わせて用いることもできる。
【0081】
また、(D)成分の光酸発生剤は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.5乃至80質量部、好ましくは1乃至30質量部の割合で使用される。(D)成分の光酸発生剤の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、露光の際、熱架橋された(B)成分の化合物の、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂からの解離が十分に進行せず、所望のパターン様のレリーフが得られ難くなり、一方、(D)成分の光酸発生剤の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性に劣るようになる。
【0082】
<E溶剤>
本発明に用いる(E)溶剤は、(A)成分乃至(D)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述の(F)成分乃至(H)成分などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
【0083】
斯様な(E)溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0084】
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組み合わせで使用することができる。
【0085】
これら(E)溶剤の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル等が、塗膜性が良好で安全性が高いという観点より好ましい。これら溶剤は、一般にフォトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
【0086】
<F成分>
(F)成分は、(A)成分以外の他のアルカリ可溶性樹脂である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に(A)成分以外の他のアルカリ可溶性樹脂を含有することができる。
好ましくは、(F)成分は、(A)成分の100質量部に対して1質量部乃至90質量部含有することが望ましい。
【0087】
斯様な(F)成分としては、例えば、(A)成分以外のアクリル系樹脂及びヒドロキシスチレン系樹脂、フェノールノボラック樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0088】
<G成分>
(G)成分は、アミン化合物である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、その保存安定性を高めるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更にアミン化合物を含有することができる。
【0089】
(G)成分のアミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリノルマルプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン及びジアザビシクロオクタン等の3級アミンや、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミンが挙げられ、また、更に、ベンジルアミン及びノルマルブチルアミン等の1級アミンや、ジエチルアミン及びジノルマルブチルアミン等の2級アミンも挙げられる。
【0090】
(G)成分のアミン化合物は、一種単独で、または二種以上の組み合わせで使用することができる。
【0091】
アミン化合物が使用される場合、その含有量は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば0.001〜5質量部であり、また場合により0.005〜1質量部であり、また好ましくは、0.01〜0.5質量部である。(G)成分のアミン化合物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性を十分に高めることができず、一方、(G)成分のアミン化合物の使用量が前記範囲
の上限を超える過多量であると、ポジ型感光性樹脂組成物の感度が低下する場合がある。
【0092】
<H成分>
(H)成分は、界面活性剤である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、その塗布性を向上させるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に界面活性剤を含有することができる。
【0093】
(H)成分の界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。この種の界面活性剤としては、例えば、住友スリーエム(株)製、大日本インキ化学工業(株)製或いは旭硝子(株)製等の市販品を用いることができる。これら市販品は、容易に入手することができるので、好都合である。その具体的な例としては、エフトップEF301、EF303、EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0094】
(H)成分の界面活性剤は、一種単独で、または二種以上の組み合わせで使用することができる。
【0095】
界面活性剤が使用される場合、その含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物100質量%中に通常0.2質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下である。(H)成分の界面活性剤の使用量が0.2質量%を超える量に設定されても、上記塗布性の改良効果は鈍くなり、経済的でなくなる。
【0096】
<その他添加剤>
更に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、または多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
【0097】
<ポジ型感光性樹脂組成物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂、(B)成分のビニルエーテル基を有する化合物、(C)成分のブロックイソシアネート基を有する化合物、(D)成分の光酸発生剤及び(E)溶剤を含有し、且つ、それぞれ所望により、(F)成分の他のアルカリ可溶性樹脂、(G)成分のアミン化合物、(H)成分の界面活性剤、及びその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。
【0098】
中でも、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分100質量部に基づいて、1乃至80質量部の(B)成分、1乃至80質量部の(C)成分、及び、0.5乃至80質量部の(D)成分を含有し、これら成分が(E)溶剤に溶解されたポジ型感光性樹脂組成物。
[2]:上記[1]の組成物において、更に(F)成分を(A)成分の100質量部に対して1質量部乃至90質量部含有するポジ型感光性樹脂組成物。
[3]:上記[1]又は[2]の組成物において、更に(G)成分を(A)成分100質量部に基づいて0.001乃至5質量部含有するポジ型感光性樹脂組成物。
[4]:上記[1]、[2]又は[3]のポジ型感光性樹脂組成物中に、更に(H)成分を0.2質量%以下含有するポジ型感光性樹脂組成物。
【0099】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば1〜80質量%であり、また例えば5〜60質量%であり、または10〜50質量%である。ここで、固形分とは、ポジ型感光性樹脂組成物の全成分から(E)溶剤を除いたものをいう。
【0100】
[ポジ型感光性樹脂組成物の製造方法]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(A)成分(アルカリ可溶性樹脂)を(E)溶剤に溶解し、この溶液に(B)成分(1分子中に二個以上のビニルエーテル基を有する化合物)、(C)成分(1分子中に二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物)、(D)成分(光酸発生剤)及び(H)成分(界面活性剤)を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じて(G)成分(アミン化合物)、(F)成分(他のアルカリ可溶性樹脂)及び/又はその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0101】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製にあたっては、(E)溶剤中における重合反応によって得られる特定共重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、この(A)成分の溶液に前記と同様に(B)成分、(C)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(E)溶剤を追加投入してもよい。このとき、特定共重合体の形成過程で用いられる(E)溶剤と、ポジ型感光性樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる(E)溶剤とは同一であってもよいし、異なってもよい。
【0102】
而して、調製されたポジ型感光性樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィル
タなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
【0103】
好ましくは前記調製方法において、(A)成分乃至(E)溶剤、及び所望により(F)成分乃至(H)成分を含む混合溶液を、室温より高められた温度下に所要の期間保つことにより、下記の熱架橋反応がいくらか進行して、(A)成分乃至(E)溶剤、及び所望により(F)成分乃至(H)成分に加えて、(A)成分と(B)成分の架橋体を含有するポジ型感光性樹脂組成物を得ることが望ましい。
さらに好ましくは、該混合溶液を30℃〜70℃の温度下に2時間乃至5日間保つことによって、(A)成分乃至(E)溶剤、及び所望により(F)成分乃至(H)成分に加えて、(A)成分と(B)成分の架橋体を含有するポジ型感光性樹脂組成物を得る。
【0104】
上記温度及び時間条件下で調製することによって、得られる樹脂組成物の均一性が高くなり、これにより、その後の成膜工程に供した際に、光酸発生剤が膜中に効率良く分散することとなり、得られる膜の飛躍的な感度向上につながる。
攪拌温度を70℃より高温とすると架橋反応や硬化反応が進み組成物が不均一となり、得られる膜の感度が著しく低下することとなり、また、30℃より低温とすると組成物の均一性が得られず、感度の向上につながらない。
【0105】
[塗膜、パターン形成及び硬化膜の作製方法]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を半導体基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属例えばアルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などによって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、ポジ型感光性樹脂膜が形成される。
【0106】
この加熱処理の条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至140℃、0.5乃至10分間である。
また、ポジ型感光性樹脂組成物から形成されるポジ型感光性樹脂膜の膜厚は、例えば0.1乃至50μmであり、また例えば0.3乃至30μmであり、更に例えば0.5乃至10μmである。
【0107】
そして、形成されたポジ型感光性樹脂膜は、形成時の加熱処理により、(B)成分のビニルエーテル基を有する化合物が(A)成分の樹脂に架橋することにより、アルカリ現像液に難溶な膜となる。この場合、加熱処理の温度が上記の温度範囲の下限よりもより低い場合には、熱架橋が不十分なものとなり、未露光部において膜減りが生じることがある。また、加熱処理の温度が上記の温度範囲の上限を超えて高すぎる場合には、一旦形成された熱架橋部が再び切断され、未露光部において膜減りをひき起こすことがある。
【0108】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から形成されるポジ型感光性樹脂膜は、所定のパターンを有するマスクを用いて紫外線、ArF、KrF、F2レーザー光等の照射により露光
されると、ポジ型感光性樹脂膜中に含まれる(D)成分の光酸発生剤(PAG)から発生する酸の作用によって、該膜のうち露光部はアルカリ性現像液に可溶なものとなる。
上記露光はi線、g線及びh線のうちの少なくとも1種の波長を有する光、又は、ArF、KrFまたはF2レーザーの光により行われることが好ましい。
【0109】
次いで、ポジ型感光性樹脂膜に対して露光後加熱(PEB)が行われる。この場合の加熱の条件としては、温度80℃乃至150℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。
【0110】
その後、アルカリ性現像液を用いて現像が行われる。これにより、ポジ型感光性樹脂膜のうち、露光された部分が除去され、パターン様のレリーフが形成される。
【0111】
使用されうるアルカリ性現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化第四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液が挙げられる。さらに、これらの現像液には、界面活性剤などを加えることもできる。
【0112】
上記の中、水酸化テトラエチルアンモニウム0.1乃至2.38質量%水溶液は、フォトレジストの現像液として一般に使用されており、本発明の感光性樹脂組成物においても、このアルカリ性現像液を用いて、膨潤などの問題をひき起こすことなく良好に現像することができる。
【0113】
また、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法など、いずれも用いることができる。その際の現像時間は、通常、15乃至180秒間である。
【0114】
現像後、ポジ型感光性樹脂膜に対して流水による洗浄を例えば20乃至90秒間行い、続いて圧縮空気もしくは圧縮窒素を用いてまたはスピニングにより風乾することにより、基板上の水分が除去され、そしてパターン形成された膜が得られる。
【0115】
続いて、斯かるパターン形成膜に対して、熱硬化のためにポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより、耐熱性、透明性、平坦化性、低吸水性、耐薬品性などに優れ、良好なレリーフパターンを有する膜が得られる。
【0116】
ポストベークとしては、一般に、温度140℃乃至250℃の範囲の中から選択された加熱温度にて、ホットプレート上の場合には5乃至30分間、オーブン中の場合には30乃至90分間処理するという方法が採られる。
【0117】
而して、斯かるポストべークにより、目的とする、良好なパターン形状を有する硬化膜を得ることができる。
【0118】
以上のように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物により、十分高感度であり且つ現像の際に未露光部の膜減りが測定されない程に事実上無く、微細なパターンを有する塗膜を形成することができる。
【0119】
また、この塗膜から得られる硬化膜は、耐熱性、耐溶剤性、透明性に優れたものである。
【0120】
また、この種の硬化膜は、例えば、液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜として使用される場合、その後の工程において、金属蒸着の際、より高温(例えば250℃)の加熱下に曝され、場合により高温(例えば230℃)の長時間焼成が為され、またエッチング後のレジスト剥離の際、モノエタノールアミン(MEA)等のアミン系溶液であるレジスト剥離液との接触下に置かれる。従って、斯かる硬化膜には、高温焼成(もしくは長時間焼成)に対して、またレジスト剥離液(アミン系溶液)処理に対して高い耐性が要求される。
【0121】
本発明により得られる硬化膜は、高温焼成(もしくは長時間焼成)によっても、またレジスト剥離液(アミン系溶液)処理によっても、透過率が低下せず、高い透明性が維持され、また膜厚の低下も無く、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化膜となり、従って、TFT型液晶素子のアレイ平坦化膜だけでなく、液晶又は有機ELディスプレイにおける各種の膜、例えば層間絶縁膜、保護膜、絶縁膜、反射膜下側の凹凸膜などの用途に好適であり、更に、硬化膜の形状を選択することでマイクロレンズとしても好適に用いることができる。
【実施例】
【0122】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0123】
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
NHPMA:N−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド
PEMA:モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PAG1:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製CGI1397(商品名)
PAG2:みどり化学(株)製TPS105(商品名)
PVE1:トリス(4−(ビニルオキシ)ブチル)トリメリテート
PVE2:トリエチレングリコールジビニルエーテル
PVE3:1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
NCO1:デグサAG製 VESTAGON(登録商標)B 1065(商品名)
NCO2:デグサAG製 VESTAGON(登録商標)BF 1540(商品名)
R30:大日本インキ化学工業(株)製 メガファック R−30(商品名)
MEA:モノエタノールアミン
GT4:ダイセル化学工業(株)製 GT−401(商品名)
MPTS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
P200:東洋合成工業(株)製 P−200(商品名)4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド2モルとの縮合反応によって合成される感光剤
【0124】
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従い得られるアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の数平均分子量及び重量平均分子量は、日本分光(株)製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKF803LおよびKF804L)を用い、溶出溶媒テトラヒドロフランを流量1ml/分でカラム中に(カラム温度40℃)流して溶離させるという条件で測定した。なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表される。
【0125】
[特定共重合体の合成]
<合成例1>
(A)成分である特定共重合体を構成するモノマー成分として、MAA 15.5g、CHMI 35.3g、HEMA 25.5g、MMA 23.7gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 5gを使用し、これらを溶剤PGMEA 200g中において温度60℃〜100℃で重合反応させることにより、Mn4,100、Mw7,600である(A)成分(特定共重合体)の溶液(特定共重合体濃度:27.5質量%)を得た。(P1)
【0126】
<合成例2乃至5>
合成例1で用いたモノマー成分及び溶剤に代えて、下記の表1中の合成例2乃至合成例5の各欄に記載のモノマー成分及び溶剤を使用し、合成例1と同様の手順及び条件に従い重合反応させることにより、(A)成分(特定共重合体)の各溶液(P2乃至P6)を得、そして、得られた各々の特定共重合体のMn及びMwを測定した。
合成例1乃至6で用いた各モノマー成分並びに分子量の測定結果を表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
[ポジ型感光性樹脂組成物の製造及び性能試験:1]
<実施例1乃至10、比較例1乃至4>
次の表2に示す組成に従い、(A)成分の溶液に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(G)成分乃至(H)成分を所定の割合で混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、各実施例及び各比較例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0129】
<比較例5>
アルカリ可溶性樹脂溶液として合成例1で得られた特定共重合体(P1)溶液5.5gに、1,2−キノンジアジド化合物としてP200を1.1g、エポキシ系架橋性化合物としてGT4を1.1g、界面活性剤としてR30を0.0039g、密着助剤としてMPTSを0.25g、溶剤としてPGMEAを25.6g、それぞれ添加し、この混合物を室温で8時間撹拌して均一な溶液とすることにより、比較例5のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0130】
【表2】

【0131】
得られた実施例1乃至10及び比較例1乃至5の各ポジ型感光性樹脂組成物について、それぞれ、感度、膜減り(未露光部における)、高温焼成後の光透過率(透明性)、MEA処理後の光透過率、MEA耐性及び寸法精度の各項目について、以下の手順に従い評価を行った。
【0132】
尚、ポジ型感光性樹脂組成物から硬化膜を得る際、比較例5については、現像後、ポストべーク前の段階でフォトブリーチングが行われる一方、実施例1乃至10及び比較例1乃至4については、該フォトブリーチングをせずに、露光後、現像前の段階で露光後加熱(PEB)が行われることから、この点で、両者の評価手順は、以下のとおり異なるものとなっている。
【0133】
〔感度の評価〕
<実施例1乃至10、比較例1乃至4>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5
mW/cm2の紫外線を一定時間照射し、次いで温度110℃で120秒間ホットプレー
ト上において露光後加熱(PEB)を行った。その後0.4質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと称す)水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
【0134】
<比較例5>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を一定時間照射した。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60
秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
【0135】
〔膜減りの評価〕
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0136】
〔高温焼成後の光透過率(透明性)の評価〕
<実施例1乃至10、比較例1乃至4>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。さらにこの塗膜を250℃で30分間加熱した後、400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0137】
<比較例5>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.4μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を800mJ/cm2で照射し(フォトブリーチング)、次いで230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。さらにこの塗膜を250℃で30分間加熱した後、400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0138】
〔MEA処理後の光透過率及びMEA耐性の評価〕
<実施例1乃至10、比較例1乃至4>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形
成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。ついで温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定および紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
【0139】
<比較例5>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.4μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を800mJ/cm2で照射し(フォトブリーチング)、次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。次いで、温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定および紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
【0140】
〔寸法精度〕
<実施例1乃至10、比較例1乃至4>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して40m
J/cm2照射し、次いで温度110℃で120秒間ホットプレート上において露光後加
熱(PEB)を行った。その後、0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面を、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す。)を用いて観察しライン幅を測長した。パターン幅が8μmを維持しているものを○、パターン幅が広がるか又は縮小して8μmを維持していないものを×とした。
【0141】
<比較例5>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度120℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して200
mJ/cm2照射した。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで
現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面をSEMを用いて観察しライン幅を測長した。パターン幅が8μmを維持しているものを○、パターン幅が
広がるか又は縮小して8μmを維持していないものを×とした。
【0142】
〔評価の結果〕
以上の評価を行った結果を、次の表3に示す。
【表3】

【0143】
表3に示す結果より判るように、実施例1乃至10については、いずれも、高感度であり、未露光部における膜減りが測定結果において事実上観察されず、250℃(又は230℃)で30分間という高温焼成の後も光透過率の低下が小さく、高い透明性が維持され、更に、MEA処理後にあっても透過率の低下が小さく、優れたMEA耐性及び寸法精度を有するものであった。
【0144】
反対に、比較例1乃至3については、230℃、30分間のポストべークにより、パターン形成膜はリフローし、所望形状及び寸法のパターンを得ることができなかった。また、パターン形成していない膜も、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると膜減りが生じた。MEA処理後の膜厚はMEA処理前の膜厚より約25%減少した。尚、表3中の「MEA処理後の透過率」は、MEA処理後の膜減りが生じた膜についての値である。
【0145】
比較例4については、現像により、膜が溶解して消失した。
さらに、比較例5については、現像の際の未露光部における膜減りの量は0.2μmであった。230℃、30分間のポストべークの後、膜の透過率は91%であったが、更に250℃で30分間焼成すると、膜の透過率は85%に低下した。また、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると、膜の透過率は91%から86%に低下した。
【0146】
[ポジ型感光性樹脂組成物の製造及び性能試験:2]
<実施例11乃至13、比較例6乃至9>
次の表4に示す組成に従い、(A)成分の溶液として前述の合成例と同様にして得られた特定共重合体の溶液(P1、P4及びP6)に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(H)成分を所定の割合で混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、各実施例及び各比較例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0147】
【表4】

【0148】
得られた実施例11乃至13及び比較例6乃至9の各ポジ型感光性樹脂組成物について、それぞれ膜減り(未露光部における)、解像度、MEA処理後膜厚変化の各項目について、以下の手順に従い評価を行った。
【0149】
〔膜減りの評価〕
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚0.5μmの塗膜を形成した。この膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0150】
〔解像度〕
シリコンウェハー上にKrF用反射防止膜溶液(日産化学工業(株)製 DUV−30J(商品名))をスピンコーターを用いて塗布した後、温度205℃で60秒間ホットプ
レート上において焼成を行い膜厚140nmの反射防止膜を形成した。この反射防止膜上にポジ型感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で90秒間ホットプレート上において焼成を行い膜厚0.5μmの塗膜を形成した。この塗膜をKrFエキシマレーザー縮小投影露光装置((株)ニコン製 NSR−201A)によりラインアンドスペースパターンのマスクを介して10mJ/cm2照射し、次いで温度11
0℃で90秒間ホットプレート上において露光後加熱(PEB)を行った。その後、0.4質量%のTMAH水溶液を60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面を、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す。)で観察し、ライン幅を測長した。パターン間に残渣なくマスクサイズどおりに解像された最小
パターンサイズを解像度とした。
【0151】
〔MEA耐性の評価〕
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で90秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚0.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚0.4μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。ついで温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
【0152】
〔評価の結果〕
以上の評価を行った結果を、次の表5に示す。
【表5】

【0153】
表5に示す結果より判るように、実施例11乃至13については、いずれも、高解像度であり、未露光部における膜減りが測定結果において事実上観察されず、優れたMEA耐性を有するものであった。
【0154】
反対に、比較例6及び7については、230℃、30分間のポストべークにより、パターン形成膜はリフローし、マスク寸法のパターンを得ることができなかった。また、パターン形成していない膜も、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると膜減りが生じた。MEA処理後の膜厚はMEA処理前の膜厚より約25%減少した。
【0155】
比較例8については、現像により、膜が溶解して消失した。
さらに、比較例9については、現像の際の未露光部における膜減りの量は0.2μmであり、露光部は完全に溶解せずパターン形成することができなかった。
【0156】
[ポジ型感光性樹脂組成物の製造及び性能試験:3]
<実施例14乃至18>
次の表6に示す組成に従い、(A)成分の溶液として合成例1と同様にして得られた特定共重合体の溶液(P1)に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(H)成分を所定の割合で混合し、35℃で3日間撹拌して均一な溶液とすることにより、各実施例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
<実施例19>
次の表6に示す実施例16と同じ組成に従い、(A)成分の溶液として合成例1と同様にして得られた特定共重合体の溶液(P1)に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(H)成分を所定の割合で混合し、60℃で3時間攪拌して均一な溶液とすることにより、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
<実施例20>
次の表6に示す実施例16と同じ組成に従い、(A)成分の溶液として合成例1と同様にして得られた特定共重合体の溶液(P1)に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(H)成分を所定の割合で混合し、50℃で3時間攪拌して均一な溶液とすることにより、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
<実施例21>
次の表6に示す実施例16と同じ組成に従い、(A)成分の溶液として合成例1と同様にして得られた特定共重合体の溶液(P1)に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(H)成分を所定の割合で混合し、50℃で9時間攪拌して均一な溶液とすることにより、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0157】
<比較例10乃至13>
次の表6に示す組成に従い、(A)成分の溶液として前述の合成例と同様にして得られた特定共重合体の溶液(P1、P5及びP6)に、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤、更に(H)成分を所定の割合で混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、各比較例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0158】
【表6】

【0159】
<比較例14>
(A)成分の溶液の代わりとして、合成例1で得られた特定共重合体溶液(P1)20gを用い、(C)成分の1,2−キノンジアジド化合物としてP200を1.1g、(B)成分の代わりにエポキシ系架橋性化合物としてGT4を1.1g、(G)成分の界面活性剤としてR30を0.0039g、密着助剤としてMPTSを0.25g、溶剤としてPGMEA10.6gを混合し、この混合物を室温で8時間撹拌して均一な溶液とすることにより、比較例14のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0160】
得られた実施例14乃至21並びに比較例10乃至14の各ポジ型感光性樹脂組成物について、それぞれ、感度、膜減り(未露光部における)、高温焼成後の光透過率(透明性)、MEA処理後の光透過率、MEA耐性及び寸法精度の各項目について、以下の手順に従い評価を行った。
【0161】
尚、ポジ型感光性樹脂組成物から硬化膜を得る際、比較例14については、現像後、ポストべーク前の段階でフォトブリーチングが行われる一方、実施例14乃至21並びに比較例10乃至13については、該フォトブリーチングをせずに、露光後、現像前の段階で露光後加熱(PEB)が行われることから、この点で、両者の評価手順は、以下のとおり異なるものとなっている。
【0162】
〔感度の評価〕
<実施例14乃至21、比較例10乃至13>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を一定時間照射し、次いで温度110℃で120秒間ホットプレー
ト上において露光後加熱(PEB)を行った。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
【0163】
<比較例14>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を一定時間照射した。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60
秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
【0164】
〔膜減りの評価〕
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0165】
〔高温焼成後の光透過率(透明性)の評価〕
<実施例14乃至21、比較例10乃至13>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。さらにこの塗膜を250℃で30分間加熱した後、400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0166】
<比較例14>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.4μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を800mJ/cm2で照射し(フォトブリーチング)、次いで230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。さらにこの塗膜を250℃で30分間加熱した後、400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
【0167】
〔MEA処理後の光透過率及びMEA耐性の評価〕
<実施例14乃至21、比較例10乃至13>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。ついで温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定および紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
【0168】
<比較例14>
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.4μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を800mJ/cm2で照射し(フォトブリーチング)、次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。次いで、温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定および紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
【0169】
〔寸法精度〕
<実施例14乃至21、比較例10乃至13>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して40m
J/cm2照射し、次いで温度110℃で120秒間ホットプレート上において露光後加
熱(PEB)を行った。その後、0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面を、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す。)を用いて観察しライン幅を測長した。パターン幅が8μmを維持しているものを○、パターン幅が広がるか又は縮小して8μmを維持していないものを×とした。
【0170】
<比較例14>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して200
mJ/cm2照射した。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで
現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面をSEMを用いて観察しライン幅を測長した。パターン幅が8μmを維持しているものを○、パターン幅が広がるか又は縮小して8μmを維持していないものを×とした。
【0171】
〔評価の結果〕
以上の評価を行った結果を、次の表7に示す。
また、図1には実施例15、実施例16、及び比較例14(DNQ系)における照射線量(mJ/cm2)に対する膜厚(μm、露光部における溶け残りの膜厚)を表す図を示
す。
【表7】

【0172】
表7に示す結果より判るように、実施例14乃至21については、いずれも、高感度であり、未露光部における膜減りが測定結果において事実上観察されず、250℃(又は230℃)で30分間という高温焼成の後も光透過率の低下が小さく、高い透明性が維持され、更に、MEA処理後にあっても透過率の低下が小さく、優れたMEA耐性及び寸法精度を有するものであった。
また、図1に示す結果は、実施例15及び実施例16における感度が従来のナフトキノンジアジド(DNQ)系(比較例14)よりも飛躍的に向上したことを示すものであった。
【0173】
反対に、比較例10乃至12については、230℃、30分間のポストべークにより、パターン形成膜はリフローし、所望形状及び寸法のパターンを得ることができなかった。また、パターン形成していない膜も、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると膜減りが生じた。MEA処理後の膜厚はMEA処理前の膜厚より約25%減少した。尚、表7中の「MEA処理後の透過率」は、MEA処理後の膜減りが生じた膜についての値である。
【0174】
比較例13については、現像により、膜が溶解して消失した。
さらに、比較例14については、現像の際の未露光部における膜減りの量は0.2μmであった。230℃、30分間のポストべークの後、膜の透過率は92%であったが、更に250℃で30分間焼成すると、膜の透過率は85%に低下した。また、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると、膜の透過率は92%から86%に低下した。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等の硬化膜を形成する材料として好適であり、特に、TFT型液晶素子の層間絶縁膜、カラーフィルターの保護膜、アレイ平坦化膜、反射型ディスプレイの反射膜下側の凹凸膜、有機EL素子の
絶縁膜等を形成する材料としても好適であり、さらにマイクロレンズ材料などの各種電子材料としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】図1は照射線量(mJ/cm2)に対する膜厚(μm、露光部における溶け残りの膜厚)を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
(A)成分:(B)成分の化合物との間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、(C)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且つ、数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂
(B)成分:1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物
(C)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物
(D)成分:光酸発生剤
(E)溶剤
【請求項2】
前記熱架橋反応のための官能基は、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の群から選ばれる少なくとも一種であり、また前記膜硬化のための官能基は、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)成分100質量部に基づいて、1乃至80質量部の前記(B)成分、1乃至80質量部の前記(C)成分、及び、0.5乃至80質量部の前記(D)成分を含有する、請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(F)成分として、前記(A)成分以外の他のアルカリ可溶性樹脂を更に含有する、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(G)成分として、アミン化合物を更に前記(A)成分100質量部に基づいて0.001乃至5質量部含有する、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(H)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に0.2質量%以下含有する、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を半導体基板に塗布する工程、該塗布面にパターンマスクを介して紫外線を照射する工程、前記塗布面を現像しパターンを半導体基板上に形成する工程及び前記パターン形成面に対して膜硬化のためのポストベークを行う工程を含むパターン形成方法。
【請求項8】
前記紫外線がi線、g線及びh線のうち少なくとも1種の波長を有する光である、請求項7記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記紫外線がArF、KrF又はF2レーザー光である、請求項7記載のパターン形成
方法。
【請求項10】
下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)溶剤を混合し、該混合溶液を室温より高められた温度下に所要の期間保つことにより、下記の熱架橋反応がいくらか進行して、(A)成分乃至(D)成分に加えて、(A)成分と(B)成分の架橋体を含有するポジ型感光性樹脂組成物を製造することを特徴とする、ポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
(A)成分:(B)成分の化合物との間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、(C)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且つ、数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂
(B)成分:1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物
(C)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物
(D)成分:光酸発生剤
(E)溶剤
【請求項11】
前記混合溶液を30℃〜70℃の温度下に2時間乃至5日間保つことを特徴とする、請求項10に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
前記(A)成分における熱架橋反応のための官能基は、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の群から選ばれる少なくとも一種であり、また前記膜硬化のための官能基は、フェノール性水酸基以外の水酸基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である、請求項10又は請求項11に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
前記(A)成分100質量部に基づいて、1乃至80質量部の前記(B)成分、1乃至80質量部の前記(C)成分、及び、0.5乃至80質量部の前記(D)成分を含有する、請求項10乃至請求項12のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
(F)成分として、前記(A)成分以外の他のアルカリ可溶性樹脂を更に含有する、請求項10乃至請求項13のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
(G)成分として、アミン化合物を更に前記(A)成分100質量部に基づいて0.001乃至5質量部含有する、請求項10乃至請求項14のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
(H)成分として、界面活性剤を更に請求項10乃至請求項15のうちいずれか一項に記載の製造方法で製造されたポジ型感光性樹脂組成物中に0.2質量%以下含有する、請求項10乃至請求項15のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物又は請求項10乃至請求項16のうちいずれか一項に記載の方法により製造されたポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。
【請求項18】
請求項17に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
【請求項19】
請求項17に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜。
【請求項20】
請求項17に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
【請求項21】
請求項17に記載の硬化膜からなるマイクロレンズ。


【図1】
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【公開番号】特開2008−3532(P2008−3532A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199961(P2006−199961)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】