説明

ポリαオレフィン組成物およびこれを生成するためのプロセス

本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィン(およびその水素化アナログ)であって、このポリαオレフィンが:a)40モル%以上のmmトライアドと、b)Y以上の臭素価であって、Yが89.92*(V)’°5863であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である臭素価と、c)以下の式で提示されるZモル%以上の単位を好ましくは有する、7モル%以上で存在する1,2−二置換オレフィンであって:ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが1000℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である1,2−二置換オレフィンと、を含むポリαオレフィンに関する。本発明はまた、このようなポリαオレフィンを生成するプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固有の化学的組成を有する新規なクラスのポリαオレフィン(PAO)を生成するためのプロセスに関する。さらに詳細には、本発明は、メタロセン触媒と活性剤との存在下で調製された新規なPAO、およびメタロセン触媒と活性剤との存在下でPAOを生成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴマー炭化水素液の合成による天然の鉱油ベースの潤滑剤の能力を改善する労力は、少なくとも50年間にわたって石油産業における重要な研究および開発の課題であった。これらの労力によって、多数の合成潤滑剤の比較的近年市場に導入されている。潤滑特性の改善に関しては、合成潤滑剤に関与する工業的研究活動の推進は、広い温度範囲にわたって有用な粘度、すなわち改善された粘度指数(VI)を示すが、また鉱油と同等かそれよりも優れた潤滑性、熱および酸化的安定性および流動点を示す液体に向けられている。
【0003】
潤滑性オイルの粘性−温度の関係は、重要な基準の1つであって、特定の適用のための潤滑剤を選択する場合に考慮されるべきである。シングルおよびマルチグレードの(広域の温度で粘性が安定した)(multigraded)潤滑剤の基剤として一般に用いられる鉱油は、温度の変化によって粘性の比較的大きな変化を示す。このような温度による粘性の比較的大きい変化を示す液体は、低い粘度指数を有すると言われる。粘度指数は、経験的数値であり、所定の温度範囲内のオイルの粘性の変化の率を示す。例えば、高いVIのオイルは、高い温度において、低VIのオイルよりもゆっくり弱くなる(薄まる)(thin out)。普通は、高VIのオイルがより望ましい。なぜなら、高VIのオイルは高温でも高い粘性を有し、これは、好ましくは高温および/または広範な範囲にまたがる温度で、より良好な潤滑性および接触する機械要素のより良好な保護につながるからである。VIは、ASTM法D2270に従って算出される。
【0004】
PAOは、直鎖状のαオレフィン(LAO)モノマーの触媒性オリゴマー形成(低分子量生成物への重合化)によって生成されるあるクラスの炭化水素を含む。これらは典型的には、1−オクテンから1−ドデセンにおよび、1−デセンが好ましい物質であるが、エチレンおよびプロピレンのような低級オレフィンのオリゴマーコポリマーも用いられてもよく、これには、米国特許第4,956,122号およびそこに引用される特許に記載されるような高級オレフィンとのエチレンのコポリマーが挙げられる。PAO生成物は、潤滑油の市場で重要性を得ている。典型的には、直鎖状αオレフィンから生成される2つのクラスの合成炭化水素液(SHF)があり、この2つのクラスのSHFは、PAOおよびHVI−PAO(高粘度指数PAO)と呼ばれている。異なる粘度等級のPAOおよびHVI−PAOは典型的には、促進されたBFまたはAlCl触媒を用いて生成される。
【0005】
詳細には、PAOは、触媒、例えば、AlCl、BF、またはBF複合体の存在下でオレフィン供給の重合化によって生成され得る。PAOの生成のためのプロセスは、例えば、参照によって詳細に援用される、以下の特許に開示される:米国特許第3,149,178号;同第3,382,291号;同第3,742,082号;同第3,769,363号;同第3,780,128号;同第4,172,855号および同第4,956,122号。PAOはまた、以下に考察される:Will,J.G.の「潤滑剤の基礎要因」(Lubrication Fundamentals),Marcel Dekker:New York,1980。重合化に引き続き、PAO潤滑剤レンジの製品は典型的に、残りの不飽和を下げるために、一般には90%より大きいレベルまで水素化される。HVI−PAOはまた、Friedel−Crafts触媒のような重合化触媒の存在下でαオレフィンの重合化によって都合よく生成され得る。これらとしては、例えば、水で、アルコール、例えば、エタノール、プロパノールまたはブタノールで、カルボン酸で、またはエステル、例えば、エチルアセテートもしくはエチルプロピオネートで、またはエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどで促進された、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウムまたは三フッ化ホウ素が挙げられる。例えば、米国特許第4,149,178号または同第3,382,291号に開示される方法は、本明細書において都合よく用いられ得る。PAO合成の他の説明は、以下の米国特許に見出される:第3,742,082号(Brennan);第3,769,363号(Brennan);第3,876,720号(Heilman);第4,239,930号(Allphin);第4,367,352号(Watts);第4,413,156号(Watts);第4,434,408号(Larkin);第4,910,355号(Shubkin);第4,956,122号(Watts);および第5,068,487号(Theriot)。
【0006】
別のクラスのHVI−PAOは、支持(担持)された、還元されたクロム触媒とαオレフィンモノマーとの作用によって調製され得る。このようなPAOは、米国特許第4,827,073号(Wu);同第4,827,064(Wu);同第4,967,032号(Hoら);同第4,926,004号(Pelrineら);および同第4,914,254(Pelrine)に記載されている。市販のPAOとしては、SpectraSyn(商標)2、4、5、6、7、8、10、40、100およびSpectraSyn Ultra(商標)150、SpectraSyn Ultra(商標)300、SpectraSyn Ultra(商標)1000など(ExxonMobil Chemical Company, Houston Texas)が挙げられる。
【0007】
合成PAOは、鉱物ベースの潤滑剤に対してそれらが優れていることで潤滑剤の分野において広範に受け容れられおよび商業的に成功している。潤滑剤特性改善に関して、合成潤滑剤に対する工業的な研究の労力は、広範な温度にわたって有用な粘度、すなわち、改善された粘度指数を示すが、鉱油と同等かそれよりも優れた潤滑性、熱および酸化的安定性および流動点も示すPAO液をもたらしている。これらの比較的新しい合成潤滑剤は、機械的摩擦を低減し、機械的負荷の全スペクトルにわたって機械的効率を増強し、そして鉱油潤滑剤よりも広範な作動条件にわたってそのような効果を有する。
【0008】
潤滑剤の能力要件は、ますます厳しくなっている。潤滑剤についての新規な能力要件を満たすには、改善された特性、例えば高い粘度指数(VI)、低い流動点、高い剪断安定性、改善された磨耗耐性、熱および酸化的安定性の増大、および/またはより広範な粘度範囲を有する新規なPAOが求められている。改善された特性を有するこのような新規なPAOを提供するための新規な方法も必要である。
【0009】
メタロセン触媒系を用いて種々のPAOを調製する労力が試みられている。例としては、米国特許第6,706,828号(US2004/0147693に対応)が挙げられ、ここではPAOは、高水素圧下で特定のメタロセン触媒のメソ型(meso−forms)から生成される。しかし、米国特許第6,706,828号の比較の実施例Dは、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドを、メチルアルモキサン(MAO)と組み合わせて、100℃で水素の存在下で用いて、、ポリデセンを生成し、その動的粘度は、これは、116cStの100℃での動粘性係数(KV100)、1039Stの40℃での動粘性係数(KV40)、214のVI、2.8のヨウ素価、7084のMw,2906のMn、2.4のMw/Mnおよび−72.4℃のTgが報告されている。同様に、WO02/14384は、とりわけ、実施例JおよびKにおいて、rac−エチル−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドまたはrac−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドを、MAOと組み合わせた40℃での使用(200psiの水素または1モルの水素)で、それぞれ、−73.8℃というTg、702cStというKV100、および296というVIを有することが報告されているアイソタクチックポリデセンが生じること;または−66℃というTg、1624というKV100、および341というVIを有することが報告されているポリデセンが生成されることを記載している。さらに、WO99/67347は、実施例1において、エチリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを、MAOと組み合わせて50℃で用いて、11,400のMnおよび94%のビニリデン二重結合含量を有するポリデセンを生成することを開示している。
【0010】
他に、任意の特異的な立体規則性を有するポリマーまたはオリゴマーを生成することが典型的には知られていない、種々のメタロセン触媒を用いて、種々のPAO、例えば、ポリデセンが作成されている。例としては、WO96/23751、欧州特許第0613873号、米国特許第5,688,887号、米国特許第6,043,401号、WO03/020856(US2003/0055184に対応)、米国特許第6,548,724号(US2001/0041817およびUS6,548,723に対応)、米国特許第5,087,788号、米国特許第6,414,090号、米国特許第6,414,091号、米国特許第4,704,491号、米国特許第6,133,209号、および米国特許第6,713,438号が挙げられる。
【0011】
しかし、現在まで、メタロセンで生成されたPAOは、その非効率的なプロセス、費用および特性の欠如のせいで、市場、特に潤滑剤の市場で広範な適用性は見出していない。本発明は、新規なPAOおよび/またはHVI−PAOであって、優れた特性の組み合わせを有しおよびそれを生成するための改善されたプロセスを提供することによって、このような必要性および他の必要性に対応するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、50モル%を超える1つ以上のC〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは:
a)40モル%以上のmmトライアド(triads)と、
b)Y以上の臭素価であって、Yが89.92*(V)−0.5863であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である臭素価と、
c)7モル%以上で存在する1,2−二置換オレフィンであって、好ましくは、Zモル%以上で存在し、Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、1,2−二置換オレフィンと、を有する。
【0013】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは:
a)40モル%以上のmmトライアドと、
b)1.8以下の臭素価と、
c)以下の式で提示されるZモル%以上の単位とを有し:
【0014】
【化1】

【0015】
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である。
【0016】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは:
a)40モル%以上のmmトライアドと、
b)Y以上の臭素価であって、Yが89.92*(V)−0.5863であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である臭素価と、
c)1,2−二置換オレフィンであって、好ましくは、以下の式で提示されるZモル%以上の単位で存在する1,2−二置換オレフィンと、
を有し:
【0017】
【化2】

【0018】
ここでオレフィンの1,2−二置換炭素は、CaとCbとの間に、または時には、CbとCcとの間に位置し、ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり;nは1〜350の整数であり;かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である。
【0019】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは:
a)40モル%未満のmmトライアドと、
b)1.8以下の臭素価と、
c)以下の式で提示されるZモル%以上の単位とを有し:
【0020】
【化3】

【0021】
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16であり、nは1〜350の整数であり、かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vは100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である。
【0022】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは、以下の式で提示されるZモル%以上の単位を有し:
【0023】
【化4】

【0024】
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nは1〜350の整数であり、かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vは100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である。
【0025】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは:
a)40モル%未満のmmトライアドと、
b)Y以上の臭素価であって、Yが89.92*(V)−0.5863であり、Vが100℃で測定されたcStでの動粘性係数である臭素価と、
c)Zモル%以上で存在する1,2−二置換オレフィンであって、Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vは100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である1,2−二置換オレフィンと、を有する。
【0026】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは、40モル%以上のmmトライアドと、300ppm未満の第4族金属とを有する。
【0027】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは、40モル%以上のmmトライアドと、1000ppm未満の第13族金属、好ましくは1000ppm未満のアルミニウムおよび/またはホウ素とを有する。
【0028】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは40モル%以上のmmトライアドと、1000ppm未満のアルミニウムおよびホウ素とを有する。
【0029】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは、40モル%以上のmmトライアドと、100ppm未満の第13族金属とを有する。
【0030】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは40モル%以上のmmトライアドと、1000ppm未満のアルミニウムとを有する。
【0031】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは、40モル%以上のmmトライアドと、600ppm未満のアルミニウムとを有する。
【0032】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含む水素化ポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは95%〜20%のmmトライアドの範囲のmmトライアドと、1000ppm未満の第13族金属、好ましくは1000ppm未満のアルミニウムおよび/またはホウ素とを有する。
【0033】
あるいは、本発明は、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含む水素化ポリαオレフィンに関しており、このポリαオレフィンは95%〜20%のmmトライアドの範囲のmmトライアドと、1000ppm未満の第13族金属、好ましくは1000ppm未満のアルミニウムおよび/またはホウ素とを有する。
【0034】
あるいは、本発明は、50モル%を超えるC5〜C24αオレフィンモノマーを含み、かつ100,000以下というMwと、1より大きくかつ2.5より小さいMw/Mnとを有するポリαオレフィンに関する。
【0035】
本発明はまた、C5〜C20モノマーと、メタロセン触媒(好ましくは、ラセミ体メタロセン触媒)、活性剤(好ましくは、アルモキサンおよび/または非配位性陰イオン)および必要に応じてアルキルアルミニウム化合物とを接触させることを包含する、ポリαオレフィンを生成するプロセスに関する。
【0036】
本発明はまた、このようなポリαオレフィンを生成するためのプロセスに関し、このプロセスは、C5〜C20モノマーと、メタロセン触媒および活性剤、好ましくは、アルモキサンまたはNCAとを活性剤として持つラセミ体メタロセン触媒と、またはNCA活性剤を持つ置換されたメタロセン触媒と、またはNCA活性剤を持つメソメタロセンと接触させる工程を包含する。全ての場合に、必要に応じて、補助活性剤、例えば、アルキルアルミニウム化合物が用いられてもよい。
【0037】
さらに、これらのポリαオレフィン(および本明細書に記載される任意のポリαオレフィン)は、ポリαオレフィンと水素および水素化触媒とを接触させることによって、水素化しても良い。この水素化工程は、しばしば、最終のポリαオレフィンの臭素価を減少させるため、および/またはmmトライアドの量を改変するために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本明細書においては、CHEMICAL AND ENGINEERING NEWS,63(5),27(1985)に用いられる元素の周期表の新しいナンバリングスキームを用いる。
【0039】
本発明の目的およびその特許請求の範囲については、ポリマーまたはオリゴマーが、オレフィンを含むと言う場合、このポリマーまたはオリゴマーに存在するオレフィンは、それぞれオレフィンの重合化またはオリゴマー化型である。同様に、ポリマーという用語は、ホモポリマーおよびコポリマーを包含することを意味し、コポリマーとは、2つ以上の化学的に別個のモノマーを有する任意のポリマーを包含する。同様に、オリゴマーという用語は、ホモオリゴマーおよびコオリゴマーを包含することを意味し、ここでコオリゴマーは、任意のオリゴマーを含むか、または2つ以上の化学的に別個のモノマーを有する。
【0040】
本発明の目的およびその特許請求の範囲においては、「ポリαオレフィン(polyalpha−olefin)」、「ポリαオレフィン(polyalphaolefin)」、または「PAO」という用語は、αオレフィンモノマーのホモオリゴマー、コオリゴマー、ホモポリマーおよびコポリマーを包含する。
【0041】
本発明の目的およびその特許請求の範囲に関しては、触媒サイクルにおける活性種は、触媒の天然型およびイオン型を含んでもよい。
【0042】
「触媒系(catalyst system)」という用語は、触媒前駆体/活性剤対、例えば、メタロセン/活性剤対を意味すると規定される。「触媒系」を用いて活性化前のこのような対を記述する場合、これは、活性剤および必要に応じて補助活性剤(例えば、トリアルキルアルミニウム化合物)と一緒の非活性化触媒(前触媒)を意味する。活性化後のこのような対を記述するために用いられる場合、これは、活性化触媒および活性剤または他の荷電平衡化部分(charge−balancing moiety)を意味する。さらに、この触媒系は必要に応じて、補助活性剤および/または他の荷電平衡化部分を含んでもよい。
【0043】
「触媒前駆体(catalyst precursor)」はまた、前触媒、触媒、前駆体、メタロセン、遷移金属化合物、不活性化触媒または遷移金属錯体とも呼ばれる。これらの語は同義に(相互交換して)用いられる。活性剤および補助触媒もまた、同義に用いられる。スカベンジャーとは、不純物を捕捉することによってオリゴマー化または重合化を促進するために典型的に添加される化合物である。このようなスカベンジャーはまた、活性剤として作用してもよく、そして補助活性剤と呼ばれてもよい。スカベンジャーでない補助活性剤はまた、遷移金属化合物との活性触媒を形成するために、活性剤と組み合わせて用いられ得る。いくつかの実施形態では、補助活性剤は、アルキル化触媒化合物またはアルキル化メタロセンとも呼ばれる、アルキル化遷移金属化合物を形成するために、遷移金属化合物と事前に混合されてもよい。
【0044】
本発明の目的およびその特許請求の範囲においては、非配位性陰イオン(noncoordinating anion)(NCA)とは、触媒性金属陽イオンに配位しないか、または金属陽イオンに対して弱くしか配位しない陰イオンを意味すると規定される。NCAは、中性のルイス塩基、例えば、オレフィンまたはアセチレンとして不飽和のモノマーが、触媒中心からそれを置換し得る程に十分弱く配位する。適合性を有し、触媒金属陽イオンと弱い配位複合体を形成し得る任意の金属または半金属(メタロイド)は、非配位陰イオン中で用いるかまたはそこに含んでもよい。適切な金属としては、これに限定はしないが、アルミニウム、金、および白金が挙げられる。適切な半金属(メタロイド)としては、限定はしないが、ホウ素、アルミニウム、リンおよびケイ素が挙げられる。非配位陰イオンのサブクラスは、化学量論的活性剤を含み、これは、中性であってもイオン性であってもよい。イオン性活性剤および化学量論的イオン性活性剤という用語は、交換可能に用いられ得る。同様に、中性の化学量論的活性剤およびルイス酸活性剤という用語は、交換可能に用いられ得る。
【0045】
さらに、リアクターとは、そこで化学反応が生じる任意の容器である。
【0046】
ポリαオレフィン
好ましい実施形態では、本発明は、炭素−13NMRによって測定した場合、ポリαオレフィンに存在するモノマーの総モルに対して、50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマー、好ましくは55モル%以上、好ましくは60モル%以上、好ましくは65モル%以上、好ましくは70モル%以上、好ましくは75モル%以上、好ましくは80モル%以上、好ましくは85モル%以上、好ましくは90モル%以上、好ましくは95モル%以上、好ましくは100モル%を含むポリαオレフィンに関する。
【0047】
別の実施形態では、本発明はさらに、下の手順に従って、炭素−13核磁気共鳴(NMR)分光計によって決定される、40モル%以上のmmトライアド、好ましくは45%以上、好ましくは50%以上、好ましくは55%以上、好ましくは60%以上、好ましくは65%以上、好ましくは70%以上、好ましくは75%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95モル%以上を有するPAOに関する。
【0048】
別の実施形態では、本発明によるポリαオレフィンは少なくとも約84モル%のmmトライアドを有する。さらに他の実施形態では、PAOは、少なくとも少なくとも約98モル%のmmトライアドを有する。一実施形態では、本発明によるポリαオレフィンは、約49〜約1.0におよぶmm対mrトライアドの比を有する。一実施形態では、この好ましい範囲は、炭素13NMRにより測定した場合、1.0〜10.0または2〜49、または2〜18であり、1.0〜8または8〜49がさらに好ましい範囲である。
【0049】
別の実施形態では、本発明はさらに、90%以下のmmトライアド、好ましくは70%以下のmmトライアド、好ましくは50%以下のmmトライアド、好ましくは30%以下のmmトライアド、または好ましくは10%以下のmmトライアドを有する水素化PAOに関する。
【0050】
別の実施形態では、本発明による水素化ポリαオレフィンは、1未満というmm対mrトライアドの比を有し、0.01〜0.9の範囲が好ましい。
【0051】
NMR分光計は、合成ポリマーについての重要な構造情報を提供する。非水素化PAOのプロトンNMR分析によって、オレフィン構造タイプの量的な内訳が得られる(すなわち、ビニル、1,2−二置換、三置換、およびビニリデン)。上記のとおり、炭素−13NMRを用いて、本発明のポリαオレフィンの立体規則性を(ある場合には定量的に、そして他には定性的に)決定する。炭素−13NMRを用いて、mm(メソ、メソ)、mr(メソ、ラセミ)およびrr(ラセミ、ラセミ)で示されるトライアドの濃度、ならびにサンプルのモル組成を決定できる。これらのトライアドの濃度は、ポリマーがアイソタクチック、アタクチックまたはシンジオタクチックであるか否かを規定する。PAOサンプルのスペクトルは、以下の方式で獲得される。約100〜1000mgのPAOサンプルを、炭素13分析のために2〜3mlのクロロホルム−dに溶解する。約−10mg/ml(溶媒ベース)のクロムアセチルアセトネート緩和剤、Cr(acac)をこのサンプルに添加して、データ取得速度を増強する。スペクトルの分析は、Kim,L;Zhou,J.−M.;およびChung,H.Journal of Polymer Science: Part A:Polymer Chemistry 2000,38 1687−1697による文献に従って行い、末端基共鳴の同定および積分、ならびにその分析で用いられるピークへの寄与を除くことによって補強される。このデコンボリューションは、85/15Lorentzian/Gaussianラインシェープ(lineshape)を用いる、Acorn NMR Inc’s NutsPro NMRデータ分析ソフトウェアで遂行される。この成分ピークは、mm、mrおよびrrのトライアド割り当てに従ってクラスターに一緒にまとめられ、そしてベルヌーイの分布に適合(fit)する。これらのフットについて調節可能なパラメーターは、ラセミ立体化学で加えられたモノマーの画分Pである。統計的モデル(例えば、ベルヌーイの)に対する1セットのトライアド測定(上記のKimによって記載されるような)から生じる詳細については、「Polymer Sequence Determination,James C.Randall,Academic Press,New York,1977」を参照のこと。
【0052】
別の実施形態では、本明細書で生成される任意のポリαオレフィンは好ましくは、Y以上の臭素価であって、Yが、89.92×(V)−0.5863に等しく、Vがポリαオレフィンの100℃の動粘性係数(KV100)であり、そしてKV100が、ASTM D445に従って測定され、好ましくはY+1以上の臭素価、好ましくはY+2以上の臭素価、好ましくはY+3以上の臭素価、好ましくはY+4以上の臭素価であって、臭素価はASTM D1159によって測定される臭素価を有する。
【0053】
別の実施形態では、本明細書において生成される任意のポリαオレフィンは好ましくは、プロトンNMRによって測定されたポリαオレフィンに存在する総モノマーの総モルに基づいて7モル%以上で存在する1,2二置換オレフィンを、好ましくは8モル%以上、好ましくは9モル%以上、好ましくは10モル%以上、好ましくは15モル%以上、有する。
【0054】
別の実施形態では、本明細書において生成される任意のポリαオレフィンは好ましくは、プロトン−NMRによって測定されるZモル%以上で存在する1,2−二置換オレフィンを有し、ここでZ=8.420*Log(V)−4.048であり、Vは100℃で測定したポリαオレフィンのcStでの動粘性係数である。
【0055】
別の実施形態では、本明細書で生成される任意のポリαオレフィンは、ASTM D1159によって測定される1.8未満の臭素価、好ましくは1.7以下、好ましくは1.6以下、好ましくは1.5以下、好ましくは1.4以下、好ましくは1.3以下、好ましくは1.2以下、好ましくは1.1以下、好ましくは1.0以下、好ましくは0.5以下、好ましくは0.1以下の臭素価を有する。
【0056】
別の実施形態では、本明細書で生成される任意のポリαオレフィンは、水素化され、そしてASTM D1159によって測定される1.8以下の臭素価、好ましくは1.7以下、好ましくは1.6以下、好ましくは1.5以下、好ましくは1.4以下、好ましくは1.3以下、好ましくは1.2以下、好ましくは1.1以下、好ましくは1.0以下、好ましくは0.5以下、好ましくは0.1以下の臭素価を有する。
【0057】
別の実施形態では、本明細書において記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、以下の式で提示されるZモル%以上の単位を有し:
【0058】
【化5】

【0059】
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nは1〜350(好ましくは1〜300、好ましくは5〜50)の整数であり、これはプロトンNMRによって測定され、かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vは100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数であり、好ましくはZ=0.990*V(0.627)である。
【0060】
プロトンNMR分析(1,2−二置換および上記の式によって提示される単位を測定するために用いられる)は、適切な重水素溶媒(例えば、クロロホルム−d)中にサンプルを溶解すること、および十分なシグナル対ノイズ比のパルスを獲得する実験を行なって、オレフィン領域(約6ppm〜4.6ppm)の積分を可能にすることによって行った。このスペクトルは、50℃の温度で得て、この温度は、完全なサンプル溶解を確実にするように選択する(もしサンプルが50℃で完全に溶解されないならば、温度はサンプルが完全に溶解するまでゆっくり上昇させる)。プロトンスペクトルの脂肪族領域は、飽和成分由来のシグナル、およびポリマーの不飽和末端からのオレフィン領域を含む。多重αオレフィンが共重合される場合、異なるαオレフィン分枝の分枝メチル共鳴からポリマーの組成を決定することが可能であり得る。この組成決定は、メチルピーク(1.0と0.6ppmとの間で共鳴する)が十分に溶解されて直接のインテグレーションまたはスペクトルのデコンボリューションが可能になる場合、実行され得る。このオレフィン領域は、下に表にされる化学シフト割り当てに従って区分に従い統合され得る:
【0061】
【表1】

【0062】
このオレフィンのサブ積分(sub-integral)を、寄与する種のプロトン多様性について、および重複する寄与について補正する(例えば、5.3〜4.8ppm領域のビニルおよび三置換オレフィンの両方)。次いで、この補正から得られる積分値を正規化して、各々のオレフィンクラスのモルパーセンテージを得てもよい。脂肪族の積分強度(また補正された多重性)との補正された積分値の比較を用いて、絶対的な基準に基づくオレフィン濃度(例えば、1000炭素あたりのオレフィン)を決定し得る。
【0063】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、ASTM 5185によって測定した、300ppm未満の第4族金属(好ましくは、Ti、HfまたはZr)、好ましくは200ppm未満、好ましくは100ppm未満、好ましくは50ppm、好ましくは10ppm未満の第4族金属を有する。
【0064】
別の実施形態では、本明細書において記載された任意のポリαオレフィンは好ましくは、ASTM5185によって測定した、300ppm未満のTi、好ましくは200ppm未満、好ましくは100ppm未満、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満のTiを有する。
【0065】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のαオレフィンは好ましくは、ASTM5185によって測定した場合、300ppm未満のHf、好ましくは200ppm未満、好ましくは100ppm未満、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満のHfを有する。
【0066】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、ASTM5185で測定した、300ppm未満のZr、好ましくは200ppm未満、好ましくは100ppm未満、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満のZrを有する。
【0067】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、ASTM5185によって測定した、100ppm未満の第13族金属(好ましくはBまたはAl)、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満を有する。
【0068】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、ASTM5185によって測定した、100ppm未満のホウ素、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満のホウ素を有する。
【0069】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、ASTM5185によって測定される、600ppm未満のアルミニウム、好ましくは500ppm未満、好ましくは600ppm未満、好ましくは300ppm未満、好ましくは300ppm未満、好ましくは10ppm未満、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満のアルミニウムを有する。
【0070】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、100,000以下、好ましくは100〜80,000、好ましくは250〜60,000、好ましくは280〜50,000、好ましくは336〜40,000g/molというMw(重量平均分子量)を有する。(好ましくは、Mwは、224〜55,100、好ましくは392〜30,000、好ましくは800〜24,000、好ましくは2,000〜37,5000g/molを含む。あるいは、好ましいMwとしては、224〜約6790および224〜約2720を含む)。
【0071】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、50,000以下、好ましくは200〜40,000、好ましくは250〜30,000、好ましくは500〜20,000g/molというMn(平均分子量数)を有する。(好ましくはMnは、280〜10,000、好ましくは280〜4000のMnを含む。あるいは、好ましいMnとしては、200〜20,900、好ましくは280,〜10,000、好ましくは200〜7000、好ましくは200〜2000、好ましくは280〜2900、好ましくは280〜1700、好ましくは200〜500のMnを含む)。
【0072】
別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、1より大きくかつ5未満、好ましくは4未満、好ましくは3未満、好ましくは2.5未満、好ましくは2未満というMw/Mnを有する。あるいは、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは好ましくは、1〜2.5、あるいは1〜3.5というMw/Mnを有する。
【0073】
中〜低分子量ポリマー用のカラム、テトラヒドロフランを溶媒として、そしてポリスチレンを較正基準として用いるGPC法によって、Mw、MnおよびMzを測定して、累乗方程式(power equation)に従って流体粘度と関連付ける。
【0074】
1−デセンを供給物として用いる本発明において調製した液体についてのMw対cStでの100℃粘度の関係は以下のとおりである:Mw=352.41×(100℃のcStでの粘度)0.5997。同様に、1−ヘキセンを供給物として用いる本発明において調製した液体についてのMw対cStでの100℃の粘度の関係は以下のとおりである:Mw=234.85*(V)0.6165、ここでVは、100℃でcStとして測定される動粘性係数である。他のαオレフンが供給物として用いられる場合、このMw対100℃の粘度の関係は、わずかに変化し得る。同様のタイプの関係が保持されると期待される。
【0075】
他に示さない限り、本明細書に報告されるMw値はGPC値であり、KV100から計算されたものではない。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に記載される任意のPAOは、0℃未満、好ましくは、−10℃未満、好ましくは−20℃未満、好ましくは−25℃未満、好ましくは−30℃未満、好ましくは−35℃未満、好ましくは−50℃未満、好ましくは−10〜−80℃、好ましくは−15℃〜−70℃の流動点(ASTM D97によって測定される場合)を有し得る。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に記載される任意のPAOは、約4〜約50,000cSt、好ましくは40℃で約5cSt〜約30,000cSt、あるいは、約4〜約100,000cSt、好ましくは約6cSt〜約50,000cSt、好ましくは40℃で約10cSt〜約30,000cStの動粘性係数(40℃でASTM D 445によって測定された場合)を有し得る。
【0078】
本発明による別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは、ASTM D445によって測定した場合、100℃で約1.5〜約5,000cSt、好ましくは約2〜約3,000cSt、好ましくは約3cSt〜約1,000cSt、より好ましくは約4cSt〜約1,000cSt、そしてさらにより好ましくは約8cSt〜約500cStの動粘性係数を有し得る。PAOは好ましくは、一実施形態では、100℃で2〜500cStの範囲の粘性、そして別の実施形態では100℃で2〜3000cST、そして別の実施形態では3.2〜300cStの粘性を有する。あるいは、ポリαオレフィンは、200cSt未満のKV100を有する。
【0079】
本発明による別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは、100℃で3〜10cSTという動粘性係数、および150℃以上、好ましくは200℃以上の流動点を有し得る(ASTM D56によって測定した)。
【0080】
本発明による別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは、2.5未満の誘電率を有し得る(23℃で1kHzでASTMD924によって決定した)。
【0081】
本発明による別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは、0.75〜0.96g/cm、好ましくは0.80〜0.94g/cmという比重を有し得る。
【0082】
本明細書において調製されるPAO、特に粘性の低いPAO(例えば10cSt以下というKV100を有するPAO)は特に、それ自体で、または他の液体、例えば、CO/H2synガスからのFisher−Tropsch炭化水素合成由来のワックス画分の水素化異性化(hydroisomerization)由来の第II群、II+群、III群、III+群もしくは潤滑油のベースストック(lube base stocks)、または他のIV群もしくはV群のベースストックとの混合によって、高性能自動車エンジンオイル処方に好適である。3cSt〜8cStのKV100を有するPAOはまた、高性能自動車エンジンオイルまたは工業オイル処方に好ましい等級である。本発明で作成される40〜1000cStのPAOは、工業用および自動車のエンジンまたはギアのオイルにおける使用のための I群、II群、III+群またはGTL由来の潤滑油ベースストックとの混合ストックとしての使用のために所望され、特に3〜1000cStという特定の高KV100等級が、特に、工業用および自動車用エンジンまたはギアオイルにおける使用のためのGr I群、II群、III群、III+群またはGTL由来潤滑油ベースストックとの混合ストックとしての使用のために所望される。それらはまた、セッケンとの混合物、界面活性剤、他の軟化剤のような、パーソナルケアにおける使用のために、パーソナルケアクリーム、ローション、口紅、シャンプー、界面活性剤などにおける使用のために適している。
【0083】
別の実施形態では、PAOは、約42〜約3045cStという範囲のKV100を有する。別の実施形態では、PAOは、約32〜約102cStにおよぶKV100を有する。
【0084】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載される任意のポリαオレフィンは、100以上、好ましくは120以上、好ましくは130以上、あるいは120〜450、あるいは100〜400、あるいは120〜380、あるいは100〜300、あるいは140〜380、あるいは180〜306、あるいは252〜306という粘度指数(VI)を有してもよく、あるいはこの粘度指数は、少なくとも約165、あるいは少なくとも約187、あるいは少なくとも約200、あるいは少なくとも約252である。1−デセンまたは1−デセン当量の供給物(3〜10cStというKV100)から生成される多くの低粘度の液体については、好ましいVI範囲は、100〜180である。粘度指数は、ASTM方法D 2270−93[1998]に従って決定される。
【0085】
本明細書の液体について報告される全ての動粘性係数(kinematic viscosity)の値は、他に注記しない限り、100℃で測定する。次いで、動粘性係数(dynamic viscosity)は、測定された動粘性係数と液体の密度をかけることによって得ることができる。動粘性係数の単位は、m/sであって、通常は、cStすなわちセンチストーク(centistokes)に変換される(1cSt=10−6/sまたは1cSt=1mm/sec)。
【0086】
本発明による一実施形態は、新規なクラスのポリαオレフィンであって、これは、ポリマー鎖の末端における固有の頭−頭(head−to−head)結合の高い割合、および高い程度の立体規則性によって特徴付けられる固有の化学的組成を有する。それ自体で、または他の液体と混合されて用いられる場合の新規なポリαオレフィンは、固有の潤滑特性を有する。頭−頭結合(head−to−head connection)」という用語は、PAOオリゴマーまたはポリマーの少なくとも一端で形成された接続をいい、ここでは、図3の下のスキームに図示されるとおり、オリゴマーまたはポリマー鎖へ最後から2番目のオレフィンが1,2に、そして最後のオレフィンが2,1に挿入されている。
【0087】
本発明による別の実施形態は、ポリマーの末端位置において固有の頭−頭(ヘッド・ツー・ヘッド)結合の割合が高いことによって、および水素化前の生成物に比較して立体規則性の程度が低いことによって特徴付けられる固有の化学組成を有する新規なクラスの水素化ポリαオレフィンである。それ自体で、または別の液体と混合して用いられる場合、新規なポリαオレフィンは、固有の潤滑特性を有する。
【0088】
本発明によって生成されるPAOは典型的には、1つ以上のC5〜C24オレフィンモノマー、好ましくは1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマー、好ましくは1つ以上のC5〜C24直鎖状αオレフィンモノマーの二量体、三量体、四量体またはより高次のオリゴマーである。あるいは、オレフィン二重結合から少なくとも2炭素離れたアルキル置換基を有するαオレフィンも用いられてもよい。典型的には、本明細書で生成されるPAOは一般に、多くの異なるオリゴマーの混合物である。これらのαオレフィン由来の最小のオリゴマーは、C10〜C20におよぶ炭素数を有する。これらの低分子オリゴマーは通常、最も高能力の液体の適用には軽すぎる。それらは通常、C20より大きい、例えば、C24およびより高次であって高能力の液体としてさらに好ましい炭素数を有する、より高次のオリゴマーから分離される。これらの分離されたC10〜C20オリゴマーオレフィンまたは対応するパラフィンは水素化後、優れた生分解性、毒性、粘性などを有する掘削流体、溶媒、塗料用シンナーなどのように、専門的な適用において、用いられ得る。C20またはC30における高性能液体画分およびより高次の画分は典型的には、より低い粘性を有し、それによってそれらは、より良好な燃料節約、より良好な生分解性、より良好な低温流動性またはより低い揮発性のようにいくつかで適用され有利になる。生成物の粘性が高いほど通常、重合化の平均程度がかなり高く、極めて少量のC20またはC30成分を有する。これらの高い粘性の液体は、粘性を改善するための潤滑への適用のための優れた混合ストックである。それらは通常狭い分子量分布のため、優れた剪断安定性を有する。固有の化学的組成のため、それらは、優れた粘度測定特性および予期されない低い摩擦特性を有する。これらのより高い粘性のPAOは、優れた混合ストックとして用いられ得る。それらは、最適の粘度測定、溶解性、高温および低温の潤滑性などを得るために、任意のI群、II群、III群、III+群、GTLおよびV群液体との混合ストックであってもよい。さらに適切な添加剤と混合される場合、それらの添加剤としては、抗酸化剤、対磨耗添加剤、摩擦改質剤(friction modifiers)、分散剤、界面活性剤、防蝕剤、消泡剤、極圧添加剤、シール膨張添加剤(seal swell additives)および必要に応じて粘度調整剤などが挙げられる。典型的な添加物の説明は、「Lubricant Additives」Chemistry and Applications編、L.R.Rudnick,Marcel Dekker,Inc.,New York,2003に見出され得る。
【0089】
プロセス
本発明の一実施形態は、固有の化学的組成を有する新規なクラスのポリαオレフィンを生成するための改善されたプロセスを開示する。この改善されたプロセスは、1つ以上の活性剤(例えば、アルモキサンまたは非配位陰イオン)と一緒にメタロセン触媒を使用する。このメタロセン触媒は、架橋または非架橋の、置換または非置換のシクロペンタジエニル、インデニルまたはフルオレニル化合物であってもよい。1つの好ましいクラスの触媒は、高い触媒生産性およびより高い生成物粘性を得る高度に置換されたメタロセンである。別の好ましいクラスのメタロセンは、架橋されかつ、置換されるシクロペンタジエンである。別の好ましいクラスのメタロセンは、架橋されそして置換されたインデンまたはフルオレンである。本明細書に記載されるプロセスのある特徴にはまた、過酸化物、酸素、イオウ、窒素含有有機化合物および/またはアセチレン化合物のような触媒毒(poison)を除去するための供給オレフィンの処理を含む。この処理は、触媒の生産性を典型的には5倍より大きく、より好ましくは10倍より大きく増大させると考えられる。
【0090】
好ましい実施形態では、本発明はポリαオレフィンを生成するためのプロセスに関し、このプロセスは以下:
1)5〜24炭素原子を有する少なくとも1つのαオレフィンモノマーと、ラセミ体メタロセン化合物(好ましくは、高度に置換された化合物)および活性剤とを、重合化条件下で接触させる工程であって、もし水素が存在するならば、水素は、リアクターの全圧力に基づいて、200psi(1379kPa)以下の分圧で存在し(好ましくは、150psi(1034kPa)以下、好ましくは100psi(690kPa)以下、好ましくは50psi(345kPa)以下、好ましくは25psi(173kPa)以下、好ましくは10psi(69kPa)以下(あるいは、もし水素が存在するならば、水素は、リアクター中に重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在し)、そして5〜24個の炭素原子を有するこのαオレフィンモノマーが、リアクター中に存在する触媒/活性剤/補助活性剤溶液、モノマーおよび任意の希釈液または溶媒の総容積に基づいて10容積%以上存在する工程と;
2)ポリαオレフィンを得る工程であって、必要に応じてPAOを水素化して、PAOを得る工程であって、ポリαオレフィンが少なくとも50モル%のC5〜C24αオレフィンモノマーを含み、このポリαオレフィンが、5000cSt以下という100℃での動粘性係数を有し、かつこのポリαオレフィンが以下の式で提示されるZモル%以上の単位を含み:
【0091】
【化6】

【0092】
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、かつZ=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、工程と、
を包含する。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、ポリαオレフィンを生成するためのプロセスに関して、このプロセスは:
1)5〜24個の炭素原子を有する少なくとも1つのαオレフィンモノマーを含む供給ストリームと、メタロセン触媒化合物および非配位性陰イオン性活性剤、またはアルキルアルモキサン活性剤、および必要に応じてアルキル−アルミニウム化合物とを重合化条件下で接触させる工程であって、5〜24個の炭素原子を有するこのαオレフィンモノマーが、リアクター中に存在する触媒/活性剤/補助活性剤溶液、モノマーおよび任意の希釈液または溶媒の総容積に基づいて10容積%以上存在し、この供給αオレフィン、希釈剤または溶媒のストリームが、300ppm未満のヘテロ原子含有化合物を含み;少なくとも50モル%のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンを得、このポリαオレフィンが5000cSt未満という100℃での動粘性係数を有する工程と、を包含する。好ましくは、水素が存在する場合、水素は、リアクター中に重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、ポリαオレフィンを生成するためのプロセスに関し、このプロセスは:
1)5〜24個の炭素原子を有する少なくとも1つのαオレフィンモノマーを含む供給ストリームと、メタロセン触媒化合物および非配位性陰イオン性活性剤、またはアルキルアルモキサン活性剤、および必要に応じてアルキル−アルミニウム化合物とを重合化条件のもとで接触させ、5〜24個の炭素原子を有するこのαオレフィンモノマーが、リアクター中に存在する触媒/活性剤/補助活性剤溶液、モノマーおよび任意の希釈液または溶媒の総容積に基づいて10容積%以上存在し、この供給αオレフィン、希釈剤または溶媒のストリームが、300ppm未満のヘテロ原子含有化合物を含み; 少なくとも50モル%のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンを得、このポリαオレフィンが5000cSt以下という100℃での動粘性係数を有する工程と;
2)この潤滑画分ポリマーを単離し、次いでこの潤滑画分と水素とを水素化触媒を有する典型的な水素化条件下で接触させて1.8未満の臭素価を有する液体を得る工程、あるいは、この潤滑画分ポリマーを単離し、次いでこの潤滑画分と水素とを、水素化触媒を含むさらに厳しい条件下で水素と接触させて、1.8未満の臭素価を有し、かつ非水素化ポリマーよりもmm成分のモル%が低い液体を得る工程と、を包含する。
【0095】
あるいは、本明細書に記載される任意のプロセスでは、もし水素が存在する場合は、水素は、リアクター中に重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。
【0096】
あるいは、本明細書に記載される任意のプロセスでは、もし水素が存在する場合は、水素は、供給物中に重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。
【0097】
断らない限り、psi表示の全ての圧力はpsigである。
【0098】
メタロセン触媒化合物
本発明の目的およびそれに対する特許請求の範囲については、「ヒドロカルビルラジカル(hydrocarbyl radical)」、「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」、および「ヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)」の用語は、本明細書全体にわたって交換可能に用いられる。同様に、「基(group)」、「ラジカル(radical)」、および「置換基(substituent)」の用語はまた、本明細書全体にわたって交換可能に用いられる。本開示の目的については、「ヒドロカルビルラジカル」は、C−C100ラジカルであると規定され、そして直鎖状であっても分枝であっても、または環状であってもよい。環状の場合、炭化水素ラジカルは、芳香族でも非芳香族でもよい。「炭化水素ラジカル(hydrocarbon radical)」は、置換されたヒドロカルビルラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、およびゲルミルカルビルラジカルを含むと規定され、それらの用語は下に規定されるとおりである。置換されたヒドロカルビルラジカルとは、少なくとも1つの水素原子が、少なくとも1つの官能基、例えば、NR、OR、SeR、TeR、PR、AsR、SbR、SR、BR、SiR、GeR、SnR、PbRなどで置換されているか、または少なくとも1つの非炭化水素原子もしくは基がヒドロカルビルラジカル内に、例えば、−O−、−S−、−Se−、−Te−、−N(R)−、=N−、−P(R)−、=P−、−As(R)−、=As−、−Sb(R)−、=Sb−、−B(R)−、=B−、−Si(R−、−Ge(R−、−Sn(R−、−Pb(R−などが挿入されているラジカルであり、ここでRは独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のRが一緒になって、置換または非置換の、飽和された、部分的に不飽和のまたは芳香族環状もしくは多環式の環構造を形成し得る。
【0099】
ハロカルビルラジカルとは、1つ以上のヒドロカルビル水素原子が、少なくとも1つのハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)またはハロゲン含有基(例えば、CF)で置換されているラジカルである。
【0100】
置換されたハロカルビルラジカルとは、少なくとも1つのハロカルビル水素またはハロゲン原子が、少なくとも1つの官能基、例えば、NR、OR、SeR、TeR、PR、AsR、SbR、SR、BR、SiR、GeR、SnR、PbRなどで置換されているか、または少なくとも1つの非炭化水素の原子もしくは基がハロカルビルラジカル内に、例えば、−O−、−S−、−Se−、−Te−、−N(R)−、=N−、−P(R)−、=P−、−As(R)−、=As−、−Sb(R)−、=Sb−、−B(R)−、=B−、−Si(R−、−Ge(R−、−Sn(R−、−Pb(R−などが挿入されているラジカルであり、ここでRは独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、ただし、少なくとも1つのハロゲン原子が、もとのハロカルビルラジカル上に残っていることが条件下となる。さらに、2つ以上のRが一緒に結合し、置換または非置換の、飽和された、部分的に不飽和のまたは芳香族環状もしくは多環式の環構造を形成し得る。
【0101】
シリルカルビルラジカル(単数又は複数のシリルカルビル)とは、シリル官能基が示された原子に直接結合される基である。例としては、SiH、SiH、SiHR、SiR、SiH(OR)、SiH(OR、Si(OR、SiH(NR)、SiH(NR、Si(NRなどが挙げられ、Rは、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、そして2つ以上のRが一緒になって、置換または非置換の、飽和された、部分的に不飽和のまたは芳香族環状もしくは多環式の環構造を形成し得る。
【0102】
ゲルミルカルビルラジカル(ゲルミルカルビルとも呼ばれる)とは、ゲルミル官能基が示された原子(単数または複数)に直接結合される基である。例としては、GeH、GeH、GeHR、GeR、GeH(OR)、GeH(OR、Ge(OR、GeH(NR*)、GeH(NR、Ge(NRなどが挙げられ、Rは、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、そして2つ以上のRが一緒になって、置換または非置換の、飽和された、部分的に不飽和のまたは芳香族環状もしくは多環式の環構造を形成し得る。
【0103】
極性ラジカルまたは極性基とは、ヘテロ原子官能基が、一以上の示された原子に直接結合される基である。それらは、周期表の1〜17族のヘテロ原子(炭素および水素は除く)が、単独で存在し、または共有結合もしくは他の相互作用、例えば、イオン結合、ファン・デル・ワールス力もしくは水素結合により他の元素に結合しているものを含む。官能的なヘテロ原子含有基の例としては、カルボン酸、酸ハライド、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、アルデヒドおよびそれらのカルコゲン(第14族金属)アナログ、アルコール、およびフェノール、エーテル、過酸化物、およびヒドロペルオキシド、カルボン酸アミド、ヒドラジドおよびイミド、アミジンおよびアミド、ニトリル、アミンおよびイミンの他の窒素アナログ、アゾ、ニトロ、他の窒素化合物、イオウ酸、セレニウム酸、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフェート、他のリン化合物、シラン、ボラン、ホウ酸塩、アラン、アルミン酸塩が挙げられる。官能基はまた、アルミナおよびシリカのような有機ポリマー支持体または無機支持体物質を含むと広い範囲のものと考えてもよい。極性基の好ましい例としては、NR、OR、SeR、TeR、PR、AsR、SbR、SR、BR、SnR、PbRなどが挙げられ、Rは、独立して、上記に規定されるようなヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビルまたは置換ハロカルビルラジカルであり、そして2つのRが一緒になって、置換または非置換の、飽和された、部分的に不飽和のまたは芳香族環状もしくは多環式の環構造を形成し得る。
【0104】
「置換され、または非置換のシクロペンタジエニルリガンド(substituted or unsubstituted cyclopentadienyl ligand)」、「置換され、または非置換のインデニルリガンド(substituted or unsubstituted indenyl ligand)」、および「置換され、または非置換のテトラヒドロインデニルリガンド(substituted or unsubstituted tetrahydroindeyl ligand)」という用語で用いる場合、前述のリガンドに対する置換は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビルであってもよい。この置換基はまた、ヘテロシクロペンタジエニルリガンド、ヘテロインデニルリガンドまたはヘテロテトラヒドインデニルリガンドを生成する環内であってもよく、その各々がさらに置換されてもまたは非置換であってもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、ヒドロカルビルラジカルは、独立して、メチル、エチル、エテニルから選択され、およびプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、ノナコセニル、トリアコンテニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、エイコシニル、ヘネイコシニル、ドコシニル、トリコシニル、テトラコシニル、ペンタコシニル、ヘキサコシニル、ヘプタコシニル、オクタコシニル、ノナコシニル、トリアコンチニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、およびデカジエニルの異性体から選択される。また、飽和し、部分的に不飽和の、および芳香族環状および多環式構造の異性体も含まれ、このラジカルは、上記のタイプの置換基によりさらに置換されう得る。例としては、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、プロピルフェニル、ジプロピルフェニル、ベンジル、メチルベンジル、ナフチル、アントラセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、ノルボルネニル、アダマンチルなどが挙げられる。この開示について、ラジカルが列挙される場合、そのラジカルタイプが上記で規定される置換基に供される場合にはラジカルタイプおよび全ての他のラジカルが形成されることを示す。列挙されるアルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルとしては、全ての異性体が挙げられ、これには適切な環状アイソマー、例えば、ブチルとしてはn−ブチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、tert−ブチル、およびシクロブチル(およびアナログ置換されたシクロプロピル)が挙げられ;ペンチルとしては、n−ペンチル、シクロペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、およびネオペンチル(およびアナログ置換されたシクロブチルおよびシクロプロピル)が挙げられ;ブテニルとしては1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニルおよび2−メチル−2−プロペニル(ならびにシクロブテニルおよびシクロプロペニル)のEおよびZ型が挙げられる。置換基を有する環状化合物としては、全ての異性体型が挙げられ、例えば、メチルフェニルとしては、オルト−メチルフェニル、メタ−メチルフェニルおよびパラ−メチルフェニルが挙げられ;ジメチルフェニルとしては、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジフェニルメチル、3,4−ジメチルフェニル、および3,5−ジメチルフェニルが挙げられる。シクロペンタジエニルおよびインデニルリガンドの例は、陰イオン性リガンドとして下に例示される。なお環の番号付けスキームは以下のように表される。
【0106】
【化7】

【0107】
同様の番号付けおよび命名法スキームは、以下に図示されるようなヘテロインデニルに用いられ、ここでZおよびQは独立して、ヘテロ原子、O、S、SeもしくはTe、またはヘテロ原子基、NR’、PR’、AsR’、またはSbR’を表し、ここでR’は、水素またはヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロカルビル、置換されたハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビル置換基である。以下に示される数のスキームは、架橋基を介して別のリガンドに架橋されるヘテロインデニルリガンドについてである。
【0108】
【化8】

実施例は以下を含む: 実施例は以下を含む:
シクロヘ゜ンタ[b]チエニル(Z=S) シクロヘ゜ンタ[c]チエニル(Z=S)
シクロヘ゜ンタ[b]フラニル(Z=O) シクロヘ゜ンタ[c]フラニル(Z=O)
シクロヘ゜ンタ[b]セレノフェニル(Z=Se) シクロヘ゜ンタ[c]セレノフェニル(Z=Se)
シクロヘ゜ンタ[b]テルロフェニル(Z=Te) シクロヘ゜ンタ[c]テルロフェニル(Z=Te)
6-メチル-シクロヘ゜ンタ[b]ヒ゜ロリル(Z=N-Me) 5-メチル-シクロヘ゜ンタ[c]ヒ゜ロリル(Z=N-Me)
6-メチル-シクロヘ゜ンタ[b]ホスホリル(Z=P-Me) 5-メチル-シクロヘ゜ンタ[c]ホスホリル(Z=P-Me)
6-メチル-シクロヘ゜ンタ[b]アルソリル(Z=As-Me) 5-メチル-シクロヘ゜ンタ[c]アルソリル(Z=As-Me)
6-メチル-シクロヘ゜ンタ[b]スチホ゛リル(Z=Sb-Me) 5-メチル-シクロヘ゜ンタ[c]スチホ゛リル(Z=Sb-Me)
【0109】
類似の番号付けおよび命名法スキームを、以下に図示されるヘテロシクロペンタジエニル環に用いるが、ここでGおよびJは独立して、ヘテロ原子N、P、As、SbまたはBを表す。これらのリガンドについて、架橋基を介して別のリガンドに架橋される場合、1の位置は通常、このリガンドが架橋基に結合される環の炭素位置であるように選択され、従って、番号付けスキームは以下の図に示されない。
【0110】
【化9】

実施例は以下を含む:
アザシクロペンタジエン(G=N)
ホスファシクロペンタジエン(G=P)
スチバシクロペンタジエン(G=Sb)
アルサシクロペンタジエン(G=As)
ボラシクロペンタジエン(G=B)
【0111】
架橋リガンドの位置に依存して、以下のリガンドについての番号付けが変化する;1,3および1,2はお互いに対するヘテロ原子の位置を図示する場合にのみ用いられる。
【0112】
【化10】

実施例は以下を含む: 実施例は以下を含む:
1,3-シ゛アサ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=N) 1,2-シ゛アサ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=N)
1,3-シ゛ホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=P) 1,2-シ゛ホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=P)
1,3-シ゛スチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=Sb) 1,2-シ゛スチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=Sb)
1,3-シ゛アルサシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=As) 1,2-シ゛アルサシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=As)
1,3-シ゛ホ゛ラシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=B) 1,2-シ゛ホ゛ラシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=J=B)
1,3-アサ゛ホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=P) 1,2-アサ゛ホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=P)
1,3-アサ゛スチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=Sb) 1,2-アサ゛スチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=Sb)
1,3-アサ゛ルサシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=As) 1,2-アサ゛ルサシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=As)
1,3-アサ゛ホ゛ラシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=B) 1,2-アサ゛ホ゛ラシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=N;J=B)
1,3-アルサホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=As;J=P) 1,2-アルサホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=As;J=P)
1,3-アルサスチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=As;J=Sb) 1,2-アルサスチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=As;J=Sb)
1,3-アルサホ゛ラシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=As;J=B) 1,2-アルサホ゛ラシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=As;J=B)
1,3-ホ゛ラホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=B;J=P) 1,2-ホ゛ラホスファシクロヘ゜ンタシ゛エン(G=B;J=P)
1,3-ホ゛ラスチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=B;J=Sb) 1,2-ホ゛ラスチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=B;J=Sb)
1,3-ホスファスチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=P;J=Sb) 1,2-ホスファスチハ゛シクロヘ゜ンタシ゛エン(G=P;J=Sb)
【0113】
「環ヘテロ原子(ring heteroatom)」は、環状の環構造内にあるヘテロ原子である。「ヘテロ原子置換基(heteroatom substituent)」は、ヘテロ原子を通じて環構造に直接結合されるヘテロ原子含有基である。「架橋ヘテロ原子置換基(bridging heteroatom substituent)」とは、ヘテロ原子を通じて2つの異なる環に直接結合されるヘテロ原子またはヘテロ原子基である。「環ヘテロ原子(ring heteroatom)」、「ヘテロ原子置換基(heteroatom substituent)」および「架橋ヘテロ原子置換基(bridging heteroatom substituent)」の用語は、下に例示されており、ここでZおよびR’は上記で規定されるとおりである。「ヘテロ原子置換基(heteroatom substituent)」は、R’がさらにリガンド「A」として規定される場合、「架橋ヘテロ原子置換基(bridging heteroatom substituent)」であってもよいということは注目されるべきである。
【0114】
【化11】

【0115】
「環炭素原子(ring carbon atom)」は、環状環構造の一部である炭素原子である。この規定により、インデニルリガンドは、9つの環炭素原子を有する;シクロペンタジエニルリガンドは、5つの環炭素原子を有する。
【0116】
遷移金属化合物は、対称要素を有し、そして対称基に属する。これらの要素および基は、十分樹立されており、そしてF.Albert Cotton,Wiley−Interscience,1971によるChemical Appliation s of Group Theory(第2版)において参照され得る。ニセの対称、例えば、対称のニセのC−軸は、同じ対称操作をいい、ただしリガンドフレーム上の置換基は、同一である必要はなく、ただし同様のサイズおよび立体的なバルクの置換基である。類似のサイズの置換基は典型的には、お互いの4原子内にあり、および類似の形状である。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびイソ−ブチル置換基(例えば、C1−C4主結合置換基)は、類似のサイズおよび立体的なバルクからなると考えられる。同様に、イソ−プロピル,sec−ブチル、1−メチルブチル、1−エチルブチルおよび1−メチルペンチル置換基(例えば、C3−C6二次結合置換基)は、同様のサイズおよび立体的バルクと考えられる。tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1−ジメチルペンチルおよび1−エチル−1−メチルプロピル(例えば、C4−C7三級結合置換基)は、同様のサイズおよび立体的なバルクからなると考えられる。フェニル、トリル、キシリルおよびメシチル置換基(C6−C9アリール置換基)は、同様のサイズおよび立体的バルクとみなされる。さらに、対称のニセのC軸を有する化合物の架橋置換基は、全く同様である必要はない。なぜなら、それらは、触媒の活性部位から遠く離れているからである。従って、対称のニセC軸を有する化合物は、例えば、MeSi、MeEtSiまたはMePhSi架橋リガンドを有し、適切な残りのリガンド構造を考慮すると、そして依然として対称なニセのC−軸を有すると考えられる。いくつかの実施形態では、対称のC−軸を有するメタロセンはまた本明細書において有用であり得る。
【0117】
本開示の目的に関して、オリゴマーの用語は、2〜75マーの単位を有する組成物をいい、そしてポリマーの用語は、76以上のマー単位を有する組成物をいう。マーとは、オリゴマー形成反応または重合反応において用いられるオレフィンにもともと対応するオリゴマーまたはポリマーの単位として規定される。例えば、ポリデセンのマーはデセンである。
【0118】
本明細書において有用なメタロセン化合物(前触媒)は好ましくは、チタニウム、ジルコニウムおよびハフニウムのシクロペンタジエニル誘導体である。一般には、有用なチタノセン、ジルコノセンおよびハフノセンは、以下の式:
(Cp−A’−Cp*)MX(1)
(CpCp*)MX(2)
によって提示されてもよく、
ここで:
Mは金属中心であり、かつ第4族金属、好ましくはチタニウム、ジルコニウムまたはハスニウム、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムである;
CpおよびCp*は各々がMに結合されている同じまたは異なるシクロペンタジエニル環であり、式(1)については0〜4つの置換基S”で、そして式(2)については0〜5つの置換基で置換され、各々の置換基S”は独立して、ラジカル基であり、これは、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロカルビル、置換されたハロカルビル、シリルカルビルもしくはゲルミルカルビルであり、またはCpおよびCpは同じまたは異なるシクロペンタジエニル環であり、ここで任意の2つの隣接するS”基は必要に応じて、連結されて、置換されたまたは非置換の、飽和した、部分的に不飽和の、または芳香族の環状もしくは多環式の置換基を形成する;A’は、架橋基であり;XおよびXは独立して、水素化物ラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換されたヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換されたハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、置換されたシリルカルビルラジカル、ゲルミルカルビルラジカル、もしくは置換されたゲルミルカルビルラジカルであり;または両方のXが一緒にされて金属原子に接合及び結合されて、約3〜約20の炭素原子を含むメタラサイクル(metallacycle)環を形成するか;または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン(aryne)リガンドであってもよく;またはルイス酸活性剤、例えば、遷移金属成分に対して上記のようなXリガンドを付与し得るメチルアルモキサンが用いられる場合、両方のXは独立に、ハロゲン、アルコキシド、アリールオキシド、アミド、ホスフィドまたは他の一価の陰イオン性リガンドであってもよく、または両方のXはまた、一緒になって、陰イオン性キレートリガンドを形成してもよい。
【0119】
好ましい実施形態では、メタロセンはラセミ体であって、これは、好ましい実施形態では、式(1)[(Cp−A’−Cp)MX]によって提示されるこの化合物が、金属中心Mを含む対称の平面を有さず;かつ、この金属中心を通じた対称のC−軸またはニセのC−軸を有するということを意味する。好ましくは、式(1)A’によって提示されるラセミ体メタロセンは、R’C、R’Si、R’Ge、R’CCR’、R’CCR’CR’、R’CCR’CR’CR’、R’C=CR’、R’C=CR’CR’、R’CCR’=CR’CR’、R’C=CR’CR’=CR’、
R’C=CR’CR’CR’、R’CSiR’、R’SiSiR’、R’CSiR’CR’、R’SiCR’SiR’、R’C=CR’SiR’、R’CGeR’、R’GeGeR’、R’CGeR’CR’、R’GeCR’GeR’、R’SiGeR’、R’C=CR’GeR’、R’B,R’C−BR’、R’C−BR’−CR’、R’N、R’P、O、S、Se、R’C−O−CR’、R’CR’C−O−CR’CR’、R’C−O−CR’CR’、R’C−O−CR’=CR’、R’C−S−CR’、R’CR’C−S−CR’CR’、R’C−S−CR’CR’、R’C−S−CR’=CR’、R’C−Se−CR’、R’CR’C−Se−CR’CR’、R’C−Se−CR’CR’、R’C−Se−CR’=CR’、R’C−N=CR’、R’C−NR’−CR’、R’C−NR’−CR’CR’、R’C−NR’−CR’=CR’、R’CR’C−NR’−CR’CR’、R’C−P=CR’、およびR’C−PR’−CR’から選択され、ここでCpが、Cp*と異なるならば、R’は、C1−C5含有ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロカルビル、置換されたハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビル置換基であり、そしてCpがCpと同じであるならば、R’は、水素、C1−C20含有ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロカルビル、置換されたハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビル置換基から選択され、そして必要に応じて、2つ以上の隣接するR’が一緒になって、置換されたまたは非置換の、飽和されるか、部分的に不飽和の、環状のまたは多環式の置換基を形成し得る。
【0120】
表Aは、式1および2のメタロセン化合物についての典型的な構成部分を示す。この列挙は例示目的に過ぎず、そして決して限定的に解釈されるべきではない。多数の最終成分が、構成部分の全ての可能な組み合わせの順序をお互いに変更することによって形成され得る。ヒドロカルビルラジカルであって、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび芳香族ラジカルを含むものが本出願において開示される場合、この用語は全ての異性体を含む。例えば、ブチルとしては、n−ブチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、tert−ブチル、およびシクロブチルが挙げられ;ペンチルとしては、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、ネオペンチル、シクロペンチルおよびメチルシクロブチルが挙げられ;ブテニルとしては、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニルおよび2−メチル−2−プロペニルのEおよびZ型が挙げられる。これには、ラジカルが別の基に結合される場合を含み、例えば、プロピルシクロペンタジエニルは、n−プロピルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニルおよびシクロプロピルシクロペンタジエニルを含む。一般に、表Aに列挙されるリガンドまたは基は、全ての異性体型を含む。例えば、ジメチルシクロペンタジエニルは、1,2−ジメチルシクロペンタジエニルおよび1,3−ジメチルシクロペンタジエニルを含み;メチルインデニルは、1−メチルインデニル、2−メチルインデニル、3−メチルインデニル、4−メチルインデニル、5−メチルインデニル、6−メチルインデニルおよび7−メチルインデニルを含み;メチルエチルフェニルは、オルト−メチルエチルフェニル、メタ−メチルエチルフェニルおよびパラ−メチルエチルフェニルを含む。特定の本発明の触媒前駆体の例は、以下の式の形をとり、いくつかの成分は表Aに列挙される。遷移金属成分のメンバーを例示するためには、表Aに列挙される種の任意の組み合わせを選択すれば良い。命名目的のためには、架橋基A’については、「シリル(silyl)」および「シリレン(silylene)」という言葉は、相互交換可能に用いられて、ジラジカル種を表す。架橋基A’については、「エチレン(ethylene)」は、1,2−エチレン結合をいい、そしてエテン−1,1−ジイルとは区別される。従って、架橋基A’については、「エチレン」および「1,2−エチレン」は交換可能に用いられる。架橋基A’を有する化合物については、シクロペンタジエニルタイプの環上の架橋位置は常に、1の位置とみなされる。インデニル環について前に規定された番号付けスキームを用いて、架橋位置を示す;数が特定されなければ、インデニルリガンドに対する架橋は、1の位置にあるとみなされる。
【0121】
【表2】








【0122】
本発明の好ましい実施形態では、Cpは、Cpと同じであり、置換されるかまたは非置換のインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドである。最も好ましい置換されたインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドは、インデニルまたはテトラヒドロインデニル環の2位置に置換基を有さない。最も好ましい置換されたそして非置換のインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドとしては、インデニル、テトラヒドロインデニル、4,7−ジメチルインデニルおよび5,6−ジメチルインデニルが挙げられる。
【0123】
別の実施形態では、本明細書に用いられるメタロセン触媒化合物は、rac−CHCH(Ind)ZrClおよび/またはrac−MeSi(2−Me−Ind)ZrClではない。別の実施形態では、本明細書において用いられるメタロセン触媒化合物は、rac−CHCH(Ind)ZrClおよび/またはrac−MeSi(2−Me−Ind)ZrClではなく、そして活性剤は、メチルアルモキサンではなく、Meは、メチルであり、かつIndは、インデニルである。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、メタロセンがアルモキサンとともに用いられる場合、Cpは、Cp*と同じであり、そして置換されたもしくは非置換のインデニルもしくはテトラヒドロインデニルリガンドである。最も好ましい置換されたインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドは、インデニルまたはテトラヒドロインデニル環の2位置に置換基を有さない。最も好ましい置換されたおよび非置換のインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドとしては、インデニル、テトラヒドロインデニル、4,7−ジメチルインデニルおよび5,6−ジメチルインデニルが挙げられる。
【0125】
別の実施形態では、メタロセンを、アルモキサンとともに用いる場合、本明細書に用いられるメタロセン触媒化合物は、rac−CHCH(Ind)ZrClおよび/またはrac−MeSi(2−Me−Ind)ZrClではない。別の実施形態では、本明細書に用いられるメタロセン触媒化合物は、rac−CHCH(Ind)ZrClおよび/またはrac−MeSi(2−Me−Ind)ZrClではなく、そしてこの活性剤は、メチルアルモキサンではなく、Meは、メチルであり、かつIndは、インデニルである。
【0126】
本発明のある好ましい実施形態では、NCAとともに用いた場合、Cpは、Cpと同じであり、そして置換されたまたは非置換のインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドである。最も好ましい置換されたおよび非置換のインデニルまたはテトラヒドロインデニルリガンドは、インデニルまたはテトラヒドロインデニル環、インデニル、テトラヒドロインデニル、4,7−ジメチルインデニルおよび5,6−ジメチルインデニルの2位置で置換基を有するものを含む。
【0127】
別の実施形態では、NCAとともに用いる場合、本明細書において用いられるメタロセン触媒化合物は、式(1)または(2)に示されるような一般構造の架橋、置換されまたは非置換のメタロセンである。
【0128】
別の実施形態では、本明細書に用いられる触媒は、Yメチリデン(RCp)(RFlu)ZrXまたはYシリル(RCp)(RFIu)ZrXであり、これは独立してC1〜C20アルキルまたは置換されたもしくは非置換のフェニル基であり、Xは、ハロゲン、置換されたまたは非置換のフェニル基、またはC1〜C20アルキルであり、Cpはシクロペンタジエニル環であり、Rは、C1〜C20アルキル基であり、nはCpの置換の程度を示す数であり、かつ0〜5の数であり、Fluは、フルオレニル環であり、mはFluの置換の程度を示す数であり、かつ0〜9の数である。
【0129】
40%を超えるmmトライアドを有するポリαオレフィンの生成に特異的である触媒系を提供する、本発明の、好ましいメタロセン化合物(前−触媒)としては、以下のラセミ体バージョンが挙げられる:ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジメチル、メチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、メチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、メチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,3ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、メチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、メチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、メチルフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、メチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、メチレンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル。
【0130】
特に好ましい種は、以下のラセミ体バージョンである:ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリド、およびエチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル。
【0131】
好ましい触媒化合物としてはまた、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドおよびビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
【0132】
活性剤および触媒活性化
触媒前駆体は、メチルアルモキサンのような周知の活性剤によって活性化される場合、オレフィンの重合化またはオリゴマー化のための活性な触媒を形成する。用いられ得る活性剤としては、アルモキサン、例えば、メチルアルモキサン、修飾されたメチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソ−ブチルアルモキサンなどが挙げられる;ルイス酸活性剤としては、トリフェニルボロン、tris−ペルフルオロフェニルボロン、tris−ペルフルオロフェニルアルミニウムなどが挙げられる;イオン性活性剤としてはジメチルアニリニウムテトラキスペルフルオロフェニルボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキスペルフルオロフェニルボレート、ジメチルアニリニウムテトラキスペルフルオロフェニルアミネートなどが挙げられる。
【0133】
補助活性剤とは、遷移金属錯体をアルキル化し得、その結果、活性剤と組み合わせて用いられる場合、活性な触媒が形成される化合物である。補助活性剤としては、アルモキサン、例えば、メチルアルモキサン、修飾されたアルモキサン、例えば、修飾されたメチルアルモキサン、およびアルミニウムアルキル、例えば、トリメチルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムまたはトリ−n−ドデシルアルミニウムが挙げられる。補助活性剤は典型的には、前触媒がジヒドロカルビルまたはジヒドリド錯体ではない場合、ルイス酸活性剤およびイオン性活性剤と組み合わせて用いられる。時には、補助活性剤はまた、供給物またはリアクター中の不純物を不活性化するためのスカベンジャーとして用いられる。
【0134】
特に好ましい補助活性剤としては、式:RAlによって示されるアルキルアルミニウム化合物が挙げられ、Rは各々独立して、C1〜C18アルキル基であり、好ましくはRは各々独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、neoペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、n−ヘプチル、イソ−ヘプチル、n−オクチル、イソ−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびそれらのイソ−アナログからなる群より選択される。
【0135】
活性剤として有用なアルモキサン成分は典型的には好ましくは、環状化合物である一般式(R−Al−O)または直鎖状化合物であるR(R−Al−O)AlRによって提示されるオリゴマーのアルミニウム化合物である。最も一般的なアルモキサンは、環状および直鎖状の化合物の混合物であると考えられる。一般的なアルモキサン式では、Rは独立して、C−C20アルキルラジカル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、それらの異性体などであり、「n」は、1〜50の整数である。最も好ましくは、Rは、メチルであり、「n」は少なくとも4である。メチルアルモキサンおよび修飾されたメチルアルモキサンが最も好ましい。さらなる説明については、欧州特許第0279586号、欧州特許第0594218号、欧州特許第0561476号、国際公開第94/10180号および米国特許第4,665,208号、同第4,874,734号、同第4,908,463号、同第4,924,018号、同第4,952,540号、同第4,968,827号、同第5,041,584号、同第5,091,352号、同第5,103,031号、同第5,157,137号、同第5,204,419号、同第5,206,199号、同第5,235,081号、同第5,248,801号、同第5,329,032号、同第5,391,793号、および同第5,416,229を参照のこと。
【0136】
アルモキサンまたは修飾されたアルモキサンが用いられる場合、触媒−前駆体−対−活性剤のモル比は、約1:3000〜10:1;あるいは、1:2000〜10:1;あるいは1:1000〜10:1;あるいは、1:500〜1:1;あるいは1:300〜1:1;あるいは1:250〜1:1,あるいは1:200〜1:1;あるいは1:100〜1:1;あるいは1:50〜1:1;あるいは1:10〜1:1である。活性剤がアルモキサン(修飾されるかまたは未修飾の)である場合、いくつかの実施形態では、活性剤の最大量は触媒前駆体の5000倍モルよりも多いことがある(金属触媒部位あたり)。好ましい最小の活性剤対触媒前駆体の比は、1:1のモル比である。
【0137】
イオン性の活性剤(補助活性剤と組み合わせて用いられる時)が、本発明の実施において用いられ得る。好ましくは、別個のイオン性活性剤、例えば、[MePhNH][B(C]、[PhC][B(C]、[MePhNH][B((C−3,5−(CF))]、[PhC][B((C−3,5−(CF))],[NH][B(C]またはルイス酸の活性剤、例えばB(CまたはB(Cが用いられてもよく、Phは、フェニルであり、そしてMeは、メチルである。好ましい補助活性剤とは、用いられる場合、アルモキサン、例えばメチルアルモキサン、修飾されたアルモキサン、例えば修飾されたメチルアルモキサン、およびアルミニウムアルキル、例えばトリ−イソブチルアルミニウム、およびトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムまたはトリ−n−ドデシルアルミニウムである。
【0138】
イオン化または化学量論的な活性剤、中性のまたはイオン性の、例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスペルフルオロフェニルボロンメタロイド前駆体またはトリスペルフルオロナフチルボロンメタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボラン陰イオン(国際公開第98/43983号)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)またはそれらの組み合わせを用いることは本発明の範囲内である。
【0139】
中性の化学量論的な活性剤の例としては、三置換ボロン、テルリウム、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムまたはそれらの混合物が挙げられる。3つの置換基は各々独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシおよびハロゲン化物から選択される。好ましくは、この3つの基は独立して、ハロゲン、単環または多環式の(ハロ置換を含む)アリール、アルキル、およびアルケニル化合物ならびにそれらの混合物から選択され、好ましいのは、1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、および3〜20個の炭素原子を有するアリール基(置換されたアリールを含む)である。さらに好ましくは、この3つの基は、1〜4個の炭素基を有するアルキル、フェニル、ナフチルまたはそれらの混合物である。さらにそれより好ましくは、この3つの基は、ハロゲン化された、好ましくは、フッ化された、アリール基である。最も好ましくは、この中性の化学量論的な活性剤は、トリスペルフルオロフェニルボロンまたはトリスペルフルオロナフチルボロンである。
【0140】
イオン性の化学量論的な活性剤化合物は、活性プロトン、またはイオン化化合物の残りのイオンと結合するが、それと配位はしないか、もしくは緩くしか配位しないいくつかの他の陽イオンを含んでもよい。このような化合物などは、全て参照によって本明細書に援用される、欧州特許出願、欧州特許出願公開第0570982号、欧州特許出願公開第0520732号、欧州特許出願公開第0495375号、欧州特許第0500944号、欧州特許出願公開第0277003号および欧州特許出願公開第0277004号および米国特許第5,153,157号、同第5,198,401号、同第5,066,741号、同第5,206,197号、同第5,241,025号、同第5,384,299号および同第5,502,124号、ならびに1994年8月3日出願の米国特許出願第08/285,380号に記載される。
【0141】
イオン性触媒は、遷移金属化合物の加水分解性リガンド(X’)との反応し、反応によって生成される陽イオン性遷移金属種を安定化させる([B(C(X’)])のような陰イオンを形成するB(Cのような活性剤と、遷移金属化合物とを反応させることによって調製され得る。この触媒は、イオン性の化合物または組成物である活性剤成分であってもよく、そして好ましくは、それで調製される。しかし、中性の化合物を利用する活性剤の調製も、本発明によって意図される。
【0142】
本発明のプロセスにおいて用いられるイオン性触媒系の調製における活性剤成分として有用な化合物は、好ましくは、プロトンを与え得るブレンステッド酸(Bronsted acid)である陽イオンと、適合する非配位の陰イオンであって、2つの化合物が組み合わされる場合に形成される、活性な触媒種を安定化し得る、比較的大きい(バルキーな)陰イオンとを含み、この陰イオンは、オレフィンのジオレフィンおよびアセチレン系不飽和基質または他の中性のルイス塩基、例えば、エーテル、ニトリルなどによって置換され易い。2つのクラスの適合性のある非配位陰イオンは、1988年公開の欧州特許出願公開第277,003号および欧州特許出願公開第277,004号に開示されている:1)中央荷電金属またはメタロイドコアに共有結合的に配位され、かつそれを遮蔽する複数の親油性ラジカルを含む陰イオン性配位錯体、ならびに2)カルボラン、メタラカルボランおよびボランのような複数のホウ素原子を含む陰イオンである。好ましい実施形態では、化学量論的な活性剤としては、陽イオンおよび陰イオンの成分が挙げられ、そして以下の式:(L**−H)(Ad−)によって提示され得、ここでL**は、中性のルイス塩基であり;Hは、水素であり;(L**−H)は、ブレンステッド酸でありAd−は、電荷d−を有する非配位性の陰イオンであり、dは1〜3の整数である。
【0143】
陽イオン成分(L**−H)とは、ブレンステッド酸、例えば、プロトンもしくはプロトン付加されたルイス塩基または還元性ルイス酸であって、アルキル化後、前触媒からアルキルまたはアリールのような一部をプロトン付加または除去し得るものを含んでもよい。
【0144】
活性な陽イオン(L**−H)は、遷移金属陽イオンを生じるアルキル化遷移金属触媒前駆体に対してプロトンを供与し得るブレンステッド酸であってもよく、これには、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウムおよびそれらの混合物、好ましくは、アンモニウムであって以下のもののアンモニウム、すなわち、メチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモN,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン、ホスホニウムであって以下由来のホスホニウム、すなわち、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、およびジフェニルホスフィン、オキソミウムであって以下エーテル由来のオキソミウム、エーテル、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン、スルホニウムであって以下のチオエーテル由来のスルホニウム、、例えばジエチルチオエーテルおよびテトラヒドロチオフェン、およびそれらの混合物が挙げられる。活性化陽イオン(L**−H)はまた、一部、例えば、銀、トロピリウム、カルベニウム、フェロセニウムおよび混合物、好ましくはカルボニウムおよびフェロセニウム;最も好ましくはトリフェニルカルボニウムであってもよい。陰イオン性成分Ad−は、式[MK+d−を有する成分が挙げられ、ここでkは、1〜3の整数であり;nは2〜6の整数であり;n−k=dであり;Mは元素の周期律表の第13族から選択される元素、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、そしてQは独立して水素化物、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、およびハロ置換−ヒドロカルビルラジカルであり、このQは、最大20までの炭素原子を有し、ただしこれは、1を超えるQがハライドでないという条件下である。好ましくは、各々のQは、1〜20個の炭素原子を有するフッ化ヒドロカルビル基であり、さらに好ましくは各々のQは、フッ化アリール基であり、そして最も好ましくは各々のQは、ペンタフルオリルアリール基である。適切なAd−の例としてはまた、参照によって本明細書に詳細に援用される、米国特許第5,447,895号に開示されるジボロン化合物が挙げられる。
【0145】
本発明の改善された触媒の調製において補助活性剤と組み合わせて活性化触媒として用いられ得るホウ素化合物の例示的であってこれに限定はされないが、三置換アンモニウム塩、例えば:トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(tert−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(tert−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリ(tert−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリ(tert−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリ(tert−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ならびにジアルキルアンモニウム塩、例えば:ジ−(iso−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;および他の塩、例えばトリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、およびベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである。
【0146】
最も好ましくは、イオン性の化学量論的な活性剤(L**−H)(Ad)は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、またはトリフェニルカルベニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)ボレートである。
【0147】
この触媒前駆体はまた、メタロイドを含まないシクロペンタジエニドイオンを含有する非配位性陰イオンを含む触媒または活性剤で活性化され得る。これらは、2002年5月16日公開の米国特許公開第2002/0058765 A1号に記載され、そしてこの発明は、触媒の前駆体に補助活性剤を添加することが必要である。「適合性(compatible)」非配位性陰イオンとは、最初に形成された錯体が分解するとき中性状態に分解されない陰イオンである。さらに、この陰イオンは、陰イオン性の置換基またはフラグメントを陽イオンに変換せず、それによって中性の遷移金属化合物および中性の副産物をこの陰イオンから形成する。本発明に有用な好ましい非配位性の陰イオンとは、適合性があって遷移金属錯体陽イオンを、そのイオン電荷を+1に平衡にするという意味で安定化するが、重合化の間にエチレンとしてまたはアセチレンとして不飽和のモノマーによる置換を可能にするのに十分な不安定性を保持している陰イオンである。これらのタイプの共触媒は時には、これらに限定はされないが、トリ−iso−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリエチルアルミニウムまたはトリメチルアルミニウムのようなスカベンジャーと一緒に用いられる。
【0148】
本発明のプロセスはまた、共触媒化合物または活性剤化合物を使用し得、これは最初は中性のルイス酸であるが陽イオン性金属錯体および非配位性陰イオン、または両性イオン錯体をアルキル化遷移金属化合物と反応して形成する。このアルキル化メタロセン化合物は、触媒前駆体および補助活性剤の反応から形成される。例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンまたはアルミニウムは、ヒドロカルビルリガンドを除去して本発明の陽イオン性遷移金属錯体および安定化非配位性陰イオンを生成するように機能する。類似の第4族メタロセン化合物の例については、欧州特許出願公開第0427697号および欧州特許出願公開第0520732号を参照のこと。また、欧州特許出願公開第0495375号の方法および化合物も参照のこと。類似の第4族化合物を用いる両性イオン錯体の形成については、米国特許第5,624,878号;同第5,486,632号;および同第5,527,929号を参照のこと。
【0149】
さらなる中性のルイス酸が当該分野で公知であり、そして正規の陰イオン性リガンドを除去するために適している。詳細は、E.Y.−X.ChenおよびT.J.Marksによる概説記事「Cocatalysts for Meta1−Catalyzed Olefin Polymerization:Activators,Activation Processes,and Structure−Activity Relationships」,Chem.Rev.,100,1391〜1434(2000)を参照のこと。
【0150】
非配位性陰イオン前駆体の陽イオンが、ブレンステッド酸、例えばプロトンまたはプロトン化ルイス塩基(水を除く)、または還元性ルイス酸、例えばフェロセニウムまたは銀陽イオン、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属陽イオン、例えば、ナトリウム、マグネシウムもしくはリチウムの陽イオンである場合、触媒前駆体対活性剤のモル比は、任意の比であってもよい。記載された活性剤化合物の組み合わせも、活性化に用いられてもよい。
【0151】
イオン性または中性の化学量論的な活性剤(例えばNCA)が用いられる場合、触媒前駆体対活性剤のモル比は、1:10〜1:1;1:10〜10:1;1:10〜2:1;1:10〜3:1;1:10〜5:1;1:2〜1.2:1;1:2〜10:1;1:2〜2:1;1:2〜3:1;1:2〜5:1;1:3〜1.2:1;1:3〜10:1;1:3〜2:1;1:3〜3:1;1:3〜5:1;1:5〜1:1;1:5〜10:1;1:5〜2:1;1:5〜3:1;1:5〜5:1;1:1〜1:1.2である。この触媒前駆体対対補助活性剤のモル比は、1:500〜1:1,1:100〜100:1;1:75〜75:1;1:50〜50:1;1:25〜25:1;1:15〜15:1;1:10〜10:1;1:5〜5:1,1:2〜2:1;1:100〜1:1;1:75〜1:1;1:50〜1:1;1:25〜1:1;1:15〜1:1;1:10〜1:1;1:5〜1:1;1:2〜1:1;1:10〜2:1である。好ましい活性剤および活性剤/補助活性剤の組み合わせとしては、メチルアルモキサン、修飾メチルアルモキサン、メチルアルモキサンとジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはtris(ペンタフルオロフェニル)ボロンとの混合物、ならびにトリメチルアルミニウムとジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはtris(ペンタフルオロフェニル)ボロンとの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、スカベンジング化合物は、化学量論的な活性剤とともに用いられる。スカベンジャーとして有用な典型的なアルミニウムまたはホウ素アルキル成分は、一般式RJZで示され、ここでJは、アルミニウムまたはホウ素、Rは、上記で規定されたとおりであり、そして各々のZは独立してRxまたは種々の一価陰イオン性リガンド、例えば、ハロゲン(Cl、Br、I)、アルコキシド(OR)などである。最も好ましいアルミニウムアルキルとしては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリ−iso−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウムなどが挙げられる。好ましいホウ素アルキルとしては、トリエチルボロンが挙げられる。スカベンジング化合物はまた、アルモキサンおよび修飾アルモキサンであってもよく、これにはメチルアルモキサンおよび修飾メチルアルモキサンが挙げられる。
【0152】
支持(担持)される触媒
支持(担持)される触媒(支持触媒)および/または支持触媒系がPAOを調製するために用いられてもよい。均一に支持された触媒を調製するために、この触媒前駆体を好ましくは、選択された溶媒に溶解するのが良い。「均一に支持された触媒(uniform supported catalyst)」という用語は、触媒前駆体、活性剤および/または活性化触媒が、多孔性支持体の内部細孔表面を含む支持体の接近可能な表面積に均一に分布されているのに近いことを意味する。支持される触媒のいくつかの実施形態では均一な支持触媒が好ましい;他の実施形態では、このような選好は求められない。
【0153】
有用な支持触媒系は、他の配位触媒系を支持するのに有効な任意の方法によって調製され得、有効なとは、そのように調製された触媒が、異種のプロセスにおいてオレフィンをオリゴマー化または重合化するために用いられ得るということを意味する。触媒前駆体、活性剤、補助活性剤(必要な場合)、適切な溶媒、および支持体は、任意の順序でまたは同時に添加され得る。
【0154】
一の方法では、トルエンのような適切な溶媒に溶解された活性剤を、1分〜10時間この支持体物質とともに撹拌して、この支持触媒を調製してもよい。溶液の総容積(触媒溶液、活性剤溶液、または両方の)は、支持体の細孔容積よりも多くてもよいが、ある実施形態では、溶液の総容積をゲルまたはスラリーを形成するために必要な容積より低く制限する(細孔容積の約90%〜400%、好ましくは約100〜200%)。この時間の間、この混合物は必要に応じて30〜200℃に加熱する。この触媒前駆体は、適切な溶媒が前の工程で使用される場合は固体として、または溶液としてこの混合物に添加されてもよい。あるいは、この混合物を濾過してもよく、そしてこの得られた固体を触媒前駆体溶液と混合してもよい。同様に、この混合物は、減圧乾燥してもよく、触媒前駆体溶液と混合してもよい。次いで、得られた触媒混合物を1分〜10時間撹拌して、支持触媒を溶液から濾過して、減圧乾燥するかまたはエバポレーションに供して、溶媒を除去する。
【0155】
あるいは、触媒前駆体および活性剤を溶媒中で組み合わせて溶液を形成してもよい。次いで、この支持体を溶液に添加して、得られた混合物を1分〜10時間撹拌する。この活性剤/触媒前駆体溶液の総容積は、支持体の細孔容積よりも多くてもよいが、ある実施形態では、溶液の総容積をゲルまたはスラリーを形成するのに必要な容積より低く制限する(細孔容積の約90%〜400%、好ましくは約100〜200%)。撹拌後、残りの溶媒を、減圧下で、典型的には環境温度でかつ10〜16時間にわたって除去する;しかし、より大(長)または小(短)い時間および高い又は低い温度を用いてもよい。
【0156】
触媒前駆体はまた、活性剤なしに支持されてもよく;この場合、この活性剤(および必要に応じて補助活性剤)を、スラリープロセスの液相に添加する。例えば、触媒前駆体の溶液は、約1分〜10時間の期間、支持物質と混合されてもよい。得られた前触媒混合物を、溶液から濾過してもよく、そして減圧下で乾燥するか、またはエバポレーションで処理して、溶媒を除去してもよい。触媒−前駆体溶液の総容積は、支持体の細孔容積よりも大きくてもよいが、ある実施形態では、溶液の総容積をゲルまたはスラリーを形成するのに必要な容積より低く制限する(細孔容積の約90%〜400%、好ましくは約100〜200%)。
【0157】
さらに、2つ以上の異なる触媒前駆体を、上記の任意の支持方法を用いて同じ支持体上においてもよい。同様に、2つ以上の活性剤または一の活性剤および補助活性剤を同じ支持体上においてもよい。適切な固体粒子支持体は典型的には、各々が好ましくは多孔性である多量体または耐火性酸化物質から形成される。10μmより大きい平均粒子サイズを有する任意の支持物質が本発明における使用に適切である。種々の実施形態では、多孔性支持物質、例えば、滑石、無機酸化物、無機塩化物、例えば、塩化マグネシウムおよび樹脂支持体物質、例えば、ポリスチレンポリオレフィンまたは多量体化合物または任意の他の有機支持体物質などが選択される。いくつかの実施形態は、支持物質として無機酸化物質が選択され、これには、第−2、−3、−4、−5、−13、または−14族の金属またはメタロイド酸化物が挙げられる。いくつかの実施形態で選択される触媒支持物質としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナおよびそれらの混合物が挙げられる。他の無機酸化物は、単独で、またはシリカ、アルミナもしくはシリカ−アルミナと組み合わされて機能し得る。これらは、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどである。ルイス酸物質、例えば、モンモリロナイトおよび同様の粘土も支持体として機能し得る。この場合、この支持体は、活性剤成分として必要に応じて二倍であってもよい。ただし、さらなる活性剤も用いられ得る。ある場合には、MCM−41として一般に公知の固体支持体の特定のファミリーも用いられ得る。MCM−41は、新規なクラスの固有の結晶性支持体であり、そして第二の成分で改変された場合、調節可能な細孔サイズおよび調節可能な酸性度で調製されてもよい。このクラスの物質およびそれらの改変の詳細な説明は、米国特許第5,264,203号に見出され得る。
【0158】
支持物質は、多数の方法で事前処理され得る。例えば、無機酸化物は、焼結されても、脱ヒドロキシル化剤、例えば、アルミニウムアルキルなどで化学的に処理されても、またはその両方で処理されてもよい。
【0159】
上記のとおり、多量体キャリアが、本発明に適している。例えば、国際公開第95/15815号および米国特許第5,427,991号の説明を参照のこと。開示された発明は、本発明の触媒化合物、活性剤もしくは触媒系とともに、特に多孔性粒子を生成される場合に、ポリマー支持体上にそれらを吸着または吸収するために用いられてもよいし、またはポリマー鎖にまたはポリマー鎖中に結合される官能基を通じて化学的に結合されてもよい。
【0160】
有用な触媒キャリアは、10−700m/gの表面積、および/または0.1〜4.0cc/gの多孔性容積、および/または10〜500μmの平均粒子サイズを有し得る。いくつかの実施形態は、50〜500m/gの表面積、および/または0.5〜3.5cc/gの多孔性容積、および/または20〜200μmの平均粒子サイズを選択する。他の実施形態は、10〜400m/gの表面積、および/または0.8〜3.0cc/gの多孔性容積、および/または30〜100μmの平均粒子サイズを選択する。本発明のキャリアは典型的には、10〜1000Å、あるいは50〜500Å、または75〜350Åの細孔サイズを有する。メタロセンおよび/またはメタロセン/活性剤の組み合わせは一般に、支持体上に、固体支持体1グラムあたり10〜100マイクロモルの触媒前駆体;あるいは固体支持体1グラムあたり20〜80マイクロモルの触媒前駆体または支持体1グラムあたり40〜60マイクロモルの触媒前駆体、というローディングレベルで、支持体上に沈着される。しかし、固体触媒前駆体の総量が、支持体の細孔容積を超えないという条件下であれば、それより大きいかまたは小さい容積が用いられてもよい。
【0161】
メタロセンおよび/またはメタロセン/活性剤の組み合わせは、気相、バルクまたはスラリー重合化のために、そうでなければ必要に応じて支持されてもよい。多数の支持方法が、オレフィン重合化の分野で触媒、特にアルモキサン活性化触媒について公知である;全てが本明細書における使用に適切である。例えば、米国特許第5,057,475号および5,227,440号を参照のこと。支持イオン性触媒の例は、国際公開第94/03056号にみられる。米国特許第5,643,847号および国際公開第96/04319号が、特に有効な方法を記載している。ポリマーおよび無機酸化物の両方とも、支持体として機能し得る。米国特許第5,422,325号、同第5,427,991号、同第5,498,582号、および同第5,466,649、ならびに国際公開第93/11172号および国際公開第94/07928号を参照のこと。
【0162】
別の好ましい実施形態では、メタロセンおよび/または活性剤(支持体とともに、または支持体なしで)を、アルキルアルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物と、リアクターに入れる前に、組み合わせる。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物は、式RAlによって提示され、各々のRは独立して、C1〜C20アルキル基であり、好ましくはR基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、n−オクチル、ノニル、イソノニル、n−ノニル、デシル、イソデシル、n−デシル、ウンデシル、イソウンデシル、n−ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、およびn−ドデシル、好ましくはイソブチル、n−オクチル、n−ヘキシル、およびn−ドデシルからなる群より選択される。好ましくはアルキルアルミニウム化合物は、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−ドデシルアルミニウムから選択される。
【0163】
モノマー
好ましい実施形態では、本明細書に記載される触媒化合物は、任意の不飽和モノマー(単数または複数)を重合化またはオリゴマー化するために用いられる。好ましいモノマーとしては、C〜C24オレフィン、好ましくはC〜C14オレフィン、より好ましくはC〜C12オレフィンが挙げられる。ある実施形態では、好ましいモノマーとしては、直鎖状、分枝または環状のαオレフィン、好ましくはC〜C20αオレフィン、好ましくはC〜C14αオレフィン、およびより好ましくはC〜C12αオレフィンが挙げられる。好ましいオレフィンモノマーは、1つ以上のヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、3−メチル−1−ブテン、およびテトラデセンであってもよい。
【0164】
好ましい実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、ホモ−オリゴマーまたはコ−オリゴマーを生成するために用いられ得る(本発明および本発明の特許請求の範囲の目的については、コ−オリゴマーは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の異なるモノマー単位を含んでもよい)。本明細書に生成される好ましいオリゴマーとしては、上記のモノマーの任意のホモ−オリゴマーまたはコ−オリゴマーが挙げられる。好ましい実施形態では、このオリゴマーは、任意のC〜C12αオレフィンのホモ−オリゴマーである。好ましくはこのオリゴマーは、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、または1−ドデセンのホモ−オリゴマーである。好ましくは、このオリゴマーは、デセンのホモ−オリゴマーである。別の実施形態では、このオリゴマーは、コ−オリゴマーであって、デセンおよび上記に列挙される任意のモノマーの1つ以上を含む。
【0165】
PAOを作成するために用いられるαオレフィンとしては、これに限定はしないが、C〜C24αオレフィンが挙げられ、ここでC〜C14αオレフィン、例えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセンおよび1−テトラデセンが好ましい。好ましいポリαオレフィンの群は、ポリ−1−ヘキセン、ポリ1−ヘプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−ノネン、ポリ−1−デセン、ポリ1−ウンデセン、ポリ−1−ドデセン、ポリ−1−トリデセン、およびポリ−1−テトラデセンであるが、C12〜C18の範囲のより高次のオレフィンの二量体が最終生成物に存在し得る。有用なPAOは好ましくは二量体、三量体、四量体、五量体、およびより高次のオリゴマーまたはポリマーであり、炭素数は、C20から開始し、より高次が一実施形態ではC〜C18αオレフィンから生成され、そしてオリゴマーまたはポリマーは、炭素数が、C20から開始し、別の実施形態ではより高次なものがC〜C14αオレフィンから生成される。適切なオレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンドデセンおよび1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセンが挙げられる。一実施形態では、このオレフィンは、1−デセンであり、そしてPAOは、1−デセンの二量体、三量体、4量体および五量体(およびより高次)の混合物である。別の実施形態では、オレフィンは、1−デセンであり、PAOは、1−デセンの三量体、四量体および五量体(およびより高次の)混合物である。別の実施形態では、オレフィンは、1−デセンであり、そしてPAOは、1−デセンの三量体、四量体および五量体(およびより高次の)混合物である。別の実施形態では、オレフィンは、1−オクテンであり、そしてPAOは、1−オクテンの四量体および五量体(およびより高次の)混合物である。
【0166】
好ましい実施形態では、PAOは、2つ以上のモノマー、好ましくは3つ以上のモノマー、好ましくは4つ以上のモノマー、好ましくは5つ以上のモノマーを含む。例えば、C8、C10、C12−直鎖状αオレフィン混合物、またはC6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14−直鎖状αオレフィン混合物、またはC4、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18−直鎖状αオレフィン混合物が供給物として用いられ得る。
【0167】
別の実施形態では、PAOは、50モル%未満のC2、C3およびC4モノマー、好ましくは40モル%未満、好ましくは30モル%未満、好ましくは20モル%未満、好ましくは10モル%未満、好ましくは5モル%未満、好ましくは3モル%未満、好ましくは0%のC2、C3およびC4モノマーを含む。詳細には、別の実施形態では、PAOは、50モル%未満のエチレン、プロピレンおよびブテン、好ましくは40モル%未満、好ましくは30モル%未満、好ましくは20モル%未満、好ましくは10モル%未満、好ましくは5モル%未満、好ましくは3モル%未満、好ましくは0%のを含む。別の実施形態では、PAOは、40モル%未満のエチレンを含む。別の実施形態では、PAOは40モル%未満のプロピレンを含む。別の実施形態では、PAOは、40モル%未満のブテンを含む。別の実施形態では、PAOは、10モル%未満のエチレンを含む。別の実施形態では、PAOは、10モル%未満のプロピレンを含む。別の実施形態では、PAOは、10モル%未満のブテンを含む。別の実施形態では、PAOは、1モル%未満のエチレンを含む。別の実施形態では、PAOは、1モル%未満のプロピレンを含む。別の実施形態では、PAOは、1モル%未満のブテンを含む。
【0168】
本明細書に用いられるαオレフィンは、いくつかの商業的生成プロセスによって実施されるようなエチレン成長プロセスから直接生成されてもよいし、またはそれらは、CO/H合成ガス由来のFischer−Tropsch炭化水素合成から、または内部オレフィンとエチレンとのメタセシス(metathesis)から、または高温での石油もしくはFischer−Tropsch合成ワックスのクラッキングから、または任意の他のαオレフィン合成経路から生成されてもよい。本発明の好ましい供給物は好ましくは、少なくとも80重量%のαオレフィン(好ましくは直鎖状αオレフィン)、好ましくは少なくとも90重量%のαオレフィン(好ましくは直鎖状αオレフィン)、より好ましくは100%のαオレフィン(好ましくは直鎖状αオレフィン)である。しかし、αオレフィン混合物はまた、特に他の成分が内部オレフィン、分枝オレフィン、パラフィン、環状パラフィン、芳香族(例えばトルエンおよび/またはキシレン)である場合、本発明において供給物として用いられ得る。これらの成分は、希釈効果を有し、そしてαオレフィンの重合化に対して実質的な有害な効果を有さないと信じられている。言い換えれば、本明細書に記載されるプロセスは、混合物中のαオレフィンを選択的に変換して、他の成分を未反応のまま残し得る。これは特に、エチレンがこの混合物中に存在しない場合に有用である。この技術を用いて、ある混合物からαオレフィンを、それらと重合化またはオリゴマー化触媒系とを選択的に反応させて、混合された供給ストリーム中の成分の残滓からαオレフィンを分離する必要性を完全に省くことによって、選別してもよい。これは経済的に、例えば、αオレフィン、内部オレフィンおよび分枝オレフィンを含むFisher−Tropsch合成オレフィン生成ストリームを利用するプロセスで有利である。このような混合物は、本明細書に記載されるようなオリゴマー化技術に供給されてもよいし、αオレフィンを選択的に反応から遠ざけてもよい。αオレフィンを単離する分離工程は,必要ない。このプロセスを使用する別の例は、内部オレフィンとエチレンのメタセシスによって生成されるαオレフィンを含み、これは、ある程度の内部オレフィンを含み得る。この混合されたオレフィンのベースストック供給物は、本発明の重合化/オリゴマー化プロセスと同様に反応させ得、これはαオレフィンを潤滑性生成物に選択的に変換する。従って、当業者は、内部オレフィンからαオレフィンを分離する必要なしにこのベースストック合成のためにαオレフィンを使用し得る。これは、プロセスの経済性に大きな改善をもたらし得る。
【0169】
好ましい実施形態では、本明細書において生成されるPAOは、4−メチル−1−デセン、4−エチル−1−デセン、または4−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのように、α不飽和から少なくとも2、好ましくは少なくとも3炭素離れて分枝を有するモノマーを含み得る。これらのオレフィンは、製造プロセス由来の直鎖状αオレフィンに存在してもよく、またはそれらは、意図的に添加されてもよい。わずかに分枝したαオレフィンと完全に直鎖状のαオレフィンとのコポリマーは、改善された低温特性を有する。
【0170】
好ましい実施形態では、本明細書に記載される任意のPAOは、少なくとも50モル%の5〜24個の炭素原子、および0.5〜20モル%のエチレンを含み、ここでこのポリαオレフィンに存在する少なくとも80%のエチレンは、炭素13NMRによって測定した場合1〜35個未満の炭素の連に存在する。好ましくは、本明細書に記載される任意のPAOは、少なくとも60モル%の5〜24個の炭素原子(好ましくは少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、好ましくは少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%)、および0.5〜20モル%のエチレン(好ましくは1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%、好ましくは2〜5モル%)を含んでもよく、ここでこのポリαオレフィンに存在する少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは100%)のエチレンは、炭素13NMRによって測定し、1〜35(好ましくは1〜30、好ましくは1〜25、好ましくは1〜20、好ましくは1〜15,好ましくは1〜10、好ましくは1〜5)の炭素の列に存在する。
【0171】
重合化/オリゴマー化プロセス
処理される溶液、スラリーおよびバルクの重合化またはオリゴマー化のような、メタロセン触媒重合化またはオリゴマー化のために用いられる多くの重合化/オリゴマー化プロセスおよびリアクタータイプが、本発明において用いられ得る。ある実施形態では、固体または支持された触媒が用いられる場合、スラリーまたは連続的固定床(bed)もしくはプラグフロープロセスが適切である。好ましい実施形態では、モノマーは、液相、バルク相またはスラリー相中の、好ましくは連続攪拌スラリータンクリアクター、連続管状リアクター、またはバッチ リアクター中のメタロセン化合物および活性剤と接触させられる。好ましい実施形態では、本明細書で用いられる任意のリアクターの温度は−10℃〜250℃、好ましくは30℃〜220℃、好ましくは50℃〜180℃、好ましくは60℃〜170℃である。好ましい実施形態では、本明細書で用いられる任意のリアクター中の圧力は、0.1〜100気圧、好ましくは0.5〜75気圧、好ましくは1〜50気圧である。別の実施形態では、本明細書において用いられる任意のリアクター中の圧力は、1〜50,000気圧、好ましくは1〜25,000気圧である。別の実施形態では、モノマー(単数または複数)、メタロセンおよび活性剤は、1秒〜100時間の残留時間、好ましくは30秒〜50時間、好ましくは2分〜6時間、好ましくは1分〜4時間接触させられる。別の実施形態では、溶媒または希釈液がリアクターに存在し、そして好ましくは、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、およびn−ブチルベンゼン;好ましくはトルエンおよび/またはキシレンおよび/またはエチルベンゼン、直鎖パラフィン(例えば、テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なNorpar溶媒)、またはイソパラフィン溶媒(例えば、テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar溶媒)からなる群より選択される。これらの溶媒または希釈液は一般に、供給オレフィンと同じ方式で前処理される。
【0172】
典型的には、本発明のプロセスでは、1つ以上の遷移金属化合物、1つ以上の活性剤、および1つ以上のモノマーを接触させて、ポリマーまたはオリゴマーを生成する。これらの触媒は、支持されてもよいし、そうなれば、単一、直列または並列のリアクターで行われる公知のスラリー、溶液またはバルク操作方式で特に有用である。この触媒、活性剤または補助活性剤が可溶性化合物である場合、この反応は溶液の方式で行われてもよい。成分の1つが反応媒体中で、または供給溶液中で完全に可溶性でない場合でさえ、反応の開始、反応中又は反応の後期段階の時点で、ある溶液またはスラリーのタイプの操作は依然として適用可能である。何れの場合にも、トルエンもしくは他の都合よく利用可能な芳香族の溶媒のような溶媒中に、または脂肪族の溶媒に、または供給αオレフィンストリーム中に溶解または懸濁された触媒成分は、不活性雰囲気(通常は窒素またはアルゴンのブランケット雰囲気)下でリアクターに供給されて、重合化またはオリゴマー化が生じることが可能になる。重合化またはオリゴマー化が、バッチ方式で行われてもよく、その場合全ての成分がリアクターに添加されて、予め設計された程度の変換、部分的変換または完全変換のいずれかまでの反応が可能になる。引き続き、この触媒は、任意の可能な方法、例えば、空気もしくは水への曝露によって、または不活性剤を含むアルコールもしくは溶媒の添加によって不活性化される。この重合化またはオリゴマー化はまた、半連続的操作で行われてもよく、ここでは供給オレフィン(単数または複数)に対して一定割合の触媒系成分を維持するように、供給物および触媒系の成分は連続してかつ同時にリアクターに添加される。全ての供給および触媒成分が添加される場合、この反応は、予め決定された段階まで進行させられる。次いで、この反応は、バッチ操作について記載されたのと同じ方式で触媒の不活性化によって停止させられる。重合化またはオリゴマー化はまた、連続的な操作で行われてもよく、ここでは、一定割合の触媒系および供給オレフィンを維持するように、供給物および触媒系成分は、連続してかつ同時にリアクターに添加される。この反応生成物は、典型的な連続撹拌タンクリアクター(continuous stirred tank reactor)(CSTR)操作と同じように、リアクターから連続して抜き取られる。反応物質の残留時間は、予め決定された変換の程度によって制御される。次いで、この抜き取られた生成物は、別のリアクター中で、他の操作と同様の方式で急冷(クエンチ)される。好ましい実施形態では、本明細書に記載されるPAOを調製するための任意のプロセスは連続プロセスである。好ましくは、この連続プロセスは、以下の工程を包含する、a)少なくとも10モル%の1つ以上のC5〜C24αオレフィンを含む供給ストリームを、あるリアクター中に連続的に導入する工程、b)メタロセン化合物および活性剤をこのリアクター中に連続的に導入する工程、およびc)このリアクターからポリαオレフィンを連続的に抜き取る工程。別の実施形態では、この連続プロセスは、リアクターの総圧力に基づいて、200psi(1379kPa)以下、好ましくは150psi(1034kPa)以下、好ましくは100psi(690kPa)以下、好ましくは50psi(345kPa)以下、好ましくは25psi(173kPa)以下、好ましくは10psi(69kPa)以下というリアクター中の水素分圧を維持する工程を包含する。あるいは、水素が存在する場合、リアクター中に重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。あるいは水素は、存在する場合、供給物中に重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。
【0173】
好ましいリアクターの範囲は、2mlを超えるサイズにおよぶ。通常は、商業生産のためには容積で1リットルを超えるリアクターを用いることが好ましい。生成施設は、生産性、生成物の特性および一般的なプロセスの効率性を最大化するために、1つの単一のリアクター、または直列でもしくは並列でもしくはその両方で配置されたいくつかのリアクターを有し得る。このリアクターおよび関連の装置は通常、適切な反応速度および触媒能力を確実にするように前処理される。この反応は通常、不活性雰囲気下で行われ、ここでは触媒系はおよび供給成分は、通常極性酸素、窒素、イオウまたはアセチレン化合物である、いかなる触媒不活性剤とも触媒毒とも接触されない。
【0174】
本発明では1つ以上のリアクターを直列でもしくは並列で用いてもよい。遷移金属化合物、活性剤および必要に応じて補助活性剤は、溶液またはスラリーとして、溶媒中でまたはαオレフィン供給ストリーム中で、リアクターに別々に送達されて、リアクターの直前で活性化されてもよいし、または前活性化されてリアクターへ活性化溶液またはスラリーとしてポンプ配送されてもよい。重合化/オリゴマー化は、単一のリアクター操作で行われ、ここではモノマー、またはいくつかのモノマー、触媒/活性剤/補助活性剤、任意のスカベンジャーおよび任意のモディファイアー(修飾因子)が連続的に、単一のリアクターに添加され、または一連のリアクター操作、ここでは上記の成分は、連続して直列の2つ以上のリアクターの各々に添加される。触媒成分は、直列の第一のリアクターに添加されてもよい。この触媒成分はまた、両方のリアクターに添加されてもよく、ここで1つの成分が第一の反応に添加されて、別の成分が他のリアクターに添加される。1つの好ましい実施形態では、この前触媒は、オレフィンの存在下でリアクター中で活性化される。別の実施形態では、前触媒、例えば、メタロセンの二塩化物型は、アルキルアルミニウム試薬、特に、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムおよび/またはトリ−n−オクチルアルミニウムで前処理され、続いて、他の触媒成分および供給オレフィンを含むリアクター中に充填されるか、または他の触媒成分で事前活性化されて、完全に活性化された触媒が得られ、これが次に、供給オレフィンを含むリアクターに供給される。別の代替法では、この前触媒メタロセンは、活性剤および/または補助活性剤と混合され、次いで、この活性化された触媒がリアクター中に、いくつかのスカベンジャーまたは補助活性剤を含む供給オレフィンストリームと一緒に充填される。別の代替法では、この補助活性剤の全体または一部が、供給オレフィンと前混合されて、メタロセンおよび活性剤および/または補助活性剤を含有する他の触媒溶液と同時にこのリアクター中に充填される。
【0175】
ある実施形態では、少量のポイズンスカベンジャー、例えば、トリアルキルアルミニウム(トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム)またはメチルアルモキサンが、供給オレフィンのストリームに添加されて、触媒活性がさらに改善される。好ましい実施形態では、このモノマーは、アルキルアルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物と、リアクターへの導入の前に接触させられる。別の好ましい実施形態では、このメタロセンおよび/または活性剤は、アルキルアルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物と、リアクターに入る前に混合される。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物は、以下の式:RAlによって示され、ここで各々のRは独立して、C1〜C20アルキル基であり、好ましくはR基は独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、n−オクチル、ノニル、イソノニル、n−ノニル、デシル、イソデシル、n−セシル、ウンデシル、イソウンデシル、n−ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、およびn−ドデシル、好ましくはイソブチル、n−オクチル、n−ヘキシル、およびn−ドデシルからなる群より選択される。好ましくはアルキルアルミニウム化合物は、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−ドデシルアルミニウムから選択される。
【0176】
本明細書に記載される任意のプロセスの一実施形態では、この供給オレフィンおよび/または溶媒を処理して、触媒毒、例えば過酸化物、酸素または窒素含有の有機化合物またはアセチレン化合物を除去する。活性化13X分子篩および脱酸素触媒、すなわち還元銅触媒での直鎖状α−オレフィンの処理で、触媒の生産性は10倍より大きく増大した。あるいは、この供給オレフィンおよび/または溶媒を、活性化された分子篩、例えば、3A、4A、8Aもしくは13Xの分子篩で、および/または活性化されたアルミナまたは活性化された脱酸素化触媒と組み合わせて処理する。このような処理は、触媒の生産性を2倍〜10倍以上に増大する。この改善されたプロセスはまた、触媒毒、例えば過酸化物、酸素、イオウ、または窒素含有有機化合物または他の微量不純物を除去するための供給オレフィンの特別な処理を含む。この処理は、触媒生産性を実質的に(典型的には、10倍より大きく)増大し得る。好ましくは、この供給オレフィンを、分子篩、活性化されたアルミナ、シリカゲル、酸素除去触媒および/または精製粘土と接触させて、供給物中のヘテロ原子含有化合物を、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満に減らす。
【0177】
この触媒組成物は個々に用いられてもよいし、または他の公知の重合化触媒と混合して、ポリマーまたはオリゴマー混合物を調製してもよい。モノマーおよび触媒の選択によって、個々の触媒を用いるのと同様の条件下でポリマーまたはオリゴマーのブレンド調製が可能になる。増大したMWDを有するポリマーは、混合された触媒系でつくられるポリマーから入手可能であり、そのようにして獲得可能である。混合された触媒は、2つ以上の触媒前駆体および/または2つ以上の活性剤を含んでもよい。
【0178】
一般には、メタロセン触媒を用いる場合、供給オレフィン、溶媒、希釈液の前処理の後、および触媒成分ストリームおよび不純物なしのリアクターを保持するための注意の後、反応は十分進行するはずである。ある実施形態では、メタロセン触媒を用いる場合、特にそれらを支持体上に固定化する場合、完全な触媒系はさらに、1つ以上のスカベンジング(scavenging)化合物を含む。ここで、スカベンジング化合物という用語は、反応環境から極性不純物を除去する化合物を意味する。これらの不純物は触媒の活性および安定性に有害に影響する。典型的には、精製工程は一般に、反応容器に反応成分を導入する前に用いられる。しかし、このような工程は、いくつかのスカベンジング化合物を用いることなく重合化またはオリゴマー化を可能にすることは殆どない。正常には、重合化プロセスでは、少なくとも少量のスカベンジング化合物をさらに用いる。
【0179】
典型的には、このスカベンジング化合物は、米国特許第5,153,157号、同第5,241,025号、および国際公開第91/09882号、国際公開第94/03506号、国際公開第93/14132号の第13族有機金属化合物、および国際公開第95/07941号のものなどの有機金属化合物である。例示的な化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、メチルアルモキサン、イソ−ブチルアルモキサン、およびトリ−n−オクチルアルミニウムが挙げられる。これらのスカベンジング化合物は、金属またはメタロイドの中心に結合されたバルキーなまたはC−C20直鎖状ヒドロカルビル置換基を有しており、通常は、活性な触媒との有害な相互作用を最小限にする。例としては、トリエチルアルミニウム、ただしより好ましくは、バルキーな化合物、例えばトリ−イソ−ブチルアルミニウム、トリ−イソ−プレニルアルミニウム、および長鎖直鎖状アルキル−置換アルミニウム化合物、例えばトリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、またはトリ−n−ドデシルアルミニウムが挙げられる。アルモキサンを活性剤として用いる場合、活性化に必要なレベルを上回るものは不純物を取り除き、そしてさらなるスカベンジ化合物は不必要であり得る。アルモキサンはまた、スカベンジング量で、他の活性剤、例えば、メチルアルモキサン、[MeHNPh][B(pfp)またはB(pfp)とともに添加されてもよく、ここでpfpは、ペルフルオロフェニル(C)であり、Meは、メチルであり、そしてPhは、フェニルである。
【0180】
好ましい実施形態では、エチレンは、供給物中に、10モル%以下、好ましくは0.5〜8モル%、好ましくは0.5〜5モル%、好ましくは1〜3モル%で存在する。
【0181】
本明細書に記載されるPAOはまた、均一な溶液プロセスで生成され得る。一般には、これは、連続リアクター中における重合化またはオリゴマー化を包含し、ここでは形成されたポリマーならびに供給された出発モノマーおよび触媒物質が撹拌されて、濃度または温度の勾配が減少または回避される。リアクター中の温度制御は一般に、重合化の熱とリアクター冷却とを、このリアクターの内容物を冷却するためのリアクタージャケットまたは冷却コイルまたは反応物質の冷却された側流、自動冷却、前冷却供給物、液体媒体(希釈剤、モノマーまたは溶媒)の揮発、または上記の組み合わせによって平衡にすることによって得られる。事前冷却された供給物を含む断熱反応器も用いられ得る。リアクターの温度は、用いられる触媒および所望の生成物に依存する。温度が高いほど、低い分子量が得られる傾向であり、そして温度が低いほど、高い分子量が得られる傾向であるが、これは絶対的な規則ではない。一般には、リアクターの温度は好ましくは、約0℃〜約300℃、より好ましくは約10℃〜約230℃、そして最も好ましくは約25℃〜約200℃で変化し得る。通常は、予め決定されたとおり反応温度を制御することが重要である。狭い分子分布を有する液体を生成するため、例えば、可能な最高の剪断安定性を促進するためには、リアクター中の、または反応時間の経過にわたって温度変動を最小にするために反応温度を制御することが有用である。複数のリアクターを直列で又は並列で用いる場合、予め決定した値で温度を一定に維持して分子量分布の広がりを最小限にすることが有用である。広範な分子量分布を有する液体を生成するために、当業者は、反応温度のブレまたは変動を調節し得、または直列運転において、第二のリアクター温度は好ましくは、第一のリアクター温度よりも高い。並列のリアクター運転において、2つのリアクターの温度は独立である。または2つのタイプのメタロセン触媒を用い得る。
【0182】
本明細書に用いられる任意のリアクター中の圧力は、約0.1気圧〜100気圧(1.5psi〜1500psi)、好ましくは0.5bar〜75atm(8psi〜1125psi)、最も好ましくは1.0〜50atm(15psi〜750psi)で変化し得る。この反応は、窒素雰囲気下で、またはある程度の水素とともに行われ得る。時には、少量の水素をリアクターに添加して、触媒を改善する。この水素量をこのようなレベルに維持して触媒生産性を改善するが、オレフィン、特に供給αオレフィンの水素化を誘導しないのが好ましい。なぜなら、飽和パラフィンへのαオレフィンの変換は、プロセスの有効性に対して極めて有害であるからである。この量の水素分圧は、低く、100psi未満、好ましくは50psi未満、好ましくは25psi未満、好ましくは10psi未満、好ましくは5psi未満、好ましくは1psi未満に維持することが好ましい。特に好ましい実施形態では、本明細書に記載される任意のプロセスでは、反応物質相の水素の濃度は100ppm未満、好ましくは50ppm未満、好ましくは10ppm未満、好ましくは1ppm未満である。特に好ましい実施形態では、本明細書に記載される任意のプロセスでは、リアクター中の水素の濃度は、リアクターの全圧に基づいて200psi(1379kPa)以下、好ましくは150psi(1034kPa)以下、好ましくは100psi(690kPa)以下、好ましくは50psi(345kPa)以下、好ましくは10psi(69kPa)以下の分圧で維持される。あるいは、本明細書に記載の任意のプロセスでは、水素はもし存在する場合、リアクターおよび/または供給物中に、重量で1000ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。
【0183】
この反応時間またはリアクター残留時間は通常、用いられる触媒のタイプ、用いられる触媒の量、および所望の変換レベルに依存する。異なるメタロセンは、異なる活性を有する。通常は、シクロペンタジエニル環上のアルキル置換、または架橋の程度が高いほど、触媒生産性が改善される。触媒、例えばビス(l,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドまたはビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドまたは(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドまたはそれらのジアルキルアナログは、非置換のメタロセンよりも望ましい高い生産性および安定性を有する。ある架橋された触媒、および置換基と架橋された触媒、例えば、ジメチルシリルビス[インデニル]ジルコニウムまたはジメチルシリルビス[テトラヒドロ−インデニル]ジルコニウムジメチルシリルビス[1−メチルインデニル]ジルコニウムまたはそれらのハフニウムアナログなどの二−ハロゲン化物またはジアルキルがある。通常、用いられる触媒成分の量は決定的である。大量の触媒装填では、短い反応時間で高い変換が生じる傾向である。しかし、大量の触媒利用によって、生成プロセスは非経済的になり、反応熱、または反応温度を制御することが困難になる。従って、触媒生産性が最大であり、必要なメタロセンの量および活性剤の量を最小限にする触媒を選択することが有用である。触媒系がメタロセンに加えてメチルアルモキサンである場合、用いられるメチルアルモキサンの範囲は、典型的には、αオレフィン供給物の0.1ミリグラム(mg)〜500mg/gの範囲である。より好ましい範囲は、αオレフィン供給物の0.05mg〜10mg/gである。さらに、メタロセンに対するアルミニウムのモル比(Al/Mモル比)は、2〜4000、好ましくは10〜2000、より好ましくは50〜1000、好ましくは100〜500におよぶ。触媒系がメタロセンに加えてルイス酸またはイオン性プロモーターとNCA成分である場合、このメタロセン使用は典型的には、1グラムのαオレフィン供給物に対して0.01mg〜500mgというメタロセン成分の範囲である。通常は、好ましい範囲は、1グラムのαオレフィン供給物に対して0.1mg〜100mgのメタロセン成分の範囲である。さらに、メタロセンに対するNCA活性剤のモル比は、0.1〜10、好ましくは0.5〜5、好ましくは0.5〜3の範囲である。アルキルアルミニウム化合物の補助活性剤が用いられる場合、メタロセンに対するAlのモル比は、1〜1000、好ましくは2〜500、好ましくは4〜400の範囲である。
【0184】
典型的には、可能な最短の反応時間で供給αオレフィンにおける可能な最高の変換(ほぼ100%)を得ることが好ましい。しかし、CSTR操作では、時に、100%の変換よりわずかに低い至適変換で反応を行うことが有益である。生成物で可能な最も狭いMWDが所望されるとき部分的変換がより望ましい場合もある。なぜなら、部分的変換は、MWDの広幅化効果を回避し得るからである。反応がαオレフィンの100%未満の変換で行われる場合、他の生成物および溶媒/希釈液からの分離後の未反応の出発材料は、リサイクルされて、全体的なプロセスの効率を増大し得る。
【0185】
本明細書に記載される任意のプロセスのための所望の残留時間は、1分〜20時間、典型的には5分〜10時間の範囲である。これらのプロセスの各々はまた、単一のリアクター、並列又は直列リアクターの配置で使用されてもよい。液体プロセスは、オレフィンモノマーと上記の触媒系とを適切な希釈液または溶媒の中で接触させ、このモノマーを所望のポリマーまたはオリゴマーが生成するのに十分な時間反応させる工程とを包含する。脂肪族および芳香族の両方の炭化水素溶媒が適切である。芳香族、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、t−ブチルベンゼンが適切である。アルカン、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、イソペンタン、およびオクタン、ExxonMobil Chemial Company(テキサス州ヒューストン)のNorparまたはIsopar溶媒も適切である。一般には、触媒成分を溶解するにはトルエンが最も適切である。Norpar、Isopar溶媒またはヘキサンは反応希釈液として好ましい。しばしば、トルエンおよびNorparまたはIsoparの混合物が希釈剤または溶媒として用いられる。
【0186】
このプロセスは、連続撹拌タンクリアクター(continuous stirred tank reactor)、バッチ・リアクター、またはプラグ・フロー・リアクター(plug flow reactor)、または直列又は並列して運転される2つ以上のリアクターで行われ得る。これらのリアクターは、内部冷却を有してもなくてもよく、そしてモノマー供給物は、冷却されてもされなくてもよい。一般的なプロセス条件については、米国特許第5,705,577号の一般的開示を参照のこと。
【0187】
固体に支持された触媒が変換に用いられる場合、スラリー重合化/オリゴマー化プロセスは一般に、前に記載されたのと同様の温度、圧力および残留時間の範囲で機能する。スラリーの重合化またはオリゴマー化では、固体触媒の懸濁液、プロモーター、モノマーおよびコモノマーが添加される。希釈液を含む懸濁液はリアクターから間欠的にまたは連続的に取り出される。次いで、触媒は、濾過、遠心分離または沈下(settlement)によって生成物から分離される。次いで、この液体を蒸留して、溶媒、任意の未反応成分および軽生成物を除去する。溶媒および未反応成分または軽成分の一部または全てが再使用のためにリサイクルされ得る。
【0188】
用いられる触媒が支持されていない、溶液触媒である場合、反応が終了する(例えば、バッチ方式で)場合、または生成物がリアクターから抜き取られる場合(例えば、CSTR)、この生成物は依然として、可溶性の、懸濁された、または混合された触媒成分を含み得る。これらの成分は好ましくは、不活性化されるか除去される。任意の通常の触媒不活性化方法または水性洗浄方法を用いて触媒成分を除去してもよい。典型的には、この反応は、化学量論的な量または過剰の空気、水分、アルコール、イソプロパノールなどの添加によって不活性化される。次いで、この混合物を、水酸化ナトリウム希釈液で、または水で洗浄して、触媒成分を除く。次いで、残りの有機層を蒸留に供して、溶媒を除き、これは再使用のためにリサイクルしてもよい。この蒸留物はさらに、C18以下での任意の軽反応性生物を除いてもよい。これらの軽成分は、さらなる反応のための希釈剤として用いてもよい。またはそれらを、他の化学合成のためのオレフィンの原材料として用いてもよい。なぜなら、これらの軽オレフィン生成物は、高性能の液体において変換するためのさらなる官能化に最も適切である、ビニリデン不飽和を有するからである。またはこれらの軽オレフィン生成物は、高品質のパラフィン溶媒として用いられるように水素化されてもよい。
【0189】
水素なしでの重合化またはオリゴマー化はまた、不飽和二重結合の程度が高いポリマーまたはオリゴマーを得るのに有利である。これらの二重結合は、多様な能力の特徴を有する官能化された液体に容易に変換され得る。300より大きいMWを有するこれらのポリマーを変換する例は、アッシュレス(ashless)分散剤の調製において、見りことができ、ここれはポリマーと、無水マレイン酸とを反応させてPAOコハク酸無水物を得て、これを、次にアミン、アルコール、ポリエステルアルコールと反応させて分散剤に変換し得る。このような変換の例は、「Lubricant Additives:Chemistry and Application」Leslie R.Rudnick編,p.143〜170に見出され得る。
【0190】
別の実施形態では、本明細書で生成される任意のポリαオレフィンが水素化される。詳細にはポリαオレフィンは好ましくは、ヘテロ原子含有化合物を600ppm未満まで減らすように処理され、次いで、水素および水素化触媒と接触されて、1.8未満の臭素価を有するポリαオレフィンが生成される。好ましい実施形態では、この処理されたポリαオレフィンは、100ppm以下のヘテロ原子含有化合物、好ましくは、10ppm以下のヘテロ原子含有化合物を含む。(ヘテロ原子含有化合物とは、炭素および水素以外に少なくとも1つの原子を含む化合物である)。好ましくは、この水素化触媒は、支持された第7、8、9および10族の金属からなる群より選択され、好ましくは、この水素化触媒は、シリカ、アルミナ、粘土、チタニア、ジルコニアまたは混合金属酸化物支持体上に支持された、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、およびWの1つ以上からなる群より選択される。好ましい水素化触媒は、珪藻土上に支持されたニッケル、またはアルミナ上に支持された白金もしくはパラジウム、またはアルミナ上に支持されたコバルト−モリブデンである。通常、高いニッケル含量の触媒、例えば、珪藻土上の60%ニッケルの触媒が用いられるか、または支持触媒は、高い含量のCo−Moを有する。あるいは、この水素化触媒は、珪藻土、シリカ、アルミナ、粘土またはシリカ−アルミナ上に支持されるニッケルである。
【0191】
好ましい実施形態では、ポリαオレフィンを、水素および水素化触媒と、25〜350℃、好ましくは100〜300℃の温度で接触させる。別の好ましい実施形態では、ポリαオレフィンを、水素および水素化触媒と5分〜100時間、好ましくは5分〜24時間の間隔で接触させる。別の好ましい実施形態では、ポリαオレフィンを、水素および水素化触媒と25psi〜2500psi、好ましくは100〜2000psiの水素圧で接触させる。別の好ましい実施形態では、水素化プロセスは、ポリαオレフィン中のmmのトライアド基の数を1〜80%減少させる。好ましくは、PAOは、水素および水素化触媒との接触前に、ポリαオレフィンよりも10〜80%少ないmmトライアド基が少ない。PAOの水素化に対するさらなる情報については、米国特許第5,573,657号および「Lubricant Base Oil Hydrogen Refining Processes」(Lubricant Base Oil and Wax Processing,by Avilino Sequeira,Jr.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1994.の119〜152頁を参照のこと)。
【0192】
この水素化プロセスは、スラリーリアクター中でのバッチ操作において、または連続撹拌タンクリアクター(continuous stirred tank reactor)(CSTR)中で達成され得、ここで触媒は、PAO供給物の0.001重量%〜20重量%、または好ましくは0.01〜10重量%で、水素およびポリαオレフィンは連続してリアクターに添加されて、不飽和オレフィンの完全な水素化を可能にし、そしてmmダイアド(diads)の適切な変換を可能にする特定の残留時間、通常は5分〜10時間おかれる。添加される触媒の量は通常、触媒不活性化を補うための極めて少ない量である。この触媒およびおよび水素化PAOはリアクターから連続して抜き取られる。次いで、生成混合物を濾過するか、遠心分離するか、または沈下させて、固体水素化触媒を取り出す。この触媒は再生されるか、または再使用され得る。水素化されたPAOは、そのまま用いられてもよいし、または必要に応じて、さらに蒸留されるか、もしくは適切な成分に分画される。ある場合には、水素化触媒が、長期の操業にわたって触媒不活性化を示さない場合、撹拌タンク水素化プロセスは、固定量の触媒、通常総反応物の0.1重量%〜10%がリアクター中で維持され、そして水素およびPAO供給物のみがある速度で連続的に添加され、かつ水素化PAOのみがリアクターから抜き取られるという方式で実施され得る。
【0193】
この水素化プロセスはまた、固定床プロセスによって達成されてもよく、ここでは固体触媒が管型リアクターの内側に充填されて、リアクター温度まで加熱される。水素と、PAOと、触媒との間の接触を最大にし、かつ最良の熱管理を可能にするために、リアクターを通じて、頂部もしくは底部から同時に、または向流的に水素およびPAO供給物を供給してもよい。PAOおよび水素の供給速度は、適切な滞留を与え、供給物中で不飽和オレフィンの完全な水素化を可能にし、かつこのプロセス中のmmトライアドの所望の変換を可能にするように調節される。水素化されたPAO液は、必要に応じてそのまま用いられてもよいし、または、さらに蒸留されるか、もしくは適切な成分に分画されうる。通常は、完成された炭化水素PAO液は、2未満の臭素価を有し、かつ未水素化PAOよりも少ない量のmmトライアドを有する。
【0194】
この新規なポリαオレフィンは、単独で、または他の液体と混合して用いられる場合、独特の潤滑特性を有する。
【0195】
別の実施形態では、本発明の新規な潤滑剤は、本発明において生成されるPAOを、1つ以上の他のベースストックと一緒に含み、このベースストックとしては、適切な粘度等級を形成するために100℃で1.5〜100cStの粘度範囲を有する第I〜第V群のベースストックが挙げられる。さらに、以下の1つ以上の添加物:増粘剤、VI改良剤、抗酸化剤、耐磨耗添加剤、界面活性剤/分散剤/阻害剤(detergent/dispersant/inhibitor)(DDI)パッケージ、および/またはさび止め添加剤が添加されてもよい。好ましい実施形態では、本明細書で生成されるPAOを、1つ以上の分散剤、界面活性剤、フリクション・モディファイヤ、トラクション改善添加物、乳化破壊剤、消泡剤、発色団(色素)、および/または曇り阻害剤(haze inhibitors)のうちの1つ以上と組み合わされる。これらの完全に調整された潤滑剤を、自動車のクランクケースオイル(エンジンオイル)、工業用オイル、グリースまたはガスタービンのエンジンオイルに用いてもよい。これらは、完成した潤滑性調整物で用いられる添加物の例である。完全な合成、半合成または部分的合成潤滑剤または機能液の調整物におけるPAOの使用に対するさらなる情報は、「Synthetic Lubricants and High−Performance Functional Fluids」,第2版、L.Rudnickら、Marcel Dekker,Inc.,N.Y.(1999)に記述されている。生成処方物において用いられる添加物に対するさらなる情報は、「Lubricants and Lubrications,T.MangおよびW.Dresel編、Wiley−VCH GmbH,Weinheim 2001に記述されている。
【実施例】
【0196】
以下の実施例は、例示の目的で説明されているに過ぎず、かつ非限定的な例である。
【0197】
全ての実験で用いられる1−デセンは、1リットルの未処理原料と、20グラムの活性化13X分子篩(これは、乾燥窒素ガスをパージするストリームのもとで少なくとも4時間200℃で焼結することによって活性化された)および10グラムのOxi−Clear触媒(Altech Associates,Inc of Deerfield,IL 60115から購入)とを、少なくとも2日間、乾燥した窒素の不活性雰囲気下においてグローブボックス内で混合することによって精製した。次いで、この分子篩および酸素化触媒を、このグローブボックス中で濾過によって除いて、精製された1−デセンを得た。あるいは、この供給物は、窒素雰囲気下で活性化された13X分子篩のみの床を通過させて精製した。
【0198】
この重合化/オリゴマー化反応は、窒素(N)不活性雰囲気またはアルゴン不活性雰囲気下で行った。小規模のスクリーニング実験では、2.2グラムの精製された1−デセンを、総リアクター容積5.5mlのガラスライナー、撹拌装置および温度制御装置を装着した小さいステンレス鋼リアクターに添加し、続いて溶液の容積1mlあたり8.68mgのメチルアルモキサンを含有する希釈溶液に10重量%のMAO含有トルエン溶液を希釈することによって調製した0.668mlのメチルアルモキサン(MAO)が含有されるトルエン溶液を添加した。次いで、このリアクターを所望の反応温度に加熱して、所望の量のメタロセン触媒を含有するトルエンを添加して、重合化反応を開始した。3時間後、反応を、メタロセン触媒と等モルの二酸化炭素(CO)ガスの添加によってクエンチした。この重合化/オリゴマー化生成物は、ほぼ室温〜50℃で、高真空下で少なくとも2時間リアクター内容物をストリッピングし、溶媒、未反応の出発材料および二量体、すなわち、炭素原子が30未満である任意の成分を取り除くことによって単離した。分子量およびMw/Mnを含むこの生成物の特性を、テトラヒドロフランを溶媒として、そしてポリスチレンを較正標準として用いるゲル透過クロマトグラフィーによって分析した。残りの液体粘度は、液体の粘度に対するGPCにより測定したMwとを相関させる相関式によって計算した。用いた相関式は以下である:
Kv@100℃(cSt)=0.13+0.005578*Mw+1.37*10−6*(Mw)
【0199】
触媒の生産性は、生成物のグラムとして計算し、これは通常、1−デセンを供給物として用いた場合、1グラムのMAOあたりのC30およびより高次の成分である。NCAが共触媒として用いられる場合、この触媒生産性は、1グラムのメタロセン触媒(NCAも共活性剤も含まない)あたりの生成物(C30およびそれ以上)のグラムで算出した。
【0200】
実施例1〜10は、一般に上記のとおり行い、さらに」詳細な実験条件は下の表1に提供する。
【0201】
【表3】

【0202】
反応は、0.1マイクロモルの触媒を用いて行った、Al/Zrモル比=1000
触媒のタイプ
A ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド
B ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
C ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
D イソ−プロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
E rac−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド
F rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
G ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
**粘度は、以下の式を用いてGPCによって決定されたMwに基づいて算出した:
Kv@100℃(cSt)=0.13+0.005578*Mw+1.37*10−6*(Mw)
【0203】
実施例11〜17は、一般に上記のとおり行い、さらなる実験的な詳細は下の表2に示す。
【0204】
【表4】

【0205】
触媒のタイプ
H ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
I ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
J ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
K ビス(n−ドデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
L (メチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
**粘度は、以下の式を用いてGPCによって決定したMwに基づいて算出した:
Kv@100℃(cSt)=0.13+0.005578Mw+1.37*10−6*(Mw)
***生成物の収率重量%=100(残留重量/供給1−デセンの重量)
【0206】
実施例18〜26は、一般に上記のとおり行い、さらなる実験的な詳細は下の表3に示す。
【0207】
【表5】

【0208】
触媒のタイプ
M ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
N シクロペンタジエニル(インデニル)ジルコニウムジクロリド
O ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
P ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
Q ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
R ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド
S ビス(インデニル)ハフニウムジクロリド
**粘度は、以下の式を用いてGPCによって決定したMwに基づいて算出した:
Kv@100℃(cSt)=0.13+0.005578*Mw+1.37*10−6*(Mw)
***生成物の収率の重量%=100(残留重量/供給1−デセンの重量)
【0209】
実施例27〜32。このセットの実験では、反応は、2.017ミリモルのメチルアルモキサン(1.17グラムの10重量%をトルエン溶液中に含有)および8.07マイクロモルのメタロセン触媒を58グラムのトルエン溶媒中に溶解することによって調製した、180グラムの精製された1−デセンおよび触媒溶液を、反応温度まで加熱した180グラムの精製1−デセンを含有し、そして攪拌機および温度制御装置を装備した500mlの丸底フラスコ中に添加することによって行った。この反応混合物は、適切な反応温度で維持された。4〜10時間後、反応は、3mlのイソプロパノール、希HCl溶液の添加によってクエンチして、5%のNaOH溶液で洗浄した。全てのC20および低次の成分を除去するためこの有機層を分離して、完全真空下で蒸留した。次いで、C30および高次の成分を、珪藻土上ニッケル触媒(Nickel on Kieselguhr catalyst)を用いる典型的な水素化条件下で200℃で、800psi水素で、4〜8時間、水素化した。水素化後、サンプルの臭素価は1未満であった。次いで、この生成物の組成を、60メートルのDB1カラム(初期温度70℃/0分、10℃/分〜320℃)を装備したガスクロマトグラフィーによって分析した。実施例31のC3062成分の典型的なガスクロマトグラフィーは図4に示す。主な成分AおよびBは、公知の化合物に対するGC滞留時間の比較によって決定した。成分Aは、各々の1−デセン分子の単純な1,2−結合から生成されたオレフィンA”の水素化によって生成されると考えられる。成分Bは、鎖終結プロセスの間1,1−1結合から生成されるオレフィンB”の水素化によって生成されると考えられる。成分Bの存在は、このタイプの化学反応からは予想されない。
【0210】
成分B、1,1−オクチルドコサンの量は、表4に実証されたとおり、生成物の粘度に関連する。表4では、より高次の潤滑粘度であれば、より高次の成分Bの量が、1−デセン−三量体画分にある。これは、それまでの公知の化学からは全く予想されない。Bの存在は、液体特性に有益である。例えば、図5に示されるような十分に確定された化学反応経路に従ってn−ドデシルアルデヒドから独立して合成されたC3062B化合物(最終生成物B C3062,11−オクチルドコサン)は、100℃でのKv=4.1cStおよびVI=126という現行の低粘性PAO、または3.67という100℃でのKvおよびVI=130を有する合成されたC30Aと比較して、優れた粘性およびVI(Kvは100℃で=3.38cSt,VI=149)を有する。
【0211】
【表6】

【0212】
触媒タイプ:
A ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド
B ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
I ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
F rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
【0213】
高い粘性の液体における、1,1−接合の定量的な存在は、水素化前のオレフィン領域のプロトンNMRによって決定され得る。成分A”およびB”におけるオレフィンの炭素は、極めて異なる化学シフト(図6)を有する。オレフィン領域では、各々のオレフィンクラスは、以下の表に従って割り当てられる特徴的な領域で共鳴する:
【0214】
【表7】

【0215】
オレフィンを合計したものは、記載されたとおり小分割され得、そして各々のオレフィンタイプについて定量的な濃度が得られる。
【0216】
実施例33〜35。3つのポリ−1−デセンサンプルは、異なる温度でおよび生成物を水素化前にプロトンNMRによって分析したことを除いては、実施例31と同様の手順を用いて調製した。オレフィン分布は、上記のとおり決定し、そしてプロトンNMRスペクトルの典型的なオレフィン領域は図6に示す。このプロトンNMR分析から、総PAO生成物中の非水素化Bのモル%を産出した。水素化後、B”はB成分に変換される。B成分は、生成物の粘度で変化し、そして粘度が高い液体ほど、末端基において、より大量のB成分を有していた(表5)。
【0217】
【表8】

【0218】
実施例32で作成された生成物を、PCS Instruments Ltd製のMini−Mini−Traction Machine(MTM)を用いてEHL(弾性流体潤滑(elastohydrodynamic lubrication))トラクション能力(traction performance)について評価した。このデバイスは、各々がスライド速度およびローリング速度を変化させるために独立して駆動されるボール・オン・プレート構成(ball−on−plate configuration)を用いる。種々変化したスライディングおよびローリング速度のもとで、EHL接触が、ボールとプレートとの間で形成され、それによって表面を隔てる。この隔てられた表面によって潤滑性剪断効果を測定することが可能になるが、温度および接触圧力は、液体挙動の総合的なマップを作りだすために変化させた。図7に参照されるとおり、トラクション係数は、加えられた通常の力に対して測定されたEHLトラクション力の比((F/F)である。この結果は表Iに示す。
【0219】
【表9】

【0220】
図Iは、100cStの粘度(100℃)を有する従来のPAO、SpectraSyn(商標)100、SpectraSyn Ultra(商標)150および実施例32の水素化したポリオレフィンのトラクション係数(traction coefficient)を比較したものである。データに示されるとおり、水素化された実施例32の潤滑剤は、広範な試験圧力および温度にわたって一貫して低いトラクション係数を有する。トラクション係数が低いほど、より望ましく、そしてエネルギー効率にとって有利である(Reference−Synthetic Basics,Benefits of Synthetic Lubricants in Industrial Applications,W.R.Murphy、D.A.Blain、A.S.Galiano−Roth,J.Synthetic Lubrication,Jan.2002(18)p.301)。
【0221】
実施例36〜41。このセットの実験は、連続リアクターで行なった。これらの試行によって、活性剤として非配位性の陰イオン(non−cordinating anion)(NCA)を使用し、高い潤滑剤収率および/または狭い分子量分布が実証された。この試行で用いられた1−デセンおよびトルエンは、5Åの分子篩を通じて濾過した。用いられたメタロセン触媒は、ジメチルシリルビス[テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジメチルであった。用いられた活性剤は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(活性剤−AまたはNCA−Aと表示)であった。触媒溶液は、等モルのメタロセンと活性剤とをトルエン溶液中で事前混合して溶液1mlあたり0.8マイクロモルの触媒をた。この実験は、一連のデュアルリアクター連続溶液プロセスで行った。両方のリアクターとも、1リットルのオートクレーブリアクターであった。全ての供給物を第一のリアクター中に導入した。両方のリアクターを同じ反応温度で制御した。0.8マイクロモル/mlの触媒溶液、スカベンジャーのトリ−n−オクチルアルミニウム(TNOA)溶液、および精製された1−デセンを、反応温度まで加熱した1リットルのステンレスオートクレーブ中に連続的にポンプ投入した。反応生成物は、オートクレーブから連続的に抜き出して、クエンチして、水で洗浄した。有機層をさらに高温で蒸留してC20およびより軽い成分を除去した。これらのデータによって、NCA活性剤で、優れた触媒の生産性、変換および/または潤滑剤の収率が得られることが実証された。次いで、残留オイルを、1重量%の珪藻土上Ni触媒(Ni−on−Kieselguhr catalyst)を用いて200℃、800psi(5.5MPa)の水素圧力で4時間水素化させた。水素化後の全てのサンプルの臭素価は1よりかなり小さい。反応条件および水素化された最終潤滑剤特性は、以下の表6にまとめる。このセットのデータにより、広範な粘度が高い生産性で生成され得るということが実証される。また、これらのデータによって、86%〜51%におよぶ広範な範囲のmm内容物が生成され得ることが示される。
【0222】
炭素−13NMRを用いて、本発明のポリαオレフィンの立体規則性を決定した。炭素−13NMRは、mm(メソ、メソ)、mr(メソ、ラセミ)およびrr(ラセミ、ラセミ)で示される、存在しているトライアドの存在および量を決定し得る。mmまたはrrトライアドの広範な試行は、それぞれアイソタクチックおよびシンジオタクチックなポリαオレフィンに相当する。このポリデセンの立体規則性は、炭素−13 NMRによって試験した。これらのサンプルのスペクトルは、以下の方式で獲得した。ポリマーサンプルは、炭素分析のためにクロロホルム−dに溶解した。ほぼ10〜15mg/mlのクロムアセチルアセトネート弛緩剤(relaxation agent)Cr(acac)を炭素サンプルに添加して、データ取得速度を増強した。Varian INOVA 300またはVarian UnityPlus 500のいずれかで10mmの広範な帯域のプローブを用いてスペクトルを獲得し、各々のスペクトルについては8000〜12000のスキャンを得た。ポリデセンおよびポリドデセンでの3炭素化学シフトで、短鎖分枝(short chain branches)(SCB)の上での、Sαα骨格メチレン、ならびに8Bおよび7Bメチレン(デセンについて)、ならびに10B10および9B10メチレン(ドデセンについて)の立体規則性依存が明らかとなる:。ピークのデコンボルーションは、8Bまたは10B10ピークで行い、そして、I.Kim,J.−M.Zhou,およびH.Chungによる文献,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry 38(2000)1687〜1697に従ってモノマー立体化学トライアドに割り当てられた。Kimらの文献の図3は、関連する分枝メチレンの化学シフトオフセットが、分枝長によってどのように変化するかを示す。示された傾向に基づいて、我々はドデセン−およびデセン−ベースのSCBが両方とも十分な長さであって、8Bおよび10B10メチレンについての化学シフト割り当てに互換性があると考える。異なるαオレフィンのコポリマーが、モノマー配列効果によって複雑になったスペクトルを有するということもこの図より判る。さらに、いくつかのサンプルは、低Mn物質であり、鎖末端炭素からの効果が目的の領域で重複する寄与である。可能な場合、末端基共鳴が特定され組み込まれた。ピークに対するそれらの寄与は、分析から取り除いた。このデコンボリューションは、85/15ローレンツ(Lorentzian)/ガウス(Gaussian)線型を用いてAcorn NMR Inc.’s NutsPro NMRデータ分析ソフトウェアにより行った。この成分のピークは、mm(〜34.65−35.4ppm)、mr(〜34.2−34.65ppm)、およびrr(33.8〜34.2ppm)のトライアド割り当ておよびベルヌーイ分布に対する最小二乗最小化によるあてはめ(fit)に従って、クラスターに一緒にまとめられた。ラセミ体付加の確率Pは、調節可能なパラメーターである。立体のトライアド領域についての正確な化学シフトオフセットカットポイントは、溶媒のタイプ、温度、サンプル濃度および弛緩因子の濃度の関数としていくらか変化し得る。この領域の典型的なスペクトルを図8に示す。
【0223】
末端基関連共鳴は、42〜45ppmおよび35〜36.5ppmの領域でみられる。低Mn物質の視覚的検査によって、8Bまたは10B10領域に寄与する3つの末端基炭素が存在し、mm、mrおよびrrトライアド領域の各々に1つの炭素が存在することが示唆される。末端基補正に対する一次近似式として、42〜45および35〜36.5ppmの領域における末端基共鳴(検出される場合)を、デコンボリューションによって積分した。このようにして得た積分値を平均してmm、mrおよびrrトライアド領域の各々から差引いた。一般には、あてはめ(fit)の質はこのような補正によって改善される。炭素−13のデータは、表6に報告され、そしてモル%で報告される。
【0224】
分枝濃度はまた、NMR分光計によって決定した。炭素スペクトルについての特徴的なシフト範囲はメチル分枝について:20〜15ppm、プロピル分枝:15〜14.2ppm、ブチルおよびより長鎖の分枝:14.2〜13ppm、エチル分枝:12〜8ppmである。プロトンのスペクトルでは、メチルのプロトンは、1ppmの高磁場で共鳴し、そして異なる分枝によるシグナルはしばしば、分枝長さに対応した数量化を可能にするのに十分に分解され得る。この領域の典型的なスペクトルは、図9に示される。炭素スペクトルでは、分枝メチルシグナルの積分は、総スペクトル積分によって割ってもよく、そして結果は1000炭素あたりの分枝として表される。同じことがプロトンのスペクトルについてあてはまるが、積分は、関連する炭素のプロトン多重度(例えば、CH、CHまたはCH)について補正する必要がある。図9は、デセン炭素スペクトルのメチル領域を示す。
【0225】
【表10】

【0226】
実施例36および実施例37の生成物を、テーパー・ローラー・ベアリング剪断試験(tapered roller bearing shear test)(CECL−45−T/C)、重度粘性剪断安定性試験に20時間供した。試験の終了時、実施例36の液体は、そのもとの粘度をわずか0.77%失ったに過ぎない。実施例37の液体は、そのもとの粘性を−0.20%失った。この粘性の変化は、十分に粘性測定の実験誤差内である。このような顕著な剪断は、類似の粘性の範囲の他の液体については知られていない。この特性は、多くの高性能が求められる適用において、例えば自動車のエンジン、工業用、ギアオイルおよびグリースの処方物などにおいて重要であり得る。
【0227】
実施例42は、NCA活性剤とのメタロセン触媒の二ハロゲン化型の使用結果を実証する。用いたメタロセンは触媒Fであった。50グラムの精製1−デセンおよび31.74mgのトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を含有する反応フラスコを30℃に加熱した。このフラスコに、20mlのトルエン中の0.912mgのF触媒および0.801mgの活性剤−A触媒溶液を添加した。この温度で20時間の反応後、2mlのイソプロパノールを添加した。この反応混合物を、水洗浄した。この生成物を160℃/1mm−Hgの真空下で蒸留して、軽量物を除去した。残留潤滑剤の特性を表7にまとめる。実施例43〜46は、反応温度が異なることを除いて実施例42と同様である。実施例47は、触媒Iはメタロセンが用いられたこと以外は実施例42と同様である。
【0228】
【表11】

【0229】
これらの実施例42〜46によって、高品質の潤滑剤が高収率で生成され得ることが実証される。この潤滑剤は、高いVIおよび極めて狭いMw/Mnを有する。また、潤滑剤に対する高い選択性をこれらの触媒で得ることができる。
【0230】
表8の実施例48および49については、メタロセンは触媒Fであった。表8の実施例50については、メタロセンは触媒Iであった。
【0231】
【表12】

【0232】
表9の実施例51〜63によって、MAOまたはNCA活性剤で活性化された他のメタロセン触媒は、高収率で高品質の液体を生成し得ることが実証される。これらの実施例についての手順は、MAOが活性剤であった場合、実施例27〜32と同様であって、NCAが活性剤として用いられる場合、実施例42と同様であった。[注:これらのサンプルは、水素化されなかった]。実施例51〜56によって、広範な触媒が、高い程度のmmトライアドを有するポリマーを生成するために用いられ得ることが実証される。これらの触媒は、触媒F、EおよびTを含むラセミ触媒;および高度に置換された触媒Uを含む。実施例59〜62によって、メソ型触媒を水素なしで用いて、mmトライアドの程度が低く(例えば、40%未満)水素化前に臭素価が最大6という液体が生成されることが実証される。これは、米国特許第6706828号と比べた場合、予期されないものである。
【0233】
【表13】

【0234】
触媒タイプ
T Rac−ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ZrCl2
U ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ZrCl2
V meso−ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ZrCl2
W meso−エチレンビス(インデニル)ZrCl2
**この表中のサンプルは、水素化されておらず、そして臭素価は、水素化前に測定した。
***NCA活性剤Aを用いた。
【0235】
実施例64〜69によって、重合化工程から生成されたポリαオレフィンの水素化の利点が実証される。この水素化反応では、実施例52のポリαオレフィンを、珪藻土(Kieselguhr)水素化触媒上の3重量%のNi(〜60%)と一緒にオートクレーブに充填して、水素でパージして空気を除き、そして水素により800psi(5.5MPa)に加圧して、撹拌しながら250℃に加熱した。このサンプルを異なる反応期間、水素化させた。全ての水素化サンプルは0.5未満の臭素価を有する。液体の他の特性を、表10にまとめる。これらのデータによって、重合化後の水素化が、臭素価を1未満に低下するだけでなく、また、26〜95モル%のmmトライアドを有するポリαオレフィンを生成できるということも実証される。さらに、水素化されたサンプル対水素化されてないサンプルのDSCを比較して、この水素化サンプルは、融解熱(ΔHm,j/g)および結晶化熱(ΔHc,j/g)が低下していた。サンプルの水素化は、表10に示されるように融解および結晶化熱を低下し得る。
【0236】
【表14】

【0237】
DSC(示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry))は、Perkin Elmer DSCを用いて測定した。10mgのサンプルを10℃/分で150℃まで加熱し、次いで1分あたり10℃で−100℃まで冷却した。融解および冷却の間の結晶化の総熱量は、Perkin Elmer提供の標準的なソフトウェアを用いて融解および結晶化のピークに対応する熱を積分することによって測定した。
【0238】
実施例70〜74は、各々の実験に1−ヘキセンを用いた以外は、実施例31と同様に行った。用いた触媒および活性剤の量は、生成物の特性と一緒に表11にまとめる。このセットの実施例によって、他のαオレフィンを用いて、高い品質の液体を生成できることが実証された。
【0239】
【表15】

【0240】
表12の実施例75〜78は、1−ヘキセンが出発物質として用いられたこと以外は、実施例42〜46と同様である。これらの実験で、1−ヘキセンは、メタロセンおよびNCA活性剤およびトリアルキルアルミニウム化合物を補助活性剤として用いて高品質の液体に重合化され得ることが実証された。
【0241】
【表16】

【0242】
種々の反応温度および類似の反応手順で触媒E(rac−エチレンビス(インデニル)ZrCl2)を用いて、水素なしで42cSt〜1029cSt(実施例79〜82の表13)の範囲の有用な100℃の粘性を有する生成物を得た。
【0243】
【表17】

【0244】
本発明で生成された生成物の組成は、米国特許第6706828号および国際公開第02/14384号で生成された組成物とは異なる。本発明は、メタロセン触媒をMAOまたはNCA活性剤とともに、必要に応じて低水素割合または水素なしで補助活性剤とともに(通常は、200psi未満の水素、好ましくは水素が50psi未満かまたはなし)、重合化工程の間に用いる。対照的に米国特許第号6706828号および国際公開第02/14384号は、米国特許第6,706,828号の実施例Dまたは国際公開第021484号の実施例JおよびKに報告されるとおり、水素の存在下でメソ触媒から生成物を生成した。図1は、本発明と、米国特許第6,706,828号の実施例1、2、8、9、10、11および12において生成されたポリマーの臭素価とを比較する。
【0245】
比較の実施例1では、反応は、米国特許第6706828号の実施例Dと同様に、200psiの水素および触媒T(rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドの存在下で行った。結果を表12にまとめる。ポリαオレフィンサンプルは、C30画分中のB成分のZモル%について分析した。このZモル%の量は、図2にプロットした。
【0246】
比較の実施例2および3は、反応水素圧力が100および50psiであったこと以外は、比較の実施例1と同様であった。次いで、ポリαオレフィンサンプルをC30画分におけるB成分のモル%について分析した。比較の実施例4は、反応を110℃で行ったこと以外は、比較の実施例1と同様であった。
【0247】
【表18】

【0248】
比較の実施例1〜4のBのモル%の量対、実施例27〜35によるBのモル%の量を図2にプロットする。
【0249】
また、三級CHに結合され隔てられたCHの量は、炭素13NMR法によって分析して、表12にまとめる。図10は、重合化の間に水素の存在下で生成した比較の実施例1〜3の1000炭素あたりのCHの量を、重合化の間、酸素なしで生成した実施例36〜41の1000炭素あたりのCHと比較する。このグラフによって、実施例36〜41の組成物が、1000炭素あたりかなり少ないメチル基を有するということが明確に示される。メチル基の量が少ないほど、潤滑の特性には有利である。なぜなら、本発明では、余分なメチル基なしの三量体C30H62(化合物B)が、余分な短い分枝鎖を有する現行のPAOの三量体よりも優れた粘性係数、特にVIを有するということを以前に示しているからである。さらに、CH分枝が少ないほど、炭化水素構造で三級水素が少ないことを意味する。この三級水素は酸化的分解を受け易い傾向がある。このことは、CH分枝が少なく、三級水素が少ない組成物ほど、酸化的分解を受けにくいということを示唆する。
【0250】
表13では、比較の実施例4由来の不飽和タイプは、実施例33または76から生成された不飽和のタイプとは極めて異なるということが示される。200psi水素を用いた比較の実施例4では、不飽和二重結合の52%が三置換オレフィンであった。対照的に、水素がリアクターに添加されなかった実施例33または76では、不飽和二重結合のうちわずか10〜17%のみが、MAOまたはNCAのいずれかを補助活性剤として三置換されたオレフィンである。
【0251】
【表19】

【0252】
好ましい実施形態では、本明細書で生成されるポリαオレフィンは、より高い臭素価を有し、三置換オレフィンの量は、先行技術より極めて低いか、および/またはビニリデン+1,2−二置換オレフィンの量が高い。さらなる好ましい実施形態では、本明細書で生成されたPAOは、ポリマー生成物における頭−頭結合から形成されると考えられるB”構造をより大量に有する。3。さらに好ましい実施形態では、本明細書で生成されたPAOは、より高いモル%のmm含量(>40%)を有する。さらに好ましい実施形態では、本明細書で生成されたPAOは、頭−頭結合によって形成されるより高いモル%のB”を有する。これは、GCによるC30−B成分がより高いこと、またはB”構造の二置換オレフィンの予想されない、より高いモル%によって示される。
【0253】
ポリαオレフィンについてのこれらの構造的な相違は、潤滑剤ベースストック特性をさらに改善するために通常実施されるとおり、二重結合を除去するための水素化工程の後に存続する。水素化後、上記の実施例は、同じ重合化触媒が用いられた場合でさえ、比較の実施例よりもポリマー中の1000炭素あたりの隔てられたCHの量が少なかった。これらの実施例では、重合化の後にサンプルを水素化することが好ましい。この水素化工程の間、ポリマー中のmm含量のモル%を調整し得る。本発明では水素化条件の選択によって、同じモル%のmm含量を維持し得、または本発明者らは、mm含量のモル%を大きく40より下に下げ得る。
【0254】
実施例90、91および92は、重合化における僅かの量のエチレンの存在を図示する場合を示す。この手順、触媒、活性剤および反応条件は、エチレンが存在することを除いて、実施例46と同じであった。
【0255】
【表20】

【0256】
本明細書に記載される全ての書類は、参照によって本明細書に援用され、これには、それらが本明細書と矛盾する場合を除いて、任意の優先権の基礎となる書類および/または試験手順を含む。前述の一般的な説明および特定の実施形態から明らかであるように、本発明の形態が、図示および記載されているが、種々の改変が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得る。従って、本発明はそれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0257】
【図1】実施例および米国特許第6,706,828号由来の特定のPAOについての臭素価対KV100のグラフである。
【図2】実施例および比較の実施例1〜4由来の特定のPAOについてのB成分のモル%(GCまたはプロトンNMRによる)対KV100のグラフである。
【図3】頭−頭(head to head)結合を含む、A”、B”、AおよびB成分の形成についての可能性のある反応スキームである。
【図4】実施例31のC30H62画分のガスクロマトグラフィーである。
【図5】C30H62 Bの独立した合成のための可能性のある反応スキームである。
【図6】実施例35PAOのオレフィン領域のプロトン−NMRである。
【図7】SpectraSyn 100およびSpectraSyn Ultra 150と比較した実施例32の水素化PAOについてのトラクション結果のグラフである。
【図8】実施例36の8B領域の炭素13NMRスペクトルである。
【図9】実施例56についての炭素13NMRのスペクトルのメチル分枝およびC3+分枝領域を示す図である。
【図10】実施例36、37、38、39、40、41および比較の実施例1〜4についての1000個の炭素あたりのメチル対KV100のグラフである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが:
a)40モル%以上のmmトライアド(triad)と、
b)Y以上の臭素価であって、Yが89.92*(V)−0.5863であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、臭素価と、
c)7モル%以上で存在する1,2−二置換オレフィンと、
を有するポリαオレフィン。
【請求項2】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが:
a)40モル%以上のmmトライアドと、
b)1.8以下の臭素価と、
c)以下の式:
【化1】

で提示されるZモル%以上の単位とを有し、
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、
ポリαオレフィン。
【請求項3】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが:
a)40モル%未満のmmトライアドと、
b)1.8以下の臭素価と、
c)以下の式:
【化2】

で提示されるZモル%以上の単位とを有し、
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16であり、nが1〜350の整数であり、かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、
ポリαオレフィン。
【請求項4】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが:
a)40モル%未満のmmトライアドと、
b)Y以上の臭素価であって、Yが89.92×(V)−0.5863であり、Vが100℃で測定されたcStでの動粘性係数である、臭素価と、
c)以下の式:
【化3】

で提示されるZモル%以上の単位とを有し、
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16であり、nが1〜350の整数であり、かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、
ポリαオレフィン。
【請求項5】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが以下の式:
【化4】

で提示されるZモル%以上の単位とを有し、
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、かつ
Z=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、
ポリαオレフィン。
【請求項6】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、40モル%以上のmmトライアドと、300ppm未満の第4族金属とを有する、ポリαオレフィン。
【請求項7】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、40モル%以上のmmトライアドと、100ppm未満の第13族金属とを有する、ポリαオレフィン。
【請求項8】
50モル%を超える1つ以上のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、40モル%以上のmmトライアドと、600ppm未満のアルミニウムとを有する、ポリαオレフィン。
【請求項9】
50モル%を超えるC5〜C24αオレフィンモノマーを含み、かつ100,000以下のMwおよび1より大きくかつ2.5未満であるMw/Mnを有する、ポリαオレフィン。
【請求項10】
前記ポリαオレフィンが1と2.5との間のMw/Mnを有するポリデセンである、請求項1〜9のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項11】
前記ポリαオレフィンが1.8以上の臭素価を有する、請求項1、4、5、6、7、8、9または10に記載のポリαオレフィン。
【請求項12】
前記ポリαオレフィンが、1より大きく3.5までのMw/Mnを有する、請求項1、2、3、4、5または6のいずれかの請求項に記載のポリαオレフィン。
【請求項13】
前記ポリαオレフィンが1より大きく2.5までのMw/Mnを有する、請求項1、2、3、4、5または6に記載のポリαオレフィン。
【請求項14】
前記ポリαオレフィンが1.5〜5000cStという100℃での動粘性係数を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項15】
前記ポリαオレフィンが2〜3000cStという100℃での動粘性係数を有する、請求項1〜14のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項16】
前記ポリαオレフィンが3〜1000cStという100℃での動粘性係数を有する、請求項1〜15のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項17】
前記ポリαオレフィンが4〜100,000cStという40℃での動粘性係数を有する、請求項1〜16のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項18】
前記ポリαオレフィンが6〜50,000cStという40℃での動粘性係数を有する、請求項1〜17のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項19】
前記ポリαオレフィンが10〜30,000cStという40℃での動粘性係数を有する、請求項1〜18のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項20】
前記ポリαオレフィンが100以上の粘度係数を有する、請求項1〜19のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項21】
前記ポリαオレフィンが120以上の粘度係数を有する、請求項1〜20のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項22】
前記ポリαオレフィンが130以上の粘度係数を有する、請求項1〜21のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項23】
前記ポリαオレフィンが120と450との間の粘度係数を有する、請求項1〜22のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項24】
前記ポリαオレフィンが0℃以下の流動点を有する、請求項1〜23のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項25】
前記ポリαオレフィンが−30℃以下の流動点を有する、請求項1〜24のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項26】
前記ポリαオレフィンが−10℃と−80℃との間の流動点を有する、請求項1〜25のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項27】
前記ポリαオレフィンが−15と−70℃との間の流動点を有する、請求項1〜26のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項28】
前記ポリαオレフィンが100,000g/mol以下という重量平均分子量を有する、請求項1〜27のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項29】
前記ポリαオレフィンが100〜100,000g/molという重量平均分子量を有する、請求項1〜28のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項30】
前記ポリαオレフィンが280〜50,000g/mol以下という重量平均分子量を有する、請求項1〜29のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項31】
前記ポリαオレフィンが336〜40,000g/molという重量平均分子量を有する、請求項1〜30のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項32】
前記ポリαオレフィンが200cSt未満というKV100を有する、請求項2に記載のポリαオレフィン。
【請求項33】
5〜24個の炭素原子を有する前記モノマーが55モル%以上で存在する、請求項1〜32のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項34】
上記ポリαオレフィンが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ウンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−ペンタコセン、1−ヘキサコセン、4−メチル−1−ペンテン、4−フェニル−1−ブテン、および5−フェニル−1−ペンテンからなる群より選択される、請求項1〜33のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項35】
前記ポリαオレフィンが、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセンおよび1−ヘキサデセンからなる群より選択される、請求項1〜34のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項36】
前記ポリαオレフィンが、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセンおよび1−ヘキサデセンからなる群より選択される、請求項1〜35のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項37】
前記ポリαオレフィンが、オクテン、デセン、およびドデセンを含む、請求項1〜36のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項38】
前記ポリαオレフィンが2.5以下という誘電率(23℃で1kHz)を有する請求項1〜37のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれかに記載のポリαオレフィンであって:
a)100℃で3〜3000cStという動粘性係数と、
b)110〜400という粘度係数と、
c)−10℃未満という流動点と、
d)150℃以上という引火点と、及び
e)テーパー・ローラー・ベアリング剪断安定性試験における6%未満の粘度低下と、
を有する、ポリαオレフィン。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれかに記載のポリαオレフィンであって:
a)100℃で3〜3000cStという動粘性係数と、
b)135〜400という粘度係数と、
c)−10℃未満という流動点と、
d)200℃以上という引火点と、及び
e)テーパー・ローラー・ベアリング剪断安定性試験における3%未満の粘度低下と、
を有する、ポリαオレフィン。
【請求項41】
前記ポリαオレフィンが、0.75〜0.96g/cmという比重を有する、請求項1〜40のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項42】
エチレン、プロピレンおよびブテンモノマーが、1重量%未満で存在する、請求項1〜41のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項43】
5〜24個の炭素原子を有する前記モノマーが、60モル%以上で存在する、請求項1〜42のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項44】
5〜24個の炭素原子を有する前記モノマーが、70モル%以上で存在する、請求項1〜43のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項45】
5〜24個の炭素原子を有する前記モノマーが、80モル%以上で存在する、請求項1〜44のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項46】
5〜24個の炭素原子を有する前記モノマーが、90モル%以上で存在する、請求項1〜45のいずれかに記載のポリαオレフィン。
【請求項47】
3以上の臭素価を有する、請求項1、4、5、6、7、8または9に記載のポリαオレフィン。
【請求項48】
5以上の臭素価を有する、請求項1、4、5、6、7、8または9に記載のポリαオレフィン。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれかに記載のポリαオレフィンを含む潤滑組成物。
【請求項50】
ポリαオレフィンを生成するためのプロセスであって:
1)5〜24個の炭素原子を有する少なくとも1つのαオレフィンモノマーと、ラセミ体メタロセン触媒化合物および活性剤とを重合化条件のもとで接触させる工程であって、もし水素が存在するならば、水素はリアクターの全圧力に基づいて、200psi(1379kPa)以下の分圧で存在し、5〜24個の炭素原子を有する該αオレフィンモノマーが、リアクター中に(存在する触媒、モノマーおよび任意の希釈液または溶媒の総容積に基づいて)10容積%以上存在する工程と;
2)少なくとも50モル%のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが、5000cSt未満という100℃での動粘性係数を有し、かつ該ポリαオレフィンが以下の式:
【化5】

で提示されるZモル%以上の単位とを有し、
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、かつZ=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、ポリαオレフィンを得る工程と、
を包含する、プロセス。
【請求項51】
ポリαオレフィンを生成するためのプロセスであって:
1)5〜24個の炭素原子を有する少なくとも1つのαオレフィンモノマーを含む供給ストリームと、メタロセン触媒化合物および非配位性陰イオン性活性剤、および必要に応じてアルキル−アルミニウム化合物とを重合化条件のもとで接触させる工程であって、5〜24個の炭素原子を有する該αオレフィンモノマーが、リアクター中に(存在する触媒、モノマーおよび任意の希釈液または溶媒の総容積に基づいて)10容積%以上存在し、供給ストリームが、300ppm未満のヘテロ原子含有化合物を含み;及び少なくとも50モル%のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンは5000cSt未満という100℃での動粘性係数を有する、ポリαオレフィンを得る工程と、
を包含する、プロセス。
【請求項52】
ポリαオレフィンを生成するためのプロセスであって:
1)5〜24個の炭素原子を有する少なくとも1つのαオレフィンモノマーを含む供給ストリームと、ラセミ体メタロセン触媒化合物およびアルモキサン活性剤、ならびに必要に応じてアルキル−アルミニウム化合物とを重合化条件のもとで接触させる工程であって、もし水素が存在するならば、水素はリアクターの全圧力に基づいて、1379kPa以下の分圧で存在し、5〜24個の炭素原子を有する該αオレフィンモノマーが、リアクター中に(存在する触媒、モノマーおよび任意の希釈液または溶媒の総容積に基づいて)10容積%以上存在し、かつ供給ストリームが、600ppm未満のヘテロ原子含有化合物を含む工程と;
2)少なくとも50モル%のC5〜C24αオレフィンモノマーを含むポリαオレフィンであって、該ポリαオレフィンが、5000cSt以下という100℃での動粘性係数を有し、かつ以下の式:
【化6】

で提示されるZモル%以上の単位を有するポリαオレフィンを得る工程であって、
ここでj、kおよびmは各々が独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22であり、nが1〜350の整数であり、かつZ=8.420*Log(V)−4.048であり、Vが100℃で測定されたcStでのポリαオレフィンの動粘性係数である、工程と、
を包含する、プロセス。
【請求項53】
請求項50、51または52のいずれかに記載のプロセスであって、さらに
1)必要に応じて前記ポリαオレフィンを処理して、ヘテロ原子含有化合物を600ppm未満に減少させる工程と、
2)必要に応じて溶媒または希釈剤から該ポリαオレフィンを分離する工程と;
3)ポリαオレフィンと水素および水素化触媒とを接触させる工程と;
4)1.8未満の臭素価を有するポリαオレフィンを獲得する工程と、
を包含する、プロセス。
【請求項54】
前記ポリαオレフィンが、水素および/または水素化触媒との接触前にヘテロ原子含有化合物を除去するために処置される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記処理されたポリαオレフィンが、100ppm以下のヘテロ原子含有化合物を含む、請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
前記処理されたポリαオレフィンが、10ppm以下のヘテロ原子含有化合物を含む、請求項54に記載のプロセス。
【請求項57】
前記活性剤が、メチルアルモキサンおよび/または修飾されたメチルアルモキサンを含む、請求項50または52に記載のプロセス。
【請求項58】
前記活性剤が、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルフェニルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ここで、アルキルは、C1〜C18アルキル基である)、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリ−アルキルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ここで、アルキルは、C1〜C18アルキル基である)、テトラ−アルキルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ここで、アルキルは、C1〜C18アルキル基である)のうちの1つ以上を含む、請求項51に記載のプロセス。
【請求項59】
前記メタロセンが、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;rac−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド;rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド;ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;シクロペンタジエニル(インデニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;または
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのうちの1つ以上を含む、請求項50、51、52、53、54、55、56、57または58に記載のプロセス。
【請求項60】
アルキルアルミニウム化合物が存在し、該アルキルアルミニウム化合物が、式RAlによって提示され、各々のRが独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、n−ヘプチル、イソ−ヘプチル、n−オクチル、イソ−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびそれらのイソ−アナログからなる群より選択される、請求項50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59に記載のプロセス。
【請求項61】
前記プロセスが連続的なプロセスである、請求項50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60に記載のプロセス。
【請求項62】
請求項61に記載のプロセスであって、連続的なプロセスであり:
a)少なくとも10モル%の1つ以上のC5〜C24αオレフィンを含む供給ストリームをリアクター中に連続的に導入する工程と、
b)メタロセン化合物および活性剤を該リアクター中に連続的に導入する工程と、
c)必要に応じて補助活性剤を該リアクター中に連続的に導入する工程と、
d)該リアクターからポリαオレフィンを連続的に抜き取る工程と、
を包含する、プロセス。
【請求項63】
前記リアクターにおいて重量で1000ppm以下の水素濃度を維持する工程をさらに包含する、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
請求項62または63に記載のプロセスであって、さらに
1)必要に応じて、前記ポリαオレフィンを連続的に処理して、ヘテロ原子含有化合物を600ppm未満に減少させる工程と、
2)前記ポリαオレフィンと水素および水素化触媒とを連続的に接触させる工程と;
3)1.8未満の臭素価を有するポリαオレフィンを連続的に獲得する工程と、
を包含する、プロセス。
【請求項65】
5〜18個の炭素原子を有する2つのモノマーが、前記ポリαオレフィンに存在する、請求項50〜64のいずれかに記載のプロセス。
【請求項66】
前記リアクター中の温度が、−10℃〜250℃である、請求項50〜65のいずれかに記載のプロセス。
【請求項67】
前記温度が、30℃〜220℃である、請求項66に記載のプロセス。
【請求項68】
前記温度が、50℃〜180℃である、請求項66に記載のプロセス。
【請求項69】
前記温度が、70℃〜150℃である、請求項66に記載のプロセス。
【請求項70】
前記リアクター中の圧力が、0.1〜100気圧である、請求項50〜69のいずれかに記載のプロセス。
【請求項71】
前記圧力が、0.5〜75気圧である、請求項70に記載のプロセス。
【請求項72】
前記圧力が、1〜50気圧である、請求項70に記載のプロセス。
【請求項73】
前記モノマー、メタロセンおよび活性剤が、1秒〜100時間の滞留時間接触させられる、請求項50〜72のいずれかに記載のプロセス。
【請求項74】
前記モノマー、メタロセンおよび活性剤が、30秒〜50時間の滞留時間接触させられる、請求項73に記載のプロセス。
【請求項75】
前記モノマー、メタロセンおよび活性剤が、2分〜6時間の滞留時間接触させられる、請求項73に記載のプロセス。
【請求項76】
前記モノマー、メタロセンおよび活性剤が、1分〜1時間の滞留時間接触させられる、請求項73に記載のプロセス。
【請求項77】
溶媒または希釈剤が存在する、請求項50〜76のいずれかに記載のプロセス。
【請求項78】
前記溶媒または希釈剤が、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン,イソプロピルベンゼン、およびn−ブチルベンゼンからなる群より選択される、請求項77に記載のプロセス。
【請求項79】
前記溶媒または希釈剤が、トルエンおよび/またはキシレンおよび/またはエチルベンゼンを含む、請求項77に記載のプロセス。
【請求項80】
前記モノマーが、前記メタロセン化合物および前記活性剤と前記リアクター中で接触され、かつ該リアクターが連続撹拌タンクリアクターである、請求項50〜79のいずれかに記載のプロセス。
【請求項81】
前記モノマーが、前記メタロセン化合物および前記活性剤と前記リアクター中で接触され、かつ該リアクターが連続的管状リアクターである、請求項50〜79のいずれかに記載のプロセス。
【請求項82】
前記モノマーが、前記メタロセン化合物および前記活性剤と前記リアクター中で接触され、かつ該リアクターがバッチリアクターである、請求項50〜79のいずれかに記載のプロセス。
【請求項83】
補助活性剤が存在し、前記モノマーが、前記メタロセン化合物および前記活性剤と接触させられる、請求項73〜76のいずれかに記載のプロセス。
【請求項84】
前記モノマーが、前記メタロセン化合物および前記活性剤と液相中で接触させられる、請求項50〜82のいずれかに記載のプロセス。
【請求項85】
前記モノマーが、前記メタロセン化合物および前記活性剤とスラリー相中で接触させられる、請求項50〜82のいずれかに記載のプロセス。
【請求項86】
前記モノマーが、アルキルアルミニウム化合物と、前記リアクターへの導入の前に接触させられる、請求項50〜85のいずれかに記載のプロセス。
【請求項87】
前記メタロセンおよび/または活性剤が、アルキルアルミニウム化合物と、前記リアクターへの導入の前に混合される、請求項50〜86のいずれかに記載のプロセス。
【請求項88】
前記アルキルアルミニウム化合物が、式:RAlによって提示され、各々のRが独立してC1〜C20アルキル基であり、かつn−アルキルまたはイソ−アルキル基であり得る、請求項86または87に記載のプロセス。
【請求項89】
前記R基が独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、n−オクチル、ノニル、イソノニル、n−ノニル、デシル、イソデシル、n−セシル、ウンデシル、イソウンデシル、n−ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、およびn−ドデシルからなる群より選択される、請求項88に記載のプロセス。
【請求項90】
前記R基が独立して、イソブチル、n−オクチル、n−ヘキシル、およびn−ドデシルからなる群より選択される、請求項88に記載のプロセス。
【請求項91】
アルキルアルミニウム化合物が存在し、かつ該化合物が、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−ドデシルアルミニウムから選択される、請求項50〜85のいずれかに記載のプロセス。
【請求項92】
前記ポリαオレフィンが、水素および支持された第7、8、9および10族金属からなる群より選択される、水素化触媒と接触させられる、請求項50〜92のいずれかに記載のプロセス。
【請求項93】
前記ポリαオレフィンが、水素と、ならびにシリカ、アルミナ、粘土、チタニア、ジルコニア、または混合された金属酸化物支持体上に担持される、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、およびWのうちの1つ以上からなる群より選択される水素化触媒と接触させられる、請求項50〜92のいずれかに記載のプロセス。
【請求項94】
前記水素化触媒が、珪藻土、シリカ、アルミナ、粘土、またはシリカ−アルミナ上に支持されるニッケルである、請求項93に記載のプロセス。
【請求項95】
前記ポリαオレフィンが、水素および水素化触媒と、25〜350℃の温度で接触させられる、請求項50〜94のいずれかに記載のプロセス。
【請求項96】
前記ポリαオレフィンが、水素および水素化触媒と、100〜300℃の温度で接触させられる、請求項50〜96のいずれかに記載のプロセス。
【請求項97】
前記ポリαオレフィンが、水素および水素化触媒と、5分〜100時間の間接触させられる、請求項50〜96のいずれかに記載のプロセス。
【請求項98】
前記ポリαオレフィンが、水素および水素化触媒と、5分〜24時間の間接触させられる、請求項50〜97のいずれかに記載のプロセス。
【請求項99】
前記ポリαオレフィンが、水素および水素化触媒と、25psi〜2500psiの水素圧力で接触させられる、請求項50〜98のいずれかに記載のプロセス。
【請求項100】
前記ポリαオレフィンが、水素および水素化触媒と、100〜2000psiの水素圧力で接触させられる、請求項50〜98のいずれかに記載のプロセス。
【請求項101】
ポリαオレフィン中のmmトライアド基のモル%を減少させるためのプロセスであって、請求項1〜49のいずれかに記載のポリマーと、水素化触媒および水素とを接触させ、該水素および水素化触媒との接触の前にポリαオレフィンよりも1〜80%少ないmmトライアド基を有するポリαオレフィンを回収することを包含する、プロセス。
【請求項102】
前記ポリαオレフィンが、10〜75%少ないmmトライアド基を有する、請求項101に記載のプロセス。
【請求項103】
前記ポリαオレフィンが、25〜70%少ないmmトライアドを有する、請求項101に記載のプロセス。
【請求項104】
前記供給オレフィンが、分子篩、活性化アルミナ、シリカゲルおよび/または精製粘土と接触されて、該供給中のヘテロ原子含有化合物を100ppmより下回るレベルに低減させられる、請求項50〜53に記載のプロセス。
【請求項105】
潤滑剤であって、
従来のベースストックと;
請求項1〜50のいずれかに記載の組成物を含むポリαオレフィンと、
を含む潤滑剤。
【請求項106】
請求項105に記載の潤滑剤であって、前記従来のベースストックが、第I族、第II族、第III族、第IV族、第V族、またはGTL潤滑油ベースストックおよびその混合物から選択される、潤滑剤。
【請求項107】
請求項105または106に記載の潤滑剤であって:増粘剤、抗酸化剤、インヒビターパッケージ、錆止添加物、分散剤、界面活性剤、フリクション・モディファイヤ、トラクション改善添加物、乳化破壊剤、消泡剤、発色団(色素)、粘度指数改善剤、流動点降下剤、耐摩耗添加剤、極圧添加剤および/または曇り阻害剤のうちの1つ以上をさらに含む、潤滑剤。
【請求項108】
請求項105、106または107に記載の潤滑剤であって、前記ポリαオレフィンが、前記潤滑剤中に、該潤滑剤の重量に基づき0.01重量%〜95重量%で存在する、潤滑剤。
【請求項109】
前記供給オレフィンを、分子篩、活性化アルミナ、シリカゲル、酸素除去触媒および/または精製粘土と接触させて、該供給中のヘテロ原子含有化合物が50ppmを下回るレベルに低減させられる、請求項50〜53に記載のプロセス。
【請求項110】
前記供給オレフィンを、分子篩、活性化アルミナ、シリカゲル、酸素除去触媒および/または精製粘土と接触させて、該供給中のヘテロ原子含有化合物が10ppmを下回るレベルに低減させられる、請求項50〜53に記載のプロセス。
【請求項111】
前記水素化触媒が、支持されたCoおよびMoであって、さらに、Ni、Pt、Pd、Rh、Fe、Ru、Os、Cr、およびWからなる群より選択されるプロモーターを含む、請求項93に記載のプロセス。
【請求項112】
前記水素化ポリαオレフィンが、25〜70モル%のmmトライアドおよび1未満の臭素価を有する、請求項101に記載のプロセス。
【請求項113】
前記水素化ポリαオレフィンが、25〜70モル%のmmトライアドおよび0.5未満の臭素価を有する、請求項101に記載のプロセス。
【請求項114】
前記メタロセンが、ラセミ体メタロセン、メソメタロセンまたは非架橋メタロセンからなる群より選択される、請求項51に記載のプロセス。
【請求項115】
請求項51に記載のプロセスであって、前記メタロセンが、rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ZrX、メソ−エチリデンビス(インデニル)ZrX、(RCp)ZrXまたは(RInd)ZrX)、エチリデンビス(RCp)ZrX、ジメチルシリルビス(RCp)ZrX、エチリデンビス(RInd)ZrX、ジメチルシリルビス(RInd)ZrX、からなる群より選択され、Xが、ハロゲン、置換もしくは非置換フェニル基、またはC1〜C20アルキル基であり、Cpが、シクロペンタジエニル環であり、RがC1〜C20アルキル基であり、nがCpの置換の程度を示す数であり、かつ0〜5の数であり、Indが、インデニル環であり、mが、Indの置換の程度を示す数であり、かつ0〜7の数である、プロセス。
【請求項116】
前記メタロセンが、rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、および/またはmeso−エチリデンビス(インデニル)ジルコニウムジメチルである、請求項51に記載のプロセス。
【請求項117】
請求項51に記載のプロセスであって、前記メタロセンが、Yメチリデン(RCp)(RFlu)ZrXまたはYシリル(RCp)(RFlu)ZrXであり、Yが独立して、C1〜C20アルキルまたは置換もしくは非置換フェニル基であり、Xが、ハロゲン、置換もしくは非置換フェニル基、またはC1〜C20アルキルであり、Cpが、シクロペンタジエニル環であり、RがC1〜C20アルキル基であり、nがCpの置換の程度を示す数であり、かつ0〜5の数であり、Fluが、フルオレニル環であり、mが、Fluの置換の程度を示す数であり、かつ0〜9の数である、プロセス。
【請求項118】
前記プロセスがバルクプロセスである、請求項1〜117のいずれかに記載のプロセス。
【請求項119】
エチレンが、前記モノマー供給中で、0.5〜10モル%で存在する、請求項1〜118のいずれかに記載のプロセス。
【請求項120】
少なくとも50モル%の5〜24個の炭素原子および0.5〜20モル%のエチレンを含むポリαオレフィンであって、ポリαオレフィンに存在する少なくとも80%の前記エチレンが、炭素13NMRで測定した場合、1〜35個以下の炭素の連続数中に存在する、ポリαオレフィン。

【公表番号】特表2009−501836(P2009−501836A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522781(P2008−522781)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/021231
【国際公開番号】WO2007/011459
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】