説明

ポリエチレンテレフタレートシース/熱可塑性重合体コアからなる2成分繊維、その製造法およびそこから製造される製品

【課題】安価で、優れた毛管作用、吸収性および濾過特性を有する多孔質要素に用いる2成分繊維の提供。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体からなるシースで完全に被覆された、低コスト、高強度の熱可塑性材料のコアを含んでなるシース−コア2成分繊維を製造し、メルトブロー加工することにより得られる2成分繊維。この繊維から筆記用器具のインク貯蔵部、煙草フィルターに適した自己支持性の3次元的多孔質要素が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独特の重合体状2成分繊維およびその様な繊維からサーマルボンディングにより様々な製品を製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、熱可塑性材料のコアがポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体のシースにより実質的に完全に被覆されている、新規な、シース−コアをメルトブロー加工した2成分繊維の製造および使用に関する。
【0002】
ここで使用する用語「2成分」とは、繊維構造の別個の部分に配置された、異なった化学的性質を有する2種類の重合体の使用に関する。他の形態の2成分繊維も可能であるが、より一般的な技術では、2種類の重合体が「サイド‐バイ‐サイド」または「シース−コア」の関係にある製品を製造する。本発明は、「シース−コア」型2成分繊維の製造に関し、そこでは押し出した繊維を細くするために好ましくは「メルトブロー加工」繊維製造法を使用することにより、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体のシースが紡糸され、比較的低コストの、収縮程度が低く、強度が高い熱可塑性重合体材料、例えばポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレート、のコアを完全に覆い、包み込んでいる。
【0003】
ここで使用する用語「ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体」は、2成分繊維の熱可塑性コア材料の融点よりも高い融点を有する、ポリエチレンテレフタレートの単独重合体またはその共重合体を意味する。
【背景技術】
【0004】
繊維の製造に使用する従来の線状ポリエステルは、エチレングリコール(1,2エタンジオール)とテレフタル酸(ベンゼン−パラ−ジカルボン酸)の反応生成物である。これらの分子のそれぞれが対向する末端に反応性の箇所を有する。これによって、最初の反応により生じた、より大きな分子が同じ様に再度反応することができ、反復単位、つまり「マー」からなる長い鎖が形成される。同じ重合体は、エチレングリコールおよびテレフタル酸ジメチル(ベンゼン−パラ−ジカルボン酸ジメチル)からも工業的に製造される。広範囲な固有粘度を有するポリエステルが本発明で使用できると考えられるが、固有粘度の低いポリエステルが好ましい。
【0005】
エチレングリコールの一部を他のジオールで置き換えるか、またはテレフタル酸の一部を他のジ酸で置き換えることにより、より不規則な「共重合体」が得られる。テレフタル酸ジメチルを他のジメチルエステルで置き換えても、同じ効果が得られる。この様に、反応物および置き換えの程度は広範囲に選択することができる。
【0006】
規則的に反復する線状重合体から離れる程、結晶化はより困難に(遅く)なり、より不完全になる。このことは、融解範囲がより低く、より広くなることに反映される。過剰に置き換えると、完全に非晶質の重合体が得られるが、これは本発明には使用できない。
【0007】
DuPont製のCrystar(商品名) 1946または3946は、本発明の2成分繊維の製造およびそこから製造された製品におけるシース形成材料として効果的に使用されている。この共重合体は、テレフタル酸ジメチルの17%をイソフタル酸ジメチル(ベンジル−メタ−ジカルボン酸ジメチル)で置き換え、ピーク融点を258℃から215℃に下げている。この融点は、それでもポリプロピレンの融点(166℃)を優に超えている。
【0008】
40%ジメチルイソシアネートを含むDuPont製のCrystar(商品名) 3991は融点が160℃であり、すなわちポリプロピレンの融点166℃よりも僅かに低い。したがって、ポリプロピレンコアを含む2成分繊維に関しては、約35重量%までのジメチルイソシアネートまたはイソシアン酸を含有するポリエチレンテレフタレートの共重合体が商業的に受け入れられると考えられる。
【0009】
代わりの反応体の包括的なリストを作成することは困難であるが、ジオールとして使用しうる他の適当な物質はプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびブチレングリコールであり、ジ酸として使用しうる他の適当な物質はアジピン酸およびヒドロキシベンゼン酸である。
【0010】
ここで使用する用語「メルトブロー加工」は、繊維押出しダイの出口で高圧ガス流を使用し、繊維をそれらの溶融状態にある間に細く、または薄くすることを意味する。単一の重合体成分からなる繊維のメルトブロー加工は、1951年にNaval Research Laboratory により始められた。この研究の結果は、非特許文献1に発表された。7年後、Exxon は最初の大型メルトブロー加工の実証装置を完成させた。例えば、メルトブロー加工製造法の包括的な考察に関しては、Buntinの特許文献1〜3( 特許文献1〜3の主題全体をここに参考として含める)を参照するとよい。
【0011】
メルトブロー加工されたポリプロピレン単成分繊維は、現在、微粒子空気および液体フィルター、および高吸収性体液媒体(おむつ)を包含する様々な製品の製造に使用されている。しかし、その様な繊維は剛性が低く、圧縮された時の回復性が非常に低い。その上、これらの繊維はサーマルボンディングし難く、化学的な手段で結合させるのが困難である。そのため、これらの繊維は、薄い多孔質不織ウェブの製造には効果的に使用されているが、3次元的な、自己支持型製品、例えばインク貯蔵部、煙草フィルター、化学および医学試験装置用のガーゼ芯、および平らな、または波形のフィルターシート、の製造には商業的に使用されていない。
【0012】
ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、から形成されたメルトブロー加工された単成分繊維は、なおのこと、商業的に使用されていない。ほとんど延伸されておらず、結晶化していないその様な繊維は、約70℃より高い温度に加熱すると、急速に収縮して極端に脆くなる。この問題の包括的な考察およびメルトブロー加工されたポリエステルウェブを揮発性溶剤、例えばアセトン、で処理し、それらを安定化させる提案は、Pruettら、特許文献4(特許文献4の主題全体をここに参考として含める)に記載されている。特許文献4には、メルトブロー加工したポリエステルの、この業界で問題とされている種類の良い定義が与えられているが、特許文献4で提案されている解決策は、環境的に問題がある、または少なくとも、安全に実行しても、極めて高価である。本発明は、特許文献4に記載されているポリエステルに関する安定性不足の問題を、商業的および生態学的により受け入れられる様式で解決する。
【0013】
2成分繊維のメルトブロー加工は、最近開発された技術であり、Krugerの特許文献5( 特許文献5の主題全体をここに参考として含める)に非常に特殊な用途に関して記載されている。Bergerの係属中の米国特許出願第08/166,009号明細書、1993年12月14日提出(その主題全体をここに参考として含める)、も関連があり、この出願明細書には、主として煙草用フィルターを製造するための、熱可塑性材料、例えばポリプロピレン、およびその他、のコアの上に、可塑化酢酸セルロース、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、またはエチレンビニルアルコール共重合体のシースを有する、非常に細い2成分繊維の製造に対するこの方法の使用が記載されている。
【0014】
2成分繊維に関する極めて広範囲な先行技術、および限られてはいるがメルトブロー加工された2成分繊維に関する先行技術があるにも関わらず、ポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレートの様な熱可塑性樹脂コアの上に、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体のシースを含んでなる本発明のシース−コアの組合せは、独特であると考えられ、メルトブロー加工されていても、されていなくても、これまで予想されなかった特性を有する。しかし、この特に関連する先行技術が無いことは、驚くには当たらない。というのは、2成分繊維はこれまで一般的に、不織布の製造、例えば上記の 特許文献5に見られる様な顔用マスク、およびその他、の成形における、あるいはフィルター製品、例えばTomioka らの特許文献6またはSugiharaらの特許文献7( 特許文献6および7の主題全体をここに参考として含める)に見られる様な煙草フィルター、の製造におけるサーマルボンディング材料として、主に提案されているからである。しかし、その様な用途には、繊維周辺の大部分を、それと組み合わされた重合体の融点よりも低い融点を有する重合体で形成させる必要がある。この様にして、その様な2成分繊維から製品を成形または形成させる際、これらの繊維をこれら重合体の融点の間の温度に加熱し、高融点重合体材料に悪影響を及ぼさずに、表面にある低融点重合体を接着剤として作用させることができる。明らかに、これらの先行技術によるシース−コア構造では、シースは低融点重合体から形成させなければならず、さもなくば組合せ製品が有効なサーマルボンディング特性を持たなくなる。
【特許文献1】米国特許第3,595,245号明細書
【特許文献2】米国特許第3,615,995号明細書
【特許文献3】米国特許第3,972,759号明細書
【特許文献4】米国特許第5,010,165号明細書
【特許文献5】米国特許第4,795,668号明細書
【特許文献6】米国特許第4,173,504号明細書
【特許文献7】米国特許第4,270,962号明細書
【特許文献8】米国特許第3,094,736号明細書
【特許文献9】米国特許第3,095,343号明細書
【特許文献10】米国特許第3,111,702号明細書
【特許文献11】米国特許第4,286,005号明細書
【特許文献12】米国特許第4,729,808号明細書
【特許文献13】米国特許第3,176,345号明細書
【特許文献14】米国特許第3,192,562号明細書
【特許文献15】米国特許第4,406,850号明細書
【特許文献16】米国特許第4,380,570号明細書
【特許文献17】米国特許第4,731,215号明細書
【特許文献18】米国特許第3,825,379号明細書
【特許文献19】米国特許第4,869,275号明細書
【特許文献20】米国特許第4,355,995号明細書
【特許文献21】米国特許第3,637,447号明細書
【非特許文献1】Industrial Engineering Chemistry 48, 1342 (1956)
【発明の開示】
【0015】
先行技術の2成分技術と対照的に、本発明のシース−コア2成分繊維における重合体の配置は、低融点の低収縮性重合体、例えばポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレート、のコアの上に、高融点重合体、すなわちポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体、の連続被覆を含んでなる。その様な繊維は、特にメルトブロー加工した時に、様々な商業的用途に有用なウェブまたは粗糸 (roving)およびそれらの製品を製造するのに非常に適している。さらに、溶融紡糸されたポリエステル/ポリプロピレン2成分繊維を製造し、次いで細くしようとする初期の試みは、繊維の界面における剥がれのために断念されたと考えられる。本発明の技術により、シース−コア2成分構造をメルトブロー加工することにより、その様な様々な重合体から細い繊維を製造することができる。
【0016】
本発明の第一の目的は、マーキングおよび筆記用器具用の、細長い多孔質のインク貯蔵材料を製造することである。インク貯蔵部は、従来、繊維の束をまとめて棒状の単位に圧縮することにより形成され、繊維間を通って伸びる縦方向の毛管通路を有し、これらの通路がインクを保持し、必要な制御された速度でインクを放出する。多年の間、インク貯蔵部の製造に一般的に使用されている繊維材料は、まとまった本体に容易に熱結合され、使用の際にはインク処方物のすべての成分と相容性がある、可塑化された酢酸セルロース繊維であった。
【0017】
例えば、Bunzl らの特許文献8(特許文献8の主題全体をここに参考として含める)には、吸収材料本体として、主として縦方向に不規則に配向したフィラメントを集め、複数の間隔をおいた位置でその様なフィラメント用の熱活性化された可塑剤により結合したトウまたはトウ部分を有するマーキング装置が開示されている。本体に剛性を与え、取り扱い易くするために、不透過性の材料で上から包んでいる。
【0018】
特許文献8では用語「フィラメント性トウ」が定義されているが、その様な連続したフィラメント性トウは、Bergerの特許文献9および10(特許文献9および10の主題全体をそれぞれここに参考として含める)にも記載されている。その様なフィラメント性トウは一般的に少なくとも50%の酢酸セルロース繊維を含んでなる。その様なトウ本体は、可塑剤で結合され、剛性を与える。 特許文献10は、トウ材料を取り扱い、水蒸気処理し、主として縦方向に不規則に配向した繊維の連続した本体を形成する装置を示している。「縦方向に不規則に配向した」の句は、全体として縦に整列し、その集合体の中で、平行な向きにあるが、多かれ少なかれ不規則に、平行でない、広がる、および収束する方向に走る短い部分を有する繊維の本体の状態を説明している。特許文献10には、未加工のトウを結合させ、張力を加え、含浸し、連続したカールしていないフィラメントの可塑剤含浸層を形成させ、次いでその様な含浸層を最終的な未加工形状に集めると同時に、またはその直後に、連続したフィラメント性トウを硬化させる方法が開示されている。その様な未加工トウを取り扱うための装置が示されている。未加工トウは、トウを分離するジェットを有する装置を通して供給梱から取り出し、可塑化装置が可塑剤を繊維に加える。繊維は同時に一つに集められ、加熱されて硬化した状態になる。これらの先行技術のBerger特許明細書で酢酸セルローストウを加工するのに使用される装置の幾つかは、以下に詳細に説明する様に、恐らく僅かな修正を加えるだけで、本発明のメルトブロー加工した2成分繊維ウェブの製造法に有用であろう。
【0019】
以前から、酢酸セルロースとの相容性が無く、これを劣化させる傾向があるインク処方物が開発されている。そのため、様々な熱可塑性繊維、特に細いデニールのポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート、が、使い捨ての筆記およびマーキング器具用のインク貯蔵部要素の製造に使用する重合体として、酢酸セルロースに置き換わっている。残念ながら、その様なポリエステル繊維は、従来のポリエチレンテレフタレート繊維の結晶性が高いために熱的に結合させることが実質的に不可能である。樹脂結合は遅く、高価であり、インクの吸収性を大幅に低下させる。延伸していないポリエチレンテレフタレート繊維は結晶化されず、熱的に結合できるが、その様な非晶質重合体は通常の使用で過度に収縮して脆くなる。
【0020】
したがって、その様な材料から一体的なインク貯蔵部を形成させるための技術では、一般的に外部の接着剤を配合する必要がある、および/または多孔質の棒をプラスチックフィルムで覆う、つまり被覆し、自己耐久性を与えている。ポリエステル重合体は比較的高価でもある。追加の材料を必要とすること、またはその様な材料からインク貯蔵要素を商業的に製造する加工技術により、製造コストがさらに高くなる。
【0021】
添加接着剤を使用せずにポリエステル繊維同士を熱結合させる努力はあまり成功していない。結晶性ポリエステル重合体の軟化点が狭いために、トウの様な延伸したポリエステル繊維を熱結合させることは商業的に実現されていない。上記の様に、延伸されていない、または非晶質のポリエステル繊維は熱結合可能であるが、製造される製品は加工の際に過度に収縮するので使用できない。その上、その様な材料は筆記具の保存に必要な温度で、市販のインクの存在下で安定性が不足している。
【0022】
そのため、ポリエステル繊維製のインク貯蔵部が、繊維の結合していない束を圧縮し、その上にフィルムを被せて棒状に保持することにより商業的に製造されたことがある。その様な貯蔵部が取り入れられている筆記具の設計に応じて、必要であれば、空気放出通路として、繊維束とその上の被覆の間に配置された直径の小さなプラスチック製の「通気」管を備えることができる。
【0023】
その様なフィルムを上に被せたポリエステル繊維インク貯蔵部は、平行な連続フィラメント繊維で製造した場合、主として繊維先端部またはペン先を使用する種類のマーキングまたは筆記具で使用するのに、良好なインク保持能力およびインク放出特性を有している。しかし、より最近の開発である、急速なインクの放出、または「ウェッター」機構を必要とするローラーボール筆記具には、その様なインク貯蔵部は商業的に受け入れられない。繊維密度を下げること、および/または繊維の大きさを変えることにより、インク放出速度を増加させる試みは、1)最初から最後まで、放出が均一ではない、2)繊維密度の低下により、貯蔵部のインク保持能力が低下する、3)低密度ポリエステルトウにより形成される「ロッド」は非常に柔らかく、高速度の自動化された商業的製造装置で取り扱うことが困難である、および4)インクが余りにもゆるく保持されるために、その様な貯蔵部を取り入れた筆記具を落下させると、「漏れ」が起こることがあるので、あまり成功していない。「漏れ」を試験するには、ペンなどを、その先端を前にして硬い表面上に落とす。インクが漏れたり、噴出した場合、その製品は使用できない。
その様な「漏れ」を解決するために、低密度でインクをより効率的に保持する、不規則な繊維を有するポリエステル細片が使用されている。細片型のポリエステルインク貯蔵部も、柔らか過ぎる傾向があり、過度の重量変動のためにローラーマーカーへのインクの流れを制御するのが困難であることが多い。
【0024】
連続フィラメントの平行繊維からではなく、不規則に置いたステープルファイバーから貯蔵部を形成させることにより、短い貯蔵部のインク放出特性は増加することが分かったが、十分なインク保持能力を得るために必要な長い貯蔵部では、この構造は効率的に機能するキャピラリティーが不足している。
【0025】
これらの先行技術の問題の幾つかは、Bergerの特許文献11(特許文献11の主題全体をここに参考として含める)に記載されている技術により解決された。特許文献11のインク貯蔵部は、ローラーマーカーおよびプラスチックペン先を含む、様々な種類のマーキングまたは筆記具で効果的なインク保持能力およびインク放出特性の組合せを提供する。その様なインク貯蔵部は、不規則に配置され、高度に分散した連続フィラメント接合部が相互に接続された網目構造からなる柔軟な熱可塑性繊維状材料の緊密なシートから形成され、これに複数の縦に伸びる平行な溝がエンボス加工され、寸法的に安定したロッド状本体に形成または圧縮されており、その縦軸がエンボス加工された溝と平行に伸びている。このインク貯蔵部は、特定の胴設計に対して「通気」路が必要である場合、その本体の周囲の全長に沿って連続的に伸びる縦方向のスロットを備えることができる。特許文献11のインク貯蔵部は、先行技術の製品の多くの問題点を解決しているが、残念ながら、比較的高価な材料を使用する必要があり、複雑な形状を有し、その理由から、商業的には受け入れられていない。
【0026】
ほとんどの市販されているポリエステルインク貯蔵部は、現在、Bergerの特許文献12(特許文献12の主題全体をここに参考として含める)に記載されている製造法により製造されているが、この製造法は、延伸する、およびカールする、または捩じれる能力を含む珍しい特性を有する、「仮性捩じれ延伸ヤーン(false twist stretch yarn)」と呼ばれることが多い原料延伸ヤーンを使用している。特許文献12の製品および製造法は、上記の先行技術の問題点の実質的にすべてを解決し、そのため、マーキングおよび筆記用器具市場で著しい成果をあげている。しかし、仮性捩じれ延伸ヤーンは、一般的に平均でフィラメント1本あたり2デニールまたは直径約12ミクロンを超える溶融紡糸繊維を使用する必要がある。ウェッター機構の中には大きい繊維が効果的であるものもあるが、大きい繊維はより大きな体積をとるので、インクを保持するための隙間が小さくなり、したがって、貯蔵部の容量が小さくなる。仮性捩じれ延伸ヤーンでは達成できない約12ミクロン未満の小さなサイズの繊維は、容量を下げずに、より優れた放出圧を与える。ある種の表面張力が非常に低いインク組成物で特に問題となる漏れを最少に抑える高い放出圧は、仮性捩じれ延伸ヤーンでは達成が困難である。漏れを改善するために密度を増加させると、容量がさらに低下する。
【0027】
上記の様に、現在使用されているインク処方物と相容性があるところからインク貯蔵部の製造で極めて効果的なポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、は、他の重合体材料と比較して高価である。したがって、マーキングまたは筆記具でインクを調整しながら放出することができ、且つ、妥当なインク保持容量を有するインク貯蔵部の製造に必要なポリエチレンテレフタレートの量を最少に抑えられることが非常に望ましい。ポリエチレンテレフタレートの大部分を低コストの重合体で置き換える2成分繊維の使用には問題がある。ポリエチレンテレフタレートが、それと組み合わせる一般的な熱可塑性重合体、例えばポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレート、よりも高い融点を有するからである。そのため、インクとの必要な相容性を得るためにシースが実質的にすべてポリエチレンテレフタレートであるシース−コア2成分繊維には、インク貯蔵部として商業的に使用するための実質的に自己支持型の多孔質ロッドを製造するのに十分な結合性がないことが予想される。その上、高容量の多孔質ロッドを形成することができる細い2成分繊維を製造するために、従来の伸長または延伸技術によりその様な材料を細くすることには、組み合わせた重合体の加工特性に差があり、延伸の際にシースからコアが剥離または分離するので、限界がある。これらの、および他の予想される問題のために、マーキングおよび筆記用器具用のインク貯蔵部の製造に2成分繊維形成技術を使用することがこれまで制限されてきた。ここで本発明は驚くべきことに、加工技術および材料を注意深く選択することにより、完全なポリエチレンテレフタレートシースを有する2成分繊維を商業的に加工し、効率が高く、コストが低いインク貯蔵部を製造できることを見出した。 本発明の原理の第一の用途はマーキングおよび筆記用器具に使用するインク貯蔵部の製造であるが、本発明の2成分繊維は他の多くの商業的に重要な製品の製造にも効果的に使用できる。例えば、その様な繊維から形成されるシートは優れた濾過特性を有し、ポリエチレンテレフタレートの融点が比較的高いために、高温濾過環境中で特に有効である。その上、インク貯蔵部として使用できる同じ多孔質のロッドが、濾過用途における様に、ガスまたは液体をその中に通した時に、微粒子状物質を捕獲するのに効果的な曲がりくねった隙間通路を画成する、連続繊維の網目構造を含んでなる。その様な物質から製造されたフィルターロッドは、実質的に自己支持性であり、例えばフィルター付き煙草などの製造における煙草フィルター素子として使用した時に、商業的に許容できる硬度、圧力低下、吸引抵抗、および濾過特性を与える。その様なフィルター素子の2成分繊維におけるポリエチレンテレフタレート重合体シースの味覚特性は多くの喫煙者に受け入れられないかも知れないが、煙を変性させる、または味を変化させる物質を繊維の表面に加えること、または煙草抽出物またはメントールの様な物質をシース形成重合体の中に配合することで、この問題を解決できると考えられる。その上、シース−コア2成分押出しダイの出口で生じる硬度の乱流環境の中に、本発明のメルトブローにより細くする技術で使用する高圧ガス流により添加剤、例えば煙草フィルター要素の気相濾過効率を高める活性炭の粒子、を導入することにより、ウェブまたは粗糸、および最終的にそこから製造されるフィルターロッドの中に添加剤が驚く程均質に配合され、結合される。
【0028】
例えば、本発明の2成分繊維は、ウィック貯蔵部、すなわちマーキングおよび筆記用器具用のインク貯蔵部の様に液体を吸収し、後でその液体を調整しながら放出する様に設計された材料、の製造に重要な商業的用途を有する。また、これらの2成分繊維は、シートまたはロッド形態でも、フィルターの製造に特に有用である。
【0029】
さらに、その様な材料は、キャピラリティーが高いために、ある場所から他の場所へ液体を輸送するための単純なウィックの製造で効果的に機能する。これらの材料のウィック特性は、例えばある種のマーキングおよび筆記用器具に見られる繊維状ペン先の製造に使用できる。この性質を有するウィックは、様々な医学的用途、例えば毛管作用により体液を試験箇所から診断装置に輸送すること、にも有用である。
【0030】
本発明の2成分繊維から製造される製品は、ウィックまたはウィック貯蔵部として有用であるのみならず、吸収貯蔵部として、すなわちおむつや失禁パッドにおける様に液体を吸収し、単純に保持するためのメンブランとしても使用できる。この種の吸収貯蔵部は、医学的用途にも効果的である。例えば、その様な材料の層またはパッドは、酵素免疫検定診断試験装置にも使用でき、そこでは、それらの材料が、例えば体液中の抗原と相互作用するモノクローナル抗体を塗布した薄いメンブランの微細孔を通して体液を吸引し、体液を吸収貯蔵部中に保持する。 上記の様に、本発明の好ましい実施態様により、2成分繊維は、メルトブロー加工技術を使用することにより、2成分シース−コア押出しダイから出る時に非常に細くなり、繊維が平均で約12ミクロンまたはそれ未満の、5ミクロンまで、および1ミクロンまでの、直径を有するウェブまたは粗糸を製造する。サイズがより大きい溶融紡糸繊維、またはさらに大きな、恐らく20ミクロンのオーダーのメルトブロー加工した繊維は、ある種の用途、例えば毛管作用よりも強度がより重要なある種のウィック用途に有用であるが、本発明の原理により可能な細いメルトブロー加工繊維は、上記の用途のほとんどで重大な優位性を有する。例えば、インク貯蔵部の製造に使用する場合、これらの直径の小さな繊維は、ポリエチレンテレフタレートだけで製造された現在入手可能な従来のインク貯蔵部よりも大きい表面積および高い保持容量を与える。同様に、本発明のメルトブロー加工された2成分連続フィラメントからなる細い繊維は、濾過効率が高い煙草フィルター要素を生み出し、同じ繊維重量で繊維表面積を増加させる。
【0031】
この様に、ポリプロピレンまたは他の結晶性重合体コアの上にポリエチレンテレフタレートの連続シースを含む本発明の2成分繊維、特にメルトブロー加工された2成分繊維は、独特で、商業的に重要な特性を有する。メルトブロー加工された単成分ポリエステル繊維と対照的に、本発明のメルトブロー加工された2成分繊維は、脆くなく、熱による収縮がはるかに小さいことを立証している。本発明のメルトブロー加工された2成分繊維は、非晶質の状態で約6%しか収縮せず、90℃以上に加熱してポリエチレンテレフタレートを結晶化した後は収縮はゼロである。このことは、従来のメルトブロー加工されたポリエチレンテレフタレートの40〜60%収縮と異なっている。
【0032】
本発明の繊維の剛性は、従来のメルトブロー加工されたポリプロピレンのそれよりも大きく、このことは、かさがより大きく、より弾性があることに反映されている。その上、2成分繊維の剛性および製品の結合により、インク貯蔵部の製造に現在使用されているものよりも薄い被覆材料を使用することができる。同様に、連続した結晶化ポリエチレンテレフタレート被覆を有する本発明のメルトブロー加工された2成分繊維の耐溶剤性は、芳香族、脂肪族および塩素化溶剤にさらした時に、ポリプロピレン繊維よりはるかに優れている。
【0033】
本発明の繊維から形成されるウェブまたは粗糸は、ポリエチレンテレフタレートシースの、コア材料の融解温度よりも低い温度で結晶化する独特な特性のために、加熱流体、例えば熱風、飽和水蒸気、または他の加熱媒体、で熱的に結合させることができる。ポリエチレンテレフタレートシースは、集めたメルトブロー加工されたウェブまたは粗糸中で、90℃位まででなお非晶質である。ウェブまたは粗糸を集め、水蒸気処理または他の加熱区域で成形する時、繊維がそれらの接触点で結合し、ポリエチレンテレフタレートが結晶化する。加熱工程の際、より高い融解温度を有する結晶性のコア材料がシースを支持し、ポリエチレンテレフタレートが結晶化する時に2成分繊維の収縮を最少に抑える。しかし、約90℃を超える温度に加熱されると、成形された製品が比較的自己支持性になり、結晶化したポリエチレンテレフタレートがシースに耐溶剤性を与える。
【0034】
本発明のメルトブロー加工された2成分繊維を形成させるための独特な方法により、押出し、メルトブロー加工、および得られた繊維ウェブを細長い実質的に自己支持性の多孔質ロッドに加工する作業を1工程または連続製造法で行なうことができ、該ロッドをさらに切断し、例えばインク貯蔵部または煙草フィルターとして使用することができる。多孔質ロッドは、必要に応じて、フィルムまたは塗料で連続的に包むか、または被覆し、通常の様式で多孔質ロッドの周辺部に沿って縦方向に空気通路を連続的に形成させることができる。同様に、多孔質ロッドを煙草フィルターとして使用する場合、ロッドを個々のフィルターロッドまたはフィルタープラグに切断する前に、必要に応じて、通気性または非通気性の紙フィルターラップの中に連続的に収容することができる。
【0035】
上記のことから、本発明の第一の目的は、比較的低コスト、低収縮性で高強度の熱可塑性重合体材料、例えば、好ましくはポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレート、のコアを被覆する、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体の連続シースを含んでなる2成分重合体繊維の製造、およびその繊維からサーマルボンディングにより製造される製品である。上記の様に、その様な2成分繊維は、特にメルトブロー加工された時、同等の直径を有するメルトブロー加工された単成分繊維よりも大きな剛性を有し、しかも脆くなく、かさがより大きく、弾性がより高い繊維状集合体を与える。
【0036】
より詳しくは、本発明は、熱可塑性コアの上にポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体の完全なシースを有する2成分繊維の製造法に関し、そこにおいて、繊維は好ましくは、平均で、約12ミクロンまたはそれ未満の直径を有し、低繊維重量で高い表面積を与えるものである。
【0037】
本発明の別の重要な目的は、主として縦方向に不規則に配向し、接触点で互いに結合され、高い表面積および好ましくは70%を超える非常に高い気孔率を与える、高度に分散した連続繊維の相互接続する網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブから形成され、繊維の少なくとも主要部分、好ましくは全部が、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体の連続的なシースを含んでなり、約100℃までの温度で寸法的に安定しており、一般的な有機インク溶剤、例えばアルコール、ケトンおよびキシレン、に対して少なくとも約60℃まで耐性を有する実質的に自己支持性の3次元多孔質材料を提供することである。無論、本発明の製品は様々な大きさおよび形状を有することができる。例えばインク貯蔵部または煙草フィルターとして使用する様な多くの場合、その様な材料は一般的に細長く、実質的に円筒形である。さらに、例えば他の用途に使用する場合、それらの特定の用途に応じて研磨または他の通常の様式で、3次元的な材料に形状を与えることができる。用語「細長い多孔質なロッド」とは、これらの材料の多くを説明するために使用するが、無論、この用語は、円筒形が適当である場合を除き、その様な形状に限定するものではない。
【0038】
本発明のもう一つの目的は、2成分押出し技術をメルトブロー加工により細くする方法と組み合わせて、コア材料の融点よりも低い温度で結合し得る、実質的に非晶質のポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体のシースを含む、高度にからみあわせた細い繊維のウェブまたは粗糸を製造し、次いでそのウェブまたは粗糸を集め、それを加熱流体、好ましくは飽和水蒸気、により、または誘電体加熱炉中で加熱して、繊維をそれらの接触点で結合させ、同時にポリエチレンテレフタレートを結晶化させることにより、その様な実質的に自己支持性の細長い材料を製造する方法を提供することである。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、本発明の2成分繊維から形成された多孔質材料を取り入れた、1)インク貯蔵部およびインク貯蔵部を取り入れたマーキングおよび筆記用器具を含むウィック貯蔵部、2)煙草フィルターおよびそこから形成されたフィルター付き紙巻き煙草を含む濾過材料、3)マーキングおよび筆記用器具用の繊維状ペン先、および体液を診断装置中の試験箇所に輸送する様に設計された医学用途における毛管ウィックを含む、毛管作用によりある場所から他の場所に液体を輸送するウィック、および4)おむつや失禁パッドにおける、あるいは酵素免疫検定診断装置の様な医学用途における、液体を吸収および保持するメンブランを含み、その様な材料のパッドが薄いメンブランを通して体液を吸引し、吸引した液体を保持する吸収貯蔵部、として商業的に有用な製品を提供することである。
【0040】
上記の用途はすべて商業的に重要であるが、本発明の主要目的は、現在入手可能なすべてのインク処方物と相容性があり、最適な放出圧を与え、ローラーボールペン、およびその他に使用しても「漏れ」を最少に抑えるポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体の連続したシースを有する細い2成分繊維の網目構造で形成された細長い多孔質ロッドにより画成される、マーキングおよび筆記用器具用の高容量インク貯蔵部を提供することである。
【0041】
明細書および付随する請求項をさらに検討することにより、本発明の他の目的および利点は当業者には明らかである。
【0042】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下に、同様の番号が同様の部分を示す添付の図面を参照しながら詳細に説明することにより、より理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の原理は、コアが低コスト、低収縮性、高強度の熱可塑性重合体、好ましくはポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレートであり、シースがポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である、2成分シース−コアの、好ましくはメルトブロー加工された繊維で具体化される。
【0044】
2成分繊維の製造に使用される具体的な重合体を製造する方法は、本発明の一部ではない。これらの重合体の製造方法はこの分野では良く知られており、上記の様に、市販されている大部分のポリエチレンテレフタレート材料またはその共重合体を使用することができる。同じ溶融粘度を有するシースおよびコア材料を使用する必要はないが、各重合体がメルトブロー加工2成分繊維製造法で個別に製造されるので、シース重合体のメルトインデックスに近いメルトインデックスを有するコア材料、例えばポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレート、を選択するか、または、必要であれば、シース重合体の粘度をコア材料の粘度近くなる様に変性し、2成分ダイを通る溶融押出し工程における相容性を確保するのが望ましい場合がある。市販の熱可塑性重合体および添加剤を使用して相容性のあるメルトインデックスを有するシース−コア成分を用意することは、当業者には重大な問題ではない。
【0045】
さらに、例えばポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体からなるシースに関して説明しているが、押出し前に添加剤を重合体中に配合または混合し、そこから製造される繊維および製品に独特な特性を付与する、例えば親水性を高める、または疎水性を高めることさえできる。
【0046】
以下に記載する理由からポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレートが好ましいコア材料であるが、他の結晶性の高い熱可塑性重合体、例えば高密度ポリエチレン、ならびにポリアミド、例えばナイロン6およびナイロン66、も使用できる。コア材料の主たる必要条件は、押出しの際に結晶化するか、またはメルトブロー加工の際に結晶化し得ることである。ポリエチレンテレフタレートは、対照的に、結晶化させるために別の延伸工程を必要とする。
【0047】
ポリプロピレンは、そのコストが低いことおよび容易に加工できることから、好ましいコア形成材料である。ポリプロピレンは、メルトブロー加工技術を使用して細い繊維を製造するために必要なコア強度を与える上で特に効果的であることも分かっている。シースに対する密着性をさらに改良するために、コア形成材料として様々な変性ポリプロピレン、例えばDuPontのBYNEL CXA Series 5000 酸無水物変性ポリプロピレン、他の酸無水物(好ましくは無水マレイン酸)ポリプロピレン、酸無水物官能化ポリプロピレン、接着性ポリプロピレン、例えばQuantum Chemical CorporationのPLEXAR押出し可能な接着性ポリプロピレン、または他の反応性ポリプロピレン、を使用することができる。
【0048】
ポリエチレンテレフタレートと異なり、ポリブチレンテレフタレートは容易に結晶化し、ほとんど非晶質では存在しない。したがって、得られる2成分繊維が結合し得ないので、本発明のシース形成材料としては役に立たない。しかし、ポリエチレンテレフタレートシース/ポリブチレンテレフタレートコアの2成分繊維には、これらの関連するポリエステル重合体における類似した特性のためにシースとコアの間の結合が特に効果的であり、ポリプロピレンコア2成分繊維を使用する製品のかなり低温における劣化と対照的に、250℃に近い温度に対して安定しているという利点がある。
【0049】
ここで全体的に図面に関して、特に図1に関して、本発明の原理の好ましい実施態様による2成分繊維を図式的に20で示す。無論、分かり易く説明するために、繊維のサイズおよびそのシース−コア部分の相対的な比率は大幅に誇張してある。繊維20は、好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレート共重合体シース22およびポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレートコア24を含んでなる。コア材料は繊維全体の少なくとも約30重量%から約90重量%までを占める。
【0050】
多孔質媒体の毛管圧および吸収性は、濡れ性(wettable)繊維表面積にほぼ正比例することが知られている。繊維表面積を増加させる一つの方法は、繊維の断面を変化させ、三つ葉またはY形状を有する繊維または他の幾つにも分かれた断面、例えば「X」または「H」形状、を有する繊維を製造することである。これまでの製造法は必然的に比較的大きな非円形繊維を製造し、高表面積の吸収媒体を与えるが、比較的少ない数の繊維が互いに遠く離れて配置されている。その様な媒体は大きな細孔を有しており、液体を繊維表面に保持しているが、液体は細孔の中央にはあまり保持されない。このことは、十分なインクを筆記点またはペン先に調整しながら放出し、一方、インクを十分に保持し、従来の落下試験における様な衝撃時の、または従来の輸送または加熱炉試験における様な温度上昇時の漏れを避ける必要がある、マーキングおよび筆記用器具用のインク貯蔵部の製造には特に不利である。
【0051】
繊維のかさ密度が一定の場合、繊維直径の減少と共に表面積は増加する。多数の細い繊維からなる吸収媒体は、より均一な保持性を有し、より効果的に適応させ、最適な性能を得ることができる。本発明の原理で使用される2成分メルトブロー製造法は、通常の繊維(非円形断面を有していても)よりも毛管圧および吸収性が改良された、表面積の高い細い繊維を与える。液体の流量は、市販の最も細い繊維を使用した場合、密度を変えることによってのみ調整できる。本発明のメルトブロー加工技術では、流量は単純に繊維のサイズを変えるだけで調整することができる。
【0052】
しかし、必要に応じて、特殊な用途には、本発明により、非円形断面を有する2成分繊維も製造できる。例えば、シース−コア抽出ダイにおける適当な形状の開口部を選択することにより、例えば製品がフィルターとして使用される場合に有利な、表面積をさらに増加させた、非円形断面を有するメルトブロー加工された2成分繊維を製造することができる。その上、非円形の断面は、繊維をメルトブロー加工技術により細くする場合に、空気の使用を強化する。図2に、シース22aおよびコア24aを含んでなる三つ葉または「Y」形状繊維20aを示す。同様に、図3で20bに見られる様な、シース22bおよびコア24bを含んでなる十字または「X」形状の2成分繊維は、可能な多脚繊維コア断面の代表例である。いずれの場合でも、ポリエチレンテレフタレートのシースがコア材料を完全に被覆しているのが分かる。コア材料の主要部分を包み込んでいない場合、ここに記載される本発明の多くの利点が抑えられるか、または失われる。
【0053】
図13から17は、本発明の原理による2成分繊維を製造し、その繊維を連続した3次元的な多孔質要素に加工するのに使用される好ましい装置を図式的に示すが、該多孔質要素は続いて細かく分割され、例えばマーキングおよび筆記用器具に組み込むためのインク貯蔵部、またはフィルター付き紙巻き煙草などに取り入れる煙草フィルター要素、を形成することができる。全体的な製造ラインを図13で番号30により一般的に示す。図に示す実施態様では、2成分繊維自体は、繊維を多孔質要素に加工するのに使用される装置でイン−ライン製造される。その様な配置は、この手順に必要な占有床面積(footprint) が小さいので、本発明のメルトブロー加工技術に実用的である。イン−ライン加工は明らかに商業的に有利であるが、無論、最も広い意味において本発明はそれに限定されるものではなく、本発明のその様な繊維から形成される2成分繊維およびウェブは、個別に製造され、個別の、または連続的な作業で様々な製品に加工されることができる。 イン−ラインでも個別でも、繊維自体は、例えばPowellの特許文献13または特許文献14、またはHills の特許文献15(特許文献13〜15の主題全体をここに参考として含める)に記載されている様な、シース−コア2成分フィラメントを形成させるための標準的な繊維紡糸技術を使用して製造することができる。同様に、2成分であっても、なくても、繊維状材料をメルトブロー加工するための方法および装置も良く知られている。例えば、上記の特許文献1〜3ならびにSchwarz の特許文献16および17、およびLohkamp らの特許文献18(特許文献16〜18の主題全体をここに参考として含める)を参照するとよい。上記の文献は、本発明の原理にしたがって使用できる2成分繊維を形成させ、メルトブロー加工により細くするための良く知られている技術および装置を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【0054】
いずれにせよ、シース−コアメルトブロー加工ダイ、の一形態を図14および15に35で図式的に拡大して示す。溶融されたシース形成重合体36、および溶融したコア形成重合体38がダイ、35の中に供給され、そこから、図15に40、42、44および46で図式的に示される、上記の特許文献15に記載されている種類の4枚のスプリット重合体分配板の群を通して押し出される。
【0055】
特許文献3に例示されているメルトブロー加工技術および装置を使用し、溶融された2成分シース−コア繊維50が、52で図式的に示す高速空気流の中に押し出され、その空気流が繊維50を細くし、12ミクロンまたはそれ未満のオーダーの細い2成分繊維を製造することができる。好ましくは、図式的に54に示される水スプレーを、メルトブロー加工された2成分繊維50を押し出し、細くする方向に対して横切る様に向ける。水のスプレーが繊維50を冷却し、繊維のからまりを促進しながら、加工のこの時点における繊維同士の結合を最少に抑え、繊維状集合体の綿毛の様な特性を保持し、生産性を高める。
【0056】
必要に応じて、反応性の仕上げ剤を水スプレー中に配合し、ポリエチレンテレフタレート繊維の表面をより親水性に、または「濡れ易く」することができる。この様にして潤滑剤または界面活性剤を繊維状ウェブに加えることができるが、後に続く工程での摩擦および静電気を最少に抑えるために潤滑剤を必要とする紡糸繊維と異なり、メルトブロー加工された繊維は一般的にその様な表面処理を必要としない。その様な添加剤を必要としない能力は、例えばこれらの外部の物質が試験している物質を妨害する、またはそれと反応することがある医学診断装置では、特に重要である。
【0057】
他方、ある種の医学用途でも、繊維または3次元的要素を、それが形成された時、またはその後で、処理することが必要であるか、または望ましい場合もある。例えば、得られた製品は空気の様な気体を容易に通す多孔質要素でもよいが、表面処理または適当に配合されたシース形成重合体の使用により、繊維に疎水性を付与して、極端に高い圧力なしに、特定の液体の通過を妨害する様に機能することができる。本発明の多孔質要素を、例えばピペットチップまたは静脈内溶液注入機構における通気フィルターとして使用する場合、その様な特性は特に望ましい。繊維をその様に処理する物質、および繊維または多孔質要素が形成された時にその様な物質を塗布することは当業者には良く知られている。
【0058】
さらに、繊維状集合体がダイから出る時に、その中に、粒子状物質、例えば顆粒状の活性炭およびその他(図には示していない)、の流れを吹き込むことにより、メルトブロー加工技術で使用する高圧空気により引き起こされる乱流の結果、優れた均質性が得られる。同様に、液体添加剤、例えば香味料およびその他、を同様にして繊維状集合体上にスプレーすることもできる。
【0059】
メルトブロー加工された繊維集合体は、不規則に分散し、絡み合ったウェブまたは粗糸60として、図13に61で図式的に示されるコンベヤベルト(または、ここには示していないが、 特許文献3に見られる様な通常のスクリーンで覆った真空収集ドラム)上に集められ、このコンベヤベルトが繊維集合体から中に含まれる空気を分離し、その後の処理を行ない易くする。このメルトブロー加工された2成分繊維のウェブまたは粗糸60は、それ以上細くする、あるいはカールを生じる処理を行なわずに、ただちに加工するのに適した形態にある。 加工のこの時点におけるポリエチレンテレフタレートシース材料はまだ非晶質である。反対にコア材料は、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートまたは他の適当な重合体であっても、結晶性であり、2成分繊維に強度を与え、これらの大幅な収縮を阻止している。
【0060】
図13に示す製造ラインの残りの部分は、可塑化酢酸セルロース煙草フィルター要素の製造で公知の装置を使用することができるが、繊維の熱結合を容易にするためには個々の部品に僅かな修正を加える必要があろう。代表的な装置は、例えばBergerの特許文献19〜21および特許文献9( 特許文献19〜21および特許文献9の主題全体をそれぞれここに参考として含める)にも記載されている。メルトブロー加工シース−コア2成分繊維のウェブまたは粗糸60は、この時点では結合していないか、または非常に僅かに結合しており、ニップロール62によりスタッファジェット64の中に引き込まれ、そこで66に見られる様にブルーム加工され、図16に70aで示す様に加熱空気または水蒸気ダイを含んでなる加熱手段70(または特許文献9に記載された種類の)、または図17に70bで示す誘電体加熱炉の中でロッド形状68に集められる。加熱手段は、集めたウェブまたは粗糸の温度を90℃より高くし、先ずシース材料を軟化させて繊維同士をそれらの接触点で結合させ、次いでポリエチレンテレフタレートのシース材料を結晶化させる。次いで材料68をダイ72の中で空気などで冷却し、安定した、比較的自己支持性の高多孔質繊維ロッド75を生み出す。
【0061】
インク貯蔵部に関しては、繊維の結合に必要なのは、ロッドを形成させ、細孔構造を維持するための十分な強度を与えることだけである。必要に応じて、その最終的な使用に応じて、多孔質ロッド75を、通常の様式(図には示していない)でプラスチック材料で被覆するか、または78で図式的に示される様に、プラスチックフィルムまたは紙オーバーラップ76で包み、包み込んだ多孔質ロッド 80を製造する。連続的に製造された多孔質繊維ロッド80は、包まれていてもいなくても、標準的なカッターヘッド82を通すことができ、そこでロッドは予め選択された長さに切断され、自動包装機械に送られる。
【0062】
連続的な多孔質ロッドを公知のいずれかの様式で小さく分割することにより、複数の個別の多孔質要素が形成されるが、その一つが図4に90で示されている。各材料90は、図1に20で示される様な細いメルトブロー加工された2成分繊維からなる細長い、空気を通す本体を含んでなり、繊維同士がそれらの接触点で結合し、高表面積、高多孔質の自己支持性材料を形成し、貯蔵部またはウィックとして使用する場合は優れた毛管特性を有し、フィルターとして使用する場合はガスまたは液体を通過させるための曲がりくねった隙間からなる通路を与える。 無論、本発明により製造された材料90は、図4に示される様な全体を通して一様な構造を有する必要はない。例えば、図5に100で一般的に示される筆記具に使用する必要がある場合、図6および7に92で示される様な連続的に縦方向に伸びる周辺部の溝を、インク貯蔵部95(これは被覆またはフィルムラップ96を含んでも、含まなくてもよい)の中の空気通路として備えることができる。筆記具100は、通常の様式でローラーボール筆記先端103に接する、やはり本発明の技術により製造できるローラーボールウィック102を含むことができる。インク貯蔵部95は、胴104の中にローラーボールウィック102と流体連絡しながら収容され、通常の様式で、ある量のインク106をローラーボール103に調整しながら放出することができる。
この分野で良く知られている様に、ローラーボールウィック102は、一般的に貯蔵部95よりも高いキャピラリティーを有し、その繊維は、貯蔵部95からインク106を吸引し、そのインクをローラーボール103に供給するために、より縦方向に配向している。当業者は、特定の用途に応じて、例えば繊維集合体が形成装置に供給される速度、形成装置の大きさおよび形状、および他のその様な明白な加工パラメータを調整することにより、より高い、またはより低いキャピラリティーを有する本発明の3次元的多孔質要素を容易に形成させることができる。
【0063】
図8に120で示すマーキング装置は、従来の胴122の中に、一般的に「フェルトチップ」と呼ばれている種類の材料でよい繊維状ウィックまたはペン先124と流体連絡したインク貯蔵部95aを含む。繊維状ウィックまたはペン先124には、当業者には良く知られている通常の研磨技術により、図8に示される形状または他の所望の形状を与えることができる。やはりペン先124は、使用中に貯蔵部からインクを吸引するのに必要なより高いキャピラリティーをペン先に与えるために、繊維がより縦方向に配向し、貯蔵部95aを形成する繊維よりも一般的に緻密である。
【0064】
材料90は、特に煙草フィルターとして使用する場合、上記のBergerへの特許明細書における様に、内側ポケット、外側溝、波形部分または他の変形部分(図には示していない)を備えることができる。従来のフィルター付き紙巻き煙草を図10に110で示すが、これは従来のシガレットペーパー114により被覆され、フィルター手段に固定された煙草ロッド112を含んでなり、フィルター手段は、図9に示すフィルターロッド116をさらに小分割して得られる別個のフィルター要素115を含んでなる。フィルター要素115は、空気透過性または空気不透過性のプラグラップ118で上から包み、標準的なチッピングラップ 119による様な従来の様式で、煙草ロッド112に固定することができる。
【0065】
本発明の原理により製造される3次元的多孔質要素の様々な他の用途を例示するために、図11および12を参照する。図11に一般的に番号130で示される診断装置は、例えば多孔質メンブランなどでよい試験箇所134を収容するシェルまたはハウジング132、本発明により製造できる露出したウィック材料 136、やはり本発明の原理により製造された、より高いキャピラリティーを有する内側ウィック138、およびやはり本発明の製品である吸収性貯蔵部140を含んでなる。この種の装置は、例えば露出したウィック136で体液を集め、その体液を内側ウィック138を経由して試験箇所134に、およびそこを通して運び、次いで液体を貯蔵部140の中に吸収および保持する。
【0066】
図12は、本発明の濾過材料からなるプラグ152の、番号150で一般的に示されるピペットにおける通気フィルターとして(または例えば静脈溶液注入機構におけるイン−ラインフィルターとして)の用途を図式的に示す。本発明により形成された材料152のパッドまたはプラグは、空気は通過し得るが、液体は通過できない様に、繊維または要素に一般的に疎水性を付与するために前処理されていてもよい。イン−ラインフィルターは、良く知られており、一般的に試験管内で、診断試験の前に試料から好ましくない物質を除去する、または生体内で、例えば腎臓透析の前に腎臓を洗浄するために、または開放心臓外科手術における血塊を濾別するために使用される。
【0067】
本発明により製造される材料のパッドは、印刷装置において過剰のインクを吸収するための毛管として、例えばインクジェットプリンターにおける「オーバーショットパッド」として使用することができる。同様にその様な材料は、口腔から唾液および他の体液を除去するための吸収装置として使用することができる。 本発明により製造された3次元的多孔質要素の上記の代表的な用途は、当業者には明らかな様に、その様な材料の多くの用途の例示であって、限定するものではない。その様な多孔質要素は、本来結合されているので、直接的な形成により、またはその後の研磨により、または所望の形状に成形することにより、どの様な形状を与えることもできる。
【0068】
下記の諸例は、本発明の原理に関してさらに説明し、特にマーキングおよび筆記用器具用のインク貯蔵部として使用した場合の、本発明の製品の利点の幾つかを例示するものである。しかし無論、これらの例は代表例であって、当業者は、本発明の原理から逸れることなく、様々な材料および加工パラメータを変えることができる。
【0069】
固有粘度が0.57(60/40フェノール/テトラクロロエタン中で測定)である乾燥ポリエチレンテレフタレートを約290℃で押し出した。同時に、メルトフローが400g/10分であるポリプロピレンを第二押出機から共通のダイヘッドに押し出した。ダイヘッドでは、2種類の重合体が、複数の通路により、三角形断面の「ノーズコーン」に個別に分配された。重合体は、スピナレット型の毛管を通してノーズコーンの先端から放出され、それぞれの溶融フィラメントは、結晶性ポリプロピレンコアの上に非晶質のポリエチレンテレフタレートシースを約50/50の重量比で有する。フィラメントは、ノーズコーンの両側を流れる高速の空気により、メルトブロー加工に代表的な様式で細くなった(延伸された)。
【0070】
得られたメルトブロー加工ウェブは、繊維が生水蒸気に露出されるダイを通して延伸することにより、円筒形のロッドに成形された。
【0071】
結晶化した繊維はその後の加熱に対して寸法的に安定しており、インクキャリヤー溶剤、例えば低級アルコール、ケトンおよびキシレン、およびギ酸を含有するインク中に浸しても膨潤しなかった。
【0072】
表1は、本発明の新規なメルトブロー加工された2成分繊維から形成された円筒形のインク貯蔵部と、より一般的な、先行技術の単成分ポリエチレンテレフタレート繊維の貯蔵部を比較するものである。
【0073】
表1
試料 繊維 貯蔵部 繊維 繊維 気孔率 インク 相対
直径 直径 重量 吸収性 硬度
(mm) (μ) (gm) (%) (gm)
先行技術 PET 25.0 18 7.99 86.9 24.7 85.1
本発明 PET/PP 25.1 9 4.80 90.9 25.1 90.0
[PET=ポリエチレンテレフタレート、PP=ポリプロピレン]
貯蔵部90mm アルコール系マーカーインク
吸収性は、断面積1cmあたり、5分間で吸収されたインクをグラムで測定。
【0074】
新規なポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン繊維は、約40%少ない繊維重量を使用しても実質的に等しい液体吸収性を示す。重合体の全重量が小さいからだけでなく、ポリエチレンテレフタレートと比較してポリプロピレンの原価が、特に体積を基準にして低い(ポリエチレンテレフタレートの比重は1.38g/cmであるのに対し、ポリプロピレンの比重は0.90g/cmに過ぎない)ために、原料コストは低くなる。Plastic Technologyの1995年版に記載されているポリエチレンテレフタレートの1立方インチあたりの市場価格は、貨車量で3.6セントであるのに対し、ポリプロピレンの対応する価格は1.3セントに過ぎない。
【0075】
本発明の方法の製造効率のために、コストはさらに節約される。例えば、従来のポリエステルインク貯蔵部の製造では、ポリエチレンテレフタレートヤーンの溶融紡糸、続いて別個の延伸およびカール処理工程、最後にトウにプラスチックフィルムを別に巻き付ける工程がさらに必要である。本発明の2成分メルトブロー加工製造法は、繊維形成および貯蔵部の成形をイン−ラインで行ない、延伸およびカール処理が不要であるので、すべての処理を単一工程で行なう。多孔質ロッドが比較的自己支持性であるために、多くの場合、巻き付けも最少に抑えるか、または省略することができる。労働力、在庫コストおよび時間の節約は明白である。
【0076】
同様の比較を表2に示す。
表2
試料 繊維 繊維 繊維 気孔率 インク 相対
直径 重量 吸収性 硬度
(μ) (gm) (%) (gm)
先行技術 PET 18 2.10 89.0 5.39 80.9
試料1 PET/PP 9 1.50 89.6 5.39 95.8
試料2 PET/PP 6 1.28 88.9 5.45 88.4
試料3 PET/PP 3 1.20 91.7 5.83 86.2
[PET=ポリエチレンテレフタレート、PP=ポリプロピレン]
【0077】
試料1〜3のメルトブロー加工2成分繊維は、約40重量%のポリエチレンテレフタレートを含む。同量の従来のポリエチレンテレフタレートカールヤーンと比較すると、やはり本発明の2成分繊維の吸収性が高いことが分かる。表2は、本発明のメルトブロー加工製造法によってのみ達成される、繊維を細くしていった時の利点も示している。
【0078】
好ましい実施態様および加工パラメータを示し、説明したが、無論、これらの例は代表例であり、当業者は、本発明の原理から逸れることなく、変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の「シース−コア」2成分繊維の一形態の拡大全体図。
【図2】本発明の三つ葉または「Y」形状の2成分繊維の拡大立面図。
【図3】本発明の2成分繊維の「X」または十字形状の実施態様の同様の図。
【図4】本発明の2成分繊維のウェブから形成された実質的に自己支持性の細長い要素の拡大全体図。
【図5】本発明の原理により製造されたインク貯蔵部、できればローラーボールウィック、を含む、ローラーボール式使い捨てペンの種類の筆記具の一形態の、部分的に切り取った断面図。
【図6】周辺部に縦方向で連続的に形成された空気通路を含む、本発明のインク貯蔵部の側方立面図。
【図7】図6の線7−7に沿って見た拡大横断断面図。
【図8】本発明の原理により製造されたインク貯蔵部、この場合は繊維状ペン先、を含む、一般的に「フェルトチップ」マーカーと呼ばれる種類のマーキング器具の、部分的に切り取った側方立面図。
【図9】本発明の原理による2成分繊維から製造した、上から包んだ煙草フィルターロッドの全体図。
【図10】本発明のフィルター要素を含む紙巻き煙草の拡大全体図であり、
【図11】体液を試験箇所に輸送する様に設計された本発明の横方向流動ウィックを含む診断試験装置を図式的に示す立面図。
【図12】液体試料を試験管内または生体内処理するためのイン−ラインフィルターとして設計された、本発明の原理による材料のパッドを含むピペットチップまたは静脈内溶液注入機構を図式的に示す図。
【図13】本発明の2成分繊維から多孔質ロッドを製造する加工ラインの一形態を図式的に示す図。
【図14】図13の加工ラインのシース−コアメルトブロー加工部分を図式的に示す拡大図。
【図15】本発明の2成分繊維を形成するスプリットダイ要素を図式的に示す拡大図。
【図16】本発明の連続多孔質ロッドの結合および形成に使用できる水蒸気処理装置を図式的に示す断面図。
【図17】本発明の連続多孔質ロッドを結合および形成するための別の、誘電体加熱炉の種類の加熱手段を図式的に示す図。
【符号の説明】
【0080】
20、20a、20b 2成分繊維
22、22a、22b シース
24、24a、24b コア
30 2成分繊維製造ライン
50 2成分シース−コア繊維
90 多孔質材料
95、95a インク貯蔵部
115 フィルター要素
140 吸収性貯蔵部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体からなる群から選択された重合体材料のシースにより実質的に完全に取り囲まれた、熱可塑性重合体材料の結晶性のコアを含んでなり、前記シースは90℃において非晶質で未結晶化状態であり、かつ90℃を超える温度で結晶化し、前記シース物質は結晶化したときに前記コアよりも高い融解温度を有するものである連続した2成分繊維。
【請求項2】
前記繊維が平均で12ミクロンまたはそれ未満の直径を有する、請求項1に記載の2成分繊維。
【請求項3】
前記繊維が、前記シース−コア材料の連続押出し物をメルトブロー加工することにより製造される、請求項2に記載の2成分繊維。
【請求項4】
前記シース材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項2に記載の2成分繊維。
【請求項5】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項2に記載の2成分繊維。
【請求項6】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項2に記載の2成分繊維。
【請求項7】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項4に記載の2成分繊維。
【請求項8】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項4に記載の2成分繊維。
【請求項9】
前記コア材料が、繊維全体の30〜90重量%を構成する、請求項2に記載の2成分繊維。
【請求項10】
繊維が非円形の断面を有する、請求項2に記載の2成分繊維。
【請求項11】
前記繊維が「Y」形状の断面を有する、請求項10に記載の2成分繊維。
【請求項12】
前記繊維が「X」形状の断面を有する、請求項10に記載の2成分繊維。
【請求項13】
請求項1に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合ったウェブ。
【請求項14】
請求項2に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合ったウェブ。
【請求項15】
請求項7に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合ったウェブ。
【請求項16】
請求項8に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合ったウェブ。
【請求項17】
請求項1に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合った粗糸。
【請求項18】
請求項2に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合った粗糸。
【請求項19】
請求項7に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合った粗糸。
【請求項20】
請求項8に記載の2成分繊維の、不規則に分散した、絡み合った粗糸。
【請求項21】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成された、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である要素。
【請求項22】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成された、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である要素。
【請求項23】
前記連続繊維の実質的にすべてが請求項2に記載の2成分繊維である、請求項22に記載の要素。
【請求項24】
前記多孔質要素がインク貯蔵部材料であり、前記連続繊維の網目構造が、ある量のインクを保持し、調整しながら放出することができる、互いに連絡した隙間空間を画成する、請求項21に記載の要素。
【請求項25】
前記多孔質要素がインク貯蔵部材料であり、前記連続繊維の網目構造が、ある量のインクを保持し、調整しながら放出することができる、互いに連絡した隙間空間を画成する、請求項22に記載の要素。
【請求項26】
前記多孔質ロッドの全長に伸び、その一端から他端に空気の通り道を画成された細長い通路をさらに含む、請求項25に記載のインク貯蔵部要素。
【請求項27】
前記多孔質ロッドの周囲を包み込んでいる連続フィルムをさらに含む、請求項25に記載のインク貯蔵部要素。
【請求項28】
前記シース材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項25に記載のインク貯蔵部要素。
【請求項29】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項25に記載のインク貯蔵部要素。
【請求項30】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項25に記載のインク貯蔵部要素。
【請求項31】
一端が閉鎖され、反対側の末端に印字用または筆記用のチップを支持する細長い中空の胴を含んでなり、請求項24に記載のインク貯蔵部要素が前記胴の中に前記チップと接触して収容されており、ある量のインクが前記貯蔵部要素により保持され、前記チップを通して調整しながら放出される印字用または筆記用器具。
【請求項32】
一端が閉鎖され、反対側の末端に印字用または筆記用のチップを支持する細長い中空の胴を含んでなり、請求項25に記載のインク貯蔵部要素が前記胴の中に前記チップと接触して収容されており、ある量のインクが前記貯蔵部要素により保持され、前記チップを通して調整しながら放出される印字用または筆記用器具。
【請求項33】
前記シース材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項32に記載の印字用または筆記用器具。
【請求項34】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項32に記載の印字用または筆記用器具。
【請求項35】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項32に記載の印字用または筆記用器具。
【請求項36】
前記インク貯蔵部要素の一端から他端に画成された空気通路をさらに含む、請求項32に記載の印字用または筆記用器具。
【請求項37】
前記インク貯蔵部要素が、前記多孔質要素の周辺部を包み込む連続フィルムを含む、請求項32に記載の印字用または筆記用器具。
【請求項38】
前記フィルム中に形成された縦方向の窪みにより画成され、前記多孔質要素の周辺部に沿って一端から他端に連続的に伸びる空気通路をさらに含む、請求項37に記載の印字用または筆記用器具。
【請求項39】
前記多孔質要素が煙草フィルター要素であり、前記連続繊維の網目構造が、煙が中を通過するための曲がりくねった隙間経路を画成する、請求項21に記載の要素。
【請求項40】
前記多孔質要素が煙草フィルター要素であり、前記連続繊維の網目構造が、煙が中を通過するための曲がりくねった隙間経路を画成する、請求項22に記載の要素。
【請求項41】
前記シース材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項40に記載のフィルター要素。
【請求項42】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項40に記載のフィルター要素。
【請求項43】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項40に記載のフィルター要素。
【請求項44】
前記フィルター要素の繊維により支持された添加剤をさらに含む、請求項40に記載のフィルター要素。
【請求項45】
前記添加剤が活性炭である、請求項44に記載のフィルター要素。
【請求項46】
前記添加剤が香味料である、請求項44に記載のフィルター要素。
【請求項47】
末端−対−末端の関係で互いに一体接続された、複数の、請求項39に記載のフィルター要素を含んでなるフィルターロッド。
【請求項48】
末端−対−末端の関係で互いに一体接続された、複数の、請求項40に記載のフィルター要素を含んでなるフィルターロッド。
【請求項49】
煙草部分およびフィルター部分を含んでなり、前記フィルター部分が請求項39に記載のフィルター要素を含んでなる紙巻き煙草。
【請求項50】
煙草部分およびフィルター部分を含んでなり、前記フィルター部分が請求項40に記載のフィルター要素を含んでなる紙巻き煙草。
【請求項51】
前記シース材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項50に記載の紙巻き煙草。
【請求項52】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項50に記載の紙巻き煙草。
【請求項53】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項50に記載の紙巻き煙草。
【請求項54】
前記煙草部分および前記フィルター部分がチッピングオーバーラップにより互いに接続されている、請求項50に記載の紙巻き煙草。
【請求項55】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、毛管作用により液体をある場所から他の場所へ輸送するためのウィックである要素。
【請求項56】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、毛管作用により液体をある場所から他の場所へ輸送するためのウィックである要素。
【請求項57】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、筆記具におけるインク貯蔵部と回転ボールの間でインクを輸送する様に設計された横方向流動性ウィックである要素。
【請求項58】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、筆記具におけるインク貯蔵部と回転ボールの間でインクを輸送する様に設計された横方向流動性ウィックである要素。
【請求項59】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、印字用または筆記用器具中で使用する、貯蔵部からインクを取り出し、表面に塗布するためのペン先である要素。
【請求項60】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、印字用または筆記用器具中で使用する、貯蔵部からインクを取り出し、表面に塗布するためのペン先である要素。
【請求項61】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、体液を診断試験装置中の試験箇所に輸送する様に設計された横方向流動性ウィックである要素。
【請求項62】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、体液を診断試験装置中の試験箇所に輸送する様に設計された横方向流動性ウィックである要素。
【請求項63】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、液体を吸引し、保持するための吸収性貯蔵部である要素。
【請求項64】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、液体を吸引し、保持するための吸収性貯蔵部である要素。
【請求項65】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、診断試験装置中の試験箇所を通過した体液を集め、保持するのに使用される貯蔵部である要素。
【請求項66】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、診断試験装置中の試験箇所を通過した体液を集め、保持するのに使用される貯蔵部である要素。
【請求項67】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、印刷装置中で過剰のインクを吸収するために使用される毛管貯蔵部パッドである要素。
【請求項68】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、印刷装置中で過剰のインクを吸収するために使用される毛管貯蔵部パッドである要素。
【請求項69】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、唾液または他の体液を体腔から除去するための吸収装置である要素。
【請求項70】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、唾液または他の体液を体腔から除去するための吸収装置である要素。
【請求項71】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、ピペットチップ中の通気フィルターとして使用するためのフィルター材料である要素。
【請求項72】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、ピペットチップ中の通気フィルターとして使用するためのフィルター材料である要素。
【請求項73】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、静脈内溶液注入機構で使用する濾過材料である要素。
【請求項74】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、静脈内溶液注入機構で使用する濾過材料である要素。
【請求項75】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項1に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、診断試験または治療目的の準備で体液から固体物質を濾過するための濾過材料である要素。
【請求項76】
主として縦方向で不規則に配向し、接触点で互いに結合した、高度に分散した連続繊維の連絡した網目構造を含んでなる、柔軟な熱可塑性繊維材料のウェブで形成され、前記連続繊維の少なくとも主要部分が請求項2に記載の2成分繊維である、実質的に自己支持性で、3次元的な多孔質要素であって、前記多孔質要素が、診断試験または治療目的の準備で体液から固体物質を濾過するための濾過材料である要素。
【請求項77】
下記を含んでなる、実質的に自己支持性の細長い多孔質要素の製造法。
a)溶融したコア形成熱可塑性材料、および非晶質ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体からなる群から選択された、溶融したシース形成材料の個別の供給源を用意すること、
b)前記溶融したコア形成およびシース形成材料を接合シース−コアダイ中の複数の開口部を通して連続的に押し出し、複数の2成分繊維(各繊維は、シース形成材料のシースにより実質的に完全に取り囲まれた、コア形成材料の連続コアを含んでなり、前記シースは90℃において非晶質状態に維持されており、90℃を超える温度で結晶化するものである)を形成させること、
c)前記2成分繊維を連続的に移動している表面上に集め、前記移動している表面の移動方向で主として不規則に配向し、高度に分散した連続繊維の、連絡した網目構造の形態にある、前記2成分繊維の高度に絡み合ったウェブを形成させること、
d)前記2成分繊維のウェブを集めること、
e)前記集めたウェブを加熱空気または水蒸気で加熱して前記繊維同士を互いにそれらの接触点で結合させ、前記ポリエチレンテレフタレートを結晶化させること、
f)前記集めたウェブを冷却して、相互に連絡した隙間空間を含んでなる3次元的な連続した多孔質要素を形成させること、および
g)前記連続した多孔質要素を個別の長さに切断すること。
【請求項78】
前記複数の2成分繊維をシース−コアダイから出る時に、それらの2成分繊維が圧力下にあるガスと接触させ、それらの2成分繊維がまだそれらの溶融状態にある間に、前記2成分繊維を細くする、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
2成分繊維を、連続的なイン−ライン様式で形成させ、前記多孔質要素に加工する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記シース材料がポリエチレンテレフタレートである、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記コア材料がポリプロピレンである、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記コア材料がポリブチレンテレフタレートである、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記繊維を十分に細く加工して、平均で12ミクロンまたはそれ未満の直径を有する繊維のウェブまたは粗糸を製造する、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記シース−コアダイの、前記2成分繊維を通して押し出す開口部が非円形であり、それによって、断面が丸くない2成分繊維を製造する、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
前記繊維が「Y」形状の断面を有する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記繊維が「X」形状の断面を有する、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記2成分繊維がシース−コアダイから出る時に前記ウェブまたは粗糸の中に添加剤を導入することをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項88】
前記添加剤が活性炭である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記添加剤が香味料である、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記多孔質要素中に、その周辺部に沿って縦方向の窪みを連続的に形成させる工程をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項91】
前記多孔質要素を個別の長さに切断する前に、前記多孔質要素を外側シースで連続的に被覆する工程をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項92】
前記外側シースを形成させるために、前記多孔質要素の上に細片材料を連続的に巻き付ける、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記多孔質ロッドを個別の長さに切断する前に、前記多孔質ロッドをフィルターチッピング材料で包む工程をさらに含む、請求項78に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−95270(P2008−95270A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257999(P2007−257999)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【分割の表示】特願平9−501666の分割
【原出願日】平成8年6月4日(1996.6.4)
【出願人】(501054883)フィルトロナ、リッチモンド、インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FILTRONA RICHMOND, INC.
【Fターム(参考)】