説明

ポリマー粒子の分散物、それを含む組成物、及び美容処理方法

【課題】所望のスタイリング特性に寄与する一方で、美容特性(感触、柔軟性、もつれの解きやすさ)を改良することが可能な、非水性媒体中の安定化剤によって安定化されたポリマー粒子の新規な分散物の提供。
【解決手段】本発明の主題は、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースに従った全体的溶解度パラメーターを有する、25℃で液体である少なくとも一つの非水性化合物、またはそのような化合物の混合物からなる、非水性媒体中で安定化剤によって表面で安定化された少なくとも一つのエチレン性ポリマーの粒子の分散物であって、前記エチレン性ポリマーが−20℃以下のガラス転移温度(Tg)を示すことを特徴する分散物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水性媒体に分散している非常に特定のポリマーの粒子の新規な分散物、及び前記組成物を含む組成物、特に化粧品または製薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野、とりわけ毛髪の分野で使用されるポリマーとして、特にその高い直接性により毛髪を保護および/又は美化するために知られているカチオン性ポリマー、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリドに基づくものが挙げられる。しかしながら、このタイプのポリマーを使用する場合、毛髪成型効果が観察されない。更に、大多数の噴射剤と適合しないため、それらをラッカーのようなエアゾール製品で使用することはできない。
【0003】
EP 1 323 753は、例えばシャンプーで使用した場合、スタイリング特性に寄与する疎水性カチオン性ポリマーの水性分散物を含むヘア組成物を開示している。しかしながらこれらの組成物は、特にシャンプーとして適用されるため、湿潤媒体中であまり良好な美容特性を示さない。
【0004】
良好なスタイリング効果を得る一方で、組成物中で許容可能な美容特性を維持するために、化粧品溶媒に有されるスタイリング特性を有するポリマーの提供が実施されている。かくして文献WO 91/15185及びWO 98/18433では、有機溶媒中に有される疎水性または水不溶性ポリマーを含む化粧品組成物の提供がなされている。しかしながら、有機溶媒に不溶性のポリマーを使用する必要性は、利用可能な化学構造における低い可変性を意味する。
【特許文献1】EP 1 323 753
【特許文献2】WO 91/15185
【特許文献3】WO 98/18433
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更に、疎水性ポリマーの有機溶液が一般的に、溶液中のポリマーの含量に関して高い粘性を示し、それがこれらのポリマーとその溶液のその後の製剤化を困難にすることが見出されている。
【0006】
更に、有機溶媒中の一般的にナノメーターサイズのポリマー粒子の分散物、例えば非揮発性液体パラフィンまたはイソドデカン中のポリ(メチルアクリレート)またはポリ(メチルメタクリレート)の非水性分散物の化粧品における使用が、特にEP 749 747によって既知である。しかしながらこれらの分散物は、特にスタイリング効果及びもつれの解きやすさの観点で、満足な美容特性を得ることはできない。更に、それらを含む化粧品の感触は、特に柔軟性の観点で、あまり満足ではないことが分かっている。
【0007】
本出願人は驚くべきことに、所望のスタイリング特性に寄与する一方で、美容特性(感触、柔軟性、もつれの解きやすさ)を改良することが可能な、非水性媒体中の安定化剤によって安定化されたポリマー粒子の新規な分散物を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして本発明の主題は、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースに従った全体的溶解度パラメーターを有する、25℃で液体である少なくとも一つの非水性化合物、またはそのような化合物の混合物からなる、非水性媒体中で安定化剤によって表面で安定化された少なくとも一つのエチレン性ポリマーの粒子の分散物であって、前記エチレン性ポリマーが−20℃以下のガラス転移温度(Tg)を示すことを特徴する分散物である。
【0009】
本発明の別の主題は、化粧品的または製薬学的に許容可能な媒体中に、少なくとも一つの上述の分散物を含む化粧品または製薬組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、分散物が比較的低い粘度を有することを条件とし、容易に含ませることができるポリマーを調製することを可能とし、そのことは化粧品組成物におけるその使用を容易にする。更に、これらの組成物は、毛髪に質感と保持を与えることができる。
【0011】
更に、これらの分散物及びそれらを含む組成物は、特にリンスアウト態様で有利な特性に寄与する。それらは、スタイリング効果及び保持に加えて、乾いた及び/または湿った環境で、柔軟でべたつかない感触、良好な柔軟性、並びに毛髪のもつれの解きやすさを得ることを可能にする。
【0012】
これらのポリマーはまた、スタイリングゲル/フォームまたはラッカータイプの「リーブイン」製品で使用でき、スタイリングに加えて、毛髪に美容特性(感触、柔軟性、滑らかさ、もつれの解きやすさ)に寄与することができる。
【0013】
本発明の別の利点は、ポリマー粒子は、非常に小さいサイズ、特にナノメーターサイズを有することができるという事実に存在し、これは例えばミクロスフェアのような他のタイプの粒子では当てはまらず、それらの直径は一般的に1ミクロン以上である。この点で、ミクロンのオーダーの大きなサイズは、それらが組成物中にあり皮膚に適用された際に、目に粒子の視覚可能な度合いをもたらし、特に経時的にあまり安定でない組成物をもたらすという欠点を有する。かくして、本発明に係る分散物は、そこに分散されるポリマー粒子のサイズにしたがって、好ましいように更に透明、半透明、または不透明であることができる安定な組成物を得ることを可能にする。
【0014】
かくして、本発明に係る分散物は、非水性媒体中の安定化剤による表面で安定化された少なくとも一つのエチレン性ポリマーの粒子、一般的に球状粒子からなる。
【0015】
本発明に係る分散物は、特に非水性媒体中の安定な分散物であるポリマーナノ粒子の形態で提供できる。ナノ粒子は好ましくは、5から600nm、特に10から500nm、より好適には15から450nmの間のサイズを有し、約600nmを超えると粒子の分散物がずっと不安定となる。
【0016】
特にこれらの粒子は、それらが前記非水性媒体中で分散物である場合、凝集物を形成することなく個々の粒子の形態を維持する。
【0017】
用語「エチレン性」ポリマーは、エチレン性不飽和を含む少なくとも2の同一または異なるモノマーの重合によって得られるポリマーを意味するように解される。
【0018】
前記エチレン性ポリマーは、組成物について所望の後の応用に従って、その特性の関数として当業者に選択できる。これらのポリマーは特に架橋できる。
【0019】
しかしながら前記エチレン性ポリマーは、−20℃以下、好ましくは−150℃から−20℃の間、特に−99℃から−25℃の間、好ましくは−95℃から−30℃の間、実際には−80℃から−35℃の間、好適には−70℃から−40℃の間の少なくとも一つのガラス転移温度(Tg)を示す。
【0020】
好ましくは前記ポリマーは、唯一のガラス転移温度を示す。しかしながらそれは複数のガラス転移温度を示すこともでき、特に二つのTg値を示すことができる;この場合、最低のTgは−20℃未満でなければならない。
【0021】
本発明では、示されるTgの値(またはガラス転移温度)は、前記ポリマーの構成モノマーの理論的Tg値から測定される理論的Tg値であり、それはフォックスの法則と称される以下の関係式に従って、Polymer Handbook, 第3版, 1989, John Wileyのような参考文献に見出すことができる:
【数1】

[式中、ωiはポリマー中のモノマーiの重量分画であり、Tgiはケルビン(K)単位で表されるモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である]。
【0022】
本明細書では、用語「Tgを有するモノマー」は、そのホモポリマーがそのようなガラス転移温度を有するモノマーを表す。
【0023】
本発明に係るポリマーは、直鎖状、分枝状、または星状ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。それらはランダムまたは交互であることもできる。好ましくはそれらはランダム直鎖状コポリマーである。
【0024】
一般的に、−20℃以下のTgを有するモノマーは、開始モノマーの全重量の50から100重量%を占めることができる。
【0025】
本発明の第一の実施態様では、分散物中に存在するポリマーは、−20℃以下、好ましくは−150℃から−20℃の間、特に−99℃から−25℃の間、好ましくは−95℃から−30℃の間、実際には−80℃から−40℃の間、好適には−70℃から−45℃の間のTgを有する一つ以上のモノマーの重合から生成できる。
【0026】
この実施態様では、−20℃以下のTgを有するモノマー、またはそれらの混合物は、開始モノマーの全重量の100重量%を占める。
【0027】
本発明の第二の実施態様では、分散物中に存在するポリマーは、−20℃以下のTgを有する一つ以上のモノマーと、−20℃より高いTgを有する一つ以上の「付加的」モノマーとの重合から生成できるが、後者のモノマーは前記ポリマーの全体的なTgが−20℃以下になるような量で存在する。
【0028】
例えば、最終ポリマー中で、モノマーの全重量の10−20重量%の割合で存在できる100℃のオーダーのTgを有するモノマーと、80−90重量%の割合で存在できる−50℃のオーダーのTgを有するモノマーを組み合わせて、約−40℃から−30℃のTgを有するポリマーを得ることが可能である。この実施態様では、付加的モノマー、またはそのようなモノマーの混合物は、好ましくはモノマーの全重量に対して0.01から50重量%、特に0.1から40重量%、実際には1から30重量%、更には5から15重量%の割合で存在できる。−20℃以下のTgを有するモノマー、またはそのようなモノマーの混合物は、モノマーの全重量に対して50から99.99重量%、特に60から99.9重量%、実際には70から99重量%、更には85から95重量%の割合で存在できる。
【0029】
当業者は、フォックスの法則及びその一般的な知見に基づいて、分散物のポリマーで存在できる付加的モノマーの最大量を測定し、最終的に−20℃以下のTgを有するポリマーの分散物を常に得る方法を知見しているであろう。
【0030】
更に、本発明に係るポリマー分散物が、以下に記載されるような一つ以上の「疎水性」モノマーを含む場合、それは沈着層の持続性及び柔軟性の良好な特性、並びにコンディショナータイプの組成物との良好な適合性を示すことが見出されている。
【0031】
かくして好ましくは、本発明に係るエチレン性ポリマーは、モノマーの全重量に対して40から100重量%、特に60から99重量%、実際には70から98重量%、好適には60から95重量%の疎水性モノマーを単独または混合物として含む。
【0032】
これまたはこれらの疎水性モノマーは、−20℃以下のTgを有するモノマーから、及び/または−20℃より高いTgを有するモノマーから選択できる。好ましくは疎水性モノマー(類)は、−20℃未満のTgを有する。
【0033】
用語「疎水性モノマー」は、本発明の意味の範囲内で、2以上、例えば2から11の間、好ましくは2.5から10の間、特に3から8の愛d、実際には3.5から5の間の、logPと称される1−オクタノール/水の見かけの分配係数の対数の値を有するモノマーを意味するように解される。
【0034】
logP値は既知であり、1−オクタノールと水中のモノマーの濃度を測定する標準試験によって測定される。
【0035】
前記値は、特にACD(新型化学開発)ソフトウェアSolaris V4.67を使用して計算できる;それらはまた、Exploring QSAR:疎水性、電気性、及び静電性定数(ACS professional reference book, 1995)から得ることができる。見積もり値を提供するインターネットサイトも存在する(アドレス:http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm)。ACDソフトウェアを使用して測定したある種の標準的なモノマーのlogPの値は以下に示されている:
【表1】

【0036】
本発明に係る分散物を形成するのに使用できる−20℃以下のTgを有するモノマーとして、以下のものが挙げられる:
【0037】
−(i)式CH=CHCOOR1のアクリル酸のエステル[式中、R1は(a)O、N、Sから選択される挿入された一つ以上のヘテロ原子を任意に含む、及び/または−OH、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換された、2から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素(アルキル)鎖{但しtert−ブチル鎖は除く}を表し;またはR1は(b)5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表し;またはR1は(c)−R−(OC−H基{R=C−C12アルキル、且つnは5から30の間の整数である}を表す]。
【0038】
かくして、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、ラウリル、トリデシル、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシプロピルアクリレートが挙げられる。
【0039】
−(ii)式CH=C(CH)COOR2のメタクリル酸のエステル[式中、R2は(a)O、N、Sから選択される挿入された一つ以上のヘテロ原子を任意に含む、及び/または−OH、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換された、8から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素(アルキル)鎖を表し;またはR2は(b)5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表し;またはR2は(c)−R−(OC−H基{R=C−C30アルキル、且つnは5から30の間の整数である}を表す]。
【0040】
かくして、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、セチル、パルミチル、ステアリル、ベヘニル、及びオレイルメタクリレートが挙げられる。
【0041】
−(iii)式CH=CH−OCO−R3のビニルエステル[式中、R3は2から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状炭素鎖、特に炭化水素鎖を表す]。例えばビニルブチレート(またはブタノエート)、ビニルエチルヘキサノエート、ビニルネオノナノエート、及びビニルネオドデカノエートが挙げられる。
【0042】
−(iv)式CH=CHOR4のビニルエーテル[式中、R4は1から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素鎖を表す]。例えばビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、及びブチルビニルエーテルが挙げられる。
【0043】
−(v)式CH=CHCONR5R’5またはCH=C(CH)CONR5R’5のN−アルキル(メタ)アクリルアミド[式中、R5及びR’5は互いに独立に、水素原子、またはO、N、Sから選択される挿入された一つ以上のヘテロ原子を任意に含む、及び/または−OH、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換された、6から28の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素鎖、任意に芳香族鎖(アリール、アラルキル、またはアルキルアリール)を表す;但しR5とR’5の少なくとも一方は水素以外である]。例えばN−オクチルアクリルアミド、及びN−オクタデシルアクリルアミドが挙げられる。
【0044】
とりわけ好ましい−20℃以下のTgを有するモノマーは、n−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、及びそれらの混合物である。
【0045】
−20℃以下のTgを有し、更に疎水性であるモノマーとしては、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、及びラウリルアクリレート;及びオクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、セチル、パルミチル、ステアリル、及びオレイルメタクリレートが挙げられる。
【0046】
上述のように、本発明に係る分散物中のポリマーは、−20℃より高い、好ましくは0℃より高いTgを有する一つ以上の付加的モノマーを含むことができ、但しこれまたはこれらの付加的モノマー、及び/またはそれらの量は、前記ポリマーの全体的Tgが−20℃以下になるように選択される。
【0047】
これらの付加的モノマーは、以下のモノマーから選択できる:
【0048】
−(i)式CH=CHR6のビニル化合物[式中、R6は以下のものを表す:
−ヒドロキシル基;
−O、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した、1から25の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基;前記アルキル基は、更に−OH及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる;
−CからCシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル;
−CからC20アリール基、例えばフェニル;
−CからC30アラルキル基(CからCアルキル基)、例えば2−フェニルエチルまたはベンジル
−O、N、及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む4から12員環の複素環基;
−ヘテロシクロアルキル基(1から4の炭素のアルキル)、例えばフルフリル、フルフリルメチル、テトラヒドロフルフリルメチル]。前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、並びにO、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基[前記アルキル基は、更に−OH及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる]から選択される一つ以上の置換基によって任意に置換できる。ビニルモノマーの例は、ビニルシクロヘキサン、スチレン、及びビニルアセテートである。
【0049】
−(ii)式CH=CHCOOR7のアクリレート[式中、R7はtert−ブチル基;CからCのシクロアルキル基;CからC20のアリール基;CからC30のアラルキル基(CからCアルキル基);O、N、及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む4から12員環複素環基;ヘテロシクロアルキル基(CからCアルキル)、例えばフルフリル基である]。前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、並びにO、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基[前記アルキル基は、更にヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる]から選択される一つ以上の置換基によって任意に置換できる。そのようなモノマーの例は、tert−ブチル、t−ブチルシクロヘキシル、t−ブチルベンジル、フルフリル、及びイソボルニルアクリレートである。
【0050】
−(iii)式CH=C(CH)COOR8のメタクリレート[式中、R8は以下のものを表す:
−1から6の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭素基、特に炭化水素(アルキル)基、例えばメチル、エチル、プロピル、またはイソブチル基;前記アルキル基は、更にOH及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる;
−CからCシクロアルキル基;
−CからC20アリール基;
−CからC30アラルキル基(CからCアルキル基);
−O、N、及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む4から12員環の複素環基;
−ヘテロシクロアルキル基(C−Cアルキル基)、例えばフルフリル基];前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキル基は、OH、ハロゲン原子、並びにO、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基[前記アルキル基は、更にヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる]から選択される一つ以上の置換基によって任意に置換できる。そのようなモノマーの例は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルシクロヘキシル、t−ブチルベンジル、メトキシエチル、メトキシプロピル、及びイソボルニルメタクリレートである。
【0051】
−(iv)式CH=CHCONR9R’9またはCH=C(CH)CONR9R’9の(メタ)アクリルアミド[式中、R9及びR’9は同一または異なり、水素原子、または直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基、例えばn−ブチル、t−ブチル、またはイソプロピル基である]。そのようなモノマーの例は、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジブチル(メタ)アクリルアミドである。
【0052】
とりわけ好ましい−20℃より高いTgを有するモノマーは、フルフリル、イソボルニル、tert−ブチル、tert−ブチルシクロヘキシル、及びtert−ブチルベンジルアクリレート;メチル、n−ブチル、エチル、及びイソブチルメタクリレート、スチレン、ビニルアセテート、及びビニルシクロヘキサン、及びそれらの混合物である。
【0053】
−20℃より高いTgを有し、更に疎水性であるモノマーとしては、イソボルニル、tert−ブチル、tert−ブチルシクロヘキシル、及びtert−ブチルベンジルアクリレート;n−ブチル及びイソブチルメタクリレート、スチレンが挙げられる。
【0054】
本発明に係る分散物中に存在するポリマーは、非常に明白に、−20℃以下のTgまたは−20℃より高いTgを有することができる親水性モノマー(即ち疎水性ではないモノマーまたは2未満のlogPを有するモノマー)、あるいはそのような親水性モノマーの混合物を含むことができる。
【0055】
使用できる親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート(MADAME)、ジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPMA)、ビニルピリジン及びビニルイミダゾール、MADQUAT(または[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド)、MAPTAC(またはメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−(tert−ブチル)アクリルアミド、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、式CH=C(H,CH)COORのアクリレートまたはメタクリレート[式中、Rは(OC)m−OR”基{m=5から150、R”=HまたはCからC30アルキル}を含むことができるアルキルである]が挙げられる。
【0056】
酸性官能基を含む場合、本発明に係るポリマーは、有機塩基、例えば第一級、第二級、または第三級アミンによって中和することができ、前記アミンは、置換基(ヒドロキシル)を含んでも含まなくとも良く、例えば2−アミノ−2−メチルプロパノールであって良く、これらの塩混合形態または第四級化形態であっても良い。
【0057】
塩基性官能基を含む場合、本発明に係るポリマーは、一つ以上のカルボキシル、スルホ、またはホスホノ基を含むことができる有機酸によって中和することができる。それらは直鎖状、分枝状、または環状脂肪族酸であることができ、または芳香族酸であることができる。これらの酸は、O及びNから選択される一つ以上のヘテロ原子を更に含むことができ、例えばヒドロキシル基の形態で含むことができる。特に、酢酸、α−ヒドロキシエタン酸、α−ヒドロキシオク炭酸、α−ヒドロキシカプリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、ベヘン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、クエン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−エチルカプロン酸、葉酸、フマル酸、ガラクタル酸、グルコン酸、グリコール酸、2−ヘキサデシルエイコサン酸、ヒドロキシカプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソラウリン酸(または2−ブチルオクタン酸)、イソミリスチン酸(または2−ヘキシルオクタン酸)、イソアラキドン酸(または2−オクチルドデカン酸)、イソリグノセリン酸(または2−デシルテトラデカン酸)、乳酸、ラウリン酸、リンゴ酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、プロピオン酸、セバシン酸、ステアリン酸、酒石酸、テトラフタル酸、トリメシン酸、ウンデシレン酸、プロピルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
本発明の文脈で使用できるポリマーは好ましくは、2000から10000000の間、特に3000から800000の間、好適には4000から500000の間の数量平均分子量(Mn)を有する。
【0059】
かくして本発明に係るポリマー粒子の分散物は、前記粒子が分散している非水性媒体を含む。
【0060】
この非水性媒体は、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースによる全体的溶解度パラメーターを有する、25℃で液体である少なくとも一つの非水性化合物、またはそのような化合物の混合物からなる。
【0061】
ハンセン溶解度スペースによる全体的溶解度パラメーターδは、文献"Polymer Handbook", 第3版, 第VII章, 第519-559頁のGrulkeによる論文"Solubility parameter values"に、以下の関係式によって規定されている:
【数2】

[式中、
−dは、分子衝突の間で誘導される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴づけ;
−dは、永久双極子の間のデバイ相互作用の力を特徴づけ;
−dは、特定の相互作用(水素結合、酸/塩基またはドナー/アクセプタータイプ等)の力を特徴付ける]。本線による三次元溶解度スペースにおける溶媒の定義は、Hansenによる論文"The three-dimensional solubility parameters", J. Paint Technol., 39, 105 (1967)に記載されている。
【0062】
20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースによる全体的溶解度パラメーターを有する非水性液体化合物としては、液体脂肪物質、特に任意に分枝状の天然または合成の炭素、炭化水素、フッ素化、及び/またはシリコーンオイルから選択できるオイルが単独または混合物として挙げられる。
【0063】
これらのオイルとしては、脂肪酸とポリオール、特にトリグリセリドのエステルによって形成される植物オイル、例えばヒマワリ、ゴマ、またはレープシードオイル、あるいは長鎖(つまり6から20の炭素原子を有する)の酸またはアルコールから由来するエステル、特に式RCOOR’のエステル[式中、Rは7から19の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R’は3から20の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す]、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート、及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート、及びイソプロピルミリステートが挙げられる。
【0064】
更に、炭化水素、特に流動パラフィン、流動ワセリン、または水素化ポリイソブチレン、C−C16イソパラフィン、及び揮発性イソパラフィン、例えばイソドデカン、または「イソパール」が挙げられる。
【0065】
更に、シリコーンオイル、例えば任意にフッ素化されている脂肪族及び/または芳香族基によって、またはヒドロキシル、チオール、及び/またはアミン基のような官能基によって任意に置換されたポリジメチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサン;及び揮発性シリコーンオイル、特に環状または直鎖状揮発性シリコーンオイル、例えばシクロジメチルシロキサン、シクロフェニルメチルシロキサン、及び直鎖状ジメチルシロキサンが挙げられ、特に直鎖状ドデカメチルペンタシロキサン(L5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、またはヘプタメチルオクチルトリシロキサンが挙げられる。
【0066】
更に、単独または混合物として、6から30の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状エステル;6から30の炭素原子を有するエーテル、及び6から30の炭素原子を有するケトンから選択される溶媒が挙げられる。
【0067】
更に、使用できる非水性化合物として、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースによる全体的溶解度パラメーターを有するモノアルコール、つまり、少なくとも6の炭素原子、特に6から32の炭素原子を有し、炭化水素鎖が置換基を含まない脂肪族脂肪モノアルコールが挙げられる。本発明に係るモノアルコールとして、オレイルアルコール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、及びリノレイルアルコールが挙げられる。
【0068】
好ましくは、非水性媒体は、揮発性シリコーンオイル、特に環状または直鎖状揮発性シリコーンオイル、たとえばシクロジメチルシロキサン及び直鎖状ジメチルシロキサン、及び/または式RCOOR’のエステル[式中、Rは7から19の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R’は3から20の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す]、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート、及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート、及びイソプロピルミリステート;及びこれらの混合物を含む。
【0069】
非水性媒体の選択は、ポリマーを構成するモノマーの性質、及び/または安定化剤の性質によって、当業者に容易に選択できる。
【0070】
前記ポリマー分散物は、文献EP-A-749 747に開示されたように製造できる。一般的に前記重合は、分散物中で、つまり形成される粒子の安定化剤を使用する保護と共に、形成の最中でのポリマーの沈降によって実施できる。
【0071】
かくして、開始モノマー及びラジカル開始剤を含む混合物を調製することが可能である。この混合物は、合成溶媒中に溶解される。
【0072】
前記モノマーは反応媒体中で可溶性である一方で、前記ポリマーはそこに可溶性ではない。重合が生じるにつれて、前記ポリマーは沈降し、存在する安定化剤によって安定化されることが見出されるであろう。安定化剤による表面で保護されたポリマー粒子がかくして得られる。
【0073】
前記重合は、非水性媒体中で直接実施でき、かくして溶媒は合成溶媒としても機能できる。
【0074】
合成溶媒中で重合を実施し、その後溶媒の交換を行なって、合成溶媒を非水性溶媒に置換することも可能である。
【0075】
かくして、選択される非水性媒体が非水性炭化水素またはシリコーンオイルである場合、重合は無極性有機溶媒(合成溶媒)中で実施でき、次いで非揮発性オイル(前記合成溶媒と混和性でなければならない)を加え、合成溶媒を選択的に蒸留する。
【0076】
前記合成溶媒の選択は好ましくは、開始モノマーとラジカル開始剤がそこに可溶性であり、得られるポリマーの粒子がそこに不溶性であり、それらが形成の最中でそこに沈降するようになされる。特に前記合成溶媒は、アルカン、例えばヘプタン、イソドデカン、またはシクロヘキサンから選択できる。
【0077】
選択された非水性媒体が揮発性炭化水素またはシリコーンオイルである場合、重合は前記オイル中で直接実施でき、かくしてそれは合成溶媒としても機能する。前記モノマー並びにラジカル開始剤は好ましくはそこに可溶性であるべきであり、得られるポリマーはそこに不溶性でなければならない。
【0078】
前記モノマーは好ましくは、重合前に、5−80重量%の割合で合成溶媒中に存在する。全てのモノマーが、反応の開始前に溶媒中に存在してもよく、またはモノマーの一部が重合反応の進行とともに添加されても良い。
【0079】
ラジカル開始剤は、例えばアゾまたはパーオキシ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、またはtert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)であることができる。
【0080】
ポリマー粒子は表面で安定化される。第一の実施態様では、特に単独または混合物としての、連続ポリマー、グラフトポリマー、及び/またはランダムポリマーであることができる安定化剤によって、重合が生じるにつれて表面で前記粒子を安定化できる。安定化は、いずれかの既知の手段、特に安定化剤の存在下での重合によって実施できる。
【0081】
好ましくは、安定化剤は重合の開始時点で混合物中に存在する。しかしながら、特にモノマーが連続的に添加される場合、安定化剤も連続的に添加することも可能である。
第二の実施態様では、前記ポリマーは合成溶媒中で合成され、次いで分散剤の添加により非水性分散媒体に分散し、合成溶媒を蒸発させることもできる。
【0082】
モノマーの開始混合物の重量に対して0.1から30重量%、好ましくは1から20重量%、より好ましくは2から15重量%、実際には3から10重量%の安定化剤を使用することが可能である。
【0083】
安定化剤としてグラフト及び/または連続ポリマーを使用する場合、前記安定化ポリマーのグラフトまたは連続の少なくとも一部前記溶媒に可溶性であり、前記グラフトまたは連続の他の部分がそこに可溶性ではないように、合成溶媒を選択する。重合の間で使用される安定化ポリマーは、合成溶媒中に可溶性または分散性でなければならない。更に、重合の間で形成されるポリマーに対してある程度の親和性を示す部分(連続、グラフトまたは他のもの)を含む安定化剤の選択が好ましくはなされる。
【0084】
安定化剤としてランダムポリマーが使用される場合、それは考慮される合成溶媒中に可溶性とする十分量の基を有するように選択される。
【0085】
グラフトポリマーとしては、炭化水素鎖をグラフトしたシリコーンポリマー、及びシリコーン鎖をグラフトした炭化水素ポリマーが挙げられる。
【0086】
例えばポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)タイプの可溶性グラフトを有するポリアクリルタイプの不溶性骨格を有するグラフトコポリマーもまた適している。
【0087】
安定化剤としては、以下のものが挙げられる:
−(a)ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも一つのブロックと、(i)ラジカル重合から生成するポリマー、または(ii)重縮合から生成するポリマー、特にポリエーテル、ポリエステル、またはポリアミドタイプの少なくとも一つのブロックを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマー、またはそれらの混合物であって、前記コポリマーはフッ素化部分を含むことができる。
【0088】
ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも一つのブロックと、ラジカルポリマーの少なくとも一つのブロックとを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマーとして、特に非水性媒体がシリコーン媒体である場合に使用できるアクリル/シリコーンタイプのグラフトコポリマーが挙げられる。
【0089】
グラフトまたは連続ブロックコポリマーがポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも一つのブロックと、少なくとも一つのポリエーテルブロックとを含む場合、ポリオルガノシロキサンブロックは、特にポリジメチルシロキサン、または別法としてポリ(C−C18)アルキルメチルシロキサンであることができる;ポリエーテルブロックは、ポリオキシ(C−C18)アルキレン、特にポリオキシエチレン、及び/またはポリオキシプロピレンであることができる。かくして、任意に架橋されたジメチコーンコポリオールまたは(C−C18)アルキルメチコーンコポリオールが使用されて良い。例えば、Dow Corning社により"Dow Corning 3225C"の名称で市販されているジメチコーンコポリオール、またはDow Corning社により"Dow Corning Q2-5200"の名称で市販されているラウリルメチコーンコポリオールの使用が挙げられる。
【0090】
ラウリルジメチコーンコポリオールクロスポリマー、例えばShin-Etsu社製のKSG31またはKSG32、セチルジメチコーンコポリオール、例えばGE社製のDMC 3071、及びジメチコーンコポリオールPPG−3オレイルエーテル、例えばShin-Etau社製のKF-6026の使用が挙げられる。
【0091】
−(b)C−Cアルキル(メタ)アクリレートとC−C30アルキル(メタ)アクリレートとのグラフトまたは連続ブロックコポリマー。ステアリルメタクリレート/メチルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0092】
−(c)一つ以上の任意に接合したエチレン性結合を含むエチレン性モノマー、及び/または特にジエンの重合から生成する少なくとも一つのブロック;及びジエン以外のラジカル重合から生成する、特にビニル、(メタ)アクリル、または(メタ)アクリルアミドモノマーから生成するポリマー、またはポリエーテル、ポリエステル、またはポリアミド、あるいはそれらの混合物の少なくとも一つのブロックを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマー。
【0093】
特に、一つ以上の任意に接合したエチレン性結合を含む少なくとも一つのエチレン性モノマー、例えばエチレン、ブタジエン、またはイソプレンの重合から生成する少なくとも一つのブロックと、スチレンポリマーの少なくとも一つのブロックとを含むコポリマーの使用が挙げられる。エチレン性モノマーがいくつかの任意に接合したエチレン性結合を含む場合、重合後の残余のエチレン性不飽和は一般的に水素化される。かくして、既知の態様で、イソプレンの重合は、水素化の後に、エチレン−プロピレンブロックの形成を生じ、ブタジエンの重合は、水素化の後に、エチレン−ブチレンブロックの形成を生じる。これらの連続コポリマーとして、ポリスチレン/ポリイソプレンまたはポリスチレン/ポリブタジエンタイプ、例えばBASF社により"Luvitol HSB"の名称で市販されているもの、またはポリスチレン/コポリ(エチレン−プロピレン)タイプ、例えばChemical Co.社により"Kraton"の名称で市販されているもの、またはポリスチレン/コポリ(エチレン−ブチレン)タイプの「ジブロック」または「トリブロック」タイプのコポリマーが挙げられる。
【0094】
少なくとも一つのエチレン性モノマー、例えばエチレンまたはイソブチレンの重合から生成する少なくとも一つのブロックと、アクリルポリマー、例えばメチルメタクリレートの少なくとも一つのブロックとを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマーとして、ポリ(メチルメタクリレート)/ポリイソブチレン二または三連続コポリマー、またはポリ(メチルメタクリレート)骨格とポリイソブチレングラフトとを含むグラフトコポリマーが挙げられる。
【0095】
少なくとも一つのエチレン性モノマーの重合から生成する少なくとも一つのブロックと、ポリエーテル、例えばポリオキシ(C−C18)アルキレン、特にポリオキシエチレン及び/またはポリオキシプロピレンの少なくとも一つのブロックとを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマーとして、ポリオキシエチレン/ポリブタジエン、またはポリオキシエチレン/ポリイソブチレン二または三連続コポリマーが挙げられる。
【0096】
安定化剤として、以下のような化合物の使用が挙げられる:
【0097】
−(d)アルキル基が6から32の炭素原子を含むアルキルジメチコーン、例えばラウリルメチコーン、及びステアリルメチコーン、特にISP社製のSi tec LDM 3107、セチルジメチコーン、例えばGoldschmidt社製のAbil Wax 9801、ベヘノキシジメチコーン、例えばGoldschmidt社製のAbil 5440。
【0098】
−(e)下式のジメチコノールエステル:
【化1】

[式中、Rは6から32の炭素原子を有するアルキル基である]、例えばジメチコノールベヘネート、特にNoveon社製のUltrabee、及びPhoenix Chemical社製のPecosil DBといった製品。
【0099】
−(f)特に6から60の炭素原子、特に12から50の炭素原子を有するアルキルアミノアミン、例えばベヘンアミドプロピルジメチルアミン、特に下式のPhoenix Chemical社製のCetemol 220:
【化2】

【0100】
-(g)少なくとも一つのポリオルガノシロキサン部分とフッ素化基を含むコポリマー、特に下式によって表すことができるフッ素化シリコーンまたはフルオロシリコーン:
【化3】

[式中、xは3から12の間、好ましくは5から10の間の整数、特にx=8であり;yは2から6の間、好ましくは2または3の整数であり;mとnは化合物の分子量が5000から15000の間となるようなものである];とりわけパーフルオロノニルジメチコーン、例えばPhoenix Chemical社によりPecosil FSH-150及び300またはPhoenix Chamical社によりPecosil FSL-150及び300の名称で市販されている製品。
【0101】
合成溶媒が無極性である場合、安定化剤として、粒子のを最も完全に被覆することが可能なように寄与し、安定化ポリマーのいくつかの鎖が重合によって得られるポリマーの一つの粒子に吸収されるポリマーを選択することが好ましい。
【0102】
この場合、安定化剤として、より優れた界面活性剤を有するように、グラフトポリマーまたは連続ポリマーのいずれかを使用することが好ましい。これは、合成溶媒中で不溶性である連続またはグラフトが、粒子の表面でより分厚く被覆するのに寄与するためである。液体合成溶媒が少なくとも一つのシリコーンオイルを含む場合、安定化剤は好ましくは、ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも一つのブロックと、ラジカルポリマー、またはポリエーテル、またはポリエステルの少なくとも一つのブロック、例えばポリオキシプロピレン化及び/またはオキシエチレン化ブロックとを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマーからなる群から選択される。
【0103】
特に好ましくは、本発明に係る分散物は、以下のようなものである:
−−20℃以下のTgを有するモノマーが、単独でまたは混合物として、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、ラウリル、トリデシル、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシプロピルアクリレート;オクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、セチル、パルミチル、ステアリル、ベヘニル、及びオレイルメタクリレートから選択され、とりわけ少なくとも2−エチルヘキシルアクリレートまたはメタクリレートを含み、及び/または
−−20℃以下のTgを有するモノマーが、開始モノマーの全重量の50から100重量%を占め;及び/または
−安定化剤が、下式のフッ素化シリコーンまたはフルオロシリコーンから選択され:
【化4】

[式中、x=8、y=2または3であり、mとnは化合物の分子量が5000から15000の間であるようなものである];及び/または
−非水性液体化合物が、揮発性シリコーンオイル、特に環状または直鎖状揮発性シリコーンオイル、例えばシクロジメチルシロキサン、及び直鎖状ジメチルシロキサン、及び/または式RCOOR’のエステル[式中、Rは7から19の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R’は3から20の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す]、特にジイソプロピルアジペート、及びイソプロピルミリステート;並びにそれらの混合物から選択される。
【0104】
使用されるポリマーのTgを低下するために、ポリマーの分散物に可塑剤を添加することが可能である。可塑剤は、応用の分野で従来使用されている可塑剤、特にポリマーのための溶媒となることができる化合物から選択できる。可塑剤は、合成の間で取り込ませることができ、または合成を実施してから添加することができる。
【0105】
本発明によって得られる分散物は、更に化粧品または製薬学的に許容可能な媒体を含む組成物、特に化粧品または製薬組成物で使用できる。
【0106】
考慮される応用に依存して、揮発性または非揮発性オイルを含む非水性溶媒に、皮膜形成性または非皮膜形成性ポリマーの分散物の使用がなされても良い。
【0107】
次いで前記組成物は、考慮される応用に依存して、このタイプの組成物に標準的な成分を含むことができる。
【0108】
これらの成分として、ワックス、オイル、ゴム、及び/または植物、動物、鉱物、または合成、実際にはシリコーンの起源のペースト状脂肪物質、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0109】
単独でまたは混合物として、本発明に係る組成物に存在できるワックスとして、炭化水素ワックス、例えばビーズワックス;カルナウバ、カンデリラ、オーリキュリー、またはモクロウ、コルク繊維、またはサトウキビワックス;パラフィン、リグナイトワックス;マイクロクリスタリンワックス;ラノリンワックス;モンタンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;フィッシャー−トロプシュ合成によって得られるワックス;水素化されたオイル、脂肪エステル、及び25℃で固体であるグリセリドが挙げられる。シリコーンワックスの使用も挙げられ、その中ではアルキル誘導体、アルコキシ誘導体、及び/またはポリメチルシロキサンのエステルが挙げられる。
【0110】
本発明に係る組成物はまた、単独でまたは混合物として、鉱物、動物、植物、または合成起源のカーボン、炭化水素、フッ素化及び/またはシリコーンオイルを含むことができ、但しそれらは均一で安定な混合物を形成し、考慮される使用に適合的なものである。単独でまたは混合物として、本発明に係る組成物に存在できるオイルとして、炭化水素オイル、例えば流動パラフィンまたは流動ワセリン;パーヒドロスクアレン;アララオイル;スイートアーモンド、カロフィラム、パーム、ヒマシ油、アボカド、ホホバ油、オリーブ、またはコムギオイル;ラノリン酸、オレイル酸、ラウリン酸、ステアリン酸のエステル;アルコール、例えばオレイルアルコール、リノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、またはオクチルドデカノールが挙げられる。任意にフェニル化されるシリコーンオイル、例えばPDMS、例えばフェニルトリメチコーンも挙げられる。揮発性オイル、例えばシクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン、シクロヘキサジメチルシロキサン、メチルヘキシルジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、またはイソパラフィンの使用も挙げられる。
【0111】
本発明に係る組成物はまた、例えば組成物の全重量の0から70%、特に0.01から70%の割合で、粉体化合物及び/または脂溶性若しくは水溶性染料から選択される一つ以上の着色物質を含むことができる。
【0112】
粉体化合物は、化粧品または製薬組成物で一般的に使用される顔料及び/または真珠光沢剤及び/またはフィラーから選択できる。有利には、粉体化合物は、組成物の全重量の0から50%、特に0.1から50%、好適には1から40%を占める。
【0113】
前記顔料は、白色または着色された、無機及び/または有機の、光干渉性または無干渉性であることができる。無機顔料としては、任意に表面で処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム若しくはセリウム、及び酸化鉄若しくはクロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム、アルミニウムのコチニールカルミンにも基づくレーキが挙げられる。
【0114】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えば酸化チタン若しくはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆された酸化チタン被覆マイカ、特にフェリックブルー若しくは酸化クロムで被覆された酸化チタン被覆マイカ、上述の有機顔料で被覆された酸化チタン被覆マイカ、並びにオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択できる。
【0115】
フィラーは、無機または有機の、ラメラ状または球状であることができる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン(登録商標)及びポリエチレン、ポリ−ベータ−アラニン及びポリエチレンパウダー、テフロン(登録商標)、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーパウダー、中空ミクロスフェア、例えばExpancel(Nobel Industries)またはPolytrap(Dow Corning)、及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えばToshiba社製のTospearls)沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社製のSilica Beads)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8から22の炭素原子、好ましくは12から18の炭素原子を有する有機カルボン酸から由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0116】
脂溶性染料は例えば、Sudan red、D&C Red 17、D&C Green 6、β−カロチン、ダイズオイル、Sudan brwon、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、またはキノリンイエローである。それらは組成物の重量の0から20%、特に0.01から20%、好適には0.1から6%を占めることができる。水溶性染料は、例えばビートルートジュース、またはメチレンブルーであり、組成物の全重量の6%までを占めることができる。
【0117】
前記組成物は更に、化粧品分野で通常使用されるいずれかの添加剤、例えば抗酸化剤、香料、精油、防腐剤、化粧品活性成分、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、セラミド、サンスクリーン剤、界面活性剤、ポリマー、増粘剤、またはゲル化剤を含むことができる。もちろん当業者は、このまたはこれらの添加剤、及び/またはそれらの量を選択するのに注意を払い、本発明に係る組成物の有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0118】
本発明に係る組成物は、化粧品または製薬組成物について許容可能で通常であるいずれかの形態で提供できる。
【0119】
本発明に係る組成物は、懸濁物、分散物、特にベシクルによって水中油型の形態;任意に増粘され、実際にはゲル化された油性溶液;水中油型、油中水型、または複相エマルジョン;ゲルまたはフォーム;油性または乳化ゲル;ベシクル、特に脂質ベシクルの分散物;二相若しくは複相ローション;スプレー;ローション、クリーム、軟膏、ソフトペースト、膏薬、キャストまたはモールドされた固体、特にスティック若しくは皿にキャストまたはモールドされたもの、または圧縮固体の形態で提供できる。
【0120】
当業者は、その一般的な知見に基づいて、一方で使用される成分の性質、特にビヒクル中でのその可溶性を考慮して、他方で組成物に考慮される応用を考慮して、適切な投与量形態、及びその調製方法を選択できる。
【0121】
本発明に係る化粧品組成物は、身体または顔の皮膚、唇及び毛髪をケア及び/またはメイクアップするための製品、抗日光または自己日焼け製品、実際にはヘア製品の形態で提供できる。
【0122】
本発明の組成物は、特に、毛髪の分野、特にヘアスタイルの形状維持または毛髪の成型のために特に有利な応用を有する。ヘア組成物は好ましくは、シャンプー、ゲル、ヘアセットローション、ブロー乾燥ローション、または固定化及びスタイリング組成物、例えばラッカー、フォーム、またはスプレーである。ローションは各種の形態、特に噴霧器、ポンプ作用スプレー、またはエアゾール容器に実装でき、噴霧形態またはフォーム形態で組成物の適用を提供する。
【0123】
本発明に係る組成物は、ケラチン物質、例えば毛髪、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇、または頭皮、とりわけ毛髪を洗浄または処理するために使用できる。本発明に係る組成物は、洗浄組成物、例えばシャンプー、シャワーゲル、及びフォームバスであることができる。
【0124】
本発明の組成物はまた、リンスアウトまたはリーブインコンディショナー、パーマ用、毛髪ストレート用、染色用、または脱色用組成物の形態で、更には染色、脱色、パーマ、または毛髪ストレートの前後に、またはパーマ若しくは毛髪ストレート処理の二段階の間で適用されるリンスアウト組成物の形態でも提供できる。
【0125】
本発明の組成物は、皮膚用の洗浄組成物の形態で、特にバス若しくはシャワーのための溶液若しくはゲル、またはメイクアップ除去剤の形態で提供できる。本発明に係る組成物はまた、皮膚及び/または毛髪のケアのための水性または水性/アルコール性ローションの形態で提供できる。
【0126】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、特に身体または顔の皮膚、爪、毛髪、及び/または睫毛に前述の化粧品組成物を提供することを含む、前記ケラチン物質の美容処理方法である。
【0127】
本発明に係る組成物は、特にヘアスタイルの形状維持、または皮膚、毛髪、若しくはいずれかの他のケラチン物質のトリートメント、ケア、若しくは洗浄、またはメイクアップ除去が可能である。
【0128】
本発明は、以下の実施例でより詳細に説明され、ポリマーのTgはフォックスの法則に従って計算される;中和されたモノマーが使用される場合、Tgは中和されていないモノマーから得られるホモポリマーのTgを基準に「見積もられ」、但し選択される中和剤で実施される場合、中和によりTgが低下することが知られている。
【実施例】
【0129】
実施例1から46
本発明に係る非水性分散物を、以下の方法で調製する:以下に記載された化合物を攪拌しながら反応器に導入する。その後90℃で6時間加熱を実施する。
【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
【表4】

【0133】
【表5】

【0134】
【表6】

【0135】
【表7】

【0136】
−安定化剤1:ジメチコーンコポリオール(Shin-Etsu社製のKF6017)
−安定化剤2:ジメチコーンコポリオール(Dow Corning社製のDC5225C)
−安定化剤3:アクリレート/ジメチコーンコポリオール(Shin-Etsu社製のKP545)
−安定化剤4:アクリレート/ステアリルアクリレート/ジメチコーンアクリレートコポリマー(Shin-Etsu社製のKP561)
−安定化剤5:ポリオールジメチコーンブロック(Mw8000)(Genesee Polymers社製のGP675)
−安定化剤6:セチルジメチコーンコポリオール、ポリグリセリルイソステアレート(4mol)、及びヘキシルラウレートの混合物(Goldschmidt社製のAbil WE-09)
−安定化剤7:ポリフルオロノニルジメチコーン(Phoenix Chemical社製のPecosil FSH-150)
−開始剤:tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(Akzo社製のTrigonox 21S)
−SPEモノマー:N,N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−(2−スルホプロピル)アンモニウムベタイン
−NADQUAT N−オクチル:20℃未満のTgを有するN,N’,N”−オクチルジメチルアンモニオ−エチルアクリレート
−中和化MADAME:エチルカプロン酸により100%に中和されたジメチルアミノエチルメタクリレート(MADAMEはTg=19℃を有する)
【0137】
全てのこれらの実施例では、揮発性シリコーン中のポリマー粒子の分散物が最後には得られる。
【0138】
実施例47
容器に準備しておく成分を、還流コンデンサと250ml滴下漏斗を備えた1リットルの反応器に導入する。温度を90℃の外部調節に設定し、2℃/分で温度上昇させ、300回転/分の機械的攪拌を実施する。
【0139】
必要な温度に到達したら(90℃)、稼動部分の成分を1時間かけて添加する。温度を90℃で5時間維持する。
【0140】
【表8】

【0141】
揮発性シリコーンオイル(D5)中にポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)の安定な分散物を得る。ポリマーのTgの計算値は−50℃である。
【0142】
Coulter N4 SDで散乱する準弾性光によって実施した粒子のサイズの測定は、以下の結果を与える:
・粒子の平均径:150nm
GPC(溶出溶媒:THF)によって測定した数量平均分子量は、19300g/molである。
・多分散度:5
【0143】
実施例48
容器に準備しておく成分を、還流コンデンサと250ml滴下漏斗を備えた500mlの反応器に導入する。温度を90℃の外部調節に設定し、2℃/分で温度上昇させ、300回転/分の機械的攪拌を実施する。
【0144】
必要な温度に到達したら(90℃)、稼動部分の成分を1時間20分かけて添加する。温度を90℃で6時間維持する。
【0145】
【表9】

【0146】
イソプロピルミリステート中にポリ(2−エチルヘキシルアクリレート/100%に中和されたMADAME)の安定な分散物を得る。ポリマーのTgの計算値は−33℃未満である。
【0147】
実施例49
容器に準備しておく成分を、還流コンデンサと250ml滴下漏斗を備えた500mlの反応器に導入する。温度を90℃の外部調節に設定し、2℃/分で温度上昇させ、300回転/分の機械的攪拌を実施する。
【0148】
必要な温度に到達した後(90℃)、約30分間白色化を記録する;稼動部分の成分を1時間かけて添加する。温度を90℃で3時間維持する。
【0149】
【表10】

【0150】
シリコーンオイル中にポリ(メチルアクリレート/ブチルアクリレート)の粒子の安定な分散物を得る。ポリマーのTgの計算値は−38℃である。
【0151】
実施例50
容器に準備しておく成分を、還流コンデンサと250ml滴下漏斗を備えた500mlの反応器に導入する。温度を90℃の外部調節に設定し、2℃/分で温度上昇させ、300回転/分の機械的攪拌を実施する。
【0152】
必要な温度に到達した後(90℃)、約45分間白色化を記録する;稼動部分の成分を50分かけて添加する。温度を90℃で3時間維持する。
【0153】
【表11】

【0154】
シリコーンオイル中にポリ(メチルアクリレート/ブチルアクリレート)の粒子の安定な分散物を得る。ポリマーのTgの計算値は−38℃である。
【0155】
実施例51
容器に準備しておく成分を、還流コンデンサと250ml滴下漏斗を備えた500mlの反応器に導入する。温度を90℃の外部調節に設定し、2℃/分で温度上昇させ、300回転/分の機械的攪拌を実施する。
【0156】
必要な温度に到達した後(90℃)、約40分間白色化を記録する;稼動部分の成分を1時間10分かけて添加する。温度を90℃で3時間維持する。
【0157】
【表12】

【0158】
シリコーンオイル中に架橋されたポリ(メチルアクリレート/ブチルアクリレート)の粒子の安定な分散物を得る。ポリマーのTgの計算値は−38℃である。
【0159】
実施例52
容器に準備しておく成分を、還流コンデンサと250ml滴下漏斗を備えた500mlの反応器に導入する。温度を90℃の外部調節に設定し、2℃/分で温度上昇させ、300回転/分の機械的攪拌を実施する。
【0160】
必要な温度に到達した後(90℃)、約30分間白色化を記録する;稼動部分の成分を1時間かけて添加する。温度を90℃で5時間維持する。
【0161】
【表13】

【0162】
シリコーンオイル中にポリ(2−エチルヘキシルアクリレート/ドデカフルオロヘプチルメタクリレート)の粒子の安定な分散物を得る。ポリマーのTgの計算値は−48℃未満である。
【0163】
以下の成分を含む組成物を比較する(パーセンテージは活性物質の重量パーセンテージとして表される)
【0164】
【表14】

【0165】
分散物A:シクロペンタジメチルシロキサン(D5)中に25%でメチルアクリレート(90重量%)とアクリル酸(10重量%)のコポリマーの分散物。前記分散物を、2%のオキシエチレン化されたポリメチルセチルジメチルメチルシロキサン(Goldschmidt社製のAbil EM 90)によって安定化する。ポリマーのTgの計算値:17℃。
【0166】
溶液B:シクロペンタジメチルシロキサン中にポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)の50%溶液に、重合後、2%のパーフルオロノニルグラフトを含むポリジメチルシロキサン(Pecosik FSH-150)を添加する。ポリマーのTgの計算値:−50℃。
【0167】
2グラムの各組成物を、2.7グラムの重量の20cmの長さの天然のカフカス人の毛髪の塊に適用する。その塊をマッサージし、5分間放置し、次いですすぐ。湿った塊を2cmの直径のカーラーにまき、その後70℃で30分間ヘアドライヤーで乾かす。乾燥後、カールの張性、毛髪の感触、クシを使用する塊のもつれの解きやすさを評価する。
【0168】
3種の製剤は、同様なレベルのカールの張性に寄与し、それはコントロールの塊で得られたものよりずっと優れている。感触ともつれの解きやすさの美容特性は、お互いに非常に異なる。
【0169】
本発明に係る組成物により処理された塊は、コントロールによって処理された塊と同様の感触を有する。その塊は柔軟で、滑らかで、べとつかず、もつれが解きやすい。
【0170】
本発明に係る組成物で処理された塊と比較して、本発明外の組成物Iによって処理された塊は粗い感触を有し、もつれが解きにくい。
【0171】
本発明に係る組成物で処理された塊と比較して、本発明外の組成物IIによって処理された塊は、脂っぽいべたつき感を有する。
【0172】
結論として、本発明に係る組成物のみが、感触ともつれの解きやすさの良好な美容特性を得ることができる一方で、良好なレベルのスタイリングを維持することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースに従った全体的溶解度パラメーターを有する、25℃で液体である少なくとも一つの非水性化合物、またはそのような化合物の混合物からなる、非水性媒体中で安定化剤によって表面で安定化された少なくとも一つのエチレン性ポリマーの粒子の分散物であって、前記エチレン性ポリマーが−99℃から−20℃の間のガラス転移温度(Tg)を示すことを特徴する分散物。
【請求項2】
前記エチレン性ポリマーが、−99℃から−25℃の間、好ましくは−95℃から−30℃の間、実際には−80℃から−35℃の間、好適には−70℃から−40℃の間のガラス転移温度(Tg)を示す、請求項1に記載の分散物。
【請求項3】
非水性媒体中の分散物状態のポリマーナノ粒子の形態で提供され、前記ナノ粒子が5から600nmの間、特に10から500nmの間、好適には15から450nmの間のサイズを有する、請求項1または2に記載の分散物。
【請求項4】
前記ポリマーが、モノマーの全重量の100重量%を占める−20℃以下のTgを有する一つ以上のモノマーの重合から生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項5】
前記ポリマーが、−20℃以下のTgを有する一つ以上のモノマーと、−20℃より高いTgを有する一つ以上の付加的モノマーとの重合から生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項6】
前記付加的モノマー、またはそのようなモノマーの混合物が、モノマーの全重量に対して0.01から50重量%、特に0.1から40重量%、実際には1から30重量%、更には5から15重量%の割合で存在し、前記−20℃以下のTgを有するモノマー、またはそのようなモノマーの混合物が、モノマーの全重量に対して50から99.99重量%、特に60から99.9重量%、実際には70から99重量%、更には85から95重量%の割合で存在する、請求項5に記載の分散物。
【請求項7】
前記エチレン性ポリマーが、モノマーの全重量に対して40から100重量%、特に60から99重量%、実際には70から98重量%、好適には60から95重量%の疎水性モノマーを単独または混合物として含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項8】
前記疎水性モノマーが−20℃未満のTgを有する、請求項7に記載の分散物。
【請求項9】
前記−20℃以下のTgを有するモノマーが、単独または混合物として、
−(i)式CH=CHCOOR1のアクリル酸のエステル[式中、R1は(a)O、N、Sから選択される挿入された一つ以上のヘテロ原子を任意に含む、及び/または−OH、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換された、2から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素(アルキル)鎖{但しtert−ブチル鎖は除く}を表し;またはR1は(b)5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表し;またはR1は(c)−R−(OC−H基{R=C−C12アルキル、且つnは5から30の間の整数である}を表す]
−(ii)式CH=C(CH)COOR2のメタクリル酸のエステル[式中、R2は(a)O、N、Sから選択される挿入された一つ以上のヘテロ原子を任意に含む、及び/または−OH、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換された、8から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素(アルキル)鎖を表し;またはR2は(b)5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表し;またはR2は(c)−R−(OC−H基{R=C−C30アルキル、且つnは5から30の間の整数である}を表す]
−(iii)式CH=CH−OCO−R3のビニルエステル[式中、R3は2から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状炭素鎖、特に炭化水素鎖を表す]
−(iv)式CH=CHOR4のビニルエーテル[式中、R4は1から12の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素鎖を表す]
−(v)式CH=CHCONR5R’5またはCH=C(CH)CONR5R’5のN−アルキル(メタ)アクリルアミド[式中、R5及びR’5は互いに独立に、水素原子、またはO、N、Sから選択される挿入された一つ以上のヘテロ原子を任意に含む、及び/または−OH、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換された、6から28の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状、環状、または分枝状の炭素鎖、特に炭化水素鎖、任意に芳香族鎖(アリール、アラルキル、またはアルキルアリール)を表す;但しR5とR’5の少なくとも一方は水素以外である]
から選択される、請求項4から6のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項10】
前記−20℃以下のTgを有するモノマーが、単独または混合物として:
−エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、ラウリル、トリデシル、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシプロピルアクリレート;
−オクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、セチル、パルミチル、ステアリル、ベヘニル、及びオレイルメタクリレート;
−ビニルブチレート(またはブタノエート)、ビニルエチルヘキサノエート、ビニルネオノナノエート、及びビニルネオドデカノエート;
−ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、及びブチルビニルエーテル;
−N−オクチルアクリルアミド、及びN−オクタデシルアクリルアミド
から選択される、請求項9に記載の分散物。
【請求項11】
前記−20℃以下のTgを有するモノマーが、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、及びラウリルアクリレート;並びにオクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、セチル、パルミチル、ステアリル、及びオレイルメタクリレート;並びにそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の分散物。
【請求項12】
前記付加的モノマーが、単独または混合物として:
−(i)式CH=CHR6のビニル化合物[式中、R6は以下のものを表す:
−ヒドロキシル基;
−O、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した、1から25の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル基;前記アルキル基は、更に−OH及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる;
−CからCシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル;
−CからC20アリール基、例えばフェニル;
−CからC30アラルキル基(CからCアルキル基)、例えば2−フェニルエチルまたはベンジル
−O、N、及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む4から12員環の複素環基;
−ヘテロシクロアルキル基(1から4の炭素のアルキル)、例えばフルフリル、フルフリルメチル、テトラヒドロフルフリルメチル];前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、並びにO、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基[前記アルキル基は、更に−OH及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる]から選択される一つ以上の置換基によって任意に置換できる;
−(ii)式CH=CHCOOR7のアクリレート[式中、R7はtert−ブチル基;CからCのシクロアルキル基;CからC20のアリール基;CからC30のアラルキル基(CからCアルキル基);O、N、及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む4から12員環複素環基;ヘテロシクロアルキル基(CからCアルキル)、例えばフルフリル基である];前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、並びにO、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基[前記アルキル基は、更にヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる]から選択される一つ以上の置換基によって任意に置換できる;
−(iii)式CH=C(CH)COOR8のメタクリレート[式中、R8は以下のものを表す:
−1から6の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭素基、特に炭化水素(アルキル)基、例えばメチル、エチル、プロピル、またはイソブチル基;前記アルキル基は、更にOH及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる;
−CからCシクロアルキル基;
−CからC20アリール基;
−CからC30アラルキル基(CからCアルキル基);
−O、N、及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む4から12員環の複素環基;
−ヘテロシクロアルキル基(C−Cアルキル基)、例えばフルフリル基];前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキル基は、OH、ハロゲン原子、並びにO、N、S、及びPから選択される一つ以上のヘテロ原子を任意に挿入した直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基[前記アルキル基は、更にヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されることができる]から選択される一つ以上の置換基によって任意に置換できる;
−(iv)式CH=CHCONR9R’9またはCH=C(CH)CONR9R’9の(メタ)アクリルアミド[式中、R9及びR’9は同一または異なり、水素原子、または直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基、例えばn−ブチル、t−ブチル、またはイソプロピル基である]
から選択される、請求項5から6または9から11のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項13】
前記付加的モノマーが、ビニルシクロヘキサン、スチレン、及びビニルアセテート;tert−ブチル、t−ブチルシクロヘキシル、t−ブチルベンジル、フルフリル、及びイソボルニルアクリレート;メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルシクロヘキシル、t−ブチルベンジル、メトキシエチル、メトキシプロピル、及びイソボルニルメタクリレート;N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、並びにこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の分散物。
【請求項14】
前記エチレン性ポリマーが、2000から10000000の間、特に3000から800000の間、好適には4000から500000の間の数量平均分子量(Mn)を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項15】
前記20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度スペースによる全体的溶解度パラメーターを有する非水性液体化合物が、単独または混合物として、液体脂肪物質、特に任意に分枝状の天然または合成の炭素、炭化水素、フッ素化、及び/またはシリコーンオイルから選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項16】
前記非水性液体化合物が、
−脂肪酸とポリオール、特にトリグリセリドのエステルによって形成される植物オイル、例えばヒマワリ、ゴマ、またはレープシードオイル、あるいは長鎖(つまり6から20の炭素原子を有する)の酸またはアルコールから由来するエステル、特に式RCOOR’のエステル[式中、Rは7から19の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R’は3から20の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す]、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート、及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート、及びイソプロピルミリステート;
−炭化水素、特に流動パラフィン、流動ワセリン、または水素化ポリイソブチレン、C−C16イソパラフィン、及び揮発性イソパラフィン、例えばイソドデカン、または「イソパール」;
−シリコーンオイル、例えば任意にフッ素化されている脂肪族及び/または芳香族基によって、またはヒドロキシル、チオール、及び/またはアミン基のような官能基によって任意に置換されたポリジメチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサン;及び揮発性シリコーンオイル、特に環状または直鎖状揮発性シリコーンオイル、例えばシクロジメチルシロキサン、シクロフェニルメチルシロキサン、及び直鎖状ジメチルシロキサン、特に直鎖状ドデカメチルペンタシロキサン(L5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、またはヘプタメチルオクチルトリシロキサン;
−単独または混合物として、6から30の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状エステル;6から30の炭素原子を有するエーテル、及び6から30の炭素原子を有するケトンから選択される溶媒;
−少なくとも6の炭素原子、特に6から32の炭素原子を有し、炭化水素鎖が置換基を含まない脂肪族脂肪モノアルコール、例えばオレイルアルコール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、及びリノレイルアルコール
から選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項17】
前記非水性液体化合物が、揮発性シリコーンオイル、特に環状または直鎖状揮発性シリコーンオイル、たとえばシクロジメチルシロキサン及び直鎖状ジメチルシロキサン、及び/または式RCOOR’のエステル[式中、Rは7から19の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R’は3から20の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す]、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート、及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート、及びイソプロピルミリステート;及びこれらの混合物から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項18】
前記安定化剤が、単独または混合物として、連続ポリマー、グラフトポリマー、及び/またはランダムポリマーから選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項19】
前記安定化剤が、モノマーの開始混合物の重量に対して0.1から30重量%、好ましくは1から20重量%、より好ましくは2から15重量%、実際には3から10重量%の割合で存在する、請求項1から18のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項20】
前記安定化剤が、
−炭化水素鎖をグラフトしたシリコーンポリマー、及びシリコーン鎖をグラフトした炭化水素ポリマー;
−ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)タイプの可溶性グラフトを有するポリアクリルタイプの不溶性骨格を有するグラフトコポリマー;
−ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも一つのブロックと、(i)ラジカル重合から生成するポリマー、または(ii)重縮合から生成するポリマー、特にポリエーテル、ポリエステル、またはポリアミドタイプの少なくとも一つのブロックを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマー、またはそれらの混合物であって、前記コポリマーはフッ素化部分を含むことができる;特にアクリル/シリコーンタイプのグラフトコポリマー;
−C−Cアルキル(メタ)アクリレートとC−C30アルキル(メタ)アクリレートとのグラフトまたは連続ブロックコポリマー、特にステアリルメタクリレート/メチルメタクリレートコポリマー;
−一つ以上の任意に接合したエチレン性結合を含むエチレン性モノマー、及び/または特にジエンの重合から生成する少なくとも一つのブロック;及びジエン以外のラジカル重合から生成する、特にビニル、(メタ)アクリル、または(メタ)アクリルアミドモノマーから生成するポリマー、またはポリエーテル、ポリエステル、またはポリアミド、あるいはそれらの混合物の少なくとも一つのブロックを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマー;
−アルキル基が6から32の炭素原子を含むアルキルジメチコーン、例えばラウリルメチコーン、及びステアリルメチコーン、セチルジメチコーン、ベヘノキシジメチコーン;
−下式のジメチコノールエステル:
【化1】

[式中、Rは6から32の炭素原子を有するアルキル基である]、例えばジメチコノールベヘネート;
−特に6から60の炭素原子、特に12から50の炭素原子を有するアルキルアミノアミン、例えばベヘンアミドプロピルジメチルアミン;
−少なくとも一つのポリオルガノシロキサン部分とフッ素化基を含むコポリマー、特に下式によって表すことができるフッ素化シリコーンまたはフルオロシリコーン:
【化2】

[式中、xは3から12の間、好ましくは5から10の間の整数、特にx=8であり;yは2から6の間、好ましくは2または3の整数であり;mとnは化合物の分子量が5000から15000の間となるようなものである];
−ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも一つのブロックと、少なくとも一つのポリエーテルブロックとを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマー、特にポリオルガノシロキサンブロックがポリジメチルシロキサン、またはポリ(C−C18)アルキルメチルシロキサンであり;ポリエーテルブロックがポリオキシ(C−C18)アルキレン、特にポリオキシエチレン、及び/またはポリオキシプロピレンであるもの;
−任意に架橋されたジメチコーンコポリオールまたは(C−C18)アルキルメチコーンコポリオール;例えばラウリルジメチコーンコポリオールクロスポリマー、セチルジメチコーンコポリオール、及びジメチコーンコポリオールPPG−3オレイルエーテル;
−ポリスチレン/ポリイソプレン、ポリスチレン/ポリブタジエンタイプ、ポリスチレン/コポリ(エチレン−プロピレン)タイプ、またはポリスチレン/コポリ(エチレン−ブチレン)タイプの「ジブロック」または「トリブロック」タイプのコポリマー;
−ポリ(メチルメタクリレート)/ポリイソブチレン二または三連続コポリマー、またはポリ(メチルメタクリレート)骨格とポリイソブチレングラフトとを含むグラフトコポリマー;
−少なくとも一つのエチレン性モノマーの重合から生成する少なくとも一つのブロックと、ポリエーテル、例えばポリオキシ(C−C18)アルキレン、特にポリオキシエチレン及び/またはポリオキシプロピレンの少なくとも一つのブロックとを含むグラフトまたは連続ブロックコポリマー、例えばポリオキシエチレン/ポリブタジエン、またはポリオキシエチレン/ポリイソブチレン二または三連続コポリマー
から選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項21】
前記安定化剤が、下式のフッ素化シリコーンまたはフルオロシリコーン:
【化3】

[式中、x=8、y=2または3であり、mとnは化合物の分子量が5000から15000の間であるようなものである]
から選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項22】
化粧品または製薬学的に許容可能な媒体中に、請求項1から21のいずれか一項に記載の少なくとも一つの分散物を含む、化粧品または製薬組成物。
【請求項23】
ワックス、オイル、ゴム、及び/または植物、動物、鉱物、または合成、実際にはシリコーンの起源のペースト状脂肪物質、並びにこれらの混合物;粉体化合物及び/または脂溶性若しくは水溶性染料から選択される一つ以上の着色物質;抗酸化剤、香料、精油、防腐剤、化粧品活性成分、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、セラミド、サンスクリーン剤、界面活性剤、ポリマー、増粘剤、またはゲル化剤から選択される少なくとも一つの成分を更に含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
懸濁物、分散物、特にベシクルによって水中油型の形態;任意に増粘され、実際にはゲル化された油性溶液;水中油型、油中水型、または複相エマルジョン;ゲルまたはフォーム;油性または乳化ゲル;ベシクル、特に脂質ベシクルの分散物;二相若しくは複相ローション;スプレー;ローション、クリーム、軟膏、ソフトペースト、膏薬、キャストまたはモールドされた固体、特にスティック若しくは皿にキャストまたはモールドされたもの、または圧縮固体の形態で提供される、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
身体または顔の皮膚、唇及び毛髪をケア及び/またはメイクアップするための製品、抗日光または自己日焼け製品;ヘア製品、特に毛髪の処理、洗浄、形状維持、または成形のための製品の形態で提供される、請求項22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
シャンプー、ゲル、ヘアセットローション、ブロー乾燥ローション、または固定化及びスタイリング組成物、例えばラッカー、フォーム、またはスプレー;リンスアウトまたはリーブインコンディショナー、パーマ用、毛髪ストレート用、染色用、または脱色用組成物の形態で、または染色、脱色、パーマ、または毛髪ストレートの前後に、またはパーマ若しくは毛髪ストレート処理の二段階の間で適用されるリンスアウト組成物の形態で;皮膚用の洗浄組成物の形態で、特にバス若しくはシャワーのための溶液若しくはゲル、またはメイクアップ除去剤の形態で;皮膚及び/または毛髪のケアのための水性または水性/アルコール性ローションの形態で提供される、請求項22から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
ケラチン物質、特に身体または顔の皮膚、爪、毛髪、及び/または睫毛に、請求項22から26のいずれか一項に定義される化粧品組成物を提供することを含む、前記ケラチン物質の美容処理方法。

【公開番号】特開2007−100097(P2007−100097A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−274339(P2006−274339)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】