説明

マイクロ波蛍光体合成方法及び装置

蛍光体のマイクロ波合成方法は、マイクロ波チャンバーを備えたマイクロ波炉を準備することと、前記マイクロ波チャンバーに原料を準備することと、前記原料にマイクロ波を照射して、原料から蛍光体を合成することとを含む。マイクロ波合成に使用する絶縁パッケージが開示されている。この絶縁パッケージは、中に開口を有する絶縁体であって、前記開口が前記絶縁体の中心軸に対して実質的に対称に配置されており、且つ前記開口が原料を収容するようになっている、絶縁体を備えている。前記キャビティー内にサセプタ構造体を、前記絶縁体、前記キャビティー及び前記サセプタ構造体が、前記絶縁パッケージの回転軸に対して実質的に対称になるように配置してもよい。蛍光体の連続マイクロ波合成用マイクロ波炉も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波処理に関し、より詳細には蛍光体合成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波処理は、セラミック、複合体、サーメット、硬金属、電子セラミック、金属材料等をはじめとする種々の物質(すなわち、原料)についておこなわれてきた。材料のマイクロ波処理についての一般的な特徴としては、容積及び選択的加熱、増加した反応速度、製品品質を向上できる可能性、プロセスの単純化及びコスト減少の可能性があげられる。
【0003】
セラミック材料のマイクロ波処理は、誘電加熱プロセスである。マイクロ波加熱の機構は、従来の加熱とは本質的に異なる。マイクロ波加熱では、マイクロ波と材料との相互作用により、マイクロ波場に露出された材料内に熱が発生するのに対して、従来の加熱では、その最中に熱が放射及び対流により発熱体から装入物の表面に移動し、その後熱伝導により装入物の中心に移動する。マイクロ波キャビティーにおける装入物によるマイクロ波エネルギーの吸収は、マイクロ波場における材料の誘電損率に依存する。高誘電損率材料では、マイクロ波処理により、時間とエネルギーを実質的に節約できるとともに、生成物の品質を向上できる。例えば、通常の多孔質透明ヒドロキシアパタイト(HAp)セラミックは、マイクロ波処理により数分以内に製造されている。また、Ba(Zn1/3Ta2/3)O3は、従来の焼結法では1600℃で24時間の長時間を要するのに対して、マイク
ロ波処理では1300〜1400℃で30分以内に完全密度まで焼結されている。
【0004】
蛍光灯用蛍光体の合成では、ホスト材料の結晶格子構造に付活剤を含有させるために、高温熱処理が必要である。蛍光灯用蛍光体の従来の処理では、原料を配合し、得られた混合物をるつぼに装入し、数時間高温で焼成することがおこなわれる。さらに、仕上げ工程として、微粉砕、洗浄による残留材料の除去、濾過、乾燥及び配合などをおこなってもよい。焼成温度を低下させ且つ合成を促進するために融剤を使用できるが、従来の処理により蛍光灯用蛍光体を合成するには、まだ8〜12時間が必要である。さらに、従来の方法では、揮発物による汚染も、問題となることがある。さらに、従来の方法で得られた蛍光体は、硬いケーキ状物質であるので、この蛍光体を利用する前に粉砕する必要がある。上記したように、従来の蛍光体合成法は、複雑であるばかりでなく、かなりの時間とエネルギーが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、蛍光体を得る際の複雑さ、及びそれに必要とする時間とエネルギー量を減少させることは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蛍光体、特に蛍光灯用蛍光体の合成を最適化するためのマイクロ波処理方法及び装置に関する。具体的には、本発明によれば、マイクロ波処理により蛍光体合成速度が実質的に増加する。すなわち、マイクロ波法における最終温度での均熱時間は、従来法で必要とされる時間を最大90%減少できる。時間とエネルギーの節約に加えて、マイクロ波処理は、融剤を使用することなく高品質の蛍光体を合成できるので、汚染の減少及び操作コストを低下できる。マイクロ波処理により得られた蛍光体は微細粉末状をしているので、蛍光体を使用可能な形態にする工程を減少できる。本発明により製造できる最適な蛍光灯用蛍光体は、白色、清浄、ばら且つ微細な粉末である。
【0007】
蛍光体のマイクロ波合成用絶縁パッケージは、中に開口を有する絶縁体を備えている。この開口は、絶縁体の中心軸に対して実質的に対称に配置され、原料を収容するようになっている。サセプタ構造体を、キャビティー内に配置でき、この際、絶縁体、キャビティー及びサセプタ構造体は、絶縁パッケージの回転軸に対して実質的に対称に配置されている。
【0008】
蛍光体の連続マイクロ波合成用マイクロ波炉は、第一端と第二端とを有する、原料を収容する管と、前記管が貫通している貫通孔を有する絶縁体と、前記管と前記絶縁体を収容するマイクロ波チャンバーであって、前記管、前記絶縁体及び前記マイクロ波チャンバーが互いに実質的に平行に配置されている、マイクロ波チャンバーと、マイクロ波を前記マイクロ波チャンバーに導く少なくとも一つのマイクロ波ヘッドとを備えている。
【0009】
本発明で利用されるマイクロ波は、ユーザーが規定した雰囲気環境が得られるように構成される。この雰囲気環境には、マイクロ波チャンバーの外の雰囲気圧力に対して雰囲気圧力を減少させた環境、マイクロ波チャンバーの外の雰囲気圧力に対して雰囲気圧力を増加させた環境、及び一種以上のガスをマイクロ波チャンバーに導入した環境のうちの一つ以上などがある。
【0010】
マイクロ波合成により蛍光体を得る方法も提供される。本発明は、ハロリン酸塩、アルミン酸バリウム−マグネシウム、リン酸ランタン及びユーロピウムドープ酸化イットリウムを含むがこれらには限定されない種々の蛍光体の合成に利用できる。マイクロ波合成方法では、絶縁パッケージ及びマイクロ波炉を使用する。原料を特定の幾何学的に設計された低マイクロ波吸収絶縁体に入れた後、マイクロ波を均等に照射することにより、最適な蛍光体を合成できる。具体的には、絶縁体は、絶縁体の中心軸に対して実質的に対称に配置された開口を有している。必要に応じて設けられるサセプタ構造体又は他の熱管理体又は装置の他にこの幾何学的設計により、最適な合成蛍光体を得ることができる。
【0011】
本発明のこれら及び他の利点は、所望の実施態様の記載と添付図面から理解されるであろう。添付図面全体を通じて、同様の要素を同じ参照符号で示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
蛍光体のバッチ式マイクロ波合成に使用される絶縁パッケージ10を、図1〜3に示す。図1に示すように、絶縁パッケージ10は、絶縁体12及び一つ以上のサセプタ14を備えているのが望ましい。絶縁体12は、中に原料20を入れたるつぼ18を支持するようにされている開口、例えば、キャビティー16を備えている。マイクロ波合成に関連して、絶縁パッケージ10は、マイクロ波炉(図示せず)のターンテーブル22上に配置できる。絶縁パッケージ10によりおこなわれるバッチ式マイクロ波合成に対して、図4は、連続式マイクロ波合成に適用されるマイクロ波炉24を示す。絶縁パッケージ10における最適な蛍光体合成を可能にする構成は、マイクロ波炉24の構成でも可能である。
【0013】
図1において、絶縁パッケージ10の絶縁体12は、絶縁材料、例えば、多孔質構造、軽量、化学的に安定且つ熱的に安定であり、断熱性が優れており、低マイクロ波吸収性を有する、アルミノケイ酸塩繊維、アルミナ繊維又は窒化ホウ素繊維から構成するのが望ましい。利用する絶縁材料は、必要とされる処理条件、とりわけ温度範囲及び雰囲気に応じて選択すると理解されるべきである。絶縁体12に利用される耐火材料は、作業温度範囲でマイクロ波に対して実質的に透明であることが望ましい。一つのこのような絶縁材料は、ニューヨーク州ナイアガラフォールズにあるUnifrax社製のFiberFrax(登録
商標)として知られている。
【0014】
絶縁パッケージ10は、回転軸(本実施態様では垂直軸26)に対して対称に設計されていることが望ましい。したがって、絶縁体12、サセプタ14及びキャビティー16は、回転軸又は垂直軸26に対して対称に配置されている。したがって、図1〜3に示すように、絶縁体12の幾何学的形状は円筒形であり、サセプタ14は幾何学的に円筒状に配置される。絶縁パッケージ10の軸対称性により、ターンテーブル22を介して垂直軸26を中心として回転されることにより、原料20にマイクロ波が均一に照射される。対称であることにより、温度分布が均一となって、蛍光体が最適に合成される。絶縁体12は、開口28を備えていてもよい。この開口があると、温度測定装置、例えば、高温計(図示せず)により、キャビティー16内の装入物の温度を測定することができる。
【0015】
絶縁パッケージ10は、最適な蛍光体のマイクロ波合成が実施できるように種々の構成とすることができると理解されるべきである。各構成では、一つ以上のサセプタ14を異なる配置又は形態とすることができる。当該技術分野において公知のように、サセプタは、マイクロ波の分割、エネルギー分布の調整及び物体の表面からの熱の損失の補償を含む複数の機能を有している。本発明に関連してサセプタ14を使用すると、原料20のマイクロ波加熱効率が向上するとともに、原料20を均一にマイクロ波加熱することができる。マイクロ波加熱を最適におこなうには、温度分布を均一にすることが重要であると理解されるべきである。したがって、絶縁体12及びサセプタ14の幾何学的形状が、加熱を均一にするのに重要である。
【0016】
バッチ処理では、一つ以上のサセプタ14を使用すると、マイクロ波加熱の効率がさらに向上する。しかしながら、一つ以上のサセプタ14の種類、量及び形状の組み合わせが重要であると理解されるべきである。例えば、炭化ケイ素(SiC)は、良好なサセプタ14と考えられるが、還元雰囲気中では、SiCサセプタがケイ素に還元されるので、高温で使用することができない。ほとんどのセラミック材料が低温ではほとんどマイクロ波吸収を示さないので、適当なサセプタを使用すると、原料20がマイクロ波を効率的に吸収しはじめる温度範囲に原料を予備加熱するのに役立つ。マイクロ波エネルギーを原料20とサセプタ14との間に分割することが、重要であると理解されるべきである。原料20に対するサセプタ14の量が多いほど、原料に利用できるマイクロ波エネルギーが少なくなり、したがって、原料20へのマイクロ波照射量は減少する。最適なマイクロ波効果を得るためには、サセプタ14の量は、必要最小量とすることが望ましい。
【0017】
したがって、本発明では、サセプタは種々の形状が可能である。例えば、第一の実施態様の絶縁パッケージ10aを、図2に示す。第一の実施態様の絶縁パッケージ10aは、複数のサセプタロッド14aを、キャビティー16内に円形に配置して備えている。サセプタロッド14aの各々は、キャビティー16の上及び底からの熱の損失を補償するために、るつぼ18よりも長いことが望ましい。第一の実施態様の絶縁パッケージ10aの各サセプタロッドは、アルミナ管又は他の好適な管、例えば、ムライト、溶融石英、MgO及びZrO2(これらには限定されない)に入れた複合粒状サセプタから構成することが
望ましい。粒状サセプタは、SiC粒子、SiC−Al23混合物、ジルコニア、MoSi2、フェライト又は他のマイクロ波吸収材料でもよい。第一の実施態様の絶縁パッケー
ジ10aの別の実施態様(図示せず)によれば、サセプタロッド14aの各々は、必ずしも外被管を備える必要がない一体焼結サセプタロッドから構成してもよい。
【0018】
図3(引き続き図2を参照する)に、第二の実施態様の絶縁パッケージ10bを示す。第一の実施態様の絶縁パッケージ10aと同様に、複合粒状サセプタ14bを、内側アルミナ管30a及び外側アルミナ管30bにより包み込むことができる。内側アルミナ管30a若しくは外側アルミナ管30b又は内側アルミナ管30aと外側アルミナ管30bの両方を、他の好適な材料、例えば、ムライト、溶融石英、MgO及びZrO2(これらに
は限定されない)から構成することができる。図2と図3を比較すると、全体的にみて、
第一の実施態様の絶縁パッケージ10aと第二の実施態様の絶縁パッケージ10bとの間の差異は、サセプタ形状であることが分かる。第二の実施態様の絶縁パッケージ10bでは、円形の等距離に配置された複数のサセプタロッド形状の代わりに円筒形サセプタ形状としている。どのサセプタ形状を選択するかは、合成用途により決まる。例えば、第一の実施態様の絶縁パッケージ10aは、そのサセプタ14aの形状により、より多くのマイクロ波を原料20に対して直接に照射でき、したがって、本発明の好ましい実施態様は、第一の実施態様の絶縁パッケージ10aである。複合粒状サセプタ14bを内側及び外側アルミナ管30a、30bに入れて備えている第二の実施態様の絶縁パッケージ10bは、感受性原料20にマイクロ波を照射するとき、又はサセプタロッド14aが容易に入手できないときに利用することができる。
【0019】
絶縁パッケージ10a、10bとともに使用されるるつぼ18は、アルミナ又は他の好適なセラミック材料から構成することができる。るつぼ18は、原料20の中心内に「ホットスポット」が形成されないような寸法とする。例えば、るつぼ18の厚みが大きすぎると、原料20の中心が熱くなりすぎたときに、熱散逸を生じることがある。さらに、るつぼ18は、キャビティー16内に嵌め込むことができるようなサイズとする。
【0020】
絶縁パッケージ10a、10bとともに使用されるマイクロ波炉は、2.45GHzで動作する6kWバッチ式マイクロ波マルチモードシステムであってもよい。また、マイクロ波炉は、絶縁パッケージ10内だけでなく、マイクロ波チャンバー全体を所望の雰囲気に保つための真空ポンプ及び適切な雰囲気制御システム(両方とも図示せず)を備えていてもよい。したがって、マイクロ波合成は、種々の制御された雰囲気条件下でおこなうことができる。
【0021】
図4(引き続き図1〜3を参照)に、連続マイクロ波合成用マイクロ波炉24を示す。このマイクロ波炉24は、原料入口32を備えている。原料入口32は、粉末出口34と、それらの間に位置している回転自在の管、例えば、アルミナ管36を介して流体連通していることが望ましい。回転自在の管は、他の好適な材料から構成してもよいと理解されるべきである。絶縁パッケージ10の絶縁体12と構成が同様である絶縁体38は、アルミナ管36の外径部を覆っている。アルミナ管36は、絶縁体38の中心軸を貫通して延びている開口、例えば、貫通孔39を通って延びていることが望ましい。アルミナ管36と絶縁体38は、絶縁パッケージ10の幾何学的対称と同様に、対称に設計されていると理解されるべきである。アルミナ管36及び絶縁体38は、マイクロ波チャンバー40内に位置している。一つ以上のマイクロ波ヘッド42は、マイクロ波を発生させ、且つマイクロ波をマイクロ波チャンバー40内に導く構成となっている。マイクロ波炉24は、マイクロ波チャンバーの金属壁及びセラミック管が過熱されないように、水冷装置44を備えていてもよい。ガスを通して移送するガス入口46は、原料入口32に接続されている。具体的には、ガス入口46は、ガスを入ってくる原料20に対向させるか又はそれを通過させるように導いて、原料20がアルミナ管36に入るように構成される。回転モータ48により、アルミナ管36が回転する。
【0022】
操業中、原料20を、アルミナ管36の一端から連続的に供給し、アルミナ管36の他端から連続的に排出する。マイクロ波炉24の原料入口32又はアルミナ管36の一端を上昇させてマイクロ波炉24を傾斜させることにより、原料20がアルミナ管36を通って粉末出口34に移動するのを容易にすることができる。回転モータ48により傾斜アルミナ管36が回転するので、原料は連続的にアルミナ管36内部を移動し、蛍光体が合成される。このように、アルミナ管36は、図1に示すバッチ式処理構成におけるるつぼ18と機能的に等価である。ここで、連続マイクロ波合成に適用される連続処理構成を有するマイクロ波炉24は、サセプタ14を備えていない。サセプタ14を設けないのは、原料20が処理中にマイクロ波炉24を通って連続的に供給されるので、原料20は、「ホ
ットゾーン」に入る前に「ホットゾーン」から散逸された熱により徐々に予備加熱されるからである。すなわち、マイクロ波炉24を最初に起動したとき、マイクロ波炉24が十分に加熱されるまでに十分な時間が必要である。その後、運転が安定な状態となり、ゾーン分布が一定となる。しかしながら、このことは、サセプタを連続処理構成でけっして使用しないということを意味しているのではなく、サセプタを、エネルギーの分布を調整するのに使用することができる。
【0023】
蛍光体合成の典型的な実施態様におけるマイクロ波処理手順を説明する。種々のランプ用蛍光体を、2.45GHzで動作する6kWバッチ式マルチモードマイクロ波炉で、本発明のマイクロ波処理法により合成した。蛍光体は、Ca10(PO46(Cl,F):S
b:Mn(ハロリン酸塩);Y23:Eu(YOE又はユーロピウムドープ酸化イットリウム)、BaMgAl1017自体又はBaMgAl1017+MgAl24とAl23との相混合物、又は化学式BaMg1+xAl10+y17+z(式中、x、y及びzは、0<x<2
.0、0<y<5.0、及び0<z<10.5である(BAM又はアルミン酸バリウムマグネシウム))で表わされる生成物;及び(La、Ce、Tb)PO4:Ce:Tb(L
AP又はリン酸ランタン)などであった。融剤添加蛍光体及び融剤無添加蛍光体を、調製した。低温での熱のピックアップを容易とするために、マイクロ波サセプタ14を使用した。温度を、光学高温計を開口28に通して測定した。
【0024】
基本手順を、原料30〜70グラムを蓋をかぶせたアルミナるつぼに入れることから開始した。原料は、微粉末状のものであった。特殊な雰囲気を必要とする場合は、マイクロ波チャンバーを、10トルに排気してから、所望のガスで満たした。次に、原料を、マイクロ波を照射することにより加熱した。加熱速度及び温度は、マグネトロンへのパワーレベルを適切に調整することにより制御した。一旦所望温度となったら、装入材料を所定時間均熱した後、マイクロ波の電源を切って、冷却した。
【0025】
マイクロ波合成した生成物を、従来法で調製した蛍光体について使用される試験方法を用いて、粒径、輝度、相組成、モルフォロジー、ルミネセンス発光、色度座標等について特徴付けした。
【実施例】
【0026】
実施例1:ハロ蛍光体
【0027】
a.ピロリン酸塩の合成
CaHPO4(第二リン酸カルシウム)からCa227(ピロリン酸塩)への転化は、マイクロ波処理により、450℃で10分以内に完了することができることが分かった。得られた生成物の重量損失及びX線回折(XRD)から、転化反応が完了したことが確認された。マイクロ波転化粉末は、純粋β−ピロリン酸塩であり、通常の粉末よりも微細であった。温度又は処理時間を増加させると、生成物の粒径が増加した。しかしながら、マイクロ波転化ピロリン酸塩粉末は、従来の方法で転化させた生成物よりも明らかに微細であった(表1参照)。粉末が微細なほど、反応性が高く、したがって合成反応が容易となる。ピロリン酸塩は、ハロリン酸塩蛍光体の合成に使用できる。
【表1】

【0028】
b.ハロリン酸カルシウムの合成
原料混合物からハロ蛍光体(Sb3+及びMn2+をドープしたカルシウムクロロフルオロアパタイト)を合成するのに、マイクロ波処理法を使用した。合成プロセスを単純化するために、第二リン酸カルシウム(HCaPO4)を、ピロリン酸塩(Ca227)の代わりに原料混合物に使用した。したがって、マイクロ波合成では、熱分解とクロロフルオロアパタイトの合成の両方を、1工程合成で実施した。原料混合物は、HCaPO4、Ca
Co3、CaF2、NH4Cl、MnCO3及びSb23からなるものであった。典型的には
、ハロリン酸塩を、約1000℃で約20分間マイクロ波処理することにより合成した。マイクロ波合成した蛍光体は、対照と、相、モルフォロジー、ドーパント混入及び性質が同じであった。原料混合物を浅いトレーに入れ、純粋窒素を流すと、生成物の品質の向上に役立つことが分かった。
【0029】
典型的には、マイクロ波合成では、ピーク温度での均熱を20分間おこない、加熱を合計120分間おこなった。マイクロ波処理所要時間は、従来の処理に必要な時間(典型的には8〜12時間)の何分の1であった。したがって、時間とエネルギーが節約され、生産性が増加した。
【0030】
マイクロ波合成したハロリン酸塩蛍光体からの発光のX及びY色度座標と、従来のハロリン酸塩蛍光体のものとの比較を、表2に示す。これらの蛍光体は、254nmUVにより励起された。
【表2】

【0031】
実施例2:BAM
【0032】
通常、BaMgAl1017:Eu(BAM)は、原料混合物を、融剤としてBaF2
用いて、還元雰囲気中、1600〜1650℃で2時間焼成することにより製造する。総焼成プロセス時間は、6〜8時間である。BAMの従来の製造法では、アルミナるつぼを、プッシャー炉に使用する。各るつぼは、限られた回数の操作にしか使用できない。
【0033】
a.中融剤レベルのBAM
水酸化アルミニウムと、酸化マグネシウムと、炭酸バリウムと、酸化ユーロピウムとを、中レベルのBaF2融剤(10%)とともに含有する混合物を、マイクロ波炉で焼成し
た。焼成は、約1250℃〜約1500℃の温度範囲、N225%及びH275%の雰囲気、約20分以下の条件でおこなった。焼成蛍光体は、ばらで、柔らかく且つ微細のままであった(表3参照)。
【表3】

【0034】
1350℃未満で、第二相が、焼成したままの材料に少量相として現れた。したがって、反応は、100%完了しなかった。約1400℃以上で、反応が完了した。このことは、強熱減量(LOI)とX線回折パターンの両方により確認された。全てのマイクロ波合成蛍光体は、粉砕しなくとも、160μmふるい分けを容易におこなうことができた。表4に、数種のマイクロ波合成BAM蛍光体について、Malvern及びBET表面積により測定した粒径の中央値を示す。一般的に従来の工業的方法により得られるBET0.8〜1.2m2/gと比較して、マイクロ波合成粉末は、明らかに微細であった。さらに
、BAMのマイクロ波処理により、処理温度が200〜250℃低下し、ピーク温度での処理時間が83%減少した(20分間対2時間)。
【表4】

【0035】
b.融剤なしでのBAM
融剤無添加BAM原料を、表5に示すように、N225%/H275%中、1400〜1500℃の温度で、マイクロ波処理することにより焼成した。
【表5】

【0036】
温度の増加とともに、粉末の白色度が増加した。LOIは、1400〜1500℃の温度ではほとんど増加しなかった。全てのマイクロ波焼成融剤無添加BAM蛍光体では、XRDパターンの2θ=28.5°で極めて小さなピークがみられた。融剤無添加BAM混合物については、マイクロ波合成における所要焼成温度は、最良の反応について1500
℃超である。
【0037】
マイクロ波処理BAM蛍光体のいくつかの試料について、X線回折パターンを得た。図5に示すように、融剤添加及び無添加の両方の蛍光体のパターンは、通常のBAMのパターンと同じであった。
【0038】
実施例3:LAP
通常、LAPは、ホウ酸(H3BO3)及び炭酸リチウム(Li2CO3)等の融剤を用いて調製され、還元雰囲気中、約4時間1200℃で焼成される。マイクロ波処理LAP蛍光体は、リン酸ランタン、リン酸セリウム及びリン酸テルビウムの混合共沈物から調製した。融剤添加LAP蛍光体及び融剤無添加LAP蛍光体を合成した。マイクロ波処理時間及び温度条件を、変化させた(表6参照)。好ましくは、LAP蛍光体を、約800℃〜約1125℃、約10分間〜約30分間の条件で合成する。
【表6】

【0039】
これらのLAP蛍光体を、粉末の輝度を従来のLAP蛍光体と比較して測定することにより特徴付けした。粒径の中央値を、超音波処理前後に、Malvern装置を用いて測定した。スパンは、粒度分布の尺度である(表7参照)。
【表7】

【0040】
いくつかのマイクロ波処理LAP蛍光体の熱安定性を測定し、従来のLAP蛍光体と比較した。その結果、融剤無添加原料から調製したLAPは、熱安定性が融剤添加原料から調製したLAPよりもよく、より低温で焼成した原料から調製したLAPは、より高温で焼成した原料から調製したLAPよりも熱安定性がよかった。図6に示すように、1020℃で10分間マイクロ波処理した蛍光体が、最大の熱安定性を示した。
【0041】
8種のLAP蛍光体(1実験当たり平均で65g)を、加熱プロセスを厳密に制御しな
がら、同条件下でマイクロ波処理することにより焼成した。その条件は、5%H2/Ar
を流しながら、1020℃で10分間というものであった。焼成プロセスは、全ての原料について極めて安定であった。マイクロ波チャンバーにおける総加熱プロセス(ウォームアップ及び保持を含む)の時間は、約90分間であった。全ての得られた蛍光体は、白色、清浄、ばら且つ微細な粉末であった。これらの蛍光体は、融剤を用いずに調製された。これらのLAP蛍光体の性質を、表8に示す。ここでも、これら全てのLAP蛍光体は、優れた特性を示した。このバッチの熱安定性は、さらによく、600℃までは劣化しなかった。実験間の標準偏差も小さく、プロセスの均一性と再現性が優れていることが分かった。
【表8】

【0042】
融剤無添加LAP蛍光体は、約1020℃で10分間保持する条件でのマイクロ波処理により調製できる。これに対して、融剤添加LAP蛍光体は、さらに低い温度で数分で調製できる。従来の焼成と比較して、マイクロ波処理は、処理保持時間を95%超短縮でき、且つより低温でおこなうことができる。マイクロ波処理により、融剤を使用しなくても、高品質のLAP蛍光体を合成することができる。
【0043】
実施例4:YOE
YOEを製造する従来法では、原料を、空気中、最大1300℃、最大7時間の条件で焼成する必要がある。原料は、酸化イットリウムと酸化ユーロピウムの混合共沈物である。この焼成では、通常融剤を使用する。融剤は、炭酸リチウム、炭酸カリウム及びホウ酸からなるものでよい。原料を種々の時間及び温度でマイクロ波処理することにより、数種のYOE蛍光体を調製した。融剤添加蛍光体と融剤無添加蛍光体の両方を、処理した。原料を、約1100〜約1350℃の温度で約10分〜約40分焼成した。
【0044】
空気中で1250℃〜1325℃でのマイクロ波処理により合成した数種の融剤無添加YOE蛍光体について、X線回折及び発光試験を実施した(表9参照)。図7に示すように、マイクロ波合成YOE蛍光体のXRDパターンは、対照と同じである。図8に示すように、254nm励起強度での発光特性は、焼成条件で変化する。
【表9】

【0045】
共沈物及びマイクロ波合成融剤無添加YOE蛍光体のモルフォロジーを、SEMにより
観察した。ばらでぎざぎざの未焼成共沈物と比較して、マイクロ波合成蛍光体は一次粒子間に結合及び合体があり、短時間のマイクロ波処理中に焼結が生じたことが分かった。
【0046】
一連の融剤添加YOE蛍光体を、空気中、1200℃、20分間の条件でマイクロ波焼成することにより合成した。マイクロ波合成したYOE蛍光体は、従来品よりも柔らかかった。バッチマイクロ波処理により合成した数種の融剤添加YOE蛍光体を混合することにより、YOE蛍光体粉末約500グラムを得た。混合試料を、市販品と同様の方法で洗浄した後、ランプ試験をおこなった。この試験では、従来法で合成した市販のYOE蛍光体を対照として用いた。その結果、マイクロ波合成YOEの100時間ルーメンは、対照の99.7%であった。マイクロ波合成YOEの100時間維持率は、初期の99%であった。上記条件下でのマイクロ波合成YOEは、市販品に類似する特性を示した。表10に、マイクロ波処理と従来の処理における焼成条件を示す。これらのYOE蛍光体のマイクロ波合成では、ピーク温度での焼成時間が従来法の5%未満であるが、マイクロ波処理の温度は、従来法よりも100℃低かった。このことは、蛍光体のマイクロ波合成を商業化して、時間とエネルギーを実質的に節約して高品質の製品を得ることができることを示している。
【表10】

【0047】
融剤無添加マイクロ波YOEのモルフォロジーは、粒子が成長し且つエッジが丸い、融剤を添加して合成した従来のYOE蛍光体とは異なっている。しかしながら、融剤を添加してマイクロ波処理した蛍光体は、従来のYOEと同様のモルフォロジーをしていた。従来の焼成と比較して、マイクロ波処理では、はるかに短時間でYOE蛍光体を合成できる。このマイクロ波法には、エネルギーと時間を節約できる可能性がある。
【0048】
本発明を、好ましい実施態様により説明した。上記の詳細な説明を読むことにより、修正、組み合わせ及び変更ができることが明らかである。全てのこのような修正、組み合わせ及び変更は、添付の請求の範囲又はその等価の範囲内である限り、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明によるバッチ処理構成におるけマイクロ波ターンテーブル上の絶縁パッケージの側断面図である。
【図2】第一の実施態様による図1の絶縁パッケージの線II−II上面図である。
【図3】第二の実施態様による図1の絶縁パッケージの線III−III上面図である。
【図4】本発明による連続処理構成におけるマイクロ波炉の側断面図である。
【図5】マイクロ波処理BAM蛍光体と従来のBAM(SBAM−1−HF1)蛍光体のX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
【図6】マイクロ波合成LAP蛍光体の熱安定性を示すグラフである。
【図7】マイクロ波合成融剤無添加YOE蛍光体のX線回折パターンと、対照YOE−ML材料とを比較したグラフであり、相組成が同一であることが分かる。
【図8】マイクロ波合成YOE蛍光体の発光を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体のマイクロ波合成用絶縁パッケージであって、
蛍光体の原料を収容するようになっているキャビティーを中に規定した絶縁体と、
前記キャビティー内に配置されたサセプタ構造体と、を備えており、前記絶縁体、前記キャビティー及び前記サセプタ構造体が、前記絶縁パッケージの回転軸に対して実質的に対称に配置されている、絶縁パッケージ。
【請求項2】
前記絶縁体が、実質的に円筒形状をしている、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁体が、作業温度範囲内で実質的にマイクロ波透過性である材料から形成されている、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項4】
前記絶縁体が、アルミノケイ酸塩繊維とアルミナ繊維のうちの一種からなるものである、請求項3に記載の絶縁パッケージ。
【請求項5】
前記サセプタ構造体が、複数のサセプタロッドからなるものである、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項6】
前記複数のサセプタロッドの各々が、隣接するサセプタロッドから実質的に等距離にある、請求項5に記載の絶縁パッケージ。
【請求項7】
前記サセプタロッドの各々が、管に入れた粒状サセプタからなるものである、請求項5に記載の絶縁パッケージ。
【請求項8】
前記粒状サセプタが、SiC、SiC−Al23、ジルコニア、MoSi2及びフェラ
イトのうちの一種からなるものである、請求項7に記載の絶縁パッケージ。
【請求項9】
前記管が、アルミナ、ムライト、溶融石英、MgO及びZrO2のうちの一種から形成
されているものである、請求項7に記載の絶縁パッケージ。
【請求項10】
前記サセプタ構造体が内管と外管からなり、粒状サセプタが前記内管と前記外管との間に入れられている、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項11】
前記粒状サセプタが、SiC、SiC−Al23、ジルコニア、MoSi2及びフェラ
イトのうちの一種からなるものである、請求項10に記載の絶縁パッケージ。
【請求項12】
前記内管及び前記外管の各々は、アルミナ、ムライト、溶融石英、MgO及びZrO2
のうちの一種から形成されているものである、請求項10に記載の絶縁パッケージ。
【請求項13】
温度測定装置を収容するようになっている開口をさらに備えている、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項14】
前記キャビティーが、るつぼを収容するようになっている、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項15】
前記蛍光体が、ハロリン酸塩、アルミン酸バリウムマグネシウム、リン酸ランタン及びユーロピウムドープ酸化イットリウムのうちの一種である、請求項1に記載の絶縁パッケージ。
【請求項16】
蛍光体の連続マイクロ波合成用マイクロ波炉であって、
第一端と第二端とを有する、蛍光体原料を収容する管と、
前記管が貫通している貫通孔を有する絶縁体と、
前記管と前記絶縁体を収容するマイクロ波チャンバーであり、前記管、前記絶縁体及び前記マイクロ波チャンバーが互いに実質的に平行に配置されている、マイクロ波チャンバーと、
マイクロ波を前記マイクロ波チャンバーに導く少なくとも一つのマイクロ波ヘッドと、を備えたマイクロ波炉。
【請求項17】
前記マイクロ波炉と前記管の端とのうちの一つを冷却するように構成された水冷装置をさらに備えている、請求項16に記載のマイクロ波炉。
【請求項18】
前記管と流体連通している入口であり、前記原料を受け入れ、前記原料を前記管の第一端に導くようになっている入口と、
前記管の第二端から、合成された蛍光体を受け入れる出口と、
をさらに備えている、請求項16に記載のマイクロ波炉。
【請求項19】
前記装入材料中を通るようにガスを導くためのガス入口をさらに備えており、それにより原料が前記管を前記第一端から前記第二端の方向に強制的に通るようになされる、請求項18に記載のマイクロ波炉。
【請求項20】
前記管が、前記管の中心軸を中心として回転自在となっている、請求項16に記載のマイクロ波炉。
【請求項21】
前記管を回転させるためのモータをさらに備えている、請求項20に記載のマイクロ波炉。
【請求項22】
前記絶縁体が、実質的に円筒形状をしている、請求項21に記載のマイクロ波炉。
【請求項23】
前記絶縁体が、作業温度範囲内で実質的にマイクロ波透過性である耐火材料から形成されている、請求項16に記載のマイクロ波炉。
【請求項24】
前記管が、アルミナ、ムライト、溶融石英、MgO及びZrO2のうちの一種から形成
されているものである、請求項16に記載のマイクロ波炉。
【請求項25】
マイクロ波合成により蛍光体を得る方法であって、
中に開口を有する絶縁体であって、前記開口が前記絶縁体の中心軸に対して実質的に対称に配置されており、且つ前記開口が蛍光体原料を収容するようになっている、絶縁体を準備する工程と、
前記開口内に前記原料を堆積させる工程と、
マイクロ波を前記原料に照射する工程と、
を含む方法。
【請求項26】
前記キャビティー内にサセプタ構造体を、前記絶縁体の中心軸に対して実質的に対称に配置する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記絶縁体が、作業温度範囲内で実質的にマイクロ波透過性である耐火材料から形成されているものである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記絶縁体が、アルミノケイ酸塩繊維とアルミナ繊維のうちの一種からなるものである
、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記蛍光体が、ハロリン酸塩、アルミン酸バリウムマグネシウム、リン酸ランタン及びユーロピウムドープ酸化イットリウムのうちの一種である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記キャビティー内にサセプタ構造体を配置する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記マイクロ波炉が、前記管の第一端を上げることにより傾斜して、前記原料が前記管内を移動しやすくできるようになっている、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
マイクロ波処理による蛍光体の合成方法であって、
(a)マイクロ波チャンバーを備えたマイクロ波炉を準備する工程と、
(b)前記マイクロ波チャンバーに蛍光体原料を入れる工程と、
(c)前記原料にマイクロ波を照射することにより、前記原料から蛍光体を合成する工程と、
を含む方法。
【請求項33】
前記蛍光体が、ハロリン酸塩蛍光体である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記蛍光体が、Ca10(PO46(Cl、F):Sb:Mnで表されるものである、請
求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記蛍光体が、約1000℃のマイクロ波処理により合成される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記原料が、HCaPO4と、CaCO3と、CaF2とNH4Clと、MnCO3と、Sb23との混合物を含むものである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記蛍光体が、約1000℃、約20分の条件のマイクロ波処理により合成される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記蛍光体が、アルミン酸バリウムマグネシウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記蛍光体がBaMg1+xAl10+y17+z(式中、0<x<2.0、0<y<5.0及
び0<z<10.5である)で表されるものであり、前記蛍光体がユーロピウム付活剤を有するものである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記蛍光体が、還元雰囲気中、約1250℃〜約1500℃でのマイクロ波処理により合成される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記蛍光体が、約1400℃〜約1500℃でのマイクロ波処理により合成される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記原料が、水酸化アルミニウムと、酸化マグネシウムと、炭酸バリウムと、酸化ユーロピウムと、フッ化バリウム融剤との混合物である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記蛍光体が、還元雰囲気中、約1250℃〜約1500℃で約20分間のマイクロ波処理により合成される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記蛍光体が、リン酸ランタンである、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記蛍光体が、(La、Ce、Tb)PO4:Ce:Tbで表されるものである、請求
項44に記載の方法。
【請求項46】
前記蛍光体が、約800℃〜約1125℃でのマイクロ波処理により合成される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記原料が、リン酸ランタンと、リン酸セリウムと、リン酸テルビウムとの共沈混合物である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記原料が、融剤をさらに含むものである、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記蛍光体が、約800℃〜約1125℃で約10分間〜約30分間のマイクロ波処理により合成される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記蛍光体が、ユーロピウムドープ酸化イットリウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項51】
前記蛍光体が、約1100℃〜約1350℃でのマイクロ波処理により合成される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記原料が、酸化イットリウムと酸化ユーロピウムとの混合物である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記蛍光体が、約1100℃〜約1350℃で約10分間〜約40分間のマイクロ波処理により合成される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記混合物が、融剤をさらに含むものである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記蛍光体が、融剤なしで合成される、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−517420(P2008−517420A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532394(P2007−532394)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/032472
【国際公開番号】WO2006/031763
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507084981)ザ ペン ステイト リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】