マスクブランクの製造方法及び塗布装置
【課題】CAPコーターを用いて、特に6インチ程度の小さいサイズの基板に対して、基板面内のレジスト膜厚を均一にする。
【解決手段】液槽20に設けられた排出管62の途中に液位調整管71を連結し、その他端を開口71aとし、液位調整管71の途中を分岐管71bで分岐し、分岐管71bの端部に不活性ガス72が加圧封入されたガスボンベ73を接続する。さらに開口71a側の液位調整管71に制御弁80を,分岐管71b側に制御弁81を設け、液位制御手段を構成し、液位調整管71内に封入された不活性ガス72の圧力を加減調整する。予め、本発明の液位制御手段を備えない塗布装置によって、サンプル基板にレジスト剤を塗布し、基板の移動方向Vに対するレジスト膜厚を測定する。この膜厚情報から、ポンプ73により不活性ガス72の圧力を加減調整することによって液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズル22からのレジスト剤21の吐出量を調整して、レジスト膜厚を均一にすることができる。
【解決手段】液槽20に設けられた排出管62の途中に液位調整管71を連結し、その他端を開口71aとし、液位調整管71の途中を分岐管71bで分岐し、分岐管71bの端部に不活性ガス72が加圧封入されたガスボンベ73を接続する。さらに開口71a側の液位調整管71に制御弁80を,分岐管71b側に制御弁81を設け、液位制御手段を構成し、液位調整管71内に封入された不活性ガス72の圧力を加減調整する。予め、本発明の液位制御手段を備えない塗布装置によって、サンプル基板にレジスト剤を塗布し、基板の移動方向Vに対するレジスト膜厚を測定する。この膜厚情報から、ポンプ73により不活性ガス72の圧力を加減調整することによって液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズル22からのレジスト剤21の吐出量を調整して、レジスト膜厚を均一にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の被塗布面に、毛細管現象を利用して塗布ノズルから塗布液を吐出させて塗布する塗布装置、及びマスクブランクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FPD(Flat Panel Display)デバイスを製造するためのマスクブランク(FPD用マスクブランク)は、遮光膜あるいは半透光性膜などの薄膜上にレジスト膜が形成されている。このレジスト膜は、前記薄膜のエッチング時にエッチングマスクとして使用される。近年、形成されるパターンの高精度化しているため、大型の基板の全面に亘って均一な厚さのレジスト膜を形成できる技術が望まれる。
そこで、FPD用のマスクブランクおよびフォトマスクの製造塗布液を塗布する塗布装置(コーター)として、特許文献1に示すように、「CAPコーター」と称される塗布装置が提案されている。このCAPコーターは、一方向に毛管状の隙間を有するノズルを基板の被塗布面に対して接近させ、塗布液を満たした液槽から毛細管現象により前記隙間を上昇してノズル先端開口部に到達した塗布液を、基板の被塗布面に接液させ、この状態で前記基板と前記ノズルを相対的に移動させることによって、前記基板の被塗布面に塗布液を塗布して塗布膜を形成するものである。
このようなCAPコーターを用いて、基板の被塗布面にフォトレジスト等の塗布膜を形成する場合、毛細管現象を利用するノズルからの液吐出量は、液槽に蓄えられた塗布液の液面高さに左右される。そこで、上記文献においては、毎回の塗布毎に、一回の塗布毎に液面レベルを液面センサで監視し、塗布開始時の液槽の液面レベルを一定にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−6762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CAPコーターは、ノズルのサイズが大型パネルに対応可能なサイズであれば、それより小さいサイズの基板の被塗布面への塗布にも適用可能である。ところが、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型の基板サイズ(矩形)の場合、塗布前半と塗布後半では、塗布方向に対して膜厚に傾きが生じるという問題がある。塗布を行わないとき、塗布ノズルは、例えば図4に示すように、その先端部が乾燥しないように液槽内に浸漬されている。しかし、塗布ノズルを出し入れするために液槽の上方は開口となっていることから、液槽内のレジスト剤は、大気に接している表面側が蒸発等によって、それ以外の液槽内のレジスト剤よりも粘度が高くなる傾向がある。また、基板の被塗布面にレジスト剤の塗布を行う段階では、例えば図5に示すように、塗布ノズルの先端部を基板の被塗布面に近接させて接液し、毛細管現象を利用して塗布するが、塗布ノズル内の毛管状隙間内に滞留しているレジスト剤は粘度が高い傾向にある。さらに、液槽内のレジスト剤は側面のスリット状の毛管状隙間から吸い込まれて塗布ノズル先端部から吐出されるようになっている。このような構造であることから、塗布前半は、粘度の高い傾向にあるレジスト剤が塗布ノズル内に吸引されて被塗布面に塗布され、塗布途中から、液層中の通常の粘度のレジスト剤が塗布されるようになってしまう。粘度が高い傾向のレジスト剤が塗布ノズルの毛管状隙間を上昇するスピードは、通常の粘度のレジスト剤が塗布ノズルの毛管状隙間を上昇するスピードに比べて遅いため、基板を一定スピードで移動させる場合、レジスト剤の塗布量が塗布前半よりも塗布途中からの方が多くなってしまい、その結果、徐々にレジスト膜が厚くなっていくことによるものと考えられる。なお、長辺方向の長さが1500mm以上の大型基板の場合、このようなことがあまり問題となっていない。これは、必然的に短辺方向の長さも小型・中型基板よりも長く、短辺方向のレジスト塗布量が多く、粘度の高い傾向にあるレジスト剤が早く消費されてしまうことや、長辺方向に塗布していくに従っての液槽内のレジスト剤の液位の低下量が多く、毛細管現象によるレジスト剤の吸引力が塗布後半になると弱まっていくことによるレジスト塗布量の低下の方が顕著な問題であることが関係しているものと思われる。
【0005】
そこで、本発明の第一は、上記事情に鑑みてなされたものであり、CAPコーターを用いて、特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対して、基板面内の塗布膜厚が均一となるようなマスクブランクの製造方法を提供すること目的とする。
また、本発明の第二は、CAPコーターを用いて、基板の被塗布面にフォトレジスト等の塗布膜を形成する場合、基板面内における塗布膜厚のばらつきを低減させ、特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対して、基板面内の塗布膜厚の均一性を向上させることができる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
【0007】
レジスト剤が収容され該レジスト剤を循環させるための供給路と排出路とを備えた液槽内に、一方向に延びる開口を備えたノズルを浸漬して、該ノズルの開口に毛細管現象により前記レジスト剤を上昇させ、前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に近接させて該被塗布面に前記レジスト剤を接液させ、前記ノズルと前記基板とを前記塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させることによって、前記基板の被塗布面にレジスト剤を塗布する工程を有するマスクブランクの製造方法において、
前記被塗布面へのレジスト剤の塗布中、前記ノズルの開口からの前記レジスト剤の吐出量に応じて、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成2)
【0008】
前記供給路および排出路の少なくとも一方に、前記レジスト剤の液位を調整する液位調整管の一方の端を接続し、該液位調整管内の前記レジスト剤を前記液位調整管の他方の端から加減圧することで、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする構成1記載のマスクブランクの製造方法。
(構成3)
【0009】
前記液位調整管内の前記レジスト剤に不活性ガスを接触させ、該不活性ガスのガス圧を前記液位調整管の他方の端から加減することによって、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする構成2記載のマスクブランクの製造方法。
(構成4)
【0010】
前記レジスト剤を減圧して、前記液槽内のレジスト剤の液位を徐々に下げることを特徴とする構成2または3記載のマスクブランクの製造方法。
(構成5)
【0011】
塗布液を収容し、該塗布液を循環させるための供給路と排出路を備えた液槽と、
該液槽内の塗布液に、少なくとも一部が浸漬され、前記塗布液を導くための、一方向に開口を有するノズルと、
前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に接近させ、前記開口に導かれた塗布液を、前記基板の被塗布面に接液させるノズル接離手段と、
前記ノズル接離手段により、前記開口を前記被塗布面に対して接近させた状態で、前記基板と前記ノズルとを、前記被塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させる水平方向移動手段と、
前記塗布液が循環する系に設けられた、前記被塗布面への塗布液の塗布中、前記液槽内の塗布液の液位を、前記開口からの塗布液の吐出量に応じて制御する液位制御手段と、
を有することを特徴とする塗布装置。
(構成6)
【0012】
前記液位制御手段は、一方の端を前記供給管および排出管の少なくとも一方に接続した液位調整管と、該液位調整管内の前記塗布液を加減圧する加減圧手段とからなることを特徴とする構成5記載の塗布装置。
(構成7)
【0013】
前記加減圧手段は、前記液位調整管内の前記塗布液に接触させた不活性ガスの圧力を加減するものであることを特徴とする構成6記載の塗布装置。
(構成8)
【0014】
前記塗布液がレジスト剤であり、
前記基板が、転写パターンを形成するための薄膜を有する薄膜付き基板であり、
前記被塗布面に構成5から7いずれか1つ記載の塗布装置を用いて、前記レジスト剤を塗布して前記薄膜上にレジスト膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
上記構成1によれば、CAPコーターのような塗布装置において、被塗布面へのレジスト剤の塗布中、ノズルの開口からのレジスト剤の吐出量に応じて、液槽内のレジスト剤の液位を制御することにより、ノズルからの吐出量を制御できるので、基板面内の塗布膜厚が均一とすることが可能である。特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対しては、膜厚が厚くなるという問題があるが、強制的に液位を徐々に下げることによってノズルからの吐出量を減少させることができ、規格膜厚で均一にすることが可能である。
上記構成2および3によれば、液槽内のレジスト剤の液位を、供給路および排出路の少なくとも一方に、レジスト剤の液位を調整する液位調整管の一方の端を接続し、液位調整管内に侵入したレジスト剤を液位調整管の他方の端から加減圧することにより、容易に簡略な装置により液位を制御することが可能である。
上記構成4によれば、レジスト剤を減圧して、液槽内のレジスト剤の液位を徐々に下げることにより、すなわち、塗布中に自然に液位が下がる速度よりも若干速い速度で下げることにより、ノズルからの吐出量を徐々に低減させることができ、特に、塗布するに従ってレジスト膜厚が規格膜厚に対して大きくなる場合に好適である。
上記構成5によれば、塗布液が循環する系に設けられた、被塗布面への塗布液の塗布中、液槽内の塗布液の液位を、ノズルの開口からの塗布液の吐出量に応じて制御する液位制御手段を設けているので、基板面内の塗布膜厚が均一とすることが可能である。特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対しては、膜厚が厚くなるという問題があるが、液位を下げることによってノズルからの吐出量を減少させることができ、規格膜厚で均一にすることが可能である。
上記構成6および7によれば、容易に簡略な装置により液位を制御することが可能である。
上記構成8によれば、均一な膜厚のレジスト膜を有する、薄膜付きのマスクブランクを良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる塗布方法を実施する塗布装置の側面概略図
【図2】本発明にかかる塗布方法を実施する塗布装置の正面概略図
【図3】塗布装置における塗布手段の構成を示す断面図
【図4】塗布装置における塗布手段の要部の構成を示す断面図
【図5】塗布装置における塗布手段が塗布を行っている状態を示す断面図
【図6】本発明の液位制御手段を示す概略構成図
【図7】本発明の液位制御手段の第一の実施形態を示す概略断面図
【図8】本発明の液位制御手段の第二の実施形態を示す概略断面図
【図9】本発明の液位制御手段の第三の実施形態を示す概略断面図
【図10】本発明の第一の実施形態の液位制御手段を用いた塗布装置で基板に塗布した場合におけるレジスト膜の面内膜厚分布図
【図11】従来の塗布装置で基板に塗布した場合におけるレジスト膜の面内膜厚分布図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による塗布装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による上記塗布装置の側面概略図であり、図2は、正面概略図である。
図1に示すように、塗布装置1は、ベースフレーム11に設けられた塗布手段2と、移動フレーム12に設けられた吸着手段3と、移動フレーム12をベースフレーム11上で水平方向に移動させる移動手段4と、基板10を着脱自在に保持する保持手段5と、図示しない制御部とを備えている。
【0018】
移動手段2は、被塗布面を下方に向けた状態で基板10に対して塗布液の塗布を行うものである。この塗布手段2は、矩形箱状のベースフレーム11の略中央に設けてある。塗布手段2の構成についてはあとでさらに詳しく説明する。
【0019】
移動フレーム12は、対向する一対の側板と、この側板を連結する天板とが一体的に形成されており、基板10と塗布手段2との位置精度が狂うことがないように、十分な機械的強度を有している。また、移動フレーム12は、リニアウェイ41を介して、ベースフレーム11と水平方向に移動自在に連結されている。そして、移動フレーム12内には、吸着手段3が設けられている。この吸着手段3は、例えば、天板の略中央に複数の吸着孔(図示せず)が穿設された吸着板からなる。また、移動フレーム12の一方の側板には、後述するボールスクリュー42が螺合するナットの形成された移動部13が突設されている。
【0020】
移動手段4は、移動フレーム12の側板をガイドさせながら移動させるリニアウェイ41と、移動部13のナットに螺合するボールスクリュー42と、該ボールスクリュー42を回転させるモーター43とから構成されている。図示しない制御部からの指示によってモーター43を回転させるとボールスクリュー42が回転し、移動部13をボールスクリュー42の回転方向に応じた方向へ所定の距離だけ水平移動させることができる。
【0021】
保持手段5は、ベースフレーム11と一体的に形成された保持手段用フレーム51、該保持手段用フレーム51に設けられたリニアウェイ53、該リニアウェイ53にガイドされ上記保持手段用フレーム51上を移動するベース板52、該ベース板52を水平方向に移動させるリニアモーター54、ロッド先端に保持部材55を設けたエアシリンダ(又は電磁ソレノイド)56を備える。なお、エアシリンダ56には、種々の基板サイズに対応できるようベース板52の任意の取付位置に着脱自在に取り付けられている。また、上記保持部材55は、基板10の周縁部を載置する載置面と、基板10の位置決めを行う係止用段差とからなっている。保持部材55は、例えば矩形状の基板10に対しては、基板10の四隅を保持するようにベース板52の四隅に配設してある。勿論、保持部材55の配設位置は、基板の形状、位置精度などを考慮して適宜変更することができる。
【0022】
次に、上記構成の塗布装置1の全体的な動作を説明する。
まず、上記塗布装置1の初期状態は、ベース板52が基板のセット位置にあり、移動フレーム12が吸着位置にあり、また、ベース板52上の四隅にある各エアシリンダ56のロッドが下降している状態である。
次に、作業者(又はロボット)が、被塗布面を下向きにした状態で基板10を保持部材55の載置メンに載置する。保持部材55には、前記係止用段差を設けているので、基板10を容易に位置決めすることができる。また、この係止用段差により、ベース板52がセット位置から吸着位置に移動し停止する(後述)とき、基板10を係止することができる。
【0023】
このようにして、基板10が保持部材55に載置されると、以降は制御部からの指示によって次のように動作する。
まず、ベース板52がリニアモーター53によって吸着位置まで移動し停止する。こうして保持手段5が吸着位置に位置決めされると、その四隅にある4個のエアシリンダ56のロッドが同時に上昇し、基板10を吸着手段3に当接または近接させる。ここで吸着手段3による吸引によって基板10が吸着手段3に吸着される。そして、各エアシリンダ56のロッドが下降すると、移動フレーム12が処理位置方向へ移動していく。移動フレーム12が処理位置を通過する途中で、被塗布面が下向きの基板10の被塗布面に、下方から塗布手段2によって塗布液の塗布が行われる。
【0024】
そして、塗布手段2による塗布が終了すると、モーター43(ボールスクリュー42)を逆回転させて、移動フレーム12が処理位置から吸着位置まで戻る。その時点で各エアシリンダ56のロッドが上昇し、保持部材55の載置面と基板10とを当接させる。この際、基板10は保持部材55の係止用段差によって位置決めされる。そして、吸着手段3による吸着を停止させた後、各エアシリンダ56のロッドを同時に下降させ、塗布済みの基板10を保持部材55に載置させる。次いで、ベース板52をリニアモーター54によって吸着位置からセット位置まで移動させ、作業者(又はロボット)が塗布済みの基板10を保持部材55から取り出す。なお、上記移動フレーム12の移動は、ボールスクリュー42を用いるほか、リニアモーターなどの手段を用いてもよい。
【0025】
以上のようにして、1回の塗布作業が完了する。なお、上述の構成では、移動フレーム12(吸着手段3)が処理位置方向へ移動していき、処理位置を通過する途中で、基板10の被塗布面に下方から塗布手段2によって塗布液の塗布が行われる構成としているが、例えば、移動フレーム12を移動させずに(つまり、基板10を所定位置に固定したまま)、塗布手段2を水平方向に移動させて塗布を行う構成としてもよい。さらには、移動フレーム12と塗布手段2の双方を移動させる構成としてもよい。
また、上述の構成では、セット位置と吸着位置は異なるが、セット位置と吸着位置を同じ位置とするような構成としてもよい。
【0026】
次に、上記塗布手段2の構成をさらに詳しく説明する。
図3は、この塗布装置における塗布手段2の構成を示す断面図である。
塗布手段2は、図3に示すように、液槽20に溜められた塗布液(例えば、液体状のフォトレジスト液)21をノズル22の毛管状隙間23における毛細管現象により上昇させ、下方に向けられた基板10の被塗布面にノズル22の先端部(上端部)を近接させ、ノズル先端部まで上昇した塗布液を該ノズル先端部を介して、上記基板10の被塗布面に接液させるように構成されている。
【0027】
ここで、上記液槽20は、基板10の横方向の一辺の長さ、すなわち前述の移動フレーム12によって移動される縦方向に直交する方向(図3においては紙面に直交する方向となっている)の一辺の長さよりも長い横幅を有している。この液槽20は、支持プレート24の上端側に、図示しない駆動機構により支持プレート24に対して上下方向に移動可能に取り付けられて支持されている。
そして、この支持プレート24は、その下端側において、互いに直交して配置されたリニアウェイ25、26を介して、ベースフレーム11の底フレーム14上に支持されている。つまり、支持プレート24は、底フレーム14上において、直交する2方向への位置調整が可能なようになっている。また、この支持プレート24には、スライド機構27を介して、液槽20内に収納されたノズル22を支持する支持杵28が取り付けられている。上記スライド機構27には、図示しない駆動機構により、支持杵28を支持プレート24に対して上下方向に移動操作する(ノズル接離手段)。すなわち、液槽20とノズル22とは、互いに独立に、支持プレート24に対して上下方向に移動操作することができるようになっている。
【0028】
図4は、上記塗布手段2の要部の構成を示す断面図である。上記支持杵28は、図4に示すように、液槽20の底面に設けられた透孔20bを介して、この液槽20内に上端側に進入させている。この支持杵28の上端部には前記ノズル22が取り付けられている。つまり、ノズル22は、支持杵28に支持されて、液槽20内に収納されている。このノズル22は、少なくとも前述の基板10の横方向(図4においては紙面に直交する方向となっている)の長さに相当する長さ(横幅)を有して構成され、この方向(長手方向)に沿って、スリット状の毛管状隙間23を有している。そして、このノズル22は、毛管状隙間23を挟んで先端部の幅が狭くなって尖ったような断面形状を有している。この毛管状隙間23の上端部は、ノズル22の先端部において、このノズル22の略全長(横幅)にわたるスリット状に開口している。また、この毛管状隙間23は、ノズル22の下方側に向けても開口している。
また、液槽20の上面部には、ノズル22の先端部がこの液槽20の上方側に突出されるための透孔部20bが設けられており、なお且つ、液槽20内の塗布液21が大気に触れることをできるだけ防止するため、液槽20の上面部は、上端側の幅が狭くつぼまったような断面形状を有している。なお、液槽20の底面の透孔20bの周囲とのノズル22の先端部の底面とは、蛇腹29で繋がれており、上記透孔20bから液槽20内の塗布液21が漏れることを防止している。
【0029】
図5は、上記塗布手段2が塗布を行っている状態を示す断面図である。
すなわち、図5に示すように、液槽20に溜められた塗布液21をノズル22のスリット状の毛管状隙間23(隙間間隔T)における毛細管現象により上昇させ、下方に向けられた基板10の被塗布面10aにノズル22の先端部(上端部)を所定の塗布ギャップGを介して近接させ、ノズル先端部まで上昇した塗布液を該ノズル先端部を介して上記基板10の被塗布面10aに接液させながら、基板10とノズル22とを相対的に、かつ被塗布面10aに並行に移動させて、基板10の被塗布面10aに塗布液21を塗布して塗布膜を形成する。このときの基板10とノズル22の相対的な移動方向は、図5中の矢印Vで示すように、ノズル22の先端部において毛管状隙間23が形成するスリット状の開口と直交する方向である。
【0030】
次に、塗布装置の塗布手段2の動作をさらに詳しく説明するとともに、この塗布装置を使用して実施するマスクブランク製造におけるレジスト膜形成工程についても説明する。
まず、本発明の液位制御手段について説明する。図6は、液位制御手段を示す概略構成図である。
本発明の塗布装置は、被塗布面への塗布液の塗布中は、前記液槽内の塗布液の液位を、ノズルからの吐出量に応じて制御することを特徴としている。
図6に示すように、塗布装置は、以下のようなレジスト剤循環経路を有している。液槽20は、レジストタンク63から液槽20にレジスト剤を供給する供給管61と、液槽20からレジスト剤を排出する排出管62とを備えている。また、供給管61にフィルター68および69を備えている。液槽20内等で粘度が高くなったレジスト剤は、排出管62を経て、レジストタンク63に戻される。そして、再度、レジストタンク63から供給管61を経由して液槽20に供給される粘度の高いレジスト剤は、フィルター68および69を通過することで、レジスト剤は所定範囲の粘度となる。上記のような循環経路において、排出管62の経路途中に、バルブ65を備えた液位調整管70が連結されている。
【0031】
液位調整管70は、排出管62に連結されているが、供給管61に連結されていてもよい。あるいは、供給管61と排出管62との両方に連結されていてもよい。液位調整管70内のレジスト剤は、循環経路を循環せずに滞留しやすいため、液位調整管70は排出管62側に連結されている方が望ましい。
また、液位調整管は、液槽20の側壁や底面に直接接続する構成としてもよい。
【0032】
次に、本発明の液位制御手段の第一の実施形態について説明する。
図7は、第一の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置のノズル周辺の概略断面図である。なお、図5と同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態にかかる液位調整手段は、被塗布面への塗布液の塗布中、前記ノズルからの吐出量に応じて、液位調整管に連結されたガスボンベとバルブによって液槽内の液位を制御する手段である。
図7に示すように、液槽20に設けられた排出管62の途中に、液位調整管71と液位調整管と排出管との間でレジスト剤の流動を制御するバルブ65とが設けられている。液位調整管の一方の端は排出管62に連結され、他方の端は開口71aとして大気解放としている。また、液位調整管71は、管路の途中で分岐管71bが分岐接続しており、分岐管71aの端部は、不活性ガスが加圧封入されたガスボンベ73に接続されている。また、分岐管71bの分岐部分と開口71aとの間に制御バルブ80が設けられており、分岐管71bには、液位調整管71との分岐部分側から、逆流防止弁81、制御バルブ82が設けられている。液位制御手段として機能しないときは、制御バルブ80,82ともに閉弁となっており、逆流防止弁81は、制御バルブ80から分岐部分への方向にのみ流路を開く構造となっている。液位調整管71内の、レジスト21と制御バルブ80と逆流防止弁81に挟まれた部分には不活性ガス72が封入されている。制御バルブ80,82は、それぞれ図示しない制御手段により開閉制御されている。制御バルブ82を閉弁したままで制御バルブ80を開弁することで、封入されていた不活性ガス72が開口71aから流出することで、液位調整管内の不活性ガス72が減圧される。制御バルブ80を閉弁したままで制御バルブ82を開弁することで、ガスボンベ73内の不活性ガスが逆流防止弁81を通過して流入することで、液位調整管内の不活性ガス72が加圧されるようになっている。以上の構成により不活性ガス72の圧力を加減圧調整することによって液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズル22からの吐出量の制御を行うことができる。
【0033】
具体的に、塗布中の、液槽内のレジスト剤の液位の制御は以下のように行う。
予め、本発明の液位制御手段を備えない塗布装置によって、サンプル基板にレジスト剤を塗布し、基板の移動方向Vに対するレジスト膜厚を測定する(従来の塗布方法)。次に、基板の移動方向Vに対するレジスト膜厚の経時変化を基に、塗布中、液位制御手段によって液槽内の液位を昇降させることによって、ノズルからの吐出量を制御する。
例えば、サンプル基板において、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に厚くなっている場合、レジスト剤の経時の過剰量に応じて、液面を徐々に下げる。この場合、図7に示すように、制御バルブ80を開弁して不活性ガス72を徐々に減圧して、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から液位調整管71に排出して、液位を徐々に下げる。減圧の程度と速度は、サンプル基板のデータに応じて決定し、図示しない制御手段によって制御する。
【0034】
塗布中は、レジスト剤21の循環は停止しているため、従来の塗布方法(膜厚が徐々に厚くなる場合)において、液位は、塗布開始から塗布終了にかけて徐々に下降していったが、本発明では、その液位の下降速度よりも若干速い速度で液位が下降することになる。このため、サンプル基板において塗布開始から塗布終了にかけて厚くなっていたレジスト膜厚が、ほぼ規格通りに均一となる。
【0035】
一方、サンプル基板においてレジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に薄くなっている場合は、塗布中、レジスト剤の経時の不足量に応じて、液面を徐々に上げる。この場合、液位調整管を用い、制御バルブ80を閉弁したまま制御バルブ82を開弁してガスボンベ73内の不活性ガス72を液位調整管71に導入することによって不活性ガス72を徐々に加圧して、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から導入して、液位を徐々に上げる。これにより、塗布中に、ノズルからの吐出量が徐々に増加して、被塗布面におけるレジスト膜厚を均一にすることが可能である。
【0036】
次に、本発明の液位制御手段の第二の実施形態について説明する。
図8は、本第二の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置のノズル周辺の概略断面図である。なお、図5および上記第一の実施形態を示す図7と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態にかかる液位制御手段は、被塗布面への塗布液の塗布中、前記ノズルからの吐出量に応じて,液位調整管75に装着されたピストンによって液槽内の液位を制御する手段である。
図8に示すように、液槽20に設けられた排出管62の途中に、液位調整管75と液位調整管75と排出管62との間でレジスト剤の流動を制御するバルブ65とが設けられている。液位調整管の一方の端は排出管62に連結され、他方の端にはピストン76が連結されている。ピストン76は、排出管62内部から液位調整管内のレジスト剤21を加減調整するものである。ピストン76でレジスト剤21を加減調整することによって、液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズル22からの吐出量の制御を行うことができる。
なお、吐出量の算出は、上記第一の実施形態によるサンプル基板を用いて行うことと同様であるので、説明を省略する。
レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に厚くなっている場合、上記第一の実施形態と同様、塗布方向におけるレジスト剤の経時の過剰量に応じて、液槽20内のレジスト剤21の液位を徐々に下げる。この場合、図8に示すように、ピストン76を矢印方向に徐々に引くことによって、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から排出して、液位を徐々に下げる。ピストンの加減圧の程度と速度は、サンプル基板のデータに応じて決定し、図示しない制御手段によって制御する。
【0037】
一方、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に薄くなっている場合は、塗布方向におけるレジスト剤の経時の不足量に応じて、液槽内のレジスト剤21の液位を徐々に上げる。この場合、排出管62ではなく、供給管61に連結されたピストンを備えた液位調整管を用いる。ピストンによってレジスト剤を徐々に押すことによって、液槽20内のレジスト剤21を供給管61から導入して、液位を徐々に上げる。これにより、塗布中に、ノズルからの吐出量が徐々に増加して、被塗布面におけるレジスト膜厚を均一にすることが可能である。
【0038】
次に、本発明の液位制御手段の第三の実施形態について説明する。
図9は、本第三の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置のノズル周辺の概略断面図である。なお、図5および上記第一の実施形態を示す図7と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態にかかる液位制御手段は、被塗布面への塗布液の塗布中、前記ノズルからの吐出量に応じて,液位調整管75に装着された可撓管の昇降によって液槽内の液位を制御する手段である。
図9に示すように、液槽20に設けられた排出管62の途中に、液位調整管である可撓管78と液位調整管と排出管62との間でレジスト剤の流動を制御するバルブ65とが設けられている。液位調整管78の一方の端は排出管62に連結され、他方の端は不活性ガス79が充填されて密封されている。可撓管78の内部には液槽20内のレジスト剤21が侵入しており、可撓管78内のレジスト剤21と液槽内のレジスト剤の液位とは同等である。この可撓管78を昇降させて、液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズルからの吐出量の制御を行うことができる。
吐出量の算出は、上記第一の実施形態によるサンプル基板を用いて行うことと同様であるので、説明を省略する。
上記実施形態と同様、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて徐々に厚くなっている場合、塗布方向におけるレジスト剤の経時の過剰量に応じて、液槽内のレジスト剤21の液位を徐々に下げる。この場合、図9に示すように、図示しない制御手段と移動手段によって、可撓管78をY1からY2に徐々に上げることによって、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から排出して、液槽20内の液位を徐々に下げる。移動量と移動速度は、サンプル基板のデータに応じて決定する。
【0039】
一方、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に薄くなっている場合は、塗布方向におけるレジスト剤の経時の不足量に応じて、液槽内のレジスト剤21の液位を徐々に上げる。この場合、排出管62ではなく、供給管61に連結された可撓管を用い、塗布中、レジスト剤の経時の不足量に応じて、液面を徐々に上げる。すなわち、不活性ガスが封入された可撓管を下げることによって、レジスト剤を供給管61から導入して液槽20内の液位を徐々に上げる。これにより、塗布中に、ノズルからの吐出量が徐々に増加して、被塗布面におけるレジスト膜厚を均一にすることが可能である。なお、可撓管の材質としては、可撓性を有する軟質塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の軟質樹脂やゴムなどが適用可能である。また、可撓管は、管内のレジスト剤の液位が視認できるような透明管であることが望ましい。
【0040】
このように、本発明のマスクブランクの製造方法によると、被塗布面にレジスト剤を塗布してレジスト膜を形成する場合、被塗布面へのレジスト剤の塗布中は、液槽内のレジスト剤の液位を、塗布ノズルからのレジスト剤の吐出量に応じて制御することにより、基板面内における塗布膜厚のばらつきを低減させ、基板面内におけるレジスト膜の塗布膜厚の均一性が良好なマスクブランクが得られる。基板サイズが小さい場合、塗布始めはほぼ規格膜厚であるが、塗布するにしたがって、規格膜厚より徐々に厚くなっていくため、本発明は、中型サイズ、特に小型サイズのレジスト膜付きマスクブランクの製造に好適である。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の第一の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置を用いて、転写パターンを形成するための薄膜が形成された基板の該薄膜上にレジスト剤を塗布し、基板面内のレジスト膜厚ばらつきを、比較例を用いて評価した。
上記第一の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置を用いて、1220mm×1400mmの中型サイズの基板の被塗布面へレジスト剤を塗布した。その結果、10枚行ったところ、規格膜厚8000Åに対して、ほぼどの基板も面内膜厚ばらつきを257Å以内に抑えることができ、最もばらつきの小さいものでは120Åに抑えることができていた。図10に、実際にレジスト剤を塗布した基板のうちの1枚に関するレジスト膜の面内膜厚分布を示す。なお、他の8枚の基板におけるレジスト膜の面内膜厚ばらつきは、220Å、235Å、244Å、251Å、205Å、122Å、244Å、237Åであった。
(比較例)
従来の塗布装置(第一の実施形態による液位制御手段を備えない装置)を用いて、同じく1220mm×1400mmの中型サイズ基板へレジスト剤を塗布した。その結果、10枚塗布を行ったところ、規格膜厚8000Åに対して、面内膜厚ばらつきは、最も小さいものでも517Åと、本発明の液位制御手段を利用した場合と比べて、かなり面内膜厚ばらつきが大きくなってしまった。
上記のように、本発明により、レジスト膜の基板面内ばらつきを、50.3%以上改善することができた。図11に、実際にレジスト剤を塗布した基板にうちの1枚に関するレジスト膜の面内膜厚分布を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 塗布装置
2 塗布手段
3 吸着手段
4 移動手段
5 保持手段
10 基板
20 液槽
21 レジスト剤
22 ノズル
23 毛管状隙間
61 供給管
62 排出管
65 バルブ
71、75 液位調整管
72、79 窒素
73 ガスボンベ
76 ピストン
78 可撓管
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の被塗布面に、毛細管現象を利用して塗布ノズルから塗布液を吐出させて塗布する塗布装置、及びマスクブランクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FPD(Flat Panel Display)デバイスを製造するためのマスクブランク(FPD用マスクブランク)は、遮光膜あるいは半透光性膜などの薄膜上にレジスト膜が形成されている。このレジスト膜は、前記薄膜のエッチング時にエッチングマスクとして使用される。近年、形成されるパターンの高精度化しているため、大型の基板の全面に亘って均一な厚さのレジスト膜を形成できる技術が望まれる。
そこで、FPD用のマスクブランクおよびフォトマスクの製造塗布液を塗布する塗布装置(コーター)として、特許文献1に示すように、「CAPコーター」と称される塗布装置が提案されている。このCAPコーターは、一方向に毛管状の隙間を有するノズルを基板の被塗布面に対して接近させ、塗布液を満たした液槽から毛細管現象により前記隙間を上昇してノズル先端開口部に到達した塗布液を、基板の被塗布面に接液させ、この状態で前記基板と前記ノズルを相対的に移動させることによって、前記基板の被塗布面に塗布液を塗布して塗布膜を形成するものである。
このようなCAPコーターを用いて、基板の被塗布面にフォトレジスト等の塗布膜を形成する場合、毛細管現象を利用するノズルからの液吐出量は、液槽に蓄えられた塗布液の液面高さに左右される。そこで、上記文献においては、毎回の塗布毎に、一回の塗布毎に液面レベルを液面センサで監視し、塗布開始時の液槽の液面レベルを一定にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−6762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CAPコーターは、ノズルのサイズが大型パネルに対応可能なサイズであれば、それより小さいサイズの基板の被塗布面への塗布にも適用可能である。ところが、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型の基板サイズ(矩形)の場合、塗布前半と塗布後半では、塗布方向に対して膜厚に傾きが生じるという問題がある。塗布を行わないとき、塗布ノズルは、例えば図4に示すように、その先端部が乾燥しないように液槽内に浸漬されている。しかし、塗布ノズルを出し入れするために液槽の上方は開口となっていることから、液槽内のレジスト剤は、大気に接している表面側が蒸発等によって、それ以外の液槽内のレジスト剤よりも粘度が高くなる傾向がある。また、基板の被塗布面にレジスト剤の塗布を行う段階では、例えば図5に示すように、塗布ノズルの先端部を基板の被塗布面に近接させて接液し、毛細管現象を利用して塗布するが、塗布ノズル内の毛管状隙間内に滞留しているレジスト剤は粘度が高い傾向にある。さらに、液槽内のレジスト剤は側面のスリット状の毛管状隙間から吸い込まれて塗布ノズル先端部から吐出されるようになっている。このような構造であることから、塗布前半は、粘度の高い傾向にあるレジスト剤が塗布ノズル内に吸引されて被塗布面に塗布され、塗布途中から、液層中の通常の粘度のレジスト剤が塗布されるようになってしまう。粘度が高い傾向のレジスト剤が塗布ノズルの毛管状隙間を上昇するスピードは、通常の粘度のレジスト剤が塗布ノズルの毛管状隙間を上昇するスピードに比べて遅いため、基板を一定スピードで移動させる場合、レジスト剤の塗布量が塗布前半よりも塗布途中からの方が多くなってしまい、その結果、徐々にレジスト膜が厚くなっていくことによるものと考えられる。なお、長辺方向の長さが1500mm以上の大型基板の場合、このようなことがあまり問題となっていない。これは、必然的に短辺方向の長さも小型・中型基板よりも長く、短辺方向のレジスト塗布量が多く、粘度の高い傾向にあるレジスト剤が早く消費されてしまうことや、長辺方向に塗布していくに従っての液槽内のレジスト剤の液位の低下量が多く、毛細管現象によるレジスト剤の吸引力が塗布後半になると弱まっていくことによるレジスト塗布量の低下の方が顕著な問題であることが関係しているものと思われる。
【0005】
そこで、本発明の第一は、上記事情に鑑みてなされたものであり、CAPコーターを用いて、特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対して、基板面内の塗布膜厚が均一となるようなマスクブランクの製造方法を提供すること目的とする。
また、本発明の第二は、CAPコーターを用いて、基板の被塗布面にフォトレジスト等の塗布膜を形成する場合、基板面内における塗布膜厚のばらつきを低減させ、特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対して、基板面内の塗布膜厚の均一性を向上させることができる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
【0007】
レジスト剤が収容され該レジスト剤を循環させるための供給路と排出路とを備えた液槽内に、一方向に延びる開口を備えたノズルを浸漬して、該ノズルの開口に毛細管現象により前記レジスト剤を上昇させ、前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に近接させて該被塗布面に前記レジスト剤を接液させ、前記ノズルと前記基板とを前記塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させることによって、前記基板の被塗布面にレジスト剤を塗布する工程を有するマスクブランクの製造方法において、
前記被塗布面へのレジスト剤の塗布中、前記ノズルの開口からの前記レジスト剤の吐出量に応じて、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成2)
【0008】
前記供給路および排出路の少なくとも一方に、前記レジスト剤の液位を調整する液位調整管の一方の端を接続し、該液位調整管内の前記レジスト剤を前記液位調整管の他方の端から加減圧することで、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする構成1記載のマスクブランクの製造方法。
(構成3)
【0009】
前記液位調整管内の前記レジスト剤に不活性ガスを接触させ、該不活性ガスのガス圧を前記液位調整管の他方の端から加減することによって、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする構成2記載のマスクブランクの製造方法。
(構成4)
【0010】
前記レジスト剤を減圧して、前記液槽内のレジスト剤の液位を徐々に下げることを特徴とする構成2または3記載のマスクブランクの製造方法。
(構成5)
【0011】
塗布液を収容し、該塗布液を循環させるための供給路と排出路を備えた液槽と、
該液槽内の塗布液に、少なくとも一部が浸漬され、前記塗布液を導くための、一方向に開口を有するノズルと、
前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に接近させ、前記開口に導かれた塗布液を、前記基板の被塗布面に接液させるノズル接離手段と、
前記ノズル接離手段により、前記開口を前記被塗布面に対して接近させた状態で、前記基板と前記ノズルとを、前記被塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させる水平方向移動手段と、
前記塗布液が循環する系に設けられた、前記被塗布面への塗布液の塗布中、前記液槽内の塗布液の液位を、前記開口からの塗布液の吐出量に応じて制御する液位制御手段と、
を有することを特徴とする塗布装置。
(構成6)
【0012】
前記液位制御手段は、一方の端を前記供給管および排出管の少なくとも一方に接続した液位調整管と、該液位調整管内の前記塗布液を加減圧する加減圧手段とからなることを特徴とする構成5記載の塗布装置。
(構成7)
【0013】
前記加減圧手段は、前記液位調整管内の前記塗布液に接触させた不活性ガスの圧力を加減するものであることを特徴とする構成6記載の塗布装置。
(構成8)
【0014】
前記塗布液がレジスト剤であり、
前記基板が、転写パターンを形成するための薄膜を有する薄膜付き基板であり、
前記被塗布面に構成5から7いずれか1つ記載の塗布装置を用いて、前記レジスト剤を塗布して前記薄膜上にレジスト膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
上記構成1によれば、CAPコーターのような塗布装置において、被塗布面へのレジスト剤の塗布中、ノズルの開口からのレジスト剤の吐出量に応じて、液槽内のレジスト剤の液位を制御することにより、ノズルからの吐出量を制御できるので、基板面内の塗布膜厚が均一とすることが可能である。特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対しては、膜厚が厚くなるという問題があるが、強制的に液位を徐々に下げることによってノズルからの吐出量を減少させることができ、規格膜厚で均一にすることが可能である。
上記構成2および3によれば、液槽内のレジスト剤の液位を、供給路および排出路の少なくとも一方に、レジスト剤の液位を調整する液位調整管の一方の端を接続し、液位調整管内に侵入したレジスト剤を液位調整管の他方の端から加減圧することにより、容易に簡略な装置により液位を制御することが可能である。
上記構成4によれば、レジスト剤を減圧して、液槽内のレジスト剤の液位を徐々に下げることにより、すなわち、塗布中に自然に液位が下がる速度よりも若干速い速度で下げることにより、ノズルからの吐出量を徐々に低減させることができ、特に、塗布するに従ってレジスト膜厚が規格膜厚に対して大きくなる場合に好適である。
上記構成5によれば、塗布液が循環する系に設けられた、被塗布面への塗布液の塗布中、液槽内の塗布液の液位を、ノズルの開口からの塗布液の吐出量に応じて制御する液位制御手段を設けているので、基板面内の塗布膜厚が均一とすることが可能である。特に、長辺方向の長さが400mm〜1400mm程度の小型・中型サイズの基板に対しては、膜厚が厚くなるという問題があるが、液位を下げることによってノズルからの吐出量を減少させることができ、規格膜厚で均一にすることが可能である。
上記構成6および7によれば、容易に簡略な装置により液位を制御することが可能である。
上記構成8によれば、均一な膜厚のレジスト膜を有する、薄膜付きのマスクブランクを良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる塗布方法を実施する塗布装置の側面概略図
【図2】本発明にかかる塗布方法を実施する塗布装置の正面概略図
【図3】塗布装置における塗布手段の構成を示す断面図
【図4】塗布装置における塗布手段の要部の構成を示す断面図
【図5】塗布装置における塗布手段が塗布を行っている状態を示す断面図
【図6】本発明の液位制御手段を示す概略構成図
【図7】本発明の液位制御手段の第一の実施形態を示す概略断面図
【図8】本発明の液位制御手段の第二の実施形態を示す概略断面図
【図9】本発明の液位制御手段の第三の実施形態を示す概略断面図
【図10】本発明の第一の実施形態の液位制御手段を用いた塗布装置で基板に塗布した場合におけるレジスト膜の面内膜厚分布図
【図11】従来の塗布装置で基板に塗布した場合におけるレジスト膜の面内膜厚分布図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による塗布装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による上記塗布装置の側面概略図であり、図2は、正面概略図である。
図1に示すように、塗布装置1は、ベースフレーム11に設けられた塗布手段2と、移動フレーム12に設けられた吸着手段3と、移動フレーム12をベースフレーム11上で水平方向に移動させる移動手段4と、基板10を着脱自在に保持する保持手段5と、図示しない制御部とを備えている。
【0018】
移動手段2は、被塗布面を下方に向けた状態で基板10に対して塗布液の塗布を行うものである。この塗布手段2は、矩形箱状のベースフレーム11の略中央に設けてある。塗布手段2の構成についてはあとでさらに詳しく説明する。
【0019】
移動フレーム12は、対向する一対の側板と、この側板を連結する天板とが一体的に形成されており、基板10と塗布手段2との位置精度が狂うことがないように、十分な機械的強度を有している。また、移動フレーム12は、リニアウェイ41を介して、ベースフレーム11と水平方向に移動自在に連結されている。そして、移動フレーム12内には、吸着手段3が設けられている。この吸着手段3は、例えば、天板の略中央に複数の吸着孔(図示せず)が穿設された吸着板からなる。また、移動フレーム12の一方の側板には、後述するボールスクリュー42が螺合するナットの形成された移動部13が突設されている。
【0020】
移動手段4は、移動フレーム12の側板をガイドさせながら移動させるリニアウェイ41と、移動部13のナットに螺合するボールスクリュー42と、該ボールスクリュー42を回転させるモーター43とから構成されている。図示しない制御部からの指示によってモーター43を回転させるとボールスクリュー42が回転し、移動部13をボールスクリュー42の回転方向に応じた方向へ所定の距離だけ水平移動させることができる。
【0021】
保持手段5は、ベースフレーム11と一体的に形成された保持手段用フレーム51、該保持手段用フレーム51に設けられたリニアウェイ53、該リニアウェイ53にガイドされ上記保持手段用フレーム51上を移動するベース板52、該ベース板52を水平方向に移動させるリニアモーター54、ロッド先端に保持部材55を設けたエアシリンダ(又は電磁ソレノイド)56を備える。なお、エアシリンダ56には、種々の基板サイズに対応できるようベース板52の任意の取付位置に着脱自在に取り付けられている。また、上記保持部材55は、基板10の周縁部を載置する載置面と、基板10の位置決めを行う係止用段差とからなっている。保持部材55は、例えば矩形状の基板10に対しては、基板10の四隅を保持するようにベース板52の四隅に配設してある。勿論、保持部材55の配設位置は、基板の形状、位置精度などを考慮して適宜変更することができる。
【0022】
次に、上記構成の塗布装置1の全体的な動作を説明する。
まず、上記塗布装置1の初期状態は、ベース板52が基板のセット位置にあり、移動フレーム12が吸着位置にあり、また、ベース板52上の四隅にある各エアシリンダ56のロッドが下降している状態である。
次に、作業者(又はロボット)が、被塗布面を下向きにした状態で基板10を保持部材55の載置メンに載置する。保持部材55には、前記係止用段差を設けているので、基板10を容易に位置決めすることができる。また、この係止用段差により、ベース板52がセット位置から吸着位置に移動し停止する(後述)とき、基板10を係止することができる。
【0023】
このようにして、基板10が保持部材55に載置されると、以降は制御部からの指示によって次のように動作する。
まず、ベース板52がリニアモーター53によって吸着位置まで移動し停止する。こうして保持手段5が吸着位置に位置決めされると、その四隅にある4個のエアシリンダ56のロッドが同時に上昇し、基板10を吸着手段3に当接または近接させる。ここで吸着手段3による吸引によって基板10が吸着手段3に吸着される。そして、各エアシリンダ56のロッドが下降すると、移動フレーム12が処理位置方向へ移動していく。移動フレーム12が処理位置を通過する途中で、被塗布面が下向きの基板10の被塗布面に、下方から塗布手段2によって塗布液の塗布が行われる。
【0024】
そして、塗布手段2による塗布が終了すると、モーター43(ボールスクリュー42)を逆回転させて、移動フレーム12が処理位置から吸着位置まで戻る。その時点で各エアシリンダ56のロッドが上昇し、保持部材55の載置面と基板10とを当接させる。この際、基板10は保持部材55の係止用段差によって位置決めされる。そして、吸着手段3による吸着を停止させた後、各エアシリンダ56のロッドを同時に下降させ、塗布済みの基板10を保持部材55に載置させる。次いで、ベース板52をリニアモーター54によって吸着位置からセット位置まで移動させ、作業者(又はロボット)が塗布済みの基板10を保持部材55から取り出す。なお、上記移動フレーム12の移動は、ボールスクリュー42を用いるほか、リニアモーターなどの手段を用いてもよい。
【0025】
以上のようにして、1回の塗布作業が完了する。なお、上述の構成では、移動フレーム12(吸着手段3)が処理位置方向へ移動していき、処理位置を通過する途中で、基板10の被塗布面に下方から塗布手段2によって塗布液の塗布が行われる構成としているが、例えば、移動フレーム12を移動させずに(つまり、基板10を所定位置に固定したまま)、塗布手段2を水平方向に移動させて塗布を行う構成としてもよい。さらには、移動フレーム12と塗布手段2の双方を移動させる構成としてもよい。
また、上述の構成では、セット位置と吸着位置は異なるが、セット位置と吸着位置を同じ位置とするような構成としてもよい。
【0026】
次に、上記塗布手段2の構成をさらに詳しく説明する。
図3は、この塗布装置における塗布手段2の構成を示す断面図である。
塗布手段2は、図3に示すように、液槽20に溜められた塗布液(例えば、液体状のフォトレジスト液)21をノズル22の毛管状隙間23における毛細管現象により上昇させ、下方に向けられた基板10の被塗布面にノズル22の先端部(上端部)を近接させ、ノズル先端部まで上昇した塗布液を該ノズル先端部を介して、上記基板10の被塗布面に接液させるように構成されている。
【0027】
ここで、上記液槽20は、基板10の横方向の一辺の長さ、すなわち前述の移動フレーム12によって移動される縦方向に直交する方向(図3においては紙面に直交する方向となっている)の一辺の長さよりも長い横幅を有している。この液槽20は、支持プレート24の上端側に、図示しない駆動機構により支持プレート24に対して上下方向に移動可能に取り付けられて支持されている。
そして、この支持プレート24は、その下端側において、互いに直交して配置されたリニアウェイ25、26を介して、ベースフレーム11の底フレーム14上に支持されている。つまり、支持プレート24は、底フレーム14上において、直交する2方向への位置調整が可能なようになっている。また、この支持プレート24には、スライド機構27を介して、液槽20内に収納されたノズル22を支持する支持杵28が取り付けられている。上記スライド機構27には、図示しない駆動機構により、支持杵28を支持プレート24に対して上下方向に移動操作する(ノズル接離手段)。すなわち、液槽20とノズル22とは、互いに独立に、支持プレート24に対して上下方向に移動操作することができるようになっている。
【0028】
図4は、上記塗布手段2の要部の構成を示す断面図である。上記支持杵28は、図4に示すように、液槽20の底面に設けられた透孔20bを介して、この液槽20内に上端側に進入させている。この支持杵28の上端部には前記ノズル22が取り付けられている。つまり、ノズル22は、支持杵28に支持されて、液槽20内に収納されている。このノズル22は、少なくとも前述の基板10の横方向(図4においては紙面に直交する方向となっている)の長さに相当する長さ(横幅)を有して構成され、この方向(長手方向)に沿って、スリット状の毛管状隙間23を有している。そして、このノズル22は、毛管状隙間23を挟んで先端部の幅が狭くなって尖ったような断面形状を有している。この毛管状隙間23の上端部は、ノズル22の先端部において、このノズル22の略全長(横幅)にわたるスリット状に開口している。また、この毛管状隙間23は、ノズル22の下方側に向けても開口している。
また、液槽20の上面部には、ノズル22の先端部がこの液槽20の上方側に突出されるための透孔部20bが設けられており、なお且つ、液槽20内の塗布液21が大気に触れることをできるだけ防止するため、液槽20の上面部は、上端側の幅が狭くつぼまったような断面形状を有している。なお、液槽20の底面の透孔20bの周囲とのノズル22の先端部の底面とは、蛇腹29で繋がれており、上記透孔20bから液槽20内の塗布液21が漏れることを防止している。
【0029】
図5は、上記塗布手段2が塗布を行っている状態を示す断面図である。
すなわち、図5に示すように、液槽20に溜められた塗布液21をノズル22のスリット状の毛管状隙間23(隙間間隔T)における毛細管現象により上昇させ、下方に向けられた基板10の被塗布面10aにノズル22の先端部(上端部)を所定の塗布ギャップGを介して近接させ、ノズル先端部まで上昇した塗布液を該ノズル先端部を介して上記基板10の被塗布面10aに接液させながら、基板10とノズル22とを相対的に、かつ被塗布面10aに並行に移動させて、基板10の被塗布面10aに塗布液21を塗布して塗布膜を形成する。このときの基板10とノズル22の相対的な移動方向は、図5中の矢印Vで示すように、ノズル22の先端部において毛管状隙間23が形成するスリット状の開口と直交する方向である。
【0030】
次に、塗布装置の塗布手段2の動作をさらに詳しく説明するとともに、この塗布装置を使用して実施するマスクブランク製造におけるレジスト膜形成工程についても説明する。
まず、本発明の液位制御手段について説明する。図6は、液位制御手段を示す概略構成図である。
本発明の塗布装置は、被塗布面への塗布液の塗布中は、前記液槽内の塗布液の液位を、ノズルからの吐出量に応じて制御することを特徴としている。
図6に示すように、塗布装置は、以下のようなレジスト剤循環経路を有している。液槽20は、レジストタンク63から液槽20にレジスト剤を供給する供給管61と、液槽20からレジスト剤を排出する排出管62とを備えている。また、供給管61にフィルター68および69を備えている。液槽20内等で粘度が高くなったレジスト剤は、排出管62を経て、レジストタンク63に戻される。そして、再度、レジストタンク63から供給管61を経由して液槽20に供給される粘度の高いレジスト剤は、フィルター68および69を通過することで、レジスト剤は所定範囲の粘度となる。上記のような循環経路において、排出管62の経路途中に、バルブ65を備えた液位調整管70が連結されている。
【0031】
液位調整管70は、排出管62に連結されているが、供給管61に連結されていてもよい。あるいは、供給管61と排出管62との両方に連結されていてもよい。液位調整管70内のレジスト剤は、循環経路を循環せずに滞留しやすいため、液位調整管70は排出管62側に連結されている方が望ましい。
また、液位調整管は、液槽20の側壁や底面に直接接続する構成としてもよい。
【0032】
次に、本発明の液位制御手段の第一の実施形態について説明する。
図7は、第一の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置のノズル周辺の概略断面図である。なお、図5と同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態にかかる液位調整手段は、被塗布面への塗布液の塗布中、前記ノズルからの吐出量に応じて、液位調整管に連結されたガスボンベとバルブによって液槽内の液位を制御する手段である。
図7に示すように、液槽20に設けられた排出管62の途中に、液位調整管71と液位調整管と排出管との間でレジスト剤の流動を制御するバルブ65とが設けられている。液位調整管の一方の端は排出管62に連結され、他方の端は開口71aとして大気解放としている。また、液位調整管71は、管路の途中で分岐管71bが分岐接続しており、分岐管71aの端部は、不活性ガスが加圧封入されたガスボンベ73に接続されている。また、分岐管71bの分岐部分と開口71aとの間に制御バルブ80が設けられており、分岐管71bには、液位調整管71との分岐部分側から、逆流防止弁81、制御バルブ82が設けられている。液位制御手段として機能しないときは、制御バルブ80,82ともに閉弁となっており、逆流防止弁81は、制御バルブ80から分岐部分への方向にのみ流路を開く構造となっている。液位調整管71内の、レジスト21と制御バルブ80と逆流防止弁81に挟まれた部分には不活性ガス72が封入されている。制御バルブ80,82は、それぞれ図示しない制御手段により開閉制御されている。制御バルブ82を閉弁したままで制御バルブ80を開弁することで、封入されていた不活性ガス72が開口71aから流出することで、液位調整管内の不活性ガス72が減圧される。制御バルブ80を閉弁したままで制御バルブ82を開弁することで、ガスボンベ73内の不活性ガスが逆流防止弁81を通過して流入することで、液位調整管内の不活性ガス72が加圧されるようになっている。以上の構成により不活性ガス72の圧力を加減圧調整することによって液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズル22からの吐出量の制御を行うことができる。
【0033】
具体的に、塗布中の、液槽内のレジスト剤の液位の制御は以下のように行う。
予め、本発明の液位制御手段を備えない塗布装置によって、サンプル基板にレジスト剤を塗布し、基板の移動方向Vに対するレジスト膜厚を測定する(従来の塗布方法)。次に、基板の移動方向Vに対するレジスト膜厚の経時変化を基に、塗布中、液位制御手段によって液槽内の液位を昇降させることによって、ノズルからの吐出量を制御する。
例えば、サンプル基板において、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に厚くなっている場合、レジスト剤の経時の過剰量に応じて、液面を徐々に下げる。この場合、図7に示すように、制御バルブ80を開弁して不活性ガス72を徐々に減圧して、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から液位調整管71に排出して、液位を徐々に下げる。減圧の程度と速度は、サンプル基板のデータに応じて決定し、図示しない制御手段によって制御する。
【0034】
塗布中は、レジスト剤21の循環は停止しているため、従来の塗布方法(膜厚が徐々に厚くなる場合)において、液位は、塗布開始から塗布終了にかけて徐々に下降していったが、本発明では、その液位の下降速度よりも若干速い速度で液位が下降することになる。このため、サンプル基板において塗布開始から塗布終了にかけて厚くなっていたレジスト膜厚が、ほぼ規格通りに均一となる。
【0035】
一方、サンプル基板においてレジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に薄くなっている場合は、塗布中、レジスト剤の経時の不足量に応じて、液面を徐々に上げる。この場合、液位調整管を用い、制御バルブ80を閉弁したまま制御バルブ82を開弁してガスボンベ73内の不活性ガス72を液位調整管71に導入することによって不活性ガス72を徐々に加圧して、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から導入して、液位を徐々に上げる。これにより、塗布中に、ノズルからの吐出量が徐々に増加して、被塗布面におけるレジスト膜厚を均一にすることが可能である。
【0036】
次に、本発明の液位制御手段の第二の実施形態について説明する。
図8は、本第二の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置のノズル周辺の概略断面図である。なお、図5および上記第一の実施形態を示す図7と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態にかかる液位制御手段は、被塗布面への塗布液の塗布中、前記ノズルからの吐出量に応じて,液位調整管75に装着されたピストンによって液槽内の液位を制御する手段である。
図8に示すように、液槽20に設けられた排出管62の途中に、液位調整管75と液位調整管75と排出管62との間でレジスト剤の流動を制御するバルブ65とが設けられている。液位調整管の一方の端は排出管62に連結され、他方の端にはピストン76が連結されている。ピストン76は、排出管62内部から液位調整管内のレジスト剤21を加減調整するものである。ピストン76でレジスト剤21を加減調整することによって、液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズル22からの吐出量の制御を行うことができる。
なお、吐出量の算出は、上記第一の実施形態によるサンプル基板を用いて行うことと同様であるので、説明を省略する。
レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に厚くなっている場合、上記第一の実施形態と同様、塗布方向におけるレジスト剤の経時の過剰量に応じて、液槽20内のレジスト剤21の液位を徐々に下げる。この場合、図8に示すように、ピストン76を矢印方向に徐々に引くことによって、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から排出して、液位を徐々に下げる。ピストンの加減圧の程度と速度は、サンプル基板のデータに応じて決定し、図示しない制御手段によって制御する。
【0037】
一方、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に薄くなっている場合は、塗布方向におけるレジスト剤の経時の不足量に応じて、液槽内のレジスト剤21の液位を徐々に上げる。この場合、排出管62ではなく、供給管61に連結されたピストンを備えた液位調整管を用いる。ピストンによってレジスト剤を徐々に押すことによって、液槽20内のレジスト剤21を供給管61から導入して、液位を徐々に上げる。これにより、塗布中に、ノズルからの吐出量が徐々に増加して、被塗布面におけるレジスト膜厚を均一にすることが可能である。
【0038】
次に、本発明の液位制御手段の第三の実施形態について説明する。
図9は、本第三の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置のノズル周辺の概略断面図である。なお、図5および上記第一の実施形態を示す図7と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態にかかる液位制御手段は、被塗布面への塗布液の塗布中、前記ノズルからの吐出量に応じて,液位調整管75に装着された可撓管の昇降によって液槽内の液位を制御する手段である。
図9に示すように、液槽20に設けられた排出管62の途中に、液位調整管である可撓管78と液位調整管と排出管62との間でレジスト剤の流動を制御するバルブ65とが設けられている。液位調整管78の一方の端は排出管62に連結され、他方の端は不活性ガス79が充填されて密封されている。可撓管78の内部には液槽20内のレジスト剤21が侵入しており、可撓管78内のレジスト剤21と液槽内のレジスト剤の液位とは同等である。この可撓管78を昇降させて、液槽20内の液位を昇降させる。これにより、ノズルからの吐出量の制御を行うことができる。
吐出量の算出は、上記第一の実施形態によるサンプル基板を用いて行うことと同様であるので、説明を省略する。
上記実施形態と同様、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて徐々に厚くなっている場合、塗布方向におけるレジスト剤の経時の過剰量に応じて、液槽内のレジスト剤21の液位を徐々に下げる。この場合、図9に示すように、図示しない制御手段と移動手段によって、可撓管78をY1からY2に徐々に上げることによって、液槽20内のレジスト剤21を排出管62から排出して、液槽20内の液位を徐々に下げる。移動量と移動速度は、サンプル基板のデータに応じて決定する。
【0039】
一方、レジスト膜厚が、塗布開始から塗布終了にかけて規格膜厚に対して徐々に薄くなっている場合は、塗布方向におけるレジスト剤の経時の不足量に応じて、液槽内のレジスト剤21の液位を徐々に上げる。この場合、排出管62ではなく、供給管61に連結された可撓管を用い、塗布中、レジスト剤の経時の不足量に応じて、液面を徐々に上げる。すなわち、不活性ガスが封入された可撓管を下げることによって、レジスト剤を供給管61から導入して液槽20内の液位を徐々に上げる。これにより、塗布中に、ノズルからの吐出量が徐々に増加して、被塗布面におけるレジスト膜厚を均一にすることが可能である。なお、可撓管の材質としては、可撓性を有する軟質塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の軟質樹脂やゴムなどが適用可能である。また、可撓管は、管内のレジスト剤の液位が視認できるような透明管であることが望ましい。
【0040】
このように、本発明のマスクブランクの製造方法によると、被塗布面にレジスト剤を塗布してレジスト膜を形成する場合、被塗布面へのレジスト剤の塗布中は、液槽内のレジスト剤の液位を、塗布ノズルからのレジスト剤の吐出量に応じて制御することにより、基板面内における塗布膜厚のばらつきを低減させ、基板面内におけるレジスト膜の塗布膜厚の均一性が良好なマスクブランクが得られる。基板サイズが小さい場合、塗布始めはほぼ規格膜厚であるが、塗布するにしたがって、規格膜厚より徐々に厚くなっていくため、本発明は、中型サイズ、特に小型サイズのレジスト膜付きマスクブランクの製造に好適である。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の第一の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置を用いて、転写パターンを形成するための薄膜が形成された基板の該薄膜上にレジスト剤を塗布し、基板面内のレジスト膜厚ばらつきを、比較例を用いて評価した。
上記第一の実施形態による液位制御手段を備えた塗布装置を用いて、1220mm×1400mmの中型サイズの基板の被塗布面へレジスト剤を塗布した。その結果、10枚行ったところ、規格膜厚8000Åに対して、ほぼどの基板も面内膜厚ばらつきを257Å以内に抑えることができ、最もばらつきの小さいものでは120Åに抑えることができていた。図10に、実際にレジスト剤を塗布した基板のうちの1枚に関するレジスト膜の面内膜厚分布を示す。なお、他の8枚の基板におけるレジスト膜の面内膜厚ばらつきは、220Å、235Å、244Å、251Å、205Å、122Å、244Å、237Åであった。
(比較例)
従来の塗布装置(第一の実施形態による液位制御手段を備えない装置)を用いて、同じく1220mm×1400mmの中型サイズ基板へレジスト剤を塗布した。その結果、10枚塗布を行ったところ、規格膜厚8000Åに対して、面内膜厚ばらつきは、最も小さいものでも517Åと、本発明の液位制御手段を利用した場合と比べて、かなり面内膜厚ばらつきが大きくなってしまった。
上記のように、本発明により、レジスト膜の基板面内ばらつきを、50.3%以上改善することができた。図11に、実際にレジスト剤を塗布した基板にうちの1枚に関するレジスト膜の面内膜厚分布を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 塗布装置
2 塗布手段
3 吸着手段
4 移動手段
5 保持手段
10 基板
20 液槽
21 レジスト剤
22 ノズル
23 毛管状隙間
61 供給管
62 排出管
65 バルブ
71、75 液位調整管
72、79 窒素
73 ガスボンベ
76 ピストン
78 可撓管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト剤が収容され該レジスト剤を循環させるための供給路と排出路とを備えた液槽内に、一方向に延びる開口を備えたノズルを浸漬して、該ノズルの開口に毛細管現象により前記レジスト剤を上昇させ、前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に近接させて該被塗布面に前記レジスト剤を接液させ、前記ノズルと前記基板とを前記塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させることによって、前記基板の被塗布面にレジスト剤を塗布する工程を有するマスクブランクの製造方法において、
前記被塗布面へのレジスト剤の塗布中、前記ノズルの開口からの前記レジスト剤の吐出量に応じて、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【請求項2】
前記供給路および排出路の少なくとも一方に、前記レジスト剤の液位を調整する液位調整管の一方の端を接続し、該液位調整管内の前記レジスト剤を前記液位調整管の他方の端から加減圧することで、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする請求項1記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項3】
前記液位調整管内の前記レジスト剤に不活性ガスを接触させ、該不活性ガスのガス圧を前記液位調整管の他方の端から加減することによって、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする請求項2記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項4】
前記レジスト剤を減圧して、前記液槽内のレジスト剤の液位を徐々に下げることを特徴とする請求項2または3記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項5】
塗布液を収容し、該塗布液を循環させるための供給路と排出路を備えた液槽と、
該液槽内の塗布液に、少なくとも一部が浸漬され、前記塗布液を導くための、一方向に開口を有するノズルと、
前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に接近させ、前記開口に導かれた塗布液を、前記基板の被塗布面に接液させるノズル接離手段と、
前記ノズル接離手段により、前記開口を前記被塗布面に対して接近させた状態で、前記基板と前記ノズルとを、前記被塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させる水平方向移動手段と、
前記塗布液が循環する系に設けられた、前記被塗布面への塗布液の塗布中、前記液槽内の塗布液の液位を、前記開口からの塗布液の吐出量に応じて制御する液位制御手段と、
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
前記液位制御手段は、一方の端を前記供給管および排出管の少なくとも一方に接続した液位調整管と、該液位調整管内の前記塗布液を加減圧する加減圧手段とからなることを特徴とする請求項5記載の塗布装置。
【請求項7】
前記加減圧手段は、前記液位調整管内の前記塗布液に接触させた不活性ガスの圧力を加減するものであることを特徴とする請求項6記載の塗布装置。
【請求項8】
前記塗布液がレジスト剤であり、
前記基板が、転写パターンを形成するための薄膜を有する薄膜付き基板であり、
前記被塗布面に請求項5から7いずれか1項記載の塗布装置を用いて、前記レジスト剤を塗布して前記薄膜上にレジスト膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【請求項1】
レジスト剤が収容され該レジスト剤を循環させるための供給路と排出路とを備えた液槽内に、一方向に延びる開口を備えたノズルを浸漬して、該ノズルの開口に毛細管現象により前記レジスト剤を上昇させ、前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に近接させて該被塗布面に前記レジスト剤を接液させ、前記ノズルと前記基板とを前記塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させることによって、前記基板の被塗布面にレジスト剤を塗布する工程を有するマスクブランクの製造方法において、
前記被塗布面へのレジスト剤の塗布中、前記ノズルの開口からの前記レジスト剤の吐出量に応じて、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【請求項2】
前記供給路および排出路の少なくとも一方に、前記レジスト剤の液位を調整する液位調整管の一方の端を接続し、該液位調整管内の前記レジスト剤を前記液位調整管の他方の端から加減圧することで、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする請求項1記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項3】
前記液位調整管内の前記レジスト剤に不活性ガスを接触させ、該不活性ガスのガス圧を前記液位調整管の他方の端から加減することによって、前記液槽内のレジスト剤の液位を制御することを特徴とする請求項2記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項4】
前記レジスト剤を減圧して、前記液槽内のレジスト剤の液位を徐々に下げることを特徴とする請求項2または3記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項5】
塗布液を収容し、該塗布液を循環させるための供給路と排出路を備えた液槽と、
該液槽内の塗布液に、少なくとも一部が浸漬され、前記塗布液を導くための、一方向に開口を有するノズルと、
前記ノズルを該ノズルの上方に位置する基板の被塗布面に接近させ、前記開口に導かれた塗布液を、前記基板の被塗布面に接液させるノズル接離手段と、
前記ノズル接離手段により、前記開口を前記被塗布面に対して接近させた状態で、前記基板と前記ノズルとを、前記被塗布面における前記一方向と直交する方向に一定の速さで相対的に移動させる水平方向移動手段と、
前記塗布液が循環する系に設けられた、前記被塗布面への塗布液の塗布中、前記液槽内の塗布液の液位を、前記開口からの塗布液の吐出量に応じて制御する液位制御手段と、
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
前記液位制御手段は、一方の端を前記供給管および排出管の少なくとも一方に接続した液位調整管と、該液位調整管内の前記塗布液を加減圧する加減圧手段とからなることを特徴とする請求項5記載の塗布装置。
【請求項7】
前記加減圧手段は、前記液位調整管内の前記塗布液に接触させた不活性ガスの圧力を加減するものであることを特徴とする請求項6記載の塗布装置。
【請求項8】
前記塗布液がレジスト剤であり、
前記基板が、転写パターンを形成するための薄膜を有する薄膜付き基板であり、
前記被塗布面に請求項5から7いずれか1項記載の塗布装置を用いて、前記レジスト剤を塗布して前記薄膜上にレジスト膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−170028(P2010−170028A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14312(P2009−14312)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(506107689)ホーヤ エレクトロニクス マレーシア センドリアン ベルハッド (16)
【氏名又は名称原語表記】HOYA ELECTRONICS MALAYSIA SENDIRIAN BERHAD
【住所又は居所原語表記】Lot28&29,Phasel,Jalan Hi−Tech 4,Kulim Hi−Tech Park,09000 Kulim,Kedah,Malaysia
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(506107689)ホーヤ エレクトロニクス マレーシア センドリアン ベルハッド (16)
【氏名又は名称原語表記】HOYA ELECTRONICS MALAYSIA SENDIRIAN BERHAD
【住所又は居所原語表記】Lot28&29,Phasel,Jalan Hi−Tech 4,Kulim Hi−Tech Park,09000 Kulim,Kedah,Malaysia
【Fターム(参考)】
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