説明

マルチフィラメントヤーンからの可撓性の連続テープおよびこれらを作るための方法

本発明は、アラミド、ガラス、芳香族ポリエステルおよび剛直棒状高分子から選ばれるマルチフィラメントヤーンから、テープの重量を基準として60〜98重量%の繊維を含む可撓性の繊維連続テープを作るための方法に関する。本方法は、a1)ヤーンのフィラメントを広げて2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を得るステップ、およびb1)広げたフィラメントを硬化性樹脂、または液体熱可塑性樹脂もしくはワックスで処理するステップ、あるいはa2)ヤーンを硬化性樹脂、または液体熱可塑性樹脂もしくはワックスで処理するステップ、およびb2)ヤーンのフィラメントを広げて2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を得るステップと、これらのステップに続くc)樹脂を硬化または固化させることによってフィラメントを固定してテープを得るステップと、を含み、ステップa1〜b1、a2〜b2のそれぞれとステップcとは一連の操作で実施される。本方法は、テープの重量を基準として60〜98重量%の繊維を含む可撓性のテープを作るのに適している。テープは、2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を含み、フィラメントは、硬化または固化した樹脂によって固定されている。本方法は、0.5ミリメートル未満の幅と2〜20の断面アスペクト比(w/h)とを有するマイクロテープを作るのにも適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチフィラメントヤーンから可撓性(flexible)の繊維連続テープを作るための方法、およびこの方法によって作られたテープに関する。さらに、本発明は、前記テープを含む光ファイバーケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維(ヤーンとも呼ばれる)強化テープが知られている。例えば、特許文献1にはキャリアテープが記載されている。このキャリアテープは、テープの幅とほぼ等しい幅を有する扁平な繊維構造体を強化材とし、樹脂をマトリックスとして用いることによって製造される。繊維構造体は、ヤーンの3次元組みひもである。
特許文献2には、マトリックス材料を強化するためのたて編みテープが記載されている。テープは、2つの高弾性率炭素フィラメントトウを含むことがある。
特許文献3には、有機樹脂を予め含浸した天然繊維束を含み、ヤーンまたはリボンの形をした新規な材料を製造する方法が記載されている。
特許文献4には、熱可塑性樹脂の中に埋め込まれた一方向繊維を含む可撓性の繊維状ストリップを作るための方法が記載されている。この方法によると、繊維のロービングから繊維を分けることによって平行繊維のラップに樹脂粒子を含浸させる。ロービング(またはスライバー)は、長くて幅の狭い繊維束であり、繊維を一緒に保つための撚りを有する。ロービングから繊維を広げるが、この方法では繊維だけを広げ、繊維の個々のフィラメントは広げない。従って、この方法は、樹脂による各繊維の表面処理を行う方法を提供するにすぎず、繊維の芯の個々のフィラメントを含浸させない。
同様に、特許文献5には、繊維のロービングの繊維をロービングからほどき、広げた後、広げた繊維の樹脂乳濁液による含浸を行う方法が記載されている。各繊維の個々のフィラメントは広げられず、この場合にも繊維の表面フィラメントだけに樹脂材料を含浸させる。
【0003】
特許文献6は、一連の操作で(in−line)含浸させるのではなく、最初に横に並べて同一平面内に配置し、次に含浸させるグラファイトシートに関する。本発明は、グラファイトに関するものでなく、一連の操作で作られたものでないシートに関するものでもない。
マトリックス内に強化用フィラメントを有する強化複合体の製造において、低度の撚りを有する不連続繊維から紡糸されたステープルヤーンからなるフィラメントが特許文献7に開示された。ジグザグ形のトンネルの狭い流路の中で繊維束の各フィラメントを連続的に被覆する、繊維フィラメントを連続的に被覆するための装置が特許文献8に記載されている。
従って、これらの既知のテープは、樹脂マトリックスを強化するための繊維を含んでいる。そのようなテープには、繊維とマトリックスとの間に比較的弱い相互作用しかないという弱点がある。繊維はマトリックスの中に埋め込まれているが、内部のフィラメントしかマトリックスと十分に接触しない。特許文献8におけるようにすべてのフィラメントを連続的に被覆すると、テープは著しい量、通常60重量%以上の樹脂と、相対的に少ない量の繊維とを含む。複合体の重量のかなりの部分を樹脂が占め(通常40重量%未満の繊維)、アラミドなどの高性能繊維の有利な性質が重量基準で本発明と比較して目立たなくなる(例えば弾性率、破断時伸び、破壊強度の点で)。樹脂の量が高いと高性能繊維を用いる場合にコストが余分に高くなる原因ともなる。さらに、樹脂の量が高いとテープの可撓性が低下し、それによって例えば光ファイバーケーブル製造において問題を引き起こす。低下した曲げ特性が例えばコネクタ位置決め時に問題を引き起こすことがあるからである。
従って、既知の方法によって得ることができない可撓性の連続テープの形の繊維が益々求められている。特許文献9および特許文献10においてマルチフィラメントヤーンのフィラメントを広げることによる改良への試みがなされた。すなわち、樹脂がフィラメントの間に浸み込みやすくなるように、エアーブローすることによってフィラメントを広げた。しかし、この特許文献は、テープでなく繊維強化プラスチックに関するものである。
同様に、特許文献11には、フィラメントを広げるためおよび熱可塑性樹脂による含浸のための方法が記載された。この場合にも、このプロセスはテープを作ることを意図せず、熱可塑性マトリックスを強化することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−130996号公報
【特許文献2】英国特許第1433128号明細書
【特許文献3】国際公開第03/091006号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4,626,306号明細書
【特許文献5】欧州特許第316922号明細書
【特許文献6】米国特許第3,873,389号明細書
【特許文献7】米国特許第5,503,928号明細書
【特許文献8】米国特許第6,270,851号明細書
【特許文献9】欧州特許第837162号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2006/0137156号
【特許文献11】欧州特許第569928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、樹脂マトリックスを強化することを目的とするのではなく、できるだけ少ないマトリックス材料を含む繊維材料から作られた可撓性の連続テープを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、アラミド、ガラス、芳香族ポリエステルおよび剛直棒状高分子から選ばれるマルチフィラメントヤーンから、テープの重量を基準として60〜98重量%の繊維を含む可撓性の繊維テープを作るための新規な方法によって達成された。この方法は、
a1)ヤーンのフィラメントを広げて2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を得るステップ、および
b1)広げたフィラメントを硬化性樹脂、または液体熱可塑性樹脂もしくはワックスで処理するステップ、あるいは、
a2)ヤーンを硬化性樹脂、または液体熱可塑性樹脂もしくはワックスで処理するステップ、および
b2)ヤーンのフィラメントを広げて2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を得るステップと、これらのステップに続く
c)樹脂を硬化または固化させることによってフィラメントを固定してテープを得るステップと
を含み、ステップa1〜b1、ステップa2〜b2のそれぞれとステップcとは一連の操作で実施される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
テープと特定されず、主として強化された樹脂材料である従来技術の材料と異なり、本製品は、樹脂が繊維の個々のフィラメントを固定することを目的としている繊維材料である。すなわち、繊維はマトリックスを強化せず、マトリックスは少量しか存在せず、最も好ましくは30重量%にさえ達せず、繊維はそれを主成分としてテープが作られている材料であり、少量の樹脂はフィラメントを固定するために用いられているにすぎない。
従って、フィラメントを含み、2〜2,000の断面アスペクト比(幅/高さ)を有する層で作られている可撓性の連続テープを提供することが本発明の別の目的である。それらのテープは、極めて強く、薄く、なおかつ可撓性のままにすることができる。通常、テープは、総数6〜4,000のフィラメントを含む。さらに、このようにして得られたテープは、未処理のヤーンと比較すると強靭性の低下をほとんどまたはまったく示さないことが見いだされた。
【0008】
本発明のテープは、硬化または固化した樹脂によって固定されたフィラメントを含み、テープの幅/高さ比は2〜2,000、好ましくは10〜1,000、最も好ましくは20〜500である。これらのテープは、整形外科用テープ、チューブ、ホースまたはパイプ強化用テープとして用いるため、帆を強化するため、および電線または光ファイバーケーブルに用いるためのテープなど、高い強靭性を必要とする用途において用いることができる。任意選択として、テープは、スプールに巻き付けることができる。
【0009】
本発明によれば、非常に小さなマイクロテープを作ることも可能である。これらのテープは、0.5mm未満の幅と2〜20の断面アスペクト比(幅/高さ)とを有する。これらのマイクロテープは、医療用途に用いられ得る。
断面アスペクト比(w/h)が20〜500である本発明のテープは、光ファイバーケーブルにおける利用に特に適している。光ファイバーケーブルにおける強化用材料として、優れた弾性率、強度および高い耐熱性を有する高性能繊維が現在用いられている。高性能繊維の高い強度と弾性率とは、ケーブルの中の光グラスファイバーが外力にさらされ、結果としてグラスファイバーが破断することを防ぐ。通常、光グラスファイバーはケーブルの中の薄い熱可塑性中空チューブの中に配置される(いわゆるセントラルチューブおよびルースチューブ構造)かまたは光ファイバーの上に熱可塑性層を押し出す(密着緩衝構造)。一般的に、特に密着緩衝構造の場合に内部ケーブルを強化用繊維によって完全に覆う。高性能繊維の別の重要な特性は、優れた耐熱性である。光ファイバーケーブルの製造時に、内部ケーブルの周りに熱可塑性ジャケットを押し出して劣化から保護する。ジャケットとチューブとの間に配置された高性能繊維は絶縁層を形成し、押し出し時の両方の部分の融着を防ぐ。融着の結果として光信号の伝送が乱され得る。融着は、密着緩衝ケーブルの場合にケーブルのコネクタ接続を不可能にもする。望ましくない場合に融着を防ぐために、ケーブル強度またはケーブル弾性率の観点から望まれるより多くの強化用材料がこのケーブルの中の絶縁体として用いられる。
【0010】
内部ケーブルを効率よく覆うのに十分に可撓性であり、著しく少量の強化用繊維を用いることを可能にするテープを製造することも本発明の目的である。さらに、本発明のテープを用いることによって、光ファイバーケーブルの直径および重量の減少が可能である。これは、既存のケーブル用導管中でより多くの光ファイバーケーブルを用いることができ、ワーキングステーションとユーザとの間でより多くの接続が可能であるという利点を有する。例えば、超吸収体を含有する油中水乳濁液でテープを処理することによって、本発明のテープの末端を超吸収材料とすることも可能である。同様に、必要な場合に他の機能を加えることができる。
ケーブルによっては、2本から12本の光ファイバーを重ね合わせ、含浸させてリボンを形成させる。本発明によるテープは、そのようなリボンと非常に簡便に組み合わせることができ、従ってそのようなケーブルの製造を単純化することができる。そのようなテープを利用すると、コネクタまたはスプライスボックスへの接続のための労働集約的なケーブル準備を単純化する可能性も得られる。
【0011】
フィラメントを広げる処理を受けた後の繊維をできるだけ早く固定してフィラメントのもつれおよびケバ立ちを防ぎ、必要な寸法特性(例えば幅および高さ)を維持することが重要である。この目的は、他の硬化性、液体熱可塑性樹脂または液体ワックスを用いることによって実現され、硬化または固化した後にフィラメントを恒久的に固定(不動化)する。従って、硬化または固化プロセスをできるだけ速やかに実施することが重要である。これは、プロセスを一連の操作で実行する、すなわち中間製品を中間で分離することなくすべてのプロセスステップを実施することによって達成される。従来技術の樹脂のほとんどは、そのような迅速固定法に適さない。硬化性樹脂は、迅速に硬化させ、それによってフィラメントを固定状態に閉じ込めるので特に好ましい。原理上、熱硬化と放射硬化(例えば紫外線硬化および電子ビーム硬化)との両方を用いることができる。好ましくは、熱硬化性樹脂(適当な例はとりわけエポキシ、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、ポリウレタンおよびフェノール樹脂を含む)では熱硬化を行うことができる。簡便な方法では、広げたフィラメントを、硬化性樹脂を含む浴、金型またはアプリケータを通して導き、次に加熱されたローラ、高温空気オーブン、ホットプレート、またはそれらの組み合わせに導き、そこで樹脂を迅速に硬化させ、それによってフィラメントを固定する。別の実施態様では、液体熱可塑性樹脂を用いるとき、広げたフィラメントを、浴、金型またはアプリケータを通して導き、次に冷却したローラに導いて樹脂の迅速な固化を実現する。必要なら、例えばプロセスステップb1)またはa2)を実施した後にヤーンを乾燥させてよい。
【0012】
さらに簡便には、広げたフィラメントに放射硬化性樹脂を塗布する。適当な放射硬化性樹脂は、例えば、アリル、ビニルまたは(メタ)アクリレート官能基を含む樹脂である。これらの樹脂で処理したフィラメントを直ちに照射区域、例えば紫外線ランプを有する区域または電子ビーム区域に導き、その条件下で樹脂を瞬間的に硬化させる。高速硬化によって高い加工速度が可能となり、高速加工速度が紫外線硬化を商業的に魅力的にする。例えば、一連の操作での塗布および紫外線硬化を、最大700m/分の高速紡糸ラインの中の後処理ステップと考えることができる。
別の簡便な方法においては、ヤーン束を液体熱可塑性樹脂またはワックスで処理する。液体熱可塑性樹脂またはワックスは、融点を超えるかまたは溶媒中の溶解または乳化によって液体となる熱可塑性樹脂またはワックスである。これらの材料は、温度を融点未満に下げることによって、または例えば蒸発によって溶媒を除去することによって固化する。適当な溶媒は、水、またはトルエン、イソヘキサデカン、エタノール、アセトン、エーテルおよび類似物などの普通の有機溶媒である。ヤーン束を熱可塑性樹脂またはワックスの低粘度水溶液または分散液で処理する方法がさらに簡便である。低粘度水分散液は、ヤーン束の中に迅速に入り込み、樹脂またはワックスをフィラメント上に塗り広げる。次に、例えば高温空気オーブンの中の無接触加熱によって水相を完全にまたは部分的に除去し、1つ以上のロッドを用いてヤーン束を広げる。ロッドの直後で、広げたヤーンをさらに加熱して水の残量を蒸発させ、および/または熱可塑性樹脂を例えば高温ゴデットなどの高温ローラ上で固定する。可撓性のテープを容易に巻くことができるように第2のゴデットを用いることができる。融解したワックスまたは熱可塑性樹脂の分散液を用いる場合には、ロッドによって広げるステップの後でヤーンを低温ローラの上に導いてテープの中のフィラメントを固定させるのが好ましい。1つ以上の広げるためのロッドを用いてテープの幅を設定することができる。高温ローラまたはゴデットの前のヤーンの張力がテープの最終的な幅に影響を及ぼすので、広げるためのロッドを用いないでヤーンの張力を制御することだけによってテープの幅を調整することが可能になる。
【0013】
可撓性のテープを得るには、できるだけ少量の樹脂を塗ることが重要である。テープは、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%(テープの重量を基準として)の繊維を含み、紫外線硬化性樹脂またはワックスを用いるときには、好ましくは少なくとも80重量%が繊維である。熱可塑性樹脂を用いるときにはさらに高い量の繊維が望ましく、好ましくは少なくとも90重量%の繊維を用いる。
本発明のテープの可撓性はテープの容易な曲げを可能にする。従って、本発明のテープは、曲げて円筒形の物体を得るのに適し、次にテープの縦の辺を接着剤で互いに接着させることができる。このようにして、本発明のテープからチューブを作ることができる。
接着剤として、普通の接着剤を塗布してもよいが、通常はフィラメントを固定するために用いたのと同じ樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂を用いるとき、この樹脂を接着剤として塗布する必要はない。通常、テープを曲げ、その両方の縦方向の辺を互いに合わせ、これらの辺を加熱し冷却し、それによって樹脂を液化させ固化させて縦方向の辺を互いに封じれば十分である。
本発明の方法は、どのような繊維にも適し、アラミド、ガラス、芳香族ポリエステルまたは剛直棒状高分子のヤーンのテープを作るために用いられる。好ましくは、本方法は、アラミドテープを作るために用いられる。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0014】
実施例1
以下の紫外線硬化性樹脂は、ラーン・アーゲー(Rahn AG)(スイス国)から入手し、以下の比(表1)すなわちGenomer(商標)4302(59重量%)、Miramer(商標)M3130(36重量%)およびGenocure(商標)LTM(5重量%)で混合した。Genomer 4302は>90重量%の脂肪族ポリエステルトリウレタントリアクリレートを含む紫外線硬化性アクリレート樹脂である。Miramer M3130はエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを含む3官能反応性アクリレートモノマーである。Genocure LTMは液体光開始剤ブレンドである。以下の実施例において、用いられる混合物を「紫外線硬化用アクリレート混合物」と呼ぶ。
【0015】
【表1】

【0016】
紫外線硬化用装置
40m/分の速度でのヤーンの硬化を促進するためにFusion UV F300ランプを設置し、使用した。Fusion UV F300ランプは1,800Wの全電力出力を有する高圧水銀電球(「H」バルブ)を備えていた。さらに、円形の照明を保証するためにFusion UV C6−1ワイヤ−ケーブル反射板を設置した。6mmの直径を有する5つの固定円形ロッドをRauschert社の2つのラパルRapal 100 3.94336調製スレッドガイド(アプリケータ)と組み合わせて用いてヤーンを広げた。RauschertのテークアップワインダーガイドのRapal 100 3,94013Rを用いてBarmagワインダーによって94mmチューブ上で巻き取りを行った。以下の実施例において、この装置を「紫外線硬化用装置」と呼ぶ。
それぞれ2つの異なるdtex値を有する2種類のTwaronヤーンを用いて6つの実験を行った(表2)。Twaron(登録商標)1000 1680f1000およびTwaron(登録商標)D2200 1610f1000(例えばオランダ国のテイジン・アラミド)をともに紫外硬化用装置において標準的な市販のボビンからほどき、10〜15重量%の紫外線硬化用アクリレート混合物を2回含浸させた。この結果、硬化および巻き取り後のテープ幅は約2mmとなり、大体6フィラメント層となった。
【0017】
Twaron(登録商標)1000 1680f1000およびTwaron(登録商標)D2200 1610f1000をともに紫外線硬化用装置において標準的な市販のボビンからほどき、15〜20重量%(ヤーン重量を基準として)の紫外線硬化用アクリレート混合物を2回含浸させた。この結果、硬化および巻き取り後のテープ幅は約4mmとなり、大体3フィラメント層となった。
Twaron(登録商標)1000 3360f2000およびTwaron(登録商標)D2200 3220f2000をともに紫外線硬化用装置において標準的な市販のボビンからほどき、10〜15重量%(ヤーン重量を基準として)の紫外線硬化用アクリレート混合物を2回含浸させた。この結果、硬化および巻き取り後のテープ幅は約4mmとなり、およそ6フィラメント層となった。
【0018】
【表2】

【0019】
実施例2a〜2c
TwaronD2200、1,610dtex/f1000のヤーンのパッケージに以下の処理を施した。アラミドヤーンのパッケージを回転させてほどきながらヤーンを液体アプリケータの上、2つの高温空気オーブン(それぞれ長さ3m)の中を順に通過させ、ヤーンを複数の広げるためのロッド上を通過させ、ヤーンをゴデットA、次にゴデットBの上を通過させ、最後に巻き取ってパッケージとした。液体アプリケータおよびチュービングポンプによってヤーンに種々の量の液体熱可塑性樹脂(表3参照)を含浸させた。オーブンの中で溶媒を部分的にまたは完全に蒸発させた。使用された広げるためのロッドは7mmの直径があった。ゴデットAの温度は調節することができ、ゴデットBの温度は室温(約20℃)と等しかった。表4にプロセス条件および製造されたテープの特性を記している。
【0020】
【表3】

【0021】
【表4】

【0022】
実施例2d〜2f
実施例2a〜2cと同じ手順に従った。ただし、基材ヤーンとしてTwaronD2200、3220dtex/f2000を用いた。表5にプロセス条件および製造されたテープの特性を示す。
【0023】
【表5】

【0024】
実施例3a〜3c
実施例2a〜2cと同じ手順に従った。ただし、ゴデットAの温度を室温(約20℃)に保ち、液体ワックス(表3参照)を用いた。表6にプロセス条件および製造されたテープの特性を示す。
【0025】
【表6】

【0026】
実施例2a〜2fおよび3a〜3cの製造されたテープは可撓性であり、各テープの個々のフィラメントは固定されていた。
【0027】
実施例4
Technora(登録商標)HMY T242(61dtex/f25)に以下の処理を施した。ヤーンを回転させてほどく。次に、ヤーンの巻き戻しによって生じる張力のゆらぎをなくす装置にヤーンを通らせる。続いて、ヤーンは、ヤーン張力モニタF1、加熱されていないゴデット1、ヤーン張力モニタF2、プレート、ヤーン張力モニタF3、加熱されていないゴデット2およびヤーン張力モニタF4を通過する。試験済みの水性仕上げ剤(表5参照)を張力メータ4の後、第1のチューブオーブンの入り口の前で塗布する。試験済みの水性仕上げ剤をガラスシリンジポンプによって給液されるセラミックアプリケータによって塗布する。加熱された第1のチューブオーブン(溶媒を蒸発させることを目的とする)の後に、加熱されていないゴデット2およびヤーン張力メータF5を通過する。次に、仕上がりヤーンは(加熱されていない)チューブオーブン2および加熱されていないゴデット3を通過する。加熱されていないゴデット4と加熱されているゴデット5との間で高いヤーン張力(張力モニタF6)をかけることによって、加熱されたゴデット5の上でヤーンをテープの形にする。加熱されてたゴデット5を通過した後、ヤーンを放冷して(張力(モニタF7)をかけて)から巻き取る。
表7および表8に、使用した仕上げ液およびプロセス条件/特性をそれぞれ記す。
【0028】
【表7】

【0029】
【表8】

【0030】
実施例5a〜5b
TwaronD2200、3,220dtex/f2000のヤーンのパッケージに以下の処理を施した。アラミドヤーンパッケージを表9に示したヤーン張力で回転させてほどきながら、ヤーンを液体アプリケータの上、2つの高温空気オーブン(それぞれ3mの長さ)の中を順次通過させ、ヤーンを高温ゴデットの上を通過させ、最後に巻き取ってパッケージとした。制御されたヤーンほどき速度によってヤーンをほどく張力を調節した。液体アプリケータおよびチュービングポンプを用いてヤーンに液体熱可塑性樹脂を含浸させた。オーブンの中で溶媒を部分的にまたは完全に蒸発させた。表9にプロセス条件および製造したテープの特性を記す。この実施例は、ヤーン張力によってテープの幅を調節することができ、1つ以上の広げるためのロッドを用いる必要がないことを例示している。
【0031】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラミド、ガラス、芳香族ポリエステルおよび剛直棒状高分子から選ばれるマルチフィラメントヤーンから、テープの重量を基準として60〜98重量%の繊維を含む可撓性の繊維連続テープを作る方法であって、
a1)ヤーンのフィラメントを広げて2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を得るステップ、および
b1)広げたフィラメントを硬化性樹脂、または液体熱可塑性樹脂もしくはワックスで処理するステップ、あるいは、
a2)ヤーンを硬化性樹脂、または液体熱可塑性樹脂もしくはワックスで処理するステップ、および
b2)ヤーンのフィラメントを広げて2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を得るステップと、これらのステップに続く
c)樹脂を硬化または固化させることによってフィラメントを固定してテープを得るステップと、
を含んでなり、ステップa1〜b1、ステップa2〜b2のそれぞれとステップcとは一連の操作で実施される前記方法。
【請求項2】
樹脂が硬化性樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
樹脂が紫外線硬化性樹脂である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
硬化または固化の後にテープは円筒形の物体を得るべく曲げられ、その後テープの縦方向の両辺を接着剤によって互いに接着させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
接着剤が請求項1に記載のステップb1またはb2において用いられる樹脂である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
テープがアラミドヤーンで作られる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
可撓性の連続テープであって、テープの重量を基準として60〜98重量%の繊維を含み、2〜2,000の断面アスペクト比(w/h)を有するフィラメント層を含み、前記フィラメントが硬化または固化した樹脂またはワックスによって固定されている前記テープ。
【請求項8】
断面アスペクト比(w/h)が20〜500である、請求項7に記載のテープ。
【請求項9】
テープの幅は0.5ミリメートル未満でありおよび断面アスペクト比(w/h)が2〜20である、請求項7に記載のテープ。
【請求項10】
請求項8に記載のテープを強化材として含む光ファイバーケーブル。


【公表番号】特表2011−508794(P2011−508794A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535361(P2010−535361)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066179
【国際公開番号】WO2009/068541
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(501469803)テイジン・アラミド・ビー.ブイ. (48)
【Fターム(参考)】