説明

ムラ検査装置、膜形成システムおよびムラ検査方法

【課題】膜厚ムラの欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行う。
【解決手段】ムラ検査装置の検査部200では、基板から得られる対象画像において筋ムラ、部分ムラおよび点ムラが検出され、評価点取得部211により求められた基板上の膜の膜厚ムラに係る評価点に基づいて、膜検査部213により膜の検査が行われる。続いて、平均評価点取得部214により当該基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点が求められ、工程検査部215により当該平均評価点に対する当該基板上の膜の評価点の割合を示す乖離度が求められる。そして、工程検査部215により、基板の評価点および乖離度に基づいて膜形成工程の検査が行われる。これにより、一の基板において膜厚ムラに係る欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置用のガラス基板や半導体基板等(以下、単に「基板」という。)の主面上に形成されたレジスト膜等の薄膜を検査する場合、光源からの光を薄膜に照射し、薄膜からの反射光や透過光における光干渉を利用して膜厚ムラの検出が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1では、カラーフィルタ用の基板上に形成された透明膜に単色光を照射し、反射光における光干渉を利用して透明膜の膜厚ムラを検出する技術が開示されている。特許文献2および特許文献3では、液晶表示装置用の基板表面を撮像した検査画像に対してフィルタ処理を行ってシミ欠陥や点状欠陥を強調することにより、シミ欠陥等の検出精度を向上する技術が開示されている。また、特許文献4では、筋状欠陥の検出精度を向上する技術が開示されている。
【0004】
特許文献5では、シャドウマスク等の透孔板における光透過率の筋ムラの良否を自動的に判定する技術が開示されている。特許文献6では、シャドウマスクにおける光透過率のムラや表示装置用基板の濃度ムラ等の光学的ムラの良否を自動的に判定する技術が開示されている。特許文献7では、複数枚の液晶表示装置用パネルが面付けされている大型基板において、各パネルに塗布されたレジストのムラ検査を行う際に、各パネルのエッジ近傍におけるムラ検出の精度を向上する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3631856号公報
【特許文献2】特開2005−140655号公報
【特許文献3】特開2005−249415号公報
【特許文献4】特開2005−345290号公報
【特許文献5】特開平9−68502号公報
【特許文献6】特開平10−197451号公報
【特許文献7】特開2006−105884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなムラ検査装置では、各基板の膜厚ムラ等の欠陥を検出することはできるが、当該欠陥が、検査対象とされた基板において突発的に生じたものであるのか、あるいは、膜形成用の製造ラインにおける装置異常等により複数枚の基板に対して連続的に生じているものであるのかを判断することができない。仮に、膜厚ムラの欠陥が膜形成工程における異常によるものであれば、欠陥が検出された基板を製造ラインから取り除いたとしても、当該基板の後に続く複数の基板において同様の欠陥が発生してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、膜厚ムラの欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査装置であって、主面上に光透過性の膜が形成されている基板を保持する保持部と、前記膜に向けて光を出射する光出射部と、前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の特定の波長帯の光を受光して前記主面からの前記特定の波長帯の光の強度分布を出力するセンサと、前記センサからの出力に基づいて検出した前記膜の膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類の少なくともいずれかに基づいて前記膜の評価点を求める評価点取得部と、前記評価点に基づいて前記膜の検査を行う膜検査部と、複数の基板上の膜に対して前記評価点取得部により順次求められた複数の評価点を順次記憶する評価点記憶部と、少なくとも前記膜検査部にて膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に、前記欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板上の膜の評価点の平均である平均評価点を求める平均評価点取得部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査装置であって、前記評価点取得部により求められた一の基板上の膜の評価点と前記平均評価点取得部により求められた前記一の基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点とに基づいて膜形成工程の異常を検出する工程検査部をさらに備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のムラ検査装置であって、前記工程検査部において、前記評価点の前記平均評価点に対する割合が求められ、前記評価点と前記割合とに基づいて前記膜形成工程の異常の検出が行われる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査装置であって、前記平均評価点取得部が、各基板の膜の評価点が求められる毎に前記各基板以前の所定数の基板上の膜の平均評価点を求め、前記評価点記憶部が、前記各基板の前記膜に関連づけて前記平均評価点も記憶する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のムラ検査装置であって、連続して検査された複数の基板のそれぞれの膜の評価点、および、前記複数の基板のそれぞれの膜に関連づけられた平均評価点または前記評価点の前記平均評価点に対する割合をグラフにて表示する表示部をさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のムラ検査装置であって、前記評価点取得部において、膜厚ムラの種類により異なる評価係数が設定されており、前記膜の前記評価点が、各膜厚ムラの部分評価点に評価係数を乗じたものの合計に基づいて求められる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のムラ検査装置であって、前記評価点取得部により、一の基板上の互いに離間した複数の領域に形成された複数の膜のそれぞれに対して評価点が求められ、前記平均評価点取得部により、複数の基板上の互いに対応する領域に形成された複数の膜の評価点から前記複数の領域のそれぞれの平均評価点が求められる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のムラ検査装置であって、前記評価点取得部により一の基板に対して求められた複数の評価点を合計することにより前記一の基板の基板評価点を求める基板評価点取得部と、前記基板評価点に基づいて前記一の基板の検査を行う基板検査部と、少なくとも前記基板検査部にて膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に、前記欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板の基板評価点の平均である平均基板評価点を求める平均基板評価点取得部とをさらに備える。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のムラ検査装置であって、前記基板評価点取得部により求められた一の基板の基板評価点と前記平均基板評価点取得部により求められた前記一の基板以前の所定数の基板に係る平均基板評価点とに基づいて膜形成工程の異常を検出するもう1つの工程検査部をさらに備える。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のムラ検査装置であって、前記平均基板評価点取得部が、各基板の基板評価点が求められる毎に前記各基板以前の所定数の基板に係る平均基板評価点を求め、前記ムラ検査装置が、前記各基板に関連づけて前記平均基板評価点を記憶する基板評価点記憶部をさらに備える。
【0017】
請求項11に記載の発明は、基板上に膜を形成する膜形成システムであって、基板の主面上に光透過性の膜を形成する膜形成装置と、請求項1ないし10のいずれかに記載のムラ検査装置とを備える。
【0018】
請求項12に記載の発明は、基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査方法であって、a)基板の主面上に形成されている光透過性の膜に向けて光を出射する工程と、b)前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の特定の波長帯の光を受光して前記主面からの前記特定の波長帯の光の強度分布をセンサから出力する工程と、c)前記センサからの出力に基づいて検出した前記膜の膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類の少なくともいずれかに基づいて前記膜の評価点を求める工程と、d)前記評価点に基づいて前記膜の検査を行う工程と、e)少なくとも前記d)工程において膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に、前記欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板上の膜の評価点の平均である平均評価点を求める工程とを備える。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のムラ検査方法であって、前記c)工程にて求められた一の基板上の膜の評価点と前記e)工程にて求められた前記一の基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点とに基づいて膜形成工程の異常を検出する工程をさらに備える。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載のムラ検査方法であって、前記c)工程において各基板の膜の評価点が求められる毎に、前記e)工程において前記各基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点が求められ、前記各基板の前記膜に関連づけて前記平均評価点が記憶される。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、膜厚ムラに係る欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができる。請求項2、9および13の発明では、膜形成工程の異常を自動的に検出することができる。請求項3の発明では、膜形成工程の異常を容易に検出することができる。請求項4、5、10および14の発明では、膜形成工程の状態を容易に把握することができる。請求項7および8の発明では、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を領域毎に容易かつ適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ検査装置を備える膜形成システムの構成を示す図である。図1に示す膜形成システム100は、液晶表示装置等の表示装置に用いられるガラス基板(以下、単に「基板」という。)上に、パターン形成用のレジスト膜(以下、単に「膜」という。)を形成するシステムである。
【0023】
膜形成システム100は、基板を洗浄する洗浄装置41、基板の一方の主面上にレジスト液を塗布することにより光透過性の膜を形成する塗布装置である膜形成装置3、基板上の膜を露光する露光装置42、および、露光後の基板の現像を行う現像装置43を備える。膜形成システム100は、また、基板上に形成された膜の画像を取得し、当該画像に基づいて基板上の膜の膜厚ムラを検査するムラ検査装置1を備える。膜形成システム100では、膜形成装置3により膜が形成された基板がムラ検査装置1に搬入され、ムラ検査装置1にて基板上の膜に対する膜厚ムラの検査が行われる。
【0024】
ここで、基板上の膜厚ムラとは、ムラ検査装置1にて取得された膜の画像において、局所的な明暗変動により特定される領域(ただし、通常、領域の境界は不明瞭である。)を意味する。以下、膜厚ムラのうち、面積が所定の範囲内であるもの(例えば、円形の領域である場合、基板上における直径が1mm以下であり、ノイズに起因して発生する画像中の異常な領域よりも大きいもの)を点ムラ(点欠陥)と呼ぶ。点ムラは、通常、基板上における微小な不要物の存在や、レジスト液の塗布の際における液滴の意図しない滴下等に起因して発生し、後述する筋ムラや部分ムラよりも明暗変動が急激かつ程度が大きい(すなわち、コントラストが大きく、領域の境界が比較的明瞭である。)。
【0025】
また、面積が所定の大きさ以上である膜厚ムラのうち、その領域の長手方向における長さαと長手方向に垂直な方向における幅βとの比(α/β)が所定値以上となるものを筋ムラと呼び、残りのものを部分ムラと呼ぶ。部分ムラは、通常、基板に対する処理の不均一性に起因して発生する。もちろん、実質的にこの条件が満たされるのであれば、各種ムラの定義は適宜変更されてよく、さらに、他の条件が追加されてもよい。
【0026】
図2は、ムラ検査装置1を示す正面図である。図2に示すように、ムラ検査装置1は、主面91(以下、「上面91」という。)上に光透過性の膜92が形成された基板9を保持する保持部であるステージ12、ステージ12に保持された基板9の上面91上の膜92に向けて光を出射する光出射部13、光出射部13から出射されて基板9の上面91上の膜92にて反射された光を受光する受光部14、基板9と受光部14との間に配置されて受光部14が受光する光の波長帯を切り替える波長帯切替機構15、ステージ12を光出射部13、受光部14および波長帯切替機構15に対して相対的に移動する移動機構121、並びに、ムラ検査装置1の制御部としての役割を果たすコンピュータ2を備える。
【0027】
ステージ12の上側(すなわち、図2中の(+Z)側)の表面は、好ましくは黒色艶消しとされる。移動機構121は、モータ1211にボールねじ(図示省略)が接続された構成とされ、モータ1211が回転することにより、ステージ12がガイド1212に沿って基板9の上面91に沿う図2中の左右方向(X方向)に移動する。
【0028】
光出射部13は、白色光(すなわち、可視領域の全ての波長帯の光を含む光)を出射する光源であるハロゲンランプ131、ステージ12の移動方向に垂直な方向(すなわち、図2中のY方向)に伸びる円柱状の石英ロッド132、および、石英ロッド132に平行な方向(Y方向)に伸びるシリンドリカルレンズ133を備える。
【0029】
光出射部13では、ハロゲンランプ131が石英ロッド132の(+Y)側の端部に取り付けられており、ハロゲンランプ131から石英ロッド132に入射した光は、Y方向に伸びる線状光(すなわち、光束断面がY方向に長い線状となる光)に変換されて石英ロッド132の側面から出射され、シリンドリカルレンズ133を介して基板9の上面91へと導かれる。換言すれば、石英ロッド132およびシリンドリカルレンズ133は、ハロゲンランプ131からの光をステージ12の移動方向に垂直な線状光に変換して基板9の上面91へと導く光学系となっている。
【0030】
図2では、光出射部13から基板9に至る光路を一点鎖線にて示している(基板9から受光部14に至る光路についても同様)。光出射部13から出射された光の一部は、基板9の上面91上の膜92の(+Z)側の上面にて反射される。膜92は光出射部13からの光に対して光透過性を有しており、光出射部13からの光のうち膜92の上面にて反射しなかった光は、膜92を透過して基板9の上面91(すなわち、膜92の下面)にて反射される。ムラ検査装置1では、基板9における膜92の上面にて反射された光と基板9の上面91にて反射された光との干渉光(以下、単に「反射光」という。)が、波長帯切替機構15を経由して受光部14に入射する。
【0031】
波長帯切替機構15は、互いに異なる複数の狭い波長帯の光を選択的にそれぞれ透過する複数の光学フィルタ(例えば、半値幅10nmの干渉フィルター)151、複数の光学フィルタ151を保持する円板状のフィルタホイール152、および、フィルタホイール152の中心に取り付けられてフィルタホイール152を回転するフィルタ回転モータ153を備える。フィルタホイール152は、その法線方向が基板9から受光部14に至る光路に平行になるように配置される。
【0032】
図3は、波長帯切替機構15を基板9側からフィルタホイール152に垂直な方向に沿って見た図である。図3に示すように、フィルタホイール152には、6つの円形の開口1521が周方向に等間隔に形成されており、そのうちの5つの開口1521には互いに透過波長帯が異なる5種類の光学フィルタ151が取り付けられている。
【0033】
図2に示す波長帯切替機構15では、コンピュータ2に制御されるフィルタ回転モータ153によりフィルタホイール152が回転し、5つの光学フィルタ151(図3参照)のうち、検査対象となる膜92の膜厚や屈折率等に応じていずれか1つの適切な光学フィルタ151が選択され、基板9から受光部14に至る光路上に配置される。これにより、基板9からの反射光のうち、光路上に配置された光学フィルタ151に対応する特定の波長帯(以下、「選択波長帯」という。)の光のみが、光学フィルタ151を透過して受光部14へと導かれる。
【0034】
受光部14は、複数の受光素子であるCCD(Charge Coupled Device)がY方向に直線状に配列されたラインセンサ141、および、ラインセンサ141と波長帯切替機構15の光学フィルタ151との間に設けられて基板9の上面91からの反射光をラインセンサ141へと導くレンズ142を備える。ラインセンサ141は、光出射部13から出射されて基板9上における照射領域の膜92にて反射された線状光のうち、光学フィルタ151を透過した選択波長帯の光を受光し、受光した光の強度分布(すなわち、各CCDからの出力値のY方向における分布)を取得する。ムラ検査装置1では、移動機構121による基板9のX方向への移動に伴ってラインセンサ141により反射光の強度分布が繰り返し取得されることにより、基板9の上面91上の膜92の2次元画像が取得される。
【0035】
コンピュータ2は、図4に示すように、各種演算処理を行うCPU21、基本プログラムを記憶するROM22および各種情報を記憶するRAM23をバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。バスラインにはさらに、情報記憶を行う固定ディスク24、各種情報の表示を行う表示部であるディスプレイ25、操作者からの入力を受け付けるキーボード26aおよびマウス26b(以下、「入力部26」と総称する。)、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体20から情報の読み取りを行う読取装置27、並びに、ムラ検査装置1の他の構成要素に接続される通信部28が、適宜、インターフェイス(I/F)を介する等して接続される。
【0036】
コンピュータ2には、事前に読取装置27を介して記録媒体20からプログラム241が読み出され、固定ディスク24に記憶される。そして、プログラム241がRAM23にコピーされるとともにCPU21がRAM23内のプログラムに従って演算処理を実行することにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、コンピュータ2が基板9上の膜92を検査する検査部としての動作を行う。
【0037】
図5は、CPU21がプログラム241に従って動作することにより、CPU21、ROM22、RAM23、固定ディスク24等が実現する機能構成を示すブロック図である。図5における検査部200の出力受付部201、対象画像生成部202、ムラ検出部203、データ出力部204、評価点取得部211、評価点記憶部212、膜検査部213、平均評価点取得部214および工程検査部215は、CPU21等により実現される機能を示す。なお、これらの機能は専用の電気的回路により実現されてもよく、部分的に専用の電気的回路が用いられてもよい。
【0038】
次に、ムラ検査装置1による基板9上の膜92の検査の流れについて説明する。図1に示す膜形成システム100では、複数枚の基板9(例えば、これらの基板は、1つのカセットに収容された状態で膜形成システム100に供給される。)が、洗浄装置41を経て膜形成装置3に供給され、膜形成装置3により、各基板9の上面91上に連続的に膜92が形成される。そして、これら複数枚の基板9が、連続的にムラ検査装置1に搬入されて膜92の検査が行われる。以下では、既に複数枚の基板9の検査が行われ、検査結果が蓄積されているムラ検査装置1に、次の基板9が供給されたものとして説明を行う。
【0039】
図6.Aないし図6.Cは、ムラ検査装置1による一の基板9に対する検査の流れを示す図である。図6.Aないし図6.Cに示すように、ムラ検査装置1により基板9上の膜92が検査される際には、まず、図2中に実線にて示す検査開始位置に位置するステージ12上に基板9が保持された後、基板9およびステージ12の(+X)方向への移動が開始される(ステップS11)。続いて、光出射部13から出射されて基板9の上面91に対して所定の入射角にて入射する線状光が、上面91上の直線状の照射領域(以下、「線状照射領域」という。)に照射され(ステップS12)、線状照射領域が基板9に対して相対的に移動する。
【0040】
光出射部13からの光は基板9の上面91にて反射し、波長帯切替機構15の光学フィルタ151を透過することにより選択波長帯の光のみが取り出された後、受光部14へと導かれる。受光部14では、基板9の上面91における反射後の光がラインセンサ141により受光され(ステップS13)、基板9上の線状照射領域からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される(ステップS14)。ラインセンサ141の各CCDからの出力は、所定の変換式に基づいて例えば8bit(もちろん、8bit以外であってもよい。)の値(画素値)に変換されつつコンピュータ2へと送られ、図5に示す検査部200の出力受付部201にて受け付けられる(ステップS15)。
【0041】
ムラ検査装置1では、コンピュータ2により、基板9およびステージ12が図2中に二点鎖線にて示す検査終了位置まで移動したか否かが基板9の移動中に繰り返し確認されており(ステップS16)、検査終了位置まで移動していない場合には、ステップS13に戻って反射光のうちの選択波長帯の光の受光、線状照射領域における選択波長帯の光の強度分布の取得および出力受付部201による入力画素値の受け付け(ステップS13〜S15)が繰り返される。ムラ検査装置1では、ステージ12が(+X)方向に移動している間、ステップS13〜S16の動作が繰り返されて基板9上の線状照射領域からの反射光の強度分布がステージ12の移動に同期して繰り返し取得されることにより、基板9の全体について上面91からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される。
【0042】
そして、基板9およびステージ12が検査終了位置まで移動すると(ステップS16)、移動機構121による基板9およびステージ12の移動が停止される(ステップS17)。コンピュータ2の出力受付部201では、出力受付部201に蓄積されたラインセンサ141からの出力が時系列順に配列されて基板9の上面91全体の2次元画像(ラインセンサ141により取得された補正前の画像であり、以下、「元画像」という。)が生成される(ステップS21)。
【0043】
元画像が生成されると、対象画像生成部202において、元画像が圧縮されてS/N比が向上された第1画像が生成される。そして、第1画像に対するローパスフィルタ処理が行われ、第1画像から高周波ノイズの影響が抑制されて平滑化された第2画像が生成される。さらに、第2画像に対してハイパスフィルタ処理が行われ、第2画像から後述のコントラスト強調処理の妨げとなる低周波の濃度変動が除去された第3画像が生成される。すなわち、第3画像は、第1画像に対して所定の空間周波数帯域のバンドパスフィルタ処理が行われた画像である。その後、対象画像生成部202では、第3画像に対してコントラスト強調処理が行われ、検査部200における以下の処理の対象とされる画像(以下、「対象画像」という。)が生成される(ステップS22)。
【0044】
対象画像が生成されると、ムラ検出部203により、基板9上の膜92の筋ムラ、部分ムラおよび点ムラの各種膜厚ムラがそれぞれ検出される(ステップS23)。ムラ検出部203による膜厚ムラの検出では、まず、対象画像の平均濃度(すなわち、画素値の平均値)に近い所定の閾値にて対象画像を2値化した2値画像が生成される。そして、互いに連続する値が1(または、0)の画素の集合(以下、「閉領域」という。)が特定され、各閉領域の長手方向の長さと長手方向に垂直な方向の幅との比が所定値よりも大きいものが筋ムラとして検出される。筋ムラの検出では、所定の面積(すなわち、画素数)以下の閉領域は検出対象から除外される。
【0045】
続いて、筋ムラ検出時の閾値よりも対象画像の平均濃度から離れた閾値にて対象画像が2値化され、面積が所定範囲内となる閉領域が検出される。そして、検出された閉領域のうち、既に筋ムラとして検出された閉領域に含まれるものを除く閉領域が点ムラとして検出される。次に、筋ムラ検出時の閾値と同等の閾値にて対象画像が再び2値化され、所定の面積以上の閉領域のうち、筋ムラまたは点ムラとして検出されなかった領域が部分ムラとして検出される。
【0046】
ラインセンサ141からの出力に基づいて基板9上の膜厚ムラが検出されると、検査部200の評価点取得部211により、各膜厚ムラの評価点である部分評価点が、各膜厚ムラの大きさおよび濃度範囲に基づいて求められる。具体的には、各膜厚ムラに含まれる複数の画素の値の範囲が濃度範囲として求められ、各画素の値と対象画像の平均濃度との差の絶対値の平均と、当該膜厚ムラの画素数との積が、各膜厚ムラの部分評価点として求められる(ステップS24)。
【0047】
評価点取得部211では、膜厚ムラの種類(すなわち、筋ムラ、点ムラおよび部分ムラ)により異なる評価係数が設定されており、各膜厚ムラの部分評価点に膜厚ムラの種類に対応する評価係数を乗じたものの合計が膜92の膜厚ムラに係る評価点として求められる(ステップS25)。このように検査部200では、膜92の評価点は、膜92の膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類に基づいて求められる。なお、膜92の評価点は、必ずしも部分評価点と評価係数との積の合計として求められる必要はなく、膜厚ムラの部分評価点に膜厚ムラの種類による評価係数を乗じたものの合計に基づいて求められていればよい。
【0048】
基板9上の膜92の評価点が求められると、当該評価点が検査部200の評価点記憶部212に記憶されるとともに(ステップS26)、膜検査部213により、評価点に基づいて基板9上の膜92の検査が行われる(ステップS27)。具体的には、膜92の評価点が、膜検査部213において予め設定されている評価点閾値と比較され、評価点が評価点閾値よりも大きい場合に、膜92に膜厚ムラに係る欠陥が存在する(すなわち、膜92が不良である)と判定される。また、膜92の評価点が評価点閾値以下である場合には、膜92の膜厚ムラの程度が許容範囲内であると判定される。
【0049】
続いて、平均評価点取得部214により、評価点記憶部212に蓄積されている当該基板9以前の所定数の基板(すなわち、評価点取得部211により当該基板9以前に連続して評価点が求められた所定数の基板であり、本実施の形態では、当該基板9を含めて連続的に検査された10枚の基板である。)上の膜92の評価点の平均値(以下、「平均評価点」という。)が求められる(ステップS28)。求められた平均評価点は、当該基板9の膜92に関連づけて評価点記憶部212に記憶される(ステップS29)。
【0050】
次に、工程検査部215により、基板9上の膜92に関連づけられた平均評価点に対する当該基板9上の膜92の評価点の割合(すなわち、基板9以前に連続して検査された複数枚の基板に係る評価点に対する当該基板9の評価点の乖離の程度を示す値であり、以下、「乖離度」という。)が求められる(ステップS31)。
【0051】
ムラ検査装置1では、評価点取得部211により求められた基板9上の膜92の評価点、平均評価点取得部214により求められた基板9上の膜92に関連づけられた平均評価点、および、工程検査部215により求められた基板9上の膜92の評価点の乖離度がデータ出力部204に送られ、データ出力部204によりディスプレイ25にグラフにて表示される(ステップS32)。
【0052】
図7は、基板上の膜の評価点、平均評価点および乖離度を示すグラフであり、横軸は、連続して検査された複数の基板9をそれぞれ識別するための識別番号である。図7に示すように、ディスプレイ25では、基板9よりも前に連続して検査された複数の基板のそれぞれの膜の評価点、当該複数の基板のそれぞれに関連づけられた平均評価点および乖離度が、棒グラフ、破線にて示される折れ線グラフ、および、実線にて示される折れ線グラフとしてそれぞれ表示されている。
【0053】
図7に示すように、基板9上の膜92の評価点の乖離度は、膜92の評価点が、それ以前の複数の基板の膜の評価点にほぼ等しい場合、換言すれば、連続して取得される評価点の変動がほとんど無く安定している場合、「1」に近づき、逆に、それ以前の複数の基板の膜の評価点から離れた値となっている場合、「1」から離れる。以下の説明では、膜92の評価点の乖離度が「1−m」以上「1+n」以下である場合に、評価点が安定域にあるものとする。ここで、「m」および「n」は、連続して取得される複数の基板における評価点の安定性の範囲を示す閾値であり、本実施の形態では、双方共に「0.5」とされる。すなわち、本実施の形態では、乖離度が0.5以上1.5以下である場合、評価点が安定域にあるとみなされる。
【0054】
図7に示すグラフが表示されると、工程検査部215により、基板9の評価点および乖離度に基づいて膜形成装置3等による膜形成工程の検査が行われ、膜形成工程に異常が発生している場合には、当該工程異常が検出される(ステップS33)。具体的には、基板9上の膜92の評価点が上述の評価点閾値よりも大きく(すなわち、ステップS27における膜検査部213による検査により、基板9上の膜92に膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定されており)、かつ、膜92の評価点の乖離度が安定域にある場合に、工程検査部215により、膜形成工程に(継続的な)異常が発生している(すなわち、工程不良が発生している)と判定される。
【0055】
本実施の形態では、図7に示すように、識別番号「21」の基板において、評価点が約90となっており、予め設定されている評価点閾値(本実施の形態では、30)よりも大きいため、膜検査部213により基板上の膜に膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定される。このとき、乖離度は約4であり、安定域(0.5以上1.5以下)には存在しないため、工程検査部215により膜形成工程に異常が発生しているとは判定されない。また、図7に示す識別番号「22」〜「25」の基板においても同様に、膜厚ムラに係る欠陥は存在すると判定されるが、膜形成工程に異常が発生しているとは判定されない。
【0056】
本実施の形態では、図7に示す識別番号「26」の基板において、膜の評価点が評価点閾値よりも大きく、かつ、評価点の乖離度が安定域に存在するため、工程検査部215により膜形成工程に異常が発生していると判定される。そして、工程検査部215により、膜形成工程において異常が検出された旨の警報が膜形成システム100の操作者等に連絡され、膜形成システム100の膜形成装置3等の調整やメンテナンスが行われる。
【0057】
膜形成システム100の調整等は、膜形成工程の異常検出の直後に膜形成システム100が停止されて行われてもよく、所定枚数の基板(例えば、1つのカセットに収容された複数の基板)に対する膜形成の終了後に行われてもよい。本実施の形態では、図7に示す識別番号「40」の基板に対する膜形成の終了後、膜形成システム100の調整等が行われ、識別番号「41」以降の基板上に形成された膜の評価点が評価点閾値以下の正常範囲となる。このとき、評価点の乖離度は、識別番号「41」〜「48」の基板において安定域の下限よりも小さくなり、識別番号「49」の基板において安定域に戻る。ムラ検査装置1では、評価点が評価点閾値以下となり、かつ、評価点の乖離度が安定域に戻ったことにより、膜形成システム100における膜形成工程が、正常範囲において安定して行われていることが確認される。
【0058】
以上に説明したように、ムラ検査装置1では、複数の基板上の膜の評価点が検査部200の評価点取得部211により順次求められるとともに、これら複数の評価点が評価点記憶部212に順次記憶される。また、各基板の膜の評価点が求められる毎に、平均評価点取得部214により各基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点が求められ、当該平均評価点が当該各基板の膜に関連づけられて評価点記憶部212に記憶されるとともに、評価点と平均評価点とに基づいて評価点の乖離度が求められる。ムラ検査装置1の膜検査部213では、基板の膜の評価点に基づいて膜の検査が行われ、膜厚ムラに係る欠陥が検出される。また、工程検査部215では、当該評価点と評価点の乖離度に基づいて膜形成工程の検査が行われ、膜形成工程の異常が検出される。
【0059】
仮に、膜の評価点の乖離度を利用せずに膜の評価点のみから膜形成工程の検査を行うものとすると、図8に示すグラフがディスプレイに表示された場合、膜の評価点が評価点閾値よりも大きくなった基板(すなわち、識別番号「104」「111」「121」「122」等の基板)が出現する毎に、膜形成工程に異常が発生していると判定されてしまう。しかしながら、図8に示すように、上記基板における評価点の増大は、その基板以降の基板において連続して現れてはいないため、実際には、評価点の増大は、基板に対する異物の付着等の突発的な異常によるものであり、膜形成工程の調整やメンテナンスを要するものではない可能性が高い。したがって、仮に膜の評価点のみから膜形成工程の検査を行うとすると、不必要な膜形成工程の調整等が行われることとなり、膜形成システムの生産性が低下してしまう。
【0060】
これに対し、ムラ検査装置1では、基板上の膜の評価点に基づいて当該膜の検査が行われ、さらに、膜の評価点および乖離度に基づいて膜形成工程の検査が行われることにより、一の基板において膜厚ムラに係る欠陥が検出された場合であっても、当該欠陥が、連続する基板上の膜において継続的に検出されない場合(図8参照)には、実際には発生していない膜形成工程の異常が誤って検出されることはない。すなわち、ムラ検査装置1では、一の基板において膜厚ムラに係る欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができる。このように、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができるムラ検査装置1は、複数の基板上に連続的に膜を形成する膜形成システム100に特に適しており、ムラ検査装置1が膜形成システム100に設けられることにより、膜形成工程において異常が発生した場合、当該異常に迅速に対応することができる。
【0061】
また、ムラ検査装置1では、工程検査部215により膜形成工程の検査を行うことにより、膜形成工程の異常を自動的に検出することができる。さらに、膜の評価点と評価点の乖離度に基づいて膜形成工程の検査を行うことにより、膜形成工程の異常を容易に検出することができる。
【0062】
ムラ検査装置1では、各基板の膜の評価点が求められる毎に、各基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点、および、当該平均評価点に対する各基板上の膜の評価点の割合である乖離度が求められ、各基板上の膜に関連づけられて記憶される。その結果、操作者等が、評価点、平均評価点および乖離度の変動に係る情報を容易に取得することができ、膜形成工程の状態を容易に把握することができる。また、連続して検査された複数の基板上のそれぞれの膜の評価点、平均評価点および乖離度が、ディスプレイ25にグラフにて表示されることにより、膜形成工程の状態をより容易に把握することができる。
【0063】
ムラ検査装置1の評価点取得部211では、各膜厚ムラの部分評価点に膜厚ムラの種類により異なる評価係数を乗じたものの合計が、基板上の膜の評価点として求められる。評価点取得部211では、評価係数を適切に設定することにより、膜の良否判定における膜厚ムラの種類による影響を、評価点に適切に反映させることができる。
【0064】
ムラ検査装置1の検査部200では、基板上の膜の評価点の乖離度は必ずしも求められる必要はなく、評価点取得部211により求められた一の基板上の膜の評価点と、平均評価点取得部214により求められた当該一の基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点とに基づいて、工程検査部215により膜形成工程の異常が検出されてもよい。この場合、工程検査部215では、膜の評価点が評価点閾値よりも大きく、かつ、平均評価点が平均評価点閾値(例えば、「50」)よりも大きい場合に、複数の基板上の膜において膜厚ムラに係る欠陥が連続して発生していると判定される。このように、工程検査部215では、膜の評価点および平均評価点に基づいても、膜形成工程の異常を自動的に検出することができる。なお、基板上の膜の評価点と評価点の乖離度とに基づく膜形成工程の異常検出は、膜の評価点と平均評価点とに基づく膜形成工程の異常検出の一種と捉えることができる。
【0065】
検査部200では、また、必ずしも連続して検査される複数の基板上のそれぞれの膜に対して平均評価点が求められる必要はなく、少なくとも、一の基板について膜検査部213にて膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に(すなわち、当該一の基板の膜の評価点が評価点閾値よりも大きいという膜形成工程における異常検出の条件の1つが満足された場合に)、当該欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板上の膜に係る平均評価点が求められてもよい。この場合であっても、膜厚ムラの欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができ、膜形成工程の異常に迅速に対応することができる。
【0066】
ムラ検査装置1では、膜形成システム100の操作者等により膜形成工程の状態の時系列的な変化が把握される必要がない場合には、各基板上の膜の評価点、並びに、当該膜に関連づけられた平均評価点および乖離度は、必ずしもディスプレイ25に表示される必要はない。この場合、検査部200からデータ出力部204が省略される。
【0067】
逆に、ムラ検査装置1では、検査部200から工程検査部215が省略されてもよく、ディスプレイ25に表示された基板上の膜の評価点、平均評価点および乖離度のグラフに基づいて(あるいは、評価点記憶部212に記憶された評価点および平均評価点の出力に基づいて)、操作者等により膜形成工程の検査が行われ、膜形成工程の異常が検出される。なお、この場合、上記乖離度は、検査部200に工程検査部215に代えて設けられた乖離度演算部により求められる。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るムラ検査装置について説明する。第2の実施の形態に係るムラ検査装置の構成は、図2に示すムラ検査装置1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。図9は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置のコンピュータ2(図2参照)により実現される検査部200aの機能構成を示すブロック図である。図9に示すように、検査部200aは、図5に示す検査部200と同様の構成に加え、基板評価点取得部221、基板評価点記憶部222、基板検査部223、平均基板評価点取得部224、および、もう1つの工程検査部225(以下、工程検査部215と区別するために、工程検査部215を「第1工程検査部215」と呼び、工程検査部225を「第2工程検査部225」と呼ぶ。)をさらに備える。
【0069】
図10は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置により検査される基板9aの平面図である。図10に示すように、基板9aの上面91には、それぞれが表示装置のパネル上の表示領域に対応する複数(本実施の形態では、16個)の矩形状の膜92aが、互いに離間して縦横に配列された複数の領域に形成されている。基板9aは複数の膜92aの間隙において切断されて複数のパネルとされる(すなわち、多面取りされる)予定のものである。
【0070】
図11は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置による基板9aに対する検査の流れの一部を示す図である。図11に示すステップS41よりも前の検査の流れは、図6.Aないし図6.Cに示すS11〜S33とほぼ同様であるため、図6.Aないし図6.Cを参照して説明する。
【0071】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置により基板9aが検査される際には、まず、基板9aが検査開始位置から検査終了位置まで移動する間、基板9aの上面91に線状光が照射され、上面91における反射後の光がラインセンサ141(図2参照)により受光されて反射光の強度分布が取得された後、ラインセンサ141からの出力がコンピュータ2(図2参照)へと送られて図9に示す検査部200aの出力受付部201にて受け付けられる(ステップS11〜S17)。
【0072】
検査部200aでは、出力受付部201において基板9aの上面91全体の元画像が生成され、対象画像生成部202において元画像に対する上述の所定の処理が行われて対象画像が生成される(ステップS21,S22)。続いて、ムラ検出部203により、基板9a上の複数の膜92aの筋ムラ、部分ムラおよび点ムラがそれぞれ検出され、評価点取得部211により、複数の膜92aのそれぞれに対して評価点が求められて評価点記憶部212に記憶される(ステップS23〜S26)。膜検査部213では、各膜92aの評価点に基づいて基板9a上の各膜92aの検査が行われる(ステップS27)。
【0073】
次に、平均評価点取得部214により、基板9a上の複数の膜92a(が形成された複数の領域)のそれぞれに対して、当該基板9a以前に検査された複数の基板(本実施の形態では、当該基板9aを含めて連続的に検査された10枚の基板)上の互いに対応する領域に形成された複数の膜92aの評価点から平均評価点が求められる(ステップS28)。平均評価点は、当該基板9a上の各膜92aに関連づけて評価点記憶部212に記憶される(ステップS29)。
【0074】
検査部200aでは、第1工程検査部215により、基板9a上の各膜92aに関連づけられた平均評価点に対する各膜92aの評価点の割合である乖離度が求められる(ステップS31)。そして、各膜92aの評価点、並びに、各膜92aに関連づけられた平均評価点および乖離度が、データ出力部204によりディスプレイ25(図4参照)にグラフにて表示される(ステップS32)。ディスプレイ25では、各膜92aに係る図7と同形式のグラフが、一の基板9a上の膜92aの個数(本実施の形態では16個)に等しい個数だけ表示されることとなる。なお、16個のグラフは、画面の切替により、1個だけ、または、複数同時にディスプレイ25に表示されてよい。
【0075】
基板9a上の各膜92aに係るグラフが表示されると、第1工程検査部215により、基板9a上の各膜92aの評価点および乖離度に基づいて膜形成装置3等(図1参照)による膜形成工程の検査が行われ、膜形成工程に異常が発生している場合には、当該工程異常が検出される(ステップS33)。
【0076】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、一の基板9a上の複数の膜92aに対して評価点取得部211により求められた複数の評価点が、検査部200aの基板評価点取得部221により合計されることにより、当該一の基板9aの評価点である基板評価点が求められる(ステップS41)。
【0077】
基板9aの基板評価点が求められると、当該基板評価点が検査部200aの基板評価点記憶部222に記憶されるとともに(ステップS42)、基板検査部223により、基板評価点に基づいて基板9aの検査が行われる(ステップS43)。具体的には、膜検査部213による膜92aの検査と同様に、基板9aの基板評価点が、基板検査部223において予め設定されている基板評価点閾値と比較され、基板評価点が基板評価点閾値よりも大きい場合に、基板9aに膜厚ムラに係る欠陥が存在する(すなわち、基板9a上の複数の膜92aが全体として不良である)と判定される。また、基板9aの基板評価点が基板評価点閾値以下である場合には、基板9a上の複数の膜92aの膜厚ムラの程度が全体として許容範囲内であると判定される。
【0078】
続いて、平均基板評価点取得部224により、基板評価点記憶部222に蓄積されている当該基板9a以前の所定数の基板(本実施の形態では、当該基板9aを含めて連続的に検査された10枚の基板)の基板評価点の平均値(以下、「平均基板評価点」という。)が求められる(ステップS44)。求められた平均基板評価点は、当該基板9aに関連づけて基板評価点記憶部222に記憶される(ステップS45)。
【0079】
次に、第2工程検査部225により、基板9aに関連づけられた平均基板評価点に対する当該基板9aの基板評価点の割合(すなわち、基板9a以前に連続して検査された複数枚の基板に係る基板評価点に対する当該基板9aの評価点の乖離の程度を示す値であり、以下、「基板乖離度」という。)が求められる(ステップS46)。
【0080】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、基板評価点取得部221により求められた基板9aの基板評価点、平均基板評価点取得部224により求められた基板9aに関連づけられた平均基板評価点、および、第2工程検査部225により求められた基板9aの基板乖離度がデータ出力部204に送られ、データ出力部204によりディスプレイ25(図4参照)に図7に示すグラフと同形式のグラフにて表示される(ステップS47)。
【0081】
グラフが表示されると、第2工程検査部225により、基板9aの基板評価点および基板乖離度に基づいて膜形成装置3等(図1参照)による膜形成工程の検査が行われ、膜形成工程に異常が発生している場合には、当該工程異常が検出される(ステップS48)。具体的には、基板9aの基板評価点が上述の基板評価点閾値よりも大きく(すなわち、ステップS43における基板検査部223による検査により基板9aに膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定されており)、かつ、基板9aの基板乖離度が安定域にある場合に、第2工程検査部225により、膜形成工程に異常が発生している(すなわち、工程不良が発生している)と判定される。
【0082】
以上に説明したように、第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、複数の基板が連続的に検査され、各基板上の複数の膜のそれぞれに対して、第1の実施の形態と同様に、膜厚ムラの検査が行われるとともに各膜の評価点および乖離度に基づいて膜形成工程の検査が行われる。このとき、複数の基板の基板評価点が順次求められて記憶され、各基板の基板評価点が求められる毎に、各基板以前の所定数の基板に係る平均基板評価点、および、平均基板評価点に対する基板評価点の割合である基板乖離度が求められ、当該各基板に関連づけられて記憶される。
【0083】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、膜検査部213により基板9a上の複数の膜92aの検査が行われ、基板検査部223により基板9aの検査が行われる。また、第1工程検査部215により、基板9a上の複数の膜92aの評価点と乖離度に基づいて膜形成工程の検査が行われ、さらに、第2工程検査部225により、基板9aの基板評価点および基板乖離度に基づいて膜形成工程の検査が行われる。
【0084】
これにより、第1の実施の形態と同様に、一の基板において膜厚ムラに係る欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができ、第1工程検査部215および第2工程検査部225により膜形成工程の異常を自動的に検出することができる。
【0085】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、特に、基板9a上の各膜92aの評価点等に基づいて膜形成工程の検査が行われ、さらに、基板9aの基板評価点等に基づいて膜形成工程の検査が行われるため、膜形成工程の異常をより確実に検出することができるとともに、膜形成工程の異常が検出された際に、基板9a上のいずれの膜92aの形成に係る箇所に異常が生じているかを容易に特定することができる。換言すれば、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を領域毎に容易かつ適切に行うことができる。
【0086】
当該ムラ検査装置では、各基板の基板評価点が求められる毎に、各基板に係る平均基板評価点および基板乖離度が求められ、各基板に関連づけられて記憶されるため、操作者等が膜形成工程の状態を容易に把握することができる。また、連続して検査された複数の基板の基板評価点、平均基板評価点および基板乖離度が、ディスプレイ25にグラフにて表示されることにより、膜形成工程の状態をより容易に把握することができる。
【0087】
検査部200aでは、基板の基板乖離度は必ずしも求められる必要はなく、基板評価点取得部221により求められた一の基板の基板評価点と、平均基板評価点取得部224により求められた当該一の基板以前の所定数の基板に係る平均基板評価点とに基づいて、第2工程検査部225により膜形成工程の異常が検出されてもよい。この場合、第2工程検査部225では、基板評価点が基板評価点閾値よりも大きく、かつ、平均基板評価点が平均基板評価点閾値よりも大きい場合に、複数の基板において膜厚ムラに係る欠陥が連続して発生していると判定される。このように、第2工程検査部225では、基板評価点および平均基板評価点に基づいても、膜形成工程の異常を自動的に検出することができる。
【0088】
検査部200aでは、また、必ずしも連続して検査される複数の基板に対して平均基板評価点が求められる必要はなく、少なくとも、一の基板について基板検査部223にて膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に(すなわち、当該一の基板の基板評価点が基板評価点閾値よりも大きいという膜形成工程における異常検出の条件の1つが満足された場合に)、当該欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板に係る平均基板評価点が求められてもよい。この場合であっても、膜厚ムラの欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができ、膜形成工程の異常に迅速に対応することができる。さらには、膜形成工程の検査を基板全体として行うことができる。
【0089】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、膜形成システム100(図1参照)の操作者等により膜形成工程の状態の時系列的な変化が把握される必要がない場合には、各基板の基板評価点、平均基板評価点および基板乖離度は、必ずしもディスプレイ25に表示される必要はない。この場合、検査部200aのデータ出力部204による基板評価点等の表示は省略される。
【0090】
逆に、当該ムラ検査装置では、検査部200aから第2工程検査部225が省略され、ディスプレイ25に表示された基板評価点、平均基板評価点および基板乖離度のグラフに基づいて(あるいは、基板評価点記憶部222に記憶された基板評価点および平均基板評価点の出力に基づいて)、操作者等により膜形成工程の検査が行われてもよい。なお、この場合、上記基板乖離度は、検査部200aに第2工程検査部225に代えて設けられた基板乖離度演算部により求められる。
【0091】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るムラ検査装置について説明する。図12はムラ検査装置1aの構成を示す正面図である。図12に示すように、ムラ検査装置1aでは、基板9に向けて光を出射する光出射部13が、基板9の(−Z)側(すなわち、基板9の膜92が形成された上面91とは反対側)に配置される。また、ステージ12aは、基板9に対応する開口を有しており、光透過性を有する基板9を周囲から保持する。その他の構成は図2と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0092】
光出射部13は、第1の実施の形態と同様に、白色光を出射するハロゲンランプ131、ステージ12aの移動方向に垂直な図12中のY方向に伸びる石英ロッド132およびシリンドリカルレンズ133を備える。ムラ検査装置1aでは、光出射部13から出射された線状光が、ステージ12aの開口を通過して基板9に(−Z)側から入射し、基板9および膜92を透過する。そして、膜92を透過した後の光が、波長帯切替機構15の光学フィルタ151を透過して選択波長帯の光に変換された後、受光部14のラインセンサ141により受光される。ムラ検査装置1aによる膜厚ムラの検査の流れは、当該検査が透過光により取得された画像に基づいて行われるという点を除いて、第1または第2の実施の形態と同様である。
【0093】
ムラ検査装置1aでは、第1および第2の実施の形態と同様に、膜厚ムラに係る欠陥が検出された際に、膜形成工程と膜厚ムラとの因果関係の判断を容易かつ適切に行うことができ、膜形成工程において異常が発生した場合、当該異常に迅速に対応することができる。
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0095】
上記実施の形態に係るムラ検査装置の評価点取得部211では、膜の評価点は、必ずしも膜の膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類の全てに基づいて求められる必要はなく、膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類の少なくともいずれか(例えば、膜厚ムラの大きさおよび濃度範囲のみ)に基づいて求められてもよい。
【0096】
第1の実施の形態に係るムラ検査装置1では、膜検査部213による膜の検査(ステップS27)は、必ずしも平均評価点取得部214による平均評価点の取得(ステップS28)よりも前に行われる必要はなく、例えば、工程検査部215による膜形成工程の検査(ステップS33)とおよそ並行して行われてもよい(第2および第3の実施の形態において同様)。
【0097】
また、第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、基板検査部223による基板の検査(ステップS43)が、第2工程検査部225による膜形成工程の検査(ステップS48)とおよそ並行して行われてもよい。さらには、第1工程検査部215による膜形成工程の検査(ステップS33)と第2工程検査部225による膜形成工程の検査(ステップS48)とがおよそ並行して行われてもよい。
【0098】
上記実施の形態に係るムラ検査装置では、ステージは、光出射部13および受光部14に対して相対的に移動すればよく、ステージが固定され、光出射部13および受光部14が、互いに固定された状態で移動されてもよい。
【0099】
光出射部13では、石英ロッド132に代えて複数の光ファイバが直線状に配列されたファイバアレイが設けられ、ハロゲンランプ131からの光がファイバアレイを通過することにより線状光に変換されてもよい。また、ハロゲンランプ131および石英ロッド132に代えて、直線状に配列された複数の発光ダイオードが線状光を出射する光源として設けられてもよい。
【0100】
ムラ検査装置では、ハロゲンランプ131等の光源から出射される光に基板上に形成された膜に好ましくない影響を与える波長帯の光が含まれている場合、当該波長帯の光を透過しないフィルタ等が光源から基板に至る光路上に設けられる。また、基板上の膜が赤外線に対して透過性を有する場合、赤外線を出射する光源が光出射部13に設けられてもよい。
【0101】
基板に対する光の入射角を上面91全体において一定とすることにより膜厚ムラの検出を簡素化するという観点からは、基板に対して相対的に移動するラインセンサ141により光出射部からの線状光の反射光(または、膜を透過した後の線状光)を受光することが好ましいが、基板の撮像時間を短縮する必要がある場合等には、ラインセンサ141に代えて2次元CCDセンサが受光部14に設けられてもよい。
【0102】
上記実施の形態に係るムラ検査装置は、レジスト膜以外の他の膜、例えば、基板上に形成された絶縁膜や導電膜の膜厚ムラの検出に利用されてよく、これらの膜は、塗布液の塗布以外の方法、例えば、蒸着法や化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング等により形成されたものであってもよい。また、ムラ検査装置は、半導体基板等の他の基板上に形成された膜の膜厚ムラの検査に利用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1の実施の形態に係る膜形成システムの構成を示す図である。
【図2】ムラ検査装置の正面図である。
【図3】波長帯切替機構を示す図である。
【図4】コンピュータの構成を示す図である。
【図5】コンピュータが実現する機能構成を示すブロック図である。
【図6.A】基板に対する検査の流れを示す図である。
【図6.B】基板に対する検査の流れを示す図である。
【図6.C】基板に対する検査の流れを示す図である。
【図7】基板上の膜の評価点、平均評価点および乖離度を示すグラフである。
【図8】基板上の膜の評価点、平均評価点および乖離度を示すグラフである。
【図9】第2の実施の形態に係るムラ検査装置のコンピュータが実現する機能構成を示すブロック図である。
【図10】基板の平面図である。
【図11】基板に対する検査の流れの一部を示す図である。
【図12】第3の実施の形態に係るムラ検査装置の正面図である。
【符号の説明】
【0104】
1,1a ムラ検査装置
3 膜形成装置
9,9a 基板
12,12a ステージ
13 光出射部
25 ディスプレイ
91 上面
92,92a 膜
100 膜形成システム
141 ラインセンサ
211 評価点取得部
212 評価点記憶部
213 膜検査部
214 平均評価点取得部
215 (第1)工程検査部
221 基板評価点取得部
222 基板評価点記憶部
223 基板検査部
224 平均基板評価点取得部
225 第2工程検査部
S11〜S48 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査装置であって、
主面上に光透過性の膜が形成されている基板を保持する保持部と、
前記膜に向けて光を出射する光出射部と、
前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の特定の波長帯の光を受光して前記主面からの前記特定の波長帯の光の強度分布を出力するセンサと、
前記センサからの出力に基づいて検出した前記膜の膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類の少なくともいずれかに基づいて前記膜の評価点を求める評価点取得部と、
前記評価点に基づいて前記膜の検査を行う膜検査部と、
複数の基板上の膜に対して前記評価点取得部により順次求められた複数の評価点を順次記憶する評価点記憶部と、
少なくとも前記膜検査部にて膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に、前記欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板上の膜の評価点の平均である平均評価点を求める平均評価点取得部と、
を備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のムラ検査装置であって、
前記評価点取得部により求められた一の基板上の膜の評価点と前記平均評価点取得部により求められた前記一の基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点とに基づいて膜形成工程の異常を検出する工程検査部をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のムラ検査装置であって、
前記工程検査部において、前記評価点の前記平均評価点に対する割合が求められ、前記評価点と前記割合とに基づいて前記膜形成工程の異常の検出が行われることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載のムラ検査装置であって、
前記平均評価点取得部が、各基板の膜の評価点が求められる毎に前記各基板以前の所定数の基板上の膜の平均評価点を求め、
前記評価点記憶部が、前記各基板の前記膜に関連づけて前記平均評価点も記憶することを特徴とするムラ検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載のムラ検査装置であって、
連続して検査された複数の基板のそれぞれの膜の評価点、および、前記複数の基板のそれぞれの膜に関連づけられた平均評価点または前記評価点の前記平均評価点に対する割合をグラフにて表示する表示部をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のムラ検査装置であって、
前記評価点取得部において、膜厚ムラの種類により異なる評価係数が設定されており、前記膜の前記評価点が、各膜厚ムラの部分評価点に評価係数を乗じたものの合計に基づいて求められることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のムラ検査装置であって、
前記評価点取得部により、一の基板上の互いに離間した複数の領域に形成された複数の膜のそれぞれに対して評価点が求められ、
前記平均評価点取得部により、複数の基板上の互いに対応する領域に形成された複数の膜の評価点から前記複数の領域のそれぞれの平均評価点が求められることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載のムラ検査装置であって、
前記評価点取得部により一の基板に対して求められた複数の評価点を合計することにより前記一の基板の基板評価点を求める基板評価点取得部と、
前記基板評価点に基づいて前記一の基板の検査を行う基板検査部と、
少なくとも前記基板検査部にて膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に、前記欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板の基板評価点の平均である平均基板評価点を求める平均基板評価点取得部と、
をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載のムラ検査装置であって、
前記基板評価点取得部により求められた一の基板の基板評価点と前記平均基板評価点取得部により求められた前記一の基板以前の所定数の基板に係る平均基板評価点とに基づいて膜形成工程の異常を検出するもう1つの工程検査部をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項10】
請求項8に記載のムラ検査装置であって、
前記平均基板評価点取得部が、各基板の基板評価点が求められる毎に前記各基板以前の所定数の基板に係る平均基板評価点を求め、
前記ムラ検査装置が、前記各基板に関連づけて前記平均基板評価点を記憶する基板評価点記憶部をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項11】
基板上に膜を形成する膜形成システムであって、
基板の主面上に光透過性の膜を形成する膜形成装置と、
請求項1ないし10のいずれかに記載のムラ検査装置と、
を備えることを特徴とする膜形成システム。
【請求項12】
基板上に形成された膜の膜厚ムラを検査するムラ検査方法であって、
a)基板の主面上に形成されている光透過性の膜に向けて光を出射する工程と、
b)前記膜にて反射された、または、前記膜を透過した後の特定の波長帯の光を受光して前記主面からの前記特定の波長帯の光の強度分布をセンサから出力する工程と、
c)前記センサからの出力に基づいて検出した前記膜の膜厚ムラの大きさ、濃度範囲および種類の少なくともいずれかに基づいて前記膜の評価点を求める工程と、
d)前記評価点に基づいて前記膜の検査を行う工程と、
e)少なくとも前記d)工程において膜厚ムラに係る欠陥が存在すると判定された際に、前記欠陥が存在する基板以前に連続して求められた所定数の基板上の膜の評価点の平均である平均評価点を求める工程と、
を備えることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載のムラ検査方法であって、
前記c)工程にて求められた一の基板上の膜の評価点と前記e)工程にて求められた前記一の基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点とに基づいて膜形成工程の異常を検出する工程をさらに備えることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項14】
請求項12に記載のムラ検査方法であって、
前記c)工程において各基板の膜の評価点が求められる毎に、前記e)工程において前記各基板以前の所定数の基板上の膜に係る平均評価点が求められ、前記各基板の前記膜に関連づけて前記平均評価点が記憶されることを特徴とするムラ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6.A】
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【図6.B】
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【図6.C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−70279(P2008−70279A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250287(P2006−250287)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】