説明

モータのステータコア構造

【課題】従来の扁平型モータは、ステータコアのバックヨーク部が磁気的に連結されていないため、駆動時に隣り合うティースで磁路を形成しない場合が出てくるため、円筒型モータに比べ磁路が長くなるという問題点があった。
【解決手段】ロータ11は、シャフト12と複数極に着磁した永久磁石14を備えており、軸受(図示せず)により回転自在に支持される。ステータ15は、ステータブロック15aとステータブロック15bの2ブロックで構成され、ロータ11の外周部とは所定のギャップを有して対向させている。ステータブロック15a、15bは積層された方向性電磁鋼板からなっており、その磁化容易軸方向19は磁束の流入方向と同一とした構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光もしくは光−磁気の技術を用いて、記録、再生、もしくは記録/再生装置、例えば、CD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・ビデオ・ディスク)のような装置のピックアップレンズを駆動するために用いられるフィードモータや、産業用部品実装機の部品装着ヘッド駆動用に用いられるサーボモータのステータコア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来扁平型のモータは、図4、5に示す様に周方向に複数極に着磁されているロータ1と、ほぼ扁平型の第1、第2のステータブロック5a、5bとハウジング6と、ブラケット7とから構成されており、前記ステータブロック5a、5bはそれぞれ3本のティース8a、8b、8cを有しており、コイル3には巻装されている物が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2002−136090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図4、5に示した従来の扁平型モータは、ステータコアのバックヨーク部が磁気的に連結されていないため、駆動時に隣り合うティースで磁路を形成しない場合が出てくるため、円筒型モータに比べ磁路が長くなるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明は、軸心方向に回転自在に支持され周方向に複数極に着磁されたロータと、ティース巻線部にコイルが巻回されたティース先端を前記ロータの外周に対向して配置した積層鋼板からなりバックヨーク部が前記積層鋼板で連結されていない少なくとも2ブロックから構成されるステータとを有し、ステータの回転磁界に伴ってロータが回転し、前記ステータの各ティース先端の形状を、ロータの外周に沿う円弧面に形成し、各ティース巻線部を互いに平行又は等角度に形成し、各ティース間先端部にスロット開口部を有した扁平モータにおいて、前記ステータ積層鋼板部に方向性電磁鋼板を用い、前記方向性電磁鋼板の容易軸方向を前記ロータからの磁束流入方向と同一としたことを特徴とする。
【0005】
この特徴により、磁路の透磁率を良化することが出来、集磁効果を高めることができるため、モータの効率向上を図ることが可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のモータのステータコア構造によれば、ステータ積層鋼板部に方向性電磁鋼板を用い、前記方向性電磁鋼板の容易軸方向を前記ロータからの磁束流入方向と同一とすることで、磁気回路の集磁効果を高め高効率なモータを得ることができる。
【0007】
また、前記ステータ部は、ティースごとに分割されたコアを接合させてなることで、巻線作業を容易にし、コイルの占有面積を高めることができるため、更に高効率なモータを得ることができる。
【0008】
さらに、前記ステータ部は、ティースとバックヨーク部が分割されたコアを接合させ、前記バックヨーク部の方向性電磁鋼板の容易軸方向は前記ティース部と略垂直方向とすることで、更に高効率なモータを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
バックヨーク部が一部連結されていない扁平型モータで、ステータ部に磁束の流入方向に容易軸方向を配置した方向性電磁鋼板を用いることを特徴とする。
【実施例1】
【0010】
本発明に係わるモータの断面図を図1に示す。実施例1はインナーロータ型の偏平ブラシレスモータで、図1において、11はロータ、15はステータ、18はティース、13はコイルである。ロータ11は、シャフト12と複数極に着磁した永久磁石14を備えており、軸受(図示せず)により回転自在に支持される。ステータ15は、ステータブロック15aとステータブロック15bの2ブロックで構成され、ロータ11の外周部とは所定のギャップを有して対向させている。ステータブロック15a、15bは積層された方向性電磁鋼板からなっており、その磁化容易軸方向19は磁束の流入方向と同一としている。そして、ティース18には予めコイル13が整列巻回されている。さらに、コイル13は結線されて、ステータ15の回転磁界に伴ってロータ11を回転させる。また、ステータの組立に際して、ステータブロックをハウジング(図示せず)内に装着固定してもよい。また、図から判断できるように、ステータ外形はロータ径に比べて偏平なブラシレスモータであり、機器の隙間部分などに搭載可能となり省スペース化に効果がある。
【0011】
本実施例により、磁気回路の透磁率を良化させ、集磁効果を高める事が可能なため、モータの高効率化が達成される。
【実施例2】
【0012】
図2は本発明における第2の実施例である。本実施例ではステータブロック15a、15bを分割コアとし、ティース18a、18b、18cに分けて形成される。
【0013】
本実施例により、コイル13の巻線作業を容易にすることができ、また、コイル13の占有面積を向上させることができるため、生産性の向上、及びモータの高効率化が達成される。
【実施例3】
【0014】
図3は本発明における第3の実施例である。本実施例ではステータブロック15a、15bを分割コアとし、ティース18a、18b、18c及びバックヨーク10に分けて形成される。
【0015】
本実施例により、バックヨーク10はティース18a、18b、18cの磁化容易軸方向19と略垂直に磁化容易軸方向19を配置するため、磁気回路で磁束の通る方向と磁化容易軸方向19をほぼ一致させることができるため、更にモータの高効率化が達成される。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明のモータのステータコア構造は、モータの高効率化に最適であり、省電力化を要する用途、例えば情報機器等に使用されるディスク装置のフィードモータ、工場等で使用される産業用サーボモータなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例のモータの断面図
【図2】本発明の第2実施例のモータの断面図
【図3】本発明の第3実施例のモータの断面図
【図4】従来のモータの構成分解図
【図5】従来のモータの断面図
【符号の説明】
【0018】
1、11 ロータ
2、12 シャフト
3、13 コイル
4、14 マグネット
5a、5b、8a、8b、8c、15a、15b、18a、18b、18c ティース
6 ハウジング
7 ブラケット
19 磁化容易軸方向
10 バックヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向に回転自在に支持され周方向に複数極に着磁されたロータと、ティース巻線部にコイルが巻回されたティース先端を前記ロータの外周に対向して配置した積層鋼板からなりバックヨーク部が前記積層鋼板で連結されていない少なくとも2ブロックから構成されるステータとを有し、ステータの回転磁界に伴ってロータが回転し、前記ステータの各ティース先端の形状を、ロータの外周に沿う円弧面に形成し、各ティース巻線部を互いに平行又は等角度に形成し、各ティース間先端部にスロット開口部を有した扁平モータにおいて、前記ステータ積層鋼板部に方向性電磁鋼板を用い、前記方向性電磁鋼板の容易軸方向を前記ロータからの磁束流入方向と同一としたことを特徴とする扁平モータ
【請求項2】
前記ステータ部は、ティースごとの分割コアを接合させてなることを特徴とする請求項1記載の扁平モータ。
【請求項3】
前記ステータ部は、ティースとバックヨーク部が分割されており、前記バックヨーク部の方向性電磁鋼板の容易軸方向は前記ティース部と略垂直方向としたことを特徴とする請求項2記載の扁平モータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−110861(P2007−110861A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301480(P2005−301480)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】