説明

モーター駆動制御装置、圧縮機、送風機、空気調和機及び冷蔵庫又は冷凍庫

【課題】コストアップや回路の大型化を伴わずに高調波電流を低減するモーター駆動制御装置、及びそれを用いた圧縮機、送風機、空気調和機及び冷蔵庫又は冷凍庫を提供する。
【解決手段】三相整流器2と、昇圧コンバーター部3と、昇圧コンバーター部3のスイッチング素子5を制御するスイッチング制御手段10と、昇圧コンバーター部3の出力を平滑する平滑コンデンサー7と、昇圧コンバーター部3の出力である直流電圧を交流電圧に変換し、モーターに供給するインバーター回路12と、インバーター回路12を駆動するインバーター駆動手段14と、母線電流を検出する母線電流検出部8と、三相交流電源の不平衡を検出する不平衡成分検出部とを備え、スイッチング制御手段10は、スイッチング素子5のオンデューティーを決定し、三相交流電源からの入力電流が平衡となるよう制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター駆動制御装置及びそれを用いた圧縮機、送風機、空気調和機及び冷蔵庫又は冷凍庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三相交流電源に対応した機器において、三相全波整流方式のコンバーターとして、三相交流電圧を整流する三相整流回路と、リアクターとコンデンサーとからなり三相整流回路の出力電圧をフィルタリングするフィルター回路と、フィルター回路の出力電圧を交流電圧に変換しモーターを駆動するインバーター回路を備えたものが使用されている(以下、従来技術という)。
【0003】
また、上記の従来技術の三相全波整流方式のコンバーターに対し、電源の力率を改善する方式として、例えば、「三相交流電圧を整流する三相整流回路と、三相整流回路の出力電圧をチョッピングにより昇圧する昇圧チョッパ回路と、昇圧チョッパ回路の出力信号を平滑する平滑素子と、平滑素子の出力電圧を検出する電圧検出器と、昇圧チョッパ回路の出力電圧に対する電圧指令と電圧検出器の検出出力との偏差を零に抑制し且つ前記三相整流回路の出力に直流電流を流すための直流電流指令を生成する直流電流指令生成回路と、三相整流回路の出力電流を検出する直流電流検出器と、直流電流指令と直流電流検出器の検出出力との偏差を零に抑制するためのパルス信号を生成するパルス信号生成回路とを有し、前記昇圧チョッパ回路は、整流回路の出力電荷を蓄積するリアクトルと、このリアクトルに蓄積された電荷の充放電をパルス信号のパルス幅に応じて制御するスイッチング素子と」を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2869498号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術によれば、三相全波整流方式における電源電流はパルス状となり、このとき、電源電流の高調波成分としては5次高調波成分が大きく現れるため、高調波規制をクリアするために対策が必要となるという問題点があった。
【0006】
また、上記の特許文献1の技術によれば、昇圧チョッパー回路の出力電圧を一定に制御することで、従来技術のような三相全波整流方式のコンバーターに対し、電源の高調波電流を低減する技術が記載されているが、昇圧チョッパー回路のスイッチング周波数が低い場合等、電源電流に重畳するリプル電流が問題となる場合に対しては、AC側にリアクターとコンデンサーからなるフィルターを設ける必要があり、コストアップや回路大型化を伴うという問題点があった。
【0007】
また地球環境問題意識の高まりから省エネ訴求が大きく、モーター駆動制御を行う装置においても、損失低減が要求されている。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、コストアップや回路の大型化を伴わずに高調波電流を低減することを可能にしたモーター駆動制御装置、及びそれを用いた圧縮機、送風機、空気調和機及び冷蔵庫又は冷凍庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るモーター駆動制御装置は、三相交流電源を整流する三相整流器と、リアクター、スイッチング素子及び逆流防止素子を備え、前記三相整流器の出力電圧をチョッピングにより昇圧する昇圧コンバーター部と、前記昇圧コンバーター部のスイッチング素子を制御するスイッチング制御手段と、前記昇圧コンバーター部の出力を平滑する平滑コンデンサーと、前記昇圧コンバーター部の出力である直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧をモーターに供給するインバーター回路と、前記インバーター回路を駆動するインバーター駆動手段と、母線電流を検出する母線電流検出部と、前記昇圧コンバーター部の出力電圧を検出する出力電圧検出部と前記出力電圧検出部の出力に基づいて前記三相交流電源の不平衡を検出する不平衡成分検出部とを備え、前記スイッチング制御手段は、前記昇圧コンバーター部の出力電圧指令値と、前記出力電圧検出部により検出した前記昇圧コンバーター部の出力電圧値との偏差及び前記三相交流電源の不平衡をゼロとするべく母線電流指令値を決定し、前記母線電流指令値と前記母線電流検出部により検出した母線電流値との偏差をゼロとするべく、前記スイッチング素子のオンデューティーを決定し、三相交流電源からの入力電流が平衡となるよう制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源電流に影響する母線電流の制御により電源電流の高調波成分の低減を行うことが可能であり、加えて、母線電流高調波成分に基づいてスイッチング素子の制御の補償を行い、母線電流の高調波成分の低減効果を高めることが可能となる。またこれに伴い、高調波抑制のためフィルター回路の設置台数削減ができ、回路の小型化、コスト低減が可能となる。また、昇圧コンバーター部により直流電圧を昇圧することで、モーターの起電圧上昇が可能となる。これによりモーター電流が低減でき、インバーター損失の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図2】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置のスイッチング制御手段及び母線電流高調波成分抽出部の構成図。
【図3】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置のスイッチング制御手段及び母線電流高調波成分抽出部の構成図。
【図4】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置のスイッチング制御手段及び母線電流高調波成分抽出部の構成図。
【図5】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置のスイッチング制御手段及び母線電流高調波成分抽出部の構成図。
【図6】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図7】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置のスイッチング制御手段の構成図。
【図8】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図9】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置のスイッチング制御手段及びインバーター駆動手段の構成図。
【図10】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図11】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図12】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図13】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図14】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成図。
【図15】従来の電力変換装置の波形図。
【図16】本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の動作波形図。
【図17】本発明の実施の形態2に係る空調装置の冷媒回路図。
【図18】本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置の構成の一例を示した図である。図1において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1の交流電圧を整流する三相整流器である。三相整流器2は6個の整流ダイオード2a〜2fをブリッジ接続した構成となっている。3は昇圧コンバーター部である。昇圧コンバーター部3は、昇圧リアクター4と、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のようなスイッチング素子5と、例えばファストリカバリダイオードのような逆流防止素子6とにより構成される。
7は昇圧コンバーター部3の出力を平滑する平滑コンデンサーである。8は母線電流検出部、9は出力電圧検出部であり、10はスイッチング制御手段である。11は母線電流検出部8より高調波成分を抽出する母線電流高調波成分抽出部である。スイッチング制御手段10は、母線電流検出部8、出力電圧検出部9、及び母線電流高調波成分抽出部11の出力信号よりスイッチング素子5を動作させる駆動信号を生成する。12はインバーター回路である。インバーター回路12は、例えばIGBTのようなスイッチング素子12a〜12fで構成されている。13はモーター15に流れる電流を検出するモーター電流検出部である。14はインバーター駆動手段である。インバーター駆動手段14は、モーター電流検出部13の検出信号からインバーター回路12を動作させる駆動信号を生成する。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1に係るスイッチング制御手段10の構成の一例を示した図である。図2において、21は母線電流指令値演算部である。母線電流指令値演算部21は、昇圧コンバーター部3の出力電圧に対する出力電圧指令値と出力電圧検出部9にて検出した昇圧コンバーター部3の出力電圧とから、母線電流指令値を演算する。22はオンデューティー演算部である。オンデューティー演算部22は、母線電流指令値演算部21にて演算した母線電流指令値と母線電流検出部8にて検出した母線電流とから、スイッチング素子5のオンデューティーを演算する。23は駆動パルス生成部である。駆動パルス生成部23は、オンデューティー演算部22にて演算したオンデューティーを、母線電流高調波成分抽出部11の出力信号に基づいて、母線電流の高調波成分が低減するよう補償してスイッチング素子5を動作させる駆動パルスを生成する。
【0014】
上記のように構成されたモーター駆動制御装置についてその動作及び作用を説明する。
まず、三相交流電源1の交流電圧は三相整流器2で整流されて直流電圧になる。スイッチング制御手段7により昇圧コンバーター部3のスイッチング素子5のオンオフが制御され、そのチョッピングにより、三相整流器2からの直流電圧は昇圧される。
【0015】
ここで、昇圧コンバーター部3において、スイッチング素子5がオンした場合には、逆流防止素子6は導通が阻止され、昇圧リアクター4には三相整流器2によって整流された電圧が印加される。一方、スイッチング素子5がオフした場合には、逆流防止素子6は導通し、昇圧リアクター4には、スイッチング素子5オン時と逆向きの電圧が誘導される。このとき、エネルギーの観点からは、スイッチング素子5のオン時に昇圧リアクター4に蓄積されたエネルギーが、スイッチング素子5のオフ時に負荷であるインバーター回路9へ移送されると見ることができる。したがって、スイッチング素子5のオンデューティーを制御することで、昇圧コンバーター部3の出力電圧を制御することができる。
【0016】
ここで、動作波形について図15及び図16を用いて説明する。
三相交流電源1の交流電圧を三相整流器2で整流した場合には、三相整流器2の出力における電圧及び母線電流は図15(a)のように直流となるが、電源周波数の6倍の周波数で脈動が生じた波形となる。このとき、母線電流波形の高調波解析を行うと、図15(c)のような結果となり、電源周波数の6、12、18次などといった高調波が含まれる。また、三相交流電源1の各相には、相電圧が最大または最小付近の120deg区間で、図15(b)に示すように電源電流が流れる。このとき、電源電流波形の高調波解析を行うと、図15(d)のように、電源周波数の5、7、11、13、17、19次などといった高調波が含まれ、直流電流に含まれる高調波成分の±1次の高調波が含まれる。
【0017】
本実施の形態1では、電源電流を120deg矩形波状にするべく、スイッチング素子5のオンオフを制御する。このとき、三相整流器2の出力における母線電流、電源電流、それらの高調波解析結果は図16のようになる。図16によれば、本実施の形態のように電源電流を矩形波状に制御することで、電源高調波の抑制が可能となる。一般的には、三相交流電源1と三相整流器2との間に例えばリアクターとコンデンサーとからなるLCフィルターを設置し、電源高調波の抑制が行われるが、本実施の形態1においては、電源電流を120deg矩形波状に制御することで電源高調波の抑制を行うため、LCフィルターの設置台数低減または、容量低減を図ることができ、コスト低減、回路の小型化を図ることが可能となる。
【0018】
また、母線電流高調波成分抽出部11は、電源周波数の5、7、11、13、17、19次などといった母線電流に含まれる高調波成分を抽出する。それらの成分を低減するべく、オンデューティー演算部22にて演算したオンデューティーを、駆動パルス生成部23にて補償することで、電源電流がより120deg矩形波状に近くなり、電源高調波の抑制効果を向上することが可能となる。このとき、例えば、電源電流の高調波成分として特に多く含まれる5次、7次の高調波成分のみを抑制するとしてもよく、この場合には、他の高調波成分についての処理を行う必要がないため、演算負荷の軽減が可能となる。
【0019】
次に、電源電流を矩形波状に制御する方法の一例を説明する。
本実施の形態1においては、スイッチング素子5のオンデューティーを制御することで電源電流を矩形波状に制御している。オンデューティーの演算は、例えば以下のように行う。母線電流指令値演算部21は、昇圧コンバーター部3の出力電圧に対する出力電圧指令値と出力電圧検出部9の検出信号との差をゼロとするべく母線電流指令値を決定する。
オンデューティー演算部22は、母線電流指令値演算部21で演算した母線電流指令値と母線電流検出部8の検出信号との差をゼロとするべくオンデューティーを決定する。このオンデューティーの値に基づき、駆動パルス生成部23ではスイッチング素子5を動作させる駆動パルスを生成する。
【0020】
本実施の形態1によれば、直流側での母線電流検出に基づいて電源電流を矩形波状に制御できるため、交流側での電流検出が不要となるため、例えばCT(Current Transformer)のような電流センサの設置数を減らすことができ、コスト低減、回路の小型化が可能となる。
【0021】
また、母線電流の高調波成分を抽出してスイッチング素子5のオンデューティーを補償するため、高調波成分の低減効果を向上させることが可能となる。
【0022】
駆動パルス生成部23における母線電流高調波成分の補償の有無は、所定の値に基づいて切り換えることとしてもよい。例えば、母線電流高調波成分抽出部11の出力信号の値に基づき切り換えるようにし、高調波成分が多く含まれる場合のみ補償を行うこととすれば、高調波成分が少ない場合での演算負荷を軽減することができる。また、母線電流検出部8の出力信号の値と母線電流指令値演算部21の出力信号との差に基づき、その差が大きい場合すなわち母線電流に共振が現れている場合のみ補償を行うこととすれば、共振成分が少ない場合での演算負荷を軽減することができる。
【0023】
次に、母線電流の高調波成分を抽出する方法の一例を説明する。
母線電流高調波成分抽出部11は、図3のようにハイパスフィルター(以下HPF)を用いて構成する。このときHPFのカットオフ周波数は、三相交流電源1の電源周波数に基づいて決定すればよい。
【0024】
また、母線電流高調波成分抽出部11は、図4のようにバンドパスフィルター(以下BPFという)を用いて構成してもよい。このときBPFの中心周波数は、三相交流電源1の電源周波数の6倍、または12倍などといった、通常三相交流全波整流方式で問題となりやすい高次調波に設定することで、電源高調波の低減効果を向上できる。BPFを複数設け、それぞれ異なる中心周波数を設定してもよい。
【0025】
また、母線電流高調波成分抽出部11は、図5のようにFFT部24を用いて構成してもよい。この場合には、FFT部24にて母線電流の周波数成分を分離し、三相交流電源1の電源周波数の6倍、または12倍などといった、通常三相交流全波整流方式で問題となりやすい高調波成分を選択し、高調波成分復調部25で高調波成分を復調して駆動パルス生成部23での補償を行う。このようにすれば、上記のBPFを複数設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0026】
ところで、三相交流電源は、単相電源の場合と異なり、電源品質の問題や電源線路のインピーダンスが均一でないなどの問題に起因して各相の電圧に不平衡が生じる場合がある。この場合、各相の入力電流も不平衡となり、電流値は通常より増大することとなる。この場合、各相での電源線路または整流器の各相の素子が発熱し、焼損や溶断といった現象を起こし製品の破壊に至る可能性がある。また三相交流電源1と三相整流器2の間に例えばリアクターとコンデンサーからなるLCフィルターを設ける場合には、電源不平衡時にはフィルターとしての動作をせず、電源高調波の抑制効果を得ることができない。
【0027】
このとき、本実施の形態によれば、スイッチング素子5のオンデューティーを制御することで、三相交流電源の電圧不平衡に起因して起こる入力電流の不平衡による影響を抑えることが可能となる。このときの動作について、図6及び図7を用いて説明する。
【0028】
図6において、不平衡成分検出部10aは母線電流検出部8の出力に基づいて三相交流電源の不平衡成分を検出してスイッチング制御手段10に出力する。スイッチング制御手段10は、母線電流検出部8、出力電圧検出部9及び不平衡成分検出部10aの出力信号よりスイッチング素子5を動作させる駆動信号を生成する。インバーター駆動手段14は、モーター電流検出部13の検出信号からインバーター回路12を動作させる駆動信号を生成する。
【0029】
また、スイッチング制御手段10において、オンデューティーの演算は、例えば以下のように行う。
電圧不平衡時には、三相整流器2の出力である直流電圧に、平衡時よりも大きいリプルが現れるが、図7において、母線電流指令値演算部21は、昇圧コンバーター部3の出力電圧に対する出力電圧指令値と出力電圧検出部9の検出信号との差をゼロとするべく母線電流指令値を決定する。さらにオンデューティー演算部22は、母線電流指令値演算部21で演算した母線電流指令値と母線電流検出部8の検出信号との差及び三相交流電源の不平衡成分(不平衡成分検出部10aの出力)をゼロとするべくオンデューティーを決定する。このオンデューティーの値に基づき、駆動パルス生成部23ではスイッチング素子5を動作させる駆動パルスを生成する。これにより、直流電圧に現れる電圧リプルに依らず、母線電流を一定に制御することが可能となるため、直流電圧のリプルが通常より大きくなる三相交流電源の電圧不平衡発生時にも、電流の不平衡による電流値増大といった影響を抑えることが可能となる。また不平衡時であっても三相交流電源1と三相整流器2の間に設けたLCフィルターの動作を妨げることがなくなる。
【0030】
なお、上記の例は、母線電流検出部8の出力に基づいて三相交流電源の不平衡成分を検出した例であるが、三相交流電源の不平衡成分の検出は出力電圧検出部9の出力に基づいて行ってもよい(図6の点線参照)。不平衡成分検出部10aが出力電圧検出部9の出力に基づいて三相交流電源の不平衡成分を検出した場合においては、図7において母線電流指令値演算部21は、昇圧コンバーター部3の出力電圧に対する出力電圧指令値と出力電圧検出部9の検出信号との差及び三相交流電源の不平衡成分をゼロとするべく母線電流指令値を決定する(図7の点線部分参照)。さらにオンデューティー演算部22は、母線電流指令値演算部21で演算した母線電流指令値と母線電流検出部8の検出信号との差をゼロとするべくオンデューティーを決定する。このオンデューティーの値に基づき、駆動パルス生成部23ではスイッチング素子5を動作させる駆動パルスを生成する。
【0031】
ところで、インバーター回路12に接続されるモーター15の各相に流れる電流も、巻線インピーダンスのバラツキやモーター15の各相の電流検出ゲインのバラツキなどによって不平衡となる場合がある。この場合においても、電流の不平衡により、各相の電流値が増大するため、巻線の焼損等の製品の破壊やモーターのトルク変動による騒音・振動の発生が生じる可能性がある。
【0032】
このとき、本実施の形態によれば、スイッチング素子5及びインバーター回路12におけるスイッチング素子12a〜12fのスイッチングを制御することで、モーター相電流の不平衡成分を抑制することが可能となる。このときの動作について、図8及び図9を用いて説明する。
【0033】
図8において、19はモーター電流検出部13の検出信号から電流の不平衡成分を検出する不平衡成分検出部である。スイッチング制御手段10は、母線電流検出部8及び出力電圧検出部9の出力信号よりスイッチング素子5を動作させる駆動信号を生成する。またインバーター駆動手段14は、モーター電流検出部13及び不平衡成分検出部19の出力信号よりインバーター回路12を動作させる駆動信号を生成する。スイッチング素子5及びスイッチング素子12a〜12fの制御は、例えば以下のように行う。
【0034】
図9において、インバーター駆動手段14は、モーター電流検出部13の検出信号を電流座標変換部31にて座標変換し、電流制御部32にて電流制御を行うことで電圧指令値を得る。この指令値を電圧座標変換部33にて座標変換し、PWM生成部34ではインバーター回路12の各スイッチング素子12a〜12fを動作させるPWM信号を生成する。このとき、電流座標変換部31にて座標変換した電流値に基づき、すべり補償部35、速度制御部36にて、外部から与えられる目標の角速度である回転速度指令値を補償して一次角速度を演算し、電流制御部32での演算に用いられる。また位相角演算部では一次角速度より位相角を求め、この値が電流座標変換部31、電圧座標変換部33での座標変換に用いられる。モーター各相の相電流が不平衡となった場合には、不平衡成分検出部19にてモーター電流検出部13の検出信号より不平衡成分を抽出し、抽出した不平衡成分をゼロとするべく、モーター各相の相電圧指令値を補正する。このように決定されたモーター各相の相電圧指令値に対し、昇圧コンバーター部3の出力電圧に対する出力電圧指令値とスイッチング素子12a〜12fのスイッチングのオンデューティーを決定する。またこの出力電圧指令値に基づいて、前述したような母線電流指令値演算部21及びオンデューティー演算部22にて、スイッチング素子5のオンデューティーを決定する。これにより、モーターの相電流の不平衡発生時にも、電流値増大やトルク変動を抑えることが可能となる。
【0035】
また、三相交流電源1のある相で欠相が起こった場合には、母線電流検出部8にて検出した母線電流に現れる電流リプルの変化により、欠相を検出することができる。このことにより、三相交流電源の各相に電源電圧又は電源電流を検出する手段を設ける必要がなく、コスト低減、回路の小型化が可能となる。
【0036】
また、欠相検出時には、スイッチング制御手段10及びインバーター駆動手段14にて、昇圧コンバーター部3及びインバーター回路12の動作を停止させることで、欠相時の過電流等による素子破壊を防止することができる。このとき、欠相による異常状態を知らせる装置を設けてもよい。
【0037】
また、欠相検出時には、スイッチング制御手段10及びインバーター駆動手段14にて、昇圧コンバーター部3及びインバーター回路12を低出力とするべく動作を制御させる。このようにすることで、素子破壊を防止しながらも、例えば、冷蔵庫や冷凍庫のような用途に用いられた場合には、庫内の食品等の品質を確保することが可能となる。このとき、欠相による異常状態を知らせる装置を設けてもよい。
【0038】
昇圧コンバーター部3で昇圧を行う場合には、インバーター回路12に印加される直流電圧が高くなる、すなわちインバーター回路12の出力電圧が高くなる。それに伴い、モーター15の線間電圧も高くなり、一方でモーター15の相電流は低減する。このことから、インバーター回路12を構成するスイッチング素子12a〜12fのオン時に流れる電流が低減する。このため、インバーター回路12における導通損失を低減することが可能となる。したがって、昇圧コンバーター部を持たない従来の回路構成に比べると、昇圧コンバーター部3における損失分だけ損失が増加するものの、昇圧によりインバーター損失が低減するため、インバーター損失低減分が昇圧コンバーター部損失増加分より大きくなるようシステム設計することで、損失低減が可能となる。また、モーター15の線間電圧を高することができることから、モーター15の高速運転範囲の拡大も可能となり、性能改善も可能となる。
【0039】
インバーター回路12の負荷が小さく、出力電力が低い場合には、スイッチング制御手段10にてスイッチング素子5をオフとし、昇圧コンバーター部3の動作を停止させ、昇圧コンバーター部3における損失を抑制することが可能となる。
【0040】
この昇圧コンバーター部3の動作停止を決定する方法には次のような方法がある。
例えば母線電流検出部8及び出力電圧検出部9の出力信号より求める消費電力に対する閾値を設け、消費電力が閾値よりも小さいときに、昇圧コンバーター部3の動作を停止させる。
【0041】
また図10及び図11に示すように、モーター15に流れる電流を検出するモーター電流検出部13又はインバーター回路12の電流を検出するインバーター電流検出部18を設ける。そして、モーター電流検出部13又はインバーター電流検出部18の出力信号に対する閾値を設け、それらの出力信号(検出電流)が閾値よりも小さいときに、昇圧コンバーター部3の動作を停止させる。
【0042】
また、上記のように昇圧コンバーター部3の動作を停止した場合でも、昇圧リアクター4及び逆流防止素子6は電流経路となっているため、昇圧リアクター4においては抵抗成分による銅損、逆流防止素子6においては導通時の順電圧降下による導通損失が発生する。
そこで、図12に示すように、昇圧コンバーター部3の昇圧リアクター4と逆流防止素子6と並列に新たに逆流防止素子16を接続すれば、電流経路の素子点数を低減でき、損失低減が可能となる。
また図13に示すように、逆流防止素子16の代わりに、例えばリレーのような開閉素子17を設けても同様に、昇圧コンバーター部3の損失低減が可能となる。さらに、この構成においては、モーター15からの回生時にスイッチング素子5及び開閉素子17をオンとして制御すれば、回生エネルギーを消費する電流経路を形成でき、回生電圧上昇による素子破壊を防止することも可能となる。
【0043】
また、インバーター回路12の各スイッチング素子12a〜12fは、インバーター駆動手段14により、例えばPWM変調により制御される。このとき、モーター15の運転速度によっては、変調率1以上となる過変調領域まで利用することで、インバーター回路12の出力電圧を増加させることができる。これに伴い、前述したようなインバーター回路12における導通損失のさらなる低減、モーター15の高速運転範囲拡大が可能となる。
【0044】
モーター15を過変調領域で運転する場合には、インバーター回路12の出力電圧の制御は困難になる場合があるが、本実施の形態1においては、昇圧コンバーター部3の出力電圧を制御することで、インバーター回路12の出力電圧を制御することが可能となる。
例えば、スイッチング制御手段10の駆動パルス生成部23は、過変調領域にて動作時、オンデューティー演算部22で求められたスイッチング素子5のオンデューティーを、インバーター駆動手段14における変調率に基づいて補償してスイッチング素子5を動作させる駆動パルスを生成することによりインバーター出力電圧を制御する。
【0045】
また、インバーター駆動手段14においては、平滑コンデンサー7の電圧リプルを低減するように、インバーター回路12における各スイッチング素子12a〜12fを制御するスイッチングパターンを出力する。このようにすることで、平滑コンデンサー7の容量を低減でき、平滑コンデンサー7の小型化、コスト低減が可能となる。なお、平滑コンデンサー7の電圧リプルを低減するには、平滑コンデンサー7の両端電圧におけるリプルの山又は谷にあたる部分でスイッチングパターンを調整する。例えば、インバーター回路12のスイッチング素子12a〜12fのオン時間を、リプルの山に当たる部分では通常よりも短く、リプルの谷に当たる部分では通常よりも長くするといった調整を行う。
【0046】
また、スイッチング制御手段10にて、インバーター駆動手段14から出力されるスイッチングパターンの情報を取り込み、インバーター駆動手段14においてゼロベクトルに相当するスイッチングパターンが出力された場合には、スイッチング素子5をオンとして制御する。このように制御すれば、平滑コンデンサー7の容量低減、またはスナバ回路の容量低減、または雑音端子電圧の低減が可能となる。
【0047】
また、スイッチング制御手段10において、出力電圧、母線電流を制御する際、その制御定数は回路の負荷に応じて調整されることが望ましい。そこで、母線電流検出部8と出力電圧検出部9の少なくとも一方、又はモーター電流検出部13若しくはインバーター電流検出部18の出力信号をスイッチング制御手段10に取り込み、その値に基づいて制御定数を調整すれば、制御の安定性向上を図ることが可能となる。
【0048】
上記の調整対象の制御定数は、例えば母線電流指令値演算部21及びオンデューティー演算部22を比例−積分制御(PI制御)で構成した場合には、各演算部における比例ゲイン、積分時間定数といった制御定数が該当する。また、比例−積分−微分制御(PID)をする場合には、比例ゲイン、積分時間定数、微分時間定数が、上記の調整対象の制御定数に該当する。
【0049】
インバーター電流やモーター電流に基づいて制御定数を調整する場合には、電流に、例えばハンチング等の異常が発生したときに、ゲインを下げるなどの処理をして制御の応答性を低め、ハンチングを抑制するように制御定数を調整する。また、消費電力に基づいて制御定数を調整する場合には、消費電力の変化から電流ハンチング等の異常を判断し、制御定数を調整する。
【0050】
また、スイッチング制御手段10及び母線電流高調波成分抽出部11の構成の全てまたは一部を、アナログ回路にて実現してもよい。インバーター駆動手段14がマイコンにて実現されており、マイコンの容量的にスイッチング制御手段10が組み込めない場合でも、マイコンを追加する必要がなく、また、アナログIC等は市販のものを使用できるため、コスト抑制が可能となる。
【0051】
また、スイッチング素子5やインバーター回路12のスイッチング素子12a〜12fとして、SiC系またはGaN系半導体やスーパージャンクション(以下SJ)構造のスイッチング素子を用いる。このようにすることで、従来用いられているSi系スイッチング素子を用いた場合に比べ、損失低減を図ることができる。特に、SJ構造のスイッチング素子はリカバリが大きいと問題となるが、本実施の形態1のような昇圧コンバーター部3の構成では、スイッチング素子5はリカバリが小さいため、SJ構造のスイッチング素子に向いた用途であり、その特徴をより活かし、損失低減の効果を高めることが可能となる。
【0052】
また、大電力用途として用いる場合には、スイッチング素子を並列に設置し、並列駆動を行うことも有効である。例えばSiC系、GaN系またはSJ構造のMOSFETを使用する場合には、スイッチング素子5の代わりに複数個のMOSFETを設置し、スイッチング制御手段10により出力される駆動パルスを分け、それぞれの素子を同一信号で駆動する。また、例えばSiC系、GaN系またはSJ構造のIGBTを使用する場合には、スイッチング素子5の代わりに複数個のIGBTを設置し、スイッチング制御手段10により出力される駆動パルスを分け、位相をずらして、間欠的に動作するように、それぞれの素子を駆動する。
【0053】
また、三相整流器2の整流ダイオード2a〜2fや逆流防止素子6として、SiC系またはGaN系のショットキーバリアダイオードなどの素子を用いることで、導通時の抵抗が低いという特徴を活かし、損失低減を図ることができる。
【0054】
また、一般にモーター巻線の巻数を増加させた場合には、巻線抵抗は巻数の二乗に比例(数式1)、モーター電流は巻数に反比例(数式2)する関係がある。このとき、巻線抵抗によるモーター銅損は、巻数に依存しない(数式3)。
【0055】
【数1】

【数2】

【数3】

【0056】
前述したように、モーター電流が低減できれば、インバーター回路12における導通損失を低減できるため、モーター巻線の巻数を増加させることで、モーターにおける損失は増加させることなく、インバーター回路における導通損失低減が可能となる。しかし、モーター巻線の巻数を増加させた場合、誘起電圧は巻数に比例して高くなる(数式4)ため、インバーター回路への入力電圧を増加する必要があった。
【0057】
【数4】

【0058】
したがって、本実施の形態1のように、昇圧コンバーター部3によるインバーター回路12の入力電圧増加、過変調PWM制御によるさらなるインバーター回路12の入力電圧増加によりモーター15の巻線を増加させることが可能となる。したがって、モーター15の巻線を、昇圧コンバーター部3の最大出力電圧、すなわちインバーター回路12の入力電圧にしたがって設計することで、インバーター回路12におけるさらなる導通損失低減を図ることが可能となる。
【0059】
また、図14に示すように、本実施の形態1に係る三相整流器2以下の構成を取った回路を複数台設け、複数台のモーターを運転するようなシステムを構築してもよい。このように複数台を運転するようなシステムを構築した場合でも、各モーター駆動制御装置においては、上記で述べたような効果が得られることは言うまでもない。
【0060】
実施の形態2.
図17は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成を示した図である。
空気調和機は、圧縮機100、四方弁101、熱交換器(室外機)102、膨張弁(減圧装置)103、熱交換器(室内機)104を備えており、これらが環状に接続されて冷媒回路を構成している。この冷媒回路により冷凍サイクルが構成されている。そして、圧縮機100に内蔵されているモーター(図示せず)の駆動制御装置110として上記の実施の形態1に係るモーター駆動制御装置が用いられる。また、熱交換器102、104に送風するために設けられている送風機105、106の駆動制御装置111、112として上記の実施の形態に係るモーター駆動制御装置が用いられている。
以上のように、本実施の形態2に係る空気調和機は、上記の実施の形態1のモーター駆動制御装置を圧縮機100及び送風機106、107を制御対象として適用しているが、この場合についても上記の実施の形態1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0061】
実施の形態3.
なお、上記の実施の形態2は空気調和機の例であるが、本発明は冷蔵庫又は冷凍庫のモーターの駆動制御においても同様に適用される。
図18は、本発明の実施の形態3に係る冷蔵庫の構成を示す図である。冷蔵庫200は、図13と同様な冷媒回路(但し、四方弁は不要)を備えており、この冷媒回路により冷凍サイクルを構成している。冷蔵庫200は、図14の例では、冷凍サイクルの一部を構成する冷媒圧縮機201、冷却室202内に設けられた冷却器203で生成された冷気を冷蔵室、冷凍室等に送るための冷気循環用の送風機204を備えている。そして、この冷媒圧縮機201及び冷気循環用の送風機204は、上述した実施の形態1のモータ駆動制御装置により制御されるモーターにより駆動される。このような構成によりモーターを運転させても、上記実施の形態1と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0062】
以上、本発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1 三相交流電源、2 三相整流器、2a〜2f 整流ダイオード、3 昇圧コンバーター部、4 リアクター、5 スイッチング素子、6 逆流防止素子、7 平滑コンデンサー、8 母線電流検出部、9 出力電圧検出部、10 スイッチング制御手段、10a 不平衡成分検出部、11 母線電流高調波成分抽出部、12 インバーター回路、12a〜12f スイッチング素子、13 モーター電流検出部、14 インバーター駆動手段、15 モーター、16 逆流防止素子、17 開閉手段、18 インバーター電流検出部、19 不平衡成分検出部、21 母線電流指令値演算部、22 オンデューティー演算部、23 駆動パルス生成部、24 FFT部、25 高調波成分復調部、31 電流座標変換部、32 電流制御部、33 電圧座標変換部、34 PWM生成部、35 すべり補償部、36 速度制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流電源を整流する三相整流器と、
リアクター、スイッチング素子及び逆流防止素子を備え、前記三相整流器の出力電圧をチョッピングにより昇圧する昇圧コンバーター部と、
前記昇圧コンバーター部のスイッチング素子を制御するスイッチング制御手段と、
前記昇圧コンバーター部の出力を平滑する平滑コンデンサーと、
前記昇圧コンバーター部の出力である直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧をモーターに供給するインバーター回路と、
前記インバーター回路を駆動するインバーター駆動手段と、
母線電流を検出する母線電流検出部と、
前記昇圧コンバーター部の出力電圧を検出する出力電圧検出部と
前記出力電圧検出部の出力に基づいて前記三相交流電源の不平衡を検出する不平衡成分検出部と
を備え、
前記スイッチング制御手段は、
前記昇圧コンバーター部の出力電圧指令値と、前記出力電圧検出部により検出した前記昇圧コンバーター部の出力電圧値との偏差及び前記三相交流電源の不平衡をゼロとするべく母線電流指令値を決定し、
前記母線電流指令値と前記母線電流検出部により検出した母線電流値との偏差をゼロとするべく、前記スイッチング素子のオンデューティーを決定し、
三相交流電源からの入力電流が平衡となるよう制御を行うことを特徴とするモーター駆動制御装置。
【請求項2】
前記スイッチング制御手段は、前記母線電流検出部の出力に基づいて前記三相交流電源における欠相を検出し、前記三相交流電源の欠相時には前記スイッチング素子をオフとし、前記昇圧コンバーター部の動作を停止させることを特徴とする請求項1記載のモーター駆動制御装置。
【請求項3】
前記スイッチング制御手段は、前記母線電流検出部の出力に基づいて前記三相交流電源における欠相を検出し、前記三相交流電源の欠相時には出力が低出力となるように前記スイッチング素子のオンデューティーを制御することを特徴とする請求項1記載のモーター駆動制御装置。
【請求項4】
前記インバーター駆動手段は、前記インバーター回路における各スイッチング素子をPWM変調により制御し、変調率が1以上となる過変調領域まで制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項5】
前記スイッチング制御手段は、過変調領域にて動作時、前記昇圧コンバーター部の出力電圧を検出するために設けられた出力電圧検出部と出力電圧指令値との差に基づいて求められる母線電流指令値と、前記母線電流検出部にて検出した母線電流との差に基づいて求められる前記スイッチング素子のオンデューティーを、前記インバーター駆動手段における変調率に基づいて補償して、前記スイッチング素子を動作させる駆動パルスを生成することにより、インバーター出力電圧を制御することを特徴とする請求項4記載のモーター駆動制御装置。
【請求項6】
前記インバーター駆動手段は、前記平滑コンデンサーの電圧リプルを低減するように、前記インバーター回路のスイッチング素子を制御するスイッチングパターンを出力することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項7】
前記スイッチング制御手段は、前記インバーター駆動手段においてゼロベクトルに相当するスイッチングパターンが出力された場合には、前記スイッチング素子をオンとすることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項8】
前記スイッチング制御手段は、前記インバーター回路又は前記モーターの消費電力に基づいて、制御定数を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項9】
前記スイッチング制御手段は、前記インバーター回路の電流を検出するために設けられたインバーター電流検出部の出力に基づいて制御定数を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項10】
前記スイッチング制御手段は、前記モーターの電流を検出するために設けられたモーター電流検出部の出力に基づいて制御定数を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項11】
前記スイッチング制御手段は、構成の全てまたは一部がアナログICにて実現されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項12】
前記スイッチング素子又はインバーター回路におけるスイッチング素子の少なくとも1つをSiC又はGaN等を用いた半導体によるスイッチング素子又はスーパージャンクション構造のスイッチング素子のいずれかを使用したことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項13】
前記三相整流器における整流ダイオード又は前記逆流防止素子の少なくとも1つはSiC又はGaN等を用いた半導体によるダイオードから構成されていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のモーター駆動制御装置を複数並列に備え、複数のモーターを駆動することを特徴とするモーター駆動制御装置。
【請求項15】
前記インバーター回路により駆動されるモーターを備え、
前記モーターは、前記昇圧コンバーター部の最大出力電圧値に対応した巻数を備えていることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載のモーター駆動制御装置。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載のモーター駆動制御装置と、
そのモーター駆動制御装置によって駆動されるモーターと
を備えたことを特徴とする圧縮機。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載のモーター駆動制御装置と、
そのモーター駆動制御装置によって駆動されるモーターと
を備えたことを特徴とする送風機。
【請求項18】
請求項16に記載の圧縮機及び請求項17に記載の送風機の少なくとも一方を備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項19】
請求項16に記載の圧縮機及び請求項17に記載の送風機の少なくとも一方を備えたことを特徴とする冷蔵庫又は冷凍庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−231672(P2012−231672A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161612(P2012−161612)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2009−235316(P2009−235316)の分割
【原出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】