説明

モーター駆動用DC−DCコンバータ

【課題】入力側の電源の電圧及び出力側の電圧が、負荷で大きく変動するような状況で使用可能なDC−DCコンバータであって、大容量の電源あるいは大容量の二次電池を使用せずに、負荷が大きいときには、電源から供給される電力を超える電力を出力することが可能なDC−DCコンバータを提供する。
【解決手段】交流電源の出力を整流する整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された主チョークコイル及び主スイッチと、を含むDC−DCコンバータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータに関し、特に、モーター駆動回路への電力供給に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から直流高電圧の電源を、より低い電圧の直流定電圧電源に変換する、DC−DCコンバータが知られている。このようなDC−DCコンバータでは、電流容量が大きく電圧が高い直流電源を用いて、負荷電流に応じてスイッチ素子のオンの間隔を制御するPWM方式により、電力ロスを無視して所定の直流定電圧を作る。
【0003】
一方、すでに、チョークコイルを用いる直流定電圧DC−DCコンバータが知られている。この場合、チョークコイルは高周波遮断フィルターであると共に、スイッチングにより作った矩形波の凸の部分でコイルにエネルギーを蓄積し、凹の部分で電流を供給して出力を平坦にするために用いられた。
【0004】
例えば大電力を必要とする電気自動車のモーターの駆動では、加速時に大きな電力供給を必要とする。このような状況に対応するために、電気2重層型コンデンサ、いわゆるスーパーキャパシタを二次電池と並列接続して二次電池の定格電圧の1.4倍程度の同じ電圧で充電し、コンデンサの高周波特性が二次電池に比べて優れることを利用して、コンデンサに蓄積された電荷を加速時の大電力供給に用いる可能性が示されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、電気自動車用のように、電源側の容量が限られ、負荷変動が大きいため、既存のDC−DCコンバータでは入力側の電源電圧と、モーターへ出力する二次電池の電圧が、大幅に変動するような状況では、電源の容量が十分で一定電圧であり、かつ負荷変動が小さいことを条件とするPWM方式では対応できないという問題があった。
【0006】
二次電池とそれに接続されたモーターを駆動するには、大容量の電源と二次電池を用いれば実現できる。しかし、例えば、重量が250Kg以下の小型電気自動車等の限られた重量とコストのシステムでは、大容量の電源と二次電池の大量使用による解決はコストと重量の面で好ましくないという問題があった。
【0007】
例えば、電気自動車を加速する際、その加速度は駆動するモーターの出力トルクに比例する。モーターのトルクはモーターに供給される瞬時電力に比例する。車載二次電池から十分な瞬時電力を供給するには、電池の内部抵抗を減らすために十分な電極面積が必要であり、この結果二次電池容量は大きくなる。二次電池容量が大きくなることは、電池重量が増加し、これを支える車体構造の大型化をまねき、コスト増加の根本的な原因となるという問題があった。
【0008】
電気自動車は加速時に負荷が大きくなり、発電機等の電源から供給される電力を超える電力をモーターに供給しなければならず、従来は発電機出力を蓄える二次電池の容量を大きくすることで対応したため重量増加を招いた。そのような状況に対処する、加速時の大電力負荷を供給するDC−DCコンバータの発明が望まれている。
【0009】
すなわち、入力側の電源の電圧及び出力側の電圧が、負荷で大きく変動するような状況で使用可能なDC−DCコンバータであって、大容量の電源あるいは大容量の二次電池を使用せずに、負荷が大きいときには、電源から供給される電力を超える電力を出力することが可能なDC−DCコンバータが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本願発明の一実施形態に従うDC−DCコンバータは、交流電源の出力を整流する整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された主チョークコイル及び主スイッチと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上述の課題を解決するために、本願発明の一実施形態に従うDC−DCコンバータの制御方法は、電源に接続され、電源からの出力を整流する整流回路と、前記整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、前記整流回路と前記コンデンサの間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、を含むDC−DCコンバータの制御方法であって、
前記整流回路の前記出力の電圧と前記コンデンサの端子電圧との電位差と半導体スイッチに流れる電流に基づいて前記副半導体スイッチを制御するステップ、
前記コンデンサの端子電圧と前記二次電池の電位差の関数とてし、前記主半導体スイッチ回路の駆動周波数を変化して主チョークコイルのインピーダンスを制御するステップ、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が搭載されるエンジン発電機を電源とするモーター駆動小型自動車の概略図である。
【図2】本発明に従うモーター駆動小型自動車の走行時のコンデンサ、二次電池の電力制御関係の図である。
【図3】本発明に従うDC−DCコンバータの実施形態を示す図である。
【図4】本発明に従うDC−DCコンバータを用いた、定常動作時の副スイッチ制御方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に従うDC−DCコンバータを用いた、定常動作時の主スイッチ制御方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明に従うDC−DCコンバータを用いた家庭用コンセントを電源として用いた充電時の主スイッチ制御方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明に従うDC−DCコンバータの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の全般的な説明)
本発明の実施形態に従うDC−DCコンバータは、交流電源の出力を整流する整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された主チョークコイル及び主スイッチと、を含むことを特徴とする。
【0014】
このような構成のDC−DCコンバータは、整流回路の過電流を防ぐために、整流回路とコンデンサの間に直列に接続された副チョークコイルと、高電圧で充電されたコンデンサの電荷を加速時の瞬時電力源として使用するための、コンデンサと二次電池の間に直列に接続された主チョークコイルを配置し、二次電池とモーターに過電圧をかけずにモーターに大電力を与えるため、独立に制御してチョークコイルのインピーダンスを変化し、電力損失無しに電圧を降下させることができる。
【0015】
主チョークコイルには、電流遮断時にコイルに発生する逆起電力で二次電池、コンデンサあるいはスイッチに過電圧が印加されることを防ぐために、二次電池側をアノードとしてダイオードをコイルに並列に接続しても良い。
【0016】
このような構成のDC−DCコンバータは、 充電電流は全位相で正方向であるが、直流レベルのシフトを、チョークコイルの電流変動の周波数に比例するインピーダンス変化を利用して実現することができる。
【0017】
このような構成のDC−DCコンバータは、大きな負荷変動によるDC−DCコンバータの出力変動を、電気二重層型などの大容量コンデンサを用いて平準化をおこない、コンデンサに蓄積した電力を制御することで出力制御が可能になり、電源の供給できる最大電力を有効に利用することができる。
【0018】
本発明の別の実施形態に従うDC−DCコンバータは、電源はモーターの最大消費電力に比べて大幅に出力の小さなエンジン発電機であることを特徴とする。
【0019】
また、このようなDC−DCコンバータを電気自動車に応用すれば、電源の供給できる最大電力を有効に利用することができるので、二次電池容量が大きくなくても済む。これによって、電気自動車の製造コストを抑制することができる。
【0020】
本発明の別の実施形態に従うDC−DCコンバータは、交流電源に接続され、電源からの出力を整流する整流回路と、前記整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、前記整流回路と前記コンデンサの間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された主チョークコイル及び主スイッチと、を含むことを特徴とする。
【0021】
このような構成のDC−DCコンバータは、整流回路の過電流を防ぐために、整流回路とコンデンサの間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、高電圧で充電されたコンデンサの電荷を加速時の瞬時電力源として使用するための、コンデンサと二次電池の間に直列に接続された主チョークコイル及び主スイッチを配置し、二次電池とモーターに過電圧をかけずにモーターに大電力を与えるため、独立に制御してチョークコイルのインピーダンスを変化し、電力損失無しに電圧を降下させることができることを特徴とする。
【0022】
このような構成のDC−DCコンバータは、発電機から出力される限られた電力量に比べて、モーターの出力電力の変化量が大きくてもコンデンサを利用して平準化をおこなう。コンデンサに電源からの電力を充電し、この蓄えた電力を使って短時間の大電力出力を行うことで、発電機の供給できる電力を有効に利用することができる。
【0023】
本実施形態に従うDC−DCコンバータでは、車載発電機の容量内で、自動車の加速、定速運転、停止の運転モードの変化に伴う駆動電力変動を平準化する電力制御システムを構築し、二次電池容量を大幅に減少させることで、低価格化、低重量化を達成することができる。
【0024】
また、上述の課題を解決するために、本願発明の一実施形態に従うDC−DCコンバータの制御方法は、電源に接続され、電源からの出力を整流する整流回路と、前記整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、前記整流回路と前記コンデンサの間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、を含むDC−DCコンバータの制御方法であって、
前記整流回路の前記出力の電圧と前記コンデンサの端子電圧との電位差と半導体スイッチに流れる電流に基づいて前記副半導体スイッチを制御するステップ、
前記コンデンサの端子電圧と前記二次電池の電位差の関数とてし、前記主半導体スイッチ回路の駆動周波数を変化して主チョークコイルのインピーダンスを制御するステップ、を含むことを特徴とする。
【0025】
ここで、電源はエンジン発電機であり、DC−DCコンバータはモーターに接続され、モーターは電気自動車の動力を提供しても良い。
【0026】
エンジン発電機としては定格900Wクラスの電力を発生する発電機を例示し、モーターとしては定格600W、最大電力は4KWを例示することができる。
【0027】
本実施形態の場合、発電機の出力電圧は二次電池の定格電圧の2〜5倍に設定しコンデンサを充電しても良い。
【0028】
コンデンサに蓄えられた、コンデンサと二次電池の電圧差とコンデンサ容量の積で表される電荷は、電気自動車の加速用の瞬時電力として供給されても良い。
【0029】
コンデンサは、最大加速する5〜10秒間の電力を供給するに足る容量を選択することが好ましい。
【0030】
二次電池は、重量低減を目的として急加速後10分間の緩やかな加速に要する電力を供給するに足る容量に制限することが好ましい。
【0031】
発電機の能力は、40〜60Km/Hの定速運転に要する量をわずかに上回る程度とすれば、従来のハイブリッド車のような大きな出力の発電機を使用する必要がなく、小型化と軽量化に貢献することができる。
【0032】
また、発電機出力が小さく、モーターを最大電力で使用した場合10分程度でキャパシタンスと二次電池に蓄積した電力を使い切るため、モーターを破損する連続高出力運転状態が起こらなくすることができる。
【0033】
また、本発明に従うDC−DCコンバータを用いた駆動回路は、高電圧キャパシタを使った無損失電力供給系であるので、電気自動車の価格と重量を押し上げる原因となるリチウムイオン等の二次電池容量を10分の1程度に減らし、通常の加速、定速走行、停止の組み合わされるパターンでの走行には必要十分な電力をモーターに供給することができる。
【0034】
さらに本発明により、リチウムイオン等の二次電池を、例えば、従来の小型電気自動車で使用される鉛二次電池等で代用することができ、コスト的なアドバンテージを得ることができる。
【0035】
また、二次電池の積載量が少なくなるため、車体構造を小型化できる。この結果、使用する構造材料の削減量の2乗に比例して低下する強度に対して、削減の3乗に比例して車体重量が減るため、車体重量を大幅に下げることが可能になる。
【0036】
電池および車体構造の双方の大幅な重量削減により、車体走行時の転がり抵抗が減り、走行に必要な電力量が重量低減に比例して減少し、エネルギー利用効率を改善することができる。
【0037】
発電機のエンジンを定格出力の最適燃費効率条件で使用する時間が長いため、エネルギー利用効率を向上させることができる。
【0038】
走行負荷の変動による大きな電圧変動を担うのはコンデンサであり、コンデンサは二次電池に比べて電圧変動による劣化が僅かである。二次電池を小型化しても大きな電圧変動条件での使用が減り、二次電池の寿命を延ばすことができる。
【0039】
コンデンサの利用効率を高めて供給する電荷量を増やすため、コンデンサと二次電池の電圧差を大きく設定する。コンデンサの動作時の最大電圧を二次電池の定格電圧の2〜5倍にするため、従来のPWM方式では二次電池に耐圧を大幅に超える電圧がパルスごとに印加され二次電池を劣化させる。本方式ではチョークコイルで過電圧を吸収して二次電池に過電圧が印加されること無く、コンデンサとの電圧差による電荷で十分な瞬時電力をモーターに供給することができる。
【0040】
本発明の別の実施形態に従うDC−DCコンバータの制御方法は、都市部での頻繁な停車時での発電電力、あるいは山間部の低速運転時の余剰発電電力を使って、コンデンサと二次電池を充電することを特徴とする。
【0041】
(図示された実施形態の説明)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。複数の実施形態で、類似の要素又は類似の機能を果たす要素に対しては、同一の参照符号を付与し、重複した説明を省略する。
【0042】
(第一実施形態)
図1は、本発明が搭載されるエンジン発電機を電源とするモーター駆動小型自動車の概略図である。図1に示されているモーター駆動小型自動車は、例えば、ガソリン燃料によって駆動されるエンジン発電機、モーター、及び2次電池を搭載している。
【0043】
図2は、本発明に従うモーター駆動小型自動車の走行時のコンデンサ、二次電池の電力制御関係の図で、走行時の電力供給量を示す。図2では、左より、停止時はコンデンサと二次電池は満充電で、発電機出力は最低である。急加速時はコンデンサが瞬時電力の大部分を供給し緩い加速では発電する電力が加速に要する電力を上回るため、まずコンデンサに充電する。定速走行の巡航速度時はコンデンサと二次電池を充電後は発電量を減らす。再度の加速でもコンデンサの電力をまず使い、二次電池の電力消費は少ない。低速運転ではさらに発電機出力を低下させる。
【0044】
図3は、エンジンを発電機駆動専用とした、図1に図示されるモーター駆動の重量250Kg以下の小型自動車において用いられるDC−DCコンバータ回路である。
【0045】
本実施形態に従うDC−DCコンバータは、整流回路120.副チョークコイル140、副半導体スイッチ160、コンデンサ180、主チョークコイル180、主半導体スイッチ220、二次電池240、並びに副半導体スイッチ160及び主半導体スイッチ220の制御回路1000を含んでいる。チョークコイルのインピーダンス増加による電圧降下は、抵抗による電圧降下と違い電力損失が無い。二次電池240の端子は、例えば、モーター500を駆動する電力回路260に接続される。スイッチをオープンにした際にチョークコイルに発生する逆電圧によりスイッチあるいは二次電池に過電圧が印加されることを防ぐため、ダイオード210のアノードを二次電池側にしてチョークコイルに並列に配置する。
【0046】

整流回路120の負極出力と大容量コンデンサ180の負極と二次電池240とモーター500の負極を直結してアース母線を形成する。
【0047】
整流回路120の端子Aに、副チョークコイル140を介して副半導体スイッチ160を接続し、スイッチ160の出力を大容量コンデンサ180の一端に接続する。大容量コンデンサ180とは、例えば、耐圧3.8V、500ファラッドの電気二重層コンデンサを38個直列に端子の正負を同一方向にそろえて結合したもので、合成容量は13.2ファラッドとなる。
【0048】
副半導体スイッチ160は、サイリスタ、npn型パワートランジスタ、IGBTのいずれかを使用し、サイリスタのアノード、パワートランジスタあるいはIGBTのコレクタを副チョークコイル140に接続し、サイリスタのカソード、パワートランジスタあるいはIGBTのエミッタをコンデンサ180の端子に接続し、サイリスタとIGBTのゲートあるいはパワートランジスタのベースを制御用のマイクロコンピュータ1010の出力端子に接続する。
【0049】
副半導体スイッチ160の制御方式は整流回路120の出力端子の電圧VAとコンデンサ180の端子電圧VCを比較しVA>VCの時スイッチをオンとする。VA≦VCの時で充電電流がゼロの時にスイッチをオフとすることで、チョークコイル140に逆起電力を生じること無くスイッチのオフが行われ、エネルギーロスが無くなる。
【0050】
副半導体スイッチ回路160の制御は、マイクロコンピュータ1010を用いたディジタル方式とする。
【0051】
整流回路120の端子電圧A、CをマイクロコンピュータのADコンバータ入力端子にそれぞれ接続する。電流検知回路は、コンデンサから二次電池への配線の周囲に導線を数回巻き、導線の両端をOPアンプ回路のプラスおよびマイナス入力端子に接続し、マイナス入力端子と出力端子の間を抵抗素子で結合して負帰還回路を構成し、電流値を検出する。この出力電圧をマイクロコンピュータ1010のADコンバータ端子に入力する。
【0052】
初期状態として、半導体スイッチ160への出力はコンデンサ180の端子電圧Vと同じのゼロの状態とする。AC間の電圧を比較し、VA>VCになった時に、マイクロコンピュータ1010から半導体スイッチ160への出力端子をVに対して正の電圧として半導体スイッチをオンとする。電流値が正の間はこの状態を維持し、電流値がゼロになった時に出力端子をオフの出力とする。これで初期状態に復帰して、再びAC間の電圧を比較する。
【0053】
コンデンサ180の端子を、主チョークコイル200を介して主半導体スイッチ220に接続する。
【0054】
主半導体スイッチ回路220の制御は、マイクロコンピュータ1020を用いたディジタル方式とする。
【0055】
主半導体スイッチ220は、npn型パワートランジスタ、GTO、IGBTのいずれかを使用し、GTOのアノード、パワートランジスタあるいはIGBTのコレクタを主チョークコイル200に接続し、GTOのカソード、パワートランジスタあるいはIGBTのエミッタを二次電池240のプラス端子に接続し、GTOとIGBTのゲートあるいはパワートランジスタのベースを制御用のマイクロコンピュータ1020の出力端子に接続する。
【0056】
主チョークコイル200は主半導体スイッチ220で電流をオンオフすることで、二次電池240に過大な充電電流が流れ込まぬように制限し、モーター制御回路260に過電圧が印加されることを防ぐ。
【0057】
主半導体スイッチ220を制御するマイクロコンピュータ1020は、モーター制御回路260が必要とする電力量Pをアクセル信号1030から受け、二次電池240の端子の電圧値で電力量を割り算して電流量Iを定める。
【0058】
コンデンサ180の端子の電圧と、二次電池240の端子の電圧差を、主のチョークコイル200の電圧降下で負担して二次電池240のB端の電圧が定格電圧の1.4倍となるように、半導体スイッチ回路220のオンオフの周波数を定める。
【0059】
尚、本実施形態に従うDC−DCコンバータは副スイッチ160及び主スイッチ220を含むが、これら両方のスイッチ又はいずれかのスイッチは省略されても良い。
【0060】
(第二実施形態)
図7は、エンジンを発電機駆動専用とした、図1に図示されるモーター駆動の重量250Kg以下の小型自動車において用いられるDC−DCコンバータ回路である。
【0061】
副スイッチ160の制御回路はマイクロコンピュータ1010を用いたディジタル方式とする。回路主スイッチ回路220の制御回路は、マイクロコンピュータ1020を用いたディジタル方式とする。
【0062】
端子A、C、Bをマイクロコンピュータ1010と1020のADコンバータの入力端子に接続する。電気自動車のアクセルの信号をADコンバータの入力端子に接続する。電流検知回路は、コンデンサから二次電池への配線の周囲に導線を数回巻き、導線の両端をOPアンプ回路のプラスおよびマイナス入力端子に接続し、マイナス入力端子と出力端子の間を抵抗素子で結合して負帰還回路を構成し、電流値を検出する。この出力電圧をそれぞれのマイクロコンピュータのADコンバータ端子に入力する。
【0063】
副の半導体スイッチ回路160は、マイクロコンピュータ1010のサンプリング周波数を0.05ms以上として、整流器120の出力端子とコンデンサ180の端子の電圧および、整流器120の出力端子とコンデンサ180の端子の間を接続する配線の電流を監視して、スイッチングのタイミングを決定する。
【0064】
主の半導体スイッチ220の制御回路は、マイクロコンピュータ1020のモーター駆動電力、各端子電圧情報の取り込みを、10msごとに行い周波数決定までの計算時間を1ms以内に行い、発電機の交流電源の各半波ごとに制御条件の更新を行い、主半導体スイッチ220の制御周波数を決定する。
【0065】
発電機400の交流出力を両波整流回路120に接続し、副の半導体スイッチ回路160を経て、直流脈流電力で電気2重層型などの大容量コンデンサ180を充電する。整流回路120とコンデンサ180と二次電池240とモーター500の負極端子を直結して、いわゆる負アースとする。
【0066】

出力電圧100V、出力電力900Wのエンジン駆動発電機の出力を、耐圧566V以上、最大電流1000A以上のダイオードで構成した両波整流回路120に接続する。整流回路120の陽極端子から1〜10ミリヘンリーの副チョークコイル140を介して、整流回路120の出力を取り出す。50Hzの交流の場合、チョークコイル140のインピーダンスは0.312〜3.12Ωとなる。これにより、整流回路120の負荷となる大容量コンデンサ180の端子電圧がゼロの場合でも、整流回路120に流れる瞬時最大電流は452A〜45.2Aとなる。実効電流は320A〜32.0Aとなり、この際10ミリヘンリーとすれば、整流回路の過電流を防ぐことが出来る。
【0067】
コンデンサ180の端子の電圧が141Vの時、二次電池240の端子の定格電圧48Vまでの電圧差93Vと容量13.2ファラッドのコンデンサ180に蓄積されている電荷量は1228クーロンであり、コンデンサ180だけで最大電力4KWのモーターに48V、83Aの電力を14.8秒間供給できる。これに900Wの発電機の電力を加えれば19秒間の最大加速が可能となり、このコンデンサと発電機で小型電気自動車はエンジン付きの普通自動車と伍して走行することが可能となる。二次電池240は、連続の急な上り坂などのための緊急用電力源と位置づけることが出来る。
【0068】
急加速のよる電力消費で48Vまで低下したコンデンサの端子電圧を再び充電して141Vへの回復は、停車あるいは低速運転時に発電機に生じる余剰電力で行なう。
【0069】
コンデンサ180の端子電圧Vと二次電池240の端子電圧Vとの差をVBCとして、モーターへの供給電力PをVで割り供給電流IMとする。チョークコイルの値をLヘンリーとすれば、半導体スイッチ回路1020の周波数は、
f = VBC/(2π・IM・L)
となる。直流電源をスイッチで電流をオンオフするため、実効値は1/2であるため、2倍の電流を供給するためには周波数fは1/2の周波数とする。
【0070】
モーターが定格電力以上で稼働中であれば、Vを二次電池の定格電圧の1.4倍として、主チョークコイルの電圧効果を減らして予め二次電池へ電荷を蓄え、大電力の消費に備える。
【0071】
二次電池180の過充電を防ぐため、モーターが定格電圧以下で動作中にVが定格電圧の1.4倍以上であれば、二次電池は満充電であるとする。この時にPが10W以下であればスイッチ220はオンとしない。
【0072】
モーターの消費する電力がモーターの最大電力に近く、コンデンサに蓄積された電荷量が減少してVがV近くまで減ったときは、主半導体スイッチ220の制御は、周波数を減少させず、半導体スイッチのオンしている時間幅を伸ばす、いわゆるPWM制御方式に移行させ、チョークコイルが持つ電流維持の機能を使い、モーターへの電力供給を円滑にすることもできる。
【0073】
二次電池240の充電を駐車中はエンジン発電機を使用すること無く行えるように、外部の交流100V電源からいわゆる家庭用コンセントで充電する端子を発電機の出力部に設ける。
【0074】
家庭用コンセントからコンデンサ180と二次電池240を充電する場合は、アクセル信号P値をエンジン発電機の定格出力電力として設定し、二次電池へ急速充電を行なう。Vが二次電池の定格電圧の1.4倍を越える時は、Pの値を1/2として供給電流を減らす。これを繰り返して、Iが定格出力電流の5%以下になった時に主スイッチをオフとして充電を終了する。
【0075】
本願発明の主および副の、チョークコイルと半導体スイッチを配置する順序はいずれの素子が先でも、効果に変わりはない。
【0076】
(作用効果)
高電圧キャパシタを使った無損失電力供給系の発明により、電気自動車の価格と重量を押し上げる原因となるリチウムイオン等の二次電池を、従来の小型電気自動車の10分の1以下の価格の鉛二次電池で代用できる。
【0077】
大容量コンデンサに要する重量増加は無視でき、コンデンサ使用によるコスト上昇は電池コスト削減分に比較すれば非常に小さい。
【0078】
二次電池の積載量が少なくなるため、車体強度を下げ小型化できる。この結果、使用する構造材料の削減量の2乗に比例して低下する強度に対して、削減の3乗に比例して車体重量が減るため、重量を大幅に下げることが可能になる。
【0079】
電池および車体構造の双方の大幅な重量削減により、車体走行時の転がり抵抗が減り、走行に必要な電力量が重量低減に比例して減少し、エネルギー利用効率も改善される。
【0080】
車体の小型化に伴い、前面投影面積が減少し、空気抵抗が減ることで、速度の2乗に比例して走行抵抗が減少する。
【0081】
エンジン発電機を一定負荷の最適燃費効率条件で使用する時間が長いため、エネルギー利用効率が向上する。
【0082】
二次電池量の削減、発電機の小型化と効率的な運用、車体重量の減量化により、都市内や山間地などの環境で用いる場合、エネルギー使用量が減り、材料を含む環境コストが通常の電気自動車や並列型ハイブリッド車より削減される。
【0083】
車載エンジン発電機の発生する電力をコンデンサへ充電して時間的な平準化をおこない、コンデンサに蓄積した電力を制御することでモーターの最適制御が可能になり、出力電力の変動が大きくても発電機の供給できる最大電力を有効に利用することができる。
【0084】
走行負荷の変動による大きな電圧変動を担うのはコンデンサであり、コンデンサは二次電池に比べて電圧変動による劣化が僅かである。二次電池を小型化しても大きな電圧変動条件での使用が減り、二次電池の寿命が延びる。
【0085】
従来の小型電気自動車が4時間程度の使用で充電を必要としたのに対して、小型のエンジン発電機を使用することで、充電の必要が無くなる。
【0086】
軽量化により、電気自動車の車体に高価な材料や、高度な製造技術が不要となり、ローテク、ローコストの町工場技術で自動車を製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の出力を整流する整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、
前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、
前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された主チョークコイル及び主スイッチと、
を含むDC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記交流電源はエンジン発電機である、請求項1のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
電気自動車に搭載される、請求項1又は2のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
電源に接続され、電源からの出力を整流する整流回路と、
前記整流回路からの出力を蓄電するコンデンサと、
前記コンデンサと並列に接続された二次電池と、
前記整流回路と前記コンデンサの間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、
前記コンデンサと前記二次電池の間に直列に接続された副チョークコイル及び副スイッチと、
を含むDC−DCコンバータの制御方法であって、
前記整流回路の前記出力の電圧と前記コンデンサの端子電圧との電位差と半導体スイッチに流れる電流に基づいて前記副半導体スイッチを制御するステップ、
前記コンデンサの端子電圧と前記二次電池の電位差の関数とてし、前記主半導体スイッチ回路の駆動周波数を変化して主チョークコイルのインピーダンスを制御するステップ、
を含む方法。
【請求項5】
前記電源はエンジン発電機であり、二次電池からの出力はモーターを駆動する、請求項4のDC−DCコンバータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−23803(P2012−23803A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157787(P2010−157787)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(598119131)越後札紙株式会社 (9)
【Fターム(参考)】