モータ制御装置
【課題】モータ電気角及びモータ電流のサンプリングが不等間隔になってもトルク変動をなくすことができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】キャリア周期可変部6は、PWM制御部18が使用するキャリア周期を変更することにより、インバータ2が発生する高調波のスペクトルを拡散させる。電気角補償部15は、キャリア周期可変部6が変更したキャリア周期に応じて、角度センサ5が検出したモータ3の電気角を補償した電気角を2相/3相変換部14へ出力する。PWM制御部18は、2相/3相変換部14が出力する3相電圧目標値となるように、キャリア周期可変部6が変化させたキャリア周期でインバータ2を制御する。
【解決手段】キャリア周期可変部6は、PWM制御部18が使用するキャリア周期を変更することにより、インバータ2が発生する高調波のスペクトルを拡散させる。電気角補償部15は、キャリア周期可変部6が変更したキャリア周期に応じて、角度センサ5が検出したモータ3の電気角を補償した電気角を2相/3相変換部14へ出力する。PWM制御部18は、2相/3相変換部14が出力する3相電圧目標値となるように、キャリア周期可変部6が変化させたキャリア周期でインバータ2を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータの出力電力をデジタル制御することによりモータを制御するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータの出力電力をデジタル制御することにより、3相モータを制御する3相交流モータデジタル制御装置は、例えば特許文献1に記載の構成が知られている。
【0003】
この従来のデジタルモータ制御装置は、モータ電気角とモータ電流値を所定のサンプリング周期毎に取得し、モータ電気角からモータ回転数を算出し、このモータ回転数とトルク指令値に応じてd軸、q軸電流指令値を設定する。次いで、この電流指令値に基づいてPI制御によりd軸、q軸電圧指令値を設定し、2相/3相変換によりU,V,W各相の電圧指令値に変換し、PWM制御によってモータ電流を制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−332298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のデジタル制御方法において、インバータの高調波に起因する雑音の影響を低減するために、PWMキャリアの周波数を可変とすると、モータ電気角とモータ電流値のサンプリングが不等間隔になるために、制御周期も不等間隔となり、d軸q軸電圧指令値から2相/3相変換によりU,V,W各相の電圧指令値を演算する1制御周期の間にモータ電気角が進む量も変化することにより、d軸、q軸の2相電流値も変化し、トルク変動が発生するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、モータ電気角、モータ電流を不等間隔にサンプリングして取り込み、制御演算に用いるモータデジタル制御においても、トルク指令値と実トルク平均値との偏差をうち消し、トルク変動をなくすことができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、モータに電力を供給する電力変換装置と、電力変換装置がモータに供給する電力を制御することによりモータを制御するモータコントロールユニットと、モータ電流を検出する電流検出手段と、モータ電気角を検出する電気角検出手段と、を有するモータ制御装置において、前記モータコントロールユニットは、モータに対するトルク指令値とモータの回転数から電流指令を発生し、電流指令に基づいて前記電力変換装置に制御信号を出力するPWM制御手段のキャリア信号の周波数を可変とし、キャリア周期に同期してモータの電気角及びモータの電流のサンプリングを行い、キャリア周期可変手段が変化させたキャリア周波数に応じて補償された電気角により電力変換装置を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のモータ制御装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】実施例1の電気角補償部の詳細を説明するブロック図である。
【図3】実施例1が制御するモータの例を説明する図である。
【図4】(a)実施例1のキャリア周波数可変部が出力するキャリア周波数の時間変化、(b)実施例1のキャリア周波数可変部が出力するキャリア信号の波形例を説明する図である。
【図5】実施例1が制御するモータを説明する図である。
【図6】(a)実施例1のキャリア周波数可変部が出力するキャリア周波数の時間変化、(b)実施例1の電気角補正値演算部の出力、(c)実施例1のキャリア周期変動分演算部の出力を説明する図である。
【図7】実施例2のモータ制御装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図8】実施例2の電気角補償部の処理を説明するタイムチャートである。
【図9】(a)キャリア周波数可変部によって変化したキャリア周波数の時間変化、(b)実施例2の平均電気角演算部の出力を説明する図である。
【図10】実施例3のモータ制御装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図11】(a)実施例3における速度制御処理のフローチャート、(b)実施例3における電流制御処理のフローチャートである。
【図12】実施例4のモータ制御装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図13】実施例4の電気角補償部の処理を説明するタイムチャートである。
【図14】実施例4における外部入力、キャリア周波数、キャリア周期変動分補償後の電気角、外部入力遅延補償後の電気角を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施例は、特に限定されないが、ハイブリッド車や電気自動車のモータ制御に好適な実施例である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係るモータ制御装置の実施例1を示すブロック図である。図1において、制御対象のモータ3を制御するモータ制御装置は、モータ3へ3相電力を供給するインバータ2と、インバータ2からモータ3へ供給する電流を検出する電流センサ7u,7wと、モータ3の電気角を検出する角度センサ5と、角度センサ5が検出した電気角と外部から与えられるトルク指令値に基づいてインバータ2を制御するモータコントロールユニット1とを備えている。
【0012】
角度センサ5はモータ3のモータ電気角θを検出し、電流センサ7u,7wはモータ3の3相電流の内U,W相の電流値Iu,Iwを検出する。インバータ2は、モータコントロールユニット1の指令値に基づきモータ駆動電力をモータ3へ供給する。
【0013】
モータコントロールユニット1は、角度センサ5の検出するモータ電気角θと電流センサ7u,7wの検出する電流値Iu,Iwとを用いて、モータ3に供給されるモータ電流をフィードバック制御するものである。
【0014】
なお、この図1の構成は、従来例のデジタル制御装置に対して、キャリア周期可変部6、電気角補償部15の部分が新規なものであり、その他の要素については共通する。なお、現実にはモータコントロールユニット1が1つのマイクロコンピュータにより構成され、制御演算プログラムにより図1に示す各部の演算処理を実行するものであるが、ここでは機能構成を分けて示してある。
【0015】
以下、このモータコントロールユニット1によるモータ3のデジタル制御方法について説明する。モータコントロールユニット1は角度センサ5、電流センサ7u,7wから所定のサンプリング周期毎にモータ電気角θ、3相交流電流検出値を取り込む。回転数検出部17は、角度センサ5の検出値θからモータ回転数Nを算出し、電流指令値演算部12に出力する。
電流指令値演算部12は、外部より入力されるトルク指令値と回転数検出部17からのモータ回転数Nに基づき、予めROMに格納されている電流マップを参照してd軸、q軸の電流指令値Id* ,Iq* を算出し、電流PI制御器13に出力する。3相/2相変換器16は、電流センサ7u,7wにより検出した電流検出値Iu,Iwに対してモータ電気角θを用いて3相/2相変換演算を行い、2相電流検出値Id(ave) ,Iq(ave) を算出し、電流PI制御器13に出力する。
【0016】
なお、電流センサ7u,7wはU,V,W3相の交流電流の内U相、W相の交流電流しか検出しないが、3相電流値はIu+Iv+Iw=0の関係があるので、v相電流Ivは他の2相の電流値から演算で求めることができる。また2相/3相変換器14による2相/3相変換演算については後述する。
【0017】
電流PI制御器13は、入力される2相電流指令値Id* ,Iq* 及び2相電流検出値Id(ave) ,Iq(ave) から比例積分(PI)制御演算により2相電圧指令値Vd* ,Vq* を算出し、2相/3相変換器14に出力する。2相/3相変換器14は、2相電圧指令値Vd* ,Vq* を後述する2相/3相変換処理によりU,V,W3相の電圧指令値Vu* ,Vv* ,Vw* に変換し、PWM制御部18に出力する。PWM制御部18は、電圧指令値Vu* ,Vv* ,Vw* をPWM信号に変換し、これによってインバータ2を制御し、モータ3への供給電力を制御する。
【0018】
図2は、電気角補償部15の詳細な構成を示す図である。電気角補償部15は電気角補正値演算部151とキャリア周期変動分演算部152と加算器153から構成される。電気角補償部15は、角度センサ5から検出される電気角θと一定周期分の補償値を演算する電気角補正値演算部151の出力θ’、キャリア周期が変化することに応じて電気角を演算するキャリア周期変動分演算部152の出力Δθ(n)を加算器153で加算することにより補償した電気角θ”を2相/3相変換部14に出力する。
【0019】
2相/3相変換部14による2相/3相変換処理は次のようにして行う。2相/3相変換とは、d,q軸をU,V,W軸に座標変換することを意味するが、ここではd,q軸、U,V,W軸はそれぞれ図3の3相同期モータモデルで120度毎に配置された3相コイル30u,30v,30wを貫く軸をそれぞれU軸、V軸、W軸とし、回転子である永久磁石31のN極を正方向に貫く軸をd軸、このd軸に直交する軸をq軸とし、電気角θはU軸とd軸との間の角度を表すものとし、電圧指令値の2相/3相変換は次の数1式により算出する。
【数1】
【0020】
ここで、キャリア周期可変部6について説明を行う。キャリア周期可変部6はPWM制御部18におけるPWM比較を行う場合のキャリア信号の周波数(周期)を変える機能ブロックである。図4(a)にキャリア周期の変化を示し、図4(b)にそのときのPWM比較キャリア信号を示す。図4(a)では、毎回キャリア周波数が変化する場合の例で示しているため、キャリア周波数が低い場合はその逆数であるキャリア周期は長くなるため、時間が長い。また、キャリア周波数が高い場合はその逆である。このため、キャリア周波数の低い方が高い方に比べ、時間が長くなっている。この時間差を減らしたい場合は、キャリア周波数の長いものと短いもので回数を変化させるとよい。
【0021】
図4(a)の例では、キャリア周波数は、fcmin ⇒fcmax ⇒fcmin と以後繰り返し変化する。つまり、キャリア周波数がfcmin 〜fcmax のように時間とともに変化すると、それに伴い図4(b)に示すようにPWM比較の三角波の周期がTcmax (=fcmin )〜Tcmin (=fcmax )へと変化する。図4(b)ではPWM比較におけるキャリア信号を三角波状で示しているがこれに限定するものではなくノコギリ波状でも可能である。
【0022】
このように、キャリア周期可変部6において、キャリア周期を変化させることで、PWM制御部18のキャリア信号の周期を変化させ、キャリア信号の周期に同期してモータコントロールユニット1において制御処理する場合、制御周期間に進むモータ電気角を図5に示す。
【0023】
図5に示すように、3相の電流値Iu,Iv,Iw及び電気角θをサンプリングした時を開始時刻Start とし、モータ1の回転数Nから推定したキャリア周期Tc(ave) 後のθの値をθ’としキャリア周期Tc(min) からTc(max) までのθの変化値をΔθ(n)とする。数1式でこのθ’とΔθ(n)を用いて2相/3相変換演算を行い、その結果を出力すると、実際の電気角(=回転子の位置)は制御周期がTc(min) からTc(max) まで変化しているため、d,q軸電圧値変動→d,q軸電流値変動→トルク変動の因果関係によりトルク変動が発生する。なお、3相同期モータでは一般的に、トルクTは数2式の通りである。
【数2】
【0024】
ただし、pは極対数、φaは電機子コイル鎖交磁束数であり、Iqはトルク軸電流である。
【0025】
この時間とともに変化するキャリア信号の周期と制御周期が同期して演算処理が行われる場合に生じる上記のようなトルク変動を低減する方法、つまり制御周期の変化に応じて、モータ電気角の推定値を変化させる方法を以下のように実施する。
【0026】
回転角速度ω、変化する制御周期の平均周期Tc(ave) ,制御周期Tc(n),サンプリング電気角をθの場合、
制御平均周期Tc(ave) 間の電気角進み量θ’はθ’=ω×Tc(ave)
制御平均周期からの差分の電気角進み量ΔθはΔθ=ω×{Tc(ave) −Tc(n)}
制御周期Tc(n)後の推定電気角θ’はθ”=θ’+Δθとなる。
【0027】
キャリア周波数の変化とモータ電気角の推定値の変化を図6に示す。図6(a)はキャリア周波数の時間変化を表している。これは図4と同様の変化で説明を行う。いま、キャリア周波数と制御周期が同期しているため、キャリア周波数が低い場合はその逆数であるキャリア周期は長くなる。また、キャリア周波数が高い場合はその逆である。図6(b)は電気角補正値演算部151の出力波形を示す。図6(c)はキャリア周期変動分演算部152の出力波形を示す。この電気角補正値演算手段151の出力とキャリア周期変動分演算部152の出力を加算したものがθ”となる。このθ”を用いた電圧指令値の2相/3相変換は次の数3式により算出する。
【数3】
【0028】
以上説明した実施例1によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【実施例2】
【0029】
図7は、本発明に係るモータ制御装置の実施例2の要部である電気角補償部15を示すブロック図である。本実施例は、電気角補償部15以外の構成は、図1に示した実施例1と同様であるので、重複する説明を省略する。実施例2の電気角補償部15は、実施例1に対して、平均電気角演算部154と加算器155とが追加されている。平均電気角演算部154は、キャリア周期可変部6が変化させるキャリア周期に応じて、電流サンプリングの周期間に回転するモータの電気角の平均値Δθ2を出力する。加算器155は、θ”にΔθ2を加算したθ”’を2相/3相変換器14へ出力する。
【0030】
この動作を図8を用いて説明する。デジタル制御により離散制御し、その制御周期を不等間隔とした場合、図8に示すように、制御周期をTc(n)とすると、割り込み1でサンプリングした電流値及び電気角で演算してTc(n)/2後に電圧指令値を出力し、また割り込み2でサンプリングした電流値及び電気角で演算し、Tc(n)+Tc(n+1)/2後に電圧指令値を出力し、以後、nをカウントしながら同様の制御サイクルが繰り返される。このときに演算に用いる電気角は実際の出力時の電気角を推定し、通常は電気角サンプリング時からTc(n)後の値を演算に用いる。
【0031】
しかしながら、実際には制御出力値(電圧指令値)が一定である制御周期Tc(n)間にもモータの回転子は回転しており、この間の推定した電気角と実際の回転している電気角θとの間には偏差があり、この偏差によってもd,q軸電流値の変動が生じる。この電流値の変動は、ほぼトルク変動となって現れる。
【0032】
つまり、出力している期間の平均時間にあるであろうモータ電気角を推定する必要がある。図8を用いて説明すると、時間0で割り込み1が生じ、各値をサンプリングし時間(1/2)Tc(n)後に出力する。その出力は次の割り込み2の出力が反映されるまで保持される。そのため、割り込み1の出力が反映されてから、割り込み2の出力が反映されるまでの間もモータ電気角は変化しているため、その演算結果出力時間の平均時間にあるモータ電気角を推定する。
この平均時間は、Tc(n)+(1/2)Tc(n+1)−(1/2)Tc(n)={Tc(n)+Tc(n+1)}/2となる。
【0033】
回転角速度をωとすると平均電気角の推定値Δθ2は、次の式で求められる。
【0034】
Δθ2=ω×{Tc(n)+Tc(n+1)}/2
θ”’=θ”+ Δθ2
図9に回転数が一定の場合、キャリア周波数の変化とΔθ2’の変化を示す。このキャリア周期{Tc(n)+Tc(n+1)}/2後の推定したθ''' を用いて2相/3相変換演算を行い、その結果を出力することで上記トルク変動を低減できる。
【数4】
【0035】
以上説明した実施例2によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【0036】
また実施例2によれば、電流サンプリング周期間の回転するモータ電気角の平均値をフィードバックすることにより、トルク変動値の平均がトルク指令値と一致するように電力変換装置を制御するため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【実施例3】
【0037】
図10は、本発明に係るモータ制御装置の実施例3の要部の構成を示すブロック図である。本実施例は、電気角補償部15にトルク変動演算部156と電圧指令演算部157が追加されていることと、電流PI制御器13と2相/3相変換部14との間に電圧指令補償部158が追加されていることである。その他の構成は、実施例1と同様であるので重複する説明を省略する。
【0038】
モータコントロールユニット1に電圧指令補償部158を設けたのは、キャリア周期が変化することによって生じるトルク変動を考慮して、PI制御器13が出力する電圧指令値Vd* とVq* とを補正して2相/3相変換部14へ出力するためであり、以下の(1)〜(4)にその動作を示す。
【0039】
(1)仮3相電圧指令値は、数3式である。
【0040】
(2)仮3相電圧指令値を出力した場合の数5式で表わされる推定電気角θ{Tc(n)/2}からθ{Tc(n)+Tc(n+1)/2}までの2相電圧の平均値を、θ{Tc(n)/2}からθ{Tc(n)+Tc(n+1)/2}まで積分したものを制御周期{Tc(n)+Tc(n+1)}/2で割って算出する。
【数5】
【0041】
(3)2軸それぞれの指令値と平均値との偏差ΔVd,ΔVqは、数6式により演算される。
【数6】
【0042】
よって、補正2相電圧指令値Vd**,Vq**は、数7式となる。
【数7】
【0043】
(4)補正後の3相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**は、数8式のようになる。
【数8】
【0044】
次に、図11の制御フローチャートを参照して、本実施例3によるトルク制御演算処理を説明する。モータコントロールユニット1は、図11(a)の速度制御処理ルーチンと図11(b)の電流制御処理ルーチンを実行する。本実施例では速度制御処理ルーチンを一定周期で実行し、電流制御処理ルーチンを不等間隔な周期で実行し、且つ速度制御処理ルーチンの方が電流制御処理ルーチンに比べ、長い周期で行うものとする。
【0045】
速度制御処理ルーチンでは、まずステップS10においてトルク指令値を読み込み、ステップS12において角度センサ2の出力から回転数を算出して、ステップS14へ移行する。
【0046】
ステップS14においては、前ステップで読み込んだトルク指令値と回転数から、あらかじめROMに保存されているマップデータを参照してd軸,q軸の電流指令値Id* ,Iq* を算出して本処理を終了する。
【0047】
次に、電流制御処理ルーチンにおいては、まずステップS20において、電流センサ7u,7wの3相電流検出値Iu,Iwと角度センサ5の検出値である電気角θを読み込む。
【0048】
次いでステップS22において、3相電流値Iu,Iv,Iwと電気角θとを用いて、3相/2相変換演算を実行して2相電流値Id,Iqを算出する。
【0049】
次いでステップS24において、速度制御処理ルーチンで算出したd軸,q軸の電流指令値Id* ,Iq* を読み込み、ステップS26へ移行する。
【0050】
ステップ26においては、ステップS22で算出した2相電流値Id,Iqと、ステップS24で取得した2相電流指令値Id* ,Iq* を比例積分(PI)制御演算を実行して、2軸電圧指令値Vd* ,Vq* を得る。
【0051】
次いでステップS28において、読み込んだ電気角θ、現在のキャリア周期Tc(n)(=1/fc(n))wを用いて、制御周期間のモータ電気角進み量Δθと、推定電気角θ’を演算する。
【0052】
ステップS30において、ステップS26で算出したd軸,q軸の電圧指令値Vd* ,Vq* 及びステップS28で算出した推定電気角θ’を用いて、数8式の2相/3相変換演算を実行し、3相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を算出する。
【0053】
そしてステップS32において、これらの3相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**をPWM信号に変換してインバータ2に出力する。
【0054】
ステップS34において、キャリア周波数のカウンタnをカウントアップし、次に用いるキャリア周期Tc(n)を設定して、ステップS36へ進む。
【0055】
ステップS36ではカウンタnが上限mに達していないか判定し、上限mに達している場合は、メインルーチンへリターンする。その後、再び電流制御処理ルーチンが開始されるときに、カウンタnを1にリセットされる。上限mに達していない場合はステップS22へ戻る。そして、これらのステップS20〜S36の制御は、電流制御処理の割り込み毎に不等間隔に繰り返し実行する。
【0056】
以上説明した実施例3によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【0057】
また実施例3によれば、モータ電流の平均値をフィードバックすることにより、平均電流値が電流指令値と一致するように電力変換装置を制御するため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【実施例4】
【0058】
図12は、本発明に係るモータ制御装置の実施例4の要部の構成を示すブロック図である。本実施例は、図1,2に示した実施例1に対して、モータコントロールユニット1は外部入力検出部19を有し、電気角補償部15は外部入力分演算部159と加算器160とを有する構成になっている。その他の構成は、実施例1と同様であるので重複する説明を省略する。
【0059】
外部入力検出部19の出力が外部入力分演算部159に入力されると、外部入力分演算部159は、外部入力の処理のための演算遅れ時間に相当する電気角Δθlossを演算して出力する。加算器160は、θ''とΔθlossを加算したθ''''を、2相/3相変換器14へ出力する。これは外部入力が入力され演算時間が変化することによって生じるトルク変動を考慮して、モータ電気角を補正する方法であり以下にその動作を図13を用い示す。
【0060】
図13は図8と比べ、処理1と処理2が違うところであり、処理1に比べ処理2のほうが処理の優先順位が高い場合を例にしている。
【0061】
モータ制御のための処理1における割り込み1が行われているときに、別の処理2の出力が入った場合を考える。この外部入力は例えば人的な入力等が考えられ、外部入力処理としてそのAD変換等が挙げられる。このAD変換が処理1の割り込み1の演算中に開始したとする。処理1では割り込み1の出力を終え割り込み2が開始される。割り込み2の演算の途中で前記処理2の外部入力処理が出力される場合、割り込み2の演算は中断される。この中断される時間をTlossとすると割り込み2の出力される時間が中断の無い場合から変化する。
【0062】
上記のような中断が入りそうな場合、つまり優先順位の高い処理のAD変換が出力されそうな場合、この出力の中断時間と電気角の推定値を実施例1、2および3の演算に用いることでトルクの変動を低減する。
【0063】
また、Δθlossを以下のように演算することで、図13、14に示すように外部入力の(優先順位の高い)AD変換が開始された後の制御周期における電気角推定でΔθlossを中断時間の無いモータ電気角推定値θ”に加えてもよい。
【0064】
Δθloss=ω×Tloss
θ””=θ”+ Δθloss
また上記の場合、演算結果出力時間の平均時間にあるモータ電気角の推定値は以下のようになる。中断される時間を含めた出力の平均時間は、
Tc'(ave)=Tc(n)+(1/2)Tc(n+1)+Tloss−(1/2)Tc(n)
=[{Tc(n)+Tc(n+1)}/2+Tloss]となる。
【0065】
回転角速度をωとすると平均電気角の推定値θ”は、
θ””=ω×Tc'(ave)
として演算を行ってもよい。
【0066】
こうして、本実施例4のモータ制御装置によれば、2相/3相変換に用いるモータ電気角θとしてサンプリング値を直接用いるのではなく、上述したように、制御周期間に進むモータ電気角を補償してインバータを制御するので、制御周期間のトルク変動をなくすことができる。
【0067】
以上説明した実施例4によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【0068】
また、実施例4によれば、外部入力が生じることでその出力処理により、電流値及び電気角のサンプリングから電圧指令値を演算する演算時間が変化した場合においても、サンプリング周期の変化によるトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【符号の説明】
【0069】
1 モータコントロールユニット
2 インバータ(電力変換装置)
3 モータ
5 角度センサ(電気角検出手段)
6 キャリア周期可変部
7u,7w 電流センサ(電流検出手段)
12 電流指令値演算部
13 電流PI制御器
14 2相/3相変換部(第2の座標変換手段)
15 電気角補償部
16 3相/2相変換部(第1の座標変換手段)
17 回転数検出部
18 PWM制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータの出力電力をデジタル制御することによりモータを制御するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータの出力電力をデジタル制御することにより、3相モータを制御する3相交流モータデジタル制御装置は、例えば特許文献1に記載の構成が知られている。
【0003】
この従来のデジタルモータ制御装置は、モータ電気角とモータ電流値を所定のサンプリング周期毎に取得し、モータ電気角からモータ回転数を算出し、このモータ回転数とトルク指令値に応じてd軸、q軸電流指令値を設定する。次いで、この電流指令値に基づいてPI制御によりd軸、q軸電圧指令値を設定し、2相/3相変換によりU,V,W各相の電圧指令値に変換し、PWM制御によってモータ電流を制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−332298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のデジタル制御方法において、インバータの高調波に起因する雑音の影響を低減するために、PWMキャリアの周波数を可変とすると、モータ電気角とモータ電流値のサンプリングが不等間隔になるために、制御周期も不等間隔となり、d軸q軸電圧指令値から2相/3相変換によりU,V,W各相の電圧指令値を演算する1制御周期の間にモータ電気角が進む量も変化することにより、d軸、q軸の2相電流値も変化し、トルク変動が発生するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、モータ電気角、モータ電流を不等間隔にサンプリングして取り込み、制御演算に用いるモータデジタル制御においても、トルク指令値と実トルク平均値との偏差をうち消し、トルク変動をなくすことができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、モータに電力を供給する電力変換装置と、電力変換装置がモータに供給する電力を制御することによりモータを制御するモータコントロールユニットと、モータ電流を検出する電流検出手段と、モータ電気角を検出する電気角検出手段と、を有するモータ制御装置において、前記モータコントロールユニットは、モータに対するトルク指令値とモータの回転数から電流指令を発生し、電流指令に基づいて前記電力変換装置に制御信号を出力するPWM制御手段のキャリア信号の周波数を可変とし、キャリア周期に同期してモータの電気角及びモータの電流のサンプリングを行い、キャリア周期可変手段が変化させたキャリア周波数に応じて補償された電気角により電力変換装置を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のモータ制御装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】実施例1の電気角補償部の詳細を説明するブロック図である。
【図3】実施例1が制御するモータの例を説明する図である。
【図4】(a)実施例1のキャリア周波数可変部が出力するキャリア周波数の時間変化、(b)実施例1のキャリア周波数可変部が出力するキャリア信号の波形例を説明する図である。
【図5】実施例1が制御するモータを説明する図である。
【図6】(a)実施例1のキャリア周波数可変部が出力するキャリア周波数の時間変化、(b)実施例1の電気角補正値演算部の出力、(c)実施例1のキャリア周期変動分演算部の出力を説明する図である。
【図7】実施例2のモータ制御装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図8】実施例2の電気角補償部の処理を説明するタイムチャートである。
【図9】(a)キャリア周波数可変部によって変化したキャリア周波数の時間変化、(b)実施例2の平均電気角演算部の出力を説明する図である。
【図10】実施例3のモータ制御装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図11】(a)実施例3における速度制御処理のフローチャート、(b)実施例3における電流制御処理のフローチャートである。
【図12】実施例4のモータ制御装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図13】実施例4の電気角補償部の処理を説明するタイムチャートである。
【図14】実施例4における外部入力、キャリア周波数、キャリア周期変動分補償後の電気角、外部入力遅延補償後の電気角を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施例は、特に限定されないが、ハイブリッド車や電気自動車のモータ制御に好適な実施例である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係るモータ制御装置の実施例1を示すブロック図である。図1において、制御対象のモータ3を制御するモータ制御装置は、モータ3へ3相電力を供給するインバータ2と、インバータ2からモータ3へ供給する電流を検出する電流センサ7u,7wと、モータ3の電気角を検出する角度センサ5と、角度センサ5が検出した電気角と外部から与えられるトルク指令値に基づいてインバータ2を制御するモータコントロールユニット1とを備えている。
【0012】
角度センサ5はモータ3のモータ電気角θを検出し、電流センサ7u,7wはモータ3の3相電流の内U,W相の電流値Iu,Iwを検出する。インバータ2は、モータコントロールユニット1の指令値に基づきモータ駆動電力をモータ3へ供給する。
【0013】
モータコントロールユニット1は、角度センサ5の検出するモータ電気角θと電流センサ7u,7wの検出する電流値Iu,Iwとを用いて、モータ3に供給されるモータ電流をフィードバック制御するものである。
【0014】
なお、この図1の構成は、従来例のデジタル制御装置に対して、キャリア周期可変部6、電気角補償部15の部分が新規なものであり、その他の要素については共通する。なお、現実にはモータコントロールユニット1が1つのマイクロコンピュータにより構成され、制御演算プログラムにより図1に示す各部の演算処理を実行するものであるが、ここでは機能構成を分けて示してある。
【0015】
以下、このモータコントロールユニット1によるモータ3のデジタル制御方法について説明する。モータコントロールユニット1は角度センサ5、電流センサ7u,7wから所定のサンプリング周期毎にモータ電気角θ、3相交流電流検出値を取り込む。回転数検出部17は、角度センサ5の検出値θからモータ回転数Nを算出し、電流指令値演算部12に出力する。
電流指令値演算部12は、外部より入力されるトルク指令値と回転数検出部17からのモータ回転数Nに基づき、予めROMに格納されている電流マップを参照してd軸、q軸の電流指令値Id* ,Iq* を算出し、電流PI制御器13に出力する。3相/2相変換器16は、電流センサ7u,7wにより検出した電流検出値Iu,Iwに対してモータ電気角θを用いて3相/2相変換演算を行い、2相電流検出値Id(ave) ,Iq(ave) を算出し、電流PI制御器13に出力する。
【0016】
なお、電流センサ7u,7wはU,V,W3相の交流電流の内U相、W相の交流電流しか検出しないが、3相電流値はIu+Iv+Iw=0の関係があるので、v相電流Ivは他の2相の電流値から演算で求めることができる。また2相/3相変換器14による2相/3相変換演算については後述する。
【0017】
電流PI制御器13は、入力される2相電流指令値Id* ,Iq* 及び2相電流検出値Id(ave) ,Iq(ave) から比例積分(PI)制御演算により2相電圧指令値Vd* ,Vq* を算出し、2相/3相変換器14に出力する。2相/3相変換器14は、2相電圧指令値Vd* ,Vq* を後述する2相/3相変換処理によりU,V,W3相の電圧指令値Vu* ,Vv* ,Vw* に変換し、PWM制御部18に出力する。PWM制御部18は、電圧指令値Vu* ,Vv* ,Vw* をPWM信号に変換し、これによってインバータ2を制御し、モータ3への供給電力を制御する。
【0018】
図2は、電気角補償部15の詳細な構成を示す図である。電気角補償部15は電気角補正値演算部151とキャリア周期変動分演算部152と加算器153から構成される。電気角補償部15は、角度センサ5から検出される電気角θと一定周期分の補償値を演算する電気角補正値演算部151の出力θ’、キャリア周期が変化することに応じて電気角を演算するキャリア周期変動分演算部152の出力Δθ(n)を加算器153で加算することにより補償した電気角θ”を2相/3相変換部14に出力する。
【0019】
2相/3相変換部14による2相/3相変換処理は次のようにして行う。2相/3相変換とは、d,q軸をU,V,W軸に座標変換することを意味するが、ここではd,q軸、U,V,W軸はそれぞれ図3の3相同期モータモデルで120度毎に配置された3相コイル30u,30v,30wを貫く軸をそれぞれU軸、V軸、W軸とし、回転子である永久磁石31のN極を正方向に貫く軸をd軸、このd軸に直交する軸をq軸とし、電気角θはU軸とd軸との間の角度を表すものとし、電圧指令値の2相/3相変換は次の数1式により算出する。
【数1】
【0020】
ここで、キャリア周期可変部6について説明を行う。キャリア周期可変部6はPWM制御部18におけるPWM比較を行う場合のキャリア信号の周波数(周期)を変える機能ブロックである。図4(a)にキャリア周期の変化を示し、図4(b)にそのときのPWM比較キャリア信号を示す。図4(a)では、毎回キャリア周波数が変化する場合の例で示しているため、キャリア周波数が低い場合はその逆数であるキャリア周期は長くなるため、時間が長い。また、キャリア周波数が高い場合はその逆である。このため、キャリア周波数の低い方が高い方に比べ、時間が長くなっている。この時間差を減らしたい場合は、キャリア周波数の長いものと短いもので回数を変化させるとよい。
【0021】
図4(a)の例では、キャリア周波数は、fcmin ⇒fcmax ⇒fcmin と以後繰り返し変化する。つまり、キャリア周波数がfcmin 〜fcmax のように時間とともに変化すると、それに伴い図4(b)に示すようにPWM比較の三角波の周期がTcmax (=fcmin )〜Tcmin (=fcmax )へと変化する。図4(b)ではPWM比較におけるキャリア信号を三角波状で示しているがこれに限定するものではなくノコギリ波状でも可能である。
【0022】
このように、キャリア周期可変部6において、キャリア周期を変化させることで、PWM制御部18のキャリア信号の周期を変化させ、キャリア信号の周期に同期してモータコントロールユニット1において制御処理する場合、制御周期間に進むモータ電気角を図5に示す。
【0023】
図5に示すように、3相の電流値Iu,Iv,Iw及び電気角θをサンプリングした時を開始時刻Start とし、モータ1の回転数Nから推定したキャリア周期Tc(ave) 後のθの値をθ’としキャリア周期Tc(min) からTc(max) までのθの変化値をΔθ(n)とする。数1式でこのθ’とΔθ(n)を用いて2相/3相変換演算を行い、その結果を出力すると、実際の電気角(=回転子の位置)は制御周期がTc(min) からTc(max) まで変化しているため、d,q軸電圧値変動→d,q軸電流値変動→トルク変動の因果関係によりトルク変動が発生する。なお、3相同期モータでは一般的に、トルクTは数2式の通りである。
【数2】
【0024】
ただし、pは極対数、φaは電機子コイル鎖交磁束数であり、Iqはトルク軸電流である。
【0025】
この時間とともに変化するキャリア信号の周期と制御周期が同期して演算処理が行われる場合に生じる上記のようなトルク変動を低減する方法、つまり制御周期の変化に応じて、モータ電気角の推定値を変化させる方法を以下のように実施する。
【0026】
回転角速度ω、変化する制御周期の平均周期Tc(ave) ,制御周期Tc(n),サンプリング電気角をθの場合、
制御平均周期Tc(ave) 間の電気角進み量θ’はθ’=ω×Tc(ave)
制御平均周期からの差分の電気角進み量ΔθはΔθ=ω×{Tc(ave) −Tc(n)}
制御周期Tc(n)後の推定電気角θ’はθ”=θ’+Δθとなる。
【0027】
キャリア周波数の変化とモータ電気角の推定値の変化を図6に示す。図6(a)はキャリア周波数の時間変化を表している。これは図4と同様の変化で説明を行う。いま、キャリア周波数と制御周期が同期しているため、キャリア周波数が低い場合はその逆数であるキャリア周期は長くなる。また、キャリア周波数が高い場合はその逆である。図6(b)は電気角補正値演算部151の出力波形を示す。図6(c)はキャリア周期変動分演算部152の出力波形を示す。この電気角補正値演算手段151の出力とキャリア周期変動分演算部152の出力を加算したものがθ”となる。このθ”を用いた電圧指令値の2相/3相変換は次の数3式により算出する。
【数3】
【0028】
以上説明した実施例1によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【実施例2】
【0029】
図7は、本発明に係るモータ制御装置の実施例2の要部である電気角補償部15を示すブロック図である。本実施例は、電気角補償部15以外の構成は、図1に示した実施例1と同様であるので、重複する説明を省略する。実施例2の電気角補償部15は、実施例1に対して、平均電気角演算部154と加算器155とが追加されている。平均電気角演算部154は、キャリア周期可変部6が変化させるキャリア周期に応じて、電流サンプリングの周期間に回転するモータの電気角の平均値Δθ2を出力する。加算器155は、θ”にΔθ2を加算したθ”’を2相/3相変換器14へ出力する。
【0030】
この動作を図8を用いて説明する。デジタル制御により離散制御し、その制御周期を不等間隔とした場合、図8に示すように、制御周期をTc(n)とすると、割り込み1でサンプリングした電流値及び電気角で演算してTc(n)/2後に電圧指令値を出力し、また割り込み2でサンプリングした電流値及び電気角で演算し、Tc(n)+Tc(n+1)/2後に電圧指令値を出力し、以後、nをカウントしながら同様の制御サイクルが繰り返される。このときに演算に用いる電気角は実際の出力時の電気角を推定し、通常は電気角サンプリング時からTc(n)後の値を演算に用いる。
【0031】
しかしながら、実際には制御出力値(電圧指令値)が一定である制御周期Tc(n)間にもモータの回転子は回転しており、この間の推定した電気角と実際の回転している電気角θとの間には偏差があり、この偏差によってもd,q軸電流値の変動が生じる。この電流値の変動は、ほぼトルク変動となって現れる。
【0032】
つまり、出力している期間の平均時間にあるであろうモータ電気角を推定する必要がある。図8を用いて説明すると、時間0で割り込み1が生じ、各値をサンプリングし時間(1/2)Tc(n)後に出力する。その出力は次の割り込み2の出力が反映されるまで保持される。そのため、割り込み1の出力が反映されてから、割り込み2の出力が反映されるまでの間もモータ電気角は変化しているため、その演算結果出力時間の平均時間にあるモータ電気角を推定する。
この平均時間は、Tc(n)+(1/2)Tc(n+1)−(1/2)Tc(n)={Tc(n)+Tc(n+1)}/2となる。
【0033】
回転角速度をωとすると平均電気角の推定値Δθ2は、次の式で求められる。
【0034】
Δθ2=ω×{Tc(n)+Tc(n+1)}/2
θ”’=θ”+ Δθ2
図9に回転数が一定の場合、キャリア周波数の変化とΔθ2’の変化を示す。このキャリア周期{Tc(n)+Tc(n+1)}/2後の推定したθ''' を用いて2相/3相変換演算を行い、その結果を出力することで上記トルク変動を低減できる。
【数4】
【0035】
以上説明した実施例2によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【0036】
また実施例2によれば、電流サンプリング周期間の回転するモータ電気角の平均値をフィードバックすることにより、トルク変動値の平均がトルク指令値と一致するように電力変換装置を制御するため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【実施例3】
【0037】
図10は、本発明に係るモータ制御装置の実施例3の要部の構成を示すブロック図である。本実施例は、電気角補償部15にトルク変動演算部156と電圧指令演算部157が追加されていることと、電流PI制御器13と2相/3相変換部14との間に電圧指令補償部158が追加されていることである。その他の構成は、実施例1と同様であるので重複する説明を省略する。
【0038】
モータコントロールユニット1に電圧指令補償部158を設けたのは、キャリア周期が変化することによって生じるトルク変動を考慮して、PI制御器13が出力する電圧指令値Vd* とVq* とを補正して2相/3相変換部14へ出力するためであり、以下の(1)〜(4)にその動作を示す。
【0039】
(1)仮3相電圧指令値は、数3式である。
【0040】
(2)仮3相電圧指令値を出力した場合の数5式で表わされる推定電気角θ{Tc(n)/2}からθ{Tc(n)+Tc(n+1)/2}までの2相電圧の平均値を、θ{Tc(n)/2}からθ{Tc(n)+Tc(n+1)/2}まで積分したものを制御周期{Tc(n)+Tc(n+1)}/2で割って算出する。
【数5】
【0041】
(3)2軸それぞれの指令値と平均値との偏差ΔVd,ΔVqは、数6式により演算される。
【数6】
【0042】
よって、補正2相電圧指令値Vd**,Vq**は、数7式となる。
【数7】
【0043】
(4)補正後の3相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**は、数8式のようになる。
【数8】
【0044】
次に、図11の制御フローチャートを参照して、本実施例3によるトルク制御演算処理を説明する。モータコントロールユニット1は、図11(a)の速度制御処理ルーチンと図11(b)の電流制御処理ルーチンを実行する。本実施例では速度制御処理ルーチンを一定周期で実行し、電流制御処理ルーチンを不等間隔な周期で実行し、且つ速度制御処理ルーチンの方が電流制御処理ルーチンに比べ、長い周期で行うものとする。
【0045】
速度制御処理ルーチンでは、まずステップS10においてトルク指令値を読み込み、ステップS12において角度センサ2の出力から回転数を算出して、ステップS14へ移行する。
【0046】
ステップS14においては、前ステップで読み込んだトルク指令値と回転数から、あらかじめROMに保存されているマップデータを参照してd軸,q軸の電流指令値Id* ,Iq* を算出して本処理を終了する。
【0047】
次に、電流制御処理ルーチンにおいては、まずステップS20において、電流センサ7u,7wの3相電流検出値Iu,Iwと角度センサ5の検出値である電気角θを読み込む。
【0048】
次いでステップS22において、3相電流値Iu,Iv,Iwと電気角θとを用いて、3相/2相変換演算を実行して2相電流値Id,Iqを算出する。
【0049】
次いでステップS24において、速度制御処理ルーチンで算出したd軸,q軸の電流指令値Id* ,Iq* を読み込み、ステップS26へ移行する。
【0050】
ステップ26においては、ステップS22で算出した2相電流値Id,Iqと、ステップS24で取得した2相電流指令値Id* ,Iq* を比例積分(PI)制御演算を実行して、2軸電圧指令値Vd* ,Vq* を得る。
【0051】
次いでステップS28において、読み込んだ電気角θ、現在のキャリア周期Tc(n)(=1/fc(n))wを用いて、制御周期間のモータ電気角進み量Δθと、推定電気角θ’を演算する。
【0052】
ステップS30において、ステップS26で算出したd軸,q軸の電圧指令値Vd* ,Vq* 及びステップS28で算出した推定電気角θ’を用いて、数8式の2相/3相変換演算を実行し、3相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**を算出する。
【0053】
そしてステップS32において、これらの3相電圧指令値Vu**,Vv**,Vw**をPWM信号に変換してインバータ2に出力する。
【0054】
ステップS34において、キャリア周波数のカウンタnをカウントアップし、次に用いるキャリア周期Tc(n)を設定して、ステップS36へ進む。
【0055】
ステップS36ではカウンタnが上限mに達していないか判定し、上限mに達している場合は、メインルーチンへリターンする。その後、再び電流制御処理ルーチンが開始されるときに、カウンタnを1にリセットされる。上限mに達していない場合はステップS22へ戻る。そして、これらのステップS20〜S36の制御は、電流制御処理の割り込み毎に不等間隔に繰り返し実行する。
【0056】
以上説明した実施例3によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【0057】
また実施例3によれば、モータ電流の平均値をフィードバックすることにより、平均電流値が電流指令値と一致するように電力変換装置を制御するため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【実施例4】
【0058】
図12は、本発明に係るモータ制御装置の実施例4の要部の構成を示すブロック図である。本実施例は、図1,2に示した実施例1に対して、モータコントロールユニット1は外部入力検出部19を有し、電気角補償部15は外部入力分演算部159と加算器160とを有する構成になっている。その他の構成は、実施例1と同様であるので重複する説明を省略する。
【0059】
外部入力検出部19の出力が外部入力分演算部159に入力されると、外部入力分演算部159は、外部入力の処理のための演算遅れ時間に相当する電気角Δθlossを演算して出力する。加算器160は、θ''とΔθlossを加算したθ''''を、2相/3相変換器14へ出力する。これは外部入力が入力され演算時間が変化することによって生じるトルク変動を考慮して、モータ電気角を補正する方法であり以下にその動作を図13を用い示す。
【0060】
図13は図8と比べ、処理1と処理2が違うところであり、処理1に比べ処理2のほうが処理の優先順位が高い場合を例にしている。
【0061】
モータ制御のための処理1における割り込み1が行われているときに、別の処理2の出力が入った場合を考える。この外部入力は例えば人的な入力等が考えられ、外部入力処理としてそのAD変換等が挙げられる。このAD変換が処理1の割り込み1の演算中に開始したとする。処理1では割り込み1の出力を終え割り込み2が開始される。割り込み2の演算の途中で前記処理2の外部入力処理が出力される場合、割り込み2の演算は中断される。この中断される時間をTlossとすると割り込み2の出力される時間が中断の無い場合から変化する。
【0062】
上記のような中断が入りそうな場合、つまり優先順位の高い処理のAD変換が出力されそうな場合、この出力の中断時間と電気角の推定値を実施例1、2および3の演算に用いることでトルクの変動を低減する。
【0063】
また、Δθlossを以下のように演算することで、図13、14に示すように外部入力の(優先順位の高い)AD変換が開始された後の制御周期における電気角推定でΔθlossを中断時間の無いモータ電気角推定値θ”に加えてもよい。
【0064】
Δθloss=ω×Tloss
θ””=θ”+ Δθloss
また上記の場合、演算結果出力時間の平均時間にあるモータ電気角の推定値は以下のようになる。中断される時間を含めた出力の平均時間は、
Tc'(ave)=Tc(n)+(1/2)Tc(n+1)+Tloss−(1/2)Tc(n)
=[{Tc(n)+Tc(n+1)}/2+Tloss]となる。
【0065】
回転角速度をωとすると平均電気角の推定値θ”は、
θ””=ω×Tc'(ave)
として演算を行ってもよい。
【0066】
こうして、本実施例4のモータ制御装置によれば、2相/3相変換に用いるモータ電気角θとしてサンプリング値を直接用いるのではなく、上述したように、制御周期間に進むモータ電気角を補償してインバータを制御するので、制御周期間のトルク変動をなくすことができる。
【0067】
以上説明した実施例4によれば、キャリア周期が変化してもモータの電流及び電気角のサンプリングから電力変換装置の出力までの間に進むモータ電気角を推定し、電流指令値を補正するように電力変換装置を制御するので、トルク指令値と実トルクとの偏差をうち消すため、サンプリング周期間のトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【0068】
また、実施例4によれば、外部入力が生じることでその出力処理により、電流値及び電気角のサンプリングから電圧指令値を演算する演算時間が変化した場合においても、サンプリング周期の変化によるトルク変動をなくすことができるという効果がある。
【符号の説明】
【0069】
1 モータコントロールユニット
2 インバータ(電力変換装置)
3 モータ
5 角度センサ(電気角検出手段)
6 キャリア周期可変部
7u,7w 電流センサ(電流検出手段)
12 電流指令値演算部
13 電流PI制御器
14 2相/3相変換部(第2の座標変換手段)
15 電気角補償部
16 3相/2相変換部(第1の座標変換手段)
17 回転数検出部
18 PWM制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに電力を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置が前記モータに供給する電力を制御することによりモータを制御するモータコントロールユニットと、
前記モータに供給する電流値を検出する電流検出手段と、
前記モータの電気角を検出する電気角検出手段と、
を有するモータ制御装置において、
前記モータコントロールユニットは、
前記電気角検出手段の出力からモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
モータに対するトルク指令値とモータの回転数から電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、
前記電流検出手段が検出した電流値と前記電気角検出手段が検出した電気角から前記電流の座標を変換する第1の座標変換手段と、
第1の座標変換手段の出力と前記電流指令値とをPI制御して電圧指令値を発生する電流PI制御器と、
前記電圧指令値の座標変換を行う第2の座標変換手段と、
第2の座標変換手段の出力をPWM制御して前記電力変換装置に制御信号を出力するPWM制御手段と、
前記PWM制御手段のキャリア信号の周波数を可変するキャリア周期可変手段と、
前記キャリア周期に同期して前記モータの電気角及び前記モータの電流値のサンプリングを行い、前記キャリア周波数に基づいて前記電気角検出手段が検出した電気角を補償した電気角を前記第2の座標変換器に出力する電気角補償手段とを備え、
前記キャリア周期可変手段が変化させたキャリア周波数に応じて補償された電気角により前記電力変換装置を制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記電気角補償手段は、
前記モータ電流のサンプリング周期間に回転するモータ電気角の平均値を演算し、前記第2の座標変換手段に出力する平均電気角演算手段を備え、
前記サンプリング周期の変化に応じて前記平均電気角演算手段の出力を変化させて前記電力変換装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記電気角補償手段は、
前記サンプリング周期間に進むモータ電気角を推定し、この間に出力されるトルクの変動値を推定し、その変動値の平均値が前記トルク指令値と一致する電圧指令値を発生する電圧指令補償手段を備え、
前記サンプリング周期の変化に応じて前記電圧指令補償手段の出力を変化させて前記電力変換装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記モータコントロールユニットは、
外部入力を検出して前記電気角補償手段に信号を出力する外部入力検出手段を備え、
前記電気角補償手段は前記外部入力検出手段の出力に応じて、前記電力変換装置を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項1】
モータに電力を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置が前記モータに供給する電力を制御することによりモータを制御するモータコントロールユニットと、
前記モータに供給する電流値を検出する電流検出手段と、
前記モータの電気角を検出する電気角検出手段と、
を有するモータ制御装置において、
前記モータコントロールユニットは、
前記電気角検出手段の出力からモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
モータに対するトルク指令値とモータの回転数から電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、
前記電流検出手段が検出した電流値と前記電気角検出手段が検出した電気角から前記電流の座標を変換する第1の座標変換手段と、
第1の座標変換手段の出力と前記電流指令値とをPI制御して電圧指令値を発生する電流PI制御器と、
前記電圧指令値の座標変換を行う第2の座標変換手段と、
第2の座標変換手段の出力をPWM制御して前記電力変換装置に制御信号を出力するPWM制御手段と、
前記PWM制御手段のキャリア信号の周波数を可変するキャリア周期可変手段と、
前記キャリア周期に同期して前記モータの電気角及び前記モータの電流値のサンプリングを行い、前記キャリア周波数に基づいて前記電気角検出手段が検出した電気角を補償した電気角を前記第2の座標変換器に出力する電気角補償手段とを備え、
前記キャリア周期可変手段が変化させたキャリア周波数に応じて補償された電気角により前記電力変換装置を制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記電気角補償手段は、
前記モータ電流のサンプリング周期間に回転するモータ電気角の平均値を演算し、前記第2の座標変換手段に出力する平均電気角演算手段を備え、
前記サンプリング周期の変化に応じて前記平均電気角演算手段の出力を変化させて前記電力変換装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記電気角補償手段は、
前記サンプリング周期間に進むモータ電気角を推定し、この間に出力されるトルクの変動値を推定し、その変動値の平均値が前記トルク指令値と一致する電圧指令値を発生する電圧指令補償手段を備え、
前記サンプリング周期の変化に応じて前記電圧指令補償手段の出力を変化させて前記電力変換装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記モータコントロールユニットは、
外部入力を検出して前記電気角補償手段に信号を出力する外部入力検出手段を備え、
前記電気角補償手段は前記外部入力検出手段の出力に応じて、前記電力変換装置を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のモータ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−200498(P2010−200498A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42832(P2009−42832)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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