説明

ラクトフェリン、シクロピロックス及びエチドロン酸を含む医薬及び化粧品組成物

【課題】シクロピロックス及びその塩を含有する安定な局所使用の医薬品及び化粧用組成物の提供。
【解決手段】シクロピロックス及び/若しくはその塩、エチドロン酸及び/若しくはその塩、ラクトフェリンからなる群より選択した少なくとも2つの化合物と、生理学的に許容し得るキャリアとを含む局所使用の組成物。好ましくは、前記2つの化合物のうちの1つがラクトフェリンである組成物。更に好ましくは、シクロピロックスの塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、第1級、第2級又は第3級アミン塩、アルカノールアミン塩、C1−C8ジアルキルC1−C8アルカノールアミン塩、又はC1−C8アルキルC1−C8ジアルカノールアミン塩が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトフェリン、シクロピロックス及び/又はその塩、エチドロン酸及び/又はその塩を含む局所使用の医薬及び化粧品組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、上記に示された化合物の少なくとも2つを含む医薬及び化粧品組成物並びにその脂漏性皮膚炎やフケのような皮膚障害または疾患の治療への使用に関する。
【背景技術】
【0003】
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺の存在が高い顔面、頭皮および胴体の領域に影響を及ぼす慢性の炎症性の病状である。たとえマラセジア属に属する親油性菌類のいくつかの種が主要因であるとしても、脂漏性皮膚炎の病因はいまだに明白でない。
【0004】
代わりに、フケは、主として頭皮を含む病状で、脂漏性皮膚炎のものに類似した病因があると考えられる。
【0005】
脂漏性皮膚炎及びフケの美容上又は皮膚治療オプションは、抗菌の有効成分を含有する製剤の皮膚または頭皮への塗布を含む。実際に、二硫化セレン、亜鉛ピリチオン若しくはケトコナゾールを含む市販のシャンプー、及びテルビナフィン、スルファセタミド、ケトコナゾールを含むクリーム又はローションや、皮膚及び頭皮のこれら疾患/障害の治療用のコルチゾン薬を有する上記有効成分の局所使用のための製剤がある。
【0006】
シクロピロックス、すなわち6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチル−1,2ジヒドロピリジン−2−オンは、ヒドロキシピリドン族の抗真菌活性材料であり、脂漏性皮膚炎およびフケの治療への使用が次第に大きくなり、その特定の有効性及び低毒性をもたらす。シクロピロックスの抗菌作用は、マラセジア属の菌類の代謝作用に不可欠な第二鉄イオンのキレート化能力に起因する。
【0007】
シクロピロックス及びその塩に基づく製剤は、脂漏性皮膚炎及びフケの治療に効果的であるものの、最終製品の製造に用いる賦形剤及びステンレス鋼製の製造設備に存在する第二鉄イオンによって生起した化学劣化のため不安定な傾向がある。
【0008】
従って、シクロピロックスの作用は、それを含有する製剤において、医薬及び化粧品組成物の製造システム及びステンレス鋼製の製造設備に由来するか、又は該組成物の製造に用いる賦形剤に存在する第二鉄イオンの事実上不可避な存在によって低減される。かかる医薬又は化粧品処方における上記イオンの存在は、シクロピロックスに対するマラセジアの耐性機構の確立を促進することができ、フケ及び脂漏性皮膚炎の治療における有効性の喪失することになる。
【0009】
ラクトフェリンは、通常牛乳や涙分泌中に存在する糖たんぱく質であり、第二鉄イオンを結合すると同時に控えめな消炎作用をもたらすことができる。
【0010】
エチドロン酸は、化学名(1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル)ホスホン酸として既知の化合物で、技術工業部門で現在用いる第二鉄イオンのキレート化剤である。
【発明の概要】
【0011】
驚くべきことには、シクロピロックス及び/又はその塩、エチドロン酸及び/又はその塩、ラクトフェリンからなる群から選択した第二鉄イオン封鎖特性を有する少なくとも2つの化合物を含む組成物が上述の課題を解決し、予期せざる又はどんな場合でもより強い抗真菌作用をもたらすことを見出した。
【0012】
本発明の目的は、シクロピロックス及び/又はその塩、エチドロン酸及び/又はその塩、ラクトフェリン、並びに生理学的に許容し得るキャリアを含む20の群から選択した少なくとも2つの化合物を含む局所使用の組成物を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで用いる「局所使用」という用語は、皮膚又は頭皮への塗布を意味する。
【0014】
「シクロピロックス及び/又はその塩」については、シクロピロックスと;アルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウムの塩;アンモニウム塩;例えばC−Cアルキルアミンのような1級アミン塩;例えばC−Cジアルキルアミンのような2級アミン塩;例えばC−Cトリアルキルアミンのような3級アミン塩;ジアミン;例えばC−Cアルカノールアミン若しくはC−Cジアルカノールアミン又はC−Cトリアルカノールアミンのようなアルカノールアミン塩;C−CジアルキルC−Cアルカノールアミン;C−CアルキルC−Cジアルカノールアミンを意味する。シクロピロックス塩はシクロピロックスオラミンであるのが好ましい。
【0015】
「エチドロン酸及び/又はその塩」については、エチドロン酸と;例えばナトリウム又はカリウムのようなアルカリ金属の塩;アンモニウム塩;1級、2級又は3級アミン塩を意味する。
【0016】
本発明の組成物は、シクロピロックス若しくはその塩の1つ、好ましくはシクロピロックスオラミン及びラクトフェリン;又はラクトフェリン及びエチドロン酸若しくはその塩の1つ;又はラクトフェリン、シクロピロックス若しくはその塩の1つ及びエチドロン酸若しくはその塩の1つ;又はエチドロン酸及び/若しくはその塩の1つ、シクロピロックス若しくはその塩の1つ及び生理学的に許容し得るキャリアを備えるのが好ましい。さらに好ましくは、本発明の組成物は、シクロピロックスオレミンと及びラクトフェリンとを8:1〜1:20の割合で含む。
【0017】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、ラクトフェリン、シクロピロックスオラミン及びエチドロン酸、又はシクロピロックスオラミン、エチドロン酸及び生理学的に許容し得るキャリアを含む。本発明の組成物は、油相及び水相を含む水中油形又は油中水形エマルジョンの形態、若しくはジェル、スプレー、シャンプー、例えば組織用の溶液、水または水性アルコール系ローション若しくは加圧式の泡の形態とすることができ、本発明の目的物となる。
【0018】
油状若しくは水性又は油中水形エマルジョンにおいて、油相は、例えばワセリン、パラフィン、スクアレン、ポリイソブチレン、任意に水素化されたポリデセンの油、好ましくはワセリン及び水素化されたポリデセンの油として分岐又は非分岐炭化水素;シリコン油、例えばジメチコーン、フェニルトリメチコーン、シクロメチコーン及びジメチコノール;8〜20個の炭素原子を有する飽和脂肪酸及び部分的な不飽和脂肪酸から選択した脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸、ドコサン酸、エルカ酸;10〜30個の炭素原子を有する飽和及び部分的に不飽和の脂肪酸のC−C20アルキル及びアルケニルエステル、例えばデシルオレエート、イソデシルオレエート、ジオクチルマレエート、イソプロピルパルミテート、イソエシルパルミテート、エチルエシルパルミテート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、イソステアリルネオペンタノエート、エチルエシルイソステアレート、ミリスチルミリスチテート、エシルラウレート、セチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソエシルアジペート、ジエシルデシルアジペート、イソセチルステアロイルステアレート、C12−C15アルキルラクテート、セテアリルイソノナノエート及びこれらの混合物、好ましくはエチルエシルパルミテート、デシルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ミリスチルミリステート、イソステアリルネオペンタノエート、セテアリルイソノナノエートを含むことができる。
【0019】
油相は、さらに、セチルアルコール、ステアリルアルコール、グリセリルステアレート、ポリソルベート、C12からC18の脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル又はエーテルを含むことができる。
【0020】
油相はまた、脂肪酸とC12からC20のグリセロールとのエステル類及びポリグリセロール、ビタミンEのようなビタミン類、及びアラントインのようなウレイド類を含むことができる。
【0021】
水性相の成分としては、水;変性エチルアルコール若しくはイソプロピルアルコールのようなアルコール;有機塩類、例えばクエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリゥムカリム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA);塩化ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム;緩衝材、例えば水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム及びこれらの混合物;例えばサリチル酸又はクエン酸のような有機酸;パラベン様防腐剤、例えばメチルパラベン、フェノキシエタノール、クロルヘキシジン、クロルフェネシン、イミダゾリジニル尿素、グリシンの誘導体;例えばユーカリ、タイム、シナモン、ゼラニウムなどのようなエッセンシャルオイル;例えばアルギニン、ベタイン、リジン及びそれらの誘導体のようなアミノ酸;凝固剤、例えばセルロースの誘導体、アルギン酸塩、カラゲニン、グァーガムの誘導体、ポリアクリレート、メタクリレート、カルボマーのようなアクリル酸のポリマー;例えばナイアシンアミドのようなビタミンを挙げることができる。さらに、水性相は、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、多価アルコール類、例えばメタノールアミンのようなアミノアルコール、アミドの糖成分派生物及びセルロースを含有することができる。
【0022】
本発明に用いる水は、脱イオン化水であるのが好ましい。本発明の製剤における含水量は、該製剤の総質量が局所用製剤の100質量%に等しくなるように用いた他の成分の総量に関連する。
【0023】
第二鉄イオン封鎖特性を有する化合物、すなわちシクロピロックス又はその塩、エチドロン酸又はその塩、ラクトフェリンは、製剤の0.5〜12質量%、好ましくは1〜8質量%の量である。エチドロン酸は、例えば洗い流すべきシャンプー及びヘアクリームのような洗浄製品において1.5%の最大濃度とすることができる。
【0024】
本発明のエマルジョンは、所要に応じて広範囲の任意成分、例えばフレグランス、植物エキス、太陽フィルタ、着色剤を含むことができる。これら任意成分は、油相と水性相とを一体化又は一緒に混合した後に、製剤に添加することができる。
【0025】
本発明の化粧品及び/又は製薬使用のための哺乳類の皮膚、特にヒトの皮膚の表面への局所塗布用組成物の製造方法は、第二鉄イオン封鎖特性を有する薬剤を生理学的に許容し得るキャリアと混合することを含む。
【0026】
ここで用いる「生理学的に許容し得る」という用語は、皮膚又は頭皮と相溶性で、毒性がなく、反応性がないことを意味する。
【0027】
本発明のエマルジョンは、当業界で既知のあらゆる方法によって製造することができる。一般に、かかる製造方法は、別々の容器に油相及び水性相の調製剤を通し、その後2つの相を一緒にすることを備える。
【0028】
油相は、水性相成分を含む混合容器とは別の混合容器内で油相成分を一定に瑶動させながら使用する混合容器の大きさに応じた時間混合することにより得られ、従って適切な混合時間は数分から数時間の範囲とすることができる。必要に応じて、固体成分を溶解できるように、油相を約40〜90℃、好ましくは約60〜75℃の温度に加熱することができる。
【0029】
水性相は、固体成分及び液体成分を水に溶解し、使用する混合容器の大きさに応じた時間緩やかに瑶動することにより得られるので、適切な混合時間は数分から数時間の範囲とすることができる。
【0030】
必要に応じて、エマルジョンを得るため、2相の混合に先立って、水性相を油相と同一の溶解温度まで加熱することができる。
【0031】
次いで、油相を水性相と一緒に均質になるまで一定の瑶動で混合する。2相の混合は、水性相又は油相をもともと混合したものと同じ容器又はタンク内で行うことができる。
【0032】
生成した混合物は、例えば製剤が製造される容器の中空スペースに冷水を循環させることにより混合物が所望の温度に達するまで冷却される。必要に応じて、冷却する相を一定の緩徐な混合中又はその後に、上述した成分を混合物に加えることができる。工程の最後で、混合物を貯蔵タンクに貯蔵し、その後最終容器にパッケージすることができる。
【0033】
本発明のジェルは、種々の成分からなり、その一部が上述したエマルジョンと共通であるか、又は実施例に列挙される。
【0034】
本発明のジェルは、当業界で既知のあらゆる方法によって製造できる。一般に、これら方法は、その後ゼラチン化される水性相の調製を提供する。水性相は、固体成分及び液体成分を水に溶解し、瑶動の強さ及び使用する混合容器の大きさに応じた時間瑶動することにより得られ、従って適切な混合時間は数分から数時間の範囲とすることができる。水性相は、瑶動中又は攪拌の終了時に水性相に添加し得るゼリー化剤でゼラチン化される。該製造はまた、製品の最終的なpHの制御及び調整も行う。
【0035】
本発明のローション、スプレー、シャンプー及び溶液は、種々の成分からなり、その一部が上述したエマルジョンと共通であるか、又は実施例に列挙される。
【0036】
上記製剤は、当業界で既知のあらゆる方法によって製造できる。これら方法は、水性相の調製を提供し、場合によっては、適切に香り付け、着色及び増粘させる。水性相は、固体成分及び液体成分を水に溶解し、瑶動の強さ及び使用する混合容器の大きさに応じた時間瑶動することにより得られ、従って適切な混合時間は数分から数時間の範囲とすることができる。水性相は、瑶動処理中又はこの処理の終了時に水性相に添加し得る香料、着色剤又は増粘剤で香り付け、着色及び/又は増粘させることができる。該製造はまた、製品の最終的なpHの制御及び調整も行う。
【0037】
本発明のさらなる目的は、脂漏性皮膚炎の治療用の薬剤の製造へ上述した組成物を使用することである。
【0038】
本発明のさらなる目的は、フケの理容状の治療へ上述した組成物を使用することである。
【0039】
本発明の製剤及び組成物の範囲において、化粧品及び/又は製薬使用のための異なる成分を用いることができる。
【0040】
製薬用及び化粧品用の製剤は、いずれも皮膚用のクリーム、シャンプー、溶液、ローション又はスプレーの形態とすることができる。これらの場合、製薬及び/又は化粧品に適するとして認知された全ての成分を生理学的に許容し得るキャリアに導入し、本発明の適用範囲内に入る皮膚用のクリーム、シャンプー、溶液、ローション、ジェル又はスプレーを製造するのに用いることができる。
【実施例】
【0041】
本発明をより良く説明するために、いくつかの実施例を挙げる。
【0042】
以下に挙げる製剤例は、本発明の考えられる組成物の一部について説明している。これら例は、本発明に従って選択された製剤を使用するが、これら例は一例であって限定されるものでないこと明らかである。また、上述した全てのシクロピロックス塩を以下のものと同様の製剤に本発明の教示に従って用い得ることも留意する。
【0043】
本発明の組成物における全ての成分が市販のもので、当業界で既知の以下の手順に従って容易に製造することができる。
【0044】
以下の実施例で挙げた成分「水」は、脱イオン水のことである。
【0045】
請求項の中で説明され、規定された全ての部、パーセンテージ及び割合は、他に指示がない限り、組成物の全質量に対するものとして理解される。
【0046】
実施例で用い、列挙した成分の名前については、化粧品成分の国際命名法(INCI)に従うもので、化粧品部門において公式に認識されるものである。
【0047】
(実施例1)
皮膚用クリーム(乳化剤なしのエマルジョン)−質量%
A部:水素化ポリデセン 6.00、イソプロピルパルミテート 3.00
B部:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VP コポリマー 1.00
C部:水 74.20、グリセリン 4.00、変性アルコール 10.00、ラクトフェリン 1.00、シクロピロックスオラミン 0.50
D部:香料 0.30
製造工程:
(1)A部とB部を室温で混合する。
(2)C部を瑶動しながら工程(1)の混合物に添加し、その後D部を加える。
(3)このようにして得たエマルジョンを均質化する。
【0048】
(実施例2)
顔用クリーム−質量%
A部:セテアレス−25 2.00、セテアレス−5 3.00、グリセリルステアレート 2.00、セチルアルコール 2.00、カプリル/カプリン酸トリグリセリド7.00、ジメチコーン 0.50、イソプロピルパルミテート 5.00、トコフェリールアセテート 0.50
B部:水 69.00、カルボマー 0.20
C部:水酸化ナトリウム(10%水溶液) 0.80、フェノキシエタノール0.50、メチルパラベン 0.20
D部:グリセリン 5.00、ラクトフェリン 1.50、シクロピロックスオラミン 0.50、香料0.30
製造工程:
(1)A部を約70℃で溶融し、その後B部を加える。
(2)C部を約70℃で加熱する。
(3)工程(2)で得たものを工程(1)で得たものに加え、瑶動させながら室温まで冷却する。
(4)D部を約35℃で工程(3)で得たものに加える。
(5)エマルジョンを均質化する。
【0049】
(実施例3)
ティッシュに染み込ませた溶液−質量%
A部:PEG−7ヤシ脂肪酸グリセリル 2.50、PEG−40水素化ヒマシ油 1.00、ポリソルベート−20 1.00、グリセリン 7.50、変性アルコール 16.00、シクロピロックスオラミン 1.50、香料 0.50
B部:水 68.00、ラクトフェリン 1.00、クエン酸(10%水溶液)0.90、二ナトリウムEDTA 0.10
製造工程:
B部及びA部を室温で加えて、透明な溶液が得られるまで混合する。
【0050】
(実施例4)
洗い流しヘアクリーム−質量%
A部:ベヘントリモニウムクロリド2.00、セテアレス−25 1.50、セテアリルアルコール2.00、流動パラフィン 2.00
B部:水 85.20
C部:グリセリン 5.00、ラクトフェリン 0.50、シクロピロックスオラミン 1.50、香料0.30
D部:6.00〜6.50間のpHを得るのに要するクエン酸
製造工程:
(1)A部を75℃で溶融する。
(2)B部を75℃で加熱する。
(3)工程(2)で得たものを工程(1)で得たものに瑶動させながら加える。
(4)工程(3)により得た混合物を瑶動させながら冷却する。
(5)C部の成分を工程(4)で得たものに35℃で加える。
(6)pHが6.00〜6.50間となるようにD部を加えて調整する。
【0051】
(実施例5)
シャンプー−質量%
A部:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド0.30
B部:水 40.30
C部:ラウリル硫酸ナトリウム(28%の溶液)42.90、ラウロアンホ酢酸ナトリウム 6.70、香料 0.40、シクロピロックスオラミン 1.50、エチドロン酸 0.20、コカミドプロピルベタイン 6.70
D部:pHを5.5にするのに必要なクエン酸(25%水溶液)
E部:塩化ナトリウム0.10
製造工程:
(1)A部をB部に室温で溶解する。
(2)工程(1)で得たものにC部の成分を順番に加える。
(3)生成した混合物のpHをD部の添加により5.5に調整する。
(4)混合物の粘度をE部の添加により調整する。
【0052】
(実施例6)
コンディショニングシャンプー−質量%
A部:ポリクオタニウム−7 1.50
B部:水 37.00
C部:ラウリル硫酸ナトリウム(28%の溶液)42.90、ラウロアンホ酢酸ナトリウム 6.70、香料 0.40、ラクトフェリン 1.50、シクロピロックスオラミン 2.00、エチドロン酸 0.30、コカミドプロピルベタイン 6.70
D部:5.5のpHにするのに必要なクエン酸(25%水溶液)
E部:塩化ナトリウム0.10
製造工程:
(1)A部をB部に室温で溶解する。
(2)工程(1)で得た混合物にC部の成分を加える。
(3)工程(2)で得た混合物のpHをD部で5.5に調整する。
(4)このようにして得た混合物の粘度をE部の添加により調整する。
【0053】
(実施例7)
洗顔ジェル−質量%
A部:グリセリン 10.00、PEG−8 5.00、パンテノール 0.50、フェノキシエディアノール 0.50、メチルパラベン 0.25、変性アルコール 7.50、香料0.20、エチドロン酸 0.20、ラクトフェリン 0.80、アラントイン 0.10、ナイアシンアミド 0.10
B部:水 74.15
C部:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VP コポリマー 0.70
製造工程:
(1)A部をB部に瑶動させながら溶解する。
(2)工程(1)で得た混合物にC部を加え、均質化するまで瑶動する。
【0054】
(実施例8)
ヘアローション−質量%
A部:水 51.30、PEG/PPG−18/18ジメチコン 0.30
B部:ラクトフェリン 1.50、ベンゾフェノン−4 0.20
C部:イソプロピルアルコール 45.00、香料0.30
D部:ナイアシンアミド 0.30、セトリモニウムクロリド 0.50、パンテノール 0.20、ポリクオタニウム−7 0.10、シクロピロックスオラミン 0.30
E部:pHが6.0〜6.4に達するのに必要なクエン酸
製造工程:
(1)A部の成分を強い瑶動によって混合する。
(2)B部の成分を強く瑶動させながら混合し、その混合物を工程(1)で得たものに加える。
(3)C部の成分を一緒に混合し、その混合物を工程(2)で得たものに加える。
(4)D部の成分を順番に工程(3)で得たものに加える。
(5)工程(4)の混合物のpHをE部の添加により6.00〜6.50に調整する。
【0055】
(実施例9)
フェイスクリーム−質量%
A部:ポリソルベート80 4.50、セテアリルアルコール 18.00、コレステロール 0.45、トコフェロール 0.02、アスコルビルパルミテート 0.01、レシチン 0.01、クエン酸 0.01
B部:水 58.40、プロピレングリコール 9.00、サリチル酸 0.50、メチルパラベン 0.10
C部:水 7.00、ラクトフェリン 1.50、シクロピロックスオラミン 0.50
製造工程:
(1)A部を74℃で、B部を75℃で加熱する。
(2)B部をA部に瑶動しながら緩徐に加える。
(3)混合物を瑶動し続け、50℃まで冷却する。
(4)C部を50℃で加える。
(5)室温になるまで瑶動しながら混合物の冷却を続ける。このようにして得たクリームは、水で洗うことができ、6.0〜7.0の最終的なpHを有する。
【0056】
(実施例10)
顔及び体用のローション−質量%
A部:ラクトフェリン 2.00、水 49.40
B部:変性アルコール 46.00、シクロピロックスオラミン 0.60、サリチル酸 1.80、トリエタノールアミン 0.20
製造工程:
A部及びB部の成分を別々に単純な混合により調製する。A部をB部に注ぎ入れ、混合する。最終的なpHは4.0〜5.0である。
【0057】
(実施例11)
本発明によって提供される製剤が、特にシクロピロックスオラミン単独、及びラクトフェリンと関連した抗真菌作用を研究することによって、真菌成長を抑制することができることが確認された。
【0058】
シクロピロックスオラミンの抗真菌作用を高めるためのラクトフェリンの能力を判断するために、マラセジアグロボサ(Malassezia Globosa)菌株の懸濁液を特定の培地に培養し、真菌成長を抑制する化合物の能力をUFC/mlの計測によって観察する。
【0059】
第1のアプローチとして、2つの化合物を1:500の濃度で試験し、その後個々の活性を視覚化するために2つの減少濃度(10×及び100×)に培地で希釈する。次いで、シクロピロックスオラミンの抗真菌効果を増強するためのラクトフェリンの能力を評価するべく、2つの活性成分の異なる割合(1:2及び1:5)の混合物に対して同じ試験を行う。
【0060】
それぞれの試験を3回行い、培養時間はそれぞれ1時間および4時間である。得られた結果に基づいて、試験の実施のための最良な希釈が10倍の希釈であり、いずれの培養時間(1時間及び4時間)も実験条件がペトリ皿上でコロニーの正確なカウントを実施し得るために考慮される。
【0061】
処置後の真菌成長の評価から得た結果に基づいて、どれだけシクロピロックスオラミンがラクトフェリンと比較して成長を減ずるのに明らかにより効果的であるかを確認できる。
【0062】
単にシクロピロックスオラミンを用いたときと、2つの異なる割合(1:2及び1:5)でそれとラクトフェリンとを組み合わせたときの、真菌成長の抑制の比較から得られた結果は、ラクトフェリンによるシクロピロックスオラミンの有効性の顕著な増加を実証する。
【0063】
この増加は、マラセジアグロボサ菌株を1:5の割合の混合物(ラクトフェリンの濃度がシクロピロックスオラミンの5倍である)で培養した場合に特に顕著である。シクロピロックスオラミンの作用を強化するラクトフェリンの有効性は、第一の培養時間後すでに60%より大きく(シクロピロックスオラミン単独に比べて)、この増加はより長い培養時間(4時間)によっても確認される。
【0064】
(試験の実施)
用いる微生物は、マラセジアグロボサである。
該微生物を特定の培地(ディクソン寒天)で約105生命細胞/mlの濃度に達するまで培養する。次いで、この接種物の1ミリリットルのアリコートを取り出し、これに以下のものをそれぞれ加える。
−シクロピロックスオラミン 1:500
−ラクトフェリン 1:500
−1:2のシクロピロックスオラミン:ラクトフェリンの混合物
−1:5のシクロピロックスオラミン:ラクトフェリンの混合物
【0065】
陽性対照として未処理の接種物(マラセジア及び希釈液)を用い、陰性対照として2つの活性成分の希釈液を用いる。
【0066】
それぞれ1時間及び4時間の培養後、各懸濁液の200μlのアリコートをペトリ皿上に展開する。
【0067】
各処理に関する試験を異なる希釈(未希釈懸濁液(TQ)、10倍に希釈、100倍に希釈)について3回行う。
【0068】
次いで、得られた54の皿を5〜6日の培養後検査し、各試料の微生物負荷を計算する(UFC/ml)。
【0069】
(評価基準)
成長した真菌コロニーの数(UFC/ml)の時間減少は、試験製品が抗真菌特性を有することを示す。
【0070】
抗真菌特性の増加%は、マラセジアグロボサの成長の減少%に相当する。
【0071】
(試験結果)


希釈に基づいて行った計算(200μlの懸濁液をペトリ皿で10倍に希釈)。
【0072】
マラセジアグロボサ成長の減少%は、試験した物質の抗真菌特性の増加%に相当する。
【0073】
上述した表1からわかるように、シクロピロックスオラミン(1:500)を用いることによるマラセジアグロボサ成長の顕著な減少が1時間の培養後に確認される。この減少は、1:5の割合で用いたラクトフェリン(1:500)によって大きく強化される。
【0074】
抗真菌活性の増加(マラセジアグロボサ成長の抑制%に相当)は、シクロピロックスオラミンそれ自身に比べて66.2%である。
【0075】
上述した表2からわかるように、シクロピロックスオラミン(1:500)を用いることによるマラセジアグロボサ成長の顕著な減少が4時間の培養後に確認される。この減少は、1:5の割合で用いたラクトフェリン(1:500)によって大きく強化される。
【0076】
抗真菌活性の増加(マラセジアグロボサ成長の抑制%に相当)は、シクロピロックスオラミンそれ自身に比べて60.82%である。上述した試験結果から、シクロピロックスオラミンは、ラクトフェリンに比べてマラセジアグロボサに対する顕著な抗菌活性を有することが確認できる。
【0077】
驚くべきことには、ラクトフェリンを1:5の割合でシクロピロックスオラミンと組合わせて使用すると、後者の抗菌作用が増加(抗菌活性の増加%が1時間の培養後66.2%に等しい真菌成長の減少%に相当)することを実証する。
【0078】
同様の効果は、ラクトフェリンとエチドロン酸若しくはその塩とを含む組成物、シクロピロックスオラミンとエチドロン酸若しくはその塩とを含む組成物、シクロピロックスオラミン、ラクトフェリン及びエチドロン酸若しくはその塩を含む組成物の場合にも確認される。
【0079】
この理由により、本発明により得られる組成物は、特にフケ及び脂漏性皮膚炎の治療への使用に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロピロックス及び/若しくはその塩、エチドロン酸及び/若しくはその塩、ラクトフェリンからなる群より選択した少なくとも2つの化合物と、生理学的に許容し得るキャリアとを含む局所使用の組成物。
【請求項2】
前記2つの化合物のうちの1つがラクトフェリンである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シクロピロックスの塩は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、第1級、第2級又は第3級アミン塩、アルカノールアミン塩、C−CジアルキルC−Cアルカノールアミン塩、又はC−CアルキルC−Cジアルカノールアミン塩である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
シクロピロックス若しくはその塩、好ましくはシクロピロックスオラミンと、ラクトフェリンとを8:1〜1:20の割合で含む請求項1、2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
さらにエチドロン酸を含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
シクロピロックスオラミン及びエチドロン酸を含む請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項7】
水中油又は油中水エマルジョン、ジェル、スプレー、シャンプー、溶液又はローションとして用いる請求項第1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物が前記組成物に対して0.5〜12質量%、好ましくは1〜8質量%の量である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
漏性皮膚炎の治療用製薬の製造への請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
フケの理容上の治療への請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2011−1365(P2011−1365A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−138415(P2010−138415)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510169479)バーレトゥードゥ エス.アール.エル (1)
【Fターム(参考)】