説明

ラジカル成分CVD用のインサイチュオゾン硬化

誘電体層を形成する方法を説明する。この方法は、ケイ素を含有する前駆体をプラズマ廃水と混合するステップと、ケイ素と窒素を含有する層を基板上に堆積するステップとを含む。ケイ素と窒素を含有する層は、ケイ素と窒素を含有する層を堆積するために使用したのと同じ基板処理領域内においてオゾン含有雰囲気中で硬化することによって、ケイ素と酸素を含有する層に転換される。さらなるケイ素と窒素を含有する層を、ケイ素と酸素を含有する層の上に堆積することができ、ここでも基板を基板処理領域から取り出すことなく、層のスタックをオゾン中で硬化させることができる。複数回の堆積−硬化サイクル後、ケイ素と酸素を含有する層のスタックの転換は、より高い温度で酸素含有環境中においてアニールすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「IN−SITU OZONE CURE FOR RADICAL−COMPONENT CVD」という名称の2010年12月20日出願の米国特許出願第12/972,711号のPCT出願であり、「IN−SITU OZONE CURE FOR RADICAL−COMPONENT CVD」という名称の2010年1月7日出願の米国仮特許出願第61/293,082号の利益を主張するものであり、上記特許文献の開示全体を本明細書に参照により組み込む。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの形状寸法は、数十年前にそれらが登場して以来、サイズが劇的に減少している。現代の半導体製造機器は、通常的に、45nm、32nm、および28nmのフィーチャサイズを有するデバイスを製造し、新規の機器は、さらに小さい形状寸法を有するデバイスを形成するように開発されて実装されている。フィーチャサイズの減少により、デバイス上の構造フィーチャの空間的寸法が減少する。誘電材料で間隙を埋めるのが難しくなるほど、間隙の深さと幅のアスペクト比が高くなる点まで、デバイス上の間隙およびトレンチの幅が狭まる。堆積した誘電体材料は、間隙が完全に埋まる前に上部を閉じる傾向があり、間隙の中央にボイドまたはシームを生成する。
【0003】
数年来、間隙の上部での誘電体の詰まりを回避するため、または生じているボイドまたはシームを「治癒」するために、多くの技術が開発されている。1つの手法は、高い流動性の前駆体材料から始めて、その材料を液相で、回転する基板表面に塗布することができる(例えばSOG堆積技法)。これらの流動性前駆体は、非常に小さい基板間隙内に流れ、そこを埋めることができ、ボイドまたは弱いシームを形成することがない。しかし、これらの高い流動性の材料が堆積された後、それらを固化して固体誘電体材料にしなければならない。
【0004】
多くの場合、固化プロセスは、堆積された材料から炭素およびヒドロキシル基を除去するための熱処理を含み、酸化ケイ素などの固体誘電体を残す。残念ながら、除去された炭素およびヒドロキシル種は、固化した誘電体中に孔を残すことがよくあり、これは、最終的な材料の品質を下げる。さらに、固化した誘電体は、体積を減少する傾向があり、これは、誘電体の界面および周囲の基板に亀裂および空間を残すことがある。いくつかの場合には、固化した誘電体の堆積は40%以上減少することがある。
【0005】
したがって、ボイド、シーム、またはその両方を基板間隙およびトレンチ内で生成することなく、構造化された基板上に誘電体材料を形成するために、新たな堆積プロセスおよび材料が必要である。また、孔がより少なく、体積減少がより小さい流動性誘電体材料を固化する材料および方法が必要である。本出願は、この必要性および他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0006】
誘電体層を形成する方法を説明する。この方法は、ケイ素を含有する前駆体をプラズマ廃水と混合するステップと、ケイ素と窒素を含有する層を基板上に堆積するステップとを含む。ケイ素と窒素を含有する層は、ケイ素と窒素を含有する層を堆積するために使用したのと同じ基板処理領域内においてオゾン含有雰囲気中で硬化することによって、ケイ素と酸素を含有する層に転換される。さらなるケイ素と窒素を含有する層をケイ素と酸素を含有する層上に堆積することができ、ここでも基板を基板処理領域から取り出すことなく、層のスタックをオゾン中で硬化させることができる。複数回の堆積−硬化サイクル後、ケイ素と酸素を含有する層のスタックの転換は、より高い温度で酸素含有環境中においてアニールすることができる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態は、基板処理チャンバにおいて基板処理領域内で基板上にケイ素と酸素を含有する層を形成する方法を含む。この方法は、基板処理領域内で基板上にケイ素と窒素を含有する層を形成するステップを含む。ケイ素と窒素を含有する層を形成するステップは、窒素と水素を含有するガスをプラズマ領域中に流してラジカル窒素前駆体を生成するステップと、プラズマが生じていない基板処理領域内で、炭素を含まないケイ素を含有する前駆体をラジカル窒素前駆体と結合させるステップと、基板上にケイ素と窒素を含有する層を堆積するステップとを含む。さらに、方法は、基板処理領域内においてオゾン含有雰囲気中でケイ素と窒素を含有する層を硬化させるステップを含む。
【0008】
追加の実施形態および特徴は、一部は以下の説明に記載し、一部は本明細書を考察することで当業者に明らかになり、または本発明の実施により理解することができる。本発明の特徴および利点は、本明細書に記載した機構、組合せ、および方法によって実現および達成することができる。
【0009】
本発明の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現することができる。図面中、複数の図面を通じて、同様の構成要素を表すために同様の参照番号を使用する。いくつかの場合には、参照番号に添え字が関連付けられて、ハイフンの後に続き、複数の同様の構成要素の1つを表す。既存の添え字に対する指定なしで参照番号に言及するときは、そのような複数の同様の構成要素すべてに言及することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のいくつかの実施形態による酸化ケイ素フィルムを形成するための選択されたステップを示す流れ図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態による基板間隙内に酸化ケイ素フィルムを形成するための選択されたステップを示す別の流れ図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態によるケイ素を含有するフィルムから獲得されたFTIRスペクトルのグラフである。
【図4】本発明のいくつかの実施形態による基板処理システムを示す図である。
【図5A】本発明のいくつかの実施形態による基板処理チャンバを示す図である。
【図5B】本発明のいくつかの実施形態による基板処理チャンバのシャワーヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
誘電体層を形成する方法を説明する。この方法は、ケイ素を含有する前駆体をプラズマ廃水と混合するステップと、ケイ素と窒素を含有する層を基板上に堆積するステップとを含む。ケイ素と窒素を含有する層は、そのケイ素と窒素を含有する層を堆積するために使用したのと同じ基板処理領域内においてオゾン含有雰囲気中で硬化することによって、ケイ素と酸素を含有する層に転換される。さらなるケイ素と窒素を含有する層を、ケイ素と酸素を含有する層の上に堆積することができ、ここでも基板を基板処理領域から取り出すことなく、層のスタックをオゾン中で硬化させることができる。複数回の堆積−硬化サイクル後、ケイ素と酸素を含有する層のスタックの転換は、より高い温度で酸素含有環境中においてアニールすることができる。
【0012】
特許請求の範囲の及ぶ範囲を仮説的なメカニズムに束縛せずに、いくつかの詳細の論述が有益となることがある。そのような仮説的なメカニズムは、完全に正しいことも、完全には正しくないこともある。堆積後のケイ素と窒素を含有するフィルムを比較的低い基板温度を保ちながらオゾンに曝露することは、酸素含有環境中において比較的高い基板温度で基板を単にアニールするよりも、酸素含有量を増加させる。これは、炭素を含まないケイ素と窒素を含有する前駆体とラジカル窒素前駆体を混合することによってケイ素と窒素のフィルムを堆積することにより生成される比較的開いたネットワークに起因することがある。開いたネットワークにより、オゾンは、フィルム内により深く進入できることがあり、基板の方向で酸化物転換を広げる。高温での転換の実施は、基板付近のネットワークを閉じることがあり、それにより物理的な転換範囲を制限する。
【0013】
オゾンの反応性は、分子酸素の反応性と原子酸素の反応性の間にある。分子酸素は、酸化を活性化するためにより高温を必要とし、これは、基板付近での開いたケイ素と窒素のネットワークの閉鎖をもたらす。望ましくないことに、この閉鎖は、ケイ素と窒素を含有する層のより深い部分での酸化を制限する。原子酸素は、低温で非常に容易に反応し、同様にネットワークを閉じる。オゾンは、酸化を促進するために高温を必要とせずに、開いたネットワーク内に深く進入する安定性があることが分かっている。ここで、酸化ケイ素層を形成する方法およびシステムに関する追加の詳細を説明する。
【0014】
理論上、水素および窒素の代わりにオゾンを使用することができることに鑑みて、熱をほとんどまたは全く伴わずにオゾン硬化を行うことができ、それにより堆積領域内部でオゾン硬化を行うことができるようになると考えられた。ここで、一体化されたオゾン硬化を使用する酸化ケイ素を形成する方法およびシステムに関する追加の詳細を説明する。
【0015】
例示的な酸化ケイ素形成プロセス
図1は、本発明の実施形態による酸化ケイ素フィルムを形成する方法100における選択されたステップを示す流れ図である。方法100は、炭素を含まないケイ素前駆体を基板処理領域102に提供するステップを含む。炭素を含まないケイ素前駆体は、例えば、ケイ素前駆体のクラスの中でもとりわけ、ケイ素と窒素を含有する前駆体、ケイ素と水素を含有する前駆体、またはケイ素と窒素と水素を含有する前駆体でよい。ケイ素前駆体は、炭素を含まないことに加えて、酸素も含まないことがある。酸素がないことで、前駆体から生成されるケイ素と窒素の層内のシラノール(Si−OH)基の濃度がより低くなる。堆積されたフィルム中の余剰なシラノール部分は、堆積された層からヒドロキシル(−OH)部分を除去する堆積後ステップ中に、多孔率の増加、および収縮をもたらすことがある。
【0016】
炭素を含まないケイ素前駆体の具体的な例としては、とりわけ、HN(SiH)、HN(SiH、およびN(SiHなどのシリルアミンを挙げることができる。シリルアミンの流量は、様々な実施形態において、約200sccm以上、約300sccm以上、または約500sccm以上でよい。本明細書で与えられるすべての流量は、デュアルチャンバ基板処理システムへの言及である。単一ウエハシステムはこれらの流量の半分を必要とし、他のウエハサイズは、処理される面積に比例した流量を必要とする。これらのシリルアミンは、追加のガスと混合させることができ、そのようなガスは、キャリアガス、反応ガス、またはそれらの両方として働くことができる。追加のガスの例としては、とりわけ、H、N、NH、He、およびArを挙げることができる。また、炭素を含まないケイ素前駆体の例としては、単独での、または他のケイ素を含有するガス(例えばN(SiH)、水素を含有するガス(例えばH)、および/または窒素を含有するガス(例えばN、NH)と混合されたシラン(SiH)を挙げることができる。また、炭素を含まないケイ素前駆体は、ジシラン、トリシラン、さらなる高次シラン、および塩素化シランを、単独で、または互いに組み合わせて、もしくは前述した炭素を含まないケイ素前駆体と組み合わせて含むこともできる。一般には、炭素を含まないケイ素前駆体が使用されるときよりもフィルムが大きく収縮することがあることを念頭に置きながら、炭素を含むケイ素前駆体を使用することもできる。
【0017】
また、ラジカル窒素前駆体を基板処理領域104に提供することもできる。ラジカル窒素前駆体は、基板処理領域外でより安定な窒素前駆体から生成された、窒素ラジカルを含有する前駆体である。例えば、NH、H、および/またはNを含む安定な窒素前駆体化合物を、チャンバプラズマ領域内、または処理チャンバ外の遠隔プラズマシステム(RPS)内で活性化させてラジカル窒素前駆体を生成することができ、これが次いで基板処理領域内に輸送される。安定な窒素前駆体の流量は、様々な実施形態において、約300sccm以上、約500sccm以上、または約700sccm以上でよい。チャンバプラズマ領域内で生成されるラジカル窒素前駆体は、−N、−NH、−NHなどの1つまたは複数でよく、プラズマ中で生成されるイオン化種を同伴することもある。
【0018】
一般に、他のラジカル前駆体を使用してケイ素と窒素を含有する層を生成することもできる。ラジカル前駆体は、窒素を含んでいても、含んでいなくてもよい。窒素がラジカル前駆体中に存在しない場合、窒素は、ケイ素を含有する前駆体によって供給される。本発明のいくつかの実施形態では、窒素がどちらにも存在することがある。この融通性により、ラジカル前駆体は、より一般には、プラズマ廃水と呼ばれることがある。同様に、プラズマ廃水を生成するためにプラズマ領域内に流される安定な窒素前駆体を、本明細書では一般に、(窒素が存在することも存在しないこともあるので)安定なガスと呼ぶことがある。
【0019】
チャンバプラズマ領域を採用する実施形態では、ラジカル窒素前駆体は、堆積領域から仕切られた基板処理領域の区域内で生成され、堆積領域内で、前駆体が混合および反応して、堆積基板(例えば半導体ウエハ)上にケイ素と窒素の層を堆積する。また、ラジカル窒素前駆体は、水素(H)、窒素(N)、ヘリウムなどキャリアガスを同伴することもある。本明細書では、基板処理領域は、ケイ素と窒素を含有する層の成長中および低温オゾン硬化中、「プラズマが生じていない」と表すことがある。「プラズマが生じていない」は、領域にプラズマが全くないことを必ずしも意味しない。チャンバプラズマ領域内のプラズマの境界は定義するのが難しく、シャワーヘッドのアパーチャを通って基板処理領域に侵入することがある。誘導結合プラズマの場合、少量のイオン化を基板処理領域内部で直接行うことができる。さらに、生じるフィルムの流動性をなくすことなく、基板処理領域内で低強度のプラズマを生成することができる。ラジカル窒素前駆体の生成中のチャンバプラズマ領域よりもはるかに低い強度のイオン密度を有するプラズマに関するすべての原因は、本明細書で使用する「プラズマが生じていない」の範囲から逸脱しない。
【0020】
基板処理領域内で、炭素を含まないケイ素前駆体とラジカル窒素前駆体が混合および反応して、ケイ素と窒素を含有するフィルムを堆積基板106上に堆積する。いくつかの実施形態では、いくつかの方策組合せによって、堆積されるケイ素と窒素を含有するフィルムが共形に堆積することができる。他の実施形態では、従来の窒化ケイ素(Si)フィルム堆積技法とは異なり、堆積されたケイ素と窒素を含有するフィルムが流動性を有する。組成の流動性により、フィルムは、基板の堆積表面にある狭い間隙トレンチおよび他の構造内に流れることができる。一般に、より高いラジカル窒素フラックスは共形堆積を生じ、より低いフラックスは流動性堆積を生じる。
【0021】
流動性は、ラジカル窒素前駆体と炭素を含まないケイ素前駆体との混合から得られる様々な特性に起因することがある。これらの特性には、堆積されたフィルム中の有意な水素成分、および/または短鎖ポリシラザンポリマーの存在が含まれることがある。これらの短鎖は成長してネットワーク形成し、フィルムの形成中および形成後に、より高密度の誘電体材料を形成する。例えば、堆積されたフィルムは、シラザンタイプのSi−NH−Si骨格を有することがある(すなわちSi−N−Hフィルム)。ケイ素前駆体とラジカル窒素前駆体がどちらも炭素を含まないとき、堆積されるケイ素と窒素を含有するフィルムも、実質的に炭素を含まない。当然、「炭素を含まない」は、フィルムが微量の炭素ですら含まないことは必ずしも意味しない。炭素汚染物質が前駆体材料中に存在することがあり、堆積されるケイ素と窒素の前駆体中に入り込む。しかし、これらの炭素不純物の量は、炭素部分を有するケイ素前駆体(例えばTEOSやTMDSOなど)において見られるよりもはるかに少ない。
【0022】
ケイ素と窒素を含有する層の堆積後、堆積基板を、オゾン含有雰囲気108中で硬化させることができる。堆積後の基板は、硬化のために同じ基板処理領域内に残る。基板の硬化温度は、スループットを維持するために、ケイ素と窒素を含有するフィルムの形成中の基板の温度とほぼ同じでよい。あるいは、基板を持ち上げて、加熱された面板またはシャワーヘッドに近付けることによって、硬化操作中に温度を上昇させることもできる。硬化操作中の基板の温度は、様々な実施形態において、120℃未満、100℃未満、90℃未満、80℃未満、または70℃未満でよい。基板の温度は、様々な実施形態において、堆積中の基板温度よりも大きく、50℃よりも高い、60℃よりも高い、70℃よりも高い、または80℃よりも高いことがある。任意の上限を任意の下限と組み合わせて、開示するさらなる実施形態による基板温度に関する追加の範囲を設定することができる。
【0023】
比較的高濃度の原子酸素が生じないように、硬化操作中、基板処理領域の内部はプラズマフリーであることがある。原子酸素の存在は、ケイ素と窒素を含有する層の比較的開いたネットワークを尚早に閉じることがある。いくつかの実施形態では、原子酸素の発生が生じないように、基板処理領域内にプラズマは存在しない。原子酸素は、表面付近のネットワークを閉じ、表面下での酸化を阻むことがある。硬化ステップ中の基板処理領域へのオゾンの流量は、約200sccm以上、約300sccm以上、または約500sccm以上でよい。硬化ステップ中のオゾンの分圧は、約10Torr以上、約20Torr以上、または約40Torr以上でよい。いくつかの条件下で(例えば約100℃〜約200℃の基板温度の間で)、転換はほぼ完了することが判明しており、したがって、いくつかの実施形態では、酸素含有環境中での比較的高温のアニールは不要であることがある。
【0024】
同じ基板処理領域内で硬化操作を行うことが、複数回の堆積−硬化サイクルを可能にし、各サイクル中に要求される厚さを減少させる。この実施形態では、硬化操作は、ケイ素と窒素を含有する層のより薄い厚さのみを転換すればよい。これは、オゾン含有環境に対する要件を緩和し、より高濃度の原子酸素を許容し、基板温度プロセス窓を広げる。いくつかの実施形態では、プラズマは、堆積−硬化サイクルの硬化段階中に存在する。他の実施形態では、基板処理領域内にプラズマは存在せず、オゾン含有環境は、低濃度の原子酸素のみを含む。硬化前のケイ素と窒素を含有する層の層厚さは、様々な実施形態において、1500Å未満、1000Å未満、750Å未満、または500Å未満でよい。複数の堆積−硬化サイクルから得られる、組み合わされたすべてのケイ素と酸素を含有する層のスタックの厚さは、いくつかの実施形態では、主に用途に応じて400Å〜10000Åでよい。
【0025】
目標の全厚に達したかどうかに関して決定が下される(109)。目標に達していない場合、もう1回の堆積操作(102〜106)およびもう1回の硬化操作(108)が順次に完了され、その後、ケイ素と酸素を含有するフィルムの厚さが再び目標の厚さと比較される。目標に達した後、基板を基板処理チャンバに残しておくか、または基板処理チャンバから取り外してアニーリングチャンバに移送することができ、酸化ケイ素へのさらなる転換を行う。
【0026】
複数回の堆積−硬化サイクル後、酸素含有雰囲気中で堆積基板をアニールすることができる(110)。堆積基板は、酸素含有雰囲気が導入されるときに、硬化に使用したのと同じ基板処理領域内に留まっていることがあり、または基板は、酸素含有雰囲気が導入される異なるチャンバに移送されることがある。酸素含有雰囲気は、とりわけ、分子酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、過酸化水素(H)、および酸化窒素(NO、NOなど)など、1つまたは複数の酸素を含有するガスを含むことがある。また、酸素含有雰囲気は、原子酸素(O)や水酸化物(OH)などラジカル酸素およびヒドロキシル種を含むこともあり、これらは遠隔で生成されて基板チャンバ内に輸送されることがある。酸素含有種のイオンが存在することもある。基板の酸素アニール温度は、様々な実施形態において、約1100℃以下、約1000℃以下、約900℃以下、または約800℃以下でよい。基板の温度は、様々な実施形態において、約500℃以上、約600℃以上、約700℃以上、または約800℃以上でよい。ここでも、任意の上限を任意の下限と組み合わせて、開示するさらなる実施形態による基板温度に関する追加の範囲を設定することができる。
【0027】
酸素アニール中、基板処理領域内にプラズマが存在することも、存在しないこともある。CVDチャンバに入る酸素を含有するガスは、基板処理領域に入る前に活性化(例えばラジカル化やイオン化)されている1つまたは複数の化合物を含むことがある。例えば、酸素を含有するガスは、より安定な前駆体化合物を遠隔プラズマ源、またはシャワーヘッドによって基板処理領域から隔てられたチャンバプラズマ領域に通して曝露することによって活性化されたラジカル酸素種やラジカルヒドロキシル種などを含むことがある。より安定な前駆体は、ヒドロキシル(OH)ラジカルおよびイオンを生成する水蒸気および過酸化水素(H)、ならびに原子酸素(O)ラジカルおよびイオンを生成する分子酸素および/またはオゾンを含むことがある。
【0028】
硬化と酸素アニールとの両方のための酸素含有雰囲気は、酸素を提供して、ケイ素と窒素を含有するフィルムを酸化ケイ素(SiO)フィルムに転換する。前述したように、ケイ素と窒素を含有するフィルム内に炭素がないとき、最終的な酸化ケイ素フィルムに形成される孔がかなり少なくなる。また、酸化ケイ素への転換中のフィルムの体積減少(すなわち収縮)もより小さくなる。例えば、炭素含有ケイ素前駆体から形成されたケイ素と窒素と炭素の層は、酸化ケイ素に転換されるときに40体積%以上収縮することがある一方で、実質的に炭素を含まないケイ素と窒素のフィルムは、約15体積%以下だけ収縮することがある。
【0029】
次に図2を参照すると、別の流れ図が示されており、本発明の実施形態による基板間隙内に酸化ケイ素フィルムを形成するための方法200における選択されたステップを示す。方法200は、間隙を備える基板を基板処理領域内に移送するステップを含むことがある(操作202)。基板は、基板上に形成されたデバイス構成要素(例えばトランジスタ)の間隔確保および構造のための複数の間隙を有することがある。間隙は高さと幅を有し、これらは、高さと幅のアスペクト比(AR)(すなわちH/W)を定義し、これは1:1よりもかなり大きい(例えば5:1以上、6:1以上、7:1以上、8:1以上、9:1以上、10:1以上、11:1以上、12:1以上など)。多くの例において、高いARは、約90nm〜約22nm以下の範囲(例えば約90nm以下、65nm以下、45nm以下、32nm以下、28nm以下、22nm以下、16nm以下など)の小さな間隙幅によるものである。
【0030】
基板処理領域内で、炭素を含まないケイ素前駆体をラジカル窒素前駆体と混合させる(操作204)。流動性のケイ素と窒素を含有する層を基板上に堆積することができる(操作206)。この層は、流動性があるので、充填材料の中央付近にボイドまたは弱いシームを生成せずに、高いアスペクト比を有する間隙を充填することができる。例えば、堆積する流動性材料は、間隙が完全に充填される前に間隙の上部を早期に埋めて間隙の中央にボイドを残す可能性が低い。
【0031】
次いで、堆積後のケイ素と窒素を含有する層を、操作204〜206で行った堆積に使用したのと同じ基板処理領域内で硬化することができる(操作208)。図示した実施形態では、複数の堆積−硬化サイクルは示されていないが、図1を参照して図示して説明した繰り返しと同様に、複数の堆積−硬化サイクルを行うこともできる。転換が不完全である場合、一部だけ転換されたケイ素と酸素を含有する層を酸素含有雰囲気中でアニールして(操作210)、ケイ素と窒素を含有する層を酸化ケイ素に遷移させる。酸化ケイ素層を高密度化するために、より高い基板温度で不活性環境中にさらなるアニール(図示せず)を行うことができる。
【0032】
堆積後のケイ素と窒素を含有する層を酸素含有雰囲気中で硬化およびアニールすることにより、基板間隙108を含む基板上に酸化ケイ素層が形成される。いくつかの実施形態では、操作208および210の処理パラメータは、図1の操作108および110を参照して述べたのと同じ範囲を有する。上述したように、酸化ケイ素層は、熱処理ステップ前に層内に存在する多量の炭素を有する炭素含有前駆体を用いて形成された同様の層よりも孔が少なく、体積減少が小さい。多くの場合、体積減少は十分に小さく(例えば約15体積%以下)、収縮した酸化ケイ素により間隙内に生じた空間を埋める、治癒する、または他の形でなくすための熱処理後ステップは不要になる。
【0033】
図3は、本発明のいくつかの実施形態によるケイ素を含有するフィルムから獲得されたFTIRスペクトルのグラフである。堆積後のケイ素と窒素を含有するフィルム305は、908cm−1〜933cm−1の付近の強いピークと、835cm−1〜860cm−1付近の強いピークとを示し、これらは水素および窒素の存在を示す。また、基板処理領域の外部310および内部315のオゾン中で硬化されたケイ素と窒素を含有するフィルムに関してもFTIRスペクトルが示されている。どちらの場合にも、水素に関連付けられるピークは同様に減少され、他のピークも密接に合致する。これは、インサイチュ硬化のより低温での硬化が、専用チャンバ内での硬化にも同様に有効であることを示す。また、FTIRスペクトルは、8回の堆積−硬化サイクルで処理された酸化ケイ素に関しても示され(320)、これは、フィルム内にごくわずかな水素および窒素が残っていることを示す。複数回の堆積−硬化サイクルに関連付けられるFTIRスペクトルはまた、1100cm−1付近で非常に強い酸素ピークを示し、これは、酸化ケイ素へのSi−H−Nの良好な転換を示す。
【0034】
例示的な酸化ケイ素堆積システム
本発明の実施形態を実装することができる堆積チャンバは、チャンバタイプの中でもとりわけ、高密度プラズマ化学気相堆積(HDP−CVD)チャンバ、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバ、減圧化学気相堆積(SACVD)チャンバ、および熱化学気相堆積チャンバを含むことがある。本発明の実施形態を実装することができるCVDシステムの具体的な例としては、Applied Materials, Inc.(米国カリフォルニア州サンタクララ)から市販されているCENTURA ULTIMA(登録商標)HDP−CVDチャンバ/システムおよびPRODUCER(登録商標)PECVDチャンバ/システムが挙げられる。
【0035】
本発明の例示的方法と共に使用することができる基板処理チャンバの例としては、本願と同一の譲受人に譲渡された、「PROCESS CHAMBER FOR DIELECTRIC GAPFILL」という名称の、2006年5月30日出願のLubomirsky他の米国仮特許出願第60/803499号に図示されて記載されているものを挙げることができ、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。さらなる例示的なシステムは、米国特許第6,387,207号および第6,830,624号に図示されて記載されており、それらの特許を参照により本明細書に組み込む。
【0036】
堆積システムの実施形態は、集積回路チップを製造するためのより大きな製造システムに組み込まれることがある。図4は、開示する実施形態による堆積、ベーキング、および硬化チャンバ用の1つのそのようなシステム400を示す。この図において、一対のFOUP(フープ)402が基板(例えば直径300nmのウエハ)を提供し、これらの基板は、ロボットアーム404によって受け取られ、低圧保持領域406内に配置され、その後、ウエハ処理チャンバ408a〜fの1つの中に配置される。第2のロボットアーム410を使用して、保持領域406から処理チャンバ408a〜fに基板ウエハを輸送して戻すことができる。
【0037】
処理チャンバ408a〜fは、流動性誘電体フィルムを基板ウエハ上に堆積、アニール、硬化、および/またはエッチングするための1つまたは複数のシステム構成要素を含むことがある。一構成では、2対の処理チャンバ(例えば408c〜dおよび408e〜f)を使用して、流動性誘電体材料を基板上に堆積することができ、第3の対の処理チャンバ(例えば408a〜b)を使用して、堆積された誘電体をアニールすることができる。別の構成では、同じ2対の処理チャンバ(例えば408c〜dおよび408e〜f)を、流動性誘電体フィルムを基板上に堆積してアニールするように構成することができ、第3の対のチャンバ(例えば408a〜b)を、堆積されたフィルムのUVまたは電子ビーム硬化に使用することができる。さらに別の構成では、3対のチャンバ(例えば408a〜f)すべてを、流動性誘電体フィルムを基板上に堆積して硬化するように構成することができ、それぞれ、加熱されたシャワーヘッドに向けて基板を持ち上げるためのリフトピンを備えるように構成することができ、それにより「一体化された」硬化操作中に温度を上昇させる。さらに別の構成では、2対の処理チャンバ(例えば408c〜dおよび408e〜f)を、流動性誘電体の堆積とUVまたはEビーム硬化との両方に使用することができ、第3の対の処理チャンバ(例えば408a〜b)を、誘電体フィルムをアニールするために使用することができる。説明するプロセスの任意の1つまたは複数を、様々な実施形態で示される製造システムから隔てられた(1つまたは複数の)チャンバで行うことができる。
【0038】
さらに、プロセスチャンバの1つまたは複数408a〜fは、湿式取扱いチャンバとして構成することができる。これらのプロセスチャンバは、水分を含む雰囲気中での流動性誘電体フィルムの加熱を含む。したがって、システム400のいくつかの実施形態は、湿式取扱いチャンバ408a〜bとアニール処理チャンバ408c〜dとを含むことがあり、堆積された誘電体フィルムに対して湿式アニールと乾式アニールの両方を行う。
【0039】
図5Aは、開示する実施形態による基板処理チャンバ500である。遠隔プラズマシステム(RPS)510がガスを処理することができ、次いでそのガスがガス入口アセンブリ511を通って進む。ガス入口アセンブリ511内には、2つの異なるガス供給チャネルが見られる。第1のチャネル512は、遠隔プラズマシステムRPS510を通過するガスを搬送し、第2のチャネル513は、RPS510を迂回する。開示する実施形態では、第1のチャネル512は、プロセスガス用に使用することができ、第2のチャネル513は、処理ガス用に使用することができる。間に絶縁リング524を設けた蓋(または導電性の上部)521と穿孔区域553とが示されており、絶縁リング524は、穿孔区域553に対して蓋521にAC電位を印加することができるようにする。プロセスガスは、第1のチャネル512を通ってチャンバプラズマ領域520内に進み、チャンバプラズマ領域520内のみで、またはRPS510と併用で、プラズマによって励起されることがある。本明細書では、チャンバプラズマ領域520および/またはRPS510の組合せを、遠隔プラズマシステムと呼ぶこともある。穿孔区域(シャワーヘッドとも呼ぶ)553は、チャンバプラズマ区域520を、シャワーヘッド553の下の基板処理領域570から隔てる。シャワーヘッド553は、チャンバプラズマ領域520内に存在するプラズマが、基板処理領域570内のガスを直接励起するのを防止できるようにし、それでも依然として、励起種が、チャンバプラズマ領域520から基板処理領域570内に進むことができるようにする。
【0040】
シャワーヘッド553は、チャンバプラズマ領域520と基板処理領域570の間に位置決めされ、チャンバプラズマ領域520内部で生成されたプラズマ廃水(前駆体または他のガスの励起された誘導体)が複数の通し穴556を通過できるようにし、通し穴556はプレートの厚さを横切っている。また、シャワーヘッド553は、1つまたは複数の中空体積551を有し、中空体積551は、蒸気またはガスの形態での前駆体(例えばケイ素を含有する前駆体)で満たすことができ、小さな穴555を通って基板処理領域570内に通じるが、チャンバプラズマ領域520内には直接は通じていない。この開示する実施形態では、シャワーヘッド553は、通し穴556の最小直径550の部分の長さよりも厚い。チャンバプラズマ領域520から基板処理領域570に進入する励起種の有意な濃度を維持するために、シャワーヘッド553を部分的に通る通し穴556のより大きな直径の部分を形成することによって、通し穴の最小直径550の部分の長さ526を制限することができる。開示する実施形態では、通し穴556の最小直径550の長さは、通し穴556の最小直径と同程度またはそれ未満でよい。
【0041】
図示された実施形態では、シャワーヘッド553は、(通し穴556を通して)プロセスガスを分散させることがあり、プロセスガスは、酸素、水素、および/または窒素、および/またはチャンバプラズマ領域520内でのプラズマによる励起後のそのようなプロセスガスのプラズマ廃水を含む。いくつかの実施形態では、第1のチャネル512を通してRPS510および/またはチャンバプラズマ領域520内に導入されるプロセスガスは、酸素(O)、オゾン(O)、NO、NO、NO、NH、Nを含めたNxHy、シラン、ジシラン、TSA、およびDSAを含むことができる。プロセスガスはまた、ヘリウム、アルゴン、窒素(N)などのキャリアガスを含むこともある。また、第2のチャネル513は、プロセスガスおよび/またはキャリアガス、および/または成長したフィルムまたは堆積後のフィルムから望ましくない成分を除去するために使用されるフィルム硬化ガスを搬送することができる。プラズマ廃水は、プロセスガスのイオン化されたまたは中性の誘導体を含むことがあり、本明細書では、導入されたプロセスガスの原子成分に言及して、ラジカル酸素前駆体および/またはラジカル窒素前駆体と呼ぶこともある。シャワーヘッド553は、チャンバプラズマ領域520内でプラズマによって直接または間接的に加熱することができる(抵抗加熱で、または埋込チャネルを通された熱伝達流体を使用して)。どちらの場合にも、一体化された硬化ステップ中に、基板を持ち上げて、加熱されたシャワーヘッド553に近付け、次いで硬化操作が完了した後に下げることによって、基板温度が上昇されることがある。
【0042】
いくつかの実施形態では、通し穴556の数は約60個〜約2000個でよい。通し穴556は、様々な形状を有することができるが、最も簡単には円形に形成される。開示される実施形態では、通し穴556の最小直径550は、約0.5mm〜約20mm、または約1mm〜約6mmでよい。また、通し穴の断面形状を選択に当たっては自由度があり、円錐、円柱形、または2つの形状の組合せにすることができる。基板処理領域570内にガスを導入するために使用される小さな穴555の数は、様々な実施形態において、約100個〜約5000個でよく、または約500個〜約2000個でよい。小さな穴555の直径は、約0.1mm〜約2mmでよい。
【0043】
図5Bは、開示する実施形態による処理チャンバで使用するためのシャワーヘッド553の底面図である。シャワーヘッド553は、図5Aに示されるシャワーヘッドに対応する。通し穴556は、シャワーヘッド553の底部でのより大きな内径(ID)と上部でのより小さなIDとを有するものとして示されている。小さな穴555は、通し穴556の間でさえ、シャワーヘッドの表面にわたって実質的に一様に分散されており、これは、より均一な混合を提供する助けとなる。
【0044】
シャワーヘッド553にある通し穴556を通って到達するプラズマ廃水が、中空体積551から小さな穴555を通って到達するケイ素を含有する前駆体と結合したとき、例示的なフィルムが、基板処理領域570の内部で載置台(図示せず)によって支持された基板上に生成される。基板処理領域570は、硬化など他のプロセスのためのプラズマをサポートするように装備されていることがあるが、例示的なフィルムの成長中にはプラズマは存在しない。
【0045】
プラズマは、シャワーヘッド553の上のチャンバプラズマ領域520内、またはシャワーヘッド553の下の基板処理領域570内で点火することができる。プラズマは、チャンバプラズマ領域520内に存在して、窒素と水素を含有するガスの流入からラジカル窒素前駆体を生成する。典型的には無線周波数(RF)範囲内のAC電圧が、処理チャンバの導電性の上部521とシャワーヘッド553との間に印加されて、堆積中にチャンバプラズマ領域520内でプラズマを点火する。RF電源は、13.56MHzの高いRF周波数を発生するが、他の周波数を単独で、または13.56MHzの周波数と組み合わせて発生することもできる。
【0046】
フィルムを硬化させるため、または基板処理領域570を画定する内面を洗浄するために基板処理領域570内の下側プラズマがオンに切り替えられたとき、上側プラズマは低い出力であるか、または出力がないことがある。基板処理領域570内のプラズマは、シャワーヘッド553とチャンバの載置台または底部の間にAC電圧を印加することによって点火される。プラズマが存在している状態で、洗浄ガスが基板処理領域570内に導入されることがある。
【0047】
載置台は熱交換チャネルを有することがあり、熱交換チャネルを通して熱交換流体が流れて、基板の温度を制御する。この構成は、比較的低い温度(室温〜約120℃)を維持するために、基板温度を低下または上昇させることができるようにする。熱交換流体は、エチレングリコールおよび水を含むことがある。また、比較的高い温度(約120℃〜約1100℃)を実現するために、載置台のウエハ支持プレート(好ましくはアルミニウム、セラミック、またはそれらの組合せ)を抵抗加熱することもでき、これは、平行な同心円の形態で完全な2巻きを成すように構成された埋込型の単ループの埋込ヒータ要素を使用する。ヒータ要素の外側部分は、支持プレートの周縁部に隣接して延びることがあり、内側部分は、より小さな半径を有する同心円の経路上に延びる。ヒータ要素への配線は、載置台の脚部を通過する。
【0048】
基板処理システムは、システム制御装置によって制御される。例示的実施形態では、システム制御装置は、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、および処理装置を含む。処理装置は、シングルボードコンピュータ(SBC)、アナログおよびデジタル入出力ボード、インターフェースボード、およびステッパモータ制御装置ボードを含む。CVDシステムの様々なパーツは、Versa Modular European(VME)規格に準拠し、この規格は、ボード、カードケージ、ならびにコネクタの寸法およびタイプを定義する。VME規格はまた、16ビットデータバスおよび24ビットアドレスバスを有するものとしてバス構造を定義する。
【0049】
システム制御装置は、CVD機械のあらゆる活動を制御する。システム制御装置は、システム制御ソフトウェアを実行し、これは、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムである。好ましくは、媒体は、ハードディスクドライブであるが、他の種類のメモリでもよい。コンピュータプログラムは、特定のプロセスのタイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、RF出力レベル、サセプタ位置、および他のパラメータを示す命令セットを含む。例えばフロッピーディスクやその他の別の適切なドライブを含めた他のメモリデバイスに記憶された他のコンピュータプログラムも、システム制御装置に命令するために使用することができる。
【0050】
基板上にフィルムスタックを堆積するためのプロセスまたはチャンバを洗浄するためのプロセスは、システム制御装置によって実行されるコンピュータプログラム製品を使用して実装することができる。コンピュータプログラムコードは、例えば、68000アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなど任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語で書くことができる。適切なプログラムコードは、従来のテキストエディタを使用して、単一ファイルまたは複数ファイルに入力され、コンピュータのメモリシステムなど、コンピュータ使用可能媒体に記憶または具現化される。入力されたコードテキストが高級言語である場合、コードはコンパイルされ、得られたコンパイラコードが、次いで、プレコンパイルされたMicrosoft Windows(登録商標)ライブラリルーチンのオブジェクトコードとリンクされる。リンクされ、コンパイルされたオブジェクトコードを実行するために、システムユーザは、オブジェクトコードを呼び出し、コンピュータシステムに、メモリ内のコードをロードさせる。次いで、CPUがコードを読み取って実行して、プログラムで識別されるタスクを行う。
【0051】
ユーザと制御装置の間のインターフェースは、フラットパネル接触感知モニタを介するものである。好ましい実施形態では、2つのモニタが使用され、一方は、操作者用にクリーンルーム壁に取り付けられ、他方は、サービス技師用に壁の後ろにある。2つのモニタは、同じ情報を同時に表示することができ、この場合、ある時点で一方のみが入力を受け入れる。特定のスクリーンまたは機能を選択するために、操作者は、接触感知モニタの指定された領域にタッチする。タッチされた領域は、その強調色を変えるか、または新たなメニューもしくはスクリーンが表示され、操作者と接触感知モニタの間の通信を確認する。ユーザがシステム制御装置と通信できるようにするために、キーボード、マウス、または他のポインティングデバイスもしくは通信デバイスなど他のデバイスを、接触感知モニタの代わりに、またはそれに加えて使用することができる。
【0052】
本明細書で使用するとき、「基板」は、上に層が形成されている、または形成されていない支持基板でよい。支持基板は、絶縁体、または様々なドーピング濃度およびプロファイルの半導体でよく、例えば、集積回路の製造で使用されるタイプの半導体基板でよい。「酸化ケイ素」の層は、窒素、水素、酸素など他の元素成分を低濃度で含むことがある。本発明のいくつかの実施形態では、酸化ケイ素は、本質的にケイ素と酸素からなる。「励起状態」にあるガスは、ガス分子の少なくともいくつかが振動励起、解離、および/またはイオン化された状態にあるガスを表す。ガス(または前駆体)は、2つ以上のガス(前駆体)の組合せでよい。用語「トレンチ」は、本明細書全体を通して、エッチングされた形状寸法が大きな水平アスペクト比を有することは示唆せずに使用する。表面の上から見て、トレンチは、円形、楕円形、多角形、長方形、または様々な他の形状を取ることがある。用語「ビア」は、低いアスペクト比のトレンチを表すために使用され、これは、垂直電気接続を形成するために金属を充填されていることも、充填されていないこともある。用語「前駆体」は、表面から材料を除去するため、または表面に材料を堆積するための反応に関与する任意のプロセスガス(または気化された液滴)を表すために使用される。
【0053】
いくつかの実施形態を説明してきたが、本発明の精神から逸脱することなく様々な修正形態、代替構成、または均等形態を使用することができることを当業者は理解されよう。さらに、本発明を不必要に曖昧にしないように、いくつかのよく知られているプロセスおよび要素は説明していない。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0054】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各中間値(文脈上そうでないことが明らかでない限り下限の単位の10分の1まで)も特に開示されていることを理解されたい。任意の指定した値または指定した範囲内の中間値と、任意の他の指定した値または指定した範囲内の中間値との間のより小さな範囲がそれぞれ包含される。これらのより小さな範囲の上限と下限は、個々にその範囲内に含まれることも含まれないこともある。より小さな範囲にそれらの限界値の一方または両方を含む、またはどちらも含まない各範囲も本発明に包含され、指定した範囲内での任意の特に除外された限界を受ける。指定した範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外した範囲も含まれる。
【0055】
本明細書で使用するとき、および添付の特許請求の範囲において、文脈上そうでないことが明らかな場合を除き、単数形は複数形も含む。したがって、例えば「1つのプロセス」への言及は、複数のそのようなプロセスを含み、「その前駆体」への言及は、1つまたは複数の前駆体、および当業者に知られているその均等物への言及を含む。
【0056】
また、語「備える」および「含む」は、本明細書で使用するとき、および添付の特許請求の範囲において、指定される特徴、整数、構成要素、またはステップの存在を特定する意図のものであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、作用、またはグループの存在または追加を除外しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素と酸素を含有する層を、基板処理チャンバにおいて基板処理領域内の基板に形成する方法であって、
ケイ素と窒素を含有する層を基板処理領域内で基板上に形成するステップを含み、ケイ素と窒素を含有する層を形成するステップが、
安定なガスをプラズマ領域内に流して、プラズマ廃水を生成するステップと、
プラズマが生じていない基板処理領域内で、ケイ素を含有する前駆体をプラズマ廃水と結合させるステップと、
ケイ素と窒素を含有する層を基板上に堆積するステップとを含み、
方法がさらに、基板処理領域内においてオゾン含有雰囲気中でケイ素と窒素を含有する層を硬化させて、ケイ素と酸素を含有する層を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
さらに、第2のケイ素と窒素を含有する層を基板処理領域内で基板上に形成するステップを含み、第2のケイ素と窒素を含有する層を形成するステップが、
安定なガスをプラズマ領域内に流して、プラズマ廃水を生成するステップと、
基板処理領域内で、ケイ素を含有する前駆体をプラズマ廃水と結合させるステップと、
第2のケイ素と窒素を含有する層を基板処理領域内で基板上に堆積するステップと
を含み、
方法がさらに、第2のケイ素と窒素を含有する層を基板処理領域内においてオゾン含有雰囲気中で硬化するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ケイ素を含有する前駆体が直接プラズマ励起されるのを防止するために、ケイ素と窒素を含有する層を形成する操作中、基板処理領域の内部はプラズマフリーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ケイ素と窒素を含有する層を硬化する操作中、基板処理領域の内部はプラズマフリーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
硬化操作中の基板温度が50℃未満であり、ケイ素と窒素を含有する層を堆積する操作中よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ケイ素と窒素を含有する層を堆積する操作中の基板温度が100℃未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
硬化操作中の基板温度が200℃未満である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ケイ素と窒素を含有する層の厚さが約1500Å以下である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板が、硬化操作中に基板を加熱するために、加熱されたシャワーヘッドに向けて持ち上げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
安定なガスが、窒素と水素を含有するガスであり、プラズマ廃水が、ラジカル窒素前駆体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
窒素と水素を含有するガスがアンモニアを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ケイ素を含有する前駆体が炭素を含まない請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ケイ素を含有する前駆体が、ケイ素と窒素を含有する前駆体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ケイ素を含有する前駆体が、N(SiHを含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ケイ素と窒素を含有する層が、炭素を含まないSi−N−H層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
さらに、硬化操作後に、酸素含有雰囲気中で、約600℃以上の酸素アニール温度まで基板の温度を上昇させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
酸素含有雰囲気が、原子酸素、オゾン、および水蒸気(HO)からなる群から選択される1つまたは複数のガスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
基板がパターン形成され、約45nm以下の幅を有するトレンチを有し、トレンチに形成された酸化ケイ素層が実質的にボイドを有さない、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
プラズマ領域が遠隔プラズマシステムである請求項1に記載の方法。
【請求項20】
プラズマ領域が、シャワーヘッドによってプラズマフリー基板処理領域から隔てられた、基板処理チャンバの仕切られた部分である、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公表番号】特表2013−516788(P2013−516788A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548025(P2012−548025)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061356
【国際公開番号】WO2011/084752
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】