説明

ラジカル生成抑制剤

【課題】 新規なラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化作用に優れた抗酸化用化粧料、及び、該抑制剤を用いたラジカル生成抑制方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 α,β−トレハロースのヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体、及び、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体のいずれか一方又は両方を有効成分とするラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化作用に優れた抗酸化用化粧料、及び、該抑制剤を配合することを特徴とするラジカル生成抑制方法を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化用化粧料及びラジカル生成抑制方法に関し、より詳細には、α,β−トレハロースのヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体、及び、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体のいずれか一方又は両方を有効成分とするラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化用化粧料及び該抑制剤を組成物に配合することを特徴とするラジカル生成抑制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「ラジカル」とは、不対電子をもつ原子や分子、或いはイオンを意味し、フリーラジカル又は遊離基とも呼ばれている。ラジカルは、通常、反応性が高く、酸化力が強いため、糖質、蛋白質、脂肪などあらゆる有機化合物と反応する。これら有機化合物を主体とする製品が、ラジカルの生成によりその保存中に劣化し、異臭の発生、変色・退色、硬化、分解、変性や機能低下を起こすことはよく知られている。しかも、ラジカル及びラジカルの生成に連鎖する化学反応により生じる過酸化物は、細胞、組織に対する傷害作用があることから、近年、皮膚の老化、生活習慣病、炎症性疾患、悪性新生物等の各種疾患の発症や増悪の主要原因の一つとされている。ラジカルは、光照射や加温など日常的な環境条件下で容易に生成されるため、ラジカルやその反応生成物である過酸化物による製品の劣化やヒトへの悪影響は、食品分野、化粧品分野、医薬品分野、化学工業品分野などの広範な分野で起こり得る。したがって、ラジカル生成を抑制することは、特定の分野に限らず、製品の品質や機能の保持、ヒトの健康維持の上で極めて重要な課題のひとつである。
【0003】
この課題を解決するための手段として、現在のところ、各分野において最も汎用されている手段は、一般にラジカルスカベンジャーと呼ばれる物質、すなわち、既に存在しているラジカルと反応し、それ自体が化学的に変化することによりラジカルの反応性を阻止ないしは抑制する物質を、製品又はその原料に配合する方法である。しかしながら、ラジカルスカベンジャーによるラジカルの抑制効果は長期間持続するものではないという欠点がある。このような状況下、ラジカル生成抑制効果を有する機能性に優れた素材のさらなる開発が望まれている。
【0004】
一方、特許文献1には、糖質のヒドロキシメチル基及び/又はヘミアセタール水酸基を酸化してカルボキシル基としたカルボキシル化誘導体及びその製造方法が開示されている。また、特許文献2及び3には、α,α−トレハロース(α−D−グルコピラノシル−α−D−グルコピラノシド)が有する2個のヒドロキシメチル基を酸化して得られる酸化トレハロース(α−D−グルクロノピラノシル−α−D−グルクロノピラノシド)が開示されている。しかしながら、これら糖質のカルボキシル化誘導体の機能に関しては詳細に調べられていない。
【0005】
【特許文献1】特許第3556690号公報
【特許文献2】特開平10−251263号公報
【特許文献3】特開2002−153294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新規なラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化作用に優れた抗酸化用化粧料、及び、該抑制剤を用いたラジカル生成抑制方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決する目的で、糖質の誘導体について鋭意研究を進めてきた。その過程において、α,β−トレハロース(α−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシド)のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体、及び、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体が、ヒドロキシラジカルの生成を強く抑制することを新たに見出し、これらジカルボキシル化誘導体が、抗酸化作用に優れる化粧料の成分として有用であることを見出して本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、α,β−トレハロースのヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体、及び、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体のいずれか一方又は両方を有効成分とするラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化作用に優れた抗酸化用化粧料、及び、該抑制剤を配合することを特徴とするラジカル生成抑制方法を提供することにより前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ラジカルの生成に対して優れた抑制能を発揮する新規なラジカル生成抑制剤、該抑制剤を配合してなる抗酸化作用に優れた抗酸化用化粧料、及び、該抑制剤を用いたラジカル生成抑制方法を提供することができる。本発明のラジカル生成抑制剤、抗酸化用化粧料、及び、ラジカル生成抑制方法は、飲食品、化粧品(皮膚外用剤)、医薬品、工業品などの分野で有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、α,β−トレハロース(以下、本明細書では「ネオトレハロース」と呼称する)のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体、及び、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(以下、本明細書では単に「環状四糖」と略称する)のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体のいずれか一方又は両方を有効成分とするラジカル生成抑制剤に関するものである。本発明のラジカル生成抑制剤の調製材料であるネオトレハロース及び環状四糖は、いずれもその構造上、ヒドロキシメチル基を2個ずつ有しており、これらを酸化して2個のカルボキシル基とすることにより、それぞれのジカルボキシル化誘導体を得ることができる。(以下、本明細書ではネオトレハロース及び環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化したジカルボキシル化誘導体を、それぞれ「酸化ネオトレハロース」及び「酸化環状四糖」と略称する。また、これらを総称して「酸化糖」という場合がある。)
【0011】
本発明のラジカル生成抑制剤の有効成分としての酸化ネオトレハロース(α−D−グルクロノピラノシル−β−D−グルクロノピラノシド)及び酸化環状四糖は、その由来や製造方法によって限定されるものではない。酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖は、糖質を化学的に酸化する方法(特許文献2を参照)により得たものであっても、糖質に微生物を作用させ酸化する方法(特許文献1を参照)によって調製したものであってもよい。また、近年報告された、次亜塩素酸と酸化触媒である2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)とを組み合わせて酸化する方法(Jean−Francois Thaburet et.al,Carbohydrate Research,Vol.330,2001,pp.21−29)によっても調製することができる。これら酸化糖は、遊離の酸又は塩のいずれの形態であっても利用することができる。
【0012】
このようにして得られる酸化ネオトレハロース又は酸化環状四糖を含む反応物は、例えば、濾過、抽出、分液、分別沈澱、蒸留などにより未反応物、試薬又は溶媒を除去した後、そのまま本発明のラジカル生成抑制剤として使用することができる。さらに高純度の酸化糖を必要とする場合には、例えば、薄層クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、結晶化などの糖質又は糖質誘導体を精製するための斯界における慣用の方法を用いて精製すればよく、これらの精製方法は、必要に応じて組み合わせて適用できる。
【0013】
斯くして得られる酸化ネオトレハロース又は酸化環状四糖は、いずれもそのままでラジカル生成抑制剤として使用することができる。また、これらの両方を組み合わせてラジカル生成抑制剤とすることも随意である。本発明で使用する酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の形態に特に制限はなく、例えば、溶液、シラップ、マスキット、ペースト、固状物、粉末、結晶、顆粒、錠剤などのいずれでもよい。
【0014】
本発明のラジカル生成抑制剤は、酸化ネオトレハロース及び/又は酸化環状四糖を有効成分として含有するものであるが、他のラジカル生成抑制作用を発揮する成分と組み合わせて用いることも有利に実施できる。本発明のラジカル生成抑制剤における上記酸化糖の割合は、ラジカルの生成を抑制するという本来の効果が発揮される限り、特に限定されないものの、通常、50乃至100質量%が望ましい。
【0015】
本発明のラジカル生成抑制剤は、その各々の使用分野において通常使用される酸化防止方法と組み合わせて用いることにより、単独で使用する場合よりも更に効率的にラジカル生成を抑制することができる。そのような酸化防止方法としては、例えば、抗酸化剤、脱酸素剤、ラジカルスカベンジャー、金属キレート剤などと併用する方法が挙げられる。
【0016】
本発明のラジカル生成抑制剤と併用できるラジカルスカベンジャーとは、生成するラジカルや活性酸素を効率的に捉えて消去する化合物であればいずれでもよく、ラジカル生成抑制剤の使途に応じて1種又2種以上が、適宜選択される。例えば、アスコルビン酸又はその誘導体、ビタミンB、ビタミンP類又はその誘導体、ユビキノン類、ヒドロキノン類、レゾルシノール類やそれらの誘導体、フラボノイド類又はそれらの誘導体、フラボノイド類やテルペン類を含有する植物エキス類などを挙げることができる。
【0017】
本発明のラジカル生成抑制剤は、各種の組成物に配合して用いることができる。本発明でいう組成物とは、具体的には、ラジカルを生成するおそれのある成分を含んでなる飲食品、化粧品、医薬品、化学品などを意味する。本発明のラジカル生成抑制剤を組成物に配合する場合、その配合方法は特に限定されず、その利用目的に応じて、原料の段階から製品の段階に至るまでの適宜の工程、或いは、既存の製品に対して、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入などの1種又は2種以上の方法を適宜組み合わせて用いることができる。必要に応じて、これらの方法を、高圧条件下、減圧条件下で実施することも随意である。
【0018】
本発明のラジカル生成抑制剤を組成物に配合する量は、その組成物からのラジカル生成を抑制できる量であればよく、特に制限はない。しかしながら、配合量が0.01質量%未満ではラジカル生成を効果的に抑制するには不充分な場合があり、通常、組成物に対して、本発明のラジカル生成抑制剤を無水物としての換算で、0.01以上20質量%未満、さらに好ましくは、1.0以上10質量%未満、均一に含有せしめるのが好適である。
【0019】
本発明のラジカル生成抑制剤は、組成物に配合することにより当該組成物中でラジカルの生成を抑制することから、ラジカルの生成により引き起こされる、過酸化脂質、ジオンやアルデヒドの生成、含硫アミノ酸の分解に起因する硫化物の生成、メーラード反応による褐変などをも抑制し、これらの反応に由来する、不快味、不快臭、着色・褐変、香料や色素の劣化などを抑制するので、組成物の品質を長期間安定に保持することができる。
【0020】
従って、本発明のラジカル生成抑制剤は、飲食品に配合してもラジカル生成を抑制し、その結果、ラジカル生成に起因する過酸化物が飲食品に含まれるタンパク質、着色料、香料などを修飾、変性させる過程を抑制することができるので、タンパク変性抑制剤、着色料や香料の安定化剤などとして飲食品の風味(品質)保持に極めて有利に利用できる。
【0021】
また、本発明のラジカル生成抑制剤は、化粧料などの皮膚外用剤に配合して、抗酸化作用に優れた抗酸化用化粧料として使用することができる。この抗酸化用化粧料を頭皮や肌に適用した場合には、ラジカルの生成を抑制して、皮膚の老化防止や、皺・小皺、シミ・ソバカスなどの発生防止などに効果を発揮する。本発明のラジカル生成抑制剤を化粧料に配合して抗酸化用化粧料とする場合、総質量の0.01〜5質量%程度となるように配合するのが望ましい。
【0022】
本発明の抗酸化用化粧料の形態は、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、洗浄料、パック等の基礎化粧品、ファンデーション、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧品、日焼け・日焼け止め化粧品、パーマネント液、毛髪のセット剤などの毛髪化粧品などの、いずれの形態の化粧料であってもよい。
【0023】
また、本発明の抗酸化用化粧料には、前記したラジカル生成抑制剤以外に、化粧料や医薬部外品などに通常使用される各種の成分、すなわち、水、アルコール、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調節剤、紫外線吸収剤、動植物・微生物由来の抽出物、保湿剤、美白剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0024】
また、本発明のラジカル生成抑制剤は、特に、組織や細胞レベルのラジカル生成をも抑制することから、生体内で発生するラジカル生成を伴う炎症反応の抑制剤や炎症性分子の発現抑制剤として、医薬品に配合することもできる。
【0025】
また、本発明のラジカル生成抑制剤は、合成高分子樹脂に配合することにより、紫外線をはじめとする光、熱、放射線、圧力などにより誘発されるラジカルによる樹脂の劣化を防止することに利用できるだけでなく、塗料、インク、接着剤、コーティング剤などのように、その成分として上記合成高分子樹脂を含む組成物の劣化(色、可塑性、剛性、接着性などの劣化を含む)を抑制することもできる。
【0026】
本発明のラジカル生成抑制剤を、飲食品、化粧品、医薬品、化学品などの各種の組成物に配合することは、当該組成物中の成分からのラジカルの生成抑制方法として各種の分野で有利に実施できる。
【0027】
以下、実験に基づいて本発明のラジカル生成抑制剤について、より詳細に説明する。
【0028】
<実験1:酸化ネオトレハロースの調製>
含水結晶ネオトレハロース(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)36g(100mmol)、臭化ナトリウム(NaBr)2.06g(20mmol)及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)0.031g(0.2mmol)を脱イオン水200mlに溶解し、氷冷浴中で5℃以下まで冷却した後、温度を4乃至6.5℃に保ちつつ2.5M次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液を滴下しながら2M水酸化ナトリウム溶液でpH10に保持した。反応液のpHが変化しなくなった時点でエタノール10mlを添加し、さらに30分間攪拌して反応を終了させた。次いで、反応液のpHを7.0に調整した後、エタノール1,000mlを入れたビーカーに注ぎ込み、上澄み液をデカンテーションにて除去した。残る油状物を脱イオン水に溶解し、これにエタノール1,000mlを加えて再沈澱させる操作を2回繰り返した。再度、脱イオン水150mlに溶解し、6N塩酸でpH1に調整した後エタノールを加えて再沈澱させた。沈殿物を濾集し乾燥させた後、再度脱イオン水に溶解し、再結晶させて20.1gの結晶状の反応生成物を得た。
【0029】
得られた反応生成物を高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略称する。)にて分析した場合のクロマトグラムを図1に示す。図1に示すように、本反応生成物は保持時間9.5分に単一なピークを示す純度の高いものであった。なお、HPLCは下記の条件にて行った。
<HPLC条件>
カラム:Shodex SH1011(内径8mm、長さ300mm、昭和電工製)
ガードカラム:SH−G(内径6mm、長さ50mm、昭和電工製)
溶離液:0.01N硫酸
流 速:0.75ml/分
カラム温度:50℃
注入量:20μl
検出器:示差屈折計
【0030】
反応生成物の核磁気共鳴(H−NMR及び13C−NMR)スペクトルを図2及び3にそれぞれ示す。なお、核磁気共鳴スペクトルはフーリエ変換核磁気共鳴装置『JNM−GSX400』(日本電子株式会社製)にて測定した。試料は重水(DO)に溶解し、H−NMRの場合は水(HO)を、13C−NMRの場合は[2,2,3,3−]3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム(TPS)をそれぞれ内部基準として用いた。反応生成物のH−NMR及び13C−NMRスペクトルにおけるシグナルの帰属を表1に示す。また、参考までに、調製の原料であるネオトレハロースのシグナルについても同様に表1に併記した。なお、表中、H−1、C−1などはα−グルクロノシル基又はα−グルコシル基における水素又は炭素を表し、H−1'、C−1'などはβ−グルクロノシル基又はβ−グルコシル基における水素又は炭素を表す。
【0031】
【表1】

【0032】
反応生成物の13C−NMRスペクトルにおける化学シフト値を原料としたネオトレハロースのそれと比較したところ、α−グルコシル基及びβ−グルコシル基の6位のシグナル、すなわち、表1におけるC−6及びC−6'が、60.6ppmからカルボニル炭素のシグナルとして174〜175ppmに大きくシフトしており、カルボキシル基が生成していることが判明した。一方、反応生成物のH−NMRスペクトルには、α−グルコシル基及びβ−グルコシル基の6位のプロトンシグナルが観察されず、ヒドロキシメチル基がカルボキシル基に変化していることが示唆された。これらのNMR分析の結果、反応生成物は、ネオトレハロースにおける2個のグルコシル基の6位がいずれもカルボキシル化されている誘導体であることが判明した。
【0033】
これらの結果から、反応生成物は、α−D−グルクロノピラノシル−β−D−グルクロノピラノシド、すなわち、ネオトレハロースの2個のヒドロキシメチル基が2個のカルボキシル基に酸化された酸化ネオトレハロースであることが判明した。
【0034】
<実験2:酸化環状四糖の調製>
原料糖質として、国際公開番号 WO 02/10361 A1パンフレットの実施例A−5記載の方法で調製された環状四糖5含水結晶(株式会社林原生物化学研究所製造)73.83g(100mmol)を用いた以外は実験1と同様に操作し、41.3gの結晶を得た。
【0035】
得られた反応生成物をHPLCにて分析した場合のクロマトグラムを図4に示す。図4に示すように、本反応生成物は保持時間9.3分に単一なピークを示す純度の高いものであった。なお、HPLCは実験1と同一条件にて行った。
【0036】
反応生成物の核磁気共鳴(H−NMR及び13C−NMR)スペクトルを図5及び6にそれぞれ示す。それぞれの測定条件は実験1と同様とした。反応生成物のH−NMR及び13C−NMRスペクトルにおけるシグナルの帰属を表2に示す。また、参考までに、調製の原料である環状四糖のシグナルについても同様に表2に併記した。なお、表中、H−1、C−1などは1位がα−1,3結合しているグルコシル基における水素又は炭素を表し、H−1'、C−1'などは1位がα−1,6結合しているα−グルクロノシル基又はα−グルコシル基における水素又は炭素を表す。
【0037】
【表2】

【0038】
原料とした環状四糖の炭素数は24個であるにもかかわらず、点対称の構造を有する四糖であるため、その13C−NMRスペクトルには12個の炭素シグナルしか観察されない。本反応生成物も同様に13C−NMRスペクトルには12個の炭素シグナルしか観察されず、本反応生成物もまた点対称な構造を有する四糖であることが判明した。反応生成物の13C−NMRスペクトルにおける化学シフト値を原料とした環状四糖のそれと比較したところ、1位がα−1,6結合しているグルコース残基の6位のシグナル、すなわち、表2におけるC−6'が、62.5ppmからカルボニル炭素のシグナルとして177.6ppmに大きくシフトしており、カルボキシル基が生成していることが判明した。一方、反応生成物のH−NMRスペクトルには、1位がα−1,6結合しているグルコース残基の6位のプロトンシグナルが観察されず、ヒドロキシメチル基がカルボキシル基に変化していることが示唆された。これらのNMR分析の結果、反応生成物の、1位がα−1,6結合しているグルコース残基の6位がカルボキシル化されていることが判明した。
【0039】
これらの結果から、反応生成物は、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルクロノピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖の2個のヒドロキシメチル基が、2個のカルボキシル基に酸化された酸化環状四糖であることが判明した。
【0040】
<実験3:ヒドロキシラジカル生成に及ぼす酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の影響(その1)>
ラジカル発生剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(AAPH)を用い、ヒドロキシラジカル生成に及ぼす酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の影響を以下の実験により調べた。
【0041】
<被験糖質溶液の調製>
含水結晶ネオトレハロース(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)及び環状四糖5含水結晶(株式会社林原生物化学研究所製造)を、それぞれ精製水で、各々37.5、75、150又は300mMとなるように溶解、希釈して、被験糖質溶液とした。また、実験1で調製した酸化ネオトレハロース及び実験2で調製した酸化環状四糖を、それぞれ精製水で、各々18.8、37.5、75、150又は300mMとなるように溶解、希釈して、被験糖質溶液とした。但し、酸化環状四糖は、150mM及び300mMの濃度では精製水に溶解しなかったので、酸化環状四糖については、これらの濃度での試験は行わなかった。
<ヒドロキシラジカルの生成量の測定>
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)50μlを入れた容器に、180mM5,5−ジメチル−1−ピロリン−オキシド(DMPO、和光純薬株式会社販売)溶液を50μl加えて攪拌し、これに上記被験糖質溶液のいずれか50μlを加えて攪拌した。これらの溶液の各々に、ラジカル発生剤として濃度100mMのAAPH溶液を50μl添加し、10秒間混合して反応を開始させ、電子スピン共鳴スペクトル(ESR)測定用セルに入れ、測定装置にセットして、反応開始2分50秒後のヒドロキシラジカルの生成量を測定した。対照として、被験糖質溶液に代えて精製水50μlを用いた以外は同様の方法により測定を行った。なお、ESRの測定には日本電子株式会社製「Free Radical Monitor JES−FR30」を用い、ヒドロキシラジカルの生成量は、スピントラップ剤として使用した5,5−ジメチル−1−ピロリン−オキシド−OH(ヒドロキシラジカル)に特有の4つのシグナルピークのうち、走査開始後最初に観察されるピークと、JES−FR30装置に装着されている外部標準のMn2+のピークの高さとの比を求めて、対照を100とした相対値として、表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
表3から明らかなように、ラジカル発生剤AAPHを用いたヒドロキシラジカル生成系において、酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖はいずれも濃度依存的にラジカルの生成を抑制した。一方、これら酸化糖の調製原料であるネオトレハロース及び環状四糖は、いずれもラジカル生成抑制作用を示したものの、酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖と比較してその作用は弱いものであった。
【0044】
<実験5:ヒドロキシラジカル生成に及ぼす酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の影響(その2)>
過酸化水素(H)と塩化第二銅(CuCl)を用い、ヒドロキシラジカル生成に及ぼす酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の影響を以下の実験により調べた。
【0045】
<被験糖質溶液の調製>
含水結晶ネオトレハロース(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)、環状四糖5含水結晶(株式会社林原生物化学研究所製造)、実験1で調製した酸化ネオトレハロース、及び実験2で調製した酸化環状四糖を、それぞれ精製水で、各々0.5、1、5又は10mMとなるように溶解、希釈して、被験糖質溶液を調製した。
<ヒドロキシラジカルの生成量の測定>
1mM過酸化水素(H)溶液50μlを入れた容器に、80mM5,5−ジメチル−1−ピロリン−オキシド(DMPO、和光純薬株式会社販売)溶液を50μl加えて攪拌し、これに上記被験糖質溶液のいずれか50μlを加えて攪拌した。これらの溶液の各々に、1mM塩化第二銅(CuCl)溶液を50μl添加混合して反応を開始させ、電子スピン共鳴スペクトル(ESR)測定用セルに入れて、測定装置にセットして、反応開始40秒後のヒドロキシラジカルの生成量を測定した。対照として、被験糖質溶液に代えて精製水50μlを用いた以外は同様の方法により測定を行った。なお、ESRの測定は実験4と同様に行った。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】

【0047】
表4から明らかなように、過酸化水素(H)と塩化第二銅(CuCl)とを用いたヒドロキシラジカル生成系において、酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖はいずれも濃度依存的にラジカルの生成を抑制した。一方、これら酸化糖の調製原料であるネオトレハロース及び環状四糖は、いずれもラジカル生成抑制作用をほとんど示さなかった。
【0048】
<実験6:ヒドロキシラジカル生成に及ぼす酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の影響(その3)>
テトラメチルムレキシド(TMM)と塩化第一銅(CuCl)を用い、ヒドロキシラジカル生成に及ぼす酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖の影響を以下の実験により調べた。
<被験糖質溶液の調製>
含水結晶ネオトレハロース(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)、環状四糖5含水結晶(株式会社林原生物化学研究所製造)、実験1で調製した酸化ネオトレハロース、及び実験2で調製した酸化環状四糖を、それぞれ精製水で、各々100mMとなるように溶解して、被験糖質溶液を調製した。
<ヒドロキシラジカルの生成量の測定>
5mM塩化第一銅(CuCl)水溶液1ml、上記被験糖質溶液のいずれか1ml、1mMテトラメチルムレキシド(TMM)1mlに、60mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)1mlを加えて攪拌し、480nmの吸光度を測定し、被験糖質溶液に代えて脱イオン水を用いた以外は同様の方法で測定した480nmの吸光度との吸光度差(ΔE480)を求めた。一方、被験糖質溶液に代えて5mMエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)水溶液を加えた試験液と脱イオン水を加えた試験液の480nmの吸光度差(ΔE480)をラジカル生成にともなうTMMとCuイオンのキレート発色として100とし、この値に対する上記の各被験糖質溶液を添加した場合の吸光度差を相対値で表すことによりラジカルの生成抑制作用を評価した。結果を表5に示す。
【0049】
【表5】

【0050】
表5から明らかなように、テトラメチルムレキシド(TMM)と塩化第一銅(CuCl)とを用いたヒドロキシラジカル生成系において、酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖はいずれも低い相対値を示し、ラジカルの生成を抑制した。一方、これら酸化糖の調製原料であるネオトレハロース及び環状四糖は、いずれもラジカル生成抑制作用をほとんど示さなかった。
【0051】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
<ラジカル生成抑制剤>
含水結晶ネオトレハロース(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)10g(26.4mmol)、酸化白金2g及び精製水200mlを、温度計と還流冷却器を装着した500ml容ガラス製反応容器に入れ、内容物を攪拌しつつ60℃で還流させながら、酸素を通気して24時間反応させた。反応終了後、反応液を重炭酸ナトリウムで中和し、濾過して酸化白金を除去し、減圧下で溶媒を留去して、10.4gの淡黄色粉末を得た。なお、酸化ネオトレハロースの生成は実験1と同様に13C−NMRスペクトルを測定し確認した。本品は酸化ネオトレハロースのナトリウム塩であり、調製原料のネオトレハロース質量に対する収率は約95%であった。本品は、ナトリウム塩のまま、或いは、イオン交換により遊離の酸の形態とした後、ラジカル生成抑制剤として利用することができる。
【実施例2】
【0053】
<ラジカル生成抑制剤>
実験2で用いた環状四糖5含水結晶(株式会社林原生物化学研究所製造)40g(54.2mmol)、5%白金・炭素10g及び精製水200mlを、温度計と還流冷却器を装着した500ml容ガラス製反応容器に入れ、内容物を攪拌しつつ60℃で還流させながら、酸素を通気して24時間反応させた。反応終了後、反応液を重炭酸ナトリウムで中和し、濾過して白金・炭素を除去し、減圧下で溶媒を留去して、約42gの淡黄色粉末を得た。なお、酸化環状四糖の生成は実験2と同様に13C−NMRスペクトルを測定し確認した。本品は酸化環状四糖のナトリウム塩であり、調製原料の環状四糖質量に対する収率は約95%であった。本品は、ナトリウム塩のまま、或いは、イオン交換により遊離の酸の形態とした後、ラジカル生成抑制剤として利用することができる。
【実施例3】
【0054】
<ラジカル生成抑制剤>
実験1の方法で調製した酸化ネオトレハロース6質量部と実験2の方法で調製した酸化環状四糖4質量部を均一に混合し、ラジカル生成抑制剤を調製した。
【実施例4】
【0055】
<化粧下地>
下記に示す配合処方(単位は質量部)に基づき、常法により、そのB成分を加熱溶解したものの中にC成分を添加・分散後、別の容器で加熱・溶解したA成分を添加・乳化して充分に均一混合して、室温まで攪拌冷却し、目的の化粧下地を得た。本品は、酸化環状四糖をラジカル生成抑制剤として含有しているので、皮膚細胞組織の酸化を防止し、また、ラジカル生成に起因する変色や異臭の発生が抑制された化粧下地である。
【0056】
<A成分>
精製水 48
1,3−ブチレングリコール 2
グリセリン 1
実施例2の方法で得たラジカル生成抑制剤 1.5
エラグ酸 0.5
モンモリロナイト 0.5
プルラン(株式会社林原商事販売、商品名「プルラン 0.1
PI−20」)
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミン4酢酸ナトリウム 0.05
水酸化ナトリウム 0.1
<B成分>
ステアリン酸 1
パルミチン酸 1
イソステアリルパルミテート 3
ワセリン 1
ジメチルポリシロキサン(6CS) 10
流動パラフィン 10
POEグリセリルモノステアレート 1
グリセリルモノステアレート 1
酸化防止剤 0.05
防腐剤 0.2
香料 適量
<C成分>
酸化チタン 4
セリサイト 8
黄酸化鉄 0.1
微粒子酸化チタン 5
チタン酸コバルト 0.7
【実施例5】
【0057】
<乳液>
以下に示す配合処方(単位は質量部)に基づき、常法により乳液を調製した。本品は、酸化環状四糖をラジカル生成抑制剤として含有しているので、ラジカル生成が抑制されて、変色や異臭の発生もなく、その品質が長期間安定に保持される。また、本品は、ラジカルの生成が抑制されて抗酸化作用が発揮されるので、みずみずしい肌の維持をはじめ、皮膚刺激やかゆみの予防、美白、シミ、ソバカス、日焼け等の色素沈着症、或いは、皮膚の老化の予防、治療等に有利に使用できる。
【0058】
(配合)
ステアリン酸 2.5
セタノール 1.5
ワセリン 5
流動パラフィン 10
ポリオキシエチレン(10モル)オレート 2
プロピルパラベン 0.1
酢酸dl−α−トコフェロール 0.5
香料 0.2
ポリエチレングリコール(1500) 3
トリエタノールアミン 1
糖蜜エキス 0.5
L−アスコルビン酸2−グルコシド(林原生物化学 2
研究所株式会社販売、商品名「AA2G」)
実験2の方法で調製した酸化環状四糖 1
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ 2.5
(株式会社林原生物化学研究所製造、商品名「トルナーレ」)
精製水を加えて全量を100とする。
【実施例6】
【0059】
<化粧水>
以下に示す配合処方(単位は質量部)に基づき、常法により、化粧水を調製した。本品は、酸化ネオトレハロースをラジカル生成抑制剤として含有しているので、ラジカル生成が抑制されて、変色や異臭の発生もなく、その品質が長期間安定に保持される。また、本品は、ラジカルの生成が抑制されて抗酸化作用が発揮されるので、はりのあるみずみずしい肌の維持をはじめ、皮膚刺激やかゆみの予防、美白、シミ、ソバカス、日焼け等の色素沈着症、或いは、皮膚の老化の予防、治療等に有利に使用できる。
【0060】
(配合)
実験1の方法で得た酸化ネオトレハロース 0.5
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
グリセロール 2
エタノール 5
チオタウリン 1
感光素201号 0.0001
エチルパラベン 0.1
精製水を適量加えて、全量を100とする。
【実施例7】
【0061】
<塩化ビニル樹脂>
塩化ビニル樹脂100質量部、テトラヒドロフラン500質量部、ステアリン酸バリウム0.001質量部、ステアリン酸亜鉛0.001質量部に実施例2の方法で得たラジカル生成抑制剤0.6質量部を添加して、均質になるように混合し、更に、180℃に加温して、5分間混練し、厚さ0.5mmのシートを作成した。本品は、酸化環状四糖により紫外線などに起因するラジカル生成が抑制されるため、耐光性に優れた塩化ビニル樹脂である。
【実施例8】
【0062】
<塗料>
ポリエステル樹脂100質量部、β−ヒドロキシアルキルアミド3.3質量部、炭酸カルシウム11質量部、実施例3の方法で得たラジカル生成抑制剤3質量部、ベンゾイン1質量部、レベリング剤2質量部、二酸化チタン33質量部、カーボンブラック0.3質量部、トリポリリン酸二水素アルミニウム8質量部を、常法により、混合攪拌して塗料を調製した。本品は、酸化ネオトレハロース及び酸化環状四糖によりラジカル生成が抑制されているので、長期間光沢が保持される耐久性に優れた塗料である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のラジカル生成抑制剤、抗酸化用化粧料、及び、ラジカル生成抑制方法は、飲食品分野、農林水産分野、化粧品分野、医薬部外品、医薬品分野、工業品分野など多岐の利用分野にわたって有用である。本発明は、かくも顕著な作用効果を奏する発明であり、産業上の貢献度が誠に多大な意義ある発明である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】酸化ネオトレハロースのHPLCクロマトグラムである。
【図2】酸化ネオトレハロースのH―NMRスペクトルである。
【図3】酸化ネオトレハロースの13C―NMRスペクトルである。
【図4】酸化環状四糖のHPLCクロマトグラムである。
【図5】酸化環状四糖のH―NMRスペクトルである。
【図6】酸化環状四糖の13C―NMRスペクトルである。
【符号の説明】
【0065】
図3及び6において、
↓:酸化糖におけるグルコース残基の6位カルボキシル基の炭素シグナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,β−トレハロースのヒドロキシメチル基を酸化して得られるジカルボキシル化誘導体、及び、シクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化して得られるジカルボキシル化誘導体のいずれか一方又は両方を有効成分とするラジカル生成抑制剤。
【請求項2】
α,β−トレハロースのヒドロキシメチル基を酸化して得られるジカルボキシル化誘導体及び/又はシクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖のヒドロキシメチル基を酸化して得られるジカルボキシル化誘導体と共に、ラジカルスカベンジャーを含有することを特徴とする請求項1記載のラジカル生成抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載のラジカル生成抑制剤を配合してなる抗酸化用化粧料。
【請求項4】
請求項1又は2記載のラジカル生成抑制剤を組成物に配合することを特徴とするラジカル生成抑制方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−132598(P2010−132598A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309720(P2008−309720)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】