説明

ラミネート装置

【課題】ラミネートフィルムを手で差し込む必要がなく、しかもラミネートフィルムがシート材に対して斜めに送られてしまうことのないラミネート装置を提供する。
【解決手段】剥離紙21とこの剥離紙に貼られたラミネートフィルム22とから構成されるラミネートシート20を走行させ、この走行されるラミネートシート20からラミネートフィルム22を剥離し、このラミネートフィルム20をシート材12の画像面に貼着させるラミネート装置10であって、粘着ローラ18にラミネートシート20の非接着層側を押圧して粘着ローラ18にラミネートフィルム22を粘着させる押圧ローラ19と、シート材12と粘着ローラ18に粘着されたラミネートフィルム22とを押圧してそのラミネートフィルム22をシート材12に貼着させる受けローラ25とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート材の画像面にラミネートフィルムを貼着させるラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印字ヘッドでシート材に画像を形成し、この画像を形成したシート材の片面にラミネートフィルムを貼着していくラミネート装置に関する(特許文献1参照)。
【0003】
かかるラミネート装置は、ラミネートフィルムと剥離紙とを巻回して形成されたラミネートフィルムロールと、ラミネートフィルムから剥離紙を剥離する剥離部材と、剥離した剥離紙を巻き取る巻取ローラと、シート材をロール状に巻いたシートロールと、このシートロールから送り出されるシート材に画像を形成するサーマルヘッドと、その画像を形成したシート材の表面に剥離紙が剥離されたラミネートフィルムを圧着する圧着ローラおよび搬送ローラ等とを備えている。
【特許文献1】特開平11−221792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなラミネート装置にあっては、剥離紙から剥離されたラミネートフィルムを圧着ローラおよび搬送ローラとの間に手で差し込まなければならず、このため、ラミネートフィルムをシート材に対して斜めに差し込んでしまった場合、そのままラミネートフィルムは斜めに送られてしまう問題があった。
【0005】
この発明の目的は、ラミネートフィルムを手で差し込む必要がなく、しかもラミネートフィルムがシート材に対して斜めに送られてしまうことのないラミネート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、剥離紙とこの剥離紙に貼られたラミネートフィルムとから構成されるラミネートシートを走行させ、この走行されるラミネートシートからラミネートフィルムを剥離し、走行されるシート材の画像面にその剥離されたラミネートフィルムを貼着させるラミネート装置であって、
粘着ローラと、前記ラミネートシートの非接着層側をその粘着ローラに押圧して前記ラミネートフィルムをその粘着ローラに粘着させる押圧ローラと、前記シート材と前記粘着ローラに粘着されたラミネートフィルムとを押圧してそのラミネートフィルムをシート材に貼着させる受けローラとを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記粘着ローラを受けローラに対して接離可能に設け、
前記押圧ローラを粘着ローラとともに移動可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記剥離紙に貼られたラミネートフィルムの先端部を検知する検知手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記剥離紙から剥離されたラミネートフィルムを切断するカッターを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、粘着ローラと、ラミネートシートの非接着層側をその粘着ローラに押圧してラミネートフィルムをその粘着ローラに粘着させる押圧ローラと、その粘着ローラに粘着されたラミネートフィルムの接着層側にシート材を押圧させてそのラミネートフィルムをそのシート材に貼着させる受けローラとを設けたものであるから、ラミネートフィルムを手で差し込む必要がなく、しかもラミネートフィルムがシート材に対して斜めに送られてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明に係わるラミネート装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
[第1実施例]
図1は第1実施例のラミネート装置10の構成を概略的に示した概略概念図であり、11はシート材12をロール状に巻いたシートロール、13はプラテンローラ、14はシート材12の表面に画像を形成するサーマルヘッド、15はシート材12とともに後述するラミネートフィルム22を巻き取っていく巻取ロールである。
【0013】
16はラミネートシート20をロール状に巻いたラミネートシートロールであり、ラミネートシート20は剥離紙21とこの剥離紙に貼り付けられたラミネートフィルム22とから構成されている。ラミネートフィルム22の内面には接着剤による接着層22Aが形成されている(図2参照)。
【0014】
17は剥離紙21を巻き取っていく巻取ロール、18はウレタンゴムやブチルゴムなどからなる粘着ローラであり、ラミネートシート20のラミネートフィルム22を粘着して剥離紙21から剥離させていく。19はラミネートシート20を粘着ローラ18に押圧する押圧ローラであり、粘着ローラ18および押圧ローラ19は鎖線位置と実線位置との間を移動できるようになっている。
【0015】
25はシート材12の下側に配置された受けローラであり、この受けローラ25は粘着ローラ18とによってラミネートフィルム22をシート材12に圧接させて、そのラミネートフィルム22をシート材12に貼着させるものである。
【0016】
ところで、ラミネートシート20のラミネートフィルム22の接着層(図示せず)と剥離紙21との間の接着力K1は、粘着ローラ18とラミネートフィルム22の非接着層(図示せず)との間の接着力K2より小さく設定されている。また、ラミネートフィルム22の接着層とシート材12との間の接着力K3は接着力K2より大きく設定されている。すなわち、K1<K2<K3の関係になっている。
【0017】
26はラミネートフィルム22の先端部22bを検知する検知部材であり、この検知部材26は例えばラミネートフィルム22に向けて光を発光する発光ダイオードとラミネートフィルム22で反射される光を受光する受光ダイオードなどから構成されている。
[動 作]
次に、上記のように構成されるラミネート装置10の動作について説明する。
【0018】
先ず、粘着ローラ18および押圧ローラ19を図2(A)に示す位置へ移動させておき、剥離紙21を図示のように粘着ローラ18および押圧ローラ19間にセットする。このセットによりラミネートフィルム22の先端部22bが図示の位置にあるとする。
【0019】
次に、巻取ロール15およびプラテンローラ13等を回転駆動させて、シートロール11からシート材12を送り出していく。すなわち、シート材12をシートロール11から右方向へ走行させていく。この走行されるシート材12の表面にサーマルヘッド14により画像を形成していく。シート材12の画像が所定位置S(図2(B)参照)に到達したら、図1に示す巻取ロール15およびプラテンローラ13等の回転駆動を停止させるとともに、巻取ロール17,粘着ローラ18,押圧ローラ19等を矢印方向に回転させてラミネートシートロール16からラミネートシート20を送り出していく。すなわち、ラミネートシート20をラミネートシートロール16から左方向へ走行させていく。
【0020】
ラミネートシート20のラミネートフィルム22の先端部22bが粘着ローラ18および押圧ローラ19間に入り込むと、そのラミネートフィルム22が粘着ローラ18に粘着していく。
【0021】
一方、剥離紙21は巻取ロール17に巻き取られてゆく。この結果、ラミネートフィルム22は剥離紙21から剥離されていくとともに粘着ローラ18に粘着されていく。
【0022】
粘着ローラ18の回転により、ラミネートフィルム22の先端部22bが図2(B)に示す位置へ到達すると、巻取ロール17,粘着ローラ18,押圧ローラ19等の回転駆動を停止させる。ラミネートフィルム22の先端部22bが図2(B)に示す位置に到達したか否かの判断は、検知部材26が図2(A)に示すラミネートフィルム22の先端部22bを検知してからの粘着ローラ18の回転移動量で判断する。
【0023】
そして、押圧ローラ19を粘着ローラ18とともに図3(A)に示すように押し下げて、粘着ローラ18を受けローラ25へ押圧させる。
【0024】
この後、巻取ロール15およびプラテンローラ13等を回転駆動させてシート材12をシートロール11から送り出すともに、巻取ロール17,粘着ローラ18,押圧ローラ19等を回転駆動させてラミネートシート20をラミネートシートロール16から送り出していく。
【0025】
一方、粘着ローラ18の回転により、ラミネートフィルム22の接着層22Aがシート材12に接合されて、シート材12とともにラミネートフィルム22が粘着ローラ18と受けローラ25との間に入り込んでいく。そして、粘着ローラ18の受けローラ25への押圧によって、ラミネートフィルム22がシート材12へ押圧されてラミネートフィルム22がシート材12へ確実に貼着されていく。
【0026】
そして、ラミネートフィルム22が貼着されたシート材12は、図3(B)に示すように巻取ロール15へ送られていき、この巻取ロール15へ巻き取られていく。
【0027】
上述のように、粘着ローラ18に粘着されたラミネートフィルム22は、粘着ローラ18の回転により剥離紙21から剥離され、さらに、粘着ローラ18の回転によりシート材12に接合されていくとともに、シート材12とともに粘着ローラ18と受けローラ25との間に入り込んで、シート材12に貼着されていくので、ラミネートフィルム22を粘着ローラ18と受けローラ25との間に手で差し込む必要がない。
【0028】
このため、ラミネートフィルム22は、剥離紙21に対して傾いて走行してしまうことがなく、シート材12の送り方向に対して傾いて貼着されてしまうことがない。
【0029】
また、ラミネートフィルム22の先端部22bが図2(B)に示す位置に到達した後、押圧ローラ19および粘着ローラ18を押し下げて、ラミネートフィルム22をシート材12へ貼着させるようにしているので、画像の先端部付近からラミネートフィルム22を貼着させていくことができ、ラミネートフィルム22の無駄な貼着を防止することができる。
【0030】
上記実施例では、受けローラ25と粘着ローラ18と押圧ローラ19とを上下にほぼ一直線状に配置したので、押圧ローラ19の下方への押圧力だけで、押圧ローラ19の粘着ローラ18への押圧力と、粘着ローラ18の受けローラ25への押圧力とを得ることができる。
[第2実施例]
図4(A)は第2実施例を示したものであり、この第2実施例ではラミネートフィルム22を切断するカッター30を受けローラ25と粘着ローラ18との間に設けたものである。
【0031】
次に、第2実施例の動作について説明する。
【0032】
第1実施例と同様にしてシート材12にラミネートフィルム22を貼着し(図1参照)、必要な箇所までその貼着が終了したら、巻取ロール15,プラテンローラ13の回転駆動を停止させる。この後、巻取ロール17,粘着ローラ18,押圧ローラ19を回転駆動させながら図4(A)に示すように粘着ローラ18および押圧ローラ19を上方に移動させる。
【0033】
この後、図4(B)に示すように、カッター30により粘着ローラ18とシート材12との間のラミネートフィルム22を切断する。そして、ラミネートシートロール16(図1参照),粘着ローラ18,押圧ローラ19,巻取ロール17等を逆回転させてラミネートシート20のラミネートフィルム22の先端部22bを検知部材26が検知するまで巻き戻す。この巻き戻しにより、図5に示すように、剥離紙21から剥離されたラミネートフィルム22の部分22D(図4(B)参照)が粘着ローラ18と押圧ローラ19とによって剥離紙21に押し付けられるので、その部分22Dは剥離紙21に接着される。この接着により、次に行うラミネートフィルム22のシート材12への貼着動作に支障を来すことはない。
【0034】
この巻き戻しが終了したら、シートロール11および巻取ロール15(図1参照)を逆回転させて、シート材11を図6(A)に示すように所定の長さだけ送り戻す。
【0035】
この後、図6(B)に示すように粘着ローラ18および押圧ローラ19を押し下げて、各ローラ18,19,25等を正転方向に回転させてシート材12を順方向(図示において右方向)へ所定距離だけ移動させる。この移動により、粘着ローラ18および受けローラ25によりラミネートフィルム22の後端部22eをシート材12へ貼着させる。
【0036】
このラミネートフィルム22の後端部22eのシート材12への貼着は、図7に示すように、一対のローラ41,42を設けて行ってもよい。
[第3実施例]
図8ないし図11は更に別のラミネートシート120を使用した場合のラミネートフィルム122の切断後の処理方法を示したものである。
【0037】
ラミネートシート120は、剥離紙121にラミネートフィルム122が貼られているが、ラミネートフィルム122の表面(図示において下面)に接着剤からなる接着層122Aが形成されている。
【0038】
160は貼付ローラであり、この貼付ローラ160は図1に示す粘着ローラ18と同様に上下に移動できるようになっている。
【0039】
第2実施例と同様に、ラミネートフィルム122によるシート材12への貼着が終了したら、貼付ローラ160を図8に示すように上方へ移動させる。そして、図9に示すようにカッター30でラミネートフィルム122を切断する。
【0040】
この切断の後、シート材12を右方へ送り出し、図10に示すようにローラ41,42によってラミネートフィルム122の後端部122aをシート材12へ押しつけて貼着させる。
【0041】
また、剥離シート121から剥離されたラミネートフィルム122の部分122Dは、図11に示すようにラミネートシートロール116を巻き戻すことにより、剥離紙121に圧接されて貼り付けられることになる。
【0042】
なお、検知部材26によりラミネートフィルム122の先端を検知するのは他の実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明に係わるラミネート装置の構成を示した概略概念図である。
【図2】(A)粘着ローラおよび押圧ローラの初期位置を示した説明図、 (B)ラミネートシートを所定量だけ送り出した状態を示した説明図である。
【図3】(A)粘着ローラおよび押圧ローラを押し下げた状態を示した説明図、 (B)シート材にラミネートフィルムを貼着させる状態を示した説明図である。
【図4】(A)第2実施例を示した説明図、 (B)ラミネートフィルムをカッターで切断した状態を示した説明図である。
【図5】ラミネートフィルムをラミネートシートとともに巻き戻した状態を示した説明図である。
【図6】(A)シート材を送り戻した状態を示した説明図である。
【0044】
(B)粘着ローラおよび押圧ローラを押し下げた状態を示した説明図である。
【図7】一対のローラでラミネートフィルムの後端部をシート材に貼着させる状態を示した説明図である。
【図8】第3実施例の説明図である。
【図9】ラミネートフィルムをカッターで切断した状態を示した説明図である。
【図10】一対のローラでラミネートフィルムの後端部をシート材に貼着させる状態を示した説明図である。
【図11】ラミネートフィルムを巻き戻した状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 ラミネート装置
12 シート材
18 粘着ローラ
19 押圧ローラ
20 ラミネートシート
21 剥離紙
22 ラミネートフィルム
25 受けローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離紙とこの剥離紙に貼られたラミネートフィルムとから構成されるラミネートシートを走行させ、この走行されるラミネートシートからラミネートフィルムを剥離し、走行されるシート材の画像面にその剥離されたラミネートフィルムを貼着させるラミネート装置であって、
粘着ローラと、前記ラミネートシートの非接着層側をその粘着ローラに押圧して前記ラミネートフィルムをその粘着ローラに粘着させる押圧ローラと、前記シート材と前記粘着ローラに粘着されたラミネートフィルムとを押圧してそのラミネートフィルムをシート材に貼着させる受けローラとを設けたことを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
前記粘着ローラを受けローラに対して接離可能に設け、
前記押圧ローラを粘着ローラとともに移動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
【請求項3】
前記剥離紙に貼られたラミネートフィルムの先端部を検知する検知手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート装置。
【請求項4】
前記剥離紙から剥離されたラミネートフィルムを切断するカッターを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のラミネート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−118353(P2007−118353A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312798(P2005−312798)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】