説明

リジッドフレキシブルプリント基板の製造方法

【課題】外部端子部を保護し工程コスト及び時間の減少且つ製品信頼性の増加を図るRFPCB製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル領域・リジッド領域を含むリジッドフレキシブルプリント基板(RFPCB)の製法は、第1回路パターンが形成された第1軟性フィルムのフレキシブル領域に対応する第1回路パターンの一部分は保護フィルムで保護しリジッド領域に対応する第1回路パターン上面に絶縁層を積層してベース基板を形成する段階S100、第2軟性フィルムを含む片面フレキシブル銅張積層板を前記ベース基板の両面に積層する段階S200、フレキシブル領域に対応する銅箔層の部分を除去して第2軟性フィルムを露出させリジッド領域に対応する銅箔層部分が第1回路パターンと連結される第2回路パターンを形成する段階S300、第2軟性フィルムのフレキシブル領域に対応部分を除去する段階S400を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リジッドフレキシブルプリント基板の製造方法に係り、特に、外部接続端子用端子部を備えたフレキシブル領域及びリジッド領域を含むリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近は、半導体素子の高集積度化に伴い、半導体素子と外部回路とを接続するために半導体素子上に配設される接続端子の数が増大し、また配設密度も高くなっている趨勢にある。また、このような半導体素子が搭載される半導体パッケージなどの半導体装置においては、実装密度の向上などのために小型化、薄型化が求められており、特にノート型PC(personal computer)、PDA、携帯電話などの携帯型情報機器などに対応するための大きな課題は半導体パッケージの小型化、薄型化であるといえる。
【0003】
半導体素子をパッケージングするには、半導体素子を配線基板上に搭載するとともに、半導体素子の接続端子と配線基板上の接続端子とを接続する必要がある。ところが、約10mm角程度の半導体素子の周囲に1000個程度の接続端子を配設する場合、その配設ピッチは約40μm程度と非常に微細なものになる。このような微細なピッチで配設された接続端子を、配線基板に配設された接続端子と接続するためには、配線基板上の配線形成または接続時の位置合わせに非常に高い精度が要求されるから、従来のワイヤボンディング(wire bonding)技術またはTAB(Tape Automated Bonding)技術では対応することが非常に難しいという問題点がある。
【0004】
かかる問題点を解決するための手段として、リジッド基板とフレキシブル基板とが構造的に結合して別途のコネクタの使用なしにリジッド領域とフレキシブル領域とが相互連結された構造を持つリジッドフレキシブルプリント基板(RFPCB;Rigid−Flexible Printed Circuit Board)の使用が益々増加しており、特に前記リジッドフレキシブルプリント基板は、モバイル機器の高機能化に伴う実装部品の高集積化とファインピッチの要求に対応してコネクタの使用による不要な空間を除去し、高集積化を要求する携帯電話などの小型端末機に主に用いられている。
【0005】
図1A〜図1Dは従来の一例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を示す工程図である。
【0006】
まず、図1Aに示すように、ポリイミドフィルム11の一面に形成された第1回路パターン12のうちフレキシブル領域(図1Dの領域I参照)に対応する一部分をカバーレイ20で保護する。
【0007】
その後、図1Bに示すように、フレキシブル領域の残りの対応回路パターン12領域にレジストカバー30を塗布してベース基板を形成する。第1回路パターン12のうちレジストカバー30で塗布された領域は、外部端子及び実装パッドのために露出される端子部であって、工程中に外部環境から保護するためにレジストカバー30を用いて保護する。
【0008】
この際、レジストカバー30としては、耐熱テープまたはピーラブルインク(Peelable Ink)が使用できる。
【0009】
次いで、図1Cに示すように、ベース基板の両面に、フレキシブル領域に対応する開口部が形成された絶縁層40、及び開口部が形成された片面フレキシブル銅張積層板45、50を所定の加熱及び加圧のもとで積層する。
【0010】
片面フレキシブル銅張積層板45、50は、軟性フィルム45の一面に銅箔層50が形成されたものであり、軟性フィルム45は、ポリイミド系フィルムであることが好ましい。
【0011】
その後、図1Dに示すように、銅箔層50に第2回路パターン80を形成し、端子部に形成されたレジストカバー30を除去して端子部を備えたフレキシブル領域I及びリジッド領域IIを含むリジッドフレキシブルプリント基板を完成する。
【0012】
この際、第2回路パターン80同士の間、及び第2回路パターン80と第1回路パターン12とを電気的に連結するためにスルーホール60を形成し、スルーホール60の内壁に導電性を与えるメッキ層70を形成する。
【0013】
ここで、開口部を形成する軟性フィルム45の端部は、積層の際に受ける所定の圧力によって所定の角度をもって下方に垂れてしまう。
【0014】
上述したように、従来のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法においては、外部端子及び実装パッドのために露出される端子部を製造工程中に外部環境から保護するためにレジストカバーを用いることにより、レジストカバー塗布工程及びレジストカバー除去工程をさらに行って工程コスト及び工程時間が増加するという問題点があった。
【0015】
また、端子部にレジストカバーを密着塗布し、いろいろの工程を行った後、レジストカバーを除去すると、端子部の表面にレジストカバーの残渣による汚染などの不良が発生するという問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、別途の保護手段を使用せずに、工程の順序を変更するだけで、外部端子及び実装パッドのために露出される端子部を保護することにより、工程コスト及び工程時間は減少させ且つ製品の信頼性は増加させた、リジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、フレキシブル領域とリジッド領域とを含むリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法であって、(A)少なくとも一面に第1回路パターンが形成された第1軟性フィルムにおいてフレキシブル領域に対応する第1回路パターンの少なくとも一部分は保護フィルムで保護し、リジッド領域に対応する第1回路パターンの上面には絶縁層を積層してベース基板を形成する段階と、(B)第2軟性フィルムの一面に銅箔層が形成された片面フレキシブル銅張積層板を前記ベース基板の両面に積層する段階と、(C)フレキシブル領域に対応する銅箔層の部分は除去して第2軟性フィルムを露出させ、リジッド領域に対応する銅箔層の部分は第1回路パターンと連結される第2回路パターンを形成する段階と、(D)フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムの部分を除去する段階とを含むことを特徴とする、リジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を提供する。
【0018】
本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、フレキシブル領域に対応する第1回路パターンにおける、保護フィルムで保護されていない領域は、外部接続端子用端子部であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、(D)段階は、(D−1)第2軟性フィルムから、リジッド領域と接しないフレキシブル領域の端部と対応する領域をレーザ加工によって切断する段階と、(D−2)切断された第2軟性フィルムから、リジッド領域と接するフレキシブル領域の端部と対応する領域を物理的な方法で切断し、フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムを除去する段階とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、第1回路パターンは、リジッド領域と接しないフレキシブル領域の端部と対応する領域に形成された境界パターンを含んでレーザ加工の際に第1軟性フィルムを保護し、ここで、境界パターンは第1回路パターン内の他のパターンと電気的に連結されないことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、(D)段階は、レーザ加工によって、フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムの部分を除去することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、(D)段階は、(D−1)第2軟性フィルムから、リジッド領域と接しないフレキシブル領域IIIの端部と対応する領域を機械加工によって切断する段階と、(D−2)切断された第2軟性フィルムから、リジッド領域と接するフレキシブル領域の端部と対応する領域を物理的な方法で切断して、フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムを除去する段階とを含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、(D)段階は、フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムの部分を機械加工によって除去することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、機械加工はパンチング、ナイフ、ルータービットのいずれか一つを使用した加工であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、第1軟性フィルム及び第2軟性フィルムはポリイミド系フィルムであることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、絶縁層は半硬化状態のプリプレグであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、絶縁層はボンディングシートであることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法において、(A)段階の後、(E)絶縁層の上面に追加の回路層及び追加の絶縁層を交互に所望の数だけ形成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法によれば、別途の保護物質を使用せずに、工程の順序を変更するだけで、外部端子及び実装パッドのために露出される端子部を保護することにより、工程コスト及び工程時間は減少させ且つ製品の信頼性は増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
図2及び図3は本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を示す図であり、図2は本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を示す順序図、図3A〜図3Iは本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を詳細に示す工程断面図である。
【0032】
図2を参照して本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明すると、次の通りである。
【0033】
まず、少なくとも一面に第1回路パターンが形成された第1軟性フィルムにおいて、フレキシブル領域IIIに対応する第1回路パターンの一部分は保護フィルムで保護し、リジッド領域IVに対応する第1回路パターンの上面には絶縁層を積層してベース基板を形成する(S100)。
【0034】
この際、フレキシブル領域IIIに対応する第1回路パターンにおいて、外部接続端子用端子部を除いた第1回路パターンは外部環境から保護するために保護フィルムで保護し、端子部はそのまま露出させる。保護フィルムとしては、例えばポリイミド系フィルムのような柔軟性のあるフィルムを使用することが好ましい。
【0035】
本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法においては、リジッド領域IVに対応する第1回路パターンの上面に形成された絶縁層に追加の回路層及び絶縁層を交互に所望の数だけ更に積層して多層化したベース基板を形成することができる。
【0036】
その後、ベース基板の両面に片面フレキシブル銅張積層板を順次積層する(S200)。
【0037】
この際、片面フレキシブル銅張積層板は、第2軟性フィルムの一面に銅箔層が形成された形であって、実施例によっては第2軟性フィルムと銅箔層とを分離して積層してもよい。
【0038】
次いで、フレキシブル領域IIIに対応する銅箔層の部分は除去して第2軟性フィルムを露出させ、リジッド領域IVに対応する部分は第1回路パターンと連結される第2回路パターンを形成する(S300)。
【0039】
すなわち、リジッド領域IVに対応する銅箔層にスルーホールを形成し、無電解銅メッキ及び電解銅メッキを施してスルーホール内に導電性を与えた後、エッチング工程を行い、フレキシブル領域IIIに対応する銅箔層は除去し、リジッド領域IVに対応する銅箔層に第2回路パターンを形成する。この際、第2回路パターンはスルーホールによって第1回路パターンと電気的に連結できる。
【0040】
最後に、フレキシブル領域IIIに対応する第2軟性フィルムの部分を除去する(S400)。
【0041】
第2軟性フィルムにレーザ加工または機械加工を行い、フレキシブル領域IIIに対応する部分を一挙に除去することができる。このとき、レーザ加工の際に、第1軟性フィルムに損傷を与えることなく第2軟性フィルムのみを除去し得るように深さを調節することができる。
【0042】
または、本発明の他の実施例によって、リジッド領域IVと接しないフレキシブル領域IIIの端部に対応する第2軟性フィルムの領域をレーザ加工または機械加工によって切断し、残りのリジッド領域IVと接するフレキシブル領域IIIの端部に対応する第2軟性フィルムの領域を物理的な方法で除去して、フレキシブル領域IIIに対応する第2軟性フィルムを除去することができる。
【0043】
このとき、レーザ加工の際に、第1軟性フィルムに損傷を与えることなく第2軟性フィルムのみを切断し得るように、第1回路パターンがリジッド領域IVと接しないフレキシブル領域IIIの端部と対応する領域に形成された境界パターンを含み、境界パターンは、第1回路パターン内の他のパターンと電気的に連結されないように形成され得る。
【0044】
上述したように、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法においては、フレキシブル領域III内の端子部を別途の保護手段を用いて保護せず、外層を形成するために積層された第2軟性フィルム及び銅箔層の開口部形成工程の時期を第2回路パターン形成の後に変更して端子部を保護することにより、工程数及び工程コストの増加なしに製品の信頼性を向上させることができる。
【0045】
図3A〜図3Iは、本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板を製造する方法の一例を示す工程図である。
【0046】
まず、図3Aに示すように、第1軟性フィルム110の両面に銅箔層120が形成されたフレキシブル銅張積層板(Flexible PCB)100を提供する。
【0047】
第1軟性フィルム110としては、例えばポリエステルまたはポリイミドフィルムを使用することができる。
【0048】
その後、図3Bに示すように、第1軟性フィルム100の両面に、互いに電気的に連結される第1回路パターン150を形成する。
【0049】
すなわち、フレキシブル銅張積層板100を貫通する内部ビアホール130を形成し、無電解メッキ及び電解メッキを施してメッキ層140を形成した後、メッキ層140の形成された銅箔層120に例えばフォトリソグラフィー工法を施して第1回路パターン150を形成することができる。この際、両面に形成された第1回路パターン150は、メッキ層140によって導電性が与えられた内部ビアホール130に沿って互いに電気的に連結できる。
【0050】
ここで、第1回路パターン150はフレキシブル領域(図3Eの領域III参照)内の外部接続端子用端子部150aを含み、フレキシブル領域においては、第1軟性フィルム110の一面(図中上面)にのみ第1回路パターン150が形成されていて、他面(図中下面)には第1回路パターンが配置されてない。
【0051】
次に、図3Cに示すように、端子部150aを除いたフレキシブル領域に対応する第1回路パターン150の上面に保護フィルム160を塗布する。
【0052】
端子部150aを除いたフレキシブル領域に対応する第1回路パターン150を外部環境から保護するために、例えばポリイミドフィルムのような柔軟性のあるフィルムを保護フィルムとして用いて第1回路パターン150の上面に密着塗布することにより、第1回路パターン150を保護するようにする。
【0053】
その後、図3Dに示すように、フレキシブル領域に対応する開口部180が形成された絶縁層170を提供する。
【0054】
絶縁層170は、ガラス繊維に熱硬化性樹脂を浸透させて半硬化状態にしたプリプレグまたはボンディングシートを採用し、積層時には層間接着力を高め、積層後にはリジッド領域の物理的強度を高めることができる。
【0055】
開口部180は、木型、金型などを用いたパンチング加工またはルーター加工などで形成することができる。
【0056】
次いで、図3Eに示すように、第1回路パターン150の一部が保護フィルム160によって保護された第1軟性フィルム110の両面に、各々に開口部180が形成された各絶縁層170をそれぞれ積層して、フレキシブル領域III及び予備リジッド領域IVを含むベース基板190を形成する。
【0057】
本発明の他の実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法においては、絶縁層170の上面に追加の回路層(図示せず)及び絶縁層を交互に所望の数だけさらに積層して多層化されたベース基板を形成することができる。
【0058】
ここで、第1回路パターン150及び第1軟性フィルム110のうち絶縁層170の開口部180に露出された領域はフレキシブル領域IIIを形成し、絶縁層170が積層されて機械的強度が増加した領域は予備リジッド領域IVを形成する。
【0059】
その後、図3Fに示すように、ベース基板190の両面に片面フレキシブル銅張積層板(200、210)(200’、210’)を積層する。
【0060】
ここで、片面フレキシブル銅張積層板(200、210)(200’、210’)は、第2軟性フィルム200、200’の一面に銅箔層210、210’が形成されたものである。
【0061】
ベース基板190の一面において、開口部180が形成された絶縁層170によって露出された端子部150aは、開口部のない片面フレキシブル銅張積層板200、210によって、リジッドフレキシブルプリント基板が完成されるまで外部環境から保護できるようにする。即ち、第1回路パターン150のうちフレキシブル領域IIIに存在する部分及び端子部150aは、開口部180の上面を塞ぐように設けられた片面フレキシブル銅張積層板(200、210)によって覆われる。
【0062】
この際、ベース基板190の他面において、第1軟性フィルム110の上面(図3Fでは下側に向く面)には、開口部180を有するもう一つの絶縁層170を積層し、更にこの絶縁層170上に、片面フレキシブル銅張積層板(200’、210’)を積層する。前記片面フレキシブル銅張積層板(200’、210’)は、前記開口部180に対応して貫通形成された開口部220を有する。従って、第1軟性フィルム110のフレキシブル領域IIIに位置する前記第1回路パターン150が形成されてない下側の面は、互いに重なり合っている前記開口部180と220とにより露出された状態となっている。第2軟性フィルム200、200’は、第1軟性フィルム110と同様に、例えばポリエステルまたはポリイミドフィルムで形成できる。
【0063】
次いで、図3Gに示すように、予備リジッド領域IVの一部において、ベース基板190及びその両面に積層された銅箔層210、210’を貫通するスルーホール230を形成し、スルーホール230の内部及び各銅箔層210、210’の上面にメッキ層240、240’を形成する。なお、メッキ層240’は、開口部220から露出する部分にも形成される。
【0064】
銅箔層210に形成される第2回路パターン(図3Hの250参照)を第1回路パターン150と電気的に連結するために形成されたスルーホール230は、内部に第1軟性フィルム110、絶縁層170及び第2軟性フィルム200、200’などの絶縁物質を含んでいるため、無電解メッキ及び電解メッキを施してメッキ層240、240’を形成することにより、スルーホール230の内部に導電性を与えることができる。
【0065】
この際、スルーホール230は、CNCドリル(Computer Numerical Control Drill)などの機械ドリルを用いて、予め設定された位置に基づいて形成される。
【0066】
実施例において、メッキ層240、240’が内壁に形成されたスルーホール230内を埋め込み用インク(図示せず)で充填させることができる。
【0067】
その後、図3Hに示すように、メッキ層240が形成された銅箔層210において、フレキシブル領域IIIに対応する部分は除去し、また、予備リジッド領域IVに対応するメッキ層240、240’が形成された銅箔層210、210’に第2回路パターン250、250’を形成してリジッド領域Vを完成する。
【0068】
第2回路パターン250、250’は、例えば、メッキ層240、240’の上面に感光性物質(図示せず)を塗布し、パターンが形成されたアートワークフィルムを密着させた後、露光及び現像工程を行ってエッチングレジストパターンを形成し、エッチング工程を行うフォトリソグラフィー工法を用いて形成することができる。
【0069】
ここで、第2回路パターン250は、スルーホール230によって第1回路パターン150及び他面の第2回路パターン250’と電気的に連結できる。
【0070】
最後に、図3Iに示すように、フレキシブル領域IIIに対応する部分の第2軟性フィルム200を除去することにより、フレキシブル領域III及びリジッド領域Vを含むリジッドフレキシブルプリント基板を形成する。
【0071】
ここで、第2軟性フィルム200を部分的に除去する方法としては、図3Hを平面図で表す図4に示すように、第2軟性フィルム200において、リジッド領域Vと接しないフレキシブル領域IIIの端部に対応する領域Aはレーザ加工または機械加工を行って切断し、リジッド領域Vに接するフレキシブル領域IIIの端部に対応する領域Bは物理的な方法で除去して、フレキシブル領域IIIに対応する第2軟性フィルム200を除去することができる。この物理的除去方法としては、例えば、前記切断により舌片状となっている第2軟性フィルム200の根元の前記領域Bに沿う銅箔層のエッジにおいて、その舌片を斜め上方に引き上げながら切り取るようにして除去する簡単な方法を採用することができる。
【0072】
上述したように、第2軟性フィルム200において、リジッド領域Vと接するフレキシブル領域IIIの端部に対応する領域Bを物理的な方法で除去すると、第2軟性フィルム200の端部は、物理的な方法の使用の際に発生する所定の圧力によって所定の角度を持って上方に向かうので、図1Dに示すように、従来の開口部を形成した後に軟性フィルム45の端部と反対の形状を持つ。
【0073】
また、レーザ加工の際に、第1軟性フィルム110に損傷を与えることなく第2軟性フィルム200のみを切断し得るように、第1回路パターン150にはリジッド領域Vと接しないフレキシブル領域IIIの端部と対応する領域Aに境界パターン(図示せず)をさらに形成することができる。ここで、境界パターンは、第1回路パターン150内の他のパターンと電気的に連結されないように形成しなければならない。前記境界パターンは、第1回路パターン150内の不所望な電気的短絡及び切断時の第1軟性フィルムの損傷を避けるように、例えば、第1回路パターンと共に銅箔層のパターニングによって、電気的にはダミーなパターンとして形成することができる。
【0074】
または、本発明の他の実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法によって、レーザ加工または機械加工を行い、フレキシブル領域IIIに対応する第2軟性フィルム200を一挙に除去することができる。このとき、レーザ加工の際に、第1軟性フィルム110に損傷を与えることなく第2軟性フィルム200のみを除去し得るように、深さを調節することができる。
【0075】
ここで、機械加工は、パンチング、ナイフ、ルータービットなどを使用する加工であることが好ましい。
【0076】
従来のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法においては、フレキシブル領域内の外部端子または実装パッドのための端子部を製造工程中に外部環境から保護するために、耐熱テープやピーラブルインクなどを用いて端子部にレジストカバーを形成し、製造工程の後にレジストカバーを除去することにより、残渣による汚染などによって製品の不良をもたらし、レジストカバーの形成及び除去による工程の追加によってコスト及び時間が増加するという問題点があった。
【0077】
ところが、上述したように、本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法においては、別途の保護手段を使用せずに、工程の順序を変更するだけで、外部端子及び実装パッドのために露出される端子部を保護することにより、工程コスト及び工程時間は減少させ且つ製品の信頼性は増加させる効果をもたらすことができる。
【0078】
すなわち、リジッド領域の第2回路パターン形成のための片面フレキシブル銅張積層板の積層の際に、フレキシブル領域に対応する開口部を、積層の前に形成せず、第2回路パターンの形成後に形成することにより、外部に露出された端子部を製造工程中に別途の保護手段なしに保護することができるので、工程の単純化を実現しながら製品の信頼性を向上させる効果をもたらすことができる。
【0079】
以上、本発明を特定の実施例によって詳細に説明したが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内において、各種変形を加えることができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲の解釈によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1A】従来のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図1B】従来のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図1C】従来のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である
【図1D】従来のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である
【図2】本発明に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を示す順序図である。
【図3A】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3B】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3C】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3D】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3E】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3F】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3G】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3H】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図3I】本発明の一実施例に係るリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法を説明するための工程別断面図である。
【図4】図3Hの平面図である。
【符号の説明】
【0081】
100 フレキシブル銅張積層板
110 第1軟性フィルム
120、210、210’ 銅箔層
130 内部ビアホール
140、240、240’ メッキ層
150 内部回路パターン
150a 端子部
160 保護フィルム
170 絶縁層
180、220 開口部
190 ベース基板
200、200’ 第2軟性フィルム
230 スルーホール
250、250’ 第2回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル領域とリジッド領域とを含むリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法であって、
(A)少なくとも一面に第1回路パターンが形成された第1軟性フィルムにおいて、前記フレキシブル領域に対応する第1回路パターンの少なくとも一部分は保護フィルムで保護し、前記リジッド領域に対応する第1回路パターンの上面には絶縁層を積層してベース基板を形成する段階と、
(B)第2軟性フィルムの一面に銅箔層が形成された片面フレキシブル銅張積層板を前記ベース基板の両面に積層する段階と、
(C)前記フレキシブル領域に対応する前記銅箔層の部分は除去して前記第2軟性フィルムを露出させ、前記リジッド領域に対応する前記銅箔層の部分には前記第1回路パターンと連結される第2回路パターンを形成する段階と、
(D)前記フレキシブル領域に対応する前記第2軟性フィルムの部分を除去する段階と、を含むことを特徴とする、リジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項2】
前記フレキシブル領域に対応する第1回路パターンにおける、前記保護フィルムで保護されていない領域が、外部接続端子用端子部であることを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記(D)段階が、
(D−1)前記第2軟性フィルムから、前記リジッド領域と接しない前記フレキシブル領域の端部と対応する領域をレーザ加工によって切断する段階と、
(D−2)前記切断された第2軟性フィルムから、前記リジッド領域と接する前記フレキシブル領域の端部と対応する領域を物理的な方法で切断して、フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムを除去する段階とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1回路パターンが、前記リジッド領域と接しない前記フレキシブル領域の端部と対応する領域に形成された境界パターンを含んで前記レーザ加工の際に第1軟性フィルムを保護し、前記境界パターンは前記第1回路パターン内の他のパターンと電気的に連結されないことを特徴とする、請求項3に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項5】
前記(D)段階が、レーザ加工によって、前記フレキシブル領域に対応する前記第2軟性フィルムの部分を除去することを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記(D)段階が、
(D−1)前記第2軟性フィルムから、前記リジッド領域と接しない前記フレキシブル領域IIIの端部と対応する領域を機械加工によって切断する段階と、
(D−2)前記切断された第2軟性フィルムから、リジッド領域と接するフレキシブル領域の端部と対応する領域を物理的な方法で切断して、前記フレキシブル領域に対応する第2軟性フィルムを除去する段階とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記(D)段階が、機械加工によって、前記フレキシブル領域に対応する前記第2軟性フィルムの部分を除去することを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項8】
前記機械加工が、パンチング、ナイフ、ルータービットのいずれか一つを使用した加工であることを特徴とする、請求項6または7に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1軟性フィルム及び前記第2軟性フィルムがポリイミド系フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁層が半硬化状態のプリプレグであることを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁層がボンディングシートであることを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項12】
前記(A)段階の後、
(E)前記絶縁層の上面に追加の回路層及び追加の絶縁層を交互に所望の数だけ形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のリジッドフレキシブルプリント基板の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図3G】
image rotate

【図3H】
image rotate

【図3I】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−123902(P2007−123902A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292679(P2006−292679)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】