説明

リソグラフィ装置及びデバイス製造方法

【課題】 リソグラフィ装置で使用するために、自身の測定ビームの焦点高さによる影響を受け難いことが好ましい代替レベルセンサを提供すること。
【解決手段】本発明は、基板の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサを提供し、レベルセンサは、測定ビームを基板に投影する投影ユニットと、基板で反射した後に測定ビームを受ける検出ユニットと、検出ユニットが受けた反射測定ビームに基づいて高さレベルを計算する処理ユニットとを備え、レベルセンサは、傾斜測定デバイスをさらに備え、傾斜測定デバイスは、反射測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、公称平面に対する基板の傾斜を表すチルト信号を提供するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィプロセスで使用するための基板の高さマップを決定するレベルセンサ、リソグラフィ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
パターンを投影する基板の表面は通常、完全には平坦ではない。さらに、基板は数ミクロンの厚さの変動を示すことがある。基板表面のこの平坦さ及び厚さの変動は、例えば焦点誤差又は結像誤差によるパターンの不正確な投影をもたらすことがある。
【0004】
ウェーハの非平坦さ及び厚さの変動を補正するために、レベルセンサを提供し、好ましくはリソグラフィ装置に組み込むように提案されている。このようなレベルセンサを用いて、パターンを基板に投影する前に基板の高さマップを決定することができる。その後この高さマップを用いて、パターンを基板に投影中に基板の位置を補正することができる。
【0005】
従来の実施形態では、光学的三角測距方式を使用する複数スポットのレベルセンサを提供して、基板の高さマップを決定する。基板をレベルセンサに対して移動し、基板の表面にわたって異なる測定位置で高さレベルを決定して基板の高さマップを得る。
【0006】
従来のレベルセンサの欠点は、信頼性の高い測定結果が得られるレベルセンサの測定範囲が比較的小さく、通常は約1μmの高さ範囲内にあることである。この測定範囲は、基板の平坦さ及び高さの通常の変動より小さい。
【0007】
したがって、レベルセンサの信頼性の高い測定範囲内でそれぞれの測定位置を維持するために、基板の様々な測定位置で高さのレベルを測定中に閉ループ高さ制御が必要である。この方法で、レベルセンサが正確な結果を提供する高さの小さい範囲が最適に使用される。しかし、閉ループ高さ制御の要件がレベルセンサの測定速度を制限する。何故なら、その後の測定位置をレベルセンサの信頼性の高い測定範囲内に維持するために、基板を連続的に位置変更しなければならないからである。
【0008】
さらに閉ループ高さ制御の要件により、複数の測定位置で高さを同時に測定することが、不可能ではないまでも、実際的に困難になる。何故なら、レベルセンサの同じ限られた測定範囲内に複数の測定位置を同時に配置することができないからである。
【0009】
レベルセンサの測定範囲を大きくするために線形化技術を使用することが可能である。また、基板の閉ループ高さ制御を必要としないために、より大きい測定範囲を有する他のタイプのレベルセンサ及びレベル検知技術を提案することができる。しかし、測定範囲の拡大は基板の高さ測定に別の欠点をもたらすことがある。基板の高さレベルを測定するために、通常は基板で反射する測定ビームを使用する。閉ループ高さ制御を使用しない場合、レベルセンサの焦点高さは予測又は平均基板高さ、すなわち完全に平坦で平らな基板の高さに合わせて調整される。基板の厚さ及び平坦さの変動により、この予測又は平均高さレベルはすべての測定位置で実際の基板高さに対応するわけではない。
【0010】
予測又は平均基板高さと実際の基板高さとの高低差が増大した場合、正確な測定のために基板表面に対する測定ビームの焦点調節がますます重要になってくる。
【発明の概要】
【0011】
リソグラフィ装置で使用するために、自身の測定ビームの焦点高さによる影響を受け難いことが好ましい代替レベルセンサを提供することが望ましい。
【0012】
局所的基板高さに対して測定位置にて焦点から外れた測定ビームを有するレベルセンサは、基板の傾斜に対してさらに敏感になることがある。したがって、基板の傾斜の影響を受け難いレベルセンサを提供することがさらに望ましい。
【0013】
本発明のある実施形態によれば、基板の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサが提供され、該レベルセンサは、
基板に測定ビームを投影する投影ユニットと、
基板で反射した後に測定ビームを受ける検出ユニットと、
検出ユニットが受けた反射測定ビームに基づいて高さレベルを計算する処理ユニットとを備え、
上記レベルセンサは、傾斜測定デバイスをさらに備え、該傾斜測定デバイスは、反射測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、公称平面に対する基板の傾斜を表すチルト信号を提供するように構成される。
【0014】
本発明のある実施形態によれば、リソグラフィ装置が提供され、該リソグラフィ装置は、
放射ビームを調節するように構成された照明システムと、
パターン付放射ビームを形成するために、放射ビームの断面にパターンを与えることができるパターニングデバイスを支持するように構築された支持体と、
基板を保持するように構築された基板テーブルと、
パターン付放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムとを備え、
上記リソグラフィ装置は、基板テーブル上の基板の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサを備え、該レベルセンサは、
測定ビームを基板に投影する投影ユニットと、
基板で反射した後に測定ビームを受ける検出ユニットと、
検出ユニットが受けた反射測定ビームに基づいて高さレベルを計算する処理ユニットとを備え、
上記レベルセンサは、傾斜測定デバイスをさらに備え、該傾斜測定デバイスは、反射測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、公称平面に対する基板の傾斜を表すチルト信号を提供するように構成される。
【0015】
本発明のある実施形態によれば、リソグラフィプロセスで使用するために基板の高さマップを決定する方法が提供され、該方法は、
基板の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサを提供するステップを含み、該レベルセンサは、
測定ビームを基板に投影する投影ユニットと、
基板で反射した後に測定ビームを受ける検出ユニットと、
検出ユニットが受けた反射測定ビームに基づいて高さレベルを計算する処理ユニットとを備え、
上記レベルセンサは、傾斜測定デバイスをさらに備え、該傾斜測定デバイスは、反射測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、公称平面に対する基板の傾斜を表すチルト信号を提供するように構成され、さらに、
基板を提供するステップと、
投影ユニットで基板に測定ビームを投影し、上記検出ユニットで反射ビームを受け、処理ユニット内で高さレベルを決定することにより、測定位置で基板の高さを測定するステップと、
基板の複数の測定位置で測定ステップを繰り返すステップと、
高さレベルに基づいて基板の高さマップを決定するステップとを含み、
上記方法は、傾斜測定デバイスによって基板の傾斜を決定するステップをさらに含み、高さレベルを決定するステップは、基板の決定された傾斜に基づいて高さレベルを補正するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図1】本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】本発明によるレベルセンサのある実施形態の側面図である。
【図3】投影格子(左側)及び得られた像(右側)の略図である。
【図4】図4aは検出格子のある実施形態の側面図である。図4bは図4aの検出格子の詳細図である。
【図5】複数の測定位置を有するレベルセンサの実施形態の上面図である。
【図6】傾斜測定デバイスを備えるレベルセンサの実施形態の側面図である。
【図7】複数の測定位置を有するレベルセンサのビームデリバリシステムの第1の実施形態の上面図である。
【図8】複数の測定位置を有するレベルセンサのビームデリバリシステムの第2の実施形態の上面図である。
【図9】複数の測定位置を有するレベルセンサのビームデリバリシステムの第2の実施形態の断面図である。
【図10】複数の測定位置を有するレベルセンサのビームデリバリシステムの第2の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又は任意の他の適切な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に配置するように構成された第1の位置決めデバイスPMに接続されたマスク支持構造(例えば、マスクテーブル)MTとを含む。この装置は、また、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に配置するように構成された第2の位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板支持体」を含む。さらに、この装置は、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを含む。
【0018】
照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0019】
マスク支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。マスク支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスを保持する。このマスク支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。マスク支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。マスク支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0020】
本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0021】
パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0022】
本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0023】
本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0024】
リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル又は「基板支持体」(及び/又は2つ以上のマスクテーブル又は「マスク支持体」)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル又は支持体を並行して使用するか、又は1つ又は複数の他のテーブル又は支持体を露光に使用している間に1つ又は複数のテーブル又は支持体で予備工程を実行することができる。
【0025】
リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術を用いて投影システムの開口数を増加させることができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0026】
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを含むビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0027】
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0028】
放射ビームBは、マスク支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWT又は「基板支持体」の移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0029】
図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、マスクテーブルMT又は「マスク支持体」及び基板テーブルWT又は「基板支持体」は、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWT又は「基板支持体」がX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、マスクテーブルMT又は「マスク支持体」及び基板テーブルWT又は「基板支持体」は同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMT又は「マスク支持体」」に対する基板テーブルWT又は「基板支持体」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、マスクテーブルMT又は「マスク支持体」はプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWT又は「基板支持体」を移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWT又は「基板支持体」を移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0030】
上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0031】
図1には、リソグラフィ装置で本発明によるレベルセンサ1の可能な位置が示されている。基板支持体WT及びその上に支持された基板Wが、基板の測定位置に点線で示されている。この測定位置で、基板Wの高さレベルを決定することができる。
【0032】
レベルセンサ
図2は、全体が参照番号1で示されているレベルセンサを示す。レベルセンサ1は、基板2の高さマップを決定するように構成される。この高さマップを用いてパターンを基板2に投影中に基板の位置を補正することができる。レベルセンサは独立したデバイス内に配置することができるが、図1に示すようにリソグラフィ装置内に組み込むことが好ましい。
【0033】
レベルセンサ1は、投影ユニット3と、検出ユニット4と、処理ユニット5とを備える。投影ユニット3は、光源6と、投影格子7とを備える。光源6は、任意の適切な光源であってよい。これは広帯域光源であるが、偏光又は非偏光レーザビームも使用することができる。光源6は、投影格子7に誘導される測定ビームを提供する。
【0034】
投影格子7は周期的格子、すなわち、周期的構造を有するパターンを備え、その結果、測定ビームの光強度は周期的構造を有している。図3の左側は、周期的構造を有するこのような投影格子の例を示す。周期的光強度を有する測定ビームは、光リフレクタ9を介して測定位置8に向かって誘導される。基板は、この測定位置8に配置される。測定ビームを基板2に向かって案内するために、別の光学要素を設けることができる。測定位置8にて、測定ビームは基板2上で反射し、第2の光リフレクタ10を介し、場合によっては別の光学要素を介して検出ユニット4へと進む。検出ユニット4は、検出格子11と、3つの検出器12a、12b、12cとを備える。
【0035】
検出格子11は、図4に示すような周期的構造を有する。この周期的構造は、周期ごとに3つのセグメント13a、13b、13cのアレイを備える。セグメントのアレイ内にある各セグメントの上面は、測定ビーム14の入射角に対して異なる角度を有する。その結果、測定ビームは3つのセグメントによって3つの測定ビーム部分14a、14b、14cに分割され、それぞれは3つの検出器12a、12b、12cの1つに、例えば光ダイオード又は光の強度を測定することができる他の要素のうちの1つに誘導される。
【0036】
セグメントのアレイにあるセグメントの構造は周期的であるので、セグメントのアレイごとにそれぞれの各セグメント13a、13b、13cは、そのセグメントが受けた測定ビームの一部を関連する検出器14a、14b、14cに向かって誘導する。したがって、すべての第1のセグメント13aは測定ビームの放射を第1の検出器14aに向かって誘導し、周期的構造の第2のセグメント13bは第2の検出器14bに向かって誘導し、周期的構造の第3のセグメント13cは第3の検出器14cに向かって誘導する。
【0037】
測定された光の強度は処理ユニット5で受信し、異なる検出器で受信した光の強度に基づいて、以下に例示的実施形態について説明するように、基板2の高さレベルを推定することができる。
【0038】
再度図3を参照すると、図3の左側に示されている周期的構造は、約30μmの長さL及び約4μmの幅Wを有する菱形で構成される。レベルセンサに使用される結像光学系のNAが小さいので、投影格子の幅方向における周期性は解像されず、投影格子7の長さ方向Lの周期性は解像される。代替実施形態では、周期性が幅方向でも解像できることに留意されたい。
【0039】
図3の右側には、基板2上のこの周期的構造の結果として得られる投影像が示されている。図3の像は、投影像が投影格子7の長さ方向に周期性を有することを示す。この像は基板2の上面で反射し、検出ユニット4に向かう。検出ユニット4の検出格子11が受ける強度の分布は、正弦波状強度分布によって概算することができ、強度は、基板の高さによって引き起こされる像の長さ方向の変数x及びシフトsに依存する。
【数1】


この式では、正弦関数的変化のピッチは2πと等しくなるように選択される。像のシフトsは、基板の高さによって決定される。このシフトsを決定して、これも未知の変数であるパラメータA及びBを考慮に入れながら、それぞれの測定位置8における基板の高さを計算する。
【0040】
図4は、例示のために、3つのセグメント13a、13b及び13cの上にある正弦波状強度分布の空間像AIを示す。セグメント13a、13b、13cはそれぞれ、強度分布の別の部分を受ける。セグメント13a、13b、13cの角度が異なるので、強度分布の各部分は検出器12a、12b、12cのそれぞれに案内される。検出器12a、12b、12cが受ける光の強度は、測定位置8における基板の高さレベルを決定するために処理ユニット5に案内される。
【0041】
検出器12a、12b、12cのそれぞれが受ける光の強度D1、D2及びD3は、以下の関係式で表すことができる。
【数2】


3つの未知の変数を有するこれらの3つの式から直交信号を導出することができる。
【数3】


これらの2つの直交信号によって、sの任意の値についてsを見出すことができ、したがって基板の高さの変化に対して感度がゼロの状態で、直線性誤差及び不感帯がない。その結果、レベルセンサ1は、±5μm、又はさらに±10μmを超える比較的大きい高さの範囲で基板の高さを決定するのに適している。したがって、高さレベルの測定中の閉ループの高さ制御の必要性をなくすことができる。
【0042】
代替実施形態では、検出格子は測定ビームの周期ごとに4つ以上のセグメントを備えることができる。図4に示す実施形態では、セグメント13a、13b、13cはそれぞれ同じ長さlsを有する。代替実施形態では、セグメントの完全なアレイの長さが検出格子11に投影される測定ビームの像の周期に対応する限り、セグメントは異なる長さを有することができる。
【0043】
セグメントの上面の角度は、検出格子11の主平面に対して約−15°、0°及び15°である。セグメントのそれぞれについて、任意の他の適切な角度を適用することができる。角度の差は、3つのビーム部分の強度差を決定できるように、測定ビームを3つの別個の検出器12a、12b、12cに誘導できる3つの識別可能なビーム部分に分割できるほど十分大きくなければならない。
【0044】
基板2の高さレベルの測定は開ループで、比較的大きい高さ範囲で測定することができるので、レベルセンサ1は、複数の測定位置8での高さレベルを同時に測定するのに適している。レベルセンサ1の測定位置8を基板2上の様々な位置に配置するために様々な方法を適用することができる。
【0045】
一実施形態では、スキャン動作にて基板2をレベルセンサ1に沿って動作させることができる。閉ループの高さ制御が不要であるので、この動作は一定速度で実行することができ、それによって基板の高さレベルを決定中に基板2を支持する基板支持体を加速する必要がなくなる。代替実施形態では、基板が静止している間に、レベルセンサ1が基板2を越えて移動することができる。別の実施形態では、レベルセンサ1と基板の両方を移動して、基板の表面を越えて測定位置を移動するのに最適経路を得ることができる。
【0046】
好ましい実施形態では、レベルセンサに、レベルセンサ及び/又は基板の全体を移動せずに、測定ビームを基板の様々な位置に誘導するように構成された可動式光案内手段を提供してもよい。このようなレベルセンサでは、レベルセンサ及び/又は基板の全体を移動する必要がない状態で、基板の一部、例えば測定位置の線の少なくとも高さを測定することができる。このような実施形態では、基板全体の高さマップを得るために、レベルセンサに対して基板の必要な動作又は複雑な動作を少なくすることができる。
【0047】
図5は、レベルセンサ101の別の実施形態を示す。図5のレベルセンサ101では、図2の実施形態と同じ又は類似の特徴は同じ参照番号で示されている。
【0048】
レベルセンサ101は、基板2の幅を横切る線上に離間している様々な測定位置108にて基板の高さを測定するように構成される。測定位置108ごとに、レベルセンサ101は図2に示すレベルセンサのコンポーネントを備える。したがって、各測定位置108は、光源6及び投影格子7を備える投影ユニット、及び検出格子11及び幾つかの検出器(図示せず)を備える検出ユニットに関連づけられる。さらに、光学要素9及び10を設けて、投影ユニットからの測定ビームを測定位置に案内し、基板2で反射した後、測定位置から検出ユニットに案内する。
【0049】
図示の実施形態では、測定位置108ごとに1つの光源6、1つの検出格子11、及び3つ以上の検出器の組が提供される。すべての測定位置に1つの投影格子7及び一組の光学要素9及び10がある。投影格子7及び光学要素は、このため測定位置108に沿って延在する。
【0050】
代替実施形態では、測定位置8すべてに使用するために1つの検出格子11を設けることができる。また、1つ又は複数の部品、例えば投影格子、検出格子などをすべてにではないが複数の測定位置8に設けることができる。
【0051】
図5に示すレベルセンサは、12の測定位置8で基板の高さを測定するように構成される。基板の全幅を、測定位置8のこの線でカバーすることができる。所望に応じて、異なる数の測定位置8を設けることができる。測定位置8は、また図5の実施形態に示されているような1本の線沿い以外の構成でも配置することができる。
【0052】
図2に示すようなレベルセンサ1の構造は、複数の測定位置を有するレベルセンサで使用するのに特に適している。何故なら、レベルセンサは比較的大きい高さ範囲で基板2の表面の高さを測定できるからである。通常、測定のこのような大きさの高さの範囲は、基板の厚さ及び平坦さの通常の変動より大きい。このように測定範囲が大きいので、従来技術のレベルセンサにある閉ループの高さ制御の要件が解消される。その結果、図5のレベルセンサを使用して、様々な測定位置における基板の高さの高低差による基板の位置を補正する必要がない状態で、複数の測定位置8にて基板の高さを同時に測定することができる。
【0053】
複数の測定位置8を基板に沿って移動して、基板2上の多数の位置の高さ情報を得ることができる。この動作は、レベルセンサ101の動作、基板2の動作、及び/又はレベルセンサ101の光案内要素の動作、例えば光学要素9及び10の動作によって得ることができる。また、これらの動作の組合せを使用して、実際のリソグラフィプロセス中に基板の補正動作のために使用する基板2の高さマップを得ることができる。
【0054】
傾斜測定デバイス
図2は、基板の高さを比較的高い精度で測定することができるレベルセンサ1を示す。レベルセンサは、±5μm、又はさらに±10μm、又は場合によってはさらに大きい高さ範囲内で信頼性の高い測定を提供することができる。しかし、投影格子の像が検出格子に対して焦点が外れると、レベルセンサはx軸を中心とする基板の傾斜に対して敏感になることがある。この影響は小さいが、基板2の傾斜を測定し、基板の高さマップを決定する場合に考慮することができる。基板の傾斜を考慮に入れることによって決定した高さを補正すると、高さマップの精度をさらに改良することができる。以下に、基板の傾斜を測定することができるレベルセンサの例について説明する。
【0055】
図6は、傾斜測定デバイス20をさらに備える図2のレベルセンサを示す。傾斜測定デバイス20は、反射した測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、x軸(Rx)を中心として公称平面21に対する基板の傾斜を表すチルト信号を供給するように構成される。傾斜測定デバイス20は、必要に応じて、レベルセンサ1が測定した高さレベルを補正するために処理ユニット5に接続されて、チルト信号を処理ユニット5に供給する。
【0056】
レベルセンサ1では、基板2で反射した測定ビームを光学要素10で受ける。光学要素10は、測定ビームの主要部分、例えば光強度の80%を検出ユニット4に向けて反射する部分反射鏡である。
【0057】
測定ビームの残りは、部分反射鏡を透過し、傾斜測定デバイス20内で基板の傾斜を検出するのに使用される。測定ビームのこの残りは、図6では傾斜測定ビーム22として示されている。
【0058】
傾斜測定ビーム22はビーム分割デバイス23で受ける。ビーム分割デバイス23は、傾斜測定ビームを2つの部分に分割するように構成され、各部分は2つの傾斜検出器24、25の一方に誘導される。ビーム分割デバイス23は、相互に対向配置された2つのウェッジを備える。下部ウェッジで受ける傾斜測定ビームの部分は傾斜検出器24に案内され、上部ウェッジで受ける傾斜測定ビームの部分は傾斜検出器25に案内される。ビーム分割デバイス23の2つのウェッジは、傾斜に敏感な方向に離間している。
【0059】
2つの傾斜検出器24、25が受ける放射の相対量の比率を比較すると、基板の傾斜が表される。例えば、基板を図6の矢印Tで示すように傾斜すると、上部ウェッジが受ける傾斜測定ビーム22の部分は増大し、下部ウェッジが受ける部分は減少する。2つの傾斜検出器24、25が受ける放射の量の差を正規化して、傾斜検出器24、25が受ける光の強度の小さい差を決定することができる。それぞれの傾斜検出器24、25が受ける放射の量をこのように比較した結果、基板2の傾斜の小さい変動が検出される。
【0060】
図6の傾斜測定デバイスは、基板の傾斜を測定して、傾斜測定デバイス20によって決定された高さを補正するのに使用できる傾斜センサの一例にすぎない。基板の傾斜を測定することができる任意の他の傾斜測定デバイス20を適用することができる。通常、レベルセンサの測定ビームが進む平面に対して垂直の軸を中心とする傾斜を測定することが望ましい。図示の実施形態では、測定ビームはy−z面を進み、したがって測定される傾斜は、x軸(Rx)を中心とする基板の傾斜である。
【0061】
図6に示すような傾斜測定デバイス20は、非常にコンパクトになるように構築することができ、したがって図5に示すような複数の測定位置のためのレベルセンサシステムに適用するのに適している。このようなレベルセンサでは、複数の測定位置の測定位置ごとに傾斜測定デバイス20を提供して、測定位置8ごとに基板の傾斜変数を測定することができ、したがって測定位置8ごとに、レベルセンサ101が決定した高さを基板2の傾斜に対して補正することができる。
【0062】
測定ビームデリバリシステム
図5には、複数の測定位置8で基板2の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサ101の上面図が示されている。このレベルセンサ101は、様々な測定位置8で基板2の高さを同時に測定する可能性を提供する。このレベルセンサはさらに、基板2の表面に沿った測定位置の開ループスキャンの可能性を提供する。所望に応じて、1つ又は複数の傾斜測定デバイスで基板2の傾斜を測定して、レベルセンサ1が測定した高さを補正し、基板2の傾斜による影響があれば、そのいずれに対しても測定した高さを補正することができる。
【0063】
このレベルセンサは、基板2の高さマップを高速かつ正確に決定する可能性を提供するが、図5に示すようなレベルセンサは、基板2の上に有意の空間を必要とすることがある。このような空間は、リソグラフィ装置内の基板の上で常に使用可能なわけではない。
【0064】
リソグラフィ装置で使用可能な空間をさらに効率的に使用するために、図7は、測定ビームを基板の複数の測定位置で供給し、複数の測定位置8が線上に配置される代替ビームデリバリ方法を示す。基板2は、測定位置に配置される。すなわち、レベルセンサの測定位置8の少なくとも1つが基板2上のどこかに配置され、したがって基板2の高さ測定を実行することができる。
【0065】
測定位置8ごとに、光源6、投影格子7、検出格子11及び3つの検出器(図示せず)が提供される。このようなレベルセンサのこれらのコンポーネントは、図2及び図5に示したレベルセンサで使用したコンポーネントに対応する。しかし、光源6及び投影格子7は基板2に隣接する一方側に設けられ、検出格子11及び検出器は基板2に隣接する他方側に設けられる。基板2に対して異なるコンポーネントを異なる高さに配置することができるが、図示の実施形態では、すべてのコンポーネントが基板2より高い高さレベルに配置される。
【0066】
この配置の利点は、基板2の上に配置されるコンポーネントがなく、基板2の一方側のすべてのコンポーネントが相互に近い状態で配置され、その結果、リソグラフィ装置内ですべてのコンポーネントに必要な空間が比較的小さくなることである。
【0067】
「隣接する」という用語は、基板の主平面に垂直に投影された場合に、基板の外側にある位置を示すのに使用されることに留意されたい。「〜の上に」又は「〜の下に」という用語は、基板の主平面に垂直に投影された場合に、基板内にある位置を示す。
【0068】
図8、図9及び図10は、レベルセンサの測定ビームに必要な空間をさらに縮小できるさらなる実施形態を示す。図8、図9及び図10の実施形態では、基板2の上に反射バー30、31が設けられる。反射バー30、31にはそれぞれ、傾斜反射面30a、31aが設けられる(図9を参照)。
【0069】
斜面30a、31aの角度は、水平面に対して等しいことが望ましく、基板の表面に向けて配向される。角度は、実質的に水平面で反射バー30が受ける測定ビームが基板2の測定位置8に向けて反射するように選択される。測定位置8で測定ビームが反射し、反射バー31に向かって戻る。反射したビームは、反射バー30で反射したのと実質的に同じ高さで反射バー31上で受ける。測定ビームは、反射バー31から実質的に水平方向に検出ユニット4へと案内される。
【0070】
検出ユニット4内には、基板2の高さを表す信号を検出するために、別の光学要素を設けることができる。これらの信号は、検出ユニット4内に、又は任意の他の適切な位置に配置することができる処理ユニット内の測定位置で、基板2の高さを決定するために使用することができる。レベルセンサのコンポーネントは、上述した実施形態のコンポーネントと対応することができるが、任意の他の適切なレベルセンサデバイスも使用することができる。
【0071】
センサのコンポーネントは、投影ユニット3及び検出ユニット4で示される。投影ユニット4は、複数の測定ビームを提供して、基板2の様々な測定位置8で高さレベルを測定するように構成される。測定ビームは、実質的に同じ高さで提供され、反射バー30へと誘導される。反射した測定ビームはすべて、反射バー31が実質的に同じ高さで受け、検出ユニット4に向けて誘導される。
【0072】
図8、図9及び図10に示す実施形態の測定ビームデリバリデバイスの利点は、測定ビームを基板2に対して比較的低い高さレベルに維持することができ、それと同時に投影ユニット3及び検出ユニット4が基板に隣接して配置され、これらのユニット3、4を提供するために使用可能な空間を大きくできることである。
【0073】
図8、図9及び図10に示す実施形態では、3つの測定位置8しか示されていない。実際には、さらに多くの測定位置8、例えば50を超える測定位置を線に、又は任意の他の適切な構成で配置することができる。さらに、基板2は、基板の表面にわたって測定位置8を移動し、基板の表面全体にわたって基板の高さレベルを決定して、基板の高さマップを決定するために移動することができる。動作は、レベルセンサの動作及び/又は基板の動作、又は任意の他の適切な方法によって実現することができる。
【0074】
図7、図8、図9及び図10の実施形態の投影ユニット3及び/又は検出ユニット4は、必要に応じて、異なる測定ビーム間に測定ビームの光路長の差があればすべて補償する補償装置を備えることができることに留意されたい。
【0075】
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0076】
光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィの分野でも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると内部にパターンが残される。
【0077】
本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0078】
「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指すことができる。
【0079】
以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0080】
上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサであって、
前記基板に測定ビームを投影する投影ユニットと、
前記基板で反射した後に前記測定ビームを受ける検出ユニットと、
前記検出ユニットが受けた前記反射測定ビームに基づいて高さレベルを計算する処理ユニットと、
を備え、
前記レベルセンサが、傾斜測定デバイスをさらに備え、前記傾斜測定デバイスが、前記反射測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、公称平面に対する前記基板の傾斜を表すチルト信号を提供するように構成されたレベルセンサ。
【請求項2】
前記基板の傾斜に基づいて前記傾斜測定デバイスが測定した前記高さレベルを補正するために、前記傾斜測定デバイスが前記処理ユニットに接続されて前記チルト信号を前記処理ユニットに供給する、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項3】
前記傾斜測定デバイスが、前記反射測定ビームを受ける少なくとも2つの傾斜検出器を備え、前記少なくとも2つの傾斜検出器が、傾斜感応方向に離間され、前記2つの傾斜検出器が受けた光の相対量間の比率の比較が、前記基板の傾斜を表す、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項4】
前記処理ユニットが、前記比較をするように構成される、請求項3に記載のレベルセンサ。
【請求項5】
前記傾斜測定デバイスが、前記測定ビームをそれぞれ2つの傾斜検出器の一方に誘導される2つの部分に分割するビーム分割デバイスを備え、前記2つの傾斜検出器が受けた光の相対量間の比率の比較が、前記基板の傾斜を表す、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項6】
前記処理ユニットが、前記比較をするように構成される、請求項5に記載のレベルセンサ。
【請求項7】
前記レベルセンサが、部分反射鏡を備え、前記部分反射鏡が、前記反射測定ビームを受け、前記反射測定ビームを、前記検出ユニットが受ける第1の部分と、前記傾斜測定デバイスが受ける第2の部分とに分割するように配置される、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項8】
前記部分反射鏡は、透過性より反射性の方が高い、請求項7に記載のレベルセンサ。
【請求項9】
前記投影ユニットが、測定ビームを提供する光源と、前記測定ビームを受け、前記測定ビームに周期的な光強度を与えるように配置された投影格子とを備え、前記検出ユニットが、前記反射測定ビームを受けるように配置された検出格子と、前記測定ビームを受けるように配置された少なくとも1つの検出器とを備える、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項10】
前記傾斜測定デバイスが、前記測定ビームが進む平面に対して直角の軸を中心として前記基板の傾斜を決定するように構成される、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項11】
前記測定ビームが、y−z面を進み、前記傾斜測定デバイスが、x軸(Rx)を中心として前記基板の傾斜を決定するように構成される、請求項1に記載のレベルセンサ。
【請求項12】
リソグラフィ装置であって、
放射ビームを調節するように構成された照明システムと、
パターン付放射ビームを形成するために放射ビームの断面にパターンを与えることができるパターニングデバイスを支持するように構築された支持体と、
基板を保持するように構築された基板テーブルと、
パターン付放射ビームを前記基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、
を備え、
前記リソグラフィ装置が、前記基板テーブル上の基板の高さレベルを測定するように構成されたレベルセンサを備え、前記レベルセンサが、
測定ビームを前記基板に投影する投影ユニットと、
前記基板で反射した後に前記測定ビームを受ける検出ユニットと、
前記検出ユニットが受けた前記反射測定ビームに基づいて高さレベルを計算する処理ユニットと、
を備え、
前記レベルセンサが、傾斜測定デバイスをさらに備え、前記傾斜測定デバイスが、前記反射測定ビームの少なくとも一部を受けるように配置され、公称平面に対する前記基板の傾斜を表すチルト信号を提供するように構成されるリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記基板の傾斜に基づいて前記傾斜測定デバイスが測定した前記高さレベルを補正するために、前記傾斜測定デバイスが前記処理ユニットに接続されて前記チルト信号を前記処理ユニットに供給する、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
基板の高さマップを決定する方法であって、
請求項1に記載のレベルセンサを提供するステップと
基板を提供するステップと、
前記投影ユニットで前記基板に測定ビームを投影し、前記検出ユニットで前記反射ビームを受け、前記処理ユニット内で高さレベルを決定することにより、測定位置で前記基板の高さを測定するステップと、
前記基板の複数の測定位置で前記測定ステップを繰り返すステップと、
前記高さレベルに基づいて前記基板の高さマップを決定するステップと、
を含み、
前記方法が、前記傾斜測定デバイスによって前記基板の傾斜を決定するステップをさらに含み、高さレベルを決定する前記ステップが、前記基板の前記決定された傾斜に基づいて前記高さレベルを補正するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−192990(P2011−192990A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−48535(P2011−48535)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】