説明

ルート情報共有システム

【課題】グループ内の全車両がルートの決定や逸脱状況の取得が可能で、どの車両がルートから逸脱しても他車両のルートに影響を与えないルート情報共有システムを提供する。
【解決手段】情報管理サーバは、入力された目的地情報に基づき目的地までの候補ルート情報を複数算出し、当該算出した前記複数の候補ルート情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段1と、各車載システムの利用者が前記複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を前記全ての車載システムから受信する手段2と、前記手段2で受信した希望ルート情報に基づきメインルート情報を決定し、当該決定したメインルート情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段3とを有し、前記各車載システムは、前記情報管理サーバから送信された複数の候補ルート情報を受信する手段1と、前記各車載システムの利用者が前記複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を前記情報管理サーバに対して送信する手段2とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート情報共有システムに係り、特に、グループ内の全車載システムで1つのルートを設定し、そのルートからお互いの車両が逸脱しているかを否かを知ることが可能なルート情報共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載システムの目的地やルートを設定する際に、グループ内の全車載システムで1つのルートを設定する車載システムが、下記特許文献1に記載されている。
下記特許文献1に記載の車載システムでは、グループ内にリーダを設け、そのリーダが決定したルート情報をグループ内に配信することで1つのルート上をグループ内の全車両が走行可能となっている。
また、そのルートからリーダの車両が逸脱した場合はルートの再計算を行い、新ルートを再度配信、リーダ以外の車両が逸脱した場合はリーダへ通知し、ルートへの復帰を実現する。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特開2002−168640号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した車載システムでは、ルートの決定や他車両の逸脱状況の取得はリーダのみが利用可能であり、リーダ以外の車両がルートの決定や他車両の逸脱状況を取得することができなかった。
また、リーダのルートがメインルートとなるため、リーダがルートから逸脱しルートを再計算した場合、リーダの新ルートがグループ内全車両のメインルートとなってしまう。このため、ルート上を正しく走行している他の車両のルートも再設定されてしまうという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、グループ内の全車両がルート情報の決定や逸脱状況情報の取得が可能で、どの車両がルートから逸脱しても他車両のルートに影響を与えないルート情報共有システムを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)ルート情報を管理する情報管理サーバと、通信網を介して前記情報管理サーバと接続される複数の車載システムとからなるルート情報共有システムにおいて、前記情報管理サーバは、入力された目的地情報に基づき目的地までの候補ルート情報を複数算出し、当該算出した前記複数の候補ルート情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段1と、前記各車載システムの利用者が前記複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を前記全ての車載システムから受信する手段2と、前記手段2で受信した希望ルート情報に基づきルート情報を決定し、当該決定したルート情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段3とを有し、前記各車載システムは、前記情報管理サーバから送信された複数の候補ルート情報を受信する手段1と、前記各車載システムの利用者が前記複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を前記情報管理サーバに対して送信する手段2と、前記情報管理サーバから送信された前記情報管理サーバで決定した前記ルート情報を受信し、保存する手段3とを有する。
【0006】
(2)(1)において、前記情報管理サーバは、ルートから逸脱した車両に搭載される前記車載システムから送信されるルート逸脱状況情報を受信した時に当該ルート逸脱状況情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段4と、前記ルートから逸脱した車両に搭載される前記車載システムから送信されるルート復帰状況情報を受信した時に当該ルート復帰状況情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段5とを有し、前記各車載システムは、前記手段3で保存しているルート情報に基づき、自車載システムを搭載する車両がルートから逸脱していることを検出した時に前記情報管理サーバに対して前記ルート逸脱状況情報を送信する手段4と、自車載システムを搭載する車両が前記ルートから逸脱した後で前記ルートに復帰した時に前記情報管理サーバに対して前記ルート復帰状況情報を送信する手段5と、前記情報管理サーバから送信された前記ルート逸脱状況情報、および前記ルート復帰状況情報を受信する手段6とを有する。
(3)(2)において、前記各車載システムは、自車載システムを搭載する車両が前記ルートから逸脱した時に、前記ルートまで復帰するルート情報を算出する手段7を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明のルート情報共有システムによれば、グループ内の全車両がルートの決定や逸脱状況の取得が可能で、かつ、どの車両がルートから逸脱しても他車両のルートに影響を与えないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施例のルート情報共有システムの全体構成を示すブロック図である。
図1において、100はグループ情報やルート情報の管理、逸脱状況の送受信を行う情報管理サーバであり、情報管理サーバ100は、登録されたグループ情報を管理するグループ情報管理テーブル101と、登録された目的地情報や算出したルート情報を管理するルート情報管理テーブル102と、表示部103と、情報管理サーバ100の各処理を制御する制御部104と、入力部105と、グループ情報の送受信を行うグループ情報通信部106と、目的地情報やルート情報の送受信を行うルート情報通信部107と、逸脱状況情報の送受信を行う逸脱状況通信部108とで構成される。
また、110は、グループ情報、ルート情報、逸脱状況情報の送受信や表示を行う車載システムであり、車載システム110は、各情報を入力する入力部111と、ルートの計算やナビゲーションを行うナビゲーション部112と、情報管理サーバ100と各情報の送受信を行う情報通信部113と、車載システム110の各処理を制御する制御部114と、各情報を表示する表示部115と、グループ情報を管理するグループ情報管理テーブル116と、目的地までのルート情報や復帰ルート情報を管理するルート情報管理テーブル117とで構成される。
また、120は、情報管理サーバ100と車載システム110を接続するインターネットその他の有線及び無線の通信網である。
【0009】
図2は、図1に示すグループ情報管理テーブル101の記録フォーマットを示す図である。図2おいて、200はグループ情報管理テーブル101の記録フォーマット、201はグループ識別情報、202はグループ名称、203は車両識別情報、204は車両名称、205はルート逸脱状況情報を示す。
図3は、図1に示すルート情報管理テーブル102の記録フォーマットを示す図である。図3において、300はルート情報管理テーブル102の記録フォーマット、301はルート識別情報、302はグループ識別情報、303はメインルート決定情報、および、候補ルート情報、304は目的地情報、305はルート詳細情報を示す。
【0010】
次に、図4から図6を用いて、グループ情報を登録してグループ内で共通のルート情報を決定する方法について説明する。
図4は、本発明の実施例の情報管理サーバ100における、グループ情報登録処理の処理手順を示すフローチャートである。
始めに、あるグループ内の任意の車載システム110から通知されたグループ情報を取得し(ステップ401)、取得したグループ情報をグループ情報管理テーブル101に登録可能か否かを判断する(ステップ402)。
ステップ402においてグループ情報管理テーブル101に登録できない場合は、グループ情報の登録に失敗したことを通知する(ステップ405)。
ステップ402においてグループ情報管理テーブル101に登録可能の場合には、グループ情報をグループ情報管理テーブル101に登録し(ステップ403)、グループ情報通信部106を介して、グループ内の全車載システムにグループ情報を通知する(ステップ404)。グループ内の全車載システム110は、受信したグループ情報をグループ情報管理テーブル116に格納しておく。
【0011】
図5は、本発明の実施例の情報管理サーバ100における、候補ルート算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
始めに、グループ内の任意の車載システム110から通知された目的地情報を取得し(ステップ501)、目的地を登録したいグループがグループ情報管理テーブル101に登録されているか否かを判断する(ステップ502)。
ステップ502においてグループ情報管理テーブル101に登録されていない場合には、目的地の登録に失敗したことを通知する(ステップ506)。
ステップ502においてグループ情報管理テーブル101に登録されている場合には、目的地情報を用いて目的地までの候補ルート情報を複数算出し(ステップ503)、算出した全ての候補ルート情報をルート情報管理テーブル102に登録する(ステップ504)。
次に、ルート情報通信部107を介して、グループ内の全車載システム110に全ての候補ルート情報を通知する(ステップ505)。
【0012】
図6は、本発明の実施例の情報管理サーバ100における、ルート情報配信処理の処理手順を示すフローチャートである。
始めに、各車載システム110の利用者が、前述の複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を、ルート情報通信部107を介して全車載システム110から取得する(ステップ601、ステップ602)。
ステップ601、ステップ602において、前述の複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を全車載システム110から取得できない場合は処理を終了する。
ステップ601、ステップ602において、前述の複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を全車載システム110から取得した場合、全ての車載システムから取得した希望ルート情報よりメインルート情報を決定し(ステップ603)、決定したルート情報をルート情報管理テーブル102に登録するとともに、ルート情報通信部107を介して、グループ内の全車載システム110にメインルート情報を通知する(ステップ604)。グループ内の全車載システム110は、受信したメインルート情報をルート情報管理テーブル117に格納しておく。
なお、ステップ603では、多数決によりメインルート情報を決定する。即ち、全車載システム110から取得した希望ルート情報の中で最も多い希望ルート情報をメインルート情報として決定する。なお、全車載システム110から取得した希望ルート情報の中で最も多い希望情報が複数ある場合、情報管理サーバ100が一意に決定する。
【0013】
次に、図7から図8を用いて、自車載システムを搭載した車両がメインルートから逸脱したことを、車載システム110から情報管理サーバ100に通知してから、グループ内の全車載システム110に逸脱状況情報を配信する方法について説明する。
図7は、本発明の実施例の車載システム110における、自車載システムを搭載する車両がメインルートから逸脱した時の復帰ルート算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
始めに、ルート情報管理テーブル117に格納されたメインルート情報に基づき、ナビゲーション部112が、自車載システムを搭載する車両がメインルートから逸脱したことを検知すると(ステップ701)、自車載システムを搭載する車両が、現在グループ走行中か否かを判断する(ステップ702)。
自車載システムを搭載する車両が、現在グループ走行中でない場合には、ナビゲーション部112が、目的地までのルートを再算出する(ステップ705)。
自車載システムを搭載する車両が、現在グループ走行中の場合には、情報通信部113を介して、情報管理サーバ100に逸脱状況情報(例えば、逸脱中の情報)を通知し(ステップ703)、ナビゲーション部112が、メインルートとの分岐点までの復帰ルートを算出する(ステップ704)。
なお、ステップ701〜ステップ704の処理は、自車載システムを搭載する車両がメインルートに復帰するまで継続的(例えば、数分、数10分毎に)実行される。また、メインルートから逸脱した車両がメインルートに復帰した場合は、情報通信部113を介して、情報管理サーバ100に対して復帰状況情報(例えば、通常走行中の情報)を送信する。
【0014】
図8は、本発明の実施例の情報管理サーバ100における、逸脱状況配信処理の処理手順を示すフローチャートである。
始めに、逸脱状況通信部108を介して、メインルートから逸脱した車両に搭載される車載システムの情報通信部113からの逸脱状況情報を取得する(ステップ801)。
次に、メインルートから逸脱した車両が、継続してメインルートから逸脱しているか否かを判断し(ステップ802)、メインルートから逸脱した車両が、継続してメインルートから逸脱中の場合は処理を終了する。
即ち、ステップ802において、メインルートから逸脱した車両に搭載される車載システムからの逸脱状況情報が1回目の逸脱状況情報か、2回目以降の逸脱状況情報かを判断し、ステップ802での判断結果が、2回目以降の逸脱状況情報の場合は、処理を終了する。
また、ステップ802での判断結果が、1回目の逸脱状況情報の場合は、メインルートから逸脱した車両に搭載される車載システムの属するグループの全車載システムに逸脱状況情報を通知する(ステップ803)。
【0015】
なお、ステップ802では、メインルートから逸脱した車両に搭載される車載システムの情報通信部113から復帰状況情報を受信するまでは、メインルートから逸脱した車両が未だメインルートから継続して逸脱していると判断する。
また、メインルートから逸脱した車両がメインルートに復帰した場合、即ち、逸脱状況通信部108を介して、メインルートから逸脱した車両に搭載される車載システムの情報通信部113からの復帰状況情報を受信した場合には、メインルートから逸脱した車両に搭載される車載システムの属するグループの全車載システムに復帰状況情報を通知する。
以上説明したように、本実施例によれば、複数の車両が共通のルートを走行することが可能となるだけでなく、従来の技術の課題とされるリーダ以外の車両からのルートの決定や、リーダ以外の車両への逸脱状況の配信が可能となる。また、リーダの存在が不要となるため、どの車両がルートから逸脱しても他の車両のルートに影響を与えることなく、ルートへの復帰が可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本
発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施例のルート情報共有システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すグループ情報管理テーブルの記録フォーマットを示す図である。
【図3】図1に示すルート情報管理テーブルの記録フォーマットを示す図である。
【図4】本発明の実施例の情報管理サーバにおける、グループ情報登録処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例の情報管理サーバにおける、候補ルート算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例の情報管理サーバにおける、ルート情報配信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例の車載システムにおける、自車載システムを搭載する車両がメインルートから逸脱した時の復帰ルート算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例の情報管理サーバにおける、逸脱状況配信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
100 情報管理サーバ
101,116 グループ情報管理テーブル
102,117 ルート情報管理テーブル
103,115 表示部
104,114 制御部
105,111 入力部
106 グループ情報通信部
107 ルート情報通信部
108 逸脱状況通信部
110 車載システム
112 ナビゲーション部
113 情報通信部
120 通信網
200 グループ情報テーブル記録フォーマット
201,302 グループ識別情報
202 グループ名称
203 車両識別情報
204 車両名称
205 ルート逸脱状況情報
300 ルート情報テーブル記録フォーマット
301 ルート識別情報
303 メインルート決定情報
304 目的地情報
305 ルート詳細情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルート情報を管理する情報管理サーバと、
通信網を介して前記情報管理サーバと接続される複数の車載システムとからなるルート情報共有システムにおいて、
前記情報管理サーバは、入力された目的地情報に基づき目的地までの候補ルート情報を複数算出し、当該算出した前記複数の候補ルート情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段1と、
前記各車載システムの利用者が前記複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を前記全ての車載システムから受信する手段2と、
前記手段2で受信した希望ルート情報に基づきルート情報を決定し、当該決定したルート情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段3とを有し、
前記各車載システムは、前記情報管理サーバから送信された複数の候補ルート情報を受信する手段1と、
前記各車載システムの利用者が前記複数の候補ルートの中から選択した希望ルート情報を前記情報管理サーバに対して送信する手段2と、
前記情報管理サーバから送信された前記情報管理サーバで決定した前記ルート情報を受信し、保存する手段3とを有することを特徴とするルート情報共有システム。
【請求項2】
前記情報管理サーバは、ルートから逸脱した車両に搭載される前記車載システムから送信されるルート逸脱状況情報を受信した時に当該ルート逸脱状況情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段4と、
前記ルートから逸脱した車両に搭載される前記車載システムから送信されるルート復帰状況情報を受信した時に当該ルート復帰状況情報を前記全ての車載システムに対して送信する手段5とを有し、
前記各車載システムは、前記手段3で保存しているルート情報に基づき、自車載システムを搭載する車両がルートから逸脱していることを検出した時に前記情報管理サーバに対して前記ルート逸脱状況情報を送信する手段4と、
自車載システムを搭載する車両が前記ルートから逸脱した後で前記ルートに復帰した時に前記情報管理サーバに対して前記ルート復帰状況情報を送信する手段5と、
前記情報管理サーバから送信された前記ルート逸脱状況情報、および前記ルート復帰状況情報を受信する手段6とを有することを特徴とする請求項1に記載のルート情報共有システム。
【請求項3】
前記各車載システムは、自車載システムを搭載する車両が前記ルートから逸脱した時に、前記ルートまで復帰するルート情報を算出する手段7を有することを特徴とする請求項2に記載のルート情報共有システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−133792(P2009−133792A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311854(P2007−311854)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(391002409)株式会社 日立システムアンドサービス (205)
【Fターム(参考)】